説明

コルチコトロピン放出性因子(CRF)アンタゴニストとしてのスピロ置換テトラヒドロキナゾリン

式(I)の化合物およびその薬学的に許容しうる塩またはプロドラック(式中、m、n、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は明細書に定義されたとおりである)。本発明は、式(I)の化合物の、製法、含有組成物および同化合物を含有する医薬の調製のための使用法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CFRアンタゴニストとしての新規なスピロテトラヒドロキナゾリンおよびジヒドロシクロペンタピリミジン誘導体、それらを含む医薬組成物、それらの製造方法、ならびに疾患の処置に有用な医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【0002】
そこで、第一の態様において、本発明は、式(I):
【0003】
【化5】

【0004】
(式中、
mは、0または1であり;
nは、0または1であり;
1およびR2は、各々独立に、水素、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、場合により置換されているフェニルアルキル、シアノアルキル、アルキルスルホニル、シクロアルキルアルキルであるか;またはR1およびR2は、それらが共有している窒素と一緒になって、場合により置換されている3員〜7員のヘテロシクリル環を形成するか;またはR1およびR2は、それらが共有している窒素と一緒になって、場合により置換されている5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成し;
3およびR5の一方は、水素、アルキル、またはアルコキシであり;R3およびR5の他方は、R4と一緒になって、場合により置換されているフェニルを形成し;
6およびR7は、各々独立に、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、またはハロであり;
8は、水素またはアルキルである)
の化合物またはそれらの薬学的塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。
【0005】
第二の態様において、本発明は、また、式(a):
【0006】
【化6】

【0007】
(式中、Xは脱離基であり、m、n、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は本明細書に記載されたとおりである)
の化合物を、式(b) R12NH(b)
のアミンと反応させて、式(I)の化合物を得ることを含む、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0008】
コルチコトロピン放出性因子(CRF)またはホルモン(CRH)は、脳中の特定の視床下部核により合成される何種類かの神経ホルモンの一種であり、そこにおいて、プロオピオメラノコルチン(POMC)遺伝子の転写を活性化することにより、脳下垂体前葉細胞から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)およびβ−エンドルフィンを放出させる(Valeら、Science 213, 1394-1397 (1981))。CRFの基本的な役割は、様々なストレッサー、例えば物理的外傷、免疫系の傷害および社会的相互作用に対して、生物に適切に応答させることである。CRFは、脳中の高中枢、特にCRF神経が広く分布している皮質領域に作用することにより、CNS効果をも有する。CRFは、免疫、中枢神経、内分泌および心臓血管系間の伝達における重要な仲介物であると考えられている(Sapolskyら、Science 238, 522-524 (1987))。生理学的、心理学的および免疫学的ストレッサーに対する免疫系の応答を統括する上でCRFの果たす役割は、この分野で、例えばJ.E. Blalock, Physiological Reviews 69, 1 (1989)およびJ.E. Morley, Life Sci. 41, 527 (1987)に記載されている。
【0009】
CRFアンタゴニストは、広範囲なストレスに関連する疾患、気分障害、例えばうつ病、大うつ障害、単回エピソードうつ病、回帰性うつ病、被虐待児誘発うつ病、分娩後うつ病、気分変調、双極性障害および循環気質;慢性疲労症候群;摂食障害、例えば肥満症、神経性の拒食症および過食症;全般性不安障害;パニック障害;恐怖症;強迫障害;外傷性ストレス後障害;痛知覚、例えば線維筋痛症;頭痛;ストレス誘発性胃腸機能障害、例えば過敏性腸症候群(IBS)、大腸過敏症または痙攣性大腸;出血性ストレス;潰瘍;ストレス誘発性精神病エピソード;炎症性障害、例えば慢性関節リウマチおよび変形性関節症;喘息;乾癬;アレルギー;早産;高血圧;鬱血性心不全;睡眠障害;神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、老年性痴呆、パーキンソン病およびハンチントン病;頭部および脊髄外傷;虚血性神経損傷;興奮毒性神経損傷;てんかん;卒中;心理社会的萎縮症;薬物依存および嗜癖;薬物およびアルコール禁断症状;ストレス誘発性免疫機能障害;免疫抑制およびストレス誘発性感染;心臓血管または心臓に関連する疾患;生殖能力問題;および/またはヒト免疫不全性ウイルス感染の処置に有効である。
【0010】
したがって、臨床データは、CRF受容体アンタゴニストが、CRFの分泌過多を示す神経精神障害の処置に使用できる新規な抗うつ薬および/または抗不安薬を提供できることを示唆している。CRFの効果的で特異的なアンタゴニストが、精神病学的障害および神経学的疾患の処置に潜在的に有益な治療薬として望まれる。
【0011】
本発明は、また、上記の疾患の処置に有用な医薬の製造用の上記の化合物を含む組成物を提供する。
【0012】
他に記載がない限り、明細書および特許請求の範囲を包含する本願で使用する下記の用語は、下記の定義を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形は、文脈が明確に他のことを定義していない限り、複数形を包含するものとする。
【0013】
「アゴニスト」は、別の化合物または受容体部位の活性を増強する化合物をいう。
【0014】
「アルキル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、1〜12個の炭素原子を有する1価の直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子のアルキル基、つまり、C1〜C6アルキルを意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシル等を包含するが、これらに限定するものではない。
【0015】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の直鎖状の2価の飽和炭化水素基または3〜6個の炭素原子の分岐鎖状の2価の飽和炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、3−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等を意味する。
【0016】
「アルコキシ」は、式−ORの基を意味し、ここでRは、本明細書中で定義されたとおりのアルキル基である。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等を包含するが、これらに限定するものではない。
【0017】
「アルコキシアルキル」は、式−R’−R”の基を意味し、ここでR’は、アルキレンであり、R”は、本明細書中で定義されたとおりのアルコキシである。
【0018】
「アルキルカルボニル」は、式−R’−R”の基を意味し、ここでR’は、オキソであり、R”は、本明細書中で定義されたとおりのアルキルである。
【0019】
「アルキルスルホニル」は、式−R’−R”の基を意味し、ここでR’は、−SO2−であり、R”は、本明細書中で定義されたとおりのアルキルである。
【0020】
「アンタゴニスト」は、別の化合物または受容体部位の作用を減少させるか、または阻害する化合物をいう。
【0021】
「アリール」は、単環式、二環式または三環式芳香族環からなる1価の環状芳香族炭化水素基を意味する。アリール基は、場合により、本明細書中で定義したように置換されていてもよい。アリール基の例は、場合により置換されている、フェニル、ナフチル、フェナンスリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル等、およびこれらの部分水素化誘導体を包含するが、これらに限定するものではない。
【0022】
同義的に使用できる、「アリールアルキル」および「アラルキル」は、基−Rabを意味し、ここでRaはアルキレン基であり、Rbは本明細書中で定義されたとおりのアリールであり;フェニルアルキル、例えば、ベンジル、フェニルエチル、3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチル等がアリールアルキルの例である。
【0023】
「シアノアルキル」は、式−R’−R”の基を意味し、ここでR’は、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンであり、R”は、シアノまたはニトリルである。
【0024】
「シクロアルキル」は、単環または二環からなる1価の飽和炭素環式基を意味する。シクロアルキルは、場合により、1個以上の置換基で置換されていてもよく、他に特記されない限り、各々の置換基は、独立に、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等およびこれらの部分不飽和誘導体を包含するが、これらに限定するものではない。
【0025】
「シクロアルキルアルキル」は、式−R’−R”の基を意味し、ここでR’は、アルキレンであり、R”は、本明細書中と同義であるシクロアルキルである。
【0026】
「ヘテロアルキル」は、1、2または3個の水素原子が、独立に、−ORa、−NRbcおよび−S(O)nd(ここでnは、0〜2の整数である)からなる群から選択された置換基に置き換わった、本明細書中と同義であるアルキル基であり、ヘテロアルキル基の結合点は、炭素原子を通してであり、ここでRaは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり;RbおよびRcは、互いに独立に、水素、アシル、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり;nが0である場合、Rdは水素、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり、nが1または2である場合、Rdはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノである。代表的な例は、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等を包含するが、これらに限定するものではない。
【0027】
「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を含む少なくとも1個の芳香族環を有し、残りの環原子が炭素である、5〜12個の環原子の単環式または二環式基を意味し、ヘテロアリール基の結合点は、芳香族環上である。ヘテロアリール環は、場合により、本明細書中で定義したように置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例は、場合により置換している、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等、およびこれらの部分水素化誘導体を包含するが、これらに限定するものではない。
【0028】
同義的に使用できる、「ハロ」または「ハロゲン」は、置換基フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
【0029】
「ハロアルキル」は、1個以上の水素が同一または異なるハロゲン原子に置き換わった、本明細書中に定義されたとおりのアルキルを意味する。ハロアルキルの例は、−CH2Cl、−CH2CF3、−CH2CCl3、ペルフルオロアルキル(例えば、−CF3)等を包含する。
【0030】
「ヘテロシクロアミノ」は、少なくとも1個の環原子がN、NHまたはN−アルキルであり、残りの環原子がアルキレン基を形成する、飽和環を意味する。
【0031】
「ヘテロシクリル」は、1〜3個の環からなり、1、2または3個または4個のヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄から選択される)を含む1価の飽和基である。ヘテロシクリル環は、場合により、本明細書中で定義したように置換されていてもよい。ヘテロシクリル基の例は、場合により置換している、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリジニル、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0032】
「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」に関連して使用される、「場合により置換されている」は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(ここで、Rは水素、アルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、−(CR’R”)n−COOR(ここで、nは0〜5の整数であり、R’およびR”は独立に水素またはアルキルであり、Rは水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、または−(CR’R”)n−CONRab(ここで、nは0〜5の整数であり、R’およびR”は独立に水素またはアルキルであり、RaおよびRbは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)から選択される、独立に1〜4個、好ましくは1または2個の置換基で場合により置換されている、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルを意味する。
【0033】
「脱離基」は、合成有機化学で通常、それに関連する意味を有する基、すなわち置換反応条件下で置換され得る原子または基を意味する。脱離基の例は、ハロゲン、アルカン−もしくはアリーレンスルホニルオキシ、例えばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシおよびチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されているベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシ等を包含するが、これらに限定するものではない。
【0034】
「モジュレーター」は、対象物と相互作用する分子を意味する。相互作用は、本明細書中で定義されたアゴニスト、アンタゴニスト等を包含するが、これらに限定するものではない。
【0035】
「場合による」または「場合により」は、その後に続いて記載される出来事または状況が起こり得るが、起こる必要はないこと、およびその記載が、その出来事または状況が起こる場合と、起こらない場合とを包むことを意味する。
【0036】
「疾患状態」は、すべての疾患、状態、症状、または徴候を意味する。
【0037】
「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、それに関連して説明されている反応条件下で不活性である溶媒を意味し、例えばベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレンまたはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジン等を包含する。異なることを指示しない限り、本発明の反応で使用する溶媒は、不活性溶媒である。
【0038】
「薬学的に許容しうる」は、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的にも、または他の意味でも好ましくないことはなく、医薬組成物の製造に有用であることを意味し、獣医学的ならびにヒト医薬用途に使用できることを含む。
【0039】
ある化合物の「薬学的に許容しうる塩」は、本明細書中で定義されたとおりの、薬学的に許容しうるとともに、親化合物の望ましい薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩は、
無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等と形成される酸付加塩;または有機酸、例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸等と形成される酸付加塩;あるいは
親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンにより置き換えられるか;または有機もしくは無機塩基と配位する場合に形成される塩を包含する。
許容しうる有機塩基は、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミン等を含む。許容しうる無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを含む。
【0040】
好ましい薬学的に許容しうる塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛およびマグネシウムから形成された塩である。
【0041】
薬学的に許容しうる塩への言及は、すべて、同じ酸付加塩の、本明細書中で定義される溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形態(多形)を含むものとする。
【0042】
同義的に使用できる、「プロ−ドラッグ」およびは「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグを哺乳動物被験対象に投与したときに、式Iで示される活性な親化合物を生体内で放出するいずれかの化合物をいう。式Iの化合物のプロドラッグは、その修飾部が生体内で開裂し、親化合物が放出されるように、式Iの化合物中に存在する1個以上の官能基を修飾することにより製造される。プロドラッグは、式Iの化合物中のヒドロキシ、アミノ、またはスルヒドリル基が、生体内で開裂して遊離のヒドロキシ、アミノ、またはスルフィドリル基をそれぞれ再生することができるいずれかの基に結合している式Iの化合物を包含する。プロドラッグの例は、式Iの化合物中のヒドロキシ官能基のエステル(例えばアセテート、ホルメート、およびベンゾエート誘導体)、カルバメート(例えばN,N−ジメチルアミノカルボニル)、アミノ官能基のN−アシル誘導体(例えばN−アセチル)、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナンチオマー、式Iの化合物中のケトンおよびアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステル等を包含するが、これらに限定するものではなく、Bundgaard. H, "Design of Prodrugs", p1-92, Elsevier, New York-Oxford (1985)等を参照されたい。
【0043】
「保護基」または「保護する基」は、合成化学で通常それに関連する意味で、多官能性化合物における反応性部位の一つを選択的にブロックして、化学反応が別の保護されていない反応性部位で選択的に起こり得るようにする基を意味する。本発明の特定の工程は、反応物中に存在する反応性窒素および/または酸素原子をブロックする保護基に依存している。例えば、用語「アミノ−保護基」および「窒素を保護する基」は、本明細書では同義的に使用され、合成工程の際に好ましくない反応に対して窒素原子を保護するための有機基を指す。窒素を保護する基の例は、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)等を包含するが、これらに限定するものではない。当業者は、容易に除去でき、次の反応に耐えることができる基の選択方法を知悉している。
【0044】
「溶媒和物」は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒を含む溶媒付加形態を意味する。ある種の化合物は、結晶性固体状態において一定モル比の溶媒分子をトラップし、それによって溶媒和物を形成する傾向を有する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1個以上の水分子と物質の一つとの組合せにより形成され、そこでは、水がH2Oとしてのその分子状態を維持しており、そのような組合せは一種以上の水和物を形成することができる。
【0045】
「被験対象」は、哺乳動物および非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、ヒト;非ヒト霊長目、例えばチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種;家畜動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギおよびブタ;ペット、例えばウサギ、イヌおよびネコ;実験動物、例えばラット、マウスおよびモルモット等の齧歯類などを含む哺乳綱区分のすべてのメンバーを意味するが、これらに限定するものではない。非哺乳動物の例は、鳥類などを含むが、これらに限定するものではない。用語「被験対象」は、特定の年齢または性を指定しない。
【0046】
「治療有効量」は、化合物の、疾患状態を処置するために被験対象に投与した時に、その疾患の状態を処置するのに十分な量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置している疾患の状態、処置する疾患重症度、被験対象の年齢および相対的な健康状態、投与の経路および形態、担当する医師または獣医師の判断、その他のファクターにより異なる。
【0047】
変数に関しての用語「上で定義されたもの」および「本明細書中で定義されたもの」は、その変数の広い定義、ならびにもしあるならば、好ましい、より好ましい、および最も好ましい定義が参照して組み入れられる。
【0048】
疾患状態を「処置すること」または疾患状態の「処置」は、
(1)疾患状態を予防すること、すなわち疾患状態にさらされる可能性があるか、またはなりやすいが、まだ疾患状態を経験していないか、または症状を示していない被験対象に、疾患状態の臨床的症状を引き起こさないこと、
(2)疾患状態を抑制すること、すなわち疾患状態またはその臨床的症状の進行を抑えること、または
(3)疾患状態を緩和すること、すなわち疾患状態またはその臨床的症状を一時的または永久的に寛解させること
を包含する。
【0049】
化学反応に関しての用語「処理」、「接触」および「反応」は、適切な条件下に2以上の反応剤を添加または混合して、指示されたおよび/または所望の生成物を製造することを意味する。指示されたおよび/または所望の生成物を製造する反応は、必ずしも、最初に添加した2種の反応剤の組合せから直接得られるものではなくてもよく、すなわち、最終的には指示されたおよび/または所望の生成物の生成を導く、混合物中で製造される1つ以上の中間体が存在していてもよい。
【0050】
「気分障害」または「情動障害」は、気分の広い動揺を中心徴候とする精神病理学的状態を意味する。これらの用語は、不安および関連する神経症、特に抑うつ形態を包含する。「気分障害」または「情動障害」の例は、うつ病、大うつ障害、単回エピソードうつ病、回帰性うつ病、被虐待児誘発うつ病、分娩後うつ病、気分変調、単極性障害、不眠症および摂食障害の徴候がある双極性障害、気分変調障害、併発型うつ病、病的および臨床的抑うつ、躁病および循環気質を包含するが、これらに限定するものではない。
【0051】
一般的に、本願で使用する命名法は、IUPAC系統的命名法の生成のためのBeilestein Instituteコンピュータ化方式AUTONOM(商標)v.4.0に基づく。便宜のために、本明細書中に記載される代表的なジヒドロシクロペンタピリミジンおよびテトラヒドロキナゾリン化合物の位置のIUPAC番号付けを化学式で示す。
【0052】
【化7】

【0053】
本明細書中に示す化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を用いて作成した。本明細書中の構造における炭素、酸素および窒素原子上の全ての空いている結合価は、水素原子の存在を意味する。
【0054】
本明細書中に明示した全ての特許および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0055】
より詳細には、本発明は、式(I):
【0056】
【化8】

【0057】
(式中、
mは、0または1であり;
nは、0または1であり;
1およびR2は、各々独立に、水素、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているフェニルアルキル、シアノアルキル、アルキルスルホニル、シクロアルキルアルキルであるか;またはR1およびR2は、それらが共有している窒素と一緒になって、場合により置換されている3員〜7員のヘテロシクリル環を形成するか;またはR1およびR2は、それらが共有している窒素と一緒になって、場合により置換されている5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成し;
3およびR5の一方は、水素、アルキル、またはアルコキシであり;R3およびR5の他方は、R4と一緒になって、場合により置換されているフェニルを形成し;
6およびR7は、各々独立に、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、またはハロであり;
8は、水素またはアルキルである)
の化合物またはそれらの薬学的塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。
【0058】
本発明の範囲は、存在しうる種々の異性体のみならず、形成されうる異性体の種々の混合物をも包含することを理解すべきである。さらに、本発明の範囲は、また、式Iの化合物の溶媒和物および塩をも包含する。
【0059】
一つの実施態様では、本発明の化合物は、mが0である、式(I)のそれらの化合物である。
【0060】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1である、式(I)のそれらの化合物である。
【0061】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0である、式(I)のそれらの化合物である。
【0062】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R3およびR4が、場合により置換されているフェニルを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0063】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R4およびR5が、場合により置換されているフェニルを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0064】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1およびR2がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0065】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1がプロピルまたはブチルであり、R2がメチルまたはエチルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0066】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1がシクロアルキルアルキルであり、R2がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0067】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1がシクロプロピルメチルであり、R2がプロピルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0068】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1が場合により置換されているフェニルアルキルであり、R2がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0069】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1がベンジルまたは4−メチルベンジルであり、R2がメチル、エチル、プロピルまたはブチルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0070】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1がシアノアルキルであり、R2がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0071】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1がシアノエチルであり、R2がエチルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0072】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルおよび2−メチルピペリジン−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロシクリルを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0073】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピラゾリル、イミダゾリル、およびピロリルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0074】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピロール−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0075】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピラゾール−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0076】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが0であり、R8がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0077】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0である、式(I)のそれらの化合物である。
【0078】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R3およびR4が、場合により置換されているフェニルを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0079】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R4およびR5が、場合により置換されているフェニルを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0080】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1およびR2がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0081】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1がプロピルまたはブチルであり、R2がメチルまたはエチルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0082】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1がシクロアルキルアルキルであり、R2がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0083】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1がシクロプロピルメチルであり、R2がプロピルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0084】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1が場合により置換されているフェニルアルキルであり、R2がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0085】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1がベンジルまたは4−メチルベンジルであり、R2がメチル、エチル、プロピルまたはブチルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0086】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1がシアノアルキルであり、R2がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0087】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1がシアノエチルであり、R2がエチルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0088】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルおよび2−メチルピペリジン−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロシクリルを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0089】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピラゾリル、イミダゾリル、およびピロリルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0090】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピロール−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0091】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピラゾール−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成する、式(I)のそれらの化合物である。
【0092】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが0であり、R8がアルキルである、式(I)のそれらの化合物である。
【0093】
ある実施態様において、R3およびR4は場合により置換されているフェニルを形成し、したがって、対象化合物は、式(II):
【0094】
【化9】

【0095】
(式中、pは、0〜4であり;R9は、アルキル、アルコキシ、ハロまたはハロアルキルであり;m、n、R1、R2およびR8は式(I)の化合物に関して本明細書中で定義されたとおりである)
の化合物である。
【0096】
いくつかの実施態様において、nは0であり、R5、R6およびR7は水素であり、したがって、本発明の化合物は、式(III):
【0097】
【化10】

【0098】
(式中、p、m、R1、R2、R8およびR9は、式(I)の化合物に関して本明細書中で定義されたとおりである)
の化合物である。
【0099】
他の実施態様では、本発明の化合物は、R7が水素である、式(III)のそれらの化合物である。
【0100】
他の実施態様では、本発明の化合物は、R7が水素であり、R8がメチルである、式(III)のそれらの化合物である。
【0101】
他の実施態様では、本発明の化合物は、R7が水素であり、R8がメチルであり、R1がプロピルまたはブチルであり、R2がメチルまたはエチルである、式(III)のそれらの化合物である。
【0102】
他の実施態様では、本発明の化合物は、R7が水素であり、R8がメチルであり、R1がシクロプロピルメチルであり、R2がプロピルである、式(III)のそれらの化合物である。
【0103】
他の実施態様では、本発明の化合物は、R7が水素であり、R8がメチルであり、R1がベンジルまたは4−メチルベンジルであり、R2がメチル、エチル、プロピルまたはブチルである、式(III)のそれらの化合物である。
【0104】
他の実施態様では、本発明の化合物は、R7が水素であり、R8がメチルであり、R1がシアノエチルであり、R2がエチルである、式(III)のそれらの化合物である。
【0105】
他の実施態様では、本発明の化合物は、R7が水素であり、R8がメチルであり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルおよび2−メチルピペリジン−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロシクリルを形成する、式(III)のそれらの化合物である。
【0106】
他の実施態様では、本発明の化合物は、R7が水素であり、R8がメチルであり、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、3−メチル−ピラゾール−1−イル基を形成する、式(III)のそれらの化合物である。
【0107】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが0であり、nが1である、式(I)のそれらの化合物である。
【0108】
他の実施態様では、本発明の化合物は、mが1であり、nが1である、式(I)のそれらの化合物である。
【0109】
全てのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、アルキルであるか、そうでない場合にはアルキル部分を含む実施態様において、アルキルは、低級アルキル、例えばC1〜C6アルキル、より特定的にはC1〜C4アルキルである。R1またはR2がシクロアルキルアルキルである場合には、それらは、ある実施態様において、C3〜C6シクロアルキル−C1〜C4アルキルである。
【0110】
多くの実施態様において、R1およびR2は、各々独立に、アルキル;場合により置換されているベンジル;シアノアルキル;またはシクロアルキルアルキルである。ある実施態様において、R1およびR2は双方ともアルキルであり、各々独立に、プロピル、ブチル、メチル、エチルまたは他のC1〜C6アルキルであってもよい。他の実施態様において、R1およびR2の一方はアルキルであってもよく、他方はシクロアルキルアルキル、例えばシクロプロピルメチルまたは他のC3〜C6シクロアルキル−C1〜C4アルキルであってもよい。さらに他の実施態様において、R1およびR2の一方は、シアノアルキル、例えばシアノエチルであってもよく、他方はアルキルである。さらなる実施態様において、R1およびR2の一方は、フェニルアルキル、例えば場合により置換されているベンジルであってもよく、他方はアルキルである。
【0111】
ある実施態様において、R1およびR2が、それらが結合する窒素と一緒に、ピロリジル、ピペリジルより選択される、場合により置換されているヘテロシクリル、またはピラゾリル、イミダゾリル、およびピロリルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成してもよい。特定の実施態様において、R1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−メチルピペリジン−1−イルまたは3−メチルピラゾール−1−イルを形成してもよい。多くの実施態様において、R8はアルキルであり、ある実施態様において、R8はメチルである。
【0112】
本発明に係る代表的な化合物を、表1に示す。
【0113】
【表1】









【0114】
本発明の他の態様は、薬学的に許容しうる担体と共に、薬学的に有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を含む組成物を提供する。
【0115】
本発明のさらに他の態様は、CRF受容体アンタゴニストで処置することにより緩和される疾患状態を有する被験対象の処置方法であって、薬学的に有効量の式Iの化合物をそのような被験対象に投与することを含む方法を提供する。疾患状態は、例えば、恐怖症、ストレスに関連する疾患、気分障害、摂食障害、全般性不安障害、ストレス誘発性胃腸機能障害、神経変性疾患および神経精神病学的障害を包含する。
【0116】
本発明の他の態様は、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0117】
本発明の化合物は、以下に示され記載される説明用の合成反応スキームに記載の種々の方法により製造することができる。
【0118】
これらの化合物を製造する上で使用される出発原料および試薬は、一般に、商業的供給者、例えばAldrich Chemical Co.,から入手できるか、あるいは参考文献、例えばFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5および補遺;ならびにOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40に記載の手順に従って、当業者に公知の方法により製造される。以下の合成反応は、それにより本発明の化合物が合成できるいくつかの方法の単なる例示であり、これらの合成反応への種々の修正を行うことができ、またその修正はこの出願に含まれる開示を参照した当業者に示唆されるであろう。
【0119】
合成反応スキームの出発原料および中間体は、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むが但しそれらに限定されない慣用の手法を用いて、所望により単離および精製することができる。そのような物質は、物理定数およびスペクトルデータを含む、慣用の手段を用いて特徴付けすることができる。
【0120】
異なるように特記されない限り、本明細書中に記載の反応は、好ましくは、不活性な雰囲気下に、大気圧で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、最も好ましく且つ好都合には、およそ室温(周囲温度)、例えば約20℃で行われる。
【0121】
下記のスキームAは、Xがハロ、トシルまたは他の脱離基であり、Rが低級アルキルであり、m、n、R1、R2、R5、R6、R7、R8およびR9が本明細書中で定義されたとおりである、式(II)の特定化合物を製造するのに使用しうる一つの合成手順を説明する。
【0122】
【化11】

【0123】
スキームAの工程1において、アルキル化は、カルボキシレートエステル1を、無水極性非プロトン性溶媒条件下でリチウムジイソプロピルアミド等の強塩基でまず処理し、引き続き、α〜ωハロカルボキシレート2と反応させることにより行われ、ジエステル化合物3が得られる。カルボキシレートエステル1として、本発明の特別な実施態様に応じて、インダン−1−カルボキシレート(n=0)または1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−カルボキシレート(n=1)を挙げることができる。α〜ωハロカルボキシレート2は、例えば、5−ブロモ−ペンタン酸エチルエステル(m=1)または5−ブロモ−ブタン酸エチルエステル(m=0)を挙げることができ、場合により、本明細書中で定義されたとおりのR7基で置換されていてもよい。
【0124】
次いで、工程1のジエステル化合物3は、水素化ナトリウム等の塩基で処理することにより、工程2において環化され、スピロケトエステル化合物4を与える。この工程は、周知のディックマン縮合を利用する(Pinkney, Org. Syn., Coll. Vol 2, 116 (1943))。R5、R6、R7、R8およびR9のいずれかが塩基感受性である場合には、したがって、好適な保護基を使用することができる。
【0125】
工程4において、ピリミジン生成は、塩基の存在下に加熱しながら、スピロケトエステル化合物4をアミジン5、例えばアセトアミジン、プロピオンアミジンまたはイソブチルアミジンと反応させることにより行うことができ、ヒドロキシピリミジン化合物6を与える。
【0126】
ヒドロキシピリミジン化合物6は、還流条件下にオキシ塩化リンとの反応により、工程4において、クロロピリミジン7に変換することができる。
【0127】
次いで、クロロピリミジン化合物7は、工程5においてアミン8と反応させて、本発明に係る式(II)の化合物を与える。アミン8としては、例えば、ジエチルアミン等のN,N−ジアルキルアミン、シクロプロピルメチルプロピルアミン等のN−アルキル−N−シクロアルキルアルキルアミン、メチルベンジルアミン等のN−ベンジル−N−アルキルアミン、ジ(2−メトキシエチル)アミン等のN,N−ジアルコキシアルキルアミン、またはピロリジン、ピペラジンもしくはピペリジン等の環状アミンが挙げられる。ある実施態様においては、ピラゾール、イミダゾールまたはピロール等のヘテロ芳香族アミン塩基をこの工程でアミン8として使用してもよい。クロロピリミジン7とエチルアミンまたはアニリン等の一級アミンとの反応は、式(II)の二級アミン(すなわち、R1およびR2の一方が水素である)を与える。そのような二級アミンは、次いで、所望ならば、塩化アシルと(R1およびR2の一方をアルキルカルボニルとして与える)、あるいは塩化スルホニルと(R1およびR2の一方をアルキルカルボニルとして与える)、さらに反応させることができる。工程5のアミン化は、極性溶媒中、クロロピリミジン7をアミン8と共に加熱することにより行うことができる。
【0128】
スキームAの手順では、多くの変形が可能であり、当業者におのずと明らかであろう。
【0129】
式(II)の化合物を製造する特定的な詳細は、下記の実施例に記載される。
【0130】
本発明の化合物は、広範囲なストレスに関連する疾患、気分障害、例えばうつ病、大うつ障害、単回エピソードうつ病、回帰性うつ病、被虐待児誘発うつ病、分娩後うつ病、気分変調、双極性障害および循環気質;慢性疲労症候群;摂食障害、例えば肥満症、神経性の拒食症および過食症;全般性不安障害;パニック障害;恐怖症;強迫障害;外傷性ストレス後障害;痛知覚、例えば線維筋痛;頭痛;ストレス誘発性胃腸機能障害、例えば過敏性腸症候群(IBS)、大腸過敏症または痙攣性大腸;出血性ストレス;潰瘍;ストレス誘発性精神病エピソード;炎症性障害、例えば関節リウマチおよび変形性関節症;喘息;乾癬;アレルギー;早産;高血圧;鬱血性心不全;睡眠障害;神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、老年痴呆、パーキンソン病およびハンチントン病;頭部および脊髄外傷;虚血性神経損傷;興奮毒性神経損傷;てんかん;卒中;心理社会的萎縮;薬物依存および嗜癖;薬物およびアルコール禁断症状;ストレス誘発性免疫機能障害;免疫抑制およびストレス誘発性感染;心臓血管または心臓に関連する疾患;生殖能力問題;および/またはヒト免疫不全性ウイルス感染の処置に使用できる。したがって、臨床データは、CRF受容体アンタゴニストが、CRFの分泌過多を示す神経精神異常の処置に有用である新規な抗うつ剤および/または抗不安薬を与えることを示唆している。
【0131】
投与法および医薬組成物
本発明は、少なくとも1種の本発明の化合物、あるいはその個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、または薬学的に許容しうる塩もしくはその溶媒和物を、少なくとも1種の薬学的に許容しうる担体、および場合により他の治療的および/または予防的成分と一緒になって含む医薬組成物を包含する。
【0132】
一般的に、本発明の化合物は、治療的に有効な量で、類似の用途に使用される薬剤についての妥当な投与様式のいずれかで投与される。適切な投与量は、多くのファクター、例えば処置すべき疾患の重度、被験対象の年齢および相対的な健康状態、使用する化合物の効力、投与の経路および形態、投与の目的、担当医師の選択および経験に応じて、典型的には1〜500mg/日、好ましくは1〜100mg/日、最も好ましくは1〜30mg/日である。そのような疾患を処置する分野の当業者であれば、過度の実験をせずに、個人の知識および本願の開示により、特定の疾患に対する本発明の化合物の治療的に有効な量を確定することができる。
【0133】
本発明の化合物は、経口(口腔および舌下を含む)、直腸内、経鼻、局所的、経肺、経膣、または非経口的(筋肉内、動脈内、脊髄内、皮下および静脈内を含む)投与に適切なもの、または吸入もしくは通気による投与に適した形態を包含する医薬製剤として投与する。好ましい投与様式は、一般に、苦痛の度合いに応じて調節できる、便利な一日投薬計画を使用する経口投与である。
【0134】
本発明の化合物は、1種以上の慣用の助剤、担体、または希釈剤と一緒になって、医薬組成物の形態および単位投薬形態にすることができる。医薬組成物および単位投薬形態は、慣用の成分を慣用の比率で、他の活性化合物または活性成分を伴うかまたは伴わずに、含んでいてもよく、また単位投薬形態は、採用された意図する1日当たりの用量範囲に応じた適切な有効量の活性成分を含んでもよい。医薬組成物は、固体、例えば、錠剤もしくは充填カプセル剤、半固体剤、散剤、徐放性製剤、または液体、例えば液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤もしくは経口用の充填カプセル剤、あるいは直腸または膣内投与用の坐剤の形態で、または非経口的に使用するための無菌注射溶液の形態で使用できる。したがって、1錠あたり、約1ミリグラム、またはより広く、約0.01〜約100ミリグラムの活性成分を含む製剤が適切な代表的単位投薬形態である。
【0135】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与剤形で製剤化することができる。医薬組成物および投薬形態は、本発明の化合物またはその薬学的に許容しうるその塩を活性成分として含んでもよい。薬学的に許容しうる担体は、固体でも液体でもよい。固体形態の製剤は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤を含む。固体担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤またはカプセル封入材料としても作用し得る1種以上の物質であってよい。散剤では、担体は一般的に細かく分割した固体であり、それは細かく分割した活性成分との混合物である。錠剤では、活性成分は一般的に、必要な結合能力を有する担体と適切な比率で混合され、所望の形状および大きさに圧縮される。散剤および錠剤は、好ましくは約1〜約70%の活性化合物を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター等を含むが、これらに限定されない。用語「製剤」は、活性化合物と担体としてのカプセル封入材料との処方物を包含するものであり、担体を伴うかまたは伴わずに、それに関連する担体により活性成分が取り囲まれているカプセル剤を与える。同様に、カシェ剤およびロゼンジも包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジは、固体形態として、経口投与に適切である。
【0136】
経口投与に適切な他の形態は、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を包含する液体形態製剤、または使用の直前に液体形態製剤に変換する固体形態製剤を含む。乳剤は、溶液中で、例えばプロピレングリコール水溶液中で調製されてもよく、また乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアカシアを含んでいてもよい。水性液剤は、活性成分を水に溶解させ、適切な着色剤、香料、安定化剤および増粘剤を加えることにより調製することができる。水性懸濁剤は、細かく分割した活性成分を、水中に、粘性物質、例えば天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、その他の周知の懸濁化剤で分散させることにより、調製することができる。固体形態製剤には、液剤、懸濁剤、および乳剤が挙げられ、また活性成分に加えて、着色剤、香料、安定化剤、緩衝剤、人工または天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含んでいてもよい。
【0137】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射による、例えばボーラス注射または持続注入)用に製剤化してもよく、アンプル剤、予め充填した注射器、小容量注入剤中の単位投薬形態で、または保存剤を加えた繰り返し投薬用容器として存在してもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の、懸濁剤、液剤、または乳剤、例えば、水性ポリエチレングリコール中の液剤のような形態を取ってもよい。油性または非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、および注射用有機エステル(例えばオレイン酸エチル)を包含し、処方用助剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤または懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤を含んでもよい。あるいは、活性成分は、無菌固体の無菌的単離により、または溶液から凍結乾燥により得た粉末形態であってもよく、使用前に、適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水により構成される。
【0138】
本発明の化合物は、表皮への局所投与用に、軟膏剤、クリーム剤またはローション剤として、または経皮パッチ剤として製剤化してもよい。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば適切な増粘剤および/またはゲル化剤を加えた水性または油性基剤で製剤化してもよい。ローション剤は、水性または油性基剤で製剤化してもよく、一般的に1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤をも含む。口腔中の局所投与に適切な製剤は、着香した基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ;不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア中に活性成分を含む香錠;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含むマウスウォッシュ剤を含む。
【0139】
本発明の化合物は、坐剤として投与されるように処方してもよい。低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物をまず融解させ、活性化合物を例えば攪拌により均質に分散させる。次いで、溶融した均質な混合物を慣用の大きさの型に流し込み、冷却させ、固化させる。
【0140】
本発明の化合物は、膣内投与用に製剤化してもよい。活性成分に加えてそのような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤がこの分野で適切であることが知られている。
【0141】
本化合物は、鼻内投与用に製剤化することができる。慣用の手段、例えばドロッパー、ピペットまたはスプレーにより、液剤または懸濁剤を鼻腔に直接適用する。製剤は、単回または複数回投薬形態で提供されてもよい。後者のドロッパーまたはピペットの場合、患者が、適切な予め決められた量の液剤または懸濁剤を投与することにより達成される。スプレーの場合、これは、例えば計量噴霧スプレーポンプにより達成することができる。
【0142】
本発明の化合物は、鼻内投与を含む、エアロゾル投与用、特に気道投与用に製剤化してもよい。化合物は一般的に、例えば5ミクロン以下のオーダーの小さな粒子径を有する。そのような粒子径は、この分野で公知の手段、例えば微粉化により得てもよい。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素あるいは他の適切なガスなどの適切な噴射剤を含む加圧容器で提供される。エアロゾルは、レシチンなどの界面活性剤をも適宜含み得る。投薬量は、計量バルブにより制御してもよい。あるいは、活性成分は、乾燥散剤の形態で、例えば適切な粉末基剤、例えばラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、およびポリビニルピロリドン(PVP)中の化合物の粉末混合物の形態で与えられてもよい。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、単位投薬形態、例えばゼラチンのカプセルもしくはカートリッジ、またはブリスターパックで存在してもよく、そこから粉末を吸入器により投与してもよい。
【0143】
所望の場合、製剤は、活性成分を、徐放または制御放出投与するために適合された腸溶コーティングを使用して製造することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮または皮下薬物送達デバイスにおいて処方することができる。これらの送達システムは、化合物の徐放が必要な場合および処置計画での患者のコンプライアンスが極めて重要な場合に有利である。経皮送達システム中の化合物は、しばしば皮膚に接着する固体支持体に付着される。目的の化合物は、浸透促進剤、例えば、エイゾン(1−ドデシル−アザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもできる。徐放送達システムは、手術または注入により皮下層中に皮下的に挿入される。皮下インプラントは、脂溶性の膜、例えば、シリコーンゴムまたは生物分解性ポリマー、例えばポリ乳酸中に本化合物を封入する。
【0144】
医薬製剤は、単位投薬形態であることが好ましい。そのような形態では、製剤は、適量の活性成分を含む単位投薬量に再分割されている。単位投薬形態は、包装された製剤であることができ、その包装は、個別量の製剤、例えばパック化錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の粉末を含む。また、単位投薬形態は、それ自体が、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジであることができ、あるいはこれらの適当な数で包装形態中にあることができる。
【0145】
他の適切な薬学的担体およびそれらの製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995、E.W. Martin編、Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含む代表的な薬学的処方物を、実施例6〜12に記載する。
【0146】
実施例
以下の製造例および実施例は、当業者が本発明をさらに明瞭に理解しかつ実施できるように与えられる。それらは本発明の範囲を限定すると考えるべきではなく、単にそれを説明するものでありかつその代表的なものである。
【0147】
実施例1
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−プロピル−N−シクロプロピルメチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン]
【0148】
【化12】

【0149】
工程1:
1−(4−エトキシカルボニル−ブチル)−インダン−1−カルボン酸メチルエステル
【0150】
【化13】

【0151】
THF100mL中のインダン−1−カルボン酸メチルエステル(17.6g,100mmol)を、THF200mL中のリチウムジイソプロピルアミド(ジイソプロピルアミン15.4mL(110mmol)およびヘキサン中の2.5M n−BuLi42mLから)の−60℃溶液にゆっくり加えた。15分後、5−ブロモペンタン酸メチル(20.5g、105mmol)を加え、混合物を室温まで暖め、12時間攪拌した。エーテルと水を加え、エーテル層を分離し、水と食塩水で洗浄し、乾燥し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1−(4−エトキシカルボニル−ブチル)−インダン−1−カルボン酸メチルエステル15gを油状体として得た。
【0152】
工程2
3−カルボメトキシ−2’,3’−ジヒドロ[スピロシクロヘキサン−1,1’−(1H)インデン]−2−オン
【0153】
【化14】

【0154】
水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散物2.2g、55mmol)を、エーテル400mL中の工程1からの1−(4−エトキシカルボニル−ブチル)−インダン−1−カルボン酸メチルエステル(15g、52mmol)の溶液に加えた。混合物を室温に冷却し、希釈した氷冷水性HClに注いだ。エーテル層を食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、エバポレートして、3−カルボメトキシ−2’,3’−ジヒドロ[スピロシクロヘキサン−1,1’−(1H)インデン]−2−オン14g(54mmol)を油状体として得た。
【0155】
工程3
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−ヒドロキシ−スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン]
【0156】
【化15】

【0157】
エタノール300mL中のカリウムt−ブトキシド(11.2g、100mmol)、アセトアミジン塩酸塩(9.5g、100mmol)および工程2からの3−カルボメトキシ−2’,3’−ジヒドロ[スピロシクロヘキサン−1,1’−(1H)インデン]−2−オン(14g、54mmol)の溶液を、還流下に2時間加熱した。混合物を減圧下に濃縮し、水で希釈し、エーテルで洗浄した。水層をHClで中和し、濾過して、(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−ヒドロキシ−スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン]10.7gを白色固体として得た。
【0158】
工程4
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−クロロ−スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン]
【0159】
【化16】

【0160】
工程3からの(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−ヒドロキシ−スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン](4.06g、16mmol)とオキシ塩化リン25mLとの混合物を還流下に2時間加熱し、減圧下に濃縮し、次いで、氷、水およびジクロロメタンを加えた。混合物を水性炭酸ナトリウムで塩基性にし、有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)し、エバポレートして、(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−クロロ−スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン]4.33gを油状体として得た。
【0161】
工程5
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−プロピル−N−シクロプロピルメチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン]
【0162】
【化17】

【0163】
工程4からの(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−クロロ−スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン](190mg、0.7mmol)、N−プロピルシクロプロパンメチルアミン(1mL、7mmol)および1−メチル−2−ピロリジノン1mLの溶液を、160〜170℃の油浴中で3時間加熱した。冷却後、混合物を水性NH4OHに加え、酢酸エチルで抽出した。抽出物を1N NaOHと食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、生成物95mgを油状体として得た。塩酸塩はエタノール−エーテルから結晶化した:MS M+H=361。
【0164】
同様に、上記の手順を使用して、但し工程5において、N−プロピルシクロプロパンメチルアミンを適切なアミンに置き換えて、以下の化合物を製造した:
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−ベンジル−N−メチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N,N−ジエチルアミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−ベンジル−N−エチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−プロピル−N−エチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−ブチル−N−エチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−ベンジル−N−ブチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−プロピル−N−メチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−4−メチルベンジル−N−メチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(ピロリジン−1−イル)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(ピペリジン−1−イル)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(2−メチル−ピペリジン−1−イル)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−[N−(2−シアノエチル)−N−エチル−アミノ]スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン];および
(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(3−メチル−ピラジン−1−イル)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン]。
【0165】
上記の手順を使用して、但し工程1における5−ブロモペンタン酸メチルを5−ブロモブタン酸メチルに置き換えて、(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−プロピル−N−シクロプロピルメチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,7’−(5H)シクロペンタピリミジン]を製造した。
【0166】
同様に、工程1において、インダン−1−カルボン酸メチルエステルをインダン−2−カルボン酸メチルエステルに置き換え、且つ、5−ブロモペンタン酸メチルを5−ブロモブタン酸メチルに置き換えて、(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−プロピル−N−シクロプロピルメチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,6’−(5H)シクロペンタピリミジン]を製造した
【0167】
実施例2
処方物
種々の経路によるデリバリー用の医薬製剤を、以下の表に示すように処方した。表中で使用される「活性成分」または「活性化合物」は、1つ以上の式Iの化合物を意味する。
【0168】
【表2】

【0169】
成分を混合し、各々約100mgを含有するようにカプセルに分配した。1つのカプセルは、ほぼ1日の総投与量である。
【0170】
【表3】

【0171】
成分を合わせ、メタノール等の溶媒を用いて顆粒化した。次いで、処方物を乾燥させ、適切な打錠機により錠剤(活性化合物約20mg含有)に成形した。
【0172】
【表4】

【0173】
成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を形成した。
【0174】
【表5】

【0175】
活性成分を注射用水の一部に溶解した。次いで、充分な量の塩化ナトリウムを撹拌しながら加えて、溶液を等張にした。その溶液を注射用水の残部で増量し、0.2ミクロン膜フィルタ−を通して濾過し、無菌条件下に包装した。
【0176】
【表6】

【0177】
成分を蒸気浴上で一緒に溶解し混合し、総重量2.5gで型中に分注した。
【0178】
【表7】

【0179】
水を除いた成分のすべてを合わせ、撹拌しながら約60℃に加熱した。次いで、約60℃の充分な量の水を、激しく撹拌しながら加えて成分を乳化し、次いで、約100gとなるまで水を加えた。
【0180】
鼻内スプレー処方物
約0.025〜0.5%の活性化合物を含有するいくつかの水性懸濁液を、鼻内スプレー処方物として調製した。場合により、処方物は、例えば、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース等の非活性成分を含有する。pHを調整するために、塩酸を加えてもよい。鼻内スプレー処方物を、典型的には1操作当り約50〜100μLの処方物を送出する鼻内スプレー計量ポンプを介して送出してもよい。典型的な投与計画は、4〜12時間毎に2〜4回のスプレーである。
【0181】
実施例3
細胞内cAMP刺激アッセイ
ヒトY−79網膜芽腫細胞を、15%FBSを有するRPMI1640媒地中で増殖させた。cAMP蓄積の測定を、NENアデニリルサイクラーゼフラッシュプレートキット(SMP004)を用いることにより行なった。細胞を培養培地から分離し、PBSで2回洗浄し(150Xg、8分)、(キット中で提供された)刺激緩衝液中に再懸濁し(2E+6細胞/mL)、次いで、96−ウェルフラッシュプレートに加えた(50,000細胞/ウェル)。種々の濃度の試験化合物を、細胞と共に、20分間インキュベートしてから、hCRF(30nM)を添加した。総アッセイ容積は100μLであった。アッセイを検出緩衝液および〔125I〕cAMPを加えることにより、hCRFの添加20分後に停止させた。室温で2時間後、混合物を吸出し、結合放射能をパッカードトップカウントで測定した。hCRF−刺激cAMP蓄積の阻害における試験化合物の効力(IC50値)を、相互に作用する曲線当てはめ法で非直線的回帰分析により決定した。
【0182】
実施例4
CRF1受容体結合アッセイ
ヒトIMR−32神経芽腫細胞を、10%熱不活化FBS、1mMピルビン酸ナトリウムおよび0.1mM非必須アミノ酸を含有するMEM培地中で80%コンフルエントに増殖させた。細胞膜をDieterich and De Souza (1996) の方法に従って調製した。細胞(〜5E+9)を、洗浄緩衝液(5mMトリスHCl、10mM MgCl2,2mM EGTA、室温でpH7.4)の10容中に再懸濁し、ポリトロンでホモジナイズし、次いで、4℃で45,000Gにて20分間遠心分離した。膜ペレットを洗浄緩衝液で2回洗浄し(45,000G、4℃で20分間)、次いで、再懸濁した(50mMトリスHCl、10mM MgCl2、2mM EGTA、室温でpH7.4)。タンパク質濃度を、ピアス試薬および標準としてBSAを用いて測定した。1〜1.5mLのアリコートを−80℃で、結合アッセイまで保存した。
【0183】
競合結合アッセイを、アッセイ緩衝液(50mMトリス−HCl、10mM MgCl2、2mM EGTA、0.2%BSA、0.1mMバシトラシンおよび100kIU/mlアプロチニン、室温でpH7.2)、0.05nM〔125I〕Try0−ヒツジCRF(Du pont New England Nuclear)、膜タンパク質50μgおよび種々の濃度の試験化合物を含有する、250μLの最終容積中で行なった。非特異的結合を1μMのhCRFで測定した。25℃でのインキュベーション2時間後にパッカードハーベスター(Filtermate 196)を用いた96−w GF/Cフィルタープレートを通して濾過することにより、結合反応を停止させた。96−wフィルタープレートは、0.3%ポリエチレンイミンで予め処理し、洗浄緩衝液(50mMトリス−HCl、10mM MgCl2、2mM EGTA、0.2%BSA、4℃でpH7.2)で予め洗浄した。洗浄緩衝液で4回素早く洗浄(0.8mL/ウェル)して非結合放射活性を除去した。放射活性をパッカードトップカウントを用いて計量した。データを、非直線的な相互に作用する回帰曲線への当てはめを用いて分析して、IC50およびHillスロープ値を得た。PKi値は、pIC50値(IC50の−log)から誘導された。
【0184】
本発明の化合物は、受容体結合および機能性アッセイにおいて活性であった。例えば、(2,3,5’,6’−テトラヒドロ)−2’−メチル−4’−(N−プロピル−N−シクロプロピルメチル−アミノ)スピロ[(1H)インデン−1,8’−(7H)キナゾリン]が、上記のアッセイを使用して、6.91の平均PKiを示した。
【0185】
本発明は、その特定の実施態様を参照して記載されたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされてもよく、同等物で置き換えてもよいことが、当業者によって、理解されるべきである。さらに、本発明の主題とする精神および範囲に対して、多くの変形が、特別な状況、物質、組成物、方法、プロセス工程または工程に適合するためになされてもよい。すべてのこのような変形は、付属する特許請求の範囲の範囲内にあるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


(式中、
mは、0または1であり;
nは、0または1であり;
1およびR2は、各々独立に、水素、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているフェニルアルキル、シアノアルキル、アルキルスルホニル、シクロアルキルアルキルであるか;またはR1およびR2は、それらが共有している窒素と一緒になって、場合により置換されている3員〜7員のヘテロシクリル環を形成するか;またはR1およびR2は、それらが共有している窒素と一緒になって、場合により置換されている5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成し;
3およびR5の一方は、水素、アルキル、またはアルコキシであり;R3およびR5の他方は、R4と一緒になって、場合により置換されているフェニルを形成し;
6およびR7は、各々独立に、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、またはハロであり;
8は、水素またはアルキルである)
の化合物またはその薬学的塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
mが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
nが0である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
3およびR4が、場合により置換されているフェニルを形成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
4およびR5が、場合により置換されているフェニルを形成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
1およびR2がアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
1がプロピルまたはブチルであり、R2がメチルまたはエチルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
1がシクロアルキルアルキルであり、R2がアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項10】
1がシクロプロピルメチルであり、R2がプロピルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
1が場合により置換されているフェニルアルキルであり、R2がアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項12】
1がベンジルまたは4−メチルベンジルであり、R2がメチル、エチル、プロピルまたはブチルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
1がシアノアルキルであり、R2がアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項14】
1がシアノエチルであり、R2がエチルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、および2−メチルピペリジン−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロシクリルを形成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項16】
1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピラゾリル、イミダゾリル、およびピロリルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項17】
ヘテロアリールが、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、およびピロール−1−イルより選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
ヘテロアリールがピラゾール−1−イルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
8がアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項20】
nが0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項21】
3およびR4が、場合により置換されているフェニルを形成する、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
4およびR5が、場合により置換されているフェニルを形成する、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
1およびR2がアルキルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
1がプロピルまたはブチルであり、R2がメチルまたはエチルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
1がシクロアルキルアルキルであり、R2がアルキルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項26】
1がシクロプロピルメチルであり、R2がプロピルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
1が場合により置換されているフェニルアルキルであり、R2がアルキルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項28】
1がベンジルまたは4−メチルベンジルであり、R2がメチル、エチル、プロピルまたはブチルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
1がシアノアルキルであり、R2がアルキルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項30】
1がシアノエチルであり、R2がエチルである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、および2−メチルピペリジン−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロシクリルを形成する、請求項20に記載の化合物。
【請求項32】
1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピラゾリル、イミダゾリル、およびピロリルより選択される、場合により置換されているヘテロアリールを形成する、請求項20に記載の化合物。
【請求項33】
ヘテロアリールが、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、およびピロール−1−イルより選択される、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
ヘテロアリールがピラゾール−1−イルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
8がアルキルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項36】
式(II):
【化2】


(式中、
pは、0〜4であり;
9は、アルキル、アルコキシ、ハロまたはハロアルキルであり;
m、n、R1、R2、R5、R6、R7およびR8は請求項1に記載されたとおりである)
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
式(III):
【化3】


(式中、
pは、0〜4であり;
9は、アルキル、アルコキシ、ハロまたはハロアルキルであり;
m、R1、R2およびR8は請求項1に記載されたとおりである)
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
7が水素である、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
8がメチルである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
1がプロピルまたはブチルであり、R2がメチルまたはエチルである、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
1がシクロプロピルメチルであり、R2がプロピルである、請求項39に記載の化合物。
【請求項42】
1がベンジルまたは4−メチルベンジルであり、R2がメチル、エチル、プロピルまたはブチルである、請求項39に記載の化合物。
【請求項43】
1がシアノエチルであり、R2がエチルである、請求項39に記載の化合物。
【請求項44】
1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、および2−メチルピペリジン−1−イルより選択される、場合により置換されているヘテロシクリルを形成する、請求項39に記載の化合物。
【請求項45】
1およびR2が、それらが共有する窒素と一緒に、3−メチル−ピラゾール−1−イル基を形成する、請求項39に記載の化合物。
【請求項46】
nが1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項47】
nが1である、請求項3に記載の化合物。
【請求項48】
薬学的に許容しうる担体と共に請求項1に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項49】
CRF受容体アンタゴニストで処置することにより緩和される疾患状態を有する被験対象を処置するのに有用な医薬を製造するための、請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項50】
疾患状態が、恐怖症、ストレスに関連する疾患、気分障害、摂食障害、全般性不安障害、ストレス誘発性胃腸機能障害、神経変性疾患および神経精神病学的障害よりなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
式(a):
【化4】


(式中、Xは脱離基であり、m、n、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は請求項1に記載されたとおりである)
の化合物を、式(b):R12NH(b)
(式中、R1およびR2は、請求項1に記載されたとおりである)
のアミンと反応させて、式(I)の化合物を得ることを含む、請求項1に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2007−501822(P2007−501822A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522948(P2006−522948)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008663
【国際公開番号】WO2005/013997
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】