説明

ゲート弁

【課題】弁板を傾動させて、ゲート開口部を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分で、優れたシール性を有するとともに、弁板を傾動するための駆動機構が簡単な機構でコンパクトであって、駆動機構の設置スペースが小さく、ゲート弁全体としてもコンパクトな傾動型ゲート弁を提供する。
【解決手段】傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを傾動軸部を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート弁、例えば、半導体製造装置等において、真空室と外部雰囲気との間、真空室相互の間で使用される真空用ゲート弁に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハなどの半導体製造、薄膜製造、液晶製造などにおいては、クリーンな環境下、高い真空中で、スパッタリング、プラズマエッチングなどのデバイスの成膜処理が行われている。
【0003】
これらの製造装置において、例えば、真空室と外部雰囲気との間、真空室相互の間で、各チャンバ間を開放、閉止するために、真空用ゲート弁が使用されている。
この真空用ゲート弁として、従来より、図14に示したように、いわゆる「ツーアクション方式」と呼ばれる真空用ゲート弁100があり、この場合には、弁板104を閉弁位置まで移動した後、駆動機構によって、弁箱本体102の開口106側に、弁板104を水平移動させて、弁板104の開口106側に設けたシール部材108によって、開口106を閉止するようになっている。
【0004】
このような従来のいわゆる「ツーアクション式」と呼ばれる真空用ゲート弁100では、駆動機構が複雑となり、コストが高くつくことになる。
このため、特許文献1(特開2005−140151号公報)では、傾動型のツーアクション方式のゲート弁が提案されている。
【0005】
すなわち、この特許文献1に開示されているゲート弁200は、図15(A)、(B)に示したように、傾動ロッド202の先端に弁板204を連結しており、この傾動ロッド202を、昇降用シリンダー206によって昇降することによって、傾動ロッド202の先端に連結された弁板204を、弁箱本体208の内部で上下動するように構成されている。
【0006】
そして、傾動ロッド202の下端に連結されたアクチュエーター201を駆動することによって、傾動ロッド202の軸支部210を中心として、傾動ロッド202を傾動するようになっている。これにより、弁板204を、弁箱本体208のゲート開口部212の方向(矢印A方向)に傾動することによって、弁板204によってゲート開口部212を
閉止するように構成されている。
【0007】
また、特許文献1では、図16(A)、(B)に示したように、傾動ロッド202の下端にカム機構が設けられている。
すなわち、傾動ロッド202の下端に形成された突起軸214を、カム昇降用シリンダー216を駆動することによって、このカム昇降用シリンダー216に連結したカム体218のカム孔220に沿って案内するようになっている。そして、これによって、傾動ロッド202の軸支部210を中心として、傾動ロッド202を傾動することにより、弁板204を、弁箱本体208のゲート開口部212の方向(矢印A方向)に傾動し、弁板2
04によってゲート開口部212を閉止するように構成されている。
【特許文献1】特開2005−140151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような特許文献1(特開2005−140151号公報)に開示さ
れているような、従来の傾動型のツーアクション方式のゲート弁200では、アクチュエーターまたはカム機構により、傾動ロッド202を傾動させることによって、弁板204がゲート開口部212を閉止してシールするものである。
【0009】
従って、弁板204を確実にゲート開口部212に押し付ける必要があり、そのための押し付け圧力(推力)を充分に発揮させる必要がある。
このため、特許文献1のゲート弁200では、弁箱本体208の下方に、弁板押付用の
シリンダーからなるアクチュエーター201やカム機構を設ける構造を採用することによって、押し付け圧力(推力)不足を解消するようにしている。
【0010】
しかしながら、このようなアクチュエーター201やカム機構などの複雑な駆動機構を、弁箱本体208の下方に設けなければならない。
このため、駆動機構が大型化してしまい、駆動機構の設置スペース、特に、ゲート開口部方向の設置スペースが大きくなり、ゲート弁全体を大型化してしまうことになる。
【0011】
また、特に、最近では、半導体ウェハや液晶用ガラス基板などが大型化しており、これにともなって、大型のゲート開口部を有するゲート弁が求められるようになっている。
このため、大口径のゲート弁に対応するために、弁板自体も大型のものが使用されるため、弁板を安定的に駆動させるために、弁板に複数の傾動ロッドを連結する必要がある。
【0012】
この場合には、傾動ロッドの数に応じて、複数のアクチュエーターが必要になり、しかも、これらのアクチュエーターの間で作動について同期させる必要が生じるため、このような同期機構を設ける必要がある。その結果、さらに構造上複雑化し、部品点数が多くなり、ゲート弁自体が大型化してしまうことになる。
【0013】
本発明は、このような現状に鑑み、弁板を傾動させて、ゲート開口部を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分で、優れたシール性を有するとともに、弁板を傾動するための駆動機構が簡単な機構でコンパクトであって、駆動機構の設置スペースが小さく、ゲート弁全体としてもコンパクトな傾動型ゲート弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明のゲート弁は、
略箱形状に形成された弁箱本体と、
前記弁箱本体に、その対向する一対の側壁を貫通して形成されたゲート開口部と、
前記弁箱本体の内部に設けられ、弁箱本体内で上下に移動することによって、ゲート開口部を開放する開弁位置と、ゲート開口部を閉止する閉弁位置との間を移動することにより、ゲート開口部を開閉する弁板とを備えるゲート弁であって、
前記弁板に連結された傾動ロッドと、
前記傾動ロッドを上下動させることにより、弁板を弁箱本体の内部で上下動させるための昇降用駆動装置と、
前記傾動ロッドの下端に連結された傾動板と、
前記昇降用駆動装置に連結され、その内部に傾動板を収容し、傾動板と対峙するように配置された一対のフレーム側壁を備えたフレームと、
前記フレーム内に、フレーム側壁と傾動板との間に配設され、傾動板を傾動する傾動駆動部と、
前記弁箱本体の下端に設けられ、傾動ロッドを傾動する傾動中心を構成する傾動軸部とを備え、
前記傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを傾動軸部を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近ま
たは離反する方向に移動するように構成したことを特徴とする。
【0015】
このように構成することによって、フレームの内部に傾動板が収容され、このフレーム内において、フレーム側壁と傾動板との間に、傾動板を傾動する傾動駆動部が配設されているので、弁板を傾動するための駆動機構が簡単な機構でコンパクトであって、駆動機構の設置スペースが小さく、ゲート弁全体としてもコンパクトな傾動型ゲート弁を提供することができる。
【0016】
しかも、傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを傾動軸部を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動することができ、弁板を傾動させて、ゲート開口部を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分で、ゲート開口部を弁板によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0017】
従って、特に、大口径の大型のゲート弁において、複数の傾動ロッドを有する際に、よりコンパクトで高いシール性を有する長寿命のゲート弁を提供できる。
また、本発明のゲート弁は、前記傾動駆動部が、フレーム側壁と傾動板との間に配設され、膨張することによって傾動板を傾動する膨張部材から構成されていることを特徴とする。
【0018】
このように、傾動駆動部が、フレーム側壁と傾動板との間に配設された膨張部材から構成されているので、膨張部材の膨張・収縮を制御することによって、弁板の傾動方向を決めることができる。
【0019】
しかも、膨張部材の膨張割合を制御することによって、弁板を傾動させて、ゲート開口部を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分発揮することができ、ゲート開口部を弁板によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0020】
また、閉弁の際に膨張させた膨張部材を収縮させるとともに、反対側の膨張部材を膨張させるだけで、閉止状態にあった弁板が、ゲート開口部から離反する方向に移動して、弁板のシール部材による開口の密閉閉止状態を解除することができる。
【0021】
従って、高温などの温度環境によって、閉弁状態において、シール部材が弁箱本体の側壁内面との間で固着したとしても、閉弁状態を解除して、開弁作動を確実に行うことができる。
【0022】
さらに、膨張部材の膨張・収縮を操作するだけで、弁板をゲート開口部から離間した中間位置、すなわち、上下動位置に固定することができ、安定した動作が可能であるため、長期間にわたって優れたシール性能を維持することができる。
【0023】
従って、特に、大口径の大型のゲート弁において、複数の傾動ロッドを有する際に、よりコンパクトで高いシール性を有する長寿命のゲート弁を提供できる。
また、本発明のゲート弁は、前記膨張部材が、その内部に流体を供給することによって膨張可能な膨張部材から構成されていることを特徴とする。
【0024】
このように、膨張部材が、その内部に流体を供給することによって膨張可能な膨張部材から構成されているので、例えば、流体としてエアーを供給することによって、膨張部材を確実に膨張・収縮することができ、弁板の傾動操作を確実に行うことができるとともに、よりコンパクトな傾動型ゲート弁を提供できる。
【0025】
また、本発明のゲート弁は、前記昇降用駆動装置が、弁箱本体に固定されていることを特徴とする。
このように、昇降用駆動装置を弁箱本体に固定することによって、昇降用シリンダーなどの昇降用駆動装置自体が傾動しない設計となっているので、昇降用駆動装置が傾動の際に外側に突き出て邪魔になることがなく、設置スペースが小さくてすみ、ゲート弁自体をコンパクト化することができる。
【0026】
また、本発明のゲート弁は、複数本の傾動ロッドが、一定間隔離間して設けられ、前記傾動板が、複数本の傾動ロッドに跨るように連結されていることを特徴とする。
このように構成することによって、大型のゲート開口部を有する大口径のゲート弁に対応することができに、大型の弁板を安定的に駆動させることができる。
【0027】
さらに、少なくとも一つの傾動駆動部によって、傾動板を傾動することによって、複数の傾動ロッドを同期して傾動できるので、弁板を安定して傾動することができ、ゲート開口部を弁板によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0028】
また、本発明のゲート弁は、
前記傾動軸部が、
前記弁箱本体の下端部に固定された支持基端部と、
前記支持基端部に、傾動ピボット軸を介して、傾動可能に枢着された昇降用支持スライド部とを備え、
前記傾動ロッドが、昇降用支持スライド部に案内されて上下動するように構成されているとともに、
前記傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを、傾動ピボット軸を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動するように構成したことを特徴とする。
【0029】
このように構成することによって、昇降用支持スライド部に案内されて、傾動ロッドが安定的に上下動するので、傾動ロッド先端に連結された弁板がふらつくことがなく、安定的に上下動することができる。
【0030】
しかも、傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを、昇降用支持スライド部に案内されたまま、傾動ピボット軸を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、確実かつ安定して、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動することができる。
【0031】
従って、弁板を傾動させて、ゲート開口部を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分で、ゲート開口部を弁板によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0032】
また、本発明のゲート弁は、
前記弁箱本体と昇降用支持スライド部との間に、傾動ロッドを覆うように配置された傾動用ベローズ部材と、
前記昇降用支持スライド部と傾動ロッドの下端との間に、傾動ロッドを覆うように配置された昇降用ベローズ部材とが設けられていることを特徴とする。
【0033】
このように構成することによって、傾動ロッドの傾動の際にも、これらのベローズ部材によって、外気と確実に隔離することができ、例えば、半導体製造装置等において、真空室と外部雰囲気との間、真空室相互の間で使用される真空用ゲート弁に使用することができる。
【0034】
また、本発明のゲート弁は、
前記傾動軸部が、
前記弁箱本体の下端部に固定された支持基端部と、
前記支持基端部の下方に形成された支持軸嵌合部とを備え、
前記傾動ロッドの周囲には、
前記傾動ロッドの下端部に固定されるとともに、弁板方向に延設された支持筒と、
前記支持筒の弁板側の端部に突設された支持軸とを備え、
前記傾動ロッドが、上方に移動した際に、支持筒の支持軸が、支持基端部の支持軸嵌合部に嵌合して、
前記傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを、支持軸嵌合部に嵌合された支持軸を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動するように構成したことを特徴とする。
【0035】
このように構成することによって、傾動ロッドが、上方に移動した際に、支持筒の支持軸が、支持基端部の支持軸嵌合部に嵌合した状態とすることができる。この状態で、傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを、支持軸嵌合部に嵌合された支持軸を中心に傾動させることによって、支持軸がふらつくことなく、支持軸嵌合部内で安定的に回転するので、傾動ロッド先端に連結された弁板を、確実かつ安定して、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動することができる。
【0036】
従って、弁板を傾動させて、ゲート開口部を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分で、ゲート開口部を弁板によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0037】
また、本発明のゲート弁は、
前記支持筒と傾動ロッドの間に、傾動ロッドの下端と弁箱本体との間に、傾動ロッドを覆うようにベローズ部材が配設されていることを特徴とする。
【0038】
このように構成することによって、傾動ロッドの傾動の際にも、ベローズ部材によって、外気と確実に隔離することができ、例えば、半導体製造装置等において、真空室と外部雰囲気との間、真空室相互の間で使用される真空用ゲート弁に使用することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、フレームの内部に傾動板が収容され、このフレーム内において、フレーム側壁と傾動板との間に、傾動板を傾動する傾動駆動部が配設されているので、弁板を傾動するための駆動機構が簡単な機構でコンパクトであって、駆動機構の設置スペースが小さく、ゲート弁全体としてもコンパクトな傾動型ゲート弁を提供することができる。
【0040】
しかも、傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを傾動軸部を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動することができ、弁板を傾動させて、ゲート開口部を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分で、ゲート開口部を弁板によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0041】
従って、特に、大口径の大型のゲート弁において、複数の傾動ロッドを有する際に、よりコンパクトで高いシール性を有する長寿命のゲート弁を提供できる。
また、本発明によれば、傾動駆動部が、フレーム側壁と傾動板との間に配設された膨張部材から構成されているので、膨張部材の膨張・収縮を制御することによって、弁板の傾
動方向を決めることができる。
【0042】
しかも、膨張部材の膨張割合を制御することによって、弁板を傾動させて、ゲート開口部を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分発揮することができ、ゲート開口部を弁板によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0043】
また、閉弁の際に膨張させた膨張部材を収縮させるとともに、反対側の膨張部材を膨張させるだけで、閉止状態にあった弁板が、ゲート開口部から離反する方向に移動して、弁板のシール部材による開口の密閉閉止状態を解除することができる。
【0044】
従って、高温などの温度環境によって、閉弁状態において、シール部材が弁箱本体の側壁内面との間で固着したとしても、閉弁状態を解除して、開弁作動を確実に行うことができる。
【0045】
さらに、膨張部材の膨張・収縮を操作するだけで、弁板をゲート開口部から離間した中間位置、すなわち、上下動位置に固定することができ、安定した動作が可能であるため、長期間にわたって優れたシール性能を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明のゲート弁の正面図、図2は、図1のゲート弁のA方向の側面図、図3は、図1のゲート弁の部分拡大斜視図である。
【0047】
図1〜図3において、10は全体で本発明のゲート弁を示している。
図1〜図3に示したように、ゲート弁10は、略箱形状に形成された弁箱本体12を備えており、この弁箱本体12には、その対向する一対の側壁14、16を貫通するように、ゲート開口部18、20が形成されている。
【0048】
また、弁箱本体12の内部には、弁箱本体12の内部で上下に移動することによって、ゲート開口部18、20を開放する開弁位置と、ゲート開口部18、20を閉止する閉弁位置との間を移動することにより、ゲート開口部18、20を開閉する弁板22を備えている。
【0049】
さらに、弁板22の下端には、傾動ロッド24が連結され、この傾動ロッド24が、弁箱本体12の底部の開口部を介して、下方に延設されている、
なお、弁板22が、図2に示したように、断面においてゲート開口部18、20の側の側面22a、22bが、ゲート開口部18、20から離反する方向に傾いたテーパー状になるように構成されているのが望ましい。
【0050】
このように構成することによって、弁板22を傾動させた際に、この弁板22の側部のテーパー状の側面22a、22bによって、ゲート開口部18、20を隙間なく閉塞し、ゲート開口部18、20を確実に閉止することができ、シール性能が向上することになる。
【0051】
また、弁板22の形状は、弁箱本体12のゲート開口部18、20の形状に応じて、このゲート開口部18、20を、確実に閉止することができる形状であれば、特に限定されるものではない。
【0052】
また、弁板22と傾動ロッド24の連結方法としては、弁板22を揺動可能に支持して、上下方向の駆動動作を伝達するだけの関係になるように、自由度を設けて取り付けても
よく、弁板22の下端に堅固に固定しても良い。
【0053】
すなわち、弁板22の形状により異なるが、ゲート開口部18、20を良好にシールできるような方法を選択すればよい。
さらに、図示しないが、弁板22には、傾動することによって、ゲート開口部18、20と当接する側に、ゲート開口部18、20を取り囲むような形状に、シール溝が設けられ、このシール溝に無端状のシール材11が装着されている。
【0054】
なお、シール材は、弁板22の側でなく、弁板22が当接する弁箱本体12のシール座面側に装着されていてもよい。
さらに、ゲート開口部18、20の両方側に傾動する場合には、両側にシール部材を設けるが、ゲート開口部18、20の一方側に傾動して、片方のゲート開口部18、20のみを閉止する場合には、片方側にのみシール部材を設けるようにすればよい。
【0055】
また、弁箱本体12の下端には、傾動ロッド24を傾動する傾動中心を構成する傾動軸部26が設けられている。
この傾動軸部26は、図1〜図3に示したように、弁箱本体12の下端部に固定された一対の支持基端部28、30を備えており、これらの支持基端部28、30には、それぞれ軸孔32、34が形成されている。
【0056】
さらに、傾動軸部26は、略リング形状の昇降用支持スライド部36を備えている。
そして、傾動ピボット軸42、44を昇降用支持スライド部36の両端に突設するように固着して、支持基端部28、30の軸孔32、34に回転可能なように装着するようにしている。
【0057】
なお、これらの形状は、傾動ピボット軸42、44を支点にして、傾動ロッド24が傾動できる構造であれば、特に限定されるものではない。
また、昇降用支持スライド部36の開口部46には、図2に示したように、昇降用スライドブッシュ48が設けられており、この昇降用支持スライド部36の開口部46に挿通された傾動ロッド24が、昇降用支持スライド部36の昇降用スライドブッシュ48に摺動するように案内されて上下動するように構成されている。
【0058】
なお、図4に示したように、昇降用スライドブッシュ48には、後述する傾動用ベローズ部材50、昇降用ベローズ部材52の内部と連通して、内部の排気口の機能を果たす複数個の開口孔54が形成されている。
【0059】
さらに、傾動ロッド24の下方と弁箱本体12との間に、傾動ロッド24を覆うようにベローズ部材が設けられており、これにより、真空ゲート弁に用いる場合に、真空領域を保持するようになっている。なお、このようなベローズ部材の変わりに軸シールを用いても良い。
【0060】
なお、図3では、説明の便宜上、ベローズ部材は省略して図示している。
すなわち、この実施例の場合には、弁箱本体12と昇降用支持スライド部36との間に、傾動用ベローズ部材50が配置されている。また、昇降用支持スライド部36と傾動ロッド24の下端との間に昇降用ベローズ部材52が配置されている。
【0061】
この昇降用ベローズ部材52は、図1〜図3に示したように、複数のベローズ部材、この実施例では、4個のベローズ部材52a〜52dから構成している。なお、このベローズ部材52a〜52dの数は特に限定されるものではなく、1個のベローズから構成することも可能である。なお、もっとも下方に位置する昇降用ベローズ部材52dの下端は、
傾動ロッド24又は傾動板56に固定されている。
【0062】
また、傾動ロッド24の下端には、傾動板56が連結されている。この傾動板56は、図3に示したように、断面略T字形状を有しており、図示しないが、一定間隔離間して設けられた複数本の傾動ロッド24に跨るように連結されている。
【0063】
また、ゲート弁10は、内部に傾動板56を収容し、傾動板56と対峙するように配置された一対のフレーム側壁60、62を備えたフレーム58を備えている。
このフレーム58の一対のフレーム側壁60、62と傾動板56との間には、傾動板56を傾動する傾動駆動部61、63が設けられている。
【0064】
傾動駆動部61、63は、図2、図5に示したように、フレーム側壁と傾動板との間に配設され、例えば、エアーなどの流体を内部に供給することにより、膨張することによって傾動板56を傾動する膨張部材64、66から構成されている。
【0065】
この膨張部材64、66は、同様な構成となっており、中空の長管状の本体部64a、66aと、この長管状の本体部64a、66aから延設された基底部64b、66bとから構成され、これらの基底部64b、66bをそれぞれ、取り付け部材65によって固定することによって、フレーム側壁60、62に取り付けられている。
【0066】
そして、図示しないが、エアー供給源より、これらの長管状の本体部64a、66a内の中空部64c、66cにエアーを供給することによって、長管状の本体部64a、66aが膨張するように構成されている。
【0067】
この場合、膨張部材64、66は、この実施例のように、フレーム側壁60、62側に固定されていても、傾動板56側に固定されていてもよく、いずれの場合にもコンパクトで、弁板22の傾動操作を確実に行うことができる。
【0068】
さらに、ゲート弁10は、傾動ロッド24を上下動させることにより、弁板22を弁箱本体12の内部で上下動させるための昇降用駆動装置68を備えている。
図3に示したように、昇降用駆動装置68は、この実施例では、昇降用シリンダー70から構成されている。そして、昇降用シリンダー70の基端部が、弁箱本体12の下端に固定されている。
【0069】
なお、このように、昇降用シリンダー70を弁箱本体に固定することによって、昇降用シリンダー70自体が傾動しない設計となっているので、昇降用シリンダー70が傾動の際に外側に突き出て邪魔になることがなく、設置スペースが小さくてすみ、ゲート弁自体をコンパクト化することができる。
【0070】
なお、この実施例では、昇降用駆動装置68として、昇降用シリンダー70を用いた例について説明したが、昇降用駆動装置68としては、公知の昇降用駆動装置68、例えば,電動モータなどを用いたものなど適宜変更可能である。
【0071】
また、大口径のゲート弁として、一定間隔離間して設けられた複数本の傾動ロッド24を用いた実施例について説明したが、小口径のゲート弁にも適用でき、その場合には、適宜傾動ロッド24の数を調整すればよい。
【0072】
また、ピストンロッド72の先端部74には、略矩形リング形状のフレームハンガー76が固着されており、このフレームハンガー76に、フレーム58が固定されている。
このように構成される本発明のゲート弁について、以下に、図2、図6〜図7に基づい
て説明する。
【0073】
先ず、膨張部材64、66を同じ量だけ膨張させた状態(すなわち、膨張部材の内圧を64=66とする)で、昇降用シリンダー70を駆動することによって、ピストンロッド72を伸張させる。これにより、ピストンロッド72の先端部74に固定したフレームハンガー76が下降し、フレームハンガー76に固定されたフレーム58が、傾動板56とともに下降する。
【0074】
これにともなって、傾動ロッド24が、昇降用支持スライド部36の昇降用スライドブッシュ48に摺動するように案内されて下方に移動して、傾動ロッド24の先端に連結された弁板22が下方に開弁位置まで移動して、ゲート開口部18、20を開放した状態となる(図6参照)。
【0075】
なお、この状態では、昇降用ベローズ部材52は、図6に示したように延びた状態となっている。
そして、ゲート開口部18、20を閉止する際には、膨張部材64、66を同じ量だけ膨張させた状態(すなわち、膨張部材の内圧を64=66とする)で、傾動板56が中間位置で確実に固定され、昇降用シリンダー70を駆動することによって、ピストンロッド72を引っ込めた状態とする。これにより、ピストンロッド72の先端部74に固定したフレームハンガー76が上昇し、フレームハンガー76に固定されたフレーム58が、傾動板56とともに上昇する。
【0076】
これにともなって、傾動ロッド24が、昇降用支持スライド部36の昇降用スライドブッシュ48に摺動するように案内されて上方に移動して、傾動ロッド24の先端に連結された弁板22が上方に閉弁位置、すなわち、ゲート開口部18、20の近傍の位置まで移動する(図2参照)。
【0077】
なお、この状態では、昇降用ベローズ部材52は、図2に示したように縮んだ状態となっている。
そして、この状態で、膨張部材66に、例えば、エアーなどの流体を供給することによって、膨張部材64を膨張させる(すなわち、膨張部材の内圧を64>66とする)。
【0078】
これによって、図7、図8に示したように、傾動板56が、矢印B方向に押圧され、これにともなって、傾動ロッド24も、昇降用支持スライド部36の昇降用スライドブッシュ48に案内されたまま、昇降用支持スライド部36が、支持基端部28、30に対して傾動することによって、傾動ピボット軸42、44を中心に、矢印B方向に傾動する。
【0079】
これによって、図7の矢印Cで示したように、弁板22が、ゲート開口部18に押し付けられることによって、弁板22の側部のテーパー状の側面22aによって、ゲート開口部18を隙間なく閉塞し、ゲート開口部18を確実に閉止することができ、シール性能が向上するようになっている。
【0080】
なお、図示しないが、ゲート開口部20を閉止する場合には、膨張部材66を膨張させる(すなわち、膨張部材の内圧を66>64とする)ようにすればよい。
そして、ゲート開口部18、20を開放する際には、上記の状態から、膨張部材64、66を同じ量だけ膨張させた状態(すなわち、膨張部材の内圧を64=66とする)とする。
【0081】
これによって、傾動板56が、図7の矢印Bとは反対方向に押圧され、これにともなって、傾動ロッド24も、昇降用支持スライド部36の昇降用スライドブッシュ48に案内
されたまま、昇降用支持スライド部36が、支持基端部28、30に対して傾動することによって、傾動ピボット軸42、44を中心に、矢印Bとは反対方向に傾動する。
【0082】
これによって、図7の矢印Cとは反対方向に、傾動板56が、ゲート開口部18から離反することによって、ゲート開口部18を確実に開放し、弁板22を確実に中央位置に維持することができる。
【0083】
なお、図示しないが、ゲート開口部20を開放する場合には、膨張部材64、66を同じ量だけ膨張させた状態(すなわち、膨張部材の内圧を64=66とする)で、昇降用シリンダー70を駆動することによって、ピストンロッド72を伸張させる。これにより、ピストンロッド72の先端部74に固定したフレームハンガー76が下降し、フレームハンガー76に固定されたフレーム58が、傾動板56とともに下降する。
【0084】
これにともなって、再び、傾動ロッド24が、昇降用支持スライド部36の昇降用スライドブッシュ48に摺動するように案内されて下方に移動して、傾動ロッド24の先端に連結された弁板22が下方に開弁位置まで移動して、ゲート開口部18、20を開放した状態となる(図6参照)。
【0085】
以上のようなサイクルを繰り返すことによって、開弁、閉弁作動を実施することができる。
図9は、本発明の別の実施例のゲート弁の正面図、図10は、図9のゲート弁のA方向の側面図、図11は、図9のゲート弁の部分拡大斜視図である。
【0086】
この実施例のゲート弁10は、図1に示したゲート弁10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例のゲート弁10では、図9〜図11に示したように、傾動軸部26は、弁箱本体12の下端部に固定された一対の支持基端部28、30を備えており、これらの支持基端部28、30には、それぞれ支持軸嵌合部80、82が形成されている。
【0087】
また、傾動ロッド24の周囲には、傾動ロッド24の下端部に固定されるとともに、弁板22の方向に延設された支持筒84が備えられている。
そして、この支持筒84の弁板22の側の端部に一対の支持軸86、88が外方に突設されている。
【0088】
これによって、傾動ロッド24が、上方に移動した際に、支持筒84の支持軸86、88が、支持基端部28、30の支持軸嵌合部80、82に嵌合して、傾動駆動部61、63を作動させることによって、傾動板56および傾動ロッド24を、支持軸嵌合部80、82に嵌合された支持軸86、88を中心に傾動させることによって、傾動ロッド24先端に連結された弁板22を、ゲート開口部18、20に接近または離反する方向に移動するように構成している。
【0089】
また、この実施例のゲート弁10では、ベローズ部材が、支持筒84と傾動ロッド24の間に、傾動ロッド24の下端と弁箱本体12との間に、傾動ロッドを覆うように配設されたベローズ部材90から構成されている。
【0090】
なお、図11では、説明の便宜上、ベローズ部材90を省略して図示している。
このように構成することによって、傾動ロッド24が、上方に移動した際に、支持筒84の支持軸86、88が、支持基端部28、30の支持軸嵌合部80、82に嵌合した状態とすることができる。この状態で、傾動駆動部61、63を作動させることによって、傾動板56および傾動ロッド24を、支持軸嵌合部80、82に嵌合された支持軸86、
88を中心に傾動させることによって、支持軸86、88がふらつくことなく、支持軸嵌合部80、82内で安定的に回転するので、傾動ロッド24の先端に連結された弁板22を、確実かつ安定して、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動することができる。
【0091】
従って、弁板22を傾動させて、ゲート開口部18、20を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分で、ゲート開口部を弁板によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0092】
このように構成される本発明のゲート弁について、以下に、図10、図12〜図13に基づいて説明する。
先ず、膨張部材64、66を同じ量だけ膨張させた状態(すなわち、膨張部材の内圧を64=66とする)で、昇降用シリンダー70を駆動することによって、ピストンロッド72を伸張させる。これにより、ピストンロッド72の先端部74に固定したフレームハンガー76が下降し、フレームハンガー76に固定されたフレーム58が、傾動板56とともに下降する。
【0093】
これにともなって、傾動ロッド24が、下方に移動して、傾動ロッド24の先端に連結された弁板22が下方に開弁位置まで移動して、ゲート開口部18、20を開放した状態となる(図12参照)。
【0094】
なお、この状態では、昇降用のベローズ部材90は、図12に示したように延びた状態となっている。
そして、ゲート開口部18、20を閉止する際には、膨張部材64、66を同じ量だけ膨張させた状態(すなわち、膨張部材の内圧を64=66とする)で、傾動板56が中間位置で確実に固定され、昇降用シリンダー70を駆動することによって、ピストンロッド72を引っ込めた状態とする。これにより、ピストンロッド72の先端部74に固定したフレームハンガー76が上昇し、フレームハンガー76に固定されたフレーム58が、傾動板56とともに上昇する。
【0095】
これにともなって、傾動ロッド24を、上方に移動して、傾動ロッド24の先端に連結された弁板22が上方に閉弁位置、すなわち、ゲート開口部18、20の近傍の位置まで移動する(図13参照)。
【0096】
また、この状態では、支持筒84の支持軸86、88が、支持基端部28、30の支持軸嵌合部80、82に嵌合した状態になる。
なお、この状態では、昇降用のベローズ部材90は、図13に示したように縮んだ状態となっている。
そして、この状態で、膨張部材66に、例えば、エアーなどの流体を供給することによって、膨張部材64を膨張させる(すなわち、膨張部材の内圧を64>66とする)。
【0097】
これによって、図13に示したように、傾動板56が、矢印B方向に押圧され、これにともなって、傾動ロッド24も、支持軸嵌合部80、82に嵌合された支持軸86、88を中心に傾動することによって、支持軸86、88を中心に、矢印B方向に傾動する。
【0098】
これによって、図13の矢印Cで示したように、弁板22が、ゲート開口部18に押し付けられることによって、弁板22の側部のテーパー状の側面22aによって、ゲート開口部18を隙間なく閉塞し、ゲート開口部18を確実に閉止することができ、シール性能が向上するようになっている。
【0099】
なお、図示しないが、ゲート開口部20を閉止する場合には、膨張部材66を膨張させる(すなわち、膨張部材の内圧を66>64とする)ようにすればよい。
そして、ゲート開口部18、20を開放する際には、上記の状態から、膨張部材64、66を同じ量だけ膨張させた状態(すなわち、膨張部材の内圧を64=66とする)とする。
【0100】
これによって、傾動板56が、図13の矢印Bとは反対方向に押圧され、これにともなって、傾動ロッド24も、支持軸嵌合部80、82に嵌合された支持軸86、88を中心に傾動することによって、支持軸86、88を中心に、矢印Bとは反対方向に傾動する。
【0101】
これによって、図13の矢印Cとは反対方向に、傾動板56が、ゲート開口部18から離反することによって、ゲート開口部18を確実に開放し、弁板22を確実に中央位置に維持することができる。
【0102】
なお、図示しないが、ゲート開口部20を開放する場合には、膨張部材64、66を同じ量だけ膨張させた状態(すなわち、膨張部材の内圧を64=66とする)で、昇降用シリンダー70を駆動することによって、ピストンロッド72を伸張させる。これにより、ピストンロッド72の先端部74に固定したフレームハンガー76が下降し、フレームハンガー76に固定されたフレーム58が、傾動板56とともに下降する。
【0103】
これにともなって、再び、傾動ロッド24が、下方に移動して、傾動ロッド24の先端に連結された弁板22が下方に開弁位置まで移動して、ゲート開口部18、20を開放した状態となる(図10参照)。
【0104】
以上のようなサイクルを繰り返すことによって、開弁、閉弁作動を実施することができる。
このような本発明のゲート弁10によれば、フレーム58の内部に傾動板56が収容され、このフレーム58内において、フレーム側壁60、62と傾動板56との間に、傾動板56を傾動する傾動駆動部61、63が配設されているので、弁板を22傾動するための駆動機構が簡単な機構でコンパクトであって、駆動機構の設置スペースが小さく、ゲート弁全体としてもコンパクトな傾動型ゲート弁を提供することができる。
【0105】
しかも、傾動駆動部61、63を作動させることによって、傾動板56および傾動ロッド24を傾動軸部26を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板22を、ゲート開口部18、20に接近または離反する方向に移動することができ、弁板22を傾動させて、ゲート開口部18、20を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分で、ゲート開口部18、20を弁板22によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0106】
従って、特に、大口径の大型のゲート弁において、複数の傾動ロッドを有する際に、よりコンパクトで高いシール性を有する長寿命のゲート弁を提供できる。
また、本発明によれば、傾動駆動部61、63が、フレーム側壁60、62と傾動板56との間に配設された膨張部材64、66から構成されているので、膨張部材64、66の膨張・収縮を制御することによって、弁板の傾動方向を決めることができる。
【0107】
しかも、膨張部材64、66の膨張割合を制御することによって、弁板22を傾動させて、ゲート開口部18、20を閉止する際に、押し付け圧力(推力)が十分発揮することができ、ゲート開口部18、20を弁板22によって、確実に閉止することができ、優れたシール性を有する。
【0108】
また、閉弁の際に膨張させた膨張部材64、66を収縮させるとともに、反対側の膨張部材を膨張させるだけで、閉止状態にあった弁板22が、ゲート開口部18、20から離反する方向に移動して、弁板22のシール部材による開口の密閉閉止状態を解除することができる。
【0109】
従って、閉弁状態において、シール部材が弁箱本体12の側壁内面との間で固着したとしても、閉弁状態を解除して、開弁作動を確実に行うことができる。
さらに、膨張部材64、66の膨張・収縮を操作するだけで、弁板22をゲート開口部18、20から離間した中間位置、すなわち、上下動位置に固定することができ、安定した動作が可能であるため、長期間にわたって優れたシール性能を維持することができる。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、真空ゲート弁に用いる場合について説明したが、その他の用途のゲート弁として用いることも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、本発明のゲート弁の正面図である。
【図2】図2は、図1のゲート弁のA方向の側面図である。
【図3】図3は、図1のゲート弁の部分拡大斜視図である。
【図4】図4は、昇降用支持スライド部36の上面図である。
【図5】図5は、図2のゲート弁の部分拡大図である。
【図6】図6は、図1のゲート弁の作動状態を説明する概略図である。
【図7】図7は、図1のゲート弁の作動状態を説明する概略図である。
【図8】図8は、図7のゲート弁の作動状態を説明する部分拡大図である。
【図9】図9は、図9は、本発明の別の実施例のゲート弁の正面図である。
【図10】図10は、図10は、図9のゲート弁のA方向の側面図である。
【図11】図11は、図11は、図9のゲート弁の部分拡大斜視図である。
【図12】図12は、図9のゲート弁の作動状態を説明する概略図である。
【図13】図13は、図9のゲート弁の作動状態を説明する概略図である。
【図14】図14は、従来のゲート弁の作動状態を説明する概略図である。
【図15】図15は、従来のゲート弁の作動状態を説明する概略図である。
【図16】図16は、従来のゲート弁の作動状態を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0112】
10 ゲート弁
11 シール材
12 弁箱本体
14 側壁
18 ゲート開口部
20 ゲート開口部
22a 側面
22 弁板
24 傾動ロッド
26 傾動軸部
28、30 支持基端部
32、34 軸孔
36 昇降用支持スライド部
38、40 軸孔
42、44 傾動ピボット軸
46 開口部
48 昇降用スライドブッシュ
50 傾動用ベローズ部材
52 昇降用ベローズ部材
52a-52d ベローズ部材
54 開口孔
56 傾動板
58 フレーム
60、62 フレーム側壁
61、63 傾動駆動部
64 膨張部材
64a 本体部
64b 基底部
64c 中空部
65 取り付け部材
66 膨張部材
68 昇降用駆動装置
70 昇降用シリンダー
72 ピストンロッド
74 先端部
76 フレームハンガー
80 支持軸嵌合部
84 支持筒
86 支持軸
90 ベローズ部材
100 真空用ゲート弁
102 弁箱本体
104 弁板
106 開口
108 シール部材
200 ゲート弁
201 アクチュエーター
202 傾動ロッド
204 弁板
206 昇降用シリンダー
208 弁箱本体
210 軸支部
212 ゲート開口部
214 突起軸
216 カム昇降用シリンダー
218 カム体
220 カム孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱形状に形成された弁箱本体と、
前記弁箱本体に、その対向する一対の側壁を貫通して形成されたゲート開口部と、
前記弁箱本体の内部に設けられ、弁箱本体内で上下に移動することによって、ゲート開口部を開放する開弁位置と、ゲート開口部を閉止する閉弁位置との間を移動することにより、ゲート開口部を開閉する弁板とを備えるゲート弁であって、
前記弁板に連結された傾動ロッドと、
前記傾動ロッドを上下動させることにより、弁板を弁箱本体の内部で上下動させるための昇降用駆動装置と、
前記傾動ロッドの下端に連結された傾動板と、
前記昇降用駆動装置に連結され、その内部に傾動板を収容し、傾動板と対峙するように配置された一対のフレーム側壁を備えたフレームと、
前記フレーム内に、フレーム側壁と傾動板との間に配設され、傾動板を傾動する傾動駆動部と、
前記弁箱本体の下端に設けられ、傾動ロッドを傾動する傾動中心を構成する傾動軸部とを備え、
前記傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを傾動軸部を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動するように構成したことを特徴とするゲート弁。
【請求項2】
前記傾動駆動部が、フレーム側壁と傾動板との間に配設され、膨張することによって傾動板を傾動する膨張部材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゲート弁。
【請求項3】
前記膨張部材が、その内部に流体を供給することによって膨張可能な膨張部材から構成されていることを特徴とする請求項2に記載のゲート弁。
【請求項4】
前記昇降用駆動装置が、弁箱本体に固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のゲート弁。
【請求項5】
複数本の傾動ロッドが、一定間隔離間して設けられ、前記傾動板が、複数本の傾動ロッドに跨るように連結されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のゲート弁。
【請求項6】
前記傾動軸部が、
前記弁箱本体の下端部に固定された支持基端部と、
前記支持基端部に、傾動ピボット軸を介して、傾動可能に枢着された昇降用支持スライド部とを備え、
前記傾動ロッドが、昇降用支持スライド部に案内されて上下動するように構成されているとともに、
前記傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを、傾動ピボット軸を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動するように構成したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のゲート弁。
【請求項7】
前記弁箱本体と昇降用スライド部との間に、傾動ロッドを覆うように配置された傾動用ベローズ部材と、
前記昇降用スライド部と傾動ロッドの下端との間に、傾動ロッドを覆うように配設された昇降用ベローズ部材とが設けられていることを特徴とする請求項6に記載のゲート弁。
【請求項8】
前記傾動軸部が、
前記弁箱本体の下端部に固定された支持基端部と、
前記支持基端部の下方に形成された支持軸嵌合部とを備え、
前記傾動ロッドの周囲には、
前記傾動ロッドの下端部に固定されるとともに、弁板方向に延設された支持筒と、
前記支持筒の弁板側の端部に突設された支持軸とを備え、
前記傾動ロッドが、上方に移動した際に、支持筒の支持軸が、支持基端部の支持軸嵌合部に嵌合して、
前記傾動駆動部を作動させることによって、傾動板および傾動ロッドを、支持軸嵌合部に嵌合された支持軸を中心に傾動させることによって、傾動ロッド先端に連結された弁板を、ゲート開口部に接近または離反する方向に移動するように構成したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のゲート弁。
【請求項9】
前記支持筒と傾動ロッドの間に、傾動ロッドの下端と弁箱本体との間に、傾動ロッドを覆うようにベローズ部材が配設されていることを特徴とする請求項8に記載のゲート弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−107655(P2007−107655A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300433(P2005−300433)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000229564)日本バルカー工業株式会社 (145)
【Fターム(参考)】