コロナ帯電装置および画像形成装置
【課題】 帯電電極が常に安定した状態で像担持体表面を帯電して、放電ノイズなどのない高画質な画像を形成することのできるコロナ帯電装置を提供する。
【解決手段】 コロナ帯電装置2Aは、像担持体表面を帯電するための帯電電極18Aと、空気中の粉塵などを捕集するための捕集電極19Aと、捕集電極19Aと対向して配置され、捕集電極19Aが放電する対象物となるための対向電極26Aと、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流の電流量を検知するための検知手段と、検知手段によって検知された電流量に基づいて、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流の電流量を規定電流量以上に調整するための調整手段とを有することを特徴とする。
【解決手段】 コロナ帯電装置2Aは、像担持体表面を帯電するための帯電電極18Aと、空気中の粉塵などを捕集するための捕集電極19Aと、捕集電極19Aと対向して配置され、捕集電極19Aが放電する対象物となるための対向電極26Aと、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流の電流量を検知するための検知手段と、検知手段によって検知された電流量に基づいて、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流の電流量を規定電流量以上に調整するための調整手段とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナ帯電装置および画像形成装置に関するものである。特に、電子写真方式の画像形成装置に用いられるコロナ帯電装置、およびこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置に用いられるコロナ帯電装置として、高効率化・低オゾン化が図られるように、鋸歯状の帯電電極を有するコロナ帯電装置が主流となってきている。
【0003】
鋸歯状の帯電電極は、ワイヤタイプの帯電電極と比べて放電方向が狭いことから、同じ電流・電圧の条件下において、放電エネルギーが高い。また、放電は、鋸歯状を呈する放電部の先端部分に限られることで、オゾンなどの発生が少ないというメリットがある(特許文献1参照)。
ところが、鋸歯状を呈する帯電電極は、その先端部分に放電が集中して放電エネルギーが高いがゆえに、空気中の埃、主にシリカなどの物質と結合しやすくなる。これにより、シリカなどの物質が帯電電極の先端部分に徐々に蓄積して、放電の障害が発生するという問題があった。この問題は、鋸歯状を呈する放電電極に限られず、例えばワイヤタイプの放電電極においても同様に生じ得る。ここで、放電の障害とは放電のムラのことである。具体的には、感光体上に電位のムラが生じ、画像上に白もしくは黒の筋状ノイズが現れる。
【0004】
このような放電のムラを防止するため、放電のムラの原因となる放電電極上に形成された付着物を除去する方法がある。
【0005】
しかし、放電電極上の付着物を除去する装置を設けることは、コロナ帯電装置の大型化をまねくとともに、製造コストが増大し、しかも付着物の除去前後での画質変動が大きいなどの新たな課題が生じる。また、付着物を除去するタイミングを判定して、それを確実に実行するための方法も別途考えなくてはならない。さらに、鋸歯状または針状を呈する電極が使用される場合、電極の先端部分の破損を防止するための部材で電極の両側から挟み込む必要があり、先端部分に位置する放電点付近の付着物を十分に除去することはきわめて困難であった。 また、コロナ帯電装置内の空気を清浄化するために、帯電電極とは別に、空気中の粉塵を捕集することが可能な捕集電極を設ける技術が提案された(特許文献2参照)。この技術において、捕集電極は、帯電電極と捕集電極とが収容されるシールドケースの内部において、帯電電極よりも空気流路の上流側に設けられる。これにより、帯電電極に付着物が付着する前に、捕集電極は空気中の埃などを捕集することとしている。
【0006】
しかし、上記従来技術において、コロナ帯電装置の稼働時間が長くなるに従って、捕集電極に付着する付着物の量は増加し、捕集電極の捕集機能は低減される。この結果、長期の使用によって捕集電極の捕集機能が失われた場合には、帯電電極に付着物が付着し始めることとなる。ここで、捕集機能が失われるとは、例えば付着物が捕集用電極を覆い尽すくらいに付着して、捕集電極の放電性能が低下し、最悪の場合には、捕集電極が放電しなくなることを意味する。
【0007】
また、上記従来技術において、捕集電極の放電の状態が監視されていないため、捕集電極の捕集機能が失われた状態であっても、捕集電極がそのまま使用されることが可能となる。この結果、捕集電極によって清浄されきれない空気が帯電電極に触れることとなり、帯電電極に付着物が付着し、放電ムラを発生して画像ノイズとして現れる。
【0008】
また、帯電電極が像担持体に放電する放電電流を検知するために、制御電極と像担持体との間に電流検知プレートを挿入して、電流検知プレートを流れる電流の電流量を検知して、コロナ帯電装置の電圧を制御するものがある(特許文献2)。
【0009】
しかし、上記従来技術においても、以下に示す問題が存在する。
【0010】
通常、制御電極と像担持体との間の高さは1mm程度に設けられる。この場合、電流検知プレートが制御電極と像担持体との間に挿入可能であるように、電流検知プレートの厚さは、コロナ帯電装置の製造上あるいは組立上の公差を考慮して、0.5mm以内に形成されなければならない。
【0011】
また、電流検知プレートを流れる電流が精度よく検知されるためには、上記挿入時において、制御電極または像担持体と対向する電流検知プレートの面は、所定の面積以上の面積を有していなくてはならない。
【0012】
また、上記の厚さや面積の条件を満たす電流検知プレートが製造されたとしても、当該電流検知プレートを制御電極と像担持体との間に保持するための保持手段の構造は複雑である。
【0013】
また、電流検知プレートが画像形成に支障することがないように、電流検知プレートは、制御電極と像担持体との間の領域のうち画像形成に寄与しない領域に配置されなければならない。このことは、本来、画像形成に寄与する領域に流れる放電電流が検知されるべきことと相反する。これに鑑み、帯電電極の放電時と非放電時とで電流検知プレートの配置位置を変更するため、上記の1mm程度の空隙内で電流検知プレートの配置位置を変更可能に電流検知プレートを保持するための保持手段を設けることとした場合には、コロナ帯電装置の複雑化をまねく。
【0014】
以上のことから、上記の電流検知プレートは、本来、画像形成に寄与する領域に流れる放電電流を必ずしも直接的に検知し得る手段ではなく、また電流検知プレートを設けるにあたって、コロナ帯電装置は複雑化する。
【特許文献1】特開2002−289322号公報
【特許文献2】特開2004−333593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、帯電電極が常に安定した状態で像担持体表面を帯電して、放電ノイズなどのない高画質な画像を形成することのできるコロナ帯電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0017】
(1)像担持体表面を帯電するための帯電電極と、空気中の粉塵などを捕集するための捕集電極と、前記捕集電極と対向して配置され、前記捕集電極が放電する対象物となるための対向電極と、前記捕集電極が放電するときに、前記捕集電極と前記対向電極との間に流れる電流の電流量を検知するための検知手段と、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極と前記対向電極との間に流れる電流の電流量を規定電流量以上に調整するための調整手段とを有することを特徴とするコロナ帯電装置。
【0018】
(2)前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極に印加される電圧を調整することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0019】
(3)前記捕集電極に電圧を印加するための回路をさらに有し、前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記回路の電気抵抗値を調整することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0020】
(4)前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記対向電極に印加される電圧を調整することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0021】
(5)前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極と前記対向電極との離隔距離を調整することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0022】
(6)前記帯電電極および前記捕集電極は、針状または鋸歯状を呈することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0023】
(7)前記帯電電極は、ワイヤ状またはピン状を呈する電極であることを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0024】
(8)前記帯電電極と前記捕集電極とは、独立して設けられることを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0025】
(9)(1)に記載のコロナ帯電装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明のコロナ帯電装置によれば、調整手段が捕集電極と対抗電極との間に流れる電流の電流量を所定の値に調整することによって、捕集電極が空気中の粉塵を捕集する捕集能力は一定に維持される。これにより、帯電電極は常に安定した状態で像担持体表面を帯電することができ、放電ノイズなどのない高画質な画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置としての複写機100の構成を示すブロック図である。
複写機100は、電子写真方式により画像形成を行なうものであり、制御部200、メモリ300、画像読み取り部400、およびプリンタ部500を備え、これらは信号をやり取りするためにバス600を介して相互に接続されている。
【0028】
制御部200は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。
【0029】
メモリ300は、不揮発性メモリと揮発性メモリとを含み、不揮発性メモリは、複写機100の基本動作を制御するプログラムなどの各種プログラムやデータを格納する。揮発性メモリは、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。 画像読み取り部400は、原稿が載置される図示しない原稿ガラスと、図示しない原稿ガラス上に載置された原稿から読み取られる原稿画像を赤(以下、R)、緑(以下、G)、青(以下、B)の三色に色分解して電気信号に変換しR、G、Bの画像データを得ることが可能な図示しないCCDイメージセンサとを備える。
【0030】
図2は、プリンタ部500の概略構成を示す断面図である。
【0031】
プリンタ部500は、像担持体1と、像担持体1の表面を一様に帯電し電位を形成するためのコロナ帯電装置2Aと、コロナ帯電装置2Aによって所望の電位まで帯電された像担持体1に、所定の静電潜像を形成するために光を照射するための像露光装置3と、静電潜像が形成された領域に粉体4aを電界などの作用によって付着させて鏡像化するための現像装置5と、鏡像化された像担持体1上の粉体4aを記録紙などの記録媒体6へ電界および圧力の作用によって移動させるための転写装置7と、記録媒体6上の粉体4aを熱および圧力の作用によって永久的に固定するための定着装置8とを有している。像担持体1は、具体的には感光体であり、粉体4aは、具体的にはトナーである。
【0032】
転写装置7によっても粉体4aが記録媒体6上に完全に移動しきれず、像担持体1上に
僅かながら残ってしまう場合がある。このため、転写装置7の下流側には、像担持体1上
に残留した残留粉体4bを像担持体1上から電気的・機械的に除去するための清掃装置9
が設けられている。また、清掃装置9の下流側には、帯電、露光、現像、転写、および清
掃の各工程を通過して電位的にばらついた像担持体1表面の状態を、光あるいは電界の作
用によって消去ないし略リセツト電位にするための除電装置10が設けられている。そし
て、除電装置10による除電工程を経た像担持体1の表面は、再び帯電工程に入る。
【0033】
このように、電子写真方式の複写機100において、帯電工程が最も上流の工程である。したがって、帯電工程において均一で安定した帯電状態が得られない限り、すなわち像担持体1に対する均一で安定した電位の形成が行われない限り、その下流側のすべての工程が影響を受け、高品質な画像を得ることが困難となる。
【0034】
図3は、第1の実施形態におけるコロナ帯電装置2Aを部分的に切り欠いて示す概略斜視図であり、図4は、第1の実施形態におけるコロナ帯電装置2Aを部分的に拡大して示す断面図である。
【0035】
コロナ帯電装置2Aは、像担持体1の表面を帯電するための帯電電極18Aと、帯電電極18Aを収納するシールドケース22とを備えている。また、像担持体1と帯電電極18Aとの間に、所定の空隙を介して、制御電極21が配設される。
【0036】
制御電極21は、メッシュまたは数本のワイヤから構成されており、シールドケース2
2とは絶縁して設けられる。制御電極21に図示しない電源によりバイアス電圧を印加することにより、被帯電体である像担持体1の表面に流れるコロナ電流を制御することが可能である。これにより、像担持体1の表面の帯電量は制御され得る。
【0037】
帯電電極18Aは、像担持体1に対して電圧(|Vc|)を印加することで放電して電荷を注入するためのものである。シールドケース22は、像担持体1に対向する側に開口部が形成され、断面がコの字状の中空体構造を呈している。このシールドケース22は、帯電電極18Aの放電電界を閉じ込めることができる。したがって、シールドケース22は、帯電電極18Aの周辺電界を一定に保ち、安定したコロナ放電を維持する働きを担っている。シールドケースは、シールド電極、あるいは安定板とも呼ばれる。また、像担持体1と反対側のシールドケース22の面(図中上面)には、シールドケース22内の排気をするための図示しない排気用の開口部が設けられている。
【0038】
コロナ帯電装置2Aはさらに、帯電電極18Aが放電することにより発生するオゾンやNOxなどをコロナ帯電装置2Aの外部に排出するための通路である空気ダクト23と、空気ダクト23の中に空気流を形成するための図示しないモータにより駆動されるファン24とを備えている。そして、シールドケース22の長手方向端部に設けられる2つの端部壁には、シールドケース22内に形成される空気流路(図に示す矢印)の2つの入口(図示せず)が設けられている。
【0039】
本実施形態のコロナ帯電装置2Aは、画像形成に必要な帯電電極18Aとは別に、空気中の粉塵を捕集するための捕集電極19Aを有している。捕集電極19Aは、シールドケース22内に収納され、帯電電極18Aが放電する方向と反対の方向である図3に示す下方向に放電するものである。
【0040】
帯電電極18Aと捕集電極19Aとは、ともに金属板等の導電性薄板から形成され、絶縁体25を介して接続される。また、帯電電極18Aおよび捕集電極19Aは、好ましくは鋸歯状または針歯状を呈する。このような形状を呈することによって、コロナ帯電装置2Aの動作において、高効率・低オゾン化を図ることができる。
【0041】
また、捕集電極19Aは単独ではほとんど放電しないため、捕集電極19Aの放電方向側には、放電対象物である対向電極26Aが配設されている。この対向電極26Aは、制御電極21と同電位に設定されてもよく、あるいは接地されてもよい。さらに、この対向電極26Aは、シールドケース22と共通とすることも可能である。
【0042】
また、捕集電極19Aには、捕集電極19Aに電圧を印加するための回路Iが接続される。この回路Iにおいて、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流量を検知するための検知手段29と、捕集電極19Aに電圧を印加するための高圧トランス40と、高圧トランス40の電圧値を調整するための電圧制御手段400が電気的に接続されている。
【0043】
次に、このように構成されたコロナ帯電装置2Aの動作について説明する。
【0044】
帯電電極18Aは、像担持体1に対して帯電電位を形成するために放電する一方、捕集電極19Aは、対向電極26Aに対して放電する。帯電電極18Aおよび捕集電極19Aには、高電圧(|数kV|)が印加され、それによって放電現象が発生する。
【0045】
帯電電極18Aの放電エネルギーは、制御電極21によって像担持体1との間の電位差が埋められるため、像担持体1の表面が制御電極21の印加電圧(|Vg|)に近くなるまで、像担持体1に流れる。|Vg|まで帯電された像担持体1は、それ以上電流が流れなくなり、その他の放電エネルギーは、制御電極21あるいはシールドケース22へ流れる。このような放電が像担持体1の回転にしたがって順次極短時間に繰り返されることにより、像担持体1の表面に略均一な電位が形成される。
【0046】
一方、上述した放電によって、捕集電極19Aは、空気中の挨、主にシリカと結合する。ここで、捕集電極19Aは、帯電電極18Aよりも、シールドケース22内の上述した空気流路の入口側に設けられている。つまり、捕集電極19Aは、シールドケース22内で帯電電極18Aよりも空気流路の上流側に配設されている。したがって、捕集電極19Aが、空気中の挨、主にシリカを放電によって結合・除去し、挨、主にシリカが存在しない空気のみが帯電電極18Aへ流れることになる。
【0047】
ここで、捕集電極19Aに付着する付着物は、捕集電極19Aの放電に対して抵抗となり、捕集電極19Aの電極部に付着する付着物が増加するに従って、当該抵抗は増加する。
【0048】
図16は、捕集電極19Aの捕集能力と、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流の電流量と、の関係を示した図である。
【0049】
上記の抵抗の増加は、同じ電圧条件下において捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量の低下につながり、当該電流量がある規定量以下に低下したときには、捕集電極19Aは充分な捕集能力を有するものではなくなる。
【0050】
図17は、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量と、捕集電極19Aに印加される電圧値と、の関係を示した図である。
【0051】
図17に示すように、捕集電極19Aに印加される電圧値が増加すると、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量も増加する。
【0052】
上記に鑑み、第1の実施形態において、検知手段29は、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量を測定する。そして、複写機100は、規定電流量以下となる電流量が所定の回数続けて検知手段29によって測定された場合、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、捕集電極19Aに印加する電圧値を増加させる。
【0053】
以下に、上述した複写機100における処理について、図21を用いて説明する。
【0054】
図21のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、複写機100のメモリ300に制御プログラムとして記憶されており、制御部200によって実行される。
【0055】
まず、捕集電極19Aの放電が開始されると、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる放電電流の電流量を検知手段29に測定させる(S101)。
【0056】
次に、測定された電流量が、規定電流量以下であるか否かが判断される(S102)。
【0057】
測定された電流量が、規定電流量以下でないと判断された場合(S102でNO)、処理は終了する。
【0058】
一方、測定された電流量が規定電流量以下であると判断された場合(S102でYES)、再度、当該放電電流の電流量を検知手段29に測定させ(S103)、測定された電流量が規定電流量以下であるか否かが判断される(S104)。
【0059】
ステップS103で測定された電流量が規定電流量以下ではないと判断された場合(S104でNO)、処理は終了する。
【0060】
一方、ステップS103で測定された電流量が規定電流量以下であると判断された場合(S104でYES)、メモリ300に記憶されている異常カウント値(N)に1が加算され、加算された異常カウント値がメモリ300に上書き記憶される(S105)。この異常カウント値(N)は、ステップS103において規定電流量以下となる電流量が測定された回数が把握されるために記憶される。
【0061】
続いて、メモリ300に記憶された異常カウント値(N)が、3よりも大きいか否か(すなわち4以上であるか否か)が判断される(S106)。ここで、このステップS106で異常カウント値が3よりも大きいと判断される場合とは、ステップS103で測定された放電電流が、ステップS104において規定電流量以下であると4回続けて判断されたことにより、ステップS103からステップS106までの処理が4回繰り返されたことを意味する。
【0062】
異常カウント値が3よりも大きくないと判断された場合(S106でNO)、ステップS103の処理に戻る。
【0063】
一方、異常カウント値が3よりも大きいと判断された場合(S106でYES)、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、捕集電極19Aに印加する電圧が調整される(S107)。この電圧の調整は、高圧トランス40の電圧値が、電圧制御手段400によって調整されることにより実行される。
【0064】
続いて、異常カウント値(すなわち、4)が0にリセットされる(S108)。このリセットは、電圧調整後において捕集電極19Aが放電する放電電流の電流量についても上記の計測が行なわれるために実行されるものであり、ステップS108の後、ステップS103以降の処理が再度繰り返される。
【0065】
上記の処理が実行されることによって、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流の電流量は所定の値に調整されて、捕集電極19Aが空気中の粉塵を捕集する捕集能力は一定に維持される。これにより、帯電電極18Aは常に安定した状態で像担持体1の表面を帯電することができ、放電ノイズなどのない高画質な画像を形成することができる。
【0066】
なお、第1の実施形態において、帯電電極および捕集電極は、以下に示すようにも形成することができる。
【0067】
例えば、図5に示す帯電電極18Bおよび捕集電極19Bのように、帯電電極と捕集電極とを独立して設け、捕集電極は、シールドケース22外の空気流路の上流側に設けられてもよい。なお、図5において、捕集電極19Bと対向する位置に、捕集電極19Bの放電対象物である対向電極26Bが設けられる。
【0068】
また、図6に示す帯電電極18Cのように、帯電電極は、接触帯電型の帯電ローラであってもよい。なお、図6において、図5と同様、帯電電極18Cと捕集電極19Cとは独立して設けられ、捕集電極19Cと対向する位置に、捕集電極19Cの放電対象物である対向電極26Cが設けられる。
【0069】
次に、本発明の第2の実施形態におけるコロナ帯電装置を説明する。 図7は、第2の実施形態におけるコロナ帯電装置2Bを、部分的に拡大して示す断面図である。
【0070】
図7に示すコロナ帯電装置2Bにおいて、基本構成は、図4に示したものと同様である。よって基本構成およびコロナ帯電装置の基本動作に関する説明は省略する。また、以下の説明において、第1の実施形態と共通する事項については同じ名称および符号を用いる。
【0071】
第2の実施形態におけるコロナ帯電装置2Bにおいて、捕集電極19Aに電圧を印加するために設けられる回路IIには、可変抵抗42が設けられる。この可変抵抗42には抵抗制御手段420が接続され、可変抵抗42の電気的抵抗値はこの抵抗制御手段420によって調整されうる。
【0072】
図18は、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量と、可変抵抗42の抵抗値との関係を示した図である。
【0073】
図18に示すように、可変抵抗42の抵抗値が減少するに従って、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量も増加する。
【0074】
上記に鑑み、本実施形態では、上述した捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量の低下を防止するために、第1の実施形態と同様に、検知手段29は、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量を測定する。そして、複写機は、検知手段29によって規定電流量以下となる電流量が所定の回数続けて測定された場合、捕集電極19Aが放電する電流の電流量を増加させるために、可変抵抗42の抵抗値を調整する。
【0075】
以下に、第2の実施形態の複写機100における処理について、図22を用いて具体的に説明する。
【0076】
図22のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態における複写機のメモリ300に制御プログラムとして記憶されており、制御部200によって実行される。
【0077】
ステップS201からステップS206までの処理は、図21に示すステップS101からステップS106までの処理と同様である。これにより、ステップS206までの処理の説明を省略する。
【0078】
ステップS206において異常カウント値が3よりも小さいと判断された場合(S206でNO)、ステップS203の処理に戻る。
【0079】
一方、異常カウント値が3よりも大きいと判断された場合(S206でYES)、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、可変抵抗42の抵抗値が抵抗制御手段420によって調整される(S207)。
【0080】
これ以降の処理は、図21に示すステップS108以降の処理と同様である。よって説明を省略する。
【0081】
この第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果が発揮される。
【0082】
なお、第2の実施形態において、帯電電極および捕集電極は、以下に示すように形成することができる。
【0083】
例えば、図8に示す帯電電極18Bおよび捕集電極19Bのように、帯電電極と捕集電極とを独立して設け、捕集電極は、シールドケース22外の空気流路の上流側に設けられてもよい。なお、図に示す符号26Bは、図5と同様に対向電極である。
【0084】
また、図9に示す帯電電極18Cのように、帯電電極は、接触帯電型の帯電ローラであってもよい。図に示す符号26Cは、図6と同様に対向電極である。
次に、本発明の第3の実施形態におけるコロナ帯電装置を説明する。 図10は、第3の実施形態におけるコロナ帯電装置2Cを、部分的に拡大して示す断面図であり、
図10に示すコロナ帯電装置2Cにおいて、基本構成は、図4に示したものと同様である。よって基本構成およびコロナ帯電装置の基本動作に関する説明は省略する。また、以下の説明において、第1の実施形態と共通する事項については同じ名称および符号を用いる。
【0085】
第3の実施形態におけるコロナ帯電装置2Cにおいて、捕集電極19Aに電圧を印加するための回路IIIの他に、対向電極26Aに電圧を印加するための回路IVが設けられる。
【0086】
回路IIIにおいて、捕集電極19Aに電圧を印加するための高圧トランス40が電気的に接続されている。
【0087】
回路IVにおいて、捕集電極19Aが放電するときに捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流量を検知するための検知手段29と、捕集電極19Aに電圧を印加するための高圧トランス41と、高圧トランス41の電圧値を調整するための電圧制御手段410とが電気的に接続されている。
【0088】
図19は、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量と、対向電極26Aに印加する電圧との関係を示した図である。
【0089】
図19に示すように、対向電極26Aに印加する電圧が減少するに従って、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量は増加する。
【0090】
上記に鑑み、本実施形態では、上述した捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量の低下を防止するために、検知手段29は、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量を測定する。そして、複写機100は、検知手段29によって規定電流量以下となる電流量が所定の回数続けて測定された場合、捕集電極19Aが放電する電流の電流量を増加させるために、対向電極26Aに印加する電圧を調整する。
【0091】
以下に、第3の実施形態の複写機100における処理について、図23を用いて具体的に説明する。
【0092】
図23のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、第1の実施形態と同様に、第3の実施形態における複写機のメモリ300に制御プログラムとして記憶されており、制御部200によって実行される。
【0093】
ステップS301からステップS306までの処理は、図21に示すステップS101からステップS106までの処理と同様である。これにより、ステップS306までの処理の説明を省略する。
【0094】
ステップS306において異常カウント値が3よりも小さいと判断された場合(S306でNO)、ステップS203の処理に戻る。
【0095】
一方、異常カウント値が3よりも大きいと判断された場合(S306でYES)、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、対向電極26Aに印加する電圧が電圧制御手段410によって調整される(S307)。
【0096】
これ以降の処理は、図21に示すステップS108以降の処理と同様である。よって説明を省略する。
【0097】
この第3の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果が発揮される。
【0098】
なお、第3の実施形態において、帯電電極および捕集電極は、以下に示すように形成することができる。
【0099】
例えば、図11に示す帯電電極18Bおよび捕集電極19Bのように、帯電電極と捕集電極とを独立して設け、捕集電極は、シールドケース22外の空気流路の上流側に設けられてもよい。なお、図に示す符号26Bは、図5と同様に対向電極である。
【0100】
また、図12に示す帯電電極18Cのように、帯電電極は、接触帯電型の帯電ローラであってもよい。なお、図に示す符号26Cは、図6と同様に対向電極である。
次に、本発明の第4の実施形態におけるコロナ帯電装置を説明する。 図13は、第4の実施形態におけるコロナ帯電装置2Dを、部分的に拡大して示す断面図である。
【0101】
図13に示すコロナ帯電装置2Dにおいて、基本構成は、図4に示したものと同様である。よって基本構成およびコロナ帯電装置の基本動作に関する説明は省略する。また、以下の説明において、第1の実施形態と共通する事項については同じ名称および符号を用いる。
【0102】
第4の実施形態におけるコロナ帯電装置2Dにおいて、捕集電極19Aに電圧を印加するための回路V、および捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離を調整するための対向電極距離制御手段260Aが設けられる。
【0103】
回路Vにおいて、捕集電極19Aが放電するときに捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流量を検知するための検知手段29と、捕集電極19Aに電圧を印加するための高圧トランス40とが電気的に接続されている。
【0104】
図20は、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量と、捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離と、の関係を示した図である。
【0105】
図20に示すように、捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離が減少するに従って、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量は増加する。
【0106】
上記に鑑み、本実施形態では、上述した捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量の低下を防止するために、第1の実施形態と同様に、検知手段29は、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量を測定する。そして、複写機100は、検知手段29によって規定電流量以下となる電流量が所定の回数続けて測定された場合、捕集電極19Aが放電する電流の電流量を増加させるために、捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離を調整する。
【0107】
以下に、第4の実施形態の複写機100における処理について、図24を用いて具体的に説明する。
【0108】
図24のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、第1の実施形態と同様に、第3の実施形態における複写機のメモリ300に制御プログラムとして記憶されており、制御部200によって実行される。
【0109】
ステップS401からステップS406までの処理は、図21に示すステップS101からステップS106までの処理と同様である。これにより、ステップS306までの処理の説明を省略する。
【0110】
ステップS406において異常カウント値が3よりも小さいと判断された場合(S406でNO)、ステップS403の処理に戻る。
【0111】
一方、異常カウント値が3よりも大きいと判断された場合(S406でYES)、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離が、対向電極距離制御手段260Aによって調整される(S307)。
【0112】
これ以降の処理は、図21に示すステップS108以降の処理と同様である。よって説明を省略する。
【0113】
この第4の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果が発揮される。
【0114】
なお、第4の実施形態において、帯電電極および捕集電極は、以下に示すように形成することができる。
【0115】
例えば、図14に示す帯電電極18Bおよび捕集電極19Bのように、帯電電極と捕集電極とを独立して設け、捕集電極は、シールドケース22外の空気流路の上流側に設けられてもよい。なお、図に示す符号26Bは、図5と同様に対向電極であり、260Bは、上記のものと同様の対向電極距離制御手段である。
【0116】
また、図15に示す帯電電極18Cのように、帯電電極は、接触帯電型の帯電ローラであってもよい。なお、図に示す符号26Cは、図6と同様に対向電極であり、260Cは、上記のものと同様の対向電極距離制御手段である。
【0117】
本発明は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内におい
て、種々改変することができる。
【0118】
例えば、帯電電極は、ワイヤ状またはピン状を呈する電極であってもよい。
【0119】
また、被帯電体としては、上記の感光体である像担持体に代えて、転写ドラム/転写ベルトなどの像担持体や、用紙搬送ベルトであってもよい。
【0120】
また、本発明のコロナ帯電装置は、たとえば、モノクロまたはカラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、およびこれらの機能を組み合わせた多機能周辺機器(MFP)等の画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置としての複写機の構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタ部の概略構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に切り欠いて示す概略斜視図である。
【図4】第1の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図5】第1の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図6】第1の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図7】第2の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図8】第2の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図9】第2の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図10】第3の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図11】第3の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図12】第3の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図13】第4の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図14】第4の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図15】第4の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図16】捕集電極の捕集能力と、捕集電極と対向電極との間に流れる電流の電流量と、の関係を示した図である。
【図17】捕集電極と対向電極との間を流れる電流量と、捕集電極に印加される電圧値との関係を示した図である。
【図18】捕集電極と対向電極との間を流れる電流量と、可変抵抗の抵抗値との関係を示した図である。
【図19】捕集電極と対向電極との間を流れる電流量と、対向電極に印加する電圧との関係を示した図である。
【図20】捕集電極と対向電極との間を流れる電流量と、捕集電極と対向電極との離隔距離と、の関係を示した図である。
【図21】第1の実施形態の複写機における処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】第2の実施形態の複写機における処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】第3の実施形態の複写機における処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】第4の実施形態の複写機における処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0122】
1 像担持体、
2A,2B,2C,2D コロナ帯電装置、
18A,18B,18C 帯電電極、
19A,19B,19C 捕集電極、
26A,26B,26C 対向電極、
29 検知手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナ帯電装置および画像形成装置に関するものである。特に、電子写真方式の画像形成装置に用いられるコロナ帯電装置、およびこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置に用いられるコロナ帯電装置として、高効率化・低オゾン化が図られるように、鋸歯状の帯電電極を有するコロナ帯電装置が主流となってきている。
【0003】
鋸歯状の帯電電極は、ワイヤタイプの帯電電極と比べて放電方向が狭いことから、同じ電流・電圧の条件下において、放電エネルギーが高い。また、放電は、鋸歯状を呈する放電部の先端部分に限られることで、オゾンなどの発生が少ないというメリットがある(特許文献1参照)。
ところが、鋸歯状を呈する帯電電極は、その先端部分に放電が集中して放電エネルギーが高いがゆえに、空気中の埃、主にシリカなどの物質と結合しやすくなる。これにより、シリカなどの物質が帯電電極の先端部分に徐々に蓄積して、放電の障害が発生するという問題があった。この問題は、鋸歯状を呈する放電電極に限られず、例えばワイヤタイプの放電電極においても同様に生じ得る。ここで、放電の障害とは放電のムラのことである。具体的には、感光体上に電位のムラが生じ、画像上に白もしくは黒の筋状ノイズが現れる。
【0004】
このような放電のムラを防止するため、放電のムラの原因となる放電電極上に形成された付着物を除去する方法がある。
【0005】
しかし、放電電極上の付着物を除去する装置を設けることは、コロナ帯電装置の大型化をまねくとともに、製造コストが増大し、しかも付着物の除去前後での画質変動が大きいなどの新たな課題が生じる。また、付着物を除去するタイミングを判定して、それを確実に実行するための方法も別途考えなくてはならない。さらに、鋸歯状または針状を呈する電極が使用される場合、電極の先端部分の破損を防止するための部材で電極の両側から挟み込む必要があり、先端部分に位置する放電点付近の付着物を十分に除去することはきわめて困難であった。 また、コロナ帯電装置内の空気を清浄化するために、帯電電極とは別に、空気中の粉塵を捕集することが可能な捕集電極を設ける技術が提案された(特許文献2参照)。この技術において、捕集電極は、帯電電極と捕集電極とが収容されるシールドケースの内部において、帯電電極よりも空気流路の上流側に設けられる。これにより、帯電電極に付着物が付着する前に、捕集電極は空気中の埃などを捕集することとしている。
【0006】
しかし、上記従来技術において、コロナ帯電装置の稼働時間が長くなるに従って、捕集電極に付着する付着物の量は増加し、捕集電極の捕集機能は低減される。この結果、長期の使用によって捕集電極の捕集機能が失われた場合には、帯電電極に付着物が付着し始めることとなる。ここで、捕集機能が失われるとは、例えば付着物が捕集用電極を覆い尽すくらいに付着して、捕集電極の放電性能が低下し、最悪の場合には、捕集電極が放電しなくなることを意味する。
【0007】
また、上記従来技術において、捕集電極の放電の状態が監視されていないため、捕集電極の捕集機能が失われた状態であっても、捕集電極がそのまま使用されることが可能となる。この結果、捕集電極によって清浄されきれない空気が帯電電極に触れることとなり、帯電電極に付着物が付着し、放電ムラを発生して画像ノイズとして現れる。
【0008】
また、帯電電極が像担持体に放電する放電電流を検知するために、制御電極と像担持体との間に電流検知プレートを挿入して、電流検知プレートを流れる電流の電流量を検知して、コロナ帯電装置の電圧を制御するものがある(特許文献2)。
【0009】
しかし、上記従来技術においても、以下に示す問題が存在する。
【0010】
通常、制御電極と像担持体との間の高さは1mm程度に設けられる。この場合、電流検知プレートが制御電極と像担持体との間に挿入可能であるように、電流検知プレートの厚さは、コロナ帯電装置の製造上あるいは組立上の公差を考慮して、0.5mm以内に形成されなければならない。
【0011】
また、電流検知プレートを流れる電流が精度よく検知されるためには、上記挿入時において、制御電極または像担持体と対向する電流検知プレートの面は、所定の面積以上の面積を有していなくてはならない。
【0012】
また、上記の厚さや面積の条件を満たす電流検知プレートが製造されたとしても、当該電流検知プレートを制御電極と像担持体との間に保持するための保持手段の構造は複雑である。
【0013】
また、電流検知プレートが画像形成に支障することがないように、電流検知プレートは、制御電極と像担持体との間の領域のうち画像形成に寄与しない領域に配置されなければならない。このことは、本来、画像形成に寄与する領域に流れる放電電流が検知されるべきことと相反する。これに鑑み、帯電電極の放電時と非放電時とで電流検知プレートの配置位置を変更するため、上記の1mm程度の空隙内で電流検知プレートの配置位置を変更可能に電流検知プレートを保持するための保持手段を設けることとした場合には、コロナ帯電装置の複雑化をまねく。
【0014】
以上のことから、上記の電流検知プレートは、本来、画像形成に寄与する領域に流れる放電電流を必ずしも直接的に検知し得る手段ではなく、また電流検知プレートを設けるにあたって、コロナ帯電装置は複雑化する。
【特許文献1】特開2002−289322号公報
【特許文献2】特開2004−333593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、帯電電極が常に安定した状態で像担持体表面を帯電して、放電ノイズなどのない高画質な画像を形成することのできるコロナ帯電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0017】
(1)像担持体表面を帯電するための帯電電極と、空気中の粉塵などを捕集するための捕集電極と、前記捕集電極と対向して配置され、前記捕集電極が放電する対象物となるための対向電極と、前記捕集電極が放電するときに、前記捕集電極と前記対向電極との間に流れる電流の電流量を検知するための検知手段と、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極と前記対向電極との間に流れる電流の電流量を規定電流量以上に調整するための調整手段とを有することを特徴とするコロナ帯電装置。
【0018】
(2)前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極に印加される電圧を調整することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0019】
(3)前記捕集電極に電圧を印加するための回路をさらに有し、前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記回路の電気抵抗値を調整することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0020】
(4)前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記対向電極に印加される電圧を調整することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0021】
(5)前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極と前記対向電極との離隔距離を調整することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0022】
(6)前記帯電電極および前記捕集電極は、針状または鋸歯状を呈することを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0023】
(7)前記帯電電極は、ワイヤ状またはピン状を呈する電極であることを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0024】
(8)前記帯電電極と前記捕集電極とは、独立して設けられることを特徴とする(1)に記載のコロナ帯電装置。
【0025】
(9)(1)に記載のコロナ帯電装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明のコロナ帯電装置によれば、調整手段が捕集電極と対抗電極との間に流れる電流の電流量を所定の値に調整することによって、捕集電極が空気中の粉塵を捕集する捕集能力は一定に維持される。これにより、帯電電極は常に安定した状態で像担持体表面を帯電することができ、放電ノイズなどのない高画質な画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置としての複写機100の構成を示すブロック図である。
複写機100は、電子写真方式により画像形成を行なうものであり、制御部200、メモリ300、画像読み取り部400、およびプリンタ部500を備え、これらは信号をやり取りするためにバス600を介して相互に接続されている。
【0028】
制御部200は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。
【0029】
メモリ300は、不揮発性メモリと揮発性メモリとを含み、不揮発性メモリは、複写機100の基本動作を制御するプログラムなどの各種プログラムやデータを格納する。揮発性メモリは、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。 画像読み取り部400は、原稿が載置される図示しない原稿ガラスと、図示しない原稿ガラス上に載置された原稿から読み取られる原稿画像を赤(以下、R)、緑(以下、G)、青(以下、B)の三色に色分解して電気信号に変換しR、G、Bの画像データを得ることが可能な図示しないCCDイメージセンサとを備える。
【0030】
図2は、プリンタ部500の概略構成を示す断面図である。
【0031】
プリンタ部500は、像担持体1と、像担持体1の表面を一様に帯電し電位を形成するためのコロナ帯電装置2Aと、コロナ帯電装置2Aによって所望の電位まで帯電された像担持体1に、所定の静電潜像を形成するために光を照射するための像露光装置3と、静電潜像が形成された領域に粉体4aを電界などの作用によって付着させて鏡像化するための現像装置5と、鏡像化された像担持体1上の粉体4aを記録紙などの記録媒体6へ電界および圧力の作用によって移動させるための転写装置7と、記録媒体6上の粉体4aを熱および圧力の作用によって永久的に固定するための定着装置8とを有している。像担持体1は、具体的には感光体であり、粉体4aは、具体的にはトナーである。
【0032】
転写装置7によっても粉体4aが記録媒体6上に完全に移動しきれず、像担持体1上に
僅かながら残ってしまう場合がある。このため、転写装置7の下流側には、像担持体1上
に残留した残留粉体4bを像担持体1上から電気的・機械的に除去するための清掃装置9
が設けられている。また、清掃装置9の下流側には、帯電、露光、現像、転写、および清
掃の各工程を通過して電位的にばらついた像担持体1表面の状態を、光あるいは電界の作
用によって消去ないし略リセツト電位にするための除電装置10が設けられている。そし
て、除電装置10による除電工程を経た像担持体1の表面は、再び帯電工程に入る。
【0033】
このように、電子写真方式の複写機100において、帯電工程が最も上流の工程である。したがって、帯電工程において均一で安定した帯電状態が得られない限り、すなわち像担持体1に対する均一で安定した電位の形成が行われない限り、その下流側のすべての工程が影響を受け、高品質な画像を得ることが困難となる。
【0034】
図3は、第1の実施形態におけるコロナ帯電装置2Aを部分的に切り欠いて示す概略斜視図であり、図4は、第1の実施形態におけるコロナ帯電装置2Aを部分的に拡大して示す断面図である。
【0035】
コロナ帯電装置2Aは、像担持体1の表面を帯電するための帯電電極18Aと、帯電電極18Aを収納するシールドケース22とを備えている。また、像担持体1と帯電電極18Aとの間に、所定の空隙を介して、制御電極21が配設される。
【0036】
制御電極21は、メッシュまたは数本のワイヤから構成されており、シールドケース2
2とは絶縁して設けられる。制御電極21に図示しない電源によりバイアス電圧を印加することにより、被帯電体である像担持体1の表面に流れるコロナ電流を制御することが可能である。これにより、像担持体1の表面の帯電量は制御され得る。
【0037】
帯電電極18Aは、像担持体1に対して電圧(|Vc|)を印加することで放電して電荷を注入するためのものである。シールドケース22は、像担持体1に対向する側に開口部が形成され、断面がコの字状の中空体構造を呈している。このシールドケース22は、帯電電極18Aの放電電界を閉じ込めることができる。したがって、シールドケース22は、帯電電極18Aの周辺電界を一定に保ち、安定したコロナ放電を維持する働きを担っている。シールドケースは、シールド電極、あるいは安定板とも呼ばれる。また、像担持体1と反対側のシールドケース22の面(図中上面)には、シールドケース22内の排気をするための図示しない排気用の開口部が設けられている。
【0038】
コロナ帯電装置2Aはさらに、帯電電極18Aが放電することにより発生するオゾンやNOxなどをコロナ帯電装置2Aの外部に排出するための通路である空気ダクト23と、空気ダクト23の中に空気流を形成するための図示しないモータにより駆動されるファン24とを備えている。そして、シールドケース22の長手方向端部に設けられる2つの端部壁には、シールドケース22内に形成される空気流路(図に示す矢印)の2つの入口(図示せず)が設けられている。
【0039】
本実施形態のコロナ帯電装置2Aは、画像形成に必要な帯電電極18Aとは別に、空気中の粉塵を捕集するための捕集電極19Aを有している。捕集電極19Aは、シールドケース22内に収納され、帯電電極18Aが放電する方向と反対の方向である図3に示す下方向に放電するものである。
【0040】
帯電電極18Aと捕集電極19Aとは、ともに金属板等の導電性薄板から形成され、絶縁体25を介して接続される。また、帯電電極18Aおよび捕集電極19Aは、好ましくは鋸歯状または針歯状を呈する。このような形状を呈することによって、コロナ帯電装置2Aの動作において、高効率・低オゾン化を図ることができる。
【0041】
また、捕集電極19Aは単独ではほとんど放電しないため、捕集電極19Aの放電方向側には、放電対象物である対向電極26Aが配設されている。この対向電極26Aは、制御電極21と同電位に設定されてもよく、あるいは接地されてもよい。さらに、この対向電極26Aは、シールドケース22と共通とすることも可能である。
【0042】
また、捕集電極19Aには、捕集電極19Aに電圧を印加するための回路Iが接続される。この回路Iにおいて、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流量を検知するための検知手段29と、捕集電極19Aに電圧を印加するための高圧トランス40と、高圧トランス40の電圧値を調整するための電圧制御手段400が電気的に接続されている。
【0043】
次に、このように構成されたコロナ帯電装置2Aの動作について説明する。
【0044】
帯電電極18Aは、像担持体1に対して帯電電位を形成するために放電する一方、捕集電極19Aは、対向電極26Aに対して放電する。帯電電極18Aおよび捕集電極19Aには、高電圧(|数kV|)が印加され、それによって放電現象が発生する。
【0045】
帯電電極18Aの放電エネルギーは、制御電極21によって像担持体1との間の電位差が埋められるため、像担持体1の表面が制御電極21の印加電圧(|Vg|)に近くなるまで、像担持体1に流れる。|Vg|まで帯電された像担持体1は、それ以上電流が流れなくなり、その他の放電エネルギーは、制御電極21あるいはシールドケース22へ流れる。このような放電が像担持体1の回転にしたがって順次極短時間に繰り返されることにより、像担持体1の表面に略均一な電位が形成される。
【0046】
一方、上述した放電によって、捕集電極19Aは、空気中の挨、主にシリカと結合する。ここで、捕集電極19Aは、帯電電極18Aよりも、シールドケース22内の上述した空気流路の入口側に設けられている。つまり、捕集電極19Aは、シールドケース22内で帯電電極18Aよりも空気流路の上流側に配設されている。したがって、捕集電極19Aが、空気中の挨、主にシリカを放電によって結合・除去し、挨、主にシリカが存在しない空気のみが帯電電極18Aへ流れることになる。
【0047】
ここで、捕集電極19Aに付着する付着物は、捕集電極19Aの放電に対して抵抗となり、捕集電極19Aの電極部に付着する付着物が増加するに従って、当該抵抗は増加する。
【0048】
図16は、捕集電極19Aの捕集能力と、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流の電流量と、の関係を示した図である。
【0049】
上記の抵抗の増加は、同じ電圧条件下において捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量の低下につながり、当該電流量がある規定量以下に低下したときには、捕集電極19Aは充分な捕集能力を有するものではなくなる。
【0050】
図17は、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量と、捕集電極19Aに印加される電圧値と、の関係を示した図である。
【0051】
図17に示すように、捕集電極19Aに印加される電圧値が増加すると、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量も増加する。
【0052】
上記に鑑み、第1の実施形態において、検知手段29は、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量を測定する。そして、複写機100は、規定電流量以下となる電流量が所定の回数続けて検知手段29によって測定された場合、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、捕集電極19Aに印加する電圧値を増加させる。
【0053】
以下に、上述した複写機100における処理について、図21を用いて説明する。
【0054】
図21のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、複写機100のメモリ300に制御プログラムとして記憶されており、制御部200によって実行される。
【0055】
まず、捕集電極19Aの放電が開始されると、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる放電電流の電流量を検知手段29に測定させる(S101)。
【0056】
次に、測定された電流量が、規定電流量以下であるか否かが判断される(S102)。
【0057】
測定された電流量が、規定電流量以下でないと判断された場合(S102でNO)、処理は終了する。
【0058】
一方、測定された電流量が規定電流量以下であると判断された場合(S102でYES)、再度、当該放電電流の電流量を検知手段29に測定させ(S103)、測定された電流量が規定電流量以下であるか否かが判断される(S104)。
【0059】
ステップS103で測定された電流量が規定電流量以下ではないと判断された場合(S104でNO)、処理は終了する。
【0060】
一方、ステップS103で測定された電流量が規定電流量以下であると判断された場合(S104でYES)、メモリ300に記憶されている異常カウント値(N)に1が加算され、加算された異常カウント値がメモリ300に上書き記憶される(S105)。この異常カウント値(N)は、ステップS103において規定電流量以下となる電流量が測定された回数が把握されるために記憶される。
【0061】
続いて、メモリ300に記憶された異常カウント値(N)が、3よりも大きいか否か(すなわち4以上であるか否か)が判断される(S106)。ここで、このステップS106で異常カウント値が3よりも大きいと判断される場合とは、ステップS103で測定された放電電流が、ステップS104において規定電流量以下であると4回続けて判断されたことにより、ステップS103からステップS106までの処理が4回繰り返されたことを意味する。
【0062】
異常カウント値が3よりも大きくないと判断された場合(S106でNO)、ステップS103の処理に戻る。
【0063】
一方、異常カウント値が3よりも大きいと判断された場合(S106でYES)、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、捕集電極19Aに印加する電圧が調整される(S107)。この電圧の調整は、高圧トランス40の電圧値が、電圧制御手段400によって調整されることにより実行される。
【0064】
続いて、異常カウント値(すなわち、4)が0にリセットされる(S108)。このリセットは、電圧調整後において捕集電極19Aが放電する放電電流の電流量についても上記の計測が行なわれるために実行されるものであり、ステップS108の後、ステップS103以降の処理が再度繰り返される。
【0065】
上記の処理が実行されることによって、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流の電流量は所定の値に調整されて、捕集電極19Aが空気中の粉塵を捕集する捕集能力は一定に維持される。これにより、帯電電極18Aは常に安定した状態で像担持体1の表面を帯電することができ、放電ノイズなどのない高画質な画像を形成することができる。
【0066】
なお、第1の実施形態において、帯電電極および捕集電極は、以下に示すようにも形成することができる。
【0067】
例えば、図5に示す帯電電極18Bおよび捕集電極19Bのように、帯電電極と捕集電極とを独立して設け、捕集電極は、シールドケース22外の空気流路の上流側に設けられてもよい。なお、図5において、捕集電極19Bと対向する位置に、捕集電極19Bの放電対象物である対向電極26Bが設けられる。
【0068】
また、図6に示す帯電電極18Cのように、帯電電極は、接触帯電型の帯電ローラであってもよい。なお、図6において、図5と同様、帯電電極18Cと捕集電極19Cとは独立して設けられ、捕集電極19Cと対向する位置に、捕集電極19Cの放電対象物である対向電極26Cが設けられる。
【0069】
次に、本発明の第2の実施形態におけるコロナ帯電装置を説明する。 図7は、第2の実施形態におけるコロナ帯電装置2Bを、部分的に拡大して示す断面図である。
【0070】
図7に示すコロナ帯電装置2Bにおいて、基本構成は、図4に示したものと同様である。よって基本構成およびコロナ帯電装置の基本動作に関する説明は省略する。また、以下の説明において、第1の実施形態と共通する事項については同じ名称および符号を用いる。
【0071】
第2の実施形態におけるコロナ帯電装置2Bにおいて、捕集電極19Aに電圧を印加するために設けられる回路IIには、可変抵抗42が設けられる。この可変抵抗42には抵抗制御手段420が接続され、可変抵抗42の電気的抵抗値はこの抵抗制御手段420によって調整されうる。
【0072】
図18は、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量と、可変抵抗42の抵抗値との関係を示した図である。
【0073】
図18に示すように、可変抵抗42の抵抗値が減少するに従って、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量も増加する。
【0074】
上記に鑑み、本実施形態では、上述した捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量の低下を防止するために、第1の実施形態と同様に、検知手段29は、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量を測定する。そして、複写機は、検知手段29によって規定電流量以下となる電流量が所定の回数続けて測定された場合、捕集電極19Aが放電する電流の電流量を増加させるために、可変抵抗42の抵抗値を調整する。
【0075】
以下に、第2の実施形態の複写機100における処理について、図22を用いて具体的に説明する。
【0076】
図22のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態における複写機のメモリ300に制御プログラムとして記憶されており、制御部200によって実行される。
【0077】
ステップS201からステップS206までの処理は、図21に示すステップS101からステップS106までの処理と同様である。これにより、ステップS206までの処理の説明を省略する。
【0078】
ステップS206において異常カウント値が3よりも小さいと判断された場合(S206でNO)、ステップS203の処理に戻る。
【0079】
一方、異常カウント値が3よりも大きいと判断された場合(S206でYES)、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、可変抵抗42の抵抗値が抵抗制御手段420によって調整される(S207)。
【0080】
これ以降の処理は、図21に示すステップS108以降の処理と同様である。よって説明を省略する。
【0081】
この第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果が発揮される。
【0082】
なお、第2の実施形態において、帯電電極および捕集電極は、以下に示すように形成することができる。
【0083】
例えば、図8に示す帯電電極18Bおよび捕集電極19Bのように、帯電電極と捕集電極とを独立して設け、捕集電極は、シールドケース22外の空気流路の上流側に設けられてもよい。なお、図に示す符号26Bは、図5と同様に対向電極である。
【0084】
また、図9に示す帯電電極18Cのように、帯電電極は、接触帯電型の帯電ローラであってもよい。図に示す符号26Cは、図6と同様に対向電極である。
次に、本発明の第3の実施形態におけるコロナ帯電装置を説明する。 図10は、第3の実施形態におけるコロナ帯電装置2Cを、部分的に拡大して示す断面図であり、
図10に示すコロナ帯電装置2Cにおいて、基本構成は、図4に示したものと同様である。よって基本構成およびコロナ帯電装置の基本動作に関する説明は省略する。また、以下の説明において、第1の実施形態と共通する事項については同じ名称および符号を用いる。
【0085】
第3の実施形態におけるコロナ帯電装置2Cにおいて、捕集電極19Aに電圧を印加するための回路IIIの他に、対向電極26Aに電圧を印加するための回路IVが設けられる。
【0086】
回路IIIにおいて、捕集電極19Aに電圧を印加するための高圧トランス40が電気的に接続されている。
【0087】
回路IVにおいて、捕集電極19Aが放電するときに捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流量を検知するための検知手段29と、捕集電極19Aに電圧を印加するための高圧トランス41と、高圧トランス41の電圧値を調整するための電圧制御手段410とが電気的に接続されている。
【0088】
図19は、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量と、対向電極26Aに印加する電圧との関係を示した図である。
【0089】
図19に示すように、対向電極26Aに印加する電圧が減少するに従って、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量は増加する。
【0090】
上記に鑑み、本実施形態では、上述した捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量の低下を防止するために、検知手段29は、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量を測定する。そして、複写機100は、検知手段29によって規定電流量以下となる電流量が所定の回数続けて測定された場合、捕集電極19Aが放電する電流の電流量を増加させるために、対向電極26Aに印加する電圧を調整する。
【0091】
以下に、第3の実施形態の複写機100における処理について、図23を用いて具体的に説明する。
【0092】
図23のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、第1の実施形態と同様に、第3の実施形態における複写機のメモリ300に制御プログラムとして記憶されており、制御部200によって実行される。
【0093】
ステップS301からステップS306までの処理は、図21に示すステップS101からステップS106までの処理と同様である。これにより、ステップS306までの処理の説明を省略する。
【0094】
ステップS306において異常カウント値が3よりも小さいと判断された場合(S306でNO)、ステップS203の処理に戻る。
【0095】
一方、異常カウント値が3よりも大きいと判断された場合(S306でYES)、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、対向電極26Aに印加する電圧が電圧制御手段410によって調整される(S307)。
【0096】
これ以降の処理は、図21に示すステップS108以降の処理と同様である。よって説明を省略する。
【0097】
この第3の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果が発揮される。
【0098】
なお、第3の実施形態において、帯電電極および捕集電極は、以下に示すように形成することができる。
【0099】
例えば、図11に示す帯電電極18Bおよび捕集電極19Bのように、帯電電極と捕集電極とを独立して設け、捕集電極は、シールドケース22外の空気流路の上流側に設けられてもよい。なお、図に示す符号26Bは、図5と同様に対向電極である。
【0100】
また、図12に示す帯電電極18Cのように、帯電電極は、接触帯電型の帯電ローラであってもよい。なお、図に示す符号26Cは、図6と同様に対向電極である。
次に、本発明の第4の実施形態におけるコロナ帯電装置を説明する。 図13は、第4の実施形態におけるコロナ帯電装置2Dを、部分的に拡大して示す断面図である。
【0101】
図13に示すコロナ帯電装置2Dにおいて、基本構成は、図4に示したものと同様である。よって基本構成およびコロナ帯電装置の基本動作に関する説明は省略する。また、以下の説明において、第1の実施形態と共通する事項については同じ名称および符号を用いる。
【0102】
第4の実施形態におけるコロナ帯電装置2Dにおいて、捕集電極19Aに電圧を印加するための回路V、および捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離を調整するための対向電極距離制御手段260Aが設けられる。
【0103】
回路Vにおいて、捕集電極19Aが放電するときに捕集電極19Aと対向電極26Aとの間に流れる電流量を検知するための検知手段29と、捕集電極19Aに電圧を印加するための高圧トランス40とが電気的に接続されている。
【0104】
図20は、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量と、捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離と、の関係を示した図である。
【0105】
図20に示すように、捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離が減少するに従って、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量は増加する。
【0106】
上記に鑑み、本実施形態では、上述した捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量の低下を防止するために、第1の実施形態と同様に、検知手段29は、捕集電極19Aが放電するときに、捕集電極19Aと対向電極26Aとの間を流れる電流量を測定する。そして、複写機100は、検知手段29によって規定電流量以下となる電流量が所定の回数続けて測定された場合、捕集電極19Aが放電する電流の電流量を増加させるために、捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離を調整する。
【0107】
以下に、第4の実施形態の複写機100における処理について、図24を用いて具体的に説明する。
【0108】
図24のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、第1の実施形態と同様に、第3の実施形態における複写機のメモリ300に制御プログラムとして記憶されており、制御部200によって実行される。
【0109】
ステップS401からステップS406までの処理は、図21に示すステップS101からステップS106までの処理と同様である。これにより、ステップS306までの処理の説明を省略する。
【0110】
ステップS406において異常カウント値が3よりも小さいと判断された場合(S406でNO)、ステップS403の処理に戻る。
【0111】
一方、異常カウント値が3よりも大きいと判断された場合(S406でYES)、捕集電極19Aが放電する電流量を増加させるために、捕集電極19Aと対向電極26Aとの離隔距離が、対向電極距離制御手段260Aによって調整される(S307)。
【0112】
これ以降の処理は、図21に示すステップS108以降の処理と同様である。よって説明を省略する。
【0113】
この第4の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果が発揮される。
【0114】
なお、第4の実施形態において、帯電電極および捕集電極は、以下に示すように形成することができる。
【0115】
例えば、図14に示す帯電電極18Bおよび捕集電極19Bのように、帯電電極と捕集電極とを独立して設け、捕集電極は、シールドケース22外の空気流路の上流側に設けられてもよい。なお、図に示す符号26Bは、図5と同様に対向電極であり、260Bは、上記のものと同様の対向電極距離制御手段である。
【0116】
また、図15に示す帯電電極18Cのように、帯電電極は、接触帯電型の帯電ローラであってもよい。なお、図に示す符号26Cは、図6と同様に対向電極であり、260Cは、上記のものと同様の対向電極距離制御手段である。
【0117】
本発明は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内におい
て、種々改変することができる。
【0118】
例えば、帯電電極は、ワイヤ状またはピン状を呈する電極であってもよい。
【0119】
また、被帯電体としては、上記の感光体である像担持体に代えて、転写ドラム/転写ベルトなどの像担持体や、用紙搬送ベルトであってもよい。
【0120】
また、本発明のコロナ帯電装置は、たとえば、モノクロまたはカラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、およびこれらの機能を組み合わせた多機能周辺機器(MFP)等の画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置としての複写機の構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタ部の概略構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に切り欠いて示す概略斜視図である。
【図4】第1の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図5】第1の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図6】第1の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図7】第2の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図8】第2の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図9】第2の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図10】第3の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図11】第3の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図12】第3の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図13】第4の実施形態におけるコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図14】第4の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図15】第4の実施形態における他態様のコロナ帯電装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図16】捕集電極の捕集能力と、捕集電極と対向電極との間に流れる電流の電流量と、の関係を示した図である。
【図17】捕集電極と対向電極との間を流れる電流量と、捕集電極に印加される電圧値との関係を示した図である。
【図18】捕集電極と対向電極との間を流れる電流量と、可変抵抗の抵抗値との関係を示した図である。
【図19】捕集電極と対向電極との間を流れる電流量と、対向電極に印加する電圧との関係を示した図である。
【図20】捕集電極と対向電極との間を流れる電流量と、捕集電極と対向電極との離隔距離と、の関係を示した図である。
【図21】第1の実施形態の複写機における処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】第2の実施形態の複写機における処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】第3の実施形態の複写機における処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】第4の実施形態の複写機における処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0122】
1 像担持体、
2A,2B,2C,2D コロナ帯電装置、
18A,18B,18C 帯電電極、
19A,19B,19C 捕集電極、
26A,26B,26C 対向電極、
29 検知手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体表面を帯電するための帯電電極と、
空気中の粉塵などを捕集するための捕集電極と、
前記捕集電極と対向して配置され、前記捕集電極が放電する対象物となるための対向電極と、
前記捕集電極が放電するときに、前記捕集電極と前記対向電極との間に流れる電流の電流量を検知するための検知手段と、
前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極と前記対向電極との間に流れる電流の電流量を規定電流量以上に調整するための調整手段と、
を有することを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極に印加される電圧を調整することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項3】
前記捕集電極に電圧を印加するための回路をさらに有し、
前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記回路の電気抵抗値を調整することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記対向電極に印加される電圧を調整することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極と前記対向電極との離隔距離を調整することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項6】
前記帯電電極および前記捕集電極は、針状または鋸歯状を呈することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項7】
前記帯電電極は、ワイヤ状またはピン状を呈する電極であることを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項8】
前記帯電電極と前記捕集電極とは、独立して設けられることを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項9】
請求項1に記載のコロナ帯電装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
像担持体表面を帯電するための帯電電極と、
空気中の粉塵などを捕集するための捕集電極と、
前記捕集電極と対向して配置され、前記捕集電極が放電する対象物となるための対向電極と、
前記捕集電極が放電するときに、前記捕集電極と前記対向電極との間に流れる電流の電流量を検知するための検知手段と、
前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極と前記対向電極との間に流れる電流の電流量を規定電流量以上に調整するための調整手段と、
を有することを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極に印加される電圧を調整することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項3】
前記捕集電極に電圧を印加するための回路をさらに有し、
前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記回路の電気抵抗値を調整することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記対向電極に印加される電圧を調整することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記検知手段によって検知された電流量に基づいて、前記捕集電極と前記対向電極との離隔距離を調整することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項6】
前記帯電電極および前記捕集電極は、針状または鋸歯状を呈することを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項7】
前記帯電電極は、ワイヤ状またはピン状を呈する電極であることを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項8】
前記帯電電極と前記捕集電極とは、独立して設けられることを特徴とする請求項1に記載のコロナ帯電装置。
【請求項9】
請求項1に記載のコロナ帯電装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−323094(P2006−323094A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145675(P2005−145675)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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