説明

コモンモードチョークコイル実装構造及びコモンモードチョークコイル実装方法

【課題】ESD耐性を確保しつつ、差動伝送線路の特性インピーダンスの整合を図ったコモンモードチョークコイル実装構造及びコモンモードチョークコイル実装方法を提供する。
【解決手段】コモンモードチョークコイル2を、送受信装置110とコネクタ111間の差動伝送線路1上に実装した。コモンモードチョークコイル2の特性インピーダンスは、差動伝送線路1の特性インピーダンスと整合している。また、基板100の下面に設けられた第1のグランド領域3を、第1のスリット4によって2つの領域31,32に分離した。第1のスリット4は、差動伝送線路1の下方を横切るように形成し、コモンモードチョークコイル2は、第1のスリット4の真上の位置に実装した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コモンモードチョークコイルをESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)対策がとられた差動伝送線路上に実装するためのコモンモードチョークコイル実装構造及びコモンモードチョークコイル実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、HDMI等の高速差動伝送線路に対するESD対策技術としては、コンデンサやバリスタ等の静電気対策部品を用いる方法(例えば、特許文献1参照)と、ベタの基板グランドをスリットで分離することで、静電気が差動伝送線路側に伝導しないようにする方法(例えば、特許文献2参照)とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4213695号公報
【特許文献2】実開平06−017267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンデンサやバリスタ等の静電気対策部品を用いて、ESD対策を図る技術では、当該部品を挿入した位置での差動伝送線路の特性インピーダンスが低下する。このため、静電気対策部品を用いた場合には、インダクタを線路上に挿入することにより、当該位置における特性インピーダンスを上げて、インピーダンスの整合をとるようにしている。
しかし、基板グランドをスリットで分離して、ESD対策を図る技術では、スリット上の差動伝送線路の特性インピーダンスが高くなってしまう。このため、コンデンサ等を差動伝送線路とグランド間に挿入して、特性インピーダンスを低下させる必要がある。しかしながら、この技術では、基板グランドが分離してあるため、コンデンサ等を挿入することが難しい。したがって、基板グランドをスリットで分離して、ESD対策を図った従来の技術では、差動伝送線路上に、インピーダンスの不整合部分が発生し、差動信号が、この部分で反射して、リターンロスが発生するという問題があった。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、ESD耐性を確保しつつ、差動伝送線路の特性インピーダンスの整合を図ったコモンモードチョークコイル実装構造及びコモンモードチョークコイル実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、基板上面に設けられた差動伝送線路と、基板下面又は基板中間面に設けられた第1のグランド領域と、この第1のグランド領域を2つの領域に分離して差動伝送線路を下方で横切る第1のスリットとを備え、差動伝送線路の特性インピーダンスと整合した特性インピーダンスを有するコモンモードチョークコイルを、差動伝送線路上に実装するコモンモードチョークコイル実装構造であって、コモンモードチョークコイルを、第1のスリットの真上の位置に実装した構成とする。
かかる構成により、差動信号は、コモンモードチョークコイルに減衰されることなく、差動伝送線路上を伝送されるが、コモンモードノイズは、コモンモードチョークコイルによって減衰される。また、静電気が発生すると、静電気が第1のグランド領域上を流れ、基板上の電子回路を破損させるおそれが生じるが、第1のグランド領域が、第1のスリットによって、2つの領域に分離されているので、静電気は、この第1のスリットによって阻止され、基板上の電子回路側に進入することはない。
ところで、差動伝送線路の特性インピーダンスは、差動伝送線路自体のインダクタンスと第1のグランド領域との間の静電容量とによって決定される。したがって、第1のスリットが差動伝送線路の下方に存在すると、その部分の静電容量が他の部分よりも小さくなり、当該第1のスリット上の差動伝送線路部分の特性インピーダンスが高くなってしまう。このため、差動信号が、この差動伝送線路部分で反射する等の不都合が生じるおそれがある。
しかし、この発明では、コモンモードチョークコイルを、第1のスリットの真上の位置に実装している。したがって、第1のスリット上の差動伝送線路部分の特性インピーダンスは、コモンモードチョークコイル自体が有する特性インピーダンスであり、その特性インピーダンスは、第1のスリットの有無によって影響されることはない。そして、このコモンモードチョークコイルの特性インピーダンスが差動伝送線路の特性インピーダンスと整合しているので、コモンモードチョークコイルを含む差動伝送線路全体の特性インピーダンスは、どの位置でも同一であり、高低差は生じない。この結果、差動伝送線路を伝わる差動伝送線路が、第1のスリット上の差動伝送線路部分において、反射される等の事態は生じない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコモンモードチョークコイル実装構造において、第1のスリットの幅は、差動伝送線路に接続されるコモンモードチョークコイル両端の外部電極の間隔よりも大きい構成とした。
かかる構成により、静電気耐性を高めることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載のコモンモードチョークコイル実装構造において、第1のスリットの幅は、差動伝送線路に接続されるコモンモードチョークコイル両端の外部電極の間隔よりも小さい構成とした。
かかる構成により、第1のスリットによって生じる特性インピーダンスの高い差動伝送線路部分を狭くすることができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコモンモードチョークコイル実装構造において、基板上面に、第2のグランド領域を設け、この第2のグランド領域に、第1のスリットに対応した形状をなし且つ第2のグランド領域を2つの領域に分離して差動伝送線路を横切る第2のスリットを形成した構成とする。
【0010】
また、請求項5の発明に係るコモンモードチョークコイル実装方法は、差動伝送線路を基板上面に設けると共に、第1のグランド領域を基板下面又は基板中間面に設け、且つ、当該第1のグランド領域に、第1のグランド領域を2つの領域に分離して差動伝送線路を下方で横切る第1のスリットを形成し、差動伝送線路の特性インピーダンスと整合した特性インピーダンスを有するコモンモードチョークコイルを、差動伝送線路上であって且つ第1のスリットの真上である位置に実装した構成とする。
【発明の効果】
【0011】
以上詳しく説明したように、この発明によれば、第1のグランド領域を第1のスリットによって分離すると共に、差動伝送線路と整合した特性インピーダンスを有するコモンモードチョークコイルを、第1のスリットの真上の位置に実装するので、第1のスリットの有無に拘わらず、ESD耐性を確保しつつ、差動伝送線路の特性インピーダンスの整合を図ることができるという優れた効果がある。
【0012】
特に、請求項2の発明によれば、ESD耐性を高めることができ、また、請求項3の発明によれば、特性インピーダンスを高くする差動伝送線路部分を狭くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1実施例に係るコモンモードチョークコイル実装構造を示す基板上面図である。
【図2】この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造を示す基板下面図である。
【図3】この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造を示す概略断面図である。
【図4】コモンモードチョークコイルのノイズ除去機能を説明するための基板の上面図である。
【図5】第1のスリットによる静電気耐性を説明するための基板の下面図である。
【図6】第1のスリットがない場合の差動伝送線路の特性インピーダンスを説明するための概略断面図である。
【図7】第1のスリットがある場合の差動伝送線路の特性インピーダンスを説明するための概略断面図である。
【図8】第1のスリットがある場合の差動伝送線路の特性インピーダンス分布を示す線図である。
【図9】第1のスリットの真上にコモンモードチョークコイルを実装した場合の差動伝送線路の特性インピーダンスを説明するための概略断面図である。
【図10】第1のスリットの真上にコモンモードチョークコイルを実装した場合の差動伝送線路の特性インピーダンス分布を示す線図である。
【図11】この発明の第2実施例に係るコモンモードチョークコイル実装構造の要部を示す概略断面図である。
【図12】この発明の第3実施例に係るコモンモードチョークコイル実装構造の要部を示す概略断面図である。
【図13】この発明の第4実施例に係るコモンモードチョークコイル実装構造を示す基板上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、この発明の第1実施例に係るコモンモードチョークコイル実装構造を示す基板上面図であり、図2は、この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造を示す基板下面図であり、図3は、この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造を示す概略断面図である。
【0016】
この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造では、図1に示すように、トランシーバやレシーバ等の送受信装置110とコネクタ111とが、基板100の上面101に取り付けられ、これら送受信装置110とコネクタ111とが、1対の線路11,12で成る差動伝送線路1によって電気的に接続されている。
【0017】
そして、コモンモードチョークコイル2が差動伝送線路1上に実装されている。
具体的には、コモンモードチョークコイル2の特性インピーダンスが、差動伝送線路1の特性インピーダンスと整合する値に設定され、コモンモードチョークコイル2の4つの外部電極21〜24が線路11,12に電気的に接続されている。すなわち、図1及び図3に示すように、差動伝送線路1の線路11,12が分断され、コモンモードチョークコイル2の外部電極21,22(23,24)が、線路11(12)の分断端部11a,11b(12a,12b)上に半田等で接続されている。なお、分断端部11a,11b(12a,12b)の間隔は、コモンモードチョークコイル2両端の外部電極21,22(23,24)の間隔にほぼ等しく設定されている。
【0018】
また、この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造では、図2に示すように、第1のグランド領域3が、基板100の下面102に設けられ、第1のグランド領域3が、第1のスリット4によって、2つの領域に分離されている。
具体的には、第1のスリット4は、コネクタ111を下から囲むように形成されており、これにより、第1のグランド領域3が、コネクタ111用のグランド領域31と送受信装置110用のグランド領域32とに分離されている。
【0019】
このように第1のグランド領域3を分離する第1のスリット4は、図3にも示すように、差動伝送線路1の下方を横切るように形成されている。そして、上記したコモンモードチョークコイル2が、このような第1のスリット4の真上の位置に実装されている。
第1のスリット4の幅は、コモンモードチョークコイル2の外部電極21,22(23,24)の間隔にほぼ等しく設定されており、コモンモードチョークコイル2真下の第1のスリット4の部分がコモンモードチョークコイル2によって覆われている。
【0020】
上記のようなコモンモードチョークコイル実装構造を有する基板100の製造方法は、次の通りである。なお、この製造方法は、この発明のコモンモードチョークコイル実装方法を具体的に実現する方法でもある。
まず、送受信装置110や線路11,12を実装するためのパターン配線と共に差動伝送線路1を、基板100の上面101上にパターン形成する。そして、第1のスリット4と共に第1のグランド領域3を、下面102に形成する。しかる後、送受信装置110と線路11,12とを上面101の配線パターン上に実装すると共に、コモンモードチョークコイル2を第1のスリット4の真上の差動伝送線路1に実装することで、コモンモードチョークコイル2が実装された基板100が製造される。
【0021】
次に、この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造が示す作用及び効果について説明する。
図4は、コモンモードチョークコイル2のノイズ除去機能を説明するための基板100の上面図であり、図5は、第1のスリット4による静電気耐性を説明するための基板100の下面図である。
図4に示すように、基板100を使用する場合には、差動伝送ケーブル200のコネクタ201をコネクタ111に接続して、差動伝送ケーブル200と差動伝送線路1とを連通させる。
このとき、コネクタ201とコネクタ111との端子間の接触により、静電気Qが発生すると、静電気Qは、コネクタ111から第1のグランド領域3側に伝わり、送受信装置110側に向かう。そして、静電気Qは、図5の矢印で示すように、第1のグランド領域3のグランド領域31を伝わり、グランド電極32側に向かう。しかし、グランド領域31とグランド電極32とが、第1のスリット4によって分離されているので、静電気Qは第1のスリット4によって阻止される。
【0022】
また、図4に示すように、差動伝送ケーブル200を通じて送られてきた差動信号S+,S-は、コネクタ201,111を介して差動伝送線路1に入力され、コモンモードチョークコイル2を通って、送受信装置110に受信される。逆に、送受信装置110から出力された差動信号S+,S-は、差動伝送線路1のコモンモードチョークコイル2を通って、差動伝送ケーブル200側に送信される。
このとき、差動信号S+,S-の位相差等によって、コモンモード成分が発生した場合には、コモンモードチョークコイル2によって除去され、差動伝送線路1からのコモンモードノイズの放射が防止される。
【0023】
ところで、差動伝送線路1の特性インピーダンスは、差動伝送線路1自体のインダクタンスと第1のグランド領域3との間の静電容量とによって決定される。
図6は、第1のスリット4がない場合の差動伝送線路1の特性インピーダンスを説明するための概略断面図である。
図6に示すように、高周波の差動信号を伝送する差動伝送線路1は、分布定数型線路であり、差動伝送線路1の微小部分が、そのインダクタンスLと静電容量Cとに対応した特性インピーダンスをそれぞれ有し、ほぼ全ての微小部分の特性インピーダンスが整合している。
【0024】
しかし、第1のスリット4を第1のグランド領域3に形成すると、差動伝送線路1上に不整合な部分が発生する。
図7は、第1のスリット4がある場合の差動伝送線路1の特性インピーダンスを説明するための概略断面図であり、図8は、第1のスリット4がある場合の差動伝送線路1の特性インピーダンス分布を示す線図である。なお、線図の縦軸Zは特性インピーダンス(Ω)を示し、横軸Xは、第1のスリット4の端4aからの距離(mm)を示す。
図7に示すように、第1のスリット4を第1のグランド領域3に形成すると、第1のスリット4の部分には、第1のグランド領域3がなくなるので、第1のスリット4の真上の差動伝送線路1の部分Wの静電容量C′が、ほぼ零になるか、シャーシグランド等の別のグランド120を基準とする値となる。このため、部分Wの静電容量C′が他の部分の静電容量Cよりも小さくなり、その結果、当該部分Wの特性インピーダンスが高くなってしまい。他の部分との整合が損なわれる。
具体的には、図8のインピーダンス曲線Sで示すように、第1のスリット4の間隔4a,4b、すなわち、第1のスリット4の真上の差動伝送線路1の部分Wのほぼ中央部の特性インピーダンスが他に比べて非常に高くなってしまう。
【0025】
しかしながら、この実施例のように、第1のスリット4の真上にコモンモードチョークコイル2を実装すると、特性インピーダンスの整合を図ることができる。
図9は、第1のスリット4の真上にコモンモードチョークコイル2を実装した場合の差動伝送線路1の特性インピーダンスを説明するための概略断面図であり、図10は、第1のスリット4の真上にコモンモードチョークコイル2を実装した場合の差動伝送線路1の特性インピーダンス分布を示す線図である。
図9に示すように、コモンモードチョークコイル2を、第1のスリット4の真上に実装する場合には、差動伝送線路1の部分Wを分断し、コモンモードチョークコイル2の外部電極21,22(23,24)を、線路11(12)の分断端部11a,11b(12a,12b)上に接続する。このため、部分Wには、線路のインダクタンスや第1のグランド領域3との間の静電容量はほとんど生じない。部分Wの特性インピーダンスは、コモンモードチョークコイル2の特性インピーダンスである。このコモンモードチョークコイル2の特性インピーダンスは、コモンモードチョークコイル2自体のインダクタンスL1や寄生容量等による静電容量C1によって決まるものであり、第1のスリット4や第1のグランド領域3による影響をほとんど受けない。そして、これらのインダクタンスL1や静電容量C1による特性インピーダンスは、予め差動伝送線路1の特性インピーダンスと整合されているので、第1のスリット4の真上の位置の特性インピーダンスは、他の差動伝送線路1の部分の特性インピーダンスとほぼ等しくなる。
具体的には、図10のインピーダンス曲線Sで示すように、第1のスリット4の間隔4a,4b、すなわち、第1のスリット4の真上の部分において、その特性インピーダンスが低く抑えられ、他の部分と整合している。
【実施例2】
【0026】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図11は、この発明の第2実施例に係るコモンモードチョークコイル実装構造の要部を示す概略断面図である。
この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造では、図11に示すように、第1のスリット4の幅d4を、差動伝送線路1の線路11(12)に接続されたコモンモードチョークコイル2両端の外部電極21,22(23,24)の間隔d2よりも大きく設定した。
かかる構成により、グランド領域31からグランド電極32への静電気の伝搬を幅広の第1のスリット4によって完全に阻止することができ、静電気耐性を高めることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例3】
【0027】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図12は、この発明の第3実施例に係るコモンモードチョークコイル実装構造の要部を示す概略断面図である。
この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造では、図12に示すように、第1のスリット4の幅d4を、差動伝送線路1の線路11(12)に接続されたコモンモードチョークコイル2両端の外部電極21,22(23,24)の間隔d2よりも小さく設定した。
かかる構成により、第1のグランド領域3の削減幅が少なくなり、第1のスリット4による差動伝送線路1の特性インピーダンスの変化を小さく抑えることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例4】
【0028】
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図13は、この発明の第4実施例に係るコモンモードチョークコイル実装構造を示す基板上面図である。
図13に示すように、この実施例のコモンモードチョークコイル実装構造では、基板100の上面101に、第2のグランド領域5を設けた。そして、第1のスリット4と同じ形状の第2のスリット6を第2のグランド領域5に、差動伝送線路1を横切るように形成して、第2のグランド領域5を、グランド領域31に対応するグランド領域51と、グランド電極32に対応するグランド電極52とに分離した。なお、この実施例においても、図2で示した第1のグランド領域3と第1のスリット4とが、基板100の下面102に設けられていることは勿論である。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0029】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、第1のグランド領域3を基板100の下面102に形成したが、これに限るものでなく、多層の基板100の中間層の面(上面101と下面102との間の層の面)上に形成しても良い。
【符号の説明】
【0030】
1…差動伝送線路、 2…コモンモードチョークコイル、 3…第1のグランド領域、 4…第1のスリット、 5…第2のグランド領域、 6…第2のスリット、 11,12…線路、 11a,11b,12a,12b…分断端部、 21〜24…外部電極、 31,32,51,52…グランド電極、 100…基板、 101…上面、 102…下面、 110…送受信装置、 111…コネクタ、 200…差動伝送ケーブル、 201…コネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上面に設けられた差動伝送線路と、基板下面又は基板中間面に設けられた第1のグランド領域と、この第1のグランド領域を2つの領域に分離して上記差動伝送線路を下方で横切る第1のスリットとを備え、上記差動伝送線路の特性インピーダンスと整合した特性インピーダンスを有するコモンモードチョークコイルを、上記差動伝送線路上に実装するコモンモードチョークコイル実装構造であって、
上記コモンモードチョークコイルを、上記第1のスリットの真上の位置に実装した、
ことを特徴とするコモンモードチョークコイル実装構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコモンモードチョークコイル実装構造において、
上記第1のスリットの幅は、上記差動伝送線路に接続されるコモンモードチョークコイル両端の外部電極の間隔よりも大きい、
ことを特徴とするコモンモードチョークコイル実装構造。
【請求項3】
請求項1に記載のコモンモードチョークコイル実装構造において、
上記第1のスリットの幅は、上記差動伝送線路に接続されるコモンモードチョークコイル両端の外部電極の間隔よりも小さい、
ことを特徴とするコモンモードチョークコイル実装構造。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコモンモードチョークコイル実装構造において、
上記基板上面に、第2のグランド領域を設け、
この第2のグランド領域に、上記第1のスリットに対応した形状をなし且つ第2のグランド領域を2つの領域に分離して上記差動伝送線路を横切る第2のスリットを形成した、
ことを特徴とするコモンモードチョークコイル実装構造。
【請求項5】
差動伝送線路を基板上面に設けると共に、第1のグランド領域を基板下面又は基板中間面に設け、且つ、当該第1のグランド領域に、第1のグランド領域を2つの領域に分離して上記差動伝送線路を下方で横切る第1のスリットを形成し、上記差動伝送線路の特性インピーダンスと整合した特性インピーダンスを有するコモンモードチョークコイルを、上記差動伝送線路上であって且つ上記第1のスリットの真上である位置に実装した、
ことを特徴とするコモンモードチョークコイル実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−77581(P2011−77581A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223801(P2009−223801)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】