説明

コイルばね製造機及びコイルばね製造方法

【課題】従来の、コイルばね成形方向とは逆方向へ螺旋状に湾曲するように送られてきた線材を、ピッチツールがコイルばね成形方向に押し出して平坦部を成形するとき、線材先端近傍に残されたコイルばね成形方向とは逆方向の螺旋状の曲がりにより次の平坦部との間に三日月状の隙間が生じ、ばね座面が平坦にならない等の問題の解決。
【解決手段】線材ガイド13から成形領域Rへ送り出される線材90を成形工具35a,35bに衝合させてコイルばねを成形するコイルばね製造機において、第1のサーボモータによりコイルばね成形方向へ往復駆動されるとともに第2のサーボモータによりコイルばね成形方向に平行な軸まわりに回転駆動される押圧ツール14を基台前面に備え、成形工具成形工具35bの線材90との衝合点からの線材の送り出し方向前方で線材を押圧可能にかつ線材に沿って回動可能に押圧ツール14を位置制御する制御部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材ガイドから前方へ送り出される線材を成形工具に衝合させてコイルばねを成形するコイルばね製造機に関し、詳しくは工具に衝合して湾曲される線材をコイルばねの成形方向に向かって押圧ツールで押し出すようにしたコイルばね製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、例えば、特許文献1に開示のコイリングマシンは、線材の送り手段として上下に対向配置された1対のロールを備え、該各ロールの線材送り方向前方側に曲げダイスを配設すると共に、該曲げダイスと送り手段との間に、線材のガイド部材(本願の線材ガイドに相当)を設けている。曲げダイス(本願の成形ツールに相当)は、その線材当り面における線材当り位置を、ガイド部材における線材出口位置に対しコイルばね成形方向に偏位させ線材をコイルばね成形方向と逆方向に巻成すべく設置されている。またガイド部材と曲げダイスとの間で、該曲げダイスとの対向位置には、線材切断用の芯金(本願の心金の相当)を配設すると共に、曲げダイスの線材当り面に対しガイド部材側で、かつ、線材当り位置からの線材送り出し方向前方に位置する芯金の外側位置に、コイルばね成形方向と逆方向に巻成される線材を成形方向に押出すピッチツール(本願の押圧ツールに相当)を、線材に対し成形方向と逆方向に退去可能に設けている。
【0003】
このコイリングマシンにおいて、線材はガイド部材に挿通された後、曲げダイスに押し当てられて成形されるが、このとき、線材は、曲げダイスの線材当り面におけるガイド部材の線材出口位置に対しコイルばね成形方向に偏位した位置にある線材当り位置に接して巻成されるので、線材はコイルばね成形方向と逆方向に巻成される。ピッチツールを、コイルばね成形方向にある程度突出させて、線材を成形方向に押しやると、成形方向と逆方向に初張力を有した線材はピッチゼロで巻成され、平坦部が成形される。更に、線材の巻成方向を、任意の位置で、かつ、成形方向のみならず逆方向にも自由に設定でき、この結果、前記ピッチツールの前記線材への段階的な一方向への押圧のみで長さ方向両端部に平坦面一な巻成平坦部をもつコイルばねを、従来よりも簡単な工程で安価に製作することができるというものである。
【0004】
しかし、このコイリングマシンは、座巻き部を成形する場合、成形されたコイルばねが切り離されたあとの残りの線材は、更に線材送りされ曲げダイスに押し当てられて巻成されるとき、ピッチツールに押し出されるまでは、コイルばね成形方向と逆方向に巻成される。ピッチツールに押し出されたあとになって初めて平坦部が成形できるようになり、それまでのピッチツールに押し出される前の部分は、コイルばね成形方向と逆方向の螺旋状の曲がり部101aを残したままである。そのためこの成形方向と逆方向の螺旋状の曲がり部101aに続く平坦部101bを成形するとき、たとえば圧縮ばねの場合図20に示すように、座巻き部101において、この曲がり部101aとこれの続く平坦部101bの間に三日月状の隙間101cが生じることになる。
【0005】
近年ばね精度が厳しく要求される場面が多々あるが、厳しい精度に対応するためには正確な形状のコイルばねを必要とする。そのため、例えば圧縮ばねにおいて、線材の座巻き部分に成形方向と逆方向の螺旋状の曲がりが残り、座巻き部に隙間101cが生じることによってばね座面が平坦にならない、その結果ばねの精度がでない等の問題があった。
【0006】
また、特許文献2に開示のスプリング製造装置には、ポイントツール(本願の成形ツールに相当)の近傍に、螺旋状に巻かれていくワイヤ(本願の線材の相当)に当接してコイル部分のピッチを設定するピッチツール(本願の押圧ツールに相当)が設けられている。このピッチツールは、ピッチツール駆動モータによってスプリング成長方向に平行に移動可能及びスプリング成長方向(本願のコイルばね成形方向に相当)に平行な回転軸まわりに所定角度で回動可能になっており、ピッチツール駆動モータを制御することにより、所望のピッチを持つコイルスプリングが成形される。
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示のスプリング製造装置は、例えば圧縮ばねの成形において、線材をコイルばね成形方向と逆方向に螺旋状に成形するようにポイントツールの位置を設定した場合に座巻き部を成形するとき、コイルばね成形方向と逆方向に巻成された螺旋状の曲がりが残りそれの続く平坦部との間に隙間が生じ、ばね座面が平坦にならない。その結果ばねの精度がでない等の問題があった。
【特許文献1】特開平8−99142号公報(段落0020〜0022、図1、図2)
【特許文献2】特開2004−330209号公報(段落0025及び図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願が解決しようとする課題は、座巻き部を密着させるためまたピッチ巻き部のピッチ幅を安定させるために、コイルばね成形方向とは逆方向へ螺旋状に湾曲するように送られてきた線材を、ピッチツール(本願の押圧ツール)がコイルばね成形方向に押し出して平坦部を成形するとき、線材先端近傍に残されたコイルばね成形方向とは逆方向の螺旋状の曲がりにより次の平坦部との間に三日月状の隙間が生じ、その結果、圧縮ばねの座巻き部において、ばね座面が平坦にならない等の従来の問題を解決し、例えば圧縮ばねの座巻き部に隙間が生じないような精度よいコイルばねを成形可能にするコイルばね製造機及びコイルばね製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載のコイルばね製造機は、線材ガイドから成形領域へ送り出される線材を成形工具に衝合させてコイルばねを成形し切断ツールと前記心金との協働でコイルばねを線材から切り離すコイルばね製造機であって、線材ガイドから線材を成形領域に向かって送り出す線材送り出し手段と、線材ガイドから送り出された線材に、線材ガイドの線材出口位置よりコイルばね成形方向寄りの位置に設けた線材との衝合点で衝合し心金の周りに沿って線材をコイルばね成形方向とは逆方向へ湾曲に成形する成形工具と、第1のサーボモータによりコイルばね成形方向へ往復駆動されるとともに第2のサーボモータによりコイルばね成形方向に平行な軸まわりに回転駆動される押圧ツールとを基台前面に備え、成形工具の線材との衝合点からの線材の送り出し方向前方で線材を押圧可能にかつ線材に沿って回動可能に押圧ツールを位置制御する制御部を設けたことを最も主要な特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に記載のコイルばね製造機は、請求項1に記載のコイルばね製造機において、押圧ツールは、線材の送給軸に対して垂直に基台を貫通して設けられた貫通穴に、前後方向へ移動可能かつ貫通穴周りに回転可能に支持された押圧ツール軸の前方端に取り付けられたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3に記載のコイルばね製造機は、請求項2に記載のコイルばね製造機において、押圧ツール軸には同軸に第1の平歯車を取り付け、第1の平歯車と軸方向に相対移動可能に噛み合う第2の平歯車を出力軸に取付けた第2のサーボモータを基台に取り付けて、第2のサーボモータで押圧ツール軸を回転駆動するようにしたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4に記載のコイルばね製造機は、請求項2乃至3に記載のコイルばね製造機において、押圧ツール軸には、押圧ツール軸とはその軸方向の相対移動が規制されかつ押圧ツール軸を回転自在に支持する連結板が設けられ、連結板には、連結板を押圧ツール軸の軸方向に往復駆動する第1のサーボモータが連結されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5に記載のコイルばね製造機は、請求項2乃至4に記載のコイルばね製造機において、第1のサーボモータの出力軸には、一端が連結板に回動可能に取り付けられたコネクティングロッドの他端を偏心位置に回転可能に取り付けの偏心板が取り付けられ、第1のサーボモータの回転により偏心板とコネクティングロッドを介して、連結板を押圧ツール軸とともに軸方向に往復動するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項6に記載のコイルばね製造機は、請求項3乃至5に記載のコイルばね製造機において、押圧ツール軸は線材ガイドの中心線に対して対称位置に対で設けられ、第2のサーボモータ及び第1のサーボモータは各の押圧ツール軸を同時に回転駆動又は往復動可能であることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項7に記載のコイルばね製造方法は、線材ガイドから成形領域へ送り出される線材を成形工具に衝合させてコイルばねを成形するコイルばね製造方法であって、線材ガイドから成形領域に向かって送り出した線材に線材ガイドの線材出口位置より前方かつコイルばね成形方向寄りの位置に線材との衝合点を設けた成形工具を衝合し、心金の周りに沿って線材をコイルばね成形方向とは逆方向側へ湾曲に成形しながら、成形工具の線材送り出し前方方向近傍に待機の押圧ツールが前進し、コイルばね成形方向とは逆方向側へ湾曲に成形され送り出されてくる線材の先端部をコイルばね成形方向に押圧し平坦な座巻き部を成形可能な位置に位置決めする工程と、線材を送り出しながら線材を平坦に成形しつつ押圧ツールを線材の送り出し方向に回動しかつコイルばね成形方向に前進して平坦部を成形可能な座巻き位置まで移動し前側の平坦な座巻き部を成形する工程と、押圧ツールを座巻き位置からピッチ巻き位置まで前進したあと線材を所定量送り出し所定ピッチ及び所定長さのピッチ巻き部を成形する工程と、押圧ツールをピッチ巻き位置からコイルばね成形方向とは逆方向の座巻き位置に後退したあと線材を送り出し後側の平坦な座巻き部を成形する工程と、カットツールが心金に向かって往復動し心金の切り刃と前記カットツールの切り刃との協働で成形されたコイルばねを線材から切り離す工程と、押圧ツールをコイルばね成形方向とは逆方向側に移動するとともに成形工具からの線材の送り出し後方向へ回動し原位置へ復帰する工程とでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願請求項1及び7に記載の発明のコイルばね製造機又はコイルばね製造方法は、線材ガイドから成形領域へ送り出される線材を成形工具に衝合させてコイルばねを成形し、切断ツールと前記心金との協働で前記コイルばねを線材から切り離したあとに、次のコイルばねを成形するために、さらに線材ガイドから成形領域へ線材を送り、線材を成形工具に衝合し湾曲に成形して、成形工具から送り出されてきた線材の先頭部分を、線材送り出し前方方向の成形工具近傍に待機の押圧ツールで、コイルばね成形方向に押圧するとともに、線材の送り出し方向移動に伴い押圧ツールを線材に添わせながら回動する位置制御が可能となる。
【0017】
また、密着した座巻き部を成形すためにコイルばね成形方向とは逆方向側に湾曲に成形され送り出されてきた線材の先頭部分を、成形工具の線材との衝合点からの線材の送り出し方向前方近傍で、押圧ツールでコイルばね成形方向に押圧することが可能となり、平坦な座巻き部を成形することができる。同時に、押圧ツールを成形工具から離れた位置に回動位置決め可能であるので、線材が成形工具に衝合する位置と押圧ツールが線材をコイルばね成形方向に押圧する位置との距離を大きくすることにより、成形工具の線材との衝合点を支点にして押圧される線材への押圧量が拡大される。その結果、コイルばね成形方向とは逆方向側に湾曲に成形され送り出されてきた線材のコイルばね成形方向への戻し量の調整幅が大きくなり、ピッチ巻部のピッチ幅をより精度よく調整することができる。そのため、座巻き部が平坦でピッチ部のピッチ幅が精度よいコイルばねを成形することができる。
【0018】
本願請求項2記載の発明のコイルばね製造機は、押圧ツールが、基台を貫通して前後方向へ移動可能かつ貫通穴周りに回転に支持された押圧ツール軸の前方端に取り付けられているので、押圧ツールは前後方向への移動及び押圧ツール軸周りの回転ができる。押圧ツールで、コイルばね成形方向に押圧するとともに、線材の送り出し方向移動に伴い押圧ツールを線材に添わせながら回動する位置制御が可能となる。
【0019】
本願請求項3記載の発明のコイルばね製造機は、押圧ツールがコイルばね成形方向へ移動するときも、第2のサーボモータにより押圧ツールを押圧ツール軸周りに回転制御することができる。その結果、押圧ツールを線材に添わせながら回動する位置制御が可能となる。
【0020】
本願請求項4,5記載の発明のコイルばね製造機は、押圧ツールが押圧ツール軸周りに回転するときも、第1のサーボモータにより押圧ツールを押圧ツール軸の軸方向に往復動制御することができる。その結果、押圧ツールを線材に添わせながら回動する位置制御が可能となる。
【0021】
本願請求項6記載の発明のコイルばね製造機は、第2のサーボモータ及び第1のサーボモータで各の押圧ツール軸を同時に回転駆動又は往復動可能であるので、いずれの押圧ツール軸に押圧ツールを取り付けても、1組の第1のサーボモータ及び第2のサーボモータで押圧ツールの前後動及び回動制御ができる。その結果、押圧ツールを線材に添わせながら回動する位置制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のコイルばね製造機及びコイルばね製造方法の一実施形態を図1〜図19を基に詳細に説明する。なお、以下の説明における上下左右方向とは、図1における上下左右方向をいうものとする。また、前方とは図1の紙面に対して表側をいうものとする。
【実施例1】
【0023】
図1,2,3,4に示されるように、本実施形態に係るコイルばね製造機10は、鉛直に起立した板状の前板11Aと、それと対峙して後方に設けた後板11Bとを備えた基台11に、線材送給装置20、成形工具駆動装置30a,30b、線材切断装置40、押圧ツール駆動装置50及び心金42を組み付けてなる。以下、各部位について具体的に説明する。
【0024】
線材送給装置20には、コイルばねの材料である線材90を上下方向で挟み込む対の送りローラ21,21が設けられている。そして、上下の送りローラ21,21を、送給される線材90の軸(以下送給軸Lという)に対して対称に回転させることで、線材90を成形空間Rに向けて送給したり、あるいは逆に引き戻すことができるようになっている。なお、送りローラ21,21は、図示されないサーボモータである送りローラ21用モータによって駆動されるため、成形空間Rへの線材90の送給量を制御することができる。
【0025】
また、線材90の送給路において、送りローラ21,21と成形空間Rの間には、線材ガイド13が配設されている。この線材ガイド13には、線材90が挿通可能な案内路が成形されており、線材90はこの案内路を経て成形空間Rに送給される。
【0026】
成形工具駆動装置30a,30bは、線材90の送給軸Lに対して対称に2台配設されている。一方の成形駆動装置30aは、基台11の前板11A上に固定台31aを介して、線材90の送給軸Lに対して斜め下方に配設され、他方の成形駆動装置30bは、固定台31bを介して、線材90の送給軸Lに対して斜め上方に配設されている。
【0027】
各固定台31a,31b上には、スライダ32a,32bが成形空間R側に直線動作可能に係合し、成形空間Rの反対側にサーボモータである成形工具駆動用モータ34a,34bが備えられている。そして、スライダ32a,32bの成形空間R側には、送給される線材90を成形するための成形工具35a,35bが備えられ、反対側はボールネジ機構部33a,33bにより成形工具駆動用モータ34a,34bと連結されている。
【0028】
このように成形工具駆動装置30a,30bが構成されることで、成形工具35a,35bは、成形工具駆動用モータ34a,34bの駆動により、成形工具35aが成形空間Rに対して右側斜め下方から進退動作し、他方の成形工具35bが成形空間Rに対して右側斜め上方から進退動作する。
【0029】
押圧ツール駆動装置50は、図4に示すように、基台11の前板11Aから前方に線材ガイド13を挟んで対称に突出して設けられた一対の押圧ツール軸51、51と、この一方の押圧ツール軸51の先端に、押圧ツール取付ブロック14Aを介し成形空間Rに向かって取り付けられた押圧ツール14と、後述のサーボモータの押圧ツール軸回転駆動モータ54(本発明の第2のサーボモータ)と、サーボモータの押圧ツール軸前後動駆動モータ59(本発明の第1のサーボモータ)とで構成される。押圧ツール軸51、51は、基台11の前板11Aと後板11Bとを貫通して対称に設けられた貫通穴11a,11aに、軸受け11b、11bを介して前後方向へ移動可能かつ前記貫通穴周りに回転可能に支持されて、線材90の送給軸Lに対して垂直に設けられている。
【0030】
押圧ツール軸51、51は後板11Bの後側にも突出しており、その押圧ツール軸51、51の後端側にはそれぞれに平歯車52、52が固定して取り付けられている。この平歯車52、52の双方に噛み合う幅広平歯車53が、後板11B後方にブラケット54Aを介して取り付けられた押圧ツール軸回転駆動モータ54に、減速機54Bを介して取り付けられている。幅広平歯車53は平歯車52、52の双方と噛み合うとともに平歯車52、52とは軸方向に相対移動可能となっている。
【0031】
押圧ツール軸51、51の中間位置には、押圧ツール軸51、51を軸方向へ相対移動不可能にかつ回転自在に支持する連結板56が、押圧ツール軸51、51を跨いで取り付けられている。この連結板56の押圧ツール軸51、51に挟まれた中間位置部分には、ピン55を支点に回転自在にコネクティングロッド57の一端が取り付けられている。コネクティングロッド57の他端は、後述の押圧ツール軸前後動駆動モータ59に減速機59Aを介して取り付けられた偏心板58の偏心位置に設けた突出円柱部58Aに、回転自在に取り付けられている。押圧ツール軸前後動駆動モータ59とその出力側に取り付けられた減速機59Aは、その軸を押圧ツール軸51、51に直角方向にして、ブラケット59Bを介して後板11Bに取り付けられている。
【0032】
押圧ツール駆動装置50はこのような構成でなっており、押圧ツール軸回転駆動モータ59の回転制御により、押圧ツール軸51、51の回転方向位置が制御され、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の回転制御により、押圧ツール軸51、51の前後方向位置が制御される。なお、押圧ツール14は、右巻きばねの場合は上側の押圧ツール軸51に、左巻きの場合は下側の押圧ツール軸51に取り付けられる。これら回転方向位置と前後方向位置の制御により、押圧ツール14は前後方向への位置と押圧ツール軸51を中心とする回転方向位置の制御が可能となっている。
【0033】
線材切断装置40は、心金42の上方に基台11の前板11Aに取り付けられている。前板11Aの後方に向かって、切断工具47の駆動源である切断工具駆動用サーボモータ41が減速機を介して取り付けられている。減速機の出力軸には前後方向の中心軸を有する偏心円板42が取り付けられ、この偏心円板42の中心から偏心した位置には、前方に向かって断面円形状の偏心支柱42Aが立設されている。
【0034】
一方、基台11前面には、直動ガイドレール43が図示されないボルトによって固定されている。直動ガイドレール43は、上下方向に延びて設けられており、この直動ガイドレール43上には、スライダ45が成形空間Rに対して進退移動可能に設けられている。このスライダ45には、成形空間R側の端部に角柱状をなした切断工具47が長手方向を成形空間Rに向けて固定されている。
【0035】
また、スライダ45には、偏心支柱42Aと平行に略中央から支持ピン45Aが起立している。この支持ピン45Aは、リンク部材46を介して偏心支柱42Aと連結されている。リンク部材46は、両端部に貫通孔46A,46Bが成形されており、それぞれ軸受を介して、一方の貫通孔46Aには偏心支柱42Aが嵌合され、他方の貫通孔46Bには支持ピン45Aが嵌合されている。
【0036】
この偏心支柱42A、リンク部材46、スライダ45等によって、クランク機構部が構成され、切断工具駆動用モータ41の回転動作が切断工具47の直線動作に変換される。そして、スライダ45の進退動作と共に切断工具47も成形空間Rに向かって進退動作することとなる。これにより、所定形状のコイルばねが成形された後、切断工具47が成形空間R側に進入した時に、切断工具47のエッジと心金工具42のエッジとの間で線材90が切断され、コイルばねが後続の線材90から切り離されることとなる。
【0037】
図8は、コイルばね製造機10の電気的な構成図である。前述したように、送りローラ21、成形工具35a,35b、切断工具47、及び押圧ツール14は、それぞれ送りローラ21用モータ、成形工具駆動用モータ34a,34b、切断工具駆動用モータ41、押圧ツール軸回転駆動モータ54、及び押圧ツール軸前後動駆動モータ59を駆動源として動作する。これらのモータのサーボアンプ80A,80B,80C,80D,80E,80Fがメイン制御回路85と共に制御盤87に収納されている。メイン制御回路85には、ディスプレイ88およびキーボード89が接続されている。
【0038】
作動シーケンスプログラムが保存されたメイン制御回路85は、図示されない各種センサー等からの入力信号を得て、上記サーボアンプ80A,80B,80C,80D,80E,80Fに作動指令を出す。この指令を元にサーボアンプ80A,80B,80C,80D,80E,80Fは、送りローラ21用モータ、成形工具駆動用モータ34a,34b、切断工具駆動用モータ41、押圧ツール軸回転駆動モータ54、及び押圧ツール軸前後動駆動モータ59に駆動電力を供給する。ディスプレイ88は、現在のコイルばね生産数や、生産しているコイルばねの種別等を表示する。また、キーボード89を操作することによって、コイルばね製造機10の生産スタートおよび停止、手動/自動運転の切替、目標生産数の入力や、生産するコイルばねの形状、長さ等の種別に応じて制御プログラムをメイン制御回路に入力、保存することが可能となっている。
【0039】
以下、このように構成されるコイルばね製造機10の動作について説明する。
成形されるコイルばねの線材径、外径に合わせて前もって段取り替えにより、送りローラ21,21、線材ガイド13、成形工具35a,35b、心金42、切断工具47及び押圧ツール14が選択され、又はその位置が位置決めされている。図1の場合は、右巻きのコイルばねを成形する場合のレイアウトとなっており、以下右巻きのコイルばねの成形の場合について説明する。左巻きのコイルばねの場合は、成形工具35a,35b、心金42、及び押圧ツール14を、線材90の送給軸Lに対して対称な位置に段取り替えする必要がある。
【0040】
コイルばね製造機10が起動すると、送りローラ21用モータの駆動により、線材90を挟持した送りローラ21,21が対称方向へ回転し、線材90が図1の右方向成形空間Rへ向かって送り出される。送り出された線材90は、成形工具35a,35bに順次衝合し、線材90の送給軸Lの上側へ心金42周りを湾曲し、設定された外径のコイルばねが成形される。コイルばねの外径の設定は、成形工具駆動用モータ34a,34bの駆動により、成形工具35a,35bを成形空間Rに向かって進退することによって行われる。
【0041】
成形工具35a,35bは、座巻き部を密着させるため、またピッチ巻き部のピッチ幅を安定させるために、線材ガイド13と成形工具35a,35bとの位置関係は、その線材当り面における線材当り位置(衝合点)を、線材ガイド13における線材出口位置に対しコイルばね成形方向に偏位させ、線材をコイルばね成形方向と逆方向に成形すべく設置されている。そのため、線材ガイドから送り出された線材は、これらの線材当り位置に順次衝合し線材をコイルばね成形方向とは逆方向へ螺旋状に湾曲する。押圧ツール14は成形工具35bに衝合したあとの線材送り出し方向前方のうち成形工具35b近傍に待機している。
【0042】
図5,6,7は、成形空間R近傍の拡大斜視図である。線材ガイド13から送り出される線材90は、成形工具35a,35bに衝合し螺旋状に成形される。図5は、押圧ツール14が前後方向の後ろ側端、及び押圧ツール軸51を中心に反時計方向側の初期設定位置にあるときを示す。図6は、押圧ツール14が、押圧ツール軸51を中心にした回転方向はそのままで、前後方向へ所定量前進し、送られてきた線材90に押圧し線材90を平坦な螺旋状に成形可能な位置にあるとき示す。図7は、押圧ツール14が前後方向へ更に所定量前進し、かつ押圧ツール軸51を中心に所定量時計方向に回動し、所定ピッチのコイルを成形可能なピッチ巻き位置にあるにあるときを示す。
【0043】
図5,6、7に示すように、角柱状の各成形工具35a,35bの先端面には、螺旋状に成形される線材に沿うように線材摺接溝39a,39bが形成されている。そして、成形空間Rに送給された線材90が、各成形工具35a,35bの線材摺接溝39a,39bの内面に押しつけられ円弧状に塑性変形されコイルばねが成形される。図5において、押圧ツール14は線材90と接触しない位置に後退しており、この状態で線材90が成形空間Rに送給されると、線材90は線材摺接溝39a,39bの内面に押しつけられ、2点鎖線で示す線材90a’のように、コイルばね成形方向とは逆方向へ螺旋状に湾曲して成形される。
【0044】
前のサイクルで成形されたコイルばねが切断されると、残された線材90は、図5において90aで示すように、成形工具35a,35bに衝合した状態で残っている。このとき、残された線材90の先頭部は、後述のように前のサイクルにおいて、コイルばねの後ろ側の座巻き部が平坦になるよう成形された平坦部の一部であるため、成形工具35bの衝合点から線材先端90aまでは平坦な螺旋状になっている(図5)。またこのとき、押圧ツール14は線材90と接触しない位置に後退している。
【0045】
線材90が送り出され線材90の先頭部分90aが成形工具35b近傍で待機の押圧ツール14の位置に来たとき、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御により押圧ツール14をコイルばね成形方向に変位させ、また線材90の成形工具35bの衝合点からの送り出し方向移動に同期して、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御により押圧ツール14をコイルばね成形方向に変位させながら、押圧ツール軸回転駆動モータ54により押圧ツール14をコイルばね成形方向に平行な押圧ツール軸51まわりに回動し、押圧ツール14を図7に示す座巻き位置まで移動することにより、押圧ツール14が線材90の先頭部90aをコイルばね成形方向に押圧しながら、線材90に添うように移動する。その結果、コイルばね成形方向とは逆方向へ螺旋状に湾曲して成形されるように送られてきた線材は、押圧ツール14により、その先頭部90aがコイルばね成形方向に押圧されて押し戻され、線材の送り出しに伴い、線材90はコイルばね成形方向に直角な平坦な面になるよう成形され、図19に示すコイルばねの平坦部91bの一部を成形する(図7)。そのあと座巻き位置に位置決めされた押圧ツール14が送り出されてくる線材90を押圧し、残りの平坦部91bが成形され前側の座巻き部91aが成形される。そのあと、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御により押圧ツール14をコイルばね成形方向に変位させ、所定ピッチのピッチ部91cを成形可能なピッチ巻き位置まで移動する。
【0046】
または、次のようにして座巻き部91aを成形するようにしてもよい。線材90が送り出され線材90の先頭部分90aが成形工具35b近傍で待機の押圧ツール14の位置に来たとき、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御により、押圧ツール14が所定量前進し、その先頭部分がコイルばね成形方向に押圧される。その結果、コイルばね成形方向とは逆方向へ螺旋状に湾曲して成形されるように送られてきた線材は、押圧ツール14により、その先頭部90aがコイルばね成形方向に押圧されて押し戻され、続く線材の送り出しに伴い、線材90はコイルばね成形方向に直角な平坦な面になるよう成形され、図19に示すコイルばねの前側の座巻き部の平坦部91bが成形される(図6)。更に続く線材の送り出しに伴い前側の座巻き部91aを成形する。そのあと、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御により押圧ツール14をコイルばね成形方向に変位させながら、押圧ツール軸回転駆動モータ54により押圧ツール14をコイルばね成形方向に平行な押圧ツール軸51まわりに回動して、押圧ツール14を所定ピッチのピッチ部91cを成形可能なピッチ巻き位置まで移動するようにしてもよい。
【0047】
そして、押圧ツール14がピッチ巻き位置に移動したあと、押圧ツール14により線材90を押圧した状態で線材90を送り出し、所定ピッチのピッチ巻部91cが成形される。ピッチ巻部91cが成形されると、線材90を送り出ししながら、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御により押圧ツール14をコイルばね成形方向と反対側に変位させ、座巻き位置に位置決めする。押圧ツール14がこの座巻き位置にある状態で更に線材90を送り出し後側の座巻き部91dを平坦に成形する。
【0048】
コイルばねの直径は、成形工具駆動用モータ34a,34bを駆動し、成形工具35a,35bを成形空間Rに対して進退移動させることで調節することができる。
【0049】
後側の座巻き部91dが成形されると、上側で待機していた切断工具47が下降し、その切り刃と心金42の切り刃とでコイルばねが線材90から切り離される。このとき、残された線材90の先頭部90aは、コイルばねの後ろ側の座巻き部が平坦になるよう成形された平坦部の一部であるため、成形工具35bの衝合点から線材先端90aまでは平坦な螺旋状になっている(図5)。
【0050】
以下、このように構成されるコイルばね製造機10を用いたコイルばねの製造方法の一例について工程説明用の図9乃至18及びコイルばね外観図19をもとに具体的に説明する。各図の(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0051】
前のサイクルで成形されコイルばねが、切断工具47と心金42とにより線材90から切り離され切断されると、切断工具47が後退位置に上昇し、線材ガイド13から繰り出され線材は、成形工具35a,35bと衝合し湾曲した状態で心金42の周りに残っている。押圧ツール14は成形工具35bの衝合後の繰り出し方向近傍の待機位置に待機している。このとき押圧ツール14の軸心と送給軸Lとのなす角はα1である。このとき線材90は、心金42の周りに沿って平坦に湾曲し、成形工具35bの衝合点から線材先端90aまでは平坦な螺旋状になっている(図9、図5)。
【0052】
この状態で送りローラ21用モータの駆動により成形工具35a,35bに順次衝合しながら、線材90を送り出し、線材90の先頭部90aが押圧ツール14の前面にさしかかると、押圧ツール14を所定量前方へ移動する動作にかかる(図10)。押圧ツール14は座巻き部を平坦に成形可能な位置に位置決めされ、なおかつ、線材90を送り出す。線材90は、スプリングバック後に平坦になるように、線材90の送り出し方向に湾曲に成形されながら送り出される(図11)。この線材90の送り出し方向移動に同期して、押圧ツール14を押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御によりコイルばね成形方向に変位させながら、押圧ツール軸回転駆動モータ54により押圧ツール14をコイルばね成形方向に平行な軸まわりに回動し、押圧ツール14を座巻き位置に移動する。この移動のとき、押圧ツール14が線材90の先頭部90aをコイルばね成形方向に押圧しながら、線材90に添うように移動し、コイルばねの平坦部90bの一部を成形する。この移動により押圧ツール14の軸心と送給軸Lとのなす角はα2となる。(図12、図7)。
【0053】
そのあと座巻き位置の押圧ツール14が送り出されてくる線材90を押圧し、残りの平坦部90bが成形され前側の座巻き部91aが成形される(図13)。そのあと、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御により押圧ツール14をコイルばね成形方向に変位させ、所定ピッチのピッチ部91cを成形可能なピッチ巻き位置まで移動する(図14)。ピッチ巻き位置に移動した押圧ツール14により線材90を押圧した状態で線材90を送り出し、所定ピッチのピッチ巻部91cが成形される(図15)。ピッチ巻部91cが成形されると、線材90を送り出ししながら、押圧ツール軸前後動駆動モータ59の制御により押圧ツール14をコイルばね成形方向と反対側に変位させる(図16)。押圧ツール14がこの座巻き位置にある状態で更に線材90を送り出し後側の座巻き部91dを成形する(図16)。後側の座巻き部91dが成形されると、上側で待機していた切断工具47が下降し、その切り刃と心金42の切り刃とでコイルばね91が線材90から切り離される(図17)。切断工具47が後退位置に上昇し、線材ガイド13から繰り出され線材は、成形工具35a,35bと衝合し湾曲した状態で心金42の周りに残る(図18)。押圧ツール14は成形工具35bの衝合点からの繰り出し方向近傍の待機位置に待機する(図9)。
【0054】
このように、押圧ツール14の前後方向への位置決め、及びコイルばね成形方向に平行な押圧ツール軸51まわりの回動位置決め制御により、押圧ツール14を成形工具の近傍に位置決めし、密着した座巻き部を成形するため及び安定したピッチ幅を得るためにコイルばね成形方向とは逆方向側に湾曲に成形され送り出されてきた線材90の先頭部分90aを、押圧ツール14でコイルばね成形方向に押圧することにより、成形工具35bの線材との衝合点からあとに成形され送り出される部分の線材を、初めから平坦な座巻き部に成形することができ、圧縮ばねの座巻き部に隙間が生じない精度のよいコイルばねを成形することができる。2個目のコイルばね成形以降は、前のサイクルで成形されたコイルばねの後ろ側の座巻き部91dの成形の際に、すでに、成形工具の線材との衝合点から線材の先頭部分90aまでは平坦に成形されている。そのため、2個目のコイルばね成形以降は両端の座巻き部を平坦に成形することができる。
【0055】
また、同時に、押圧ツール14を成形工具35bから離れた位置に回動することにより、線材90が成形工具35bに衝合する位置と押圧ツール14が線材90をコイルばね成形方向に押圧する位置との距離を大きくすることができ、成形工具35bの線材90との衝合点を支点にして押圧される線材90への押圧量が拡大される。その結果、コイルばね成形方向とは逆方向側に湾曲に成形され送り出されてきた線材90のコイルばね成形方向への戻し量の調整幅が大きくなり、ピッチ巻部91cのピッチ幅をより精度よく調整することができる。
そのため、ピッチ部のピッチ幅が精度よいコイルばねを成形することができる効果がある。
【0056】
[他の実施形態]
本実施例では、線材90の先頭部90aが押圧ツール14の前面にさしかかると、押圧ツール14を所定量前方へ移動し座巻き部を平坦に成形可能な位置に位置決めし、線材90の送り出し方向移動に同期して、押圧ツール14を座巻き位置に移動しながら、コイルばねの平坦部90bの一部を成形したあと、座巻き位置の押圧ツール14が送り出されてくる線材90を押圧し、残りの平坦部90bが成形され前側の座巻き部91aが成形されるようにしたが、押圧ツール14が座巻き部を平坦に成形可能な位置のままで座巻き部91aを成形したあと、押圧ツール14をピッチ巻き位置に移動し、ピッチ部91cを成形するようにしてもよい。
【0057】
本実施例では、線材ガイド13から前記成形領域Rに向かって送り出した線材90に線材ガイド13の線材出口位置より前方かつコイルばね成形方向寄りの位置に線材90との衝合点を設けた成形工具35a,35bを衝合し、心金42の周りに沿って線材90をコイルばね成形方向とは逆方向側へ湾曲に成形するようにしたが、成形工具35a,35bに成形された線材摺接溝39a,39bの傾きを変えることによって、線材をコイルばね成形方向とは逆方向側へ湾曲に成形するようにしてもよい。
なお、本発明に係るコイルばね製造機及びコイルばね製造方法は、上述した実施例の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、さまざまな形態に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のコイルばね製造機の正面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図2のB矢視図
【図4】成形空間R近傍図
【図5】成形空間R近傍の拡大斜視図
【図6】成形空間R近傍の拡大斜視図
【図7】成形空間R近傍の拡大斜視図
【図8】電気的な構成図
【図9】動作説明図
【図10】動作説明図
【図11】動作説明図
【図12】動作説明図
【図13】動作説明図
【図14】動作説明図
【図15】動作説明図
【図16】動作説明図
【図17】動作説明図
【図18】動作説明図
【図19】実施例によるコイルばね外観図
【図20】従来技術によるコイルばね外観図
【符号の説明】
【0059】
10 コイルばね製造機
11 基台
13 線材ガイド
14 押圧ツール
20 線材送給装置
21,21 送りローラ
30a,30b 成形工具駆動装置
34a,34b 成形工具駆動用モータ
35a,35b 成形工具
40 線材切断装置
41 切断工具駆動用モータ
42 心金
47 切断工具
50 押圧ツール駆動装置
51、51 押圧ツール軸
54 押圧ツール軸回転駆動モータ(第2のサーボモータ)
59 押圧ツール軸前後動駆動モータ(第1のサーボモータ)
90 線材
R 成形空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材ガイドから成形領域へ送り出される線材を成形工具に衝合させてコイルばねを成形し切断ツールと心金との協働で前記コイルばねを前記線材から切り離すコイルばね製造機であって、
前記線材ガイドから前記線材を前記成形領域に向かって送り出す線材送り出し手段と、
前記線材ガイドから送り出された前記線材に、前記線材ガイドの線材出口位置よりコイルばね成形方向寄りの位置に設けた前記線材との衝合点で衝合し心金の周りに前記線材を前記コイルばね成形方向とは逆方向へ湾曲に成形する成形工具と、
第1のサーボモータによりコイルばね成形方向へ往復駆動されるとともに第2のサーボモータによりコイルばね成形方向に平行な軸まわりに回転駆動される押圧ツールとを基台前面に備え、
前記成形工具の前記線材との衝合点からの線材の送り出し方向前方で前記線材を押圧可能にかつ前記線材に沿って回動可能に前記押圧ツールを位置制御する制御部を設けたことを特徴とするコイルばね製造機。
【請求項2】
前記押圧ツールは、線材の送給軸に対して垂直に前記基台を貫通して設けられた貫通穴に、前後方向へ移動可能かつ前記貫通穴周りに回転可能に支持された押圧ツール軸の前方端に取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載のコイルばね製造機。
【請求項3】
前記押圧ツール軸には同軸に第1の平歯車を取り付け、前記第1の平歯車と軸方向に相対移動可能に噛み合う第2の平歯車を出力軸に取付けた第2のサーボモータを前記基台に取り付けて、前記第2のサーボモータで前記押圧ツール軸を回転駆動するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のコイルばね製造機。
【請求項4】
前記押圧ツール軸には、前記押圧ツール軸とはその軸方向の相対移動が規制されかつ前記押圧ツール軸を回転自在に支持する連結板が設けられ、前記連結板には、前記連結板を前記押圧ツール軸の軸方向に往復駆動する前記第1のサーボモータが連結されていることを特徴とする請求項2乃至3に記載のコイルばね製造機。
【請求項5】
前記第1のサーボモータの出力軸には、一端が前記連結板に回動可能に取り付けられたコネクティングロッドの他端を偏心位置に回転可能に取り付けの偏心板が取り付けられ、前記第1のサーボモータの回転により前記偏心板と前記コネクティングロッドを介して、前記連結板を前記押圧ツール軸とともに軸方向に往復動するようにしたことを特徴とする請求項2乃至4に記載のコイルばね製造機。
【請求項6】
前記押圧ツール軸は前記線材ガイドの中心線に対して対称位置に対で設けられ、
前記第2のサーボモータ及び前記第1のサーボモータは前記各の押圧ツール軸を同時に回転駆動又は往復動可能であることを特徴とする請求項3乃至5に記載のコイルばね製造機。
【請求項7】
線材ガイドから成形領域へ送り出される線材を成形工具に衝合させてコイルばねを成形するコイルばね製造方法であって、
前記線材ガイドから前記成形領域に向かって送り出した前記線材に前記線材ガイドの線材出口位置より前方かつコイルばね成形方向寄りの位置に前記線材との衝合点を設けた前記成形工具を衝合し、心金の周りに沿って前記線材をコイルばね成形方向とは逆方向側へ湾曲に成形しながら、前記成形工具の前記線材送り出し前方方向近傍に待機の押圧ツールが前進し、前記コイルばね成形方向とは逆方向側へ湾曲に成形され送り出されてくる線材の先端部をコイルばね成形方向に押圧し平坦な座巻き部を成形可能な位置に位置決めする工程と、
前記線材を送り出しながら前記線材を平坦に成形しつつ前記押圧ツールを前記線材の送り出し方向に回動しかつコイルばね成形方向に前進して平坦部を成形可能な座巻き位置まで移動し前側の平坦な座巻き部を成形する工程と、
前記押圧ツールを前記座巻き位置からピッチ巻き位置まで前進したあと前記線材を所定量送り出し所定ピッチ及び所定長さのピッチ巻き部を成形する工程と、
前記押圧ツールを前記ピッチ巻き位置からコイルばね成形方向とは逆方向の座巻き位置に後退したあと前記線材を送り出し後側の平坦な座巻き部を成形する工程と、
カットツールが前記心金に向かって往復動し前記心金の切り刃と前記カットツールの切り刃との協働で前記成形されたコイルばねを前記線材から切り離す工程と、
前記押圧ツールをコイルばね成形方向とは逆方向側に移動するとともに前記成形工具からの前記線材の送り出し後方向へ回動し原位置へ復帰する工程とでなることを特徴とするコイルばね製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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