説明

コネクタ装置及びディスク装置

【課題】小型を維持したまま、従来の作業を変えることなく、コネクタとしての信頼性を確保できるコネクタ装置を提供する。
【解決手段】ハウジング59と、一端がハウジング59に回動可能に支持され、ステッピングモータ用FPC56を所定位置に保持すべく回動されてロック状態となる回動カバー60と、を有するFPC/FFC用コネクタ55と、FPC/FFC用コネクタ55が取り付けられるスピンドルモータ基板54(第一部材)と、スピンドルモータ基板54においてFPC/FFC用コネクタ55が設けられた箇所に対向する位置に設けられたスペーサ33(第二部材)と、を有するコネクタ装置19において、スペーサ33におけるFPC/FFC用コネクタ55が対向する位置に、回動カバー60のロック状態を保持するための、保持部材31を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを備えるコネクタ装置、及び、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FPC(フレキシブルプリント回路基板)又はFFC(フレキシブルフラットケーブル)を接続可能なFPC/FFC用コネクタにおいて、コネクタのハウジングに、一端が回動自在に支持された回動カバーを設け、ハウジングと回動カバーとを係合させることにより回動カバーをロック状態とするものが知られている。
この種のコネクタに、FPC又はFFC等を接続する際は、ハウジングと回動カバーとの係合を解除して回動カバーをアンロック状態とし、ハウジングにFPC又はFFCを挿入し、コネクタとFPC又はFFCとを電気的に接続した後、回動カバーをロック状態にしてハウジングと回動カバーとでFPC又はFFCを挟持して接続する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−17167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のFPC/FFC用コネクタは、小型化の要請のため、コネクタに、回動カバーとハウジングとが強い係合力で係合可能なロック機構を設けるには限界がある。このため、FPC又はFFCがぶれたり、引っ張られたりする等して、FPC/FFC用コネクタの回動カバーに、回動カバーをアンロック状態へと変位させるような強い外力が加わった場合、その外力によって回動カバーが回動し、アンロック状態となってしまう可能性があり、コネクタとしての信頼性の向上に課題があった。
この課題を解決するために、コネクタにおいて、FPC又はFFCを接続した後、回動カバーとハウジングとを接着剤にて固着したり、また回動カバーを覆うようにテープを貼り付けたりした場合、これらの作業が必要になる分、作業が煩雑化する、という問題があった。同様に、上記課題を解決するため、FPC/FFC用コネクタに、強い係合力を有するロック機構を設けた場合、FPC/FFC用コネクタが大型化してしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、小型、かつ、簡単な作業で、コネクタとしての信頼性を確保できるコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ハウジングと、一端が前記ハウジングに回動可能に支持され、FPC又はFFCを所定位置に保持すべく回動されてロック状態となる回動カバーと、を有するコネクタと、前記コネクタが取り付けられる第一部材と、前記第一部材において前記コネクタが設けられた箇所に対向する位置に、前記第一部材に対して相対的に固定された状態で設けられた第二部材と、を有するコネクタ装置において、前記第二部材における前記コネクタが対向する位置に、その一部が前記回動カバーに当接されて前記回動カバーの前記ロック状態を保持する保持部材を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、保持部材が回動カバーのロック状態を保持するため、コネクタに接続されたFPC又はFFCがぶれたり、引っ張られたりする等して、回動カバーに、回動カバーをアンロック状態へと変位させるような外力が加わっても、回動カバーが回動してアンロック状態となることがない。このため、コネクタに強力な係合が可能なロック機構を設けるため、コネクタを大型化したり、また、コネクタとFPC又はFFCを接続した後、ハウジングと回動カバーを接着剤やテープにて接着したりすることなくコネクタとしての信頼性を向上させることができる。
【0006】
ここで、上記発明のコネクタ装置において、前記第一部材は、回路基板であってもよい。
また、上記発明のコネクタ装置において、前記第二部材は、樹脂成形品であり、前記保持部材は、前記第二部材と一体的に、前記コネクタ側へ向けて突設されていてもよい。
この構成によれば、第二部材と保持部材とを樹脂成形によって容易に成形することができる。
【0007】
また、上記発明のコネクタ装置において、前記第二部材には、前記保持部材が前記回動カバーの前記ロック状態を保持している様子を視認可能な窓部が形成されていてもよい。
この構成によれば、コネクタ装置を組立後、窓部を介して保持部材が回動カバーのロック状態を保持しているか否か確認でき、作業の効率化及びコネクタ装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0008】
また、上記発明のコネクタ装置において、前記第二部材に、前記FPC又はFFCの動きを規制するための規制部を設けてもよく、また、この規制部は、一対の側壁と、前記一対の側壁の間に形成された下壁と、を有し、前記FPC又はFFCは、前記一対の側壁及び下壁に囲まれた空間を通って延出し、前記FPC又はFFCの状態が変位すると、前記FPC又はFFCは、前記一対の側壁又は下壁に当接し、その変位を規制する構成であってもよい。
この構成によれば、規制部によってFPC又はFFCの動きが規制されることにより、FPC又はFFCのブレ等が軽減され、回動カバーに対して、回動カバーをアンロック状態へと変位させるような外力が加わることが軽減される。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、シャーシベースと、前記シャーシベースに設けられたスピンドルモータと、前記スピンドルモータを制御するためのスピンドルモータ基板と、前記スピンドルモータ基板に設けられ、ハウジングと、一端が前記ハウジングに回動可能に支持され、FPC又はFFCを所定の位置に保持すべく回動されてロック状態となる回動カバーと、を有するコネクタと、前記シャーシベースと前記スピンドルモータ基板との間に介在するスペーサと、を有するディスク装置において、前記スペーサにおける前記コネクタが対向する位置に、その一部が前記回動カバーに当接されて前記回動カバーの前記ロック状態を保持する保持部材を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、保持部材が回動カバーのロック状態を保持するため、コネクタに接続されたFPC又はFFCがぶれたり、引っ張られたりする等して、回動カバーに、回動カバーをアンロック状態へと変位させるような外力が加わっても、回動カバーが回動してアンロック状態となることがない。このため、コネクタに強力な係合が可能なロック機構を設けるため、コネクタを大型化したり、また、コネクタとFPC又はFFCを接続した後、ハウジングと回動カバーを接着剤やテープにて接着したり、することなくコネクタとしての信頼性を向上させることができる。
【0010】
ここで、上記発明のディスク装置において、前記スペーサは、樹脂成形品であり、前記保持部材は、前記スペーサと一体的に、前記コネクタ側へ向けて突設されていてもよい。
この構成によれば、スペーサと保持部材とを樹脂成形によって容易に成形することができる。
【0011】
また、上記発明のディスク装置において、前記スペーサには、前記保持部材が前記回動カバーの前記ロック状態を保持している様子を視認可能なスペーサ側窓部が形成されていてもよい。
この構成によれば、ディスク装置を組立後、スペーサ側窓部を介して保持部材が回動カバーのロック状態を保持しているか否か確認でき、作業の効率化及びディスク装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0012】
また、上記発明のディスク装置において、前記シャーシベースには、前記保持部材が前記回動カバーの前記ロック状態を保持している様子を視認可能なシャーシベース側窓部が形成されていてもよい。
この構成によれば、ディスク装置を組立後、シャーシベース側窓部を介して保持部材が回動カバーのロック状態を保持しているか否か確認でき、作業の効率化及びディスク装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0013】
また、上記発明のディスク装置において、前記スペーサに、前記FPC又はFFCの動きを規制するための規制部を設けてもよく、また、この規制部は、一対の側壁と、前記一対の側壁の間に形成された下壁と、を有し、前記FPC又はFFCは、前記一対の側壁及び下壁に囲まれた空間を通って延出し、前記FPC又はFFCの状態が変位すると、前記FPC又はFFCは、前記一対の側壁又は下壁に当接し、その変位が規制される構成となっていてもよい。
この構成によれば、規制部によってFPC又はFFCの動きが規制されることにより、FPC又はFFCのブレ等が軽減され、回動カバーに対し、回動カバーをアンロック状態へと変位させるような外力が加わることが軽減される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保持部材が回動カバーのロック状態を保持するため、コネクタに接続されたFPC又はFFCがぶれたり、引っ張られたりする等して、回動カバーに、回動カバーをアンロック状態へと変位させるような外力が加わっても、回動カバーがアンロック状態とならない。このため、強力なロックが可能なロック機構を設けるためコネクタを大型化したり、また、コネクタとFPC又はFFCを接続した後にハウジングと回動カバーを接着剤やテープ等で接着したりすることなくコネクタとしての信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るディスク装置1を内蔵した車載オーディオ装置2の正面図である。この車載オーディオ装置2は、車両に搭載され、ユーザの操作に応じて、車両に搭載されたスピーカ(不図示)から、CD(コンパクトディスク)やラジオ等の音声を出力するものであり、略箱形の本体に、ディスク装置1やチューナー等を備えている。
この図に示すように、車載オーディオ装置2の正面略中央に、液晶ディスプレイ及びELディスプレイ等によって構成され、CDの動作状態、再生トラック番号、曲名、受信ラジオチャンネル等の各種表示を行う表示部3が形成されている。
【0016】
この表示部3の上方には、CD挿入口4が設けられ、このCD挿入口4を介して、CDが本実施形態に係るディスク装置1に挿入される。このCD挿入口4は、隣に設けられたCDイジェクトボタン5の操作によって開閉自在に構成されている。
表示部3の右側には、操作キー群6が設けられている。この操作キー群6が有する複数の操作キーのそれぞれには、プリセット機能が割り当てられており、ユーザは、これらの操作キーを操作することによりそれぞれのプリセット機能を実現する。
表示部3の下方には、CD/ラジオ操作キー群7が設けられており、このCD/ラジオ操作キー群7の操作キーを操作することによって、CDの再生、停止、一時停止、早送り、巻き戻し、及び、ラジオの選局等のCD及びラジオに対する各種指示が行われ、この各種指示に基づいて本実施形態に係るディスク装置1は、作動する。
表示部3の左斜め下には、表示部3に表示されている内容の切り替えを行うディスプレイ切替ボタン8が設けられており、このディスプレイ切替ボタン8の左には、表示部3に画面の明暗、CDの音質等の各種調整を行うアジャスト画面を表示させるためのアジャストスイッチ9が設けられており、このアジャストスイッチ9の上方には、車載オーディオ装置2の動作モードを切り替えるための動作モードスイッチ10が設けられている。
表示部3の左側には、ボリュームスイッチ11が設けられている。ボリュームスイッチ11は、ボリュームスイッチ11の中央に形成され、押圧操作によってスピーカから出力されている音声をミュート状態にしたり、ミュート状態の解除を行ったりするミュートスイッチ12と、このミュートスイッチ12の外側に形成され、回転操作によりスピーカから出力されている音声の音量調整を行う音量調整スイッチ13と、を有している。
【0017】
図2は、車載オーディオ装置2に内蔵されたディスク装置1を下方から見た斜視図である。なお、図2の説明において、上下方向は、図中に矢印で示す上下方向を基準とするものとする。
図2に示すように、ディスク装置1は、板金製のシャーシベース20を備え、このシャーシベース20の略中央には、制御回路(不図示)の制御の下、CD挿入口4を介して挿入されたCDを回転するためのスピンドルモータ装置21が設けられている。
このスピンドルモータ装置21の近傍には、ステッピングモータ22が設けられ、このステッピングモータ22には、リードスクリュー23の一端が回転自在に支持され、このリードスクリュー23と所定の距離離れた箇所に、リードスクリュー23と平行に第一案内シャフト24が設けられ、この第一案内シャフト24と所定の距離離れた箇所に、第一案内シャフト24と平行に第二案内シャフト25が設けられており、これら第一案内シャフト24及び第二案内シャフト25には、ピックアップ26が支持されている。
【0018】
このピックアップ26は、車載オーディオ装置2に挿入されたCDに記録された情報を読み取るものであり、レーザ発光ダイオード(不図示)や、このレーザ発光ダイオードから発行されたレーザ光をCDの記録面に集光する対物レンズ(不図示)、CDから反射した反射光を受光する光検出器(不図示)等を有しており、ピックアップ用FPC27を介して、制御回路と各種信号の授受を行う。ピックアップ26は、図2に示すように、上記第一,第二の案内シャフト24,25に掛け渡された状態でこれらシャフトに支持されており、制御回路の制御に基づいてステッピングモータ22が駆動すると、ステッピングモータ22の駆動に応じてリードスクリュー23が回動し、このリードスクリュー23の回動に応じ、第一,第二の案内シャフト24,25の軸方向に沿って所定の距離だけ摺動するよう構成されている。
【0019】
次いで、スピンドルモータ装置21の取付構造及び本実施形態に係るコネクタ装置19について説明する。
図3は、ディスク装置1において、スピンドルモータ装置21を分解した斜視図である。この図に示すように、コネクタ装置19は、シャーシベース20と、スピンドルモータ装置21と、スペーサ33(第二部材)と、を有しており、シャーシベース20におけるスピンドルモータ装置21が取り付けられる箇所(以下、スピンドルモータ取付部32という。)に、上記スピンドルモータ装置21が、上記スペーサ33を介して取り付けられている。
【0020】
上記スピンドルモータ取付部32には、図3に示すように、円状に切り欠かれた取付部切り欠き34が形成され、この取付部切り欠き34の周りには、3つの雌ねじ部35a,35b,35cが形成され、これら3つの雌ねじ部のうち、雌ねじ部35aと雌ねじ部35bとの間には、長方形に切り欠かれたシャーシベース側窓部30が形成されている。
【0021】
また、上記スペーサ33は、図3に示すように、正面視略L字状の形状をした樹脂製の部材であり、両端部及び湾曲部に3つのボス36a,36b,36cが形成され、ボス36a及びボス36bが、板状の連結部37aによって連結され、ボス36b及びボス36cが、板状の連結部37bによって連結されており、ボス36aには、雌ねじ部35aに対応する上下に貫通したスペーサ側貫通孔38aが、ボス36bには、雌ねじ部35bに対応する上下に貫通したスペーサ側貫通孔38bが、ボス36cには、雌ねじ部35cに対応する上下に貫通したスペーサ側貫通孔38cがそれぞれ形成されている。
連結部37aにおいて、ボス36bの近傍には、後述する規制部40が設けられており、この規制部40に隣接して、保持部材31が形成されている。この保持部材31は、樹脂製のスペーサ33をコ字状に切り欠いた状態で、スペーサ33と一体となって形成されており(図8参照)、この切り欠いた箇所に形成されたスペーサ側窓部41と、一端がスペーサ33に支持された付勢部42とを有している。この付勢部42は、下方へ向かって突設されている(図5参照)。
【0022】
図4は、スピンドルモータ装置21を裏面から見た図である。
上記スピンドルモータ装置21は、図4に示すように、板金製のスピンドルモータベース50と、このスピンドルモータベース50に回転自在に支持されたスピンドルモータ51と、を有しており、上記スピンドルモータベース50の両端部及び湾曲部には、スペーサ側貫通孔38aに対応するモータ側貫通孔52a、スペーサ側貫通孔38bに対応するモータ側貫通孔52b、及び、スペーサ側貫通孔38cに対応するモータ側貫通孔52cが形成されており、これら貫通孔に囲まれた箇所に、スピンドル/ステッピングモータ用FPC53と一体に形成されたスピンドルモータ基板54(第一部材)が固着されている。上記スピンドル/ステッピングモータ用FPC53は、制御基板(不図示)と連結されており、この制御基板は、スピンドル/ステッピングモータ用FPC53及びスピンドルモータ基板54を介して、スピンドルモータ51に駆動信号を送信し、スピンドルモータ51の作動を制御する構成となっている。
【0023】
スピンドルモータ基板54において、スピンドルモータ装置21取り付け時に上記保持部材31と対向する箇所(図3参照)には、図4に示すように、FPC/FFC用コネクタ55が設けられており、このFPC/FFC用コネクタ55には、スピンドルモータ基板54にプリントされた配線のうち、ステッピングモータ22の駆動信号を出力するための配線が接続されている。また、FPC/FFC用コネクタ55には、ステッピングモータ用FPC56が接続され、このステッピングモータ用FPC56には、ステッピングモータ22が接続されており、制御回路(不図示)は、スピンドル/ステッピングモータ用FPC53、スピンドルモータ基板54、及び、ステッピングモータ用FPC56を介して、ステッピングモータ22に駆動信号を出力する。
【0024】
上記FPC/FFC用コネクタ55は、図4に示すように、スピンドルモータ基板54に固着されたハウジング59と、一端がこのハウジング59に回動自在に支持され、ステッピングモータ用FPC56を保持すべく回動されてロック状態となる回動カバー60と、を有している。上記ハウジング59には、弾性力を有する係止片(不図示)が設けられており、回動カバー60をロック状態とする際は、上記係止片に回動カバー60を係合させることによって、ハウジング59と回動カバー60とを係合固定し、回動カバー60をロック状態にする。
このFPC/FFC用コネクタ55にステッピングモータ用FPC56を接続する際は、一旦、回動カバー60をアンロック状態(図5において二点鎖線で示す状態)にし、FPC/FFC用コネクタ55にステッピングモータ用FPC56を挿入した後、回動カバー60をロック状態(図5において破線で示す状態)とし、ハウジング59と、回動カバー60とによってステッピングモータ用FPC56を挟持して接続する。
【0025】
上記スピンドルモータ装置21は、シャーシベース20に以下のようにして取り付けられる。
すなわち、図3に示すように、シャーシベース20の雌ねじ部35a,35b,35cと、スペーサ33のスペーサ側貫通孔38a,38b,38cと、スピンドルモータベース50のモータ側貫通孔52a,52b,52cと、を対向させた状態で、ビス61a,61b,61cをモータ側貫通孔52a,52b,52c及びスペーサ側貫通孔38a,38b,38cを介して、雌ねじ部35a,35b,35cに螺合させることにより、スピンドルモータ装置21をシャーシベース20にビス止めによって固定する。その際、図6に示すように、ボス36a,36b,36cが、スピンドルモータベース50と、シャーシベース20との間に介在し(図6では、ボス36aのみ示す)、スピンドルモータベース50と、スペーサ33の連結部37aとが間隔L1だけ離れた状態で保持される。
ここで、上記間隔L1は、FPC/FFC用コネクタ55の高さH1によって定まり、FPC/FFC用コネクタ55の高さH1が増大すれば、間隔L1も増大する。すなわち、FPC/FFC用コネクタ55に強い係合力を有するロック機構を設けるべくFPC/FFC用コネクタ55を大型化し、これにより、高さH1が増大した場合、間隔L1も増大し、ひいては、ディスク装置1が大型化してしまう。このため、ディスク装置1の小型化を図る場合、FPC/FFC用コネクタ55に強い係合力を有するロック機構を設けることができないが、本実施形態のコネクタ装置19は、詳細は後述するが、FPC/FFC用コネクタ55FPC/FFC用コネクタ55の小型を維持し、ディスク装置1を大型化することなく、FPC/FFC用コネクタのロック状態を維持できる構成となっている。
【0026】
図5は、スピンドルモータ装置21が取り付けられる前の状態を図3の矢印Y1方向から見た図であり、図6は、スピンドルモータ装置21が取り付けられた後の状態を図2の矢印Y2方向から見た図である。
スピンドルモータ装置21の取り付けの際、ビス61a,61b,61cの螺合に応じて、スピンドルモータ装置21の位置がシャーシベース20方向へ変位すると、FPC/FFC用コネクタ55と、このFPC/FFC用コネクタ55と対向する位置に設けられた保持部材31とが近接し(図5)、所定の地点で保持部材31の付勢部42がFPC/FFC用コネクタ55の回動カバー60に当接し、スピンドルモータ装置21が完全にビス止めされると、図6に示すように、保持部材31の付勢部42が、回動カバー60を、下方へ付勢した状態で保持される。本実施形態では、このように、スピンドルモータ装置21がシャーシベース20に取り付けられた後は、保持部材31が回動カバー60を下方向、つまり、回動カバー60がロック状態となる方向へ付勢し、回動カバー60のロック状態を保持するため、回動カバー60がアンロック状態となるのが防止される。
【0027】
図7は、図6におけるVII−VII断面図である。
スピンドルモータ装置21がシャーシベース20に取り付けられたときに、FPC/FFC用コネクタ55に接続されたステッピングモータ用FPC56は、図6に示すように、スペーサ33に設けられた規制部40を通って延出する。この規制部40は、ステッピングモータ用FPC56の動きを規制するための部材であり、図7に示すように、一対の側壁62,62と、これら側壁62,62の間に形成された下壁63とを有し、ステッピングモータ用FPC56は、これら側壁62,62及び下壁63によって囲まれた空間を通って延出しており、横方向への動きが側壁62,62によって規制され、下方向への動きが下壁63によって規制されている。このように、本実施形態では、ステッピングモータ用FPC56の動きが規制部40によって規制されるため、ステッピングモータ用FPC56のブレが防止でき、ステッピングモータ用FPC56とFPC/FFC用コネクタ55との接続部にかかる外力が軽減できる。
【0028】
図8は、スピンドルモータ装置21が取り付けられた際に、シャーシベース側窓部30から保持部材31を見た図である。
本実施形態では、上述したスピンドルモータ装置21の取り付け後、作業者は、上記保持部材31がFPC/FFC用コネクタ55の回動カバー60のロック状態を保持しているか否かを確認することができる。すなわち、シャーシベース20には、上述したように、シャーシベース側窓部30が形成され、スペーサ33においてこのシャーシベース側窓部30と対向する箇所には、コ字状に切りかかれたスペーサ側窓部41が形成されているため、作業者は、スピンドルモータ装置21取り付け後、図8に示すように、シャーシベース20の下方から、シャーシベース側窓部30及びスペーサ側窓部41を介して、保持部材31の付勢部42が回動カバー60を付勢している様子を視認でき、これにより、保持部材31が回動カバー60のロック状態を保持しているか否かを確認することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、スペーサ33において、FPC/FFC用コネクタ55と対向する箇所に、保持部材31が設けられ、スピンドルモータ装置21がシャーシベース20に取り付けられた際は、この保持部材31の付勢部42がFPC/FFC用コネクタ55の回動カバー60を、ロック状態となる方向へ付勢し、回動カバー60をロック状態で保持する。このため、FPC/FFC用コネクタ55に接続されたステッピングモータ用FPC56がぶれたり、引っ張られたりする等して、回動カバー60に、回動カバー60をアンロック状態へと変位させるような外力が加わっても、回動カバー60がアンロック状態とならない。このため、強力なロックが可能なロック機構を設けるためFPC/FFC用コネクタ55を大型化したり、また、FPC/FFC用コネクタ55とステッピングモータ用FPC56を接続した後にハウジング59と回動カバー60を接着剤やテープ等で接着したりすることなくコネクタとしての信頼性を向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、保持部材31は、樹脂製のスペーサ33と一体的に形成されているため、樹脂成形によって容易に成形することができる。
また、本実施形態によれば、シャーシベース20には、シャーシベース側窓部30が形成され、スペーサ33においてこのシャーシベース側窓部30と対向する箇所には、コ字状に切り欠かれたスペーサ側窓部41が形成されている。このため、作業者は、スピンドルモータ装置21取り付け後、図8に示すように、シャーシベース20の下方から、シャーシベース側窓部30及びスペーサ側窓部41を介して、保持部材31の付勢部42が回動カバー60を付勢している様子を視認できる。従って、作業者は、保持部材31が回動カバー60をロック状態で保持しているか否かを確実に確認することができ、作業の効率化及びコネクタとしての信頼性の向上を図ることができる。
【0031】
また、本実施の形態によれば、FPC/FFC用コネクタ55に接続されたステッピングモータ用FPC56は、スペーサ33に設けられた規制部40を通って延出している。この規制部40は、一対の側壁62,62と、これら側壁の間に形成された下壁63とを有し、ステッピングモータ用FPC56は、上記側壁62,62及び下壁63によって囲まれた空間を通って延出しており、横方向への動きが側壁62,62によって規制され、下方向への動きが下壁63によって規制されている。このように、本実施形態では、ステッピングモータ用FPC56の動きが規制部40によって規制されることにより、ステッピングモータ用FPC56のブレ等が軽減されるため、回動カバー60に対して、回動カバー60をアンロック状態へと変位させるような外力が加わることが軽減される。
【0032】
また、本実施の形態に係るFPC/FFC用コネクタ55は、上述したように、保持部材31及び規制部40によって、回動カバー60がアンロック状態となりにくい。このため、車載オーディオ装置2が車両に搭載された後、車両運転中等の比較的振動が発生する状況において、ステッピングモータ用FPC56にぶれや揺れ等が生じ、このステッピングモータ用FPC56によって、回動カバー60に対し、回動カバー60をアンロック状態へと変位させるような外力が加わっても、回動カバー60がアンロック状態となり難く、コネクタとしての信頼性の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、ディスク装置1の製造工程において、FPC/FFC用コネクタ55にステッピングモータ用FPC56を接続した後、仮に、回動カバー60が回動カバー60がハウジング59に正常に係合していなかった場合でも、スピンドルモータ装置21取り付け時に、保持部材31の付勢部42が回動カバー60をロック状態となる方向へ付勢するため、確実に回動カバー60をロック状態とすることができる。
【0033】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、本実施形態では、コネクタ装置19を、ディスク装置1に適用した場合を例にして説明したが、コネクタ装置19は、ディスク装置1に限らず、回動カバー60を有するコネクタを備える装置に広く適用可能である。
また、ディスク装置1は、車載オーディオ装置2に内蔵されている実施例を示したが、CD,DVD,MD等のディスクメディアを限定するものではない。また、ディスク装置1が内蔵される機器は、車載オーディオ装置2に限らない。また、本実施形態では、FPC/FFC用コネクタ55に各種FPCを接続しているが、当然これは、FFCでもよい。
また、本実施形態では、スペーサ側窓部41は、コ字状に切り欠かれて形成されているが、スペーサ側窓部41の形状はこの形状に限らず、保持部材31が回動カバー60をロック状態で保持している様子を視認可能な形状に形成されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ディスク装置を内蔵した車載オーディオ装置の正面図である。
【図2】本実施形態に係るディスク装置の斜視図である。
【図3】本実施形態に係るディスク装置においてスピンドルモータ装置を分解した図である。
【図4】スピンドルモータ装置を下方から見た図である。
【図5】スピンドルモータ装置をシャーシベースに取り付ける前の状態を側面から見た図である。
【図6】スピンドルモータ装置をシャーシベースに取り付けた後の状態を側面から見た図である。
【図7】図6におけるVII−VII断面図である。
【図8】スピンドルモータ装置がシャーシベースに取り付けられた後、シャーシベース側窓部から付勢部材を見た図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ディスク装置
2 車載オーディオ装置
19 コネクタ装置
20 シャーシベース
21 スピンドルモータ装置
30 シャーシベース側窓部
31 保持部材
33 スペーサ(第二部材)
40 規制部
41 スペーサ側窓部
51 スピンドルモータ
54 スピンドルモータ基板(第一部材)
55 FPC/FFC用コネクタ(コネクタ)
59 ハウジング
60 回動カバー
62 側壁
63 下壁
56 ステッピングモータ用FPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、一端が前記ハウジングに回動可能に支持され、FPC又はFFCを所定位置に保持すべく回動されてロック状態となる回動カバーと、を有するコネクタと、
前記コネクタが取り付けられる第一部材と、
前記第一部材において前記コネクタが設けられた箇所に対向する位置に、前記第一部材に対して相対的に固定された状態で設けられた第二部材と、
を有するコネクタ装置において、
前記第二部材における前記コネクタが対向する位置に、その一部が前記回動カバーに当接されて前記回動カバーの前記ロック状態を保持する保持部材を設けた
ことを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記第一部材は、回路基板である
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第二部材は、樹脂成形品であり、
前記保持部材は、前記第二部材と一体的に、前記コネクタ側へ向けて突設されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第二部材には、前記保持部材が前記回動カバーの前記ロック状態を保持している様子を視認可能な窓部が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記第二部材に、前記FPC又はFFCの動きを規制するための規制部を設けた
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記規制部は、一対の側壁と、前記一対の側壁の間に形成された下壁と、を有し、
前記FPC又はFFCは、前記一対の側壁及び下壁に囲まれた空間を通って延出し、
前記FPC又はFFCの状態が変位すると、前記FPC又はFFCは、前記一対の側壁又は下壁に当接し、その変位が規制される
ことを特徴とする請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
シャーシベースと、
前記シャーシベースに設けられたスピンドルモータと、
前記スピンドルモータを制御するためのスピンドルモータ基板と、
前記スピンドルモータ基板に設けられ、ハウジングと、一端が前記ハウジングに回動可能に支持され、FPC又はFFCを所定の位置に保持すべく回動されてロック状態となる回動カバーと、を有するコネクタと、
前記シャーシベースと前記スピンドルモータ基板との間に介在するスペーサと、
を有するディスク装置において、
前記スペーサにおける前記コネクタが対向する位置に、その一部が前記回動カバーに当接されて前記回動カバーの前記ロック状態を保持する保持部材を設けた
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項8】
前記スペーサは、樹脂成形品であり、
前記保持部材は、前記スペーサと一体的に、前記コネクタ側へ向けて突設されている
ことを特徴とする請求項7に記載のディスク装置。
【請求項9】
前記スペーサには、前記保持部材が前記回動カバーの前記ロック状態を保持している様子を視認可能なスペーサ側窓部が形成されている
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のディスク装置。
【請求項10】
前記シャーシベースには、前記保持部材が前記回動カバーの前記ロック状態を保持している様子を視認可能なシャーシベース側窓部が形成されている
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項11】
前記スペーサに、前記FPC又はFFCの動きを規制するための規制部を設けた
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項12】
前記規制部は、一対の側壁と、前記一対の側壁の間に形成された下壁と、を有し、
前記FPC又はFFCは、前記一対の側壁及び下壁に囲まれた空間を通って延出し、
前記FPC又はFFCの状態が変位すると、前記FPC又はFFCは、前記一対の側壁又は下壁に当接し、その変位が規制される
ことを特徴とする請求項11に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−282463(P2008−282463A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124151(P2007−124151)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】