説明

ゲランガム又はその誘導体、固形化合物及び1価の塩を含む化粧組成物、該組成物の使用方法及びその使用

【課題】安定な非−洗浄性の水性液状の化粧組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、化粧品として受容可能な媒体中に、少なくとも一つのゲランガム又はその誘導体、少なくとも一つの固形化合物及び少なくとも一つの1価の塩を含む非−洗浄性水性液状化粧組成物に関する。さらに、本発明に従う化粧組成物を使用するヘアスタイルの形成及び保持方法に関し、また、この化粧組成物の、毛髪を固定しかつ保持するためのスタイリング組成物、毛髪コンディショニング組成物、特に毛髪に柔軟性を付与するための組成物、又は毛髪又は外皮のメーキャップ組成物としての使用に関する。本発明はさらに、ヘアスタイルを形成し又は保持するためのゲランガム又はその誘導体と1価の塩の組み合わせにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、化粧品として受容可能な媒体中に、少なくとも一つのゲランガム又はその誘導体、少なくとも一つの固形化合物及び少なくとも一つの1価の塩を含む非−洗浄性水性液状化粧組成物に関する。本特許出願はさらに、この化粧組成物を使用するヘアスタイルの形成又は保持方法に関し、また、この組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の分野で固形粒子を含む組成物を使用することは一般に行われている。最近、化粧組成物に虹色の又は真珠光沢の化合物を添加するという傾向が、市場におけるこれらの組成物の復活をもたらした。すなわち、皮膚及び外皮用のメーキャップ製品のみならず、ボディ洗浄組成物、シャンプー及び毛髪形成組成物にも懸濁物中に固形粒子を含むものが現れた。
これらの組成物によって生じる主な問題はその安定性である。固形粒子の懸濁物の安定性は、第1に支持体の粘度に関連し、第2に支持体における固形粒子の分散の均一性を保持することに関連する。温度が上昇するのに伴って、又は単に時間の経過により、固形粒子の沈殿(固形粒子の密度が支持体の密度より大きい場合)又はクリーミング(固形粒子の密度が支持体の密度より小さい場合)が一般に観察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
あらゆる種類のゲル化剤が安定な組成物を得るために使用されてきており、それらは不飽和有機カルボン酸又は不飽和エステルのポリマー又はコポリマーであり、多糖類の誘導体、ガム、コロイド状シリケート、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及び親水性シリカゲルである。しかしながら、これらのゲル化剤で得られた結果は必ずしも満足すべきものではなく、また使用した固形粒子の性質によって変化する可能性がある。
本出願人の特許出願FR 2 700 952は、熱可塑性材料製の発泡した中空ミクロスフェアによって懸濁物中に固形粒子を含んでもよいゲルを安定化させることを提案し、このミクロスフェアは、200kg/m3の比重を有し、該ミクロスフェアを組成物の全質量に対して0.1質量%〜10質量%の比率で組成物に添加し、該組成物はさらに脂肪物質を含まない。
バイエルスドルフ社(Beiersdorf A.G.)が出願した特許出願WO 02/072063は、界面活性剤、キサンタンガム及びゲランガムの混合物の懸濁物中に粒子を含む洗浄組成物を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことにかつ有利なことに、本出願人は、ゲランガム又はその誘導体と1価の塩を組み合わせて使用すると、固形粒子を含む非−洗浄性水性液状組成物の安定化が可能であることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本特許出願において、“固形粒子”及び“固形化合物”という用語は同等であり、最終の化粧組成物において常に固形の形態にある化合物又は粒子を意味する。
ゲランガム又はその誘導体と1価の塩との組み合わせにより、粘度が非常に低い(約0.1Pa.s(1ポイズ)〜1Pa.s(10ポイズ))媒体においても、固形粒子を完全な懸濁状態にすることが可能となる。得られた化粧組成物は、温度を変化させた場合であっても、数ヶ月間安定である。
この組み合わせを含む組成物のチキソトロピー性によって、該組成物をスプレーの手段により又はエアゾールとして適用した場合に、これらのスタイリング化粧組成物の特性を完全に回復することが可能となる。
この組み合わせは非−洗浄性の水性液状化粧組成物で使用される。毛髪形成又は保持組成物においてこれを使用することが有利である。
【0006】
この組み合わせの他の利点は、これによって毛髪に良好な化粧特性、特に感触(柔軟な感触)及びくし通りに関して良好な特性を付与する組成物の製造が可能となることである。
ヘアスタイルを形成しかつ/又は保持する化粧組成物でこの組み合わせを使用すると、得られた組成物によって毛髪の良好な固定及び良好な保持が可能となり、すなわち良好なスタイリング作用が可能となり、この作用が1日中、さらには数日間持続し、この作用には良好な耐水性があり、かつシャンプー処理によって容易に除去される。
本発明は、ゲランガム又はその誘導体及び1価の塩を含む組み合わせの、スタイリングにおける使用、及びゲランガム又はその誘導体及び1価の塩から成る組み合わせの、スタイリングにおける使用、に関連し、後者の態様に従うと、該組み合わせは標準的な固定剤を全く含まない。
【0007】
本発明の主題は、化粧品として受容可能な媒体中に、少なくとも一つのゲランガム又はその誘導体、少なくとも一つの固形化合物及び少なくとも一つの1価の塩を含む非−洗浄性の水性液状化粧組成物である。
好ましくは、本発明に従う化粧組成物は毛髪用組成物、好ましくは毛髪用スタイリング化粧組成物である。
本発明の他の主題は、本発明に従う化粧組成物を使用するヘアスタイルの形成又は保持方法から成る。
【0008】
本発明の第4の主題は、本化粧組成物の、毛髪を固定しかつ保持するスタイリング組成物、ヘアケア組成物、毛髪コンディショニング組成物、特に毛髪に柔軟性を付与する組成物、又は毛髪若しくは外皮(まつげ、爪及びその他の体毛)用のメーキャップ組成物としての使用に関する。
このように、本特許出願は、本発明に従う化粧組成物の、毛髪を固定し、毛髪を保持し、毛髪に化粧特性を付与するための使用に関する。
本発明に従う化粧組成物はスプレー、ムース又はジェルの形態にあることができる。
本発明の他の主題、特徴、観点及び利点は以下の説明及び例を読むことによってより明らかとなる。
【0009】
いずれの理論に拘束される意図はないが、本特許出願に従う化粧組成物はジェルの形態にあることができ、すなわち分子の三次元のネットワークであってその網の中に大量の溶媒を保持するものであることができる。このようなネットワークの形成はそのゲル化を構成する。
本特許出願に従う化粧組成物はムースの形態にあることもできる。
【0010】
本特許出願の目的のために、“スタイリング化粧組成物”という用語はヘアスタイルを形成し又は保持する組成物を意味する。
本特許出願に従うと、“液状組成物”という用語は、水の粘度と5Pa.s(50ポイズ)の間、好ましくは水の粘度と2Pa.s(20ポイズ)の間に該組成物の粘度があることを意味する。
本特許出願に従うと、“水性組成物”という用語は、本発明に従う組成物で使用する化粧品として受容可能な媒体が水性媒体であって、少なくとも一つの追加の有機溶媒を含んでもよいものを意味する。
【0011】
本発明に従う組成物で使用する追加の有機溶媒を以下から選択する:C1〜C4低級アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、又はn−ブタノール、ポリオール、例えばプロピレングリコール、ポリオールエーテル、及びこれらの混合物;使用するのが好ましいアルコールはエタノールである。
本特許出願に従う水性組成物は10質量%より少ない油状化合物を含み;“油状化合物”という用語は、液状及び固形状の油状化合物の両者を意味する。
本発明に従う組成物は非−洗浄性の化粧組成物であり、本特許出願の目的のために、“非−洗浄性の化粧組成物”という用語は、組成物の全質量に対して4質量%を越える界面活性剤を組成物が含まないことを意味する。
【0012】
ゲランガムは、Shingomonas elodea、より一般的にはPseudomonas elodeaとして知られているものの好気性培養によって生産される多糖類である。この直鎖の多糖類は以下の単糖類の配列から成る:D−グルコース、D−グルクロン酸及びL−ラムノース。自然の状態では、ゲランガムは高度にアシル化されている。
本発明に従う組成物で使用することが好ましいゲランガムは少なくとも部分的に脱アシル化されているゲランガムである。この少なくとも部分的に脱アシル化されているゲランガムは、高温でのアルカリ処理によって得られる。
KOH又はNaOH溶液を例えば使用する。
ケルコ(Kelco)社により“Kelcogel(登録商標)”の商品名で市販されている精製したゲランガムが、本発明に従う組成物を製造するのに好適である。
【0013】
ゲランガム誘導体は、標準的な化学反応、例えば特にエステル化又は有機若しくは無機酸の塩の付加を行うことによって得られる全ての生成物である。
使用することができるゲランガム誘導体の例はウエランガムである。ウエランガムはアルカリゲネス菌株ATCC 31 555を使用する発酵によって変性したゲランガムである。ウエランガムは、D−グルコース、D−グルクロン酸及びL−ラムノース単位から成る主鎖から形成した繰り返し五単糖構造を有し、該主鎖に側鎖のL−ラムノース又はL−マンノース単位をグラフトしたものを有する。
ケルコ(Kelco)社により“Kelco Crete(登録商標)”の商品名で市販されているウエランガムが、本発明に従う組成物の製造に適している
本発明に従う組成物で使用するゲランガム又はその誘導体の濃度は、組成物の全質量に対して0.005質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜5質量%、より好ましくは0.02質量%〜3質量%である。
【0014】
本発明に従う組成物で使用することができる1価の塩は、1価のカチオンの塩、例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、又はこれらの混合物である。アルカリ金属の1価カチオンは以下のカチオンである:Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+。Na+は本発明に従う組成物で使用するのが好ましい。
対イオンは無機又は有機アニオンであり、Cl-が好ましい。
使用する塩は好ましくはNaClである。
本発明に従う組成物で使用する一又は複数の1価の塩の濃度は組成物の全質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%である。
有利には、1価の塩/ゲランガム又は誘導体の比率は1%〜50%、好ましくは2%〜30%である。
【0015】
本特許出願に従う化粧組成物で使用することができる固形化合物又は固形粒子は化粧品として受容可能な化合物であり、これらは室温(20℃〜40℃)及び大気圧の条件下で固形である。化粧品として受容可能な媒体中で0.01g/100gより小さい溶解性を有するあらゆる形態の全ての有機、無機又はハイブリッド固形物を使用することができる。特に、所要の溶解性を有する中空の球体を使用することができる。
好ましくは、固形化合物はポリマーでない固形化合物であり、好ましくは固形化合物は活性成分を含むカプセルの形態にはない。
【0016】
固形化合物のうちで使用するのが好ましいのは、固形の真珠光沢剤又は不透明化剤、固形の顔料、固形の日焼け止め剤、不溶性のラメラ状でない微粉状化合物、寒天のスフェア、多糖類のスフェア、及び活性粒子、特に硫化セレン、亜鉛ピリチオン、ワックス、例えばリンゴワックス、ヒマワリワックス、カンデリラワックス、ミツロウ、カルナウバワックス及び動物ワックス又は合成ワックス、及びフィラーである。
本特許出願に従う組成物で真珠光沢剤又は不透明化剤として使用することができる剤を、被覆していない酸化チタン、被覆した酸化チタン、チタンマイカ及びマイカから選択する。
【0017】
本特許出願に従う組成物で使用することができる酸化チタンは一般に2〜500ナノメートル、好ましくは2〜300ナノメートル、より好ましくは2〜50ナノメートルの粒径を有する。
本特許出願に従う組成物で使用することができる被覆していない酸化チタンは以下のものである:
粉末形態の被覆していない酸化チタン:
a)バイエル(Bayer)社により市販されているBayertitan及びTitanium Dioxide A、 b)カードル(Cardre)社により市販されている70110 Cardre UF TIO2、
水性分散物としての被覆していない酸化チタン、該酸化チタンは水性分散物の全質量に対して10質量%、20質量%又は30質量%該分散物に含まれ、15、20又は60ナノメートルに等しい粒径を有する:
・キャタリスト アンド ケミカルズ(Catalysts & Chemicals)社が市販するSunveil 1010、Sunveil 1020、Sunveil 1030、Sunveil 2020、Sunveil 2030、Sunveil 6010及びSunveil 6030、
・カラー テクニクス(Color Techniques)社により市販されているMicro Titanium Dioxide-USP級。
【0018】
本特許出願に従う組成物で使用することができる被覆した酸化チタンは以下のものである:
・ポリジメチルシロキサンで被覆した酸化チタン(カードル(Cardre)社により市販されているCardre Ultrafine Titanium Oxide AS)、
・ポリメチルヒドロゲノシロキサンで被覆した酸化チタン(ポリメチルヒドロゲノシロキサンで被覆した未処理の酸化チタン、ミヨシ(Miyoshi)社によりCosmetic White SA-C47-051-10の商品名で市販されているもの、
・ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテルで被覆した酸化チタン(カードル(Cardre)社により市販されているCardre Mica FHC 70173又は70170 Cardre UF TIO2 FHC)、
・シリカで被覆した酸化チタン(キャタリスト アンド ケミカルズ(Catalysts & Chemicals)社が市販するSpherititan AB)、
・テフロン(登録商標)で被覆した酸化チタン(クラーク カラーズ(Clark Colors)社が市販するCS-13997 Teflon Coated Titanium Dioxide)、
・ポリエステルで被覆した酸化チタン(デソト(Desoto)社が市販するExperimental Desoto Beads)、
・キトサンで被覆した酸化チタン(ダイニホン カセイ(Dainihon Kasei)社が市販するCT-2 Titanium Dioxide MT-500SA)、
・N−ラウリル−L−リジンで被覆した酸化チタン(ダイニホン カセイ(Dainihon Kasei)社が市販するLL-5 Titanium Dioxide A100、LL-3 Titanium Dioxide MT-100SA、LL-5 Titanium Dioxide CR-50、LL-5 Titanium Dioxide MT-100SA又はLL-5 Titanium Dioxide MT-500SA)。
【0019】
以下のものを使用することも可能である:白色の真珠光沢顔料、例えば酸化チタン又はビスマスオキシクロリドで被覆したマイカ、着色した真珠光沢顔料、例えば酸化鉄又は酸化クロムで着色したチタンマイカ、有機顔料、例えば特に以下に述べる有機顔料で着色したチタンマイカ、又はビスマスオキシクロリドを主体とする真珠光沢顔料。
本特許出願に従う組成物で使用することができるチタンマイカは以下の製品である:
− エカート(Eckart)社が市販するFlonac FS 20 C、Flonac ME 10 C、Flonac MG 10C、Flonac MI 10 C、Flonac ML 10 C及びFlonac MS 10 C、
− エンゲルハート(Engelhard)社が市販するTimica Iridescent Red又はMattina Green、
− メルク(Merck)社が市販するTimiron Green MP-165 (17212)、Timiron Starluster MP-115 (17200)又はTimiron Super Sparkle MP-148 (17297)。
【0020】
本発明に従う組成物で使用することができるマイカとして、ウィタッカー クラークD(Whittaker Clark D)社製のCosmetic Mica 280 BC及びエンゲルハート(Engelhard)社製のMearlmica MMSVを挙げることができるが、これに限定されない。
本特許出願に従うマイカ又はチタンマイカを含む組成物は、一つの好ましい態様を構成する。
固形顔料に含まれるのは特に以下のものである:無機顔料、例えば二酸化チタン、黒色、黄色、赤色又は褐色酸化鉄、マンガンバイオレット、ウルトラマリーンバイオレット、ウルトラマリーンブルー、酸化クロム;有機顔料、例えば顔料D&CレッドNo.3、No.6、No.7、No.9、No.13、No.19、No.21、No.27、No.30、又はNo.36、又はカーボンブラック。
【0021】
本特許出願に従う組成物で使用することができる剤を以下から選択する:固形ベンジリデンカンファー、固形トリアジン、固形ベンゾフェノン、固形ジベンソイルメタン、固形PABA(p−アミノ安息香酸)、固形ベンゾトリアゾール、固形シンナメート及び固形イミダゾリン。
挙げることができる固形ベンジリデンカンファーは以下を含む:3−ベンジリデンカンファー、4−メチルベンジリデンカンファー及びポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
アニソトリアジンを固形トリアジンとして挙げる。
【0022】
固形ベンゾフェノンは以下のものである:ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9及びベンゾフェノン−12。
固形ジベンゾイルメタンは、ブチルメトキシジベンソイルメタン及びイソプロピルジベンソイルメタンである。
固形PABAは、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルトリアゾン、エチルPABA及びグリセリルPABAである。
固形ベンゾトリアゾールのうち挙げることができるのは、ドロメトリゾールトリシロキサン及びメチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノールである。
固形シンナメートのうち挙げることができるのは、エトクリレン及びイソプロピルメトキシシンナメートである。
エチルヘキシルジメトキシジベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネートを固形イミダゾリンとして挙げる。
【0023】
使用することができる不溶性の非−ラメラ状の微粉状化合物は以下のものである:
− タルク、
− カオリン、これは水和したアルミニウムシリケートである、
− ナイロン粉末、例えばアトケム(Atochem)社により“Orgasol 2002 ED NAT COS”の名称で市販されている製品、
− ポリエチレン粉末、例えばプラスト レーバー(Plast Labor)社により“Coathylene HA 1681”の名称で市販されている製品、
− ポリ−β−アラニン粉末、
− ポリフルオロ粉末、特にポリテトラフルオロエチレン粉末、例えばデュポン ド ネーマス(DuPont de Nemours)社により“MP 1400”の名称で市販されている製品、
− アクリル系コポリマー粉末、例えばダウ ケミカル(Dow Chemical)社により“Polytrap Q5 6603”の名称で市販されているもの、
− ポリスチレン粉末、例えばプレスペレース(Presperese)社により“Polysohere 3000 SP”の名称で市販されているもの、
− ポリエステル粉末、
− 発泡した熱可塑性ミクロスフェア、例えばエクスパンセル(Expancel)社により“Expancel 551 DE”の名称で市販されている製品、
− シリコーン樹脂ミクロビーズ(例えばトウシバ(Toshiba)社製のTospearls)、
− 酸化亜鉛及び酸化チタン、
− 酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、
− 沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム、
− ヒドロキシアパタイト、
− 8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導する金属石けん、例えば亜鉛ステアレート、マグネシウムステアレート、リチウムステアレート、亜鉛ラウレート又はマグネシウムミリステート、
− シリカ、
− 合成起源の親水性ポリマー粉末、例えばポリアクリレート、例えばマツモト(Matsumoto)社により“Micropearl M 100”の名称で市販されている製品、
− アクリル系ポリアミド、例えばオリス(Oris)社により市販されているもの、
− 不溶性ポリウレタン、例えばトスヌ(Toshnu)社により“Plastic Powder D 800”の名称で市販されている製品、
− 多孔性セルロースミクロスフェア。
【0024】
微粉末状化合物はさらに、物質、例えばキトサン、二酸化チタン、シリカ又は親水性ポリマー、特にスルホン酸ポリエステル又はポリ4級アンモニウムを使用して被覆し又は化学的にグラフト化することによって親水性にされた化合物であることができる。
例として、ダイト(Daito)により“Talc CT 2 MSA”の名称で市販されているキトサンで被覆したタルクを挙げることができる。
疎水性又は親水性のいずれかである微粉末状化合物から選択した疎水性微粉末状化合物を選択することも可能である。後者の場合、製品、例えばシリコーン、アミノ酸、金属石けん、フルオロ誘導体、鉱油、レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、ポリエチレン、コラーゲン及びその誘導体、及びポリアクリレートで被覆し又は化学的にグラフト化することによって、微粉末状化合物を疎水性にする。
【0025】
例として、ミヨシ(Miyoshi)により“Silica SI SB 700”の商品名で市販されているポリメチルヒドロジェノシロキサンで被覆したシリカミクロビーズ又はミヨシ(Miyoshi)により“Sericite SNI S100”の商品名で市販されているメチコン/水素添加した卵油で被覆したセリサイト(sericite)を挙げることができる。
好ましくは、微粉末状粒子の大きさは、10nm〜100μmである。“粒径”は計ることができる粒子上の相対する2点間の距離のうち最大のものである。大きさを、例えばレーザー粒度計を使用して計測する。
本発明に従う組成物で使用する固形化合物の濃度は、組成物の全質量に対して、0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.01質量%〜2質量%である。
【0026】
本発明に従う組成物はさらに、本特許出願に従う組成物で使用する固形化合物ではない少なくとも一つの追加的な添加物を含むことができる。これらの追加的な添加物を特に以下から選択することができる:可溶性の、分散した又はミクロ分散した形態にあるシリコーン、ノニオン性、アニオン性、カチオン性及び両性界面活性剤、ノニオン性、アニオン性、カチオン性及び両性ポリマー、セラミド及びシュードセラミド、パンテノールを含むビタミン及びプロビタミン、植物油、動物油、鉱油及び合成油、セラミド及びシュードセラミド以外のワックス、シリコーン若しくは非−シリコーン性の、液状若しくは固形の、水溶性かつ油溶性の日焼け止め剤、染料、封鎖剤、可塑剤、溶解剤、酸性化剤、塩基性化剤、中和剤、無機及び有機増粘剤、抗酸化剤、ヒドロキシ酸、グリコール、浸透剤、芳香剤及び保存剤。
【0027】
当業者は、本発明に従う組成物の特性を損なわないように、追加の添加物及びその量を注意して選択するであろう。
これらの添加物は本発明に従う組成物中に、組成物の全質量に対して0〜20質量%の範囲の量で存在する。
以下の例は本発明を説明するものであり、少しでも本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0028】
ポンプ−ディスペンサーボトル中のスプレーとして配合した組成物を製造し、ここで種々の成分の含量はg/100gで以下に示されている:
組成物1

この組成物の粘度は水に近い。固形粒子は懸濁物としてとどまる。45℃で2月の保存後に、この組成物に外観上の変化は認められなかった。
【0029】
組成物2

この組成物を毛髪に適用するとスタイリング作用を奏しかつ非常に柔軟な感触を付与する。
【0030】
組成物3

【0031】
組成物4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として受容可能な媒体中に、少なくとも一つのゲランガム又はその誘導体、組成物の全質量に対して0.001質量%〜5質量%の濃度の少なくとも一つの固形化合物、及び少なくとも一つの1価の塩を含む、非−洗浄性水性液状化粧組成物。
【請求項2】
ゲランガム誘導体がウエランガムである、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項3】
ゲランガム又はその誘導体の濃度が組成物の全質量に対して0.005質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜5質量%、より好ましくは0.02質量%〜3質量%である、請求項1又は2に記載の化粧組成物。
【請求項4】
化粧品として受容可能な媒体中で0.01g/100gより小さい溶解性を有する有機、無機及びハイブリッド固形物から固形化合物を選択する、先の請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項5】
固形化合物を以下から選択する、請求項4に記載の化粧組成物:真珠光沢剤又は不透明化剤、固形の顔料、固形の日焼け止め剤、不溶性のラメラ状でない微粉状化合物、寒天のスフェア、多糖類のスフェア、及び活性粒子、特に硫化セレン、亜鉛ピリチオン、ワックス、例えばリンゴワックス、ヒマワリワックス、カンデリラワックス、ミツロウ、カルナウバワックス及び動物ワックス又は合成ワックス、及びフィラー。
【請求項6】
固形化合物が被覆していない酸化チタン、被覆した酸化チタン、チタンマイカ及びマイカから選択する真珠光沢剤又は不透明化剤である、請求項5に記載の化粧組成物。
【請求項7】
2〜500ナノメートル、好ましくは2〜300ナノメートル、より好ましくは2〜50ナノメートルの粒径を有する酸化チタンから固形化合物を選択する、請求項6に記載の化粧組成物。
【請求項8】
固形化合物が以下から選択する酸化チタンである、請求項7に記載の化粧組成物:粉末形態にある被覆していない酸化チタン、及び水性分散物の全質量に対して10質量%、20質量%又は30質量%の酸化チタンを含む水性分散物としての被覆していない酸化チタンであってかつ15、20又は60ナノメートルに等しい粒径を有する酸化チタン。
【請求項9】
固形化合物を以下から選択する、請求項7に記載の化粧組成物:ポリジメチルシロキサンで被覆した酸化チタン、ポリメチルヒドロゲノシロキサンで被覆した酸化チタン、ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテルで被覆した酸化チタン、シリカで被覆した酸化チタン、テフロン(登録商標)で被覆した酸化チタン、ポリエステルで被覆した酸化チタン、キトサンで被覆した酸化チタン、及びN−ラウリル−L−リジンで被覆した酸化チタン。
【請求項10】
固形化合物を以下から選択する、請求項6に記載の化粧組成物:白色の真珠光沢顔料、例えば酸化チタン又はビスマスオキシクロリドで被覆したマイカ、着色した真珠光沢顔料、例えば酸化鉄又は酸化クロムで着色したチタンマイカ、有機顔料で着色したチタンマイカ、及びビスマスオキシクロリドを主体とする真珠光沢顔料。
【請求項11】
固形化合物が以下から選択する無機固形顔料である、請求項5に記載の化粧組成物:二酸化チタン、黒色、黄色、赤色又は褐色酸化鉄、マンガンバイオレット、ウルトラマリーンバイオレット、ウルトラマリーンブルー、及び酸化クロム。
【請求項12】
固形化合物が以下から選択する有機固形顔料である、請求項5に記載の化粧組成物:顔料D&CレッドNo.3、No.6、No.7、No.9、No.13、No.19、No.21、No.27、No.30、及びNo.36、及びカーボンブラック。
【請求項13】
固形化合物が以下から選択する固形日焼け止め剤である、請求項5に記載の化粧組成物:固形ベンジリデンカンファー、固形トリアジン、固形ベンゾフェノン、固形ジベンソイルメタン、固形PABA、固形ベンゾトリアゾール、固形シンナメート及び固形イミダゾリン。
【請求項14】
固形化合物が以下から選択する不溶性の非−ラメラ状の微粉状化合物である、請求項5に記載の化粧組成物:タルク、カオリン、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、ポリ−β−アラニン粉末、ポリフルオロ粉末、アクリル系コポリマー粉末、ポリスチレン粉末、ポリエステル粉末、発泡した熱可塑性ミクロスフェア、シリコーン樹脂ミクロビーズ、酸化亜鉛及び酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、8〜22の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導する金属石けん、シリカ、合成起源の親水性ポリマー粉末、アクリル系ポリアミド、不溶性ポリウレタン、多孔性セルロースミクロスフェア。
【請求項15】
固形化合物が、物質、例えばキトサン、二酸化チタン、シリカ又は親水性ポリマーを使用して被覆し又は化学的にグラフト化することによって親水性にされた微粉状の化合物である、請求項5に記載の化粧組成物。
【請求項16】
固形化合物が、製品、例えばシリコーン、アミノ酸、金属石けん、フルオロ誘導体、鉱油、レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、ポリエチレン、コラーゲン及びその誘導体、及びポリアクリレートで被覆し又は化学的にグラフト化することによって疎水性にされた微粉状の化合物である、請求項5に記載の化粧組成物。
【請求項17】
1価の塩を1価のカチオンの塩、例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、又は有機アミン塩、又はこれらの混合物から選択する、先の請求項1ないし16の1項に記載の化粧組成物。
【請求項18】
1価のアルカリ金属塩がNa+塩である、請求項17に記載の化粧組成物。
【請求項19】
1価の塩の濃度が組成物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%である、先の請求項1ないし18の1項に記載の化粧組成物。
【請求項20】
組成物が以下から選択する少なくとも一つの追加的な添加物を含む、先の請求項1ないし19の1項に記載の化粧組成物:可溶性の、分散した又はミクロ分散した形態にあるシリコーン、ノニオン性、アニオン性、カチオン性及び両性界面活性剤、ノニオン性、アニオン性、カチオン性及び両性ポリマー、セラミド及びシュードセラミド、パンテノールを含むビタミン及びプロビタミン、植物油、動物油、鉱油及び合成油、セラミド及びシュードセラミド以外のワックス、シリコーン若しくは非−シリコーン性の、液状若しくは固形の、水溶性かつ油溶性の日焼け止め剤、染料、封鎖剤、可塑剤、溶解剤、酸性化剤、塩基性化剤、中和剤、無機及び有機増粘剤、抗酸化剤、ヒドロキシ酸、グリコール、浸透剤、芳香剤及び保存剤。
【請求項21】
組成物がジェルの形態にある、先の請求項1ないし20の1項に記載の組成物。
【請求項22】
組成物がムースの形態にある、先の請求項1ないし20の1項に記載の組成物。
【請求項23】
組成物がスプレーの形態にある、先の請求項1ないし20の1項に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1ないし20の1項に記載の化粧組成物を使用する、ヘアスタイルの形成又は保持方法。
【請求項25】
請求項1ないし20の1項に記載の化粧組成物の、毛髪を固定しかつ保持するスタイリング組成物としての使用。
【請求項26】
請求項1ないし20の1項に記載の化粧組成物の、ヘアケア組成物としての使用。
【請求項27】
請求項1ないし20の1項に記載の化粧組成物の、毛髪コンディショニング組成物、特に毛髪に柔軟性を付与するための組成物としての使用。

【公開番号】特開2009−298809(P2009−298809A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220343(P2009−220343)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【分割の表示】特願2004−365029(P2004−365029)の分割
【原出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】