説明

コネクタ

【課題】 使用者に不安感を与えることがないコネクタを提供する。
【解決手段】 雄コネクタ1の栓刃31において、雌コネクタ2の栓刃挿入穴41への挿入時に最初に刃受け7に接触する位置の、挿入部51に対する突出寸法よりも、刃受け7において、栓刃挿入穴41に挿入される栓刃31に最初に接触する位置の、栓刃挿入穴41の開口面からの距離を大きくした。栓刃31が栓刃挿入穴41の内側に隠れるまでは刃受け7に接触しないから、使用者に不安感を与えることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続に伴って開閉する接点を内部に有するコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、映画や舞台の照明用の照明器具のような負荷に接続された電力ケーブルと電源に接続された電力ケーブルとを接続するためのコネクタが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のコネクタとして、例えば図10(a)(b)に示すものがある(例えば、特許文献2参照)。以下、左右方向は図10(b)を基準とし、図10(b)の上下方向を前後方向と呼ぶ。また、図10(b)における紙面手前側を上側と呼ぶ。
【0004】
このコネクタは、3本の栓刃31,32を有する雄コネクタ1と、各栓刃31,32がそれぞれ挿入される栓刃挿入穴41が前面に開口した雌ハウジング4を有する雌コネクタ2とからなる。
【0005】
詳しく説明すると、雄コネクタ1は、例えば合成樹脂成形品からなり栓刃31,32の一部を後方に突出させて栓刃31,32を保持する雄ハウジング5を備える。栓刃31,32は、例えば金属板からなり、圧着端子Tを介して負荷側の電線(図示せず)に電気的に接続される。栓刃31,32は左右に並べて3本設けられ、両端の2本の栓刃31は電圧極と接地側極とであってそれぞれ前後に長細く幅方向を上下方向に向けて後端部がU字形状に内側へ曲げられており、中央の1本の栓刃32は接地極であって厚さ方向を上下方向に向けている。
【0006】
一方、雌コネクタ2は、それぞれ金属板からなり雌ハウジング4の左右の端部に互いに対向する向きで収納され圧着端子Tを介して電源側の電圧極や接地側極の電線(図示せず)に電気的に接続された2個の端子板61と、厚さ方向を上下方向に向けた前後に長い金属板からなり後端部が圧着端子Tを介して電源側の接地極の電線に電気的に接続され前端部が栓刃挿入穴41内に露出する形で雌ハウジング4内に収納された接地端子板62とを備える。各端子板61の対向面には、それぞれ固定接点64を設けてある。
【0007】
また、栓刃挿入穴41の左右両端部には、それぞれ金属板からなり栓刃挿入穴41から挿入された電圧側極の栓刃31に接触導通する刃受け7が収納されている。各刃受け7はそれぞれ、雌ハウジング4内に保持された保持部71と、前端部が保持部71に連結されて後方へ延び栓刃挿入穴41の左右の内側面に対する後端部の突出寸法を変化させる方向のばね性を有するばね部79とを有する。可動接点74は、ばね部79の後端部において栓刃挿入穴41の内側面向きの面に設けられ、固定接点64と可動接点74とは左右に対向している。また、刃受け7のばね部79は後方に向かって栓刃挿入穴41の左右の内側面からの突出寸法を大きくするように傾斜している。
【0008】
そして、雌コネクタ2の栓刃挿入穴41に雄コネクタ1の栓刃31,32が挿入されると、まず電圧極や接地側極の栓刃31がそれぞれ刃受け7に接触導通する。さらに栓刃31,32が押し込まれると、刃受け7のばね部79の傾斜面が栓刃31に押圧され、ばね部79が弾性変形することにより可動接点74が固定接点64に接触導通する。また、接地極の栓刃32は接地端子板62に接触導通する。ここにおいて、負荷側の電線と電源側の電線とが1対1に電気的に接続される。
【0009】
一方、栓刃挿入穴41に栓刃31,32が挿入されていないときは、ばね部79のばね力によって可動接点74と固定接点64とが離間した状態に維持されることにより、刃受け7と端子板61とが絶縁され、刃受け7には通電しないから安全性が確保される。
【特許文献1】特開平7−272785号公報
【特許文献2】特公平5−9909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来例においては、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを接続する際に、栓刃31が栓刃挿入穴41に収納される前に刃受け7に接触していたため、通電の可能性こそないものの使用者に不安感を与えていた。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、使用者に不安感を与えることがないコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、導電材料からなり電線に電気的に接続される栓刃、並びに、絶縁材料からなり栓刃の少なくとも一部を突出させて栓刃を保持する雄ハウジングを備える雄コネクタと、絶縁材料からなり雄コネクタの栓刃が挿入される栓刃挿入穴が前面に開口した雌ハウジング、導電材料からなり栓刃とは異なる電線に電気的に接続される固定接点を有し雌ハウジングに収納される端子板、並びに、弾性を有する導電材料からなり固定接点に離間して対向する可動接点を有し栓刃挿入穴から挿入された栓刃に接触導通する刃受けを備える雌コネクタとからなり、刃受けは、雌ハウジング内に保持された保持部と、前端部が保持部に連結されて栓刃挿入穴の内側面付近において後方へ延び栓刃挿入穴の内側面に対する後端部の突出寸法を変化させる方向のばね性を有するばね部とを有し、可動接点は、ばね部の後端部において栓刃挿入穴の内側面向きの面に設けられ、刃受けのばね部は少なくとも一部が後方に向かって栓刃挿入穴の内側面からの突出寸法を大きくするように傾斜し、この傾斜面が栓刃挿入穴に挿入された栓刃に押圧されてばね部が弾性変形することにより可動接点が固定接点に接触導通するコネクタにおいて、雄ハウジングにおいて栓刃の挿入方向の端部には、栓刃の挿抜方向から見た寸法が栓刃挿入穴よりも小さく先端面から栓刃が突出する挿入部が設けられ、栓刃において、栓刃挿入穴への挿入時に最初に刃受けに接触する位置の、挿入部に対する突出寸法よりも、刃受けにおいて、栓刃挿入穴に挿入される栓刃に最初に接触する位置の、栓刃挿入穴の開口面からの距離を大きくしたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、栓刃が栓刃挿入穴の内側に隠れるまでは刃受けに接触しないから、使用者に不安感を与えることがない。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、雄コネクタが雌コネクタに接続された状態で栓刃に平行な面で接触する平行部を、刃受けのばね部に設けたことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、平行部を設けない場合に比べ、栓刃と刃受けとの接触面積が増大するから、接触抵抗を低減することができる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、ばね部において保持部との連結部付近を、前面を凸とする向きに弧形状に曲げてあることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ばね部を平板状とする場合に比べ、刃受けの長手方向の寸法を小さくしながらも、ばね部を長くしてばね性を向上することができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の発明において、少なくとも可動接点が固定接点に接触する程度にばね部が変形しているときに、ばね部において栓刃が当接する面の反対面に当接し、ばね部の不要な変形を阻止する止め部を、雌ハウジング内に設けたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、ばね部の塑性変形を防止することができる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、雌ハウジングは合成樹脂成形品からなり、止め部において刃受けに接触する面に凹部を設けたことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、止め部の前後の寸法を確保しながらも、必要な材料を減少させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、栓刃において、栓刃挿入穴への挿入時に最初に刃受けに接触する位置の、挿入部に対する突出寸法よりも、刃受けにおいて、栓刃挿入穴に挿入される栓刃に最初に接触する位置の、栓刃挿入穴の開口面からの距離を大きくしたことにより、栓刃が栓刃挿入穴の内側に隠れるまでは刃受けに接触しないから、使用者に不安感を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
本実施形態のコネクタは、図1に示すように、3本の栓刃31,32を有する雄コネクタ1と、各栓刃31,32がそれぞれ挿入される栓刃挿入穴41が開口したハウジング4を有する雌コネクタ2とからなる。以下、左右方向は図1を基準とし、図1の上下方向を前後方向と呼ぶ。また、図1における紙面手前側を上側と呼ぶ。
【0025】
詳しく説明すると、雄コネクタ1は、例えば合成樹脂成形品からなり栓刃31,32の一部を後方へ突出させて栓刃31,32を保持する雄ハウジング5を備える。各栓刃31,32は、それぞれ例えば金属板のような導電材料からなり、圧着端子Hを介して負荷側の電線(図示せず)に電気的に接続される。栓刃31,32は左右に並べて3本設けられ、左右の2本の栓刃31はそれぞれ前後に長細く幅方向を上下方向に向けて後端部がU字形状に内側へ曲げられており、一方が電圧極に接続され、他方が接地側極に接続される。一方、中央の1本の栓刃32は厚さ方向を上下方向に向けており、接地極に接続される。雄ハウジング5は後面の中央部から後方へ突出した挿入部51を有し、各栓刃31,32はそれぞれ挿入部51の後面から後方へ突出している。ここで、後方から見た挿入部51の寸法は、栓刃挿入穴41の開口の寸法よりも小さくしてある。
【0026】
次に、雌コネクタ2について説明する。雌ハウジング4は、図2及び図3に示すように、上面に凹部42aが設けられたボディ4aと、下面に凹部が設けられボディ4aの上側に結合してボディ4aとの間に栓刃挿入穴41を形成するカバー4bとからなる。ボディ4aとカバー4bとはそれぞれ合成樹脂成形品からなる。ボディ4aとカバー4bとにはそれぞれ組立ねじSC1が挿通されるねじ挿通穴43a,43bが上下に貫設されており、ボディ4aとカバー4bとのねじ挿通穴43a,43bをそれぞれ貫通した組立ねじSC1がナットNに螺合することによって、ボディ4aとカバー4bとは結合する。ボディ4aとカバー4bとには、それぞれ前端部に、互いに結合したときに栓刃挿入穴41の開口を構成する栓刃挿入切り欠き41a,41bが設けられている。また、雌ハウジング4の後面には、電線C1,C2がシースSHで結束された電力ケーブルCが挿通される電線挿通穴44が開口しており、ボディ4aとカバー4bとには、互いに結合したときに電線挿通穴44を構成する電線挿通切り欠き44a,44bが設けられている。
【0027】
また、雌コネクタ2は、それぞれ金属板からなり雌ハウジング4の左右の端部に収納され圧着端子Tを介して電源側の電圧極や接地側極の電線C1に電気的に接続される2個の端子板61と、前後に長い金属板からなり雌ハウジング4の左右方向での中央部に収納され後端部が圧着端子Tを介して電源側の接地極の電線C2に電気的に接続される接地端子板62とを備える。各端子板61及び接地端子板62は、それぞれ例えば嵌合によってボディ4aに保持されている。電力ケーブルCは、端子板61及び接地端子板62の後方において締付ねじSC2によってボディ4aにねじ止めされた一対の金具Hに挟持される。
【0028】
各端子板61は、それぞれ、電圧極や接地側極の電線C1の圧着端子Tに挿通された端子ねじTS1が螺合するねじ穴61aを有する接続部61bと、接続部61bの前端部から上方へ突設された連結部61cと、連結部61cの左右方向のうち外側の端部から前方へ突設された端子部61dとを有する。また、各端子板61の端子部61dの内側の面には、それぞれ固定接点64を突設してある。
【0029】
接地端子板62は、接地極の電線C2の圧着端子Tに挿通された端子ねじTS2が螺合するねじ穴62aを有する接続部62bと、接続部62bの前端部から上方へ突設された連結部62cと、連結部62cの上端部から前方へ突設され栓刃挿入穴41内に露出する端子部62dとを有する。端子部62dの前後方向の中央部は前方へ向かって下方へ傾斜させてあり、端子部62dは上下方向にばね性を有する。また、端子部62dの前端部は前方へ向かって上方へ傾斜させてある。
【0030】
また、ボディ4aの凹部42a内には、端子板61と接地端子板62とを仕切って互いに絶縁する仕切り壁45を突設してある。
【0031】
さらに、栓刃挿入穴41には、それぞれ金属板からなり栓刃挿入穴41に挿入された栓刃31に接触導通する2本の刃受け7が収納されている。各刃受け7は、厚さ方向を左右方向に向けて雌ハウジング4内に保持された保持部71と、保持部71の前端部から栓刃挿入穴41の内側へ円弧形状に曲げられ先部が保持部71に対向し保持部71とともにU字形状をなすばね基部72と、ばね基部72の先端から後方へ突設され栓刃挿入穴41の内側への突出寸法を後方へ向かって大きくする方向に傾斜した傾斜部73とを有する。ばね基部72と傾斜部73とは、全体として、栓刃挿入穴41の内側への傾斜部73の後端部の突出寸法を変化させる左右方向のばね性を有する。つまり、ばね基部72と傾斜部73とでばね部が構成されている。このように前面を凸とする円弧形状に曲がったばね基部72を設けたことにより、例えば図4のようにばね基部72を設けない場合に比べ、刃受け7の前後の寸法を維持しながらも保持部71やばね部が延長されているから、刃受け7の保持強度やばね性の向上が可能となっている。さらに、ばね基部72の幅方向(図3の上下方向)の中央部には、ばね基部72を変形しやすくするための貫通穴72aを設けてある。また、各刃受け7の傾斜部73の後端部の外側の面にはそれぞれ可動接点74を突設してある。ここで、ボディ4aの左右の端部にはそれぞれ保持突起46を上方へ突設してあり、保持部71は、保持突起46と栓刃挿入穴41の内面との間に挟まれることによって保持されている。ここにおいて、固定接点64と可動接点74とは離間して対向する。
【0032】
以下、本実施形態の動作を説明する。
【0033】
栓刃挿入穴41に栓刃31,32が挿入されていないときは、可動接点74と固定接点64とが離間していることにより刃受け7と端子板61とが絶縁され、刃受け7には通電しない。
【0034】
一方、雌コネクタ2の栓刃挿入穴41に雄コネクタ1の栓刃31,32が挿入されると、図1に示すように、電圧側極の栓刃31がそれぞれ刃受け7の傾斜部73に接触する。
【0035】
ここで、刃受け7の傾斜部73において、栓刃挿入穴41に挿入される栓刃31に最初に接触する位置の、栓刃挿入穴41の開口面からの距離は、栓刃31において、栓刃挿入穴41への挿入時に最初に刃受け7に接触する位置の、挿入部51に対する突出寸法よりも大きくしてある。したがって、図1に示すように栓刃31が栓刃挿入穴41に完全に隠れるまでは栓刃31は刃受け7に接触しない。
【0036】
さらに、刃受け7のばね力に抗して雄ハウジング5の挿入部51を栓刃挿入穴41に挿入すると、栓刃31,32がさらに奥に押し込まれ、刃受け7の傾斜部73が栓刃31に押圧されて弾性変形する。そして、図5に示すように可動接点74が固定接点64に接触導通すると、負荷側の電圧極や接地側極の電線と、電源側の電圧極や接地側極の電線C1とは、栓刃31と刃受け7と端子板61とを介して一対一に電気的に接続される。また、接地極の栓刃32が接地端子板62の端子部62dに接触導通することにより、負荷側の接地極の電線と電源側の接地極の電線C2とは電気的に接続される。さらに、雄ハウジング5の挿入部51が栓刃挿入穴41に挿入されるときには、接地極の栓刃32が接地端子板62の端子部62dの前端部の下面を押圧して端子部62を上方へ弾性変形させる。したがって、接地端子板62の端子部62dのばね力により、接地極の栓刃32と接地端子板62の端子部62dとの接触圧が確保される。
【0037】
ここで、傾斜部73は、前後方向の中央部を栓刃挿入穴41の内側へ台形状に膨出させるように2箇所で曲げてあり、さらに、可動接点74の向きを調整するために後端部を曲げてある。これにより、雄コネクタ1と雌コネクタ2とが接続されたときには、傾斜部73の前後方向での中央部が栓刃31に対して平行となり、この平行な部分が栓刃31に接触する。つまり、傾斜部73の前後方向での中央部が平行部である。この構成により、図6のように平行部を有さない場合に比べ、刃受け7と栓刃31との接触面積を増大し、接触抵抗を低減することができる。
【0038】
また、ボディ4aにおいて、図5のように雄コネクタ1と雌コネクタ2とが接続された状態で栓刃31との間に傾斜部73を挟んで上記平行部に近接する位置には、止め部47を突設してある。ところで、図1のような正しい向きに対して図7のような斜めの向きで栓刃31,32が栓刃挿入穴41に挿入されると、正しい向きで栓刃31,32が挿入されたときよりも一方(図7では右側)の刃受け7が強く押されることになる。このとき、刃受け7が弾性限界を超える力を受けると、刃受け7が塑性変形してしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、止め部47が栓刃31の反対側から刃受け7に当接することにより刃受け7の不要な変形が阻止されるから、刃受け7の塑性変形が防止されている。
【0039】
さらに、止め部47において刃受け7に当接する面には凹部47aを設けてある。この構成により、図8のように止め部47の前後の幅寸法を小さくする場合と違って刃受け7の塑性変形を防止する効果を維持しながらも、図9に示すように凹部47aを設けない場合に比べて必要な合成樹脂の量を減少させて製造コストの低減を可能としている。
【0040】
また、可動接点74が固定接点64に接触しかつ上記平行部が栓刃31に接触していない状態で、雄コネクタ1を栓刃挿入穴41に挿入する力を解除すると、刃受け7のばね基部72及び傾斜部73のばね力によって栓刃31が前方へ押し出され、刃受け7は可動接点74が固定接点64から離れる位置まで復帰するようになっている。したがって、可動接点74と固定接点64との接触が不安定な状態で停止することはない。
【0041】
次に、栓刃挿入穴41から栓刃31,32が抜かれると、ばね基部72及び傾斜部73のばね力により刃受け7が復帰し、可動接点74は固定接点64から再度離れる。
【0042】
上記構成によれば、栓刃31が栓刃挿入穴41に完全に隠れるまでは栓刃31は刃受け7に接触しないから、使用者に不安感を与えることがない。
【0043】
なお、上記の効果だけであれば、刃受け7の形状が従来のままであっても、刃受け7を短くして刃受け7の屈曲部の位置を後方にずらす方法や、雌ハウジング4を前方へ延長して栓刃挿入穴41を深くする方法によっても達成できる。しかし、前者の方法では刃受け7が短くなるからばね部79が変形しにくくなり栓刃31,32の挿入に必要な挿入力が増大して使い勝手が低下するという問題があり、後者の方法では雌ハウジング4が大型化してしまうという問題がある。これに対し、本実施形態は、栓刃挿入穴41の内側への突出寸法が小さく栓刃31に接触しないばね基部72を刃受け7に設けることにより、栓刃31と刃受け7とが最初に接触する位置を後方へずらしており、栓刃挿入穴41の深さは変更していないから雌ハウジング4の寸法が大きくなることがなく、かつ、ばね部の長さを変更する必要がないから使い勝手が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態を示す、雌コネクタのカバーを省略した平面図である。
【図2】同上の雌コネクタを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は背面図、(e)は下面図である。
【図3】同上の雌コネクタを示す分解斜視図である。
【図4】同上の比較例の要部を示す平面図である。
【図5】同上において雄コネクタと雌コネクタとが接続された状態を示す、雌コネクタのカバーを省略した平面図である。
【図6】同上の別の比較例を示す、雌コネクタのカバーを省略した平面図である。
【図7】同上において栓刃が栓刃挿入穴に斜めに挿入された状態を示す、雌コネクタのカバーを省略した平面図である。
【図8】同上の更に別の比較例の要部を示す平面図である。
【図9】同上の別の比較例の要部を示す平面図である。
【図10】従来例を示す図であり、(a)は雌コネクタを示す、雌ハウジングを透視した平面図であり、(b)は雄コネクタと雌コネクタとを接続した状態を示す、雄ハウジング及び雌ハウジングを透視した平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 雄コネクタ
2 雌コネクタ
4 雌ハウジング
5 雄ハウジング
7 刃受け
31 栓刃
41 栓刃挿入穴
47 止め部
47a 凹部
51 挿入部
61 端子板
64 固定接点
71 保持部
72 ばね基部
73 傾斜部
74 可動接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材料からなり電線に電気的に接続される栓刃、並びに、絶縁材料からなり栓刃の少なくとも一部を突出させて栓刃を保持する雄ハウジングを備える雄コネクタと、
絶縁材料からなり雄コネクタの栓刃が挿入される栓刃挿入穴が前面に開口した雌ハウジング、導電材料からなり栓刃とは異なる電線に電気的に接続される固定接点を有し雌ハウジングに収納される端子板、並びに、弾性を有する導電材料からなり固定接点に離間して対向する可動接点を有し栓刃挿入穴から挿入された栓刃に接触導通する刃受けを備える雌コネクタとからなり、
刃受けは、雌ハウジング内に保持された保持部と、前端部が保持部に連結されて栓刃挿入穴の内側面付近において後方へ延び栓刃挿入穴の内側面に対する後端部の突出寸法を変化させる方向のばね性を有するばね部とを有し、可動接点は、ばね部の後端部において栓刃挿入穴の内側面向きの面に設けられ、
刃受けのばね部は少なくとも一部が後方に向かって栓刃挿入穴の内側面からの突出寸法を大きくするように傾斜し、この傾斜面が栓刃挿入穴に挿入された栓刃に押圧されてばね部が弾性変形することにより可動接点が固定接点に接触導通するコネクタにおいて、
雄ハウジングにおいて栓刃の挿入方向の端部には、栓刃の挿抜方向から見た寸法が栓刃挿入穴よりも小さく先端面から栓刃が突出する挿入部が設けられ、
栓刃において、栓刃挿入穴への挿入時に最初に刃受けに接触する位置の、挿入部に対する突出寸法よりも、刃受けにおいて、栓刃挿入穴に挿入される栓刃に最初に接触する位置の、栓刃挿入穴の開口面からの距離を大きくしたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
雄コネクタが雌コネクタに接続された状態で栓刃に平行な面で接触する平行部を、刃受けのばね部に設けたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
ばね部において保持部との連結部付近を、前面を凸とする向きに弧形状に曲げてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
少なくとも可動接点が固定接点に接触する程度にばね部が変形しているときに、ばね部において栓刃が当接する面の反対面に当接し、ばね部の不要な変形を阻止する止め部を、雌ハウジング内に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載のコネクタ。
【請求項5】
雌ハウジングは合成樹脂成形品からなり、止め部において刃受けに接触する面に凹部を設けたことを特徴とする請求項4記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−179309(P2006−179309A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371478(P2004−371478)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】