説明

ケーブル配線工法およびケーブル配線治具

【課題】ケーブル自体に目印を付さなくても配線を容易に判別・確認することができ、配線作業の能率向上を図る。
【解決手段】一群のケーブルPそれぞれを整列状となして挿通可能とする複数の挿通孔2を配してなるケーブル保持体1を、下段から上段にいたる各横一列の挿通孔2それぞれを上下に分割するようケーブル保持体1を水平方向に分断することで形成した上下複数段の保持片1a,1b,・・・から構成する。保持片1a,1b,・・・の各一端を互いに水平方向に揺動可能に支持し、保持片1a,1b,・・・の各他端を固定部材7により互いに固定する構成とする。各挿通孔2の開口幅は各ケーブルPに沿ってケーブル保持体1自体をスライド可能にする程度の大きさを有し、且つ各挿通孔2の前後開口縁には面取り部9を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンピュータネットワークシステムにおいて、互いに遠隔位置に設置されている例えばサーバ等の統合型電子機器と例えばクライアントのパーソナルコンピュータ等の複数の電子機器とを例えばLANケーブル、光ケーブル等の各ケーブルで接続するとき、そのケーブル配線作業を円滑且つ迅速に行えるケーブル配線工法およびケーブル配線治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば事務所等で、遠隔位置に設置されている複数の電子機器をネットワークシステムとすべくLAN構築によって接続する場合に、床表面に配線類があると人の通行や椅子等の家具類の移動の支障となり、その結果として配線の切断などの障害が発生することがある。このような障害を避けることを目的として、近年では、床上にネットワーク配線のための一定高さの空間を設け、その上に別床を設けて二重床化した所謂OA(オフィス・オートメーション)フロアなるものが普及している。
【0003】
すなわち、OAフロアの構成は、本来の床の上に支柱を立てその上に板状のパネルを乗せるタイプと、支柱とパネルとが一体となったようなブロックを敷き詰めるタイプとに分けられ、いずれの場合も40cm〜60cm位の正方形を単位として床に敷き詰めるように設置され、また高さは用途により例えば約10cm前後となっている。そして、パネルあるいはブロックには穴あるいは切り込み等があって、配線の取り出し口となっている。さらにパネルあるいはブロックの上には、当該パネルあるいはブロックと同じ大きさ、または整数倍の大きさのカーペットあるいは塩化ビニル樹脂等のタイルが敷設され、カーペットあるいはタイルには、パネルあるいはブロックの配線の取り出し口に対応して通線用の孔が開けられる。
【0004】
このようなOAフロア構成の事務所等でケーブルの配線作業を行う場合には、例えばサーバ等の統合型電子機器と例えばクライアントのパーソナルコンピュータ等の複数の電子機器とをネットワークで接続するLANケーブル等のケーブル束群がOAフロアの上記した配線空間内に配設される。配設に際し、電子機器相互間のケーブル接続作業時においては、例えばオフィスの各部課等の区画毎に設置されているクライアント側の複数の電子機器のどの電子機器にどのケーブルが接続されているかを判別するために、これらケーブル束群の各ケーブルに配線作業者が自ら目印を付けていた。この目印としては、例えば接続対象となる機器同士に対応したケーブル番号を表示したタグ等が使用されている。そして、これら各ケーブルの目印に従って、遠隔配置されている例えばサーバ等の統合型電子機器にケーブルを接続している。
【0005】
すなわち、複数のケーブル同士は特定の箇所以外では整列しないため、どの電子機器にどのケーブルが接続されているか判別できないものとなり、遠隔にある機器同士を複数のケーブルで接続する場合においては、目印となる上記したタグ等をケーブルに付して判別できるようにしておかなければ電子機器への接続に対応できない。しかしながら、個々のケーブル自体にこれらの判別のためのタグ等の目印を付けるという作業は配線するケーブル数が数百本単位になると、非常に面倒である。
【0006】
また、他の方法として、作業現場において配線作業者が、一群のケーブル束のケーブルそれぞれを1本毎に分離するようにワイヤーによって縒るようにして纏めた状態にしてワイヤーを取り付けることで各ケーブルを目印に従って整列させておき、このワイヤーをケーブル束に沿ってスライドしてゆくことで、接続される電子機器に対するケーブルの接続位置決めを行うという方法も採られている。
【0007】
一方、従来においては、例えば特許文献1に開示されているようなケーブルの配線作業を容易にするためのケーブルサポートがある。このケーブルサポートは、通信機器等を収納するラックの側面または背面に渡して取り付けられ、通信機器に接続されるケーブルをラック内に整理して収納するために用いられるものであって、ケーブルサポートは、ケーブル固定部がドーム状に湾曲形成され、ケーブルを支持する支持部とケーブルを束ねるバンドが挿通可能である挿通孔を有する凹部とが交互に形成してなるものである。
【0008】
また、例えば特許文献2に開示されているように、複数の制御基板間、特定の制御基板と情報入出力機器、駆動源、報知機器のそれぞれとの間を電気的に接続するためのハーネスを結束する遊技機用配線コード結束具もある。この遊技機用配線コード結束具は、外観上見分けのつかない複数の電気配線コードをそれぞれ保持する保持部と、複数の保持部が所定規則に従って整列されるように連結する連結部とを有し、複数の保持部にそれぞれ電気配線コードを保持し、この複数の保持部を連結部によって所定の規則に従って連結し整列させることで、束ねられた電気配線コードの見分けを容易なものとしている。
【0009】
さらに、例えば特許文献3に開示されているように、多数の同軸ケーブルを上下左右に整然と並んだ状態で、しかも容易に結束することができるよう建物の梁材、その他の固定物に取り付けられるケーブル結束装置もある。このケーブル結束装置は、底板部および一対の端板部により多数のケーブルが挿通される収容凹部が形成された装置本体と、多数のケーブルが収容凹部に挿通された後に、端板部の先端側に位置する収容凹部の開放部を閉じる蓋板部とを備え、底板部、一対の端板部および蓋板部の収容凹部に臨む各内面には、ケーブルの長手方向に沿って各面の一端から他端まで延びる複数の位置決め凹部がそれぞれ形成され、また複数の位置決め凹部はケーブルの直径とほぼ等しい間隔で配置され、しかも位置決め凹部の底面はケーブルの半径とほぼ同一の曲率半径を有する円弧面によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−229681号公報
【特許文献2】特開2004−173812号公報
【特許文献3】特開2010−4698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1のケーブルサポートの場合は通信機器等を収納するラックの側面または背面に固定され、特許文献2の遊技機用配線コード結束具は複数の制御基板間、あるいは特定の制御基板と情報入出力機器、駆動源、報知機器のそれぞれとの間に固定され、特許文献3のケーブル結束装置は建物の梁材、その他の固定物に固定される等のようにある特定の箇所に固定して使用される等、その特定箇所での整列による見分けをするに過ぎない。
【0012】
しかも、このようなケーブルサポート、遊技機用配線コード結束具、ケーブル結束装置等によって特定箇所でケーブルが整列固定されるとしても、OAフロアの配線空間に複数のケーブルを纏めて配線する場合には、ケーブル同士の互いの絡み合いが生じてしまう虞がある。
【0013】
また、従来のように、ケーブル束をワイヤーで縒ることで整列させておき、このワイヤーをケーブル束に沿ってスライドして、接続される電子機器に対する場所決めを確保する場合では、ワイヤー自体が軟弱であると、ケーブル相互の分離保持が困難で、ケーブル束に沿ってのスライド操作が非常に面倒であるという問題点を有していた。
【0014】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、例えば遠隔場所にある機器同士を複数のLANケーブル等で接続する場合において、ケーブル自体に目印を付さなくても配線を容易に判別・確認することができ、配線作業の能率向上を図ると同時に、OAフロアの配線空間に複数のケーブルが纏めて配線されるとき、ケーブル同士の互いの絡み合い状態を無くし、整列した状態で収納することができるケーブル配線工法およびケーブル配線治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明に係るケーブル配線工法にあっては、ネットワークで構成される電子機器Q,A,B,・・・相互間に接続される一群のケーブルPそれぞれを挟持可能とするケーブル配線治具(1,11)により各ケーブルPを整列配置させておく工程と、ケーブルPの整列状の挟持状態を維持しつつ接続すべき電子機器Q,A,B,・・・の近傍位置まで各ケーブルPに沿ってケーブル配線治具(1,11)をスライドさせる工程と、ケーブル配線治具(1,11)によって整列配置されている各ケーブルPを電子機器Q,A,B,・・・に接続する工程とを有するものである。
また、スライド工程後のケーブルP全長にわたる所定間隔毎に結束部材8を介して各ケーブルPを結束する工程を含むものとできる。
一方、上記のケーブル配線工法の実施に使用される本発明に係る第1のケーブル配線治具にあっては、一群のケーブルPそれぞれを整列状となして挿通可能とする複数の挿通孔2を配してなるケーブル保持体1から成り、該ケーブル保持体1は、下段から上段にいたる各横一列の挿通孔2それぞれを上下分割するよう当該ケーブル保持体1を水平方向に分断することで上下複数段となって形成された保持片1a,1b,・・・から構成され、保持片1a,1b,・・・の各一端は互いに水平方向に揺動可能に支持され、保持片1a,1b,・・・の各他端は固定部材7により互いに固定される構成とすることができる。
各挿通孔2の開口幅は各ケーブルPに沿ってケーブル保持体1自体をスライド可能にする程度の大きさを有し、且つ各挿通孔2の前後開口縁には面取り部9が形成されているものとできる。
さらに、同じく本発明に係る第2のケーブル配線治具にあっては、一群のケーブルPそれぞれを並列させて配置可能とするよう複数の溝状の挿通部12を配してなるケーブルホルダ11と、各挿通部12の開放部分を閉鎖するようケーブルホルダ11に揺動可能で、ケーブルホルダ11の他端部に係止されるフック部20,27を有して各挿通部12の閉鎖状態を維持すべくなしたフックアーム15を有した構成とすることができる。
各挿通部12の深さおよび幅は、各ケーブルPに沿ってケーブルホルダ11自体をスライド可能にする程度の大きさを有し、且つ各挿通部12の前後端縁には面取り部9が形成されているものとできる。
各挿通部22は、2つのケーブルPが二段に挿通できる深さを有し、一段目のケーブルPと二段目のケーブルPとを個別に保持させるよう一対のフックアーム15がケーブルホルダ11に備えられているものとできる。
各挿通部22がケーブルホルダ11の一側および他側に設けられ、フックアーム15がこれら挿通部22に対応してケーブルホルダ11に対し一対となって設けられているものとできる。
各挿通部22が相対向すべく2つのケーブルホルダ11の角端部同士がヒンジ部21を介して揺動自在に連結されてなるものとできる。
ケーブルホルダ11他端部にて係止部26を備えた係止片25が、当該他端部に配された支軸24を介して傾動可能に枢着されてなり、手動操作による係止片25の揺動操作にて係止部26でフックアーム15先端のフック部27を係止可能としたものとできる。
【0016】
以上のように構成された本発明に係るケーブル配線工法にあって、第1あるいは第2のケーブル配線治具(1,11)をスライドさせる工程は、ケーブルPの整列状態を維持しながらのスライドであるから、遠隔場所にある電子機器Q,A,B,・・・同士の接続に際し、複数のケーブル配線の判別・確認を容易にさせる。
例えば、サーバ側の統合型電子機器QへのケーブルP群の接続に際し、これらケーブルPが例えばクライアントのどの電子機器A,B,・・・と接続すべきものであるかを第1あるいは第2のケーブル配線治具(1,11)によって判別・確認させる。
スライド工程後の各ケーブルPを結束部材8で結束する工程は、各ケーブルPのばらけを阻止させる。
一方、本発明に係る第1のケーブル配線治具にあって、挿通孔2はケーブル保持体1をスライドさせることで、各ケーブルPを並列した状態にさせる。
面取り部9は、ケーブル保持体1をスライドさせる際に、挿通孔2に対する各ケーブルPの引っ掛かりを阻止させる。
ケーブル保持体1において、上下複数段の保持片1a,1b,・・・をヒンジピン4を介して互いに略扇形放射状に開いた状態に揺動させておき、最下段の保持片1aの各半円弧状部分にケーブルPを順次載せてゆき、上側次段の保持片1b,・・・を閉じる方向に揺動させる。この作業が最上段の保持片1e位置まで行われた後には、保持片1a,1b,・・・の各他端に挿通される固定部材7は、各保持片1a,1b,・・・が閉じられることで形成される各挿通孔2にケーブルPそれぞれが挿通挟持された状態となって各保持片1a,1b,・・・を固定させる。
さらに、本発明に係る第2のケーブル配線治具にあって、ケーブルホルダ11において、前後端縁に面取り部9が形成されてなる各挿通部12は、各ケーブルPの引っ掛かりを阻止させつつケーブルホルダ11をスライドさせることで、各ケーブルPを並列状態にさせる。
フックアーム15は挿通部12側に揺動させることで各挿通部12の開放部分を閉鎖させる。このとき、フックアーム15先端のフック部20,27はケーブルホルダ11他端部の係止部19に係止されることでフックアーム15の閉鎖状態を維持させる。
2つのケーブルPが二段に挿通できる深さを有する各挿通部22は、各挿通部22に挿通された一段目のケーブルPを一方のフックアーム15で保持させ、二段目のケーブルPを他方のフックアーム15で保持させる。
各挿通部22が一側および他側に設けられ、且つフックアーム15がこれら挿通部22に対応して一対となって設けられているケーブルホルダ11は、各挿通部22に挿入させたケーブルPを二段に並列させる。
係止片25は、手動操作による揺動操作によって、フック部27を係止部26に係止させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、遠隔場所等にある例えば電子機器Q,A,B,・・・同士をケーブルPで接続する場合において、ケーブルPを複数で束ねた状態で纏めて配線させるとき、所定の電子機器Q,A,B,・・・同士を各別に接続すべき所定のケーブルPを、ケーブルP自体に目印を付さなくても容易に判別・確認することができ、配線作業の能率向上を図ることができる。
【0018】
すなわち、これは本発明に係るケーブル配線工法が、ネットワークで構成される電子機器Q,A,B,・・・相互間に接続される一群のケーブルPそれぞれを挟持可能とするケーブル配線治具(1,11)により各ケーブルPを整列配置させておく工程と、ケーブルPの整列状の挟持状態を維持しつつ接続すべき電子機器Q,A,B,・・・の近傍位置まで各ケーブルPに沿ってケーブル配線治具(1,11)をスライドさせる工程と、ケーブル配線治具(1,11)によって整列配置されている各ケーブルPを電子機器Q,A,B,・・・に接続する工程とを有するからである。これにより、従来のようなタグ等の目印をケーブルPそれぞれに付さなくても電子機器Q,A,B,・・・同士の接続を間違いなく行うことができ、機器対応接続時の配線作業の能率が向上する。例えば、これらのケーブルPが例えばどのクライアントの電子機器A,B,・・・ものであるかを容易に判別・確認できるので、例えばサーバ側の統合型電子機器QとのケーブルPの配線作業が容易に行える。
【0019】
スライド工程後のケーブルP全長にわたる所定間隔毎に結束部材8を介して各ケーブルPを結束する工程を含むので、ケーブルP束のばらけを未然に防止することができ、これによって、張り巡らせるケーブルP束全体にわたるケーブルP同士の互いの絡み合い状態を確実に無くすことができる。
【0020】
一方、本発明に係る第1のケーブル配線治具にあっては、ケーブル保持体1において、一群のケーブルPそれぞれを上下左右に整列状となして挿通可能とする複数の挿通孔2を配し、下段から上段にいたる各横一列の挿通孔2それぞれを上下分割するようケーブル保持体1を水平方向に分断することで上下複数段となって形成された保持片1a,1b,・・・から構成され、保持片1a,1b,・・・の各一端は互いに水平方向に揺動可能に支持され、保持片1a,1b,・・・の各他端は固定部材7により互いに固定される構成としてある。そのため、ケーブル保持体1を各ケーブルPに沿ってスライドさせることで各ケーブルPを上下左右に並列した状態に配置させることができ、各機器の接続端子に対するケーブルPが大量である場合でも各ケーブルPの個別の配線作業が容易に行える。
【0021】
各挿通孔2の開口幅は各ケーブルPに沿ってケーブル保持体1自体をスライド可能にする程度の大きさを有し、且つ各挿通孔2の前後開口縁には面取り部9が形成されているので、挿通孔2に対する各ケーブルPの引っ掛かりが未然に防止され、各ケーブルPに沿ってのケーブル保持体1のスムーズなスライドが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る第2のケーブル配線治具にあっては、ケーブルホルダ11において、一群のケーブルPそれぞれを並列させて配置可能とするよう複数の溝状の挿通部12を配してなるケーブルホルダ11と、各挿通部12の開放部分を閉鎖するようケーブルホルダ11に揺動可能で、ケーブルホルダ11の他端部に係止されるフック部20,27を有して閉鎖状態を維持すべくなしたフックアーム15とを有した構成としてある。そのため、ケーブルホルダ11を各ケーブルPに沿ってスライドさせることで、各ケーブルPを並列状態にすることができ、各機器の接続端子へのケーブルP束において、比較的に少ない場合の各ケーブルP毎の配線作業を容易に行える。
【0023】
各挿通部12の深さおよび幅は、各ケーブルPに沿ってケーブルホルダ11自体をスライド可能にする程度の大きさを有し、且つ各挿通部12の前後端縁には面取り部9が形成されているので、各挿通部12に対する各ケーブルPの引っ掛かりが未然に防止され、各ケーブルPに沿ってのケーブルホルダ11のスムーズなスライドが可能となる。
【0024】
各挿通部22は、2つのケーブルPが二段に挿通できる深さを有し、一段目のケーブルPと二段目のケーブルPとを個別に保持させるよう一対のフックアーム15がケーブルホルダ11に備えられているので、各挿通部22内の2つのケーブルPそれぞれを一対のフックアーム15を介して互いにケーブルホルダ11に個別に保持させておくことができ、各機器の接続端子へのケーブルP束を比較的にコンパクトに纏めた状態で配線作業が容易に行える。
【0025】
各挿通部22がケーブルホルダ11の一側および他側に設けられ、フックアーム15がこれら挿通部22に対応してケーブルホルダ11に対し一対となって設けられているので、各挿通部22に挿入されたケーブルPを中間のケーブルホルダ11自体によって離間された状態となって二段に並列させることができ、ケーブルP相互間を離隔させた状態で各機器の接続端子へのケーブルP毎で配線作業が容易に行える。
【0026】
各挿通部22が相対向すべく2つのケーブルホルダ11の角端部同士がヒンジ部21を介して揺動自在に連結されてなるので、各挿通部22に挿入させたケーブルPを上下二段にして並列させることができ、束状に纏めた状態で各機器の接続端子へのケーブルP毎で配線作業が容易に行える。
【0027】
ケーブルホルダ11他端部にて係止部26を備えた係止片25が、当該他端部に配された支軸24を介して傾動可能に枢着されてなり、手動操作による係止片25の揺動操作にて係止部26でフックアーム15先端のフック部27を係止可能としたので、手動操作による係止片25の揺動により、フックアーム15先端のフック部27を係止部26に確実に係止させることができ、またフック部27の係止部26からの離脱も容易に行える。
【0028】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を実施するための一形態における第1のケーブル配線治具によってケーブルを配線するときのケーブル保持状態を示す斜視図である。
【図2】同じくスライド工程を示す斜視図である。
【図3】同じく第2のケーブル配線治具によってケーブルを配線するときのケーブル保持状態を示す斜視図である。
【図4】同じくスライド工程を示す一部省略の斜視図である。
【図5】第2のケーブル配線治具の変形例を示す正面図で、(a)は変形例1、(b)は変形例2、(c)は変形例3、(d)は変形例4それぞれである。
【図6】更に第2のケーブル配線治具の他の変形例を示す一部切欠正面図である。
【図7】同じく配線作業時の使用方法を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を詳細に説明すると、図において示される符号1は、本発明に係る配線方法に使用する第1のケーブル配線治具を構成する矩形ブロック状のケーブル保持体であり、静電防止処理に好適な例えばプラスチック材によって形成されている。
【0031】
ケーブル保持体1には、図1、図2、図7に示すように、例えば事務所内の区画化される複数部課S1,S2,・・・のうち1つの部課S1等の区画域に設置されている例えば24台のクライアント側の電子機器A,B,・・・に対応した24本のケーブルPを上下左右に整列状となして挿通させるための、例えば縦方向に4個、横方向に6個で合計24個の円形の挿通孔2が形成されている。そして、下段から上段にいたる各横一列の挿通孔2それぞれを上下分割されるよう当該ケーブル保持体1を水平方向に分断することで形成された上下五段に配装組合わせられる計5本の保持片1a,1b,・・・によって構成されている。これらの保持片1a,1b,・・・による挿通孔2は挿通されたケーブルPが自由にスライド可能となるよう当該ケーブルPの外径よりも大きな開口幅となっており、また各挿通孔2の前後開口縁には傾斜状面となっている面取り部9が形成されている。
【0032】
また、これら挿通孔2の近傍にはクライアント側の電子機器A,B,・・・に対応した例えばアルファベット等による文字が付されており、各ケーブルPがどの電子機器A,B,・・・に接続されるのかをこの識別表示文字によって容易に判別・確認できるようにしてある。例えば、D位置にある電子機器Dに接続されているケーブルPは、「D」文字が付されている挿通孔2に挿通される。
【0033】
このようにして最下段の保持片1aの上部には挿通孔2の一部である6個の下方溝部2aが形成され、最上段の保持片1eの下部には挿通孔2の他の一部である6個の上方溝部2bが形成され、中段にある3本の保持片1b,1c,1dそれぞれの上下部には挿通孔2の各一部である6個の下方溝部2aおよび上方溝部2bが形成される。そして、保持片1a,1b,・・・の各一端には上下に貫通するヒンジ孔3が形成されており、このヒンジ孔3にヒンジピン4が挿通され、当該ヒンジピン4の下端を最下段の保持片1aのヒンジ孔3に固定させることで、各保持片1a,1b,・・・はヒンジピン4を介して互いに水平方向に揺動可能となっている。
【0034】
また、上段4個の保持片1b,・・・の各他端には固定部材7である例えばボルト等の軸部を貫通させるための挿通孔5が上下に形成され、これら挿通孔5に対応すべく最下段の保持片1aの他端には固定部材7先端のネジ部をねじ込ませるためのネジ孔6が形成されている。これら5本の保持片1a,1b,・・・がヒンジピン4を介して互いに扇形放射状となって開いた状態では上下に対向する下方溝部2aおよび上方溝部2bの相互間にケーブルPが載置可能となり、これら5本の保持片1a,1b,・・・がヒンジピン4を介して互いに閉じられた際には、上下で各対向する下方溝部2aと上方溝部2bとが互いに合わされてケーブルPを保持するための挿通孔2となる。この状態で互いに合致した各挿通孔5に固定部材7が挿入され、最下段の保持片1aのネジ孔6に固定部材7先端のネジ部がねじ込まれることで保持片1b,・・・の各他端部側が保持片1a上に積み重ね状となって固定されるものとなっている。
【0035】
こうしてケーブル保持体1の例えば合計24個の挿通孔2それぞれにケーブルPが挿通配置され、当該ケーブルPは上下左右に整列した状態のままでケーブル保持体1を各ケーブルPに沿って、サーバ等の統合型電子機器Q側に、あるいはクライアント側の電子機器A,B,・・・側に自由にスライドさせることができるようにしてある(図2参照)。
【0036】
尚、本実施例では、一群のケーブルPとして24本のケーブルP束の場合について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
次に、以上のように構成された形態についての使用の一例について説明すると、先ず、図7に示すように、例えば事務所内で区画化される複数部課S1,S2,・・・のうち1つの部課S1に設置されているクライアントの24台の電子機器A,B,・・・の接続端子それぞれに例えば24本を一群とするケーブルPを各接続する。
【0038】
そして、ケーブル保持体1の5本の保持片1a,1b,・・・をヒンジピン4を介して互いに略扇形放射状に開いた状態にしておき、上下に対向する下方溝部2aおよび上方溝部2bの相互間にケーブルPを配置させていく。このとき、A,B,・・・位置にある電子機器A,B,・・・に各接続されているケーブルPは、A,B,・・・等の配置指示の表示文字に対応した挿通孔2に配置される。
【0039】
すなわち、図1に示すように、最下段の保持片1aの下方溝部2aにケーブルPを順次載せてゆき、二段目の保持片1bをヒンジピン4を介して互いに閉じる方向に揺動させる。この作業が最上段の保持片1eまで順次に行われた後には、上段4個の保持片1b,・・・の挿通孔5に固定部材7のネジ部が挿入され、最下段の保持片1aのネジ孔6に固定部材7先端のネジ部をねじ込ませることで各保持片1a,1b,・・・の他端同士を固定させる。
【0040】
次に、図2および図7に示すように、ケーブル保持体1を、各挿通孔2によるケーブルPの整列状態を維持しつつ、接続すべきサーバ側の統合型電子機器Qのポートa,b,・・・近傍位置まで当該ケーブルPに沿ってスライドさせる。このとき必要に応じてスライド操作後のケーブルP全長にわたる所定間隔毎にバンドもしくは粘着テープ等の結束部材8により各ケーブルPを結束しておく。このように区画化された各部課等の区域毎にケーブルPが纏められるよう、各ケーブルPが結束部材8により結束される。
【0041】
そして、ケーブル保持体1の各挿通孔2によって整列配置されている各ケーブルPを、各挿入孔2の近傍に付されているケーブル識別番号を見て判別・確認しながら統合型電子機器Qのポートa,b,・・・に各接続する。これらの配線作業は、事務所内の複数部課S1,S2,・・・に設置されているクライアント側の電子機器A,B,・・・の全てにわたって行われる。このようにケーブル保持体1により各ケーブルPを判別・確認できるため、対応接続の作業が容易となる。
【0042】
尚、統合型電子機器Qに接続される各電子機器A,B,・・・数に応じて上記した24本のケーブルPを一群として纏められているが、各電子機器A,B,・・・の設置個数が多く、ケーブルPの本数が多くなる場合は、これに応じてケーブル保持体1の挿通孔2の個数も増やすこともできる。
【0043】
また、本発明の実施形態における第2のケーブル配線治具について図3および図4に基づき詳細に説明すると、図において示される符号11は、本発明に係る配線方法に使用する第2のケーブル配線治具を構成する矩形板状のケーブルホルダであり、静電防止処理に好適な例えばプラスチック材によって形成されている。
【0044】
尚、本例におけるケーブルホルダ11は6本のケーブルPを一群のケーブルPとして保持し、これらを整列配置させるためのケーブル配線治具として使用されているが、ケーブルPの本数に限定されないことは勿論である。
【0045】
ケーブルホルダ11は、図3に示すように、一群のケーブルPそれぞれを並列させて挿通配置させるための溝状となった複数の挿通部12を各配してなる一側ホルダ板11aおよび他側ホルダ板11bと、各挿通部12の上側開放部分を閉鎖するよう当該ケーブルホルダ11の一端部における支軸部14を介して上下の開閉方向に揺動可能としたフックアーム15とから構成されている。
【0046】
これら挿通部12の近傍には例えばクライアント側の電子機器A,B,・・・に対応した例えば1,2,・・・等の配置指示の表示の番号が付されており、各ケーブルPがどの電子機器A,B,・・・に接続されているかをこの識別表示番号によって容易に判別・確認できるようにしてある。例えば、D位置にある電子機器Dに接続されているケーブルPは、番号「4」が付されている挿通部12に挿通される。
【0047】
一側ホルダ板11aは、図4に示すように、他側ホルダ板11bよりも若干厚肉な長方形板材によって形成されており、その長手上辺側には正面視略U溝状の6個の挿通部12が等間隔に形成されている。また、一側ホルダ板11aの上縁内側には段部16が形成されている。そして、一側ホルダ板11aの一端壁面の上部内側には略半円状の切欠部17が形成され、この切欠部17の中央に支軸部14が突設されている。さらに、一側ホルダ板11aの他端壁面の内側には側方に向けて傾斜した略三角形状の切欠部18が形成されていて、この切欠部18の下端には矩形切欠状の係止部19が形成されている。
【0048】
他側ホルダ板11bは、一側ホルダ板11aと略同形の若干薄肉な長方形板材によって形成されており、一側ホルダ板11aの挿通部12に対向して当該挿通部12と同一形状の挿通部12が形成されている。そして両ホルダ板11a,11b同士は、例えば係合突起と係合孔との嵌合等によって貼り合わせ固定されるもので、このとき両ホルダ板11a,11b間には、前記段部16、切欠部17、切欠部18による隙間が形成される。
【0049】
フックアーム15は、望ましくは電気絶縁処理された金属製線材あるいはプラスチック材等によって形成され、その基端側は前記支軸部14に若干緩めに巻装されることでフックアーム15自体は揺動自在となっている。また、フックアーム15の先端側には略円弧状の湾曲部20aが形成され、さらにその先端は略レ字状に折り返されることで前記係止部19に係止されるフック部20が形成されている。そして、フックアーム15を支軸部14を軸として閉方向に揺動させた際には、フックアーム15先端のフック部20が切欠部18に沿って弾性的に拡開してゆき、係止部19位置で弾性復帰して係止されることでフックアーム15の閉鎖状態が固定されると同時に、フックアーム15の本体部分が各挿通部12相互間の段部16内に嵌め込まれて当該各挿通部12が全て閉鎖されるものとなっている。
【0050】
また、各挿通部12の深さおよび幅は、各ケーブルPに沿ってケーブルホルダ11自体をスライド可能にする程度の大きさを有している。尚、各挿通部12の前後端縁には前記した実施形態と同様に面取り部9が形成されていても良い。
【0051】
次に、以上のように構成された第2のケーブル配線治具の使用の一例について説明すると、先ず、図7に示すように、クライアントのパーソナルコンピュータ等の電子機器A,B,・・・の接続端子それぞれにケーブルPを各接続しておく。
【0052】
また、図3に示すように、ケーブルホルダ11のフックアーム15を支軸部14を介して揺動し開いた状態にしておき、開放された各挿通部12にケーブルPを順次載せていく。このとき、A,B,・・・位置にある6台の電子機器A,B,・・・に各接続されているケーブルPは、1,2,・・・の番号に対応した挿通部12に配置される。その後、図4に示すように、フックアーム15を支軸部14を軸として閉方向に揺動させ、フックアーム15の本体部分が段部16、切欠部17、切欠部18による隙間に挿入されて閉鎖状態が固定される。
【0053】
次に、図4および図7に示すように、ケーブルホルダ11を、先の実施形態と同じようにしてケーブルPに沿ってスライドさせる。このとき必要に応じてスライド操作後のケーブルP全長にわたる所定間隔毎にバンドもしくは粘着テープ等の結束部材8により各ケーブルPを結束しておく。そして、ケーブルホルダ11の各挿通部12によって並列配置されている各ケーブルPを判別・確認しながら統合型電子機器Qのポートa,b,・・・に各接続する
【0054】
次に、上記したケーブルホルダ11としてのさらに他の変形例について説明する。図5(a)における変形例1においては、各挿通部22を2つのケーブルPが二段に挿通できる程度の深さに形成し、一段目のケーブルPと二段目のケーブルPとを一対のフックアーム15によって個別に保持させるようにしてある。尚、フックアーム15は直線状に形成されると共に、先端に膨らみ状、例えば球状を呈するフック部27を形成してあり、このフック部27をケーブルホルダー11に強制的にでも嵌め込み、各挿通部22を閉鎖できるようにしてある。
【0055】
すなわち、図5(a)に示すように、ケーブルホルダ11の一側ホルダ板11aおよび他側ホルダ板11bに形成された3個の挿通部22それぞれの深さを2本のケーブルPが縦に並んで挿通可能となる程度の深さにしておく。そして、ケーブルホルダ11の端部に一対のフックアーム15が支軸部14を介して揺動可能となって取り付けられ、一方のフックアーム15が各挿通部22内側に揺動した際には、その本体部分が各挿通部22それぞれの略中間位置に配されることで、一段目のケーブルPを保持させ、他方のフックアーム15が各挿通部22内側に揺動した際には、その本体部分が各挿通部22それぞれの開口位置に配されることで、二段目のケーブルPを保持させるものとなっている。
【0056】
このように、各挿通部22は略中間位置に開閉自在に配されるフックアーム15を介して上下に仕切られるようにしてある。また、一方のフックアーム15の支軸部14は、ケーブルホルダ11の前面における一側ホルダ板11a側に設けられ、他方のフックアーム15の支軸部14は、ケーブルホルダ11の背面における他側ホルダ板11b側に設けられることで、閉鎖時に両フックアーム15のフック部27同士が互いに干渉しないようになっている。
【0057】
ケーブルホルダ11の各挿通部22内にケーブルP束を載せる際には、フックアーム15を支軸部14を介して揺動し開いた状態にしておき、開放された各挿通部22内に各1本ずつのケーブルPを順次載せていく。ケーブルPの挿入後、フックアーム15を支軸部14を軸として閉方向に揺動させる。このときフックアーム15先端のフック部27が一側ホルダ板11aまたは他側ホルダ板11bの側面に係止固定される。そして、フックアーム15の上に乗るようにさらに各挿通部22内に各1本ずつのケーブルPを順次載せてゆけば良い。
【0058】
また、変形例2においては、図5(b)に示すように、ケーブルホルダ11の一側ホルダ板11aおよび他側ホルダ板11bの対称位置にそれぞれ3個の挿通部22が設けられており、これら挿通部22に対応してケーブルホルダ11に対しフックアーム15が一対となって設けられている。そして、一方のフックアーム15の支軸部14は、ケーブルホルダ11の前面における一側ホルダ板11a側に設けられ、他方のフックアーム15の支軸部14は、ケーブルホルダ11の背面における他側ホルダ板11b側に設けられることで、閉鎖時に両フックアーム15が互いに干渉しないようになっている。
【0059】
ケーブルホルダ11の各挿通部22内にケーブルP束を載せる際には、両フックアーム15を支軸部14を介して揺動し開いた状態にしておき、開放された一方の3個の挿通部22に各1本ずつのケーブルPを挿入し、開放された他方の3個の挿入部23に各1本ずつのケーブルPを順次挿入していく。ケーブルPの挿入後、両フックアーム15を支軸部14を軸として閉方向に揺動させる。このとき、フックアーム15先端のフック部27が一側ホルダ板11aあるいは他側ホルダ板11bに係止固定される。
【0060】
また、変形例3においては、図5(c)に示すように、ケーブルホルダ11の一側ホルダ板11aおよび他側ホルダ板11bの対称位置にそれぞれ6個の挿通部22が設けられており、これら挿通部22に対応してケーブルホルダ11に対しフックアーム15が一対となって設けられている。尚、ケーブルホルダ11をケーブルP束へ装着するときの手順は上記変形例2の場合と略同様なのでその詳細な説明を省略する。
【0061】
また、変形例4においては、図5(d)に示すように、フックアーム15および3個の挿通部22が設けられた2つのケーブルホルダ11の角端部同士がヒンジ部21を介して揺動自在に取り付けられており、両ケーブルホルダ11がヒンジ部21を介して互いに折り畳まれた際には、一方のケーブルホルダ11の各挿通部22が他方のケーブルホルダ11の各挿通部22に互いに相対向すべくなしてある。尚、これら一対のケーブルホルダ11をケーブルP束へ装着するときの手順は上記した変形例1または変形例2の場合と略同様なのでその詳細な説明を省略する。
【0062】
また、図6にはケーブルホルダ11他端部の前記した係止部19の他例が示されている。すなわち本例においては、フックアーム15はその先端側を略直角に屈曲し、且つその先端を膨らませ、球状に形成することでフック部27となっている。またケーブルホルダ11他端部には係止片25が当該他端部下側に配された支軸24を介して傾倒可能に枢着されている空間部28が設けられている。そして係止片25の片側には、フック部27に掛架されるための略クサビ形突起状の係止部26が形成されている。
【0063】
ケーブルホルダ11の各挿通部22内にケーブルP束を載せる際には、手動操作によって空間部28内の係止片25を支軸24を介して空間部28外側に傾倒させてから、フックアーム15を支軸部14を介して開方向に揺動させる。そして、開放された6個の挿通部22内に各1本ずつのケーブルPを順次挿入していく。ケーブルPの挿入後、フックアーム15を支軸部14を軸として閉方向に揺動させ、手動操作によって係止片25を支軸24を介して空間部28内側に向けて起立揺動させる。このとき係止片25の係止部26は、フックアーム15先端のフック部27に掛架保持されことでフックアーム15の閉鎖状態が固定維持される。
【0064】
尚、上記した実施形態において、さらに他の様々な変形例も可能であり、例えばケーブル保持体1、ケーブルホルダ11がコーナー部分で曲がりやすいようにするため、挿通孔2、挿通部12をケーブル保持体1、ケーブルホルダ11の面に対して斜め開口状に形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るケーブル配線工法およびその治具を、複数の電子機器間、あるいは特定の電子機器と情報入出力機器、駆動源、報知機器等との間を電気的に接続するための種々のコード類の配線に使用する等、その他様々な用途に応用しても良い。
【符号の説明】
【0066】
P…ケーブル Q…統合型電子機器
a,b,・・・…ポート A,B,・・・…電子機器
S1,S2,・・・…部課
1…ケーブル保持体 1a,1b,・・・…保持片
2…挿通孔 2a…下方溝部
2b…上方溝部 3…ヒンジ孔
4…ヒンジピン 5…挿通孔
6…ネジ孔 7…固定部材
8…結束部材 9…面取り部
11…ケーブルホルダ 11a…一側ホルダ板
11b…他側ホルダ板 12…挿通部
14…支軸部 15…フックアーム
16…段部 17…切欠部
18…切欠部 19…係止部
20…フック部 21…ヒンジ部
22…挿通部 24…支軸
25…係止片 26…係止部
27…フック部 28…空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークで構成される電子機器相互間に接続される一群のケーブルそれぞれを挟持可能とするケーブル配線治具により各ケーブルを整列配置させておく工程と、ケーブルの整列状の挟持状態を維持しつつ接続すべき電子機器の近傍位置まで各ケーブルに沿ってケーブル配線治具をスライドさせる工程と、ケーブル配線治具によって整列配置されている各ケーブルを電子機器に接続する工程とを有することを特徴としたケーブル配線工法。
【請求項2】
スライド工程後のケーブル全長にわたる所定間隔毎に結束部材を介して各ケーブルを結束する工程を含む請求項1記載のケーブル配線工法。
【請求項3】
一群のケーブルそれぞれを整列状となして挿通可能とする複数の挿通孔を配してなるケーブル保持体から成り、該ケーブル保持体は、下段から上段にいたる各横一列の挿通孔それぞれを上下に分割するよう当該ケーブル保持体を水平方向に分断することで上下複数段となって形成された保持片から構成され、保持片の各一端は互いに水平方向に揺動可能に支持され、保持片の各他端は固定部材により互いに固定される構成としたことを特徴とするケーブル配線治具。
【請求項4】
各挿通孔の開口幅は各ケーブルに沿ってケーブル保持体自体をスライド可能にする程度の大きさを有し、且つ各挿通孔の前後開口縁には面取り部が形成されている請求項3記載のケーブル配線治具。
【請求項5】
一群のケーブルそれぞれを並列させて配置可能とするよう複数の溝状の挿通部を配してなるケーブルホルダと、各挿通部の開放部分を閉鎖するようケーブルホルダに揺動可能で、ケーブルホルダの他端部に係止されるフック部を有して閉鎖状態を維持すべくなしたフックアームとを有することを特徴とするケーブル配線治具。
【請求項6】
各挿通部の深さおよび幅は、各ケーブルに沿ってケーブルホルダ自体をスライド可能にする程度の大きさを有し、且つ各挿通部の前後端縁には面取り部が形成されている請求項5記載のケーブル配線治具。
【請求項7】
各挿通部は、2つのケーブルが二段に挿通できる深さを有し、一段目のケーブルと二段目のケーブルとを個別に保持させるよう一対のフックアームがケーブルホルダに備えられている請求項5または6記載のケーブル配線治具。
【請求項8】
各挿通部がケーブルホルダの一側および他側に設けられ、フックアームがこれら挿通部に対応してケーブルホルダに対し一対となって設けられている請求項5または6記載のケーブル配線治具。
【請求項9】
各挿通部が相対向すべく2つのケーブルホルダの角端部同士がヒンジ部を介して揺動自在に連結されてなる請求項5または6記載のケーブル配線治具。
【請求項10】
ケーブルホルダ他端部にて係止部を備えた係止片が、当該他端部に配された支軸を介して傾動可能に枢着されてなり、手動操作による係止片の揺動操作にて係止部でフックアーム先端のフック部を係止可能とした請求項5または6記載のケーブル配線治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−120351(P2012−120351A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268896(P2010−268896)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(310023944)
【Fターム(参考)】