ケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタ
【課題】ケーブルの端部にケーブル用コネクタを容易に取付けることができ、しかも、ケーブル用コネクタ内部への液体の侵入を確実に防止することができる。
【解決手段】プラグハウジング18およびソケットハウジング38にそれぞれ、配されるコンタクト/シール用シリンダー14は、ケーブルCAの内部導体を着脱可能に接続できる導体接続部26または46を保持するコンタクト収容部と、シール用チューブ16が装着される環状の凹部とを有し、ケーブルCAがプラグコンタクト端子20またはソケットコンタクト端子40に接続される場合、段付押さえナット部材12および32が、それぞれ、プラグハウジング18およびソケットハウジング38の雄ねじ部18MS、38MSにねじ込まれるとき、押圧片14Piおよびシール用チューブ16が押圧されることにより、プラグハウジング18およびソケットハウジング38内のケーブルCAの外周部が密封されるもの。
【解決手段】プラグハウジング18およびソケットハウジング38にそれぞれ、配されるコンタクト/シール用シリンダー14は、ケーブルCAの内部導体を着脱可能に接続できる導体接続部26または46を保持するコンタクト収容部と、シール用チューブ16が装着される環状の凹部とを有し、ケーブルCAがプラグコンタクト端子20またはソケットコンタクト端子40に接続される場合、段付押さえナット部材12および32が、それぞれ、プラグハウジング18およびソケットハウジング38の雄ねじ部18MS、38MSにねじ込まれるとき、押圧片14Piおよびシール用チューブ16が押圧されることにより、プラグハウジング18およびソケットハウジング38内のケーブルCAの外周部が密封されるもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電用モジュール相互間、および、太陽光発電用モジュールと配電盤との間においては、一般に、その相互間を電気的に接続する防水型のケーブル用コネクタが実用に供されている。そのようなケーブル用コネクタは、例えば、特許文献1にも示されるように、コンタクト端子としての雄型端子金具と、その雄型端子金具の電線圧着部およびケーブルの絶縁外皮を覆う封止チューブと、そのケーブルの一端にモールドにより結合されるハウジングとを含んで構成されている。
【0003】
熱収縮性の合成樹脂で成形された筒状の封止チューブの一端は、ケーブルの絶縁外皮の端末に接着され、また、封止チューブの他端は、雄型端子金具の電線圧着部に接着されている。これにより、ケーブルの絶縁外皮の端末および雄型端子金具の電線圧着部が、封止チューブにより封止されることとなる。
【0004】
さらに、封止チューブにより封止されたケーブルの絶縁外皮の端末および雄型端子金具の電線圧着部は、モールドにより、上述のハウジングの内部に埋め込まれている。従って、外部の雨水等の液体がケーブルの絶縁外皮を伝わってハウジング内の雄型端子金具および電線圧着部へ侵入することが防止されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−298656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなケーブル用コネクタを用いて太陽光発電用モジュールの設置工事を行うにあたっては、例えば、所定の長さに設定されたケーブルの端部に上述のコネクタが接続されたものが予め準備されるもとで、その設置工事が実施されることとなる。
【0007】
しかしながら、設置工事において、現場で太陽光発電用モジュールの設置位置の変更等により、必要なケーブルの長さが、やむを得ず変更される場合がある。このような場合、上述のケーブル用コネクタにおいては、変更された長さのケーブルの端部に上述のコネクタが接続されたものをモールドによって作製する必要がある。従って、現場ではケーブルの端部に上述のコネクタが接続されたものを作製することは、困難となるので設置工事が新たなケーブルが準備されるまで中断するという問題を生じる。
【0008】
以上の問題点を考慮し、本発明は、ケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタであって、モールド成形を要することなくケーブルの端部にケーブル用コネクタを容易に取付けることができ、しかも、ケーブル用コネクタ内部への液体の侵入を確実に防止することができるケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造は、ケーブルの一端が接続されたコンタクト端子を着脱可能に収容するハウジングと、ハウジング内に配され、ハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、ケーブルの一端が接続されたコンタクト端子がハウジングに収容される場合、シール用シリンダーの複数の押圧片をシール用チューブとともにハウジング内のケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造は、シール用シリンダーの各押圧片には、押さえ部材の内周部に向けて隆起する隆起部が形成され、押さえ部材の内周部には、各押圧片の隆起部を押圧する突起部が形成されてもよい。
【0011】
さらに、本発明に係るプラグコネクタは、ケーブルの一端が接続された棒状の接触端部を有するプラグコンタクト端子を着脱可能に収容するプラグハウジングと、プラグハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブと、プラグハウジング内に配され、シール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、ケーブルの一端が接続されたプラグコンタクト端子がプラグハウジングに収容される場合、シール用シリンダーの複数の押圧片をシール用チューブとともにプラグハウジング内のケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とする。
【0012】
さらにまた、本発明に係るソケットコネクタは、ケーブルの一端が接続された円筒状の接触端部を有するソケットコンタクト端子を着脱可能に収容するソケットハウジングと、ソケットハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブと、ソケットハウジング内に配され、シール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、ケーブルの一端が接続されたソケットコンタクト端子がソケットハウジングに収容される場合、シール用シリンダーの複数の押圧片をシール用チューブとともにソケットハウジング内のケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とする。
【0013】
そして、本発明に係るケーブル用コネクタは、上述のプラグコネクタと、上述のソケットコネクタと、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタによれば、ハウジングは、ケーブルの一端が接続されるコンタクト端子を着脱可能に収容するのでモールド成形を要することなくケーブルの端部にケーブル用コネクタを容易に取付けることができる。
【0015】
また、ハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブを、複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーを備え、押さえ部材が、ケーブルの一端が接続されるコンタクト端子がハウジングに収容される場合、シール用シリンダーの複数の押圧片をシール用チューブとともにハウジング内のケーブルの外周部に向けて押圧するのでケーブル用コネクタ内部への液体の侵入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造の一例が適用されるケーブル用コネクタを分解して示す断面図である。
【図2】図1に示されるケーブル用コネクタが接続された状態で、ケーブル用コネクタを示す正面図である。
【図3】図1に示される例においてその一部を構成するプラグコネクタを示す斜視図である。
【図4】図1に示される例においてその一部を構成するソケットコネクタを示す斜視図である。
【図5】図3に示されるプラグコネクタを分解して示す正面図である。
【図6】図4に示されるソケットコネクタを分解して示す正面図である。
【図7】(A)は、クリップ片がアンロック状態とされるソケットコンタクト端子を示す斜視図であり、(B)は、(A)におけるその中心軸線に沿った断面図である。
【図8】(A)は、クリップ片がロック状態とされるソケットコンタクト端子を示す斜視図であり、(B)は、(A)におけるその中心軸線に沿った断面図である。
【図9】コンタクト/シール用シリンダーの動作説明に供される部分断面図である。
【図10】(A)および(B)は、プラグコネクタの組立における各工程の説明に供される斜視図である。
【図11】ソケットコネクタの組立における工程の説明に供される斜視図である。
【図12】図1に示される例において用いられるプラグコンタクト端子の他の一例を備えるプラグコネクタを分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2は、本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造の一例が適用されたケーブル用コネクタの外観を示す。なお、図2において、ケーブル用コネクタは、後述するソケットコネクタおよびプラグコネクタが接続された状態を示す。
【0018】
図2に示されるケーブル用コネクタは、例えば、太陽光発電用モジュール相互間を接続するケーブルの両端部、あるいは、太陽光発電用モジュールと配電盤との間を接続するケーブルの端部、中継コネクタと太陽光発電用モジュールとの間を接続するケーブルの端部に取付けられるものとされる。
【0019】
図2において、ケーブルCAは、例えば、太陽光モジュール接続用ケーブル(型式KSK−、金子コード社製)とされ、1心の内部導体と、その内部導体を被覆する架橋ポリエチレン絶縁体と、内部導体および架橋ポリエチレン絶縁体を被覆する耐燃性架橋ポリエチレンシースとから構成されている。耐燃性架橋ポリエチレンシースは、例えば、約7mm程度の外径を有している。また、内部導体は、例えば、約2〜3mm程度の外径を有している。
【0020】
図2において、プラグコネクタ10およびソケットコネクタ30は、互いに着脱可能に接続されている。プラグコネクタ10は、図3および図5に示されるように、ケーブルCAの一端の内部導体に接続されるプラグコンタクト端子20と、ケーブルCAの一端が挿入される貫通孔を有しプラグコンタクト端子20を保持する筒状のコンタクト/シール用シリンダー14と、ケーブルCAの一端の外周部とコンタクト/シール用シリンダー14の内周部との間を密封するシール用チューブ16と、シール用チューブ16が内側に挿入されたコンタクト/シール用シリンダー14、および、プラグコンタクト端子20を収容するプラグハウジング18と、プラグハウジング18の雄ねじ部18MSにねじ込まれる雌ねじ部12FSを有しコンタクト/シール用シリンダー14の押圧片14Piをシール用チューブ16に向けて押圧する段付押さえナット部材12と、を主な構成要素として含んで構成されている。
【0021】
プラグコンタクト端子20は、図1に示されるように、例えば、薄板金属材料でプレス加工により一体に成形され、後述するソケットコンタクト端子40の筒状の接触端部44の孔44aに嵌合される中空棒状の接触端部24と、後述するようにケーブルCAの一端の内部導体を選択的に押圧し接続する導体接続部26とを含んで構成されている。接触端部24には、後述するプラグハウジング18の連通部18Cに形成される凹部(不図示)に係合される突起部24Dが形成されている。これにより、プラグコンタクト端子20の接触端部24が連通部18Cに挿入されるとき、その突起部がその凹部に係合することにより、プラグコンタクト端子20の連通部18Cに対する位置決めがなされることとなる。溝形の導体接続部26は、一端が開口し、ケーブルCAの一端の内部導体がその開口端部から挿入される導体収容部を内側に有している。また、導体接続部26は、導体収容部内に挿入されたケーブルCAの一端の内部導体を導体接続部26に対しロック状態またはアンロック状態とするクリップ片28を回動可能に有している。そのロック状態の場合、弾性変位可能な接触片28Pとしてのクリップ片28の一端と導体収容部の表面とで、図1に示されるように、ケーブルCAの一端の内部導体を挟持している。また、操作片としてのクリップ28の他端は、両側部に略T字状に形成される係合部28aを有する。この係合部28aと、導体接続部26における接触端部24側の端部に形成される鉤状部26Kが係合されることで、係合部28aを含むクリップ28の他端は、ロック状態に保持される。従って、半田付け作業、かしめ作業等を要することなく、簡易な作業でプラグコンタクト端子20にケーブルCAの一端を接続することが可能とされる。
【0022】
プラグコンタクト端子20の導体接続部26は、コンタクト/シール用シリンダー14のコンタクト収容部14Aに配されている。導体接続部26は、その相対向する側壁部の各切欠部26Sに(図1参照)、コンタクト収容部14Aを形成する両側壁部にそれぞれ、設けられる爪部26Jが係合する。これにより、コンタクト収容部14Aに固定される。
【0023】
コンタクト/シール用シリンダー14は、例えば、樹脂材料で一体に成形され、図5に示されるように、一端にプラグコンタクト端子20の導体接続部26を収容するコンタクト収容部14Aと、他端に筒状に形成され、その内側に配されるシール用チューブ16を挿入されたケーブルCAの一端部の外周面に向けて押圧する複数の押圧片14Pi(i=1〜6)と、を含んで構成されている。
【0024】
コンタクト収容部14Aは、溝形に形成され軸線方向に沿った両端部が開口している。コンタクト収容部14Aの一方の端部は、複数の押圧片14Piの内側の孔14a(図9参照)に連通している。また、コンタクト収容部14Aの両側部を形成する両壁部には、上述の導体接続部26を保持する爪部が相対向して形成されている。
【0025】
押圧片14Piは、例えば、円周方向に沿って所定の間隔で6箇所に形成されている。各押圧片14Piの一端は、共通の円筒部に一体に形成されている。その共通の円筒部には、Oリング22が挿入される溝14G(図5参照)が形成されている。これにより、後述する段付押さえナット部材12の雌ねじ部12FSとプラグハウジング18の雄ねじ部18MSとを通じて不所望な液体がプラグハウジング18の内部に侵入することが回避される。
【0026】
各押圧片14Piの他端は、図9に部分的に拡大されて示されるように、段付押さえナット部材12の雌ねじ部12FSがプラグハウジング18の雄ねじ部18MSにねじ込まれる場合、段付押さえナット部材12の内周面に向けて隆起する隆起部14Paを有している。隣接する押圧片14Pi相互間には、押圧片14Piが弾性変位可能となるように、隙間が形成されている。なお、押圧片14Piの数量は、斯かる例に限られるものではなく、例えば、2個以上5個以下、あるいは、7個以上であってもよい。
【0027】
また、押圧片14Piの内周部には、図9に部分的に拡大されて示されるように、シール用チューブ16が装着される環状の凹部14bが形成されている。
【0028】
さらに、複数の押圧片14Piのうち相対向する一対の押圧片14Piの隆起部14Paの先端には、それぞれ、一対の係合爪14NAおよび14NBが軸線方向に沿って延在するように一体に形成されている。一対の係合爪14NAおよび14NBは、弾性変位可能とされ、互いに近接または離隔可能とされる。従って、図1に示されるように、一対の係合爪14NAおよび14NBが後述する段付押さえナット部材12の孔12aに挿入される場合、一対の係合爪14NAおよび14NBは、孔12aの内周縁に対し移動可能とされる。
【0029】
その際、一対の係合爪14NAおよび14NBの先端が、孔12aの端部の段差部12Sに係合される場合、コンタクト/シール用シリンダー14が段付押さえナット部材12に対し脱落する虞がないのでケーブルCAの一端部をコンタクト/シール用シリンダー14の孔およびナット部材12の孔に一度に挿入する操作が容易となる。
【0030】
例えば、ゴム材料で筒状に作られるシール用チューブ16の内径は、ケーブルCAの外周部が挿入可能とされるように、ケーブルCAの外径よりも若干大に設定されている。また、シール用チューブ16の外径は、上述のコンタクト/シール用シリンダー14の環状の凹部14bの直径と略同一に設定されている。
【0031】
6角面を外周部に有する段付押さえナット部材12は、例えば、樹脂材料で成形され、中心軸線に沿って貫通する孔12aを有するとともに、一端に雌ねじ部12FSを有している。雌ねじ部12FSは、孔12aの内径よりも若干大なる内径を有し、孔12aの内周面に相対向して形成されている。孔12aにおける雌ねじ部12FS側の端部には、段差部12Sが形成されている。また、段差部12Sと雌ねじ部12FSの一端との間には、図9に示されるように、上述の複数の押圧片14Piの隆起部14Paを押圧する環状の突起部12Dが形成されている。これにより、雌ねじ部12FSがプラグハウジング18の雄ねじ部18MSにねじ込まれる動きにあわせて、突起部12Dによる押圧片14Piおよびシール用チューブ16の押圧が可能となる。
【0032】
プラグハウジング18は、例えば、樹脂材料で成形され、段付押さえナット部材12の雌ねじ部12FSがねじ込まれる雄ねじ部18MSを一端に有している。雄ねじ部18MSは、雌ねじ部12FSに対向するようにプラグハウジング18の外周部に形成されている。プラグハウジングの他端には、後述のソケットコネクタ30のソケットハウジング38の接続端部38Bの末端が挿入される小径部18Bと、接続端部38Bの基端が挿入される大径部18Eとが内側に形成されている。小径部18Bには、プラグコンタクト端子20の接触端部24が軸線方向に沿って突出している。
【0033】
雄ねじ部18MSの内側には、上述のコンタクト/シール用シリンダー14の円筒部およびプラグコンタクト端子20の導体接続部26を収容する導体接続部収容部18Aが形成されている。導体接続部収容部18Aと小径部18Bとの間には、連通部18Cが形成されている。また、大径部18Eの周囲には、ソケットコネクタ30の一対のロック用爪部38NAおよび38NBがそれぞれ、挿入されるスリット18DAおよび18DBが相対向して形成されている。スリット18DAおよび18DBの端部には、それぞれ、孔18daおよび18dbが形成されている。これにより、ソケットコネクタ30とプラグコネクタ10とが接続される場合、孔18daおよび18dbの周縁には、図2に示されるように、一対のロック用爪部38NAおよび38NBの先端が係止される。ソケットコネクタ30とプラグコネクタ10とが引き離される場合、所定の治具(不図示)が孔18daおよび18dbに挿入されることによって、一対のロック用爪部38NAおよび38NBの先端が孔18daおよび18dbの周縁に対し離隔され、非係止状態とされる。
【0034】
斯かる構成において、ケーブルCAの一端が導体接続部26に接続されたプラグコンタクト端子20をプラグハウジング18に組み付けるにあたっては、先ず、シール用チューブ16が装着されたコンタクト/シール用シリンダー14の一対の係合爪14NAおよび14NBが段付押さえナット部材12の孔12aに挿入される。これにより、コンタクト/シール用シリンダー14と段付押さえナット部材12とが組み合わされ、一つの部品とされる。次に、図10(A)に示されるように、プラグコンタクト端子20の導体接続部26がコンタクト/シール用シリンダー14のコンタクト収容部14Aに固定される。続いて、図10(A)に示される矢印の示す方向に沿って、ケーブルCAの一端の内部導体が、プラグコンタクト端子20側から段付押さえナット部材12の孔12a,シール用チューブ16の孔、および、コンタクト/シール用シリンダー14の孔14aを通じて、クリップ片28がアンロック状態で、導体接続部26に挿入された後、クリップ片28がロック状態とされる。図10(A)は、クリップ片28のアンロック状態を示す。続いて、図10(B)に示される矢印の示す方向に沿って、ケーブルCAが把持された状態で、ケーブルCAの一端に接続されたプラグコンタクト端子20が、プラグハウジング18の導体接続部収容部18A、連通部18Cを通じて挿入される。これにより、図1に示されるように、プラグコンタクト端子20の接触端部24が小径部18Bに突出することとなる。そして、段付押さえナット部材12の雌ねじ部12FSがプラグハウジング18の雄ねじ部18MSにねじ込まれ、その組み付けが終了する。これにより、図9に拡大されて示されるように、段付押さえナット部材12の内周部の環状の突起部12Dが、コンタクト/シール用シリンダー14の各押圧片14Piの隆起部14Paを押圧するのでシール用チューブ16の内周部がケーブルCAの外周部に密着せしめられるとともに、シール用チューブ16の外周部が凹部14bを形成する内周面に密着される。従って、不所望な外部からの液体がケーブルCAの外周部を伝わってプラグハウジング18内に侵入することがシール用チューブ16により防止される。
【0035】
一方、ソケットコネクタ30は、図4および図6に示されるように、ケーブルCAの一端の内部導体に接続されるソケットコンタクト端子40と(図7(A),(B)、図8(A),(B)参照)、ケーブルCAの一端が挿入される貫通孔を有しソケットコンタクト端子40を保持する筒状のコンタクト/シール用シリンダー14と、ケーブルCAの一端の外周部とコンタクト/シール用シリンダー14の内周部との間を密封するシール用チューブ16と、シール用チューブ16が内側に挿入されたコンタクト/シール用シリンダー14、および、ソケットコンタクト端子40を収容するソケットハウジング38と、ソケットハウジング38の雄ねじ部38MSにねじ込まれる雌ねじ部32FSを有しコンタクト/シール用シリンダー14の押圧片14Piをシール用チューブ16に向けて押圧する段付押さえナット部材32と、を主な構成要素として含んで構成されている。
【0036】
ソケットコンタクト端子40は、図7(A),(B)、および、図8(A),(B)に示されるように、例えば、薄板金属材料でプレス加工により一体に成形され、上述のプラグコンタクト端子20の筒状の接触端部24が嵌合される孔44aを有する円筒状の接触端部44と、ケーブルCAの一端の内部導体を選択的に押圧し接続する導体接続部46とを含んで構成されている。接触端部44の外周部には、後述するソケットハウジング38の連通部38Cに形成される凹部(不図示)に係合される突起部44Dが形成されている。
【0037】
これにより、ソケットコンタクト端子40の接触端部44が連通部38Cに挿入されるとき、その突起部がその凹部に係合することにより、ソケットコンタクト端子40の連通部38Cに対する位置決めがなされることとなる。
【0038】
接触端部44の内周部には、密着用スリーブ34が嵌合されている。
【0039】
溝形の導体接続部46は、一端が開口し、ケーブルCAの一端の内部導体がその開口端部から挿入される導体収容部を内側に有している。また、導体接続部46は、導体収容部内に挿入されたケーブルCAの一端の内部導体を導体接続部46に対しロック状態またはアンロック状態とするクリップ片42を回動可能に有している。そのロック状態の場合、弾性変位可能な接触片42Pとしてのクリップ片42の一端と導体収容部の表面とにより、図8(A)および(B)に示されるように、ケーブルCAの一端の内部導体を挟持している。また、操作片としてのクリップ42の他端は、両側部に略T字状に形成される係合部42aを有する。この係合部42aと、導体接続部46における接触端部44側の端部に形成される鉤状部46Kとが係合されることで、係合部28aを含むクリップ28の他端は、ロック状態に保持される。従って、半田付け作業、かしめ作業等を要することなくソケットコンタクト端子40にケーブルCAの一端を接続することが可能とされる。なお、図7(A)および(B)は、クリップ片42のアンロック状態を示す。
【0040】
ソケットコンタクト端子40の導体接続部46は、コンタクト/シール用シリンダー14のコンタクト収容部14Aに配されている。導体接続部46は、その相対向する側壁部の各切欠部46Sに、コンタクト収容部14Aを形成する両側壁部にそれぞれ、設けられる爪部46Jが係合する。これにより、コンタクト収容部14Aに固定される。
【0041】
6角面を外周部に有する段付押さえナット部材32は、例えば、樹脂材料で成形され、中心軸線に沿って貫通する孔32aを有するとともに、一端に雌ねじ部32FSを有している。雌ねじ部32FSは、孔32aの内径よりも若干大なる内径を有し、孔32aの内周面に相対向して形成されている。孔32aにおける雌ねじ部32FS側の端部には、段差部32Sが形成されている。また、段差部32Sと雌ねじ部32FSの一端との間には、図1に示されるように、上述の複数の押圧片14Piの隆起部14Paを押圧する環状の突起部32Dが形成されている。これにより、雌ねじ部32FSがソケットハウジング38の雄ねじ部38MSにねじ込まれる動きにあわせて、突起部12Dによる押圧片14Piおよびシール用チューブ16の押圧が可能となる。
【0042】
プラグハウジング38は、例えば、樹脂材料で成形され、段付押さえナット部材32の雌ねじ部32FSがねじ込まれる雄ねじ部38MSを一端に有している。雄ねじ部38MSは、雌ねじ部32FSに対向するようにソケットハウジング38の外周部に形成されている。ソケットハウジング38は、接続端部38Bを他端に有している。接続端部38Bは、他端から軸線方向に沿ってプラグコネクタ10のプラグハウジング18に向けて突出している。ソケットコネクタ30がプラグコネクタ10に対し接続される場合、接続端部38Bは、上述のプラグコネクタ10のプラグハウジング18の小径部18Bに挿入される。また、接続端部38Bの基端は、プラグハウジング18の大径部18Eに挿入される。その基端の外周部には、Oリング36が配される溝が形成されている。これにより、プラグハウジング18の端面と当接するソケットハウジング38の端面を通じて外部から内部への液体の侵入が、Oリング36により回避される。
【0043】
Oリング36の周辺には、一対のロック用爪部38NAおよび38NBが、接続端部38Bに対し略平行に形成されている。一対のロック用爪部38NAおよび38NBは、上述したように、プラグハウジング18のスリット18DAおよび18DB内に挿入される。
【0044】
接続端部38B内には、ソケットコンタクト端子40の接触端部44が挿入される孔が形成されている。また、その孔の一端には、プラグコンタクト端子20の接触端部24が通過する孔38bが形成されている。
【0045】
雄ねじ部38MSの内側には、上述のコンタクト/シール用シリンダー14の円筒部およびソケットコンタクト端子40の導体接続部46を収容する導体接続部収容部38Aが形成されている。導体接続部収容部38Aと接続端部38Bの孔との間には、連通部38Cが形成されている。
【0046】
斯かる構成において、ケーブルCAの一端が導体接続部46に接続されたソケットコンタクト端子40をソケットハウジング38に組み付けるにあたっては、先ず、シール用チューブ16が装着されたコンタクト/シール用シリンダー14の一対の係合爪14NAおよび14NBが、段付押さえナット部材32の孔32aに挿入される。これにより、コンタクト/シール用シリンダー14と段付押さえナット部材32とが組み合わされ、一つの部品とされる。次に、図11に示されるように、ソケットコンタクト端子40の導体接続部46がコンタクト/シール用シリンダー14のコンタクト収容部14Aに固定される。続いて、図11に示される矢印の示す方向に沿って、ケーブルCAの一端の内部導体が、ソケットコンタクト端子40側から段付押さえナット部材32の孔32a,シール用チューブ16の孔、および、コンタクト/シール用シリンダー14の孔14aを通じて、クリップ片42がアンロック状態で、導体接続部46に挿入された後、クリップ片42がロック状態とされる。続いて、図11に示される矢印の示す方向に沿って、ケーブルCAが把持された状態で、ケーブルCAの一端に接続されたソケットコンタクト端子40が、ソケットハウジング38の導体接続部収容部38A、連通部38Cを通じて挿入される。これにより、図1に示されるように、ソケットコンタクト端子40の接触端部44が接続端部38Bの内周部に突出することとなる。
【0047】
そして、段付押さえナット部材32の雌ねじ部32FSがソケットハウジング38の雄ねじ部38MSにねじ込まれ、その組み付けが終了する。これにより、段付押さえナット部材32の内周部の環状の突起部32Dが、コンタクト/シール用シリンダー14の各押圧片14Piの隆起部14Paを押圧するのでシール用チューブ16の内周部がケーブルCAの外周部に密着せしめられるとともに、シール用チューブ16の外周部が凹部14bを形成する内周面に密着される。従って、不所望な外部からの液体がケーブルCAの外周部を伝わってソケットハウジング38内に侵入することがシール用チューブ16により防止される。
【0048】
なお、上述の例においては、ソケットコンタクト端子40およびプラグコンタクト端子20は、それぞれ、クリップ片42および28を有するものとされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、図12に示されるように、プラグコンタクト端子50がケーブルCAの端部の内部導体が圧着により接続される導体接続部56と、接触端部54とを備える構成であってもよい。このような場合、図12において、上述のコンタクト/シール用シリンダー14と類似したシール用シリンダー14‘は、例えば、樹脂材料で一体に筒状に成形され、その内側に配されるシール用チューブ16を挿入されたケーブルCAの一端部の外周面に向けて押圧する複数の押圧片を含んで構成されている。即ち、シール用シリンダー14‘は、コンタクト/シール用シリンダー14のようなコンタクト収容部14Aを必要としない構成とされる。シール用シリンダー14‘における複数の押圧片のうち相対向する一対の押圧片の隆起部の先端には、それぞれ、一対の係合爪が軸線方向に沿って延在するように一体に形成されている。なお、図12において、図5に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付してその重複説明を省略する。同様に、図示が省略されるが、ソケットコンタクト端子がケーブルCAの端部の内部導体が圧着により接続される導体接続部と、接触端部とを備える構成であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 プラグコネクタ
12、32 段付押さえナット部材
14 コンタクト/シール用シリンダー
14NA、14NB 係合爪
14Pi 押圧片
14A コンタクト収容部
16 シール用チューブ
18 プラグハウジング
20、50 プラグコンタクト端子
30 ソケットコネクタ
38 ソケットハウジング
40 ソケットコンタクト端子
CA ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電用モジュール相互間、および、太陽光発電用モジュールと配電盤との間においては、一般に、その相互間を電気的に接続する防水型のケーブル用コネクタが実用に供されている。そのようなケーブル用コネクタは、例えば、特許文献1にも示されるように、コンタクト端子としての雄型端子金具と、その雄型端子金具の電線圧着部およびケーブルの絶縁外皮を覆う封止チューブと、そのケーブルの一端にモールドにより結合されるハウジングとを含んで構成されている。
【0003】
熱収縮性の合成樹脂で成形された筒状の封止チューブの一端は、ケーブルの絶縁外皮の端末に接着され、また、封止チューブの他端は、雄型端子金具の電線圧着部に接着されている。これにより、ケーブルの絶縁外皮の端末および雄型端子金具の電線圧着部が、封止チューブにより封止されることとなる。
【0004】
さらに、封止チューブにより封止されたケーブルの絶縁外皮の端末および雄型端子金具の電線圧着部は、モールドにより、上述のハウジングの内部に埋め込まれている。従って、外部の雨水等の液体がケーブルの絶縁外皮を伝わってハウジング内の雄型端子金具および電線圧着部へ侵入することが防止されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−298656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなケーブル用コネクタを用いて太陽光発電用モジュールの設置工事を行うにあたっては、例えば、所定の長さに設定されたケーブルの端部に上述のコネクタが接続されたものが予め準備されるもとで、その設置工事が実施されることとなる。
【0007】
しかしながら、設置工事において、現場で太陽光発電用モジュールの設置位置の変更等により、必要なケーブルの長さが、やむを得ず変更される場合がある。このような場合、上述のケーブル用コネクタにおいては、変更された長さのケーブルの端部に上述のコネクタが接続されたものをモールドによって作製する必要がある。従って、現場ではケーブルの端部に上述のコネクタが接続されたものを作製することは、困難となるので設置工事が新たなケーブルが準備されるまで中断するという問題を生じる。
【0008】
以上の問題点を考慮し、本発明は、ケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタであって、モールド成形を要することなくケーブルの端部にケーブル用コネクタを容易に取付けることができ、しかも、ケーブル用コネクタ内部への液体の侵入を確実に防止することができるケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造は、ケーブルの一端が接続されたコンタクト端子を着脱可能に収容するハウジングと、ハウジング内に配され、ハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、ケーブルの一端が接続されたコンタクト端子がハウジングに収容される場合、シール用シリンダーの複数の押圧片をシール用チューブとともにハウジング内のケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造は、シール用シリンダーの各押圧片には、押さえ部材の内周部に向けて隆起する隆起部が形成され、押さえ部材の内周部には、各押圧片の隆起部を押圧する突起部が形成されてもよい。
【0011】
さらに、本発明に係るプラグコネクタは、ケーブルの一端が接続された棒状の接触端部を有するプラグコンタクト端子を着脱可能に収容するプラグハウジングと、プラグハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブと、プラグハウジング内に配され、シール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、ケーブルの一端が接続されたプラグコンタクト端子がプラグハウジングに収容される場合、シール用シリンダーの複数の押圧片をシール用チューブとともにプラグハウジング内のケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とする。
【0012】
さらにまた、本発明に係るソケットコネクタは、ケーブルの一端が接続された円筒状の接触端部を有するソケットコンタクト端子を着脱可能に収容するソケットハウジングと、ソケットハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブと、ソケットハウジング内に配され、シール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、ケーブルの一端が接続されたソケットコンタクト端子がソケットハウジングに収容される場合、シール用シリンダーの複数の押圧片をシール用チューブとともにソケットハウジング内のケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とする。
【0013】
そして、本発明に係るケーブル用コネクタは、上述のプラグコネクタと、上述のソケットコネクタと、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造、それを用いたプラグコネクタ、ソケットコネクタ、および、ケーブル用コネクタによれば、ハウジングは、ケーブルの一端が接続されるコンタクト端子を着脱可能に収容するのでモールド成形を要することなくケーブルの端部にケーブル用コネクタを容易に取付けることができる。
【0015】
また、ハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブを、複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーを備え、押さえ部材が、ケーブルの一端が接続されるコンタクト端子がハウジングに収容される場合、シール用シリンダーの複数の押圧片をシール用チューブとともにハウジング内のケーブルの外周部に向けて押圧するのでケーブル用コネクタ内部への液体の侵入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造の一例が適用されるケーブル用コネクタを分解して示す断面図である。
【図2】図1に示されるケーブル用コネクタが接続された状態で、ケーブル用コネクタを示す正面図である。
【図3】図1に示される例においてその一部を構成するプラグコネクタを示す斜視図である。
【図4】図1に示される例においてその一部を構成するソケットコネクタを示す斜視図である。
【図5】図3に示されるプラグコネクタを分解して示す正面図である。
【図6】図4に示されるソケットコネクタを分解して示す正面図である。
【図7】(A)は、クリップ片がアンロック状態とされるソケットコンタクト端子を示す斜視図であり、(B)は、(A)におけるその中心軸線に沿った断面図である。
【図8】(A)は、クリップ片がロック状態とされるソケットコンタクト端子を示す斜視図であり、(B)は、(A)におけるその中心軸線に沿った断面図である。
【図9】コンタクト/シール用シリンダーの動作説明に供される部分断面図である。
【図10】(A)および(B)は、プラグコネクタの組立における各工程の説明に供される斜視図である。
【図11】ソケットコネクタの組立における工程の説明に供される斜視図である。
【図12】図1に示される例において用いられるプラグコンタクト端子の他の一例を備えるプラグコネクタを分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2は、本発明に係るケーブル用コネクタの防水構造の一例が適用されたケーブル用コネクタの外観を示す。なお、図2において、ケーブル用コネクタは、後述するソケットコネクタおよびプラグコネクタが接続された状態を示す。
【0018】
図2に示されるケーブル用コネクタは、例えば、太陽光発電用モジュール相互間を接続するケーブルの両端部、あるいは、太陽光発電用モジュールと配電盤との間を接続するケーブルの端部、中継コネクタと太陽光発電用モジュールとの間を接続するケーブルの端部に取付けられるものとされる。
【0019】
図2において、ケーブルCAは、例えば、太陽光モジュール接続用ケーブル(型式KSK−、金子コード社製)とされ、1心の内部導体と、その内部導体を被覆する架橋ポリエチレン絶縁体と、内部導体および架橋ポリエチレン絶縁体を被覆する耐燃性架橋ポリエチレンシースとから構成されている。耐燃性架橋ポリエチレンシースは、例えば、約7mm程度の外径を有している。また、内部導体は、例えば、約2〜3mm程度の外径を有している。
【0020】
図2において、プラグコネクタ10およびソケットコネクタ30は、互いに着脱可能に接続されている。プラグコネクタ10は、図3および図5に示されるように、ケーブルCAの一端の内部導体に接続されるプラグコンタクト端子20と、ケーブルCAの一端が挿入される貫通孔を有しプラグコンタクト端子20を保持する筒状のコンタクト/シール用シリンダー14と、ケーブルCAの一端の外周部とコンタクト/シール用シリンダー14の内周部との間を密封するシール用チューブ16と、シール用チューブ16が内側に挿入されたコンタクト/シール用シリンダー14、および、プラグコンタクト端子20を収容するプラグハウジング18と、プラグハウジング18の雄ねじ部18MSにねじ込まれる雌ねじ部12FSを有しコンタクト/シール用シリンダー14の押圧片14Piをシール用チューブ16に向けて押圧する段付押さえナット部材12と、を主な構成要素として含んで構成されている。
【0021】
プラグコンタクト端子20は、図1に示されるように、例えば、薄板金属材料でプレス加工により一体に成形され、後述するソケットコンタクト端子40の筒状の接触端部44の孔44aに嵌合される中空棒状の接触端部24と、後述するようにケーブルCAの一端の内部導体を選択的に押圧し接続する導体接続部26とを含んで構成されている。接触端部24には、後述するプラグハウジング18の連通部18Cに形成される凹部(不図示)に係合される突起部24Dが形成されている。これにより、プラグコンタクト端子20の接触端部24が連通部18Cに挿入されるとき、その突起部がその凹部に係合することにより、プラグコンタクト端子20の連通部18Cに対する位置決めがなされることとなる。溝形の導体接続部26は、一端が開口し、ケーブルCAの一端の内部導体がその開口端部から挿入される導体収容部を内側に有している。また、導体接続部26は、導体収容部内に挿入されたケーブルCAの一端の内部導体を導体接続部26に対しロック状態またはアンロック状態とするクリップ片28を回動可能に有している。そのロック状態の場合、弾性変位可能な接触片28Pとしてのクリップ片28の一端と導体収容部の表面とで、図1に示されるように、ケーブルCAの一端の内部導体を挟持している。また、操作片としてのクリップ28の他端は、両側部に略T字状に形成される係合部28aを有する。この係合部28aと、導体接続部26における接触端部24側の端部に形成される鉤状部26Kが係合されることで、係合部28aを含むクリップ28の他端は、ロック状態に保持される。従って、半田付け作業、かしめ作業等を要することなく、簡易な作業でプラグコンタクト端子20にケーブルCAの一端を接続することが可能とされる。
【0022】
プラグコンタクト端子20の導体接続部26は、コンタクト/シール用シリンダー14のコンタクト収容部14Aに配されている。導体接続部26は、その相対向する側壁部の各切欠部26Sに(図1参照)、コンタクト収容部14Aを形成する両側壁部にそれぞれ、設けられる爪部26Jが係合する。これにより、コンタクト収容部14Aに固定される。
【0023】
コンタクト/シール用シリンダー14は、例えば、樹脂材料で一体に成形され、図5に示されるように、一端にプラグコンタクト端子20の導体接続部26を収容するコンタクト収容部14Aと、他端に筒状に形成され、その内側に配されるシール用チューブ16を挿入されたケーブルCAの一端部の外周面に向けて押圧する複数の押圧片14Pi(i=1〜6)と、を含んで構成されている。
【0024】
コンタクト収容部14Aは、溝形に形成され軸線方向に沿った両端部が開口している。コンタクト収容部14Aの一方の端部は、複数の押圧片14Piの内側の孔14a(図9参照)に連通している。また、コンタクト収容部14Aの両側部を形成する両壁部には、上述の導体接続部26を保持する爪部が相対向して形成されている。
【0025】
押圧片14Piは、例えば、円周方向に沿って所定の間隔で6箇所に形成されている。各押圧片14Piの一端は、共通の円筒部に一体に形成されている。その共通の円筒部には、Oリング22が挿入される溝14G(図5参照)が形成されている。これにより、後述する段付押さえナット部材12の雌ねじ部12FSとプラグハウジング18の雄ねじ部18MSとを通じて不所望な液体がプラグハウジング18の内部に侵入することが回避される。
【0026】
各押圧片14Piの他端は、図9に部分的に拡大されて示されるように、段付押さえナット部材12の雌ねじ部12FSがプラグハウジング18の雄ねじ部18MSにねじ込まれる場合、段付押さえナット部材12の内周面に向けて隆起する隆起部14Paを有している。隣接する押圧片14Pi相互間には、押圧片14Piが弾性変位可能となるように、隙間が形成されている。なお、押圧片14Piの数量は、斯かる例に限られるものではなく、例えば、2個以上5個以下、あるいは、7個以上であってもよい。
【0027】
また、押圧片14Piの内周部には、図9に部分的に拡大されて示されるように、シール用チューブ16が装着される環状の凹部14bが形成されている。
【0028】
さらに、複数の押圧片14Piのうち相対向する一対の押圧片14Piの隆起部14Paの先端には、それぞれ、一対の係合爪14NAおよび14NBが軸線方向に沿って延在するように一体に形成されている。一対の係合爪14NAおよび14NBは、弾性変位可能とされ、互いに近接または離隔可能とされる。従って、図1に示されるように、一対の係合爪14NAおよび14NBが後述する段付押さえナット部材12の孔12aに挿入される場合、一対の係合爪14NAおよび14NBは、孔12aの内周縁に対し移動可能とされる。
【0029】
その際、一対の係合爪14NAおよび14NBの先端が、孔12aの端部の段差部12Sに係合される場合、コンタクト/シール用シリンダー14が段付押さえナット部材12に対し脱落する虞がないのでケーブルCAの一端部をコンタクト/シール用シリンダー14の孔およびナット部材12の孔に一度に挿入する操作が容易となる。
【0030】
例えば、ゴム材料で筒状に作られるシール用チューブ16の内径は、ケーブルCAの外周部が挿入可能とされるように、ケーブルCAの外径よりも若干大に設定されている。また、シール用チューブ16の外径は、上述のコンタクト/シール用シリンダー14の環状の凹部14bの直径と略同一に設定されている。
【0031】
6角面を外周部に有する段付押さえナット部材12は、例えば、樹脂材料で成形され、中心軸線に沿って貫通する孔12aを有するとともに、一端に雌ねじ部12FSを有している。雌ねじ部12FSは、孔12aの内径よりも若干大なる内径を有し、孔12aの内周面に相対向して形成されている。孔12aにおける雌ねじ部12FS側の端部には、段差部12Sが形成されている。また、段差部12Sと雌ねじ部12FSの一端との間には、図9に示されるように、上述の複数の押圧片14Piの隆起部14Paを押圧する環状の突起部12Dが形成されている。これにより、雌ねじ部12FSがプラグハウジング18の雄ねじ部18MSにねじ込まれる動きにあわせて、突起部12Dによる押圧片14Piおよびシール用チューブ16の押圧が可能となる。
【0032】
プラグハウジング18は、例えば、樹脂材料で成形され、段付押さえナット部材12の雌ねじ部12FSがねじ込まれる雄ねじ部18MSを一端に有している。雄ねじ部18MSは、雌ねじ部12FSに対向するようにプラグハウジング18の外周部に形成されている。プラグハウジングの他端には、後述のソケットコネクタ30のソケットハウジング38の接続端部38Bの末端が挿入される小径部18Bと、接続端部38Bの基端が挿入される大径部18Eとが内側に形成されている。小径部18Bには、プラグコンタクト端子20の接触端部24が軸線方向に沿って突出している。
【0033】
雄ねじ部18MSの内側には、上述のコンタクト/シール用シリンダー14の円筒部およびプラグコンタクト端子20の導体接続部26を収容する導体接続部収容部18Aが形成されている。導体接続部収容部18Aと小径部18Bとの間には、連通部18Cが形成されている。また、大径部18Eの周囲には、ソケットコネクタ30の一対のロック用爪部38NAおよび38NBがそれぞれ、挿入されるスリット18DAおよび18DBが相対向して形成されている。スリット18DAおよび18DBの端部には、それぞれ、孔18daおよび18dbが形成されている。これにより、ソケットコネクタ30とプラグコネクタ10とが接続される場合、孔18daおよび18dbの周縁には、図2に示されるように、一対のロック用爪部38NAおよび38NBの先端が係止される。ソケットコネクタ30とプラグコネクタ10とが引き離される場合、所定の治具(不図示)が孔18daおよび18dbに挿入されることによって、一対のロック用爪部38NAおよび38NBの先端が孔18daおよび18dbの周縁に対し離隔され、非係止状態とされる。
【0034】
斯かる構成において、ケーブルCAの一端が導体接続部26に接続されたプラグコンタクト端子20をプラグハウジング18に組み付けるにあたっては、先ず、シール用チューブ16が装着されたコンタクト/シール用シリンダー14の一対の係合爪14NAおよび14NBが段付押さえナット部材12の孔12aに挿入される。これにより、コンタクト/シール用シリンダー14と段付押さえナット部材12とが組み合わされ、一つの部品とされる。次に、図10(A)に示されるように、プラグコンタクト端子20の導体接続部26がコンタクト/シール用シリンダー14のコンタクト収容部14Aに固定される。続いて、図10(A)に示される矢印の示す方向に沿って、ケーブルCAの一端の内部導体が、プラグコンタクト端子20側から段付押さえナット部材12の孔12a,シール用チューブ16の孔、および、コンタクト/シール用シリンダー14の孔14aを通じて、クリップ片28がアンロック状態で、導体接続部26に挿入された後、クリップ片28がロック状態とされる。図10(A)は、クリップ片28のアンロック状態を示す。続いて、図10(B)に示される矢印の示す方向に沿って、ケーブルCAが把持された状態で、ケーブルCAの一端に接続されたプラグコンタクト端子20が、プラグハウジング18の導体接続部収容部18A、連通部18Cを通じて挿入される。これにより、図1に示されるように、プラグコンタクト端子20の接触端部24が小径部18Bに突出することとなる。そして、段付押さえナット部材12の雌ねじ部12FSがプラグハウジング18の雄ねじ部18MSにねじ込まれ、その組み付けが終了する。これにより、図9に拡大されて示されるように、段付押さえナット部材12の内周部の環状の突起部12Dが、コンタクト/シール用シリンダー14の各押圧片14Piの隆起部14Paを押圧するのでシール用チューブ16の内周部がケーブルCAの外周部に密着せしめられるとともに、シール用チューブ16の外周部が凹部14bを形成する内周面に密着される。従って、不所望な外部からの液体がケーブルCAの外周部を伝わってプラグハウジング18内に侵入することがシール用チューブ16により防止される。
【0035】
一方、ソケットコネクタ30は、図4および図6に示されるように、ケーブルCAの一端の内部導体に接続されるソケットコンタクト端子40と(図7(A),(B)、図8(A),(B)参照)、ケーブルCAの一端が挿入される貫通孔を有しソケットコンタクト端子40を保持する筒状のコンタクト/シール用シリンダー14と、ケーブルCAの一端の外周部とコンタクト/シール用シリンダー14の内周部との間を密封するシール用チューブ16と、シール用チューブ16が内側に挿入されたコンタクト/シール用シリンダー14、および、ソケットコンタクト端子40を収容するソケットハウジング38と、ソケットハウジング38の雄ねじ部38MSにねじ込まれる雌ねじ部32FSを有しコンタクト/シール用シリンダー14の押圧片14Piをシール用チューブ16に向けて押圧する段付押さえナット部材32と、を主な構成要素として含んで構成されている。
【0036】
ソケットコンタクト端子40は、図7(A),(B)、および、図8(A),(B)に示されるように、例えば、薄板金属材料でプレス加工により一体に成形され、上述のプラグコンタクト端子20の筒状の接触端部24が嵌合される孔44aを有する円筒状の接触端部44と、ケーブルCAの一端の内部導体を選択的に押圧し接続する導体接続部46とを含んで構成されている。接触端部44の外周部には、後述するソケットハウジング38の連通部38Cに形成される凹部(不図示)に係合される突起部44Dが形成されている。
【0037】
これにより、ソケットコンタクト端子40の接触端部44が連通部38Cに挿入されるとき、その突起部がその凹部に係合することにより、ソケットコンタクト端子40の連通部38Cに対する位置決めがなされることとなる。
【0038】
接触端部44の内周部には、密着用スリーブ34が嵌合されている。
【0039】
溝形の導体接続部46は、一端が開口し、ケーブルCAの一端の内部導体がその開口端部から挿入される導体収容部を内側に有している。また、導体接続部46は、導体収容部内に挿入されたケーブルCAの一端の内部導体を導体接続部46に対しロック状態またはアンロック状態とするクリップ片42を回動可能に有している。そのロック状態の場合、弾性変位可能な接触片42Pとしてのクリップ片42の一端と導体収容部の表面とにより、図8(A)および(B)に示されるように、ケーブルCAの一端の内部導体を挟持している。また、操作片としてのクリップ42の他端は、両側部に略T字状に形成される係合部42aを有する。この係合部42aと、導体接続部46における接触端部44側の端部に形成される鉤状部46Kとが係合されることで、係合部28aを含むクリップ28の他端は、ロック状態に保持される。従って、半田付け作業、かしめ作業等を要することなくソケットコンタクト端子40にケーブルCAの一端を接続することが可能とされる。なお、図7(A)および(B)は、クリップ片42のアンロック状態を示す。
【0040】
ソケットコンタクト端子40の導体接続部46は、コンタクト/シール用シリンダー14のコンタクト収容部14Aに配されている。導体接続部46は、その相対向する側壁部の各切欠部46Sに、コンタクト収容部14Aを形成する両側壁部にそれぞれ、設けられる爪部46Jが係合する。これにより、コンタクト収容部14Aに固定される。
【0041】
6角面を外周部に有する段付押さえナット部材32は、例えば、樹脂材料で成形され、中心軸線に沿って貫通する孔32aを有するとともに、一端に雌ねじ部32FSを有している。雌ねじ部32FSは、孔32aの内径よりも若干大なる内径を有し、孔32aの内周面に相対向して形成されている。孔32aにおける雌ねじ部32FS側の端部には、段差部32Sが形成されている。また、段差部32Sと雌ねじ部32FSの一端との間には、図1に示されるように、上述の複数の押圧片14Piの隆起部14Paを押圧する環状の突起部32Dが形成されている。これにより、雌ねじ部32FSがソケットハウジング38の雄ねじ部38MSにねじ込まれる動きにあわせて、突起部12Dによる押圧片14Piおよびシール用チューブ16の押圧が可能となる。
【0042】
プラグハウジング38は、例えば、樹脂材料で成形され、段付押さえナット部材32の雌ねじ部32FSがねじ込まれる雄ねじ部38MSを一端に有している。雄ねじ部38MSは、雌ねじ部32FSに対向するようにソケットハウジング38の外周部に形成されている。ソケットハウジング38は、接続端部38Bを他端に有している。接続端部38Bは、他端から軸線方向に沿ってプラグコネクタ10のプラグハウジング18に向けて突出している。ソケットコネクタ30がプラグコネクタ10に対し接続される場合、接続端部38Bは、上述のプラグコネクタ10のプラグハウジング18の小径部18Bに挿入される。また、接続端部38Bの基端は、プラグハウジング18の大径部18Eに挿入される。その基端の外周部には、Oリング36が配される溝が形成されている。これにより、プラグハウジング18の端面と当接するソケットハウジング38の端面を通じて外部から内部への液体の侵入が、Oリング36により回避される。
【0043】
Oリング36の周辺には、一対のロック用爪部38NAおよび38NBが、接続端部38Bに対し略平行に形成されている。一対のロック用爪部38NAおよび38NBは、上述したように、プラグハウジング18のスリット18DAおよび18DB内に挿入される。
【0044】
接続端部38B内には、ソケットコンタクト端子40の接触端部44が挿入される孔が形成されている。また、その孔の一端には、プラグコンタクト端子20の接触端部24が通過する孔38bが形成されている。
【0045】
雄ねじ部38MSの内側には、上述のコンタクト/シール用シリンダー14の円筒部およびソケットコンタクト端子40の導体接続部46を収容する導体接続部収容部38Aが形成されている。導体接続部収容部38Aと接続端部38Bの孔との間には、連通部38Cが形成されている。
【0046】
斯かる構成において、ケーブルCAの一端が導体接続部46に接続されたソケットコンタクト端子40をソケットハウジング38に組み付けるにあたっては、先ず、シール用チューブ16が装着されたコンタクト/シール用シリンダー14の一対の係合爪14NAおよび14NBが、段付押さえナット部材32の孔32aに挿入される。これにより、コンタクト/シール用シリンダー14と段付押さえナット部材32とが組み合わされ、一つの部品とされる。次に、図11に示されるように、ソケットコンタクト端子40の導体接続部46がコンタクト/シール用シリンダー14のコンタクト収容部14Aに固定される。続いて、図11に示される矢印の示す方向に沿って、ケーブルCAの一端の内部導体が、ソケットコンタクト端子40側から段付押さえナット部材32の孔32a,シール用チューブ16の孔、および、コンタクト/シール用シリンダー14の孔14aを通じて、クリップ片42がアンロック状態で、導体接続部46に挿入された後、クリップ片42がロック状態とされる。続いて、図11に示される矢印の示す方向に沿って、ケーブルCAが把持された状態で、ケーブルCAの一端に接続されたソケットコンタクト端子40が、ソケットハウジング38の導体接続部収容部38A、連通部38Cを通じて挿入される。これにより、図1に示されるように、ソケットコンタクト端子40の接触端部44が接続端部38Bの内周部に突出することとなる。
【0047】
そして、段付押さえナット部材32の雌ねじ部32FSがソケットハウジング38の雄ねじ部38MSにねじ込まれ、その組み付けが終了する。これにより、段付押さえナット部材32の内周部の環状の突起部32Dが、コンタクト/シール用シリンダー14の各押圧片14Piの隆起部14Paを押圧するのでシール用チューブ16の内周部がケーブルCAの外周部に密着せしめられるとともに、シール用チューブ16の外周部が凹部14bを形成する内周面に密着される。従って、不所望な外部からの液体がケーブルCAの外周部を伝わってソケットハウジング38内に侵入することがシール用チューブ16により防止される。
【0048】
なお、上述の例においては、ソケットコンタクト端子40およびプラグコンタクト端子20は、それぞれ、クリップ片42および28を有するものとされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、図12に示されるように、プラグコンタクト端子50がケーブルCAの端部の内部導体が圧着により接続される導体接続部56と、接触端部54とを備える構成であってもよい。このような場合、図12において、上述のコンタクト/シール用シリンダー14と類似したシール用シリンダー14‘は、例えば、樹脂材料で一体に筒状に成形され、その内側に配されるシール用チューブ16を挿入されたケーブルCAの一端部の外周面に向けて押圧する複数の押圧片を含んで構成されている。即ち、シール用シリンダー14‘は、コンタクト/シール用シリンダー14のようなコンタクト収容部14Aを必要としない構成とされる。シール用シリンダー14‘における複数の押圧片のうち相対向する一対の押圧片の隆起部の先端には、それぞれ、一対の係合爪が軸線方向に沿って延在するように一体に形成されている。なお、図12において、図5に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付してその重複説明を省略する。同様に、図示が省略されるが、ソケットコンタクト端子がケーブルCAの端部の内部導体が圧着により接続される導体接続部と、接触端部とを備える構成であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 プラグコネクタ
12、32 段付押さえナット部材
14 コンタクト/シール用シリンダー
14NA、14NB 係合爪
14Pi 押圧片
14A コンタクト収容部
16 シール用チューブ
18 プラグハウジング
20、50 プラグコンタクト端子
30 ソケットコネクタ
38 ソケットハウジング
40 ソケットコンタクト端子
CA ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの一端が接続されたコンタクト端子を着脱可能に収容するハウジングと、
前記ハウジング内に配され、該ハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、
前記ケーブルの一端が接続されたコンタクト端子が前記ハウジングに収容される場合、前記シール用シリンダーの複数の押圧片を前記シール用チューブとともに該ハウジング内の該ケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、
前記シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、前記押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とするケーブル用コネクタの防水構造。
【請求項2】
前記シール用シリンダーの各押圧片には、前記押さえ部材の内周部に向けて隆起する隆起部が形成され、前記押さえ部材の内周部には、各押圧片の前記隆起部を押圧する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル用コネクタの防水構造。
【請求項3】
前記シール用シリンダーは、前記コンタクト端子を収容するコンタクト収容部を有し、
前記コンタクト端子は、前記ケーブルの内部導体が配される導体接続部と、該導体接続部に回動可能に配され、該ケーブルの内部導体を該導体接続部に対し保持するロック位置、および、該ケーブルの内部導体を該導体接続部に対し解放するアンロック位置をとるクリップ片とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のケーブル用コネクタの防水構造。
【請求項4】
ケーブルの一端が接続された棒状の接触端部を有するプラグコンタクト端子を着脱可能に収容するプラグハウジングと、
前記プラグハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブと、
前記プラグハウジング内に配され、該シール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、
前記ケーブルの一端が接続されたプラグコンタクト端子が前記プラグハウジングに収容される場合、前記シール用シリンダーの複数の押圧片を前記シール用チューブとともに前記プラグハウジング内の該ケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、
前記シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、前記押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とするプラグコネクタ。
【請求項5】
ケーブルの一端が接続された円筒状の接触端部を有するソケットコンタクト端子を着脱可能に収容するソケットハウジングと、
前記ソケットハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブと、
前記ソケットハウジング内に配され、該シール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、
前記ケーブルの一端が接続されたソケットコンタクト端子が前記ソケットハウジングに収容される場合、前記シール用シリンダーの複数の押圧片を前記シール用チューブとともに該ソケットハウジング内の該ケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、
前記シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、前記押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とするソケットコネクタ。
【請求項6】
請求項4記載のプラグコネクタと、
請求項5記載のソケットコネクタと、
を具備して構成されるケーブル用コネクタ。
【請求項1】
ケーブルの一端が接続されたコンタクト端子を着脱可能に収容するハウジングと、
前記ハウジング内に配され、該ハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、
前記ケーブルの一端が接続されたコンタクト端子が前記ハウジングに収容される場合、前記シール用シリンダーの複数の押圧片を前記シール用チューブとともに該ハウジング内の該ケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、
前記シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、前記押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とするケーブル用コネクタの防水構造。
【請求項2】
前記シール用シリンダーの各押圧片には、前記押さえ部材の内周部に向けて隆起する隆起部が形成され、前記押さえ部材の内周部には、各押圧片の前記隆起部を押圧する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル用コネクタの防水構造。
【請求項3】
前記シール用シリンダーは、前記コンタクト端子を収容するコンタクト収容部を有し、
前記コンタクト端子は、前記ケーブルの内部導体が配される導体接続部と、該導体接続部に回動可能に配され、該ケーブルの内部導体を該導体接続部に対し保持するロック位置、および、該ケーブルの内部導体を該導体接続部に対し解放するアンロック位置をとるクリップ片とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のケーブル用コネクタの防水構造。
【請求項4】
ケーブルの一端が接続された棒状の接触端部を有するプラグコンタクト端子を着脱可能に収容するプラグハウジングと、
前記プラグハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブと、
前記プラグハウジング内に配され、該シール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、
前記ケーブルの一端が接続されたプラグコンタクト端子が前記プラグハウジングに収容される場合、前記シール用シリンダーの複数の押圧片を前記シール用チューブとともに前記プラグハウジング内の該ケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、
前記シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、前記押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とするプラグコネクタ。
【請求項5】
ケーブルの一端が接続された円筒状の接触端部を有するソケットコンタクト端子を着脱可能に収容するソケットハウジングと、
前記ソケットハウジング内に挿入されたケーブルの外周部に装着されるシール用チューブと、
前記ソケットハウジング内に配され、該シール用チューブを複数の押圧片の内側に保持するシール用シリンダーと、
前記ケーブルの一端が接続されたソケットコンタクト端子が前記ソケットハウジングに収容される場合、前記シール用シリンダーの複数の押圧片を前記シール用チューブとともに該ソケットハウジング内の該ケーブルの外周部に向けて押圧する押さえ部材と、を備え、
前記シール用シリンダーの複数の押圧片のうちの少なくとも一対の押圧片にそれぞれ形成される係合爪が、前記押さえ部材に対し移動可能に係合されることを特徴とするソケットコネクタ。
【請求項6】
請求項4記載のプラグコネクタと、
請求項5記載のソケットコネクタと、
を具備して構成されるケーブル用コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−258380(P2011−258380A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131124(P2010−131124)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【特許番号】特許第4831505号(P4831505)
【特許公報発行日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【特許番号】特許第4831505号(P4831505)
【特許公報発行日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
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