説明

ゲートウェイ装置、情報通信方法、情報通信プログラム、および情報通信システム

【課題】端末装置間の通信セッションを確立するまでの時間を短縮することができるとともに、フォールバック処理による通信網のトラフィックの増大を抑制するこが可能なゲートウェイ装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも1以上の端末装置と同一ネットワーク内で接続され、同一ネットワーク内の端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションを確立するまでの情報の送受信を中継するシグナリングモジュールと、複数の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報が登録される通信能力データベースと、同一ネットワーク内の端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションが確立されるまでにシグナリングモジュールが中継した情報をキャッシュし、別のネットワーク内の端末装置の能力情報を通信能力データベースに登録して管理する通信能力判断モジュールと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイ装置、情報通信方法、情報通信プログラム、および情報通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、NGN(Next Generation Network)のようなIP電話網においては、UDP(User Datagram Protocol)のパケットサイズ等の問題により、フォールバック処理が必要となることがある。ここで、フォールバック処理とは、通話開始要求が何らかの理由でエラーとなった場合に、エラーとなった条件を変更して再度通話開始要求を行う処理をいう。しかしながら、フォールバック処理は、ネットワークのトラフィックを増大させてしまうという問題がある。また、フォールバック処理が繰り返し行われることにより、通話開始までの時間が延びてしまい、ユーザにとっても利便性が悪くなるという問題がある。
【0003】
このようなフォールバック処理を回避するための技術が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1には、通信先の接続状況を確認した上で、あらかじめ設定された複数の通信条件の中から、通信先の接続状況に応じた適切な通信条件を選択することが可能な通信端末装置が開示されている。該通信端末装置は、例えば、通信先の電話番号の先頭が「050」であるか否かを確認することで相手方の装置がIP電話網に接続されていると判断する。このように、特許文献1に記載の通信端末装置は、通信先の端末装置がIP電話網に接続されているか否かを判断し、接続状況に応じて通信条件を適宜変更することにより通信エラーを極力防止し、フォールバック処理を軽減することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-130036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された通信端末装置は、単に相手方端末のIP電話網への接続状況に応じて最大データ速度や最大シンボルレートなどの通信条件を変更するに過ぎない。したがって、例えば、相手方の端末装置が対応可能な通信規格によっては、通信状態を確立するまでに端末装置間でフォールバック処理が複数回行われることもある。この結果、端末装置間の通信セッションを確立するまでの時間が長くなるとともに、フォールバック処理による通信網のトラフィックが増大してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、端末装置間の通信セッションを確立するまでの時間を短縮することができるとともに、フォールバック処理による通信網のトラフィックの増大を抑制することが可能な、新規かつ改良されたゲートウェイ装置、情報通信方法、情報通信プログラム、および情報通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、少なくとも1以上の端末装置と同一ネットワーク内で接続され、前記同一ネットワーク内の端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションを確立するまでの情報の送受信を中継するシグナリングモジュールと、複数の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報が登録される通信能力データベースと、前記同一ネットワーク内の端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションが確立されるまでに前記シグナリングモジュールが中継した情報をキャッシュし、別のネットワーク内の端末装置の前記能力情報を前記通信能力データベースに登録して管理する通信能力判断モジュールと、を備える、ゲートウェイ装置が提供される。
【0008】
係る構成により、少なくとも1以上の端末装置と同一ネットワーク内で接続されるゲートウェイ装置のシグナリングモジュールは、同一ネットワーク内の端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションを確立するまでの情報の送受信を中継することができる。また、ゲートウェイ装置が備える通信能力データベースには、数の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報が登録される。また、通信能力判断モジュールは、同一ネットワーク内の端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションが確立されるまでにシグナリングモジュールが中継した情報をキャッシュし、別のネットワーク内の端末装置の能力情報を、通信能力データベースに登録して管理することができる。
【0009】
また、前記通信能力判断モジュールは、前記同一ネットワーク内の発信側の端末装置から別のネットワーク内の端末装置に発信要求があった場合に、前記通信能力データベースから着信側の端末装置の前記能力情報を検索することもできる。この場合、前記シグナリングモジュールは、前記通信能力データベースに登録されている前記着信側の端末装置の前記能力情報に基づいて、前記着信側の端末装置が前記発信要求の通信規格に対応しているか否かを判断し、対応していると判断した場合、前記発信要求を前記着信側の端末装置へ送信し、対応していないと判断した場合、エラー信号を前記発信側の端末装置へ送信することもできる。
【0010】
また、前記通信能力データベースに登録されている期間を前記端末装置毎に管理するタイマモジュールをさらに備えてもよい。この場合、該タイマモジュールは、前記通信能力データベースに登録されている前記能力情報に対応する端末装置との通信セッションが確立されるたびに、該能力情報の前記通信能力データベースへの登録期間をリセットして計測し直すこともできる。
【0011】
また、前記タイマモジュールは、所定の端末装置の前記能力情報の前記登録期間が、あらかじめ設定された所定期間を超えた場合、該能力情報を前記通信能力データベースから消去するように前記通信能力判断モジュールに指示し、前記通信能力判断モジュールは、前記タイマモジュールからの指示に応じて、該当する能力情報を前記通信能力データベースから消去することもできる。
【0012】
また、前記通信能力判断モジュールは、前記別のネットワーク内の端末装置から前記同一ネットワーク内の端末装置に発信要求があった場合において、該発信要求に対応する通信規格と、前記通信能力データベースに登録されている前記別のネットワーク内の端末装置の前記能力情報に含まれる通信規格とが異なる場合、前記通信能力データベースに登録されている前記発信要求をした端末装置の前記能力情報を、該発信要求に対応する通信規格を含む新しい能力情報に更新することもできる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、少なくとも1以上の端末装置と接続されるゲートウェイ装置により、該ゲートウェイ装置と同一ネットワーク内で接続される端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間で情報の送受信を中継して、前記端末装置間の通信セッションを確立する通信セッション確立ステップと、前記通信セッション確立ステップにおいて前記端末装置間で送受信された情報をキャッシュし、前記別のネットワーク内の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報を通信能力データベースに登録して管理する通信能力登録ステップと、を含む、ゲートウェイ装置による情報通信方法が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、少なくとも1以上の端末装置と接続されるゲートウェイ装置により、該ゲートウェイ装置と同一ネットワーク内で接続される端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間で情報の送受信を中継して、前記端末装置間の通信セッションを確立する通信セッション確立処理と、前記通信セッション確立処理において前記端末装置間で送受信された情報をキャッシュし、前記別のネットワーク内の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報を通信能力データベースに登録して管理する通信能力登録処理と、を、コンピュータに実行させる情報通信プログラムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、端末装置間でゲートウェイ装置を介して通信セッションを確立する情報通信システムにおいて、前記端末装置は、該端末装置と同一ネットワーク内で接続されるゲートウェイ装置へ別のネットワーク内の端末装置に対する発信要求を送信する第1シグナリングモジュールを備え、前記ゲートウェイ装置は、前記第1シグナリングモジュールからの前記発信要求に応じて、前記同一ネットワーク内の端末装置と、前記別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションを確立するまでの情報の送受信を中継する第2シグナリングモジュールと、複数の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報が登録される通信能力データベースと、前記同一ネットワーク内の端末装置と、前記別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションが確立されるまでに前記第2シグナリングモジュールが中継した情報をキャッシュし、前記別のネットワーク内の端末装置の前記能力情報を前記通信能力データベースに登録して管理する通信能力判断モジュールと、を備える、情報通信システムが
提供される。
【0016】
また、前記通信能力判断モジュールは、前記同一ネットワーク内の発信側の端末装置の前記第1シグナリングモジュールからの前記発信要求に応じて、前記通信能力データベースから着信側の端末装置の前記能力情報を検索してもよい。この場合、前記第2シグナリングモジュールは、前記通信能力データベースに登録されている前記着信側の端末装置の前記能力情報に基づいて、前記着信側の端末装置が前記発信要求の通信規格に対応しているか否かを判断し、対応していると判断した場合、前記発信要求を前記着信側の端末装置へ送信し、対応していないと判断した場合、エラー信号を前記発信側の端末装置へ送信し、前記発信側の端末装置の前記第1シグナリングモジュールは、前記エラー信号の受信に応じて、異なる通信規格に基づく発信要求を前記ゲートウェイ装置へ再度送信することもできる。
【0017】
また、前記第1シグナリングモジュールが、前記発信要求内に前記能力情報を利用しないことを命令する情報を含めて前記ゲートウェイ装置へ送信した場合において、前記第2シグナリングモジュールは、前記能力情報に基づいて前記着信側の端末装置が前記発信側の通信規格に対応しているか否かを判断することなく、該発信要求を前記着信側の端末装置へ送信することもできる。
【0018】
また、前記端末装置が対応可能な通信規格が更新された場合、前記第1シグナリングモジュールは、該端末装置とは異なるネットワーク内の前記ゲートウェイ装置に対して前記能力情報の消去命令を送信し、前記消去命令を受信した前記ゲートウェイ装置の前記通信能力判断モジュールは、前記通信能力データベースから前記消去命令に対応する能力情報を消去することもできる。
【0019】
また、前記情報通信システムは、複数の前記ゲートウェイ装置が備える前記通信能力データベースに登録されている前記能力情報をまとめて管理する通信能力サーバをさらに備えてもよい。この場合、前記ゲートウェイ装置の前記通信能力判断モジュールは、所定の前記端末装置の前記能力情報を前記通信能力データベースに登録した後、該能力情報を前記通信能力サーバへ送信し、前記通信能力サーバは、前記ゲートウェイ装置の前記通信能力判断モジュールから受信した前記能力情報を管理することもできる。
【0020】
また、前記ゲートウェイ装置の通信能力判断モジュールは、前記着信側の端末装置の前記能力情報が前記通信能力データベースに登録されていない場合、前記通信能力サーバから前記着信側の端末装置の前記能力情報を取得し、該能力情報を前記通信能力データベースに登録することもできる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、ゲートウェイ装置が端末装置の能力情報を管理することにより、端末装置間の通信セッションを確立するまでの時間を短縮することができるとともに、フォールバック処理による通信網のトラフィックの増大を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の1つに係る情報通信システム500の概略構成を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係る情報通信システム500において、ゲートウェイ装置200がフォールバック情報の結果をキャッシュする処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図3】同実施形態に係る情報通信システム500において、ゲートウェイ装置200がキャッシュする能力情報の一例を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係る情報通信システム500において、ゲートウェイ装置200に登録されている能力情報に基づいて、通信セッションを確立させる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図5】同実施形態に係る情報通信システム500において、ゲートウェイ装置200に登録されている能力情報を自動で消去する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図6】変形例1の情報通信システム500において、端末装置100が対応可能な通信規格が更新された場合に、ゲートウェイ装置200が能力情報を更新する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図7】変形例1の情報通信システム500において、端末装置100B’がゲートウェイ装置200Aに対して能力情報の削除を要求する際の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図8】変形例1の情報通信システム500において、端末装置100B’から送信されるメッセージ情報の一例を示す説明図である。
【図9】変形例2の情報通信システム500において、端末装置100から送信されるメッセージ情報の一例を示す説明図である。
【図10】変形例3の情報通信システム500において、通信能力サーバ400を利用した能力情報の登録・取得処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図11】同実施形態に係る情報通信システム500を構成する端末装置100およびゲートウェイ装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図12】従来の情報通信システム50の概略構成を示す説明図である。
【図13】従来の情報通信システム50において、端末間で通信を開始する際に行われるフォールバック処理の一般的な流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本発明の実施形態の概要
2.情報通信システム500の概略構成
3.情報通信システム500における通話開始処理の流れ
3−1.フォールバック処理の結果をキャッシュする処理の流れ
3−2.能力情報に基づいて通信セッションを確立する処理の流れ
3−3.タイマによる能力情報の消去処理の流れ
4.変形例
4−1.変形例1(端末装置の通信規格の更新に応じて能力情報を更新する例)
4−2.変形例2(能力情報の利用を制限する例)
4−3.変形例3(複数のゲートウェイ装置200の能力情報を一括管理する例)
5.端末装置100およびゲートウェイ装置200のハードウェア構成
6.まとめ
【0025】
<1.本発明の実施形態の概要>
まず、従来技術の問題点を明確にしたうえで、本発明の実施形態の1つに係る情報通信システム500の概要について説明する。
【0026】
図12は、従来の情報通信システム50の概略構成を示す説明図である。図12に示すように、家庭内や企業内LANにおいて、少なくとも1以上の端末装置10がゲートウェイ装置20を介して通信網40に接続されている。図12に示す例では、端末装置10Aは、例えば、H.264(動画圧縮規格)、MPEG4(Video/Audio)などに対応可能なテレビ会議用の端末装置である。一方、端末装置10Bは、IPv4のみ対応可能なG.711(音声符号化規格)音声電話用の端末装置である。このような従来の情報通信システム50において、端末装置10Aのユーザが、通信網40を介して端末装置10Bのユーザとの通話を開始する際の処理の流れについて以下説明する。
【0027】
図13は、図12に示した従来の情報通信システム50において、端末装置10間で通信を開始する際に行われるフォールバック処理の一般的な流れを示すシーケンス図である。なお、図13に示すシーケンス図は、端末装置10Aを発信側とし、端末装置10Bを着信側とした場合の例であるが、端末装置10Aを着信側とし、端末装置10Bを発信側とした場合も同様の処理が行われる。
【0028】
図13に示すように、端末装置10Aに備えられるSIPシグナリングモジュール12Aは、ユーザからの通話開始指示に応じて、ステップ10において、メディア送受信モジュール14Aに対して受信開始を要求する。これと同時に、SIPシグナリングモジュール12Aは、IPv6/H.264/MPEG4−AACで端末装置10Bへ発信する。すなわち、SIPシグナリングモジュール12Aは、ステップ12および14において、ゲートウェイ装置20Aを介して発信要求をSIPサーバ30へ送信する。
【0029】
ここで、SIPサーバ30は、端末装置10BがIPv4のみに対応する端末装置であることを認識しているため、ステップ16および18において、ゲートウェイ装置20Aを介してエラー信号(エラーコード488等)を端末装置10Aへ送信する。
【0030】
この結果、端末装置10AのSIPシグナリングモジュール12Aは、発信条件を変更して再度、通話開始要求(フォールバック処理)を行う。具体的には、SIPシグナリングモジュール12Aは、IPv4/MPEG4−Video/MPEG4−AACで端末装置10Bへ再度発信する。すなわち、SIPシグナリングモジュール12Aは、ステップ20および22において、ゲートウェイ装置20Aを介して、発信要求をSIPサーバ30へ送信する。これを受けてSIPサーバ30は、端末装置10BがIPv4に対応する端末装置であることを認識しているため、ステップ24および26において、ゲートウェイ装置20Bを介して端末装置10Aからの発信要求を端末装置10Bへ送信する。
【0031】
これを受けて、端末装置10BのSIPシグナリングモジュール12Bは、ステップ28において、端末装置10Aから受信した発信要求の通信規格が、自己の端末で対応可能か否かを判断する能力マッチング処理を行う。図13に示した例では、端末装置10Bは、IPv4のみ対応可能なG.711音声電話用の端末装置であるため、SIPシグナリングモジュール12Bは、ステップ30、32、34および36において、エラー信号を端末装置10Aへ送信する。
【0032】
この結果、端末装置10AのSIPシグナリングモジュール12Aは、発信条件を変更して再度、通話開始要求(フォールバック処理)を行う。具体的には、SIPシグナリングモジュール12Aは、IPv4/G.711で端末装置10Bへ再度発信する。すなわち、ステップ38、40、42および44において、ゲートウェイ装置20A、SIPサーバ30およびゲートウェイ装置20Bを介して、発信要求が端末装置10Aから端末装置10Bへ送信される。
【0033】
これを受けて、端末装置10BのSIPシグナリングモジュール12Aは、ステップ46において再度、能力マッチング処理を行う。図13に示した例では、端末装置10Bは、IPv4のみ対応可能なG.711音声電話用の端末装置であるため、SIPシグナリングモジュール12Bは、端末装置10Aとの通話を開始可能と判断する。すなわち、SIPシグナリングモジュール12Bは、ステップ48において、メディア送受信モジュール14Bに対して送受信開始を要求する。また、SIPシグナリングモジュール12Bは、ステップ50、52、54および56において、応答信号を端末装置10Aへ送信する。
【0034】
その後、端末装置10AのSIPシグナリングモジュール12Aは、ステップ58において、メディア送受信モジュール14Aに対して送信開始を要求する。この結果、ステップ60において、端末装置10Aと端末装置10Bとの間の通信セッションが確立される。
【0035】
以上のように、従来の情報通信システム50においては、通信セッションを確立するに際して、相手方の端末装置の能力とマッチングするまでフォールバック処理を実行する必要がある。これにより、通話開始までの時間が長くなったり、発信要求信号やエラー信号などにより通信網40のトラフィックが増大したりするという問題が発生する。
【0036】
本発明の実施形態の1つに係る情報通信システム500を利用することにより、上記問題点を解決することができる。具体的には、ゲートウェイ装置200が過去のフォールバック処理の結果をキャッシュすることにより、各端末装置100の通信能力に関する情報をデータベースとして管理する。これにより、端末装置100が発信要求を送信した際に、ゲートウェイ装置200は、相手方端末装置100との能力マッチング処理を行うことができる。したがって、通信セッションの確立までに必要なフォールバック処理を、端末装置100とゲートウェイ装置200との間で行うことができる。
【0037】
すなわち、ゲートウェイ装置200がフォールバック処理の結果をキャッシュすることにより、通信セッションの確立までに必要なフォールバック処理を、端末装置100とゲートウェイ装置200との間で行うことができる。この結果、本発明の実施形態の1つに係る情報通信システム500を利用することにより、端末装置100間の通信セッションを確立するまでの時間を短縮することができるとともに、フォールバック処理によるトラフィックの増大を抑制することが可能である。
【0038】
以下、このような特徴を有する情報通信システム500の詳細について説明する。
【0039】
<2.情報通信システム500の概略構成>
【0040】
図1は、本発明の実施形態の1つに係る情報通信システム500の概略構成を示す説明図である。図1に示すように、本実施形態に係る情報通信システム500は、上述した従来の情報通信システム50と同様に、家庭内や企業内LANにおいて、少なくとも1以上の端末装置100がゲートウェイ装置200を介して通信網40に接続されている。図1に示すように、同一LAN内においては、1つのゲートウェイ装置200に対して複数の端末装置100が接続されている。すなわち、複数の端末装置100が同一のゲートウェイ装置200を介して通信網40に接続されている。なお、通信網40は、例えば、NGN(Next Generation Network)のようなIP電話網が想定されるが、例えば、インターネット上でSIPサーバを介したVoIPサービスなどであってもよく、特定の通信ネットワークに限定されない。
【0041】
また、図1に示す例では、端末装置100Aは、例えば、H.264(動画圧縮規格)、MPEG4(Video/Audio)などに対応可能なテレビ会議用の端末装置である。一方、端末装置100Bは、IPv4のみ対応可能なG.711(音声符号化規格)音声電話用の端末装置である。以下の説明においては、テレビ会議用の端末装置100Aと音声電話用の端末装置100Bとの間で、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ300を介して通信セッションを確立する場合を例に説明する。
【0042】
図1に示すように、端末装置100は、SIPシグナリングモジュール102と、メディア送受信モジュール104と、を含んで構成される。また、ゲートウェイ装置200は、SIPシグナリングモジュール202と、通信能力判断モジュール204と、タイマモジュール206と、を含んで構成される。以下、端末装置100およびゲートウェイ装置200の各機能構成部の詳細について説明する。
【0043】
(端末装置100)
SIPシグナリングモジュール102は、端末装置100間における呼制御(シグナリング)を行う。すなわち、SIPシグナリングモジュール102は、ユーザからの指示に応じて、所定の端末装置100との通信セッションを確立させる。SIPシグナリングモジュール102は、例えば、通話開始をリクエストするUAC(User Agent Client)の機能モジュールとして動作する。また、SIPシグナリングモジュール102は、例えば、受け取ったリクエストに対するレスポンスを生成するUAS(User Agent Server)の機能モジュールとして動作することもできる。
【0044】
メディア送受信モジュール104は、端末装置100間における通信セッションが確立された後に、所定のメディアデータを送受信する。メディア送受信モジュール104は、例えば、RTP(Real−time Transport Protocol)などの通信プロトコルに基づいて、音声や映像などのメディアデータを通信先の端末装置100へ送信する。なお、メディア送受信モジュール104が送受信可能なメディアデータや通信プロトコルの種類は、特定のものに限定されるものではない。すなわち、本実施形態に係る情報通信システム500は、通信セッションの確立までの時間短縮およびトラフィックの抑制を目的とするものであるため、通信セッション確立後のメディアデータの送受信方法等は特定のものに限定されるものではない。
【0045】
(ゲートウェイ装置200)
SIPシグナリングモジュール202は、上記端末装置100のSIPシグナリングモジュール102と同様に、端末装置100間における呼制御(シグナリング)を行う。すなわち、SIPシグナリングモジュール202は、SIPサーバ300を介して、端末装置100間における発信要求、エラー信号、応答信号等の送受信を中継する。
【0046】
上述したように、本実施形態においては、ゲートウェイ装置200がフォールバック処理の結果をキャッシュし、キャッシュ情報に基づいて次回からのフォールバック処理を端末装置100とゲートウェイ装置200との間で行うことを特徴の1つとしている。したがって、SIPシグナリングモジュール202は、端末装置100間の通信セッションが確立される際に、フォールバック処理の結果をキャッシュするように後述する通信能力判断モジュール204へ指示する。
【0047】
また、発信側の端末装置100Aから発信要求があった場合には、SIPシグナリングモジュール202Aは、通信能力判断モジュール204Aに対して、着信側の端末装置100Bの能力情報(フォールバック処理の結果)の検索を指示する。その後、SIPシグナリングモジュール202Aは、着信側の端末装置100Bの能力情報がキャッシュされていない場合には、通常通りのフォールバック処理を行う。着信側の端末装置100Bの能力情報がキャッシュされている場合には、キャッシュ情報に基づいて、端末装置100Aとゲートウェイ装置200Aとの間でフォールバック処理を行う。なお、SIPシグナリングモジュール202による各種処理の流れの詳細については、処理シーケンス図を参照に後述する。
【0048】
通信能力判断モジュール204は、各端末装置100の能力情報を通信能力データベースに登録して管理する。上述したように、端末装置100間の通信セッションが確立される際には、フォールバック処理の結果をキャッシュするように、SIPシグナリングモジュール202から指示を受ける。これを受けて、通信能力判断モジュール204は、フォールバック処理の結果をキャッシュして、端末装置100毎に能力情報を通信能力データベースに登録して管理する。通信能力判断モジュール204が管理する能力情報としては、例えば、端末装置のアドレス情報、通信プロトコル情報、ビデオコーデック情報、オーディオコーデック情報などが含まれる。このように、ゲートウェイ装置200が管理する通信能力データベースには、複数の端末装置100の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報が登録されている。
【0049】
また、通信能力判断モジュール204は、SIPシグナリングモジュール202からの指示に応じて、通信能力データベースから所定の端末装置100の能力情報を検索し、検索結果をSIPシグナリングモジュール202へ転送する。これにより、SIPシグナリングモジュール202は、端末装置100とゲートウェイ装置200との間でフォールバック処理を行うことができるか否かを判断することができる。
【0050】
また、通信能力判断モジュール204は、所定の端末装置100に関する能力情報が所定時間利用されていない場合、当該能力情報を通信能力データベースから自動で消去することもできる。能力情報判断モジュール204は、後述するタイマモジュール206が管理する能力情報の登録期間に応じて、所定期間利用されていない能力情報を通信能力データベースから消去する。これにより、所定期間通信セッションが確立されていない古い能力情報を自動で消去することができる。なお、通信能力判断モジュール204による各種処理の流れの詳細については、処理シーケンス図を参照に後述する。
【0051】
タイマモジュール206は、通信能力判断モジュール204が管理する通信能力データベースに登録されている能力情報の記録期間を管理する。タイマモジュール206は、通信能力判断モジュール204からの指示に応じて、所定の能力情報の登録期間の計測を開始したり、登録期間を更新したりする。また、タイマモジュール206は、所定の能力情報が通信能力データベースに登録されている期間が、あらかじめ設定された満了期間を超えた場合、当該能力情報の消去を通信能力判断モジュール204へ指示する。これを受けて通信能力判断モジュール204は、所定期間通信セッションが確立されていない古い能力情報を通信能力データベースから自動で消去することができる。なお、タイマモジュール206による各種処理の流れの詳細については、処理シーケンス図を参照に後述する。
【0052】
<3.情報通信システム500における通話開始処理の流れ>
次に、上述した情報通信システム500において、端末装置100Aのユーザが、通信網40を介して端末装置100Bのユーザとの通話を開始する際の処理の流れについて以下説明する。
【0053】
[3−1.フォールバック処理の結果をキャッシュする処理の流れ]
まず、端末装置100Aと端末装置100Bとの間で通信セッションが確立された際に行われるフォールバック情報の結果のキャッシュ処理の流れについて、図2のシーケンス図を参照にして説明する。図2は、本実施形態に係る情報通信システム500において、ゲートウェイ装置200Aがフォールバック情報の結果をキャッシュする処理の流れの一例を示すシーケンス図である。したがって、図2は、ゲートウェイ装置200Aが管理する通信能力データベースに端末装置100Bに関する能力情報が記録されていない状態において、端末装置100Aから端末装置100Bに発信要求があった場合の処理の流れの一例である。
【0054】
なお、図2に示すシーケンス図では、説明の便宜上、着信側のゲートウェイ装置200Bおよび端末装置100Bによる処理が省略されている。もちろん本実施形態においても、図13に示した従来の情報通信システム50と同様に、SIPサーバ300、着信側のゲートウェイ装置200Bおよび端末装置100B間でも各種信号の送受信処理が行われることはいうまでもない。
【0055】
まず、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、ユーザからの通話開始指示に応じて、ステップ100において、メディア送受信モジュール104Aに対して受信開始を要求する。これと同時に、SIPシグナリングモジュール102Aは、IPv6/H.264/MPEG4−AACで端末装置100Bへ発信する。すなわち、SIPシグナリングモジュール102Aは、ステップ102において、発信要求をゲートウェイ装置200Aへ送信する。
【0056】
これを受けてゲートウェイ装置200AのSIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ104において、通信能力判断モジュール204Aに対して、通信能力データベースから端末装置100Bに関する能力情報の検索を命令する。その後、通信能力判断モジュール204Aは、ステップ106において、通信能力データベースから端末装置100Bに関する能力情報を検索し、ステップ108において、検索結果をSIPシグナリングモジュール202Aへ送信する。
【0057】
ここで、図2に示す例では、通信能力データベースには端末装置100Bに関する能力情報が記録されていない。したがって、SIPシグナリングモジュール202Aは、通信能力判断モジュール204Aから受信した検索結果に基づいて、端末装置100Aとゲートウェイ装置200Aとの間ではフォールバック処理を行うことができないと判断する。この結果、SIPシグナリングモジュール202Aは、上述した従来方式と同様に、ステップ110〜ステップ138の処理により、端末装置100Bとの通信セッションを確立させる。
【0058】
具体的には、ステップ110において、IPv6/H.264/MPEG4−AACに基づく発信要求をSIPサーバ300へ送信する。これを受けて、SIPサーバ300は、ステップ114および116において、ゲートウェイ装置200Aを介してエラー信号(エラーコード488等)を端末装置100Aへ送信する。
【0059】
この結果、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、発信条件を変更して再度、通話開始要求(フォールバック処理)を行う。具体的には、SIPシグナリングモジュール102Aは、IPv4/MPEG4−Video/MPEG4−AACで端末装置100Bへ再度発信する。すなわち、SIPシグナリングモジュール102Aは、ステップ118および120において、ゲートウェイ装置200Aを介して、発信要求をSIPサーバ300へ送信する。その後、SIPサーバ300から発信要求を受信した端末装置100BのSIPシグナリングモジュール102Bは、端末装置100Aから受信した発信要求の通信規格が、自己の端末で対応可能か否かを判断する能力マッチング処理を行う。端末装置100Bは、IPv4のみ対応可能なG.711音声電話用の端末装置であるため、SIPシグナリングモジュール102Bは、ステップ122、124および126において、エラー信号を端末装置100Aへ送信する。
【0060】
この結果、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、発信条件を変更して再度、通話開始要求(フォールバック処理)を行う。具体的には、SIPシグナリングモジュール102Aは、IPv4/G.711で端末装置100Bへ再度発信する。すなわち、ステップ128および130において、ゲートウェイ装置200Aを介して、端末装置100Aからの発信要求がSIPサーバ300へ送信される。その後、SIPサーバ300から発信要求を受信した端末装置100BのSIPシグナリングモジュール102Bは再度、能力マッチング処理を行う。端末装置100Bは、IPv4のみ対応可能なG.711音声電話用の端末装置であるため、SIPシグナリングモジュール102Bは、端末装置100Aとの通話を開始可能と判断する。すなわち、SIPシグナリングモジュール102Bは、ステップ132、134および136において、応答信号を端末装置100Aへ送信する。
【0061】
その後、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、ステップ138において、メディア送受信モジュール104Aに対して送信開始を要求する。
【0062】
また、上述したように、本実施形態に係る情報通信システム500では、ゲートウェイ装置200Aがフォールバック処理の結果をキャッシュすることを特徴の1つとしている。具体的には、ステップ140において、ゲートウェイ装置200AのSIPシグナリングモジュール202Aは、通信能力判断モジュール204Aに対して、フォールバック処理の結果を通信能力データベースに登録するように指示する。
【0063】
これを受けて、通信能力判断モジュール204Aは、ステップ142において、フォールバック処理の結果を通信能力データベースに登録する。通信能力判断モジュール204Aは、例えば、最終的に端末装置100Bから送信された応答メッセージに記録されている所定の情報を抽出して、端末装置100Bに関する能力情報として通信能力データベースに登録することができる。
【0064】
図3は、ゲートウェイ装置200がキャッシュする能力情報の例を示す説明図である。図3に示された情報は、着信側の端末装置100から最終的に送信された応答メッセージの一例である。ゲートウェイ装置200の通信能力判断モジュール204は例えば、図3に示すメッセージ情報の中から、アドレス情報、通信プロトコル情報、ビデオコーデック情報およびオーディオコーデック情報のみを抽出し、能力情報として通信能力データベースに登録する。この結果、ゲートウェイ装置200は、能力情報を参照することにより、該能力情報に対応する端末装置100が対応可能な通信プロトコル、通信帯域、メディア情報などを認識することができる。また、着信側の端末装置100から最終的に送信された応答メッセージ情報の中から、通信セッションの確立に必要な情報のみを抽出することにより、登録処理の時間短縮やデータベースの簡略化などを図ることもできる。
【0065】
なお、図3に示したメッセージ情報は、本実施形態を説明する上での一例であり、メッセージ情報の内容、能力情報として抽出される情報の種類等はこれらに限定されるものではない。例えば、図2に示した例では、着信側の端末装置100Bに関する能力情報として、最終的に通信セッションを確立できた通信条件(IPv4/G.711)に関する情報などが通信能力データベースに登録される。
【0066】
再度、図2の処理シーケンスを参照すると、通信能力判断モジュール204Aは、能力情報を登録した後、ステップ144において、タイマモジュール206Aに対して、該能力情報の登録期間の計測開始を指示する。これを受けて、タイマモジュール206Aは、ステップ146において、端末装置100Bに関する能力情報の登録期間の計測を開始し、ステップ148および150において応答信号を送信する。なお、タイマモジュール206Aが管理する登録期間に関する情報に基づいて能力情報を自動で消去する処理の詳細については後述する。
【0067】
以上のような処理の結果、ステップ152において、端末装置100Aと端末装置100Bとの間の通信セッションが確立される。このように、情報通信システム500では、通信セッションを確立する際に、ゲートウェイ装置200がフォールバック処理の結果に関する情報をキャッシュし、着信側の端末装置100の能力情報として通信能力データベースに登録しておくことができる。なお、図2に示した例で、着信側の端末装置100Bと接続されるゲートウェイ装置200Bも同様に、フォールバック処理の結果に関する情報をキャッシュし、発信側の端末装置100Aの能力情報として通信能力データベースに登録することも当然に可能である。
【0068】
[3−2.能力情報に基づいて通信セッションを確立する処理の流れ]
次に、図2の処理により登録された能力情報に基づいて端末装置100Aとゲートウェイ装置200Aとの間でフォールバック処理を行って通信セッションを確立させる処理の流れについて説明する。
【0069】
図4は、本実施形態に係る情報通信システム500において、ゲートウェイ装置200に登録されている能力情報に基づいて、通信セッションを確立させる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。したがって、図4は、ゲートウェイ装置200Aが管理する通信能力データベースに端末装置100Bに関する能力情報が記録されている状態において、端末装置100Aから端末装置100Bに発信要求があった場合の処理の流れの一例である。
【0070】
なお、図4に示すシーケンス図では、説明の便宜上、着信側のゲートウェイ装置200Bおよび端末装置100Bによる処理が省略されている。もちろん本実施形態においても、図13に示した従来の情報通信システム50と同様に、SIPサーバ300、着信側のゲートウェイ装置200Bおよび端末装置100B間でも各種信号の送受信処理が行われることはいうまでもない。
【0071】
まず、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、ユーザからの通話開始指示に応じて、ステップ200において、メディア送受信モジュール104Aに対して受信開始を要求する。これと同時に、SIPシグナリングモジュール102Aは、IPv6/H.264/MPEG4−AACで端末装置100Bへ発信する。すなわち、SIPシグナリングモジュール102Aは、ステップ202において、発信要求をゲートウェイ装置200Aへ送信する。
【0072】
これを受けてゲートウェイ装置200AのSIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ204において、通信能力判断モジュール204Aに対して、通信能力データベースから端末装置100Bに関する能力情報の検索を命令する。その後、通信能力判断モジュール204Aは、ステップ206において、通信能力データベースから端末装置100Bに関する能力情報を検索し、ステップ208において、検索結果をSIPシグナリングモジュール202Aへ送信する。
【0073】
ここで、ゲートウェイ装置200Aが管理する通信能力データベースには、図2に示した処理により、端末装置100Bに関する能力情報が記録されている。したがって、通信能力判断モジュール204Aは、ステップ208において、検索した端末装置100Bに関する能力情報をSIPシグナリングモジュール202Aへ送信する。
【0074】
その後、SIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ210において、端末装置100Bに関する能力情報に基づいて、端末装置100Aから受信した発信要求の通信規格が、端末装置100Bで対応可能か否かを判断する能力マッチング処理を行う。ここで、端末装置100Bは、IPv4のみ対応可能なG.711音声電話用の端末装置であるため、SIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ212において、エラー信号を端末装置100Aへ送信する。
【0075】
この結果、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、発信条件を変更して再度、通話開始要求(フォールバック処理)を行う。具体的には、SIPシグナリングモジュール102Aは、IPv4/MPEG4−Video/MPEG4−AACで端末装置100Bへ再度発信する。すなわち、SIPシグナリングモジュール102Aは、ステップ214において、発信要求をゲートウェイ装置200Aへ送信する。
【0076】
これを受けて、SIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ216において、端末装置100Bに関する能力情報に基づいて、再度能力マッチング処理を行う。ここで、端末装置100Bは、IPv4のみ対応可能なG.711音声電話用の端末装置であるため、SIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ218において、エラー信号を端末装置100Aへ送信する。
【0077】
この結果、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、発信条件を変更して再度、通話開始要求(フォールバック処理)を行う。具体的には、SIPシグナリングモジュール102Aは、IPv4/G.711で端末装置100Bへ再度発信する。すなわち、ステップ220において、発信要求をゲートウェイ装置200Aへ送信する。
【0078】
これを受けて、SIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ222において、端末装置100Bに関する能力情報に基づいて、再度能力マッチング処理を行う。ここで、端末装置100Bは、IPv4のみ対応可能なG.711音声電話用の端末装置であるため、SIPシグナリングモジュール202Aは、端末装置100Bとの通話を開始可能と判断する。すなわち、SIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ224において、SIPサーバ300を介して発信要求を端末装置100Bへ送信する。
【0079】
これにより、SIPサーバ300から発信要求を受信した端末装置100BのSIPシグナリングモジュール102Bは、能力マッチング処理を行うことで、端末装置100Aとの通話を開始可能と判断することができる。したがって、SIPシグナリングモジュール102Bは、ステップ226、228および230において、応答信号を端末装置100Aへ送信する。
【0080】
その後、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、ステップ232において、メディア送受信モジュール104Aに対して送信開始を要求する。
【0081】
また、上述したように、本実施形態に係る情報通信システム500では、通信能力データベースに記録されている能力情報の登録期間を管理することにより、自動で古い能力情報を消去することを特徴の1つとしている。したがって、ゲートウェイ装置200AのSIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ234および236において、タイマモジュール206Aに対して、端末装置100Bに関する能力情報の登録期間の更新を指示する。これを受けて、タイマモジュール206Aは、ステップ238において、端末装置100Bに関する能力情報の登録期間をリセットし、再度0から登録期間の計測を開始し、ステップ240および242において応答信号を送信する。
【0082】
以上のような処理の結果、ステップ244において、端末装置100Aと端末装置100Bとの間の通信セッションが確立される。このように、情報通信システム500では、ゲートウェイ装置200Aが着信側の端末装置100Bに関する能力情報を、能力情報データベースに登録して管理している。これにより、端末装置100Aと端末装置100Bとの間の通信セッションを確立する際に必要となるフォールバック処理を、発信側の端末装置100Aとゲートウェイ装置200Aとの間で行うことができる。すなわち、図13に示した従来の情報通信システム50のように、通信セッションを確立するまでのフォールバック処理を、SIPサーバ30を介して端末装置100Bと行う必要がない。この結果、端末装置100間の通信セッションを確立するまでの時間を短縮することができるとともに、フォールバック処理による通信網40のトラフィックの増大を抑制することが可能。
【0083】
[3−3.タイマによる能力情報の消去処理の流れ]
次に、タイマモジュール206によって管理される能力情報の自動消去処理の流れについて説明する。
【0084】
図5は、本実施形態に係る情報通信システム500において、ゲートウェイ装置200が管理する通信能力データベースに登録されている能力情報を自動で消去する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0085】
図5に示すように、タイマモジュール206は、ステップ300において、所定の端末装置100に関する能力情報の登録期間が、あらかじめ設定されている期間を超えたと判断した場合、該能力情報の消去を通信能力判断モジュール204に指示する。すなわち、タイマモジュール206は、ステップ302において、通信能力データベースから対象となる能力情報を消去するように、通信能力判断モジュール204に指示する。
【0086】
これを受けて、通信能力判断モジュール204は、ステップ304において、該当する能力情報を能力情報データベースから消去して、ステップ306において、応答信号をタイマモジュール206へ送信する。
【0087】
この結果、ゲートウェイ装置200は、一定期間通信セッションが確立されていない端末装置100に関する能力情報を自動で消去することができる。これにより、古い能力情報に基づいてフォールバック処理が行われることを防止することができる。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る情報通信システム500を利用することにより、ゲートウェイ装置200は、フォールバック処理の結果をキャッシュして、所定の端末装置100の能力情報を通信能力データベースに登録して管理することができる。これにより、発信側の端末装置100Aと着信側の端末装置100Bとの間の通信セッションを確立する際に、端末装置100Aとゲートウェイ装置200Aとの間でフォールバック処理を行うことができる。この結果、本実施形態に係る情報通信システム500を利用することにより、端末装置100間の通信セッションを確立するまでの時間を短縮することができるとともに、フォールバック処理による通信網40のトラフィックの増大を抑制することが可能である。
【0089】
なお、上記説明においては、端末装置100Aから端末装置100Bに発信する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、端末装置100Bから端末装置100Aに発信する際には、端末装置100Bとゲートウェイ装置200Bとの間でフォールバック処理が行われた後に、通信セッションが確立される。
【0090】
また、本実施形態に係る情報通信システム500においては、あるゲートウェイ装置200の配下のすべての端末装置100が当該ゲートウェイ装置200に登録されている複数の端末装置100に関する能力情報を利用することができる。例えば、あるゲートウェイ装置200aの配下に3つの端末装置100a、100b、100cが存在し、別のゲートウェイ装置200bの配下の端末装置100dと通信セッションを確立すると仮定する。ここで、例えば、端末装置100aと端末装置100dとの間で一度通信セッションが確立された場合、ゲートウェイ装置200aは、端末装置100dに関する能力情報を能力情報データベースに登録している。したがって、端末装置100bや端末装置100cが初めて端末装置100dと通信セッションを確立する場合においても、端末装置100bまたは端末装置100cとゲートウェイ装置200aとの間でフォールバック処理が行われる。このように、ゲートウェイ装置200がフォールバック情報をキャッシュし、各端末装置100の能力情報を管理することにより、情報通信システム500全体において、通信セッションを確立するまでの時間短縮およびトラフィックの抑制を実現することができる。
【0091】
<4.変形例>
上述した情報通信システム500では、ゲートウェイ装置200の仕様等を適宜変更することにより、端末装置100間の通信セッションをさらに効率よく確立させることもできる。以下、上述した情報通信システム500の各種変形例について説明する。
【0092】
[4−1.変形例1(端末装置の通信規格の更新に応じて能力情報を更新する例)]
上記実施形態では、端末装置100AがH.264(動画圧縮規格)等に対応可能なテレビ会議用の端末装置で、端末装置100BがIPv4のみ対応可能なG.711(音声符号化規格)音声電話用の端末装置である場合を例に説明した。ここで、例えば、ソフトウェアのインストールやバージョンアップなどにより、端末装置100Bが対応可能な通信規格が更新されることも考えられる。変形例1の情報通信システム500においては、端末装置100が対応可能な通信規格が更新された場合に、ゲートウェイ装置200は、該端末装置100に関する能力情報を更新することができる。以下、このような特徴を有する変形例1の情報通信システム500における、能力情報の更新処理の流れについて説明する。
【0093】
図6は、本実施形態に係る情報通信システム500において、端末装置100が対応可能な通信規格が更新された場合に、ゲートウェイ装置200が能力情報を更新する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、以下の説明では、端末装置100Bが、G.711(音声符号化規格)音声電話用の端末装置からH.264(動画圧縮規格)等に対応可能なテレビ会議用の端末装置100B’に更新された場合を例に説明する。したがって、図6に示す処理は、端末装置100B’に更新された後に、端末装置100B’から端末装置100Aに発信要求があった場合の情報通信システム500における処理の流れの一例である。なお、「端末装置100B」および「端末装置100B’」は同一の端末装置であり、対応可能な通信規格が、ソフトウェアのインストールやバージョンアップ等により更新されたものである。
【0094】
なお、図6に示すシーケンス図では、説明の便宜上、発信側のゲートウェイ装置200Bおよび端末装置100B’による処理が省略されている。もちろん、上記実施形態に係る情報通信システム500と同様に、SIPサーバ300、着信側のゲートウェイ装置200Bおよび端末装置100B’間でも各種信号の送受信処理が行われることはいうまでもない。
【0095】
まず、端末装置100B’は、上記実施形態において説明した端末装置100Aから端末装置100Bへの発信要求処理と同様に、端末装置100Aに対して発信要求をする。すなわち、端末装置100B’のSIPシグナリングモジュール102Bは、ユーザからの通話開始指示に応じて、メディア送受信モジュール104Bに対して受信開始を要求する。これと同時に、SIPシグナリングモジュール102Bは、IPv6/H.264/MPEG4−AACで端末装置100Aへ発信する。すなわち、SIPシグナリングモジュール102Bは、発信要求をゲートウェイ装置200Bへ送信する。
【0096】
これを受けてゲートウェイ装置200BのSIPシグナリングモジュール202Bは、端末装置100Aに関する能力情報に基づいて、能力マッチング処理を行った後、ステップ400において、SIPサーバ300へ発信要求を送信する。その後、SIPサーバ300は、端末装置100B’から送信された発信要求を、ステップ402において、ゲートウェイ装置200Aへ送信する。
【0097】
これを受けて、ゲートウェイ装置200AのSIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ404で能力マッチング処理を行うとともに、ステップ406において、端末装置100B’に関する能力情報の更新を通信能力判断モジュール204Aに指示する。通信能力判断モジュール204Aは、ステップ408において、端末装置100B’に関する能力情報を更新する。すなわち、通信能力判断モジュール204Aは、通信能力データベースに登録されている端末装置100Bに関する能力情報(G.711等)を、端末装置100B’に関する能力情報(IPv6/H.264等)に更新する。
【0098】
さらに、通信能力判断モジュール204Aは、ステップ410において、端末装置100B’の能力情報の登録期間の更新を、タイマモジュール206Aに指示する。これを受けて、タイマモジュール206Aは、端末装置100Bに関する能力情報の登録期間をリセットし、再度0から登録期間の計測を開始し、ステップ414および416において応答信号を送信する。
【0099】
その後、SIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ418において、発信要求を端末装置100Aへ送信する。これを受けて、端末装置100AのSIPシグナリングモジュール102Aは、ステップ420において能力マッチング処理を行うことにより、端末装置100B’との通話を開始可能と判断することができる。したがって、SIPシグナリングモジュール102Aは、ステップ422および424において、SIPサーバ300を介して応答信号を端末装置100B’へ送信し、ステップ426において、メディア送受信モジュール104Aに対して送受信開始を要求する。
【0100】
以上のような処理の結果、ステップ428において、端末装置100B’と端末装置100Aとの間の通信セッションが確立される。このように、変形例1の情報通信システム500では、発信側の端末装置100が対応可能な通信規格が更新された場合において、該端末装置100から発信要求があった際、着信側のゲートウェイ装置200が発信側の端末装置100に関する能力情報を更新する。これにより、ゲートウェイ装置200は、常に各端末装置100の最新の能力情報を管理しておくことができる。この結果、図6に示した処理の後、端末装置100Aから端末装置100B’に発信した場合、ゲートウェイ装置200Aは端末装置100B’に関する最新の能力情報(IPv6/H.264等)に基づいて能力マッチング処理を行うことができる。したがって、変形例1の情報通信システム500を利用することにより、端末装置100間の通信セッションを確立するまでの時間をより短縮することができるとともに、フォールバック処理による通信網40のトラフィックの増大をより抑制することが可能である。
【0101】
なお、図6に示した例では、通信規格が更新された端末装置100B’から端末装置100Aに発信要求があった場合に、ゲートウェイ装置200Aが能力情報データベースに登録されている能力情報を更新する例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、端末装置100B’は、対応可能な通信規格が更新された場合、端末装置100Aに発信することなく、端末装置100Aと接続されるゲートウェイ装置200Aに対して古い能力情報の削除を要求してもよい。以下、端末装置100B’がゲートウェイ装置200Aに対して能力情報の削除を要求する際の処理の流れについて説明する。
【0102】
図7は、端末装置100B’がゲートウェイ装置200Aに対して能力情報の削除を要求する際の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0103】
端末装置100B’は、対応可能な通信規格が更新された場合、ゲートウェイ装置200Aに登録されている端末装置100B’に関する能力情報の消去を要求する。すなわち、
端末装置100B’のSIPシグナリングモジュール102Bは、ステップ500および502において、SIPサーバ300を介して、ゲートウェイ装置200Aに対して能力情報の消去を要求する。
【0104】
図8は、端末装置100B’から送信される能力情報の消去命令のメッセージ情報の一例を示す説明図である。図8に示すように、端末装置100B’は、能力情報の消去命令を意味する「remove all」を含むメッセージ情報をゲートウェイ装置200Aへ送信する。なお、図8に示したメッセージ情報は、本変形例を説明する上での一例であり、メッセージ情報の内容はこれに限定されるものではない。
【0105】
これを受けて、ゲートウェイ装置200AのSIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ504において、端末装置100B’から送信された削除要求に対応する能力情報が通信能力データベースに登録されているか否かを判断する能力マッチング処理を行う。SIPシグナリングモジュール202Aは、図8に示したメッセージ情報に含まれる送信元アドレスなどに基づいて、端末装置100B’に関する能力情報の登録の有無を確認することができる。端末装置100B’に関する能力情報が通信能力データベースに登録されている場合、SIPシグナリングモジュール202Aは、ステップ506において、該能力情報の消去を通信能力判断モジュール204Aに指示する。
【0106】
その後、通信能力判断モジュール204Aは、ステップ508において、通信能力データベースに登録されている端末装置100B’に関する能力情報を消去する。さらに、通信能力判断モジュール204Aは、ステップ510において、タイマモジュール206Aが管理している端末装置100B’に関する能力情報の登録期間の計測を中止するように、タイマモジュール206Aに対して指示する。これを受けて、タイマモジュール206Aは、ステップ512において、端末装置100B’に関する能力情報の登録期間の計測を中止し、ステップ514および516において応答信号を送信する。
【0107】
これにより、端末装置100B’に関する能力情報は、ゲートウェイ装置200Aが管理する通信能力データベースから消去されることとなる。
【0108】
このように、変形例1の情報通信システム500では、端末装置100が対応可能な通信規格が更新された場合、端末装置100は、該端末装置100に関する能力情報の消去を、複数のゲートウェイ装置200に対して指示することができる。この結果、各ゲートウェイ装置200は、消去要求を送信した端末装置100に関する能力情報を、通信能力データベースから消去することができる。したがって、別の端末装置100が、通信規格が更新された端末装置100に発信する場合においても、古い能力情報に基づいて通信セッションの確立処理が実行されることを確実に防止することができる。
【0109】
もちろん、端末装置100が対応可能な通信規格が更新された場合、端末装置100は、該端末装置100に関する能力情報を更新するように複数のゲートウェイ装置200に対して指示してもよい。端末装置100が能力情報の消去を要求するか、能力情報の更新を要求するか、発信要求するまで能力情報を維持しておくかは、情報通信システム500に要求される仕様やコストなどに応じて適宜設計・変更することができる。
【0110】
[4−2.変形例2(能力情報の利用を制限する例)]
上記実施形態に係る情報通信システム500では、ゲートウェイ装置200で管理する通信能力データベースに登録されている能力情報を利用せずに、通信セッションを確立することもできる。例えば、相手側の端末装置100の通信規格が更新されていることが明らかな場合や、古い能力情報が登録されている場合や、初めて発信要求をする場合などには、ゲートウェイ装置200の通信能力データベースを検索する処理がかえって無駄になることもある。そこで、変形例2の情報通信システム500では、端末装置100からの要求に応じて、上述した通信能力データベースを利用せずに通信セッションを確立することもできる。
【0111】
具体的には、端末装置100は、通信セッションを確立する際、発信要求のメッセージ情報に、キャッシュ情報(着信側の端末装置100に関する能力情報)を利用せずに通信セッションを確立させることを指示する情報を含めてゲートウェイ装置200へ送信する。図9は、端末装置100からゲートウェイ装置へ送信される発信要求のメッセージ情報の一例を示す説明図である。
【0112】
図9に示すように、端末装置100は、能力情報を利用しないことの命令を意味する「cache−control=no−cache」を含むメッセージ情報をゲートウェイ装置200へ送信する。なお、図9に示したメッセージ情報は、本変形例を説明する上での一例であり、メッセージ情報の内容はこれに限定されるものではない。
【0113】
これを受けたゲートウェイ装置200は、通信能力データベースから能力情報を検索することなく、図2に示したステップ110以降の処理により、通信セッションを確立させる。すなわち、通信セッションが確立されるまで、端末装置100間で従来方式と同様のフォールバック処理が行われる。
【0114】
このように、端末装置100は、任意にゲートウェイ装置200が管理する能力情報を利用せずに通信セッションを確立させることもできる。この結果、例えば、相手側の端末装置100の通信規格が更新されていることが明らかな場合や、古い能力情報が登録されている場合や、初めて発信要求をする場合などにおいて、通信セッションを確立するまでの時間がかえって伸びてしまうことを防止できる。
【0115】
[4−3.変形例3(複数のゲートウェイ装置200の能力情報を一括管理する例)]
上述したように、上記実施形態に係る情報通信システム500では、ゲートウェイ装置200が能力情報を管理することにより、ゲートウェイ装置200の配下のすべての端末装置100が該能力情報を利用することができる。しかしながら、ゲートウェイ装置200によって異なる通信能力データベースを管理しているため、あるゲートウェイ装置200が管理している所定の端末装置100の能力情報を、別のゲートウェイ装置200は管理していないといった状況も想定される。このような場合、端末装置100間の通信セッションを確立させるには、端末装置100間でフォールバック処理を行う必要がある。ここで、変形例3の情報通信システム500では、複数のゲートウェイ装置200が管理する能力情報を一括して管理する通信能力サーバ400をさらに備えることにより、このような問題点を解消することもできる。以下、変形例3の情報通信システム500において、通信能力サーバ400を利用した能力情報の登録・取得処理の流れについて説明する。
【0116】
図10は、変形例3の情報通信システム500において、通信能力サーバ400を利用した能力情報の登録・取得処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、以下の説明においては、通信能力サーバ400の配下に2つのゲートウェイ装置200Aおよび200Bが存在する場合を例に説明するが、通信能力サーバ400の配下には3つ以上のゲートウェイ装置200が存在することも当然に可能である。また、通信能力サーバ400は、ゲートウェイ装置200と同様に、通信能力判断モジュール402と、タイマモジュール404と、を含んで構成されている。また、通信能力サーバ400は、各端末装置100に関する能力情報が登録された通信能力データベースを管理している。
【0117】
図10に示すように、ゲートウェイ装置200Aがステップ600において、ある端末装置100Cの能力情報を能力情報データベースに登録した場合、ステップ602において、当該能力情報を通信能力サーバ400へ送信する。なお、ステップ600による端末装置100Cに関する能力情報の登録処理については、例えば、図2のステップ142において説明したように、端末装置100Aと端末装置100Cとの間の通信セッションを確立させる際に行われる。
【0118】
その後、通信能力サーバ400の通信能力判断モジュール402は、ステップ604において、端末装置100Cに関する能力情報を、通信能力データベースに登録する。また、通信能力判断モジュール402は、ステップ606において、タイマモジュール404に対して、端末装置100Cに関する能力情報の登録期間の計測開始を指示する。これを受けて、タイマモジュール404は、ステップ608において、端末装置100Cに関する能力情報の登録期間の計測を開始し、ステップ610および612において応答信号をゲートウェイ装置200Aへ送信する。なお、通信能力サーバ400が管理する通信能力データベースに端末装置100Cの能力情報が登録済みの場合、タイマモジュール404は、ステップ608で、端末装置100Cに関する能力情報の登録期間をリセットし、再度0から登録期間の計測を開始する。
【0119】
以上のステップ602〜ステップ612の処理により、ゲートウェイ装置200Aで管理されている端末装置100Cに関する能力情報が、通信能力サーバ400においても管理されることとなる。このようによして、通信能力サーバ400が管理する通信能力データベースに登録されている端末装置100Cに関する能力情報を、該能力情報を有していない別のゲートウェイ装置200Bが取得する処理の流れについて以下説明する。
【0120】
図10のステップ700〜ステップ712の処理は、ゲートウェイ装置200Bの配下の端末装置100Bが、端末装置100Cに発信要求をした場合に行われる処理の一部である。すなわち、ゲートウェイ装置200Bの通信能力判断モジュール204Bは、ステップ700において、能力情報データベースから端末装置100Cに関する能力情報を検索する。なお、端末装置100Bから発信要求があった際の処理の流れについては、図2に示したステップ100〜ステップ106と同様であるため、ここでは詳細を省略する。
【0121】
ここで、端末装置100Bが端末装置100Cに対して初めて発信要求をした場合、ゲートウェイ装置200Bの通信能力データベースには、端末装置100Cに関する能力情報は登録されていない。この場合、ゲートウェイ装置200Bは、ステップ702〜ステップ712の処理により、端末装置100Cに関する能力情報を、通信能力サーバ400から取得する。
【0122】
具体的には、ゲートウェイ装置200Bの通信能力判断モジュール204Bは、ステップ702において、通信能力サーバ400に対して、端末装置100Cに関する能力情報の取得を要求する。
【0123】
これを受けて、通信能力サーバ400の通信能力判断モジュール402は、ステップ704において、通信能力データベースから、端末装置100Cに関する能力情報を検索し、ステップ706において、応答信号をゲートウェイ装置200Bへ送信する。上述したように、本例では、上記ステップ602〜612により、端末装置100Cに関する能力情報が、ゲートウェイ装置200Aを介して通信能力サーバ400が管理する通信能力データベースに登録されている。したがって、通信能力判断モジュール402は、ステップ706において、端末装置100Cに関する能力情報をゲートウェイ装置200Bへ送信することができる。
【0124】
その後、ゲートウェイ装置200Bの通信能力判断モジュール204Bは、通信能力サーバ400から受信した端末装置100Cに関する能力情報を、ステップ708において、通信能力データベースに登録する。さらに、ゲートウェイ装置200Bの通信能力判断モジュール204Bは、ステップ710において、タイマモジュール206Bに対して、端末装置100Cに関する能力情報の登録期間の計測開始を指示する。これを受けて、タイマモジュール206Bは、ステップ712において、端末装置100Cに関する能力情報の登録期間の計測を開始する。
【0125】
以上のステップ702〜ステップ712の処理により、通信能力サーバ400で管理されている端末装置100Cに関する能力情報を、ゲートウェイ装置200Bが取得して管理することができる。その後、図4に示したステップ210〜ステップ244の処理により、端末装置100Bと端末装置100Cとの間で通信セッションが確立される。すなわち、端末装置100Bは、初めて端末装置100Cに発信する場合においても、通信セッションの確立までに必要となるフォールバック処理を、端末装置100Bとゲートウェイ装置200Bとの間で行うことができる。以上のように、変形例3の情報通信システム500を利用することにより、端末装置100間の通信セッションを確立するまでの時間をより短縮することができるとともに、フォールバック処理による通信網40のトラフィックをより抑制することが可能である。
【0126】
なお、図10に示したシーケンス図は、上記変形例3の情報通信システム500の特徴を説明する上での一例であり、システム構成や処理の流れについては、これらに限定されるものではない。上記変形例3は、通信能力サーバ400が複数のゲートウェイ装置200が管理する能力情報を一括管理することにより、各ゲートウェイ装置200が他のゲートウェイ装置200が管理している能力情報を容易に取得できることを特徴の1つとしている。したがって、通信能力サーバ400の配下に存在するゲートウェイ装置200の数や、各ゲートウェイ装置200の配下に存在する端末装置100の数や対応可能な通信規格等は、特定のものに限定されない。
【0127】
< 5.端末装置100およびゲートウェイ装置200のハードウェア構成>
次に、上述した情報通信システム500を構成する端末装置100のハードウェア構成の一例について説明する。なお、ゲートウェイ装置200も、以下に説明する端末装置100と同様のハードウェア構成を備えることができる。
【0128】
図11は、本実施形態に係る情報通信システム500を構成する端末装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る端末装置100は主に、CPU901、ROM903、RAM905、ブリッジ909、インターフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート923、および通信装置925を備える。
【0129】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、端末装置100内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0130】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。
【0131】
出力装置917は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイなどの表示装置などを含んで構成される。また、出力装置917は、スピーカなどの音声出力装置など、取得した情報をユーザに対して聴覚的に通知することが可能な装置も含んで構成される。
【0132】
ストレージ装置919は、端末装置100の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。
【0133】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、端末装置100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体にデータなどを書き込むことも可能である。
【0134】
接続ポート923は、例えば、USBポート、光オーディオ端子、IEEE1394ポート、SCSIポート、HDMIポート等の、外部接続機器929に直接接続するためのポートである。
【0135】
通信装置925は、例えば、通信網40に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN、Bluetooth、光通信用のルータ、ADSL用のルータ、または各種通信用のモデム等である。
【0136】
以上、上述した情報通信システム500を構成する端末装置100およびゲートウェイ装置200の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。したがって、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0137】
<6.まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態の1つに係る情報通信システム500では、ゲートウェイ装置200がフォールバック処理の結果をキャッシュすることができる。また、ゲートウェイ装置200は、キャッシュしたフォールバック処理の結果に基づいて、相手側の端末装置100の通信能力に関する情報を通信能力データベースに登録しておくことができる。これにより、ある端末装置100が別の端末装置100に発信した場合において、通信セッションの確立までに必要となるフォールバック処理を端末装置100間で行うことなく、端末装置100と同一LAN内のゲートウェイ装置200との間で行うことができる。この結果、端末装置100間の通信セッションを確立するまでの時間を短縮することができるとともに、発信要求信号やエラー信号等による通信網40のトラフィックの増大を抑制することが可能である。また、複数のゲートウェイ装置200が管理する各端末装置100に関する能力情報を一括管理する通信能力サーバ400をさらに備えることにより、ゲートウェイ装置200間でも各端末装置100に関する能力情報を共有することができる。この結果、情報通信システム500を利用することにより、端末装置100間の通信セッションを確立するまでの時間をさらに短縮することができると共に、発信要求信号やエラー信号等による通信網40のトラフィックの増大をさらに抑制することが可能である。
【0138】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0139】
例えば、上記実施形態では、あるLAN内のゲートウェイ装置200Aの配下の端末装置100Aから、別のLAN内のゲートウェイ装置200Bの配下の端末装置100Bに通信セッションの確立を要求する場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、通信網40には3以上のゲートウェイ装置200を介して3以上のLANが接続され、1つのゲートウェイ装置200の配下に複数の端末装置100が接続される場合にも当然に適用することができる。また、各端末装置100およびゲートウェイ装置200においても、上記実施形態において中心的に説明した端末装置100Aおよびゲートウェイ装置200Aと同様の処理が行われる。
【0140】
また、上記実施形態において例示した端末装置100の通信規格やメッセージ情報などは、上記実施形態を説明する上での一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち、上記実施形態では、ゲートウェイ装置200が端末装置100の能力情報を管理することを特徴の1つとしており、端末装置100の通信能力そのものについては特定の能力に限定されるものではない。
【0141】
また、本明細書において、シーケンス図に記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0142】
10、10A、10B 端末装置
12、12A、12B SIPシグナリングモジュール
14、14A、14B メディア送受信モジュール
20、20A、20B ゲートウェイ装置
30 SIPサーバ
40 通信網
50 情報通信システム
100、100A、100B、100C 端末装置
102、102A、102B SIPシグナリングモジュール
104、104A、104B メディア送受信モジュール
200、200A、200B ゲートウェイ装置
202、202A、202B SIPシグナリングモジュール
204、204A、204B 通信能力判断モジュール
206、206A、206B タイマモジュール
300 SIPサーバ
400 通信能力サーバ
402 通信能力判断モジュール
404 タイマモジュール
500 情報通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上の端末装置と同一ネットワーク内で接続され、
前記同一ネットワーク内の端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションを確立するまでの情報の送受信を中継するシグナリングモジュールと、
複数の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報が登録される通信能力データベースと、
前記同一ネットワーク内の端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションが確立されるまでに前記シグナリングモジュールが中継した情報をキャッシュし、別のネットワーク内の端末装置の前記能力情報を前記通信能力データベースに登録して管理する通信能力判断モジュールと、
を備える、ゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記通信能力判断モジュールは、前記同一ネットワーク内の発信側の端末装置から別のネットワーク内の端末装置に発信要求があった場合に、前記通信能力データベースから着信側の端末装置の前記能力情報を検索し、
前記シグナリングモジュールは、前記通信能力データベースに登録されている前記着信側の端末装置の前記能力情報に基づいて、前記着信側の端末装置が前記発信要求の通信規格に対応しているか否かを判断し、
対応していると判断した場合、前記発信要求を前記着信側の端末装置へ送信し、
対応していないと判断した場合、エラー信号を前記発信側の端末装置へ送信する、請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
前記通信能力データベースに登録されている期間を前記端末装置毎に管理するタイマモジュールをさらに備え、
該タイマモジュールは、前記通信能力データベースに登録されている前記能力情報に対応する端末装置との通信セッションが確立されるたびに、該能力情報の前記通信能力データベースへの登録期間をリセットして計測し直す、請求項2に記載のゲートウェイ装置。
【請求項4】
前記タイマモジュールは、所定の端末装置の前記能力情報の前記登録期間が、あらかじめ設定された所定期間を超えた場合、該能力情報を前記通信能力データベースから消去するように前記通信能力判断モジュールに指示し、
前記通信能力判断モジュールは、前記タイマモジュールからの指示に応じて、該当する能力情報を前記通信能力データベースから消去する、請求項3に記載のゲートウェイ装置。
【請求項5】
前記通信能力判断モジュールは、前記別のネットワーク内の端末装置から前記同一ネットワーク内の端末装置に発信要求があった場合において、該発信要求に対応する通信規格と、前記通信能力データベースに登録されている前記別のネットワーク内の端末装置の前記能力情報に含まれる通信規格とが異なる場合、前記通信能力データベースに登録されている前記発信要求をした端末装置の前記能力情報を、該発信要求に対応する通信規格を含む新しい能力情報に更新する、請求項4に記載のゲートウェイ装置。
【請求項6】
少なくとも1以上の端末装置と接続されるゲートウェイ装置により、該ゲートウェイ装置と同一ネットワーク内で接続される端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間で情報の送受信を中継して、前記端末装置間の通信セッションを確立する通信セッション確立ステップと、
前記通信セッション確立ステップにおいて前記端末装置間で送受信された情報をキャッシュし、前記別のネットワーク内の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報を通信能力データベースに登録して管理する通信能力登録ステップと、
を含む、ゲートウェイ装置による情報処理方法。
【請求項7】
少なくとも1以上の端末装置と接続されるゲートウェイ装置により、該ゲートウェイ装置と同一ネットワーク内で接続される端末装置と、別のネットワーク内の端末装置と、の間で情報の送受信を中継して、前記端末装置間の通信セッションを確立する通信セッション確立処理と、
前記通信セッション確立処理において前記端末装置間で送受信された情報をキャッシュし、前記別のネットワーク内の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報を通信能力データベースに登録して管理する通信能力登録処理と、
を、コンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項8】
端末装置間でゲートウェイ装置を介して通信セッションを確立する情報通信システムにおいて、
前記端末装置は、該端末装置と同一ネットワーク内で接続されるゲートウェイ装置へ別のネットワーク内の端末装置に対する発信要求を送信する第1シグナリングモジュールを備え、
前記ゲートウェイ装置は、
前記第1シグナリングモジュールからの前記発信要求に応じて、前記同一ネットワーク内の端末装置と、前記別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションを確立するまでの情報の送受信を中継する第2シグナリングモジュールと、
複数の端末装置の通信能力に関する情報を少なくとも含む能力情報が登録される通信能力データベースと、
前記同一ネットワーク内の端末装置と、前記別のネットワーク内の端末装置と、の間の通信セッションが確立されるまでに前記第2シグナリングモジュールが中継した情報をキャッシュし、前記別のネットワーク内の端末装置の前記能力情報を前記通信能力データベースに登録して管理する通信能力判断モジュールと、
を備える、情報通信システム。
【請求項9】
前記通信能力判断モジュールは、前記同一ネットワーク内の発信側の端末装置の前記第1シグナリングモジュールからの前記発信要求に応じて、前記通信能力データベースから着信側の端末装置の前記能力情報を検索し、
前記第2シグナリングモジュールは、前記通信能力データベースに登録されている前記着信側の端末装置の前記能力情報に基づいて、前記着信側の端末装置が前記発信要求の通信規格に対応しているか否かを判断し、
対応していると判断した場合、前記発信要求を前記着信側の端末装置へ送信し、
対応していないと判断した場合、エラー信号を前記発信側の端末装置へ送信し、
前記発信側の端末装置の前記第1シグナリングモジュールは、前記エラー信号の受信に応じて、異なる通信規格に基づく発信要求を前記ゲートウェイ装置へ再度送信する、請求項8に記載の情報通信システム。
【請求項10】
前記第1シグナリングモジュールが、前記発信要求内に前記能力情報を利用しないことを命令する情報を含めて前記ゲートウェイ装置へ送信した場合において、
前記第2シグナリングモジュールは、前記能力情報に基づいて前記着信側の端末装置が前記発信側の通信規格に対応しているか否かを判断することなく、該発信要求を前記着信側の端末装置へ送信する、請求項9に記載の情報通信システム。
【請求項11】
前記端末装置が対応可能な通信規格が更新された場合、前記第1シグナリングモジュールは、該端末装置とは異なるネットワーク内の前記ゲートウェイ装置に対して前記能力情報の消去命令を送信し、
前記消去命令を受信した前記ゲートウェイ装置の前記通信能力判断モジュールは、前記通信能力データベースから前記消去命令に対応する能力情報を消去する、請求項10に記載の情報通信システム。
【請求項12】
複数の前記ゲートウェイ装置が備える前記通信能力データベースに登録されている前記能力情報をまとめて管理する通信能力サーバをさらに備え、
前記ゲートウェイ装置の前記通信能力判断モジュールは、所定の前記端末装置の前記能力情報を前記通信能力データベースに登録した後、該能力情報を前記通信能力サーバへ送信し、
前記通信能力サーバは、前記ゲートウェイ装置の前記通信能力判断モジュールから受信した前記能力情報を管理する、請求項10または11に記載の情報通信システム。
【請求項13】
前記ゲートウェイ装置の通信能力判断モジュールは、前記着信側の端末装置の前記能力情報が前記通信能力データベースに登録されていない場合、前記通信能力サーバから前記着信側の端末装置の前記能力情報を取得し、該能力情報を前記通信能力データベースに登録する、請求項12に記載の情報通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−166311(P2010−166311A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6727(P2009−6727)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】