説明

ゲル化緩下剤組成物

本発明は、消化管内において活性である緩下剤を含む経口的に投与されるゲル化調製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は胃腸病学の分野であり、消化管において活性な経口的に投与されるゲル化調製剤に関する。より具体的には、本発明は、手術もしくは診断手技または分娩において直腸の準備のために投与することのできるゲル化緩下剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
結腸内視鏡検査、X線撮影検査、および分娩のような多くの医学的手技を実施するため、ならびに腸管手術を受ける患者の準備において、直腸を可能な限り完全に空にすることがしばしば重要である。
【0003】
診断目的のための胃腸洗浄剤として用いられるために、または瀉下性緩下剤として用いられるために、経口的に投与される多くの液体薬学的組成物が開発されている。このような調製物は、ポリエチレングリコール水溶液、ならびに硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムのような電解質からなる。これらの経口的に投与される組成物は、診断目的のための結腸の速やかな洗浄において特に有用である。例えば、強力な胃腸洗浄が必要な場合、一般にこのような調製物が約4リットル投与されて、その組成物は典型的に次のように調製される:ポリエチレングリコール 59g、硫酸ナトリウム 5.68g、炭酸水素ナトリウム 1.69g、塩化ナトリウム 1.46g、塩化カリウム 0.745g、および1リットルとするための水であり、多くの場合、比較的完全な排出は浣腸調製剤よりも著しく改善されていて、浣腸投与に伴ってしばしば遭遇する問題は概ね生じない。
【0004】
他の経口投与調製物に勝るこれらの調製物を用いることの利点は、洗浄時間の劇的な短縮ならびに水分および電解質喪失の極小化である。これらのタイプの溶液から得られる利点は、その調製物の2つの本質的特徴、つまり、生理学的液体と等張であること、および溶液中のイオン種が平衡していて胃腸吸収を調節する輸送メカニズムが代償されることである。これらの特徴の結果、調製物と消化管壁の組織における細胞内および細胞外液は実質的に等張となる。
【0005】
これらの調製剤を具体化する市販の製剤は、非吸収性の浸透性物質として作用するポリエチレングリコール調製剤を補充用の電解質の混合物と共に使用するので、患者は脱水にならない。患者は、10分毎に8オンスのグラス1杯ずつ、合計1ガロンの液体を含む可能性がある便通に十分な量を摂取するよう求められる。容量が非常に多いため、このタイプの調製剤の使用は往々にして著しい量の膨満感および顕著な量の嘔吐を伴う。これらの既知の調製物のもう一つの深刻な欠点は、それらの決定的にまずくて、苦く、極端に塩気のある味であり、より敏感な患者では嘔吐して、そのために摂取が妨げられることがある。
【0006】
多量タイプの調製物に関連する問題を避けるために、他の研究者らはリン酸塩の水溶液からなる摂取可能な調製物を利用している。リン酸塩水溶液は腸管内容物に対して顕著な等張作用を示し、従って、腸の排出は直腸内への水分および電解質流入の顕著な増大を伴って起こる。これは、直腸瀉下に必要な液量の減少という明確な目的のために開発されている。Fleet PHOSPHO-SODA(商標)の銘柄名でFleetにより製造されるこのような一つの調製物は、国民医薬品集、リン酸ナトリウム経口液のためのモノグラフに従って製造される。国民医薬品集(USP 23/NF18、p.1430)に記載されるように、この製剤は、リン酸水素ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムまたはリン酸の水溶液を含む。患者は一般にこの調製物を1.5オンスずつ2回、3時間から12時間の間隔で合計3オンス、摂取することが要求されて、これはその他の大容量調製物に必要とされる128オンスに比べて顕しく少ない量である。胃腸病学者の報告によると、濃縮リン酸水溶液を用いると優れた洗浄結果が得られる。
【0007】
しかし、このような濃縮リン酸水溶液投与の主な短所は、その水溶液が極端にまずくて、不快な塩味を最小限に抑えるために推奨される投与剤形が氷冷して投与されるほどであることである。患者は、おそらく調製物の顕著な塩味に対して二次的に重度の悪心および嘔吐をしばしば訴える。口に合わない極端な塩味のために、香料を使用してその味をある程度ごまかしたとしても、患者は往々にして一回目の用量でこの調製物の摂取に耐えることすらできず、二回目の用量ではさらに問題が大きくなる。
【0008】
このような濃縮リン酸水溶液投与のさらなる短所は、腸管壁がリン酸塩濃度の急上昇に曝露されることに関連する副作用の発生である。副作用には、筋痙攣、悪心および嘔吐が含まれる。
【0009】
このように、濃縮瀉下溶液はその他の瀉下誘発方法を上回る改善を示す一方で、まずい味および不快な副作用が深刻な欠点である。
【0010】
その他の研究者らは、このまずい味の問題の解決策として、乾燥調製剤を含有および送達するカプセルおよびタブレットを利用している。(Aronchickに対する米国特許第5,616,346号およびWoodに対する米国特許第5,997,906号を参照されたい。)胃腸病学者によると、これらの固形剤では、調製剤における結合剤およびコーティング剤使用の結果である可能性が極めて高いが、水性剤に比較して便浄化の低下および上部結腸における泡沫の増加が報告されている。これらの非水性調製剤の投与は、一般に、タブレット3錠を15分毎に8オンスの透明な液体と共に、合計20錠、服用しなければならない。その後、医学的処置の3〜5時間前にこのプロセスをさらに20錠のタブレットで反復実施して、総計40錠、液体112オンスとなる。この方法は、患者にとって非常に過酷である。
【0011】
従って、高容量水性調製剤に伴う数々の問題を解決して、しかも味が良くて不快な副作用を伴わない改善された調製剤が必要である。
【発明の開示】
【0012】
概要
驚いたことに、ゲルの担体と薬学的に活性な成分を組み合わせると、その有効性を保持しつつ、その活性成分の味を一時的にごまかす組成物が得られることが発見されている。さらに、このゲル化組成物は、そうでない場合はその薬学的成分の急速な導入に伴って生じる可能性のある筋痙攣および悪心のような副作用を最小限に抑えるために、緩下剤のように強度の高い薬学的成分を腸内で持続性に放出させる。
【0013】
これらの発見は、一つの局面において、緩下成分と混合されるゲル成分を含む薬学的組成物を含む本発明の提供に利用されている。一つの態様において、ゲル成分は、ゼラチン、ペクチン、カラゲナン、アガロース、アガー(agar)、車前子、セルロース、および寒天(agar-agar)からなる群より選択される。いくつかの態様において、緩下成分は瀉下性緩下成分である。本発明のいくつかの態様において、緩下成分は、ビサコジル、ドキュセート、ポリエチレングリコール、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、およびクエン酸マグネシウムからなる群より選択される。特定の態様において、緩下成分はリン酸ナトリウムであり、もう一つの特定の態様において、そのリン酸ナトリウムは液体組成物1ml当たり約0.35g〜約16gの範囲で組成物に含まれる。本明細書で用いられるように、液体組成物は水のように飲用に適した液体に溶解した成分を指す。具体的態様において、リン酸ナトリウムは、液体組成物100ml当たりリン酸二水素ナトリウム 約0.25〜約12g、およびリン酸水素ナトリウム 約0.1g〜約4.5gとして含まれる。その他の態様において、緩下成分はクエン酸マグネシウムである。特定の態様において、クエン酸マグネシウムは液体組成物1ml当たり約1g〜約11gの範囲で組成物に含まれる。その他の態様において、ゲル成分および緩下成分は粉末状である。さらなる態様において、組成物は薬学的に適合性の香料、色素、芳香、安定剤および保存料からなる群より選択される少なくとも一つの成分をさらに含む。
【0014】
本発明は、ゲル化緩下調製剤を調製するためのキットも提供する。そのキットは、ゲル、緩下剤、および調製剤の調製および使用方法に関する説明書を含む。一つの態様において、ゲル成分および緩下成分は粉末状で提供される。
【0015】
もう一つの局面において、本発明は、治療用組成物の治療上有効な量の薬学的組成物を患者に経口的に投与することによって、患者の結腸および腸を洗浄する方法を目的とする。
【0016】
詳細な説明
本明細書に記載される本発明は、多くの既知の緩下調製剤に比べて、臭いおよび味が良くて不快な副作用軽減効果を持つゲル化された薬学的緩下組成物を提供する。この組成物は、便秘治療のための結腸緩下剤、または検査、手術もしくは分娩前の腸洗浄に有用な瀉下剤もしくは下剤であることができる。本明細書で用いられるように、「緩下剤」という用語は下剤も内包することができる。
【0017】
多くの緩下調製剤の不快な副作用の一つは嫌な味である。嫌な味は、患者の口内の味覚受容体がその下剤に含まれる高濃度の塩で満たされる結果である。本発明の調製剤は、緩下成分を担体ゲル内に保持するために、口内の味覚受容体の不快感を生じる調製剤への曝露が最小限に抑えられる。患者がそのゲル調製剤を摂取すると、患者はそのゲル表面に露出したごく一部の活性成分の味を感じる。嚥下前に咀嚼するとより多くのゲル表面領域が露出するが、それでもやはり活性塩成分全体の極めて少ないパーセントが露出されるのみである。緩下剤または下剤は、ゲルが溶解するにつれて、患者の胃および小腸内でゲルから放出される。強い塩味が最小限に抑えられると、患者には担体に加えられた香料および甘味が感じられるようになる。ゲル調製剤は味が良く、カラフルな見慣れた剤形で提供されて、しかも患者に容易に受け入れられる。
【0018】
既知の調製剤よりも大幅に改善された味の提供に加えて、本発明の組成物は、しばしば既知の下剤に関連する筋痙攣および悪心のような副作用が既知の調製剤よりも抑制されるというさらなる利点を提供する。これらの副作用は、腸内における浸透強度の急激な変化に誘発されるショックの結果である。浸透強度の急激な変化は、既知の調製剤の活性な薬学的成分の腸への急激な導入の結果である。本発明の組成物は既知の調製剤の薬学的に活性な緩下成分を変更するのではなく、むしろ、その成分の腸内での緩慢な放出をもたらす。記載される態様によって提供される浸透強度における緩慢な変化は、そうでない場合に浸透強度の急激な変化に関連するショックを相対的に軽減する。
【0019】
本発明の治療用成分は、担体であるゲル成分および緩下成分を含む。
【0020】
ゲル成分のタイプは、食用であって、かつ、緩下成分の緩下活性を低下させない限り、何らかの特定の剤形に限定されない。有用な市販のゲルには、ペクチン、アガー、アガロース、寒天、アラビアゴム、キサンタムゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、ガッチゴム、ガーゴム、ジェランゴム、ローカストビーンゴム、アルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)、カラゲナン、ゼラチン、デキストリン、澱粉(コーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、クズ澱粉、タピオカ澱粉、カルボキシメチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、化学的に架橋結合した澱粉、アルファ澱粉)、セルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶性セルロース)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、またはマンナンが含まれるがこれらに限定されるものではなく、単独または適切な組み合わせで用いることができる。
【0021】
市販の有用な緩下成分には、ビサコジル、ドキュセート、ポリエチレングリコール、車前子、セルロース、センナ、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、およびクエン酸マグネシウムが含まれるがこれらに限定されるものではなく、単独または組み合わせて使用することができる。
【0022】
組成物中のゲル成分および緩下成分の量は、その液体への溶解度など、それぞれの化学性状に依存する。その成分は、治療上有効な量で、その液体への溶解度まで加えられる。液体組成物は、水のような液体に溶解した成分を指す。
【0023】
例えば、ゲル成分としてゼラチンが用いられて、緩下剤としてPEGが用いられる場合、最終的なゼラチン濃度は液体組成物100ml当たり約2.2g〜10gであることができて、最終的なPEG(例えば、PEG 3350)の濃度は液体組成物100ml当たり約1g〜約30gであることができる。リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウムおよびリン酸カリウム塩などの塩を加えなければならない場合(ULVL, Braintree Labs, Braintree, MAの場合のように)、その最終濃度は、液体組成物100ml当たり、Na2SO4 約1g〜約10g、Mg2SO4 約1g〜約10g、およびK2SO4 約0.5g〜約2gとすることができる。
【0024】
同じくPEG/塩の液体組成物においてゲル成分としてゼラチンの代わりにアガーが用いられる場合、その最終濃度は液体100ml当たり約1.5g〜約10gとすることができる。
【0025】
ゲル成分としてゼラチンが用いられて、緩下成分としてPEGが用いられる場合、最終的なゼラチン濃度は液体組成物100ml当たり約2.2g〜約10gであることができて、最終的なPEG 3350の濃度は液体組成物100ml当たり約1g〜約30gであることができる。この具体例においてゼラチンの代わりにアガーが用いられる場合、その最終濃度は液体組成物100ml当たり約1.5g〜約10gであることができる。
【0026】
緩下成分として硫酸塩が用いられて、ゲル成分としてゼラチンが用いられる場合、液体組成物100ml当たりのこれらの構成物の濃度は、Na2SO4 約1g〜約15g、Mg2SO4 約1g〜約15g、およびK2SO4 約0.5g〜約4g、ゼラチン 約2.2g〜約10gである。この具体例においてゼラチンの代わりにアガーが用いられる場合、塩濃度は同一のままであり、最終的なアガー濃度は液体組成物 100ml当たり約1.5g〜約10gである。
【0027】
緩下成分としてクエン酸マグネシウムが用いられて、ゲル成分としてゼラチンが用いられる場合、最終的なクエン酸マグネシウムの濃度は液体組成物 100ml当たり約1g〜約11gとすることが可能であり、最終的なゼラチン濃度は液体組成物 100ml当たり約2.5g〜約10gとすることが可能である。この具体例においてゼラチンの代わりにアガーが用いられる場合、最終的なアガー濃度は液体組成物 100ml当たり約1g〜約10gとすることができ、クエン酸マグネシウムの濃度は液体組成物 100ml当たり1gから約25gに増やすことができる。
【0028】
緩下成分としてリン酸ナトリウムが用いられて、ゲル成分としてゼラチンが用いられる場合、最終的なゼラチン濃度は液体組成物 100ml当たり約2g〜約10gとすることが可能であり、最終的なリン酸ナトリウム濃度は液体組成物 100ml当たり約0.35g〜約16gとすることが可能である。リン酸ナトリウムとしてPHOSPHO-SODA(商標)が用いられる場合、最終的なリン酸二水素ナトリウムの濃度は液体組成物100ml当たり約0.25g〜約25gとすることができ、最終的なリン酸水素ナトリウムの濃度は液体組成物100ml当たり約0.1g〜約10gとすることができる。
【0029】
リン酸ナトリウム、PHOSPHO-SODA(商標)または硫酸マグネシウム含有組成物に対して、追加の緩下剤としてPEGを加えることができる。
【0030】
本発明の組成物は、香料、色素、芳香、安定剤、甘味料および/または保存料も含むことが可能であり、いずれも当技術分野において既知である。例えば、組成物はチェリー、グレープ、紅茶、リンゴ、レモンライムフレーバーなどの香料を含むことができて、それらは油性であることができる。このような香料は、例えば、International Flavors and Fragrances, New York, NYから購入することができる。
【0031】
加えて、または、その溶液は、糖、スクラロース、アセスルファムK、フルクトースおよび/またはアスパルテームのような甘味料を含むことができて、それらも例えばSigma Chemical Co., St. Louis, MOまたはNutrinova Inc., Somerset, N.J.から購入することができる。リンゴ酸、クエン酸および/またはアスコルビン酸などのような香料増強剤を加えることができる。これらの増強剤は、例えば、Sigma Chemical Co., St. Louis, MO.から購入できる。溶液は、例えばリンゴジュースにおける明褐色、紅茶における暗褐色、グレープにおける紫などのように、香料に合わせて着色することもできる。有用な着色料は、例えばMcCormick and Company, Inc., Hunt Valley, MD.から市販品を入手することができる。鮮度を維持するために保存料を加えることができる。いくつかの有用な保存料には、例えばSigma Chemical Co., St. Louis, MO.から市販品を入手することができるパラベン、安息香酸塩、ソルベート、およびアルコールが含まれるがこれらに限定されるものではない。溶液は、オレンジジュース、アイスティー、およびその他の飲料に似せるために製品効果用の添加物を加えて不透明(混濁、懸濁液など)とすることができる。味、臭い、安定性、溶解度、酸度、色などを至適化するために、その他の既知の添加物を用いて調製剤を調節することができる。
【0032】
本発明の組成物に関する一つの非限定的な態様は、JELL-O(商標)の銘柄のデザートと同等の堅さを持つゲルを提供する。但し、ゲル化物質の種類または濃度は、ゲルの異なる程度の堅さを作るために、また融点およびきめなどのゲルのその他の物理的特性を変化させるために調整することができる。ゲル成分の特性は、上記のように香料、甘味料、芳香、色素、安定剤または保存料を含むまたは含まないことのできる最終調製剤の特徴を至適化するために選択することができる。
【0033】
例えば、一つの態様において、ゲル成分は香料、甘味料、色素および/または保存料をさらに含んで、緩下成分は国民医薬品集、リン酸ナトリウム経口液のためのモノグラフ(USP 23/NF18, p.1430)に従ってリン酸水素ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムを含む。この態様は、例えば、JELL-O(商標)銘柄のデザートミックスなどの市販のゼラチンデザート、およびFleet銘柄のPHOSPHO-SODA(商標)などの下剤を含む。デザートミックスは、ゼラチン、香料、色素、甘味料、安定剤および保存料を提供する。例示的なPHOSPHO-SODA(商標)は、(国民医薬品集、リン酸ナトリウム経口液のためのモノグラフ(USP 23/NF18, p.1430)に従って)適切な割合のリン酸水素ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウム、ならびにその他の安定剤、保存料および香料を提供する。
【0034】
本発明の組成物8オンスを調製するために、例示的なオレンジフレーバーのJELL-O(商標)ブランドのデザートミックス3オンスを水130mlと混合する。この溶液を、固形分が溶解するまで、攪拌しながら沸騰直前まで加熱する。別の容器で、水65mlをFleet銘柄のPHOSPHO-SODA(商標)45mlと混合して、この溶液を沸騰直前まで加熱する。混合液を攪拌しながら、希釈した下剤をゼラチン混合液にゆっくりと混合する。混合液は8オンスの容器に入れて約35Fまでゆっくりと冷却する。この混合液から、有効な1.5オンスの下剤用量を含むゲル 8オンスが得られる。
【0035】
もう一つの態様において、担体成分はゼラチン、香料、甘味料、色素および保存料を含んで、下剤成分はクエン酸マグネシウムである。この調製剤の具体例におけるゼラチンは、例えば、ゼラチン、タイプA、25ブルーム、50メッシュ(Great Lakes Gelatin製, PO Box 917, Grayslake, IL 60030)である。下剤は、例えばLong's Drug Co.の銘柄のMagnesium Citrate Oral Solution(商標)である。このLong's Magnesium Citrate Oral Solution(商標)は香料、色素、甘味料、安定剤および保存料を提供する。この薬学的組成物を調製するため、クエン酸マグネシウム液10液量オンスを容器に移して、それにゼラチン8.75gを溶液の上部に加える。ゼラチンが分散するまで、溶液を攪拌する。ゼラチンが水に馴染んだら(約15分)、すべての固形分が溶解するまで攪拌しながら溶液を沸騰直前まで加熱する。混合物を約35Fまでゆっくりと冷却する。この具体例によって、マグネシウム経口剤の有効量を含むゲル10オンスが得られる。
【0036】
もう一つの態様において、ゲル化した担体成分は例えばSigmaの銘柄のAgar A-7002ロット 71K0093)のアガーを含んで、緩下成分はクエン酸マグネシウム(Long's Drug Co. Magnesium Citrate Oral Solution(商標)、市?州?を含む。このLong's Magnesium Citrate Oral Solution(商標)は香料、色素、甘味料、安定剤および保存料を提供する。このクエン酸マグネシウム溶液は1〜11gm/100mlの最終濃度とすることができる。
【0037】
この組成物を調製するために、アガー2グラムをクエン酸マグネシウム溶液118ml(2oz.)に加える。アガーを攪拌して、分散させる。得られる混合液を、固形分が溶解するまで、攪拌しながら沸騰直前まで加熱する。混合物を約35Fまでゆっくりと冷却する。この具体例によって、ゲル2オンスが得られる。
【0038】
いくつかの態様において、ゲル化した緩下成分は一つの塊りとされる。但し、ゲルはまたは様々な直径の球、円板、細片または正方形を含むいくつかの任意の形に成型することができる。例えば、複数の1/2インチの立方体を成型するために小さな製氷皿を用いることができる。一回用量は、グラス1杯の水に入れて攪拌した後に咀嚼せずに飲む、一口大よりも小さい多くのゲルの形を含む。
【0039】
既述の各態様は、すぐに使用できるゲル状で患者に提供することのできるゲル化調製剤である。または、調製剤はすぐに使用できるゲル以外の剤形で調製されて患者に提供されることができ、それによって、患者はゲル剤を調製することができる。ゲル調製剤の成分を作製および供給するいくつかの方法が可能である。
【0040】
例えば、上記のいずれかの添加物と共に、ゲルおよび緩下成分は別々にまたは一つに混合されて供給される可能性があり、調製および使用説明書と共に単一のパッケージまたはキットに入れて供給されることができる。患者は、乾燥成分に水またはゲータレードのような液体を加えて、その後、混合物を加熱、混合および冷却して、組成物を作製する。乾燥成分およびそれに加えるべき液体は、別々に単一のパッケージ入りで供給されることもできて、患者は混合物を適切に混合、加熱および冷却して、ゲルを調製することができる。または、組成物は、液体が冷えたらゲルを形成する液剤として患者に供給されることもできる。
【0041】
本発明の緩下組成物は、組成物がゲル状である限り、緩下/下剤成分の味がマスクされる。ゲル化組成物は、その具体的な組成物に応じて、上昇温度で融解する。組成物が患者の口の温度よりも低い温度で融解する場合、組成物の服用方法が重要となる。
【0042】
例えば、ゲル化した組成物は30F〜37Fの範囲の温度に冷却することができる。その組成物は、患者に摂取される際に冷たければ冷たいほど、より長い時間、ゲルの状態を保つ。
【0043】
ゲル化組成物は、各部分が最小限の咀嚼で嚥下されることができるように、ティースプーン1杯よりも少ないように少量ずつ摂取することができる。いくつかの場合において、この部分は咀嚼せずに嚥下される。
【0044】
患者は、組成物の各部分の前、ならびに/または同時に、および/もしくは後に、少量の冷たい液体を飲むことができる。この方法は患者の口を冷却して、その結果、ゲル化組成物に伝わる熱が少なくなり、従って、ゲルの融解が抑えられる。この方法は、またゲルから放出された可能性のある嫌な味の成分を洗い流して、腸洗浄プロセスにおいて一般的に処方されるように多量の液体摂取を促進する。
【0045】
前述の説明はいくつかの態様の例証である。説明は本発明を記載および説明された具体的な調製剤に限定することを意図するものではなく、むしろ、本開示から翻案および修正は明らかであり、特許請求の範囲内であることを意図することが認識される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む薬学的組成物:
a)次の成分と混合されたゲル成分、
b)緩下成分。
【請求項2】
ゲル成分がゼラチン、ペクチン、カラゲナン、アガロース、アガー(agar)、車前子、セルロース、および寒天(agar-agar)からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
緩下成分が瀉下性緩下成分である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
緩下成分が、ビサコジル、ドキュセート、ポリエチレングリコール、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、およびクエン酸マグネシウムからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
緩下成分がリン酸ナトリウムである、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
リン酸ナトリウムが液体組成物1ml当たり約0.35g〜約16gの範囲で組成物に含まれる、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
リン酸ナトリウムが、液体組成物100ml当たりリン酸二水素ナトリウム 約0.25〜約12g、およびリン酸水素ナトリウム約0.1g〜約4.5gとして含まれる、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
緩下成分がクエン酸マグネシウムである、請求項4記載の組成物。
【請求項9】
クエン酸マグネシウムが液体組成物1ml当たり約1g〜約11gの範囲で組成物に含まれる、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
ゲル成分および緩下成分が粉末状である、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
薬学的に適合性の香料、色素、芳香、安定剤、および保存料からなる群より選択される少なくとも一つの成分をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
以下を含むゲル化緩下調製剤を調製するためのキット:
(a)ゲル、
(b)緩下剤、および
(c)その調製剤の調製および使用方法に関する説明書。
【請求項13】
ゲル成分および緩下成分が粉末状で提供される、請求項12記載のキット。
【請求項14】
請求項1記載の薬学的組成物の治療的に有効な量を患者に経口的に提供することによって、患者の結腸を浄化する方法。

【公表番号】特表2006−504742(P2006−504742A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543598(P2004−543598)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/032012
【国際公開番号】WO2004/032926
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505133618)
【出願人】(505133629)
【Fターム(参考)】