説明

コネクタ

【課題】 コネクタは、ハウジングと、ハウジング内に配されたコンタクト、コンタクトの接点部を接続対象物(FPCやFFC)の接点に接触させるアクチュエータとを有する。アクチュエータの回動域をハウジングの前方に確保していることから、ハウジングの奥行き寸法が大きく、引き回しに弱くかつコネクタの小型化を不可能にしている。
【解決手段】 アクチュエータ(3)の回動中心(23)を、第1コンタクト(13)の接点部(11)、即ち奥側の接点部(11)の上方に位置させ、アクチュエータ(3)をハウジング(2)の前方に納める。アクチュエータ(3)の回動中心(23)の位置を工夫することでハウジング(2)の奥行き寸法を短縮可能とさせかつ引き回しに強いコネクタとさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)等の接続対象物用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピューターやテレビジョン受像器、ゲーム機器、携帯電話等の急速な普及に伴い、プリント配線板等にコネクタを半田付けし、このコネクタにフレキシブルプリント基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)等の接続対象物を挿入し、コネクタ内の各コンタクトをFPCやFFC等の接続対象物の各接点部に電気的に導通状態となるよう圧接させている。
各種の電子機器の電気回路にはこの種のコネクタは欠かせない。即ち、電気回路や多数の電子部品との電気的接続にはコネクタは必須部品となっている。
【0003】
この種のコネクタは合成樹脂製のハウジング内に導電材からなるコンタクトを複数個並設して配した構成を有し、ハウジング内にFPC又はFFC等の接続対象物を挿入した後、ハウジングに回動自在に支持されたアクチュエータを動作させ、各コンタクトの接触子即ち接点部を接続対象物の対応ケーブルに夫々圧接させて電気的導通関係を得ている。
【0004】
【特許文献1】特許第3513751号明細書
【特許文献2】特開2003−331959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来コネクタは、アクチュエータの回動中心をハウジングの前方に位置させていることから、コネクタの奥行き寸法が長く、ハウジングが回路基板に対し大型化する欠点がある。
さらに、アクチュエータの回動中心が第1コンタクトの接点と第2コンタクトの接点との間にあり、アクチュエータに作用する反力が接続対象物の引き回しによりアクチュエータを開きやすくなる不具合が生じる。
それ故に、本発明は前述した従来のコネクタの不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するために、基本的には、ハウジング内の両コンタクトへのカム部の押圧点をアクチュエータの回動中心の下方に位置させる技術手段を用いる。
この技術手段の採用は、アクチュエータの回動中心をハウジングの中央側に位置させているのでハウジングの奥行き寸法を短くさせかつ引き回しによるアクチュエータの開を防止させ得る。
【0007】
奥の接点部への接触力はアクチュエータのカム部を接続対象物に押圧させることで確保し、手前の接点部への接触力はアクチュエータのカム部をコンタクトの上側アームに押圧させることで、ハウジングの奥行き寸法を短縮させることができる。
【0008】
本発明によれば、接続対象物の挿入口を有するハウジングと、ハウジング内に挿入されかつ接点部を有する第1と第2コンタクトと、ハウジングに回動自在に枢支されかつカム部を有するアクチュエータとを有し、アクチュエータの閉時アクチュエータのカム部が接続対象物を押圧しかつ第2コンタクトの上側アームを押圧し、両押圧点がアクチュエータの回動中心の下又はその奥側に位置することを特徴とするコネクタが提供される。
【0009】
好ましくは、第1コンタクトの下側アームの接点がアクチュエータの回動中心の下に位置しかつ第2コンタクトの上側アームの先端部が接続対象物に当接する。アクチュエータが、第1コンタクトの上側アームの先端部を受ける孔と第2コンタクトの上側アームを受ける溝とを有する。
【0010】
さらに好ましくは、ハウジングの前方に開口部を有し、アクチュエータ閉時アクチュエータが開口部を閉じる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コネクタの奥行き寸法を短縮させ、コネクタの小型化を可能にする。さらに、アクチュエータ閉時アクチュエータがハウジングの開口部を閉じ、ハウジングからの突出物やハウジング内に異物の進入を許す開口がなく、コネクタを小型化させ得る。
さらに、アクチュエータのカム部の接続対象物と第2コンタクトの上側アームとの押圧点をアクチュエータの回動中心の下方又はやや奥気味とさせているので、接続対象物の引き回しによるアクチュエータの開を阻止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
コネクタ1は、絶縁性のハウジング2と、ハウジング2に回動自在に枢支されたアクチュエータ3を有す。ハウジング2は、前後に開放された筒形をなし、その頂壁の前方部に開口部4が形成されている。
アクチュエータ3はハウジング2の側壁に枢支され、図1に示す開位置と図2に示す閉位置との間を回動自在である。
【0013】
ハウジング2内に、図1と図2に示す如く、導電材の第1コンタクト13がハウジング2の前方開口より挿入される。第1コンタクト13は、ハウジング2の底壁に沿う基部5と、基部5の上向き部から前方へ延出する下側アーム6と、下側アーム6とは離間して前方へ延出する上側アーム7とを有す。基部5はその一部がハウジング2に係止されかつ基部5と一体の基板12の前方に半田付け部8を有す。
上側アーム7の先端部はアクチュエータ3の貫通孔9に挿入され、アクチュエータ3のカム部10の円弧面が上側アーム7の下側面に接する。
下側アーム6の先端に接点部11を有し、接点部11をハウジング2のほぼ中央に位置しかつアクチュエータ3の回動中心23のほぼ真下に位置する。
【0014】
ハウジング2の後方開口よりハウジング2内に挿入される導電材の第2コンタクト14は、基部15より前方へ延在する下側アーム16と、下側アーム16とは離間しかつU字部26を介して前方に延在する上側アーム17を有す。18は半田付け部を示す。第2コンタクト14の下側アーム16は、第1コンタクト13の下側アーム6より長く、その先端の接点部19は、隣り合う接点部11より挿入側に位置する。両接点部11,19は千鳥状をなす。カム部10は上側アーム17のほぼ中央に当接する。
【0015】
アクチュエータ3の回動中心23は、奥側の接点部11の周辺(奥側を含む)の上方、或いは両接点部11,19間の上方に位置させる。アクチュエータ3はその下壁面に長手方向に沿う溝20を有し、溝20は上側アーム17を納め得る寸法を有す。
両コンタクト13,14は隣り合う形で複数個並設させられる。
【0016】
ハウジング2の前方の挿入口21より、接続対象物22をハウジング2内に挿入する。接続対象物22の下面の接点に接点部11,19が接触し、カム部10と上側アーム17とが接続対象物22の上面に対向する。
図2と図4に示すように、アクチュエータ3を前方へ押し倒し、閉位置とさせる。カム部10が接続対象物22を押し下げ両接点部11,19への接触圧を高める。さらに、カム部10は上側アーム17を押し下げ、接続対象物22を両接点部11,19へ圧接させる。
図2に示すように、アクチュエータ3の閉時カム部10が接続対象物22を押圧し、接続対象物22が接点部11を押し下げ、電気的接触圧を確保する。押圧点24は、アクチュエータ3の回動中心23のやや奥側に位置しかつ接点部11が回動中心のほぼ真下に位置する。
【0017】
図4に示すように、アクチュエータ3の閉時カム部10が上側アーム17を押圧するが、押圧点25は回動中心23のほぼ真下にあり、上側アーム17の先端の接続対象物22への当接部27は、押圧点25より相当前方に位置する。アクチュエータ3の回動中心23をハウジング2の中央部近くに位置させているので、当接部27を挿入口21に限りなく近付けて配置でき、接続対象物22の引き回しに対し、上側アーム17が効率よく抵抗し、引き回しによるアクチュエータ3の開を阻止する。
【0018】
アクチュエータ3の回動中心が奥側の接点部11の上方又は両接点部11,19間であって接点部11側の上方に位置するので、カム部10の押し下げ力は両接点部11,19に効率よく作用する。又、第1コンタクト13の上側アーム7はハウジング2の頂壁内面に接しているので、上側アーム7の下面に接するカム部10の押し下げ力は上方に逃げることなく下方へ確実に向けられる。
第2コンタクト14の上側アーム17の根元の基部15への結合部は、上側アーム17の弾性変形を確保するためU字部26としてある。このため、上側アーム17が接続対象物を下向きに押すことができる。
下側アーム6,16は、ハウジング2の底壁の内面と離間し、接続対象物の押し下げに対し反発し、両アーム16,17間に接続対象物22を挟持する。
【0019】
図5と図6に示す例は、図1と図2に示す第1コンタクト13の変形例の第1コンタクト13’を有す。第1コンタクト13’は中間アーム28を有し、中間アーム28は上側アーム7と下側アーム6との間であって、両アーム6,7に沿って基部5より前方へ延出し、その先端部に当接部29を有す。
当接部29は接点部11の上方に位置し、回動中心23のほぼ真下に位置する。中間アーム28以外の構成は図1と図2に示す例と同じであり、同一部品に同一符号を記し、その説明を省略する。
【0020】
アクチュエータ3を閉状態とさせると、図6に示すように、カム部10が中間アーム28の押圧点30を押圧し、当接部29が接続対象物を押し下げ、第2コンタクト14の上側アーム17と同じ働きをする。
接続対象物22の引き回し時、当接部29が第2コンタクト14の当接部27と同じ働きをし、引き回しに効率よく抵抗する。
【0021】
図5と図6に示す中間アーム28の当接部29及び第2コンタクト14の当接部27を電気的接点部としても用い、接続対象物22の両面より電気信号を得ても良い。
【0022】
本発明では、アクチュエータ3の回動中心を奥側の接点部11の周辺上方としていることから、ハウジング2の奥行き寸法を従来のものより小とさせ、コネクタ1を小型化させ得る。さらに、前方開口部4をアクチュエータ3が塞ぐので、使用中は突出物や不用な開口のない長方形の箱形となり、取付スペースを小さくできる。さらに、引き回しに対してアクチュエータ3を開とさせることはない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】アクチュエータ開時の第1コンタクト部のコネクタの断面図である。
【図2】アクチュエータ閉時の第1コンタクト部のコネクタの断面図である。
【図3】アクチュエータ開時の第2コンタクト部のコネクタの断面図である。
【図4】アクチュエータ閉時の第2コンタクト部のコネクタの断面図である。
【図5】中間アームを有する第1コンタクトの変形例を示す断面図である。
【図6】図5の例でアクチュエータを閉とした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 コネクタ
2 ハウジング
3 アクチュエータ
4 開口部
5 基部
6,16 下側アーム
7,17 上側アーム
9 貫通孔
10 カム部
11,19 接点部
12 基板
13,13’ 第1コンタクト
14 第2コンタクト
15 基部
20 溝
21 挿入口
22 接続対象物
23 回動中心
24,25 押圧点
27,30 当接部
28 中間アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物の挿入口を有するハウジングと、ハウジング内に挿入されかつ接点部を有する第1と第2コンタクトと、ハウジングに回動自在に枢支されかつカム部を有するアクチュエータとを有し、アクチュエータの閉時アクチュエータのカム部が接続対象物を押圧しかつ第2コンタクトの上側アームを押圧し、両押圧点がアクチュエータの回動中心の下又はその奥側に位置することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
第1コンタクトの下側アームの接点がアクチュエータの回動中心の下に位置しかつ第2コンタクトの上側アームの先端部が接続対象物に当接する請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
アクチュエータが、第1コンタクトの上側アームの先端部を受ける孔と第2コンタクトの上側アームを受ける溝とを有する請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
ハウジングの前方に開口部を有し、アクチュエータ閉時アクチュエータが開口部を閉じる請求項2又は3記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−196356(P2006−196356A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7779(P2005−7779)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(503461641)アベニールエレクトロニクスインターナショナル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】