説明

ゲムシタビン構造に基づくプロドラッグおよびその合成方法と応用

式(I):
【化9】


[式中,基a,b,c,d,E,ZおよびVの定義は明細書に記載されるとおりである]
に示されるゲムシタビン構造に基づくプロドラッグ,ならびにその合成法および用途が開示される。N基を修飾することにより,プロドラッグの溶解性,生物利用性および臓器特異性が改善される。すなわち,製造されるプロドラッグ化合物により代謝が速いという問題点が解決される。ゲムシタビンにより誘発される腸毒性が低下する。このことにより,プロドラッグは診療所において経口投与することができる。また,その抗腫瘍,抗癌,抗感染および拡散予防能力をさらに高めることができ,かつ肝臓または結腸で特異的に作用することができる。合成法は簡単でありかつ工業的製造に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ヌクレオシド剤分野に属し,特にゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグ,その合成方法,および癌と関連疾病の治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
WHOの統計によると,2007年に新たに癌と診断された患者は1200万人に上り,世界中で癌により死亡した患者は毎年700万人を超える。この数字は,急性心血管疾患より死亡した患者数と非常に近い。癌はいずれ世界死者数の最大の病気になると予想される。
【0003】
ヌクレオシド剤,例えばシタラビン,ゲムシタビン,デシタビン,アザシチジン,クラドリビン,フルダラビン,アトロミド,ネララビン,6−アザウリジンおよびチアゾフリンなどはすでに幅広い範囲で各種の癌の治療に応用されている。同時に,多くのヌクレオシド剤が臨床研究段階にあり,その例として4’−チオ−フルオロ−アラ−C,2’−デオキシ−2’−フルオロメチルシチジン,4’−チオ−アラ−Cおよび3’−エチニルシチジン(ECYD)が挙げられる。
【0004】
ゲムシタビン塩酸塩(Gemcitabine Hydrochloride),化学名:2−デオキシ−2,2−ジフルオロシチジン塩酸塩はヌクレオシド剤である。これはアメリカのEli Lilly社が開発し,1995年にオーストリア,フィンランドなどで商品名Gemzar(中国語名称は健選)として上市された。ゲムシタビン塩酸塩は細胞周期特異性抗代謝剤である。主としてDNA合成期の腫瘍細胞,即ちS期細胞に作用する。ある条件下で,G1期からS期に進行することを阻止できる。ゲムシタビン塩酸塩は一つのプロドラッグとして,チミンデオキシリボシドキナーゼのリン酸化の良い基質であり,酵素の作用により次の代謝物に変換される:ゲムシタビン一リン酸(dFdCMP),ゲムシタビン二リン酸(dFdCDP)およびゲムシタビン三リン酸(dFdCTP)。これらの中で,dFdCDPとdFdCTPは活性化体である。dFdCDPはリボヌクレオチド還元酵素を抑制し,DNA修復に必要なデオキシヌクレオチドの量を減少させる。ゲムシタビン塩酸塩は非小細胞肺癌,すい臓癌,膀胱癌,乳癌およびその他の実体腫瘍の治療に有効である。ゲムシタビンが引き起こす腸毒性およびその低生物利用性のため,臨床ではゲムシタビンは静脈注射により投与しなければならず,経口投与はできない。
【0005】
5−FU(5−フルオロウラシル)は後期大腸癌を治療する基本薬物である。ゲムシタビン塩酸塩は5−FUとそのターゲット(チミジル酸合成酵素)との結合を促進し,後者がDNA合成を抑制する効果を増強する。大腸癌は悪性の結腸上皮腫瘍である。ヨーロッパ,北米とオーストラリアでは最も一般的な悪性腫瘍の一つである。大腸癌は癌死亡原因の第二位を占める。アフリカ,アジア,南米では,大腸癌の発生率は低いが,ライフスタイルの洋風化により発生率が上がる傾向がある。
【0006】
しかし,この薬物は肝臓で速やかに不活性化されるので,ゲムシタビン塩酸塩は肝臓癌の治療には応用できない。
【0007】
肝臓癌は,世界で癌の中で第三位の死亡原因である。肝臓癌の危険因子には,HBVやHCVが含まれている。世界的に,HBVが肝細胞癌の60%−80%を引き起こすと考えられている。有効な化学療法剤が欠如しているため,肝臓癌については,まだ標準的治療法が確立していない。ドキソルビシンが最も広く使用されている薬剤であると報告されているが,唯一の60例患者を対象とした無作為化対照試験で有効性が示唆されているにすぎない。ドキソルビシンが致命的な合併症を引き起こす可能性は約25%である。ミトロキサントロンは,肝細胞癌の治療薬として認可されているが,肝細胞癌の治療に有効な薬物だとは考えられない。
【0008】
2007年米国臨床腫瘍学第43回年次総会で発表されたソラフェニブ(Sorafenib)の肝細胞癌用薬評価プログラム(SHARP)の臨床試験結果が注目された。研究結果は,ソラフェニブは後期肝細胞癌患者の生存期間を延ばすことができる最初の薬剤であることを示した。この結果は,後期肝臓癌の標準治療法の歴史を書き換える可能性がある。
【0009】
肝機能の特異性のため,ヌクレオシド剤は肝臓で速やかに代謝され非活性体になり,効力を失う。これまで,肝臓癌を治療できるヌクレオシド剤はない。米国Metabasis社は直接に肝で酵素分解する技術,すなわち,肝でサイクリックリン酸のプロドラッグを酵素分解する方法を開発した。これを用いて,非環状および環状抗ウイルス剤或いは抗腫瘍ヌクレオシド化合物の臨床研究に成功した。シタラビン系のプロドラッグの肝臓癌に対する臨床評価が進められている(US2005/0101775;Mark Erion et al.,J.Am.Chem.Soc.2004,126,5154−5163)。しかし,Metabasis社の研究はシタラビンのO位におけるサイクリックリン酸化に限定されている。
【0010】
肝臓を標的としたヌクレオシドプロドラッグは以下の特徴を持つ:
a)肝臓特異性があり,肝臓癌のターゲット治療に用いることができる;b)インビボでリン酸化の律速段階を加速し,その効果を増加できる;c)吸収,浸透,安定性,パイク特性などの物理化学性質を改善できる;d)ヌクレオシド剤の副作用を減らし,付加毒性を引き起こさない。
【0011】
しかし,癌細胞の薬剤耐性は一般的であり,新たな抗癌剤が緊急に求められているため,ヒトの健康を改善するために異なる角度から,安全で信頼性の高い新たな抗癌剤が緊急に必要である。臓器特異性を持つヌクレオシド類プロドラッグは最も有望な新たな方法の一つである。
【0012】
ヌクレオシド類プロドラッグは抗癌剤の副作用を減らす最も有望な新たな方法である。抗癌剤のプロドラッグは目標臓器にデリバリーされると,酵素の作用で活性な化合物に変換されて,効果を発揮する。ヌクレオシド剤の欠点を克服するため,カペシタビンとエノシタビンなどのプロドラッグが開発されている。現在,多くの製薬会社は癌を治療する他のプロドラッグを積極的に研究している(G.Xu,H.L.McLeod,Clin.Cancer Res.,2001,7,3314−3324;M.Rooseboom,J.N.M.Commandeur,N.P.E.Vermeulen,Pharmacol.Rev.,2004,56,53−102;W.D.Wu,J.Sigmond,G.J.Peters,R.F.Borch,J.Med.Chem.2007,50,3743−3746)。
【0013】
WO2005/025552およびWO2006/030217は,カルボン酸エステルでゲムシタビン環の5’−OHを保護した一連のプロドラッグを合成した。その中には,モノカルボン酸エステルおよびビスカルボン酸エステルが含まれる。一般式は次のとおりである:
V-(L)n-COO-(L)m-D
V-(L)n-COO-(L)p-COO-(L)m-D
式中,Dは活性な薬物成分,n,m,pは0または1,LはC1−20,好ましくは1−10,より好ましくは1−3の炭素鎖であり,Lは(CHであり,qは1−3或いは4以上である。Vは保護された鎖の末端であり,Vは代謝過程において切断しうる基或いは原子でありうる。Songらは,アミノ酸エステルでゲムシタビン環の5’−OHを保護することを報告した(Song,X.et al.Mol Pharmaceutics 2004,2,157−167)。Wuらは,リン酸アミドでゲムシタビン環の5’−OHを保護することを報告した(W.D.Wu,J.Sigmond,G.J.Peters,R.F.Borch,J.Med.Chem.2007,50,3743−3746)。最近,WO2009/053654は,リン酸エステル基でゲムシタビン環の5’−OHを保護することを報告した。WO98/32762,WO04/041203,WO2006/098628およびUS2007/225248は,飽和および不飽和カルボン酸エステルでOおよびNを同時に保護して,生物学試験を行っている。
【0014】
最近,米国Eli Lilly社は分枝鎖のカルボン酸アミノ基で保護したゲムシタビンのNプロドラッグであるLY2334737を報告した(WO2006/065525,WO2007/149891,Bender,D.et al.J.Med.Chem.2009,52,6958−6961)。これは臨床試験中であるが,腸毒性の副作用はまだ完全に解決されていない。
【0015】
これまで,環状ジカルボン酸基,例えば,エステル基,アミド基,カルボキシル基など)でゲムシタビンのNを保護することを報告する特許または文献はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】US2005/0101775
【特許文献2】WO2005/025552
【特許文献3】WO2006/030217
【特許文献4】WO2009/053654
【特許文献5】WO98/32762
【特許文献6】WO04/041203
【特許文献7】WO2006/098628
【特許文献8】US2007/225248
【特許文献9】WO2006/065525
【特許文献10】WO2007/149891
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Mark Erion et al.,J.Am.Chem.Soc.2004,126,5154−5163
【非特許文献2】G.Xu,H.L.McLeod,Clin.Cancer Res.,2001,7,3314−3324
【非特許文献3】M.Rooseboom,J.N.M.Commandeur,N.P.E.Vermeulen,Pharmacol.Rev.,2004,56,53−102
【非特許文献4】W.D.Wu,J.Sigmond,G.J.Peters,R.F.Borch,J.Med.Chem.2007,50,3743−3746
【非特許文献5】Song,X.et al.Mol Pharmaceutics 2004,2,157−167
【非特許文献6】Bender,D.et al.J.Med.Chem.2009,52,6958−6961
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の開示
従来の技術における問題点に鑑みて,本発明の目的は,ゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグ,およびゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグを製造する方法を提供することである。本発明のゲムシタビンは,ヌクレオシド抗癌剤のプロドラッグの基本構造として用いられる。1つの観点においては,プロドラッグは,肺癌細胞および膵臓癌細胞における薬剤耐性の可能性を回避するよう設計される。また,N位を改変することにより,その溶解性,生物利用性および臓器特異性を改良することができる。プロドラッグは,高代謝の欠点を克服し,ゲムシタビンにより引き起こされる腸の毒性を低減させ,その生物利用性を改善し,診療所における経口投与を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は,ゲムシタビン構造に基づくプロドラッグを提供する。プロドラッグの一般構造式は式(I)で示される:
【化1】

[式中,aは0−6の整数であり;bは0−6の整数であり;cは1−18の整数であり;dは1−4の整数であり;
Eは,5員または6員の環状アルキル,1−4個の複素原子を有する5員または6員のシクロアルキル,アリール,またはヘテロアリールであり,複素原子は,O,NまたはSから選択される。
【0020】
環中の接続位置は,化学的に許容される任意の位置であることができる。環は,置換基を有していなくてもよく,または化学的に許容される環上の任意の位置に1またはそれ以上の置換基を有していてもよい。
【0021】
Zは,O,NまたはSから選択され;Vは,水素,アルキル,アルコキシ,エステル基,ハロゲン,アミド基,アミノまたは置換アミノから選択される。
【0022】
好ましくは,Eは,以下のいずれかの構造:
【化2】

から選択される。
【0023】
より好ましくは,Eは,以下のいずれかの構造:
【化3】

から選択される。
【0024】
好ましくは,aは0または1であり;bは0または1であり;ZはOまたはNであり;cは10−16であり;dは1または2であり;好ましくは,Vは水素またはアルキルから選択される。
【0025】
ゲムシタビンプロドラッグ誘導体の代表的な合成経路は以下に示されるとおりである:
【化4】

[式中,Rは,
【化5】

であり,E,Z,Vは上で定義したとおりである]。
【0026】
本発明はまた,これらのゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグの合成方法を提供する。該方法は,以下の工程を含む:
1)酸無水物または塩化アシルを,酸無水物または塩化アシル対アルコールまたはアミンのモル比1:1−1:1.5で,アルコールまたはアミンと直接混合するか,またはアルコールまたはアミンとともに有機溶媒に溶解し,そして,室温から反応物の融点までの範囲の温度で2−8時間反応させて,対応する置換酸を生成し;
2)ゲムシタビン塩酸塩,工程1からの置換酸,ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよび4−ジメチルアミノピリジンを,モル比1:(1−2):(0.9−1.5):(1−3)で有機溶媒に溶解し,そして室温で12−24時間撹拌し;
3)工程2の反応溶液を水に注加し,そして抽出する。抽出した有機相を乾燥し,精製して,所望の生成物を得る。
【0027】
好ましくは,工程1における酸無水物は,無水フタル酸,無水ホモフタル酸,無水シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸,無水シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸,無水ピラジンジカルボン酸,無水ピリジンジカルボン酸,無水チオフェンジカルボン酸,無水フランジカルボン酸,無水ピロールジカルボン酸,または無水1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸から選択される。
【0028】
好ましくは,工程1におけるアルコールは,メタノール,n−オクチルアルコール,n−ノニルアルコール,n−デシルアルコール,n−ウンデシルアルコール,ラウリルアルコール,n−デトラデカノール,n−ヘキサデカノール,またはn−オクタデカノールから選択される。
【0029】
好ましくは,工程1におけるアミンは,n−オクチルアミン,n−ノニルアミン,n−デシルアミン,n−ウンデシルアミン,n−ラウリルアミン,n−テトラデシルアミン,n−ヘキサデシルアミンまたはn−オクタデシルアミンから選択される。
【0030】
好ましくは,工程1または2における有機溶媒は,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,テトラヒドロフラン,ジオキシン,ジメチルスルホキシド,スルホランまたはピリジンから選択される。
【0031】
好ましくは,工程1における塩化アシルは,ジカルボン酸とSOCl,PCl,PClまたはPOClとの反応により得られる。工程1におけるジカルボン酸は,ピラジン−2,3−ジカルボン酸,ピリダジン−3,6−ジカルボン酸,イソフタル酸,ピリミジン−4,6−ジカルボン酸,ピリジン−2,5−ジカルボン酸,ピリジン−2,3−ジカルボン酸,ジフェニル−2,2’−ジカルボン酸,ピリジン−2,6−ジカルボン酸,チオフェン−2,5−ジカルボン酸,ピリジン−3,4−ジカルボン酸,ピリジン−2,4−ジカルボン酸,ピラゾール−3,5−ジカルボン酸,フタル酸,テレフタル酸,チオフェン−2,3−ジカルボン酸,チオフェン−3,4−ジカルボン酸,チオフェン−2,4−ジカルボン酸,ピラゾール−3,4−ジカルボン酸,シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸,シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸,シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸,シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸,シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸,シクロペンタン−1,4−ジカルボン酸,ピロール−2,3−ジカルボン酸,ピロール−2,4−ジカルボン酸,ピロール−2,5−ジカルボン酸,フラン−2,3−ジカルボン酸,フラン−2,4−ジカルボン酸またはフラン−2,5−ジカルボン酸から選択される。
【0032】
好ましくは,工程1における反応時間は3−4時間であり;好ましくは,工程2において,ゲムシタビン塩酸塩,工程1から得られる置換酸,ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよび4−ジメチルアミノピリジン(DMP)のモル比は,1:(1.1−1.3):(1.1−1.3):(1.1−1.3)である。
【0033】
本発明はまた,ゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグの用途を提供し,ここで,プロドラッグは,肺癌,膵臓癌,胃癌,乳癌,結腸癌および肝癌の治療用の薬剤の製造のために用いられる。
【0034】
本発明の有益な効果は次のとおりである:
本発明の臓器特異的プロドラッグの研究は,上述のO位の環状リン酸化を有するシタラビンのプロドラッグの研究に基づくものである。より優れた抗癌効果を有するゲムシタビンをこれらのヌクレオシド抗癌プロドラッグの基本構造として用いる。これは,肺癌細胞または膵臓癌細胞におけるゲムシタビンの薬剤耐性を克服することができる。さらに,N位を別の置換基,例えば,芳香族環または異なる複素環を含む脂肪族鎖で修飾することにより,薬剤の溶解性,生物利用性および臓器特異性を高めることができる。得られるプロドラッグは,高代謝の欠点を克服し,ゲムシタビンにより引き起こされる腸の毒性を低減させ,その生物利用性を改善し,診療所における経口投与を可能とする。さらに,これは薬剤の抗腫瘍,抗癌,抗感染および抗拡散の能力を改善することができ,特に肝臓および結腸において作用することができる。
【0035】
本発明の合成経路は,単純な方法および容易に入手可能な材料を利用し,高い収率かつ低いコストであり,工業的製造に適している。
【0036】
ゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグを製造するための,合成法およびスクリーニング方法,特に,種々の癌および関連する疾患を治療するための方法および成分に関連する研究を含む本発明の方法は,シトシン,その置換体または5−N−ヘテロシトシン構造を含む他のヌクレオシド抗癌プロドラッグにも適用することができる。
【0037】
本発明は,特定の臓器,例えば,肺,肝臓,結腸等に直接作用することができる(臓器特異的)関連するヌクレオシドプロドラッグの設計,合成,医薬組成物および適用方法を含む。さらに,本発明の方法は,他のヌクレオシド抗癌剤にも拡張することができる。したがって,本発明の研究は,ゲムシタビンのみならず,他のヌクレオシド抗癌剤,例えば,アザシチジン,デシタビン,アザシトシン,チアゾフリン,ネララビン,6−アザウリジンおよびシタラビン等にも適用可能であり,これらに限定されない。本発明の方法はまた,臨床試験中のヌクレオシド抗癌剤,例えば,2’−デオキシ−2’−フルオロ−メチル,4’−チオ−アラシチジン,4’−チオフルオロ−アラシチジン,3’−エチニルシチジン等にも応用することができる。特定の機能をもつヌクレオシドプロドラッグは,ゲムシタビンに起因する腸毒性を回避し,その生物利用性を改善し,診療所において経口投与により利用できるようにするための合理的な設計および合成により得ることができる。そして,ヌクレオシド薬剤の肝臓における速い代謝に起因する活性喪失の欠点を克服することができる。本発明の研究は,後期肝癌および結腸癌の新規な治療を開発することができる。
【実施例】
【0038】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし,本発明はこれらの実施例により限定されない。
【0039】
ゲムシタビン塩酸塩はNingbo Teampharm Co.,Ltd.より購入した。
(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ)トリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートはGL Biochem(Shanghai)Ltd.より購入した。
4−ジメチルアミノピリジンはGL Biochem(Shanghai)Ltd.より購入した。
【0040】
実施例1
ドデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ベンゾエート(化合物No.1)
無水O−フタル酸(5.0g,34mmol),1−ドデカノール(7.5g,40mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(240mg,2mmol)の混合物を融解するまで加熱し,4時間反応させ,次に室温まで冷却して,2−(ドデシルオキシカルボニル)安息香酸を得た。
【0041】
ゲムシタビン塩酸塩(0.7g,2.34mmol),2−(ドデシルオキシカルボニル)安息香酸(1.02g,3.04mmol),(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ)トリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1.34g,2.57mmol),および4−ジメチルアミノピリジン(428mg,3.51mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し,室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注加し,次に酢酸エチルで3回抽出した。単離した有機相を無水NaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(展開剤:ジクロロメタン/メタノール=30/1)により精製して,362.5mgのドデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ベンゾエートを得た。LC純度98%(UV254).LC−MSm/z580[M+H](分子式:C2939,分子量579,)。化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0042】
実施例2
ウンデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ベンゾエート(化合物No.2)
表題化合物は,実施例1に記載の方法により,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度:95%(UV254).LC−MSm/z566[M+H](分子式:C2837,分子量:565)
【0043】
実施例3
ヘキサデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ベンゾエート(化合物No.3)
表題化合物は,実施例1に記載の方法により,1−ドデカノールの代わりに1−ヘキサデカノールを用い,N,N−ジメチルホルムアミドの代わりにN,N−ジメチルアセトアミドを用い,反応時間を6時間としてて製造した。LC純度96%(UV254).LC−MSm/z636[M+H],(分子式:C3347,分子量:635)
【0044】
実施例4
ドデシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピラジン−2−カルボキシレート(化合物No.4,以下SL−01と表記)
ピラジン−2,3−ジカルボン酸(504mg,3.0mmol)およびDMF(2滴)を15mLのSOClに加えた。反応混合物を5時間還流した。SOClを除去し,612mgのピラジン−2,3−ジカルボニル二塩化物がほぼ定量的に得られた。ピラジン−2,3−ジカルボニル二塩化物(612mg,3.0mmol)をジオキシン(20mL)に溶解した。ジオキシン(5mL)中の1−ドデカノール(558mg)およびEtN(2mL)を氷水浴中の溶液に滴加し,4時間反応させ,濃縮し,乾固した。残渣を水に溶解し,pHを2−3に調節し,酢酸エチルで3回抽出した。単離した有機相を無水NaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去して,3−(ドデシルオキシカルボニル)ピラジン−2−カルボン酸をほぼ定量的に得た。
【0045】
ゲムシタビン塩酸塩(500mg,1.67mmol),3−(ドデシルオキシカルボニル)ピラジン−2−カルボン酸(674mg,2.01mmol),(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(955mg,1.84mmol),および4−ジメチルアミノピリジン(244mg,2.0mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し,室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注加し,次に酢酸エチルで3回抽出した。単離した有機相を無水NaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(展開剤;ジクロロメタン/メタノール=40/1)により精製して,225.7mgのドデシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピラジン−2−カルボキシレートを得た。LC純度98%(UV254).LC−MSm/z582[M+H],(分子式:C2737,分子量:581)。化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0046】
実施例5
ウンデシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピラジン−2−カルボキシレート(化合物No.5)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用い,ジオキシンの代わりにテトラヒドロフランを用いて製造した。LC純度97%(UV254).LC−MSm/z568[M+H],(分子式:C2635,分子量:567).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0047】
実施例6
デシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ベンゾエート(化合物No.6)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにm−フタル酸を用い,ジオキシンの代わりにスルホランを用い,1−ドデカノールの代わりに1−デカノールを用いて製造した。LC純度96%(UV254nm).LC−MSm/z552[M+H],(分子式:C27357,分子量:551)
【0048】
実施例7
ウンデシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ベンゾエート(化合物No.7)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにm−フタル酸を用い,ジオキシンの代わりにジメチルスルホキシドを用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度88%(UV254nm).LC−MSm/z566[M+H],(分子式:C2837,分子量:565)
【0049】
実施例8
ドデシル−6−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ニコチネート(化合物No.8)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,5−ジカルボン酸を用い,反応時間を3時間として製造した。LC純度97%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0050】
実施例9
ドデシル−5−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピコリネート(化合物No.9)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,5−ジカルボン酸を用い,ジオキシンの代わりにピリジンを用いて製造した。LC純度94%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0051】
実施例10
ウンデシル−6−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ニコチネート(化合物No.10)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,5−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度99%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566).化合物の構造およびデータは表1に示される。
【0052】
実施例11
ウンデシル−5−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピコリネート(化合物No.11)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,5−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度97%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0053】
実施例12
ドデシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピコリネート(化合物No.12)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,3−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度97%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580)
【0054】
実施例13
ドデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ニコチネート(化合物No.13)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,3−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度97%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580)
【0055】
実施例14
ウンデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ニコチネート(化合物No.14)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,3−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度98%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566)
【0056】
実施例15
ウンデシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピコリネート(化合物No.15)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,3−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度97%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0057】
実施例16
メチル−2−(2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)フェニル−1−イル)ベンゾエート(化合物No.16)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにビフェニル−2,2−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりにメタノールを用いて製造した。LC純度86%(UV254nm).LC−MSm/z502[M+H],(分子式:C2421,分子量:501)
【0058】
実施例17
ドデシル−2−(2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)フェニル−1−イル)ベンゾエート(化合物No.17)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにビフェニル−2,2−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度98%(UV254nm).LC−MSm/z656[M+H],(分子式:C3543,分子量:655)
【0059】
実施例18
ドデシル−6−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピコリネート(化合物No.18)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,6−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度96%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580)
【0060】
実施例19
ウンデシル−6−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピコリネート(化合物No.19)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,6−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりにn−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度95%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566)
【0061】
実施例20
ドデシル−5−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)チオフェン−2−カルボキシレート(化合物No.20)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにチオフェン−2,5−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度95%(UV254nm).LC−MSm/z586[M+H],(分子式:C2737S,分子量:585).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0062】
実施例21
ウンデシル−5−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)チオフェン−2−カルボキシレート(化合物No.21)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにチオフェン−2,5−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度90%(UV254nm).LC−MSm/z572[M+H],(分子式:C2635S,分子量:571)
【0063】
実施例22
ウンデシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)イソニコチネート(化合物No.22)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−3,4−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度97%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0064】
実施例23
ウンデシル−4−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ニコチネート(化合物No.23)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−3,4−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度97%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0065】
実施例24
ドデシル−3−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)イソニコチネート(化合物No.24)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−3,4−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度95%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580)
【0066】
実施例25
ドデシル−4−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ニコチネート(化合物No.25)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−3,4−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度95%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580)
【0067】
実施例26
ドデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)イソニコチネート(化合物No.26)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸.の代わりにピリジン−2,4−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度96%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0068】
実施例27
ドデシル−4−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピコリネート(化合物No.27)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,4−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度86%(UV254nm).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2838,分子量:580)
【0069】
実施例28
ウンデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)イソニコチネート(化合物No.28)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,4−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度90%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0070】
実施例29
ウンデシル−4−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピコリネート(化合物No.29)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリジン−2,4−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度90%(UV254nm).LC−MSm/z567[M+H],(分子式:C2736,分子量:566)
【0071】
実施例30
ウンデシル−5−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(化合物No.30)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピラゾール−3,5−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度99%(UV254nm).LC−MSm/z556[M+H],(分子式:C2535,分子量:555).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0072】
実施例31
ドデシル−5−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(化合物No.31)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピラゾール−3,5−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度98%(UV254nm).LC−MSm/z570[M+H],(分子式:C2637,分子量:569)
【0073】
実施例32
ウンデシル−2−(2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)フェニル)アセテート(化合物No.32)
表題化合物は,実施例1に記載の方法により,無水O−フタル酸の代わりに無水ホモフタル酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度96%(UV254nm).LC−MSm/z636[M+H],(分子式:C3347,分子量:635)
【0074】
実施例33
ウンデシル−2−(2−(1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イルアミノ)−2−オキソエチル)ベンゾエート(化合物No.33)
表題化合物は,実施例1に記載の方法により,無水O−フタル酸の代わりに無水ホモフタル酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度90%(UV254nm).LC−MSm/z580[M+H],(分子式:C2939,分子量:579)
【0075】
実施例34
ドデシル−2−(2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)フェニル)アセテート(化合物No.34)
表題化合物は,実施例1に記載の方法により,無水O−フタル酸の代わりにホモフタル酸を用いて製造した。LC純度93%(UV254nm).LC−MSm/z594[M+H],(分子式:C3041,分子量:593)
【0076】
実施例35
ドデシル−2−(2−(1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イルアミノ)−2−オキソエチル)ベンゾエート(化合物No.35)
表題化合物は,実施例1に記載の方法により,無水O−フタル酸の代わりに無水ホモフタル酸を用いて製造した。LC純度93%(UV254nm).LC−MSm/z594[M+H],(分子式:C3041,分子量:593)
【0077】
実施例36
ウンデシル−2−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)シクロヘキサンカルボキシレート(化合物No.36)
表題化合物は,実施例1に記載の方法により,無水O−フタル酸の代わりに無水シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸を用い,1−ドデカノールの代わりに1−ウンデカノールを用いて製造した。LC純度95%(UV254nm).LC−MSm/z572[M+H],(分子式:aC2843,分子量:571)
【0078】
実施例37
−(1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)−N−ドデシルピラジン−2,3−ジカルボキサミド(化合物No.37)
ピラジン−2,3−ジカルボン酸(624mg,4.0mmol),1−ドデシルアミン(740mg,4.0mmol),ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(2.6g,4.8mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(488mg,0.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し,室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注加し,次に酢酸エチルで3回抽出した。単離した有機相を無水NaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(展開剤:ジクロロメタン/メタノール=30/1)により精製して,3−(ドデシルカルバモイル)ピラジン−2−カルボン酸(650mg)を得た。
【0079】
ゲムシタビン塩酸塩(200mg,0.67mmol),3−(ドデシルカルバモイル)ピラジン−2−カルボン酸(325mg,1.01mmol),ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(327.6mg,0.74mmol),および4−ジメチルアミノピリジン(98mg,0.80mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し,室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注加し,次に酢酸エチルで3回抽出した。単離した有機相を無水NaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(展開剤:ジクロロメタン/メタノール=10/1)により精製して,290mgのN2−(1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)−N3−ドデシルピラジン−2,3−ジカルボキサミド(化合物No.37)を得た。LC純度98%(UV254).LC−MSm/z581[M+H],(分子式:C2738,分子量:580).化合物の構造および特性データは表1に示される。
【0080】
実施例38
ドデシル−6−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピリダジン−3−カルボキシレート(化合物No.38)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリダジン−3,6−カルボン酸を用いて製造した。LC純度95%(UV254nm).LC−MSm/z582[M+H],(分子式:C2737,MW:581)
【0081】
実施例39
ドデシル−6−((1−((2R,4R,5R)−3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバモイル)ピリミジン−4−カルボキシレート(化合物No.39)
表題化合物は,実施例4に記載の方法により,ピラジン−2,3−ジカルボン酸の代わりにピリミジン−4,5−ジカルボン酸を用いて製造した。LC純度96%(UV254nm).LC−MSm/z582[M+H],(分子式:C2737,MW:581)
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
【表7】

【0089】
【表8】

【0090】
【表9】

【0091】
【表10】

【0092】
【表11】

【0093】
【表12】

【0094】
【表13】

【0095】
薬理試験
細胞分析方法:
プロドラッグ化合物をMTT分析方法を用いて種々の腫瘍細胞に対して試験した。
【0096】
材料
1) 細胞株:NCI−H460,A549,LOVO,HT−29,MDA−MB−231,SGC7901,HepG2或いはBEL−7402細胞株。培養:10%ウシ胎児血清(Hyclone社)を含むD−MEMで付着培養した。初期細胞濃度は約3x10/mlである。細胞は,2−3日ごとに1:3に希釈して継代した。実験の前日に1:2に希釈して継代し,実験時の細胞濃度は5−10x10/mlであった。
2) 化合物の溶解と希釈:提供された薬物の重量と分子量によって,100−200μlのDMSOを加えた。次に,生理食塩水を加え,希釈後の最終薬物濃度を5mM(DMSO最終濃度が10%を超えないことに注意)とした。
3) D−MEMあるいはRPMI1640培地,Gibco社
4) ウシ胎児血清,Hyclone社
5) 細胞解離バッファ,0.25%トリプシン+0.02%EDTA
6) MTT溶液,MTT粉末(Sigma)をPBSで溶解し,5mg/mlの溶液とした。0.22μmの細孔膜で濾過した後,−20℃で保存する。
7) PBSバッファ
8) 10%酸性化SDS,0.01N HCl
9) 遠心チューブ,ピペットなど(BD社),96ウエルプレート(Costar社)
【0097】
手順:
1) 細胞接種:継代後24時間成長させ状態のよい細胞を用いた。細胞は定法により回収し,新鮮な培養液で細胞濃度を2x10/ml(付着細胞)から3x10/ml(浮遊細胞)に調整した。付着細胞は100μl/ウエルで接種し,37℃,5%CO2インキュベーターで24時間培養した。古い培養液を廃棄し,新鮮な培養液を95μl/ウエルで加えた。浮遊細胞は95μl/ウエルで直接接種した。
【0098】
2) 薬物処理:各薬物につき9つの濃度段階を設けた。各濃度につき3つのウエルを用いた。対照群は5つのウエルを用いた。各試験について,同時に対照も試験した。加える薬物の最終濃度は,それぞれ0.25,0.125,0.0625,0.03125,0.016,0.008,0.004,0.002mMであり,対照群には5μlの生理食塩水を加えた。
【0099】
3) 細胞培養と検出:細胞は薬物を加えた後,37℃,5%CO2インキュベーターで72時間培養し,次に各ウエルにMTT10μlを加え,引き続き4時間培養した。各ウエルに100μlの10%SDS(含0.01NHCl)を加えた。24時間後Bio−rad680型ELISAで各ウエルの吸光度(A)を測定した。測定波長は570nm,参考波長は630nmである。
【0100】
計算:まず各ウエルの平均吸光度(差が大きすぎるデータを除く)を計算した。各細胞株の各薬物濃度での阻害率(IR)を次式により算出した:
IR(%)=(1−A/A)×100%
は試験ウエルの平均吸光度であり,Aは対照ウエルの平均吸光度である。EXCELソフトウェアで,薬物濃度効果曲線を描き,合理的な計算方法を採用して,50%細胞生存の薬物濃度(IC50)を計算した。
【0101】
【表14】

【0102】
薬物動態学実験
1.実験材料
1.装置
CX−250超音波クリーナー(北京医療機器二場);LC−10ATVP−ODS高速液体クロマトグラフィー(日本島津製作所);SPD−10AVPUV検出器(日本島津製作所);80−2型遠心機(国華機器有限会社)TGL−16G−A高速冷却遠心機(上海安亭科学機器工場);GL−8813ボルテックスミキサー(江蘇海門其林医用機器工場)
【0103】
2.動物
昆明マウス(25±1g,山東大学実験動物センターから提供,雌雄半々)
2.方法および結果
1.インビトロでの生理学的安定性の評価:
1.1.模倣腸液中におけるゲムシタビンと2種のプロドラッグのインビトロ安定性の評価
ゲムシタビンと2種のプロドラッグを模倣腸液に溶解し,それぞれ0,1,2,4,6,8,12,24時間でサンプルを採取した。HPLC測定方法によって薬物濃度を測定し,ゲムシタビンおよび2種のプロドラッグの模倣腸液における安定性を測定した。結果を表3に示す。
【0104】
【表15】

【0105】
結果:表に示されるように,ゲムシタビンは模倣腸液で分解し,SL−01とSL−02は模倣腸液で安定であった。
【0106】
1.2.PBS(pH=7.4)中での生理学的安定性の評価
ゲムシタビンをPBS(pH=7.4)に溶解し,それぞれ0,1,2,4,6,8,12,24時間でサンプルを採取し,HPLC測定方法によって薬物濃度を測定して,PBS(pH=7.4)におけるゲムシタビンの安定性を評価した。結果を表4に示す。
【0107】
【表16】

【0108】
結果:表に示されるように,ゲムシタビン,SL−01およびSL−02はPBS(pH=7.4)中で安定であった。
【0109】
2.ゲムシタビンおよび2種のプロドラッグの血漿における安定性
2.1.血漿サンプルの処理
血漿サンプル200μlを,EDTA処理した2.5μlのテトラヒドロウリジン溶液(THU,10mg/ml,シチジンデアミナーゼ阻害剤,ゲムシタビンのデオキシウリジンへの代謝を防止しうる)を含む遠心チューブに加えた。血漿サンプルに1mlイソプロピルアルコールを加え,30秒間渦動し,5分間静置した。2.5mlの酢酸エチルを加えて渦動し,4000rpmで15分間遠心した。上清を窒素気流中で乾燥させた。乾燥したサンプルを200μlのHPLC流動相溶液に溶解し,20μlをHPLCに注入した。
【0110】
2.2.ゲムシタビンとプロドラッグのヒト血漿中における安定性
ゲムシタビン,SL−01およびSL−02標準溶液をそれぞれ血漿で希釈して,0,1,2,4,6,8,12,24時間でサンプルを採取した。サンプルは標準方法によって処理した。20μlのサンプルを注入して,クロマトグラムのピーク面積を記録し,これを用いて薬物濃度を測定して,ゲムシタビン,SL−01およびSL−02の血漿中での安定性を調べた。結果を表5に示す。
【0111】
【表17】

【0112】
結果:表に示されるように,ゲムシタビンは血漿中で安定であり,SL−01およびSL−02は血漿中で分解した。
【0113】
3.動物実験
3.1.ゲムシタビン
適量のゲムシタビンを秤量し,ゲムシタビン6.25mg/mlを含む対照溶液を調製した。溶液を0.22μmのマイクロフィルター膜で濾過滅菌した。
【0114】
120匹の健康な昆明マウスを無行為2群に分けた。第1群にはゲムシタビンを経口投与し(強制経口投与による),第2群には尾部静脈からゲムシタビンを静脈注射した。各時点につき5匹を並行設定した。投与薬剤量は50mg/kg(各マウスに0.2ml投与する)。投与前に12時間絶食させ,水は自由に摂取させた。薬剤を投与した後,5分,15分,30分,45分,1,2,4,6,8,12,24,48時間に目底の静脈から採血し,2.5μlテトラヒドロウリジン(THU,10mg/ml)を含むヘパリンナトリウム処理遠心チューブに入れ,4000r/minで15分間遠心した。上清に1mlイソプロピルアルコールを加え,30秒間渦動し,5分間静置した。2.5mlの酢酸エチルを加え,渦動し,4000rpmで15分間遠心し,上清を窒素気流中で乾燥させた。乾燥したサンプルを200μlのHPLC流動相溶液に溶解し,20μlのサンプルをHPLCに注入した。クロマトグラムのピーク面積を記録した。ゲムシタビンの血漿濃度を計算して,ゲムシタビンの平均濃度を時間に対してプロットした。結果を表6に示す。
【0115】
【表18】

【0116】
3.2.SL−01およびSL−02の薬物動態学
SL−01およびSL−02サンプルを125mg正確に秤量し,10mlの容量フラスコに入れた。メモリまで水を加え(0.1%Tween−80を含む),均一に混合し,SL−01およびSL−02懸濁液を得た。
【0117】
100匹の健康な昆明マウスを無行為に2群に分けた,第1群にはSL−01を投与し,第2群にはSL−02を投与した。各時点につき5匹を並行設定した。SL−01およびSL−02を投与量100mg/kg(各マウスに0.2ml投与する)で強制経口投与した。マウスは投与前に12時間絶食させ,水は自由に摂取させた。血液サンプルは,薬剤を投与した後,5分,15分,30分,45分,1,2,4,6,8,12,および24時間で目底の静脈から採血し,2.5μlのテトラヒドロウリジン溶液(THU,10mg/ml)を含むヘパリンナトリウム処理遠心チューブに入れた。4000r/minで15分間遠心した。上層溶液に1mlイソプロピルアルコールを加え,30秒間渦動し,5分間静置した。2.5mlの酢酸エチルを加え,渦動し,4000rpmで15分間遠心し,上清を窒素気流中で乾燥させた。乾燥サンプルを200μlのHPLC流動相に溶解し,20μlを注入した。クロマトグラムのピーク面積を記録した。SL−01およびSL−02の血漿濃度を計算した。SL−01およびSL−02の平均濃度を時間に対してプロットした。結果を表7および表8に示す。
【0118】
【表19】

【0119】
【表20】

【0120】
D:投与量
4.ゲムシタビン,SL−01およびSL−02の肝ミクロゾーム酵素による代謝
4.1.肝S9の調製
マウスの肝臓を摘出し,冷食塩水で洗浄し,ろ紙で乾燥し,切断して小片とした。溶出液が無色あるいは淡黄色となるまで氷冷PBS(pH=7.4)溶液で2−3回洗浄した。肝臓の小片を細かく切断した。肝臓の重量の約4倍のPBS(pH=7.4)溶液を加えた。酵素活性の低下を避けるために,氷浴中で均質化した。均質化混合物をストッパー付き遠心チューブに入れて,20分間(4000r/min)遠心して,上清を回収した。次に上清を20分間(12000r/min)遠心分離して,得られた上清をS9画分とした。
【0121】
4.2.酵素代謝実験
肝ミクロソームS9画分を薬物溶液と混合した。混合物1800μlをテストチューブに入れて,37℃水浴で5分間プレインキュベーションした。200μlの10mmol/LのNADPH溶液を加えて反応を開始した。反応液の終体積は2mlである。0,10,20,40分,1,2,4,6および12時間で,200μlのインキュベーション溶液を採取した。直ちに1mlイソプロピルアルコールを加え,30秒間渦動し,5分間静置した。2.5mlの酢酸エチルを加え,渦動し,4000rpmで15分間遠心し,上清を回収して窒素気流中で乾燥させた。200μlのHPLC流動相に溶解し,20μlを注入した。クロマトグラムのピーク面積を記録した。結果を表9に示す。
【0122】
【表21】

【0123】
SL−01静脈注射による癌細胞成長の抑制の動物実験
1.化合物の溶解および希釈:ゲムシタビン塩酸塩(506.6mg)またはSL−01粉末(482.4mg)をそれぞれ生理食塩水(NS)とDMSO(SIGMA)に溶解した。両者の最高濃度はそれぞれ10mg/mlと240mg/mlである。薬物はGrephor EL,EtOHと生理食塩水を用いて希釈した。具体的な方法については表10を参照。各マウスの体重が20gであり,0.1mlの薬剤を投与すると仮定して計算すると,SL−01を5,10および20mg/Kg投与するのに必要な薬物濃度はそれぞれ1,2,4mg/mlである。薬物は包装して−20℃で保存した。
【0124】
【表22】

【0125】
2.細胞株および培養:NCI−H460肺癌細胞株,HepG2肝臓癌細胞株,或いはHT29大腸癌細胞株は,10%ウシ胎児血清(Hyclone社)を含むD−MEM培地(Gibco社)で付着培養により培養した。2−3日ごとに1:3希釈することにより継代した。細胞は25個の10cm培養皿になるまで継代し,回収した。
【0126】
3.実験方法:
3.1.ヌードマウス移植腫瘍モデルの樹立:良好に成長したNCI−H460細胞,HT29細胞或いはHepG2細胞(25個10cm培養皿)を回収した。無血清DMEMで細胞濃度を1.5×10/mlに調節した。1mlシリンジを用いて200μlの細胞懸濁液を6週齢の雄BALB/Cヌードマウス右側背部皮下に接種した。
【0127】
3.2.動物の群分けと処置:腫瘍体積が300mmになったときに,ヌードマウスを無行為に各群3−4匹の5群に分けた。(1)対照群,(2)陽性対照ゲムシタビン(GEM)群(10mg/Kg),(3)SL−01低用量群(5mg/Kg),(4)SL−01中用量群(10mg/Kg),(5)SL−01高用量群(20mg/Kg)。処置開始時を第1日(d0)として,3日ごとに対応する薬剤を尾静脈に静脈注射した。各マウスの投与容量は体重により調節して,計4回(d0,d3,d6,d9)投与した。投与開始時および投与後3日ごとにカリパスで腫瘍長短径を測定した。腫瘍体積V(V=1/2ab,a:腫瘍長径,b:腫瘍短径)を計算した。横軸を時間,縦軸を腫瘍体積として成長曲線を描いた。対照群腫瘍体積が約3000mmになったときに実験を終えた。眼球から血液を採取した後,頚椎脱臼法で各群のヌードマウスを犠牲死させた。腫瘍組織を取り出して秤量し,腫瘍成長の阻害率を計算した。腫瘍成長阻害率(%)=(1−治療群平均腫瘍重量/対照群平均腫瘍重量)×100%。
【0128】
4.実験結果:
4.1.腫瘍成長曲線および腫瘍体重によれば,SL−01およびゲムシタビンの両方ともNCI−H460腫瘍移植ヌードマウスに対して阻害効果を有していた。ただし,ゲムシタビンと比べると,SL−01の阻害作用はより弱かった。SL−01高用量群(20mg/Kg)の阻害効果はGEM(10mg/Kg)と同様であった。しかし,体重減少の点から薬物毒性を評価すると,陽性対照GEMは試験終了時の体重減少率は14%であるが,SL−01高用量群(20mg/Kg)の体重減少率はわずか7%であり,SL01の毒性はGEMより低い。
【0129】
4.2.ヌードマウスに移植したHepG2肝臓癌細胞株の腫瘍成長の処置における,低,中,高用量群のSL−01の用量は10,20および40mg/Kgであった。腫瘍成長曲線および腫瘍体重から判定して,SL−01もゲムシタビンもヌードマウスに移植したHepG2腫瘍成長に対して明らかな阻害作用を示さなかった。SL−01高用量群(40mg/Kg)はGEMと同様の阻害効果を有する。体重減少により薬物の毒性を評価すると,GEM陽性対照は体重減少率は9%であり,SL−01低(10mg/Kg),中(20mg/Kg),および高用量群(40mg/Kg)での体重減少率はそれぞれ11.6%,14%および3.5%であった。
【0130】
4.3.相対体積から求めた腫瘍成長曲線から判定して,GEM群,SL−01中用量群(20mg/Kg),および高用量群(40mg/Kg)は,ヌードマウスに移植したHT29腫瘍成長に対して一定の阻害作用を有していた。試験終了時の阻害率はそれぞれ15%,23%と7%である。同用量では,SL−01の阻害効果は同等の量のGEMより大きい。体重減少の程度から薬物毒性を評価すると,陽性対照GEMとSL−01とも明らかな毒性を示さなかった。同用量のGEM(20mg/Kg)およびSL−01(20mg/Kg)群の体重減少率(%)は第17日でそれぞれ4%と8%であった。
【0131】
SL−01の経口投与による癌細胞阻害の動物実験
1.実験材料
1. SL−01は,白色の粉末製品であり,水に難溶である。胃内投与用に,2.5%澱粉を用いて懸濁製剤を調製した。ゲムシタビンは白色の粉末製品であり,水に易溶である。試験においては生理食塩水に溶解し,マイクロフィルタ膜で濾過してから尾部に静脈内投与した。陽性対照:フトラフール(FT−207),経口製剤,斉魯製薬有限会社製。
【0132】
2. 実験動物:Balb/cヌードマウス(雌)50匹,4−5週齢,北京大学医学部実験動物科学部から購入した。
【0133】
3. 腫瘍細胞,培地および各種溶液:
H460細胞,ヒト肺癌細胞株,中国科学院上海細胞庫から購入した。
RPMI−1640培地,米国invitrogen社から購入した。
ウシ胎児血清,中米協力蘭州民海生物工程有限会社から購入した。
その他の試薬:0.02%EDTA−0.25%トリプシン溶液,PBS,生理食塩水
【0134】
4. 実験装置:細胞インキュベーター,クリーンベンチ,遠心分離機,ラット/マウスラミナーフローテーブル,キャリパー,手術器具,シリンジ,強制経口投与器具,オートクレーブなど。
【0135】
2.実験方法
1. 腫瘍細胞の培養:H460細胞株を10%ウシ胎児血清を含むRPMI−1640培地を用いて37℃,5%CO2インキュベーターで培養した。細胞は定法により継代した。
【0136】
2. ヌードマウスに腫瘍細胞を接種する方法:培養フラスコで80フラスコまで成長したときに細胞を回収した。消化する前に,PBSで細胞を2回洗浄し,各フラスコに消化液を1.5ml加えた。顕微鏡下で観察して,細胞がはがれたときに消化を終了した。細胞を懸濁し,50ml遠心チューブに入れ,遠心分離してPBSで2回洗浄した。計数してから,約10mlの生理食塩水に懸濁して,ヌードマウス接種用の腫瘍細胞懸濁液を得た。各ヌードマウスの左前肢の脇下に1×10/0.2mlの腫瘍細胞を接種した。接種後,腫瘍成長状況を観察した。
【0137】
3. 試験デザイン,投与方法および用量の調節:腫瘍細胞を接種した5日後,ヌードマウスを無行為に5匹ずつ6群に分けて,(1)陰性対照群6匹,(2)陽性対照群6匹,(3)SL−01中用量群6匹,(4)SL−01低用量群6匹および(5)ゲムシタビン対照群6匹とした。
【0138】
【表23】

【0139】
4.薬物治療効果の評価方法:薬投与を開始する前と投与後,毎週体重を測定した。腫瘍長径(a)と短径(b)を測定した。腫瘍体積の計算式は,V=(a×b)/2である。3週間投与した後,ヌードマウスを犠牲死させた。腫瘍を摘出して秤量し,次式により腫瘍に対する薬剤の成長阻害率を計算した。
腫瘍成長阻害率%=(W−W)/W×100%
式中,Wは陰性対照群腫瘍の重量であり,Wは投与群腫瘍の重量である。
【0140】
3.実験結果:試験期間は30日であり,その内投与期間は22日であり,7回投与した。結果は以下の通りである。
【0141】
腫瘍体積に対する薬剤の影響:投与後の7,14,18,22日目で各群のヌードマウスの腫瘍体積を測定した。表12を参照。
【0142】
【表24】

【0143】
2.ヌードマウス体重に及ぼす薬剤の影響:ゲムシタビン静脈投与群,SL−01中用量群と小用量群では動物の体重減少に明らかな影響を示した。表13に示されるように,ゲムシタビン治療群の体重は20.9%減少し,SL−01中用量群とSL−01小用量群の体重はそれぞれ14.8%と14.3%減少した。
【0144】
【表25】

【0145】
3.腫瘍重量に対する薬剤の影響:試験終了時,動物を犠牲死させて,腫瘍を摘出し,秤量した。結果を表14に示す。
【0146】
【表26】

【0147】
t検定により分析して,陽性対照群,ゲムシタビン群,SL−01中用量群およびSL−01小用量群は有意な有効性を示した。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化6】

[式中,aは0−6の整数であり;bは0−6の整数であり;cは1−18の整数であり;dは1−4の整数であり;
Eは,5員または6員の環状アルキル,1−4個の複素原子を有する5員または6員のシクロアルキル,アリール,またはヘテロアリールであり,ここで,複素原子はO,NまたはSから選択され;
Zは,O,NまたはSから選択され;
Vは,水素,アルキル,アルコキシ,エステル基,ハロゲン,アミド基,アミノまたは置換アミノから選択される]
の構造を有するゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグ。
【請求項2】
Eは,以下のいずれかの構造:
【化7】

から選択される,請求項1記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグ。
【請求項3】
Eは,以下のいずれかの構造:
【化8】

から選択される,請求項2記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグ。
【請求項4】
aは0または1であり,bは0または1であり,ZはOまたはNであり,cは10−16えあり,dは1または2であり;Vは,水素またはアルキル基から選択される,請求項1記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグ。
【請求項5】
請求項1記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグを製造する方法であって,
1)酸無水物または塩化アシルをアルコールまたはアミンと,直接または有機溶媒に溶解して,酸無水物または塩化アシル対アルコールまたはアミンのモル比1:1−1:1.5で混合し,そして,室温から融点までの範囲の温度で2−8時間反応させて,対応する置換酸を生成し;
2)ゲムシタビン塩酸塩,工程1から得られた置換酸,ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよび4−ジメチルアミノピリジンを,ゲムシタビン塩酸塩,工程1から得られた置換酸,ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよび4−ジメチルアミノピリジンのモル比1:(1−2):(0.9−1.5):(1−3)で有機溶媒に溶解し,そして室温で12−24時間撹拌し;
3)工程2からの反応溶液を水に加え,抽出し,乾燥し,そして単離された有機相を精製して,所望の生成物を得る,
の各工程を含む方法。
【請求項6】
工程1における酸無水物は,無水フタル酸,無水ホモフタル酸,無水シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸,無水シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸,無水ピラジンジカルボン酸,無水ピリジンジカルボン酸,無水チオフェンジカルボン酸,無水フランジカルボン酸,無水ピロールジカルボン酸,無水1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸から選択される,請求項5記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグを製造する方法。
【請求項7】
工程1におけるアルコールは,n−オクチルアルコール,n−ノニルアルコール,n−デシルアルコール,n−ウンデシルアルコール,ラウリルアルコール,n−デトラデカノール,n−ヘキサデカノール,またはn−オクタデカノールから選択され,工程1におけるアミンは,n−オクチルアミン,n−ノニルアミン,n−デシルアミン,n−ウンデシルアミン,n−ラウリルアミン,n−テトラデシルアミン,n−ヘキサデシルアミンまたはn−オクタデシルアミンから選択される,請求項5記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグを製造する方法。
【請求項8】
工程1における塩化アシルは,二酸とSOCl,PCl,PClまたはPOClとの反応から得られるものであり,ここで,二酸は,ピラジン−2,3−ジカルボン酸,ピリダジン−3,6−ジカルボン酸,イソフタル酸,ピリミジン−4,6−ジカルボン酸,ピリジン−2,5−ジカルボン酸,ピリジン−2,3−ジカルボン酸,ピリジン−2,6−ジカルボン酸,ジフェニル−2,2’−ジカルボン酸,チオフェン−2,5−ジカルボン酸,ピリジン−3,4−ジカルボン酸,ピリジン−2,4−ジカルボン酸,ピラゾール−3,5−ジカルボン酸,フタル酸,テレフタル酸,チオフェン−2,3−ジカルボン酸,チオフェン−3,4−ジカルボン酸,チオフェン−2,4−ジカルボン酸,ピラゾール−3,4−ジカルボン酸,シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸,シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸,シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸,シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸,シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸,シクロペンタン−1,4−ジカルボン酸,ピロール−2,3−ジカルボン酸,ピロール−2,4−ジカルボン酸,ピロール−2,5−ジカルボン酸,フラン2,3−ジカルボン酸,フラン−2,4−ジカルボン酸またはフラン−2,5−ジカルボン酸から選択される,請求項5記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグを製造する方法。
【請求項9】
工程1の反応時間は3−4時間であり,工程2において,ゲムシタビン塩酸塩,工程1から得られた置換酸,ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよび4−ジメチルアミノピリジン(DMP)を1:(1.1−1.3):(1.1−1.3):(1.1−1.3)のモル比で反応させ,工程1および2における有機溶媒は,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,テトラヒドロフラン,ジオキシン,ジメチルスルホキシド,スルホランまたはピリジンから選択される,請求項5記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグを製造する方法。
【請求項10】
請求項1記載のゲムシタビンの構造に基づくプロドラッグの,肺癌,膵臓癌,乳癌,結腸癌,胃癌および肝癌の治療用の薬剤の製造における使用であって,薬剤は診療所で静脈内または経口で投与される,上記使用。



【公表番号】特表2012−524113(P2012−524113A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506308(P2012−506308)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/CN2010/000372
【国際公開番号】WO2010/121486
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511254273)サンルゲン ファーマテック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】