説明

コマーシャル視聴システム

【課題】スキップしたCMを自己意志によって視聴できるシステムの提供と、更に、CM視聴を増進するシステムを提供する。
【解決手段】ハードディスクレコーダ102は、録画制御部105と、本編保存専用領域106と、コマーシャル保存専用領域107と、本編番組とコマーシャルとを選択再生する機能を備えた再生制御部108と、該コマーシャル保存専用領域107に接続された暗証番号発行部109とを具備し、ホストコンピュータ104は,暗証番号受信部112と、登録ユーザのポイントを管理するポイント管理データベース114と、該暗証番号受信部112が受信したデータを処理するポイントデータ処理部113とを備え、前記暗証番号発行部109は、録画されたコマーシャル毎に暗証番号を生成し、該暗証番号がコマーシャル再生時にランダムなタイミングで前記出力部103に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン映像を録画する記憶装置に搭載され、録画時にコマーシャルをスキップしてテレビジョン番組を録画する技術に係り、更に詳しくは、スキップしたコマーシャルのみを視聴者の意志によって視聴可能とするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送中のコマーシャル(commercial messageのこと。一般に「CM」と称される。以下「CM」と記載する。)とは、広告主や広告代理店等の依頼主が放送局と契約し、依頼主が対価を支払って提供する音声データやビデオデータを、番組の合間に放送するものである。このようなCMは、対価を受ける放送局にとっては番組製作の重要な収入源となり、広告主にとっても、重要な宣伝メディアとなっている。
【0003】
一方、テレビジョン番組を録画する装置として、ハードディスクレコーダが普及している。そして近年では、CMと本編番組とを識別して、録画時にCMだけを録画しない、所謂CMカット機能が該ハードディスクレコーダに搭載されたものが登場している。
視聴者の多くは、本編番組をCMに中断されることなく視聴したいという思いと、録画に使用するディスク容量を最小限に抑えたいという要求を有しているので、前述CMカット機能が搭載されたレコーダを歓迎する傾向にある。
【0004】
図9は、CMをスキップして本編番組を録画するハードディスクレコーダの代表的なシステム概要を示すブロック構成図であり、映像を送る放送基地局901と、該映像を録がする装置であるハードディスクレコーダ902と、録画した映像を表示する出力部903とから構成されている。
該ハードディスクレコーダ902には、特定の方式を使用してCMをスキップ録画する録画制御部904と、入力した映像を保存する映像保存領域905と、該保存された映像を再生する再生部906とを備えている。
レコーダ902の動作概要は、放送基地局901から受信した映像が、前記録画制御部904においてCM部分であると判断された場合、該CM区間は前記映像保存領域905に保存されないという録画制御がなされるというものである。
【0005】
このような録画制御技術分野において、録画中の映像からCM区間を抽出し、本編番組とCMとを分別録画するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の発明は、本編番組から分別録画されたCMをコマーシャルデータベースに登録し、既存CMとの照合を行って、真に新作のCMのみのリストを作成する。このシステムは、CMが契約通りに放送されたか否かの放送確認を行う作業にかかる手間を軽減する目的で利用されるものである。
【0006】
【特許文献1】特開2003−47031号公報(段落番号0016〜0081)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1台で同時に複数の番組をCMスキップ録画できるハードディスクレコーダが登場するに至り、CMを提供する広告主や広告代理店側では、多額の広告対価を支払うにも関わらず、実際には視聴者に広告を観てもらえる機会が大いに減少している。その結果、テレビジョン放映によるCM効果が半減している。
このようなCMカット機能への対応策として、CMを強制的に表示させる技術や、CMカット機能そのものを無効にさせる技術も可能である。しかしながらこのような対応策は、CMカット機能に期待してハーディスクレコーダを購入したユーザにとって、折角の機能による効果を十分享受できないこととなる。従って、ユーザの意志に反して強制的にCMを視聴させることは、却って企業のイメージ低下につながりかねず、CMの逆効果に帰する虞がある。
【0008】
上記問題点に鑑み、本発明は、CMスキップ録画機能を搭載したハードディスクレコーダのユーザに、スキップしたCMを自己意志によって視聴できるシステムを提供することを目的とし、更には、CMを視聴するという自己意志を惹起してCM視聴を増進するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するべく、本発明は以下の構成を提供する。
(1)請求項1に係るコマーシャル視聴システムは、コマーシャルをスキップ録画する機能を備えたハードディスクレコーダに搭載して、該スキップしたコマーシャルを再生するシステムであって、テレビ映像データを録画するハードディスクレコーダと、録画した映像を表示する出力部と、ネットワークを介してホストコンピュータに暗証番号を送信する暗証番号送信機とを備え、前記ハードディスクレコーダは、受信映像が本編番組かコマーシャルかを識別する機能を備えた録画制御部と、本編番組データを保存する本編保存専用領域と、コマーシャルデータを保存するコマーシャル保存専用領域と、該本編保存専用領域及びコマーシャル保存専用領域に接続されて本編番組とコマーシャルとを選択再生する機能を備えた再生制御部と、該コマーシャル保存専用領域に接続された暗証番号発行部とを具備し、前記ホストコンピュータは前記暗証番号送信機から送信される暗証番号データを受信する暗証番号受信部と、登録ユーザのポイントを管理するポイント管理データベースと、該暗証番号受信部が受信したデータを処理するポイントデータ処理部とを備え、前記暗証番号発行部は、録画されたコマーシャル毎に暗証番号を生成し、該暗証番号がコマーシャル再生時にランダムなタイミングで前記出力部に表示されることを特徴とする。
【0010】
(2)請求項2に係るコマーシャル視聴システムは、請求項1に記載のコマーシャル視聴システムであって、前記暗証番号受信部が受信する暗証番号データは、ユーザの機器シリアル番号と、コマーシャル識別情報と、ユーザの入力した暗証番号とを含み、前記ポイントデータ処理部は、前記暗証番号データの機器シリアル番号とコマーシャル識別情報から新たに暗証番号を生成し、受信した暗証番号と生成した暗証番号とを比較して、双方の暗証番号が一致した場合に前記ポイント管理データベースの視聴ポイントをカウントアップすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコマーシャル視聴システムによれば、以下の効果を奏する。
(1)CMスキップ機能はそのまま利用して本編番組を録画できるほか、スキップしたCMのみを再生可能とすることにより、自己意志でCMを視聴することが可能である。
【0012】
(2)CMの視聴をユーザの意志に委ねることにより、CM視聴を能動的に行い、CM効果を増進させることが期待できる。
【0013】
(3)暗証番号を各CMのランダムなタイミングで表示させることにより、視聴者はいつ暗証番号が表示されるかわからないため、CMの内容を熱心に視聴することが予想される。そのため、従来よりもCMの内容をより確かに視聴者が受け取ることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明によるコマーシャル視聴システムの形態の一例を示すシステム構成図である。
本システムは、映像を送信する放送基地局101と、映像を録画するハードディスクレコーダ102と、録画した映像を表示する出力部103と、CMを視聴した視聴者に付与されるポイントを管理するホストコンピュータ104と、該出力部103に表示された暗証番号を視聴者がホストコンピュータ104に送信する暗証番号送信機110と、該暗証番号送信機110と該ホストコンピュータ104とを結ぶネットワーク111と、から構成されている。
【0015】
前記ハードディスクレコーダ102は、録画制御部105と、暗証番号発行部109と、再生制御部108とを備えている。
又、前記録画制御部105は、本編番組のみを保存する記憶媒体である本編保存専用領域106と、CMのみを保存する記憶媒体であるCM保存専用領域107とを具備している。
【0016】
前記ホストコンピュータ104は、暗証番号受信部112と、ポイントデータ処理部113と、ポイント管理データベース114とを備えている。
【0017】
前記録画制御部105は、所定の方式を用いて、入力映像が本編番組かCMかを判別し、判別した映像を前記本編保存専用領域106と、前記CM保存専用領域107とに各々分別して録画する。
前記再生制御部108は前記本編保存専用領域106及びCM保存専用領域107に接続され、視聴者が録画映像を視聴する際に、自ら選択することによって、視聴映像を本編番組か、或いはCMかに切り替えて再生する機能を有する。
又、前記暗証番号発行部109は、録画されたCM毎に暗証番号を生成する。
【0018】
前記暗証番号受信部112は、視聴者が送信した暗証番号を受信する。
前記ポイントデータ処理部113は、前記暗証番号受信部112が受信した暗証番号が正しいか否かを判別し、登録視聴者の視聴ポイントの増減処理を行う。
又、前記ポイントデータ管理データベース114は、各登録視聴者の視聴ポイント状況や登録視聴者の情報を格納している。
【0019】
次に、本システムの作動について説明する。
図2は、前記ポイント管理データベース114のデータ構成例を示しており、登録者の使用するハードディスクレコーダの機器シリアル番号201と、登録者の氏名202と、登録者住所203と、各登録者の現在ポイント残高204と、登録者毎のポイント累計であるポイント総数205と、誤送信数206と、誤送信率207とから成る。
本システムの利用者は、予め自己の使用するハードディスクレコーダの機器シリアル番号201と、氏名と、住所とを明らかにして本システム提供者に利用を申請し、ホストコンピュータ104のポイント管理データベース114にデータ登録してもらう。
【0020】
放送基地局101から発信された映像は、前記登録視聴者が所定の録画操作を行うことによって、映像記憶媒体であるハードディスク102の録画制御部105を介し、受信映像が本編番組かCMかの判別がなされた後、各々本編保存専用領域106或いはCM保存専用領域107に保存される。
【0021】
録画者が本編番組を視聴する場合には、前記ハードディスクレコーダ102と前記出力部103の双方を稼働状態とした後、前記出力部103を介して、該出力部103に接続されたハードディスクレコーダ102内の再生制御部108により、本編番組の再生モードを選択する。そうすると、該再生制御部108に接続された前記本編保存専用領域106に保存された本編番組が前記出力部103に出力され、ユーザは録画された本編番組を視聴できる。
【0022】
次に、録画者がCMを視聴する場合には、前記ハードディスクレコーダ102と前記出力部103の双方を稼働状態とした後、前記出力部103を介して、該出力部103に接続されたハードディスクレコーダ102内の再生制御部108により、CMの再生モードを選択する。
そうすると、該再生制御部108に接続された前記CM保存専用領域107に保存されたCMが前記出力部103に出力され、ユーザは録画されたCMを視聴できる。
【0023】
ここで、録画制御部105の動作につき、図3を用いて詳説する。
先ず、特定の方式を用いて、放送基地局101から受信した入力映像が、本編番組かCMかを判別する(ステップ:S201)。
前記「所定の方式」とは、例えば本明細書の従来技術欄に記載した方式のように、入力映像が本編番組かCMかを判別できる方式であれば、本システムに利用可能である。
ステップS201で入力映像が本編番組であると判別された場合には、該入力映像を前記本編保存専用領域102にデータを保存する(ステップ:S202)。
【0024】
一方、ステップS201で入力映像がCMであると判別された場合には、本システム利用登録者であるか否かをチェックする(ステップ:S303)。登録者である場合には、入力映像を前記CM保存専用領域107に保存する(ステップ:S304)。保存されたCMデータには、各CM毎に識別を可能とすべくCM識別情報が共に該CM保存専用領域107に保存される(ステップ:S305)。また、自身のハードディスクレコーダの機器シリアル番号を取得し(ステップ:S306)、更に、該機器シリアル番号と前記ステップS305で保存されているCM識別情報とから、前記暗証番号発行部109にてCM毎の暗証番号が生成され(ステップ:S307)、各CMに対応して前記CM保存専用領域107に、CMデータと共に保存される(ステップ:S308)。
【0025】
ここで、機器シリアル番号とCM識別情報とから暗証番号を生成する方法について説明する。
与えられた原文(文字列)から固定長の疑似乱数を生成する演算手法の一例として、ハッシュ関数がある。生成した値は一般に「ハッシュ値」と呼ばれる。
通信回線を通じてデータを送受信する際に、経路の両端でデータのハッシュ値を求めて両者を比較すれば、データが通信途中で改ざんされていないか調べることができるため、通信の暗号化の補助や、ユーザ認証の分野で応用されている。
ハッシュ関数は不可逆な一方向関数を含むため、ハッシュ値から原文を再現することができず、また、同じハッシュ値を持つ異なるデータを作成することは極めて困難であるので、本発明における暗証番号生成の手段として用いるに好適である。
【0026】
本システム利用登録者でない場合には、更に入力映像受信者の使用するハードディスクレコーダがCMスキップ機能を具備するか否かが判別され(ステップ:S309)、該CMスキップ機能を備えていれば当該受信映像は削除される。
他方、CMスキップ機能を備えていないハードディスクレコーダであると判別された場合には、当該受信映像は前記本編保存専用領域106に保存される(ステップ:S310)。
【0027】
上述録画処理は、ユーザによる録画終了処理等のイベントが発生するまで続行される(ステップ:S311)。
【0028】
図4は、前記CM保存専用領域107のデータ保存イメージ一例図であり、例えばCM放映時間帯4011と、CM放送局4012と、可能であればCM企業情報(広告依頼主情報)4013等の情報から成るCM識別情報401と、前記ステップS308で格納される暗証番号402と、CMデータ403とから構成される。
【0029】
次いで、前記再生制御部108の動作について詳説する。
図5は、再生制御部108の処理の概要を示すフローチャート図である。
ユーザがハードディスクレコーダ102の録画再生処理を開始すると、先ず、本システムの利用者として登録された視聴者であるか否かがチェックされる(ステップ:S501)。本システム利用者として登録されていないユーザであると判定した場合には、前記本編保存専用領域102に保存されている録画データを再生する(ステップ:S502)。
本システム利用者として登録しているユーザであると判定した場合には、更に、ユーザが本編番組を選択しているのか、或いはCMデータを選択しているのかがチェックされる(ステップ:S503)。そしてユーザが本編番組の再生を選択している場合には、前記本編保存専用領域106の録画データを再生する(ステップ:S504)。
【0030】
一方、前記ステップS503でユーザがCMの再生を選択している場合には、前記CM保存専用領域107の録画データを再生する(ステップ:S505)。そして、再生されるCM毎に、前記ステップS308で付与・保存された暗証番号を、各CM再生中のランダムなタイミングで表示する(ステップ:S506)。
次いで、ユーザによる暗証番号の入力送信があったか否かがチェックされ(ステップ:S507)、暗証番号の入力があった場合には、該暗証番号と共に、ユーザの前記機器シリアル番号201及び前記CM識別情報401が共に送信される(ステップ:S508)。一旦暗証番号が送信されたCMについては、CM保存専用領域107から削除する(ステップ:S509)。CMデータ毎に一つの暗証番号402が付与されているため、一度視聴したCMの暗証番号を用いて、実際には視聴していないCMを繰り返し視聴したように装って暗証番号送信することができないようにするためである。
上記再生処理(ステップS501〜ステップS509)は、ユーザが再生処理を終了する等のイベントが発生するまで続行される(ステップ:S510)。
【0031】
図6に、CM再生中の暗証番号表示一例を示した。ユーザが映像を視聴するための出力部103には、暗証番号402を表示するウィンドウ601が設けられ、各CM毎に1回ずつ暗証番号402が、再生中のランダムなタイミングで表示される。
ユーザはCMを視聴しながら、暗証番号送信機110を用いて、ネットワーク111を介し、このウィンドウ601に表示された暗証番号をホストコンピュータ104に送信する作業を繰り返す。
再生中のランダムなタイミングで暗証番号402を表示する理由は、CM冒頭や末尾等の一定タイミングで表示することとした場合、ユーザが暗証番号表示のタイミングのみしか出力部103を見ずに、CM全編の内容を視聴しなくなる事態を防止することにある。暗証番号は、ユーザが確かにCMの内容を視聴した証拠であり、ホストコンピュータにその証拠を報告する手段として用いられるものである。
本システムでは、暗証番号をランダムなタイミングに出力表示するため、従来の放映のように、ユーザはCM中に別作業することなく、暗証番号を得るためにCM冒頭から末尾まで画面を注視する可能性が高くなる。従って、従来のCM放送よりも、高いCM効果を得ることが期待できる。
【0032】
尚、ウィンドウ601の位置や大きさは図6に示したものに限られないことは言うまでもなく、CM毎に変更して表示させることも可能である。
ウィンドウ601は視聴者に暗証番号を表示するものであるから、視聴者にとってCM映像を視聴するに妨げとならない場所や大きさが選択される。
【0033】
又、図7に暗証番号402の送信時データイメージを示した。
上記ステップS508で送信されるデータは、ユーザの機器シリアル番号201と、CM識別情報401と、暗証番号402とで構成され、該CM識別情報401には、例えば、CM放映時間帯4011と、CM放映局4012と、CM提供企業情報4013とが含まれている。
機器シリアル番号201は、ホストコンピュータ104に送信ユーザを一意に識別させるために必要な情報である。
暗証番号はCM毎に生成されるため、ユーザがステップS508で送信する暗証番号がどのCMに対してのものであるかをホストコンピュータ104が識別できるようにするため、CM識別情報401は、前記機器シリアル番号201及び暗証番号402と共に送信されることとする。
【0034】
図8は、ホストコンピュータ104の処理の概要を示すフローチャート図である。
ホストコンピュータ104の前記暗証番号受信部112は、前記暗証番号送信機110を用いてユーザから送信された暗証番号402と、該暗証番号402と共に送信されるユーザの機器シリアル番号201及びCM識別情報401とを受信する(ステップ:S801)。
次いで、前記ポイントデータ処理部113において、ステップS801で取得した機器シリアル番号201及びCM識別情報401から当該視聴されたCMの暗証番号を前記ステップS307と同様の方法により生成する(ステップ:S802)。
【0035】
そして、ステップS802で生成した暗証番号と、ステップS801で受信した暗証番号とが同一であるか比較する(ステップ:S803)。
ステップS803で両者の暗証番号が同一であった場合には、受信した暗証番号が正しい暗証番号であると認識し、前記ポイント管理データベース114の機器シリアル番号201にひもづくレコードのポイント残高204を、カウントアップする(ステップ:S804)。
【0036】
ステップS803で両者の暗証番号が異なっていた場合には、前記ポイント管理データベース114の機器シリアル番号201にひもづくレコードの誤信総数206をカウントアップする(ステップ:S805)。
前述したように、ハッシュ関数は出力するハッシュ値の桁数が固定されるため、設定桁数が極端に小さい場合に、ユーザが勘で入力送信した値が正しい暗証番号と一致する確率がゼロではない。かといって、暗証番号の桁数が大きすぎれば、視聴者が暗証番号を入力ミスする確率が上昇するばかりか、暗証番号の入力に神経を集中させるあまりに、肝心のCM内容に注意が注がれない虞が生ずることとなる。
従って、ユーザが暗証番号を入力するに要する時間が、CMを視聴する妨げとならない程度の大きさの桁数を持つ暗証番号が設定されることが好ましい。
【0037】
次に、ポイント総数205と誤送信数から誤送信率207が計算され、誤送信率207が一定のしきい値を超えた場合に(ステップ:S806)、ユーザに不正行為があったものとみなし、機器シリアル番号201にひもづくユーザレコードのポイントを凍結し、本システム提供を停止する(ステップ:S807)。
【0038】
本システムによれば、CMを視聴してその証拠となる暗証番号を送信することにより、ユーザは例えば図2に示すようにポイントを獲得していくことができる。
ポイント管理データベース114には、登録ユーザのポイントと共に、登録者氏名202及び登録者住所203とが併せて登録されているので、ポイントが一定以上貯まったユーザには、記念品や試供品を該住所203宛に送ることとする。
尚、ユーザがポイント交換する特典を受け取る方法については、郵送に限られないことは言うまでもなく、例えば本システムのように通信方式を用いるもの等、種々の方法が考えられる。
図2におけるポイント残高204は、ユーザが現在保有しているポイント数を表しており、ユーザがCM再生中に表示される暗証番号をホストコンピュータ104に送信した後、該暗証番号が正しいことを前記ポイントデータ処理部113にて承認された場合に増加し、ポイント記念品や試供品をユーザ宛発送されると減少する。
【0039】
本コマーシャル視聴システムによれば、CMを視聴するか否かをユーザ自身の意志に委ねている点で、ユーザがCMを「視聴させられている」という受け身感を持つことなく、自らすすんでCMを視聴する行為を行うことができる。
又、CM視聴の証として、各CMに付与され、放映中に表示される暗証番号をユーザがホストコンピュータに送信することにより、ポイントを獲得することができる。そして、ポイントが加算されていくと、ポイントに応じてCM視聴の特典をユーザが受け取ることができる。
従って、特典を得るためにCM中に表示される暗証番号を取得すべく、CM画面を注視することとなり、CM効果を増進することができる。
【0040】
そして、CMを視聴する毎に、視聴ポイントが加算されていき、ポイントに応じた記念品等の特典を受け取ることができるため、ユーザのCM視聴意欲を高揚させることが期待できるばかりか、特典を提供する企業へのイメージを向上させることもできる。
【0041】
又、前記CM保存専用領域107に保存されているCM映像データのCM識別情報401を、ユーザが閲覧した上でCM再生できるようにすれば、ユーザは自分が本当に興味をもったCMのみを再生できるので、視聴を希望しないCMを閲覧する時間を節約することができる。
【0042】
更に、CMの視聴状況をホストコンピュータ104にて管理させ、CM企業に提供するというサービスも本システムの延長上に考えることができる。
広告主は自身のCMが実際にどの程度ユーザに視聴されているのかを知ることが可能となるし、CMの種類毎に視聴状況を知ることができるので、視聴者が好むCMの傾向を調査する助けとなり、更に視聴者に好まれるCM製作を行うことが可能となる。
【0043】
以上の実施例においては、ホストコンピュータが1つの場合を例に説明を行ったが、テレビ放送がCM企業情報を取得できるような放送形態に変更される場合には、各CM企業のホストコンピュータを設けることも、本発明の趣旨を逸脱しないものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明によるコマーシャル視聴システムの形態の一例を示すシステム構成図である。
【図2】本実施の形態によるポイント管理データベースの構成例である。
【図3】本実施の形態による録画制御部の処理の流れを示すフローチャアート図である。
【図4】本実施の形態によるCM保存専用領域の構成例である。
【図5】本実施の形態による再生制御部の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】本実施の形態による出力部のCM再生中における暗証番号表示例である。
【図7】本実施の形態における暗証番号送信機の送信データイメージ図である。
【図8】本実施の形態におけるポイントデータ処理部の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図9】従来のハードディスクレコーダのCMスキップ機能を説明するシステム構成図である。
【符号の説明】
【0045】
102 ハードディスクレコーダ
103 出力部
104 ホストコンピュータ
105 録画制御部
106 本編保存専用領域
107 コマーシャル保存専用領域
108 再生制御部
109 暗証番号発行部
110 暗証番号送信機
111 ネットワーク
112 暗証番号受信部
113 ポイントデータ処理部
114 ポイント管理データベース
201 機器シリアル番号
401 コマーシャル識別情報
402 暗証番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマーシャルをスキップ録画する機能を備えたハードディスクレコーダに搭載して、該スキップしたコマーシャルを再生するシステムであって、
テレビ映像データを録画するハードディスクレコーダと、
録画した映像を表示する出力部と、
ネットワークを介してホストコンピュータに暗証番号を送信する暗証番号送信機とを備え、
前記ハードディスクレコーダは、受信映像が本編番組かコマーシャルかを識別する機能を備えた録画制御部と、本編番組データを保存する本編保存専用領域と、コマーシャルデータを保存するコマーシャル保存専用領域と、該本編保存専用領域及びコマーシャル保存専用領域に接続されて本編番組とコマーシャルとを選択再生する機能を備えた再生制御部と、該コマーシャル保存専用領域に接続された暗証番号発行部とを具備し、
前記ホストコンピュータは前記暗証番号送信機から送信される暗証番号データを受信する暗証番号受信部と、登録ユーザの視聴ポイントを格納するポイント管理データベースと、登録ユーザの視聴ポイントを増減処理するポイントデータ処理部とを備え、
前記暗証番号発行部は、録画されたコマーシャル毎に暗証番号を生成し、該暗証番号がコマーシャル再生時にランダムなタイミングで前記出力部に表示されることを特徴とする、コマーシャル視聴システム。
【請求項2】
前記暗証番号受信部が受信する暗証番号データは、ユーザの機器シリアル番号と、コマーシャル識別情報と、ユーザの入力した暗証番号とを含み、
前記ポイントデータ処理部は、前記暗証番号データの機器シリアル番号とコマーシャル識別情報から新たに暗証番号を生成し、受信した暗証番号と生成した暗証番号とを比較して、双方の暗証番号が一致した場合に前記ポイント管理データベースの視聴ポイントをカウントアップすることを特徴とする、請求項1に記載のコマーシャル視聴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−42569(P2008−42569A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214861(P2006−214861)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】