説明

コポリマー、その組成物及びそれらの製造方法

非晶質エチレンプロピレンコポリマー、その組成物、及びその製造方法を提供する。このコポリマーは約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位;及び約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位を含み得る。このコポリマーは、DSCで測定すると融点を識別できず、MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上であり、分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5であり、かつ70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たすことによって特徴づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
この出願は、2010年1月27日に出願されたUSSN 61/298,816に対する優先権及びその利益を主張する。その開示内容は参照によってその全体が本明細書に援用される。
(発明の分野)
開示する実施形態は、一般的にエチレン-プロピレンコポリマー、それを含有する潤滑油組成物、及びそれらの製造方法に関する。さらに詳しくは、開示する実施形態は、非晶質エチレン-プロピレンコポリマーを含有するレオロジー改質剤及びそれを含有する潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多くの天然及び合成組成物は、レオロジーを改変する添加剤から利益を得る。例えば、潤滑油配合物は一般的に、レオロジー挙動を改変するポリオレフィン由来の粘度指数向上剤を含む。平均エチレン含量又はせん断下での鎖切断傾向を上昇させることなく、高い増粘効率を有するポリオレフィン添加剤を開発するため多くの試みが行われてきた。
しかしながら、多くの従来のポリオレフィン添加剤は以下:(a)添加剤が分子量のせん断誘導低下によって大きな影響を受けるような高い分子量フラクション−該組成物は、好ましくない増粘効率(thickening efficiency)(TE)/せん断安定性指数(shear stability index)(SSI)比(該組成物が所定のSSIに対して低い増粘効率を有するという点で)を有する;(b)広い多分散指数も広い組成分布も含む従来の触媒を用いる調製;のような好ましくない特徴に悩まされる。非晶質及び半結晶性ポリオレフィンのブレンドは、多分散指数及び分子間組成不均質の有意かつ所定の広幅化を有する。
基油中のろう分子との相互作用を最小限にするようにほとんど結晶性を持たないか又は完全に非晶質であるポリオレフィン添加剤を製造するのが望ましいであろう。しかしながら、このようなポリマーは低バルク粘度を有し、粘着性であり、かつ典型的な仕上げ操作において取り扱いが極端に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、低エチレン含量を有し、かつ適正なペレット取扱い特性を維持しながら、潤滑油中において以下の特性:広範な温度にわたってより一定した粘度;(b)増粘効率の向上;及び(c)増粘効率対SSIの比の向上を促す粘度指数向上組成物が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の概要)
非晶質エチレンプロピレンコポリマー及びその製造方法を提供する。少なくとも1つの特定実施形態では、本コポリマーは、約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位;及び約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位を含み得る。本コポリマーは、DSCで測定すると融点を識別できず、MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上であり、分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5であり、かつ70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たすことによって特徴づけられる。
少なくとも1つの特定実施形態では、本方法は下記:エチレンとエチレンを、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンジメチル又はジ(p-トリエチルシリルフェニル)メチレン[(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)]ハフニウムジメチルの存在下、約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位と約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位とを含み、かつDSCで測定すると融点を識別できず、MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上であり、分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5であり、及び70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たすことを特徴とする非晶質コポリマーを製造するのに十分な条件下で反応させる工程を含む。
【0005】
油組成物及びその製造方法をも提供する。少なくとも1つの特定実施形態では、油組成物は、基油と、約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位及び約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位を含む非晶質エチレンプロピレンコポリマーとを含む。ここで、このコポリマーは、DSCで測定すると融点を識別できず、MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃)が)約38以上であり、分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5であり、かつ70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たすことを特徴とし、この非晶質エチレンプロピレンコポリマーは、約1.7〜約2.2の増粘効率;及び約15%〜約35%のSSIを有する油組成物を与えるのに十分な量で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(詳細な説明)
提供する1つ以上の実施形態によれば、エチレン-プロピレンコポリマーは、実質的に又は完全に非晶質である。本明細書では、用語「実質的に非晶質」とは、約2.0wt.%未満の結晶化度を意味し;一方「完全に非晶質」とはDSCで測定すると融点を識別できないことを意味する。従って、エチレン-プロピレンコポリマーは約2.0wt.%未満、1.5wt.%未満、約1.0wt.%未満、約0.5wt.%未満、又は0.1wt.%未満の結晶化度を有することがあり、エチレン-プロピレンコポリマーは、DSCで測定すると融点を識別できない可能性がある。
エチレン-プロピレンコポリマーは、約35wt.%〜約75wt.%のエチレン誘導単位を有し得る。エチレン-プロピレンコポリマーは、約40wt.%〜約70wt.%のエチレン誘導単位を有することもある。いくつかの実施形態では、エチレン含量が約35wt.%、40wt.%、又は42wt.%の低い含量から約50wt.%、60wt.%、又は70wt.%の高い含量の範囲であり得る。
エチレン-プロピレンコポリマーは、約15wt.%〜約65wt.%のプロピレン誘導単位を有し得る。エチレン-プロピレンコポリマーは、約30wt.%〜約60wt.%のプロピレン誘導単位を有することもある。いくつかの実施形態では、プロピレン含量は、約30wt.%、40wt.%、又は50wt.%の低い含量から約40wt.%、50wt.%、又は65wt.%の高い含量の範囲であり得る。
【0007】
1つ以上の実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、20wt.%までの1種以上の他のコモノマーを含み得る。適切なコモノマーには、4〜20個の炭素原子を有するα-オレフィンがある。適切なα-オレフィンコモノマーは直鎖又は分岐状であってよく、所望により2種以上のα-オレフィンコモノマーを使用することができる。例えば、適切なα-オレフィンコモノマーは、いずれの1種以上の直鎖C4-C12α-オレフィン、及び1つ以上のC1-C3アルキル分岐を有するα-オレフィンをも包含し得る。具体例としては、1-ブテン;3-メチル-1-ブテン;3,3-ジメチル-1-ブテン;1-ペンテン;1つ以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1-ペンテン;1つ以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1-ヘキセン;1つ以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1-ヘプテン;1つ以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1-オクテン;1つ以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1-ノネン;エチル、メチル若しくはジメチル置換1-デセン、又は1-ドデセンが挙げられる。好ましいコモノマーとしては、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、C3〜C5のいずれかにメチル置換基を有する1-ヘキセン、C3又はC4に化学量論的に許容できるいずれの組合せでも2つのメチル置換基を有する1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、1-オクテン、C3又はC4のいずれかにメチル置換基を有する1-ペンテン、C3〜C5のいずれかに化学量論的に許容できるいずれの組合せでも2つのメチル置換基を有する1-ヘキセン、C3又はC4に化学量論的に許容できるいずれの組合せでも3つのメチル置換基を有する1-ペンテン、C3又はC4のいずれかにエチル置換基を有する1-ヘキセン、C3にエチル置換基と、C3又はC4に化学量論的に許容できるいずれの位置でもメチル置換基とを有する1-ペンテン、1-デセン、1-ノネン、C3〜C8のいずれかにメチル置換基を有する1-ノネン、C3〜C7に化学量論的に許容できるいずれの組合せでも2つのメチル置換基を有する1-オクテン、C3〜C6に化学量論的に許容できるいずれの組合せでも3つのメチル置換基を有する1-ヘプテン、C3〜C7にエチル置換基を有する1-オクテン、C3又はC4に化学量論的に許容できるいずれの組合せでも2つのエチル置換基を有する1-ヘキセン、並びに1-ドデセンが挙げられる。他の適切なコモノマーとして、内部オレフィン、例えばcis-2-ブテン及びtrans-2-ブテンがある。
【0008】
他の適切なコモノマーには1種以上のポリエンがある。本明細書では、用語「ポリエン」は、2つ以上の不飽和を有するモノマーを包含し;すなわち、ジエン、トリエン等を意味する。コモノマーとして特に有用なポリエンは、非共役ジエンであり、好ましくは約6〜約15個の炭素原子を有する直鎖炭化水素ジオレフィン又はシクロアルケニル置換アルケン、例えば:(a)直鎖非環式ジエン、例えば1,4-ヘキサジエン及び1,6-オクタジエン;(b)分岐鎖非環式ジエン、例えば5-メチル-1,4-ヘキサジエン;3,7-ジメチル-1,6単環脂環式ジエン、例えば1,4-シクロヘキサジエン;1,5-シクロ-オクタジエン及び1,7-シクロドデカジエン;(c)多環脂環式縮合環ジエン及び多環脂環式架橋環ジエン、例えばテトラヒドロインデン;ノルボルナジエン;メチル-テトラヒドロインデン;ジシクロペンタジエン(DCPD);ビシクロ-(2.2.1)-ヘプタ-2,5-ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル及びシクロアルキリデンノルボルネン、例えば5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、及び5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB);及び(d)シクロアルケニル置換アルケン、例えばビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、4-ビニルシクロヘキセン、アリルシクロデセン;及びビニルシクロドデセンである。典型的に用いられる非共役ジエンジエンんぼうち、好ましいジエンは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン;5-メチル-1,4-ヘキサジエン;3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン;5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、及びテトラシクロ(Δ-11,12)-5,8-ドデセンである。この出願全体を通して、用語「ポリエン」、「非共役ジエン」及び「ジエン」を互換的に使用することに留意されたい。長鎖分岐の形成をもたらさないジエンを使用するのが好ましい。VI向上剤としてうまく使用するためには、非分岐又は低分岐ポリマー鎖が好ましい。使用可能な他のポリマーには、シクロペンタジエン及びオクタテトラエンがある。
【0009】
(物理的性質)
1つ以上の実施形態では、コポリマーは、ASTM 1238D(230℃,2.16kg)で測定したメルトフローレート(「MFR」)が約3〜約25g/10分であり得る。MFRが約3〜約20g/10分、約5〜約15g/10分、又は約6〜約12g/10分であってもよい。
1つ以上の実施形態では、コポリマーは、ASTM 1238D(230℃,21.6kg)で測定した高荷重メルトフローレート(「HLMFR」)が約50〜約1000/10分であり得る。HLMFRが約100〜約800g/10分、約100〜約600g/10分、又は約100〜約500g/10分であってもよい。1つ以上の実施形態では、HLMFRが約100〜約1000g/10分;又は約200〜約600g/10分である。
1つ以上の実施形態では、コポリマーは、21.6kg;230℃のメルトフローレート対2.16kg;230℃のメルトフローレートの比(MFRR)が約30以上であり得る。好ましくは、MFRRが35より大きく、40より大きいか又は42より大きい。1つ以上の実施形態では、コポリマーは、21.6kg;230℃のメルトフローレート対2.16kg;230℃のメルトフローレートの比(MFRR)が、約200以下であり得る。好ましくは、MFRRは100未満、80未満又は60未満である。1つ以上の実施形態では、MFRRが約25、30、又は35の低い値から約45、70、又は85の高い値の範囲であり得る。1つ以上の実施形態では、MFRRが約22、32、又は42の低い値から約52、62、又は72の高い値の範囲であり得る。
【0010】
1つ以上の実施形態では、コポリマーは、ポリスチレンに換算してGPCで測定した重量平均分子量(Mw)が約30,000〜約800,000の範囲であり得る。さらに好ましくは、重量平均Mwが約40,000〜約600,000又は約70,000〜約300,000である。なおさらに好ましくは、重量平均Mwが約70,000〜約200,000である。
1つ以上の実施形態では、コポリマーは、GPCで測定した数平均分子量(Mn)が約10,000〜約400,000の範囲、又は約20,000〜約300,000の範囲、又は約35,000〜約200,000の範囲であり得る。
1つ以上の実施形態では、コポリマーは、GPCで測定したMw/Mn(「MWD」)が約5.0以下、又は約4.0以下、又は3.0以下、又は2.2以下であり得る。1つ以上の実施形態では、Mw/Mnが2.8未満、又は2.6未満、又は2.4未満、又は2.3未満、又は2.2未満である。1つ以上の実施形態では、Mw/Mnが約1.0〜約3.0;約1.5〜約2.5;約2.0〜約2.4;又は約2.1〜約2.3である。
Mz、Mw、及びMnは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定可能である。この技術は、多孔質ビーズを詰めたカラム、溶出溶媒及び異なるサイズのポリマー分子を分離するための検出器を含む機器を利用する。典型的測定では、使用するGPC機器は、145℃で操作されるウルトラスチロ(ultrastyro)ゲルカラムを備えたWatersクロマトグラフである。使用する溶出溶媒はトリクロロベンゼンである。正確に分子量が分かっている16種のポリスチレン標準物質を用いてカラムを較正する。標準物質から得られたポリスチレン保持容積と試験ポリマーの保持容積との相関関係よりポリマー分子量を得る。
既知式から平均分子量Mを計算することができる。所望のMWD関数(例えば、Mw/Mn又はMz/Mw)は、対応するM値の比である。M及びMWDの測定は技術上周知であり、例えば、Slade, P. E. Ed., Polymer Molecular Weights Part II, Marcel Dekker, Inc., NY, (1975), pp. 287-368;Rodriguez, F., Principles of Polymer Systems 3rd ed., Hemisphere Pub. Corp., NY, (1989), pp. 155-160;米国特許第4,540,753号;Ver Strate et al., Macromolecules, Vol. 21, (1988), pp. 3360-3372でさらに詳細に論じられている。
【0011】
1つ以上の実施形態では、コポリマーは、70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たし得る。1つ以上の実施形態では、コポリマーは、70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.6*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たし得る。1つ以上の実施形態では、コポリマーは、70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.8*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たし得る。
1つ以上の実施形態では、コポリマーは、最初の融解時の融解熱が約0〜約60J/g又は約0〜約50J/g、又は約0〜約40J/g、又は約0〜約35J/g、或いは約30J/g未満、又は約20J/g未満、又は約15J/g未満であり得る。好ましい実施形態では、コポリマーは実質的に非晶質であり、融解熱を測定できない。
【0012】
(触媒)
長鎖分岐を作り出せるいずれの従来の触媒を用いてもエチレン-プロピレンコポリマーを調製し得るが、好ましくは重合はメタロセン触媒の存在下で行われる。本明細書では、用語「メタロセン」、「メタロセンプレ触媒」及び「メタロセン触媒前駆体」は、遷移金属Mと、少なくとも1つのシクロペンタジエニル(Cp)配位子、少なくとも1つの非シクロペンタジエニル誘導配位子X、及びゼロ又は1つのヘテロ原子含有配位子(YR2r)(配位子はMに配位結合し、数はその原子価に対応する)とを有する化合物を意味する。メタロセン触媒前駆体は一般的に中性錯体であるが、適切な共触媒で活性化されると、一般的にオレインを配位結合し、挿入し、また重合することができる空の配位サイトを有する有機金属錯体を指す活性メタロセン触媒をもたらす。メタロセン触媒前駆体は、好ましくは下記タイプのどちらか又は両方のメタロセン化合物の1つ、或いは混合物である:(1)配位子用の2つのCp環系を有するシクロペンタジエニル(Cp)錯体(ビス-Cp又はビス-Cp錯体とも称する)、及び(2)配位子として1つだけCp環系を有するモノシクロペンタジエニル錯体(モノ-Cp又はモノ-Cp錯体とも称する)。
第1のタイプ、すなわち、タイプ1のシクロペンタジエニル(Cp)錯体は、配位子用の2つのCp環系を有し、これが金属とサンドイッチ錯体を形成し、回転が自由にできるか(非架橋)又は架橋基を介してリジッドな立体構造に固定され得る。2つのCp環配位子は、類似若しくは非類似の無置換、置換配位子、又はその誘導体、例えばヘテロ環式環系であり得、置換されていてもよく、置換基が縮合して他の飽和又は不飽和環系、例えばテトラヒドロインデニル、インデニル、シクロペンタナフチル又はフルオレニル環系を形成し得る。これらのCp錯体は下記一般式を有する。
(Cp1R1m)R3n(Cp2R2p)MXq (1)
式中、配位子(Cp1R1m)のCp1及び配位子(Cp2R2p)のCp2はCp環であり、各R1及び各R2は独立に、ハロゲン、又は約20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、若しくは置換ハロカルビル基であり、mは0〜5であり、pは0〜5であり、Cp環の隣接炭素原子上で関連するいずれの2つのR1及び/又はR2置換基も結合して4〜約20個の炭素原子を含む環を形成することがあり、R3は、任意に(Cp1R1m)配位子と(Cp2R2p)配位子を架橋する架橋基であり、nは、2つの配位子間の直接鎖中の原子数であり、0〜8、好ましくは1〜3(0は架橋基が存在しないことを示す)の整数であり、Mは、3〜6の原子価を有し、好ましくは元素周期表の第4族、第5族、又は第6族の、好ましくはその最高酸化状態の遷移金属であり、各Xは非シクロペンタジエニル配位子であって、独立に、ハロゲン又はヒドリド、又は約20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、若しくは置換ハロカルビル基であり、qは、Mの原子価マイナス2に等しい。
【0013】
1つだけCp環系を有する第2のタイプ、すなわち、タイプ2のモノ-Cp錯体は、金属と半サンドイッチ錯体を形成し、自由に回転できるか(非架橋)又はヘテロ原子含有配位子への架橋基を介してリジッドな立体構造に固定され得る。Cp環配位子は無置換、置換配位子、又はその誘導体、例えばヘテロ環式環系であり得、置換されていてよく、置換基が縮合して他の飽和若しくは不飽和環系、例えばテトラヒドロインデニル、インデニル、シクロペンタナフチル又はフルオレニル環系を形成してもよい。ヘテロ原子含有配位子は、架橋基を介して金属にかつ任意にCp配位子にも結合している。ヘテロ原子自体は、元素周期表の第15族からの配位数3を有する原子又は第16族からの配位数2を有する原子である。これらのモノ-Cp錯体は下記一般式を有する。
(Cp1R1m)R3n(YR2r)MXsLt (2)
式中、配位子(Cp1R1m)のCp1はCp環であり、R1は独立にハロゲン、又は20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、若しくは置換ハロカルビル基であり、「m」は0〜5であり、Cp環の隣接炭素原子上で関連するいずれの2つのR1置換基も結合して4〜約20個の炭素原子を含む環を形成することがあり、R3は、任意に(Cp1R1m)配位子と(YR2r)配位子を架橋する架橋基であり、「n」は、2つの配位子間の直接鎖中の原子数であり、0〜8、好ましくは1〜3(0は架橋基が存在しないことを示す)の整数であり、Mは、3〜6の原子価を有し、好ましくは元素周期表の第4族、第5族、又は第6族の、好ましくはその最高酸化状態の遷移金属であり、Yはヘテロ原子であり、このヘテロ原子は、元素周期表の第15族からの配位数3を有する元素又は第16族からの配位数2を有する元素、好ましくは窒素、リン、酸素、又はイオウであり、rは、Yが配位数3を有し、かつnが0でないとき、又はYが配位数2を有し、かつnが0であるときは1であり、或いはrは、Yが配位数3を有し、かつnが0であるときは2であり、或いはrは、Yが配位数2を有し、かつnが0でないときは0(R2が存在しないことを意味する)であり、R2は、C1〜C20ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、又は置換ハロカルビル基から選択される基であり、各Xは非シクロペンタジエニル配位子であり、かつ独立にハロゲン、ヒドリド、又は約20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、若しくは置換ハロカルビル基であり、「s」は、Mの原子価マイナス2に等しく、Lは独立に、オレフィン、ジオレフィン、アリーン、アミン、ホスフィン、エーテル、スルフィド配位子、又はいずれかの他の中性ルイス塩基であり、tは、Mに結合しているLの数を表し、tは0、1、又は2であり、任意にいずれのLもいずれのXも互いに結合し得る。
【0014】
第1のタイプ、すなわち、タイプ1のシクロペンタジエニル(Cp)錯体の好ましい選択は、下記式(3)のビス-Cpメタロセン錯体である。
【0015】
【化1】

(3)
【0016】
式中、Mは、Ti、Zr及びHfから選択される第4族遷移金属であり、各R1、R4、R5、R6及びR7は、独立に、水素、ハロゲン、又は約20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、若しくは置換ハロカルビル基であり、かつ任意に、いずれの隣接する2つのR1、R4、R5、R6、又はR7も結合して4〜約20個の炭素原子を含む環を形成してもよく、R3は、第13族、第14族、第15族又は第16族元素を含む架橋基であり、Xは非シクロペンタジエニル配位子であって、独立に、ハロゲン、ヒドリド、又は約20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、若しくは置換ハロカルビル基であり、任意に、両Xが結合してもよい。
第1のタイプ、すなわち、タイプ1のシクロペンタジエニル(Cp)錯体の別の好ましい選択は、式(3)のビス-Cpメタロセン錯体であって、Mがジルコニウム又はハフニウムであり、R1、R4、R5、R6及びR7がそれぞれ独立にヒドリド、メチル、エチル、及びプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルの全ての異性体から選択され、R3は、ジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、メチレン、1,2-エチレン、1,3-プロピレン、1,1-ジメチルメチレン、1,1-ジフェニルメチレン、ジ(p-トリエチルシリルフェニル)メチレンから選択され、Xは、独立に、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドリド、メチル、ベンジル、ジメチルアミド、ジエチルアミドから選択され、或いは両Xが一緒にブタジエン、又はペンタジエン若しくはヘキサジエンのいずれの異性体であってもよい。
第1のタイプ、すなわち、タイプ1のシクロペンタジエニル(Cp)錯体の最も好ましい選択は、式(3)のビス-Cpメタロセン錯体であって、Mがハフニウムであり、R1、R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立にヒドリド、メチル、エチル並びにプロピル、及びブチルの全ての異性体から選択され、さらに好ましくは各R1、R4、R6及びR7がヒドリドであり、各R5がtert-ブチルであり、R3が1,1-ジメチルメチレン、1,1-ジフェニルメチレン及びジ(p-トリエチルシリルフェニル)メチレンから選択され、各Xがメチルであるか、或いは両Xが一緒にブタジエン、又はペンタジエン若しくはヘキサジエンのいずれかの異性体である。
好ましい実施形態では、第1のタイプ、すなわち、タイプ1のシクロペンタジエニル(Cp)錯体がジ(p-トリエチルシリルフェニル)メチレン[(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)]ハフニウムジメチルである。上記タイプ1で述べたタイプの他の適切なビス-Cpメタロセンの例は米国特許第5,324,800号;米国特許第5,198,401号;米国特許第5,278,119号;米国特許第5,387,568号;米国特許第5,120,867号;米国特許第5,017,714号;米国特許第4,871,705号;米国特許第4,542,199号;米国特許第4,752,597号;米国特許第5,132,262号;米国特許第5,391,629号;米国特許第5,243,001号;米国特許第5,278,264号;米国特許第5,296,434号;及び米国特許第5,304,614号に開示されている。
【0017】
1つだけCp環系を有する、すなわち、タイプ2のモノ-Cp錯体の好ましい選択は、式(4)のモノ-Cp遷移金属成分であって、Mが、Ti、Zr及びHfから選択される第4族遷移金属であり、R1が独立に、水素、ハロゲン、又は約20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル、ハロカルビル、ヒドロカルビル-置換オルガノメタロイド若しくはハロカルビル-置換オルガノメタロイド基であり、任意にいずれの2つの隣接R1も結合して4〜約20個の炭素原子を含む環を形成してよく、R3は、第13族、第14族、第15族又は第16族元素を含む架橋基であり、Yは、第15族ヘテロ原子であり、R2は、C1〜C20ヒドロカルビル基、置換C1〜C20ヒドロカルビル基(1個以上の水素原子がハロゲン原子と置き換わっている)から成る群より選択される基であり、Xは非シクロペンタジエニル配位子であって、独立に、ハロゲン、ヒドリド、又は約20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル、オキシヒドロカルビル、ハロカルビル、ヒドロカルビル-置換オルガノメタロイド、オキシヒドロカルビル-置換オルガノメタロイド若しくはハロカルビル-置換オルガノメタロイド基であり、任意に、両Xが結合してもよい。
【0018】
【化2】

(4)
【0019】
1つだけCp環系を有する、すなわち、タイプ2のモノ-Cp錯体の別の好ましい選択は、式(4)のモノ-Cp遷移金属成分であって、Mはチタンであり、Yは窒素であり、R1は独立に、水素、メチル、又はエチル、並びにプロピル及びブチルの全ての異性体から選択され、R2は、メチル、エチル、フェニル、ベンジル並びにプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、アダマンチル、ノルボルニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、プロピルフェニル及びジプロピルフェニルの全ての異性体から選択され、R3は、ジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、メチレン、1,2-エチレン、1,3-プロピレン、1,1-ジメチルメチレン、1,1-ジフェニルメチレンから選択され、Xは、独立に、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドリド、メチル、ベンジル、ジメチルアミド、ジエチルアミドから選択され、或いは両Xが一緒にブタブタジエン、又はペンタジエン若しくはヘキサジエンのいずれの異性体であってもよい。
1つだけCp環系を有する、すなわち、タイプ2のモノ-Cp錯体の最も好ましい選択は、式(4)のモノ-Cp遷移金属成分であって、Mはチタンであり、Yは窒素であり、R1はメチルであり、R2はtert-ブチル、1-アダマンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル及びベンジルから選択され、R3はジメチルシリレンであり、各Xはメチルであるか又は両Xが一緒にブタジエン、又はペンタジエン若しくはヘキサジエンのいずれかの異性体である。
上記タイプ2で述べたタイプの適切なモノ-Cp錯体の例は、米国特許第5,026,798号;米国特許第5,055,438号;米国特許第5,096,867号;米国特許第5,264,405号;RE37,788号;RE37,400号;米国特許第5,955,625号;米国特許第6,265,338号;米国特許第6,638,887号;米国特許第7,163,907号;及び米国特許第7,569,646号に開示されている。
好ましい実施形態では、1つだけCp環系を有する、すなわち、タイプ2のモノ-Cp錯体の選択は、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンジメチルである。
1つ以上の実施形態では、共重合技術は複数の触媒、すなわち、2種以上のビス-Cp触媒、又は2種以上のモノ-Cp触媒、又は1種以上のビス-Cp触媒と1種以上のモノ-Cp触媒を利用することができる。
【0020】
(活性剤)
非配位性アニオンを含む共触媒又は活性剤(activator)を用いて、本方法で利用する触媒前駆体を活性化することもでき或いはルイス酸活性剤、又はその組合せで活性化することができる。
イオン活性剤は、非配位性アニオンを含む。用語「非配位性アニオン」(NCA)は、前記遷移金属カチオンに配位しないか又は前記カチオンに弱くしか配位せず、その結果、中性ルイス酸と置き換わるのに十分不安定なままであるアニオンを意味する。「適合性」NCAは、最初に形成された錯体が分解するときに中性にならないNCAである。さらに、アニオンは、アニオンから中性四配位メタロセン化合物及び中性副生物を生じさせるようには、アニオン置換基又はフラグメントをカチオンに移動させないであろう。本明細書の目的に有用なNCAは、適合性であり、その+1状態のイオン電荷のバランスを取るという意味でメタロセンカチオンを安定化し、かつそれでも重合中にエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーによる置換を可能にするのに十分な不安定性を保持する当該NCAである。さらに、本明細書の目的に有用なアニオンは、重合プロセスで存在し得る重合可能モノマー以外のルイス酸によるメタロセンカチオンの中和を大いに阻害又は防止するのに十分な分子サイズという意味で大きいか又はかさ高いであろう。典型的にアニオンは約4Å以上の分子サイズを有するであろう。NCAは、アルモキサン等の他の活性化系を用いた場合の傾向より高い温度で目標とする分子量のポリマーを生じさせるそれらの能力のため好ましい。
非配位性アニオンによって活性化されたメタロセンカチオンを用いる配位重合用のイオン触媒の説明は、EP-A-0 277 003、EP-A-0 277 004、WO92/00333、米国特許第5,198,401号、及び米国特許第5,278,119号で見られる。これらの参考文献は、アルキル/ヒドリド基を遷移金属から引き抜いて、それをカチオン性にし、かつ非配位性アニオンによって電荷バランスをも取るように、アニオン前駆体によってメタロセン(ビス-Cp及びモノ-Cp)をプロトン化する、好ましい調製方法を教示する。活性プロトンを含まないが活性メタロセンカチオンも非配位性アニオンをも生じさせ得るイオン化合物をイオン化する利用法も知られている。例えば、EP-A-0 426 637、EP-A-0 573 403、及び米国特許第5,387,568号を参照されたい。メタロセン化合物をイオン化できるブレンステッド酸以外の反応性カチオンとしては、フェロセニウムトリフェニルカルボニウムカチオン及びトリエチルシリリニウムカチオンが挙げられる。
【0021】
水(又は他のブレンステッド酸若しくはルイス酸)による分解に耐性を示す配位錯体を形成できるいずれの金属又はメタロイドをも第2の活性剤化合物のアニオンに使用又は含めてよい。適切な金属としては、限定するものではないが、アルミニウム、金、白金などが挙げられる。適切なメタロイドとしては、限定するものではないが、ホウ素、リン、ケイ素などが挙げられる。
イオン触媒のさらなる製造方法は、最初は中性ルイス酸であるが、メタロセン化合物とのイオン化反応によってカチオンとアニオンを形成するアニオン前駆体(ルイス酸活性剤)を活性化する工程を利用する。例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素が作用してアルキル、ヒドリド又はシリル配位子を引き抜いてメタロセンカチオンを生じさせ、非配位性アニオンを安定化する。例えば、EP-A-0 427 697及びEP-A-0 520 732を参照されたい。アニオン基と共に金属酸化基を含むアニオン前駆体による遷移金属化合物の金属中心の酸化によって、付加重合用のイオン触媒を調製することもできる。EP-A-0 495 375を参照されたい。
【0022】
金属配位子がハライド部分、例えば、[ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(tert-ブチルアミド)ジルコニウムジクロリド]を含み、標準条件下でイオン化引抜きができない場合、リチウム若しくはアルミニウムヒドリド又はリチウム若しくはアルミニウムアルキル、アルキルアルモキサン、グリニャール試薬などの有機金属化合物を用いる既知のアルキル化反応によってそれらを変換することができる。活性化アニオン化合物の添加前又は添加と同時のアルキルアルミニウム化合物とジハライド置換メタロセン化合物の反応について述べている方法は、EP-A-0 500 944、EP-A1-0 570 982、及びEP-A1-0 612 768で見つかる。例えば、反応容器にメタロセンを導入する前にアルミニウムアルキル化合物をメタロセンと混合してよい。アルキルアルミニウムは捕捉剤としても適しているので、メタロセンのアルキル化に普通に化学量論的に必要なアルキルアルミニウムを超えたその使用は、メタロセン化合物を含む反応溶媒へのその添加を許容するであろう。普通は、アルモキサンは、早発活性化を回避するように、メタロセンと共に添加されないが、捕捉剤としてもアルキル化活性剤としても働くときは、重合可能モノマーの存在下で反応容器に直接添加することができる。アルモキサンは捕捉機能をも果たし得る。
同様に、補助活性剤(co-activator)は、活性剤と組み合わせて使用すると、活性触媒を形成するように、遷移金属錯体をアルキル化できる化合物である。補助活性剤としては、アルモキサン、例えばメチルアルモキサン、改変アルモキサン、例えば改変メチルアルモキサン等、及びアルミニウムアルキル、例えばトリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリイソプロピルアルミニウムが挙げられる。補助活性剤は、プレ触媒がジヒドロカルビル又はジヒドリド錯体でないときは典型的にルイス酸活性剤及びイオン活性剤と併用される。
既知のアルキルアルモキサンは、特にハライド配位子を含む当該メタロセン用の触媒活性剤としてさらに適している。触媒活性剤として有用なアルモキサン成分は典型的に、環状化合物である一般式(R-Al-O)n、又は直鎖状化合物である一般式R(R-Al-O)nAlR2で表されるオリゴマーアルミニウム化合物である。アルモキサン一般式中、Rは、C1〜C5アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチルであり、「n」は、1〜約50の整数である。最も好ましくは、Rはメチルであり、「n」は少なくとも4であり、すなわち、メチルアルモキサン(MAO)である。技術上周知の様々な手順によってアルモキサンを調製することができる。例えば、不活性有機溶媒に溶かした水でアルミニウムアルキルを処理するか、又は不活性有機溶媒に懸濁させた水和硫酸銅などの水和塩とアルミニウムアルキルを接触させてアルモキサンを得ることができる。しかし、一般的に調製する場合、アルミニウムアルキルと限られた量の水の反応が、アルモキサンの直鎖状種と環状種の混合物を生じさせる。
【0023】
活性剤として使用し得るホウ素化合の説明に役立つが、限定でない例としては、三置換アンモニウム塩、例えばトリメチルアンモニウムテトラフェニルボラート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボラート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボラート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボラート、トリ(tert-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボラート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボラート、N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム) テトラフェニルボラート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートが挙げられる。
好ましくは、活性剤は、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)ボラート、トリスペルフルオロフェニルホウ素又はトリスペルフルオロナフチルホウ素である。
ルイス酸活性剤(アルモキサン以外)又はイオン活性剤を使用するとき、触媒前駆体対活性剤のモル比は、1:10〜1:1;1:10〜10:1;1:10〜2:1;1:10〜3:1;1:10〜5:1;1:2〜1.2:1;1:2〜10:1;1:2〜2:1;1:2〜3:1;1:2〜5:1;1:3〜1.2:1;1:3〜10:1;1:3〜2:1;1:3〜3:1;1:3〜5:1;1:5〜1:1;1:5〜10:1;1:5〜2:1;1:5〜3:1;1:5〜5:1;1:1〜1:1.2である。触媒前駆体対補助活性剤のモル比は、1:100〜100:1;1:75〜75:1;1:50〜50:1;1:25〜25:1;1:15〜15:1;1:10〜10:1;1:5〜5:1、1:2〜2:1;1:100〜1:1;1:75〜1:1;1:50〜1:1;1:25〜1:1;1:15〜1:1;1:10〜1:1;1:5〜1:1;1:2〜1:1;1:10〜2:1である。
好ましい活性剤及び活性剤/補助活性剤の組合せとしては、メチルアルモキサン、改変メチルアルモキサン、メチルアルモキサンとジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートの混合物、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロナフチル)ボラート又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、及びトリメチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウムとジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロナフチル)ボラート又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素の混合物が挙げられる。
いくつかの実施形態では、捕捉化合物をルイス酸活性剤又はイオン活性剤と共に使用する。捕捉剤として役立つ典型的なアルミニウムアルキル又はホウ素アルキル成分は、一般式RxJZ2によって表され、式中、Jはアルミニウム又はホウ素であり、RxはC1-C20アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル及びそれらの異性体であり、各Zは独立にRx又は異なる一価のアニオン配位子、例えばハロゲン(Cl、Br、I)、アルコキシド(ORx)などである。最も好ましいアルミニウムアルキルとしては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム等が挙げられる。好ましいホウ素アルキルとしては、トリエチルホウ素が挙げられる。捕捉化合物は、アルモキサン及び改変アルモキサンであってもよく、メチルアルモキサン及び改変メチルアルモキサンが挙げられる。
【0024】
(重合方法)
単一のよく撹拌したタンク反応器内で、溶液中でコポリマーを重合することができ、重合中の溶液の粘度は、10000cps未満、又は7000cps未満であり、好ましくは500cps未満である。反応器は、好ましくは液体を満たした連続流動撹拌タンク反応器であり、ランダムコポリマー製造のためにフルバックミキシング(full back mixing)をもたらす。この反応器に溶媒、モノマー、及び触媒を供給する。2つ以上の反応器を利用するときは、溶媒、モノマー、及び/又は及び触媒を第1の反応器又は1つ以上の追加の反応器に供給する。
反応器ジャケット若しくは冷却コイル、自動冷蔵、予冷供給原料又は3つ全ての組合せによって反応器を冷却して、発熱重合反応の熱を吸収することができる。自動冷蔵反応器冷却は、反応器内に蒸気相の存在を必要とする。予冷供給原料を含む断熱性反応器が好ましく、重合する液体の温度上昇を許容することによって重合の発熱が吸収される。
所望により、分子量を制御するための水素の使用を回避するか又は減らし得る。反応器温度を利用して、生成されるポリマーフラクションの分子量を制御することができる。連続操作では、これが反応器間の温度差を生じさせ、ポリマー分子量の制御に役立つ。
触媒失活速度及びポリマー特性及び/又はモノマー消耗の程度に及ぼす温度の影響に応じて反応器温度を選択することができる。複数の反応器を使用する場合、一般的に温度は、第2の反応器内の触媒濃度が所望量の所望ポリマー成分を作るのに不十分である点を越えてはならない。従って、触媒系の詳細によって反応温度を決定することができる。
一般に、単一の反応器又は一連の第1の反応器は約0℃〜約200℃、又は約40℃〜約180℃、又は約60℃〜約180℃の反応器温度で作動する。好ましくは、反応温度は約80℃〜約160℃である。1つ以上の追加の反応器を使用する場合、追加の反応器温度は40℃〜200℃で変化し、40℃〜180℃が好ましく、80℃〜160℃がさらに好ましい。上記いずれの下限から上記いずれの上限までの範囲も発明者らによって予期され、本説明の範囲内である。1種以上のビス-CP触媒と1種以上のモノ-CP触媒を利用する共重合技術において、モノ-CP触媒を利用する反応では、ビス-CP触媒に比べて低い反応温度が好ましい。
反応圧力は、触媒系の詳細によって決まる。一般の反応器では、単一の反応器又は一連の反応器のそれぞれが2500psi(17.23Mpa)未満、又は2200psi(15.16Mpa)未満又は2000psi(13.78Mpa)未満の反応器圧で作動する。好ましくは、反応器圧は、ほぼ大気圧〜約2000psi(13.78Mpa)、又は約200psi(1.38Mpa)〜約2000psi(13.78Mpa)、又は約300psi(2.07Mpa)〜約1800psi(12.40Mpa)である。上記いずれの下限から上記いずれの上限までの範囲も発明者らによって予期され、本説明の範囲内である。
【0025】
より不安定な触媒の場合、選択プロセスが一連の反応器を使用するときに触媒を第2の反応器に供給することもできる。特に重合温度が次第に上昇する連続操作では、遷移金属としてハフニウムを含むビス-Cp触媒系、特に2つのCp環を連結する共有結合性の単原子ブリッジを有する当該触媒系を用いて最適温度を得ることができる。
本明細書に記載の方法で使うのに適した特定の反応器構成及びプロセスは、米国特許第6,319,998号に詳述されている。
重合触媒又は重合方法の選択によって分岐が導入される。水素の存否にかかわらず、共重合プロセスは起こり得る。しかしながら、水素のない操作は、完全又は実質的に飽和している鎖末端をもたらすことからコポリマーにおける分岐を阻害するので好ましい。理論によって限定されないが、これらの飽和ポリマーは、不飽和鎖末端を含む予め形成されたポリマーが新しい成長鎖に再び組み込まれて分岐ポリマーをもたらす原則的分岐経路に関与し得ないと考えられる。
【0026】
(潤滑油組成物)
エチレン-プロピレンコポリマー及び1種以上の基油を含有する潤滑油組成物をも提供する。基油は、水素化分解、水素化、他の精製プロセス、未精製プロセス、又は再精製プロセス由来のいずれであれ、潤滑粘度の天然油若しくは合成油であってよく、或いは該天然油若しくは合成油を含んでよい。基油は、使用済み油であるか又は使用済み油を含むことができる。天然油には、動物油、植物油、鉱物油及びそれらの混合物がある。合成油には、炭化水素油、シリコンベース油、及びリン含有酸の液体エステルがある。フィッシャー・トロプシュのガスツーリキッド合成手順及び他のガスツーリキッド油によって合成油を製造してよい。
一実施形態では、PAO-2、PAO-4、PAO-5、PAO-6、PAO-7又はPAO-8(数値は100℃での動粘性率に関連する)などのポリαオレフィン(PAO)であるか又はPAOを含む。好ましくは、ポリαオレフィンはドデセン及び/又はデセンから調製される。一般に、潤滑粘度の油として適しているポリαオレフィンは、PAO-20又はPAO-30油の粘度未満の粘度を有する。1つ以上の実施形態では、米国石油協会(American Petroleum Institute)(API)基油互換性ガイドライン(Base Oil Interchangeability Guidelines)で特定されているように基油を定義することができる。例えば、基油はAPIグループI、II、III、IV、V油若しくはそれらの混合物であるか又はそれらを含み得る。
【0027】
1つ以上の実施形態では、基油は、クランクケース潤滑油として従来利用されている油又はそのブレンドを包含し得る。例えば、適切な基油として、自動車及びトラックのエンジン、船舶及び鉄道のディーゼルエンジン等のような火花点火内燃機関及び圧縮点火内燃機関用のクランクケース潤滑油が挙げられる。適切な基油は、動力伝達流体、例えばオートマチック・トランスミッション液、トラクター液、ユニバーサルトラクター液及び油圧油、大型車両用油圧油、パワー・ステアリング液などで従来利用され及び/又はこれらとして使うために適合した当該基油をも包含し得る。適切な基油は、ギア潤滑油、工業潤滑油、ポンプ油及び他の潤滑油組成物であってもよく、或いはこれらを包含し得る。
1つ以上の実施形態では、基油は、石油由来の炭化水素油のみならず、二塩基酸のエステル等の合成潤滑油;一塩基酸、ポリグリコール、二塩基酸及びアルコールのエステル化によって作られる複合エスエル;ポリオレフィン油などをも包含する。従って、上記潤滑油組成物を、合成基油、例えば二塩基酸、ポリグリコール及びアルコールのアルキルエステル;ポリα-オレフィン;ポリブテン;アルキルベンゼン;リン酸の有機エステル;ポリシリコーン油などに適宜組み入れることができる。取扱いの容易さのため、潤滑油組成物を油、例えば鉱物潤滑油中1wt.%〜49wt.%のような濃縮形で利用することもでき、前述したように、油中で本発明の反応を行うことによって、この形の潤滑油組成物を調製することができる。
【0028】
(通常の油添加剤)
潤滑油組成物は、任意に1種以上の通常の添加剤、例えば、流動点降下剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、他の粘度指数向上剤、分散剤、腐食防止剤、消泡剤、洗浄剤、さび止め剤、摩擦調整剤などを含有することができる。
防せい剤としても知られる腐食防止剤は、潤滑油組成物に接触した金属部分の劣化を減らす。例示腐食防止剤には、リン硫化(phosphosulfurized)炭化水素並びに好ましくはアルキル化フェノール又はアルキルフェノールチオエステルの存在下、そしてまた、好ましくは二酸化炭素の存在下でリン硫化炭化水素とアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物との反応によって得られる生成物がある。リン硫化炭化水素は、テルペン、重質石油留分のC2〜C6オレフィンポリマー、例えばポリイソブチレン等の適切な炭化水素を5wt.%〜30wt.%のリンスルフィドと1/2〜15時間、66℃〜316℃の範囲の温度で反応させることによって調製される。リン硫化炭化水素の中和は、米国特許第1,969,324号に教示されている方法で達成し得る。
酸化防止剤、又は抗酸化剤は、金属表面上のスラッジ及びワニス様沈着物などの酸化生成物によって、また粘性増大によって証明されるように、使用中に鉱物油が劣化する傾向を低減する。該酸化防止剤としては、C5〜C12アルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムノニルフェナートスルフィド、バリウムオクチルフェナートスルフィド、ジオクチルフェニルアミン、フェニルαナフチルアミン、リン硫化又は硫化炭化水素などが挙げられる。この発明で有用な他の酸化防止剤又は抗酸化剤には、米国特許第5,068,047号に記載されているような油溶性銅化合物がある。
【0029】
摩擦調整剤は、オートマチック・トランスミッション液などの潤滑油組成物に適正な摩擦特性を付与するのに役立つ。適切な摩擦調整剤の代表例は、脂肪酸エステル及びアミドを開示している米国特許第3,933,659号;ポリイソブテニルコハク酸無水物-アミノアルカノールのモリブデン錯体について記載している米国特許第4,176,074号;ダイマー化脂肪酸のグリセロールエステルを開示している米国特許第4,105,571号;アルカンホスホン酸塩を開示している米国特許第3,779,928号;ホスホナートとオレアミドの反応生成物を開示している米国特許第3,778,375号;S-カルボキシアルキレンヒドロカルビルスクシンイミド、S-カルボキシアルキレンヒドロカルビルスクシンアミド酸及びその混合物を開示している米国特許第3,852,205号;N(ヒドロキシアルキル)アルケニル-スクシンアミド酸又はスクシンイミドを開示している米国特許第3,879,306号;ジ-(低級アルキル)ホスファイト及びエポキシドの反応生成物を開示している米国特許第3,932,290号;及びリン硫化N-(ヒドロキシアルキル)アルケニルスクシンイミドのアルキレンオキシド付加物を開示している米国特許第4,028,258号で見つかる。好ましい摩擦調整剤は、米国特許第4,344,853号に記載されているようなヒドロカルビル置換コハク酸又はヒドロカルビル置換コハク酸無水物とチオビス-アルカノールのコハク酸エステル、又はその金属塩である。
【0030】
分散剤は、使用中に酸化の結果として生じる油不溶性物質を流体中の懸濁液内で維持し、それによって金属部分上でスラッジが綿状化及び沈殿又は沈着するのを防止する。適切な分散剤としては、高分子量N-置換アルケニルスクシンイミド、油溶性ポリイソブチレンコハク酸無水物とエチレンアミン(例えばテトラエチレンペンタアミン)との反応生成物及びそのホウ酸塩が挙げられる。高分子量エステル(オレフィン置換コハク酸と一価又は多価脂肪族アルコールのエステル化の結果として生じる)又は高分子量アルキル化フェノールからのマンニッヒ塩基(高分子量アルキル置換フェノール、アルキレンポリアミン及びアルデヒド、例えばホルムアルデヒドの縮合の結果として生じる)も分散剤として有用である。
流動点降下剤(「ppd」)は、別に潤滑油流動向上剤としても知られ、流体が流れるか又は流体を注ぐことができる温度を下げる。技術上周知のいずれの適切な流動点降下剤をも使用することができる。例えば、適切な流動点降下剤として、限定するものではないが、1種以上のC8〜C18ジアルキルフマラートビニルアセタートコポリマー、ポリメチルメタクリラート、アルキルメタクリラート及びワックスナフタレンが挙げられる。
1種以上の消泡剤によって泡を制御することができる。適切な消泡剤には、シリコーン油及びポリジメチルシロキサン等のポリシロキサンがある。
摩耗防止剤は金属部分の摩耗を減らす。通常の摩耗防止剤の代表は、亜鉛ジアルキルジチオホスファート及び亜鉛ジアリールジチオホスファートであり、酸化防止剤としても働く。
洗浄剤及び金属さび止め剤としては、スルホン酸、アルキルフェノール、硫化アルキルフェノール、アルキルサリチラート、ナフテナート及び他の油溶性モノカルボン酸及びジカルボン酸の金属塩が挙げられる。高塩基性(すなわち、過塩基性(overbased))金属塩、例えば高塩基性アルカリ土類金属スルホン酸塩(特にCa塩及びMg塩)が分散剤として頻繁に用いられる。
【0031】
これらの通常の添加剤を含有する場合、典型的に、それらの普通の付随機能を果たすために有効な量で基油中に組成物をブレンドする。従って、典型的な配合物は、質量による量で、VI向上剤(0.01〜12%);腐食防止剤(0.01〜5%);酸化防止剤(0.01〜5%);流動点降下剤(0.01〜5%);消泡剤(0.001〜3%);摩耗防止剤(0.001〜5%);摩擦調整剤(0.01〜5%);洗浄剤/さび止め剤(0.01〜10%);及び基油を含み得る。
他の添加剤を使用する場合、必ずではないが、粘度指数向上剤(本明細書で上述した濃縮量で)と、1種以上の他の添加剤との濃縮溶液又は分散液を含んでなる添加剤濃縮物を調製するのが望ましく、このような「添加剤パッケージ」という名称の濃縮物は、潤滑油に同時に数種の添加剤を加えて潤滑油組成物を形成することができる。溶媒によって、また穏やかに加熱しながら混合することによって、潤滑油への添加剤濃縮物の溶解を容易にすることができるが、これは必須ではない。添加剤パッケージは典型的に、添加剤パッケージを所定量の基潤滑油と併用したときに最終配合物中の所望濃度をもたらすのに適した量で粘度指数向上剤及び任意の追加の添加剤を含有するように配合される。従って、本発明の生成物を少量の基油又は他の適合性溶媒に他の望ましい添加剤と共に加えて、残余の基油と適正比率で、典型的に2.5wt.%〜90wt.%、好ましくは5wt.%〜75wt.%、なおさらに好ましくは8wt.%〜50wt.%の添加剤の合計量で活性成分を含む添加剤パッケージを形成することができる。最終配合物は、典型的に約10wt.%の添加剤パッケージと残余の基油を使用し得る。
【0032】
少なくとも1つの具体的実施形態では、潤滑油組成物は、潤滑油組成物の総質量に基づいて、0.1wt.%〜20wt.%の量の1種以上のエチレン-プロピレンコポリマー;1wt.%〜99wt.%の量の1種以上の基油;0.01wt.%〜25wt.%の量の1種以上の分散剤;及び必要に応じて0.01wt.%〜20wt.%の量の1種以上の他の添加剤を含み得る。エチレン-プロピレンコポリマーの量は、約0.1wt.%、0.5wt.%、1wt.%、2wt.%の低量から約10wt.%、15wt.%、18wt.%、又は20wt.%の高量の範囲であってもよい。少なくとも1つの具体的実施形態では、1種以上の基油が1wt.%〜99wt.%;又は50wt.%〜99wt.%;又は53wt.%〜90wt.%;又は60wt.%〜90wt.%の量で存在し得る。少なくとも1つの具体的実施形態では、1種以上の分散剤が0.5wt.%〜20wt.%;又は1.0wt.%〜18wt.%;又は3.0wt.%〜15wt.%;又は5wt.%〜14wt.%;又は5.0wt.%〜10wt.%の量で存在し得る。少なくとも1つの具体的実施形態では、存在する場合、1種以上の添加剤は、0.05wt.%〜10wt.%;又は0.7wt.%〜5wt.%;又は0.75wt.%〜5wt.%;又は0.5wt.%〜3wt.%;又は0.75wt.%〜3wt.%の範囲であり得る。該質量百分率は、油組成物の総質量に基づいている。
【実施例】
【0033】
(実施例)
前述の考察を以下の非限定例を参照してさらに記述することができる。実施例1〜14は、本明細書で提供した1つ以上の実施形態のエチレン-プロピレンコポリマーである。「C1/A1」又は「C2/A2」触媒系(「C1」はジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンジメチルであり;「A1」はN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラートであり;「C2」はジ(p-トリエチルシリルフェニル)メチレン [(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)]ハフニウムジメチルであり;「A2」はN,N-ジメチルアニリニウム テトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラートである)のどちらかを用いて本発明の実施例を調製した。
表1〜3は、発明ポリマーと比較ポリマーのバルク粘度データを示す。表4は、いくつかの発明ポリマーと比較ポリマーについてMFR及びエチレン含量と共に増粘効率及びせん断安定性指数を示す。
【0034】
(せん断減粘(Shear Thinning)の増加)
発明ポリマーは、狭い分子量分布を維持しながら、メルトフローレート(2.16kg;230℃)対メルトフローレート(21.6kg;230℃)の比(MFRR)によって証明されるように、せん断減粘の増加を示した(表1)。発明ポリマーのMFRRは、比較ポリマーのMFRRより一般的に約10単位高い。
【0035】
表1

【0036】
(表1続き)

【0037】
表2は、50℃、70℃、90℃、及び110℃でせん断速度0.01ラジアン/秒にて測定した振動せん断粘度(η*)を示す。発明ポリマーは、より高いMFRを有するにもかかわらず、より高い粘度を有し、低温流れのより低い傾向及びより簡単な仕上げ(室温で)を示唆している。
【0038】
表2

【0039】
表3は、潤滑油組成物を作製するために用いた発明ポリマー1〜10並びに比較ポリマー6、8、9、及び11についてTE及びSSIデータを示す。TE/SSIを測定するため、6gのポリマー、0.09gのIrganox 1076及び0.03gのIrgafos 168を593.88gのAC-150基油に溶かした。
【0040】
表3

【0041】
ASTM D445に準拠して増粘効率を決定した。
ASTM D6278に準拠してせん断安定性指数を決定した。
(重合例(HTCPU))
1つの連続撹拌タンク反応器で触媒系C1/A1を用いて発明実施例1〜7のポリマーを作製した。溶媒としてヘキサンを用いて、表4に示す反応温度で、溶液中で重合を行った。エチレン及びプロピレンの供給速度も表4に示してある。この方法では、温度制御を利用して所望のMFRを達成した。反応器の外部で活性化した触媒を、目標とする重合温度を維持するのに有効な量で必要に応じて添加した。
メタロセン濃度が1.14*10-4モル/リットルになり、活性剤濃度が1.11*10-4モル/リットルになって、触媒/活性剤比が1.03となるように、触媒と活性剤をトルエンに溶かした。トリn-オクチルアルミニウム(TNOA)をイソヘキサンに25wt.%で溶かし、捕捉剤として反応器に供給した。TNOAの供給速度は表4に示してある。反応器から出てくるコポリマー溶液に水を添加してさらなる重合を停止させてから、フラッシング又は液相分離などの従来既知の揮発分除去法を利用して、まずイソヘキサンの大半を除去して濃縮溶液としてから、無水条件で残りの溶媒を放散させることによって揮発分を除去した。表4は、反応パラメーターを要約する。
【0042】
表4

【0043】
(重合例(mCPU))
1つの連続撹拌タンク反応器で触媒系C2/A2を用いて発明実施例8〜14のポリマーを作製した。溶媒としてイソヘキサンを用いて、表5に示す反応温度にて、溶液中で重合を行った。メタロセン濃度が0.1156wt.%になり、活性剤濃度が0.1359wt.%になって、触媒/活性剤比が1:1となるように、触媒と活性剤をトルエンに溶かした。トリn-オクチルアルミニウム(TNOA)を3wt.%でイソヘキサンに溶かし、捕捉剤として反応器に供給した。捕捉剤の供給速度は表5に示してある。反応器内の全圧は1,600psi(11.03MPa)であり、エチレン及びプロピレンの供給速度は表5に示してある。この方法では、水素添加及び温度制御を利用して所望のMFRを達成した。反応器の外部で活性化した触媒を、目標とする重合温度を維持するのに有効な量で必要に応じて添加した。反応器から出てくるコポリマー溶液に水を添加してさらなる重合を停止させてから、フラッシング又は液相分離などの従来既知の揮発分除去法を利用して、まずイソヘキサンの大半を除去して濃縮溶液としてから、溶融ポリマー組成物が残って終わるように、揮発分除去装置を用いて無水条件で残りの溶媒を放散させることによって揮発分を除去した。ギアポンプに接続した1軸スクリュー押出機を用いて溶融ポリマーを放出し、水中ペレタイザーで、冷却水を供給しながらペレット化した。表5は、反応パラメーターを要約する。
【0044】
表5

【0045】
表6:潤滑油組成物

【0046】
EHC 45及びEHC 60は、Imperial Oil, Canadaから入手可能なグループIIの基油である。
Infineum D3426は、エンジンオイル添加剤パッケージである。
Infineum 9340 (400BN)は、Mgスルホン酸塩添加剤である。
Infineum 9330 (300BN)は、Caスルホン酸塩添加剤である。
Infineum V387は、流動点降下剤である。
【0047】
表7:表6に示す濃度の発明ポリマーの潤滑油組成物の基本的性質

【0048】
コールドクランキングシミュレーター(Cold cranking simulator)(CCS)試験をASTM D5293によって-20℃で行った。
ミニロータリー粘度計(Mini rotary viscometer)(MRV)試験をASTM D4684によって-30℃で行った。
流動点をASTM D97に準拠して決定した。
【0049】
特定の実施形態は、さらに以下に関する。
1. 下記:
約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位;及び
約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位
を含む非晶質エチレンプロピレンコポリマーであって、下記:
DSCで測定すると融点を識別できない;
MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上である;
分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5である;及び
70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす
ことを特徴とするコポリマー。
2. MWDが約2.0〜約2.4である、パラグラフ1のコポリマー。
3. MWDが約2.1〜約2.3である、パラグラフ1又は2のコポリマー。
4. 70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.6*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす、いずれかの先行パラグラフ1〜3のコポリマー。
5. 70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.8*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす、いずれかの先行パラグラフ1〜4のコポリマー。
6. MWDが約2.2である、いずれかの先行パラグラフ1〜5のコポリマー。
7. MWDが約2.5である、いずれかの先行パラグラフ1〜6のコポリマー。
8. 約2g/10分〜約25g/10分のMFRをさらに含む、いずれかの先行パラグラフ1〜7のコポリマー。
9. 約6g/10分〜約10g/10分のMFRをさらに含む、いずれかの先行パラグラフ1〜8のコポリマー。
【0050】
10. エチレン誘導単位が約40wt.%〜約50wt.%の量で存在し、プロピレン誘導単位が約45wt.%〜約60wt.%の量で存在する、いずれかの先行パラグラフ1〜9のコポリマー。
11. エチレン誘導単位が約42wt.%〜約50wt.%の量で存在し、プロピレン誘導単位が約50wt.%〜約48wt.%の量で存在する、いずれかの先行パラグラフ1〜10のコポリマー。
12. 下記:
基油;及び
約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位と、約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位とを含む非晶質エチレンプロピレンコポリマー
(ここで、このコポリマーは、下記:
DSCで測定すると融点を識別できない;
MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上である;
分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5である;及び
70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす
ことを特徴とし、
この非晶質エチレンプロピレンコポリマーは、約1.7〜約2.2の増粘効率及び約15%〜約35%のSSIを有する油組成物を与えるのに十分な量で存在する)
を含んでなる油組成物。
13. SSIが約21%〜約27%である、パラグラフ12の油組成物。
14. SSI及びMFRが次の関係:|SSI|<50|MFR|-0.2242を満たす、パラグラフ12又は13の油組成物。
15. SSI及びMFRが次の関係:|SSI|<45|MFR|-0.2242を満たす、いずれかの先行パラグラフ12〜14の油組成物。
16. SSI及びMFRが次の関係:|SSI|<42|MFR|-0.2242を満たす、いずれかの先行パラグラフ12〜15の油組成物。
17. コポリマーが約2.0〜約2.4のMWDを有する、いずれかの先行パラグラフ12〜16の油組成物。
18. コポリマーは、70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が次の関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.6*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす、いずれかの先行パラグラフ12〜17の油組成物。
19. コポリマーは、70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が次の関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.8*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす、いずれかの先行パラグラフ12〜18の油組成物。
【0051】
20. コポリマーが約2g/10分〜約25g/10分のMFRを有する、いずれかの先行パラグラフ12〜19の油組成物。
21. コポリマーが約6g/10分〜約10g/10分のMFRを有する、いずれかの先行パラグラフ12〜20の油組成物。
22. コポリマーは、約40wt.%〜約50wt.%のエチレン誘導単位と、約60wt.%〜約50wt.%のプロピレン誘導単位とを含む、いずれかの先行パラグラフ12〜21の油組成物。
23. 増粘効率が約1.7〜約2.0である、いずれかの先行パラグラフ12〜22の油組成物。
24. 非晶質エチレンプロピレンコポリマーの製造方法であって、下記:
エチレンとプロピレンを、
ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンジメチル又はジ(p-トリエチルシリルフェニル)メチレン[(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)]ハフニウムジメチルの存在下、
約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位と約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位とを含み、かつ下記:
DSCで測定すると融点を識別できない;
MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上である;
分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5である;及び
70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす
ことを特徴とする非晶質コポリマーを製造するのに十分な条件で反応させる工程
を含む方法。
25. 潤滑油の製造方法であって、下記:
エチレンとプロピレンを、
ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンジメチル又はジ(p-トリエチルシリルフェニル)メチレン[(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)]ハフニウムジメチルの存在下、
約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位と約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位とを含み、かつ下記:
DSCで測定すると融点を識別できない;
MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上である;
分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5である;及び
70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす
ことを特徴とする非晶質コポリマーを製造するのに十分な条件で反応させる工程;及び
この非晶質コポリマーを基油とブレンドする工程
を含む方法。
【0052】
数値上限のセットと数値下限のセットを用いて特定の実施形態及び特徴について記述した。当然のことながら、特に指定のない限り、いずれの下限からいずれの上限までの範囲も考えられる。以下の1つ以上の請求項には、特定の下限、上限及び範囲が現れる。全ての数値は、「約」又は「およそ」の指定値であり、当業者が予期するであろう実験誤差及び実験変動を考慮する。
種々の用語について上で定義した。請求項で使用する用語が上で定義されていない限りでは、少なくとも1つの印刷された刊行物又は発行された特許で反映される当該用語に当業者が与えた最も広い定義をその用語に与えるものとする。さらに、この出願で引用した全ての特許、試験手順、及び他の文書は、該開示がこの出願と矛盾しない限りにおいて、参照によって完全に援用され、全ての権限について該援用は許容される。
前述のものは、本発明の実施形態に向けられているが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案することが可能であり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記:
約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位;及び
約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位
を含む非晶質エチレンプロピレンコポリマーであって、下記:
DSCで測定すると融点を識別できない;
MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上である;
分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5である;及び
70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす
ことを特徴とするコポリマー。
【請求項2】
前記MWDが約2.0〜約2.4である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
前記MWDが約2.1〜約2.3である、請求項1又は2に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が、関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.6*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項5】
前記70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が、関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.8*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす、請求項1〜4のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項6】
前記MWDが約2.2である、請求項1〜5のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項7】
前記MWDが約2.5である、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項8】
約2g/10分〜約25g/10分のMFRをさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項9】
約6g/10分〜約10g/10分のMFRをさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項10】
前記エチレン誘導単位が約40wt.%〜約50wt.%の量で存在し、前記プロピレン誘導単位が約45wt.%〜約60wt.%の量で存在する、請求項1〜9のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項11】
前記エチレン誘導単位が約42wt.%〜約50wt.%の量で存在し、前記プロピレン誘導単位が約50wt.%〜約48wt.%の量で存在する、請求項1〜10のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項12】
非晶質エチレンプロピレンコポリマーの製造方法であって、下記:
エチレンとプロピレンを、
ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンジメチル又はジ(p-トリエチルシリルフェニル)メチレン[(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)]ハフニウムジメチルの存在下、
約40wt.%〜約60wt.%のエチレン誘導単位と約60wt.%〜約40wt.%のプロピレン誘導単位とを含み、かつ下記:
DSCで測定すると融点を識別できない;
MFRR(MI(2.16kg;230℃)/MI(21.6kg;230℃))が約38以上である;
分子量分布(MWD)が約1.5〜約2.5である;及び
70℃で測定した0.01ラジアン/秒におけるせん断粘度η*が関係|η*|(70℃;0.01ラジアン/秒)>1.2*106*|MFR|-0.77(MFRはメルトフローレートであり、η*は、70℃で測定した0.01ラジアン/秒における複合粘度である)を満たす
ことを特徴とする非晶質コポリマーを製造するのに十分な条件で反応させる工程
を含む方法。

【公表番号】特表2013−518146(P2013−518146A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550027(P2012−550027)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/020858
【国際公開番号】WO2011/094057
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】