コネクタおよびコネクタセット
【課題】誤挿入が防止されるとともに、プラグをソケットに挿入する際にプラグ等を大きく回転させる必要がないコネクタ等を提供する。
【解決手段】プラグインコネクタは、ピンプラグ10とレセプタクル20により構成され、ピンプラグ10とレセプタクル20とが接続される。ピンプラグ10のピンカバー本体14には、周方向に離間した複数のピンプラグキー突起部15を設け、レセプタクル20のソケットカバー27には、周方向に離間した、複数のピンプラグキー突起部15が嵌る複数のキー溝28の組を、周方向にずらして複数組28a〜28e配置する。レセプタクル20は、ソケットプラグとすることもできる。
【解決手段】プラグインコネクタは、ピンプラグ10とレセプタクル20により構成され、ピンプラグ10とレセプタクル20とが接続される。ピンプラグ10のピンカバー本体14には、周方向に離間した複数のピンプラグキー突起部15を設け、レセプタクル20のソケットカバー27には、周方向に離間した、複数のピンプラグキー突起部15が嵌る複数のキー溝28の組を、周方向にずらして複数組28a〜28e配置する。レセプタクル20は、ソケットプラグとすることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤挿入防止機構を備えたコネクタおよびコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置等に電力を供給するケーブル等を接続する際、プラグインコネクタが用いられる場合がある。プラグインコネクタは、例えばケーブルが接続されたピンプラグ等のプラグをレセプタクルやソケットプラグ等のソケットに挿入して接続するものである。
【0003】
特許文献1、2には、プラグのソケットへの誤挿入防止を目的として、プラグまたはソケットに、周方向に沿って離間して配置されたキーの一組を設けるとともに、ソケットまたはプラグに、当該キーの一組と対応するように、周方向にキー溝の一組を配置した例が記載されている。
【0004】
プラグをソケットに挿入する際は、当該キーの一組の位置をソケットに設けられたキー溝の一組の位置にあわせて挿入する。これにより、キーおよびキー溝のパターンが合った場合にのみ、プラグのソケットへの挿入を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−259769号公報
【特許文献2】特開2000−208209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような例では、コネクタにおいて、プラグをソケットに挿入する際、キーとキー溝との位置を合わせるために、プラグを大きく回転させる場合がある。このとき、プラグに接続されたケーブル等が大きくねじれた状態となる。ケーブルを大きくねじることは、ケーブルの負担を大きくし、劣化につながることになり、好ましくない。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、誤挿入が防止されるとともに、プラグをソケットに挿入する際にプラグ等を大きく回転させる必要がないコネクタ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達するための第1の発明は、プラグとソケットを有し、誤挿入防止のために、前記プラグ又は前記ソケットの一方に周方向に離間して複数の突起部を設け、他方に前記複数の突起部が嵌る複数の溝部を設けたコネクタにおいて、前記複数の溝部の組を周方向にずらして複数設けたことを特徴とするコネクタである。
【0009】
第1の発明のコネクタでは、プラグ又はソケットに溝部の組を複数設けたので、プラグをソケットに挿入するとき、プラグをソケットに対し相対的に回転させて、複数の角度で挿入できるようになる。すなわち、プラグのソケットに対する周方向角度が溝部の組の数だけ許容される。よって、この誤挿入防止機構型コネクタは、挿入時に、プラグ等に接続されているケーブルをねじる角度を小さくでき、ケーブルへの負担が少ない利点がある。
【0010】
前述した目的を達するための第2の発明は、請求項1記載のコネクタの複数からなるコネクタセットであって、第一のコネクタのプラグ又はソケットの一方に設けられた複数の突起部の位置パターンを、残余のコネクタのプラグ又はソケットの一方に設けられた複数の突起部の位置パターンとは違えておき、かつ、前記第一のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットの他方に設けられる前記複数の溝部の組の複数を、前記残余のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットに設けられた複数の突起部が嵌らないように、任意の複数の溝部の位置パターンが前記残余のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットに設けられた複数の突起部の位置パターンと一致しないように配置したことを特徴とするコネクタセットである。
【0011】
第2の発明のコネクタセットでは、第一のコネクタのソケット等に設けられる溝部の複数組を、残余のコネクタのプラグ等に設けられた突起部が嵌らないように配置したので、第1の発明のコネクタの効果、すなわち、プラグをソケットに挿入する際に複数の角度で挿入可能な構成を維持しつつ、誤挿入防止が可能になる。
【0012】
第2の発明のコネクタセットにおいては、例えば、次のパターン1〜4の中からパターンを複数選択して、各コネクタのプラグ又はソケットにおける突起部の数、隣接突起部間角度、溝部の数、隣接溝部間角度を決めることができる。
パターン1:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 180°、溝部の数 10個、隣接溝部間角度 40°、30°、40°、40°、30°、40°、30°、40°、40°、30°
パターン2:突起部の数 3個、隣接突起部間角度 120°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 75°、45°、75°、45°、75°、45°
パターン3:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 90°、溝部の数 8個、隣接溝部間角度 30°、40°、50°、40°、70°、40°、50°、40°
パターン4:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 60°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 80°、60°、50°、60°、50°、60°
【0013】
また、次のパターン1〜4の中からパターンを複数選択して、各コネクタのプラグ又はソケットにおける突起部の数、隣接突起部間角度、溝部の数、隣接溝部間角度を決めることもできる。
パターン1:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 180°、溝部の数 4個、隣接溝部間角度 75°、105°、75°、105°
パターン2:突起部の数 3個、隣接突起部間角度 120°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 75°、45°、75°、45°、75°、45°
パターン3:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 90°、溝部の数 4個、隣接溝部間角度 75°、90°、105°、90°
パターン4:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 60°、溝部の数 4個、隣接溝部間角度 105°、60°、135°、60°
【0014】
加えて、次のパターン1〜4の中からパターンを複数選択して、各コネクタのプラグ又はソケットにおける突起部の数、隣接突起部間角度、溝部の数、隣接溝部間角度を決めることもできる。
パターン1:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 180°、溝部の数 8個、隣接溝部間角度 45°、30°、75°、30°、45°、30°、75°、30°
パターン2:突起部の数 3個、隣接突起部間角度 120°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 75°、45°、75°、45°、75°、45°
パターン3:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 90°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 70°、90°、70°、40°、50°、40°
パターン4:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 60°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 80°、60°、50°、60°、50°、60°
【0015】
さらに、次のパターン1〜4の中からパターンを複数選択して、各コネクタのプラグ又はソケットにおける突起部の数、隣接突起部間角度、溝部の数、隣接溝部間角度を決めることもできる。
パターン1:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 180°、溝部の数 10個、隣接溝部間角度 37°、33°、30°、50°、30°、37°、33°、30°、50°、30°
パターン2:突起部の数 3個、隣接突起部間角度 120°、溝部の数 9個、隣接溝部間角度 43°、33°、44°、43°、33°、44°、43°、33°、44°
パターン3:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 90°、溝部の数 10個、隣接溝部間角度 50°、28°、39°、23°、28°、39°、30°、33°、57°、33°
パターン4:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 60°、溝部の数 8個、隣接溝部間角度 28°、60°、28°、60°、36°、60°、28°、60°
【0016】
かかる構成のコネクタセットは、第一のコネクタのプラグ又はソケットと、残余のコネクタのソケット又はプラグとの間で、複数の突起部の位置パターンが、任意の複数の溝部の位置パターンに合致することがない。従って、第一のコネクタのプラグ又はソケットと、他のコネクタのソケット又はプラグを相対的に回転させても、突起部が溝部に嵌らず、プラグがソケットに挿入されることがない。さらに、第一のコネクタにおける任意の複数の溝部の位置パターンは、残余のコネクタにおける複数の突起部の位置パターンから、少なくとも一つの溝部が常に所定の角度ずれるようになっているので、無理やり挿し込むなどしたときに、突起部の変形等により強引に挿入されることが抑制され、誤挿入防止を確実なものとしている。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、誤挿入を防止できるとともに、プラグをソケットに挿入する際にプラグ等を大きく回転させる必要がないコネクタ等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ピンプラグ10とレセプタクル20の接続を示す図
【図2】ピンプラグ10とレセプタクル20を接続したプラグインコネクタ1を示す図
【図3】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の嵌合を示す図
【図4】ピンプラグ10とソケットプラグ30の接続を示す図
【図5】ピンプラグ10とソケットプラグ30を接続したプラグインコネクタ2を示す図
【図6】ピンプラグキー突起部15とキー溝部35の嵌合を示す図
【図7】ピンプラグキー突起部15について示す図
【図8】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンについて示す図
【図9】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンについて示す図
【図10】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンについて示す図
【図11】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンについて示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明のコネクタ等の実施形態について説明する。
まず、図1から図3を参照して、第1の実施形態のコネクタについて説明する。
【0020】
図1、図2に示すように、コネクタであるプラグインコネクタ1は、プラグであるピンプラグ10とソケットであるレセプタクル20からなり、ピンプラグ10をレセプタクル20に挿入することで接続される。本実施形態のプラグインコネクタ1は、大電流用のプラグインコネクタであり、レセプタクル20が図示されていない筐体等に取り付けられる、いわゆるパネルマウントタイプのものである。
【0021】
ピンプラグ10は、ピン11、ピンキャップ12、スプリングピン13、ピンカバー本体14、ピンプラグキー突起部15、カバーナット16、接続完了位置溝17、カバーキャップ18等により構成される。
【0022】
ピン11は一本設けられており、その挿入側の端部は略円柱状に形成されている。
なお、挿入側とは、ピンプラグ10を構成する各部材についてはピンプラグ10をレセプタクル20に挿入する際にレセプタクル20に向かう側を指し、レセプタクル20を構成する各部材についてはピンプラグ10をレセプタクル20に挿入する際にピンプラグ10に向かう側を指すものとする。ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入するプラグインコネクタの例についても後ほど説明するが、その際の挿入側についても同様である。
【0023】
ピン11の挿入側の先端には、頭部12aと軸部12bを有するピンキャップ12が、その軸部12bをピン11の軸方向に挿入するようにして設けられている。なお、ピンキャップ12はピン11の挿入側の端部およびピンキャップ12の軸部12bを貫通するように設けられたスプリングピン13により固定される。
【0024】
また、ピン11において、挿入側と逆側の端部では、ピン11に電線ケーブル40が圧着され接続される。
【0025】
ピンカバー本体14は、略円筒状の形状を有し、ピン11の軸方向の周囲に設けられる。ピンカバー本体14の挿入側の端部の外周面には、ピンプラグキー突起部15が設けられる。ピンプラグキー突起部15は、図7(a)に示すように、ピンカバー本体14の周方向に沿って180°離間して2つ設けられている。これら2個のピンプラグキー突起部15は一組をなしている。ただし、ピンプラグキー突起部15の一組を構成するピンプラグキー突起部15の数や、その離間角度等の位置パターンは、ピンプラグキー突起部15を複数設ける限りにおいて、上記したものに限ることはない。
【0026】
カバーナット16は、略円筒状の形状を有し、ピンカバー本体14の軸方向の周囲に、挿入側の端部で内周面をピンカバー本体14と隔てるように設けられる。当該内周面には雌ねじが切られている。
【0027】
カバーキャップ18は、略円筒状の形状を有し、ピン11の挿入側と逆側の端部で、ピン11および電線ケーブル40の軸方向の周囲に設けられる。
【0028】
レセプタクル20は、ソケット21、バンドコンタクト22、ソケットキャップ23、ボルト24、ナット25、ワッシャー26、ソケットカバー本体27、キー溝部28、取付部29等により構成され、取付部29を介して図示されていない筐体等に取り付けられる。
【0029】
ソケット21において、挿入側の端部は円筒状に形成されている。ソケット21の挿入側の端部の内周面には、前記ピン11との接触を確実にするためのバンドコンタクト22が設けられている。ソケット21の挿入側の先端には、ソケットキャップ23が設けられている。また、ソケット21の挿入側と逆側の端部はボルト24と連続しており、ボルト24にはナット25やワッシャー26を用いて図示されていないブスバー等が取り付けられる。
【0030】
ソケットカバー本体27は、略円筒状の形状を有し、ソケット21の軸方向の周囲に、挿入側の端部で内周面をソケット21と隔てるようにして設けられる。ソケット21とソケットカバー本体27との間には、前記ピンプラグ10のピンカバー本体14が挿入されるようになっている。そして、当該ソケットカバー本体27の内周面にはキー溝部28が複数設けられる。このキー溝部28は前記ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が嵌合可能な溝である。
【0031】
また、ソケットカバー本体27の挿入側の端部の外周面には、前記ピンプラグ10のカバーナット16の内周面の雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている。
【0032】
図3は、ピンプラグ10とレセプタクル20の接続時の、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28との嵌合を示す図であり、図3(a)は図2の線A−Aにおける断面図、図3(b)はピンプラグ10とレセプタクル20との接続を上からみた図である。なお、図3(a)において、ピン11やソケット21等の図示は省略している。
【0033】
図3(a)に示すように、本実施形態では、キー溝部28は、ソケットカバー27の内周面の周方向に沿って、ピンプラグキー突起部15の一組が嵌るように180°で離間させて2つ設けたキー溝部28の一組を、周方向の角度をずらして28a〜28eの5組配置する。ピンプラグ10をレセプタクル20に接続した際には、ピンプラグキー突起部15の一組が、キー溝部28のいずれか一組(図3(a)では28a)と嵌合する。
【0034】
ただし、キー溝部28の一組を構成するキー溝部28の数や、その離間角度等の位置パターンは、ピンプラグキー突起部15の一組の位置パターンと対応するように定めるもので、これに限ることはない。また、キー溝部28の組を周方向にずらして設ける数も、複数設ける限りにおいて、上記したものに限ることはない。
【0035】
また、図3(b)に示すように、ピンプラグ10のピンカバー本体14の外周面、レセプタクル20のソケットカバー本体27の外周面には、上記の嵌合を行う際の位置決めの目安となる位置決めマーク41、42(42a〜42e)がそれぞれ形成されている。ソケットカバー本体27に形成される複数の位置決めマーク42a〜42eは、上記のキー溝部28の組28a〜28eにそれぞれ対応するもので、ピンカバー本体14の位置決めマーク41の位置をソケットカバー本体27の位置決めマーク42a〜42eのいずれかに合わせつつ、ピンプラグ10をレセプタクル20に挿入することで、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の位置を合わせて容易に嵌合させることができる。
【0036】
前記取付部29は、ソケットカバー本体27の外周面に設けられる、ねじ等を用いて図示されていない筐体等にレセプタクル20を取り付けるための板状の部材である。
【0037】
ピンプラグ10をレセプタクル20に接続する際には、ピンカバー本体14の外周面に設けられたピンプラグキー突起部15の一組の位置をソケットカバー本体27の内周面に設けられたキー溝部28のいずれか一組の位置にあわせ、ピンプラグキー突起部15をキー溝部28に沿ってガイドさせつつ、ピン11をソケット21の内周面に沿って挿入する。すると、ピン11がソケット21のバンドコンタクト22に接触し両者間で通電が可能な状態となる。カバーナット16を回転させて内周面の雌ねじをソケットカバー本体27の外周面に設けられた雄ねじと螺合させるとピンプラグ10がレセプタクル20に固定され、外れないようになる。なお、このとき接続完了位置溝17が見える状態となっている。このように、接続完了位置溝17は、ピンプラグ10とレセプタクル20との接続状態を視覚的に確認する役割を果たす。
【0038】
この実施形態のコネクタでは、レセプタクル20にキー溝部28の組を周方向の角度をずらして28a〜28eの5組設けたので、5つの角度でピンプラグ10をレセプタクル20に挿入できる。よって、挿入時に、ピンプラグ10とレセプタクル20の角度がずれることがあっても、ピンプラグ10を若干まわすだけで挿入できるから、接続時の電線ケーブル40のねじれを低減でき、ケーブルへの負担を軽減できる利点がある。
【0039】
次に、第2の実施形態のコネクタについて説明する。
【0040】
図4、図5に示すように、この実施形態のコネクタであるプラグインコネクタ2はプラグであるピンプラグ10とソケットであるソケットプラグ30からなり、ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入することで接続される。本実施形態のプラグインコネクタ2は、大電流用のプラグインコネクタであり、電線ケーブル50が接続されたソケットプラグ30にピンプラグ10を接続する、いわゆるインラインタイプのものである。
【0041】
ピンプラグ10については、第1の実施形態と略同一の構成を有するので、図等には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0042】
ソケットプラグ30は、ソケット31、バンドコンタクト32、ソケットキャップ33、ソケットカバー本体34、キー溝部35、カバーキャップ36等により構成される。
【0043】
ソケット31において、挿入側の端部は略円筒状に形成されている。ソケット31の挿入側の端部の内周面には、前記ピン11との接触を確実にするためのバンドコンタクト32が設けられている。ソケット31の挿入側の先端には、ソケットキャップ33が設けられている。また、ソケット31の挿入側と逆側の端部には電線ケーブル50が圧着され接続されている。
【0044】
ソケットカバー本体34は、略円筒状の形状を有し、ソケット31の軸方向の周囲に、挿入側の端部で内周面をソケット31と隔てるようにして設けられる。ソケット31とソケットカバー本体34との間には、前記ピンプラグ10のピンカバー本体14が挿入されるようになっている。そして、当該ソケットカバー本体34の内周面にはキー溝部35が設けられる。このキー溝部35は前記ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が嵌合可能な溝である。
【0045】
また、ソケットカバー本体34の挿入側の端部の外周面には、前記ピンプラグ10のカバーナット16の内周面の雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている。
【0046】
図6は、ピンプラグ10とソケットプラグ30の接続時の、ピンプラグキー突起部15とキー溝部35との嵌合を示す図であり、図6(a)は図5の線B−Bにおける断面図、図6(b)はピンプラグ10とソケットプラグ30との接続を上からみた図である。なお、図6(a)において、ピン11やソケット31等の図示は省略している。
【0047】
図6(a)に示すように、本実施形態でも、キー溝部35は、ソケットカバー本体34の内周面の周方向に沿って、ピンプラグキー突起部15の一組が嵌るように180°で離間させて2つ設けたキー溝部35の一組を、周方向の角度をずらして35a〜35eの5組配置する。ピンプラグ10をソケットプラグ30に接続した際には、ピンプラグキー突起部15の一組が、キー溝部35のいずれか一組(図6(a)では35a)と嵌合する。
【0048】
ただし、キー溝部35の一組を構成するキー溝部35の数や、その離間角度等の位置パターンは、ピンプラグキー突起部15の一組の位置パターンと対応するように定めるもので、これに限ることはない。また、キー溝部35の組を周方向にずらして設ける数も、複数設ける限りにおいて、上記したものに限ることはない。
【0049】
また、本実施形態でも、図6(b)に示すように、ソケットプラグ30のソケットカバー本体34の外周面には上記の嵌合を行う際の位置決めの目安となる位置決めマーク43(43a〜43e)が形成されている。ソケットカバー本体34に形成される複数の位置決めマーク43a〜43eは、上記のキー溝部35の組35a〜35eにそれぞれ対応するもので、ピンカバー本体14の位置決めマーク41の位置をソケットカバー本体34の位置決めマーク43a〜43eのいずれかに合わせつつ、ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入することで、ピンプラグキー突起部15とキー溝部35の位置を合わせて容易に嵌合させることができる。
【0050】
前記カバーキャップ36は、略円筒状の形状を有し、ソケット31の挿入側と逆側の端部で、ソケット31および電線ケーブル50の軸方向の周囲を覆うように設けられる。
【0051】
ピンプラグ10をソケットプラグ30に接続する際には、ピンカバー本体14の外周面に設けられたピンプラグキー突起部15の一組の位置をソケットカバー本体34の内周面に設けられたキー溝部35のいずれか一組の位置にあわせ、ピンプラグキー突起部15をキー溝部35に沿ってガイドさせつつ、ピン11をソケット31の内周面に沿って挿入する。すると、ピン11がソケット31のバンドコンタクト32に接触し両者間で通電が可能な状態となる。カバーナット16を回転させて内周面の雌ねじをソケットカバー本体34の外周面に設けられた雄ねじと螺合させるとピンプラグ10がソケットプラグ30に固定され、外れないようになる。なお、第1の実施形態と同様、このとき接続完了位置溝17が見える状態となる。
【0052】
この実施形態のコネクタでも、前述の第1の実施形態のコネクタと同様の接続時のケーブルのねじれ低減という作用効果が奏される。
【0053】
なお、前述の実施形態では、図7(a)で示すようなピンプラグキー突起部15をピンカバー本体14の外周面に沿って180°の離間角度で設けた2つで一組とするものを説明したが、ピンプラグキー突起部15の配置はこれに限らない。
例えば、ピンプラグキー突起部15を、図7(b)で示すように、120°の離間角度で3つ設け、これら3つで一組としてもよいし、図7(c)で示すように、90°の離間角度で設けた2つで一組とするものであってもよく、図7(d)で示すように、60°の離間角度で設けた2つで一組とするものであってもよい。このように、ピンプラグキー突起部15を設ける数やその離間角度等の位置パターンは適宜定めることができる。レセプタクル20やソケットプラグ30においては、この位置パターンに対応する位置パターンを有するキー溝部28(35)の組を周方向にずらしつつ複数配置するように、キー溝部28(35)を複数設ければよい。
【0054】
次に、本願発明のコネクタセットの一実施形態を説明する。
なお、以降、コネクタセットの説明をピンプラグ10とレセプタクル20によるプラグインコネクタ1を例として行うが、ピンプラグ10とソケットプラグ30によるプラグインコネクタ2の場合でも同様である。
【0055】
この実施形態のコネクタセットは、4つのプラグインコネクタ1で構成されている。個々のプラグインコネクタ1について、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15と、レセプタクル20のキー溝部28の配置パターンの組み合わせを示したものが図8であり、個々のプラグインコネクタ1のピンプラグキー突起部15とキー溝部28の組み合わせが、各図の(a)〜(d)で示した4つのパターンから選択される。各図の左側はピンプラグキー突起部15を、右側はキー溝部28を示している。各プラグインコネクタ1のピンプラグ10、レセプタクル20について、ピンプラグキー突起部15、キー溝部28以外の構成は前述したものと同様であるので説明を省略する。
【0056】
複数のプラグインコネクタ1で構成するコネクタセットでは、一のプラグインコネクタ1におけるレセプタクル20のキー溝部28を、他のプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が、嵌らないように配置する。
【0057】
即ち、レセプタクル20には、ピンプラグキー突起部15の一組の位置パターンに対応する位置パターンを有するキー溝部28の一組のみを設けるのではなく、これを周方向にずらし回転させ複数設けている。従って、第一のプラグインコネクタ1のレセプタクル20に設けた複数のキー溝部28のうち任意のものの組み合わせがなす位置パターンが、別のプラグインコネクタ1のピンプラグ10に設けたピンプラグキー突起部15の位置パターンと一致し、別のプラグインコネクタ1のピンプラグ10が第一のプラグインコネクタ1のレセプタクル20に嵌る可能性が生じる。これに対し、本コネクタセットは、これを避けるように、各プラグインコネクタ1相互におけるレセプタクル20のキー溝部28の位置、およびピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンを定めている。
【0058】
この実施形態のコネクタセットに設けた、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせを、図8に従って説明する。
図8(a)に示すパターン1では、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接するピンプラグキー突起部15の間の角度(隣接突起部間角度)が180°であり、レセプタクル20のキー溝部28の数が10個、隣り合うキー溝部28の間の角度(隣接溝部間角度)が、それぞれ40°、30°、40°、40°、30°、40°、30°、40°、40°、30°である。
【0059】
図8(b)に示すパターン2では、ピンプラグキー突起部15の数が3個、隣接突起部間角度が120°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、45°、75°、45°、75°、45°である。
【0060】
図8(c)に示すパターン3では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が90°であり、キー溝部28の数が8個、隣接溝部間角度が、それぞれ30°、40°、50°、40°、70°、40°、50°、40°である。
【0061】
図8(d)に示すパターン4では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が60°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ80°、60°、50°、60°、50°、60°である。
【0062】
図8に示すパターン1から4では、各パターンのプラグインコネクタ1において、レセプタクル20の任意の複数のキー溝部28が形成する位置パターンが、異なるパターンのプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンとは一致しないようにしてあり、さらに、常に少なくとも一つのピンプラグキー突起部15が、キー溝部28から10°以上ずれるようになっている。
【0063】
以上説明したように、プラグインコネクタ1においては、誤挿入を防止するために、ピンプラグ10にピンプラグキー突起部15の組を設けるとともに、レセプタクル20にピンプラグキー突起部15が嵌るキー溝部28の組を設ける。さらに、キー溝部28の組を周方向にずらして複数設けたので、ピンプラグ10をレセプタクル20に挿入するとき、これらを相対的に回転させて、複数の角度で挿入できるようになる。よって、この誤挿入防止機構型コネクタは、挿入時に、プラグ等に接続されているケーブルをねじる角度を小さくでき、ケーブルへの負担が少ない利点がある。レセプタクル20をソケットプラグ30とした場合でも同様である。
【0064】
そして、プラグインコネクタ1の複数によるコネクタセットでは、一のプラグインコネクタ1のレセプタクル20に設けられるキー溝部28の複数組を、他のプラグインコネクタ1のピンプラグ10に設けられたピンプラグキー突起部15が嵌らないように配置したので、上記したコネクタの効果、すなわち、プラグをソケットに挿入する際に複数の角度で挿入可能な構成を維持しつつ、誤挿入防止が可能になる。
【0065】
例えば、コネクタセットの各プラグインコネクタ1におけるピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置の組み合わせを図8に示すパターンから選択することで、一のプラグインコネクタ1のピンプラグ10を、他のプラグインコネクタ1のレセプタクル20に対して回転させても、ピンプラグキー突起部15の位置パターンが、任意の複数のキー溝部28の位置パターンに合致することがない。さらに、この任意の複数のキー溝部28の位置パターンは、上記のピンプラグキー突起部15の位置パターンから、少なくとも一つのキー溝部28が常に所定の角度ずれるようになっているので、無理やり挿し込むなどしたときに、突起部の変形等により強引に挿入されることが抑制され、誤挿入防止を確実なものとしている。
【0066】
前述の実施形態では、4個のプラグインコネクタ1によるコネクタセットを説明したが、コネクタセットはこれに限らず、コネクタセットを構成するプラグインコネクタの数は2個、3個等、4個以外の数でも良い。この場合、例えば2個のプラグインコネクタ1によるコネクタセットでは、各プラグインコネクタ1におけるピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンを、図8(a)〜(d)で示したパターン1からパターン4のうちから任意に2つ選択することができる。
【0067】
また、コネクタセットにおけるピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせも、図8で示したものに限られることはない。図9は、コネクタセットの他の実施形態に設けた、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせを示すものである。
図9(a)に示すパターン1では、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が180°であり、レセプタクル20のキー溝部28の数が4個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、105°、75°、105°である。
【0068】
図9(b)に示すパターン2では、ピンプラグキー突起部15の数が3個、隣接突起部間角度が120°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、45°、75°、45°、75°、45°である。
【0069】
図9(c)に示すパターン3では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が90°であり、キー溝部28の数が4個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、90°、105°、90°である。
【0070】
図9(d)に示すパターン4では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が60°であり、キー溝部28の数が4個、隣接溝部間角度が、それぞれ105°、60°、135°、60°である。
【0071】
図9に示すパターン1から4でも、図8の例と同様、各パターンのプラグインコネクタ1において、レセプタクル20の任意の複数のキー溝部28が形成する位置パターンが、異なるパターンのプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンと一致しないようにしてあり、さらに、常に少なくとも一つのピンプラグキー突起部15がキー溝部28から15°以上ずれるようになっている。
【0072】
この実施形態のコネクタセットにおいても、前記実施形態のものと同様の作用効果を奏することができる。
【0073】
図10は、コネクタセットの更に他の実施形態に設けた、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせを示すものである。
図10(a)に示すパターン1では、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が180°であり、レセプタクル20のキー溝部28の数が8個、隣接溝部間角度が、それぞれ45°、30°、75°、30°、45°、30°、75°、30°である。
【0074】
図10(b)に示すパターン2では、ピンプラグキー突起部15の数が3個、隣接突起部間角度が120°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、45°、75°、45°、75°、45°である。
【0075】
図10(c)に示すパターン3では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が90°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ70°、90°、70°、40°、50°、40°である。
【0076】
図10(d)に示すパターン4では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が60°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ80°、60°、50°、60°、50°、60°である。
【0077】
図10に示すパターン1から4でも、図8、図9の例と同様、各パターンのプラグインコネクタ1において、レセプタクル20の任意の複数のキー溝部28が形成する位置パターンが、異なるパターンのプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンと一致しないようにしてあり、さらに、常に少なくとも一つのピンプラグキー突起部15がキー溝部28から10°以上ずれるようになっている。
【0078】
この実施形態のコネクタセットにおいても、前記実施形態のものと同様の作用効果を奏することができる。
【0079】
図11は、コネクタセットの更に他の実施形態に設けた、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせを示すものである。
図11(a)に示すパターン1では、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が180°であり、レセプタクル20のキー溝部28の数が10個、隣接溝部間角度が、それぞれ37°、33°、30°、50°、30°、37°、33°、30°、50°、30°である。
【0080】
図11(b)に示すパターン2では、ピンプラグキー突起部15の数が3個、隣接突起部間角度が120°であり、キー溝部28の数が9個、隣接溝部間角度が、それぞれ43°、33°、44°、43°、33°、44°、43°、33°、44°である。
【0081】
図11(c)に示すパターン3では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が90°であり、キー溝部28の数が10個、隣接溝部間角度が、それぞれ50°、28°、39°、23°、28°、39°、30°、33°、57°、33°である。
【0082】
図11(d)に示すパターン4では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が60°であり、キー溝部28の数が8個、隣接溝部間角度が、それぞれ28°、60°、28°、60°、36°、60°、28°、60°である。
【0083】
図11に示すパターン1から4でも、図8から図10の例と同様、各パターンのプラグインコネクタ1において、レセプタクル20の任意の複数のキー溝部28が形成する位置パターンが、異なるパターンのプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンと一致しないようにしてある。
【0084】
この実施形態のコネクタセットにおいても、前記実施形態のものと同様の作用効果を奏することができる。このように、プラグをソケットに挿入する際に複数の角度で挿入可能な構成を維持しつつ、誤挿入防止を可能にする目的に応じて、コネクタセットにおけるピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせは適宜定めることができる。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るコネクタ等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、各実施形態では、誤挿入防止のために、プラグであるピンプラグ10に突起部を設け、ソケットであるレセプタクル20やソケットプラグ30に溝部を設けるものとして説明したが、その逆とすることも可能である。
また、各実施形態は、大電流用のプラグインコネクタを用いて説明したが、これに限ることはなく、別の種類のコネクタでも前述のピンプラグキー突起部15やキー溝部28の構成を適宜用いることが可能である。ピンプラグキー突起部15やキー溝部28の構成以外の各構成も、前述したものに限られることはなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0086】
1、2………プラグインコネクタ
10………ピンプラグ
11………ピン
14………ピンカバー本体
15………ピンプラグキー突起部
20………レセプタクル
21、31………ソケット
27、34………ソケットカバー本体
28、35………キー溝部
30………ソケットプラグ
40、50………電線ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤挿入防止機構を備えたコネクタおよびコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置等に電力を供給するケーブル等を接続する際、プラグインコネクタが用いられる場合がある。プラグインコネクタは、例えばケーブルが接続されたピンプラグ等のプラグをレセプタクルやソケットプラグ等のソケットに挿入して接続するものである。
【0003】
特許文献1、2には、プラグのソケットへの誤挿入防止を目的として、プラグまたはソケットに、周方向に沿って離間して配置されたキーの一組を設けるとともに、ソケットまたはプラグに、当該キーの一組と対応するように、周方向にキー溝の一組を配置した例が記載されている。
【0004】
プラグをソケットに挿入する際は、当該キーの一組の位置をソケットに設けられたキー溝の一組の位置にあわせて挿入する。これにより、キーおよびキー溝のパターンが合った場合にのみ、プラグのソケットへの挿入を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−259769号公報
【特許文献2】特開2000−208209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような例では、コネクタにおいて、プラグをソケットに挿入する際、キーとキー溝との位置を合わせるために、プラグを大きく回転させる場合がある。このとき、プラグに接続されたケーブル等が大きくねじれた状態となる。ケーブルを大きくねじることは、ケーブルの負担を大きくし、劣化につながることになり、好ましくない。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、誤挿入が防止されるとともに、プラグをソケットに挿入する際にプラグ等を大きく回転させる必要がないコネクタ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達するための第1の発明は、プラグとソケットを有し、誤挿入防止のために、前記プラグ又は前記ソケットの一方に周方向に離間して複数の突起部を設け、他方に前記複数の突起部が嵌る複数の溝部を設けたコネクタにおいて、前記複数の溝部の組を周方向にずらして複数設けたことを特徴とするコネクタである。
【0009】
第1の発明のコネクタでは、プラグ又はソケットに溝部の組を複数設けたので、プラグをソケットに挿入するとき、プラグをソケットに対し相対的に回転させて、複数の角度で挿入できるようになる。すなわち、プラグのソケットに対する周方向角度が溝部の組の数だけ許容される。よって、この誤挿入防止機構型コネクタは、挿入時に、プラグ等に接続されているケーブルをねじる角度を小さくでき、ケーブルへの負担が少ない利点がある。
【0010】
前述した目的を達するための第2の発明は、請求項1記載のコネクタの複数からなるコネクタセットであって、第一のコネクタのプラグ又はソケットの一方に設けられた複数の突起部の位置パターンを、残余のコネクタのプラグ又はソケットの一方に設けられた複数の突起部の位置パターンとは違えておき、かつ、前記第一のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットの他方に設けられる前記複数の溝部の組の複数を、前記残余のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットに設けられた複数の突起部が嵌らないように、任意の複数の溝部の位置パターンが前記残余のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットに設けられた複数の突起部の位置パターンと一致しないように配置したことを特徴とするコネクタセットである。
【0011】
第2の発明のコネクタセットでは、第一のコネクタのソケット等に設けられる溝部の複数組を、残余のコネクタのプラグ等に設けられた突起部が嵌らないように配置したので、第1の発明のコネクタの効果、すなわち、プラグをソケットに挿入する際に複数の角度で挿入可能な構成を維持しつつ、誤挿入防止が可能になる。
【0012】
第2の発明のコネクタセットにおいては、例えば、次のパターン1〜4の中からパターンを複数選択して、各コネクタのプラグ又はソケットにおける突起部の数、隣接突起部間角度、溝部の数、隣接溝部間角度を決めることができる。
パターン1:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 180°、溝部の数 10個、隣接溝部間角度 40°、30°、40°、40°、30°、40°、30°、40°、40°、30°
パターン2:突起部の数 3個、隣接突起部間角度 120°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 75°、45°、75°、45°、75°、45°
パターン3:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 90°、溝部の数 8個、隣接溝部間角度 30°、40°、50°、40°、70°、40°、50°、40°
パターン4:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 60°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 80°、60°、50°、60°、50°、60°
【0013】
また、次のパターン1〜4の中からパターンを複数選択して、各コネクタのプラグ又はソケットにおける突起部の数、隣接突起部間角度、溝部の数、隣接溝部間角度を決めることもできる。
パターン1:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 180°、溝部の数 4個、隣接溝部間角度 75°、105°、75°、105°
パターン2:突起部の数 3個、隣接突起部間角度 120°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 75°、45°、75°、45°、75°、45°
パターン3:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 90°、溝部の数 4個、隣接溝部間角度 75°、90°、105°、90°
パターン4:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 60°、溝部の数 4個、隣接溝部間角度 105°、60°、135°、60°
【0014】
加えて、次のパターン1〜4の中からパターンを複数選択して、各コネクタのプラグ又はソケットにおける突起部の数、隣接突起部間角度、溝部の数、隣接溝部間角度を決めることもできる。
パターン1:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 180°、溝部の数 8個、隣接溝部間角度 45°、30°、75°、30°、45°、30°、75°、30°
パターン2:突起部の数 3個、隣接突起部間角度 120°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 75°、45°、75°、45°、75°、45°
パターン3:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 90°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 70°、90°、70°、40°、50°、40°
パターン4:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 60°、溝部の数 6個、隣接溝部間角度 80°、60°、50°、60°、50°、60°
【0015】
さらに、次のパターン1〜4の中からパターンを複数選択して、各コネクタのプラグ又はソケットにおける突起部の数、隣接突起部間角度、溝部の数、隣接溝部間角度を決めることもできる。
パターン1:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 180°、溝部の数 10個、隣接溝部間角度 37°、33°、30°、50°、30°、37°、33°、30°、50°、30°
パターン2:突起部の数 3個、隣接突起部間角度 120°、溝部の数 9個、隣接溝部間角度 43°、33°、44°、43°、33°、44°、43°、33°、44°
パターン3:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 90°、溝部の数 10個、隣接溝部間角度 50°、28°、39°、23°、28°、39°、30°、33°、57°、33°
パターン4:突起部の数 2個、隣接突起部間角度 60°、溝部の数 8個、隣接溝部間角度 28°、60°、28°、60°、36°、60°、28°、60°
【0016】
かかる構成のコネクタセットは、第一のコネクタのプラグ又はソケットと、残余のコネクタのソケット又はプラグとの間で、複数の突起部の位置パターンが、任意の複数の溝部の位置パターンに合致することがない。従って、第一のコネクタのプラグ又はソケットと、他のコネクタのソケット又はプラグを相対的に回転させても、突起部が溝部に嵌らず、プラグがソケットに挿入されることがない。さらに、第一のコネクタにおける任意の複数の溝部の位置パターンは、残余のコネクタにおける複数の突起部の位置パターンから、少なくとも一つの溝部が常に所定の角度ずれるようになっているので、無理やり挿し込むなどしたときに、突起部の変形等により強引に挿入されることが抑制され、誤挿入防止を確実なものとしている。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、誤挿入を防止できるとともに、プラグをソケットに挿入する際にプラグ等を大きく回転させる必要がないコネクタ等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ピンプラグ10とレセプタクル20の接続を示す図
【図2】ピンプラグ10とレセプタクル20を接続したプラグインコネクタ1を示す図
【図3】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の嵌合を示す図
【図4】ピンプラグ10とソケットプラグ30の接続を示す図
【図5】ピンプラグ10とソケットプラグ30を接続したプラグインコネクタ2を示す図
【図6】ピンプラグキー突起部15とキー溝部35の嵌合を示す図
【図7】ピンプラグキー突起部15について示す図
【図8】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンについて示す図
【図9】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンについて示す図
【図10】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンについて示す図
【図11】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンについて示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明のコネクタ等の実施形態について説明する。
まず、図1から図3を参照して、第1の実施形態のコネクタについて説明する。
【0020】
図1、図2に示すように、コネクタであるプラグインコネクタ1は、プラグであるピンプラグ10とソケットであるレセプタクル20からなり、ピンプラグ10をレセプタクル20に挿入することで接続される。本実施形態のプラグインコネクタ1は、大電流用のプラグインコネクタであり、レセプタクル20が図示されていない筐体等に取り付けられる、いわゆるパネルマウントタイプのものである。
【0021】
ピンプラグ10は、ピン11、ピンキャップ12、スプリングピン13、ピンカバー本体14、ピンプラグキー突起部15、カバーナット16、接続完了位置溝17、カバーキャップ18等により構成される。
【0022】
ピン11は一本設けられており、その挿入側の端部は略円柱状に形成されている。
なお、挿入側とは、ピンプラグ10を構成する各部材についてはピンプラグ10をレセプタクル20に挿入する際にレセプタクル20に向かう側を指し、レセプタクル20を構成する各部材についてはピンプラグ10をレセプタクル20に挿入する際にピンプラグ10に向かう側を指すものとする。ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入するプラグインコネクタの例についても後ほど説明するが、その際の挿入側についても同様である。
【0023】
ピン11の挿入側の先端には、頭部12aと軸部12bを有するピンキャップ12が、その軸部12bをピン11の軸方向に挿入するようにして設けられている。なお、ピンキャップ12はピン11の挿入側の端部およびピンキャップ12の軸部12bを貫通するように設けられたスプリングピン13により固定される。
【0024】
また、ピン11において、挿入側と逆側の端部では、ピン11に電線ケーブル40が圧着され接続される。
【0025】
ピンカバー本体14は、略円筒状の形状を有し、ピン11の軸方向の周囲に設けられる。ピンカバー本体14の挿入側の端部の外周面には、ピンプラグキー突起部15が設けられる。ピンプラグキー突起部15は、図7(a)に示すように、ピンカバー本体14の周方向に沿って180°離間して2つ設けられている。これら2個のピンプラグキー突起部15は一組をなしている。ただし、ピンプラグキー突起部15の一組を構成するピンプラグキー突起部15の数や、その離間角度等の位置パターンは、ピンプラグキー突起部15を複数設ける限りにおいて、上記したものに限ることはない。
【0026】
カバーナット16は、略円筒状の形状を有し、ピンカバー本体14の軸方向の周囲に、挿入側の端部で内周面をピンカバー本体14と隔てるように設けられる。当該内周面には雌ねじが切られている。
【0027】
カバーキャップ18は、略円筒状の形状を有し、ピン11の挿入側と逆側の端部で、ピン11および電線ケーブル40の軸方向の周囲に設けられる。
【0028】
レセプタクル20は、ソケット21、バンドコンタクト22、ソケットキャップ23、ボルト24、ナット25、ワッシャー26、ソケットカバー本体27、キー溝部28、取付部29等により構成され、取付部29を介して図示されていない筐体等に取り付けられる。
【0029】
ソケット21において、挿入側の端部は円筒状に形成されている。ソケット21の挿入側の端部の内周面には、前記ピン11との接触を確実にするためのバンドコンタクト22が設けられている。ソケット21の挿入側の先端には、ソケットキャップ23が設けられている。また、ソケット21の挿入側と逆側の端部はボルト24と連続しており、ボルト24にはナット25やワッシャー26を用いて図示されていないブスバー等が取り付けられる。
【0030】
ソケットカバー本体27は、略円筒状の形状を有し、ソケット21の軸方向の周囲に、挿入側の端部で内周面をソケット21と隔てるようにして設けられる。ソケット21とソケットカバー本体27との間には、前記ピンプラグ10のピンカバー本体14が挿入されるようになっている。そして、当該ソケットカバー本体27の内周面にはキー溝部28が複数設けられる。このキー溝部28は前記ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が嵌合可能な溝である。
【0031】
また、ソケットカバー本体27の挿入側の端部の外周面には、前記ピンプラグ10のカバーナット16の内周面の雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている。
【0032】
図3は、ピンプラグ10とレセプタクル20の接続時の、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28との嵌合を示す図であり、図3(a)は図2の線A−Aにおける断面図、図3(b)はピンプラグ10とレセプタクル20との接続を上からみた図である。なお、図3(a)において、ピン11やソケット21等の図示は省略している。
【0033】
図3(a)に示すように、本実施形態では、キー溝部28は、ソケットカバー27の内周面の周方向に沿って、ピンプラグキー突起部15の一組が嵌るように180°で離間させて2つ設けたキー溝部28の一組を、周方向の角度をずらして28a〜28eの5組配置する。ピンプラグ10をレセプタクル20に接続した際には、ピンプラグキー突起部15の一組が、キー溝部28のいずれか一組(図3(a)では28a)と嵌合する。
【0034】
ただし、キー溝部28の一組を構成するキー溝部28の数や、その離間角度等の位置パターンは、ピンプラグキー突起部15の一組の位置パターンと対応するように定めるもので、これに限ることはない。また、キー溝部28の組を周方向にずらして設ける数も、複数設ける限りにおいて、上記したものに限ることはない。
【0035】
また、図3(b)に示すように、ピンプラグ10のピンカバー本体14の外周面、レセプタクル20のソケットカバー本体27の外周面には、上記の嵌合を行う際の位置決めの目安となる位置決めマーク41、42(42a〜42e)がそれぞれ形成されている。ソケットカバー本体27に形成される複数の位置決めマーク42a〜42eは、上記のキー溝部28の組28a〜28eにそれぞれ対応するもので、ピンカバー本体14の位置決めマーク41の位置をソケットカバー本体27の位置決めマーク42a〜42eのいずれかに合わせつつ、ピンプラグ10をレセプタクル20に挿入することで、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の位置を合わせて容易に嵌合させることができる。
【0036】
前記取付部29は、ソケットカバー本体27の外周面に設けられる、ねじ等を用いて図示されていない筐体等にレセプタクル20を取り付けるための板状の部材である。
【0037】
ピンプラグ10をレセプタクル20に接続する際には、ピンカバー本体14の外周面に設けられたピンプラグキー突起部15の一組の位置をソケットカバー本体27の内周面に設けられたキー溝部28のいずれか一組の位置にあわせ、ピンプラグキー突起部15をキー溝部28に沿ってガイドさせつつ、ピン11をソケット21の内周面に沿って挿入する。すると、ピン11がソケット21のバンドコンタクト22に接触し両者間で通電が可能な状態となる。カバーナット16を回転させて内周面の雌ねじをソケットカバー本体27の外周面に設けられた雄ねじと螺合させるとピンプラグ10がレセプタクル20に固定され、外れないようになる。なお、このとき接続完了位置溝17が見える状態となっている。このように、接続完了位置溝17は、ピンプラグ10とレセプタクル20との接続状態を視覚的に確認する役割を果たす。
【0038】
この実施形態のコネクタでは、レセプタクル20にキー溝部28の組を周方向の角度をずらして28a〜28eの5組設けたので、5つの角度でピンプラグ10をレセプタクル20に挿入できる。よって、挿入時に、ピンプラグ10とレセプタクル20の角度がずれることがあっても、ピンプラグ10を若干まわすだけで挿入できるから、接続時の電線ケーブル40のねじれを低減でき、ケーブルへの負担を軽減できる利点がある。
【0039】
次に、第2の実施形態のコネクタについて説明する。
【0040】
図4、図5に示すように、この実施形態のコネクタであるプラグインコネクタ2はプラグであるピンプラグ10とソケットであるソケットプラグ30からなり、ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入することで接続される。本実施形態のプラグインコネクタ2は、大電流用のプラグインコネクタであり、電線ケーブル50が接続されたソケットプラグ30にピンプラグ10を接続する、いわゆるインラインタイプのものである。
【0041】
ピンプラグ10については、第1の実施形態と略同一の構成を有するので、図等には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0042】
ソケットプラグ30は、ソケット31、バンドコンタクト32、ソケットキャップ33、ソケットカバー本体34、キー溝部35、カバーキャップ36等により構成される。
【0043】
ソケット31において、挿入側の端部は略円筒状に形成されている。ソケット31の挿入側の端部の内周面には、前記ピン11との接触を確実にするためのバンドコンタクト32が設けられている。ソケット31の挿入側の先端には、ソケットキャップ33が設けられている。また、ソケット31の挿入側と逆側の端部には電線ケーブル50が圧着され接続されている。
【0044】
ソケットカバー本体34は、略円筒状の形状を有し、ソケット31の軸方向の周囲に、挿入側の端部で内周面をソケット31と隔てるようにして設けられる。ソケット31とソケットカバー本体34との間には、前記ピンプラグ10のピンカバー本体14が挿入されるようになっている。そして、当該ソケットカバー本体34の内周面にはキー溝部35が設けられる。このキー溝部35は前記ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が嵌合可能な溝である。
【0045】
また、ソケットカバー本体34の挿入側の端部の外周面には、前記ピンプラグ10のカバーナット16の内周面の雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている。
【0046】
図6は、ピンプラグ10とソケットプラグ30の接続時の、ピンプラグキー突起部15とキー溝部35との嵌合を示す図であり、図6(a)は図5の線B−Bにおける断面図、図6(b)はピンプラグ10とソケットプラグ30との接続を上からみた図である。なお、図6(a)において、ピン11やソケット31等の図示は省略している。
【0047】
図6(a)に示すように、本実施形態でも、キー溝部35は、ソケットカバー本体34の内周面の周方向に沿って、ピンプラグキー突起部15の一組が嵌るように180°で離間させて2つ設けたキー溝部35の一組を、周方向の角度をずらして35a〜35eの5組配置する。ピンプラグ10をソケットプラグ30に接続した際には、ピンプラグキー突起部15の一組が、キー溝部35のいずれか一組(図6(a)では35a)と嵌合する。
【0048】
ただし、キー溝部35の一組を構成するキー溝部35の数や、その離間角度等の位置パターンは、ピンプラグキー突起部15の一組の位置パターンと対応するように定めるもので、これに限ることはない。また、キー溝部35の組を周方向にずらして設ける数も、複数設ける限りにおいて、上記したものに限ることはない。
【0049】
また、本実施形態でも、図6(b)に示すように、ソケットプラグ30のソケットカバー本体34の外周面には上記の嵌合を行う際の位置決めの目安となる位置決めマーク43(43a〜43e)が形成されている。ソケットカバー本体34に形成される複数の位置決めマーク43a〜43eは、上記のキー溝部35の組35a〜35eにそれぞれ対応するもので、ピンカバー本体14の位置決めマーク41の位置をソケットカバー本体34の位置決めマーク43a〜43eのいずれかに合わせつつ、ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入することで、ピンプラグキー突起部15とキー溝部35の位置を合わせて容易に嵌合させることができる。
【0050】
前記カバーキャップ36は、略円筒状の形状を有し、ソケット31の挿入側と逆側の端部で、ソケット31および電線ケーブル50の軸方向の周囲を覆うように設けられる。
【0051】
ピンプラグ10をソケットプラグ30に接続する際には、ピンカバー本体14の外周面に設けられたピンプラグキー突起部15の一組の位置をソケットカバー本体34の内周面に設けられたキー溝部35のいずれか一組の位置にあわせ、ピンプラグキー突起部15をキー溝部35に沿ってガイドさせつつ、ピン11をソケット31の内周面に沿って挿入する。すると、ピン11がソケット31のバンドコンタクト32に接触し両者間で通電が可能な状態となる。カバーナット16を回転させて内周面の雌ねじをソケットカバー本体34の外周面に設けられた雄ねじと螺合させるとピンプラグ10がソケットプラグ30に固定され、外れないようになる。なお、第1の実施形態と同様、このとき接続完了位置溝17が見える状態となる。
【0052】
この実施形態のコネクタでも、前述の第1の実施形態のコネクタと同様の接続時のケーブルのねじれ低減という作用効果が奏される。
【0053】
なお、前述の実施形態では、図7(a)で示すようなピンプラグキー突起部15をピンカバー本体14の外周面に沿って180°の離間角度で設けた2つで一組とするものを説明したが、ピンプラグキー突起部15の配置はこれに限らない。
例えば、ピンプラグキー突起部15を、図7(b)で示すように、120°の離間角度で3つ設け、これら3つで一組としてもよいし、図7(c)で示すように、90°の離間角度で設けた2つで一組とするものであってもよく、図7(d)で示すように、60°の離間角度で設けた2つで一組とするものであってもよい。このように、ピンプラグキー突起部15を設ける数やその離間角度等の位置パターンは適宜定めることができる。レセプタクル20やソケットプラグ30においては、この位置パターンに対応する位置パターンを有するキー溝部28(35)の組を周方向にずらしつつ複数配置するように、キー溝部28(35)を複数設ければよい。
【0054】
次に、本願発明のコネクタセットの一実施形態を説明する。
なお、以降、コネクタセットの説明をピンプラグ10とレセプタクル20によるプラグインコネクタ1を例として行うが、ピンプラグ10とソケットプラグ30によるプラグインコネクタ2の場合でも同様である。
【0055】
この実施形態のコネクタセットは、4つのプラグインコネクタ1で構成されている。個々のプラグインコネクタ1について、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15と、レセプタクル20のキー溝部28の配置パターンの組み合わせを示したものが図8であり、個々のプラグインコネクタ1のピンプラグキー突起部15とキー溝部28の組み合わせが、各図の(a)〜(d)で示した4つのパターンから選択される。各図の左側はピンプラグキー突起部15を、右側はキー溝部28を示している。各プラグインコネクタ1のピンプラグ10、レセプタクル20について、ピンプラグキー突起部15、キー溝部28以外の構成は前述したものと同様であるので説明を省略する。
【0056】
複数のプラグインコネクタ1で構成するコネクタセットでは、一のプラグインコネクタ1におけるレセプタクル20のキー溝部28を、他のプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が、嵌らないように配置する。
【0057】
即ち、レセプタクル20には、ピンプラグキー突起部15の一組の位置パターンに対応する位置パターンを有するキー溝部28の一組のみを設けるのではなく、これを周方向にずらし回転させ複数設けている。従って、第一のプラグインコネクタ1のレセプタクル20に設けた複数のキー溝部28のうち任意のものの組み合わせがなす位置パターンが、別のプラグインコネクタ1のピンプラグ10に設けたピンプラグキー突起部15の位置パターンと一致し、別のプラグインコネクタ1のピンプラグ10が第一のプラグインコネクタ1のレセプタクル20に嵌る可能性が生じる。これに対し、本コネクタセットは、これを避けるように、各プラグインコネクタ1相互におけるレセプタクル20のキー溝部28の位置、およびピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンを定めている。
【0058】
この実施形態のコネクタセットに設けた、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせを、図8に従って説明する。
図8(a)に示すパターン1では、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接するピンプラグキー突起部15の間の角度(隣接突起部間角度)が180°であり、レセプタクル20のキー溝部28の数が10個、隣り合うキー溝部28の間の角度(隣接溝部間角度)が、それぞれ40°、30°、40°、40°、30°、40°、30°、40°、40°、30°である。
【0059】
図8(b)に示すパターン2では、ピンプラグキー突起部15の数が3個、隣接突起部間角度が120°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、45°、75°、45°、75°、45°である。
【0060】
図8(c)に示すパターン3では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が90°であり、キー溝部28の数が8個、隣接溝部間角度が、それぞれ30°、40°、50°、40°、70°、40°、50°、40°である。
【0061】
図8(d)に示すパターン4では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が60°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ80°、60°、50°、60°、50°、60°である。
【0062】
図8に示すパターン1から4では、各パターンのプラグインコネクタ1において、レセプタクル20の任意の複数のキー溝部28が形成する位置パターンが、異なるパターンのプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンとは一致しないようにしてあり、さらに、常に少なくとも一つのピンプラグキー突起部15が、キー溝部28から10°以上ずれるようになっている。
【0063】
以上説明したように、プラグインコネクタ1においては、誤挿入を防止するために、ピンプラグ10にピンプラグキー突起部15の組を設けるとともに、レセプタクル20にピンプラグキー突起部15が嵌るキー溝部28の組を設ける。さらに、キー溝部28の組を周方向にずらして複数設けたので、ピンプラグ10をレセプタクル20に挿入するとき、これらを相対的に回転させて、複数の角度で挿入できるようになる。よって、この誤挿入防止機構型コネクタは、挿入時に、プラグ等に接続されているケーブルをねじる角度を小さくでき、ケーブルへの負担が少ない利点がある。レセプタクル20をソケットプラグ30とした場合でも同様である。
【0064】
そして、プラグインコネクタ1の複数によるコネクタセットでは、一のプラグインコネクタ1のレセプタクル20に設けられるキー溝部28の複数組を、他のプラグインコネクタ1のピンプラグ10に設けられたピンプラグキー突起部15が嵌らないように配置したので、上記したコネクタの効果、すなわち、プラグをソケットに挿入する際に複数の角度で挿入可能な構成を維持しつつ、誤挿入防止が可能になる。
【0065】
例えば、コネクタセットの各プラグインコネクタ1におけるピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置の組み合わせを図8に示すパターンから選択することで、一のプラグインコネクタ1のピンプラグ10を、他のプラグインコネクタ1のレセプタクル20に対して回転させても、ピンプラグキー突起部15の位置パターンが、任意の複数のキー溝部28の位置パターンに合致することがない。さらに、この任意の複数のキー溝部28の位置パターンは、上記のピンプラグキー突起部15の位置パターンから、少なくとも一つのキー溝部28が常に所定の角度ずれるようになっているので、無理やり挿し込むなどしたときに、突起部の変形等により強引に挿入されることが抑制され、誤挿入防止を確実なものとしている。
【0066】
前述の実施形態では、4個のプラグインコネクタ1によるコネクタセットを説明したが、コネクタセットはこれに限らず、コネクタセットを構成するプラグインコネクタの数は2個、3個等、4個以外の数でも良い。この場合、例えば2個のプラグインコネクタ1によるコネクタセットでは、各プラグインコネクタ1におけるピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンを、図8(a)〜(d)で示したパターン1からパターン4のうちから任意に2つ選択することができる。
【0067】
また、コネクタセットにおけるピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせも、図8で示したものに限られることはない。図9は、コネクタセットの他の実施形態に設けた、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせを示すものである。
図9(a)に示すパターン1では、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が180°であり、レセプタクル20のキー溝部28の数が4個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、105°、75°、105°である。
【0068】
図9(b)に示すパターン2では、ピンプラグキー突起部15の数が3個、隣接突起部間角度が120°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、45°、75°、45°、75°、45°である。
【0069】
図9(c)に示すパターン3では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が90°であり、キー溝部28の数が4個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、90°、105°、90°である。
【0070】
図9(d)に示すパターン4では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が60°であり、キー溝部28の数が4個、隣接溝部間角度が、それぞれ105°、60°、135°、60°である。
【0071】
図9に示すパターン1から4でも、図8の例と同様、各パターンのプラグインコネクタ1において、レセプタクル20の任意の複数のキー溝部28が形成する位置パターンが、異なるパターンのプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンと一致しないようにしてあり、さらに、常に少なくとも一つのピンプラグキー突起部15がキー溝部28から15°以上ずれるようになっている。
【0072】
この実施形態のコネクタセットにおいても、前記実施形態のものと同様の作用効果を奏することができる。
【0073】
図10は、コネクタセットの更に他の実施形態に設けた、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせを示すものである。
図10(a)に示すパターン1では、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が180°であり、レセプタクル20のキー溝部28の数が8個、隣接溝部間角度が、それぞれ45°、30°、75°、30°、45°、30°、75°、30°である。
【0074】
図10(b)に示すパターン2では、ピンプラグキー突起部15の数が3個、隣接突起部間角度が120°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ75°、45°、75°、45°、75°、45°である。
【0075】
図10(c)に示すパターン3では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が90°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ70°、90°、70°、40°、50°、40°である。
【0076】
図10(d)に示すパターン4では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が60°であり、キー溝部28の数が6個、隣接溝部間角度が、それぞれ80°、60°、50°、60°、50°、60°である。
【0077】
図10に示すパターン1から4でも、図8、図9の例と同様、各パターンのプラグインコネクタ1において、レセプタクル20の任意の複数のキー溝部28が形成する位置パターンが、異なるパターンのプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンと一致しないようにしてあり、さらに、常に少なくとも一つのピンプラグキー突起部15がキー溝部28から10°以上ずれるようになっている。
【0078】
この実施形態のコネクタセットにおいても、前記実施形態のものと同様の作用効果を奏することができる。
【0079】
図11は、コネクタセットの更に他の実施形態に設けた、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせを示すものである。
図11(a)に示すパターン1では、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が180°であり、レセプタクル20のキー溝部28の数が10個、隣接溝部間角度が、それぞれ37°、33°、30°、50°、30°、37°、33°、30°、50°、30°である。
【0080】
図11(b)に示すパターン2では、ピンプラグキー突起部15の数が3個、隣接突起部間角度が120°であり、キー溝部28の数が9個、隣接溝部間角度が、それぞれ43°、33°、44°、43°、33°、44°、43°、33°、44°である。
【0081】
図11(c)に示すパターン3では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が90°であり、キー溝部28の数が10個、隣接溝部間角度が、それぞれ50°、28°、39°、23°、28°、39°、30°、33°、57°、33°である。
【0082】
図11(d)に示すパターン4では、ピンプラグキー突起部15の数が2個、隣接突起部間角度が60°であり、キー溝部28の数が8個、隣接溝部間角度が、それぞれ28°、60°、28°、60°、36°、60°、28°、60°である。
【0083】
図11に示すパターン1から4でも、図8から図10の例と同様、各パターンのプラグインコネクタ1において、レセプタクル20の任意の複数のキー溝部28が形成する位置パターンが、異なるパターンのプラグインコネクタ1におけるピンプラグ10のピンプラグキー突起部15の位置パターンと一致しないようにしてある。
【0084】
この実施形態のコネクタセットにおいても、前記実施形態のものと同様の作用効果を奏することができる。このように、プラグをソケットに挿入する際に複数の角度で挿入可能な構成を維持しつつ、誤挿入防止を可能にする目的に応じて、コネクタセットにおけるピンプラグキー突起部15とキー溝部28の配置パターンの組み合わせは適宜定めることができる。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るコネクタ等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、各実施形態では、誤挿入防止のために、プラグであるピンプラグ10に突起部を設け、ソケットであるレセプタクル20やソケットプラグ30に溝部を設けるものとして説明したが、その逆とすることも可能である。
また、各実施形態は、大電流用のプラグインコネクタを用いて説明したが、これに限ることはなく、別の種類のコネクタでも前述のピンプラグキー突起部15やキー溝部28の構成を適宜用いることが可能である。ピンプラグキー突起部15やキー溝部28の構成以外の各構成も、前述したものに限られることはなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0086】
1、2………プラグインコネクタ
10………ピンプラグ
11………ピン
14………ピンカバー本体
15………ピンプラグキー突起部
20………レセプタクル
21、31………ソケット
27、34………ソケットカバー本体
28、35………キー溝部
30………ソケットプラグ
40、50………電線ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグとソケットを有し、誤挿入防止のために、前記プラグ又は前記ソケットの一方に周方向に離間して複数の突起部を設け、他方に前記複数の突起部が嵌る複数の溝部を設けたコネクタにおいて、
前記複数の溝部の組を周方向にずらして複数設けたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタの複数からなるコネクタセットであって、
第一のコネクタのプラグ又はソケットの一方に設けられた複数の突起部の位置パターンを、残余のコネクタのプラグ又はソケットの一方に設けられた複数の突起部の位置パターンとは違えておき、
かつ、前記第一のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットの他方に設けられる前記複数の溝部の組の複数を、前記残余のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットに設けられた複数の突起部が嵌らないように、任意の複数の溝部の位置パターンが前記残余のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットに設けられた複数の突起部の位置パターンと一致しないように配置したことを特徴とするコネクタセット。
【請求項1】
プラグとソケットを有し、誤挿入防止のために、前記プラグ又は前記ソケットの一方に周方向に離間して複数の突起部を設け、他方に前記複数の突起部が嵌る複数の溝部を設けたコネクタにおいて、
前記複数の溝部の組を周方向にずらして複数設けたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタの複数からなるコネクタセットであって、
第一のコネクタのプラグ又はソケットの一方に設けられた複数の突起部の位置パターンを、残余のコネクタのプラグ又はソケットの一方に設けられた複数の突起部の位置パターンとは違えておき、
かつ、前記第一のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットの他方に設けられる前記複数の溝部の組の複数を、前記残余のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットに設けられた複数の突起部が嵌らないように、任意の複数の溝部の位置パターンが前記残余のコネクタの前記プラグ又は前記ソケットに設けられた複数の突起部の位置パターンと一致しないように配置したことを特徴とするコネクタセット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−249012(P2011−249012A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117548(P2010−117548)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(508125184)古河パワーコンポーネンツ株式会社 (6)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(508125184)古河パワーコンポーネンツ株式会社 (6)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
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