説明

コアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】密着性、感度、および表面平滑性を向上させ、超LSIなどの半導体装置製造用の微細パターンを形成すること。
【解決手段】ハイパーブランチポリオールから誘導される構造を有するコア部の末端に、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する部位を有するシェル部を設け、コアシェル型ハイパーブランチポリマーとした。ハイパーブランチポリオールは、分岐ポリエーテルポリオール、分岐ポリエステルポリオール、分岐ポリアミドポリエステルポリオールからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIやメモリーなどの半導体デバイス製造ではレジスト組成物を使用するリソグラフィによる微細加工が行なわれている。近年、デバイスの高集積化や高容量化に伴ってナノメートル領域の超微細加工が要求されてきており、リソグラフィ工程で使用される露光光源の短波長化が図られている。現在、リソグラフィ工程で使用される露光光源として、例えば、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)やArFエキシマレーザー光(波長193nm)が使用されている。
【0003】
また、32nm以下の微細加工をおこなうリソグラフィ工程で使用される露光光源としては、電子線やEUV光(波長13.5nm)が有望視されている。微細加工を可能とするレジスト組成物には、各光源に対して透明な化学構造を持つベースポリマーと露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジスト組成物が知られている。化学増幅型レジスト組成物に適用されるベースポリマーとしては、例えば、リソグラフィ工程に際してKrFエキシマレーザー光を発する露光光源を用いる場合、ノボラック型ポリフェノールを基本骨格としたポリマーが挙げられる(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0004】
化学増幅型レジスト組成物に適用されるベースポリマーとしては、例えば、リソグラフィ工程に際してArFエキシマレーザー光を発する露光光源を用いる場合、ポリ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる(例えば、下記特許文献2を参照。)。化学増幅型レジスト組成物に適用されるベースポリマーとしては、例えば、リソグラフィ工程に際してF2エキシマレーザー光(波長157nm)を発する露光光源を用いる場合、フッ素原子(パーフルオロ構造)を導入したポリマーが挙げられる(例えば、下記特許文献3を参照。)。
【0005】
近年、上述した各種のベースポリマーを32nm以細の超微細パターンを形成する際に用いるレジスト組成物に適用した場合、ラインエッジラフネスを指標とするパターン側壁の凹凸が問題となってきた。例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、およびPHS(ポリヒドロキシスチレン)を主とした従来のレジスト組成物に対して電子線や極紫外線(EUV)露光を行って、超微細のパターンを形成するためには、表面平滑性をナノレベルで制御することが課題となることが指摘されている(例えば、下記非特許文献1を参照。)。
【0006】
従来、ラインエッジラフネスの低減には、酸発生剤から露光により発生する酸の拡散を制御する重要性が示され、ポリマー状の酸発生剤の有効性が報告されている(例えば、下記非特許文献2を参照。)。また、従来、酸発生剤構造がポリマー骨格に結合したベースポリマーが開示されている(例えば、下記特許文献4〜9および下記非特許文献3を参照。)。上述した各種のベースポリマーは、いずれも線状ポリマーの例のみが記載されている。
【0007】
リソグラフィ工程におけるパターン側壁の凹凸は、当該リソグラフィ工程で使用されるレジストを構成する線状ポリマーの会合体によるものとされており、従来、ポリマーの分子集合を抑制する技術について数多くの報告がなされている(例えば、下記非特許文献4を参照。)。非特許文献4においては、例えば、ポジ型電子線レジストの表面平滑性を向上させる手段として、線状ポリマーへの架橋構造の導入が有効であることが報告されている。
【0008】
線状ポリマーに比べてラインエッジラフネスが向上するとされる分岐型ポリマーの例としては、直鎖フェノール誘導体主鎖をクロロメチルスチレンにより分岐結合連鎖したポリマーを含むレジスト組成物や(例えば、下記特許文献10、11を参照。)、低級アルキル分子に複数の線状ポリマー鎖が結合した星型分岐ポリマーを含むレジスト組成物(例えば、下記特許文献12〜14を参照。)が開示されているが、これらの分岐ポリマーの露光感度は数十mJ/cm2と低い。
【0009】
リソグラフィの主体となる高分子であるスチレン誘導体の高分岐化については、従来、クロロメチルスチレンのリビングラジカル重合による分岐度、重量平均分子量の制御が可能であることが報告されている(例えば、下記特許文献15、16および下記非特許文献5、6を参照。)。また、従来、高度に分岐化したポリクロロメチルスチレンの分子末端に酸分解性基を有するベースポリマーが開示されている(例えば、下記特許文献17を参照。)。
【0010】
【特許文献1】特開2004−231858号公報
【特許文献2】特開2004−359929号公報
【特許文献3】特開2005−91428号公報
【特許文献4】特開2006−4531号公報
【特許文献5】特開2006−171656号公報
【特許文献6】特開2006−178317号公報
【特許文献7】特開2006−215526号公報
【特許文献8】特開2006−259508号公報
【特許文献9】特開2006−259509号公報
【特許文献10】特開2000−347412号公報
【特許文献11】特開2001−324813号公報
【特許文献12】特開2005−53996号公報
【特許文献13】特開2005−70742号公報
【特許文献14】特開2006−4550号公報
【特許文献15】特表2000−500516号公報
【特許文献16】特表2000−514479号公報
【特許文献17】WO2005/061566号公報
【非特許文献1】Franco Cerrina, Vac.Sci.Tech.B,19,62890(2001)
【非特許文献2】Michael.D.Stewart, J.Vac.Sci.Tech.B,20,2946(2001)
【非特許文献3】Takeo Watanabe, J.Photopolym.Sci.Technol.,19,521,(2006)
【非特許文献4】Toru Yamaguti, Jpn.J.Appl.Phys., 38,7114(1999)
【非特許文献5】Krzysztof Matyjaszewski, Macromolecules 29,1079(1996)
【非特許文献6】Jean M.J.Frecht,J.Poly.Sci.,36、955(1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献15、16および非特許文献5、6に記載された技術では、現在までのところ、レジストに必要な、露光による加工性を付与するための分子設計は成されてはいないという問題があった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み成されたもので、光リソグラフィを中心としたナノファブリケーション、特に電子線、EUVリソグラフィに好適な、密着性、感度、および表面平滑性を向上させたコアシェル型ハイパーブランチポリマーをベースポリマーとして含み、超LSIなどの半導体装置製造用の微細パターンを形成することが可能なレジスト組成物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーは、コア部および当該コア部の末端に設けられたシェル部を備えるコアシェル型ハイパーブランチポリマーであって、前記コア部が、ハイパーブランチポリオールから誘導される構造を有し、前記シェル部が、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する部位を有することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーは、上記において、前記ハイパーブランチポリオールが、分岐ポリエーテルポリオールからなることが好ましい。
【0015】
また、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーは、上記において、前記ハイパーブランチポリオールが、分岐ポリエステルポリオールからなることが好ましい。
【0016】
また、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーは、上記において、前記ハイパーブランチポリオールが、分岐ポリアミドポリエステルポリオールからなることが好ましい。
【0017】
また、この発明にかかるレジスト組成物は、上記のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含むことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上記のレジスト組成物を用いて、半導体基板上にレジストパターンを形成することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる半導体装置は、上記のレジスト組成物によって、半導体基板上にレジストパターンが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、光リソグラフィを中心としたナノファブリケーションのひとつであるEUV(極端紫外線)リソグラフィや電子線リソグラフィのための高分子素材として利用可能な、感度、および、表面平滑性を向上させ、微細パターン形成に優れたコアシェル型ハイパーブランチポリマーおよび超LSIなどの半導体装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体装置の製造方法および半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
<コア部>
本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部を形成するハイパーブランチポリオールの構造としては、分岐ポリエーテルポリオール、分岐ポリエステルポリオール、分岐ポリアミドポリオール、であることが好ましい。
【0023】
分岐ポリエーテルポリオールは、ポリオールとヒドロキシエポキシまたはヒドロキシ環状炭酸エステルを反応させることによって得られるもので、3分岐以上であり、ヒドロキシル基が3個以上であり、分子量(Mw)500から10000であることが好ましい。
【0024】
ポリオールとヒドロキシエポキシまたはヒドロキシ環状炭酸エステルとの反応は、例えば、Alexander Sun, Ralf Hanselmann, Holger Frey and Rolf Mulhaupt, Macromolecules 1999,32,4240−4246に記載の方法により合成することができる。
【0025】
ポリオールは、2〜20個のヒドロキシル基を有する化合物なら何でも良く、水素活性出発化合物として使用される。2〜10個のヒドロキシル基を有し、分子量が50〜3000であることがより好ましい。
【0026】
ポリオールは、例えば、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン 、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ヘキサントリオール、ソルビトール、アントラロビン、4,4′,4′′−メチリジントリスフェノール、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,4,6−トリス(p−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジメチル−1−ヘプテン、ベンゼン−1,3,5−トリオール、ベンゼン−1,2,3−トリオール、蔗糖、分解澱粉、アリルグリセロール、アリルアルコール、10−ウンデセノール、が代表的な例として挙げられる。
【0027】
より好ましくは、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリトリトール、2,4,6−トリス(p−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジメチル−1−ヘプテン、ベンゼン−1,3,5−トリオール、ベンゼン−1,2,3−トリオール、であることが良い。
【0028】
ヒドロキシエポキシは、直鎖、分岐状または脂環式ヒドロキシエポキシなら何でもよい。直鎖、分岐状または脂環式ヒドロキシエポキシは、エポキシ基を1〜20個、ヒドロキシル基を1〜20個有していることがより好ましい。
【0029】
ヒドロキシエポキシは、例えば、グリシドール、トリコビリジン、6,7−エポキシ−3,7−ジメチル−1−オクテン−3−オール、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、4,5−エポキシデカン−1−オール、2α−(ヒドロキシメチル)−3β−フェニルオキシラン、2−オキシラニル−6−メチル−5−ヘプテン−2−オール、2,3−エポキシ−4−ヒドロキシノナナール、4−ヒドロキシ−2,3−エポキシブタン酸2−メトキシエチル、1−オキシラニルエチレングリコール、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−メタノール、3−メチル−2,3−エポキシ−1−ブタノール、4−フェニル−3,4−エポキシ−2−ブタノール、2,3−エポキシ−2−メチル−4−ヘプタノール、1,2−エポキシ−1−(1−ヒドロキシプロピル)シクロヘプタン、3,5−ジメチル−2−ヒドロキシ−3,4−エポキシ−5−ヘキセナール、が代表的な例として挙げられる。より好ましくは、グリシドール、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、4,5−エポキシデカン−1−オール、が良い。
【0030】
ヒドロキシ環状炭酸エステルは、直鎖、分岐状または脂環式炭酸エステルなら何でも良い。脂環式炭酸エステル基および、ヒドロキシル基を含むことが好ましく、より好ましくは、脂環式炭酸エステル基を1つ以上、ヒドロキシル基を2つ以上含むことが良い。
【0031】
ヒドロキシ環状炭酸エステルは、例えば、4−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(ヒドロキシメチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、1−(4−エトキシ−3−メトキシフェニル)−1,2,3−トリヒドロキシプロパン−2,3−サイクリックカルボナート、4,4−ジメチル−5−[1−(4−ヒドロキシフェニル)エテニル]−1,3−ジオキソラン−2−オン、1−ヒドロキシヘキシル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(3−メトキシ−4−エトキシフェニル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、が代表的な例として挙げられる。より好ましくは、4−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オンが良い。ただし、ポリオールとヒドロキシエポキシの組み合わせは、ヒドロキシル基の合計が3個以上であることが好ましい。
【0032】
ポリオールとヒドロキシエポキシまたはヒドロキシ環状炭酸エステルとの反応は、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリトリトールから選ばれる1つと、グリシドールとを反応させることが好ましい。
【0033】
分岐ポリエーテルポリオールは、例えばHyperPolymers社製のHyperbranched Polyglyceroles分子量2000(カタログNo.PG−2)、HyperPolymers社製のHyperbranched Polyglyceroles分子量6000(カタログNo.PG−6)が挙げられる。
【0034】
分岐ポリエステルポリオールは、ポリオールとジ、トリまたはポリヒドロキシカルボン酸を反応させることによって得られるもので、3分岐以上であり、ヒドロキシル基が3個以上であり、分子量(Mw)500〜10000であることが好ましい。ポリオールとジ、トリまたはポリヒドロキシカルボン酸との反応は、例えば特表平10−508052号公報記載の方法によって合成することができる。
【0035】
この場合のポリオールは、例えば、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ヘキサントリオール、ソルビトール、アントラロビン、4,4′,4′′−メチリジントリスフェノール、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,4,6−トリス(p−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジメチル−1−ヘプテン、ベンゼン−1,3,5−トリオール、ベンゼン−1,2,3−トリオール、蔗糖、分解澱粉、アリルグリセロール、アリルアルコール、10−ウンデセノール、が代表的な例として挙げられる。
【0036】
より好ましくは、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリトリトール、2,4,6−トリス(p−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジメチル−1−ヘプテン、ベンゼン−1,3,5−トリオール、ベンゼン−1,2,3−トリオールであることが良い。
【0037】
ジ、トリまたはポリヒドロキシカルボン酸は、直鎖、分岐状または脂環式なら何でも良い。ジ、トリまたはポリヒドロキシカルボン酸は、例えば、ジヒドロキシプロピオン酸、乳酸、ジヒドロキシグリコール酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸、カフェー酸、ホモゲンチシン酸、メバロン酸、3,5−ジヒドロキシ−2,6,6−トリス(3−メチル−2−ブテニル)−4−(3−メチル−1−オキソブチル)−2,4−シクロヘキサジエン−1−オン、2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸、3,4−ジヒドロキシ−5−(ガロイルオキシ)安息香酸、パルミチン酸2,3−ジヒドロキシプロピル、2−(3,6−ジヒドロキシ−9H−キサンテン−9−イル)安息香酸、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロペン酸、1,2−ジヒドロキシ−1,1,2−エタントリカルボン酸、2−(4,4′−ジヒドロキシベンズヒドリル)安息香酸、テトラヒドロ−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−2−フランカルボン酸、が代表的な例である。
【0038】
ジ、トリまたはポリヒドロキシカルボン酸は、より好ましくは、ジヒドロキシプロピオン酸、乳酸、ジヒドロキシグリコール酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸が良い。更に好ましくは、ポリオールとジ、トリまたはポリヒドロキシカルボン酸との反応は、トリメチロールプロパンと2,2−ジヒドロキシプロパン酸であることが良い。
【0039】
また、分岐ポリエステルポリオールは、パーストープジャパン社製の分岐ポリエステルポリオールを用いることもできる。パーストープジャパン社製の分岐ポリエステルポリオールは、例えば、製品名Boltorn20、Boltorn30、Boltorn40が良い。Boltorn20は分子量(Mw)2100、Boltorn30は分子量(Mw)3500、Boltorn40は分子量(Mw)5100である。
【0040】
分岐ポリアミドポリエステルポリオールは、ジカルボン酸無水物とジ、トリまたはポリヒドロキシアミンを反応させることによって得られるもので、3分岐以上であり、ヒドロキシル基が3個以上であり、分子量(Mw)500〜10000であることが好ましい。ジカルボン酸無水物とジ、トリまたはポリヒドロキシアミンの反応は、例えば特表2002−53254号公報記載の方法で合成することができる。
【0041】
ジカルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、フタル酸無水物、ナフタル酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、2−ジメチル−1,2−シクロプロパンジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−3,6−エポキシフタル酸無水物、3−フェニル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3,6−ジメチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,6−ジメチル−1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、2,2′−ビ安息香酸アンヒドリド、1,2−シクロプロパンジカルボン酸無水物、4−ヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、が代表的な例として挙げられる。
【0042】
より好ましくは、無水コハク酸、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナフタル酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、2−ジメチル−1,2−シクロプロパンジカルボン酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、2,2′−ビ安息香酸アンヒドリド、1,2−シクロプロパンジカルボン酸無水物、4−ヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が好ましい。
【0043】
ジ、トリまたはポリヒドロキシアミンは、ジイソプロパノールアミン、2−(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)エタンアミン、ジエタノールアミン、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、4−(アミノメチル)−5−ヒドロキシ−6−メチルピリジン−3−メタノール、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチルアミン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2−アミノエタノール、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、4−(2−メチルアミノエチル)カテコール、3−ヒドロキシ−α−(アミノメチル)ベンジルアルコール、N−エチル−2−(3−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシエタンアミン、5,6−ジヒドロキシ−1H−インドール−3−エタンアミン、3−(2−オキソ−2−ヒドロキシエチル)−6−(2−ヒドロキシエチル)−3,6−ジアザオクタン二酸、ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−アミノエタノール、5,5′−ビ(2−アミノフェノール)、N−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシ−1−プロパンアミン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−プロパノール、が代表的な例として挙げられる。
【0044】
より好ましくは、ジイソプロパノールアミン、2−(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)エタンアミン、ジエタノールアミン、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチルアミン、1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−アミノエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−プロパノールが好ましい。
【0045】
更に好ましくは、ジカルボン酸無水物とジ、トリまたはポリヒドロキシアミンの反応は、無水コハク酸、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物から選ばれる1つと、ジイソプロパノールアミンを反応することが良い。分岐ポリアミドポリエステルポリオールは、たとえばDSM JAPAN社製の商品名HYBRANEが挙げられる。
【0046】
<シェル部>
(シェル部をリビングラジカル重合で合成する場合)
レジスト化合物となるコアシェル型のハイパーブランチポリマーの合成に際して、コア部としてのポリオールの周囲にリビングラジカル重合によってシェル部を設ける場合は、まず、開始基を導入したコア部を合成する。
【0047】
開始基は、リビングラジカル重合をする際の反応場となる。開始基を用いることによって、開始基部分にモノマーと触媒が近づき、リビングラジカル重合反応が起こる。なお、開始基を用いたリビングラジカル重合については、公知の一般的なリビングラジカル重合の方法と同様である。
【0048】
本実施の形態において、リビングラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization、ATRP)の開始基の導入として、2−ブロモイソブチリルブロミドを用い、臭素(Br)を導入する方法を用いている。開始基は、臭素(Br)に限るものではなく、他に、フッ素,塩素,ヨウ素などのハロゲン元素であればよい。開始基としては、ハロゲン元素のうち、臭素(Br),塩素(Cl)が好ましい。開始基として用いられるハロゲンは、ポリオールのヒドロキシル基と反応することによって、開始基が導入される。
【0049】
開始基を導入する時に用いる溶媒は、脱水溶媒が好ましい。例えば、脱水ピリジン、脱水ジエチルエーテル、脱水テトラヒドロフランなどが挙げられる。反応する温度は、0〜100℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましい。反応時間は、0.5〜24時間であることが好ましく、1〜12時間であることがより好ましい。
【0050】
酸分解性基の導入に際して、リビングラジカル重合(ATRP)は、重合触媒としての遷移金属錯体によって可逆的にラジカル解離し、2分子停止が抑制されることにより進行する。たとえば、重合触媒として銅(I価)ビピリジル錯体を用いる場合のリビングラジカル重合では、開始基がついた臭素原子が銅(I価)錯体を銅(II価)に酸化した状態で付加体を中間体として形成し、臭素原子のはずれた側にメチレンラジカルが発生する(Krzysztof Matyjaszewski, Macromolecules 29,1079(1996)および、Jean M.J. Frecht, J.Poly.Sci., 36, 955(1998)参照)。このラジカル中間体は、他のモノマーとエチレン性二重結合と反応し、重合が進行する。重合溶媒としては、モノマー、重合触媒が均一に溶解または、分散するものであれば特に限定されるものではない。
【0051】
−シェル部の導入工程−
本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおいて、シェル部は、述のようにして合成できる開始基を導入したコア部と、一般的なモノマーを反応させることにより導入することができる。モノマーの具体例は、後に説明する。
【0052】
シェル重合は、ラジカルが酸素の影響を受けることを防ぐために、窒素や不活性ガス存在下あるいはフロー下、酸素不存在条件の下でおこなわれることが好ましい。シェル重合は、バッチ方式、連続式のいずれの方法にも適用することができる
【0053】
前記コア部にシェル部を導入する方法は、前記コア部合成工程で得られたコア部を単離した後、シェル部を形成するモノマーを用いて導入することができる方法である。触媒として、コア部の合成に用いた触媒と同様の遷移金属錯体触媒、例えば、銅(I価)ビピリジル錯体を用い、前記コア部の末端に多数存在するハロゲン化炭素を開始点として、モノマーの二重結合との原子移動ラジカル重合によって直鎖状に付加重合させるものである。
【0054】
具体的には、たとえば、反応用の釜の内面にあらかじめ金属触媒を設けておき、この反応用の釜にハイパーブランチポリオールおよびモノマーを滴下する。また、具体的には、たとえば、あらかじめハイパーブランチコアポリマーが存在する反応用の釜に、上述したシェル部を形成するモノマーを滴下するようにしてもよい。シェル重合に際して使用するモノマー、金属触媒、および溶媒は、上述したコア重合と同様に、十分に脱酸素(脱気)したものを使用することが好ましい。
【0055】
シェル重合に際して使用される金属触媒としては、たとえば、銅、鉄、ルテニウム、クロムなどの遷移金属化合物と配位子との組み合わせからなる金属触媒を使用することが可能である。遷移金属化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅、塩化第一鉄、臭化第一鉄、ヨウ化第一鉄などがあげられる。
【0056】
配位子としては、未置換、あるいはアルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン基、エステル基などにより置換されたピリジン類、ビピリジン類、ポリアミン類、ホスフィン類などがあげられる。好ましい金属触媒としては、たとえば、塩化銅と配位子により構成される銅(I)ビピリジル錯体、銅(I)ペンタメチルジエチレントリアミン錯体、塩化鉄と配位子より構成される鉄(II)トリフェニルホスフィン錯体、鉄(II)トリブチルアミン錯体などを挙げることができる。
【0057】
金属触媒の使用量は、シェル重合に用いるハイパーブランチコアポリマーの反応活性点に対して、0.01〜70モル%となるように使用するのが好ましく、0.1〜60モル%となるように使用するのがより好ましい。このような量で触媒を使用すると、反応性を向上させ、好適な分岐度を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0058】
金属触媒の添加方法は特に限定されるものではないが、たとえば、シェル重合前に一括して添加することができる。また、重合開始後、触媒の失活具合に応じて追加して添加してもよい。たとえば、金属触媒となる錯体の反応系における分散状態が不均一である場合には、遷移金属化合物を装置内にあらかじめ添加しておき、配位子のみを後から添加するようにしてもよい。
【0059】
本発明における重合の温度は、0〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。重合時間は、1〜30時間、より好ましくは、1〜10時間である。重合に用いる溶媒は、特に制限するものは無く、N−メチル−2−ピロリドン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、アニソール等の不活性溶媒中で反応させる。以上のようにして、コア部とモノマーとを反応させることにより、本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを製造することが出来る。
【0060】
(脱保護)
次に、脱保護について説明する。脱保護に際しては、酸分解性基の部分的分解をおこなう。酸分解性基の部分的分解に際しては、例えば、酸分解性基の一部を、酸触媒を用いて酸基に分解する。実施の形態においては、ここに、酸基形成工程が実現される。
【0061】
酸分解性基の一部を上述した酸触媒用いて酸基に分解する(酸分解性基を部分的に分解する)際には、コアシェル型ハイパーブランチポリマー中の酸分解性基に対して、通常、0.001〜0.1当量の酸触媒を用いる。酸分解性基を部分的に分解する際には、加熱還流によって揮発する恐れがなく、かつ、温度に関わらず、上述した金属除去後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーや当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーを溶解する有機溶媒と均一に溶解する物質を酸触媒として用いる。実施の形態においては、ここに、コアシェル型ハイパーブランチポリマーを含む反応系の中に酸触媒を混合する工程が実現される。
【0062】
脱保護に際して用いる酸触媒としては、具体的には、たとえば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、などが、好ましい酸触媒として挙げられる。前述した各種の酸触媒の中でも、反応性が良好であるため、硫酸がより好ましい。
【0063】
酸分解性基を部分的に分解する際に用いる有機溶媒は、温度に関わらず、該コアシェル型ハイパーブランチポリマーと酸触媒を溶解することが可能であり、かつ、水に対する相溶性を有することが好ましい。酸分解性基を部分的に分解する際に用いる有機溶媒としては、入手のし易さや、扱いの容易さから1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれることがより好ましい。前述した各種の有機溶媒の中でも、酸分解性基を部分的に分解する際に用いる有機溶媒としては、90℃以上の高温還流が可能であるとともに、水に対する高い相溶性を有することから、ジオキサンが好ましい。
【0064】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に際して、高温での還流は、酸の効果を最大限に引き出し、酸分解を効率的に行うために不可欠である。また、コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に際して使用される有機溶媒の水に対する相溶性は、酸分解後に有機溶媒に対して過剰の水を加えて再沈操作を行う際に不可欠な要素である。脱保護に際して使用される有機溶媒の量は、上述した微量金属除去後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーと酸触媒とが溶解していれば、たとえば、ポリマーに対して3〜50質量倍であることが好ましく、5〜20質量倍であることがより好ましい。
【0065】
なお、脱保護に際して使用される有機溶媒の量は、コアシェル型ハイパーブランチポリマーと酸触媒とが溶解していればよく、前述した範囲に特に限定されるものではない。コアシェル型ハイパーブランチポリマーに対する有機溶媒の量が、上記の範囲を下回る場合、反応系の粘度が上昇し、ハンドリング性が悪くなる。一方、上述した金属除去後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーに対する有機溶媒の量が上記の範囲を上回る場合、コスト上昇の面から好ましくない。
【0066】
上述した金属除去後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの、脱保護に際して使用される有機溶媒中の濃度は、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーの室温(25℃)における飽和溶解濃度を下回っており、かつ、加熱反応時の粘度が著しく上昇して攪拌に影響をおよぼさない濃度条件を満たす中で、最も高い濃度が好ましい。脱保護に際しての反応温度は、50〜150℃であることが好ましく、70〜110℃であることがより好ましい。脱保護に際しての反応時間は、10分〜20時間であることが好ましく、10分から3時間であることがより好ましい。
【0067】
脱保護後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーに導入した酸分解性基を含有するモノマー中の1〜80モル%が脱保護されて酸基に変換されているのが好ましい。酸分解性基と酸基との比率がこのような範囲にあると、高感度と露光後の効率的なアルカリ溶解性が達成されるため好ましい。
【0068】
脱保護後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーをレジスト組成物として利用した場合のレジスト組成物における組成の比率によって最適値が異なり、前述した範囲に特に限定されるものではない。脱保護後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、反応時間を制御することによって調整することができる。
【0069】
脱保護後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、脱保護に用いる酸触媒の量、脱保護に際しての反応温度や反応時間などを適宜制御することで、調整することが可能であるが、反応時間を制御することで最も容易に調整することができる。
【0070】
脱保護後は、脱保護後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーが存在する反応液と超純水とを混合して、脱保護後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを析出させた後、遠心分離、濾過、デカンテーションなどの手段に供し、ポリマーを分離する。残存する酸触媒を除去するため、有機溶媒や必要に応じて水と接触させ、ポリマーを洗浄することが好ましい。
【0071】
上述したように、モノマーの除去をおこなった後は、乾燥をおこなう。乾燥方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、真空乾燥や噴霧乾燥などの乾燥方法が挙げられる。乾燥に際しては、モノマーが除去されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーおよびコアシェル型ハイパーブランチポリマーが存在する環境の温度(以下、「乾燥温度」という)を、10〜70℃の範囲とすることが好ましい。乾燥に際しては、乾燥温度を、15〜40℃の範囲とすることがより好ましい。
【0072】
乾燥に際しては、モノマーが除去されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーが存在する環境を、真空化することが好ましい。乾燥に際しての真空度は、20Pa以下であることが好ましい。乾燥時間は、1時間〜20時間であることが好ましい。なお、乾燥に際しての真空度および乾燥時間は、前述した値に限るものではなく、上述した乾燥温度が適正に保たれるように設定される。
【0073】
(シェル部をラジカル重合で合成する場合)
レジスト化合物となるコアシェル型のハイパーブランチポリマーを、ラジカル重合を用いて合成する場合、まずラジカル重合できる構造にするため、上述したポリオールの水酸基部分にモノマーを導入する。モノマーの導入方法は、ポリオールのヒドロキシル基と反応し、モノマー導入できる方法であれば特に制限はない。
【0074】
酸ハロゲン化物(ハロゲン化アシル)のモノマーであれば、特に制限は無いが、好ましくは、酸クロライド化したモノマーを用い、ポリオールの水酸基と反応させることによって導入し、ラジカル重合可能な二重結合を持つ構造にする。酸クロライドを用いた例は、例えば、アクリル酸クロライドとポリオールのヒドロキシル基をエステル化反応させる。その結果、ポリオールにアクリル酸モノマーが付いた構造(仮名:ポリオールアクリル酸体)を得る。この時に用いられる酸クロライド化したモノマーは、特に制限はなく、例えば、メタクリル酸クロライド、ビニル安息香酸クロライドなどでもよい。
【0075】
モノマー導入の反応温度は、0〜200℃であればよく、50〜150℃であることが好ましい。溶媒は、酸クロライドと反応しないものを用いる。例えば、ジエチルエーテル、ベンゼン、キシレン、が挙げられる。
【0076】
コア部としてのポリオールの周囲にラジカル重合によってシェル部を設ける場合は、後に示す各種の酸分解性基を用いることができる。また、シェル部をラジカル重合で合成する場合に用いる酸分解性基は、後に示す各種の酸分解性基に加えて、通常のラジカル重合に際して使われるモノマーであれば特に限定されるものではない。シェル部をラジカル重合で合成する場合には、たとえば、リビングラジカル重合の一つであるATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)では、重合し難いアクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸なども使用することもできる。
【0077】
重合反応に用いる溶媒としては、原料モノマーを溶解させる溶媒、重合開始剤を溶解させる溶媒及び反応容器に張り込む溶媒が挙げられるが、これらは、原料モノマー、重合開始剤及び生成ポリマーを溶解するものであれば特に制限されるものではなく、各々同一であっても異なっていても良い。
【0078】
溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができ、これらを単独又は混合して用いることができる。
【0079】
ラジカル重合開始剤としては、従来から用いられているアゾ系ラジカル重合開始剤、有機過酸化物系ラジカル重合開始剤を用いることが可能である。
【0080】
アゾ重合開始剤としては、たとえば、和光純薬製の2,2−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2−アゾビス(1−(2−ヒドロキシメチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパンジハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフィドジハイドレイト、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン) ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレイト、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリジン−2−イルプロパン)、2,2’−アゾビス−1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2.4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2.4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネイト)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1,[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、などが挙げられる。
【0081】
中でも、2,2−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2−アゾビス(1−(2−ヒドロキシメチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパンジハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)が好ましい。
【0082】
パーオキサイド重合開始剤としては、たとえば、メチルエチルパーオキサイド、メチルイソブチルパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミイパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシヘキサン)、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン、トリス(t−ブチルペルオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−)ブチルペルオキシ)ブタン、4,4−ジ−t−ブチルペルオキ吉草酸−n−ブチルエステル、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、α−クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオペンタノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサヒドロテトラフタレート、t−アミルペルオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−ブチルペルオキシトリメチルアジペート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニロイル) ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルペルオキシカーボネート、などが挙げられる。
【0083】
重合開始剤の使用量は、重合反応に用いる原料モノマーや、連鎖移動剤の種類、量及び重合温度や重合溶媒等の重合条件に応じて、広い範囲より選択することができる。重合反応においては連鎖移動剤を用いてもよく、例えば、ドデカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物を単独若しくは混合して用いることができる。連鎖移動剤は、モノマーと共にモノマー溶液に溶解して使用しても良いし、重合開始剤と共に重合開始剤溶液に溶解して使用しても良い。
【0084】
次に、上記で記載した2種類のコアシェル型ハイパーブランチポリマーのシェル部合成の製造方法について説明する。原料となる重合性モノマーを含有するモノマー溶液と、重合開始剤を含有する溶液とを、各々独立した貯槽に保持し、重合系に連続的又は断続的に供給してラジカル共重合させて製造することにより、反応を穏やかにする事ができ、レジスト性能に悪影響を及ぼす高分子量な成分を無くすことができる。
【0085】
重合温度は、モノマー溶液及び開始剤溶液の供給により系内の温度が低下しないよう管理し、好ましくは設定温度±5℃以内、特に好ましくは設定温度±3℃以内に保持する。尚、重合系内の局所的な温度変化をより低く抑える方法としては、前記したようにモノマー溶液を予備加熱して供給する方法を挙げることができる。又、重合温度を重合溶媒の沸点以上に設定し、重合溶媒の還流条件下で反応を行う方法も、系内の温度変化を小さくできるため好ましい。
【0086】
重合反応により得られた本発明のレジスト用ポリマーは、重合反応液を貧溶媒単独、若しくは貧溶媒と良溶媒の混合溶媒に滴下して析出させ、更に必要に応じて洗浄することにより、未反応モノマー、オリゴマー、重合開始剤及びその反応残査物等の不要物を除去し、精製することができる。
【0087】
貧溶媒としては、ポリマーが溶解しない溶媒であれば特に制限されないが、例えば、水やメタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素類等を用いることができる。又、良溶媒としては、モノマー、オリゴマー、重合開始剤及びその残渣物が溶解する溶媒であれば特に制限されないが、製造工程の管理上、重合溶媒と同じものが好ましい。得られたポリマーは、減圧乾燥等を用い乾燥させることが望ましい。
【0088】
(シェル部の比率)
コアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、反応温度や反応時間などを適宜制御することで、調整することが可能である。シェル部をリビングラジカル重合で合成する場合は、脱保護反応の反応時間を制御することで最も容易に調整することができる。シェル部をラジカル重合で合成する場合は、酸分解性基と酸基をそれぞれ持つモノマーの仕込み比率を変えることによっても可能である。
【0089】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、コアとシェルの比率や、使用されるモノマー構造によって、適宜変える事ができる。疎水的なモノマーを多く用いた場合に比べ、親水的なモノマーを多く用いる場合であれば、酸基の比率は低くなる。具体的には、シェル部の酸基の比率は、好ましくは、0〜80%、より好ましくは0〜50%、最も好ましくは、0〜30%である。
【0090】
(コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の製造に用いるモノマー)
つぎに、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の製造に用いるモノマーについて説明する。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部は、当該ポリマー分子の末端を構成する。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の製造に用いるモノマーとしては、例えば、下記式(I)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマー、式(II)で表される繰り返し単位を与えるモノマー、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるモノマーが挙げられる。
【0091】
下記式(I)または下記式(II)であらわされる繰り返し単位は、例えば、酢酸、マレイン酸、安息香酸などの有機酸或いは塩酸、硫酸または硝酸などの無機酸の作用によって分解する酸分解性基を含んでいる。下記式(I)または下記式(II)であらわされる繰り返し単位は、光エネルギーによって酸を発生する光酸発生剤の作用により分解する酸分解性基を含んでいることが好ましい。酸分解性基としては、分解して親水基となるものが好ましい。
【0092】
【化1】

【0093】
【化2】

【0094】
上記式(I)中のR1および上記式(II)中のR4は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示している。このうち、上記式(I)中のR1および上記式(II)中のR4としては、水素原子およびメチル基が好ましい。上記式(I)中のR1および上記式(II)中のR4としては、水素原子がさらに好ましい。
【0095】
上記式(I)中のR2は、水素原子、アルキル基、またはアリール基を示している。上記式(I)中のR2におけるアルキル基としては、例えば、炭素数が1〜30であることが好ましい。上記式(I)中のR2におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜20である。上記式(I)中のR2におけるアルキル基のより一層好ましい炭素数は、1〜10である。アルキル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状構造を有している。具体的に、上記式(I)中のR2におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0096】
上記式(I)中のR2におけるアリール基としては、例えば、炭素数6〜30であることが好ましい。上記式(I)中のR2におけるアリール基のより好ましい炭素数は、6〜20である。上記式(I)中のR2におけるアリール基のより一層好ましい炭素数は、6〜10である。具体的に、上記式(I)中のR2におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。このうち、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられる。上記式(I)中のR2として、もっとも好ましい基の1つとして水素原子が挙げられる。
【0097】
上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5は、水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基、または下記式(i)であらわされる基を示している。上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5におけるアルキル基としては、炭素数1〜40であることが好ましい。上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜30である。上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5におけるアルキル基のより一層好ましい炭素数は、1〜20である。上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状構造を有している。
【0098】
上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5における各アルキル基の好ましい炭素数は1〜6であり、より好ましい炭素数は1〜4である。上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5におけるオキソアルキル基のアルキル基の炭素数は4〜20であり、より好ましい炭素数は4〜10である。
【0099】
【化3】

【0100】
上記式(i)中のR6は、水素原子またはアルキル基を示している。下記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状構造を有している。下記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましい。下記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜8であり、より好ましい炭素数は1〜6である。
【0101】
上記式(i)中のR7およびR8は、水素原子またはアルキル基である。上記式(i)中のR7およびR8における水素原子またはアルキル基は、互いに独立していてもよいし、一緒になって環を形成しても良い。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状構造を有している。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましい。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜8である。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基のより一層好ましい炭素数は、1〜6である。上記式(i)中のR7およびR8としては、炭素数1〜20の分岐状アルキル基が好ましい。
【0102】
上記式(i)で示される基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−sec−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−tert−アミロキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチル−エチル基などの直鎖状または分岐状アセタール基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基などの環状アセタール基、などが挙げられる。上記式(i)で示される基としては、前述した各基の中でも、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシプロピル基、テトラヒドロピラニル基が特に好適である。
【0103】
上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5としては、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基が好ましい。上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5としては、炭素数1〜20の分岐状アルキル基がより好ましい。
【0104】
上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5において、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、tert−アミル基、などが挙げられる。このうち、tert−ブチル基が特に好ましい。
【0105】
上記式(I)中のR3および上記式(II)中のR5において、トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基などの各アルキル基の炭素数が1〜6のものが挙げられる。オキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基、などが挙げられる。
【0106】
上記式(I)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとしては、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸tert−ブチル、ビニル安息香酸2−メチルブチル、ビニル安息香酸2−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−エチルブチル、ビニル安息香酸3−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−メチルヘキシル、ビニル安息香酸3−メチルヘキシル、ビニル安息香酸トリエチルカルビル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−メチルノルボニル、ビニル安息香酸1−エチルノルボニル、ビニル安息香酸2−メチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸2−エチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、ビニル安息香酸テトラヒドロフラニル、ビニル安息香酸テトラヒドロピラニル、ビニル安息香酸1−メトキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシエチル、ビニル安息香酸1−n−プロポキシエチル、ビニル安息香酸1−イソプロポキシエチル、ビニル安息香酸n−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−イソブトキシエチル、ビニル安息香酸1−sec−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−アミロキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−n−プロピル、ビニル安息香酸1−シクロヘキシロキシエチル、ビニル安息香酸メトキシプロピル、ビニル安息香酸エトキシプロピル、ビニル安息香酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸トリメチルシリル、ビニル安息香酸トリエチルシリル、ビニル安息香酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、ビニル安息香酸1−メチルシクロヘキシル、ビニル安息香酸アダマンチル、ビニル安息香酸2−(2−メチル)アダマンチル、ビニル安息香酸クロルエチル、ビニル安息香酸2−ヒドロキシエチル、ビニル安息香酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、ビニル安息香酸5−ヒドロキシペンチル、ビニル安息香酸トリメチロールプロパン、ビニル安息香酸グリシジル、ビニル安息香酸ベンジル、ビニル安息香酸フェニル、ビニル安息香酸ナフチル、などが挙げられる。このうち、4−ビニル安息香酸と4−ビニル安息香酸tert−ブチルの重合体が好ましい。
【0107】
上記式(II)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸3−メチルペンチル、アクリル酸2−メチルヘキシル、アクリル酸3−メチルヘキシル、アクリル酸トリエチルカルビル、アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−メチルノルボニル、アクリル酸1−エチルノルボニル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸1−メトキシエチル、アクリル酸1−エトキシエチル、アクリル酸1−n−プロポキシエチル、アクリル酸1−イソプロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸1−イソブトキシエチル、アクリル酸1−sec−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−アミロキシエチル、アクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、アクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリエチルシリル、アクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、アクリル酸クロルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸トリメチロールプロパン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−メチルブチル、メタクリル酸2−メチルペンチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸3−メチルペンチル、メタクリル酸2−メチルヘキシル、メタクリル酸3−メチルヘキシル、メタクリル酸トリエチルカルビル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−メチルノルボニル、メタクリル酸1−エチルノルボニル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフラニル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル、メタクリル酸1−メトキシエチル、メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸1−n−プロポキシエチル、メタクリル酸1−イソプロポキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸1−イソブトキシエチル、メタクリル酸1−sec−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−アミロキシエチル、メタクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、メタクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリエチルシリル、メタクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸2−(2メチル)アダマンチル、メタクリル酸クロルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、などが挙げられる。このうち、アクリル酸とアクリル酸tert−ブチルの重合体が好ましい。
【0108】
なお、シェル部に相当するモノマーとしては、4−ビニル安息香酸またはアクリル酸の少なくとも一方と、4−ビニル安息香酸tert−ブチルまたはアクリル酸tert−ブチルの少なくとも一方と、の重合体も好ましい。シェル部に相当するモノマーとしては、ラジカル重合性の不飽和結合を有する構造であれば、上記式(I)および上記式(II)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマー以外のモノマーであってもよい。
【0109】
使用することができる重合モノマーとしては、例えば、上記以外のスチレン類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、クロトン酸エステル類などから選ばれるラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物、などが挙げられる。
【0110】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたスチレン類としては、具体例には、例えば、スチレン、tert−ブトキシスチレン、α−メチル−tert−ブトキシスチレン、4−(1−メトキシエトキ)シスチレン、4−(1−エトキシエトキ)シスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレン、アダマンチルオキシスチレン、4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)スチレン、4−(1−メチルシクロヘキシルオキシ)スチレン、トリメチルシリルオキシスチレン、ジメチル−tert−ブチルシリルオキシスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレン、ベンジルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニルナフタレン、などが挙げられる。
【0111】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたアリルエステル類としては、具体例には、例えば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、アリルオキシエタノール、などが挙げられる。
【0112】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたビニルエーテル類としては、具体例には、例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル、などが挙げられる。シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたビニルエステル類としては、具体例には、例えば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、などが挙げられる。
【0113】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたクロトン酸エステル類としては、具体例には、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネート、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、ジメチルマレレート、ジブチルフマレート、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、などが挙げられる。
【0114】
また、シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとしては、具体的には、例えば、下記式(IV)〜式(XIII)なども挙げられる。
【0115】
【化4】

【0116】
【化5】

【0117】
【化6】

【0118】
【化7】

【0119】
【化8】

【0120】
【化9】

【0121】
【化10】

【0122】
【化11】

【0123】
【化12】

【0124】
【化13】

【0125】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーの中で、スチレン類、クロトン酸エステル類が好ましい。シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーの中でもスチレン、ベンジルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレン、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、無水マレイン酸が好ましい。
【0126】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部は、上述したように合成されたハイパーブランチポリマーのコア部と、酸分解性基を含有するモノマーとを反応させることによって、上述したように合成されたハイパーブランチポリマーの末端に導入することができる。ハイパーブランチポリマーのコア部に、酸分解性基を含有するモノマーとしては、例えば、少なくとも上記式(I)または上記式(II)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーが挙げられる。これによって、少なくとも上記式(I)または上記式(II)であらわされる繰り返し単位を与える酸分解性基を、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部に導入することができる。
【0127】
この発明のコアシェル型のハイパーブランチポリマーにおいて、上記式(I)または上記式(II)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーは、コアシェル型のハイパーブランチポリマーに対して10〜90モル%の範囲で含まれていることが好ましい。より好ましい範囲は20〜90モル%であり、より一層好ましい範囲は30〜90モル%である。特に、シェル部において上記式(I)または上記式(II)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位が、コアシェル型のハイパーブランチポリマーに対して50〜100モル%の範囲で含まれていることが好ましく、80〜100モル%の範囲で含まれていることがより好ましい。
【0128】
シェル部における上記式(I)または上記式(II)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位が、コアシェル型のハイパーブランチポリマーに対して前述の範囲内にあると、当該コアシェル型のハイパーブランチポリマーを用いたレジスト組成物を用いたリソグラフィの現像工程において、露光部分が効率よくアルカリ溶液に溶解し、除去されるので好ましい。
【0129】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部が、上記式(I)または上記式(II)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとその他のモノマーとの重合物であるとき、シェル部を構成する全モノマー中における上記式(I)または上記式(II)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーの量は、仕込み時において、30〜90モル%であるのが好ましく、50〜70モル%であるのがより好ましい。このような範囲内にあると、露光部の効率的アルカリ溶解性を阻害せずに、エッチング耐性、ぬれ性、ガラス転移温度の上昇等の機能が付与されるので好ましい。なお、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部における上記式(I)または上記式(II)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位とそれ以外の繰り返し単位との量は、目的に応じてシェル部導入時のモル比の仕込み量比により調節することができる。
【0130】
本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(Mw)は、500〜150,000が好ましく、500〜100,000がより好ましく、さらに好ましくは1,000〜50,000、最も好ましくは、1,000〜30,000である。コアシェル型ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(Mw)がこのような範囲にあると、該コアシェル型ハイパーブランチポリマーを含有するレジストは、成膜性が良好であり、リソグラフィ工程で形成された加工パターンの強度があるため形状を保つことができる。またドライエッチング耐性にも優れ、表面ラフネスも良好である。
【0131】
本発明のコア部が、ハイパーブランチポリオールから誘導される構造を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーは、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが大幅に高く、高感度で高解像性を有す。100nm以細の超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることが出来る。また、露光後の溶解性が増大したことで、100nm以細の微細パターンの際に環境影響を受けてできるTトップのパターンも改善することができる。更に、露光後の溶解性が増大したことで、100nm以細の微細パターン製造の際に懸念される、微量な残膜も改善することができる。
【0132】
ここで、本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(Mw)は、0.05質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、温度40℃でGPC測定を行って求め、移動溶媒としてはテトラヒドロフランを用い、標準物質としてはポリスチレンを使用した。
【0133】
感度は、例えば、紫外線シリコンウェハ光(EUV)を用い、シリコンウェハ上に所定厚さに製膜した試料薄膜に対し、所定大きさ部分にエネルギー0〜200mJ/cm2の光を照射して露光し、熱処理後、アルカリ水溶液に浸漬させて現像し、水洗、乾燥後の膜厚を薄膜測定装置で測定し、露光部の膜厚減少が100%になる最小の照射量(mJ/cm2)を感度とすることにより求めることができる。
【0134】
露光面の表面ラフネスは、例えば、永瀬雅夫,早稲田大学審査学位論文2475号,「原子間力顕微鏡によるナノ構造計測とそのデバイス・プロセスへの応用に関する研究」,pp99−107(1996)記載の方法に従って測定できる。具体的には、電子線、紫外線、EUV光を用い、上記アルカリ水溶液で溶解性を示した電子線、紫外線または、EUV露光量の30%の表面について行うことができる。アルカリ水溶液への溶解性について記載したのと同様の方法で作成した評価試料について、原子間力顕微鏡を用い、表面粗さの指標であるJIS B0601−1994の十点平均粗さの求め方に従って測定できる。
【0135】
エッチングレイト測定は、例えば、ドライエッチング装置(LAM Research社製TCP9400 Type)を用い、ドライエッチングを行い、ドライエッチング前後の膜厚差を求めることにより測定できる。
【0136】
(レジスト組成物)
本発明のレジスト組成物は、前記本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを少なくとも含み、光酸発生剤、更に必要に応じて、酸拡散抑制剤(酸捕捉剤)、界面活性剤、その他の成分、および溶剤を含むことができる。前記本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの配合量は、レジスト組成物の全量に対し、1〜40質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0137】
前記光酸発生剤としては、紫外線、X線、電子線などの照射によって酸を発生するものであれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オニウム塩、スルホニウム塩、ハロゲン含有トリアジン化合物、スルホン化合物、スルホネート化合物、芳香族スルホネート化合物、N−ヒドロキシイミドのスルホネート化合物、などが挙げられる。
【0138】
前記オニウム塩としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、などが挙げられる。前記ジアリールヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス4−tert−ブチルフェニルヨードニウムノナフルオロメタンスルホネート、ビス4−tert−ブチルフェニルヨードニウムカンファースルフォネート、4−メトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル−)ヨードニウムジ(パーフルオロメチルスルホン)イミデート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−トリ(パーフルオロメチルスルホン)メタニドなどが挙げられる。前記トリアリールセレノニウム塩としては、例えば、トリフェニルセレノニウムヘキサフロロホスホニウム塩、トリフェニルセレノニウムホウフッ化塩、トリフェニルセレノニウムヘキサフロロアンチモネート塩、などが挙げられる。
【0139】
前記トリアリールスルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスホニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムペンタフロロヒドロキシアンチモネート塩、などが挙げられる。
【0140】
前記スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、p−トリルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−ジ(パーフルオロメチルスルホン)イミデート、トリフェニルスルホニウム−ジ(パーフルオロブチルスルホン)イミデート、トリフェニルスルホニウム−シクロ(パーフルオロプロパンジスルホン)イミデート、トリフェニルスルホニウム−トリ(パーフルオロメチルスルホン)メタニド、などが挙げられる。
【0141】
前記ハロゲン含有トリアジン化合物としては、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、などが挙げられる。
【0142】
前記スルホン化合物としては、例えば、ジフェニルジスルホン、ジ−p−トリルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、(ベンゾイル)(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルアセトフェノン、などが挙げられる。
【0143】
前記芳香族スルホネート化合物としては、例えば、α−ベンゾイルベンジルp−トルエンスルホネート(通称ベンゾイントシレート)、β−ベンゾイル−β−ヒドロキシフェネチルp−トルエンスルホネート(通称α−メチロールベンゾイントシレート)、1,2,3−ベンゼントリイルトリスメタンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、4−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、ピロガロールトリメシレートなどが挙げられる。
【0144】
前記N−ヒドロキシイミドのスルホネート化合物としては、例えば、N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(p−クロロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(シクロヘキシルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(1−ナフチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ベンジルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミド、などが挙げられる。
【0145】
前記光酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩、特にトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−ジ(パーフルオロメチルスルホン)イミデート、トリフェニルスルホニウム−ジ(パーフルオロブチルスルホン)イミデート、トリフェニルスルホニウム−シクロ(パーフルオロプロパンジスルホン)イミデート、トリフェニルスルホニウム−トリ(パーフルオロメチルスルホン)メタニド;スルホン化合物、特にビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンが好ましい。
【0146】
前記光酸発生剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記光酸発生剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマー100質量部に対し0.1〜30質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましい。
【0147】
また、前記酸拡散抑制剤としては、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分であれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、同一分子内に窒素原子を1個有する含窒素化合物、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物、などが挙げられる。
【0148】
前記同一分子内に窒素原子を1個有する含窒素化合物としては、例えば、モノ(シクロ)アルキルアミン、ジ(シクロ)アルキルアミン、トリ(シクロ)アルキルアミン、芳香族アミン、などが挙げられる。前記モノ(シクロ)アルキルアミンとしては、例えば、2−シクロヘキシル−2−ピロリジノン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン、などが挙げられる。前記ジ(シクロ)アルキルアミンとしては、例えば、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、などが挙げられる。
【0149】
前記トリ(シクロ)アルキルアミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、などが挙げられる。前記芳香族アミンとしては、例えば、2−ベンジルピリジン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、などが挙げられる。
【0150】
前記同一分子内に窒素原子を2個有する含窒素化合物としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、などが挙げられる。
【0151】
前記同一分子内に窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体、などが挙げられる。
【0152】
前記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、などが挙げられる。
【0153】
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア、などが挙げられる。
【0154】
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン、ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、などが挙げられる。
【0155】
前記酸拡散抑制剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記酸拡散抑制剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光酸発生剤100質量部に対し0.1〜1000質量部が好ましく、0.5〜100質量部がより好ましい。
【0156】
また、前記界面活性剤としては、塗布性、ストリエーション、現像性などを改良する作用を示す成分であれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、などが挙げられる。
【0157】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンの平均付加モル数が、1〜50のポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、などが挙げられる。前記ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンの平均付加モル数が、1〜50のポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、などが挙げられる。
【0158】
前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、などが挙げられる。
【0159】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンの平均付加モル数が、1〜50のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、などが挙げられる。
【0160】
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラ−ドFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)、などが挙げられる。
【0161】
前記シリコン系界面活性剤としては、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、などが挙げられる。前記界面活性剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記界面活性剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記本発明のコアシェル型ハイパーブランチポリマー100質量部に対し、0.0001〜5質量部が好ましく、0.0002〜2質量部がより好ましい。
【0162】
前記その他の成分としては、例えば、増感剤、溶解制御剤、酸解離性基を有する添加剤、アルカリ可溶性樹脂、染料、顔料、接着助剤、消泡剤、安定剤、ハレーション防止剤、などが挙げられる。
【0163】
前記増感剤としては、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを光酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示し、レジスト組成物のみかけの感度を向上させる効果を有するものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類、などが挙げられる。これらの増感剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0164】
前記溶解制御剤としては、レジストとしたときの溶解コントラストおよび溶解速度をより適切に制御するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリケトン、ポリスピロケタール、などが挙げられる。これらの溶解制御剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0165】
前記酸解離性基を有する添加剤としては、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性などをさらに改善するものであれば特に制限はなく、例えば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル、リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル、などが挙げられる。これらの溶解制御剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0166】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、本発明のレジスト組成物のアルカリ可溶性を向上させるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)、部分水素添加ポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)、4−ヒドロキシスチレン/3−ヒドロキシスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、ノボラック樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられ、Mwは、通常、1000−1000000、好ましくは2000−100000である。これらのアルカリ可溶性樹脂は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0167】
前記染料あるいは顔料は、露光部の潜像を可視化させて露光時のハレーションの影響を緩和できる。また、前記接着助剤は、基板との接着性を改善することができる。前記溶剤としては、前記成分などを溶解することができる限り特に制限はなく、レジスト組成物に安全に使用可能なものの中から適宜選択することができ、例えば、ケトン、環状ケトン、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル、3−アルコキシプロピオン酸アルキル、その他の溶剤などが挙げられる。
【0168】
前記ケトンとしては、例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、などが挙げられる。前記環状ケトンとしては、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン、などが挙げられる。
【0169】
前記プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、などが挙げられる。
【0170】
前記2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル、などが挙げられる。前記3−アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、などが挙げられる。
【0171】
前記その他の溶剤としては、例えば、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、トルエン、キシレン、カプロン酸、カプリル酸、オクタン、デカン、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、などを挙げることができる。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0172】
本発明のレジスト組成物は、パターン上に露光された後、現像を行ってパターニング処理することができる。本発明のレジスト組成物は、表面平滑性がナノオーダーで求められる電子線、遠紫外線(DUV)および、極紫外線(EUV)光源に対し、半導体装置製造用の微細パターンを形成できるので各種分野で好適に用いることができる。本発明のレジスト組成物は、露光および、加熱によりアルカリ現像液中に溶解させて水洗等することにより、露光面に溶け残りが無く、ほぼ垂直なエッジを得ることができる。なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
【実施例】
【0173】
以下、本発明にかかる上述した実施の形態の実施例について説明する。なお、本発明の範囲は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0174】
<ハイパーブランチポリオールA>
Mn=2000のハイパーブランチポリエーテルとして、HyperPolymers社製のHyperbranched Polyglyceroles 分子量2000(カタログNo.PG−2)を使用した。
より購入し、使用した。
【0175】
<ハイパーブランチポリオールB>
Mn=6000のハイパーブランチポリエーテルとして、HyperPolymers社製のHyperbranched Polyglyceroles 分子量6000(カタログNo.PG−6)を使用した。
【0176】
<ハイパーブランチポリオールC>
Gabriel Rokicki,Pawel Rakoczy,Pawel Parzuchowski and Marcin Sobiecki,Green Chem. 2005,7,529−539に掲載されている合成方法を参考にし、以下の合成を行った。
【0177】
(グリセロールカーボネートの合成)
100mLの反応容器に、グリセロール40g、ジメチルカルボネート117.5g、炭酸カリウム1.8gを入れ、沸点で3時間反応させた。反応終了後、減圧流去した。その後、カチオン交換樹脂Amberlite IR−120に通し、目的物を得た。
【0178】
(ハイパーブランチポリオールCの合成)
300mLの反応容器に、メタノールを入れ、カリウムメトキシドを25%となるように入れ、窒素バブリングを行い、窒素雰囲気下で反応を行った。そこに1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンを5g入れ、1時間拡販した。次にグリセロールカーボネートをゆっくりと滴下し、45g入れ、170℃で12時間反応させた。反応終了後、カチオン交換樹脂に通し、目的物を得た。目的物は、1H−NMRおよび、13C−NMRによりGreen Chem. 2005,7,529−539に記載のピークであることを確認した。
【0179】
<ハイパーブランチポリオールD>
パーストープジャパン社製のBoltorn20を使用した。
<ハイパーブランチポリオールE>
パーストープジャパン社製のBoltorn30を使用した。
<ハイパーブランチポリオールF>
パーストープジャパン社製のBoltorn40を使用した。
<ハイパーブランチポリオールG>
DSM社製の高分岐ポリエステルアミド(HYBRANE)を使用した。
【0180】
(実施例1)
ハイパーブランチ(1)
100mLのナス型フラスコ中で窒素雰囲気下、ハイパーブランチポリオールA1.1g、ジエトキシエタン5mLを混合中に、ジイソプロピルエチルアミン1.8g/ジエトキシエタン溶液(10mL)を添加し、さらにアクリル酸クロライド1.1g/ジエトキシエタン溶液(10mL)を滴下して加えた。125℃で35h反応させた後、得られた混合物を酢酸エチル/0.5N塩酸を入れた分液ロートに移し、有機相を抽出し、再度0.5N塩酸で抽出した。次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水の順で有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムを適量添加することで脱水させた。乾燥剤をろ過後、エバポレーターで溶媒を留去し、更に真空乾燥して目的物を得た。
【0181】
次に、300mLの反応容器に、ハイパーブランチ(1)を1.0g、アクリル酸1.4g、アクリル酸tertブチルエステル2.56g、N−メチル−2−ピロリドン200mL、開始剤2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]VF096(和光純薬社製)1.4gを入れ、窒素雰囲気下とした。混合後、100℃で2時間反応させた。反応終了後、メタノールを加え、沈殿物を乾燥させることで、目的物である<ポリマー1>を得た。
【0182】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー1>を4.0質量%、光酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを0.16質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)溶液を作成し、細孔径0.45μmのフィルターで濾過してレジスト組成物を調製した。得られたレジスト組成物をシリコンウェハ上にスピンコートし、90℃にて1分間の熱処理で溶媒を蒸発させて、厚さ100nmの薄膜を作成した。
【0183】
−紫外線照射感度測定−
光源として、放電管式紫外線照射装置(アトー株式会社製、DF−245型ドナフィックス)を用いた。シリコンウェハ上に成膜した厚さ約100nmの試料薄膜に対し、縦10mm×横3mmの長方形の部分に、波長245nmの紫外線を、エネルギー量を0mJ/cm2から50mJ/cm2まで変化させて照射することにより露光した。100℃にて4分間の熱処理後、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)2.4質量%水溶液中に25℃にて2分間浸漬させて現像した。水洗、乾燥後の膜厚を、Filmetrics株式会社製薄膜測定装置F20で測定し、現像後の膜厚がゼロになったときの最小エネルギー量を感度とした。結果を表1に示す。
【0184】
−表面ラフネスの測定−
露光面の表面ラフネスは、永瀬雅夫,早稲田大学審査学位論文2475号,「原子間力顕微鏡によるナノ構造計測とそのデバイス・プロセスへの応用に関する研究」,pp99−107(1996)記載の方法を参考に、上記極端紫外光(EUV)を用い、上記アルカリ水溶液で溶解性が示された露光量の30%の表面について行った。EUV照射は、シリコンウェハ上に成膜した厚さ約500nmの試料薄膜に対して、縦10mm×横3mmの長方形の部分に行い、100℃にて4分の熱処理後、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド(TMAH)2.4質量%水溶液に25℃にて2分浸漬し、水洗、乾燥した表面を評価試料とした。
【0185】
得られた評価試料について、原子間力顕微鏡(島津製作所社製、SPM−9500J3)を用い、表面粗さの指標であるJIS B0601−1994の十点平均粗さの求め方に従って測定した。結果を表1に示す。
【0186】
(実施例2)
ハイパーブランチポリオールBを使用し、実施例1と同様の方法でハイパーブランチ(2)の合成を行った。ハイパーブランチ(2)を使用し、実施例1と同様の方法で<ポリマー2>の合成を行った。
【0187】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー2>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0188】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0189】
(実施例3)
ハイパーブランチポリオールDを使用し、実施例1と同様の方法でハイパーブランチ(3)の合成を行った。ハイパーブランチ(3)を使用し、実施例1と同様の方法で、<ポリマー3>の合成を行った。
【0190】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー3>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0191】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0192】
(実施例4)
ハイパーブランチポリオールEを使用し、実施例1と同様の方法でハイパーブランチ(4)の合成を行った。ハイパーブランチ(4)を使用し、実施例1と同様の方法で<ポリマー4>の合成を行った。
【0193】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー4>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0194】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0195】
(実施例5)
ハイパーブランチポリオールGを使用し、実施例1と同様の方法でハイパーブランチ(5)の合成を行った。ハイパーブランチ(5)を使用し、実施例1と同様の方法で<ポリマー5>の合成を行った。
【0196】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー5>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0197】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0198】
(実施例6)
ハイパーブランチポリオールAを、1.0gと脱水N−メチル−2−ピロリドン300 mlを仕込み、撹拌しながら70℃に加熱して溶解させた。氷水で冷却し、これに2−ブロモイソブチリルブロミド42.3gを滴下し、氷浴を外して室温で20時間撹拌した。反応系を再び氷浴で冷却し、あらかじめ氷浴で冷却したメチル−tert−ブチルエーテルを添加し、氷浴で冷却したイオン交換水で洗浄し、洗液をメチル−tert−ブチルエーテルで抽出し、有機層をまとめて、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄を行い、減圧流去で溶媒を除いた。この溶液をイオン交換水で晶析を行い、メタノールを用いて再結晶ののちに減圧乾燥を行い、目的物ハイパーブランチ(6)を得た。
【0199】
次に、窒素置換した反応容器に、ハイパーブランチ(6)23.2g、tertブチルアクリレート68.2g、ピリジン445g、臭化銅.63g、ビピリジル8.3gを加え、回転数300rpmで撹拌しながら110℃で5時間反応させた。続いて、反応液を撹拌下で室温まで冷却後、銅触媒を取り除いた。その後、メタノール水混合溶媒で再沈殿を行い、生成物を得た。乾燥後、得られた生成物10gに1,4−ジオキサン90gを添加して溶解させ、50質量%硫酸水溶液を10g、を反応容器に入れ、100℃で70分間反応させた。反応終了後、1,4−ジオキサンに対して10倍容量の超純水900g中に撹拌しながらゆっくり注ぎ込みポリマーを沈殿させた後、ろ別、乾燥させることによって、目的物である<ポリマー6>を得た。
【0200】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー6>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0201】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0202】
(実施例7)
ハイパーブランチポリオールCを使用し、実施例6と同様の方法でハイパーブランチ(7)の合成を行った。ハイパーブランチ(7)を使用し、実施例1と同様の方法で<ポリマー7>の合成を行った。
【0203】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー7>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0204】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0205】
(実施例8)
ハイパーブランチポリオールDを使用し、実施例6と同様の方法でハイパーブランチ(8)の合成を行った。ハイパーブランチ(8)を使用し、実施例1と同様の方法で<ポリマー8>の合成を行った。
【0206】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー8>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0207】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0208】
(実施例9)
ハイパーブランチポリオールFを使用し、実施例6と同様の方法でハイパーブランチ(9)の合成を行った。ハイパーブランチ(9)を使用し、実施例1と同様の方法で<ポリマー9>の合成を行った。
【0209】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー9>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0210】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0211】
(実施例10)
ハイパーブランチポリオールGを使用し、実施例6と同様の方法でハイパーブランチ(10)の合成を行った。ハイパーブランチ(10)を使用し、実施例1と同様の方法で<ポリマー10>の合成を行った。
【0212】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー10>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0213】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0214】
(比較例1)
−ハイパーブランチポリマーコア部Aの合成−
Krzysztof Matyjaszewski, Macromolecules 29,1079(1996)およびJean M.J.Frecht,J.Poly.Sci.,36、955(1998)に掲載されている合成方法を参考にし、以下の合成を行った。
【0215】
攪拌機および、冷却管を取り付けた1,000mLの4つ口反応容器にアルゴンガス雰囲気下で、2.2’−ビピリジル49.2gと塩化銅(I)15.6gを採り、反応溶媒のクロロベンゼン480mLを加え、クロロメチルスチレン96.6gを5分間で滴下し、内部温度を125℃一定に保ちながら加熱攪拌した。滴下時間を含めた反応時間は、40分とした。
【0216】
反応終了後、反応混合物にTHFを300mL加え撹拌しポリマー生成物を溶解し、アルミナ400g(100g×4回)を濾剤に用いて吸引濾過して塩化銅を濾別し、濾液は減圧留去した。得られた濾液にメタノール700mLを加えることで再沈させ、粘性の高い褐色の粗製物ポリマーを得た。粗製物ポリマー80gにTHF:メタノール=2:8の混合溶媒を500mL加え、3時間攪拌した。攪拌終了後、ポリマーは沈殿しているため溶媒を除き<コアA>を得た。
【0217】
−ハイパーブランチポリマーの合成−
塩化銅(I)396mg、2,2’−ビピリジル1.24g、および、上記で製造した
<コアA>2.43gが入ったアルゴンガス雰囲気下の反応容器に、モノクロロベンゼン 68.7mL、tert−ブトキシスチレン26.3mL、シリンジで注入し、125℃で2時間加熱攪拌した。
【0218】
反応混合物を急冷却後、THF50mLを加え撹拌し、酸化アルミニウムを濾剤に用いた吸引濾過にて触媒を除去した。得られた短黄色の濾液を減圧留去し粗生成物ポリマーを得た。粗生成物をTHF10mLに溶解させた後、メタノール400mLを加え再沈させた。再沈溶液を、遠心分離し固形分を分離した。この沈殿物をメタノールで洗浄することで、精製物である淡黄色の固体を得た。
【0219】
−脱保護化工程−
還流管付反応容器にポリマー精製物0.6gを採取し、ジオキサン30mL、塩酸(30%)0.6mLを加えて、90℃で60分過熱攪拌した。次に、反応粗製物を300mLの超純水に注ぎ、再沈させ固形分を得た。固形分をジオキサン30mLを加えて溶解させ、再び再沈させた。固形分を回収し乾燥させ、比較例2の<ポリマー12>を得た。
【0220】
−レジスト組成物の調製−
<ポリマー12>を4.0質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、レジスト組成物を調製後、評価試料を作製した。
【0221】
−評価−
実施例1と同様に、紫外線(254nm)の露光実験の感度を測定し、表面ラフネス測定についても同様に行った。結果を表1に示す。
【0222】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0223】
以上のように、本発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体装置の製造方法および半導体装置は、半導体デバイス製造に用いるレジスト組成物、当該レジスト組成物に含まれるコアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物を用いて製造される半導体装置および当該半導体の製造方法に有用であり、特に、ナノメートル領域の超微細加工が要求される半導体の製造に用いるレジスト組成物、当該レジスト組成物に含まれるコアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物を用いて製造される半導体装置および当該半導体の製造方法に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部および当該コア部の末端に設けられたシェル部を備えるコアシェル型ハイパーブランチポリマーであって、
前記コア部が、ハイパーブランチポリオールから誘導される構造を有し、
前記シェル部が、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する部位を有することを特徴とするコアシェル型ハイパーブランチポリマー。
【請求項2】
前記ハイパーブランチポリオールが、分岐ポリエーテルポリオールからなることを特徴とする請求項1に記載のコアシェル型ハイパーブランチポリマー。
【請求項3】
前記ハイパーブランチポリオールが、分岐ポリエステルポリオールからなることを特徴とする請求項1に記載のコアシェル型ハイパーブランチポリマー。
【請求項4】
前記ハイパーブランチポリオールが、分岐ポリアミドポリエステルポリオールからなることを特徴とする請求項1に記載のコアシェル型ハイパーブランチポリマー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含むことを特徴とするレジスト組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のレジスト組成物を用いて、半導体基板上にレジストパターンを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のレジスト組成物によって、半導体基板上にレジストパターンが形成されていることを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2009−144059(P2009−144059A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323063(P2007−323063)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】