説明

コネクタ

【課題】複数の接続端子およびハウジングに複雑な加工をすることなく、複数の接続端子が容易に位置決めされるコネクタを提供する。
【解決手段】挿入口列14、15を形成したハウジング10と、一端を挿入口列14に挿入し、他端を回路基板の所定位置に接続する複数の接続端子からなる第1接続端子列20と、一端を挿入口列15に挿入し、他端を回路基板の所定位置と離れた位置に接続する複数の接続端子からなる第2接続端子列40と、第2接続端子列40をハウジング10に対して位置決めし、第2接続端子列40の接続端子同士の接触を防止する位置決め手段を備えるコネクタ1であって、この位置決め手段である位置決めプレート30は、ハウジング10とは別体に構成され、第1接続端子列20をハウジング10に装着した後にハウジング10に装着され、次に第2接続端子列40をハウジング10に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子の位置決めが可能なコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子製品の小型化・薄型化よって、その部品であるコネクタにおいても小型化・薄型化が求められている。これを実現するために、コネクタの複数の接続端子の間隔が狭くなり、これらコネクタの接続端子が接続される回路基板の接続位置の間隔も小さくなる傾向にある。これにともない、完成したコネクタにおいて、接続端子のコネクタに対する位置決め精度の向上が必要となる。
【0003】
接続端子のコネクタに対する位置決め精度向上のために、完成したコネクタの外観を検査し、接続端子の位置の修正を行うことで製品製造の工程数が増える。
【0004】
特許文献1に示すようなコネクタでは、複数の接続端子(基板用接続端子)と、これらの複数の接続端子を挿入するための複数の挿入口(角孔)を有する端子固定壁と、この端子固定壁と略直角をなす方向に突出する基板取付壁からなるハウジング(絶縁体)とを備えている。
【0005】
これら複数の接続端子は、端子固定壁に挿入されるコンタクト部と、このコンタクト部と略直角をなし、基板方向に延びる脚部とを有する。各脚部の所定位置には幅広部を形成するように加工されている。
【0006】
前述の基板取付壁には、この基板取付壁が突出する方向に形成されている端子ガイド溝が形成されている。端子ガイド溝の所定位置には、この端子ガイド溝の幅よりも大きい幅を有し、各脚部の幅広部を受け入れるための位置決め部が形成されている。
【0007】
複数の接続端子をハウジングに取り付ける際に、これらの接続端子の幅広部と基板取付壁の位置決め部とが係合することによって、接続端子をハウジングに対して位置決めする。
【0008】
また、特許文献1の図5には、ハウジングとは別体からなる位置決め手段が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開平6−104055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に示すようなコネクタでは、複数の接続端子およびハウジングに複雑な加工が必要であるという問題がある。
【0011】
また、特許文献1の図5に開示されているコネクタでは、ハウジングに複数の接続端子を挿入した後、ハウジングとは別体に構成されている位置決め手段をハウジングに装着する際に、位置決め手段の所定位置形成された複数の穴に複数の接続端子をそれぞれ挿入するという煩雑な工程が必要あるという問題もある。
【0012】
本発明は、これらの問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の接続端子およびハウジングに複雑な加工をすることなく、複数の接続端子の位置決めが可能であるとともに、ハウジングとは別体に構成されている位置決め手段によって、複数の接続端子が容易に位置決めされるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のコネクタは、少なくとも上下2列の複数の挿入口が形成されたハウジングと、一端が前記挿入口の下の列に挿入され、他端が回路基板の所定位置に接続される複数の接続端子からなる第1接続端子列と、一端が前記挿入口の上の列に挿入され、他端が前記回路基板の前記所定位置から離れた位置に接続される複数の接続端子からなる第2接続端子列と、前記第2接続端子列を前記ハウジングに対して位置決めするとともに、前記第2接続端子列の隣り合う接続端子の接触を防止する位置決め手段を備えるコネクタであって、
前記位置決め手段は、前記ハウジングとは別体に構成されており、前記第1接続端子列を前記ハウジングに装着した後に該ハウジングに装着され、次いで前記第2接続端子列を前記ハウジングに装着するようになっていることを特徴とするコネクタ。
【0014】
以上の構成を有するコネクタにおいて、ハウジングとは別体に構成された位置決め手段によって、従来例のようにハウジングおよび第2接続端子列に複雑な加工を必要とすることなく位置決めするとともに、第2接続端子列の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。また、第1接続端子列、位置決め手段、第2接続端子列の順でハウジングに装着することによって、従来例のように位置決め手段をハウジングに装着する際に煩雑な工程を必要とすることなく、第2接続端子列をハウジングに対して、容易に位置決めするとともに、第2接続端子列の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。これにより、第2接続端子の位置決め精度が向上し、外観検査および接続端子の位置の手直し修正を行うことなく、コネクタを正確に回路基板に実装することができる。
【0015】
また、本発明のコネクタでは、前記第1接続端子列の各接続端子は、前記挿入口に配置されるコンタクト部と、該コンタクト部の基端から略直角に曲げられ回路基板方向に延びる脚部とを有し、前記第2接続端子列の各接続端子は、前記挿入口に配置されるコンタクト部と、該コンタクト部の基端から略直角に曲げられ回路基板方向に延びる脚部とを有し、前記第2接続端子列の各接続端子の脚部は、前記第1接続端子列の各接続端子の脚部の後方に間隔をおいて位置しており、前記位置決め手段は、前記間隔に配置された位置決めプレートからなることが好ましい。
【0016】
これにより、デッドスペースとなっている第1接続端子列の脚部と第2接続端子列の脚部との間隔に位置決め手段を配置することによって、第2接続端子列の接続端子をハウジングに対して位置決めするとともに、第2接続端子列の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。
【0017】
また、本発明のコネクタでは、前記位置決めプレートは、前記第2接続端子列をそれぞれ受け入れるため、前記第2接続端子列の脚部側の側面に所定間隔で形成された複数の溝部を備えることが好ましい。
【0018】
以上の構成を有するコネクタにおいて、所定間隔で形成された複数の溝部に、第2接続端子列の複数の接続端子をそれぞれ配置する。これにより、第2接続端子列の接続端子をハウジングに対して位置決めするとともに、第2接続端子列の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。
【0019】
また、本発明のコネクタでは、前記位置決めプレートの前記複数の溝部は、前記第2接続端子列を前記第1接続端子列に対して、列方向に任意の距離分ずれた状態で位置決めするように形成されていることが好ましい。
【0020】
以上の構成を有するコネクタにおいて、第1接続端子列が接続される回路基板の接続位置に対して、第2接続端子列が接続される回路基板の接続位置を適宜離すことができる。これにより、第1接続端子列および第2接続端子列を回路基板に接続する際に、隣接する接続端子の接触を防止するとともに、はんだ付けのはみ出し等によって引き起こされる回路基板の接続位置でのショートを防ぐことができる。
【0021】
また、本発明のコネクタでは、前記位置決めプレートは、前記ハウジングに形成された案内溝に嵌挿することによって、前記ハウジングに装着されることが好ましい。
【0022】
以上の構成を有するコネクタにおいて、位置決めプレートは、ハウジングに対して位置決めした状態で容易にハウジングに装着される。これにより、位置決めプレートのハウジングに対する位置決め精度を向上させることができ、ひいては、第2接続端子列のハウジングに対する位置決め精度を向上させることができる。
【0023】
また、本発明のコネクタは、さらに前記第1接続端子列を前記ハウジングに対して位置決めすることができる第1接続端子列用位置決め手段を備えていることが好ましい。
【0024】
これにより、第1接続端子の位置決め精度も向上し、容易にコネクタを回路基板に実装することができる。
【0025】
また、本発明のコネクタでは、前記第1接続端子列用位置決め手段は、前記第1接続端子列の各接続端子を受け入れるために、前記ハウジングに所定間隔で形成された複数の溝部からなることが好ましい。
【0026】
以上の構成を有するコネクタにおいて、ハウジングに所定間隔形成された複数の溝部に、第1接続端子列の複数の接続端子をそれぞれ配置する。これにより、第1接続端子列の接続端子をハウジングに対して直接位置決めするとともに、第1接続端子列の隣り合う接続端の接触を防止することができる。
【0027】
また、本発明のコネクタでは、前記第1接続端子列用位置決め手段は、前記第1接続端子列の各接続端子を受け入れるために、前記位置決めプレートの前記第1接続端子列の脚部側の側面に所定間隔で形成された複数の溝部からなることが好ましい。
【0028】
以上の構成を有するコネクタにおいて、位置決めプレートの第1接続端子列の脚部側の側面に所定間隔で形成された複数の溝部に、第1接続端子列の複数の接続端子をそれぞれ配置する。これにより、第1接続端子列の接続端子をハウジングに対して位置決めするとともに、第1接続端子列の隣り合う接続端子同士が接触を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明に係るコネクタの斜視図である。図2は、図1に示すコネクタのケーシングを除いた部分の分解斜視図である。
【0030】
本発明のコネクタの一実施形態であるコネクタ1は、プラグ側のコネクタとレセプタクル側のコネクタからなるコネクタである。本明細書においては、レセプタクル側のコネクタを用いて説明する。
【0031】
図1および図2に示すように、コネクタ1は、上下2列の複数の挿入口列14、15が形成されたハウジング10と、一端が第1挿入口列14に挿入され、他端が回路基板(図示せず)の所定位置に接続される第1接続端子列20と、一端が第2挿入口列15に挿入され、他端が前述の回路基板の所定位置と離れた位置に接続される第2接続端子列40と、第1接続端子列20と第2接続端子列40との間に配置された状態でハウジング10に装着される位置決めプレート30と、ハウジング10の延出部13を取り囲むように、ハウジング10に取り付けられるケーシング50とから構成されている。
【0032】
位置決めプレート30は、ハウジング10とは別体に構成されている。また、位置決めプレート30は、第2接続端子列40をハウジング10に対して位置決めするとともに、第2接続端子列40の隣り合う接続端子の接触を防止する位置決め手段の役割を果たす。
【0033】
また、本実施形態のコネクタ1では、まず、第1接続端子列20をハウジング10に装着し、次いで位置決めプレート30をハウジング10に装着し、最後に第2接続端子列40をハウジング10に装着するという順番で組み立てられる。
【0034】
以下、本発明に各部の詳細について説明する。
ハウジング10は、樹脂の一体成形によって作られる。また、ハウジング10は、図2に示すように、端子保持部11と、端子保持部11を両側に保持し、本実施形態のコネクタ1を回路基板に取り付ける取り付け部12とから構成されている。
【0035】
端子保持部11は、図2に示すように、第1接続端子列保持部11aと、第1接続端子列保持部11aの上方に形成されている第2接続端子列保持部11bと、第1接続端子列保持部11aの下方に形成されている壁部11cとから構成されている。第1接続端子列保持部11aの第1接続端子列20の他端側の面、第2接続端子列保持部11bの第1接続端子列20を挿入する側の面および壁部11cの第2接続端子列40を挿入する側の面は、それぞれ第1接続端子列20の挿入方向の位置が異なるように形成されている。また、端子保持部11は、端子保持部11の第1接続端子列20(第2接続端子列40)を挿入する側の面と反対側の面から、第1接続端子列20の挿入方向に延出する延出部13とともに樹脂によって一体に成形されている。
【0036】
第1接続端子列保持部11aには、複数の挿入口が形成されている。図2に示すように、第1接続端子列保持部11aには、第1接続端子列20の一端が挿入される13個の第1挿入口列14が形成されている。第1挿入口列14の各挿入口は、所定間隔ごとに形成されている。第1挿入口列14は、それぞれ第1接続端子列保持部11aを貫通している。また、第1挿入口列14は、延出部13の下側の表面に形成された13列の溝列18とそれぞれ一体となるように形成されている。第1挿入口列14を構成する各挿入口の幅は、溝列18を構成する各溝の幅とほぼ同じとなるように形成されている。
【0037】
第2接続端子列保持部11bには、第2接続端子列40の一端が挿入される13個の第2挿入口列15が形成されている。第2挿入口列15の各挿入口は、所定間隔ごとに形成されている。第2挿入口列15は、それぞれ第2接続端子列保持部11bを貫通している。また、第2挿入口列15は、延出部13の上側の表面に形成された13列の溝列(図示せず)とそれぞれ一体となるように形成されている。第2挿入口列15を構成する各挿入口の幅は、延出部13の上側の表面に形成された溝列を構成する各溝の幅とほぼ同じとなるように形成されている。
【0038】
また、壁部11cには、後で詳細に説明する第1接続端子列用位置決め手段の役割を果たす溝部16が形成されている。溝部16は、所定間隔ごとに13個形成されている。
【0039】
また、図2に示すように、取り付け部12は端子保持部11の両側に略対向して形成されている。取り付け部12の端子保持部11側の側面には、後で詳細に説明する位置決めプレート30を嵌挿するための案内溝17a、17bが形成されている。これにより、位置決めプレート30をハウジング10に対して容易に位置決めすることができる。なお、案内溝17aは、後述する位置決めプレート30の凸部32に対応した形状を有する。
【0040】
第1接続端子列20および第2接続端子列40は、銅から形成される。ハウジング10に装着する前の第1接続端子列20の各接続端子および第2接続端子列40の各接続端子は、図3に示すように、端子部21、41と連結部22、42とから構成されている。なお、図3は図2と上下が逆になっている斜視図である。13個の各接続端子からなる第1接続端子列20および第2接続端子列40を、それぞれ第1挿入口列14および第2挿入口列15に、列ごとにハウジング10に挿入することができる。端子部21、41から連結部22、42を切り離すことによって、各接続端子が独立してハウジング10に装着された状態となる。本実施形態では、まず、第1接続端子列20をハウジング10に挿入し、連結部22を切り離す。次に、位置決めプレート30をハウジング10に挿入する。最後に第2接続端子列40をハウジング10に挿入し、連結部42を切り離す。
【0041】
図3および図4に示すように、第1接続端子列20の各接続端子の端子部21および第2接続端子列40の各接続端子の端子部41は、それぞれ直線状のコンタクト部23、43と、コンタクト部23、43の基端から略直角に曲げられ回路基板方向(図3中では上方向、図4中では下方向)に延びる脚部24、44と、脚部24、44のもう一方の端からさらに略直角に曲げられ、コンタクト部23、43の延出方向と逆方向に延びる接続部25、45とを有する。コンタクト部23、43の先端部が第1接続端子列20および第2接続端子列40の一端であり、接続部25、45が、第1接続端子列20および第2接続端子列40の他端となっている。
【0042】
図4に示すように、第2接続端子列40の各接続端子のコンタクト部43および脚部44は、それぞれ第1接続端子列20の各接続端子のコンタクト部23および脚部24より長くなっている。
【0043】
図4に示すように、コネクタ1が組み立てられた状態で、第2接続端子列40の各接続端子の脚部44は、それぞれ第1接続端子列20の各接続端子の脚部24の後方に間隔をおいて位置している。この間隔に位置決めプレート30が配置されている。第1接続端子列20の脚部24と第2接続端子列40の脚部44との間に生じるデッドスペースに、位置決めプレート30を配置することによって、第2接続端子列を容易に位置決めすることができる。
【0044】
また、第1接続端子列20の各接続端子のコンタクト部23および、第2接続端子列40の各接続端子のコンタクト部43は、それぞれ第1挿入口列14、第2挿入口列15を貫通し、溝列18、延出部13の上側の表面に形成された溝列に沿って延出部13に配置される。
【0045】
また、第2接続端子列40の各接続端子の接続部45は、第1接続端子列20の各接続端子の接続部25から離れた位置に配置される。
【0046】
位置決めプレート30は、樹脂の一体成形によって作られる。また、位置決めプレート30には、所定間隔で形成された13個の溝部31が形成されている。各溝部31は、第2接続端子列40の複数の接続端子の脚部44を1個づつを受け入れる。これにより、第2接続端子列40をハウジング10に対して位置決めするとともに、第2接続端子列40の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。言い換えると、第2接続端子列40の各接続端子のピッチのばらつきを抑えることができる。したがって、第2接続端子列40の各接続端子を正確に回路基板の接続位置にはんだ付けすることができる。
【0047】
また、複数の溝部31は、第2接続端子列40を第1接続端子列20に対して、列方向に任意の距離分ずれた状態で位置決めするように形成されている。本実施形態では、第2接続端子列40が第1接続端子列20に対して、列方向に半ピッチ分ずれた状態となるように複数の溝部31が形成されている。したがって、第1接続端子列20が接続される回路基板の接続位置に対して、第2接続端子列40が接続される回路基板の接続位置を離すことができる。これにより、第1接続端子列20および第2接続端子列40を容易にそれぞれの接続位置に接続することができるとともに、はんだ付けのはみ出し等によって引き起こされる回路基板の接続位置でのショートを防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態の位置決めプレート30の上表面の右端近傍には、位置決めプレート30をハウジング10に挿入する方向に延びる凸部32が一体に形成されている。この凸部32は、組み立ての際、前述ハウジング10に形成された案内溝17aに挿嵌される。この凸部32によって、案内溝17a、17bに対する位置決めプレート30の挿入方向を規定することができる。
【0049】
本実施形態のコネクタ1は、さらに、第1接続端子列20をハウジング10に対して位置決めする第1接続端子列用位置決め手段を備えている。
【0050】
第1接続端子列用位置決め手段は、前述のハウジング10の壁部11cに所定間隔ごとに形成された13個の溝部16からなる。各溝部16は、それぞれ第1接続端子列20の各接続端子を受け入れる。これにより、第1接続端子列20をハウジング10に対して位置決めするとともに、第1接続端子列20の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。言い換えると第1接続端子列20の各接続端子のピッチのばらつきを抑えることができる。
【0051】
溝部16は、それぞれ第1接続端子列20の各接続端子を受け入れた後、13個の溝部16の間にある平面部に、位置決めプレート30の溝部31が形成されている側面と対向する位置にある側面が当接する。溝部16にそれぞれ受け入れられた第1接続端子列20の各接続端子は、ハウジング10の溝部16および位置決めプレート30の溝部31が形成されている側面と対向する位置にある側面によって形成される位置決め口に挿入された状態となる。これにより、第1接続端子列20をハウジング10に対して位置決めするとともに、第1接続端子列20の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。言い換えると、第1接続端子列20の各接続端子のピッチのばらつきを抑えることができる。したがって、第1接続端子列20の各接続端子を正確に回路基板の接続位置にはんだ付けすることができる。
【0052】
以上、説明したように、本発明のコネクタ1では、ハウジング10とは別体に構成された位置決め手段である位置決めプレート30によって、ハウジング10および第2接続端子列40に複雑な加工を必要とすることなく位置決めするとともに、第2接続端子列40の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。また、第1接続端子列20、位置決めプレート30、第2接続端子列40の順でハウジング10に装着することによって、位置決めプレート30をハウジング10に装着する際に、煩雑な工程を必要とすることなく、第2接続端子列40をハウジング10に対して容易に位置決めするとともに、第2接続端子列40の隣り合う接続端子の接触を防止することができる。これにより、第2接続端子列20の各接続端子のピッチのばらつきを抑えることができ、外観検査および接続端子の位置の手直し修正を行うことなく、コネクタ1を正確に回路基板に実装することができる。
【0053】
なお、本実施形態のコネクタ1では、レセプタクル側のコネクタを用いて説明したが、これに限られることなく、同様の接続端子構成を有するプラグ側コネクタであってもよい。
【0054】
また、本実施形態のコネクタ1では、第1接続端子列20に対する位置決め手段としてハウジング10に形成された溝部16を、第2接続端子列40に対する位置決め手段として位置決めプレート30をそれぞれ用いて説明した。しかしながら、本発明のコネクタでは、これに限られることなく、図5に示すように、第1接続端子列20の脚部24側および第2接続端子列40の脚部44側となる位置決めプレート60の対向する両側面に、それぞれ所定間隔で形成された第1接続端子列用溝部61と所定間隔で形成された第2接続端子列用溝部62を形成した位置決めプレート60を用いてもよい。なお、この位置決めプレート60を用いる場合、ハウジング10の溝部16を形成しなくてもよい。また、第1接続端子列20および第2接続端子列40を受けやすいように、第1接続端子列用溝部61および第2接続端子列用溝部62が位置決めプレート30の外縁に向かって拡開するように形成されてもよい。
【0055】
また、本実施形態のコネクタ1では、溝部31が断面長方形状である場合を用いて説明したが、これに限られることなく、第2接続端子列40を受けやすいように、溝部が断面位置決めプレート30の外縁に向かって拡開するように形成されてもよい。
【0056】
また、本実施形態のコネクタ1では、第1接続端子列20および第2接続端子列40の2列の端子列を位置決めするために、1枚の位置決めプレート30を用いた場合について説明したが、これに限られることなく、3列以上の端子列を位置決めするために、複数の位置決めプレート30を用いてもよい。この場合、ハウジング10に形成される挿入口の列の数も端子列の数に応じて変化する。
【0057】
また、本実施形態のコネクタ1では、第1接続端子列20および第2接続端子列40が13個の接続端子を有する場合について説明したが、これに限られることなく、接続端子列が13個以外の複数個の接続端子を有してもよい。この場合、位置決めプレート30の溝部31の数、挿入口列14、15の数および溝部16の数も、接続端子列の接続端子の数に応じて増減させる。
【0058】
また、本実施形態のコネクタ1では、第2接続端子列40が第1接続端子列20に対して、列方向に半ピッチ分ずれた状態となるように形成した溝部31を用いて説明した。しかしながら、本発明のコネクタでは、これに限られることなく、第2接続端子列40が第1接続端子列20に対して、列方向に任意の距離分ずれた状態となるように形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るコネクタの斜視図である。
【図2】図1に示すコネクタのケーシングを除いた部分の分解斜視図である。
【図3】組み立て前の接続端子列の斜視図である。
【図4】図1に示すコネクタの断面図である。
【図5】位置決めプレートの変形例の斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 コネクタ
10 ハウジング
11 端子保持部
11a 第1接続端子列保持部
11b 第2接続端子列保持部
11c 壁部
12 取り付け部
13 延出部
14 第1挿入口列
15 第2挿入口列
16 溝部
17a 案内溝
17b 案内溝
18 溝列
20 第1接続端子列
21 端子部
22 連結部
23 コンタクト部
24 脚部
25 接続部
30 位置決めプレート
31 溝部
32 凸部
40 第2接続端子列
41 端子部
42 連結部
43 コンタクト部
44 脚部
45 接続部
50 ケーシング
60 位置決めプレート
61 第1接続端子列用溝部
62 第2接続端子列用溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上下2列の複数の挿入口が形成されたハウジングと、一端が前記挿入口の下の列に挿入され、他端が回路基板の所定位置に接続される複数の接続端子からなる第1接続端子列と、一端が前記挿入口の上の列に挿入され、他端が前記回路基板の前記所定位置から離れた位置に接続される複数の接続端子からなる第2接続端子列と、前記第2接続端子列を前記ハウジングに対して位置決めするとともに、前記第2接続端子列の隣り合う接続端子の接触を防止する位置決め手段を備えるコネクタであって、
前記位置決め手段は、前記ハウジングとは別体に構成されており、前記第1接続端子列を前記ハウジングに装着した後に該ハウジングに装着され、次いで前記第2接続端子列を前記ハウジングに装着するようになっていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1接続端子列の各接続端子は、前記挿入口に配置されるコンタクト部と、該コンタクト部の基端から略直角に曲げられ回路基板方向に延びる脚部とを有し、前記第2接続端子列の各接続端子は、前記挿入口に配置されるコンタクト部と、該コンタクト部の基端から略直角に曲げられ回路基板方向に延びる脚部とを有し、前記第2接続端子列の各接続端子の脚部は、前記第1接続端子列の各接続端子の脚部の後方に間隔をおいて位置しており、前記位置決め手段は、前記間隔に配置された位置決めプレートからなる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記位置決めプレートは、前記第2接続端子列をそれぞれ受け入れるため、前記第2接続端子列の脚部側の側面に所定間隔で形成された複数の溝部を備える請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記位置決めプレートの前記複数の溝部は、前記第2接続端子列を前記第1接続端子列に対して、列方向に任意の距離分ずれた状態で位置決めするように形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記位置決めプレートは、前記ハウジングに形成された案内溝に嵌挿することによって、前記ハウジングに装着される請求項1ないし4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタは、さらに前記第1接続端子列を前記ハウジングに対して位置決めすることができる第1接続端子列用位置決め手段を備えている請求項1ないし5のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1接続端子列用位置決め手段は、前記第1接続端子列の各接続端子を受け入れるために、前記ハウジングに所定間隔で形成された複数の溝部からなる請求項1ないし6のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1接続端子列用位置決め手段は、前記第1接続端子列の各接続端子を受け入れるために、前記位置決めプレートの前記第1接続端子列の脚部側の側面に所定間隔で形成された複数の溝部からなる請求項1ないし6のいずれかに記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−147372(P2006−147372A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336580(P2004−336580)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】