ゲート装置
【課題】適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられ、且つ、制止バーを上下方向にスライドしているときに、周辺にいる人の安全性を向上させたゲート装置を提供する。
【解決手段】可動支柱12は、固定支柱11毎に、この固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。制止バー14は、隣接する可動支柱12間に上下方向にスライド自在に掛け渡している。可動支柱12は、内部に、上下方向に回転駆動される無端ベルト41を内部に張架しているとともに、上下方向における制止バー14のスライドを案内するガイド溝22を形成している。結合部材42が、制止バー14と、ベルト41とを連結する。ガイド溝22は、無端ベルト41に対向する壁面を有している。制止バーが上下方向にスライドするとき、結合部材42の中間片が、可動支柱12のフレームとガイド溝22との間の隙間を移動する。
【解決手段】可動支柱12は、固定支柱11毎に、この固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。制止バー14は、隣接する可動支柱12間に上下方向にスライド自在に掛け渡している。可動支柱12は、内部に、上下方向に回転駆動される無端ベルト41を内部に張架しているとともに、上下方向における制止バー14のスライドを案内するガイド溝22を形成している。結合部材42が、制止バー14と、ベルト41とを連結する。ガイド溝22は、無端ベルト41に対向する壁面を有している。制止バーが上下方向にスライドするとき、結合部材42の中間片が、可動支柱12のフレームとガイド溝22との間の隙間を移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入出口における人や車両等の通行を制限するゲート装置に関し、特に、駅ホームにおいて列車に乗降する乗降客の通行を制限するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道会社では、乗降客が駅ホームから線路内に落ちるのを防止するために、駅ホームの側端部に沿って落下防止柵を設置することを進めている。この落下防止柵は、駅ホームから線路内への乗客の転落を防止するだけでなく、駅ホームに停車している列車に乗降する乗降客の通路を確保しなければならない。例えば、駅ホームに停車した列車のドア(車両ドア)に対向する位置に、水平方向にスライドして開閉するスライドドアを設けた落下防止柵がある(特許文献1参照)。この落下防止柵は、通常、スライドドアを閉しており、駅ホームに停車した列車に対する乗降客の乗降を許可するときに開する構成である。スライドドアを開することにより、乗降客の通路を確保する。
【0003】
また、上記スライドドアに換えて、駅ホームの側端部に立設した隣接する2本の支柱間に、この支柱に沿って上下方向にスライドする可動柵を掛け渡した落下防止柵も提案されている(特許文献2参照)。この落下防止柵は、駅ホームに停車した列車のドア(車両ドア)に対向する位置に、可動柵を設けている。落下防止柵は、通常、可動柵を数十cm〜1m程度の高さに位置しており、乗降客が駅ホームから線路内に落ちるのを防止している。また、駅ホームに停車した列車に対する乗降客の乗降を許可するときに、可動柵を数m(2〜3m)程度の高さまで引き上げ、当該列車に乗降する乗降客の通路を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000− 16280号公報
【特許文献2】特開2004−322823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、列車の種類によって、1つの車両(1車両)に設けられている車両ドアの個数が異なっている。また、車両の長さも、種類によって異なる。すなわち、列車の種類によって、車両ドアの間隔が異なっている。
【0006】
落下防止柵は、上述したように、駅ホームに停車した列車に乗降する乗降客の通路を確保できなければならない。言い換えれば、落下防止柵は、設置した駅ホームに停車する全ての列車について、車両ドアに対向する位置がスライドドア、または可動柵によって開閉されなければならない。
【0007】
特許文献1の落下防止柵は、スライドドアを開したときに、このスライドドアを収納する戸袋が必用である。この戸袋を設けるスペースが、スライドドアの幅や、スライドドアの間隔等を制限する。このため、停車する列車の種類が多い駅ホームの場合、全ての種類の列車について、スライドドアを、各種列車の車両ドアに対向させることが困難であった。また、ダイヤ改正等によって、新たに別の種類の列車が駅ホームに停車することになった場合、この列車の車両ドアと、スライドドアと、が対向しないこともある。
【0008】
このように、駅ホームに停車する列車によって、適用可能な範囲が制限されたり、設置している落下防止柵によって停車可能な列車の種類が制限される(ダイヤ改正等を制限する。)等の問題があった。
【0009】
また、特許文献2の構成では、可動柵を上下方向にスライドさせるので、特許文献1の構成のように戸袋を必用としない。したがって、この可動柵の幅の長さがある程度自由に設定できる。このため、上述した特許文献1のような問題は抑えられる。しかし、この可動柵を上下方向にスライドさせるために2〜3m程度の高さの支柱を駅ホームに立設しなければならない。一方で、地下鉄の駅ホームの場合には、天井の高さによって、立設できる支柱の高さが制限されるという問題がある。
【0010】
この発明の目的は、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられ、且つ、制止部材を上下方向にスライドしているときに、周辺にいる人の安全性を向上させたゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のゲート装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために以下の構成を備えている。
【0012】
固定支柱は、入出口の両側のそれぞれに立設している。可動支柱は、固定支柱毎に、この固定支柱に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。さらに、制止部材は、隣接する可動支柱間に上下方向にスライド自在に掛け渡している。
【0013】
このため、可動支柱、および制止部材を下限に下げているときに、制止部材が数十cm〜1m程度の高さに位置し、可動支柱、および制止部材を上限まで上げているときに、制止部材が2m程度の高さに達するようにしても、固定支柱、および可動支柱の高さが押えられる。したがって、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられる。特に、駅ホームに適用する場合に、停車する列車の種類による制限や、駅ホームの天井高さ等の環境による影響が十分に抑えられる。
【0014】
また、可動支柱は、内部に、上下方向に駆動される駆動部材を内部に張架しているとともに、上下方向への制止部材のスライドを案内するガイド溝を形成している。結合部材が、制止部材と、駆動部材とを連結する。この結合部材は、2つの接合片と、これら2つの接合片をつなぐ中間片を有する。ここでいう中間片とは、直接つながっていない2つの片(ここでは、接合片)の間に位置し、これらの2つの片をつなぐ連結片を意味する。この結合部材は、例えば断面形状がコの字形状やH字形状である。
【0015】
また、ガイド溝は、駆動部材に対向する壁面を有している。そして、可動支柱は、制止部材が上下方向にスライドするときに、この制止部材とともに上下方向にスライドする結合部材の中間片が通過する隙間を、可動支柱のフレームとガイド溝との間、または駆動部材に対向する壁面に設けている。
【0016】
したがって、制止部材と同じ方向から、可動支柱内部に指が入れられても、その指が駆動部材に触れるのを、この駆動部材が対向する壁面によって防止できる。すなわち、制止部材を上下方向にスライドしているときに、周辺にいる人がいたずら等で、可動支柱内部に指を入れても、その指が駆動部材に巻き込まれるのを防止できる。これにより、制止部材を上下方向にスライドしているときにおける、周辺にいる人の安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられ、且つ、制止部材を上下方向にスライドしているときにおける、周辺にいる人の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】落下防止柵の設置例を示す概略図である。
【図2】列車の車両ドアに対向する駅ホーム側から見た可動柵の概略の平面図である。
【図3】可動柵の主要部の構成を示すブロック図である。
【図4】可動柵の閉状態から、開状態への状態変化を説明する図である。
【図5】可動柵の開状態から、閉状態への状態変化を説明する図である。
【図6】可動支柱における下側制止バーの取り付け位置の拡大図である。
【図7】駆動ケースの外観を示す概略図である。
【図8】駆動ケースの外観を示す概略の平面図である。
【図9】可動支柱の内部構造を示す概略図である。
【図10】別の例における可動支柱の内部構造を示す概略図である。
【図11】別の例における可動支柱の内部構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明にかかるゲート装置の実施形態について説明する。ここでは、駅ホームで列車を待っている乗客が駅ホームから線路内に落下するのを防止する落下防止柵を例にして説明する。
【0020】
図1は、駅ホームにおける落下防止柵の設置例を示す概略図である。図1(A)は、駅ホームを上方から見た平面図であり、図1(B)は、駅ホームの側端部を対向する側から見た平面図である。この落下防止柵は、図1に示すように、駅ホームの側端部に沿って、適当な間隔(2m〜3m間隔)で設置した複数の可動柵1を有している。各可動柵1が、この発明で言うゲート装置に相当する。
【0021】
上述したように、列車は、その種類によって車両ドアの間隔が異なる。この落下防止柵は、設置した駅ホームに停車する列車の種類に関係なく、可動柵1をこれらの列車の車両ドアに対向させるため、駅ホームに停車する列車の車両ドアの幅よりも広くしている。可動柵1を開することにより、列車に乗降する乗降客の通路を確保する。また、可動柵1を閉することにより、駅ホームにいる乗降客等が線路内に落ちるのを防止する。また、駅ホームにいる乗降客等が、隣接する可動柵1間から線路内に落ちるのを防止するために、固定バー2を隣接する可動柵1間に掛け渡している。図1では、隣接する可動柵1間に、2本の固定バー2を上下に並べて掛け渡した例を示しているが、固定バー2の本数は1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0022】
なお、可動柵1は、駅ホームに停車する列車の種類毎に、その列車の車両ドアの全体が対向すればよく、列車ドアでない部分と対向する部分があっても、特に問題はない。
【0023】
図2は、列車の車両ドアに対向する駅ホーム側から見た平面図である。図2は、可動柵が閉している状態(閉状態)である。
【0024】
この可動柵1は、2本の固定支柱11と、2本の可動支柱12と、2本の制止バー13、14と、を備えている。固定支柱11は、駅ホームの側端部に立設している。駅ホームには、固定支柱11の設置位置に台座が取り付けられている。2本の固定支柱11の間が、列車に乗降する乗降客の通路になる。言い換えれば、2本の固定支柱11は、駅ホームに停車する列車の種類に関係なく、各列車の車両ドアが対向する位置をカバーするように設置している。固定支柱11は、その高さが130〜150cm程度である。また、固定支柱11は、100kgf程度のもたれ荷重に耐える鋼材である。
【0025】
2本の可動支柱12は、固定支柱11毎に、その固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。可動支柱12は、固定支柱11の背面(線路側)に取り付けている。可動支柱12は、その高さが130cm程度の鋼材である。制止バー13、14は、2本の可動支柱12間に上下に並べて掛け渡している。上側に位置する制止バー13(以下、上側制止バー13と言うこともある。)は、可動支柱12の上端部付近に固定している。一方、下側に位置する制止バー14(以下、下側制止バー14と言うこともある。)は、可動支柱12に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。
【0026】
可動柵1が図2に示す閉状態であるとき、上側制止バー13は駅ホームの上面から130cm程度の高さであり、下側制止バー14は駅ホームの上面から65cm程度の高さである。制止バー13、14は、例えばその径が48mm、厚さ3.5mmのPC管である。下側制止バー14は、可動柵1が閉状態であるときに、幼児(2歳児の身長80〜90cm)や、車椅子利用者(車椅子の肘掛け高さ60cm程度)が、駅ホーム上面と、下側制止バー14との間を通って、線路に落ちるのを防止する高さである。また、下側制止バー14は、駅ホームにいる乗降客等が足を掛けにくい高さでもある。
【0027】
なお、静止バー13、14は、乗降客等の通行を制限することができればよく、ロープや、プレート等におきかえて構成してもよい。
【0028】
また、隣接する可動柵1間には、上述した2本の固定バー2を上下に並べて、固定支柱11に掛け渡している。下側の固定バー2は、駅ホームの上面から65cm程度の高さであり、上側の固定バー2は駅ホームの上面から130cm程度の高さである。固定バー2は、例えばその径が50mm、厚さ2mmのSUS管である。このように、固定バー2を固定支柱11に取り付けているので、固定バー2を取り付ける支柱を別途用意する必要がなく、駅ホームの美観を損なうことがないとともに、落下防止柵の設置コストを抑えることができる。
【0029】
図3は、この可動柵の主要部の構成を示すブロック図である。この可動柵1は、制御部50と、可動支柱駆動制御部51と、可動支柱駆動モータ52と、制止バー駆動制御部53と、制止バー駆動モータ54と、通信部55と、報知部56と、を備えている。
【0030】
制御部50は、可動柵1各部の動作を制御する。上述したように、可動柵1は、乗降客の通路の両側に固定支柱11を、設置しているとともに、この固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に可動支柱12を取り付けている。可動柵1は、固定支柱11毎に可動支柱駆動モータ52を設けている。可動支柱駆動制御部51は、制御部50からの指示にしたがって、2本の可動支柱12が略同じ高さで変位するように、2本の固定支柱11に設けている可動支柱駆動モータ52を連動して制御する。
【0031】
固定支柱11は、上下方向に回転駆動される無端ベルトをその内部に張架している。可動支柱12は、固定支柱11の内部に設けた、無端ベルトに結合している。この無端ベルトは、可動支柱駆動モータ52の駆動力により回転駆動される。可動支柱12は、無端ベルトの回転にともない、固定支柱11に対して上下方向にスライドする。可動支柱駆動モータ52は、正方向(可動支柱12が上昇する方向)、および逆方向(可動支柱12が下降する方向)に回転できる。
【0032】
なお、可動支柱駆動制御部51は、固定支柱11に対する可動支柱12の位置が下限位置にあること、および、固定支柱11に対する可動支柱12の位置が上限位置にあることを検出するセンサ(不図示)を有している。また、可動支柱駆動モータ52に設けたエンコーダにより、可動支柱駆動モータ52の駆動量にともなう可動支柱12の変位量が得られる構成である。
【0033】
また、可動柵1は、2本の固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けた可動支柱12間に、2本の制止バー13、14を掛け渡している。上側制止バー13は、上述したように、可動支柱12の上端部付近に固定している。また、下側制止バー14は、可動支柱12に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。可動柵1は、可動支柱12毎に制止バー駆動モータ54を設けている。制止バー駆動制御部53は、制御部50からの指示にしたがって、下側制止バー14の両端が可動支柱12に対して略同じ高さで変位するように、2本の可動支柱12に設けている制止バー駆動モータ54を連動して制御する。
【0034】
詳細については後述するが、可動支柱12は、上下方向に回転駆動される無端ベルトをその内部に張架している。下側制止バー14は、この無端ベルトに連結している。この無端ベルトは、制止バー駆動モータ54の駆動力により回転駆動される。下側制止バー14は、無端ベルトの回転にともない、可動支柱12に対して上下方向にスライドする。制止バー駆動モータ54は、正方向(下側制止バー14が上昇する方向)、および逆方向(下側制止バー14が下降する方向)に回転できる。
【0035】
なお、上側制止バー13は、無端ベルトを張架する軸として利用している。また、制止バー駆動制御部53は、可動支柱12に対する下側制止バー14の位置が下限位置にあること、および、可動支柱12に対する下側制止バー14の位置が上限位置にあることを検出するセンサ(不図示)を有している。また、制止バー駆動モータ54に設けたエンコーダにより、制止バー駆動モータ54の駆動量にともなう下側制止バー14の変位量が得られる構成である。
【0036】
通信部55は、駅ホームに停車した列車や、駅務室に設置された管理装置等の上位装置との間における通信を制御する。列車との通信は、公知のトランスポンダを経由して行う。報知部56は、乗降客や、駅係員等に対して、音声等による警告報知を行う。
【0037】
次に、この可動柵1の開閉動作について簡単に説明しておく。図4は、この可動柵の閉状態から、開状態状への変化を説明する図である。
【0038】
可動柵1は、通常、閉状態であり、駅ホームに列車が到着すると、開状態に移行する。そして、列車に対する乗降客の乗降が完了すると、閉状態に移行する。
【0039】
可動柵1は、通信部55において開指示を受信すると、可動支柱駆動制御部51が可動支柱駆動モータ52を駆動し、可動支柱12を上方にスライドする。図4(A)は、可動柵1の閉状態を示している。このとき、可動支柱駆動制御部51は、可動支柱駆動モータ52の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、可動支柱12を上方にスライドする。例えば、可動支柱12を、40cm/sで上方にスライドする。このとき、可動支柱駆動モータ52は正回転されている。可動支柱駆動制御部51は、可動支柱12が上限位置に達すると、可動支柱駆動モータ52を停止する(図4(B)参照)。
【0040】
その後、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動し、下側制止バー14を上方にスライドする。このとき、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、下側制止バー14を上方にスライドする。例えば、下側制止バー14を、40cm/sで上方にスライドする。このとき、制止バー駆動モータ54は正回転されている。制止バー駆動制御部53は、下側制止バー14が上限位置に達すると、制止バー駆動モータ54を停止する(図4(C)参照)。この状態が、開状態である。この開状態であるとき、下側制止バー14は、駅ホームの上面から、2m程度の高さに位置する。
【0041】
次に、可動柵1の開状態から閉状態への状態変化について説明する。図5は、可動柵の開状態から、閉状態への状態変化を説明する図である。図5(A)は、図4(C)と同様に、可動柵1の開状態を示している。
【0042】
可動柵1は、通信部55において閉指示を受信すると、可動支柱駆動制御部51が可動支柱駆動モータ52を駆動し、可動支柱12を下方にスライドする。このとき、可動支柱駆動制御部51は、可動支柱駆動モータ52の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、可動支柱12を下方にスライドする。例えば、可動支柱12を、40cm/sで下方にスライドする。このとき、可動支柱駆動モータ52は逆回転されている。可動支柱駆動制御部51は、可動支柱12が下限位置に達すると、可動支柱駆動モータ52を停止する(図5(B)参照)。
【0043】
その後、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動し、下側制止バー14を下方にスライドする。このとき、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、下側制止バー14を下方にスライドする。例えば、下側制止バー14を、40cm/sで下方にスライドする。このとき、制止バー駆動モータ54は逆回転されている。制止バー駆動制御部53は、下側制止バー14が下限位置に達すると、制止バー駆動モータ54を停止する(図5(C)参照)。この状態が、閉状態である。図5(C)は、図4(A)と同じ閉状態である。
【0044】
次に、可動支柱12に対して、上下方向にスライド自在に取り付けている下側制止バー14のスライド構造について説明する。図6は、可動支柱における下側制止バーの取り付け位置の拡大図である。図6に示すように、下側制止バー14の端部は、駆動ケース21に取り付けている(駆動ケース21が、下側制止バー14の端部を保持している。)。
【0045】
制止バー駆動制御部53は、駆動ケース21を可動支柱12に対して上下方向にスライドすることにより、この駆動ケース21が端部を保持している下側制止バー14を上下方向にスライドする。可動支柱12は、上下方向における駆動ケース21のスライドを案内するガイド溝22を内部に形成している。可動支柱12は、ガイド溝22に連通する開口面を他方の可動支柱12に対向する側面に形成している。
【0046】
図7は、駆動ケースの外観を示す概略図である。また、図8(A)は、図7におけるA−Aの断面図である。図8(B)は、図7におけるB−B方向の矢視図である。図8(C)は、図7におけるC−C方向の矢視図である。
【0047】
駆動ケース21は、水平方向の断面がL字形状である。L字の両端部には、それぞれ2つのローラ31〜34が上下方向に並べて取り付けられている。このローラ31〜34は、駆動ケース21に設けた固定軸にベアリングを取り付けた構造である。下側制止バー14は、図示するように、L字の屈曲部付近に取り付けている。
【0048】
図9は、可動支柱の内部構造を示す概略図である。可動支柱12の内部には、上述の駆動ケース21が挿入される、断面L字型のガイド溝22が形成されている。ガイド溝22は、図9において、太線で囲んだ領域である。このガイド溝22は、上下方向に立設する複数の壁面によって構成されている。ガイド溝22に挿入された駆動ケース21は、両端部に取り付けられているローラ31〜34の周面がガイド溝22の壁面に当接する。
【0049】
無端ベルト41は、ガイド溝22の外側に配置している。無端ベルト41は、上述したように、上下方向に回転駆動される。無端ベルト41は、ガイド溝22の1つの壁面に対向している。図9に示すように、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面の端部と、可動支柱12のフレームと、の間に数mm(4mm程度)の隙間がある。コの字型の結合部材42は、ベルト41と駆動ケース21とを結合している。具体的には、結合部材42は、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面の端部と、可動支柱12のフレームと、の隙間に中間片が位置し、この中間片に連続する一方の片(この発明で言う、接合片に相当する。)を無端ベルト41に接合し、この中間片に連続する他方の片(この発明で言う、接合片に相当する。)を駆動ケース21に接合している。ここでいう中間片とは、直接つながっていない2つの片の間に位置し、これらの2つの片をつなぐ連結片のことである。
【0050】
無端ベルト41が制止バー駆動モータ54の駆動力により上下方向に回転駆動されると、結合部材42で無端ベルト41に結合している駆動ケース21が上下方向にスライドする。したがって、この駆動ケース21に端部を取り付けている下側制止バー14が上下方向にスライドする。
【0051】
また、駆動ケース21が上下方向にスライドするときには、この駆動ケース21の両端部に取り付けたローラ31〜34がスライドする方向に応じて回転する。したがって、駆動ケース21は、スムーズに上下方向にスライドする。
【0052】
また、ガイド溝22、および駆動ケース21の水平方向の断面形状をL字形状にしているので、下側制止バー14の軸方向や、これに直交する方向に対するガタつきが抑えられる。
【0053】
さらに、可動支柱12側面における下側制止バー14側の開口面から、ガイド溝22内にいたずら等で指等が入れられても、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面によって、無端ベルト41に接触するのを防止できる。したがって、無端ベルト41が制止バー駆動モータ54の駆動力により上下方向に回転駆動されているときに、可動支柱12側面における、下側制止バー14側の開口面から指が入れられても、無端ベルト41が入れられた指を巻き込むのを防止でき、安全性の向上が図れる。
【0054】
また、上述の例では、結合部材42の中間片が、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面の端部と、可動支柱12のフレームと、の隙間に位置するとしたが、図10に示すように、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面に結合部材42の中間片が上下方向にスライドする切欠き45を設けてもよい。また、結合部材42は、その断面形状を、図11に示すように、H字形状にしてもよいし、他の形状にしてもよい。結合部材42は、直接つながっていない2つの片と、これらの2つの片をつなぐ連結片を有する形状であれば、上記以外の形状であってもよい。
【0055】
図10や、図11に示す構成でも、可動支柱12側面における、下側制止バー14側の開口面から指が入れられても、無端ベルト41が入れられた指を巻き込むのを防止でき、安全性の向上が図れる。
【0056】
また、この場合には、切欠き45は、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面の上端、または下端の一方端まで連続して形成し、他方端については、切断しない方が好ましい。すなわち、この切欠き45を設けるために、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面を2つに分割しないほうが好ましい。
【0057】
なお、上記の例における無端ベルト41は、チェーン等の他の部材に置き換えてもよい。また、上記の例では、本願発明を駅ホームに設置される可動柵1に適用した場合を例にして説明したが、工事現場等において車両が出入りする出入口等に設けるゲート装置としても利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1…可動柵
11…固定支柱
12…可動支柱
13…上側制止バー
14…下側制止バー
21…駆動ケース
22…ガイド溝
31〜34…ローラ
41…無端ベルト
42…結合部材
45…切欠き
【技術分野】
【0001】
この発明は、入出口における人や車両等の通行を制限するゲート装置に関し、特に、駅ホームにおいて列車に乗降する乗降客の通行を制限するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道会社では、乗降客が駅ホームから線路内に落ちるのを防止するために、駅ホームの側端部に沿って落下防止柵を設置することを進めている。この落下防止柵は、駅ホームから線路内への乗客の転落を防止するだけでなく、駅ホームに停車している列車に乗降する乗降客の通路を確保しなければならない。例えば、駅ホームに停車した列車のドア(車両ドア)に対向する位置に、水平方向にスライドして開閉するスライドドアを設けた落下防止柵がある(特許文献1参照)。この落下防止柵は、通常、スライドドアを閉しており、駅ホームに停車した列車に対する乗降客の乗降を許可するときに開する構成である。スライドドアを開することにより、乗降客の通路を確保する。
【0003】
また、上記スライドドアに換えて、駅ホームの側端部に立設した隣接する2本の支柱間に、この支柱に沿って上下方向にスライドする可動柵を掛け渡した落下防止柵も提案されている(特許文献2参照)。この落下防止柵は、駅ホームに停車した列車のドア(車両ドア)に対向する位置に、可動柵を設けている。落下防止柵は、通常、可動柵を数十cm〜1m程度の高さに位置しており、乗降客が駅ホームから線路内に落ちるのを防止している。また、駅ホームに停車した列車に対する乗降客の乗降を許可するときに、可動柵を数m(2〜3m)程度の高さまで引き上げ、当該列車に乗降する乗降客の通路を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000− 16280号公報
【特許文献2】特開2004−322823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、列車の種類によって、1つの車両(1車両)に設けられている車両ドアの個数が異なっている。また、車両の長さも、種類によって異なる。すなわち、列車の種類によって、車両ドアの間隔が異なっている。
【0006】
落下防止柵は、上述したように、駅ホームに停車した列車に乗降する乗降客の通路を確保できなければならない。言い換えれば、落下防止柵は、設置した駅ホームに停車する全ての列車について、車両ドアに対向する位置がスライドドア、または可動柵によって開閉されなければならない。
【0007】
特許文献1の落下防止柵は、スライドドアを開したときに、このスライドドアを収納する戸袋が必用である。この戸袋を設けるスペースが、スライドドアの幅や、スライドドアの間隔等を制限する。このため、停車する列車の種類が多い駅ホームの場合、全ての種類の列車について、スライドドアを、各種列車の車両ドアに対向させることが困難であった。また、ダイヤ改正等によって、新たに別の種類の列車が駅ホームに停車することになった場合、この列車の車両ドアと、スライドドアと、が対向しないこともある。
【0008】
このように、駅ホームに停車する列車によって、適用可能な範囲が制限されたり、設置している落下防止柵によって停車可能な列車の種類が制限される(ダイヤ改正等を制限する。)等の問題があった。
【0009】
また、特許文献2の構成では、可動柵を上下方向にスライドさせるので、特許文献1の構成のように戸袋を必用としない。したがって、この可動柵の幅の長さがある程度自由に設定できる。このため、上述した特許文献1のような問題は抑えられる。しかし、この可動柵を上下方向にスライドさせるために2〜3m程度の高さの支柱を駅ホームに立設しなければならない。一方で、地下鉄の駅ホームの場合には、天井の高さによって、立設できる支柱の高さが制限されるという問題がある。
【0010】
この発明の目的は、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられ、且つ、制止部材を上下方向にスライドしているときに、周辺にいる人の安全性を向上させたゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のゲート装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために以下の構成を備えている。
【0012】
固定支柱は、入出口の両側のそれぞれに立設している。可動支柱は、固定支柱毎に、この固定支柱に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。さらに、制止部材は、隣接する可動支柱間に上下方向にスライド自在に掛け渡している。
【0013】
このため、可動支柱、および制止部材を下限に下げているときに、制止部材が数十cm〜1m程度の高さに位置し、可動支柱、および制止部材を上限まで上げているときに、制止部材が2m程度の高さに達するようにしても、固定支柱、および可動支柱の高さが押えられる。したがって、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられる。特に、駅ホームに適用する場合に、停車する列車の種類による制限や、駅ホームの天井高さ等の環境による影響が十分に抑えられる。
【0014】
また、可動支柱は、内部に、上下方向に駆動される駆動部材を内部に張架しているとともに、上下方向への制止部材のスライドを案内するガイド溝を形成している。結合部材が、制止部材と、駆動部材とを連結する。この結合部材は、2つの接合片と、これら2つの接合片をつなぐ中間片を有する。ここでいう中間片とは、直接つながっていない2つの片(ここでは、接合片)の間に位置し、これらの2つの片をつなぐ連結片を意味する。この結合部材は、例えば断面形状がコの字形状やH字形状である。
【0015】
また、ガイド溝は、駆動部材に対向する壁面を有している。そして、可動支柱は、制止部材が上下方向にスライドするときに、この制止部材とともに上下方向にスライドする結合部材の中間片が通過する隙間を、可動支柱のフレームとガイド溝との間、または駆動部材に対向する壁面に設けている。
【0016】
したがって、制止部材と同じ方向から、可動支柱内部に指が入れられても、その指が駆動部材に触れるのを、この駆動部材が対向する壁面によって防止できる。すなわち、制止部材を上下方向にスライドしているときに、周辺にいる人がいたずら等で、可動支柱内部に指を入れても、その指が駆動部材に巻き込まれるのを防止できる。これにより、制止部材を上下方向にスライドしているときにおける、周辺にいる人の安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられ、且つ、制止部材を上下方向にスライドしているときにおける、周辺にいる人の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】落下防止柵の設置例を示す概略図である。
【図2】列車の車両ドアに対向する駅ホーム側から見た可動柵の概略の平面図である。
【図3】可動柵の主要部の構成を示すブロック図である。
【図4】可動柵の閉状態から、開状態への状態変化を説明する図である。
【図5】可動柵の開状態から、閉状態への状態変化を説明する図である。
【図6】可動支柱における下側制止バーの取り付け位置の拡大図である。
【図7】駆動ケースの外観を示す概略図である。
【図8】駆動ケースの外観を示す概略の平面図である。
【図9】可動支柱の内部構造を示す概略図である。
【図10】別の例における可動支柱の内部構造を示す概略図である。
【図11】別の例における可動支柱の内部構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明にかかるゲート装置の実施形態について説明する。ここでは、駅ホームで列車を待っている乗客が駅ホームから線路内に落下するのを防止する落下防止柵を例にして説明する。
【0020】
図1は、駅ホームにおける落下防止柵の設置例を示す概略図である。図1(A)は、駅ホームを上方から見た平面図であり、図1(B)は、駅ホームの側端部を対向する側から見た平面図である。この落下防止柵は、図1に示すように、駅ホームの側端部に沿って、適当な間隔(2m〜3m間隔)で設置した複数の可動柵1を有している。各可動柵1が、この発明で言うゲート装置に相当する。
【0021】
上述したように、列車は、その種類によって車両ドアの間隔が異なる。この落下防止柵は、設置した駅ホームに停車する列車の種類に関係なく、可動柵1をこれらの列車の車両ドアに対向させるため、駅ホームに停車する列車の車両ドアの幅よりも広くしている。可動柵1を開することにより、列車に乗降する乗降客の通路を確保する。また、可動柵1を閉することにより、駅ホームにいる乗降客等が線路内に落ちるのを防止する。また、駅ホームにいる乗降客等が、隣接する可動柵1間から線路内に落ちるのを防止するために、固定バー2を隣接する可動柵1間に掛け渡している。図1では、隣接する可動柵1間に、2本の固定バー2を上下に並べて掛け渡した例を示しているが、固定バー2の本数は1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0022】
なお、可動柵1は、駅ホームに停車する列車の種類毎に、その列車の車両ドアの全体が対向すればよく、列車ドアでない部分と対向する部分があっても、特に問題はない。
【0023】
図2は、列車の車両ドアに対向する駅ホーム側から見た平面図である。図2は、可動柵が閉している状態(閉状態)である。
【0024】
この可動柵1は、2本の固定支柱11と、2本の可動支柱12と、2本の制止バー13、14と、を備えている。固定支柱11は、駅ホームの側端部に立設している。駅ホームには、固定支柱11の設置位置に台座が取り付けられている。2本の固定支柱11の間が、列車に乗降する乗降客の通路になる。言い換えれば、2本の固定支柱11は、駅ホームに停車する列車の種類に関係なく、各列車の車両ドアが対向する位置をカバーするように設置している。固定支柱11は、その高さが130〜150cm程度である。また、固定支柱11は、100kgf程度のもたれ荷重に耐える鋼材である。
【0025】
2本の可動支柱12は、固定支柱11毎に、その固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。可動支柱12は、固定支柱11の背面(線路側)に取り付けている。可動支柱12は、その高さが130cm程度の鋼材である。制止バー13、14は、2本の可動支柱12間に上下に並べて掛け渡している。上側に位置する制止バー13(以下、上側制止バー13と言うこともある。)は、可動支柱12の上端部付近に固定している。一方、下側に位置する制止バー14(以下、下側制止バー14と言うこともある。)は、可動支柱12に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。
【0026】
可動柵1が図2に示す閉状態であるとき、上側制止バー13は駅ホームの上面から130cm程度の高さであり、下側制止バー14は駅ホームの上面から65cm程度の高さである。制止バー13、14は、例えばその径が48mm、厚さ3.5mmのPC管である。下側制止バー14は、可動柵1が閉状態であるときに、幼児(2歳児の身長80〜90cm)や、車椅子利用者(車椅子の肘掛け高さ60cm程度)が、駅ホーム上面と、下側制止バー14との間を通って、線路に落ちるのを防止する高さである。また、下側制止バー14は、駅ホームにいる乗降客等が足を掛けにくい高さでもある。
【0027】
なお、静止バー13、14は、乗降客等の通行を制限することができればよく、ロープや、プレート等におきかえて構成してもよい。
【0028】
また、隣接する可動柵1間には、上述した2本の固定バー2を上下に並べて、固定支柱11に掛け渡している。下側の固定バー2は、駅ホームの上面から65cm程度の高さであり、上側の固定バー2は駅ホームの上面から130cm程度の高さである。固定バー2は、例えばその径が50mm、厚さ2mmのSUS管である。このように、固定バー2を固定支柱11に取り付けているので、固定バー2を取り付ける支柱を別途用意する必要がなく、駅ホームの美観を損なうことがないとともに、落下防止柵の設置コストを抑えることができる。
【0029】
図3は、この可動柵の主要部の構成を示すブロック図である。この可動柵1は、制御部50と、可動支柱駆動制御部51と、可動支柱駆動モータ52と、制止バー駆動制御部53と、制止バー駆動モータ54と、通信部55と、報知部56と、を備えている。
【0030】
制御部50は、可動柵1各部の動作を制御する。上述したように、可動柵1は、乗降客の通路の両側に固定支柱11を、設置しているとともに、この固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に可動支柱12を取り付けている。可動柵1は、固定支柱11毎に可動支柱駆動モータ52を設けている。可動支柱駆動制御部51は、制御部50からの指示にしたがって、2本の可動支柱12が略同じ高さで変位するように、2本の固定支柱11に設けている可動支柱駆動モータ52を連動して制御する。
【0031】
固定支柱11は、上下方向に回転駆動される無端ベルトをその内部に張架している。可動支柱12は、固定支柱11の内部に設けた、無端ベルトに結合している。この無端ベルトは、可動支柱駆動モータ52の駆動力により回転駆動される。可動支柱12は、無端ベルトの回転にともない、固定支柱11に対して上下方向にスライドする。可動支柱駆動モータ52は、正方向(可動支柱12が上昇する方向)、および逆方向(可動支柱12が下降する方向)に回転できる。
【0032】
なお、可動支柱駆動制御部51は、固定支柱11に対する可動支柱12の位置が下限位置にあること、および、固定支柱11に対する可動支柱12の位置が上限位置にあることを検出するセンサ(不図示)を有している。また、可動支柱駆動モータ52に設けたエンコーダにより、可動支柱駆動モータ52の駆動量にともなう可動支柱12の変位量が得られる構成である。
【0033】
また、可動柵1は、2本の固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けた可動支柱12間に、2本の制止バー13、14を掛け渡している。上側制止バー13は、上述したように、可動支柱12の上端部付近に固定している。また、下側制止バー14は、可動支柱12に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。可動柵1は、可動支柱12毎に制止バー駆動モータ54を設けている。制止バー駆動制御部53は、制御部50からの指示にしたがって、下側制止バー14の両端が可動支柱12に対して略同じ高さで変位するように、2本の可動支柱12に設けている制止バー駆動モータ54を連動して制御する。
【0034】
詳細については後述するが、可動支柱12は、上下方向に回転駆動される無端ベルトをその内部に張架している。下側制止バー14は、この無端ベルトに連結している。この無端ベルトは、制止バー駆動モータ54の駆動力により回転駆動される。下側制止バー14は、無端ベルトの回転にともない、可動支柱12に対して上下方向にスライドする。制止バー駆動モータ54は、正方向(下側制止バー14が上昇する方向)、および逆方向(下側制止バー14が下降する方向)に回転できる。
【0035】
なお、上側制止バー13は、無端ベルトを張架する軸として利用している。また、制止バー駆動制御部53は、可動支柱12に対する下側制止バー14の位置が下限位置にあること、および、可動支柱12に対する下側制止バー14の位置が上限位置にあることを検出するセンサ(不図示)を有している。また、制止バー駆動モータ54に設けたエンコーダにより、制止バー駆動モータ54の駆動量にともなう下側制止バー14の変位量が得られる構成である。
【0036】
通信部55は、駅ホームに停車した列車や、駅務室に設置された管理装置等の上位装置との間における通信を制御する。列車との通信は、公知のトランスポンダを経由して行う。報知部56は、乗降客や、駅係員等に対して、音声等による警告報知を行う。
【0037】
次に、この可動柵1の開閉動作について簡単に説明しておく。図4は、この可動柵の閉状態から、開状態状への変化を説明する図である。
【0038】
可動柵1は、通常、閉状態であり、駅ホームに列車が到着すると、開状態に移行する。そして、列車に対する乗降客の乗降が完了すると、閉状態に移行する。
【0039】
可動柵1は、通信部55において開指示を受信すると、可動支柱駆動制御部51が可動支柱駆動モータ52を駆動し、可動支柱12を上方にスライドする。図4(A)は、可動柵1の閉状態を示している。このとき、可動支柱駆動制御部51は、可動支柱駆動モータ52の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、可動支柱12を上方にスライドする。例えば、可動支柱12を、40cm/sで上方にスライドする。このとき、可動支柱駆動モータ52は正回転されている。可動支柱駆動制御部51は、可動支柱12が上限位置に達すると、可動支柱駆動モータ52を停止する(図4(B)参照)。
【0040】
その後、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動し、下側制止バー14を上方にスライドする。このとき、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、下側制止バー14を上方にスライドする。例えば、下側制止バー14を、40cm/sで上方にスライドする。このとき、制止バー駆動モータ54は正回転されている。制止バー駆動制御部53は、下側制止バー14が上限位置に達すると、制止バー駆動モータ54を停止する(図4(C)参照)。この状態が、開状態である。この開状態であるとき、下側制止バー14は、駅ホームの上面から、2m程度の高さに位置する。
【0041】
次に、可動柵1の開状態から閉状態への状態変化について説明する。図5は、可動柵の開状態から、閉状態への状態変化を説明する図である。図5(A)は、図4(C)と同様に、可動柵1の開状態を示している。
【0042】
可動柵1は、通信部55において閉指示を受信すると、可動支柱駆動制御部51が可動支柱駆動モータ52を駆動し、可動支柱12を下方にスライドする。このとき、可動支柱駆動制御部51は、可動支柱駆動モータ52の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、可動支柱12を下方にスライドする。例えば、可動支柱12を、40cm/sで下方にスライドする。このとき、可動支柱駆動モータ52は逆回転されている。可動支柱駆動制御部51は、可動支柱12が下限位置に達すると、可動支柱駆動モータ52を停止する(図5(B)参照)。
【0043】
その後、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動し、下側制止バー14を下方にスライドする。このとき、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、下側制止バー14を下方にスライドする。例えば、下側制止バー14を、40cm/sで下方にスライドする。このとき、制止バー駆動モータ54は逆回転されている。制止バー駆動制御部53は、下側制止バー14が下限位置に達すると、制止バー駆動モータ54を停止する(図5(C)参照)。この状態が、閉状態である。図5(C)は、図4(A)と同じ閉状態である。
【0044】
次に、可動支柱12に対して、上下方向にスライド自在に取り付けている下側制止バー14のスライド構造について説明する。図6は、可動支柱における下側制止バーの取り付け位置の拡大図である。図6に示すように、下側制止バー14の端部は、駆動ケース21に取り付けている(駆動ケース21が、下側制止バー14の端部を保持している。)。
【0045】
制止バー駆動制御部53は、駆動ケース21を可動支柱12に対して上下方向にスライドすることにより、この駆動ケース21が端部を保持している下側制止バー14を上下方向にスライドする。可動支柱12は、上下方向における駆動ケース21のスライドを案内するガイド溝22を内部に形成している。可動支柱12は、ガイド溝22に連通する開口面を他方の可動支柱12に対向する側面に形成している。
【0046】
図7は、駆動ケースの外観を示す概略図である。また、図8(A)は、図7におけるA−Aの断面図である。図8(B)は、図7におけるB−B方向の矢視図である。図8(C)は、図7におけるC−C方向の矢視図である。
【0047】
駆動ケース21は、水平方向の断面がL字形状である。L字の両端部には、それぞれ2つのローラ31〜34が上下方向に並べて取り付けられている。このローラ31〜34は、駆動ケース21に設けた固定軸にベアリングを取り付けた構造である。下側制止バー14は、図示するように、L字の屈曲部付近に取り付けている。
【0048】
図9は、可動支柱の内部構造を示す概略図である。可動支柱12の内部には、上述の駆動ケース21が挿入される、断面L字型のガイド溝22が形成されている。ガイド溝22は、図9において、太線で囲んだ領域である。このガイド溝22は、上下方向に立設する複数の壁面によって構成されている。ガイド溝22に挿入された駆動ケース21は、両端部に取り付けられているローラ31〜34の周面がガイド溝22の壁面に当接する。
【0049】
無端ベルト41は、ガイド溝22の外側に配置している。無端ベルト41は、上述したように、上下方向に回転駆動される。無端ベルト41は、ガイド溝22の1つの壁面に対向している。図9に示すように、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面の端部と、可動支柱12のフレームと、の間に数mm(4mm程度)の隙間がある。コの字型の結合部材42は、ベルト41と駆動ケース21とを結合している。具体的には、結合部材42は、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面の端部と、可動支柱12のフレームと、の隙間に中間片が位置し、この中間片に連続する一方の片(この発明で言う、接合片に相当する。)を無端ベルト41に接合し、この中間片に連続する他方の片(この発明で言う、接合片に相当する。)を駆動ケース21に接合している。ここでいう中間片とは、直接つながっていない2つの片の間に位置し、これらの2つの片をつなぐ連結片のことである。
【0050】
無端ベルト41が制止バー駆動モータ54の駆動力により上下方向に回転駆動されると、結合部材42で無端ベルト41に結合している駆動ケース21が上下方向にスライドする。したがって、この駆動ケース21に端部を取り付けている下側制止バー14が上下方向にスライドする。
【0051】
また、駆動ケース21が上下方向にスライドするときには、この駆動ケース21の両端部に取り付けたローラ31〜34がスライドする方向に応じて回転する。したがって、駆動ケース21は、スムーズに上下方向にスライドする。
【0052】
また、ガイド溝22、および駆動ケース21の水平方向の断面形状をL字形状にしているので、下側制止バー14の軸方向や、これに直交する方向に対するガタつきが抑えられる。
【0053】
さらに、可動支柱12側面における下側制止バー14側の開口面から、ガイド溝22内にいたずら等で指等が入れられても、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面によって、無端ベルト41に接触するのを防止できる。したがって、無端ベルト41が制止バー駆動モータ54の駆動力により上下方向に回転駆動されているときに、可動支柱12側面における、下側制止バー14側の開口面から指が入れられても、無端ベルト41が入れられた指を巻き込むのを防止でき、安全性の向上が図れる。
【0054】
また、上述の例では、結合部材42の中間片が、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面の端部と、可動支柱12のフレームと、の隙間に位置するとしたが、図10に示すように、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面に結合部材42の中間片が上下方向にスライドする切欠き45を設けてもよい。また、結合部材42は、その断面形状を、図11に示すように、H字形状にしてもよいし、他の形状にしてもよい。結合部材42は、直接つながっていない2つの片と、これらの2つの片をつなぐ連結片を有する形状であれば、上記以外の形状であってもよい。
【0055】
図10や、図11に示す構成でも、可動支柱12側面における、下側制止バー14側の開口面から指が入れられても、無端ベルト41が入れられた指を巻き込むのを防止でき、安全性の向上が図れる。
【0056】
また、この場合には、切欠き45は、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面の上端、または下端の一方端まで連続して形成し、他方端については、切断しない方が好ましい。すなわち、この切欠き45を設けるために、無端ベルト41が対向するガイド溝22の壁面を2つに分割しないほうが好ましい。
【0057】
なお、上記の例における無端ベルト41は、チェーン等の他の部材に置き換えてもよい。また、上記の例では、本願発明を駅ホームに設置される可動柵1に適用した場合を例にして説明したが、工事現場等において車両が出入りする出入口等に設けるゲート装置としても利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1…可動柵
11…固定支柱
12…可動支柱
13…上側制止バー
14…下側制止バー
21…駆動ケース
22…ガイド溝
31〜34…ローラ
41…無端ベルト
42…結合部材
45…切欠き
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出口の両側に立設した2本の固定支柱のそれぞれに、可動支柱を上下方向にスライド自在に取り付け、この可動支柱間に、制止部材を上下方向にスライド自在に掛け渡したゲート装置であって、
前記可動支柱は、その内部に、上下方向に駆動される駆動部材を張架しているとともに、前記制止部材の上下方向へのスライドを案内するガイド溝と、
2つの接合片と、これら2つの接合片をつなぐ中間片を有し、前記制止部材を前記駆動部材に連結する結合部材と、を備えており、
前記ガイド溝は、前記駆動部材に対向する壁面を有し、
前記可動支柱には、前記制止部材が上下方向にスライドするときに、この制止部材とともに上下方向にスライドする前記結合部材の中間片が通過する隙間が、前記可動支柱のフレームと前記ガイド溝との間、または前記駆動部材に対向する前記壁面に設けられている、ゲート装置。
【請求項2】
前記結合部材の前記2つの接合片のうち、一方の接合片は前記駆動部材と接合している、請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記結合部材の前記中間片が、前記2つの接合片の一方の端部同士をつないでいる、請求項1、または2に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記結合部材は、前記可動部材の上下スライド方向から見た断面形状がコの字形状である、請求項3に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記結合部材の前記中間片が、前記2つの接合片の中央部同士をつないでいる、請求項1、または2に記載のゲート装置。
【請求項6】
前記結合部材は、前記可動部材の上下スライド方向から見た断面形状がH字形状である、請求項5に記載のゲート装置。
【請求項7】
前記制止部材の端部を保持し、その周囲を覆う駆動ケースを備え、
前記結合部材は、前記駆動部材と、前記駆動ケースとを結合することにより、前記制止部材を前記駆動部材に連結する、請求項1〜6のいずれかに記載のゲート装置。
【請求項8】
前記ガイド溝、および前記駆動ケースは、前記可動部材の上下スライド方向から見た断面形状がL字形状である、請求項7に記載のゲート装置。
【請求項9】
前記駆動ケースの両端部にローラが取り付けられている、請求項8に記載のゲート装置。
【請求項1】
入出口の両側に立設した2本の固定支柱のそれぞれに、可動支柱を上下方向にスライド自在に取り付け、この可動支柱間に、制止部材を上下方向にスライド自在に掛け渡したゲート装置であって、
前記可動支柱は、その内部に、上下方向に駆動される駆動部材を張架しているとともに、前記制止部材の上下方向へのスライドを案内するガイド溝と、
2つの接合片と、これら2つの接合片をつなぐ中間片を有し、前記制止部材を前記駆動部材に連結する結合部材と、を備えており、
前記ガイド溝は、前記駆動部材に対向する壁面を有し、
前記可動支柱には、前記制止部材が上下方向にスライドするときに、この制止部材とともに上下方向にスライドする前記結合部材の中間片が通過する隙間が、前記可動支柱のフレームと前記ガイド溝との間、または前記駆動部材に対向する前記壁面に設けられている、ゲート装置。
【請求項2】
前記結合部材の前記2つの接合片のうち、一方の接合片は前記駆動部材と接合している、請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記結合部材の前記中間片が、前記2つの接合片の一方の端部同士をつないでいる、請求項1、または2に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記結合部材は、前記可動部材の上下スライド方向から見た断面形状がコの字形状である、請求項3に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記結合部材の前記中間片が、前記2つの接合片の中央部同士をつないでいる、請求項1、または2に記載のゲート装置。
【請求項6】
前記結合部材は、前記可動部材の上下スライド方向から見た断面形状がH字形状である、請求項5に記載のゲート装置。
【請求項7】
前記制止部材の端部を保持し、その周囲を覆う駆動ケースを備え、
前記結合部材は、前記駆動部材と、前記駆動ケースとを結合することにより、前記制止部材を前記駆動部材に連結する、請求項1〜6のいずれかに記載のゲート装置。
【請求項8】
前記ガイド溝、および前記駆動ケースは、前記可動部材の上下スライド方向から見た断面形状がL字形状である、請求項7に記載のゲート装置。
【請求項9】
前記駆動ケースの両端部にローラが取り付けられている、請求項8に記載のゲート装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−121395(P2012−121395A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272301(P2010−272301)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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