説明

コネクタ及びそれに用いられるソケット

【課題】半田付け強度と嵌合作業性を確保しつつ低背のコネクタ及びそれに用いられるソケット10を提供する。
【解決手段】ヘッダ20とソケット10とを嵌合することで回路基板同士を電気的に接続するコネクタであって、ヘッダ20を回路基板に保持するためのヘッダ保持金具24と、ソケット10の成形品であるソケット成形品11とを備え、ヘッダ20とソケット10とを嵌合したときにヘッダ保持金具24の半田付け端子がソケット成形品11に干渉しないようソケット成形品11に凹形状の凹部16が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板同士を電気的に接続するコネクタ及びそれに用いられるソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回路基板同士を電気的に接続するコネクタが知られている(特許文献1参照)。すなわち、一方の回路基板に実装されるヘッダと他方の回路基板に実装されるソケットとを相互に嵌合することで、対応するコンタクト同士が接触導通され、各コンタクトが接続された回路基板の導体パターン同士が電気的に接続される。ヘッダの保持金具を回路基板に半田付けすることで、ヘッダと回路基板との結合強度が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−231046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の携帯機器の薄型化に伴ってコネクタの低背化が求められている。しかしながら、従来は、半田付け強度を確保しつつ低背のコネクタを実現するのが困難であった。すなわち、図7(a)に示すように、ヘッダ200の保持金具240の半田付け端子がヘッダコンタクトの半田付け端子220Tより短い場合は、図7(b)に示すように、ヘッダ200の保持金具240が短いため、十分な半田付け強度を確保することができない。ヘッダ200の保持金具240の半田付け端子がI端子形状である場合も同様に、十分な半田付け強度を確保することができないという問題がある。
【0005】
一方、図8(a)に示すように、ヘッダ200の保持金具240の半田付け端子がヘッダコンタクトの半田付け端子220Tと同じ長さである場合は、図8(b)に示すように、ソケット100の誘い込み形状170が犠牲になる。すなわち、この場合は、ヘッダ200の保持金具240が長くなる分だけ半田付け強度も大きくなるが、誘い込みのテーパが小さくなるため嵌合作業性が悪くなってしまう。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、半田付け強度と嵌合作業性を確保しつつ低背のコネクタ及びそれに用いられるソケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明は、ヘッダとソケットとを嵌合することで回路基板同士を電気的に接続するコネクタであって、前記ヘッダを前記回路基板に保持するためのヘッダ保持金具と、前記ソケットの成形品であるソケット成形品とを備え、前記ヘッダと前記ソケットとを嵌合したときに前記ヘッダ保持金具の半田付け端子が前記ソケット成形品に干渉しないよう前記ソケット成形品に凹形状の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、前記ヘッダ保持金具の半田付け端子が、前記回路基板に電気的に接続されるヘッダコンタクトの半田付け端子と同じ長さであることを特徴とする。
【0009】
また、第3の発明は、前記ヘッダ保持金具が、前記回路基板に電気的に接続されるヘッダコンタクトと同一の部品を使用して製造されることを特徴とする。
【0010】
また、第4の発明は、前記ソケット成形品の凹形状が、テーパ形状又はR形状を有することを特徴とする。
【0011】
また、第5の発明は、前記第1から第4のいずれかの発明で用いられることを特徴とするソケットである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ソケットとヘッダとを嵌合したときにヘッダ保持金具の半田付け端子がソケット成形品に干渉しないようソケット成形品に凹形状の凹部が形成されている。これにより、半田付け強度と嵌合作業性を確保しつつ低背のコネクタ及びそれに用いられるソケットを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施形態のコネクタを示す図であって、(a)はソケットの全体斜視図、(b)はヘッダの全体斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態のヘッダの製造工程を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態のソケットに形成されている凹部を詳細に説明するための図であって、(a)はソケットの全体斜視図、(b)はソケットのA矢視図、(c)(d)は、凹部の拡大図である。
【図4】図4は、本実施形態のソケットおよびヘッダの具体例を示す図であって、(a)はソケットの全体斜視図、(b)はヘッダの全体斜視図である。
【図5】図5は、本実施形態のソケットおよびヘッダの具体例を示す図であって、(a)はソケットの断面図、(b)(c)はヘッダの断面図である。
【図6】図6は、本実施形態のソケットとヘッダとを嵌合したときの断面図である。
【図7】図7は、従来のコネクタを示す図であって、(a)は全体斜視図、(b)は断面図である。
【図8】図8は、従来の別のコネクタを示す図であって、(a)は全体斜視図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1(a)は、本実施形態のソケット10の全体斜視図である。この図に示すように、ソケット10は、絶縁性の合成樹脂によって全体的に矩形状に型成形されたソケット成型品11を備えている。ソケット成型品11は、周縁部に沿って形成される周壁部13と、中央部に形成される島部14とを備えている。周壁部13と島部14との間には、ヘッダ20を嵌合する嵌合溝部15が形成されている。ソケット成型品11の長辺方向には、所定ピッチpをもって複数のソケットコンタクト12が装着されている。ソケットコンタクト12は、所定厚さを持った帯状の金属材である。ソケットコンタクト12の接続端子部12Tは周壁部13の下縁から外方に突出し、図示しない回路基板の導体パターンに半田付けされる。ソケット成型品11の長辺方向の両端部には、ヘッダ保持金具24の半田付け端子(後述する)が干渉しないよう凹形状の凹部16が形成されている。言い換えると、ソケット10には、ヘッダ20とソケット10が嵌合したときに、ヘッダ保持金具24の半田付け端子を受け容れる凹部16が、その半田付け端子に対応する部分に設けられている。本実施形態では、図1(a)に示すように、ソケット成形品11の長辺方向の両端部に凹部16が設けられている。このようにすれば、ヘッダ保持金具24の半田付け端子がソケット成型品11に干渉しないため、誘い込みのテーパ17を十分な大きさで確保することができる。
【0016】
図1(b)は、本実施形態のヘッダ20の全体斜視図である。この図に示すように、ヘッダ20は、絶縁性の合成樹脂によって全体的にソケット成型品11と略相似の矩形状に型成形されたヘッダ成型品21を備えている。ヘッダ成型品21は、周縁部に沿って形成される周壁部23を備えている。ヘッダ成型品21の長辺方向には、ソケットコンタクト12のピッチpと等しいピッチpをもって複数のヘッダコンタクト22が装着されている。ヘッダコンタクト22は、ソケットコンタクト12と同様に所定厚さを持った帯状の金属材である。ヘッダコンタクト22の接続端子部22Tは周壁部23の下縁から外方に突出し、図示しない回路基板の導体パターンに半田付けされる。ヘッダ成型品21の長辺方向の両端部には、所定厚さの金属板をプレス成形して形成されたヘッダ保持金具24が取り付けられている。このヘッダ保持金具24の半田付け端子は、図示しない回路基板に半田付けされ、ヘッダコンタクト22の接続端子部22Tが半田付けされたことと相俟って、ヘッダ20が回路基板に対して強固に結合されるようになっている。
【0017】
図2は、ヘッダ20の製造工程を示す図である。まず、図2(a)に示すように、ヘッダ保持金具24とヘッダコンタクト22には同一の部品を使用する。このようにすれば、部品点数を減らすことができるのはもちろん、ヘッダ保持金具24とヘッダコンタクト22は同一のキャリア部25につながっているため、寸法の安定化を図ることができる。次いで、図2(b)に示すように、適切な位置にヘッダ成型品21をセットし、図2(c)に示すように、ヘッダ保持金具24の半田付け端子とヘッダコンタクト22の半田付け端子が同じ長さとなる位置Pでキャリア部25をカットする。このようにすれば、ヘッダ保持金具24とヘッダコンタクト22を同時にカットすることができるため、工程の簡略化および寸法の安定化を図ることが可能となる。
【0018】
なお、ヘッダ保持金具24の半田付け端子とヘッダコンタクト22の半田付け端子が異なる長さである場合は、図2(d)に示すように、位置Pでヘッダ保持金具24をカットした後、位置Pでヘッダコンタクト22をカットする必要がある。すなわち、二回に分けてキャリア部25をカットしなければならないため、工程の簡略化および寸法の安定化を図ることは困難である。
【0019】
図3は、ソケット10に形成されている凹部16を詳細に説明するための図である。すなわち、図3(a)は、ソケット10の全体斜視図、図3(b)は、図3(a)に示すソケット10のA矢視図、図3(c)(d)は、図3(b)に示す領域Eにおける凹部16の拡大図である。既に説明した通り、凹部16は、ヘッダ保持金具24の半田付け端子がソケット成型品11に干渉しないようにするためのものである。この凹部16の凹形状は、図3(c)中の点線に示すようにR形状を有してもよいし、又は、図3(d)中の点線に示すようにテーパ形状を有してもよい。このようにすれば、点線部分の肉を稼ぐことができるので、ソケット成型品11の強度を高く保つことが可能である。
【0020】
図4および図5は、ソケット10およびヘッダ20の具体例を示す図である。すなわち、図4(a)は、ソケット10の全体斜視図、図4(b)は、ヘッダ20の全体斜視図である。このヘッダ20としては、高さ1.0mm用ヘッダ20aと高さ1.5mm用ヘッダ20bの2種類があるものと仮定する。すなわち、図5(a)は、図4(a)に示すソケット10の断面図、図5(b)は、図4(b)に示す高さ1.0mm用ヘッダ20aの断面図、図5(c)は、図4(b)に示す高さ1.5mm用ヘッダ20bの断面図である。更に、ソケット10と高さ1.0mm用ヘッダ20aとを嵌合したときの断面図を図6(a)に、ソケット10と高さ1.5mm用ヘッダ20bとを嵌合したときの断面図を図6(b)に示す。これらの図に示すように、ソケット10側を共通としてヘッダ違いにより2種類以上の嵌合高さに対応することができる。いずれの場合も、ヘッダ保持金具24はソケット成型品11に干渉しておらず、また、誘い込みのテーパ17は十分な大きさであることが分かる。
【0021】
以上のように、本実施形態のコネクタでは、ヘッダ20とソケット10とを嵌合したときにヘッダ保持金具24の半田付け端子がソケット成形品11に干渉しないようソケット成形品11に凹形状の凹部16が形成されている。これにより、半田付け強度と嵌合作業性を確保しつつ低背(例えば高さ1.5mm以下)のコネクタを提供することが可能である。
【0022】
また、本実施形態のコネクタでは、ヘッダ保持金具24の半田付け端子は、ヘッダコンタクト22の半田付け端子と同じ長さである。これにより、ヘッダ保持金具24とヘッダコンタクト22を同時にカットすることができるため、工程の簡略化および寸法の安定化を図ることが可能となる。
【0023】
また、本実施形態のコネクタでは、ヘッダ保持金具24は、ヘッダコンタクト22と同一の部品を使用して製造される。これにより、部品点数を減らすことができるのはもちろん、ヘッダ保持金具24とヘッダコンタクト22は同一のキャリア部25につながっているため、寸法の安定化を図ることができる。
【0024】
また、本実施形態のコネクタでは、ソケット成形品24の凹形状は、テーパ形状又はR形状を有する。これにより、ソケット成型品11の強度を高く保つことが可能である。
【0025】
なお、以上では好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、コネクタの成型品やコンタクト等の大きさや材質等のスペックは適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 ソケット
11 ソケット成形品
16 凹部
20 ヘッダ
24 ヘッダ保持金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダとソケットとを嵌合することで回路基板同士を電気的に接続するコネクタであって、
前記ヘッダを前記回路基板に保持するためのヘッダ保持金具と、
前記ソケットの成形品であるソケット成形品とを備え、
前記ヘッダと前記ソケットとを嵌合したときに前記ヘッダ保持金具の半田付け端子が前記ソケット成形品に干渉しないよう前記ソケット成形品に凹形状の凹部が形成されている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ヘッダ保持金具の半田付け端子は、前記回路基板に電気的に接続されるヘッダコンタクトの半田付け端子と同じ長さであることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ヘッダ保持金具は、前記回路基板に電気的に接続されるヘッダコンタクトと同一の部品を使用して製造されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ソケット成形品の凹形状は、テーパ形状又はR形状を有することを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタで用いられることを特徴とするソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−89336(P2012−89336A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234717(P2010−234717)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】