説明

コイル式乾燥機

【課題】 従来コイル式乾燥機の欠点は加熱コイルが処理物の搬送の役目を行う為、ケーシング内での処理物積載量の安定が困難であった。
【解決手段】 加熱コイルのネジレを寸断する事により、又、寸断部に送り作用付きである攪拌羽根を設ける事により、ケーシング内での積載量の安定及び処理物の均一移動により、乾燥効率が著しく上昇する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイルのネジレ角による処理物の移動速度を遅くする事により、コイル回転方向を一定方向、又は、逆転時間の減少によりコイル内に発生するドレーンが逆転により排出停止状態を、少時間にする事による効率低下を防ぐ手段である。
【背景技術】
【0002】
乾燥の原理より云えば、スクリューコイルの回転数は通常2〜10R/Mが適当とされているが、この回転数にて運転すれば処理物が投入口より排出口への到着時間は10〜30分程度と思われるが、通常乾燥に要する時間は殆ど1時間以上である。この為スクリューコイル逆回転の動作により、処理物を逆送させ滞留時間を延ばしているが、その間のドレーンの排出量は減り能力は減少し、容器内の処理物の片寄現象が起こっている。
【0003】
送りを遅くする為、図1の(A)コイルピッチを小とした場合はコイル外周に図1の(B)の如く処理物が附着し、共まわり現象が起こりコイル接触が不十分となる為、伝熱量が小さくなり乾燥効果が小さくなる。又、中央シャフトの方向に処理物が落ちにくく乾燥効果は著しく落ちる。微紛物に関しても処理物に水分が多い場合は殆どこの現象が通常起こっており、又シャフト、及びコイルサポート部の清掃は困難となる。
【0004】
コイルピッチを大とした場合、処理物はシャフト側に落下、処理物の殆どコイル上面に附着しなくはなるが、送り速度が早くなり再々羽根回転方向は変える必要が出る為、コイル内のドレーン排出は困難な状況となり熱効率は下がり乾燥が悪くなる欠点がある。
【0005】
コイルネジ方向は連続式とバッチ式とにより異なるが、以下の方式が考えられる。
(1)右ネジ、継ぎ材、右ネジ、継ぎ材、の繰り返し
(2)右ネジ、継ぎ材、右ネジ、継ぎ材、繰り返し後、左ネジ、継ぎ材、左ネジ、継ぎ材、の繰り返し
(3)右ネジ、継ぎ材、左ネジ、継ぎ材、右ネジ、継ぎ材、左ネジ、継ぎ材
以上様々全ての組合せ方式
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1は従来のコイル式乾燥機で、コイルが連続のコイル状になっている為、8より投入した処理物は9に到着する時間が短く乾燥が不十分な製品が出る。これをふせぐ為図2のコイルピッチAを小さく、Dの継ぎ材によりコイルによる処理物の送りは完全に途切れ、処理物の押付圧による移動のみの運動に変わり、移動速度は減少し継ぎ材の部分で図2のCの方向に処理物は落下し、落下運動及びシャフトとの衝突動作により、処理物の拡散効果を発揮し、乾燥を促進します。尚、コイルの伝熱面積を多くする為、図1のA寸法よりも図2のA寸法を小さくするのは手段の一つです。
【0007】
図5は、請求項3の参考図です。左ネジ、継ぎ材、右ネジ、継ぎ材、の繰り返しにて、組合せる場合出来るだけ加熱コイルにドレーンが溜まりにくい状態にする方が効果が良くなる故、この方法を使いますと、1ブロック当りの加熱コイル長さを短く形成する事が可能であり、ドレーンのつまりを防ぐ手段として使います。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を保有するジャケット付、又はジャケットなしのもので容器内に水分の含んだ汚泥又は粉体、又は残渣類(以後処理物と云う)を保留し、その中に攪拌・混合・搬送動作を行う羽根を具備したコイルを円筒ネジ式に巻きつけ、さらにこのコイルにも蒸気を入れながら回転させる事により処理物を加熱、水分蒸発させる乾燥機において、従来のコイルをエンドレス、つまり全ネジ式に巻きつけている方式を数本のネジ式を1ブロックとし、又はネジレ寸法をゼロ、つまりネジレ無しとした各々のコイルを1ブロックとし、数ブロック継ぎ合わせた構造熱源体とする事により一定方向の回転で処理物の容器内の移動速度調整可能となり滞留時間の調整も可能なコイル式乾燥装置。
【請求項2】
装置内に蒸気供給用ヘッドパイプを設け、このパイプより各々の1〜数ブロックに1ヶ所蒸気を供給し、他方ドレーン収穫用ヘッドパイプには各供給箇所よりのドレーンを回収出来る構造とする事により請求項1項の変形装置として、高能率の乾燥能力が得られるコイル式乾燥装置。
【請求項3】
この程の乾燥方式には連続投入方式、つまり容器の片端より処理物を連続投入し、他端より乾燥品処理物を連続排出する方式と一括投入方式、つまり容器内に処理物を排出口を閉としたまま一括投入し、乾燥時間内滞留させた後、排出口を開として処理物を排出する方式、のどちらが適応するコイル式乾燥装置。

【図1】従来の連続排出型乾燥機を示しており、(8)の部分より処理物を定量ずつ投入し過熱コイルの搬送能力により(4)の位置より乾燥物は定量ずつ排出されます。 ただし、乾燥機内での滞留時間を保つため、一部攪拌羽根(3)の逆回転を行う場合も有ります。 従来のこのタイプのコイル式ドライヤは一定容器内(1)に伝熱面積を多く具備したい為加熱コイルの取付ピッチ(A)を小さく設置した場合処理物の横移動速度はネジ式スクリューの理論に基ずき移動速度は遅くなりますが処理物が加熱コイルに外面(B)に巻きつき処理物の容器内の乱流、及び、滞留が無くなり加熱コイルの全面に熱伝導しない為乾燥効率は著しく低下します。又、加熱コイルのピッチ(A)を大にしますと処理物の(B)は無くなり容器内下部に向って落下し、落下途中の中間シャフト、及、下側の別加熱コイルの衝突により熱効率は上がりますが処理口の入口より出口迄の滞留時間が充分ではなくなる欠点がある。
【図2】今回考案された連続式排出型乾燥機であり(8)の部分より処理物を定量ずつ投入し加熱コイルの搬送能力(一部攪拌羽根(3)の逆移動の作用も有り)により(9)の位置より乾燥物は定量ずつ排出されます。 従来装置の乾燥効率を上げるために加熱コイルはピッチ(A)を小さくして、一巻〜数巻を1ブロックとし、ブロック間をネジレ角度の無い継ぎ材(15)にて接続する事により機構的には移動速度を完全になくし、処理物の押し付け力のみの移動にする為、滞留時間は大となり、又、この部分での処理物の落下(C)も多くなり下側コイルの衝突による(D)の熱吸収もあり乾燥効果を上げる考案です。
【図3】従来の一括投入方式で排出口(9)を閉とし、投入口(8)を開として処理物を所定量投入した後、投入口(8)を閉として駆動電動機(4)にて正、逆回転にて所定時間運転する事により処理物を乾燥させます。この従来の形式は排出口を閉としている為処理物は大きく片寄り、又、逆転により逆方向に片寄りながら乾燥はしていきますが逆転と正転とは殆ど同時間が必要であり逆転の場合のドレーン排出経路が一本であることによりドレーン排出が悪くなる為その間の乾燥能力が著しく落ち乾燥時間は長時間かかるという欠点を持っています。
【図4】今回考案された一括投入方式の乾燥機で乾燥効率を改善しています。加熱コイルは1巻〜数巻を1ブロックとし、ブロック間をネジレ角度の無い(又は殆ど角度の無い)の継ぎ材にて接続する事により機構的には移動速度を完全になくし処理物の押し付け力のみの移動にする為横移動は少なく逆転時間が短時間になりドレーン排出効率が悪くなることを改善しています。又この継ぎ材部では処理物の落下も多くなり乾燥物を上げる事が可能です。
【図5】連続排出型乾燥機で図2との違いはスチームヘッドパイプ(14)を設けている事です。(8)の口より処理物を定量ずつ投入し加熱コイルの巻方向による搬送能力により処理物の排出口(9)の方向に移動しますが加熱コイルのネジレ方向が種々の角度及角度なし又は逆方向の組合せが可能になりましたネジレ方向によりドレーン化した蒸気が加熱コイルのネジレ方向に従って処理物の入口側に加熱蒸気の入口を設置したり又加熱コイルの逆ネジレの場合はスチームヘッドパイプにより逆方向よりスチーム投入(処理物の出口側に加熱蒸気の入口をつける事)によりドレーンはコイル回転が逆方向でもネジレ方向にドレーンが排出します。又、乾燥機型式が一括投入方式でもこの理論を使う事により同回転方向のみの運転可能となり効率は上昇する。
【符号の説明】
【0010】
処理物保有容器(1)
処理物に供給する過熱パイプ(加熱コイル)(2)
処理物攪拌羽根(3)
駆動電動機(4)
回転を伝える電動装置(5)
スチーム(蒸気)入口用回転軸継手(6)
(入口側パイプは定位置固定され出口パイプは回転可能な構造の部品)
ドレーン排出用回転軸継手(7)
(ドレーン回収パイプ及排出パイプは定位置に固定した(軸)は回転可能な構造の部品
処理物投入口(8)
処理物排出口(9)
保存容器加熱用ジャケット(10)
処理物より出てバーパー(湯気)抜口(11)
加熱パイプ中の熱が処理物に熱を奪われドレーンとなって回収する中空シャフト(ドレーン保有容器)(12)
回転軸受(13)
スチームヘッダー(14)(図5)
継ぎ材(15)(図2、図4、図5)

【公開番号】特開2006−300498(P2006−300498A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150103(P2005−150103)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(593071270)山本技研工機株式会社 (7)
【Fターム(参考)】