説明

コネクタ及びチューブとコネクタとの溶接構造

【課題】簡単な構造で、コネクタのチューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面との間の摩擦によりバリがチューブ内に発生することを抑制する。
【解決手段】コネクタ2に、樹脂製の燃料チューブが挿入されてスピン溶接される円環状のチューブ挿入溝部20cが形成されたチューブ挿入部20を設ける。このチューブ挿入溝部20cの外周径は開口側から奥側に行くに従って次第に小さくなる一方、内周径は略一定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製のコネクタ及び樹脂製のチューブを樹脂製のコネクタに摩擦溶接したチューブとコネクタとの溶接構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製のチューブを樹脂製のコネクタに摩擦溶接(例えばスピン溶接)したチューブとコネクタとの溶接構造が従来技術として知られている。この溶接構造のコネクタには、チューブが挿入されて摩擦溶接される環状のチューブ挿入溝部が形成されたチューブ挿入部を備えているものがある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1のものでは、チューブ挿入溝部の外周径は開口側から奥側に行くに従って次第に小さくなる一方、内周径は開口側から奥側に行くに従って次第に大きくなる。このことにより、チューブ挿入溝部にチューブを摩擦溶接する際、チューブ挿入溝部の外周面とチューブの外周面とが接触するとともに、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面とが接触し、その接触面が摩擦熱で溶融する。これにより、チューブ挿入溝部の外周面とチューブの外周面とが溶接されるとともに、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面とが溶接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3547764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のものでは、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面との間の摩擦によりバリが発生する。このバリはチューブ内にあって取り除くことができない。このため、特許文献1のものでは、チューブ挿入溝部の内周面にバリ収容部が形成されており、このバリ収容部にそのバリが収容されるようになっている。
【0005】
このように特許文献1のものでは、チューブ挿入溝部の内周面にバリ収容部を形成しなければならないため、その構造が複雑になるという課題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、簡単な構造で、コネクタのチューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面との間の摩擦によりバリがチューブ内に発生することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、樹脂製のコネクタであって、樹脂製のチューブが挿入されて摩擦溶接される環状のチューブ挿入溝部が形成されたチューブ挿入部を備えており、上記チューブ挿入溝部の外周径は開口側から奥側に行くに従って次第に小さくなる一方、内周径は略一定であることを特徴とするものである。
【0008】
これによれば、チューブ挿入溝部の内周径は略一定であるので、チューブ挿入溝部にチューブを摩擦溶接する際、その内周径が開口側から奥側に行くに従って次第に大きくなる場合と比較して、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面とが接触することを抑制することができる。このため、簡単な構造で、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面との間の摩擦によりバリがチューブ内に発生することを抑制することができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記チューブ挿入溝部の外周面には、該チューブ挿入溝部に上記チューブを摩擦溶接する際に発生するバリが収容されるバリ収容溝部が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、チューブ挿入溝部の外周面には、このチューブ挿入溝部にチューブを摩擦溶接する際に発生するバリが収容されるバリ収容溝部が形成されているので、チューブ挿入溝部の外周面とチューブの外周面との間の摩擦により発生したバリをバリ収容溝部に収容することができる。このため、チューブ挿入溝部の外周面とチューブの外周面との間の摩擦により発生したバリが外側にはみ出して、見栄えが悪くなることを抑制することができる。
【0011】
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記チューブ挿入溝部の内周径は、上記チューブにおける該チューブ挿入部に挿入される部分の内径よりも小さいことを特徴とするものである。
【0012】
これによれば、チューブ挿入溝部の内周径は、チューブにおけるチューブ挿入部に挿入される部分の内径よりも小さいので、チューブ挿入溝部にチューブを摩擦溶接する際、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面とが接触することを抑制することができる。このため、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面との間の摩擦によりバリがチューブ内に発生することをより一層抑制することができる。
【0013】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記チューブは、内層と、該内層の外側に積層され、該内層と異なる樹脂からなる外層とからなり、上記チューブ挿入部は、上記チューブの外層と同じ樹脂からなることを特徴とするものである。
【0014】
これによれば、チューブ挿入部は、チューブの外層と同じ樹脂からなるので、チューブ挿入溝部の外周面とチューブの外周面とを確実に溶接することができる。
【0015】
第5の発明は、樹脂製のチューブを樹脂製のコネクタに摩擦溶接したチューブとコネクタとの溶接構造であって、上記コネクタは、上記第1〜4のいずれか1つの発明のものであることを特徴とするものである。
【0016】
これにより、上述と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、チューブ挿入溝部の内周径は略一定であるので、チューブ挿入溝部にチューブを摩擦溶接する際、その内周径が開口側から奥側に行くに従って次第に大きくなる場合と比較して、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面とが接触することを抑制することができ、このため、簡単な構造で、チューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面との間の摩擦によりバリがチューブ内に発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料チューブとコネクタとの溶接構造を示す断面図である。
【図2】実施形態に係るコネクタを示す側面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】コネクタの変形例を示す図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る、樹脂製の燃料チューブ1を樹脂製のコネクタ2にスピン溶接(摩擦溶接の一種)した燃料チューブとコネクタとの溶接構造Wを示しており、この溶接構造Wは、例えば、自動車の燃料タンクの燃料をエンジンに供給する燃料供給構造に用いられる。
【0021】
燃料チューブ1は、内径及び外径がそれぞれ一端側から他端側まで略一定である円管であり、フッ素系樹脂からなる内層10と、この内層10の外側に積層され、内層10と異なる樹脂、具体的にはナイロン系樹脂(例えばナイロン12)からなる外層11との2層からなる。内層10は、外層11よりも層厚が薄い。
【0022】
上記コネクタ2は、図1〜図4に示すように、燃料パイプ(不図示)を脱着自在な略L字状の所謂クイックコネクタである。コネクタ2は、燃料チューブ1が挿入(嵌合)されてスピン溶接される中空円筒状のチューブ挿入部20と、このチューブ挿入部20の燃料チューブ1とは反対側の端部から直角に延び、燃料パイプが取り付けられる中空円筒状のパイプ取付部21とを備えている。チューブ挿入部20の中空部20aとパイプ取付部21の中空部21aとは連続している。
【0023】
チューブ挿入部20は、燃料チューブ1の外層11と同じナイロン系樹脂(例えばナイロン12)からなる。このことにより、後述するチューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1におけるチューブ挿入溝部20cに挿入される側の端部12(以下、挿入側端部という)の外周面とが確実に溶接される。チューブ挿入部20は、パイプ取付部21よりも長さが短い。チューブ挿入部20は、チューブ挿入部20の軸方向から見て円環状をなす内側壁部20bと、この内側壁部20bとの間に、燃料チューブ1が挿入されてスピン溶接されるチューブ挿入溝部20cを形成する、チューブ挿入部20の軸方向から見て円環状をなす外側壁部20dとを有している。内側壁部20bは、チューブ挿入部20の中空部20aの外壁を構成し、外側壁部20dよりも燃料チューブ1側に突出している。この突出部20eの外径は、先端側から基端側に行くに従って次第に直線的に大きくなる。内側壁部20bは、外側壁部20dよりも肉厚が薄い。このように内側壁部20bの肉厚が薄いのは、コネクタ2の流路径、即ち、内側壁部20bの内径を確保するためである。一方、内側壁部20bの肉厚を薄くすれば、コネクタ2の流路径を確保することができるため、外側壁部20dの肉厚は厚くすることが可能である。また、内側壁部20bは、チューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際に摩擦熱で軟化した燃料チューブ1を支える機能も果たす。
【0024】
チューブ挿入溝部20cは、チューブ挿入部20の燃料チューブ1側(図1及び図3では上側)に向かって開口し、チューブ挿入部20の軸方向から見て円環状をなす。チューブ挿入溝部20cの外周径(外側径)は、燃料チューブ1をスピン溶接する前の状態において、開口側から奥側、即ち、チューブ挿入部20の軸方向の燃料チューブ1側からその反対側に行くに従って次第に直線的に小さくなる。つまり、チューブ挿入溝部20cの外周面、即ち、外側壁部20dの内周面は、径が開口側から奥側に行くに従って次第に直線的に小さくなるテーパー状をなす。このことにより、チューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際、チューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面とが確かに接触する。
【0025】
また、チューブ挿入溝部20cの外周径(外径)の最大値は、燃料チューブ1をスピン溶接する前の状態において、燃料チューブ1の挿入側端部12の外径よりも大きい。チューブ挿入溝部20cの外周径の最小値は、燃料チューブ1をスピン溶接する前の状態において、燃料チューブ1の挿入側端部12の外径よりも小さい。
【0026】
一方、チューブ挿入溝部20cの内周径(内側径)は、燃料チューブ1をスピン溶接する前の状態において、略一定である。つまり、チューブ挿入溝部20cの内周面、即ち、内側壁部20bの外周面における突出部20eよりも下側部分は、径が開口側から奥側まで略一定である断面略直線状をなす。このことにより、チューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際、その内周径(内径)が開口側から奥側に行くに従って次第に大きくなる場合と比較して、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面とが接触することが抑制される。ここで、「チューブ挿入溝部20cの内周径が略一定である」ものには、チューブ挿入溝部20cの内周径が一定であるもの、即ち、チューブ挿入溝部20cの内周面が、径が開口側から奥側まで一定である断面直線状をなすものは勿論、チューブ挿入溝部20cの内周径が開口側から奥側に行くに従って次第に僅かに大きくなるもの、即ち、チューブ挿入溝部20cの内周面が、径が開口側から奥側に行くに従って次第に僅かに大きくなるテーパー状をなすものも含まれる。このテーパーは所謂抜きテーパーである。そして、そのテーパー状をなすものの、チューブ挿入溝部20cの内周面がチューブ挿入部20の軸方向に対してなすテーパー角度は、0〜3°であり、例えば、1°程度である。
【0027】
また、チューブ挿入溝部20cの内周径は、燃料チューブ1をスピン溶接する前の状態において、燃料チューブ1の挿入側端部12の内径よりも若干小さい。このことにより、チューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面とが接触することが抑制される。
【0028】
上記外側壁部20dの内周面、即ち、チューブ挿入溝部20cの外周面におけるチューブ挿入溝部20cの開口端側には、チューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際にチューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面との間の摩擦により発生した溶融バリBが収容される、チューブ挿入部20の軸方向から見て円環状をなすバリ収容溝部20fが形成されている。このバリ収容溝部20fは、チューブ挿入溝部20cと連続し、チューブ挿入部20の燃料チューブ1側に向かって開口する。このようにチューブ挿入溝部20cの外周面には、径が拡径する段差部が1つ形成されている。
【0029】
以上の如く構成されたチューブ挿入部20は、厚肉で太く短い形状をなす。このことにより、燃料チューブ1とコネクタ2との溶接構造Wが車両衝突時に破損することが抑制されるとともに、燃料チューブ1とコネクタ2との接合範囲が小さくなる。
【0030】
上記パイプ取付部21は、その詳細な説明は省略するが、ボディ21bと、第1Oリング21cと、スペーサー21dと、第2Oリング21eと、ブッシュ21fと、リテーナ21gと、チェッカ21hとを有する従来周知の構成をなす。ボディ21bは、チューブ挿入部20と一体に形成され、燃料チューブ1の外層11と同じナイロン系樹脂(例えばナイロン12)からなる。
【0031】
以下、燃料チューブ1とコネクタ2とをスピン溶接する手順について説明する。まず、燃料チューブ1の挿入側端部12をコネクタ2のチューブ挿入溝部20cに押し込む。
【0032】
そして、燃料チューブ1の挿入側端部12をコネクタ2のチューブ挿入溝部20cに押し込みながら、コネクタ2をそのチューブ挿入溝部20cの中心軸周りに回転させると、燃料チューブ1とコネクタ2との接触面が摩擦熱で溶融する。
【0033】
このとき、チューブ挿入溝部20cの外周径は、上述の如く、開口側から奥側に行くに従って次第に小さくなるため、チューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面とが確かに接触する。一方、チューブ挿入溝部20cの内周径は、上述の如く、略一定であり、燃料チューブ1の内径よりも小さいため、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面とが接触することを抑制することができる。これらのことから、燃料チューブ1とコネクタ2とは、主にチューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面とが接触し、その接触面が摩擦熱で溶融する。
【0034】
また、上述の如く、チューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面とが確かに接触するため、チューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面との間の摩擦により溶融バリBが発生してチューブ挿入溝部20cの開口側に出てくるが、その溶融バリBはバリ収容溝部20fに収容される。一方、上述の如く、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面とが接触することが抑制されるため、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面との間の摩擦により溶融バリが燃料チューブ1内に発生することを抑制することができる。
【0035】
次に、燃料チューブ1のコネクタ2への押し込み量が予め設定された所定の押し込み量になると、コネクタ2の回転を停止する。この所定の押し込み量は、燃料チューブ1の挿入側端部12がチューブ挿入溝部20の底面に接触しない、即ち、底付きしないように設定されている。これは以下の理由による。つまり、チューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面との間の摩擦により溶融バリBが発生してチューブ挿入溝部20cの奥側にも出てくるが、燃料チューブ1が底付きすると、その溶融バリBがチューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面との間に入り込む虞があるからである。
【0036】
そして、燃料チューブ1及びコネクタ2をその溶融した接触面が冷却固化するまで保持する。このとき、燃料チューブ1とコネクタ2とは、上述の如く、主にチューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面とが接触し、その接触面が摩擦熱で溶融するため、主にチューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面とが溶接される。
【0037】
以上のようにして、燃料チューブ1とコネクタ2とのスピン溶接が完了する。このスピンスピン溶接により、燃料チューブにコネクタを圧入する場合と比較して、燃料チューブ1とコネクタ2とを強固に結合することができる。
【0038】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、チューブ挿入溝部20cの内周径は略一定であるので、チューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際、その内周径が開口側から奥側に行くに従って次第に大きくなる場合と比較して、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面とが接触することを抑制することができる。このため、簡単な構造で、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面との間の摩擦により溶融バリが燃料チューブ1内に発生することを抑制することができる。
【0039】
また、チューブ挿入溝部20cの外周面には、このチューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際に発生する溶融バリBが収容されるバリ収容溝部20fが形成されているので、チューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面との間の摩擦により発生した溶融バリBをバリ収容溝部20fに収容することができる。このため、チューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面との間の摩擦により発生した溶融バリBが外側にはみ出して、見栄えが悪くなることを抑制することができる。
【0040】
さらに、チューブ挿入溝部20cの内周径は、燃料チューブ1の挿入側端部12の内径よりも小さいので、チューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面とが接触することを抑制することができる。このため、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面との間の摩擦により溶融バリが燃料チューブ1内に発生することをより一層抑制することができる。
【0041】
さらにまた、チューブ挿入部20は、燃料チューブ1の外層11と同じナイロン系樹脂からなるので、チューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の外周面とを確実に溶接することができる。
【0042】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、摩擦溶接としてスピン溶接を採用しているが、これに限らず、例えば、超音波溶接や振動溶接などを採用してもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、チューブ挿入溝部20cの外周径を開口側から奥側に行くに従って次第に直線的に小さくしているが、これに限らず、例えば、図5に示すように、曲線的に小さくしたり、図示は省略するが、段階的に小さくしたりしてもよい。
【0044】
さらに、上記実施形態では、チューブ挿入溝部20cの内周径を燃料チューブ1の内径よりも若干小さくしているが、燃料チューブ1の内径と同じ又はこれよりも若干大きくしてもよい。但し、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面との間の摩擦により溶融バリが燃料チューブ1内に発生することを抑制する観点からは、燃料チューブ1の内径よりも小さいことが望ましい。
【0045】
さらにまた、上記実施形態では、チューブ挿入部20は、燃料チューブ1の外層11と同じナイロン系樹脂からなるが、同じ樹脂である限り、他の樹脂からなってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、主にチューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面とを溶接しているが、これ以外も溶接してもよい。但し、チューブ挿入溝部20cの内周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の内周面との間の摩擦により溶融バリが燃料チューブ1内に発生することを抑制する観点からは、主にチューブ挿入溝部20cの外周面と燃料チューブ1の挿入側端部12の外周面とを溶接するのが望ましい。
【0047】
さらに、上記実施形態では、燃料チューブ1の外径及び内径をそれぞれ一端側から他端側まで略一定にしているが、これに限らず、挿入側端部12の外径及び内径をそれぞれ、その他の部分の外径及び内径よりも大きくしてもよい。
【0048】
さらにまた、上記実施形態では、チューブ挿入溝部20cに燃料チューブ1をスピン溶接する際、コネクタ2を回転させているが、燃料チューブ1を回転させてもよい。
【0049】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0050】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明に係るコネクタ及びチューブとコネクタとの溶接構造は、簡単な構造で、コネクタのチューブ挿入溝部の内周面とチューブの内周面との間の摩擦によりバリがチューブ内に発生することを抑制することが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 燃料チューブ
10 内層
11 外層
12 挿入側端部
2 コネクタ
20 チューブ挿入部
20c チューブ挿入溝部
20f バリ収容溝部
B 溶融バリ
W 燃料チューブとコネクタとの溶接構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のコネクタであって、
樹脂製のチューブが挿入されて摩擦溶接される環状のチューブ挿入溝部が形成されたチューブ挿入部を備えており、
上記チューブ挿入溝部の外周径は開口側から奥側に行くに従って次第に小さくなる一方、内周径は略一定であることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、
上記チューブ挿入溝部の外周面には、該チューブ挿入溝部に上記チューブを摩擦溶接する際に発生するバリが収容されるバリ収容溝部が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコネクタにおいて、
上記チューブ挿入溝部の内周径は、上記チューブにおける該チューブ挿入部に挿入される部分の内径よりも小さいことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のコネクタにおいて、
上記チューブは、内層と、該内層の外側に積層され、該内層と異なる樹脂からなる外層とからなり、
上記チューブ挿入部は、上記チューブの外層と同じ樹脂からなることを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
樹脂製のチューブを樹脂製のコネクタに摩擦溶接したチューブとコネクタとの溶接構造であって、
上記コネクタは、請求項1〜4のいずれか1つに記載のものであることを特徴とするチューブとコネクタとの溶接構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−67867(P2012−67867A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214234(P2010−214234)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】