説明

コネクタ付半導体装置とその製造方法

【課題】信頼性に高い構造のコネクタ付半導体装置とその製造方法とを提供する。
【解決手段】半導体モジュール10を収容する半導体モジュール収容部111と、外部との接続を図る外部接続端子105とを収容するコネクタ部110とが一体となったコネクタ付半導体装置1であって、熱可塑性樹脂TPRを用いて、外部接続端子105を内側に保持しつつ、半導体モジュール10を固定するための半導体モジュール固定部121と、コネクタ部110を形成する際に、半導体モジュール固定手段12を金型2内の所定位置に保持するための固定手段被固定部122とを形成した半導体モジュール固定手段12を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディングワイヤを用いてリードフレームと接続した半導体素子と、制御回路部品とを含む半導体モジュールと、該半導体モジュールと外部との接続を図る端子金具とをコネクタ部内に一体的に収容したコネクタ付半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力に対して所定の処理を施して出力する、集積回路、半導体スイッチング素子といった能動部品と、抵抗、コイル、キャパシタといった受動部品とを組み合わせて、基板、リードフレーム等の機構部品を用いて配置し、入出力のための外部接続端子を設けて、筐体や樹脂モールド内に収納した半導体装置が様々な分野で使用されている。
【0003】
特許文献1には、外部接続端子を接続した半導体集積基板と、前記端子及び基板を一体的に埋め込んで形成したコネクタ部を有する樹脂成形部とからなるコネクタ付半導体装置が開示されている。
【0004】
このようなコネクタ付半導体装置を、ディーゼル車等の内燃機関の着火を補助したり燃焼排気の浄化を図ったりするためのグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御装置(以下、適宜GCUと称す。)に適用しようとした場合、コネクタ付半導体装置は、激しい振動に晒されたり水を被ったりする等の過酷な使用環境に載置されるため、コネクタ部には、激しい振動に対抗できる高い靱性と、被水したときに水の侵入を阻止する高い水密性が要求される。
また、近年、グロープラグの即暖化やアフターグローの要求により、GCUに用いられる半導体素子の発熱量が増大する傾向にあり、半導体素子の放熱性の向上が重要となっている(特許文献2参照)。
【0005】
一方、半導体素子とリードフレームとの接続には、一般的に金やアルミニウム等からなるボンディングワイヤが用いられており、これらの半導体素子を封止保護する際には、封止時の断線を避けるために、比較的粘度の低いエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べ靱性が低い脆性材料であり、GCU等のような過酷な使用環境に晒されるコネクタ部を形成するには不向きである。
一方、ポリフェニルサルファイド(PPS)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等の熱可塑性樹脂は、靱性が高く、車載用半導体装置のコネクタ部の形成に広く用いられているが、溶融時の粘度が比較的高く、充填時にボンディングワイヤの断線や剥離を招く虞があり半導体素子を直接的に覆う保護樹脂材料として用いることは困難である。
このため、特許文献1にあるように、半導体集積基板に端子を接続し、成型金型に配置した後、樹脂を前記金型に注入し、コネクタも同時に形成するためには、予め半導体集積基板に端子を接続した上で、半導体集積基板の周囲をエポキシ樹脂等の比較的粘度の低い熱硬化性樹脂で覆った後、成型金型に配置して、金型内に注入する樹脂として熱可塑性樹脂を用いることになる。
【0007】
ところが、熱可塑性樹脂は粘度が高く、押し退け力が極めて大きく、本発明者等が図14に示すように、外部接続端子105zを金型2zの中子22zに設けた端子固定溝204zに固定して、金型2z内において半導体集積基板103zが浮き上がった状態で熱可塑性樹脂TPRを注入する試験を行った所、比較的粘度の高い熱可塑性樹脂TPRの押し退け力によって、図14(a)に示すように、外部接続端子105zが変形したり、図14(b)に示すように、リードフレーム104yと外部接続端子105zとの接続が剥離したりする虞があることが判明した。
なお、図14(a)に比較例1として示す半導体モジュール10zは、基板103z状にボンディングワイヤ102zによって接続された半導体素子101zと回路部品106zとが載置され、外部接続端子105zが直接基板103zに接続され、保護樹脂107zによって覆われており、これを移動型20z、固定型21z、中子22zからなり、内側にキャビティを区画した金型2zを用いて半導体モジュール収容部とコネクタ部とを一体的に形成し、図14(b)に比較例2として示す半導体モジュール10yは、基板103y上にボンディングワイヤ102yで接続した半導体素子101yと回路部品106yを載置し、リードフレーム104yを接続し、低粘度の熱硬化性樹脂TSRからなる保護樹脂107zによって覆い、さらにその周囲を熱可塑性樹脂TPR、又は、熱硬化性樹脂TSRからなるモールド樹脂107yで覆い、リードフレーム104yと外部接続端子105zとを抵抗溶接、加締め、ハンダ付け等によって接続してある。
【0008】
このような半導体モジュール10z、10yを特許文献1にあるような従来のコネクタ付半導体装置と同様に、外部接続端子105zを金型2z内に固定して熱可塑性樹脂TPRを充填した所、上記のような問題が発生することが判明したものである。
従来のコネクタ付半導体装置では、このような外部接続端子の変形や接続部の剥離が生じていたとしても、外観からは正常か否かの判断ができないため、コネクタ付半導の信頼性を著しく低下させることになる。
また、このような問題を生じさせないため粘度の低い熱硬化性樹脂を用いてコネクタ部を形成したのでは、靱性が低く、過酷な使用環境に置かれる車載用途には利用できない。
【0009】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、少なくとも半導体素子と制御回路部と外部接続端子とを収容する半導体モジュール収容部と相手方に嵌合可能とするコネクタ部とが一体となったコネクタ付半導体装置であって、高靱性で高水密性を確保できる熱可塑性樹脂を用いてコネクタ部を形成する際に、外部接続端子が変形したり、リードフレームと外部接続端子との接続が剥離したりする虞のない信頼性に高い構造のコネクタ付半導体装置とその製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明では、少なくとも半導体素子と制御回路部とリードフレームとを保護樹脂部によって封止してリードフレームの一端を外部に引き出した半導体モジュールと、該半導体モジュールを収容する半導体モジュール収容部と、上記半導体モジュールに接続され外部との接続を図る外部接続端子を収容するコネクタ部とを具備し、上記半導体モジュール収容部と上記コネクタ部とが一体となったコネクタ付半導体装置であって、熱可塑性樹脂からなり、上記外部接続端子を内側に保持しつつ、上記半導体モジュールを固定するための半導体モジュール固定部と、上記コネクタ部を形成する際に、上記半導体モジュール固定手段を金型内の所定位置に保持するための固定手段被固定部とを形成した半導体モジュール固定手段を具備する。
【0011】
請求項2の発明では、上記半導体モジュール固定手段は、インサート成型、又は、圧入により、上記外部接続端子の一端を上記半導体モジュール側に露出させ、他端をコネクタ部側に露出させるように保持している。
【0012】
請求項3の発明では、上記半導体モジュール固定手段の一方の面には、上記半導体モジュールを保持固定する半導体モジュール固定部として、少なくとも上記半導体モジュールの封止樹脂部の下半部を収容し、保持可能とする凹溝を穿設し、又は、上記半導体モジュールの側に向かって伸びる複数の鈎爪部を突設し、若しくは、上記半導体モジュール固定手段の側面方向に開口し上記外部接続端子の配列方向に沿って伸びる略筒状の空隙部を形成する。
【0013】
請求項4の発明では、上記半導体モジュール固定手段の他方の面には、上記コネクタ部を形成する際に、金型内の定位置に上記半導体モジュール固定手段を固定するための固定手段被固定部として、上記半導体モジュール固定手段の底部を階段状に縮形して金型に向かって突出させ、金型に設けた凹溝状の固定手段固定部に係合する段差状被固定部、又は、上記半導体モジュール固定手段の底部に穿設して、金型に設けた固定ピンを挿通可能とするピン孔状被固定部、若しくは、上記半導体モジュール固定手段の側面方向に張り出して金型に設けた溝状の固定手段固定部に嵌合する舌片状被固定部のいずれかを具備する。
【0014】
請求項5の発明では、半導体装置を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを収容する半導体モジュール収容部と、上記半導体モジュールに接続した外部接続端子を収容すると共に、相手方に嵌合可能とするコネクタ部とを一体的に形成したコネクタ付半導体装置の製造方法であって、
予め、外部接続端子を保持した半導体モジュール固定手段に上記半導体モジュールを固定しつつ、上記半導体モジュールと上記外部接続端子とを接続して一体のインサート部品とするインサート部品組み付け工程と、
上記半導体モジュール固定手段に設けた固定手段被固定部を金型に形成した固定手段固定部によって固定した状態で、金型内に区画したキャビティに熱可塑性樹脂を充填して上記半導体モジュールと上記コネクタ部とを一体的に成形するコネクタ形成工程とを具備することを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明では、上記半導体モジュール固定手段の基部を形成するための基部形成用キャビティと、上記半導体モジュール固定部を形成するための固定部形成用キャビティと、上記固定手段被固定部を形成するための被固定部形成用キャビティと、を区画した金型内に、熱可塑性樹脂を充填して上記半導体モジュール固定手段を形成する半導体モジュール固定手段形成工程を具備する。
【0016】
請求項7の発明では、上記半導体モジュール固定手段と上記樹脂成形部とを同材質の熱可塑性樹脂によって形成する。
【0017】
本発明によれば、上記半導体モジュール固定手段によって、上記半導体モジュールと上記外部接続端子とが固定されているので、高靱性で高水密性を確保できる熱可塑性樹脂を用いて上記半導体モジュール収容部と上記コネクタ部とを一体的に形成しても、粘度の高い熱可塑性樹脂の押し退け力に対抗することができ、上記外部接続端子が変形したり、上記リードフレームと上記外部接続端子との接続が剥離したりする虞がなく、信頼性の高いコネクタ付半導体装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるコネクタ付半導体装置の概要を示し、(a)は、斜視図、(b)は、本図(a)中A−Aに沿った断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるコネクタ付き半導体装置の具体例として示すグロープラグ通電制御装置の全体構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるコネクタ付半導体装置の製造工程概要の順を追って示し、(a)は、リードフレーム上に半導体素子及び制御回路部を実装した平面図、(b)はその断面図、(c)は、熱硬化性樹脂で半導体素子及び制御回路部を封止した後の断面図。
【図4】本発明の要部である半導体モジュール固定手段を形成する半導体モジュール固定手段形成工程の概要を示し、(a)は、平面図、(b)は断面図。
【図5】図3、図4に示した工程に続く、半導体モジュールと半導体モジュール固定手段とを組み合わせてインサート部品とするインサート部品形成工程を示す断面図。
【図6】図5に続く、コネクタ形成工程の概要と本発明の効果を示す断面図。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるコネクタ形成工程の概要を示す断面図。
【図8】(a)は、本発明の第2の実施形態におけるコネクタ形成工程の概要を示す断面図、(b)は、本実施形態のコネクタ付半導体装置を示す断面図。
【図9】(a)は、本発明の第3の実施形態におけるコネクタ形成工程の概要を示す断面図、(b)は、本実施形態のコネクタ付半導体装置を示す断面図。
【図10】(a)は、本発明の第4の実施形態におけるコネクタ形成工程の概要を示す断面図、(b)は、本実施形態のコネクタ付半導体装置を示す断面図。
【図11】本発明の第5の実施形態におけるコネクタ形成工程の概要を示し、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図12】(a)は、本発明の第6の実施形態におけるコネクタ形成工程の概要を示す断面図、(b)は、本実施形態のコネクタ付半導体装置を示す断面図。
【図13】本発明の第6の実施形態におけるコネクタ付半導体装置の要部である半導体モジュール固定手段を示し、(a)、(b)は組み付け方法を示す側面図、(b)組み付け後の断面図。
【図14】比較例として従来のコネクタ付半導体装置の問題点を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して本発明の第1の実施形態におけるコネクタ付半導体装置1の概要について説明する。
コネクタ付半導体装置1は、半導体モジュール10と、相手方に嵌合可能とするコネクタ部110を含む樹脂成形部11と、半導体モジュール固定手段12とによって構成されている。
半導体モジュール10は、内部に半導体素子101と制御回路部106とを具備し、半導体素子101を実装しつつヒートシンクを兼ねる半導体実装部108と、制御回路部を実装する制御回路実装部103と、半導体素子101及び制御回路部106とリードフレーム104とを接続するボンディングワイヤ102と、半導体素子101及び制御回路部106と外部接続端子105との接続を可能とするリードフレーム104の一方の端とが保護樹脂部として設けられた熱硬化性樹脂(TSR)からなるモールド樹脂107によって一体的に覆われ、リードフレーム104の他端が外部に引き出されている。
本実施形態において、半導体モジュール固定手段12は、熱可塑性樹脂(TPR)によって形成され、インサート成型、又は、圧入により、固定手段基部120の内側に外部接続端子105を保持し、外部接続端子105の一端を半導体モジュール側に露出させ、他端をコネクタ部側に露出させるように保持している。
半導体モジュール固定手段12の一方の面には、半導体モジュール10を保持固定する半導体モジュール固定部121として、半導体モジュール10のモールド樹脂107の下半部を収容し、保持可能とする凹溝が形成されている。なお、半導体モジュール固定部121は、凹溝に限定されるものではなく、半導体モジュール固定手段12の一方の表面に複数の鈎爪部を突設して、熱可塑性樹脂の可撓性を利用して半導体モジュール10を弾性的に保持するものでも良い。
【0020】
さらに、半導体モジュール固定手段12の他方の面には、コネクタ部110を形成する際に、金型内の所定位置に半導体モジュール固定手段12を固定するための固定手段被固定部122として、半導体モジュール固定手段12の底部が金型2の中子22に向かって突き出し、階段状に縮形した段差状被固定部122が形成されている。
【0021】
樹脂成形部11は、半導体モジュール固定手段12と同材質の熱可塑性樹脂によって形成されている。樹脂成形部11には、コネクタ部110と半導体モジュール収容部111とが一体的に形成されている。
コネクタ部110には、相手側のコネクタをロックするための爪部112が形成されている。
半導体モジュール収容部111は、半導体モジュール10と半導体モジュール固定手段12とを一体的に覆っている。
本実施形態においては、半導体モジュール固定手段12の固定手段被固定部122がコネクタ部110内に突出すように形成されている。
【0022】
なお、本実施形態においては、半導体モジュール10は、基板を用いず、裸の半導体素子101をリードフレームに直接実装したものを示したが、本発明は、通常の基板上に半導体集積回路を形成した一般的な半導体モジュールにも適用可能である。
また、本実施形態においては、リードフレーム104がモールド樹脂107の両側に引き出された、いわゆるDIP型の半導体モジュールを用いた例を示したが、本発明は、リードフレームが保護樹脂部の片側に引き出された、いわゆるSIP型の半導体モジュールにも適用可能である。
さらに、半導体素子101として、発熱量の多いパワーデバイスを用いる場合には、放熱性を良好にするために、モールド樹脂107、半導体モジュール固定手段12、樹脂成形部11を形成する際に、熱伝導率が大きい窒化アルミニウム、窒化珪素等の絶縁性耐熱粒子をフィラーとして混合しても良い。
また、当然のことながら、半導体装置1の具体的な機能、使用目的に応じて、半導体素子101の機能、形態、数量、及び制御回路部106の機能、構成、リードフレーム104の材質、形態、数量、外部接続端子105の材質、形態、数量、コネクタ部110の大きさ、形態等は適宜変更可能である。
【0023】
本発明は、半導体装置の具体的な機能を限定するものではなく、コネクタ部と半導体モジュールを収容する半導体モジュール収容部とが一体となったコネクタ付半導体装置について広く採用し得るものであるが、本発明の特徴を理解し易くするため、図略のディーゼル機関の燃焼室に設けたグロープラグ8への通電を制御するグロープラグ通電制御装置(GCU)1を具体例として、本発明のコネクタ付半導体装置の特徴並びに製造方法について説明する。
先ず、図2を参照して本発明を適用したGCU1の構成について簡単に説明する。
GCU1は、複数のグロープラグ8への通電を開閉するためのパワーMOSFET等からなる複数の半導体素子101と、機関の運転状況に応じてエンジン電子制御装置(ECU)9から発信された駆動信号SIにしたがって半導体素子101を開閉駆動する駆動制御部(DRV)と、グロープラグ8に流れる電流等の情報に基づいて異常を検出する異常診断部(DIU)とによって構成された制御回路部106とを一体的に収容し、駆動電源BATT、制御電源+B、駆動信号SIを入力とし、グロープラグ8に印加するプラグ電圧G1、G2、G3、G4、異常診断信号DIを出力としている。
【0024】
図3〜図9を参照して、図1に示したGCU1の製造工程概要の順を追って説明する。
図3aに示すように、リードフレーム104は、所定の数、大きさ、形状に加工され、半導体素子101を載置すると共にヒートシンクを兼ねた半導体実装部108と、制御回路部106を実装する制御回路部実装部103と共に一体的に枠部300に結合されている。
制御するグロープラグ8の数に応じた数の半導体素子101が、半導体実装部108に載置される。半導体実装部108は、外部接続端子105を介して外部の駆動電源BATTに接続されるリードフレーム104(BATT)に結合している。
本実施形態において、制御回路部106は、内部に集積回路を構成したモノリシックICによって構成され、制御電源端子を兼ねる制御回路実装部103に載置され、電源入力端子と制御回路実装部103とがボンディングワイヤ102によって接続されている。
制御回路実装部103は、外部接続端子105を介して外部の制御電源(+B)に接続されるリードフレーム104(+B)と結合している。
半導体素子101のドレイン端子Dは、半導体実装部108にハンダ付けや導電性接着剤等によって固定され、各半導体素子101のソース端子Sは、外部接続端子105を介してグロープラグ8に接続されるリードフレーム104(G〜G)とボンディングワイヤ102によって接続され、ゲート端子Gは、制御回路部106の各出力端子とボンディングワイヤ102によって接続されている。
制御回路部106の駆動信号入力端子は、外部接続端子105を介して、ECU9に接続されECU9から発信される駆動信号SIを入力するためのリードフレーム104(SI)とボンディングワイヤ102によって接続されている。
制御回路部106の自己診断信号出力端子は、外部接続端子105を介して、ECU9に接続され、ECU9へ自己診断信号DIを発信するためのリードフレーム104(DI)とボンディングワイヤ102によって接続されている。
さらに、本実施形態においては、半導体素子の一部を電流検出するためのセンス部として用いるために制御回路部106の検出電流入力端子に接続してある。
本図(b)に示すように、半導体実装部108は厚肉に形成され、半導体素子101で発生する熱を放出するためのヒートシンクを兼ねている。
【0025】
上述の如くリードフレーム上に半導体素子101及び制御回路部106を実装し、所定の端子をボンディングワイヤによって接続した後、これらを、本図(b)に点線で示したように半導体素子101、制御回路部106、ボンディングワイヤ102、及びリードフレーム104の一部を覆うような空隙を設けた図略の金型内に載置し、ボンディングワイヤ102にダメージを与えないよう、保護樹脂部として、エポキシ樹脂等の低粘度の熱硬化性樹脂(TSR)を充填し、加熱固化させたモールド樹脂107によって覆い、リードフレーム104を所定の形状に加工することによって、本図(c)に示すように半導体素子101と、制御回路部106と、ボンディングワイヤ102と、半導体実装部108と、制御回路実装部103と、リードフレーム104の一部とがモールド樹脂107に覆われた半導体モジュール10が形成される。
なお、本実施形態においては、絶縁基板を用いることなく、リードフレームにベアチップを実装した半導体モジュール10を示したが、通常のセラミック基板や、ガラスエポキシ基板等の機構部品に半導体素子や集積回路等の能動部品や、抵抗、インダクタンス、キャパシタンス等の受動部品と、を載置し、電子回路を形成し、これらを樹脂で覆って、電極端子を引き出した公知の半導体モジュールを用いても本発明のコネクタ付半導体装置とすることができる。
【0026】
次いで、図4を参照して本発明の要部である半導体モジュール固定手段12の概要及び半導体モジュール固定手段12を形成する半導体モジュール固定手段形成工程について説明する。
本図(a)は、半導体モジュール固定手段12をインサート成形によって形成する場合に用いる移動金型61の概要を示す平面図であり、本図(b)は、半導体モジュール固定手段形成工程の概要を示す金型6の断面図である。
金型6は、固定金型60、移動金型61、中子62、エジェクタ63によって構成されている。
【0027】
固定金型60及び移動金型61には、スプルゲート600から充填した熱可塑性樹脂TPRによって、固定手段基部120、半導体モジュール固定部121、固定手段被固定部122をそれぞれ形成するための基部形成用キャビティ601、603、固定部形成用キャビティ602、被固定部形成用キャビティ604が区画されている。
移動金型61及び中子62には、それぞれ、外部接続端子105を保持固定するための端子固定溝605、606が穿設されている。
端子固定溝605、606に外部接続端子105を嵌め込み、固体側金型60と移動金型61とを密着させた状態で、キャビティ601、602、603、604内に熱可塑性樹脂TPRを充填する。
【0028】
このとき、外部接続端子105が、端子固定溝605、606の2カ所で保持されているので、外部接続端子105の変形を招くことなく、固定手段基部120、半導体モジュール固定部121、固定手段被固定部122が形成され、一端が、固定手段基部120の側面から露出し、他端が、固定手段被固定部122の下端面から露出した状態で固定される。
金型6内に充填された熱可塑性樹脂TPRが冷却され固化すると、固定金型60と移動金型61とが離れ、エジェクタ63によって固定手段基部120の底部が押し出され半導体モジュール固定手段12が完成する。このとき、スプルゲート600内の樹脂は自動的に切除される。
【0029】
次いで、図3に示した工程を経て形成された半導体モジュール10と図4に示した工程を経て形成された半導体モジュール固定手段12とを、図5に示すインサート部品組み付け工程において組み合わせてインサート部品とする。
このとき、半導体モジュール10の下半部を半導体モジュール固定手段12の半導体モジュール固定部121内に嵌合させることによって、半導体モジュール10が半導体モジュール固定手段12に固定された状態となる。
さらに、リードフレーム104と外部接続端子105の一端とを抵抗溶接、加締め、ハンダ付け等によって接続状態とする。
なお、後述の実施形態の説明において、当該接続部分についてハンダ付けを意味する符号SDRを図中に示してあるが本発明において、如何なる接続方法を用いるかは適宜選択可能である。
以上により、コネクタ部110を形成する際にインサートするインサート部品(10、12)が完成する。
【0030】
なお、本実施形態においては、略平板状に形成されたリードフレーム104の先端と外部接続端子105の先端とを密接させ、ハンダ付けによって接続した例を示したが、外部接続端子105の一端を略筒状に形成して、リードフレーム104を挿入し、さらに、ハンダ付けを施すようにしても良い。
また、本実施形態においては、DIP型の半導体モジュール10のリードフレーム104と外部接続端子105とを接続するため、固定部基部120の両側面に外部接続端子105が露出する構成を示したが、SIP型の半導体モジュールに対応するため、固定部基部120の方側面に外部接続端子105が露出するように構成したり、PGA型の半導体モジュールに対応するため、固定部基部120の上面側に筒状に形成した外部接続端子の一端を露出させるように構成したりしても良い。
【0031】
インサート部品組み付け工程に続くコネクタ形成工程においては、このようにして、一体となったインサート部品(10、12)を、図6に示す金型2内に載置し、金型内に熱可塑性樹脂TPRを充填してコネクタ部110を形成すると共に、半導体モジュール10を覆うように半導体モジュール収容部111を形成する。
金型2は、例えば、固定金型20、移動金型21、中子22、エジクタ23によって構成されており、固定金型20、移動金型21、中子22には、ゲート200から充填した熱可塑性樹脂TPRによってコネクタ部110と半導体モジュール収容部111とからなる樹脂成形部11を一体的に形成するためのキャビティ201、202、203が区画され、中子22には、固定手段被固定部122を保持固定するための凹溝状に形成した固定手段固定溝220、及び、外部接続端子105の先端を固定するための端子固定溝221が穿設されている。
段差状に形成された固定手段被固定部122を凹溝状に形成した固定手段固定溝220に係合して嵌着させると共に、外部接続端子105の先端を端子固定溝221内に挿通し、インサート部品(10、12)を中子22に固定した状態で、固定金型20と移動金型21とを密着させ、スプルゲート200から熱可塑性樹脂TPRを充填する。
【0032】
このとき、本図(a)に示すように、比較的粘度の高い熱可塑性樹脂TPRによって、インサート部品(10、12)が押圧されるが、半導体モジュール10は、半導体モジュール固定手段12によって固定され、半導体モジュール固定手段12は、中子22に固定されているので、金型2内を半導体モジュール10が移動することがなく、リードフレーム104と外部接続端子105とが変形したり、リードフレーム104と外部接続端子105との接続が剥離したりする虞がない。
したがって、本図(b)に示すように、半導体モジュール10の位置を保持したまま、コネクタ110と半導体モジュール収容部111とを一体的に形成することができる。
金型2内に充填された熱可塑性樹脂TPRが冷却され固化すると、固定金型21と移動金型20とが離れ、エジェクタ23によって固定手段基部120の底部が押し出されコネクタ付半導体装置1が完成する。このとき、スプルゲート200内の樹脂は自動的に切除される。
【0033】
また、半導体モジュール固定手段12と半導体モジュール収容部111とが同じ材質の熱可塑性樹脂TPRで形成されているため、熱膨張率に差がなく、密着状態が維持されるので、被水したときに両者の界面から水が侵入する虞がない。
なお、コネクタ部110には、相手方に嵌合するための爪部112が移動金型20内に突出するように形成されているが、移動金型20の一部にスライド機構を設ける等して、コネクタ付半導体装置1を取り出す際に爪部112が妨げとならないようにすることができる。
【0034】
また、金型2は、通常のインサート部品を成形する場合に慣用されているのと同様、図7に示すように、多数個取りとすることができる。
射出成形機3からスプル205に射出された熱可塑性樹脂TPRは、ランナ204を介して複数に分岐し、それぞれのスプルゲート200からそれぞれのキャビティ内に充填され同時に同時に複数のコネクタ付半導体装置1を形成できる。
【0035】
図8を参照して、本発明の第2の実施形態におけるコネクタ付半導体装置及びそのコネクタ形成工程について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の構成につては同じ符号を付したので説明を省略する。
上記実施形態においては、固定手段基部120の上面を窪ませて半導体モジュール10の下半部を固定する半導体モジュール固定部121とし、固定手段基部120の下面側に段差を設けて固定手段被固定部122としたが、本実施形態においては、半導体モジュール固定部121aの周壁を移動金型21にキャビティ201の上面に達するまで延設して第2の固定手段被固定部123aとした点が相違する。
【0036】
このような構成とすることによって、本図(a)に示すように、半導体モジュール10のモールド樹脂107全体が半導体モジュール固定部121aによって保持されるのに加え、固定手段被固定部122と第2の固定手段被固定部123aとが中子22と固定金型21とによって挟持されることになる。
したがって、スプルゲート200から熱可塑性樹脂TPRがキャビティ201、202、203内に射出され、高い粘度の熱可塑性樹脂TPRによる強い押し退け力が作用しても、確実に、半導体モジュール10が定位置に保持されているので、リードフレーム104と外部接続端子105とが変形したり、リードフレーム104と外部接続端子105との接続が剥離したりすることなく、コネクタ付半導体装置1aを形成することができる。
【0037】
なお、第2の固定手段被固定部123aには、上方から、半導体モジュール10を半導体モジュール固定部121a内に挿入する際に、リードフレーム104を挿通するための切り欠き溝が設けてあり、コネクタ形成工程では、その切り欠き溝を熱可塑性樹脂TPRが通過してキャビティ201内に充填されることになる。
さらに、半導体モジュール固定手段12aを形成する際に、切り欠き溝の周縁部に襞状のバリが発生する可能性があるが、あえてこのようなバリを残しておき、コネクタ形成工程において、熱可塑性樹脂TPRを充填したときに、熱可塑性樹脂TPRの熱によってバリが溶融され、半導体モジュール収容部111と第2の固定手段被固定部123aとの界面が渾然一体となり、密着状態をさらに強化することもできる。
【0038】
図9を参照して本発明の第3の実施形態におけるコネクタ付き半導体装置1bの概要とそのコネクタ形成工程について説明する。
上記実施形態においては、半導体モジュール10の全面を熱可塑性樹脂TPRからなる半導体モジュール収容部111が覆っている例を示したが、本実施形態においては、固定金型21bのキャビティ201をその内側頂面と半導体モジュール10のモールド樹脂107の上面とが当接する高さで区画した点が相違する。
このような構成とすることによって、本図(a)に示すように、半導体モジュール10が半導体モジュール固定手段12を介して、固定金型21bと中子22とによって挟持されることになるので、コネクタ形成工程において、半導体モジュール10が熱可塑性樹脂TPRに押圧されて移動する虞がない。
さらに、このようにして形成されたコネクタ付半導体装置1bには、本図(b)に示すように、半導体モジュール10の表面を覆うように、放熱板13を貼り合わせることによって半導体素子101の発熱をさらに効果的に発散させ、コネクタ付半導体装置1bの信頼性を向上させることができる。
【0039】
図10を参照して、本発明の第4の実施形態におけるコネクタ付半導体装置1cとそのコネクタ形成工程について説明する。
上記実施形態においては、半導体モジュール固定手段12に固定手段被固定部122を中子22に設けた固定手段固定部220によって保持するようにし、コネクタ形成工程において、コネクタ部110と半導体モジュール収容部111とを一体的に形成する例を示したが、本実施形態においては、半導体モジュール固定手段12cを形成する際にコネクタ部110cも同時に形成し、コネクタ部110cを固定手段被固定部122cとして、移動型20cに固定手段固定部として、コネクタ部110cに嵌合するキャビティ220cを区画してある。
このような構成とすることによっても上記実施形態と同様に、半導体モジュール収容部111cを形成する際に、リードフレーム104と外部接続端子105とが変形したり、リードフレーム104と外部接続端子105との接続が剥離したりすることなく、コネクタ付半導体装置1cを形成することができる。
なお、本実施形態においても、第2の実施形態や第3の実施形態に示したような変更を加えることもできる。
【0040】
図11を参照して本発明の第5の実施形態におけるコネクタ付き半導体装置1dとそのコネクタ形成工程について説明する。
上記実施形態においては、半導体モジュール固定手段12の上下方向に固定手段被固定部122、第2の固定手段被固定部123aを設けた例を示したが、本実施形態においては、半導体モジュール固定手段12dの側面方向に突出するように略舌片状に形成した固定手段被固定部121dを設けて、移動金型21dに形成した溝状の固定手段固定部220dに係止させて金型2d内に収容した状態で、コネクタ部110と半導体モジュール収容部111dとを形成した点が相違する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の効果が発揮される。
なお、本実施形態によれば、固定手段被固定部121dが半導体モジュール収容部111dの両側面から突出することになるが、金型2dから取り出す際に、スプルゲート200内に残留する樹脂と同様に切除することもできる。
【0041】
図12を参照して、本発明の第6の実施形態におけるコネクタ付半導体装置1eとそのコネクタ形成工程について説明する。上記実施形態においては、コネクタ部を成形する際に、半導体モジュール固定手段12の移動を阻止するため、半導体モジュール固定手段12に固定手段被固定部122を設け、金型2、2a〜2dに固定手段固定部220、220a〜220dを形成した例を示したが、本実施形態においては、エジェクタ23eに縁設して、固定ピン状の固定手段固定部220eを形成し、半導体モジュール固定手段12eの固定手段基部120eに固定手段固定部220eを挿通可能とするピン孔状の固定手段被固定部122eを穿設し、さらに、固定型21eに第2の固定手段固定部221eを設けた点が相違する。
本実施形態においては、固定手段固定部220eと第2の固定手段固定部221eとによって、半導体モジュール10の移動が阻止されるので、上記実施形態と同様の効果が発揮される。
【0042】
なお、本実施形態においては、コネクタ成形後に固定手段固定部220eと第2の固定手段固定部221eとが引き抜かれるので、その後がピン孔(113、114)となるが、本図(b)に示すように、接着剤等を充填することによって容易に封止することができる。
また、第2の固定手段固定部221eを廃して、上記第2の実施形態と同様に、半導体モジュール固定手段12eの周壁を縁設して、固定金型21eのキャビティ201eの内側頂面に当接するようにしても良い。
【0043】
図13を参照して、本発明の第7の実施形態におけるコネクタ付半導体装置1fの要部である半導体モジュール固定手段12fについて説明する。
上記実施形態においては、半導体モジュール固定手段12の上面に半導体モジュール固定部121を形成し、上方から半導体モジュール10を挿入する構成について説明したが、本実施形態においては、本図(a)に示すように、半導体モジュール固定手段12fの側面方向から半導体モジュール10を挿入するようにしても良い。
【0044】
本実施形態において半導体モジュール固定手段12は、本図(a)に示すように、半導体モジュール固定部121fとして、側面方向に開口する空隙部が外部接続端子105の配列方向に沿って伸びる略筒状に形成され、半導体モジュール10を挿入する際にリードフレーム104を挿通するための長溝124が穿設され、底部に上記実施形態と同様の固定手段固定部122が形成されている。
本図(b)、(c)に示すように、半導体モジュール10を半導体モジュール固定手段12f内に挿入した後、リードフレーム104と外部接続端子105とをハンダ付け等によって接続する。
その後は、上記実施形態と同様の工程を経てコネクタ付半導体装置1fが完成する。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定するものではなく、コネクタ付半導体装置を形成する際に、予め外部接続端子を固定しつつ、半導体モジュールを保持する半導体モジュール固定部と、自身も成形時の移動を規制するための固定手段被固定部とを設けた半導体モジュール固定手段を用いることによって、高粘度の熱可塑性樹脂からなるコネクタ部と半導体モジュール収容部とが一体的に形成されたコネクタ付半導体装置のコネクタ形成工程において、熱可塑性樹脂の押し退け力によって半導体モジュールが移動するのを防ぎ、リードフレームと外部接続端子との剥離や外部接続端子の変形等を起こりがたくする本発明の趣旨に反しない限り、半導体モジュールの種類や形状、外部接続端子の数、大きさ、形態、配設位置、コネクタ部の形態等適宜変更可能である。
【0046】
例えば、上記実施形態においては、車載用等の過酷な使用環境に置かれる半導体装置としてGCUを例に説明したが、GCUに限らず、本発明は、加速度センサや燃料噴射制御装置等にも適用可能である。
また、上記実施形態においては、リードフレームの幅と外部接続端子の幅とが同程度に表現してあるが、市販の半導体モジュールを用いる場合等は規格によって定められたリードフレームの幅、ピッチに対して、コネクタの規格によって定められた外部接続端子の幅、ピッチが異なる場合には、半導体モジュール固定手段にインサートする外部接続端子の形状を、一端を半導体モジュールのリードフレームの幅及びピッチに合わせ、他端を相手方のコネクタに収容された接続端子の幅及びピッチに合わせた異形形状に形成しても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 コネクタ付半導体装置
10 半導体モジュール
101 半導体素子
102 ボンディングワイヤ
103 ベース部(制御回路実装部)
104 リードフレーム
105 外部接続端子
106 制御回路部
107 モールド樹脂(TSR)
108 ヒートシンク(半導体素子実装部)
11 樹脂成形部(TPR)
110 コネクタ部
111 半導体モジュール収容部
112 コネクタ爪部
12 半導体モジュール固定手段
120 固定手段基部
121 半導体モジュール固定部
122 固定手段被固定部
2 コネクタ形成用金型
20 移動金型
200 スプルゲート
201、202、203 成形空間部
21 固定金型
22 中子
220 半導体モジュール固定手段固定部
221 端子金具固定部
23 イジェクタピン
3 射出成形機
TSR 熱硬化性樹脂(Thermal Setting Resin)
TPR 熱可塑性樹脂(Thermal Plasticity Resin)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】実開昭63−102246号公報
【特許文献2】特開2010−164005号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも半導体素子と制御回路部とリードフレームとを保護樹脂部によって封止してリードフレームの一端を外部に引き出した半導体モジュールと、 該半導体モジュールを収容する半導体モジュール収容部と、上記半導体モジュールに接続され外部との接続を図る外部接続端子を収容するコネクタ部とを具備し、上記半導体モジュール収容部と上記コネクタ部とが一体となったコネクタ付半導体装置であって、
熱可塑性樹脂からなり、上記外部接続端子を内側に保持しつつ、上記半導体モジュールを固定するための半導体モジュール固定部と、上記コネクタ部を形成する際に、上記半導体モジュール固定手段を金型内の所定位置に保持するための固定手段被固定部とを形成した半導体モジュール固定手段を具備することを特徴とするコネクタ付半導体装置。
【請求項2】
上記半導体モジュール固定手段は、インサート成型、又は、圧入により、上記外部接続端子の一端を上記半導体モジュール側に露出させ、他端をコネクタ部側に露出させるように保持している請求項1に記載のコネクタ付半導体装置。
【請求項3】
上記半導体モジュール固定手段の一方の面には、上記半導体モジュールを保持固定する半導体モジュール固定部として、
少なくとも上記半導体モジュールの封止樹脂部の下半部を収容し、保持可能とする凹溝を穿設し、
又は、
上記半導体モジュールの側に向かって伸びる複数の鈎爪部を突設し、
若しくは、
上記半導体モジュール固定手段の側面方向に開口し上記外部接続端子の配列方向に沿って伸びる略筒状の空隙部を形成した請求項1又は2に記載のコネクタ付半導体装置。
【請求項4】
上記半導体モジュール固定手段の他方の面には、上記コネクタ部を形成する際に、金型内の定位置に上記半導体モジュール固定手段を固定するための固定手段被固定部として、
上記半導体モジュール固定手段の底部を階段状に縮形して金型に向かって突出させ、金型に設けた凹溝状の固定手段固定部に係合する段差状の被固定部、
又は、
上記半導体モジュール固定手段の底部に穿設して、金型に設けた固定ピンを挿通可能とするピン孔状の被固定部、
若しくは、
上記半導体モジュール固定手段の側面方向に張り出して金型に設けた溝状の固定手段固定部に嵌合する舌片状の被固定部のいずれかを具備する請求項1ないし3のいずれかに記載のコネクタ付半導体装置。
【請求項5】
半導体装置を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを収容する半導体モジュール収容部と、上記半導体モジュールに接続した外部接続端子を収容すると共に、相手方に嵌合可能とするコネクタ部とを一体的に形成したコネクタ付半導体装置の製造方法であって、
予め、外部接続端子を保持した半導体モジュール固定手段に上記半導体モジュールを固定しつつ、上記半導体モジュールと上記外部接続端子とを接続して一体のインサート部品とするインサート部品組み付け工程と、
上記半導体モジュール固定手段に設けた固定手段被固定部を金型に形成した固定手段固定部によって固定した状態で、金型内に区画したキャビティに熱可塑性樹脂を充填して上記半導体モジュールと上記コネクタ部とを一体的に成形するコネクタ形成工程とを具備することを特徴とするコネクタ付半導体装置の製造方法。
【請求項6】
上記半導体モジュール固定手段の基部を形成するための基部形成用キャビティと、上記半導体モジュール固定部を形成するための固定部形成用キャビティと、上記固定手段被固定部を形成するための被固定部形成用キャビティと、を区画した金型内に、熱可塑性樹脂を充填して上記半導体モジュール固定手段を形成する半導体モジュール固定手段形成工程を具備する請求項5に記載のコネクタ付半導体装置の製造方法。
【請求項7】
上記半導体モジュール固定手段と上記樹脂成形部とを同材質の熱可塑性樹脂によって形成する請求項5又は6に記載のコネクタ付半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−174882(P2012−174882A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35400(P2011−35400)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】