説明

コアシェル型カプセル

【課題】 家庭用品、パーソナルケア用品、及び化粧品等(特に洗濯用品)からの有効成分の供給を改良すること。
【解決手段】 本発明は、コア部分に油状物又はワックス状固形物を含むコアシェル型カプセルに関する。この油状物又はワックス状固形物は、以下の(1)及び(2)を含有する。
(1)以下のa)〜e)から選ばれる少なくとも2種の香料成分の混合物である香料組成物を50〜100重量%、
a)香料組成物に対して0〜20重量%のアルデヒド(アルファベータ不飽和アルデヒドを含む);
b)香料組成物に対して0〜10重量%の一級又は二級アミン;
c)香料組成物に対して0〜25重量%のClogP>4.0である香料成分;
d)香料組成物に対して0〜20重量%のClogP>5.0である香料成分;及び、
e)香料組成物に対して0〜20重量%のClogP<2.0である香料成分。
(2)香料成分以外の有効成分を0〜50重量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用品、パーソナルケア用品及び化粧品の成分として使用する際に、香り成分及びその他の任意の有効成分の供給及び放出を調節するための、コアシェル型のカプセルのコアの中に封入される組成物に関する。特に本発明は、コア材料のエマルジョンの周囲に、主要モノマーであるメラミン及び/又は尿素とホルムアルデヒドを縮合させることによって製造されるコアシェル型カプセルに関する。しかしながら、このことは、他のモノマーを使用したり、他のモノマー又は他のアミンアルデヒド縮合ポリマーを用いて製造したカプセルを除外することを意図しているものではない。コアシェル型カプセルにおいて他の好適なモノマーとしては、例えば、国際公開第01/49817号パンフレットに例示されているメタクリル酸メチル、及び国際公開第03/099005号パンフレットに例示されているウレタン等がある。さらなる好適なモノマーは、重合反応に関わる当業者には周知である。
【0002】
本発明はさらに、家庭用品、パーソナルケア用品、及び化粧品における前記カプセルの使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
香りを継続的又は直接的に供給することは、多くの家庭用品、パーソナルケア用品及び化粧品において共通のメリットである。製品の中に直接包含させることによって表面に有効成分を供給しようというのは、多くの場合非効率的であり、研究者たちは改良された供給方法を探索してきた。
香りの場合、特定の香り成分を選択することによって、香りの供給を改良することが可能となることについては米国特許5,500,138号明細書に記載があり、そこには、柔軟仕上げ剤のための香り成分において高ClogP物質の割合を高くすることを規定している。有効成分及び/又は香り成分をカプセル化することによって、その供給及び放出の挙動を調節しようとするのは、また別な技術であって、そのようなことは米国特許4,209,417号明細書において検討されている。そこでは、香り成分が、保存時には保護され、洗濯中には放出されるようにデンプンポリマーの中に乳化されるようになっている。
また、米国特許4,152,272号明細書では、柔軟仕上げ剤から加えられたワックスカプセルの中に香料を組み入れ、それによって、保存時における香り成分を保護し、洗濯の際には乾燥した布地の上により多く定着させる方法が教示されている。
米国特許4,145,184号明細書には、ポリマーによって完全に取り囲まれたコアシェル型カプセルの中に香り成分を組み入れることが記載されており、それによって香り成分が洗濯の間は保護されていて、そのカプセルが破裂されたときに放出される。
国際公開第99/65458号パンフレットには、好適な揮発性(沸点)、疎水性(ClogP)及びヒトの嗅覚感度(感知閾値)を有する物質の選択をベースとした、カプセル成分の配合について教示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら多くの努力にも関わらず、特に洗濯用品から、とりわけ洗剤粉末からの有効成分の供給を改良する必要が依然として存在している。
【0005】
本発明では、香り成分の選択方法が見いだされており、その条件は、a)特定のカプセルの中に組み入れることが可能であること、b)それらのカプセルの内部で化学的に安定であること、及びc)カプセルが破裂し、その内容物が放出したときに、最大限の価値が発揮される適切な物理的性質を有すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、油状物又はワックス状固形物である香料組成物に関し、前記香料組成物は、以下のa)〜e)から選ばれる少なくとも2種の香料成分を含む。:
a)香料組成物に対して0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらに好ましくは0〜1重量%のアルデヒド(アルファベータ不飽和アルデヒドを含む);
b)香料組成物に対して0〜10重量%、好ましくは0〜1重量%の一級又は二級アミン;
c)香料組成物に対して0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%のClogP>4.0である香料成分;
d)香料組成物に対して0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%のClogP>5.0である香料成分;及び、
e)香料組成物に対して0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%のClogP<2.0である香料成分。
【0007】
本発明はさらに、コア部分に油状物又はワックス状固形物を含むコアシェル型カプセルに関し、前記油状物又はワックス状固形物は、以下のものを含む:
(1)以下のa)〜e)から選ばれる少なくとも2種の香料成分の混合物である香料組成物を50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%、
a)香料組成物に対して0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらに好ましくは0〜1重量%のアルデヒド(アルファベータ不飽和アルデヒドを含む);
b)香料組成物に対して0〜10重量%、好ましくは0〜1重量%の一級又は二級アミン;
c)香料組成物に対して0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%のClogP>4.0である香料成分;
d)香料組成物に対して0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%のClogP>5.0である香料成分;及び、
e)香料組成物に対して0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%のClogP<2.0である香料成分、並びに、
(2)香料成分以外の有効成分を0〜50重量%。
【0008】
香料成分以外の有効成分(これらもまた、上記の条件a)及びb)は満足していなければならない)は、下記のものからなる群より選択するのが好ましい:悪臭中和剤(malodour conteracting agent)、精油、アロマテラピー物質(aromatherapeutic material)、エステティック剤(chemaesthetic agents)、ビタミン、防虫剤、UV吸収剤、抗酸化剤、及び下記のようにカプセルの性質を改良する成分:
a)カプセル製造時におけるエマルションを安定化すること、
b)カプセルからの漏れを抑制すること、及び、
c)カプセル硬度を改良すること。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(香料組成物)
本明細書の文脈においては、「香料組成物(perfume composition)」は、以下で定義される「香り成分(fragrance)」とも呼ばれるものであり、本発明の本質に関わる部分である。「香料組成物」という用語は、各種芳香性の物質又は悪臭中和物質(malodor couteractant)として作用する各種の物質を意味する。香料の用途として多くの種類の化合物が知られており、そのような物質としては、例えばアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ニトリル等が挙げられる。限定されることを望むものではないが、通常ほとんどの場合、香料化合物は、充分な揮発性を確保するために400質量単位未満の分子量を有し、そして、強いイオン化性官能基、例えばスルホン酸イオン、硫酸イオン又は四級アンモニウムイオンを含まない。
【0010】
各種の化学的成分の複雑な混合物を含む、天然由来の植物性、動物性の油状物及び浸出物や、天然に見いだされるものと同じ油状物及び浸出物もまた香料として使用できることが知られており、そのような物質は本発明においても使用することができる。本発明の香料組成物は、その組成においては、最低で2種の香料成分又は香り成分を有する比較的単純なものとすることもできるし、あるいは、各種所望のにおいを与えるべく選択した、天然及び合成化学成分の極めて複雑な混合物を含んでいてもよい。香料成分についての詳細は、S.アークタンダー(S. Arctander)「パヒューム・フレーバーズ・アンド・ケミカルズ(Perfume Flavors and Chemicals)」第1巻及び第2巻(アーサー(Aurthor)、ニュージャージー州モントクレア(Montclair, N. J.)、ならびに、「メルク・インデックス(Merck Index)」第8版(メルク・アンド・カンパニー・インコーポレーッテッド(Merck & Co., Inc.)に記載がある(これら両書を参照することにより本明細書に組み入れる)。
【0011】
本発明の一つの態様によれば、アルデヒドは、カプセルの調製の間にも幾分か反応するだけではなく、驚くべきことに保存時においてもそのカプセルそのものの中で継続的に反応が続いていて、その香りが嗅覚的に感知できなくなる程度までなりうる、ということが見いだされた。アルデヒドが反応性を有する化学種であるという一般的な見方があるにも関わらず、いくつかのアルデヒド、例えば、リリアール、シクラメンアルデヒド、及びヘキシルケイ皮アルデヒドは、洗濯製品のための香りに極めて高いレベルで使用されることが多く、それらの配合の中では安定である。本発明の香料組成物では、アルファ、ベータ不飽和アルデヒドを含めた全アルデヒドのレベルを、香料組成物の20重量%未満、好ましくは10重量%未満、さらにより好ましくは1重量%未満に制限するのが好ましい。
【0012】
さらに、カプセル製造の最後にホルムアルデヒドを除去する目的で、過剰の水溶性アミンを添加するが、それらのコア成分として存在するアミンが、カプセルに驚くほどの安定性を示すことも見いだされた。したがって、本発明の香料組成物では、一級及び二級アミンの含量は、10重量%未満、より好ましくは1重量%未満とするのが好ましい。
【0013】
本発明のさらなる態様では、カプセルには、50重量%を超える、好ましくは60重量%を超える、より好ましくは70重量%を超える、さらに好ましくは80重量%を超える香料成分を含んでいるべきである。経済的な面からは、それぞれのカプセルの中に可能な限り多くの活性な構成成分を組み入れるのが当然と考えられるものの、エマルジョンの安定性、カプセルの完全性等、多くの実用的な理由から、カプセルには、その他の構成成分例えば、溶媒、硬化剤等が含まれることが多く、それらが、香り成分及び有効成分を実質的に希釈している。
【0014】
上記に関連して認識しておくべきことは、香り成分は沈着する際には何の役割も果たさないのだから、米国特許第5,652,206号明細書及び米国特許第5,500,138号明細書に教示されているような、供給性と香りの持続性を改良するために、高いClogP(計算されたlogP)をもつ物質の割合を選択する必要があるということは、もはや要求されない。実際のところ、より揮発性の高い構成成分を選択して、その香りが最高の香り効果を与えるようにすれば、好ましい。したがって、本発明の香料組成物では、ClogP>4であるものを香料成分の25重量%未満、好ましくは20重量%未満含み、ClogP<2であるものを20重量%未満含むのが好ましい。
【0015】
ClogPとは、香り成分のオクタノール/水分配係数(P)のことを指している。香料成分のオクタノール/水分配係数は、そのオクタノール中の平衡濃度と水中の平衡濃度のである。香料成分の分配係数は、10を底としたその対数、logPの形で表すのがより都合がよい。したがって、本発明の香料成分は、約1.5、好ましくはより高い2.5〜5の範囲のlogPを有する。多くの香料成分のlogPの値は報告されていて、例えば、ポモナ(Pomona)92データベース(カリフォルニア州アービン(Irvine, Calif.)のデイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ・インコーポレーテッド(Daylight Chemical Information Systems, Inc.)(デイライト・CIS(Daylight CIS)から入手可能)には、多くの数値と共に、オリジナルの文献への引用がある。しかしながら、本明細書において記すClogPの数値は、「CLOGP」プログラムによって最も好適に計算されたものであって、そのプログラムは、「ケムオフィス・ウルトラ・ソフトウェア(Chemoffice Ultra Software)バージョン9」の中に利用でき、それは、ケンブリッジソフト・コーポレーション(CambridgeSoft Corporation、米国、02140、マサチューセッツ州ケンブリッジ・ケンブリッジパーク・ドライブ・100(100,CambridgePark Drive, Cambridge, MA 02140 USA)又は、ケンブリッジソフト・コーポレーションズ(CambridgeSoft Corporations、英国、CB5 8LA、ケンブリッジ、スワンズ・ロード、シグネット・コート 8(8 Signet Court, Swanns Road, Cambridge CB5 8LA UK))から入手可能である。
本発明において有用である香料成分の選択においては、実験によるlogPに代えて、ClogPの数値を使用するのが好ましい。天然の油状物又は抽出物の場合には、そのような油状物の組成は、分析によって求めるか、又はESO2000データベース(BACIS(ベーレンズ・アロマ・ケミカル・インフォメーション・サービス(Boelens Aroma Chemical Information Service))発行、オランダ国1272GBフイゼン、グロン・ファン・プリンステルラン21(Groen van Prinsterlaan 21,1272 GB Huizen, The Netherlands)に公表されている組成を使用して求めることができる。
【0016】
油状物又はワックス状固形物には0〜1重量%の香料成分が含まれているのが好ましいが、これは以下のものから選択される:
i.以下のものからなる群より選択されるアルデヒド;
アミルケイ皮アルデヒド;シトラール(CAS番号:005392−40−5);ヒドロキシ−シトロネラール;ケイ皮アルデヒド;ヒドロキシメチルペンチル−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド;2−(4−tert−ブチルベンジル)プロピオンアルデヒド;ヘキシルケイ皮アルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;トランス−2−ヘプテナール;2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド;ベンズアルデヒド;クロトンアルデヒドE(CAS番号:123−73−9);及びフルフラール(CAS番号:98−01−1);
ii.以下のものからなる群より選択されるClogP>4を有する香料成分;
サリチル酸ベンジル、ケイ皮酸ベンジル、ファルネソール(CAS番号:4602−84−0)、d−リモネン、l−リモネン、D,L−リモネン(ラセミ体)、3−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、シクロウッド(CAS番号:13019−04−0)、ポリサントール(CAS番号:107898−54−4);及び、
iii.以下のものからなる群より選択されるClogP<2を有する香料成分;
ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、クマリン;アニスアルコール;アセタールE71(CAS番号:105−57−7)、アセトフェノン;酢酸sec−ブチル;酢酸tert−ブチル;酢酸n−ブチル;酢酸イソブチル、p−クレゾール;酢酸エチル;プロピオン酸エチル;酢酸プロピル;プロピオン酸エチル;酢酸プロピル;ベンゾニトリル。
【0017】
より多くの香りが表面上に定着すること、及び破裂させたカプセルの周辺での局所的な濃度が極めて高くなることが本発明の目的の達成において本質的なものであるので、カプセルのコアの組成物では、いくつかの香り物質のより望ましくない特性、例えば、環境中での残存性、水生生物における蓄積、ヒトに対する毒性、アレルギー性又は刺激性の作用等を考慮に入れておかねばならない。
【0018】
一般的に、カプセルはより効率的に表面に香りを供給するので、香り効果を達成するのに必要とされるのは、より少ないカプセル、従って香り成分をより少量とすることが必要であり、それによって、トータルとしての環境負荷が抑制される。しかしながら、皮膚上又は皮膚のごく近くの衣服での濃度が高いほど、さらなる注意を払って、そのような状況でも安全であることが判っている構成成分だけを使用して、コア組成物を配合する必要がある。
望ましくない特性が判っていて、そのため本発明の香料組成物からは好ましくは除外するべき物質としては、例えばムスクアンブレト(CAS番号:83−66−9)、及びムスクケトン(CAS番号:81−14−1)のようなニトロムスク、ポリサイクリックムスク、典型的にはガラクソリド(CAS番号:1222−05−5)及びトナリド(CAS番号:1506−02−1)、キャシュメラン、ゲラニルニトリル、サフロール、エストラゴール、メチルオイゲノール、ハロゲン含有香料物質等がある。溶媒としては、特にフタル酸エステル及びR−(OCHCH−ORで定義されるカルビトールエーテル(ここで、n=1、2又は3、R=(C〜C)アルキル又はフェニル又はアルキル置換フェニル、そしてRはH又は(C〜C)アルキルである)である。
【0019】
デンジャラス・サブスタンシズ・ダイレクティブ(Dangerous Substances Directive)(67/548/EEC)の付録1もしくはその各種改訂版、又はATP(アダプテーション・トゥ・テクニカル・プログレス(Adaptation to Technical Progress))にリストアップされている物質、又はその安全性データシートにおいてR43として分類されているものは、場合によっては、コア組成物の1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満、さらにより好ましくは分析検出限界未満に制限される。
【0020】
さらに、極めて毒性(very toxic)又は毒性(toxic)と分類されているようなものはすべて、コア組成物から除外されているのが好ましい。コスメティック・ダイレクティブ(Cosmetic Directive)の第7修正版、ダイレクティブ(Directive)2003/15/EC(ダイレクティブ(Directive)76/768/EECの第7修正版)及びデタージェント・レギュレーションズ(Detergent Regulations)(2004/648/EEC)の中でアレルギー性があると指摘されているような香料成分は、場合によっては、コア組成物の1重量%未満、好ましくは100重量ppm未満、より好ましくは10重量ppm未満に制限される。さらに、それらのダイレクティブ(Directive)は、ATP例えば、第26回コミッション・ダイレクティブ(Commission Directive)2002/34/ECによって修正される。コア組成物は、特に、例えば、デンジャラス・プレパレーション・ダイレクティブ(Dangerous Preparation Directive)(99/45/EEC)において、R43「皮膚接触による感作」、R36「眼刺激性」、R38「皮膚刺激性」、又はR21「皮膚との接触が有害」と分類されているような原料物質の量的存在によるために、Xi又はXnと分類されて、いかなる形式であろうとも分類又は警告を必要とされるようなことがないように、配合するのが好ましい。
【0021】
時には、ある種の原料物質の酸化が、ペルオキシドの生成につながり、それらのペルオキシドがいくつかの健康上の問題を有している、ということが見いだされることがある。SCCNFP(サイエンティフィック・コミッティー・オン・コスメティック・プロダクツ・アンド・ノン・フード・プロダクツ・フォア・コンシューマーズ(Scientific Committee on Cosmetic Products and Non Food Products for Consumers))は、彼らの意見SCCNFP/0392/00(最終版)において、関心を寄せられている多くの原料物質を示している。油状物又はワックス状固形物は好ましくは、0〜20ミリモルペルオキシド/リットル、好ましくは0〜10ミリモルペルオキシド/リットル、さらにより好ましくは0〜1ミリモルペルオキシド/リットルのペルオキシド値を有している。具体的に望ましくは、リモネン(d−、l−、及びdl−)、及びリモネンを実質的な量で含む天然産物を使用する場合には、それらが、20ミリモルペルオキシド/リットル未満のペルオキシド値を有するようにすべきである。ペルオキシド値の測定方法は当業者には周知であり、一つの方法が、FMA(フラグランス・マテリアル・アソシエーション(Fragrance Material Association))から、出版されている。
【0022】
本明細書における典型的な香料組成物には、例えば、香料成分として合成物質やビャクダン油又はパッチュリ油等のような天然抽出物を含有する木材系/鉱物系ノートを含んでいるのがよい。本明細書における香りとは、軽質のフローラル香り、例えば、バラ、スミレ、ジャスミン、ユリ等であってよい。本明細書における香料組成物は、所望のフルーティオドア、例えば、ライム、レモン、オレンジ、ベリーフルーツ又はピーチ等を与えるように、配合することもできる。
【0023】
端的に言えば、快適又はその他望ましい香りを発する化学的適合性のある物質ならばいずれのものでも、本願の香料カプセルに使用することができ、布地に添加したときに望ましい香りを与えることができる。
【0024】
以下の表1に、ケムオフィス・ウルトラ・バージョン9(Chemoffice Ultra Version 9)を用いて計算したClogPの値が2.0〜5.0の間であり、本発明の要求に適合する、いくつかの香料成分を列挙する。それらの値は、デイライト・CLogP(Daylight CLogP)(バージョン4.9)を用いて得られた数値と、本質的に同じであることが見いだされた。
【0025】
【表1】

【0026】
以下の表2に、家庭用品、パーソナルケア用品及び化粧品の香料に広く使用されている物質を列挙するが、本発明はその範囲内に制限されない。
【0027】
【表2】

【0028】
いずれの表においても、それらのリストは全部を網羅することを目的としたものではなく、単に定義を明確にするために挙げたものである。
【0029】
本発明にはさらに、悪臭中和物質としても作用する芳香性物質の使用も包含する。それらの物質は、以後においては「香料成分」という用語を用いるが、弱い香りを有するが、各種の不快臭を隠したり、抑制したりすることができる。好適な悪臭中和物質の例は、米国特許第3,102,101号明細書及び米国特許第5,554,588号明細書に開示されている。
【0030】
(溶媒)
においの弱い又は無臭の溶媒が、カプセルコア物質の30重量%まで、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満を構成することができる。溶媒が存在している場合には、1種又は複数の香料成分と共に導入されているのが、最も通常の形である。香料産業においては、固形の香り物質を適切な溶媒中に溶解させるか、又は、低レベルで使用される強力な物質を溶媒を用いて希釈して、製造を容易にすることが、極めて通常に行われている。典型的な溶媒としては、高ClogP物質、例えば安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジアルキル、クエン酸エステル、例えば、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、又はフタル酸ジエチル、又は、低ClogP物質、例えば、プロピレングリコールもしくはジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの物質は、香りの放出又はカプセル製造時のエマルジョンの性質に影響を与える可能性があるが、記載されているレベルでは、そのような影響は最小限にとどまるであろう。本発明の目的においては、溶媒が存在する場合には、それは「その他の有効成分」とみなされる。
【0031】
(その他の有効成分)
本明細書の文脈においては、「その他の有効成分」という用語は、後述の方法によってカプセル化することが可能であり、保存にも耐えることができ、家庭用品、パーソナルケア用品、又は化粧品において使用したときに、メリットを与えることが可能な各種物質を意味する。ただし、アルデヒド、特にアルファ、ベータ不飽和アルデヒド又は一級もしくは二級アミンを、ほとんど又はまったく含まない、すなわち先にも説明したように、それらは、香料組成物について先に挙げたアルデヒド及びアミンに関する要件を満たしているべきである。有効成分は、香り成分の場合に記したような、ClogPに関する要件に適合する必要はないが、その理由は、それらが蒸発して効果を与えるということが、有効成分に必要とされる特徴ではないからである。
【0032】
有効成分には、芳香の有無にかかわらず、天然抽出物や、弛緩剤又は刺激剤、例えば、アロマテラピーオイルのような治療的効果を有する物質が含まれる。皮膚に有益な、天然油又は植物抽出物、例えばホホバ油又はアーモンド油もまた有効成分である。ビタミン又はビタミン誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル(CAS番号:137−66−6)、酢酸トコフェロール(CAS番号:58−95−7)又はパルミチン酸レチニル(CAS番号:79−81−2)等も、この定義に入る有効成分である。提案された多くのメカニズムのいずれかによって、悪臭及びその知覚を抑制又は減少させる物質も有効成分であって、例えばリシノール酸亜鉛(CAS番号:13040−19−2)等が挙げられる。エマルションに添加することによってカプセル化の前のコアエマルションの性質やカプセルものものの性質を改良するような物質も、有効成分である。M.エルマン(M. Erman)により、コスメチックス・アンド・トイレトリーズ(Cosmetics and Toiletries)第120巻、第5号、p.105に記載されているような、加温又は冷却効果を与えるような物質もまた有効成分である。そのような薬剤の例としては以下のようなものが挙げられる(これらに限定されない):WS3(商標)として知られるシクロヘキサンカルボキサミドN−エチル−5−メチル−2−(1−メチルエチル)(CAS番号:39711−79−0);WS23(商標)として知られるN−2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタミド(CAS番号:51115−67−4);乳酸メンチル(CAS番号:59259−38−0);クーリング・エージェント 10(cooling agent 10(商標))として知られる(−)−メントキシプロパン1,2−ジオール及びイソプレゴール。防虫剤として機能する物質、例えば、メルク(Merck)のIR3535(商標)として知られる、エチルブチルアセチルアミノプロピオネート(CAS番号:52304−36−6);又はN,N−ジエチルトルアミド(CAS番号:134−62−3);又は1−ピペリジンカルボン酸;ベイレペル(Bayrepel(商標))として知られる2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル(CAS番号:119515−38−7);又はp−メンタン−3,8−ジオール(CAS番号:42822−86−6)、又は、天然植物油、例えばティートリー油、ニーム油、シトロネラ油、又はユーカリ油等も、有効成分である。抗菌剤として機能する物質、例えばトリクロサン(triclosan(商標))(CAS番号:3380−34−5)、メチル、エチル、プロピル、及びブチルパラヒドロキシ安息香酸エステル(CAS番号:4247−02−3、94−26−8、94−13−3、120−47−8、99−76−3)、2−フェノキシエタノール、3−ヨードプロピニル−2−ブチルカルバメート(CAS番号:55406−53−6)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール(CAS番号:52−51−7)、並びに、天然油、例えばチョウジ油、パイン油、ケイ皮油、及びティートリー油等も有効成分である。抗酸化剤として機能する物質、例えばブチル化ヒドロキシルトルエン又はブチル化ヒドロキシアニソール又はペンタエリスリチルテトラ−ジ−t−ブチルヒドロキシヒドロシンナメート、オクタデシルジt−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(CAS番号:2082−79−3)、テトラブチルエチリデンビスフェノール(CAS番号:35958−30−6)等も有効成分である。UV吸収剤として機能する物質、例えばオクチルメトキシシンナメート、ベンゾフェノン3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、又はベンゾトリアゾリルドデシルp−クレゾール(CAS番号:6683−19−8)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等も有効成分である。上に列記した物質は、有効成分の例を挙げることを目的としたものであって、有効成分を列記したものに限定するものではない。上記のものの混合物もまた、本発明の有効成分と考えられる。したがって、UV吸収剤と抗酸化剤とを組み合わせることによって香り成分を保護したり、あるいは抗真菌剤と殺菌剤とを組み合わせることによってより広い抗菌的保護を行うのが有利であろう。さらに、いくつかの物質では、2種以上の効果を示すことが可能であることも、理解されたい。例えば、ビタミンE酢酸塩は、ビタミンの前駆体であると同時に抗酸化剤としても機能する。
【0033】
(カプセルの調製)
多くの特許に、分散体の形態のアミノ樹脂カプセルを製造するための組成とプロセスが記載されており、そのような特許としては、例えば欧州特許出願公開第1,246,693A1号明細書、米国特許第6,261,483、及び米国特許第6,719,931号明細書があげられる(これらの特許を、参考として引用し本明細書に組み入れる)。いかなる面においても本願特許を限定することを望むものではないが、カプセル分散体を調製するための典型的なプロセスには以下の工程が含まれることがある。
【0034】
香料成分及び各種有効成分又は変性剤(乳化剤又はエマルション安定剤を含む)のエマルジョンの調製は、激しい撹拌下で実施する。
第一の工程では、上述のエマルジョンをメラミン−ホルムアルデヒド樹脂(メラミン:ホルムアルデヒド:メタノール混合物のモル比が、約1:3:2から1:6:4まで)、及び乳化剤と混合する。それらのモノマーは予め縮合させておいてもよいし、あるいはモノマーを直接使用してもよい。メラミンの幾分かを尿素に置き換えることもできる。これらのポリマーにおいては、好ましくはメチルエーテルとしてホルムアルデヒドを部分的にエーテル化してもよい。
【0035】
好ましくは、シェルは、50〜100%のホルムアルデヒド−メラミンもしくはホルムアルデヒド−メラミン−尿素もしくはホルムアルデヒド−尿素の縮合ポリマー、又は、(好ましくはメチルエーテルとして)部分的にエーテル化した対応するホルムアルデヒド縮合ポリマーにより構成する。
さらに、シェルは50〜100%のメタクリレート又はウレタンで構成されていてもよい。
【0036】
次いで、上記の混合物に酸を添加してpHを3.5〜6.5に調節し、温度を上げて30〜45℃とする。分散体がオイルフリーになるまで、撹拌を続けることができる。このプロセスにおいては、悪影響を及ぼさない限りいかなる酸を使用してもよく、例えばギ酸又は酢酸が使用できる。
【0037】
穏やかな撹拌下で、60℃〜100℃の間で加熱することによってカプセルを硬化させれば、特に有利である。
【0038】
硬化の初期の段階で、尿素、メラミンもしくはその他のアミン、又はそれらの混合物をさらに添加して、最終の分散体の中におけるホルムアルデヒド濃度を低下させ、壁の厚みを増やすことができれば、特に有利である。典型的には、10〜30%の追加のメラミン及び/又は尿素をこの段階で加えることができるが、特に有利な比率は、メラミン:尿素が5:1から1:1までである。
【0039】
硬化が完了したら、温度を約50℃にまで低下させ、分散体を中和して、そのpHを約9.5に調節する。
【0040】
出荷される最終のカプセル分散体には、GLC又はHPLC(標準試験法は米国環境保護庁(US Environmental Protection Agency)から出版されており、HPLCではホルムアルデヒドの誘導化が必要である)の測定による遊離ホルムアルデヒド又は遊離アセトアルデヒドが、0.1重量%未満、好ましくは100ppm(重量/重量)未満、より好ましくは10ppm(重量/重量)未満となるようにするのがよい。
【0041】
基材上へのカプセルの定着を改良したり、あるいは、使用する際の定着選択性を改良したり、あるいは、保存時に分散体の経時安定性を改良したりするために、物理的又は化学的にさらなる物質を組み入れることも、有利となるであろう。カチオン性ポリマー又はコポリマー例えば、ポリビニルイミダゾール、ベータ1、4結合をベースとする多糖類例えばグアーゴム、及びポリエステルコポリマー、例えば、洗剤のためのソイルリリースポリマーとして市販されているもの等の物質が、定着性を改良するのに適した物質の例である。
【0042】
上述のプロセスによるカプセルは、乳化条件にも依存するが、一般に1〜100μm、好ましくは5〜70μmの範囲の粒径を有していることが多い。カプセル壁は、0.025〜1.0μmの厚みを有することが多い。カプセルを適切に機能させるには、これらのパラメーターは重要である。カプセルの壁が薄すぎると、その後の出荷や取り扱いの際にカプセルが壊れやすく、逆に厚すぎると、必要なときに破壊されない可能性がある。カプセルが極めて小さい時には、壁の物質がカプセルの中で大きな割合を占めることとなり、経済的に不利となってしまう。極めて大きなカプセルでは、より厚い壁が必要となったり、取り扱いの際の破壊を防止するためにコアに硬化剤を添加することが必要になったりするが、これらのいずれもが、供給すべき有効成分の量を減らすことになる。
【0043】
最終的な分散体には典型的には、水中に分散させたカプセルを2.5重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜70重量%、より好ましくは30重量%〜70重量%含むことができる。プロセスのいくつかの形態においては、過剰の水を除去して濃縮したウェットケーキとするか、又はそれに続く適用に最適となるように、乾燥させた自由流動粉体とすることができる。
【0044】
本発明のカプセルは、各種のパーソナルケア組成物、液状又は固体状の家庭用クリーニングもしくはケア組成物、又は、無機塩、場合によってはバインダー及び/又は界面活性剤の混合物中でカプセルを噴霧乾燥させることにより製造される粉体洗剤組成物等に使用することができる。
【0045】
本発明のカプセルは、上記で言及した家庭用クリーニングもしくはケア組成物又は洗剤にカプセル表面を接触させることを含む方法によって、表面に香りを供給するのに特に有用である。
【0046】
ここで、本発明を以下の実施例によりより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。以下の実施例で用いられる香料組成物(香料組成物No.1〜5)は、表3〜7に示したそれぞれの構成成分を等しい量で混合することにより調製した。
【実施例】
【0047】
実施例1:本発明に係るカプセルの調製
2Lの円筒状撹拌容器に、直径50mmの標準的な市販の分散ディスクを有する無限調節分散器(infinitively adjustable disperser)を取り付けた。
【0048】
下記のものをこの順で仕込んだ:
−400gの香り成分(香料組成物No.3、下記参照)
−69gのメチル化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(メラミン:ホルムアルデヒド:メタノールのモル比、1:3.9:2.4)の70%溶液(ブルックフィールド(Brookfield)粘度が275mPas、pHが8.5)
−64gの、乳化剤としてのポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の20%溶液(K値123、ブルックフィールド(Brookfield)粘度770mPas)
−350gの水
−15gの10%強度のギ酸。
【0049】
周速約20ms−1の撹拌速度に調節することにより、この仕込み物を加工してカプセル分散体とした。温度は約35℃に保った。
【0050】
60分後に、その分散体はオイルフリーとなり、約5μmの粒径となった。次いで分散ディスクの撹拌速度を落として、容器の内容物が均一に循環するのに充分なレベルとした。
【0051】
硬化温度を90℃に設定し、加熱スチームの注入によりその温度に到達したら、(pHを4.5に調節するための)ギ酸の中のメラミン−尿素(メラミン:尿素の比2.5:1)の27%懸濁液のフィードを、予備成形したマイクロカプセルの分散体に一定の質量流量で1時間かけて、計量しながら添加した。合計して67gのメラミン−尿素懸濁液を計量仕込みした。
【0052】
続いて、90℃で120分間かけて相の硬化をさせた。
その分散体を冷却して約55℃としてから、ジエタノールアミンを用いてそれを中和し、アンモニアを使用して9.5のpHに調節した。
これにより、固形分含量が50%、粘度が83mPasの均一なカプセル分散体が得られた。
【0053】
同じ手順を用いて、各種香料成分及び任意に表4〜7に記載のその他の有効成分を用いて、カプセルを製造した。
【0054】
実施例2:カプセル化における香料成分の安定性、及び、8週間保存後の香料成分の安定性
実施例1に示したカプセル調製の際の香料成分の安定性、及びカプセルを周囲温度で8週間保存した後の香料成分の安定性を測定した。この試験は、分散体中の香料成分の全量の目安であり、上澄み液の中の遊離の香料成分から、「カプセル化された」香料成分を区別するものではない。得られた結果を表3〜7に示す。
【0055】
下記の表4及び6に示した結果から、アルデヒド官能基を含む香り物質では、カプセル化プロセスの間、そして可能性としては保存時に、損失が発生することがわかる。
【0056】
下記の表7に示した結果からは、アミン官能基を含む香り原料物質では、カプセル化プロセスの間に損失が発生することが判る。
【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
表4の組成物は、香料組成物及びその他の有効成分を含む本発明に係るオイルを示す。
【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
【表7】

【0063】
実施例3
実施例1で得られたカプセル化した分散体をさらに分析して、どの香料原料物質がうまくカプセル化され、どの物質が上澄みの水相の中に大量に存在しているかを判別した。この分析から、ClogP<2である原料物質は、主として水相の中に存在していて、うまくカプセル化されていないことがわかった。
【0064】
実施例4:固形状の家庭用クリーニング組成物
上述のカプセル分散体は、ある種の粉体、特にある種の洗濯用洗剤の粉体に直接添加することができる。分散体を添加できるかどうかについての主たる判断基準としては、その粉体の性質が、分散体に同伴する水(典型的には50重量%)によって大きく影響を受けるかどうかが重要である。粉体の適合性を測定するために、簡単な「凝集試験(agglomeration test)」を定義したが、それは単純に、カプセル分散体の中に存在しているはずの水を使用する。
【0065】
この「凝集試験」は、100gの粉体(好ましくは漂白剤を含まないもの)をとること、及び、泡立て器の混合用付属部品を取り付けたケンウッド・シェフ(Kenwood Chef)ミキサーのミキシングボウルにそれを入れることから構成されている。粉体を混合するのに充分な電力に設定して、所定の条件で粉体を混合する(最大電力の約70%で、現行モデルではほぼ4又は5あたりの設定になるが、古いモデルではもっと高い値となるかもしれない)。次いで、0.1gの水を、粉体の表面全体に滴下により加える。その粉体を5分間撹拌してから、密閉したガラス容器の中で周囲温度で24時間保存し、それから、ふるいを用いて分析する。
【0066】
粉体が「凝集試験」に合格するためには、「粘着性のある」凝集が一切認められてはならず、またその粉体が完全に自由流動できる状態を保持していなければならない。500〜710μmの範囲の粒子の重量%にいくぶんかの増加があり、それに対応するだけ、500μm未満の粒子の重量%が減少するかもしれない。500〜710μmの範囲の粒子の重量%が、30%を超える増加を示してはならない。
【0067】
上記試験の手順は以下の商品を使用した:
−タイド(Tide(商標)) フリー(無香料)、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter and Gamble)製、米国で市販;リン酸塩フリーで、水を軟化させるのにゼオライトを使用。
−アリエル(Ariel(商標)) マイルド・アンド・レイン(Mild & Rein)(スタンダード又はレギュラー粉体)、プロクター・アンド・ギャンブル製、独国で市販(15〜30%ゼオライト)。
−ニュートラル(Neutral(商標))、サラ・リー(Sara Lee)製、オランダで市販(15〜30%ゼオライト)。
−ボナックス(Bonux(商標)) 粉体、プロクター・アンド・ギャンブル製、ポーランドで市販。主要な水軟化剤としてリン酸塩を含有。
−ル・シャ(Le Chat(商標)) パーフェクト、ヘンケル(Henkel)製、仏国で市販(構成成分ラベルには、炭酸塩、シリケート及び5%未満のポリカルボキシレートが表示されているが、リン酸塩又はゼオライトの表示はない)。
【0068】
「凝集試験」の後で、「粘着性のある」凝集は認められず、その粉体は自由流動性を完全に保持していた。500〜710μmの範囲の粒子の重量%にいくぶんかの増加があり、それに対応するだけ、500μm未満の粒子の重量%が減少していたが、常に30%未満であった。
【0069】
顕著により多くの水を加えて、上述の手順を繰り返すと、タイド(Tide)、アリエル(Ariel)、ボナックス(Bonux)及びル・シャ(Le Chat)は、極めて大きい又は「粘着性のある」凝集が無いという点において依然として完全に満足できる状態であり、また自由流動性の粉体の状態を保っていた。
【0070】
ル・シャ(Le Chat)という製品について、上記方法で100gの粉体に0.52gの水を添加する前後における粒径分布を以下に示す。
【0071】
【表8】

【0072】
ニュートラル・カラー(Neutral colour)という製品について、上記方法で100gの粉体に0.52gの水を添加する前後における粒径分布を以下に示す。
【0073】
【表9】

【0074】
ニュートラル(Neutral)の場合には、0.52gの水を用いると「凝集試験」には不合格である。
【0075】
実施例5:固体状の家庭ケア用品用組成物:タンブル・ドライヤー・シート(Tumble Dryer Sheet;回転式乾燥機用柔軟材シート)
以下の種類の回転式乾燥機用の配合を調製した:
【0076】
【表10】

【0077】
配合物TDS1〜4のそれぞれ1.35gを、単一の清浄なタンブル・ドライヤー・シート(バウンス・フリー・シート(Baunce Free)、16.2×22.8cm、プロクター・アンド・ギャンブル製、米国において市販)に、スポット状に適用した。次いで、そうして得られたシートを別々に、2枚の清浄なアルミホイル片の間に挟み、低温のアイロンを用いて、配合物がタンブル・ドライヤー・シート全体に均質に広がるように、穏やかに溶融させた。アイロンによる加圧が最小限となるよう注意した。そのシートを放冷し、注意深く分離した。
【0078】
香りなしの洗剤を推奨使用量(6.8g/L)で、2.5kgの重量のタオルを使用して、標準的な40℃のヨーロッパ綿用サイクル洗濯(European cotton cycle wash)を2回実施した。それぞれの洗濯物から、重量の半分を、遊離香料成分(TDS1又はTDS3)を担持させたシートと共に回転式乾燥機の中に入れ、残りの半分は、香料カプセル(TDS2又はTDS4)を担持させたシートと共に、別の回転式乾燥機の中に入れた。それらの洗濯物を、「アイロンにかけ得る」までタンブル乾燥させた。
【0079】
【表11】

【0080】
上記の例から、多くのカプセルが回転式乾燥機の乾燥中に破壊されないということだけでなく、香料成分をカプセル化させると、はるかに大量の香料が布地の上に定着することもわかる。このように香料の定着が促進されることは、それらのタオルをこすり合わせてかいでみると、嗅覚的に認識することができる。
【0081】
実施例6:固体状のパーソナルケア用品用組成物:デオ−スティック(Deo-stick)
香料組成物No.2の入ったコアシェル型カプセルを40%含む分散体を、下記の配合に従ってデオスティック基材の中に、1重量%で混合した。サンプルは室温で24時間放置した。
【0082】
【表12】

【0083】
カプセルは基材に均一に分散させた。それが基材の性質を変更させることはなかった。
【0084】
実施例7:液状のパーソナルケア用品用組成物:整髪用ジェル
香料組成物No.2(表4)−CD105−を含むコアシェル型カプセルを40%含む分散体を、整髪用ジェルの基材(下記の配合参照)中に0.5重量%で混合した。サンプルは室温で24時間放置した。
【0085】
【表13】

【0086】
カプセルは基材に均一に分散させた。それが基材の性質を変更させることはなかった。
【0087】
実施例8:液状家庭用クリーニング及びケア用品用組成物:液状洗剤及び液状柔軟仕上げ剤
以下の製品を調製したが、いずれも調製直後及び保存後の物理的外観は満足するものであった。
【0088】
実施例8.1:
コアシェル型カプセル分散体CD105を、レノア・プレミアム・リンス・コンディショナー(Lenor Premium Rinse conditioner、プロクター・アンド・ギャンブル製、独国において市販)に、1.4重量%で混合した。そのサンプルをローラーベッド上で1時間撹拌してから、室温で24時間放置した。
【0089】
実施例8.2:
香料組成物No.2のコアシェル型カプセル分散体を、バーネル・リンス・コンディショナー(Vernel Rinse conditioner、ヘンケル製、スペインにおいて市販)に、1.4重量%で混合した。そのサンプルをローラーベッド上で1時間撹拌してから、室温で24時間放置した。
【0090】
実施例8.3:
香料組成物No.2のコアシェル型カプセル分散体を、ダッシュ・アルピナ(Dash Alpina)洗濯機用液体洗剤(プロクター・アンド・ギャンブル製、イタリアにおいて市販)に、1.4重量%で混合した。そのサンプルをローラーベッド上で1時間撹拌してから、室温で24時間放置した。
【0091】
実施例9
この実施例では、カプセルのコアを形成することが可能な、本発明の香料組成物を示す。それは、布地のクリーニング又はコンディショニング製品に適した、フローラル・ティー・アコード(floral tea accord)である。
【0092】
【表14】

【0093】
実施例10
本実施例では、下記表の組成を有する香り成分を75%、有効成分であるクーリング・エージェント10(cooling agent 10(商標))を25%含む、カプセルコア組成物について例示する。この場合の香りノートは、フレッシュスパイシーノートである。
【0094】
【表15】

【0095】
実施例11
本実施例では、家庭用品及びパーソナルケア用品等に適した、よりフローラルなカーネーションアコードを有するカプセルコア組成物について例示する。
【0096】
【表16】

【0097】
実施例12
本実施例では、家庭用品及びパーソナルケア用品等に適した、フローラルアコードであるカプセルコア組成物について例示する。
【0098】
【表17】

【0099】
実施例13
以下の例は、家庭用品及びパーソナルケア用品に適した、グリーンフローラルアコードである。さらに、これは欧州連合内部で販売される化粧品及び洗剤製品に関する通達や規制においてアレルゲンとされた26種の香り成分のいずれをも含んでいない。
【0100】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部分に油状物又はワックス状固形物を含むコアシェル型カプセルであって、前記油状物又はワックス状固形物が、以下の(1)及び(2)を含有するコアシェル型カプセル。
(1)以下のa)〜e)から選ばれる少なくとも2種の香料成分の混合物である香料組成物を50〜100重量%、
a)香料組成物に対して0〜20重量%のアルデヒド(アルファベータ不飽和アルデヒドを含む);
b)香料組成物に対して0〜10重量%の一級又は二級アミン;
c)香料組成物に対して0〜25重量%のClogP>4.0である香料成分;
d)香料組成物に対して0〜20重量%のClogP>5.0である香料成分;及び、
e)香料組成物に対して0〜20重量%のClogP<2.0である香料成分。
(2)香料成分以外の有効成分を0〜50重量%。
【請求項2】
前記シェル部分が、ホルムアルデヒド−メラミン、ホルムアルデヒド−メラミン−尿素、及びホルムアルデヒド−尿素のいずれかの縮合ポリマー、又は、それらに対応する部分的にエーテル化されたホルムアルデヒド縮合ポリマー、好ましくはメチルエーテルとしてエーテル化されたポリマーを50〜100重量%含有する請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項3】
前記シェル部分が、メタクリレート又はウレタンを50〜100重量%含有する請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項4】
前記有効成分が、悪臭中和剤、精油、アロマテラピー物質、エステティック剤、ビタミン、防虫剤、UV吸収剤、抗酸化剤からなる群より選択されたものであるか、又は、例えば下記のようにカプセルの性質を改良する成分である請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
a)カプセル製造時におけるエマルションを安定化すること、
b)カプセルからの漏れを抑制すること、及び、
c)カプセル硬度を改良すること。
【請求項5】
前記油状物又はワックス状固形物が0〜1重量%の香料成分を含み、この香料成分が:
i.以下のものからなる群より選択されるアルデヒド:
アミルケイ皮アルデヒド;シトラール(CAS番号:005392−40−5);ヒドロキシ−シトロネラール;ケイ皮アルデヒド;ヒドロキシメチルペンチル−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド;2−(4−tert−ブチルベンジル)プロピオンアルデヒド;ヘキシルケイ皮アルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;トランス−2−ヘプテナール;2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド;ベンズアルデヒド;クロトンアルデヒドE(CAS番号:123−73−9);及びフルフラール(CAS番号:98−01−1);
ii.以下のものからなる群より選択されるClogP>4である香料成分:
サリチル酸ベンジル、ケイ皮酸ベンジル、ファルネソール(CAS番号:4602−84−0)、d−リモネン、l−リモネン、D,L−リモネン(ラセミ体)、3−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、シクロウッド(CAS番号:13019−04−0)、ポリサントール(CAS番号:107898−54−4);及び、
iii.以下のものからなる群より選択されるClogP<2である香料成分:
ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、クマリン;アニスアルコール;アセタールE71(CAS番号:105−57−7)、アセトフェノン;酢酸sec−ブチル;酢酸tert−ブチル;酢酸n−ブチル;酢酸イソブチル、p−クレゾール;酢酸エチル;プロピオン酸エチル;酢酸プロピル;プロピオン酸エチル;酢酸プロピル;ベンゾニトリル、
から選択される請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項6】
前記油状物又はワックス状固形物が、「極めて毒性(Very Toxic)」又は「毒性(Toxic)」と分類される各種物質を、0〜1重量%、好ましくは0〜0.1重量%、より好ましくは0〜10重量ppm含む請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項7】
前記油状物又はワックス状固形物が、Xi又はXnの警告表示を必要としないものである請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項8】
前記油状物又はワックス状固形物が:フタル酸エステル、ニトロムスク、ポリサイクリックムスク、キャシュメラン、ゲラニルニトリル、サフロール、エストラゴール、メチルオイゲノール、ハロゲン含有香料物質、及び、R−(OCHCH−ORで表されるカルビトールエーテル(ここで、n=1、2もしくは3、R=C〜Cのアルキル、フェニル、アルキル置換フェニル、RはHもしくはアルキルC〜C、ただしプロピル基をベースとするカルビトールは除く)を一切含まない請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項9】
前記油状物又はワックス状固形物が、0〜20ミリモルペルオキシド/リットル、好ましくは0〜10ミリモルペルオキシド/リットル、より好ましくは0〜1ミリモルペルオキシド/リットルのペルオキシド値を有する請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項10】
前記コアシェル型カプセルが、1μm〜100μm、好ましくは5〜70μmの粒径を有し、シェルの壁の厚みが0.025〜1.0μmの範囲である請求項1に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項11】
前記遊離ホルムアルデヒドが、最終的な分散体について測定して、0〜100ppm(重量/重量)、好ましくは0〜10ppm(重量/重量)である請求項2に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項12】
前記遊離アセトアルデヒドが、最終的な分散体について測定して、0〜100ppm(重量/重量)、好ましくは0〜10ppm(重量/重量)である請求項2に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項13】
液体、ジェル又は固体、最も好ましくは棒状物、粉体、又は固体スティックの形状であるパーソナルケア用品用組成物であって、界面活性剤及び請求項1に記載のコアシェル型カプセルを含むパーソナルケア用品用組成物。
【請求項14】
界面活性剤及び請求項1に記載のコアシェル型カプセルを含み、粉体、棒状物、ドライエアロゾル、錠剤、又はコーティングした不織基材である固体状家庭用クリーニング又はケア用品用組成物。
【請求項15】
界面活性剤及び請求項1に記載のコアシェル型カプセルを含み、液体、ジェル、カプセル、ウェットエアロゾル、又はコーティングした不織基材である液体家庭用クリーニング用組成物又はケアコンディショニング用品用組成物。
【請求項16】
無機塩、及び任意にバインダー及び/又は界面活性剤との混合物中で、請求項1に記載のコアシェル型カプセルを噴霧乾燥させることにより製造される粉体組成物。
【請求項17】
「凝集試験(agglomeration test)」により測定して、0.1mL水/100g粉体より大きい液体担持能力を有する粉体を、請求項1に記載のコアシェル型カプセルを10〜70重量%、より好ましくは30〜70重量%含む水性分散体と共に激しく撹拌することにより製造される粉体組成物。
【請求項18】
任意に水で希釈した請求項14の固体状家庭用クリーニング又はケア用品用組成物を表面と接触させることを含む、香料を表面に供給する方法。
【請求項19】
任意に水で希釈した請求項15の液体家庭用クリーニング又はケアコンディショニング用品用組成物を表面と接触させることを含む、香料を表面に供給する方法。
【請求項20】
任意に水で希釈した請求項16の粉体組成物を表面と接触させることを含む、香料を表面に供給する方法。
【請求項21】
任意に水で希釈した請求項17の粉体組成物を表面と接触させることを含む、香料を表面に供給する方法。
【請求項22】
前記遊離ホルムアルデヒドが、最終的な分散体について測定して、0〜100ppm(重量/重量)、好ましくは0〜10ppm(重量/重量)である請求項3に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項23】
前記遊離アセトアルデヒドが、最終的な分散体について測定して、0〜100ppm(重量/重量)、好ましくは0〜10ppm(重量/重量)である請求項3に記載のコアシェル型カプセル。
【請求項24】
油状物又はワックス状固形物である香料組成物であって、前記組成物が以下のa)〜e)から選ばれる少なくとも2種の香料成分を含む香料組成物。
a)香料組成物に対して0〜20重量%のアルデヒド(アルファベータ不飽和アルデヒドを含む);
b)香料組成物に対して0〜10重量%の一級又は二級アミン;
c)香料組成物に対して0〜25重量%のClogP>4.0である香料成分;
d)香料組成物に対して0〜20重量%のClogP>5.0である香料成分;及び、
e)香料組成物に対して0〜20重量%のClogP<2.0である香料成分。

【公開番号】特開2007−92067(P2007−92067A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−258083(P2006−258083)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】