説明

コネクタ、及び、該コネクタを利用したLED照明器具

【課題】回路基板と接続対象物の回路基板と平行な平面内における相対移動を許容しつつ、低背化、接触信頼性の向上、コンタクトの保護、及び、容易且つ確実な嵌合作業性を実現できるコネクタ、及び、該コネクタを利用したLED照明器具を提供する。
【解決手段】プラグコネクタ30が、リセプタクルコンタクト15の対応する対をなす挟持片20、23によって挟持される一対の接触部37を有するプラグコンタクト35と、回路基板CBとの対向面が開口しリセプタクルコンタクト及びプラグコンタクトを収納する収納空間46、及び、プラグコンタクトを移動可能として保持する保持部48、50、52を有するプラグインシュレータ45と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板と接続対象物を回路基板と平行な平面内で相対移動可能として接続するコネクタ、及び、該コネクタを利用したLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
直管型のLED照明器具は一般的に、直線的に延びる円筒状のガラスや樹脂(ポリカーボネート等)によって構成した透光管と、該透光管の内部に同一平面上に位置しかつ透光管の長手方向に並ぶように配設した、一方の面(下面)側にLEDが固定された平板状をなす多数の回路基板と、隣り合う回路基板どうしを接続する複数のコネクタと、を具備している。
各回路基板を透光管に対して取り付けたときに、隣り合う回路基板どうしが設計位置から上記長手方向にずれたり、或いは透光管の幅方向(長手方向に対して直交する方向)にずれてしまうことがある。そのため上記コネクタには、これらの位置ずれを吸収する機能が要求される。
【0003】
特許文献1はこのような位置ずれ吸収機能を有するコネクタを開示している。
このコネクタは各回路基板の一方の面に固定した複数のリセプタクルコネクタ(基板用コネクタ)と、隣り合う回路基板に固定された2つのリセプタクル同士を接続する複数のプラグコネクタ(連結用コネクタ)と、を有している。
リセプタクルコネクタは、一方の面側(回路基板と反対側)に開口部を有するリセプタクルインシュレータ(ハウジング)と、リセプタクルインシュレータの内部に上記開口部と対向する状態で収納され、回路基板の回路と電気的に接続する複数のリセプタクルコンタクト(端子)と、を備えている。各リセプタクルコンタクトは、互いに離間した状態で対向する一対の弾性片を有している。
プラグコネクタは、プラグインシュレータ(ハウジング)と、プラグインシュレータの内部に支持した、複数のプラグコンタクト(連結端子)と、プラグインシュレータの表面を覆う絶縁板と、を備えている。プラグインシュレータは、一対の支持部材と、一対の支持部材を接続する弾性変形可能な接合部と、を具備している。各支持部材には、支持部材をその厚み方向に貫通する複数の支持孔が形成してある。各プラグコンタクトは、直線的な角柱形状の連結部と、連結部の両端部から連結部に対して直交する方向に突出する一対の脚部と、を具備している。各プラグコンタクトは、一対の脚部を一方の支持部材の支持孔と他方の支持部材の支持孔に一方側から挿入し、各脚部の先端部を対応する支持孔から回路基板側に突出させてある。各脚部は対応する支持孔に対して自身の軸線回りに微小角度範囲内で回転可能であり、脚部が回転すると連結部が支持部材に対して相対回転する。絶縁板は、脚部の先端と反対側から各支持部材に被せてあり、各脚部が対応する支持孔から抜け出すのを規制している。
【0004】
プラグコネクタの一対の支持部材を隣り合う2つの回路基板に固定した各リセプタクルコネクタにそれぞれ近づけて、各プラグコンタクトの脚部をリセプタクルインシュレータの上記開口部に挿入すると、各脚部が対応するリセプタクルコンタクトの一対の弾性片の間に進入し、該一対の弾性片によって弾性的に挟持される。その結果、隣り合う2つの回路基板どうしがプラグコンタクトとリセプタクルコンタクトを介して互いに電気的に導通する。従って、特許文献1のコネクタを上記のようなLED照明器具に適用すれば、各回路基板に電流が流れて各LEDが発光する。
さらに、隣り合う回路基板どうしが設計位置に対してLED照明器具の長手方向にずれた場合は、各プラグコンタクトの少なくとも一方の脚部が対応するリセプタクルコンタクト(一対の弾性片)に対して長手方向にスライドし、さらに接合部が弾性変形して一対の支持部材どうしの距離を変化させることにより、当該位置ずれを吸収する。
一方、隣り合う回路基板どうしが設計位置に対して透光管の幅方向にずれた場合は、各プラグコンタクトの少なくとも一方の脚部が対応する支持孔に対して相対回転し(連結部が支持部材に対して相対回転し)、さらに接合部が弾性変形して一対の支持部材どうしを該幅方向に相対スライドさせることにより、当該位置ずれを吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−33953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LEDとコネクタは回路基板の一方の面である回路形成面に固定されるため、コネクタの厚みが大きくなると、拡散されながら発射されるLEDの照明光の一部がコネクタによって遮られ、照射範囲が狭くなってしまう。そのためコネクタは、その厚みをできる限り低背化する(薄くする)のが好ましい。
しかし特許文献1のプラグコンタクトは、連結部から脚部を突出させた構造であるため、脚部を突出させた分だけ高背化してしまう。
【0007】
さらにプラグコンタクトの脚部は連結部に比べて機械的強度が弱いが、特許文献1ではこの脚部をリセプタクルコンタクト(一対の弾性片)と接触(嵌合)させているため、脚部とリセプタクルコンタクトが位置ずれした状態で接触(嵌合)した場合には、脚部が変形したり破損するおそれがある。また、特に隣り合う回路基板どうしが横方向や回転方向に位置ずれすると脚部が回転する構造のため、繰り返しの位置ずれや振動が加わると脚部と一対の弾性片が微摺動し、脚部や弾性片に施しためっきにダメージが生じたり接触抵抗が変動し易くなる。そのため、プラグコンタクトとリセプタクルコンタクトの接触信頼性が低下し易い。
【0008】
また特許文献1では、リセプタクルコネクタの各支持部材の表面を絶縁板で覆っているものの、一対の支持部材間の隙間においてプラグコンタクト(連結部)が露出してしまうので、嵌合作業時にプラグコンタクトが変形したり、プラグコンタクトに作業者の皮脂(手)が付着するおそれがある。さらに粉塵等の異物が付着し易く、腐食やスパークの原因になる虞もある。
【0009】
本発明の目的は、回路基板と接続対象物の回路基板と平行な平面内における相対移動を許容しつつ、低背化、接触信頼性の向上、コンタクトの保護、及び、容易且つ確実な嵌合作業性を実現できるコネクタ、及び、該コネクタを利用したLED照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコネクタは、回路基板と接続対象物を該回路基板と平行な平面内で相対移動可能として接続する、互いに着脱可能なプラグコネクタとリセプタクルコネクタを備えるコネクタであって、上記リセプタクルコネクタは、互いの離間方向に弾性変形可能な対をなす挟持片、及び、該挟持片を挟んで互いに離間しかつ支持溝を備える一対のガイド部を有し、かつ上記回路基板の一方の面に固定されるリセプタクルコンタクトを備え、上記プラグコネクタは、自身の延長方向が上記平面と平行、かつ、上記回路基板の厚み方向と直交する自身の板厚方向に弾性変形可能な直線状の板状部材であり、対応する対をなす上記挟持片によって上記延長方向に移動可能として挟持され、かつ一対の上記ガイド部の上記支持溝に嵌合する接触部、を有する、上記接続対象物と電気的に導通するプラグコンタクトと、上記回路基板との対向面が開口し上記リセプタクルコンタクト及びプラグコンタクトを収納する収納空間を有し、上記プラグコンタクトを保持するプラグインシュレータと、を備えることを特徴としている。
【0011】
上記接続対象物が、上記回路基板と同一平面上に位置し、かつ一方の面に上記リセプタクルコンタクトが固定された、該回路基板とは別の接続対象回路基板であり、上記プラグコンタクトが、上記回路基板側の対をなす上記挟持片と上記接続対象回路基板側の対をなす上記挟持片とにそれぞれ挟持される一対の上記接触部と、該一対の接触部を通る上記延長方向と平行な一直線上に位置する被支持部を備え、上記プラグインシュレータが、上記被支持部を該プラグコンタクトの延長方向及び板厚方向に移動可能として保持する支持部を有してもよい。
【0012】
また、上記接続対象物を、上記プラグコンタクトと接続する電線としてもよい。
【0013】
上記支持溝の内面に係止突起を形成し、上記プラグコンタクトに、上記支持溝に嵌合したときに上記係止突起が係合する凹部または貫通孔からなる係止部を形成してもよい。
【0014】
上記ガイド部が、互いに上記プラグコンタクトの長手方向に対向する複数のガイド片を備え、上記各ガイド片に上記支持溝を上記長手方向に並べて形成してもよい。
この場合は、少なくとも一つの上記ガイド片の上記支持溝の両側面に上記プラグコンタクトの厚み方向に並ぶ一対の上記係止突起を形成してもよい。
【0015】
上記リセプタクルコンタクトが、上記回路基板に固定される平板状の基部を備え、上記ガイド部が、上記基部の上記長手方向の端部から該基部に対して略直交する方向に延びる第1ガイド片と、該第1ガイド片の先端から上記回路基板と上記接続対象回路基板の少なくとも一方側に延びる第2ガイド片とからなり、該第2ガイド片の自由端部を上記回路基板と上記接続対象回路基板の少なくとも一方に半田付けしてもよい。
【0016】
対をなす上記挟持片の一方に嵌合突片を形成し、上記プラグコンタクトに、該嵌合突片が上記延長方向に相対移動可能として嵌合する接続孔を形成してもよい。
この場合は、対をなす上記挟持片の他方に、上記プラグコンタクトに接触する挟持突起を形成してもよい。
【0017】
接続対象物を接続対象回路基板とする場合は、上記接触部の上記収納空間内における上記板厚方向の移動可能範囲を、上記被支持部の支持部に対する該板厚方向の移動可能範囲より広くしてもよい。
【0018】
さらに本発明のLED照明器具は、上記回路基板にLEDを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、隣り合う回路基板と接続対象物の間にプラグコンタクトの延長方向の位置ずれが生じた場合は、プラグコンタクトの接触部がリセプタクルコンタクトの対をなす挟持片に対して当該延長方向に相対移動することにより、この位置ずれを吸収する。従って、隣り合う回路基板と接続対象物の間に位置ずれが生じた場合においても、回路基板と接続対象物を確実に導通させることが可能である。
【0020】
さらに、プラグコンタクトは一方向に延びる板状部材であり、該一方向に対して直交する方向に延びる突部を具備しないので低背構造となる。そのため、コネクタ全体を低背化することが可能である。
さらに本発明のプラグコンタクトは略直線状の板状部材であり、接触部と被支持部が直線上に並ぶため、プラグコンタクトは(プラグコンタクト本体に突設した突部に比べて)捻れ等に対する機械的強度が強く、屈曲する部位がないことから弾性変形による応力を効果的に分散させることができる。そして、このプラグコンタクトの一部に形成した接触部をリセプタクルコンタクト(対をなす挟持片)と接触(嵌合)させているため、接触部とリセプタクルコンタクトが位置ずれした状態で接触(嵌合)したとしても、プラグコンタクト(接触部)が変形したり破損するおそれは小さい。そのため、プラグコンタクトとリセプタクルコンタクトの接触信頼性を高くすることが可能である。
【0021】
また、プラグコンタクトとリセプタクルコンタクトが、回路基板との対向面が開口する(プラグインシュレータの)収納空間に収納されるので、プラグコンタクトとリセプタクルコンタクトはその周囲全体が回路基板とプラグインシュレータによって保護される。よって、嵌合作業時だけでなく嵌合後においてもプラグコンタクトとリセプタクルコンタクトが破損するのを防止できる。さらに、嵌合後は電気的に導通する部分を覆う構造となるので、絶縁性能を極めて高くすることができる。
【0022】
さらにプラグコンタクトとリセプタクルコンタクトを嵌合するときに、プラグコンタクトの接触部が一対のガイド部の支持溝に嵌合することにより、接触部が対をなす挟持片によって挟持される位置に移動案内されるので、プラグコンタクトとリセプタクルコンタクトを容易かつ確実に嵌合できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態である直管型のLED照明器具を、一方のプラグインシュレータを省略して示す、下方から見た斜視図である。
【図2】リセプタクルコンタクトの下方から見た斜視図である。
【図3】リセプタクルコンタクトの底面図である。
【図4】リセプタクルコンタクトの側面図である。
【図5】図4のV−V矢線に沿う断面図である。
【図6】プラグコネクタの下方から見た分解斜視図である。
【図7】プラグコネクタの上方から見た分解斜視図である。
【図8】プラグコンタクトが、係合爪を弾性変形させながら、一対の係合爪の間に進入する様子を示す断面図である。
【図9】プラグコネクタの上方から見た斜視図である。
【図10】プラグコネクタの平面図である。
【図11】プラグコネクタとリセプタクルコンタクトが接続したときの中央縦断側面図である。
【図12】図11のXII−XII矢線に沿う断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII矢線に沿う断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV矢線に沿う断面図である。
【図15】図12のXV−XV矢線に沿う断面図である。
【図16】隣り合う回路基板どうしが前後方向及び左右方向に位置ずれしたときのプラグインシュレータを省略して示す底面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態の接続状態にあるプラグコネクタとリセプタクルコネクタの上方から見た斜視図である。
【図18】分離状態にあるプラグコネクタとリセプタクルコネクタを回路基板を省略して上方から見た斜視図である。
【図19】図17のXIX−XIX矢線に沿う断面図である。
【図20】プラグコネクタの上方から見た分解斜視図である。
【図21】プラグコネクタの下方から見た分解斜視図である。
【図22】プラグコネクタの平面図である。
【図23】図22のXXIII−XXIII矢線に沿う断面図である。
【図24】リセプタクルコンタクトの側面図である。
【図25】本発明の第3の実施形態の接続状態にあるプラグコネクタとリセプタクルコネクタの上方から見た斜視図である。
【図26】分離状態にあるプラグコネクタとリセプタクルコネクタを回路基板を省略して上方から見た斜視図である。
【図27】図25のXXVII−XXVII矢線に沿う断面図である。
【図28】図27のXXVIII−XXVIII矢線に沿う断面図である。
【図29】図27のXXIX−XXIX矢線に沿う断面図である。
【図30】電線と一体化したプラグコンタクトとプラグインシュレータの分離状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1〜図16を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印方向を基準としている。
図1に示すLED照明器具100は、前後方向に直線的に延びる円筒状の透光管101と、前後方向に延びる一平面上に並ぶようにして透光管101内に配設した多数の回路基板CBと、各回路基板CBの下面に形成した回路形成面に固定されたLEDユニット102と、隣り合う回路基板CBの対向縁部どうしを接続する多数のコネクタ10と、を具備している。LEDユニット102は、基板と、該基板と一体化したLED103と、を具備しており、該基板が各回路基板CBの下面に形成された回路(図示略)に接続(半田付け)されている。
【0025】
各コネクタ10は、隣り合う回路基板CBにそれぞれ固定される一対のリセプタクルコンタクト15と、一対のリセプタクルコンタクト15同士を接続するプラグコネクタ30と、を具備している。
まずはリセプタクルコンタクト15の詳しい構造について図2〜図5を参照しながら説明する。
リセプタクルコンタクト15は、ばね弾性を備えた銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)やコルソン系銅合金の薄板をプレス成形した後に図示の形状となるように板厚方向に曲げ加工したものである。リセプタクルコンタクト15の表面にはニッケルメッキで下地を形成した後に錫メッキや金メッキを施している。なお、めっき処理した金属母材をプレス成形してリセプタクルコンタクト15を構成してもよい。
リセプタクルコンタクト15は(基部16の中心を通る上下方向の軸回りに)回転対称形状であり、略水平で平面視略長方形をなす平板状の基部16と、基部16の前後両縁部から下方に垂下するガイド片17と、基部16の左右両縁部から下方に突出する第1挟持片(挟持片)20及び第2挟持片(挟持片)23と、を具備している。
ガイド片17の下面には、上方に向かって延びる支持溝18が凹設してあり、支持溝18の下端部の左右両側は下方に向かうにつれて両者の間隔が広がる案内面19となっている。
基部16の右側縁部の後端部と左側縁部の前端部から下方に延びる第1挟持片20は、正面形状(断面形状)が略C字形であり、その内側面には略半球状をなす嵌合突片21が一体的に突設してある。各第1挟持片20は左右方向に弾性変形可能である。また、基部16の左右両側縁部における第1挟持片20の基端部に隣接する部分には、各第1挟持片20を弾性変形し易くするための切り欠きが形成してある。
基部16の右側縁部の前端部と左側縁部の後端部に設けた第2挟持片23の正面形状(断面形状)も略C字形であるが、図5に示すように第1挟持片20とは形状が若干異なる。第2挟持片23の内側面には、前後方向に長い直方体形状の挟持突起24が、嵌合突片21と同じ高さに位置するように一体的に突設してある。この挟持突起24の先端部の表面は、プラグコンタクト35に接触したときに集中荷重が得られるように曲率半径が0.05〜0.1mm程度の曲面となっている。各第2挟持片23も左右方向に弾性変形可能であり、基部16の左右両側縁部における第2挟持片23の基部に隣接する部分には、各第2挟持片23を弾性変形し易くするための切り欠きが形成してある。
【0026】
リセプタクルコンタクト15は透光管101の外部において予め回路基板CBに実装する。
リセプタクルコンタクト15を回路基板CBの回路形成面に実装するには、回路基板CBの回路形成面を上に向け、回路基板CBの上方に位置する吸引手段(図示略)によって基部16の下面の中央部に形成した吸着面25を吸着し、該吸引手段を移動させることによりリセプタクルコンタクト15を回路基板CBの回路形成面に載せた後に、吸引手段をリセプタクルコンタクト15の上方に退避させる。そして表面実装技術(SMT:Surface Mounting Technology)を利用して、リセプタクルコンタクト15を回路形成面の回路に半田付け(固定)する。
【0027】
続いてプラグコネクタ30の詳しい構造について主に図6〜図10を参照しながら説明する。
プラグコネクタ30は、プラグコンタクト35とプラグインシュレータ45とを具備している。
プラグコンタクト35は、ばね弾性を備えた銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)やコルソン系銅合金の薄板をプレス成形したものであり、その表面にはニッケルメッキで下地を形成した後に錫メッキや金メッキを施している。なお、めっき処理した金属母材をプレス成形してプラグコンタクト35を構成してもよい。図示するようにプラグコンタクト35は前後方向に直線的に延びる前後対称な板状部材であり、板厚方向に弾性変形可能である。
プラグコンタクト35の前後両端の上部には係合凹部36が凹設してある。さらにプラグコンタクト35の前部と後部の2カ所には接触部37が形成してあり、前後の接触部37には前後方向に延びる長孔からなる一対の接続孔38がそれぞれ貫通孔として形成してある。
プラグコンタクト35の長手方向の中央部は前後の接触部37に比べて狭幅の中央低背部39となっており、中央低背部39の中央部は一対の接触部37を通る前後方向の一直線上に位置する被支持部40を構成している。
また、プラグコンタクト35の外縁は面取りされており、特に接触部37の面取りされた上縁部はリセプタクルコンタクト15への案内傾斜面として機能する。
【0028】
プラグインシュレータ45は絶縁性の合成樹脂料を射出成形した一体成形物である。図示するようにプラグインシュレータ45の内部は中空であり、プラグインシュレータ45の上面全体が開口している。そしてプラグインシュレータ45の内部空間の前後2カ所には、一対の収納空間46が形成してある。
プラグインシュレータ45の内部空間の長手方向の中央部(前後の収納空間46の間に位置する部分)には、左右一対の直方体形状をなす中央突部(保持部)48が一体的に設けてある。左右の中央突部48の対向面は左右方向に対して直交する平行面(偏平面)であり、左右の当該対向面どうしの間隔(左右方向距離)は、前後の収納空間46の幅(左右方向距離)より短く、かつ、プラグコンタクト35(被支持部40)の板厚(左右寸法)より長い。中央突部48の上面には下方に向かって延びるスリット49が凹設してあるため、中央突部48におけるスリット49より内側に位置する部分は左右方向に弾性変形可能である。さらに左右の中央突部48の上記対向面の上縁部には、互いに近づく方向に向かって延びる係合爪(保持部)50が一体的に突設してある。左右の係合爪50の自由状態における対向面間隔(左右方向距離)は、被支持部40の板厚より若干短い。さらに左右の係合爪50の対向縁部の上面は、相手方の係合爪50に近づくにつれて下方へ向かう案内傾斜面51となっている。
【0029】
プラグインシュレータ45の前壁及び後壁の内面には、収納空間46の底面(下面)及び左右の側壁との間に空間(隙間)を形成する係合凸部(保持部)52が一体的に突設してある。図示するように、係合凸部52は左右対称形状であり、その上部には左右一対の傾斜面が形成してある。さらに係合凸部52と収納空間46の底面の間隔(上下方向距離)はプラグコンタクト35の前後両端部(係合凹部36が形成された部分)の上下寸法より僅かに長く、かつ、係合凸部52と左右の側壁の間隔(左右方向距離)はプラグコンタクト35の板厚より長い。
さらに前後の収納空間46には、それぞれ左右一対の規制突部54が設けてある。図示するように対をなす(左右方向に対向する)2つの規制突部54の対向面間隔(左右方向距離)は、中央突部48の対向面間隔と略同一である。また対をなす各規制突部54の対向部の上部を除く部分は半円柱形状であり、該対向部の上部は四半球形状(半球を半分にした形状)となっている。
【0030】
プラグコンタクト35とプラグインシュレータ45を一体化してプラグコネクタ30を組み立てるには、まず図6、図7に示すようにプラグコンタクト35をプラグインシュレータ45の直上に位置させる。次いで、プラグコンタクト35の一方の端部が、一方の係合凸部52とプラグインシュレータ45の一端の左側壁との隙間の直上に位置し、かつ、プラグコンタクト35の他方の端部が、他方の係合凸部52とプラグインシュレータ45の他端の右側壁との隙間の直上に位置するように、平面視においてプラグコンタクト35をプラグインシュレータ45の中心線に対して傾斜させる。
そして、この傾斜状態を維持したままプラグコンタクト35の両端部を直下に位置する上記各隙間に挿入する。すると、プラグコンタクト35の前後2カ所が左右いずれかの規制突部54の上端部に接触し、プラグコンタクト35の当該2カ所が規制突部54の上端部によってプラグインシュレータ45の中心線側に弾性変形させられながら、対向する規制突部54の間に進入する(図10の仮想線参照)。さらに平面視において前後方向に延びる直線と略平行となった被支持部40が、左右いずれかの案内傾斜面51に接触しながら(案内されながら)対向する係合爪50間の隙間に進入する。すると、被支持部40が左右の係合爪50を互いの隙間を広げる方向に弾性変形させながら左右の中央突部48の間(係合爪50の下方)に進入する(図8参照)。
そして、プラグコンタクト35の前後両端が対応する係合凸部52の下面より低い位置まで移動し、かつ、被支持部40が係合爪50の下面より低い位置まで移動すると、プラグコンタクト35は自身の弾性力によって自由状態(直線状態)に復帰するので、プラグコンタクト35の前後両端部は係合凸部52と収納空間46の底面の間に位置する(図9、図10参照)。
このようにしてプラグコネクタ30を組み立てると、一対の中央突部48の間、対向する規制突部54の間、及び、プラグインシュレータ45の前後両端部の左右両側壁とプラグコンタクト35の左右両側面との間、にそれぞれ隙間が形成されるので、プラグコンタクト35はこれらの隙間分だけプラグインシュレータ45に対して左右方向に相対移動可能となる。さらに、プラグインシュレータ45の内部空間の前後長はプラグコンタクト35の前後長より長いため、プラグコンタクト35は収納空間46とプラグコンタクト35の前後方向の隙間分だけプラグインシュレータ45に対して前後方向に相対移動可能である。また、自由状態にある左右の係合爪50間の隙間がプラグコンタクト35(被支持部40)の板厚より狭く、さらにプラグコンタクト35の前後両端部が対応する係合凸部52の左右両側の隙間まで移動するためにはプラグコンタクト35を大きく弾性変形させなければならない。そのため、意図的にプラグコンタクト35をプラグインシュレータ45から抜かない限り、プラグコンタクト35がプラグインシュレータ45から脱落するおそれはない。つまり、プラグコンタクト35はプラグインシュレータ45内に、無負荷で応力印加されることなく可動状態で保持される。
【0031】
続いて、コネクタ10(リセプタクルコンタクト15、プラグコネクタ30)を用いて各回路基板CBを互いに接続する要領について説明する。
まずは、前後方向に延びる薄板状をなし、かつ、表面に多数の雌ねじ孔が形成された固定板(図示略)の表面に、LEDユニット102及びリセプタクルコンタクト15が固定された多数の回路基板CBの裏面(LEDユニット102及びリセプタクルコンタクト15と反対側の面)を前後方向に並べて載せる。なお、前端に位置する回路基板CBには後端部にのみ2つのリセプタクルコンタクト15が固定してあり、後端に位置する回路基板CBには前端部にのみ2つのリセプタクルコンタクト15が固定してあるが、その他の回路基板CBは前後両端部に計4つのリセプタクルコンタクト15が固定してある。
続いて、回路基板CBに形成した貫通孔(図示略)に止めネジを挿入して、各止めネジのネジ溝を上記固定板の対応する雌ねじ孔に螺合して、各回路基板CBを固定板に固定する。
次いで、隣合う回路基板CBの互いに対向する端部にそれぞれ固定された前後方向に対向する2つのリセプタクルコンタクト15の直上にプラグコネクタ30を位置させ、プラグコネクタ30を下方(回路基板CB側)に移動させる。すると図1、及び、図11〜図15に示すように、前側の収納空間46が前側のリセプタクルコンタクト15に被さり、後側の収納空間46が後側のリセプタクルコンタクト15に被さる。
するとプラグコンタクト35の前後の接触部37の上縁部(図1、図6〜図9では下縁部)がリセプタクルコンタクト15の前後のガイド片17の案内面19に接触するので、接触部37(プラグコンタクト35)が案内面19によって支持溝18側(リセプタクルコンタクト15の幅方向の中央部側)に移動案内される。そして、プラグコンタクト35の前後の接触部37が、対応するリセプタクルコンタクト15の(左右方向に隣接する)第1挟持片20(嵌合突片21)と第2挟持片23(挟持突起24)の間に進入する。リセプタクルコンタクト15が自由状態にあるときの隣接する嵌合突片21と挟持突起24の正面視における左右間隔はプラグコンタクト35の板厚より狭いので、接触部37は第1挟持片20と第2挟持片23を互いに離れる方向に押し広げながら(弾性変形させながら)第1挟持片20(嵌合突片21)と第2挟持片23(挟持突起24)の間に進入する。そしてプラグコンタクト35の各接続孔38が各嵌合突片21と同じ高さに達したときに、第1挟持片20と第2挟持片23が微小距離だけ互いに近づく方向に弾性復帰して各嵌合突片21が対応する接続孔38に嵌合するので、クリック感が得られる。さらに各第2挟持片23の挟持突起24が接触部37の側面に接触する。従って、1つのリセプタクルコンタクト15は1つの接触部37に対して4箇所で接触することとなる。
また図12に示すように、このとき各規制突部54は対応するリセプタクルコンタクト15の前側の第1挟持片20及び第2挟持片23と後側の第1挟持片20及び第2挟持片23の間の空間(吸着面25の直上空間)に位置するので、各規制突部54とリセプタクルコンタクト15が互いに干渉することはない。
さらに、上記のように左右の嵌合突片21と挟持突起24によってプラグコンタクト35(接触部37)を左右方向から挟持し、かつ嵌合突片21が接続孔38に嵌合するので、リセプタクルコンタクト15による接触部37の嵌合保持力は大きく、プラグコネクタ30を意図的に上方に移動させない限り、リセプタクルコンタクト15とプラグコンタクト35の接続状態が解除されることはない。
【0032】
このようにしてプラグコネクタ30を2つのリセプタクルコンタクト15に跨る状態で接続すると、接触部37(接続孔38)が嵌合突片21、及び挟持突起24を介して前後のリセプタクルコンタクト15と接触するので、隣り合う回路基板CBどうしが2つのリセプタクルコンタクト15とプラグコンタクト35を介して互いに電気的に導通可能な状態となる。従って、回路基板CB及びコネクタ10と一体化された上記固定板を透光管101の内部に挿入して、両端の回路基板CBの間に電流を流せば、各回路基板CBに設けたLED103が発光し、透光101から下方に向かって照射される。
【0033】
また上記固定板の各雌ねじ孔や回路基板CBの貫通孔の形成位置が設計位置から左右方向や前後方向にずれている場合は、図16に示すように隣り合う回路基板CBどうしが互いに左右方向や前後方向に位置ずれを起こす。すると、各リセプタクルコンタクト15からプラグコンタクト35(プラグコネクタ30)に対して左右方向又は前後方向の力が及ぶ。
しかし、左右方向の位置ずれに起因してリセプタクルコンタクト15の支持溝18からプラグコンタクト35に左右方向の力が掛かった場合は、被支持部40が左右方向に弾性変形しながら左右の中央突部48間で傾斜して、前後の接触部37が左右方向に移動することにより、この左右方向の位置ずれを吸収する。接触部37は、リセプタクルコンタクト15の2つの支持溝18によってガイドされる(支持溝18の幅は接触部37の厚さより若干広い)ため、リセプタクルコンタクト15とプラグコンタクト35が接続したときに傾斜しにくい構造である。そのため、左右方向の位置ずれが生じても、接触部37と嵌合突片21や挟持突起24との接触への影響は小さい。従って、この場合もコネクタ10によって隣り合う回路基板CB同士を確実に電気的に導通させることができる。
しかも対向する中央突部48の間隔に比べて対向する規制突部54の間隔の方が広いため、プラグコンタクト35は被支持部40より接触部37側の方が左右方向に大きく移動することが可能なので、隣り合う回路基板CB同士が左右方向に大きく位置ずれしても柔軟に対応できる。
さらに、プラグコンタクト35は完全固定されている箇所がないため、位置ずれに伴い生じる応力を効率よく分散させることが出来る。
また、リセプタクルコンタクト15とプラグコネクタ30によって吸収可能な位置ずれ量は、プラグインシュレータ30の内部空間とリセプタクルコンタクト15とのクリアランス量を変更することによって調整可能である。
また、前後方向の位置ずれに起因してリセプタクルコンタクト15の嵌合突片21や挟持突起24からプラグコンタクト35に前後方向の力が掛かった場合は、各接続孔38が対応する嵌合突片21に対して前後方向にスライドすることにより当該位置ずれを吸収するので、この場合も隣り合う回路基板CB同士を確実に導通させることが可能である。
【0034】
さらにプラグコンタクト35は一方向に延びる板状部材であり、従来技術のような突部を具備しないため、(突部を形成する場合に比べて)低背化が可能である。そのためプラグコネクタ30の低背化、ひいてはコネクタ10全体の低背化を実現できる。そのためLED103から拡散されながら発射される照明光の照射範囲を広くすることが可能である。
さらにプラグコンタクト35は接触部37と被支持部40が直線上に並ぶ構造であるため、(プラグコンタクト本体に突設した突部に比べて)捻れ等に対する機械的強度が強く、屈曲する部位がないことから弾性変形による応力を効果的に分散させることができる。そして、プラグコンタクト35の一部を構成する接触部37(接続孔38)を、リセプタクルコンタクト15(第1挟持片20と第2挟持片23)と接触(嵌合)させているため、接触部37とリセプタクルコンタクト15が位置ずれした状態で接触(嵌合)したとしても、プラグコンタクト35(接触部37)が変形したり破損するおそれは小さい。そのため、プラグコンタクト35とリセプタクルコンタクト15の接触信頼性は高い。
【0035】
またリセプタクルコンタクト15及びプラグコンタクト35がプラグインシュレータ45の内部空間に完全に収納され、リセプタクルコンタクト15及びプラグコンタクト35の周囲全体が回路基板CBとプラグインシュレータ45によって保護される。そのためリセプタクルコンタクト15とプラグコンタクト35の嵌合作業時だけでなく嵌合後においてもプラグコンタクト35とリセプタクルコンタクト15が破損するのを防止できる。またプラグインシュレータ45の底部には、プラグインシュレータ45の成形時に形成される金型を抜くための3つの孔が存在するが(図6参照)、これらの孔は小さく、かつ、LED照明器具100を組み立てたときにはプラグインシュレータ45の下面に位置するので、これらの孔から皮脂や異物がプラグインシュレータ45の内部に侵入してプラグコンタクト35やリセプタクルコンタクト15に付着するおそれは小さく、接触不良やスパーク等の発生を抑止できる。さらに、嵌合後は電気的に導通する部分(プラグコンタクト35、リセプタクルコンタクト15、回路基板CBの実装部)を覆う構造となるので、絶縁性能を極めて高くすることができる。
【0036】
続いて図17〜図24を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態のリセプタクルコンタクト60の基本構造はリセプタクルコンタクト15と同じである(基部16の中心を通る上下方向の軸を中心とする回転対称形状である)が、前後両端部に形成したガイド部61の構造がリセプタクルコンタクト15とは異なる。前後のガイド部61は共に、基部16の前後両縁部から垂下する第1ガイド片62と、第1ガイド片62の下端部を折り曲げることにより形成した上方に向かって延びる第2ガイド片64と、を具備している。第1ガイド片62と第2ガイド片64には、共に上方に向かって延び、かつ、互いに前後方向に並ぶ支持溝18が凹設してあり、第1ガイド片62側の支持溝18の下端近傍の左右両側面には係止突起63がそれぞれ内向きに突設してあり、第2ガイド片64側の支持溝18の下端近傍の左右両側面には係止突起65がそれぞれ内向きに突設してあり、係止突起65どうしの左右間隔が係止突起63どうしの左右間隔より僅かに広くなっている。さらに第2ガイド片64の上端部には基部16と同一平面上に位置するテール片66が突設してある。
リセプタクルコンタクト60はリセプタクルコンタクト15の場合と同様に吸引手段及び表面実装技術を利用することにより、回路基板CBの回路形成面に半田付けされる。この際、図24に示すように、前後のテール片66、及び、第1ガイド片62及び第2ガイド片64の対向面の上端部を回路形成面の回路に半田付け(固定)する。
【0037】
本実施形態のプラグコネクタ68は、プラグコンタクト70とプラグインシュレータ73と絶縁カバー76とを具備している。
プラグコンタクト70の基本構造はプラグコンタクト35と同じであり、係合凹部36、接触部37、接続孔38、中央低背部39、及び、被支持部40を具備している(係合凹部36、接触部37、接続孔38、中央低背部39、及び、被支持部40の具体的な形状はプラグコンタクト35とは若干異なるが機能は同じである)。ただしプラグコンタクト70の両側面の4カ所には側面視横長矩形の係止部71が凹設してあり、各係止部71の下縁部はプラグコンタクト70の下縁部にまで達している(係止部71の下縁部は下方に向かって開放されている)。図示は省略してあるが係止部71の周縁はC面(横断面形状がC字形)となっている。またプラグコンタクト70の外縁はプラグコンタクト35と同様に面取りされている。
プラグインシュレータ73の基本構造はプラグインシュレータ45と同じであり、収納空間46、中央突部48、スリット49、係合爪50(案内傾斜面51)、及び、規制突部54を具備している(収納空間46、中央突部48、スリット49、係合爪50、案内傾斜面51、及び、規制突部54の具体的な形状はプラグインシュレータ45とは若干異なるが機能は同じである)。プラグインシュレータ73の前壁及び後壁の内面には収納空間46の底面(下面)及び左右の側壁との間に空間(隙間)を形成する係合凸部74が一体的に突設してあり、係合凸部74と収納空間46の底面の間隔(上下方向距離)はプラグコンタクト70の前後両端部(係合凹部36が形成された部分)の上下寸法より僅かに長く、かつ、係合凸部74と左右の側壁の間隔(左右方向距離)はプラグコンタクト70の板厚より長くなっている。ただし係合凸部74の形状はプラグインシュレータ45の係合凸部52とは異なる。即ち、前後の係合凸部74は左右非対称であり、一方の係合凸部74の上部には左側に傾斜面が形成してあり、他方の係合凸部74の上部には右側に傾斜面が形成してある。
絶縁カバー76は絶縁性の樹脂材料によって構成した一体成形物であり、略偏平な基板部77と、基板部77の下面から垂下する左右一対の取付片78と、を具備している。
【0038】
以上構造のプラグコネクタ68は、プラグコネクタ30と同じ要領でプラグコンタクト70とプラグインシュレータ73を一体化した後に、一対の取付片78をプラグインシュレータ73の各スリット49にそれぞれ嵌合固定して絶縁カバー76をプラグインシュレータ73の長手方向の中央部に取り付けることにより組み立てることができる。プラグコネクタ68を完成させると、基板部77の下面の左右両側縁部は左右の中央突部48の上面に接触し、かつ、基板部77の左右両側面がプラグインシュレータ73の左右両側壁の内面にそれぞれ接触するか若しくは微小なクリアランスを持って対向する。従って、プラグコンタクト70の中央低背部39(被支持部40)が上方に露出することはない。さらに、取り付られた絶縁カバー76は、プラグインシュレータ73内に収まるため、プラグインシュレータ73の上面から上方に突出しない。
プラグコネクタ68は、隣合う回路基板CBの互いに対向する端部にそれぞれ固定された前後方向に対向する2つのリセプタクルコンタクト60に対して第1の実施形態と同様の要領によって接続できる。接続すると、図19に示すように各リセプタクルコンタクト60の左右一対の係止突起63及び係止突起65が対応する係止部71に対してそれぞれ係合(当接)するので、係合するときにクリック感が得られる。そのため、不完全嵌合を防止できる。
さらにリセプタクルコンタクト60とプラグコンタクト70をやや位置ずれした状態で嵌合させるとガイド部61に対して大きな負荷が掛かるが、テール片66を回路基板CBに対して半田付けし、かつガイド部61を2枚の第1ガイド片62と第2ガイド片64によって構成することによりガイド部61の剛性を高めているので、このような強引な嵌合を行ってもガイド部61が変形するおそれは小さい。また、リセプタクルコンタクト60とプラグコンタクト70を速い相対移動速度で嵌合させた結果、両者の間に衝撃力が発生した場合も、ガイド部61が変形するおそれは小さい。
さらにガイド部61を第1ガイド片62と第2ガイド片64の2枚構造とし、かつ、係止突起63及び係止突起65と係止部71が係合しているので、第1の実施形態のリセプタクルコンタクト15とプラグコンタクト35に比べてリセプタクルコンタクト60とプラグコンタクト70の嵌合保持力が大きくなる。従って図示実施形態のようにプラグコンタクト70をリセプタクルコンタクト60に対して下方からぶら下げる態様で接続しても、自重や振動等によってプラグコンタクト70がリセプタクルコンタクト60から下方に脱落することはなく、隣り合う回路基板CB同士が確実に導通する。
さらに各リセプタクルコンタクト60の係止突起65同士の左右間隔が係止突起63同士の左右間隔より僅かに広くなっているので、隣り合う回路基板CB同士が左右方向に大きく位置ずれこと等に起因してプラグコンタクト70がプラグインシュレータ73内で回転(平面視で傾斜)した場合であっても、外側に位置する第2ガイド片64のみに負荷が掛かることがないので、プラグコンタクト70の各接触部37(接続孔38)と支持溝18(係止突起63、係止突起65)との間で無理な力が掛かり難い。
また各ガイド部61の下端部(第1ガイド片62と第2ガイド片64の接続端部)は曲面形状(断面略U字状)になっているので、プラグコンタクト70をガイド部61の下端部に接触させながら支持溝18に嵌合させるときに、プラグコンタクト70がガイド部61に引っ掛かることなく支持溝18に嵌合するため、ガイド部61の変形や倒れを抑止できる。
【0039】
さらに図24に示すように、第1ガイド片62及び第2ガイド片64の対向面の上端部を回路基板CBの回路形成面に半田付けすると半田フィレット(図24の黒塗り部を参照)が形成されるので、リセプタクルコンタクト60の回路基板CBに対する実装強度は強固になる。
また各係止部71の前後寸法が係止突起63及び係止突起65より大きいので、隣り合う回路基板CB同士の前後方向の位置ずれに起因してリセプタクルコンタクト60やプラグコンタクト70に前後方向の力が掛かった場合においても、係止突起63及び係止突起65は対応する係止部71に対して前後方向にスライドすることにより係合状態を維持する。
さらにプラグコネクタ68が絶縁カバー76を具備しているので、プラグコンタクト70の中央低背部39(被支持部40)と回路基板CBとの間を確実に絶縁できる。このときに、絶縁カバー76がプラグインシュレータ73内に収まっているために、絶縁カバー76が回路基板CBと干渉することがないので、コネクタ55を低背化できる。
【0040】
最後に図25〜図30を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。なお、従前の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態のコネクタ80は、前後方向に並べた多数の回路基板CBの中の前後両端に位置する回路基板CBT(図25に後端の回路基板CBTのみ図示)と回路基板CBTに対して電力を供給する電線(接続対象物)99とを接続するものである。
回路基板CBTの隣り合う回路基板CB(図25では図示略)と反対側の端部の下面(回路形成面)には左右一対のリセプタクルコンタクト60が第2の実施形態と同じ要領で実装してある(図25では一方のリセプタクルコンタクト60のみ図示)。
【0041】
プラグコンタクト83は、端部に形成した係合凹部36と、一対の接続孔38を形成有する一つの接触部37と、接触部37の係合凹部36と反対側の端部に突設した電線接続片84と、接触部37の略中央部に形成した抜止片85と、前後一対の貫通長孔からなりかつ全周部の両側縁がC面となっている係止部86と、を具備している(係合凹部36、接触部37、及び、接続孔38の具体的な形状はプラグインシュレータ45とは若干異なるが機能は同じである)。
プラグコンタクト83の電線接続片84は、可撓性を有する被覆チューブ98によって外面を被覆した電線99の端部に接続(圧着)してある。
プラグインシュレータ88はプラグインシュレータ45、プラグインシュレータ73と同じ樹脂材による一体成形物である。プラグインシュレータ88の長手方向の一方の端面には他方の端部側に向かって延びる被覆チューブ98(及び電線99)が挿脱可能な寸法の端部開口89が凹設してあり、プラグインシュレータ88の上面には収納空間90が凹設してある。さらにプラグインシュレータ88の内部には端部開口89の先端部と収納空間90とを仕切る仕切壁91が設けてあり、仕切壁91には被覆チューブ98(及び電線99)が挿脱不能でかつ接触部37が挿脱可能な寸法(接触部37と略同幅)の連通孔92が形成してある。さらに収納空間90の端部開口89と反対側の端面には接触部37(係合凹部36)の板厚と略同幅(左右幅)でかつ係合凹部36が嵌合可能な先端凹部94が凹設してあり、収納空間90の底面及び先端凹部94側面には接触部37の板厚と略同幅(左右幅)でかつ接触部37の下半部が嵌合可能な内面溝95が凹設してある。図28に示すように内面溝95の長手方向の中央部の側面には中間凹部96が凹設してあり、中間凹部96に隣接する部分(端部開口89側の部分)は抜止突部97となっている。
電線99(及び被覆チューブ98)と一体化したプラグコンタクト83は、端部開口89及び連通孔92を通して収納空間90内に挿入され、係合凹部36と接触部37の下半部を先端凹部94と内面溝95にそれぞれ嵌合することにより、プラグインシュレータ88と一体化する。すると中間凹部96内に位置する抜止片85と抜止突部97によってプラグコンタクト83の端部開口89側への移動が規制されるが、プラグコンタクト83はプラグインシュレータ88によって完全に固定される訳ではないので、プラグコンタクト83は応力を効率よく分散させることが出来る。
【0042】
プラグコネクタ82は、回路基板CBTに実装したリセプタクルコンタクト60に対して従前の実施形態と同様の要領、即ち収納空間90内にリセプタクルコンタクト60が挿入するようにプラグインシュレータ88を下方からリセプタクルコンタクト60に対して被せることによって接続する。すると各嵌合突片21が対応する接続孔38に嵌合し、かつ各挟持突起24が接触部37の側面に接触し、各リセプタクルコンタクト60の左右一対の係止突起63及び係止突起65が対応する係止部86に対してそれぞれ係合(当接)する。さらに収納空間90の内面に形成した左右一対の係合突起90aが第1ガイド片62及び第2ガイド片64の左右両側部の上部に形成された凹部に上方から嵌合する(図29参照)。従って、前後の回路基板CBTと前後の電線99がコネクタ80を介して互いに導通可能な状態になるので、図示を省略した電源の電力を電線99に流せば各回路基板CB、CBTに設けたLED103が発光する。
また各係止部86の前後寸法が係止突起63及び係止突起65より大きいので、例えば電線99(被覆チューブ98)が捻れることによりプラグコンタクト83に前後方向にスライド力が生じた場合においても、プラグコンタクト83(係止部86)が係止突起63及び係止突起65に対して前後方向にスライドすることにより係合状態を維持する。
さらに各リセプタクルコンタクト60の左右一対の係止突起63及び係止突起65が対応する係止部86に対してそれぞれ係合(当接)しているので、電線99(被覆チューブ98)が捻れることによりプラグコンタクト83(プラグコネクタ82)に下向きの力(リセプタクルコンタクト60から脱出する方向の力)が掛かっても、プラグコンタクト83が対応するリセプタクルコンタクト60から脱落することはない。
また、プラグコネクタ82をリセプタクルコンタクト60に係合するときに、左右一対の係止突起63及び係止突起65が対応する係止部86に対してそれぞれ係合してクリック感が得られるので、不完全嵌合を防止できる。
さらに、プラグコンタクト83の上下寸法がプラグコンタクト70に比べて大きく、プラグコンタクト83全体の強度を確保できるため、係止部86を貫通孔として形成したが、凹部として形成しても問題はない。
【0043】
以上、本発明を上記各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えばプラグコンタクト35、70の被支持部40をプラグインシュレータ45、73(中央突部48)に対して相対移動可能とせず、中央突部48に対して固定してもよい。
また、プラグコンタクト35、70の両端部にプラグコンタクト35、70の厚み方向に弾性変形可能なばね部(弾性変形部)を形成し、リセプタクルコンタクト15、60の該ばね部を挟持する第1挟持片20と第2挟持片23を、弾性を有しない板部としてもよい。
また、係合爪50を省略するなどして、プラグインシュレータ45、73を、一対の係合凸部52、74のみによってプラグコンタクト35、70を支持する構造にしてもよい。
さらにリセプタクルコンタクト15、60には第1挟持片20と第2挟持片23を前後二対として形成してあるが、第1挟持片20と第2挟持片23は一対であったり、3つ以上の対であってもよい。
またリセプタクルコンタクト15、60の各ガイド部を3枚以上のガイド片で構成してもよい。
さらにプラグインシュレータ45、73、88の材料の反射率を最適化したり、プラグインシュレータ45、73、88の表面に光吸収防止のコーティングを施しても良い。このようにすれば、コネクタによる光の吸収を防止できる。
【0044】
また、本実施形態ではコネクタ10、55、80をLED照明器具100に適用したが、LED照明器具100とは異なる電子機器や電気機器に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
10 コネクタ
15 リセプタクルコンタクト(リセプタクルコネクタ)
16 基部
17 ガイド片(ガイド部)
18 支持溝
19 案内面
20 第1挟持片(挟持片)
21 嵌合突片
23 第2挟持片(挟持片)
24 挟持突起
25 吸着面
30 プラグコネクタ
35 プラグコンタクト
36 係合凹部
37 接触部
38 接続孔
39 中央低背部
40 被支持部
45 プラグインシュレータ
46 収納空間
48 中央突部(支持部)(保持部)
49 スリット
50 係合爪(支持部)(保持部)
51 案内傾斜面
52 係合凸部(保持部)
54 規制突部
55 コネクタ
60 リセプタクルコンタクト(リセプタクルコネクタ)
61 ガイド部
62 第1ガイド片
63 係止突起
64 第2ガイド片
65 係止突起
66 テール片
68 プラグコネクタ
70 プラグコンタクト
71 係止部
73 プラグインシュレータ
74 係合凸部(保持部)
76 絶縁カバー
77 基板部
78 取付片
80 コネクタ
82 プラグコネクタ
83 プラグコンタクト
84 電線接続片
85 抜止片
86 係止部
88 プラグインシュレータ
89 端部開口
90 収納空間
90a 係合突起
91 仕切壁
92 連通孔
94 先端凹部
95 内面溝
96 中間凹部
97 抜止突部
98 被覆チューブ
99 電線(接続対象物)
100 LED照明器具
101 透光管
102 LEDユニット
103 LED
CB CBT 回路基板(接続対象物)(接続対象回路基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と接続対象物を該回路基板と平行な平面内で相対移動可能として接続する、互いに着脱可能なプラグコネクタとリセプタクルコネクタを備えるコネクタであって、
上記リセプタクルコネクタは、
互いの離間方向に弾性変形可能な対をなす挟持片、及び、該挟持片を挟んで互いに離間しかつ支持溝を備える一対のガイド部を有し、かつ上記回路基板の一方の面に固定されるリセプタクルコンタクトを備え、
上記プラグコネクタは、
自身の延長方向が上記平面と平行、かつ、上記回路基板の厚み方向と直交する自身の板厚方向に弾性変形可能な直線状の板状部材であり、対応する対をなす上記挟持片によって上記延長方向に移動可能として挟持され、かつ一対の上記ガイド部の上記支持溝に嵌合する接触部、を有する、上記接続対象物と電気的に導通するプラグコンタクトと、
上記回路基板との対向面が開口し上記リセプタクルコンタクト及びプラグコンタクトを収納する収納空間を有し、上記プラグコンタクトを保持するプラグインシュレータと、
を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、
上記接続対象物が、上記回路基板と同一平面上に位置し、かつ一方の面に上記リセプタクルコンタクトが固定された、該回路基板とは別の接続対象回路基板であり、
上記プラグコンタクトが、上記回路基板側の対をなす上記挟持片と上記接続対象回路基板側の対をなす上記挟持片とにそれぞれ挟持される一対の上記接触部と、該一対の接触部を通る上記延長方向と平行な一直線上に位置する被支持部を備え、
上記プラグインシュレータが、上記被支持部を該プラグコンタクトの延長方向及び板厚方向に移動可能として保持する支持部を有するコネクタ。
【請求項3】
請求項1記載のコネクタにおいて、
上記接続対象物が、上記プラグコンタクトと接続する電線であるコネクタ。
【請求項4】
請求項1記載のコネクタにおいて、
上記支持溝の内面に係止突起を形成し、
上記プラグコンタクトに、上記支持溝に嵌合したときに上記係止突起が係合する凹部または貫通孔からなる係止部を形成したコネクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、
上記ガイド部が、互いに上記プラグコンタクトの長手方向に対向する複数のガイド片を備え、
上記各ガイド片に上記支持溝を上記長手方向に並べて形成したコネクタ。
【請求項6】
請求項5記載のコネクタにおいて、
少なくとも一つの上記ガイド片の上記支持溝の両側面に上記プラグコンタクトの厚み方向に並ぶ一対の上記係止突起を形成したコネクタ。
【請求項7】
請求項5または6記載のコネクタにおいて、
上記リセプタクルコンタクトが、上記回路基板に固定される平板状の基部を備え、
上記ガイド部が、上記基部の上記長手方向の端部から該基部に対して略直交する方向に延びる第1ガイド片と、該第1ガイド片の先端から上記回路基板と上記接続対象回路基板の少なくとも一方側に延びる第2ガイド片とからなり、
該第2ガイド片の自由端部を上記回路基板と上記接続対象回路基板の少なくとも一方に半田付けしたコネクタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載のコネクタにおいて、
対をなす上記挟持片の一方に嵌合突片を形成し、
上記プラグコンタクトに、該嵌合突片が上記延長方向に相対移動可能として嵌合する接続孔を形成したコネクタ。
【請求項9】
請求項8記載のコネクタにおいて、
対をなす上記挟持片の他方に、上記プラグコンタクトに接触する挟持突起を形成したコネクタ。
【請求項10】
請求項2及び2に従属する4から9のいずれか1項記載のコネクタにおいて、
上記接触部の上記収納空間内における上記板厚方向の移動可能範囲が、上記被支持部の支持部に対する該板厚方向の移動可能範囲より広いコネクタ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載のコネクタ及び上記回路基板を複数具備し、
上記回路基板にLEDを設けたことを特徴とするLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−43764(P2012−43764A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271671(P2010−271671)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000128407)京セラエルコ株式会社 (77)
【Fターム(参考)】