説明

コネクタ及びコネクタセット

【課題】作業者が各導体部分に触れにくく、しかも活線状態での挿抜作業時に発生するアークが外部の作業者等に与える影響を抑制することが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】 正極側ピンプラグ1は、導体であるピンコンタクト14の先端面にピン側絶縁保護材15が設けられている。正極側ソケット2においても、導体である円筒状のソケットコンタクトの先端面にソケット側絶縁保護材25が設けられている。本構成により、作業者等が正極側ピンプラグ1の先端側からピンコンタクト14に直接触れようとしても、その前にピン側絶縁保護材15に触れることになり、ピンコンタクト14への接触が抑止される。正極側ソケット2についても同様である。更に、各コンタクトの双方共にその先端面に絶縁保護部材が設けられているため、仮に活線状態でのコネクタ挿抜時にアークが発生したとしても、そのアークがコネクタ外部に飛び出るおそれを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な接続のために用いられるコネクタ、及び複数のコネクタからなるコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コネクタとしては様々な種類のものがあり、使用環境や使用機器、電気的な定格等に応じて適切なコネクタが選定され、使用されている。例えば屋内外の送配電システムにおいては、電圧の高い電力供給系統を導通・遮断するために高電圧用のコネクタが用いられている。
【0003】
このような高電圧用のコネクタは、使用電圧が高いことから、コネクタの挿抜を行う作業者等が、コネクタを構成するプラグ及びソケットにおける両者間の電気的接続がなされる導体部分(ピンコンタクト、ソケットコンタクト)に触れにくいような構造とすることが望ましい。
【0004】
導体部分に作業者等が触れにくくなるよう構成されたコネクタとして、例えば、雌側コネクタ(即ちソケット側)に、雌型端子が露出するのを防ぐためのシャッタを設けた構成のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このシャッタは、雌側端子を露出させて雄側端子を挿入させるための端子挿入口が形成されると共に回転可能に構成されており、雄側コネクタが挿入されていない不使用時には、雌側コネクタの雌側端子は、シャッタにより閉じられて外部に露出していない状態となる。即ち、シャッタはバネの付勢力によって雌側端子が露出しない回転位置で停止するよう構成されている。
【0006】
そして、雄側コネクタを挿入すべく、雄側コネクタに設けられた位置決め軸を雌側コネクタのシャッタの軸孔に挿入すると、位置決め軸と軸孔の相互作用によって、雌側コネクタのシャッタはバネの付勢力に抗して回転し、雌側端子がシャッタの端子挿入口から外部に臨む状態となる。これにより、雄側コネクタの雄側端子が、シャッタの端子挿入口を介して雌側端子へ挿入されていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−153551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、雌側コネクタについては不使用時に導体部分が露出するのが防止されるものの、雄側コネクタについては導体部分がその端面(雌側コネクタに挿入される側の端面)も含めて露出した状態であるため、少なくともこの雄側コネクタについては、作業者等が直接触れてしまうおそれが依然として残されている。
【0009】
また、特に高電圧用のコネクタにおいては、場合によっては活線状態で挿抜作業を行うこともあり、その場合、コネクタを挿入(嵌合)する際及びコネクタを抜く(離脱させる)際のいずれもアークが生じるおそれがある。特にコネクタを離脱させる際は、アークがコネクタ外部にまで飛び出るおそれがあり、このようなアークの外部飛び出しが生じないようにすることも望まれている。
【0010】
しかし、特許文献1に記載された技術では、不使用時は雌側コネクタの導体部分がシャッタで閉じられているものの、雄側コネクタ挿入の際に雄側端子と雌側端子が導通するとき、及び雄側コネクタ離脱の際に雄側端子が雌側端子から離れるときのいずれも、雌側端子はシャッタの端子挿入口から外部に臨んだ状態となるため、高電圧用のコネクタとして用いると、作業者の目に見える状態でアークが発生し、ひいてはコネクタ外部へ飛び出してしまうおそれがある。
【0011】
活線状態でのコネクタ挿抜作業が行われる具体例として、例えば通信設備が挙げられる。近年、データセンタや通信局舎などの通信設備においては、ルータやサーバ等の各種情報通信機器へ直流電力を供給する直流給電システムの構築が進められており、特に、例えば直流400Vといった高い電圧で電力を供給する高電圧直流給電システムによって高効率化を目指す動きが進んでいる。
【0012】
このような通信設備においても、例えば外部からの交流高圧入力を直流の高電圧に変換する整流装置や、整流装置から負荷(各種情報通信機器)へ直流電力を分配する分配装置などの各部で、直流電力の供給経路を導通・遮断するためにコネクタが用いられる。
【0013】
そして、このような通信設備では、例えば負荷容量の増減に応じて整流装置を構成する整流器ユニットの数を増減するなどといった各種の作業を、各種情報通信機器の動作を停止させることなく行う必要性があり、そのような場合に、活線状態でのコネクタの挿抜作業が必要となる。
【0014】
そのため、作業者が確実且つ安全にコネクタの挿抜作業を行うことができるよう、特に高電圧用のコネクタ、さらには直流電力供給を導通・遮断するコネクタにおいては、活線状態でのコネクタ挿抜作業時においてアークが発生したとしても、それが作業者の作業に悪影響を及ぼすことがないようにすることが望まれているのである。
【0015】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、作業者が各導体部分に触れにくく、しかも活線状態での挿抜作業時に発生するアークが外部の作業者等に与える影響を抑制することが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、導体からなるピンコンタクト、及びそのピンコンタクトを収容する筒状のプラグ外筒部、を有するコネクタプラグと、導体からなると共にピンコンタクトが挿入されることにより該ピンコンタクトと導通するよう構成された円筒状のソケットコンタクト、及びそのソケットコンタクトを収容する円筒状の部材であって、その内周面とソケットコンタクトの外周面との間にプラグ外筒部が挿入される外筒挿入部が存在するように構成されたソケット外筒部、を有するコネクタソケットと、を備え、コネクタプラグをコネクタソケットに挿入することで、プラグ外筒部が外筒挿入部に挿入されつつピンコンタクトがソケットコンタクトに挿入されることにより、該各コンタクトが電気的に導通するよう構成されたたコネクタである。
【0017】
そして、ピンコンタクトは、少なくともその先端面において、当該コネクタが挿抜される方向であって各コンタクトの軸心に平行な軸心方向に所定の厚さを有する絶縁部材であるプラグ側絶縁部が設けられている。また、ソケットコンタクトは、少なくともその先端面において、軸心方向に所定の厚さを有する絶縁部材であって該先端面の略円環形状に沿うように形成された円筒状のソケット側絶縁部が設けられている。
【0018】
このように構成されたコネクタでは、コネクタプラグをその軸心方向先端側(つまりコネクタソケットに挿入される側)から見たとき、ピンコンタクトの先端面がプラグ側絶縁部によって覆われた状態となっている。そのため、作業者等が軸心方向先端側からピンコンタクトに直接触れようとしても、その前にプラグ側絶縁部に触れることになり、それによりピンコンタクトへの接触が抑止される。
【0019】
コネクタソケットについても同様であり、ソケットコンタクトの先端面にソケット側絶縁部が設けられているため、作業者等が軸心方向先端側(つまりコネクタプラグが挿入される側)からソケットコンタクトに直接触れようとしても、その前にソケット側絶縁部に触れることになり、それによりソケットコンタクトへの接触が抑止される。
【0020】
更に、各コンタクトの双方共にその先端面に絶縁部材が設けられているため、仮に活線状態でのコネクタ挿抜時にアークが発生したとしても、そのアークがコネクタ外部に飛び出るおそれを低減できる。
【0021】
従って、請求項1に記載のコネクタによれば、各導体部分、即ちピンコンタクト及びソケットコンタクトに作業者等が直接触れにくく、しかも活線状態での挿抜作業時に発生するアークが外部の作業者等に与える影響を抑制することが可能となる。
【0022】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタであって、コネクタプラグは、プラグ側絶縁部がプラグ外筒部の開口面から外部へ突出しないように形成されており、コネクタソケットは、ソケット側絶縁部がソケット外筒部の開口面から外部へ突出しないように形成されている。
【0023】
各コンタクトの先端面に絶縁部材が設けられているとはいえ、仮に、その絶縁部材が各外筒部の開口面よりも外部へ突出していて且つ各コンタクトの先端面までもが各外筒部の開口面よりも外部に飛び出ていると、少なくともその飛び出た部分については作業者等が直接触れてしまう可能性があり、絶縁部材を設ける意義・効果が低減する。
【0024】
そこで、請求項2に記載のコネクタのように、絶縁部材(各絶縁部)を、各外筒部の開口面から突出しないよう、換言すれば各外筒部の開口面よりも内部に位置するように設ければ、作業者等が各コンタクトに直接触れるのを確実に防止することができる。
【0025】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、ソケットコンタクトにおける、ピンコンタクトが挿入される内部空間には、絶縁体からなると共に該内部空間を軸心方向に移動可能に構成された可動絶縁部材が設けられている。そして、その可動絶縁部材は、その軸心方向の先端が少なくともソケットコンタクトの先端から突出するような所定の基準位置に配置されていると共に、弾性部材により弾性支持されており、該弾性支持により、基準位置から軸心方向後端側へ弾性移動可能に構成されている。
【0026】
このように構成された請求項3に記載のコネクタによれば、ソケット側絶縁部によって作業者等がソケットコンタクトの先端に直接触れにくくなっているのに加え、可動絶縁部材によって、作業者等がソケットコンタクトの内部空間に指などを入れてしまってその内部空間側からソケットコンタクトに直接触れてしまうことも抑止できる。そのため、作業者等がソケットコンタクトに直接接触することがより困難なコネクタを提供することが可能となる。
【0027】
なお、このようにソケットコンタクトに可動絶縁部材が配置された構成においては、ソケットコンタクトにピンコンタクトが挿入される際、ピンコンタクトの先端が可動絶縁部材の先端に当接する。そして、ピンコンタクトが挿入されていくのに伴い、可動絶縁部材はそのピンコンタクトの挿入力によって後端側に移動していく。
【0028】
この可動絶縁部材の後端側への移動は、弾性部材の付勢力(基準位置に戻そうとする力)に抗するものであり、後端側へ移動するほど、弾性部材による反発力は大きくなる。そこで、その弾性部材の反発力を、ソケットコンタクトからピンコンタクトを離脱させる際の離脱力として利用することも可能である。例えば、ピンコンタクトをソケットコンタクトに挿入した際にはその挿入状態を何らかの手段で保持できるようにし、離脱させる際はその挿入状態の保持を解除すると弾性部材の反発力によってある程度までは(例えば各コンタクトの導通状態が解除される程度までは)強制的に離脱されるようにする、といった構成をとることができる。
【0029】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のコネクタであって、コネクタプラグがコネクタソケットに挿入されて各コンタクトが導通している状態から、所定の初期離脱操作によって、コネクタプラグをコネクタソケットから離脱させていくと共に、ピンコンタクトの先端がソケット外筒部の開口面から軸心方向に所定の中間挿入長だけ挿入された位置である中間挿入位置まで離脱が進んだところで該初期離脱操作による離脱を停止させるための、初期離脱機構と、この初期離脱機構により中間挿入位置まで離脱された状態から、所定の継続離脱操作を行うことによりコネクタプラグをコネクタソケットから完全に離脱させるための、継続離脱機構と、を備えている。
【0030】
これら各機構のうち、継続離脱機構は、コネクタプラグのコネクタソケットへの挿入時には継続離脱操作とは逆順の操作のうち少なくとも一部を含む所定の初期挿入操作によりコネクタプラグを挿入させていくと共に、該挿入が中間挿入位置まで進んだところで該挿入を停止させるための、初期挿入機構としても機能する。
【0031】
また、初期離脱機構は、コネクタプラグのコネクタソケットへの挿入時には初期離脱操作とは逆順の操作のうち少なくとも一部を含む所定の継続挿入操作を行うことにより中間挿入位置からの挿入を継続させるための、継続挿入機構としても機能する。
【0032】
そして、挿入時においては、初期挿入操作により中間挿入位置まで挿入された段階では各コンタクトはまだ導通せず、継続挿入操作による挿入の過程で該各コンタクトが導通し、離脱時においては、初期離脱操作により中間挿入位置まで離脱が進む過程で該各コンタクトの導通が解除されるよう構成されている。
【0033】
このように構成された請求項4に記載のコネクタでは、離脱の際には、まずは初期離脱操作によって中間挿入位置まで離脱させることになるが、その初期離脱操作だけでは完全離脱させることはできない。中間挿入位置から更に離脱を進めて完全に離脱させるようにするためには、継続離脱操作を行う必要がある。そして、各コンタクトの導通は、初期離脱操作による離脱の過程で解除される。
【0034】
そのため、中間挿入位置まで離脱された段階で既に各コンタクトの導通は解除されていることになり、その段階ではまだコネクタは完全に離脱されておらず、プラグ外筒部の先端側はまだソケット外筒部に挿入された状態となっている。そのため、仮に活線状態で離脱が行われて各コンタクトの導通が解除され、その際にアークが発生したとしても、それはコネクタ内部の閉じられた空間内での発生となるため、作業者等への悪影響は抑止される。
【0035】
また、挿入の際も、まずは初期挿入操作によって中間挿入位置まで挿入させることになるが、その初期挿入操作だけでは各コンタクトは導通しない。中間挿入位置から更に挿入を進めて各コンタクトを導通させるためには、継続挿入操作を行う必要がある。
【0036】
そのため、挿入の際における各コンタクトの導通は、少なくともプラグ外筒部の先端側がソケット外筒部に挿入された状態で行われることになる。これにより、仮に活線状態で挿入が行われて各コンタクトが導通し、その際にアークが発生したとしても、それはコネクタ内部の閉じられた空間内での発生となるため、作業者等への悪影響は抑止される。
【0037】
従って、請求項4に記載のコネクタによれば、コネクタの挿抜作業時における各コンタクトの導通及び導通解除は、中間挿入位置よりもさらに挿入が進んだ位置にて、外部作業者等から直接見えない状態で(密閉されたコネクタ内部空間で)行われるため、アーク発生による作業者等への悪影響をより確実に抑止することができる。
【0038】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のコネクタであって、コネクタプラグは、上記各機構を構成する部材の1つであって、プラグ外筒部においてその径方向に突出するように設けられ、軸心方向に所定の長さを有する突起部を備えている。
【0039】
一方、コネクタソケットは、第1のガイド溝と、第2のガイド溝と、突起部回転移動可能空間とを備えている。
このうち第1のガイド溝は、少なくとも初期挿入機構及び継続離脱機構を構成する部材の1つであって、ソケット外筒部においてその開口端から軸心方向へ延伸するように設けられ、初期挿入操作時及び継続離脱操作時における、コネクタソケットに対するコネクタプラグの外周方向(軸心を中心とする円周方向)の相対位置を規定すると共に、該初期挿入操作時及び該継続離脱操作時に突起部を軸心方向へ案内させつつコネクタプラグを該軸心方向へ移動させるためのものである。
【0040】
また、第2のガイド溝は、少なくとも継続挿入機構及び初期離脱機構を構成する部材の1つであって、ソケット外筒部において軸心方向へ延伸するように設けられ、継続挿入操作時及び初期離脱操作時における、コネクタソケットに対するコネクタプラグの外周方向の相対位置を、初期挿入操作時及び継続離脱操作時とは異なる位置に規定すると共に、該継続挿入操作時及び該初期離脱操作時に突起部を軸心方向へ案内させつつコネクタプラグを該軸心方向へ移動させるためのものである。
【0041】
また、突起部回転移動可能空間は、上記各機構を構成し、ソケット外筒部において軸心方向における第1のガイド溝と第2のガイド溝の間に形成された、コネクタプラグが中間挿入位置に位置しているときに突起部が存在する空間であって、該中間挿入位置においてコネクタプラグをその軸心を中心に回転可能にすると共に、該回転により、突起部を少なくとも第1のガイド溝に対応した位置から第2のガイド溝に対応した位置の間で自在に移動させることが可能に構成されたものである。
【0042】
このように構成された請求項5に記載のコネクタによれば、離脱時においては、コネクタプラグの突起部がコネクタソケットの第2のガイド溝に案内されつつ離脱が行われるものの(初期離脱操作)、第2のガイド溝と第1のガイド溝とは軸心方向において位置がずれるように形成されているため、突起部が突起部回転移動可能空間まできたところ(即ち中間挿入位置)でその離脱は一旦強制的に停止される。そして、引き続き離脱させるためには、コネクタプラグを回転させて突起部を第1のガイド溝に対応した位置に合わせた上で離脱を継続する必要がある(継続離脱操作)。
【0043】
挿入時においても、コネクタプラグの突起部がコネクタソケットの第1のガイド溝に案内されつつ挿入が行われるものの(初期挿入操作)、突起部が突起部回転移動可能空間まできたところ(即ち中間挿入位置)でその挿入は一旦強制的に停止される。そして、引き続き挿入させるためには、コネクタプラグを回転させて突起部を第2のガイド溝に対応した位置に合わせた上で挿入を継続する必要がある(継続挿入操作)。
【0044】
つまり、請求項5に記載のコネクタは、請求項4に記載のコネクタをより具現化したものであり、よって、アーク発生による作業者等への悪影響をより確実に抑止するという、請求項4に記載の発明の効果を、より確実に得ることができる。
【0045】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のコネクタであって、コネクタプラグは、上記各機構を構成し、軸心を中心に回転自在に設けられた円筒状の部材であって、その内周面に、コネクタソケットの外周面に形成されたネジ受け部と螺合されるネジ部が形成されたプラグ側螺合部材を備えている。
【0046】
また、コネクタソケットは、上記各機構を構成し、外周面に形成された上記ネジ受け部を備えている。
そして、プラグ側螺合部材及びネジ受け部は、挿入時においては、初期挿入操作によりコネクタプラグが中間挿入位置まで挿入されていく過程でネジ部の先端側がネジ受け部の先端側に当接することにより、該挿入が中間挿入位置まで進んだところで停止され、該中間挿入位置から継続挿入操作としてプラグ側螺合部材を回転させてネジ部をネジ受け部に螺合させていくことにより挿入が継続され、離脱時においては、初期離脱操作としてプラグ側螺合部材を継続挿入操作時とは逆方向に回転させることにより中間挿入位置まで離脱されて該中間挿入位置にてネジ部とネジ受け部との螺合が解除されるように、構成されている。
【0047】
このように構成された請求項6に記載のコネクタでは、挿入時における中間挿入位置からのさらなる挿入、及び離脱時における中間挿入位置までの離脱は、ネジの螺合により行われる。そのため、挿入時においてはネジの螺合を行いながら挿入が進められていく過程で各コンタクトが導通することになり、離脱時においては、ネジの螺合(解除)を行いながら離脱が進められていく過程で各コンタクトの導通が解除されることになる。
【0048】
つまり、この請求項6に記載のコネクタも、請求項4に記載のコネクタをより具現化したものであり、よって、アーク発生による作業者等への悪影響をより確実に抑止するという、請求項4に記載の発明の効果を、より確実に得ることができる。
【0049】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のコネクタであって、コネクタプラグは、プラグ外筒部においてその径方向に突出するように設けられ、軸心方向に所定の長さを有する突起部を備えている。また、コネクタソケットは、ソケット外筒部においてその開口端から軸心方向へ延伸するように設けられ、各挿入操作時及び各離脱操作時におけるコネクタソケットに対するコネクタプラグの外周方向の相対位置を規定すると共に、該各挿入操作時及び該各離脱操作時に突起部を軸心方向へ案内させつつコネクタプラグを該軸心方向へ移動させるための、ガイド溝を備えている。
【0050】
このように構成された請求項7に記載のコネクタによれば、コネクタソケットに対するコネクタプラグの外周方向の相対位置が規定されるため、コネクタの挿抜作業を安定して行うことができる。
【0051】
次に、請求項8に記載の発明は、極性の異なる複数の電力供給線を導通・遮断するために各極性の電力供給線毎に用いられる複数のコネクタからなるコネクタセットであって、複数のコネクタは、いずれも、請求項5又は請求項7に記載のコネクタである。そして、各コネクタが有する突起部(コネクタプラグが有する突起部)とガイド溝(コネクタソケットが有するガイド溝)は、互いに極性の異なるコネクタプラグとコネクタソケットとの挿入が阻止されるよう、極性毎にそれぞれ異なるパターンにて形成されている。
【0052】
異なる複数の極性としては、例えば直流であれば正極と負極、交流ならば例えば三相交流の各相などが挙げられる。このような複数の極性の各々でコネクタが用いられる場合、コネクタの挿入作業時に、ある極性のコネクタプラグを異なる極性のコネクタソケットに挿入してしまうおそれがあり、仮にそのような誤挿入が生じると、電力の供給源(電源装置等)や供給先(負荷装置等)に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0053】
そこで、コネクタプラグが有する突起部とこれに対応したコネクタソケット側のガイド溝(以下「突起・ガイド溝対」ともいう)を、極性毎に異なるパターンにて形成する。ここでいうパターンとは、例えば、コネクタの外周方向(軸心を中心とする円周方向)における突起・ガイド溝対の形成位置や形成数、突起・ガイド溝対の断面(挿入方向の断面)の形状などが挙げられる。つまり、同じ極性でない限りコネクタプラグがコネクタソケットに挿入されないように各極性の突起・ガイド溝対が形成されていれば、異なるパターンで形成されているといえる。
【0054】
従って、請求項8に記載の発明によれば、互いに極性の異なるコネクタプラグとコネクタソケット相互間の誤挿入・誤嵌合を防止することができ、同じ極性のコネクタプラグとコネクタソケット同士を確実に嵌合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態のコネクタ(正極側コネクタ)を表す斜視図であり、(a)は正極側ピンプラグ、(b)は正極側ソケットを表す。
【図2】第1実施形態のコネクタ(負極側コネクタ)を表す斜視図であり、(a)は負極側ピンプラグ、(b)は負極側ソケットを表す。
【図3】第1実施形態の正極側コネクタの各部断面図(軸心に平行な断面)である。
【図4】第1実施形態の正極側コネクタの各部断面図(軸心に垂直な断面)である。
【図5】第1実施形態の負極側ソケットの断面図であり、(a)は軸心に平行な断面、(b)〜(e)は軸心に垂直な各部断面である。
【図6】第1実施形態のコネクタにおける、ソケットに対するピンプラグの挿入・離脱の過程を説明するための説明図である。
【図7】第1実施形態のコネクタにおける、ソケットに対するピンプラグの挿入・離脱の過程を説明するための説明図である。
【図8】第2実施形態のコネクタ(正極側コネクタ)を表す断面図であり、(a)は正極側プラグ及び正極側ソケットの各部断面図(軸心に平行な断面)、(b)及び(c)は正極側ソケットの各部断面図(軸心に垂直な断面)である。
【図9】第2実施形態のコネクタにおける、ソケットに対するピンプラグの挿入・離脱の過程を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、本実施形態のコネクタの外観について、図1及び図2を用いて説明する。本実施形態のコネクタは、例えばデータセンタや通信局舎などの通信設備においてルータやサーバ等の各種情報通信機器への直流電力供給を導通・遮断するために用いられるものである。直流電力の供給経路を導通・遮断するものであるため、正極側の経路を導通・遮断するための正極側コネクタと、負極側の経路を導通・遮断するための負極側コネクタとが、セットで用いられる。
【0057】
このうち正極側コネクタは、図1(a)に示す正極側ピンプラグ1と図1(b)に示す正極側ソケット2とにより構成され、これら両者が互いに嵌合されることで正極側の供給経路の導通が図られる。また、負極側コネクタは、図2(a)に示す負極側ピンプラグ3と図2(b)に示す負極側ソケット4とにより構成され、これら両者が互いに嵌合されることで負極側の供給経路の導通が図られる。
【0058】
正極側コネクタを構成する正極側ピンプラグ1は、図1(a)に示すように、導体からなるピンコンタクト14と、このピンコンタクト14を収容・保持する筒状のピンケース12と、このピンケース12の後端側においてこのピンケース12及びピンコンタクト14を保持するためのプラグ本体11と、このプラグ本体11の外周面に渡って回転自在に設けられた円筒状のネジ本体16と、を備えている。
【0059】
ピンコンタクト14は、嵌合される正極側ソケット2のソケットコンタクト24(図1では図示されず。図3等参照。)と電気的に導通されるものであり、その後端側は正極プラグケーブル5の導体部分が例えば圧着等によって接続されている。
【0060】
また、ピンコンタクト14の先端面には、絶縁物からなり、軸心方向(コネクタが挿抜される方向であって各コンタクトの軸心に平行な方向)に所定の厚さを有する、ピン側絶縁保護材15が設けられている。
【0061】
これにより、正極側ピンプラグ1をその軸心方向先端側から見たとき、ピンコンタクト14の先端面がピン側絶縁保護材15によって覆われた状態となる。そのため、作業者等が軸心方向先端側からピンコンタクト14に直接触れようとしても、その前にピン側絶縁保護材15に触れることになり、それによりピンコンタクト14への接触が抑止される。
【0062】
また、ピンケース12の外周面には、その径方向に突出するように2つの挿入キー13a,13bが設けられている。各挿入キー13a,13bは、ピンケース12の外周方向において互いに180度離れた位置関係、即ち軸心を中心に互いに対向した位置関係となるように配置されている。
【0063】
また、ネジ本体16は、軸心を中心に回転自在に設けられた円筒状の部材であって、その内周面に、正極側ソケット2の外周面に形成されたネジ受け部22と螺合されるネジ部17が形成されている。本実施形態では、後述するように、正極側ソケット2への挿入が進んで各コンタクト14,24が導通した後の挿入最終段階で、ネジ部17とネジ受け部22が螺合するよう構成されている。つまり、本実施形態では、ネジ部17及びネジ受け部22は、コネクタが完全に嵌合された状態を保持・固定するために設けられている。
【0064】
図3(a)は、この正極側ピンプラグ1の内部構成を説明するための断面図(図1(a)のV視図における断面P−P)である。図3(a)に示すように、ピンコンタクト14の先端面は、ピンケース12の先端面(開口面)から外部に突出しないよう、ピンケース12の先端面よりも後端側に位置している。そして、このピンコンタクト14の先端面にピン側絶縁保護材15が設けられており、このピン側絶縁保護材15における先端側の面が、ピンケース12の開口面と同一面上に位置している。
【0065】
また、各挿入キー13a,13bは、いずれもピンケース12の先端面から後端側へ所定距離離れた位置に設けられている。
このように構成された正極側ピンプラグ1は、対応する正極側ソケット2に挿入(嵌合)される際、各挿入キー13a,13bが正極側ソケット2の各挿入溝23a,23b等に挿入されて案内されながら挿入されることとなる。またその際、ピンコンタクト14の外周面とピンケース12の内周面の間の空間であるソケット挿入口18に、正極側ソケット2のソケットコンタクト24が挿入していくこととなる。
【0066】
次に、正極側コネクタを構成する正極側ソケット2は、図1(b)に示すように、円筒状のソケットケース21の内部にソケットコンタクト24(図3等参照)が収容・保持された構成となっている。ソケットケース21の先端側には、その外周面にネジ受け部22が形成されており、このネジ受け部22に、正極側ピンプラグ1のネジ部17が螺合する。ソケットコンタクト24の後端側は、正極ソケットケーブル6の導体部分が例えば圧着等によって接続されている。
【0067】
また、ソケットコンタクト24の先端面には、絶縁物からなり、軸心方向に所定の厚さを有し、該先端面の円環形状に沿うように形成された円筒状のソケット側絶縁保護材25が設けられている。
【0068】
これにより、正極側ソケット2をその軸心方向先端側から見たとき、ソケットコンタクト24の先端面がソケット側絶縁保護材25によって覆われた状態となる。そのため、作業者等が軸心方向先端側からソケットコンタクト24に直接触れようとしても、その前にソケット側絶縁保護材25に触れることになり、それによりソケットコンタクト24への接触が抑止される。
【0069】
なお、ソケットコンタクト24の内部空間には、軸心方向に弾性移動可能な軸心可動絶縁材26が設けられているが、これについては後で詳説する。
また、ソケットケース21の内周面には、ソケットケース21の開口端(先端)から軸心方向へ所定長だけ延伸するように、且つ内周方向において互いに180度離れた位置関係、即ち軸心を中心に互いに対向した位置関係となるように、2つの第1挿入溝23a,23bが形成されている。
【0070】
また、図1(b)では詳しくは図示されていないが、ソケットケース21の内周面における後端側にも、軸心方向へ延伸するように、且つ内周方向において互いに180度離れた位置関係となるように2つの第2挿入溝23c,23dが形成されている。
【0071】
但し、図1(b)のW視図や図3,図4に示すように、開口端側(先端側)に形成された2つの第1挿入溝23a,23bと、後端側に形成された2つの第2挿入溝23c,23dは、軸心方向において重ならないような位置関係にある。具体的には、外周方向においてそれぞれ90度ずれた位置関係にある。
【0072】
これら各挿入溝23a〜23dにより、正極側ピンプラグ1の挿入の際に、正極側ソケット2に対する正極側ピンプラグ1の外周方向の相対位置が規定される。
図3(b),(c)は、正極側ソケット2の内部構成を説明するための断面図である。即ち、図3(b)は、図1(b)のW視図における断面Q−Qであり、図3(c)は、図1(b)のW視図における断面R−Rである。更に、図3(b)の断面図における各部断面、即ち正極側ソケット2の軸心方向に垂直な各面(4箇所)の断面図を、それぞれ図4(a)〜(d)に示す。
【0073】
図3(b),(c)に示すように、2つの第1挿入溝23a,23bは、ソケットケース21の開口端から後端側にかけて所定長だけ延伸するように形成されている。そして、各第1挿入口23a,23bの後端側には、フリースペース28が形成されている。
【0074】
このフリースペース28は、正極側ピンプラグ1の各挿入キー13a,13bが軸心を中心として自在に回転移動可能なスペースである。つまり、各挿入キー13a,13bがこのフリースペース28に位置しているときには、正極側ピンプラグ1を自在に回転させることができ、その回転により、各挿入キー13a,13bを、各第1挿入溝23a,23bに対応した位置、或いは各第2挿入溝23c,23dに対応した位置に自在に移動させることができる。そして、このフリースペース28の後端側に、2つの第2挿入溝23c,23dが形成されている。
【0075】
そのため、この正極側ソケット2に正極側ピンプラグ1を挿入していくと、正極側ピンプラグ1の各挿入キー13a,13bがフリースペース28まで到達した時点で一旦強制的に停止される。これは、フリースペース28の内部における後端側の面、即ち図4(b)に示すように後端側キー当接面28a,28bに各挿入キー13a,13bが当接するからである。
【0076】
この状態から更に挿入を進めるためには、後述するように正極側ピンプラグ1を90度回転させて、各挿入キー13a,13bを各第2挿入溝23c,23dに合わせる必要がある。
【0077】
逆に、完全に嵌合した状態から、正極側ピンプラグ1を離脱させていくと、各第2挿入溝23c,23dに沿って先端側へ移動していく各挿入キー13a,13bが、フリースペース28まで達した時点で一旦強制的に停止され、これにより正極側ピンプラグ1の離脱も停止される。これは、フリースペース28の内部における先端側の面、即ち図4(c)に示すように先端側キー当接面28c,28cに各挿入キー13a,13bが当接するからである。
【0078】
この状態から更に離脱を進めるためには、後述するように正極側ピンプラグ1を90度回転させて、各挿入キー13a,13bを各第1挿入溝23a,23bに合わせる必要がある。
【0079】
絶縁体からなる軸心可動絶縁材26は、ソケットコンタクト24における、ピンコンタクト14が挿入される内部空間において、軸心方向に移動可能に配置されている。即ち、後端側がバネ27によって弾性支持されており、この弾性支持により、図3(b)に示した位置である基準位置から軸心方向後端側へ弾性移動可能となっている。また、この基準位置において、軸心可動絶縁材26は、その軸心方向の先端がソケットコンタクト24の先端よりも突出している。
【0080】
このように構成された正極側ソケット2に正極側ピンプラグ1が挿入(嵌合)される際は、まずピンケース12がプラグ挿入口29に挿入される。そして、更に挿入が進むことで、ピンコンタクト14がピン挿入口30に挿入されていくこととなる。このとき、ピンケース12は、ソケットコンタクト24の外周面とソケットケース21の内周面の間の空間(本発明の外筒挿入部に相当)に挿入されていくこととなる。
【0081】
次に、負極側コネクタを構成する負極側ピンプラグ3及び負極側ソケット4について、図2及び図5を用いて簡単に説明する。
負極側ピンプラグ3は、挿入キーの配置が異なることを除けば、図1(a)に示した正極側ピンプラグ1と同じ構成である。即ち、負極側ピンプラグ3は、図2(a)に示すように、プラグ本体31、ピンケース32、ピンコンタクト34、ピン側絶縁保護材35、ネジ部37が形成されたネジ本体36、を備え、ピンコンタクト34の後端側には負極プラグケーブル7が接続されている。
【0082】
そして、ピンケース32の外周面には、その径方向に突出するように2つの挿入キー33a,33bが設けられている。各挿入キー33a,33bは、ピンケース12の外周方向において互いに90度離れた位置関係となるように配置されている。
【0083】
負極側ソケット4も、各挿入溝の配置が異なることを除けば、図1(b)に示した正極側ソケット2と同じ構成である。即ち、負極側ソケット4は、図2(b)及び図5に示すように、先端側外周面にネジ受け部42が形成されたソケットケース41、ソケットコンタクト44(図2(b)では図示されず。図5参照。)、ソケット側絶縁保護材45、軸心可動絶縁材46、を備えている。軸心可動絶縁材46は、図5(a)に示すように、その後端側においてバネ47により弾性支持されている。
【0084】
なお、図5(a)は、図2(b)のY視図における断面S−Sであり、図5(b)〜(e)は、図5(a)の断面図における各部断面、即ち負極側ソケット4の軸心方向に垂直な各面(4箇所)の断面図である。
【0085】
そして、負極側ソケット4にも、その開口端側に2つの第1挿入溝43a,43bが形成されており、後端側に2つの第2挿入溝43c,43dが形成されている。開口端側の2つの第1挿入溝43a,43b、及び後端側の2つの第2挿入溝43c,43dは、それぞれ、ソケットケース41の内周方向において互いに90度離れた位置関係となるように形成されている。
【0086】
但し、図2(b)のY視図や図5に示すように、開口端側(先端側)に形成された2つの第1挿入溝43a,43bと、後端側に形成された2つの第2挿入溝43c,43dは、軸心方向において重ならないような位置関係にある。具体的には、外周方向においてそれぞれ180度ずれた位置関係にある。
【0087】
そして、図5(a)に示すように、各第1挿入溝43a,43bと、各第2挿入溝43c,43dとの間には、フリースペース48が形成されている。
そのため、この負極側ソケット4に負極側ピンプラグ3を挿入していくと、負極側ピンプラグ3の各挿入キー33a,33bがフリースペース48まで到達した時点で一旦強制的に停止される。これは、フリースペース48の内部における後端側の面、即ち図5(c)に示すように後端側キー当接面48a,48bに各挿入キー33a,33bが当接するからである。この状態から更に挿入を進めるためには、負極側ピンプラグ3を180度回転させて、各挿入キー33a,33bを各第2挿入溝43c,43dに合わせればよい。
【0088】
逆に、完全に嵌合した状態から、負極側ピンプラグ3を離脱させていくと、各第2挿入溝43c,43dに沿って先端側へ移動していく各挿入キー33a,33bが、フリースペース48まで達した時点で一旦強制的に停止され、これにより負極側ピンプラグ3の離脱も停止される。これは、フリースペース48の内部における先端側の面、即ち図5(d)に示すように先端側キー当接面48c,48cに各挿入キー33a,33bが当接するからである。この状態から更に離脱を進めるためには、負極側ピンプラグ3を180度回転させて、各挿入キー33a,33bを各第1挿入溝43a,43bに合わせればよい。
【0089】
上記のように構成された本実施形態の各コネクタにおける、ソケットに対するピンプラグの挿入及び離脱の過程(手順)について、図6及び図7を用いて説明する。なお、正極側コネクタと負極側コネクタの挿入・離脱の手順は、フリースペースにおける回転角度が異なること以外は、基本的に同じである。そのため、図6,図7では、正極側コネクタを例に挙げて説明する。そのため、以下の説明では、特に断りのない限り、正極側ピンプラグ1を単に「ピンプラグ1」と称し、負極側ソケットを単に「ソケット2」と称することとする。
【0090】
図6(a)は、ソケット2にピンプラグ1が挿入されていない、第1の状態である。
図6(a)において、L1は、ピンプラグ1における、ソケット2に挿入されて各挿入キー13a,13bがソケット2内のフリースペース28内に位置しているときにソケット2内に挿入されている部分の距離(中間挿入長)である。また、L2は、ソケット2の開口端からその内部におけるソケットコンタクト24の先端面までの距離(ソケットコンタクト到達長)である。
【0091】
図6(b)は、第1の状態からピンプラグ1を所定長だけソケット2に挿入した、第2の状態である。この第2の状態では、ピンプラグ1のピンケース12がソケット2に挿入され、且つ、ピンプラグ1の各挿入キー13a,13bがソケット2の各第1挿入溝23a,23bに挿入されている。ただし、各コンタクト14,24はまだ導通していない。
【0092】
そして、この第2の状態から更に、各挿入キー13a,13bを各第1挿入溝23a,23bに案内させつつ挿入を進めると、やがて各挿入キー13a,13bがフリースペース28に達して、ここで一旦、挿入が強制停止される。このときの状態が、図6(c)に示す第3の状態である。また、このときの位置が本発明の中間挿入位置に相当するものであり、ここまでの挿入操作が、本発明の初期挿入操作に相当するものである。
【0093】
この第3の状態では、ピンプラグ1のピンコンタクト14が、中間挿入長L1だけ挿入されている。但し、ソケット2におけるソケットコンタクト到達長L2は、中間挿入長L1よりも長く設定されているため、ピンコンタクト14の先端はまだソケットコンタクト24の先端に到達しておらず、両者はまだ非導通状態である。
【0094】
この第3の状態から、更に挿入を進めるべく、ピンプラグ1を90度回転させると、図6(d)に示す第4の状態となり、各挿入キー13a,13bは、各第2挿入溝23c,23dに対応した位置に移動される。
【0095】
図6に示したソケット2は、図1(b)のW視図における断面Q−Qを表しているものである。そこで、第4の状態を、図1(b)のW視図における断面R−Rで表すと、図7(a)に示すようになる。つまり、図6(d)と図7(a)は、断面方向が異なるだけであっていずれも同じ第4の状態である。
【0096】
この第4の状態から更に挿入を進めると、ピンプラグ1の各挿入キー13a,13bがソケット2の各第2挿入溝23c,23dに案内されつつ挿入されていき、やがてピンコンタクト14とソケットコンタクト24が接触・導通する。
【0097】
図7(b)に示した第5の状態は、ピンコンタクト14とソケットコンタクト24が接触・導通した状態である。
そして、更に挿入を進めていくと、図7(c)に示す第6の状態のように、ピンプラグ1のネジ部17の先端とソケット2のネジ受け部22の先端が当接する。そこで、ネジ部17とネジ受け部22を螺合させながら挿入を進めていくと、図7(d)に示す第7の状態のように、挿入が完了することとなる。
【0098】
なお、第3の状態から第7の状態までの挿入操作が、本発明の継続挿入操作に相当するものである。また、このように挿入が行われる過程では、ソケット2内の軸心可動絶縁材26が、ピンコンタクト14に押されながら後端側へ移動していく。そのため、第7の状態においては、ピンコンタクト14は、離脱する方向に強い付勢力を受けているが、ネジ部17とネジ受け部22の螺合により、離脱されることなく挿入状態が保持される。
【0099】
一方、第7の状態から、ピンプラグ1を離脱させる際には、上述した挿入時の手順とは逆順の手順によって離脱させればよい。
即ち、第7の状態から、ネジ部17とネジ受け部22の螺合を解除していくと、第6の状態となり、螺合が完全に解除される。このとき、仮に軸心可動絶縁材26がなければ、第6の状態からは引き続き作業者自身がピンプラグ1を引き抜いていく必要があるが、本実施形態では軸心可動絶縁材26によってピンコンタクト14が付勢力を受けていることから、第6の状態になると、その付勢力によってピンコンタクト14は第4の状態まで一気に離脱され、その離脱の過程で、各コンタクト14,24の導通も解除される。なお、ここまでの離脱操作が、本発明の初期離脱操作に相当するものである。
【0100】
そして、第4の状態から、ピンプラグ1を90度回転させることで、各挿入キー13a,13bを各第1挿入溝に対応した位置に移動させ、第3の状態とする。その後、ピンプラグ1を引き抜いていくことで、ピンプラグ1をソケット2から完全に離脱させることができる。なお、第4の状態から完全に離脱するまでの離脱操作が、本発明の継続離脱操作に相当するものである。
【0101】
以上説明した本実施形態のコネクタによれば、各コンタクト14,24の先端面には、それぞれ絶縁保護材15,25が設けられているため、各コンタクト14,24に作業者等が直接触れにくく、しかも活線状態での挿抜作業時に発生するアークが外部の作業者等に与える影響を抑制することが可能となる。
【0102】
そのため、作業者等が確実且つ安全にコネクタの挿抜作業を行うことができる。高電圧用のコネクタや、アークが発生しやすい直流電力供給経路を導通・遮断するコネクタとして用いられる場合には特に有効である。
【0103】
また、ピン側絶縁保護材15はピンケース12の開口面から突出しないように設けられ、ソケット側絶縁保護材25についてもソケットケース21の開口面から突出しないように設けられているため、作業者等が各コンタクト14,24に直接触れるのを確実に防止することができる。
【0104】
更に、ソケット2において、ソケットコンタクト24の内部空間には、軸心可動絶縁材26が設けられている。そのため、作業者等がソケットコンタクト24に直接接触することをより確実に防ぐことができる。
【0105】
また、本実施形態のコネクタでは、図6及び図7を用いて説明したような手順にて挿抜が行われ、コネクタの挿抜作業時における各コンタクト14,24の導通及び導通解除は、各挿入キー13a,13bがフリースペース28に位置する中間挿入位置よりもさらに挿入が進んだ位置にて、外部作業者等から直接見えない状態で(密閉されたコネクタ内部空間で)行われる。そして特に、離脱時においては、たとえ一気に離脱させようとしても、各挿入キー13a,13bがフリースペース28に到達したところで、その離脱が強制的に停止される。しかもそのときは、既に各コンタクト14,24の導通は解除されている。そのため、アークが発生してもそれが外部に飛び出るのを確実に防止することができ、アークによる作業者等への悪影響をより確実に抑止することができる。
【0106】
また、正極側コネクタ(図1)と負極側コネクタ(図2)とでは、ピンプラグが有する各挿入キーとこれに対応したソケット側の各挿入溝が、異なるパターンで形成されている。そのため、互いに極性の異なるピンプラグとソケットの相互間の誤挿入・誤嵌合を防止することができ、同じ極性のピンプラグとソケット同士を確実に嵌合させることができる。
【0107】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、ピンケース12は本発明のプラグ外筒部に相当し、ソケットケース21は本発明のソケット外筒部に相当し、ピン側絶縁保護材15は本発明のプラグ側絶縁部に相当し、ソケット側絶縁保護材25は本発明のソケット側絶縁部に相当し、各挿入キー13a,13bは本発明の突起部に相当し、軸心可動絶縁材26は本発明の可動絶縁部材に相当し、各第1挿入溝23a,23bは本発明の第1のガイド溝に相当し、各第2挿入溝23c,23dは本発明の第2のガイド溝に相当し、正極プラグケーブル5、正極ソケットケーブル6、負極プラグケーブル7、及び負極ソケットケーブル8はいずれも本発明の電力供給線に相当する。
【0108】
また、各挿入キー13a,13bは本発明の各離脱機構に相当し、各第2挿入溝23c,23dは本発明の初期離脱機構及び継続挿入機構に相当し、各第1挿入溝23a,23bは本発明の継続離脱機構及び初期挿入機構に相当し、フリースペース28は本発明の各離脱機構に相当する。
【0109】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のコネクタについて、図8及び図9を用いながら、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0110】
図8において、(a)は、ピンプラグ60及びソケット70の断面図であり、(b)は、ピンプラグ60のM視図及びソケット70のN視図を表す。なお、図8(a)の断面図は、ピンプラグ60については、図8(b)のM視図における断面J−Jであり、ソケット70については、図8(b)のN視図における断面K−Kである。また、図8(a)のソケット70における、軸心に垂直な方向の2つの断面図(断面T−T及び断面U−U)を、図8(c)に示す。
【0111】
本実施形態のコネクタは、第1実施形態と同様、ピンプラグ60とソケット70により構成されている。
ピンプラグ60は、プラグ本体61に支持されたピンケース62にピンコンタクト64が収容されており、ピンコンタクト64の先端面にはピン側絶縁保護材65が設けられている。また、プラグ本体61の外周面には、この外周面に渡って回転自在に設けられた円筒状のネジ本体66(本発明のプラグ側螺合部材に相当)が備えられている。このネジ本体66は、軸心を中心に回転自在に設けられた円筒状の部材であって、その内周面に、ソケット70の外周面に形成されたネジ受け部72と螺合されるネジ部67が形成されている。
【0112】
また、ピンケース62の外周面には、周方向において互いに180度離れた位置関係で2つの挿入キー63a,63bが設けられている。
一方、ソケット70は、ソケットケース71にソケットコンタクト74が収容されており、ソケットコンタクト74の先端面にはソケット側絶縁保護材75が設けられている。また、ソケットケース71の先端側には、その外周面にネジ受け部72が形成されており、このネジ受け部72に、ピンプラグ60のネジ部67が螺合することとなる。
【0113】
また、ソケットケース71の内周面には、ソケットケース71の開口端(先端)から軸心方向へ延伸するように、且つ内周方向において互いに180度離れた位置関係、即ち軸心を中心に互いに対向した位置関係となるように、2つの挿入溝73a,73bが形成されている。
【0114】
但し本実施形態の各挿入溝73a,73bは、第1実施形態のように中間挿入位置を境に周方向の位置が異なるように設けられているのではなく、単に、これら各挿入溝73a,73bによって挿入初期から挿入完了まで(及び離脱初期から離脱完了まで)、挿入・離脱を案内するために設けられたものである。そのため、本実施形態では第1実施形態のようなフリースペースは形成されていない。
【0115】
このように構成された本実施形態のコネクタの、挿入及び離脱操作の過程(手順)について、図9を用いて説明する。
図9(a)は、ソケット70にピンプラグ60が挿入されていない、第1の状態である。
【0116】
図9(a)において、L3は、ピンプラグ60における、ソケット70に挿入されてネジ部67の先端がソケット70のネジ受け部72の先端に当接したとき(図9(b)の状態)の、ソケット70内に挿入されている部分の距離(中間挿入長)である。また、L4は、ソケット70の開口端からその内部におけるソケットコンタクト74の先端面までの距離(ソケットコンタクト到達長)である。
【0117】
図9(b)は、第1の状態からピンプラグ60を挿入し、ピンプラグ60のネジ部67の先端がソケット70のネジ受け部72の先端に当接した、第2の状態である。第1の状態から第2の状態までは作業者等が単にピンプラグ60をソケット70に押し入れていくだけで挿入されるが、この第2の状態のように、ネジ部67とネジ受け部72が当接した時点で、その挿入は一旦強制的に停止される。このときの位置が本発明の中間挿入位置に相当するものであり、ここまでの挿入操作が、本発明の初期挿入操作に相当するものである。
【0118】
この第2の状態では、ピンプラグ60のピンコンタクト64が、中間挿入長L3だけ挿入されている。但し、ソケット70におけるソケットコンタクト到達長L4は、中間挿入長L3よりも長く設定されているため、ピンコンタクト64の先端はまだソケットコンタクト74の先端に到達しておらず、両者はまだ非導通状態である。
【0119】
この第2の状態から、更に挿入すべく、ネジ本体66を回してネジ締め(螺合)を進めていくと、引き続き挿入が進んでいき、やがてピンコンタクト64とソケットコンタクト74が接触・導通する。図9(c)に示した第3の状態は、ピンコンタクト64とソケットコンタクト74が接触・導通した状態である。
【0120】
そして、更に挿入を進めていくことで、最終的に、図9(d)に示す第4の状態のように、挿入が完了することとなる。なお、第2の状態から第4の状態までの挿入操作が、本発明の継続挿入操作に相当するものである。
【0121】
一方、第4の状態から、ピンプラグ60を離脱させる際には、上述した挿入時の手順とは逆順の手順によって離脱させればよい。
即ち、第4の状態から、ネジ本体66を挿入時とは逆方向に回してネジ部67とネジ受け部72の螺合を解除していくと、第3の状態を経て第2の状態になり、螺合が完全に解除される。このようにネジ本体66を緩めて離脱させていく過程で、各コンタクト64,74の接続・導通状態は解除される。なお、第2の状態になるまでの離脱操作、即ちネジ部67の螺合が完全に解除されるまでの離脱操作が、本発明の初期離脱操作に相当するものである。
【0122】
第2の状態になると、螺合は解除されている。そのため、以後は、ネジ本体66を緩める作業を止めて、単にピンプラグ60をソケット70から引き抜いていくことで、ピンプラグ60をソケット70から完全に離脱させることができる。なお、第2の状態から完全に離脱するまでの離脱操作が、本発明の継続離脱操作に相当するものである。
【0123】
以上説明した本実施形態のコネクタによれば、挿入時における中間挿入位置からのさらなる挿入、及び離脱時における中間挿入位置までの離脱は、ネジ部67とネジ受け部72との螺合により行われる。そのため、挿入時においては、ネジ部67とネジ受け部72の螺合により挿入が進められていく過程で各コンタクト64,74が導通することになる。また、離脱時においては、螺合を解除しながら離脱が進められていく過程で各コンタクト64,74の導通が解除されることになる。
【0124】
これにより、各コンタクト64,74が導通する時及びその導通が解除される時にアークが発生したとしても、そのアークは、外部作業者等から直接見えないところで(密閉されたコネクタ内部空間で)発生することになる。
【0125】
そのため、第1実施形態と同様、アークが発生してもそれが外部に飛び出るのを確実に防止することができ、アークによる作業者等への悪影響をより確実に抑止することができる。
【0126】
なお、本実施形態においても、第1実施形態のように極性の異なる複数のコネクタとしてセットで使用される場合は、各挿入キー63a,63b及びこれに対応する各挿入溝73a,73bを、極性毎に異なるパターンで形成するようにしてもよい。
【0127】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0128】
例えば、上記第1実施形態で示した、正極側ピンプラグ1の各挿入キー13a,13bや負極側ピンプラグの各挿入キー33a,33bの、位置、形状、数等の形成パターンは、あくまでも一例であり、挿入キーの数をいくつにするか、またどのような形状にするかなどといった形成パターンは、適宜決めることができる。
【0129】
また、第2実施形態においても、ソケット70に対し、第1実施形態のソケットと同様に、バネ27に支持された軸心可動絶縁材26(図3等参照)を設けてもよい。
また、本実施形態では、直流電力を供給する電力供給経路に用いられるコネクタを例に挙げて説明したが、これもあくまでも一例であり、直流であるか交流であるかに拘わらず、また極性の種類に拘わらず、電流経路を導通・遮断するためのあらゆるコネクタに対して本発明を適用可能である。
【0130】
また、本実施形態ではいずれも単芯のコネクタを例に挙げて説明したが、多芯のコネクタに対しても本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0131】
1…正極側ピンプラグ、2…正極側ソケット、3…負極側ピンプラグ、4…負極側ソケット、5…正極プラグケーブル、6…正極ソケットケーブル、7…負極プラグケーブル、8…負極ソケットケーブル、11,31,61…プラグ本体、12,32,62…ピンケース、13a,13b,33a,33b,63a,63b…挿入キー、14,34,64…ピンコンタクト、15,35,65…ピン側絶縁保護材、16,36,66…ネジ本体、17,37,67…ネジ部、18…ソケット挿入口、21,41,71…ソケットケース、22,42,72…ネジ受け部、23a,23b,43a,43b…第1挿入溝、23c,23d,43c,43d…第2挿入溝、24,44,74…ソケットコンタクト、25,45,75…ソケット側絶縁保護材、26,46…軸心可動絶縁材、27,47…バネ、28,48…フリースペース、28a,28b,48a,48b…後端側キー当接面、28c,28d,48c,48d…先端側キー当接面、60…ピンプラグ、70…ソケット、73a,73b…挿入溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体からなるピンコンタクト、及び、前記ピンコンタクトを収容する筒状のプラグ外筒部、を有するコネクタプラグと、
導体からなると共に前記ピンコンタクトが挿入されることにより該ピンコンタクトと導通するよう構成された円筒状のソケットコンタクト、及び、前記ソケットコンタクトを収容する円筒状の部材であって、その内周面と前記ソケットコンタクトの外周面との間に前記プラグ外筒部が挿入される外筒挿入部が存在するように構成されたソケット外筒部、を有するコネクタソケットと、
を備え、前記コネクタプラグを前記コネクタソケットに挿入することで、前記プラグ外筒部が前記外筒挿入部に挿入されつつ前記ピンコンタクトが前記ソケットコンタクトに挿入されることにより、該各コンタクトが電気的に導通するよう構成されたたコネクタであって、
前記ピンコンタクトは、少なくともその先端面において、当該コネクタが挿抜される方向であって前記各コンタクトの軸心に平行な軸心方向に所定の厚さを有する絶縁部材であるプラグ側絶縁部が設けられており、
前記ソケットコンタクトは、少なくともその先端面において、前記軸心方向に所定の厚さを有する絶縁部材であって該先端面の略円環形状に沿うように形成された円筒状のソケット側絶縁部が設けられている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記コネクタプラグは、前記プラグ側絶縁部が前記プラグ外筒部の開口面から外部へ突出しないように形成されており、
前記コネクタソケットは、前記ソケット側絶縁部が前記ソケット外筒部の開口面から外部へ突出しないように形成されている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記ソケットコンタクトにおける、前記ピンコンタクトが挿入される内部空間には、絶縁体からなると共に該内部空間を前記軸心方向に移動可能に構成された可動絶縁部材が設けられており、
前記可動絶縁部材は、その前記軸心方向の先端が少なくとも前記ソケットコンタクトの先端から突出するような所定の基準位置に配置されていると共に、弾性部材により弾性支持されており、該弾性支持により、前記基準位置から前記軸心方向後端側へ弾性移動可能に構成されている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のコネクタであって、
前記コネクタプラグが前記コネクタソケットに挿入されて前記各コンタクトが導通している状態から、所定の初期離脱操作によって、前記コネクタプラグを前記コネクタソケットから離脱させていくと共に、前記ピンコンタクトの先端が前記ソケット外筒部の開口面から前記軸心方向に所定の中間挿入長だけ挿入された位置である中間挿入位置まで離脱が進んだところで該初期離脱操作による離脱を停止させるための、初期離脱機構と、
前記初期離脱機構により前記中間挿入位置まで離脱された状態から、所定の継続離脱操作を行うことにより前記コネクタプラグを前記コネクタソケットから完全に離脱させるための、継続離脱機構と、
を備え、
前記継続離脱機構は、前記コネクタプラグの前記コネクタソケットへの挿入時には前記継続離脱操作とは逆順の操作のうち少なくとも一部を含む所定の初期挿入操作により前記コネクタプラグを挿入させていくと共に、該挿入が前記中間挿入位置まで進んだところで該挿入を停止させるための、初期挿入機構としても機能し、
前記初期離脱機構は、前記コネクタプラグの前記コネクタソケットへの挿入時には前記初期離脱操作とは逆順の操作のうち少なくとも一部を含む所定の継続挿入操作を行うことにより前記中間挿入位置からの挿入を継続させるための、継続挿入機構としても機能し、
挿入時においては、前記初期挿入操作により前記中間挿入位置まで挿入された段階では前記各コンタクトはまだ導通せず、前記継続挿入操作による挿入の過程で該各コンタクトが導通し、離脱時においては、前記初期離脱操作により前記中間挿入位置まで離脱が進む過程で該各コンタクトの導通が解除されるよう構成されている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタであって、
前記コネクタプラグは、
前記各機構を構成する部材の1つであって、前記プラグ外筒部においてその径方向に突出するように設けられ、前記軸心方向に所定の長さを有する突起部を備え、
前記コネクタソケットは、
少なくとも前記初期挿入機構及び前記継続離脱機構を構成する部材の1つであって、前記ソケット外筒部においてその開口端から前記軸心方向へ延伸するように設けられ、前記初期挿入操作時及び前記継続離脱操作時における、前記コネクタソケットに対する前記コネクタプラグの外周方向の相対位置を規定すると共に、該初期挿入操作時及び該継続離脱操作時に前記突起部を前記軸心方向へ案内させつつ前記コネクタプラグを該軸心方向へ移動させるための第1のガイド溝と、
少なくとも前記継続挿入機構及び前記初期離脱機構を構成する部材の1つであって、前記ソケット外筒部において前記軸心方向へ延伸するように設けられ、前記継続挿入操作時及び前記初期離脱操作時における、前記コネクタソケットに対する前記コネクタプラグの外周方向の相対位置を、前記初期挿入操作時及び前記継続離脱操作時とは異なる位置に規定すると共に、該継続挿入操作時及び該初期離脱操作時に前記突起部を前記軸心方向へ案内させつつ前記コネクタプラグを該軸心方向へ移動させるための第2のガイド溝と、
前記各機構を構成し、前記ソケット外筒部において前記軸心方向における前記第1のガイド溝と前記第2のガイド溝の間に形成された、前記コネクタプラグが前記中間挿入位置に位置しているときに前記突起部が存在する空間であって、該中間挿入位置において前記コネクタプラグをその軸心を中心に回転可能にすると共に、該回転により、前記突起部を少なくとも前記第1のガイド溝に対応した位置から前記第2のガイド溝に対応した位置の間で自在に移動させることが可能に構成された、突起部回転移動可能空間と、
を備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
請求項4に記載のコネクタであって、
前記コネクタプラグは、前記各機構を構成し、軸心を中心に回転自在に設けられた円筒状の部材であって、その内周面に、前記コネクタソケットの外周面に形成されたネジ受け部と螺合されるネジ部が形成されたプラグ側螺合部材を備え、
前記コネクタソケットは、前記各機構を構成し、外周面に形成された前記ネジ受け部を備え、
前記プラグ側螺合部材及び前記ネジ受け部は、
挿入時においては、前記初期挿入操作により前記コネクタプラグが前記中間挿入位置まで挿入されていく過程で前記ネジ部の先端側が前記ネジ受け部の先端側に当接することにより、該挿入が前記中間挿入位置まで進んだところで停止され、該中間挿入位置から前記継続挿入操作として前記プラグ側螺合部材を回転させて前記ネジ部を前記ネジ受け部に螺合させていくことにより前記挿入が継続され、離脱時においては、前記初期離脱操作として前記プラグ側螺合部材を前記継続挿入操作時とは逆方向に回転させることにより前記中間挿入位置まで離脱されて該中間挿入位置にて前記ネジ部と前記ネジ受け部との螺合が解除されるように、構成されている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記コネクタプラグは、前記プラグ外筒部においてその径方向に突出するように設けられ、前記軸心方向に所定の長さを有する突起部を備え、
前記コネクタソケットは、前記ソケット外筒部においてその開口端から前記軸心方向へ延伸するように設けられ、前記各挿入操作時及び前記各離脱操作時における前記コネクタソケットに対する前記コネクタプラグの外周方向の相対位置を規定すると共に、該各挿入操作時及び該各離脱操作時に前記突起部を前記軸心方向へ案内させつつ前記コネクタプラグを該軸心方向へ移動させるためのガイド溝を備えている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項8】
極性の異なる複数の電力供給線を導通・遮断するために各極性の電力供給線毎に用いられる複数のコネクタからなるコネクタセットであって、
前記複数のコネクタは、いずれも、請求項5又は請求項7に記載のコネクタであって、
該各コネクタが有する前記突起部と前記ガイド溝は、互いに極性の異なる前記コネクタプラグと前記コネクタソケットとの挿入が阻止されるよう、前記極性毎にそれぞれ異なるパターンにて形成されている
ことを特徴とするコネクタセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−3984(P2012−3984A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138452(P2010−138452)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】