説明

コップ収納ケース

【課題】収納したコップの破損を防止し、且つコップの収納作業が容易なコップ収納ケースを提供する。
【解決手段】シート材を組み立て形成し、コップAを収納する上面開口型のケース本体2と、ケース本体上面開口部の一縁に連設された第1保持面部31を前記一縁で折り曲げ収納されるコップ開口端部A1に対面する第1保持面部31と、ケース本体上面開口部一縁に対向する他縁に連設された第2保持面部32を前記他縁で折り曲げコップ開口端部に対面する第2保持面部32と、第1及び第2保持面部を折り曲げた状態で、第1保持面部と第2保持面部の対向する端縁に連設された緩衝片部5をケース本体内部に突出する山形状に折り曲げた緩衝片部と、を備え、緩衝片部の両側縁の少なくとも一部分が、収納されるコップの内周面A2に接し、緩衝片部の面内に、物品Bの一部分を挿入脱可能な挿入口7が形成されているコップ収納ケース1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コップを収納した状態で、ボトル型容器などの物品に取り付けることができるコップ収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コップを包装するケースとして、様々な包装材が用いられている。このうち、比較的安価に製造でき、更に、不使用時には折り畳んで扁平状にして保管できるなどの理由から、合成樹脂製シート、厚紙などのシート材を組み立てたコップ収納ケースが多用されている。
【0003】
ところで、コップは、それ自体単独で販売する他、他の物品に付属させて販売する場合もある。例えば、飲料を入れたボトル型容器に、コップを付属させて販売する方式などである。かかる販売方式は、コップ自体が譲渡の対象でなく、コップを物品の販促用景品として付属させることもある。
このような販売方式に於いて、従来、図17及び図18に示すようなコップ収納ケース100が用いられている。
このコップ収納ケース100は、シート材を組み立てて形成されており、内部にコップAを収納可能な上面開口型の直方体状のケース本体120と、ケース本体120の上面開口部123の3方の縁からそれぞれ連設され、且つ内側へ折り曲げることによって、収納されたコップAの開口端部に接してコップAを抜脱不能に保持する保持片130と、を有している。
この3つの保持片130は、平板状であり、その面内には、コップAの開口部よりも小径の挿入口140が形成されいる。かかるコップ収納ケース100は、ケース本体120内にコップAを入れた後、各保持片130を順次折り曲げて重ね、最後に折り曲げる保持片130をケース本体120に固定することにより、コップAの開口上端部を保持片130にて収納保持できると共に、コップAの開口部に保持片130の挿入口140が連通する。
このコップ収納済みの収納ケース100の挿入口140を、図19及び図20に示すように、ボトル型容器Bの首部に挿入することにより、コップ収納ケース100を容器Bに付属させることができる。
【0004】
さらに、上記従来のコップ収納ケース100は、搬送等の際、挿入したボトル型容器Bの首部が、コップAの内周面に当たり、コップAが破損する虞がある。このため、該容器Bの首部とコップAの内周面の間に、別途、緩衝部材150が介装される。緩衝部材150としては、ボトル型容器の首部を包むように、段ボールを折り曲げて形成されたものが用いられる。
【0005】
しかしながら、コップ収納ケース100と緩衝部材150は、別体であるため、コップAを収納する際、両者を組み合わせつつ組み立てなければならない。従って、コップの収納作業が煩雑となる。また、両者は別体であるため、異なる2点の部材をそれぞれ作製しなければならず、それに応じて製品コストも上昇する。
【0006】
さらに、上記従来のコップ収納ケース100は、平板状の保持片130に挿入口140が形成されている。このため、挿入口140の縁は、ボトル型容器Bの首部の周方向且つ水平に接する。このように挿入口140の縁が、容器Bの首部の周方向に水平に接するので、容器Bに対してコップ収納ケース100が揺動し易い。従って、搬送時などにおいて、コップ収納ケース100が揺れ動き、取り付けたコップ収納ケース100が容器Bに対して歪むことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、収納したコップの破損を防止でき、且つコップの収納作業を比較的簡易に行うことができ、更に、挿入する物品に対して揺動し難いコップ収納ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコップ収納ケースは、シート材を組み立てて形成されており、コップを収納可能な上面開口型のケース本体と、ケース本体の上面開口部の一縁に連設された第1保持面部であって、前記一縁において折り曲げることにより、収納されるコップの開口端部に対面する第1保持面部と、ケース本体の上面開口部の一縁に対向する他縁に連設された第2保持面部であって、前記他縁において折り曲げることにより、収納されるコップの開口端部に対面する第2保持面部と、第1及び第2保持面部が折り曲げられた状態において、第1保持面部と第2保持面部の対向する端縁に連設された緩衝片部であって、ケース本体の内部に突出するように山形状に折り曲げられた緩衝片部と、を備え、緩衝片部の両側縁の少なくとも一部分が、収納されるコップの内周面に接し、緩衝片部の面内には、物品の一部分を挿入脱可能な挿入口が形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記コップ収納ケースは、ケース本体内にコップを入れた後、第1及び第2保持面部を折り曲げることによって、第1及び第2保持面部が収納されたコップの開口端部に対面する。従って、コップは、第1及び第2保持面部によって保持され、ケース本体内から抜け出ずに収納される。
この折り曲げられた第1及び第2保持面部の間には、ケース本体の内部に突出するように山形状に折り曲げられ且つ挿入口を有する緩衝片部が設けられている。この緩衝片部の挿入口を、物品の一部分(例えば、ボトル型容器の首部等)に挿入することにより、コップ収納済みの収納ケースを物品に取り付けることができる。
該物品とコップの内周面の間には、両側縁の少なくとも一部がコップの内周面に接する緩衝片部が介在しているので、物品とコップの内周面の隙間を確実に維持することができる。従って、上記コップ収納ケースは、搬送等の際、コップが物品に当たる虞がなく、コップが破損することを防止できる。
また、挿入口は、折り曲げられた緩衝片部の面内に形成されているので、緩衝片部の挿入口の縁が、物品の一部分(挿入部分)の上下方向に弧を描くように接するので、コップ収納ケースは、物品に対して揺動し難くなる。
なお、上記コップ収納ケースは、シート材を組み立てて形成されているので、従来のように、別途の緩衝部材を組み合わせる必要がなく、コップの収納作業を比較的簡易に行える。
【0010】
上記コップ収納ケースは、上記物品の一部分がボトル型容器の首部であり、上記緩衝片部の挿入口の縁部が、このボトル型容器の首部に接するように形成されていることが好ましい。
かかるコップ収納ケースは、挿入口の縁部がボトル型容器の首部に接するように形成されているので、緩衝片部の挿入口が容器の首部に密着する。このため、コップ収納ケースは、物品に対して、より揺動し難くなるので好ましい。
【0011】
本発明の好ましいコップ収納ケースは、上記ケース本体に、第1保持面部の外面及び第2保持面部の外面に重ね合わされる押さえ面部が設けられ、押さえ面部の面内には、前記物品の一部分を挿入脱可能で且つ該物品の一部分に接する挿入孔が形成されている。
かかるコップ収納ケースは、押さえ面部が設けられているので、第1及び第2保持面部が、コップの重みなどによって押圧されても、該第1及び第2保持面部の浮き上がりを防止できる。
さらに、該押さえ面部には、物品の一部分の周囲に接する挿入孔が形成されているので、押さえ面部の挿入孔が物品の一部分(挿入部分)の下方部において接し、且つ緩衝片部の挿入口が物品の一部分の上方部において接する。このため、上記コップ収納ケースは、物品の一部分の上下に離れた位置において接するので、コップ収納ケースが揺動することをより確実に防止できる。
【0012】
本発明の好ましいコップ収納ケースは、上記緩衝片部の挿入口の縁の一部分に、収納されるコップの底面部に接する延出片部が連設されている。
かかるコップ収納ケースは、コップの底面部に接する延出片部が設けられているので、物品に対して、より揺動し難くなるので好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るコップ収納ケースは、コップの破損を防止しつつ、容器などの物品に取り付けることができる。また、本発明のコップ収納ケースは、コップの収納作業を比較的簡易に行うことができ、又、製品単価も比較的安価に抑えることができる。さらに、本発明のコップ収納ケースは、挿入する物品に対して揺動し難く、従って、搬送時などに、コップ収納ケースが歪んだ状態となることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ただし、本発明に於いて、用語の接頭語として「第1」「第2」などを付しているが、これは、部材などの優劣を意味するものではなく、用語の区別のために付している。
【0015】
<第1実施形態>
図1〜図4に於いて、1は、本発明の一実施形態のコップ収納ケースを示す。なお、各図に於いて、コップAを二点鎖線で表す。また、各図において、一点鎖線は、折り目を表す。
コップ収納ケース1は、後述するように、シート材を組み立てて形成されている。
該コップ収納ケース1は、コップAを収納可能な上面開口型のケース本体2と、該ケース本体2に収納されたコップAを、ケース本体2内から抜脱不能に保持する一対の保持面部31,32と、前記コップAの内周面A2に部分的に接し且つ挿入される物品とコップAの間を緩衝する緩衝片部5と、を有する。
【0016】
ケース本体2は、中空状の直方体状に形成されている。具体的には、ケース本体2は、対向する正背面壁21,22と該正背面壁21,22の間に設けられた対向する両側面壁23,24とを有する四角筒状体と、該四角筒状体の下面開口部を閉塞する底面壁25と、を有する上面開口型の容体である。
前記正背面壁21,22と両側面壁23,24は、略直角状に連設されており、従って、ケース本体2の上面開口部6の開口縁は、対向する二縁61,62(一縁61及び他縁62)とこの対向二縁61,62にそれぞれ略直交した対向する二側縁63,64(一側縁63及び他側縁64)とを有する、四角形状(好ましくは正方形状)に形成されている。
【0017】
一対の保持面部31,32は、それぞれ略四角形状に形成され、ケース本体2の上面開口部の対向二縁61,62からそれぞれ連設されている。この上面開口部6の一縁61に連設された保持面部31を「第1保持面部」と、上面開口部6の一縁61に対向する他縁62に連設された保持面部を「第2保持面部」という。
第1保持面部31は、上面開口部6の一縁61と略同幅に形成され、第1保持面部31の端縁31a(上面開口部6の一縁61と対向する縁)は、これよりも少し短い幅に形成されている。
第2保持面部32は、上面開口部6の他縁62と略同幅に形成され、第2保持面部32の端縁32a(上面開口部6の他縁62と対向する縁)は、これよりも少し短い幅に形成されている。
【0018】
第1保持面部31及び第2保持面部32は、それぞれ上面開口部6の二縁61,62に沿って形成された折り目をヒンジ部として、正背面壁21,22に対して内側に折り曲げられている。折り曲げられた第1保持面部31及び第2保持面部32は、その内面が収納されたコップAの開口端部A1に対面し、該コップAは、ケース本体2の底面壁25と第1保持面部31及び第2保持面部32との間に挟まれて、収納保持される。
上記第1保持面部31の長さ(上面開口部6の一縁61から第1保持面部31の端縁31aまでの長さ)は、該第1保持面部31を折り曲げた際、上記のようにコップAの開口端部A1に対面する程度に形成されていれば、特に限定されない。第2保持面部32の長さ(上面開口部6の他縁62から第2保持面部32の端縁32aまでの長さ)についても同様である。好ましくは、第1保持面部31及び第2保持面部32の長さは、ケース本体2の上面開口部6の一側縁63の長さの約1/5〜1/3倍程度に形成される。
【0019】
さらに、図3及び図4に示すように、上記第1及び第2保持面部31,32が折り曲げられた状態において、第1保持面部31と第2保持面部32の対向する端縁31a,32aには、緩衝片部5が連設されている。
具体的には、緩衝片部5の一方の端縁は、第1保持面部31の端縁31aに連設され、緩衝片部5の他方の端縁(緩衝片部5の一端縁に対向する端縁)は、第2保持面部32の端縁32aに連設されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、緩衝片部5と第1保持面部31は一体的に連設されており、該緩衝片部5は、第1保持面部31の端縁31aに沿って形成された折り目をヒンジ部として、折り曲げ可能である。一方、緩衝片部5と第2保持面部32は、組み立て前は別個独立しているが、緩衝片部5から突設された差込み片部51を第2保持面部32の切り目321に係入することにより、図3に示すように、緩衝片部5と第2保持面部32の端縁32aが連設される。なお、322は、前記切り目321を形成するために、第2保持面部32から延設された延出片である。
ここで、上記切り目321は、シート材を貫通する切込み線である。また、上記折り目は、シート材を折り曲げやすくするための易屈曲線である。本発明において、折り目としては、例えば、シート材を厚み方向に切り込んだハーフカット線(Vノッチともいう)、貫通孔が断続的に形成されたミシン目などを用いることができる。好ましくは、折り目は、ハーフカット線である。
【0020】
上記緩衝片部5は、第1及び第2保持面部31,32の端縁31a,32aと略同幅の長方形状に形成されており、好ましくは、緩衝片部5の幅は、収納されるコップAの内径(内周面A2の直径)よりも僅かに小さく形成される。かかる幅の緩衝片部5は、折り曲げた際、緩衝片部5の両側縁5a,5aが、コップAの内周面A2に接するからである。
一方、緩衝片部5の長さは、折り曲げられた第1及び第2保持面部31,32の対向する端縁31a,32aの間隙長さよりも、十分に長く形成されている。第1及び第2保持面部31,32の対向する端縁31a,32aの間において、内側へ山形状に折れ曲がった緩衝片部5を形成するためである。
【0021】
かかる緩衝片部5は、ケース本体2の内部に向かって突出するように、山形状に折り曲げられている。なお、本実施形態では、緩衝片部5には、その長さ方向(第1保持面部31の端縁31aが延びる方向と直交する方向)の中途部に、幅方向に延びる折り目52が形成され、該折り目52を介して折り曲げられている。従って、緩衝片部5の折り曲げ頂部53は、角状(好ましくは鋭角状)となっている。
もっとも、緩衝片部5は、このように折り曲げ頂部53が角状となるものに限られず、例えば、緩衝片部5の折り曲げ頂部53が弧状に形成されていてもよい。緩衝片部5に前記折り目52を形成しなければ、緩衝片部5の折り曲げ頂部53は、弧状に形成され得る。また、緩衝片部5に、幅方向に延びる折り目を複数(例えば2本)形成し、該複数の折り目を介して緩衝片部5が複数箇所で折り曲げられていてもよい。例えば、幅方向に延びる折り目が2本形成されている緩衝片部5は、第1保持面部31及び第2保持面部32から下方斜めに延び、且つ2本の折り目で折り曲げられ、該2本の折り目の間に平坦面を有する山形状(側面視逆台形状)に形成され得る。
【0022】
ケース本体2内にコップAを収納した後、上記緩衝片部5を内側へ折り曲げることにより、緩衝片部5がコップAの凹部内に進入する。そして、該緩衝片部5は、その両側縁5a,5aの少なくとも一部分(例えば、緩衝片部5の折り曲げ頂部53の両側に於ける側縁5a’,5a’)が、コップAの内周面A2に接する。
【0023】
さらに、この緩衝片部5の面内には、所定の物品の一部分(例えばボトル型容器の首部等)に挿入脱可能な挿入口7が形成されている。この挿入口7は、その中心が緩衝片部5の折り曲げ頂部53の稜線上に位置して形成されている。
かかる挿入口7の縁は、物品の一部分(挿入部分)の周囲に線接触しうるように形成されている。具体的には、物品の一部分がボトル型容器の首部の場合、該首部の横断面形状は、通常、円状である。かかる容器の首部に緩衝片部5の挿入口7を挿入する場合において、該首部の周囲に線接触しうるような挿入口7は、上面視円状に形成される。
なお、上述のように、緩衝片部5は、山形状に折り曲げられるため、緩衝片部5の面内には、その長さ方向に拡がった楕円形状の開口部(この開口部は、緩衝片部5を折り曲げた際に挿入口7となる)を形成すればよい。かかる楕円形状の開口部を有する緩衝片部5を上記のようにして折り曲げれば、該開口部は、上面側から視ると長さ方向に縮まり、その結果、上面視円状の上記挿入口7を形成できる。
【0024】
さらに、ケース本体2の上面開口部6の一側縁63には、押さえ面部8が連設されている。
該押さえ面部8は、ケース本体2の上面開口部6と略同大に形成されており、さらに、押さえ面部8の端縁8aには、係止用のフラップ片81が連設されている。該押さえ面部8は、ケース本体2の一側縁63に沿って形成された折り目をヒンジ部として、折り曲げ可能である。
また、押さえ面部8の面内には、所定の物品の一部分(例えば、上記容器の首部)に挿入脱可能な挿入口82が形成されている。以下、押さえ面部8の挿入口82を、緩衝片部5の挿入口7と区別するため、「挿入孔」という。
この押さえ面部8の挿入孔82は、略円形状に形成されている。該挿入孔82は、押さえ面部8を折り曲げた状態において、挿入孔82の中心が、上記緩衝片部5の挿入口7の中心を通る上下方向線上に略位置するように形成されている。
上記押さえ面部8は、内側に折り曲げられ、第1及び第2保持面部31,32の外面上に被さるように重ね合わされている。
【0025】
さらに、ケース本体2の上面開口部6の他側縁64には、係止面部9が連設されている。
該係止面部9は、ケース本体2の上面開口部6と略同大に形成されているが、係止面部9の端縁9aは、弧状に形成されている。この係止面部9は、ケース本体2の他側縁64に沿って形成された折り目をヒンジ部として、折り曲げ可能である。
また、係止面部9の面内には、所定の物品の一部分(例えば、上記容器の首部)が挿入脱可能な挿入口92が形成されている。以下、係止面部9の挿入口92を、緩衝片部5の挿入口7と区別するため、「係止孔」という。
この係止面部9の係止孔92は、周方向に90°ずつ位置ずれした4つの突部91を有する略十字状に形成されている。該係止孔92は、係止面部9を折り曲げた状態において、係止孔92の中心が、上記緩衝片部5の挿入口7の中心を通る上下方向線上に略位置するように形成されている。
上記係止面部9は、内側に折り曲げられ、押さえ面部8の外面上に被さるように重ね合わされている。
【0026】
本発明のコップ収納ケース1に収納されるコップAは、飲み口を有する有底筒状のものであれば特に限定されない。コップAの形状は、例えば、縦断面凹状のものであり、代表的には、図示したような有底円筒状が例示されるが、有底四角筒状、有底楕円筒状、有底六角筒状など、その他の形状でもよい。また、コップAは、ケース本体2内に収納できる程度の範囲で、外周面に取っ手が形成されているものでもよい。
また、コップAの材質についても特に限定されず、陶器製、ガラス製、合成樹脂製、金属製、木製などの公知の材質でもよい。もっとも、本発明のコップ収納ケース1は、緩衝性に優れていることから、陶器製やガラス製のコップAを収納した際に、特に顕著な効果を奏する。
なお、コップAとは、液体の飲用に使用できる器類を意味し、一般に、グラス、湯飲み、カップなどと呼ばれているものを含む意味である。
【0027】
コップ収納ケース1は、可撓性のあるシート材を組み立てることによって形成されている。
該シート材としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系などの各種合成樹脂製シート、紙、合成紙などの各種シートを用いることができる。また、シート材は、同種又は異種の積層シートでもよい。中でも、収納したコップなどを外部から視認できることから、透明(無色透明又は有色透明)なシート材を用いることが好ましい。
シート材の厚みは、特に限定されないが、例えば、合成樹脂製シートの場合には、0.2mm〜1.0mm程度が例示される。
中でも、適度な剛性と柔軟性を有することから、厚み0.2mm〜0.6mm程度の透明なポリプロピレンのシートを用いることが好ましい。
【0028】
次に、図5は、コップ収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図5に付した符号のうち、上記コップ収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、コップ収納ケース1と同じ符号を付している。
【0029】
この展開シート10は、1枚のシート材を打ち抜いて形成されている。
この展開シート10は、ケース本体2の正面壁21、背面壁22、及び両側面壁23,24に対応する面部が連なって形成されている。一方の側面壁24の一側には、糊代片241が連設されている。各壁面の下縁には、ケース本体2の底面壁25を形成する底面形成片251がそれぞれ連設されている。
上記展開シート10には、コップ収納ケース1の組み立てに際して、折り曲げられる部分に、それぞれ折り目が形成されている。図5に於いて、全ての折り目を一点鎖線で表している。
上記展開シート10の各部の構成は、上記コップ収納ケース1の各部に対応しているので、その具体的な説明は省略する。
【0030】
次に、上記展開シート10からコップ収納ケース1を組み立てつつ、その内部にコップを収納する手順を説明することにより、本発明のコップ収納ケース1を更に詳述する。
展開シート10を用い、各折り目において折り曲げつつ、糊代片241を背面壁22の一側内面に接着すると共に、各底面形成片251を組み合わせて底面壁25を形成する。これにより、図1に示すような、上面開口型のケース本体2が形成される。
【0031】
上記展開シート10を用いた場合には、ケース本体2は、正背面壁21,22、両側面壁23,24及び底面壁25を有する上面開口型の有底四角筒状に形成される。もっとも、ケース本体2は、四角筒状に限られず、例えば、円筒状、六角筒状などの他の形状に変更することも可能である。
ケース本体2の大きさは、収納されるコップAの大きさ及び形状に合わせて形成される。例えば、該ケース本体2は、正背面壁21,22及び両側面壁23,24の内面に、収納したコップAの外周面の一部がそれぞれ接する大きさに形成されることが好ましい。収納されたコップAの横ずれを防止するためである。
なお、ケース本体2の上面開口部6は、コップAを出し入れするための開口部分である。
【0032】
次に、上記ケース本体2の上面開口部6から、コップAを入れる。コップAは、その開口部を、ケース本体2の上面開口部6側に向けて入れられる。つまり、ケース本体2の底面壁25にコップAの底部が接するように入れられる。
コップAを入れた後、図6に示すように、第1保持面部31と第2保持面部32を、内側へ折り曲げる。折り曲げられた第1及び第2保持面部31,32は、コップAの開口端部A1に対面する。
ケース本体2の高さ(正面壁21の上下方向長さに相当)が、コップAの高さと略同じに形成されている場合には、第1及び第2保持面部31,32の内面が、コップAの開口端部A1に面接触しうる。このようにケース本体2がコップAと同じ高さに形成されている場合には、ケース本体2と第1及び第2保持面部31,32によって、コップAを挟持でき、コップAがケース本体2内で上下方向に位置ずれすることを効果的に防止できる。
【0033】
次に、第1保持面部31の端縁31aに一体的に連設された緩衝片部5を、その中央部において山形状に折り曲げつつ、該緩衝片部5を、第1保持面部31の端縁31aと第2保持面部32の端縁32aの間に存する隙間から、コップAの凹部内へ入れ込む。そして、緩衝片部5の差込み片部51を切り目321に差し入れ、第2保持面部32の端縁32aに緩衝片部5を連設させる。
かかる山形状に折り曲げられた緩衝片部5は、その面内に上面視円状の挿入口7を有した状態で、緩衝片部5の側縁5aが、コップAの内周面A2に部分接触しうる。
【0034】
次に、押さえ面部8を内側へ折り曲げ、押さえ面部8のフラップ片81を、第1及び第2保持面部31,32の側縁とケース本体2の側面壁24の隙間に差し入れる。折り曲げた押さえ面部8は、図7に示すように、第1及び第2保持面部31,32の外面を押さえるように重なる。第1及び第2保持面部31,32の間には、緩衝片部5が連設され、折り曲げられた緩衝片部5の復元力やコップAの自重などによって、第1及び第2保持面部31,32は、浮き上がり易いが、押さえ面部8によって、この浮き上がりを効果的に防止できる。
そして、押さえ面部8の挿入孔82と緩衝片部5の挿入口7は、上下方向において略同じ位置に揃うこととなる。
【0035】
最後に、図7に示す係止面部9を内側へ折り曲げることにより、図2に示すような、コップAが収納保持されたコップ収納ケース1を得ることができる。なお、後述するように、係止面部9を内側(押さえ面部8の外面上)へ折り曲げないでコップ収納ケース1を使用することもできる。
【0036】
コップAが収納されたコップ収納ケース1は、例えば、挿入口を所定の物品の一部分に挿入して使用される。
物品は、特に限定されないが、本発明のケース1はコップを収納することから、飲料容器が好ましい。飲料としては、アルコール類、清涼飲料などが挙げられる。また、物品の形状としては、コップ収納ケース1の挿入口に挿入できる部分を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは、首部を有する容器(ボトル型容器)である。
【0037】
図8は、首部B1を有するボトル型容器Bに、本発明のコップ収納ケース1を付属させる構成例を示している。
ボトル型容器Bは、首部B1を上に向けて載置面上に載置される。コップ収納ケース1の挿入口を、該ボトル型容器Bの首部B1に挿入することにより、コップ収納ケース1をボトル型容器Bに取り付けることができる。
具体的には、コップ収納ケース1の係止面部9の係止孔92を、容器Bの首部B1に挿入することにより、図9に示すように、該首部B1は、前記係止孔92から押さえ面部8の挿入孔82及び緩衝片部5の挿入口7に嵌り込む。
【0038】
挿入した容器Bの首部B1とコップAの内周面A2の間には、図9に示すように、緩衝片部5が介在している。かかる緩衝片部5は、その側縁5aが、コップAの内周面A2に接するように構成されているので、容器Bの首部B1とコップAの内周面A2の隙間を確実に維持することができる。
従って、搬送時などにおいて、容器Bの首部B1とコップAの内周面A2が接触する虞がなく、コップAが破損することを防止できる。
【0039】
また、緩衝片部5は、内側へ折り曲げられ、その折り曲げ部分を含んで挿入口7が形成されている。従って、緩衝片部5の挿入口7の縁は、容器Bの首部B1の上下方向に弧を描くように接触するので、該緩衝片部5を介して、容器Bの首部B1に挿入されたコップ収納ケース1は、首部B1に対して揺動し難い。
特に、上記コップ収納ケース1は、緩衝片部5と上下に離れた位置に押さえ面部8が設けられている。この押さえ面部8の挿入孔82は、容器Bの首部B1の下方部(容器Bの首部と肩部の境界部分)の周囲に接する。従って、コップ収納ケース1は、押さえ面部8の挿入孔82が容器Bの首部B1の下方部において接し、且つ緩衝片部5の挿入口7が容器Bの首部B1の中途部において接する。このため、コップ収納ケース1は、容器Bの首部B1の上下に離れた位置(下方部及び下方部よりも上方の中途部)で首部B1に保持されるので、コップ収納ケース1が揺動することをより確実に防止できる。
【0040】
さらに、上記コップ収納ケース1は、押さえ面部8の外面に係止面部9が設けられている。この係止面部9の係止孔92の縁部は、弧状に形成されておらず、部分的に突出した複数の突部91を有する。このため、係止面部9の係止孔92においては、図8に示すように、容器Bの首部B1の外周面に接する突部91が適宜弾性変形して、首部B1と強く密着する。従って、搬送時などに、コップ収納ケース1が、容器Bの首部B1から不用意に抜け難くなる。
【0041】
また、本発明のコップ収納ケース1は、上記のように係止面部9を内側に折り、係止面部9の係止孔92から押さえ面部8の挿入孔82及び緩衝片部5の挿入口7に、容器Bの首部B1を嵌め込んで取付ける使用例のほか、図10に示すように、コップ収納ケース1を容器Bに吊り下げて使用することもできる。すなわち、コップAが収納されたコップ収納ケース1の係止面部9を押さえ面部8側へ折り曲げず、該係止面部9の係止孔92のみを容器Bの首部B1に挿入して、コップ収納ケース1を容器Bに取り付けることもできる。
【0042】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るコップ収納ケースは、緩衝片部の挿入口の縁の一部分に、収納されるコップの底面部に接する延出片部が連設されている。
以下、第2実施形態について説明するが、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
【0043】
図11〜図13において、本実施形態のコップ収納ケース1は、上記第1実施形態のコップ収納ケース1と同様に、ケース本体2と、第1及び第2保持面部31,32と、押さえ面部8と、係止面部9と、を有する。さらに、本実施形態のコップ収納ケース1は、緩衝片部5を有するが、該緩衝片部5は、下記の点で、上記第1実施形態と異なる。
なお、図14に、本実施形態のコップ収納ケース1を構成する展開シート10を示す。各図において、上記第1実施形態と同様の構成について、適宜、その符号を付している。
【0044】
本実施形態の緩衝片部5は、上記第1実施形態の緩衝片部5よりも長く形成されている。この緩衝片部5の面内には、一部分を除いて、平面視略長円状に形成された有端状の切り目54が形成され、この切り目54で囲われた範囲は、切り目54の両端部54a,54aの間において、緩衝片部5に連設されている。該切り目54で囲われた範囲を押し出すことにより、緩衝片部5から延出片部55が延出されている。なお、切り目54で囲われた範囲を押し出すことにより、挿入口7が形成される。従って、上記延出片部55は、挿入口7の縁の一部分に連設されている。なお、本実施形態の挿入口7も、緩衝片部5を折り曲げた状態で、上面視円状である。
該延出片部55の端部側には、半円弧状の切り目56が形成されていると共に、該切り目56の両端部から延出片部55の側縁まで、折り目57が形成されている。
【0045】
本実施形態のコップ収納ケース1は、図15に示すように、コップAを収納した後、第1及び第2保持面部31,32を折り曲げ、次に、切り目54に沿って延出片部55を押し出しつつ、緩衝片部5を内側へ折り曲げることにより、これらをコップAの凹部内に進入させる。すると、緩衝片部5の両側縁5a,5aの少なくとも一部分(例えば、緩衝片部5の折り曲げ頂部53の両側に於ける側縁5a’,5a’)が、コップAの内周面A2に接すると共に、延出片部55の端部が、折り目57にて折れ曲がり、延出片部55の端部が、コップAの底面部A3に接する。
事後、上記第1実施形態と同様に、押さえ面部8などを順次折り曲げることにより、図12に示すような、コップ収納済みのコップ収納ケース1が得られる。
【0046】
かかるコップ収納ケース1の挿入口を、容器Bの首部B1に挿入することにより、図16に示すように、コップ収納ケース1を容器Bの首部B1に取り付けることができる。
本実施形態のコップ収納ケース1は、延出片部55がコップAの底面部A3に接しているので、容器Bに対して、より揺動し難くなる。
従って、コップ収納ケース1を取り付けた容器Bを搬送などしても、該コップ収納ケース1が歪むことをより確実に防止できる。
【0047】
<他の実施形態>
上記第1及び第2実施形態において、緩衝片部5の挿入口7の縁全体が容器Bの首部B1に接するように形成されているが、例えば、上記係止面部9の係止孔92と同様にして、緩衝片部5の挿入口7の縁から突出する突部を複数形成してもよい。この場合、挿入口7の縁から突設された突部が、適宜弾性変形して容器Bの首部B1に密着するので、縁全体が容器Bの首部B1に接する挿入口7と同様に、コップ収納ケース1は、首部B1に対して揺動し難くなる。
【0048】
また、押さえ面部8の挿入孔82についても同様に、該挿入孔82の縁から複数の突部が突設されているものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のコップ収納ケースの第1実施形態を示し、コップを収納する際にケースを開放した状態の分解斜視図。なお、各図に於いて、収納するコップを二点鎖線で表す。
【図2】コップを収納した状態の同コップ収納ケースの斜視図。
【図3】図2のI−I線に於ける断面図。
【図4】図2のII−II線に於ける断面図。
【図5】同コップ収納ケースを構成する展開シートの平面図。但し、図5に於いて、展開シートに形成された全ての折り目を一点鎖線で表す。
【図6】同コップ収納ケースにコップを収納していく手順を示す斜視図。ただし、図6に於いて、押さえ面部を二点鎖線で表している。
【図7】同手順を示す斜視図。
【図8】同コップ収納ケースを容器に取り付けた状態を下方側から視た斜視図。
【図9】図8のIII−III線に於ける一部省略断面図。
【図10】コップ収納ケースの他の取付け例を示す斜視図。
【図11】本発明のコップ収納ケースの第2実施形態を示し、コップを収納する際にケースを開放した状態の分解斜視図。
【図12】コップを収納した状態の同コップ収納ケースの斜視図。
【図13】図12のIV−IV線に於ける断面図。
【図14】同コップ収納ケースを構成する展開シートの平面図。但し、図14に於いて、展開シートに形成された全ての折り目を一点鎖線で表す。
【図15】同コップ収納ケースにコップを収納していく手順を示す斜視図。ただし、図15に於いて、緩衝面部及び延出片部を判りやすく図示するため、緩衝面部及び延出片部を実線で表し、その他を二点鎖線で表している。
【図16】同コップ収納ケースを容器に取り付けた状態を示す一部省略断面図。
【図17】従来のコップ収納ケースの分解斜視図。
【図18】コップを収納した状態の従来のコップ収納ケースの斜視図。
【図19】従来のコップ収納ケースをボトル型容器に挿入する前の斜視図。
【図20】従来のコップ収納ケースをボトル型容器に取り付けた状態を下方から見た斜視図。
【符号の説明】
【0050】
1…コップ収納ケース、2…ケース本体、31…第1保持面部、32…第2保持面部、5…緩衝片部、55…延出片部、6…ケース本体の上面開口部、7…緩衝片部の挿入口、8…押さえ面部、82…押さえ面部の挿入孔、9…係止面部、92…係止面部の係止孔、10…展開シート、A…コップ、A1…コップの開口端部、A2…コップの内周面、A3…コップの底面部、B…容器(物品)、B1…容器の首部(物品の一部分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を組み立てて形成されており、
コップを収納可能な上面開口型のケース本体と、
ケース本体の上面開口部の一縁に連設された第1保持面部であって、前記一縁において折り曲げることにより、収納されるコップの開口端部に対面する第1保持面部と、
ケース本体の上面開口部の一縁に対向する他縁に連設された第2保持面部であって、前記他縁において折り曲げることにより、収納されるコップの開口端部に対面する第2保持面部と、
前記第1及び第2保持面部が折り曲げられた状態において、第1保持面部と第2保持面部の対向する端縁に連設された緩衝片部であって、ケース本体の内部に突出するように山形状に折り曲げられた緩衝片部と、を備え、
前記緩衝片部の両側縁の少なくとも一部分が、収納されるコップの内周面に接し、
前記緩衝片部の面内には、物品の一部分に挿入脱可能な挿入口が形成されていることを特徴とするコップ収納ケース。
【請求項2】
前記ケース本体には、前記第1保持面部の外面及び第2保持面部の外面に重ね合わされる押さえ面部が設けられ、前記押さえ面部の面内には、前記物品の一部分に挿入脱可能で且つ該物品の一部分に接する挿入孔が形成されている請求項1に記載のコップ収納ケース。
【請求項3】
前記緩衝片部の挿入口の縁の一部分に、収納されるコップの底面部に接する延出片部が連設されている請求項1または2に記載のコップ収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−273612(P2008−273612A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122454(P2007−122454)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】