説明

ゲル状整髪料

【課題】ゲル状整髪料としての良好な使用感および速乾性を保持しつつ、適度な保湿力を付与するとともに再整髪性を向上させたゲル状整髪料を提供すること。
【解決手段】アルカリ増粘剤およびアルカリ剤を含有するゲル状整髪料であって、該ゲル状整髪料100重量%中、ビニルピロリドン系共重合体からなる非イオン性高分子化合物(A)を0.5〜7.5重量%、エタノールおよび多価アルコール(B)を20〜40重量%の量で含有し、かつ、前記エタノールと多価アルコールとの重量比が1:1.5〜1:4であることを特徴とするゲル状整髪料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ増粘剤およびアルカリ剤を含有するゲル状整髪料に関する。より詳しくは、べた付き、ダレおよびゴワつきを抑制するとともに、塗布性、保湿力、および再整髪性を向上させたゲル状整髪料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、整髪料としてヘアークリーム、ポマード、ヘアーローション、ヘアワックスなどが多く用いられてきた。これら整髪料は油脂またはワックスなどの整髪剤成分を多く含むため、毛髪に塗布した際にべた付き感があり、乾燥しにくく、重い仕上がり感を与えがちであった。
こうした中、アルカリ増粘剤とアルカリ剤とを配合することでゲルを形成させたゲル状整髪料が多く用いられるようになった。ゲル状とすることで、従来の整髪料にはない透明感を付与するとともに毛髪に塗布する際または塗布した後の使用感を向上させることができ、整髪料としての需要度が高い。そのため、さらに整髪効果、毛髪セット力または速乾性等を付与させ、種々の使用態様に対応した多種多様のゲル状整髪料が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には整髪保持効果等に優れたゲル状整髪料が開示されている。該整髪料は特定のアルキルモノマー、中和剤、水溶性アルコールおよびアニオン性高分子化合物を必須成分とするものである。このアニオン性高分子化合物は被膜形成能を有しているため、毛髪に塗布した際の整髪料の伸びには優れるが、保湿力がいまだ不充分であり、整髪料の有する速乾性により毛髪に被膜状に付着した整髪料が必要以上に固化し、再度整髪するために毛髪に手櫛またはブラシなどを通した際、フレーキング(粉ふき)の発生を充分に抑制することができないという問題がある。
【特許文献1】特開2002−167308号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来のゲル状整髪料であるとたしかに速乾性には優れるものの、整髪剤を塗布した毛髪を再度整髪しようとするとフレーキングを充分に低減することができず、一度塗布して乾燥してしまうとその後の整髪が困難であった。
したがって本発明は、ゲル状整髪料としての良好な使用感および速乾性を保持しつつ、適度な保湿力、塗布性を付与するとともに再整髪性を向上させ、ベタ付き、ダレ、ゴワつきを抑制したゲル状整髪料を提供することを課題とする。
【0005】
なお、「ダレ」とは、ゲル状整髪料を毛髪に塗布した後、整髪性を保持することができずに塗布後の毛髪がダレてしまう状態を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲル状整髪料は、アルカリ増粘剤およびアルカリ剤を含有するゲル状整髪料であって、該ゲル状整髪料100重量%中、
ビニルピロリドン系共重合体からなる非イオン性高分子化合物(A)を0.5〜7.5重量%、
エタノールおよび多価アルコール(B)を20〜40重量%の量で含有し、
かつ、前記エタノールと多価アルコールとの重量比が1:1.5〜1:4であることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記ゲル状整髪料100重量%中、非イオン性界面活性剤(C)を0.01〜
4重量%の量で含有していてもよい。
前記非イオン性界面活性剤(C)が、
PEG−40水添ヒマシ油、PEG−50水添ヒマシ油またはPEG−60水添ヒマシ油のいずれか1種の非イオン性界面活性剤(c−1)と、
(c−1)を除く非イオン性界面活性剤(c−2)とからなり、
かつ、前記(c−1)と(c−2)との重量比が1:1〜1:5であるのが望ましい。
【0008】
さらに、前記ゲル状整髪料100重量%中、ヒドロキシエチルセルロース(d−1)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(d−2)を0.01〜3重量%の量で含有していてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゲル状整髪料は、特定の非イオン性高分子化合物、ならびにゲル状剤型特有の優れた透明感および使用感を有するだけでなく、エタノールおよび多価アルコールを特定の割合で含有しているため、保湿効果が高い。そのため、フレーキングを有効に抑制することができ、再整髪性に優れる。
さらに、本発明のゲル状整髪料は、毛髪に対するべた付き感、ゴワつきをも低減する上、ワックス剤が主に有するつや感を付与することができ、このような多様な性能をバランスよく有する結果、専門家のみならず一般ユーザーにも幅広く活用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明のゲル状整髪料について具体的に説明する。
本発明のゲル状整髪料は、アルカリ増粘剤およびアルカリ剤を含有するゲル状整髪料であって、該ゲル状整髪料100重量%中、ビニルピロリドン系共重合体からなる非イオン性高分子化合物(A)、エタノールおよび多価アルコール(B)を特定の量で含有し、かつ、前記エタノールと多価アルコールとの重量比が特定の値であることを特徴とする。
【0011】
<アルカリ増粘剤>
アルカリ増粘剤は、後述するアルカリ剤と水素結合することにより、ゲルを形成する。ゲル状であると、透明感が付与され、整髪料を塗布する際および塗布した後においても良好な使用感を付与することができる。アルカリ増粘剤としては、一般に化粧料に用いられるものであれば特に制限はないが、たとえば下記式に表される構成単位を有するカルボキシビニルポリマーが代表的である。
【0012】
【化1】

【0013】
このようなカルボキシビニルポリマーとしては、具体的には、たとえば市販品カーボポール934、カーボポール940、カーボポール941、カーボポールUltrez10(商品名、BF Goodrich製)が挙げられる。
アルカリ増粘剤は、本発明のゲル状整髪料100重量%中、通常0.05〜5重量%の量で含まれる。このような量であると、整髪料として良好なゲル状を保持できるとともに、本発明のゲル状整髪料としての性能に悪影響を与えることがない。
【0014】
<アルカリ剤>
アルカリ剤は、前記アルカリ増粘剤と水素結合することにより、ゲルを形成する。この
ようなアルカリ剤としては、用いられるアルカリ増粘剤の種類によっても異なるが、たとえば、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルカノールアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩基性アミノ酸類が挙げられる。
【0015】
アルカリ剤は、本発明のゲル状整髪料中、通常前記アルカリ増粘剤とほぼ等量となるような量で含まれる。このような量であると、整髪料として良好なゲル状を保持できるとともに、本発明のゲル状整髪料としての性能に悪影響を与えることがない。
<ビニルピロリドン系からなる非イオン性高分子化合物(A)>
本発明のゲル状整髪料に用いられるビニルピロリドン系からなる非イオン性高分子化合物(A)(以下、非イオン性高分子化合物(A)ともいう)は、下記式に表される構成単位を有するビニルピロリドン系共重合体からなり、かつ非イオン性を示す高分子化合物である。
【0016】
【化2】

【0017】
このような非イオン性高分子化合物(A)は、毛髪上で展延されて薄い被膜を形成する性質、いわゆる被膜形成能を有し、毛髪に対してつやを与えることができる。さらには、後述するエタノールおよび多価アルコールとの相乗効果により、適度な保湿効果を保持することができる。
非イオン性高分子化合物(A)としては、具体的には、たとえば酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル・プロピオン酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、が挙げられる。なかでも、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドンが好ましい。
【0018】
これらは、本発明のゲル状整髪料100重量%中、通常0.5〜7.5重量%の量で含まれる。上記範囲内の量で含まれていると、充分な整髪力を保持することができるとともにべた付き感およびゴワつきを低減して適度なつや感を付与することができ、使用後の毛髪に対して軽い仕上がり感を与えることができる。
【0019】
<エタノールおよび多価アルコール(B)>
本発明のゲル状整髪料には、エタノールおよび多価アルコール(B)が用いられる。特に多価アルコールは、従来のゲル状整髪料に含まれていた量よりも多くの量で含まれる。
【0020】
エタノールは、これ自体が有する揮発性により、本発明のゲル状整髪料に速乾性を付与することができ、該ゲル状整髪料を塗布した後の毛髪に対し、仕上がりのべた付きを抑制するとともに整髪性を向上させることが可能となる。
本発明のゲル状整髪料には、多価アルコールが必須成分として含まれ、前記エタノールと組み合わせて用いる。前記エタノールのみでは速乾性が強調されやすく、仕上がり感が良好である反面、一般に整髪料の乾燥後において、毛髪表面に被膜状に展延された該整髪料が必要以上に固化しやすく、毛髪表面上において堅牢に付着した状態になりやすい。こ
のような状態であると、整髪料を塗布した後に手櫛、櫛またはブラシ等で整髪しようとすると、毛髪表面上に堅牢に付着した整髪料が白化した状態で粉状にはがれ落ちる、所謂フレーキングが生じてしまう。一度フレーキングが生じると、洗髪等しなければフレーキングを解消することができないため、実質的に再整髪をすることが不可能となる。
【0021】
しかしながら、エタノールの含有量に対し、多価アルコールを特定の量となるように含有させることで、従来のゲル状整髪料に配合されていた多価アルコールの量よりも多くの量を配合することとなり、多価アルコールが奏する膨潤性によりエタノールの速乾性を適度に緩和しつつ、高い保湿力を付与することができるので、上記のようなフレーキングを効果的に抑制することが可能となる。
【0022】
こうした保湿効果は、特定の量で含有される多価アルコールのみに起因するものではなく、前記非イオン性高分子化合物(A)が併せ持つ皮膜形成能とも微妙に絡み合い、フレーキングを有効に防止し得る程度の保湿性を付与することができるのである。
多価アルコールとしては、具体的には、たとえばジグリセリン、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、ソルビトール、マンニトールが挙げられる。なかでもジグリセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好ましく、ジグリセリンまたはグリセリンがよ
り好ましい。
【0023】
これらエタノールおよび多価アルコール(B)は、本発明のゲル状整髪料100重量%中、エタノールおよび多価アルコールの合計で20〜40重量%の量で含まれ、かつエタノールと多価アルコールの含有量は、重量比で通常1:1.5〜1:4、好ましくは1:2〜1:3である。
上記範囲内の量、および重量比でエタノールおよび多価アルコール(B)が含まれていると、適度な速乾性を付与することができるとともに、保湿力を高めることができ、毛髪表面における被膜状に固化するのを有効に抑制することが可能となり、フレーキングを低減して再整髪性が向上したゲル状整髪料を実現することができる。また整髪料としての安定性も良好に保持し、ゴワつきおよびべた付きを低減でき、かつ毛髪に塗布する際にも良好な伸びを呈することができる。
【0024】
<非イオン性界面活性剤(C)>
本発明のゲル状整髪料に、さらに非イオン性界面活性剤(C)を配合することで、より透明性を向上させることができ、またべた付きおよびゴワつきを低減することができ、上記効果と合わせ、これらの効果をバランスよく保持したゲル状整髪料とすることができる。
【0025】
非イオン性界面活性剤(C)としては、具体的には、たとえばPEG-40水添ヒマシ
油、PEG−50水添ヒマシ油、PEG−60水添ヒマシ油のようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、PEG−20ソルビタンココエートのほか、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルグルコシドなどが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0026】
これら非イオン性界面活性剤は、本発明のゲル状整髪料100重量%中、通常0.01
〜4重量%、好ましくは0.5〜3重量%の量で含まれる。上記範囲内の量で含まれていると、良好な透明感を保持することができるとともに、べた付きおよびゴワつきを効果的に低減することができる。
さらに、上記非イオン性界面活性剤のうち、PEG−50水添ヒマシ油、PEG-40
水添ヒマシ油、PEG−60水添ヒマシ油のいずれか1種と、上記その他の非イオン性界面活性剤とを組み合わせ、両者を重量比で1:1〜1:5、好ましくは1:1〜1:3となるよう含有するのがよい。上記PEG−50水添ヒマシ油、PEG−40水添ヒマシ油、PEG−60水添ヒマシ油は、いずれも常温(25℃)下においてペースト状の形態を示すため、その他の非イオン性界面活性剤と上記重量比で含まれていることにより、塗布時の伸び、しっとり感、再整髪性などの性能をバランスよく保持することができる。
【0027】
<ヒドロキシエチルセルロース(d−1)およびヒドロキシプロピルセルロース(d−2)>
本発明のゲル状整髪料に、さらにヒドロキシエチルセルロース(d−1)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(d−2)を配合することで、増粘助剤としての働きを奏することにより整髪料としての安定性を向上させることができ、また塗布後の毛髪にしっとり感をも付与することができる。したがって、上記効果と合わせこれらの効果をバランスよく保持することができる。
【0028】
ヒドロキシエチルセルロース(d−1)としては、たとえば市販品ヒドロキシエチルセルロースSE-400、ヒドロキシエチルセルロースSE-600、ヒドロキシエチルセルロースSE-850、ヒドロキシエチルセルロースSE-900(いずれもダイセル化学(株)製)を、ヒドロキシプロピルセルロース(d−2)としては、たとえば市販品HPC-M(日本曹達(株))を用いることができる。
【0029】
これらは、本発明のゲル状整髪料100重量%中、0.01〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量%の量で含まれる。
【0030】
<その他の成分>
本発明のゲル状整髪料は、水または水を主剤とする媒体中に上記成分を溶解または分散させることにより調製される。水としては、通常精製水が使用され、水の含有量としては、特に制限されるものではないが、上述した水以外の各成分および後述する水以外のその他の成分の合計量(重量%)を100重量%から差し引いた残部の量で本発明のゲル状整髪料に含まれる。
【0031】
さらに本発明のゲル状整髪料には、本発明の効果を損なわない範囲内でその他の成分が含まれていてもよい。
その他の成分としては、たとえば、シリコーン類、油性成分、高級脂肪酸、エステル類、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、および殺菌剤などの公知の化粧品成分が挙げられる。
【0032】
本発明に使用されるシリコーン類としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコ
キシ変性シリコーンなどが挙げられる。シリコーン類はコンディショニング効果を有するため、これらを配合することによって、該整髪料に良好な質感を付与することができる。
【0033】
本発明に用いることのできる油性成分としては、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン、マイクロクリスタンワックス、セレシン、プリスタンなどの炭化水素;オリーブ油、ツバキ油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アルモンド油、アボガド油、カロット油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油などの油脂;ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリンなどのロウ類;などが挙げられ、これらの油性成分は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
本発明に使用できる高級脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸などが挙げられる。
本発明に使用できるエステル類として、たとえば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体などが挙げられる。
【0035】
なお、本発明のゲル状整髪料は、上述した各成分を、公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解等することによって製造することができる。たとえば、まずアルカリ増粘剤を媒体中に分散させた後、エタノールを添加して分散液を作製する。次いで、ビニルピロリドン系共重合体からなる非イオン性高分子化合物(A)と多価アルコール(B)との混合液に前記分散液を加えて攪拌し、アルカリ剤を添加することにより本発明のゲル状整髪料を得ることができる。
【実施例】
【0036】
次の本発明のゲル状整髪料について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、以下の表中の数量は、特に断りのない限り「重量%」を表す。
[評価方法]
専門パネラー(美容師)により各評価項目につき、以下の基準に基づいて評価を行った。
【0037】
《安定性》
試料50gを市販PET50ml容器に充填し、45℃の高温槽に3ヶ月放置した後の外観を観察し
、以下の通り評価した。
◎:粘度低下が全くない。
○:粘度低下がない。
△:粘度低下する。
×:激しく粘度低下する。
【0038】
《透明性》
試料50gを市販PET50ml容器に充填し、その外観を観察し、以下の通り評価した。
◎:全く濁りがない。
○:濁りがない。
△:やや濁る。
×:完全に濁る。
【0039】
《べた付きのなさ》
試料3gを専門パネラーに使用してもらい、頭髪に塗布したときの状態を以下の通り評価した。伸びのよさ、ゴワつきについても同様に評価した。
◎:べた付きを全く感じない。
○:べた付きを感じないが、若干の油性感を感じる。
△:多少べた付きを感じる。
×:非常にべた付く。
【0040】
《伸びのよさ》
◎:非常に伸びが良い。
○:伸びが良い。
△:多少伸びが悪い。
×:伸びが悪い。
【0041】
《ゴワつき》
●:全くゴワつかず、多少の滑らかさを感じる。
◎:全くゴワつかない。
○:ゴワつかない
△:多少ゴワつく
×:非常にゴワつく。
【0042】
《時間経過によるダレ》
試料3gを専門パネラーに使用してもらい、頭髪に塗布後30分経過後に、以下の通り評価した。再整髪性についても同様に評価した。
◎:全くダレない。
○:ダレない。
△:多少ダレる。
×:非常にダレる。
【0043】
《再整髪性》
◎:非常に良好である。
○:良好である。
△:あまり良くない。
×:悪い。
【0044】
[実施例1]
表1に示した成分および割合に従い、
(1)まず、カルボキシビニルポリマーを、用意した精製水の一部を用いて分散させた
後、この分散液にメチルパラベン、香料を溶解させたエタノールを添加する。
【0045】
(2)次に、残りの精製水に酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ジグリセリンを
加える。
(3) (2)に(1)を加えてよく攪拌した後、トリエタノールアミンを加えて中和させ、ゲル状整髪料を得た。
得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表1に示す。
【0046】
[実施例2]
表1に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表1に示す。
【0047】
[比較例1〜2]
表1に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表1に示す。
【0048】
[実施例3〜10]
表1に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、エタノールおよび多価アルコールの配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表1に示す。
【0049】
[比較例3〜8]
表1に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、エタノールおよび多価アルコールの配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表1に示す。
【0050】
[実施例11〜14]
表2に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、PEG−50水添ヒマシ油を配合した以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表2に示す。
【0051】
[実施例15〜18]
表2に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、PEG−20ソルビタンココエートを配合した以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表2に示す。
【0052】
[実施例19〜26]
表2に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、PEG−50水添ヒマシ油およびPEG−20ソルビタンココエートを配合した以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表2に示す。
【0053】
[実施例27〜30]
表3に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、PEG−50水添ヒマシ油およびPEG−20ソルビタンココエートの配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表3に示す。
【0054】
[実施例31〜36]
表3に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースを配合した以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表3に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
[実施例37〜38]
表4に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)としてビニルピロリドン・酢酸ビニル・プロピオン酸ビニル共重合体を配合した以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表4に示す。
【0059】
【表4】

【0060】
[実施例39〜40]
表5に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコールまたはソルビトールを配合した以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表5に示す。
【0061】
【表5】

【0062】
[実施例41〜42]
表6に示した成分および割合に従い、非イオン性高分子化合物(A)の配合量を4重量%とし、非イオン性界面活性剤(C)としてPEG−20ソルビタンココエートと、グリセリン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンフィトステロールとを配合した以外は実施例1と同様にして、ゲル状整髪料を得た。得られたゲル状整髪料を用いて、上記基準に基づき評価を行なった。結果を表4に示す。
【0063】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ増粘剤およびアルカリ剤を含有するゲル状整髪料であって、該ゲル状整髪料100重量%中、
ビニルピロリドン系共重合体からなる非イオン性高分子化合物(A)を0.5〜7.5重量%、
エタノールおよび多価アルコール(B)を20〜40重量%の量で含有し、
かつ、前記エタノールと多価アルコールとの重量比が1:1.5〜1:4であることを特徴とするゲル状整髪料。
【請求項2】
さらに、前記ゲル状整髪料100重量%中、非イオン性界面活性剤(C)を0.01〜4重量%の量で含有することを特徴とする請求項1に記載のゲル状整髪料。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤(C)が、
PEG−40水添ヒマシ油、PEG−50水添ヒマシ油またはPEG−60水添ヒマシ油のいずれか1種の非イオン性界面活性剤(c−1)と、
(c−1)を除く非イオン性界面活性剤(c−2)とからなり、
かつ、前記(c−1)と(c−2)との重量比が1:1〜1:5であることを特徴とする請求項1または2に記載のゲル状整髪料。
【請求項4】
さらに、前記ゲル状整髪料100重量%中、ヒドロキシエチルセルロース(d−1)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(d−2)を0.01〜3重量%の量で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゲル状整髪料。

【公開番号】特開2008−308452(P2008−308452A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158571(P2007−158571)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(595082283)株式会社アリミノ (38)
【Fターム(参考)】