コンテナ入出庫装置
【課題】誤動作のない信頼性の高いコンテナ入出庫装置を得る。
【解決手段】対をなすスプロケット間に掛け渡された紐状部材、この紐状部材に連結されることにより対をなすスプロケット間では水平方向に平行移動するとともにスプロケットの位置ではスプロケットの円弧に沿って上下動してコンテナの第1の係合部に係合することができる第1の爪20、を有する第1の移載装置10と、多段構成のフレームを有していて各フレームが多段階に伸縮するとともにコンテナの第2の係合部に係合することができる第2の爪52を有する第2の移載装置40と、を備え、第1の移載装置10は、立体倉庫のコンテナ収納空間とクレーンのコンテナ載置台との間でのコンテナの移載装置であり、第2の移載装置40は、コンテナ収納空間におけるコンテナ収納位置とコンテナ載置台への受け渡し位置との間でのコンテナの移載装置である。
【解決手段】対をなすスプロケット間に掛け渡された紐状部材、この紐状部材に連結されることにより対をなすスプロケット間では水平方向に平行移動するとともにスプロケットの位置ではスプロケットの円弧に沿って上下動してコンテナの第1の係合部に係合することができる第1の爪20、を有する第1の移載装置10と、多段構成のフレームを有していて各フレームが多段階に伸縮するとともにコンテナの第2の係合部に係合することができる第2の爪52を有する第2の移載装置40と、を備え、第1の移載装置10は、立体倉庫のコンテナ収納空間とクレーンのコンテナ載置台との間でのコンテナの移載装置であり、第2の移載装置40は、コンテナ収納空間におけるコンテナ収納位置とコンテナ載置台への受け渡し位置との間でのコンテナの移載装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スタッカークレーンと、立体倉庫などのコンテナ収納区画との間でコンテナを移載するコンテナ入出庫装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動制御によって物品を入出庫することができる立体倉庫においては、物品を収容したコンテナを収納区画に出し入れすることにより、物品を入出庫するようにしたものがある。コンテナはその寸法を規格化することができ、立体倉庫のコンテナ収納区画との間でコンテナを移載するスタッカークレーンなどの制御およびスタッカークレーンなどに組み込まれている移載装置の制御が容易になるからである。そして、立体倉庫の物品収容スペースを効率よく利用するために、立体倉庫の奥行方向に複数のコンテナを並べて収納できるようにし、これら奥行き方向の複数のコンテナ収納スペースに対してコンテナを入出庫することができるようにした入出庫装置ないしは荷移載装置も提案されている。
【0003】
特許文献1および特許文献2に記載されているコンテナ格納装置に関する発明は、立体倉庫の奥行方向に複数のコンテナを並べて収納し、また、出庫できるようにしたものである。
特許文献1記載の発明は、昇降荷台を備えていて棚間口面に沿って走行するコンテナ搬送機を有し、上記昇降荷台には、コンテナを奥行き方向に沿い往復摺動可能に支持する支持部材が設けられ、上記昇降荷台にはまた、この昇降荷台上で収縮した状態と棚の奥に格納されたコンテナまで達する伸張した状態との間で伸縮可能なアーム装置と、コンテナの上下2個の取手のいずれかに係脱し得るフックとからなる移載装置が設けられてなるものである。そして、上記アーム装置は、旋回台に固定されたアーム支持部材と、このアーム支持部材上を前後方向に摺動可能な第1摺動アーム部材と、この第1摺動アーム部材上を前後方向に摺動可能な第2摺動アーム部材からなる3段アーム形式になっている。
【0004】
特許文献2記載の発明も、特許文献1記載の発明と同様に、コンテナを昇降荷台と棚との間で受け渡す移載装置と、コンテナを棚の間口側と棚の奥側との間で移動させる移動装置を備え、この移動装置は、基端スライド部材、中間スライド部材、先端スライド部材からなる多段スライド方式になっており、さらに、中間スライド部材は、左右両側板を備えていてチャンネル状に形成され、上記両側板の内外にそれぞれ基端スライド部材の溝に嵌まる案内ローラが、前後両端に2個ずつ、前後方向中央部に4個ずつ設けられてなるものである。
【0005】
倉庫と荷物搬送装置の間で荷物を移載するために、3段フォーク式の駆動装置を用いた荷移載装置は、本出願人の特許に係る特許文献3によっても知られている。特許文献3記載の発明では、フォークとこのフォークの前後端部に取り付けられた係合部とによって、荷物の平面外形寸法よりも大きい内径寸法の枠体を形成し、この枠体によって荷物を囲うことができるようになっている。上記枠体は進退機構によって駆動され、上記枠体を荷物搬送装置本体内に引き込み、また、荷物搬送装置本体外に押し出すことができるようになっている。
【0006】
特許文献4には、収納スペース効率が高く、動作が単純で能率的な移載動作をし、構成も簡単な荷移載装置を得るために、紐状部材を回転輪間に掛け、上記紐状部材に、この紐状部材が駆動されるのに伴い移動する爪を、ピンを介して回転可能に連結し、上記爪を一定の姿勢を保ったまま上下方向の移動を案内する上下方向案内部材および水平方向の移動を案内する水平方向案内部材を設けた荷移載装置が記載されている。上記連結部材が上記回転輪間にあるときは上記爪が平行移動し、上記連結部材が上記回転輪の位置にあるときは上記連結部材が回転輪に沿って移動することにより上記爪が上昇下降してコンテナと係脱するようになっていて、上記爪は、コンテナの移載時に上昇し、移載終了後に下降するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2566530号公報
【特許文献2】特許第3352846号公報
【特許文献3】特許第2954457号公報
【特許文献4】特許第3773096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2、3に記載されている発明はいずれも、アームを複数段に分けて伸縮させるものであり、各アーム間にアームの伸縮に伴って転動するローラを設けることにより動作時の摩擦抵抗を軽減している。しかしながら、これらの発明によれば、各アームを伸張させた状態で、アームにかかる荷重をローラの接触によって受けるため、点接触として受けることになり、これに加えてアームが伸長するのに伴い各ローラにかかる荷重配分が偏るため、伸張した状態と収縮した状態とではアーム先端部の落差が大きくなる。そのため、円滑な伸縮動作を行うことができなくなり、あるいは、移載装置に不具合を生じる原因となることがあった。
【0009】
その点、特許文献4に記載されている発明は、爪は確実に所定の位置と移動ストロークを保って移動するため、コンテナの移載動作を安定かつ確実に行うことができ、動作の信頼性が高い。しかし、特許文献4に記載されている発明だけでは、棚の奥行方向に複数個のコンテナが収納されている棚において、奥側の収納スペースに物品を入出庫するには、爪の移動ストロークが足りないという難点がある。
【0010】
そこで本発明は、上に述べた従来技術の課題を解決するとともに、移載装置の円滑な伸縮動作を可能にしたコンテナ入出庫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、移載方向前後の壁面に、下方に開放した鉤型の第1の係合部およびこの第1の係合部よりも高い位置に第2の係合部を有しているコンテナを使用し、手前側および奥側に収納空間を有するコンテナ収納部の上記手前側および奥側の収納空間との間でコンテナを移載することができるコンテナ移載装置を有してなるコンテナ入出庫装置において、
上記移載装置は、
対をなすスプロケット、このスプロケット間に掛け渡された紐状部材、この紐状部材に連結されることにより対をなす上記スプロケット間では水平方向に平行移動するとともに上記スプロケットの位置ではスプロケットの円弧に沿って上下動してコンテナの第1の係合部に係合することができる第1の爪、を有する第1の移載装置と、
複数のフレームが多段階に伸縮する多段階フレームを有するとともに上記コンテナの第2の係合部に係合することができる第2の爪を有していて、上記多段階フレーム相互間にスライダとこのスライダが嵌まる案内部材を有してなる直動案内が介在し、上記多段階フレーム同士が上記直動案内により荷重支持点を変化させることなく相対移動可能に連結されている第2の移載装置と、を備え、
上記第1の移載装置は、立体倉庫のコンテナ収納空間とクレーンのコンテナ載置台との間でのコンテナの移載装置であり、
上記第2の移載装置は、上記コンテナ収納空間におけるコンテナ収納位置と上記コンテナ載置台への受け渡し位置との間でのコンテナの移載装置であることを最も主要な特徴とする。
【0012】
第1の移載装置は、コンテナが左右に対をなして備えている第1の係合部に係合することができる左右一対の第1の爪と、この一対の第1の爪を移動させるために左右に対をなして配置されたスプロケットと、左右において対をなす上記スプロケット間に架け渡された紐状部材を備えたものとするとよい。
【0013】
多段フレームの最上段フレームは移動方向の端部に爪を有し、この爪は、コンテナが左右に備えている第1の係合部に対し左右方向中間でありかつ第1の係合部よりも上に形成されている第2の係合部に係合するように構成するとよい。
【0014】
それぞれの直動案内は、各段フレーム相互間の左右両側に配置するとよい。
それぞれの直動案内のスライダは、スライドユニット保持板と、このスライドユニット保持板に保持された複数のスライドユニットを有してなり、一つの案内部材に複数のスライドユニットが嵌まり合っているものとするとよい。
上記それぞれの直動案内のスライドユニット保持板は、その移動方向両端部にそれぞれ引っ張りコイルばねが連結され、これら引っ張りコイルばねによる付勢力がバランスする位置をとるようにするとよい。
【0015】
コンテナを立体倉庫のコンテナ収納空間との間で移載するときコンテナ入出庫装置が組み込まれた載置台をコンテナ収納空間に接近させるスライド機構を備えているとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対をなすスプロケット、このスプロケット間に掛け渡された紐状部材、この紐状部材に連結されることにより対をなす上記スプロケット間では水平方向に平行移動するとともに上記スプロケットの位置ではスプロケットの円弧に沿って上下動してコンテナの第1の係合部に係合することができる第1の爪、を有する第1の移載装置と、多段フレームを有していて各フレームが多段階に伸縮するとともに上記コンテナの第2の係合部に係合することができる第2の爪を有する第2の移載装置と、を備えることにより、移載装置全体の移動ストロークを十分長く確保することができる。また、コンテナの移載ストロークを第1、第2の移載装置に分担させることができるため、それぞれの移載装置の動作ストロークを短くして、移載装置全体としてコンパクト化を実現することができる。
第2の移載装置は、フレームが伸縮しても各フレームの荷重支持点に変化がなく、安定した支持力の確保とスムーズな動作を実現することができる。また、前後左右のスライダ位置の同期をとるとともに、動作位置にかかわりなく加重配分を均等に保つことができるため、装置の性能を安定して発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例を示す正面図である。
【図2】上記実施例中の第2の移載装置の部分を示す正面図である。
【図3】上記第2の移載装置の駆動機構の部分を示す側面図である。
【図4】上記実施例中の第1の移載装置の駆動機構の部分を示す側面図である。
【図5】上記実施例に組み込まれているコンテナ入出庫装置スライド機構の側面図である。
【図6】上記第2の移載装置のスライダ付勢構造を示す平面図で、(a)は第2の移載装置が収縮した状態を、(b)は第2の移載装置が伸張した状態を示す図である。
【図7】上記第2の移載装置が収縮した状態におけるスライダと案内部材の関係を示す平面図である。
【図8】図7の一部を拡大して示す平面図である。
【図9】上記実施例中の第2の荷移載装置の上下移動機構を示す正面図である。
【図10】上記第1の移載装置の特徴的な構成部分を示す斜視図である。
【図11】上記第2の移載装置が収縮した状態におけるその駆動機構の部分を拡大して示す側面図である。
【図12】上記第2の移載装置が伸張した状態におけるその駆動機構の一部分を拡大して示す側面図である。
【図13】上記第2の移載装置が伸張した状態におけるその駆動機構の残りの部分を拡大して示す側面図である。
【図14】本発明に適用されるコンテナの例を示す斜視図である。
【図15】本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例の動作を順に示す側面図である。
【図16】図15に示す動作に続く本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例の動作を順に示す側面図である。
【図17】本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例の別の動作を順に示す側面図である。
【図18】図17に示す動作に続く本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例の動作を順に示す側面図である。
【図19】本発明に係るコンテナ入出庫装置が使用される立体倉庫を構成する保管棚の例を概略的に示す外観正面図である。
【図20】上記保管棚の図19における線A−Aで示す部分を拡大して示す正面図である。
【図21】上記保管棚内のコンテナと本発明の実施例に係るコンテナ入出庫装置との関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0019】
まず、図14を参照しながら本発明に使用されるコンテナの例について説明する。図14において、コンテナ1は、図書などの収納物を収納するために上部が開放した四角形の箱形をしていて、図14の左右方向に移動させられることにより、スタッカークレーンの荷移載装置と立体倉庫のコンテナ収納空間との間で移載されるようになっている。コンテナ1の移載方向前後の壁面には第1の係合部3と第2の係合部5が、いずれも下方が開放した鉤形に形成されている。第1の係合部3はコンテナ1を正面から見て左右両側下部に1個ずつ合計2個形成され、第2の係合部5はコンテナ1を正面から見て左右方向中央部に1個比較的幅広に形成されている。第2の係合部5は第1の係合部3よりも高い位置にある。このようなコンテナ1は樹脂の一体成形によって作製することができる。第1の係合部3には、後述の第1の荷移載装置10の爪20が係合し、第2の係合部5には、第2の荷移載装置40の爪52が係合する。
【0020】
上記のように構成されているコンテナ1が収納される立体倉庫のコンテナ収納空間は、コンテナの出し入れ口に正対したときの前後方向を奥行き方向としたとき、奥行き方向に2個のコンテナを並べて収納することができるようになっている。すなわち、手前側と奥側にそれぞれコンテナを収納することができる。以下、立体倉庫の例についてその概略を説明する。
【0021】
図19ないし図21において、符号100はコンテナ1の保管棚からなる立体倉庫を示す。立体倉庫100は、所定の間隔をあけて立てられた複数の支柱101と、複数の支柱101にまたがって水平方向に連結された横断面形状L字形の荷受部材97を有してなる。隣接して相対向する一対の支柱101とこれらの支柱101の対向面の同じ高さ位置に連結されている一対の荷受部材97によって一つのコンテナ収納空間が形成されている。一つの立体倉庫100には多数のコンテナ収納空間が形成されていて、上記一対の荷受部材97によってコンテナ1の左右両側の底面を支えることにより、各コンテナ収納空間にコンテナ1を収納することができるようになっている。荷受部材97の前端部は、後述の荷移載装置120との間でコンテナ1の授受を行う荷受部98となっている。
【0022】
図示の例では、二つの立体倉庫100が一定の間隔をあけて並列的に設置されていて、二つの立体倉庫100相互の空間はスタッカークレーン110が走行する通路になっている。スタッカークレーン110は、上記通路に敷設されたレールに沿って走行する台車を有し、この台車からは荷移載装置120の垂直方向の移動をガイドするガイド支柱111が立ち上がっている。スタッカークレーン110が上記レールに沿って走行し、荷移載装置120がガイド支柱111に沿って昇降することにより、荷移載装置120は任意に指定されたコンテナ収納空間の前まで移動して停止することができる。この停止位置で荷移載装置120は上記荷受部98との間でコンテナ1を授受し、また、コンテナ1を一対の荷受部材97の上でスライドさせながら上記コンテナ収納空間にコンテナ1を押し込み、また引き出すことができるようになっている。また、上記コンテナ収納空間は、スタッカークレーン110側から見て手前側および奥側に収納空間を有している。すなわち、一つにコンテナ収納空間に、二つのコンテナ1を手前側と奥側に収納することができる。このように、コンテナ収納空間の手前側または奥側とスタッカークレーン110との間でコンテナ1を移載するために、荷移載装置120は、後で詳細に説明する第1の移載装置10と第2の移載装置40を備えている。
【0023】
次に、上記コンテナ1および立体倉庫を用いるコンテナ入出庫装置の実施例について説明する。図1は、コンテナ入出庫装置の実施例をコンテナの入出庫方向から見た図で、コンテナ入出庫装置はスタッカークレーンの載置台に以下のように組み込まれている。スタッカークレーンの載置台に固定されている左右一対のベースフレーム6間には、仮想線で囲んで示す第1の荷移載装置10が組み付けられ、この第1の荷移載装置10に囲まれるようにして、別の仮想線で囲んで示す第2の荷移載装置40が組み付けられている。第1の荷移載装置10は前後端と上端が開放した枠形に形成された一対のフレーム80を左右に有している。これらのフレーム80は一体に結合され、一体化されたフレーム80は、左右一対のベースフレーム6に、左右一対の第1案内部材90および第1スライダ9を介して前後方向にスライド可能に連結されている。第1案内部材90はベースフレーム6に、第1スライダ9はフレーム80に固着されている。左右のフレーム80の外側壁上端には、水平方向左右に広がるようにしてコンテナ載置台7が固着されている。各コンテナ載置台7の外側方には、前記コンテナ1を移載するとき、コンテナ1をガイドするコンテナガイド8が立ち上がっている。
【0024】
上記第1の荷移載装置10の構成を詳細に説明する。図1、図4および図10において、各フレーム80の内方の側壁を貫通して駆動軸11が軸受により回転可能に支持され、駆動軸11の両端部にはスプロケット12,12が固着されている。図10に示すように、駆動軸11から一定距離をおいて駆動軸11と平行に回転軸17が支持されている。回転軸17も駆動軸11と同様に上記各フレーム80の内方の側壁を貫いて軸受けにより回転可能に支持されている。回転軸17の両端部には、上記スプロケット12,12と同径のスプロケット14,14が固着されている。
【0025】
駆動軸11は、図4に示すような動力伝達機構を介して動力が伝達され、正逆回転駆動されるようになっている。図4において、駆動軸11の下方にはモータ19が取り付けられ、モータ19の出力軸に固着されているスプロケット21と駆動軸11に固着されているスプロケット23にチェーン29が掛けられている。したがって、モータ19の回転力がスプロケット21、チェーン29、スプロケット23を介して回転軸11に伝達され、回転軸11およびこれと一体のスプロケット12,12が正逆回転駆動される。図10について説明したように、前後のスプロケット12,14が対をなし、この対をなすスプロケットが2対、左右に配置されている。左右に配置されて前後に対をなしているスプロケット12,14間にはそれぞれチェーン15,15が掛けられている。したがって、左右に対をなすチェーン15,15は同期してスプロケット12,14間を直線移動し、かつ、スプロケット12,14の位置ではスプロケット12,14の円弧に沿い円弧を描きながら移動する。
【0026】
一対のチェーン15,15にはそれぞれ、チェーン15,15が重なる方向すなわち側面方向から見て同じ位置にピン18,18が取り付けられている。ピン18,18は、後で詳細に説明する爪20,20の下端部に連結され、それぞれのチェーン15と爪20がピン20を中心に相対回転可能に連結されている。
【0027】
図1に示すように、各爪20の外側面にはスライダ22が縦方向に向けて取り付けられている。各スライダ22は縦方向に固定された案内部材23に沿って自由に移動可能に嵌められていて、各スライダ22とともに各爪20も上下方向に移動可能となっている。図10にも示すように、各案内部材23にはまた、スライダ22とは反対側の面に第2スライダ24が水平方向に向けて取り付けられている。各スライダ24は、前記各フレーム80の外側壁の内面に水平方向に固定された第2案内部材25に沿って水平に自由に移動可能に嵌められている。各スライダ24が水平方向に移動するのに伴って各爪20も水平方向に移動することができる。
【0028】
このようにして、各爪20は上下方向にも水平方向にも移動可能であり、その移動軌跡は、それぞれのピン18,18の移動軌跡と同じになる。ピン18,18の移動軌跡は、前後のスプロケット12,14間に掛け渡されているチェーン15の掛け渡し形態と同じであるから、「水平移動→一方のスプロケットに沿って半円弧を描きながら移動→水平移動→他方のスプロケットに沿って半円弧を描きながら移動」、となる。各爪20の駆動源は一つのモータであり、このモータを正逆回転駆動すると、各ピン18,18がスプロケット12,14間の上側にあるときは各爪20が上昇した位置にあって水平方向前後に移動する。各ピン18,18がスプロケット12,14間の下側にあるときは各爪20が下降した位置にあって水平方向前後に移動する。各チェーン15,15とともにピン18,18がスプロケット12,14の円弧に沿って移動しているときは、各爪20もスプロケット12,14の円弧に沿って上下方向に移動する。ただし、各爪20は各スライダ22と各案内部材23によって常時垂直方向を向いた姿勢を保っている。
【0029】
各爪20は、上下方向に長く、上半部が二股に分かれたフォーク状に形成されている。各爪20は、上記のようにして上昇した位置にあるときは、フォーク状上半部が前記コンテナ載置台7、7の上面よりも上に突出し、前記コンテナ1の前後壁面の左右に形成されている第1の係合部3にそれぞれ係合することができる。各爪20が下降した位置にあるときは、各爪20全体がコンテナ載置台7、7の上面から下方に引っ込み、コンテナ1の第1の係合部3から離間するようになっている。なお、爪20の駆動機構は第1の荷移載装置10の左右両側に配置されているが、図10では片側の爪20の駆動機構のみを示している。
なお、各チェーン15,15は、これを適宜の紐状部材、例えば、ベルト、歯付ベルト、ロープ、ワイヤなどで代替してもよい。
【0030】
次に、前記第2の荷移載装置40の構成を詳細に説明する。図1、図2に示すように、第2の荷移載装置40は、下段フレーム41、中段フレーム42、上段フレーム43を備えている。下段フレーム41は前記各フレーム80と実質一体に設けられていて、前後端が開放し、左右両側に立ち上がった側壁44を有している。この両側壁44の内面側には第3案内部材45が水平方向前後に向けて固着され、第3案内部材45に沿って移動可能に第3スライダ46が嵌められている。
【0031】
中段フレーム42も前後端が開放し、左右両側に立ち上がった側壁48を備え、各側壁48の外側面には第4案内部材47が水平方向前後に向けて固着されている。各第4案内部材47は第3スライダ46に嵌められ、中段フレーム42とともに第3スライダ46に沿って水平方向前後に移動可能となっている。中段フレーム42の両側壁48の内面側には第5案内部材49が水平方向前後に向けて固着され、第5案内部材49には第4スライダ50が嵌められ、スライダ50は第5案内部材49に沿って水平方向前後に移動可能となっている。
【0032】
上段フレーム43は平板状の部材で、左右両側縁部から下方に垂下した側壁を有し、各側壁の外側面に第6案内部材51が水平方向前後に向けて固着されている。各案内部材51には上記第4スライダ50が嵌められ、上段フレーム43は第4スライダ50によって案内部材51とともにガイドされて、中段フレーム42に対し水平方向前後に移動可能になっている。上段フレーム43の前後両端の左右には、前記コンテナ1の第2の係合部5に係合することができる爪52が一体的に取り付けられている。
【0033】
下段フレーム41、中段フレーム42、上段フレーム43は、以上説明したように、案内部材とスライダの介在によって互いに前後方向に移動することができる。各案内部材は直線のレール状の部材で、各スライダは上記案内部材に沿ってなるべく抵抗なく移動できるものであればよい。また、下段フレーム41と中段フレーム42の間、中段フレーム42と上段フレーム43の間では、各フレームにそれぞれ固着された二つの案内部材が一つのスライダに嵌合して、各フレーム相互を相対移動可能に連結している。換言すれば、下段フレーム41と中段フレーム42の間、中段フレーム42と上段フレーム43の間には、一つのスライダとこのスライダの両側に嵌合する二つの案内部材が介在している。
【0034】
図7、図8は、上記各フレーム41、42、43間に介在するスライダ46、50の構成をより具体的に示す。第3スライダ46は、スライドユニット保持板53と、このスライドユニット保持板53の一面側に固着された2個一対のスライドユニット54と、スライドユニット保持板53の他面側に固着された2個一対のスライドユニット55を有してなる。
第4スライダ50は、スライドユニット保持板56と、このスライドユニット保持板56の一面側に固着された2個一対のスライドユニット57と、スライドユニット保持板56の他面側に固着された2個一対のスライドユニット58を有してなる。
【0035】
上記2個のスライドユニット54が前記第3案内部材45に嵌まり、上記2個のスライドユニット55が前記第4案内部材47に嵌まっている。また、上記2個のスライドユニット57が前記第5案内部材49に嵌まり、上記2個のスライドユニット58が前記第6案内部材51に嵌まっている。
この実施例では、スライドユニット54、55、57、58として、案内部材に沿って移動する上記スライドユニット内に複数個のボールベアリングを封入し、ボールベアリングが案内部材に接触しながらスライドユニット内を循環するようにした「直動案内」と称する部品を使用している。したがって、各スライドユニットは、その内部でボールベアリングが循環することにより、案内部材との間で円滑に相対移動することができるようになっている。また、本実施例で使用されているスライダは、上記のようなスライドユニット保持板とスライドユニットで構成されたものと同じに構成されているものとする。
【0036】
次に、上記のようにして互いに相対移動可能に支持されている下段、中段、上段の各フレーム41、42、43の3段伸縮駆動機構について説明する。図11乃至図13において、下段フレーム41の前後方向一端側の下方には第2移載装置駆動モータ60が取り付けられている。このモータ60の出力軸に固着されたスプロケット62と、その上方に回転可能に取り付けられたスプロケット63にチェーン62が掛けられている。また、下段フレーム41の前後方向中央部の下方にはスプロケット65が回転可能に取り付けられていて、このスプロケット65と上記スプロケット63にチェーン64が掛けられている。スプロケット65と一体にピニオン66が固着され、ピニオン66はピニオン67と噛み合い、ピニオン67は中段フレーム42の下面に前後方向に形成されているラック69と噛み合っている。したがって、モータ60の回転力は、上記スプロケット、チェーン、ピニオンを介してピニオン67に伝達され、ピニオン67の回転力がラック69に伝達されて、中段フレーム42が前後方向に移動するようになっている。
【0037】
中段フレーム42には、前後方向の一端部下面側にチェーン固定部材71が固定され、このチェーン固定部材71にはチェーン73の一端が固定されている。中段フレーム42の前後方向他端部上面側には左右方向の水平軸を中心として回転可能にスプロケット72が取り付けられている。上記チェーン73がスプロケット72を下側から上側に向かって掛けられて半円を描きながら折り返され、チェーン73の他端は上段フレーム43の一端部に固定されたチェーン固定部材74に固定されている。
【0038】
いま、前記モータ60が駆動され、スプロケット61、チェーン62、スプロケット63、チェーン64、スプロケット65を介してピニオン66が回転駆動され、この回転力がラック69に伝達されて中段フレーム42が図11において左に向かって移動したとする。図12、図13はこの中段フレーム42の左方への移動の様子を示している。中段フレーム42と上段フレーム43は、中段フレーム42に取り付けられたスプロケット72で折り返されたチェーン73で連結されているため、中段フレーム42が左方に移動すると、上段フレーム43はチェーン73に引っ張られて、中段フレーム42の移動量の2倍の移動量で左方に向かい移動する。これら中段フレーム42、上段フレーム43の移動は、前記案内部材とスライダの嵌まり合いによって構成されている直動案内により円滑に行われる。
【0039】
左方に移動した上段フレーム43と中段フレーム42を原位置に戻し、あるいは原位置から図11において右方に向かって移動させるためには、上記モータ60を逆転させ、中段フレーム42を右方に移動させる。ただし、上記チェーン73、スプロケット72は、上段フレーム43を左方に引っ張る場合に有効なものであって、上段フレーム43を右方に引っ張るには上記チェーン73、スプロケット72とは別のチェーンとスプロケットを設ける必要がある。図11ないし図13において符号71Aおよび74Aで示すチェーン固定部材、符号72Aで示すスプロケット、符号73Aで示すチェーンがそれである。上記チェーン73Aは、中段フレーム42がピニオン67とラック69によって右方に向かって移動させられるとき、上段フレーム43を右方に引っ張り、中段フレーム42の移動量の2倍の移動量で上段フレーム43を移動させる。
【0040】
各スライダ46、50は、下段、中段、上段の各フレーム41、42、43間に介在していて、各案内部材に沿って自由に移動可能になっている。しかし、移動可能な範囲で任意の位置をとり得るものとすれば、中段フレーム42および上段フレーム43から下段フレーム41に加わる重量のバランス配分が無秩序になり、第2の荷移載装置40が傾いて荷移載作業を円滑に行うことができなくなることがあり得る。そこで、スライダ46は、下段フレーム41と中段フレーム42が重なる範囲の中心位置に常時位置するように、また、スライダ50は中段フレーム42と上段フレーム43が重なる範囲の中心位置に常時位置するように、引っ張りコイルばねによって付勢されている。図6にコイルばねによる中段フレーム42と上段フレーム43の付勢の様子を示している。
【0041】
図6において、符号75A、75Bは、下段フレーム41と中段フレーム42の間に介在する第2スライダ46を付勢するための一対の引っ張りコイルばねを示している。符号76A、76Bは、中段フレーム42と上段フレーム43の間に介在する第4スライダ50を付勢するための一対の引っ張りコイルばねを示している。コイルばね75Aは中段フレーム42の左右両側に配置され、コイルばね75Bも中段フレーム42の左右両側に配置されている。コイルばね76Aは上段フレーム43の左右両側に配置され、コイルばね76Bも上段フレーム43の左右両側に配置されている。図6において、一対のコイルばね75Aは、それぞれ一端が下段フレーム41の前後方向一端部に固定されたばね掛け411に掛けられ、他端は前記スライドユニット保持板53の前後方向他端部に設けられているばね掛け532に掛けられている。一対のコイルばね75Bは、それぞれ一端が中段フレーム42の前後方向他端部に固定されたばね掛け412に掛けられ、一端は上記スライドユニット保持板53の前後方向一端部に設けられているばね掛け531に掛けられている。したがって、中段フレーム42は、コイルばね75Aとコイルばね75Bによって下段フレーム41に対し互いに逆向きに付勢されている。
【0042】
上段フレーム43の左右両側にあって中段フレーム42に対して上段フレーム43を付勢する2対の引っ張りコイルばね76A、76Bも、以下のように上記引っ張りコイルばね75A、75Bと同様に配置されている。図6において、一対のコイルばね76Aは、それぞれ一端が中段フレーム42の前後方向一端部に固定されたばね掛け421に掛けられ、他端は前記スライドユニット保持板56の前後方向他端部に設けられているばね掛け562に掛けられている。一対のコイルばね76Bは、それぞれ一端が上段フレーム43の前後方向他端部に固定されたばね掛け422に掛けられ、一端は上記スライドユニット保持板56の前後方向一端部に設けられているばね掛け561に掛けられている。したがって、上段フレーム43は、コイルばね76Aとコイルばね76Bによって中段フレーム42に対し互いに逆向きに付勢されている。
【0043】
引っ張りコイルばね75A、75Bは太さと長さが同じであり、引っ張りコイルばね76A、76Bも太さと長さが同じである。したがって、中段フレーム42に外力が加わらない状態では、図6(a)に示すように、コイルばね75A、75Bが、中段フレーム42をその前後方向中心位置が下段フレーム41の前後方向中心位置に合致するように付勢する。すなわち、コイルばね75A、75Bの付勢力がバランスして下段フレーム41に対し中段フレーム42が中立位置を取る。同様に、上段フレーム43に外力が加わらない状態では、コイルばね76A、76Bが、上段フレーム43を、その前後方向中心位置が中段フレーム42の前後方向中心位置に合致するように付勢する。すなわち、コイルばね76A、76Bの付勢力がバランスして中段フレーム42に対し上段フレーム43が中立位置を取る。
【0044】
中段フレーム42に外力が加わらない状態では、上段フレーム43にも外力が加わらない状態であり、荷移載動作をしない平常時は、中段フレーム42と上段フレーム43は下段フレーム41に対し図6(a)に示す中立位置を保持している。この中立位置では、中段フレーム42の左右両側において、下段フレーム41と中段フレーム42が重なる範囲の中央に第3スライダ46が位置し、また、上段フレーム43の左右両側において、中段フレーム42と上段フレーム43が重なる範囲の中央に第4スライダ50が位置する。したがって、後で説明する上段フレーム43上に前記コンテナ1が移載された状態では、第3スライダ46を構成する前後のスライドユニット54およびスライドユニット55にほぼ均等に荷重がかかり、第4スライダ50を構成する前後のスライドユニット57およびスライドユニット58にほぼ均等に荷重がかかる。
【0045】
図6(b)は、図11ないし図13について説明した3段伸縮駆動機構によって、中段、上段の各フレーム42、43が下段フレーム41に対し前後方向一方側に最大限伸張した状態を示している。図6(a)に示す位置を原位置とすると、この原位置から図6(b)に示す最大伸張位置までの下段フレーム41に対する中段フレーム42の移動量に対し、下段フレーム41に対する上段フレーム43の移動量は2倍になる。その間、下段フレーム41に対する中段フレーム42の重なり量および中段フレーム42に対する上段フレーム43の重なり量が連続的に減少する。
【0046】
この間、中段フレーム42は、その左右両側に配置されているコイルばね75Aの付勢力に抗して移動するため、コイルばね75Aを伸張させながらさらに付勢する。一方、コイルばね75Bは収縮し、その付勢力は弱まる。このような一対のコイルばね75A、75Bによる付勢力の配分によって、第3スライダ46は下段フレーム41と中段フレーム42が重なる範囲の中央に常時位置し、第3スライダ46を構成する前後のスライドユニット54およびスライドユニット55に常時ほぼ均等に荷重がかかる。
【0047】
同様に、上段フレーム43は、その左右両側に配置されているコイルばね76Aの付勢力に抗して移動するため、コイルばね76Aを伸張させながらさらに付勢する。一方、コイルばね76Bは収縮し、その付勢力は弱まる。このような一対のコイルばね76A、76Bによる付勢力の配分によって、第4スライダ50は中段フレーム42と上段フレーム43が重なる範囲の中央に常時位置し、第4スライダ50を構成する前後のスライドユニット57およびスライドユニット58に常時ほぼ均等に荷重がかかる。
【0048】
図6(b)は、中段と上段のフレーム42、43が前後方向一方側に移動する場合を示しているが、中段と上段のフレーム42、43が前後方向他方側に移動する場合も同様に動作する。ただし、コイルばね75A、75Bの伸張、収縮関係、コイルばね76A、76Bの伸張、収縮関係が逆になる。
【0049】
上段フレーム43の前後両端に設けられている爪52は、コンテナ1の第2係合部5に係合してコンテナ1を立体倉庫のコンテナ収納空間から引き出し、またコンテナ収納区間に押し込むためのものである。上記爪52をコンテナ1の係合部5に係合させるために、第2の荷移載装置40を上下動させるための機構を備えている。そこで次に、第2の荷移載装置40の上下移動機構について説明する。図9において、第2の荷移載装置40を構成する下段フレーム41の下方には、モータ81の回転力を伝達する歯車機構82が配置されていて、歯車機構82の出力軸にはスプロケット83が取り付けられている。スプロケット83の上方には別のスプロケット84が配置され、スプロケット83とスプロケット84にチェーン85が掛けられ、モータ81の回転駆動力がスプロケット84に伝達されるようになっている。スプロケット84と一体にピニオン86が設けられており、ピニオン86は下段フレーム41の底面から一体に垂下したラック87と噛み合っている。下段フレーム41の底面の左右両側から側壁88が一体に垂下していて、この両側壁88の各外側面にはスライダ89が上下方向に向けて固着されている。スライダ89は、上下方向に向けて固定された案内部材91に嵌まり、下段、中段、上段フレーム41、42、43を備えてなる上記第2の荷移載装置40とともに上下方向に移動可能となっている。
【0050】
モータ81を駆動して第2の荷移載装置40を上昇させると、上記爪52をコンテナ1の第2係合部5に係合させることができ、この状態で前記モータ60を回転駆動して第2の荷移載装置40を作動させることにより、コンテナ1を立体倉庫のコンテナ収納空間から引き出すことができ、またコンテナ収納区間に押し込むことができる。このコンテナ引き出し動作または押し込み動作が終了すると、上記モータ81が逆向きに回転駆動され、第2の荷移載装置40が下降して、コンテナ1の係合部5と爪52の係合が外れる。
【0051】
コンテナ入出庫装置は、例えば前記スタッカークレーン110(図19参照)によって立体倉庫100のコンテナ収納空間の前方を立て方向にも横方向にも自由に移動することができるように、コンテナ収納空間との間に適宜の間隔が保たれていなければならない。したがって、コンテナ入出庫装置が所定のコンテナ収納空間に正対しただけでは、コンテナ1の係合部3に爪52を係合させることはできず、コンテナ入出庫装置をコンテナ収納空間に接近させた状態でコンテナ入出庫装置を作動させる必要がある。図1について説明した前記第1案内部材90、第1スライダ9は、そのためのスライド機構を構成しており、図5はこのスライド機構の駆動機構を示している。図5において、前記一対のフレーム80の各外側壁801の外側面には第1案内部材90が固着され、これらの第1案内部材90は前記ベースフレーム6に固着されたスライダ9に嵌まっている。フレーム80の下方において、ベースフレーム6と実質一体にモータ93が取り付けられ、モータ93の出力軸に一体に設けられたピニオン94が、フレーム80の下面側に実質一体に固着されたラック95と噛み合っている。ラック95は比較的短く、前後方向(図5では左右方向)に向けて取り付けられている。モータ93が正逆回転駆動されることにより、ピニオン94とラック95を介してフレーム80が前後にスライドし、フレーム80に構築された第1の荷移載装置10および第1の荷移載装置40も前後にスライドするようになっている。
【0052】
次に、コンテナ入出庫装置の実施例の一連の動作について図15ないし図18を併せて参照しながら説明する。図15(a)は、スタッカークレーンが指令に従い動作して、第1の荷移載装置10と第2の荷移載装置40を備えたコンテナ入出庫装置を有する載置台が、所定のコンテナ収納空間に対する入出庫位置に移動した状態を示している。コンテナ1は、立体倉庫を構成する荷受部材97上に載せて収納される。前述のとおり、荷受部材97の上には、二つのコンテナ1を載置して手前側と奥側に収納することができる。荷受部材97の前端部は荷受部98となっている。図15(a)に示す状態では上記コンテナ収納空間の奥側にコンテナ1が収納されている。ここでは、上記コンテナ1を取り出す動作を想定する。まず、図15(b)に示すように、コンテナ入出庫装置を水平方向に僅かに移動させて荷受部材97の荷受部98に接近させる。このコンテナ入出庫装置の移動は、図5に示すスライド機構およびその駆動機構によって行われる。
【0053】
次に、図9に示す第2の荷移載装置40の上下移動機構を作動させ、図15(c)に示すように、第2の荷移載装置40を僅かに上昇させる。さらに、図11ないし図13に示す第2の荷移載装置40の駆動装置を作動させ、図15(d)に示すように、中段フレーム42および上段フレーム43を最大に伸張させる。この状態で、上段フレーム43に設けられている爪52が上記コンテナ1の前端側の第2係合部5の下方に位置するので、次に、第2の荷移載装置40の上下移動機構を作動させて、図15(e)に示すように第2の荷移載装置40をさらに上昇させる。この動作で、上記爪52は、コンテナ1の左右の第1係合部3の間をすり抜けるようにして第2の係合部5に係合する。
【0054】
次に、図13に示す第2の荷移載装置40の駆動装置を逆向きに作動させ、図16(a)に示すように、第2の荷移載装置40を構成する中段フレーム42および上段フレーム43を原位置まで収縮させる。この収縮動作で爪52によりコンテナ1がコンテナ入出庫装置側に向かって引き寄せられる。次に、図16(b)に示すように、第2の荷移載装置40を下降させて上記爪52と第2係合部5との係合を解除し、図4に示す駆動機構を起動させて第1の荷移載装置10を作動させる。ここでは、第1の荷移載装置10の爪20が図16(b)において左から右に向かって移動するように図4に示すモータ19を駆動する。この駆動により、爪20をチェーン15に連結するピン18(図4参照)がスプロケット12に沿い円弧を描きながら上昇するとき上記爪20が上昇してコンテナ1の係合部3に係合する。さらにモータ19が駆動されてチェーン15とともに爪20がスプロケット12、14間を移動することによりコンテナ1がコンテナ入出庫装置に引き込まれ、図1に示すコンテナ載置台7上に載る。爪20は左右にあってコンテナ1の左右の第1係合部3に係合し、かつ、同期して移動するため、第1の荷移載装置10によるコンテナ1の移載は、コンテナ1の姿勢が崩れることなくバランスよく行われる。
【0055】
図16(c)に示すように、コンテナ1がコンテナ載置台7の中心位置まで引き込まれると、上記爪20がスプロケット14の円弧に沿い円弧を描きながら下降し、爪20とコンテナ1の係合部3との係合が外れ、第1の荷移載装置10による移載動作が終わる。次に、図5に示すスライド機構およびその駆動機構を駆動し、コンテナ入出庫装置を、図16(d)に示すように、荷受部98から所定距離離間させる。コンテナ入出庫装置を荷受部98から所定距離離間させた状態でスタッカークレーンを作動させ、コンテナ入出庫装置を任意の位置に移動させることができる。
【0056】
次に、コンテナ入出庫装置に載せられているコンテナ1を所定の収納空間に収納する場合すなわち入庫動作について説明する。入庫動作は、収納空間からコンテナ1を出庫する場合の動作とほぼ同じである。まず、図17(a)に示すように、コンテナ1を載せたコンテナ入出庫装置を所定の収納空間に対応する位置まで移動させ、図17(b)に示すように、コンテナ入出庫装置を荷受部98に接近させる。次に、第1の荷移載装置10を起動させる。入庫の場合、出庫時とは逆向きに起動する。図17(c)に示すように、第1の荷移載装置10の左右一対の爪20が右側の端部から上昇してコンテナ1の一対の第1係合部3にそれぞれ係合し、引き続き第1の荷移載装置10が駆動されて爪20が右側から左に向かって移動する。この爪20の移動によって、コンテナ1が押されてコンテナ載置台7から荷受部98に移載され、さらに荷受部材97の上に押し込まれる。図17(d)は、第1の荷移載装置10によるコンテナ1押し込み限界位置にあり、爪20がスプロケット12の円弧に沿って下降し、コンテナ1の係合部3から外れた状態を示している。次に、図17(e)に示すように、第2の荷移載装置40によってコンテナ1を押し込むために第2の荷移載装置40を上昇させ、上段フレーム43の爪52をコンテナ1の第2係合部5に係合させる。
【0057】
上記のように爪52がコンテナ1の第2係合部5に係合した状態で、第2の荷移載装置40を作動させ、図18(a)に示すように、下段フレーム41に対し中段、上段フレーム42、43を伸張させる。この第2の荷移載装置40の作動によりコンテナ1が上記爪52によって収納空間の奥の方に向かって押される。図18に示す例では、コンテナ収納空間の奥側にコンテナ1を収納する例になっているが、奥側にすでにコンテナ1が収納されている場合は、手前側の収納空間に収納される。奥側にコンテナ1が収納されているか否かは予めわかっており、コンテナ1を奥側に収納するかまたは手前側に収納するかは、奥側にコンテナ1が収納されているか否かによって決まる。コンテナ1を奥側に収納する場合は、第2の荷移載装置40を最大ストローク作動させ、手前側に収納する場合はそれに応じた短いストローク作動させる。
【0058】
コンテナ1が収納空間の所定位置に収納されると第2の荷移載装置40を図18(b)に示すように下降させ、さらに、図18(d)に示すように原位置まで収縮させる。また、図18(d)に示すようにコンテナ入出庫装置を荷受部98から後退させ、スタッカークレーンおよびその載置台が任意の位置に移動可能な状態にする。
【0059】
図15ないし図18は、収納空間の奥側からコンテナを出庫し、また、奥側に入庫する場合を示しているが、収納空間の手前側からコンテナを出庫し、また、手前側に入庫する場合もほぼ同じであり、第2移載装置の駆動ストロークが短くなる点が異なる。また、図15ないし図18は、移載装置から左側の収納空間にコンテナ1を入出庫する場合を示しているが、右側の収納空間にコンテナを入出庫する場合もほぼ同様である。この場合、第1、第2移載装置10、40の駆動の向きが異なるのみである。図示のコンテナ1は図書を収納する場合を想定して描いているが、コンテナ1に収納する物品は任意である。
【0060】
図示の実施例では、第2の移載装置40が3段のフレーム構成になっていたが、フレームの段数は任意で、複数のフレームが多段階に伸縮する多段階フレームになっていればよい。その場合、コンテナ1の係合部に係合する爪は、最上段のフレームに設けられる。また、各フレーム相互間に直動案内が介在することになる。
【0061】
以上説明した実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
爪の平行移動方式である第1の移載装置10と多段伸縮式である第2の移載装置40とを組み合わせ、第1の移載装置10では立体倉庫のコンテナ収納空間におけるコンテナ1のスライド移動を、第2の移載装置40ではコンテナ収納空間とコンテナ入出庫装置との間のコンテナ1の移載動作を行わせるようにした。これにより、移載装置全体の移動ストロークを十分長く確保することができる。また、コンテナ1の移載ストロークを第1、第2の移載装置10,40に分担させることができるため、それぞれの移載装置の動作ストロークを短くして、移載装置全体としてコンパクト化を実現することができる。
第1の移載装置10は、コンテナ1の左右両側で爪20を同期させて移動させながらコンテナ1の左右両側を引っ張り、また押してコンテナ1を移動させるため、コンテナ1を、その姿勢を崩すことなく円滑に移載することができる。
【0062】
第2の移載装置40を構成する下段、中段、上段の各フレーム41、42、43相互間には、左右対称に案内部材とスライダからなる直動案内が配置されて互いに相対移動可能に連結されているため、相対移動が軽快かつ円滑に行われる。
また、下段、中段、上段の各フレーム41、42、43を相対移動させる上記各直動案内は、フレーム42、43の移動方向両側からコイルばねによって付勢され、下段フレーム41と中段フレーム42の重なり範囲の中央、中段フレーム42と上段フレーム43の重なり範囲の中央に常に位置するようになっているため、上記各フレームにかかる重量のアンバランスを軽減することができ、フレーム41に対するフレーム42、43の収縮時と伸張時のフレーム先端部の段差を少なくすることができる。
【0063】
第2の移載装置40を構成する複数段階のフレーム相互間に直動案内が介在し、複数段階のフレーム同士が上記直動案内により荷重支持点を変化させることなく相対移動可能に連結されているため、各フレームがスムーズに伸縮し、コンテナ入出庫装置としての性能を安定して発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係るコンテナ入出庫装置は、図書館における蔵書の自動出納装置、商品や部品をコンテナ単位で管理する保管倉庫におけるコンテナ入出庫装置などとして利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 コンテナ
3 係合部
7 コンテナ載置台
9 第1スライダ
10 第1の荷移載装置
11 駆動軸
20 爪
25 第2案内部材
40 第2の荷移載装置
41 下段フレーム
42 中段フレーム
43 上段フレーム
45 第3案内部材
46 第3スライダ
47 第4案内部材
49 第5案内部材
50 第4スライダ
51 第6案内部材
52 爪
53 スライドユニット保持板
54 スライドユニット
55 スライドユニット
56 スライドユニット保持板
57 スライドユニット
58 スライドユニット
90 第1案内部材
97 荷受部材
100 立体倉庫
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スタッカークレーンと、立体倉庫などのコンテナ収納区画との間でコンテナを移載するコンテナ入出庫装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動制御によって物品を入出庫することができる立体倉庫においては、物品を収容したコンテナを収納区画に出し入れすることにより、物品を入出庫するようにしたものがある。コンテナはその寸法を規格化することができ、立体倉庫のコンテナ収納区画との間でコンテナを移載するスタッカークレーンなどの制御およびスタッカークレーンなどに組み込まれている移載装置の制御が容易になるからである。そして、立体倉庫の物品収容スペースを効率よく利用するために、立体倉庫の奥行方向に複数のコンテナを並べて収納できるようにし、これら奥行き方向の複数のコンテナ収納スペースに対してコンテナを入出庫することができるようにした入出庫装置ないしは荷移載装置も提案されている。
【0003】
特許文献1および特許文献2に記載されているコンテナ格納装置に関する発明は、立体倉庫の奥行方向に複数のコンテナを並べて収納し、また、出庫できるようにしたものである。
特許文献1記載の発明は、昇降荷台を備えていて棚間口面に沿って走行するコンテナ搬送機を有し、上記昇降荷台には、コンテナを奥行き方向に沿い往復摺動可能に支持する支持部材が設けられ、上記昇降荷台にはまた、この昇降荷台上で収縮した状態と棚の奥に格納されたコンテナまで達する伸張した状態との間で伸縮可能なアーム装置と、コンテナの上下2個の取手のいずれかに係脱し得るフックとからなる移載装置が設けられてなるものである。そして、上記アーム装置は、旋回台に固定されたアーム支持部材と、このアーム支持部材上を前後方向に摺動可能な第1摺動アーム部材と、この第1摺動アーム部材上を前後方向に摺動可能な第2摺動アーム部材からなる3段アーム形式になっている。
【0004】
特許文献2記載の発明も、特許文献1記載の発明と同様に、コンテナを昇降荷台と棚との間で受け渡す移載装置と、コンテナを棚の間口側と棚の奥側との間で移動させる移動装置を備え、この移動装置は、基端スライド部材、中間スライド部材、先端スライド部材からなる多段スライド方式になっており、さらに、中間スライド部材は、左右両側板を備えていてチャンネル状に形成され、上記両側板の内外にそれぞれ基端スライド部材の溝に嵌まる案内ローラが、前後両端に2個ずつ、前後方向中央部に4個ずつ設けられてなるものである。
【0005】
倉庫と荷物搬送装置の間で荷物を移載するために、3段フォーク式の駆動装置を用いた荷移載装置は、本出願人の特許に係る特許文献3によっても知られている。特許文献3記載の発明では、フォークとこのフォークの前後端部に取り付けられた係合部とによって、荷物の平面外形寸法よりも大きい内径寸法の枠体を形成し、この枠体によって荷物を囲うことができるようになっている。上記枠体は進退機構によって駆動され、上記枠体を荷物搬送装置本体内に引き込み、また、荷物搬送装置本体外に押し出すことができるようになっている。
【0006】
特許文献4には、収納スペース効率が高く、動作が単純で能率的な移載動作をし、構成も簡単な荷移載装置を得るために、紐状部材を回転輪間に掛け、上記紐状部材に、この紐状部材が駆動されるのに伴い移動する爪を、ピンを介して回転可能に連結し、上記爪を一定の姿勢を保ったまま上下方向の移動を案内する上下方向案内部材および水平方向の移動を案内する水平方向案内部材を設けた荷移載装置が記載されている。上記連結部材が上記回転輪間にあるときは上記爪が平行移動し、上記連結部材が上記回転輪の位置にあるときは上記連結部材が回転輪に沿って移動することにより上記爪が上昇下降してコンテナと係脱するようになっていて、上記爪は、コンテナの移載時に上昇し、移載終了後に下降するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2566530号公報
【特許文献2】特許第3352846号公報
【特許文献3】特許第2954457号公報
【特許文献4】特許第3773096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2、3に記載されている発明はいずれも、アームを複数段に分けて伸縮させるものであり、各アーム間にアームの伸縮に伴って転動するローラを設けることにより動作時の摩擦抵抗を軽減している。しかしながら、これらの発明によれば、各アームを伸張させた状態で、アームにかかる荷重をローラの接触によって受けるため、点接触として受けることになり、これに加えてアームが伸長するのに伴い各ローラにかかる荷重配分が偏るため、伸張した状態と収縮した状態とではアーム先端部の落差が大きくなる。そのため、円滑な伸縮動作を行うことができなくなり、あるいは、移載装置に不具合を生じる原因となることがあった。
【0009】
その点、特許文献4に記載されている発明は、爪は確実に所定の位置と移動ストロークを保って移動するため、コンテナの移載動作を安定かつ確実に行うことができ、動作の信頼性が高い。しかし、特許文献4に記載されている発明だけでは、棚の奥行方向に複数個のコンテナが収納されている棚において、奥側の収納スペースに物品を入出庫するには、爪の移動ストロークが足りないという難点がある。
【0010】
そこで本発明は、上に述べた従来技術の課題を解決するとともに、移載装置の円滑な伸縮動作を可能にしたコンテナ入出庫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、移載方向前後の壁面に、下方に開放した鉤型の第1の係合部およびこの第1の係合部よりも高い位置に第2の係合部を有しているコンテナを使用し、手前側および奥側に収納空間を有するコンテナ収納部の上記手前側および奥側の収納空間との間でコンテナを移載することができるコンテナ移載装置を有してなるコンテナ入出庫装置において、
上記移載装置は、
対をなすスプロケット、このスプロケット間に掛け渡された紐状部材、この紐状部材に連結されることにより対をなす上記スプロケット間では水平方向に平行移動するとともに上記スプロケットの位置ではスプロケットの円弧に沿って上下動してコンテナの第1の係合部に係合することができる第1の爪、を有する第1の移載装置と、
複数のフレームが多段階に伸縮する多段階フレームを有するとともに上記コンテナの第2の係合部に係合することができる第2の爪を有していて、上記多段階フレーム相互間にスライダとこのスライダが嵌まる案内部材を有してなる直動案内が介在し、上記多段階フレーム同士が上記直動案内により荷重支持点を変化させることなく相対移動可能に連結されている第2の移載装置と、を備え、
上記第1の移載装置は、立体倉庫のコンテナ収納空間とクレーンのコンテナ載置台との間でのコンテナの移載装置であり、
上記第2の移載装置は、上記コンテナ収納空間におけるコンテナ収納位置と上記コンテナ載置台への受け渡し位置との間でのコンテナの移載装置であることを最も主要な特徴とする。
【0012】
第1の移載装置は、コンテナが左右に対をなして備えている第1の係合部に係合することができる左右一対の第1の爪と、この一対の第1の爪を移動させるために左右に対をなして配置されたスプロケットと、左右において対をなす上記スプロケット間に架け渡された紐状部材を備えたものとするとよい。
【0013】
多段フレームの最上段フレームは移動方向の端部に爪を有し、この爪は、コンテナが左右に備えている第1の係合部に対し左右方向中間でありかつ第1の係合部よりも上に形成されている第2の係合部に係合するように構成するとよい。
【0014】
それぞれの直動案内は、各段フレーム相互間の左右両側に配置するとよい。
それぞれの直動案内のスライダは、スライドユニット保持板と、このスライドユニット保持板に保持された複数のスライドユニットを有してなり、一つの案内部材に複数のスライドユニットが嵌まり合っているものとするとよい。
上記それぞれの直動案内のスライドユニット保持板は、その移動方向両端部にそれぞれ引っ張りコイルばねが連結され、これら引っ張りコイルばねによる付勢力がバランスする位置をとるようにするとよい。
【0015】
コンテナを立体倉庫のコンテナ収納空間との間で移載するときコンテナ入出庫装置が組み込まれた載置台をコンテナ収納空間に接近させるスライド機構を備えているとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対をなすスプロケット、このスプロケット間に掛け渡された紐状部材、この紐状部材に連結されることにより対をなす上記スプロケット間では水平方向に平行移動するとともに上記スプロケットの位置ではスプロケットの円弧に沿って上下動してコンテナの第1の係合部に係合することができる第1の爪、を有する第1の移載装置と、多段フレームを有していて各フレームが多段階に伸縮するとともに上記コンテナの第2の係合部に係合することができる第2の爪を有する第2の移載装置と、を備えることにより、移載装置全体の移動ストロークを十分長く確保することができる。また、コンテナの移載ストロークを第1、第2の移載装置に分担させることができるため、それぞれの移載装置の動作ストロークを短くして、移載装置全体としてコンパクト化を実現することができる。
第2の移載装置は、フレームが伸縮しても各フレームの荷重支持点に変化がなく、安定した支持力の確保とスムーズな動作を実現することができる。また、前後左右のスライダ位置の同期をとるとともに、動作位置にかかわりなく加重配分を均等に保つことができるため、装置の性能を安定して発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例を示す正面図である。
【図2】上記実施例中の第2の移載装置の部分を示す正面図である。
【図3】上記第2の移載装置の駆動機構の部分を示す側面図である。
【図4】上記実施例中の第1の移載装置の駆動機構の部分を示す側面図である。
【図5】上記実施例に組み込まれているコンテナ入出庫装置スライド機構の側面図である。
【図6】上記第2の移載装置のスライダ付勢構造を示す平面図で、(a)は第2の移載装置が収縮した状態を、(b)は第2の移載装置が伸張した状態を示す図である。
【図7】上記第2の移載装置が収縮した状態におけるスライダと案内部材の関係を示す平面図である。
【図8】図7の一部を拡大して示す平面図である。
【図9】上記実施例中の第2の荷移載装置の上下移動機構を示す正面図である。
【図10】上記第1の移載装置の特徴的な構成部分を示す斜視図である。
【図11】上記第2の移載装置が収縮した状態におけるその駆動機構の部分を拡大して示す側面図である。
【図12】上記第2の移載装置が伸張した状態におけるその駆動機構の一部分を拡大して示す側面図である。
【図13】上記第2の移載装置が伸張した状態におけるその駆動機構の残りの部分を拡大して示す側面図である。
【図14】本発明に適用されるコンテナの例を示す斜視図である。
【図15】本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例の動作を順に示す側面図である。
【図16】図15に示す動作に続く本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例の動作を順に示す側面図である。
【図17】本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例の別の動作を順に示す側面図である。
【図18】図17に示す動作に続く本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例の動作を順に示す側面図である。
【図19】本発明に係るコンテナ入出庫装置が使用される立体倉庫を構成する保管棚の例を概略的に示す外観正面図である。
【図20】上記保管棚の図19における線A−Aで示す部分を拡大して示す正面図である。
【図21】上記保管棚内のコンテナと本発明の実施例に係るコンテナ入出庫装置との関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るコンテナ入出庫装置の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0019】
まず、図14を参照しながら本発明に使用されるコンテナの例について説明する。図14において、コンテナ1は、図書などの収納物を収納するために上部が開放した四角形の箱形をしていて、図14の左右方向に移動させられることにより、スタッカークレーンの荷移載装置と立体倉庫のコンテナ収納空間との間で移載されるようになっている。コンテナ1の移載方向前後の壁面には第1の係合部3と第2の係合部5が、いずれも下方が開放した鉤形に形成されている。第1の係合部3はコンテナ1を正面から見て左右両側下部に1個ずつ合計2個形成され、第2の係合部5はコンテナ1を正面から見て左右方向中央部に1個比較的幅広に形成されている。第2の係合部5は第1の係合部3よりも高い位置にある。このようなコンテナ1は樹脂の一体成形によって作製することができる。第1の係合部3には、後述の第1の荷移載装置10の爪20が係合し、第2の係合部5には、第2の荷移載装置40の爪52が係合する。
【0020】
上記のように構成されているコンテナ1が収納される立体倉庫のコンテナ収納空間は、コンテナの出し入れ口に正対したときの前後方向を奥行き方向としたとき、奥行き方向に2個のコンテナを並べて収納することができるようになっている。すなわち、手前側と奥側にそれぞれコンテナを収納することができる。以下、立体倉庫の例についてその概略を説明する。
【0021】
図19ないし図21において、符号100はコンテナ1の保管棚からなる立体倉庫を示す。立体倉庫100は、所定の間隔をあけて立てられた複数の支柱101と、複数の支柱101にまたがって水平方向に連結された横断面形状L字形の荷受部材97を有してなる。隣接して相対向する一対の支柱101とこれらの支柱101の対向面の同じ高さ位置に連結されている一対の荷受部材97によって一つのコンテナ収納空間が形成されている。一つの立体倉庫100には多数のコンテナ収納空間が形成されていて、上記一対の荷受部材97によってコンテナ1の左右両側の底面を支えることにより、各コンテナ収納空間にコンテナ1を収納することができるようになっている。荷受部材97の前端部は、後述の荷移載装置120との間でコンテナ1の授受を行う荷受部98となっている。
【0022】
図示の例では、二つの立体倉庫100が一定の間隔をあけて並列的に設置されていて、二つの立体倉庫100相互の空間はスタッカークレーン110が走行する通路になっている。スタッカークレーン110は、上記通路に敷設されたレールに沿って走行する台車を有し、この台車からは荷移載装置120の垂直方向の移動をガイドするガイド支柱111が立ち上がっている。スタッカークレーン110が上記レールに沿って走行し、荷移載装置120がガイド支柱111に沿って昇降することにより、荷移載装置120は任意に指定されたコンテナ収納空間の前まで移動して停止することができる。この停止位置で荷移載装置120は上記荷受部98との間でコンテナ1を授受し、また、コンテナ1を一対の荷受部材97の上でスライドさせながら上記コンテナ収納空間にコンテナ1を押し込み、また引き出すことができるようになっている。また、上記コンテナ収納空間は、スタッカークレーン110側から見て手前側および奥側に収納空間を有している。すなわち、一つにコンテナ収納空間に、二つのコンテナ1を手前側と奥側に収納することができる。このように、コンテナ収納空間の手前側または奥側とスタッカークレーン110との間でコンテナ1を移載するために、荷移載装置120は、後で詳細に説明する第1の移載装置10と第2の移載装置40を備えている。
【0023】
次に、上記コンテナ1および立体倉庫を用いるコンテナ入出庫装置の実施例について説明する。図1は、コンテナ入出庫装置の実施例をコンテナの入出庫方向から見た図で、コンテナ入出庫装置はスタッカークレーンの載置台に以下のように組み込まれている。スタッカークレーンの載置台に固定されている左右一対のベースフレーム6間には、仮想線で囲んで示す第1の荷移載装置10が組み付けられ、この第1の荷移載装置10に囲まれるようにして、別の仮想線で囲んで示す第2の荷移載装置40が組み付けられている。第1の荷移載装置10は前後端と上端が開放した枠形に形成された一対のフレーム80を左右に有している。これらのフレーム80は一体に結合され、一体化されたフレーム80は、左右一対のベースフレーム6に、左右一対の第1案内部材90および第1スライダ9を介して前後方向にスライド可能に連結されている。第1案内部材90はベースフレーム6に、第1スライダ9はフレーム80に固着されている。左右のフレーム80の外側壁上端には、水平方向左右に広がるようにしてコンテナ載置台7が固着されている。各コンテナ載置台7の外側方には、前記コンテナ1を移載するとき、コンテナ1をガイドするコンテナガイド8が立ち上がっている。
【0024】
上記第1の荷移載装置10の構成を詳細に説明する。図1、図4および図10において、各フレーム80の内方の側壁を貫通して駆動軸11が軸受により回転可能に支持され、駆動軸11の両端部にはスプロケット12,12が固着されている。図10に示すように、駆動軸11から一定距離をおいて駆動軸11と平行に回転軸17が支持されている。回転軸17も駆動軸11と同様に上記各フレーム80の内方の側壁を貫いて軸受けにより回転可能に支持されている。回転軸17の両端部には、上記スプロケット12,12と同径のスプロケット14,14が固着されている。
【0025】
駆動軸11は、図4に示すような動力伝達機構を介して動力が伝達され、正逆回転駆動されるようになっている。図4において、駆動軸11の下方にはモータ19が取り付けられ、モータ19の出力軸に固着されているスプロケット21と駆動軸11に固着されているスプロケット23にチェーン29が掛けられている。したがって、モータ19の回転力がスプロケット21、チェーン29、スプロケット23を介して回転軸11に伝達され、回転軸11およびこれと一体のスプロケット12,12が正逆回転駆動される。図10について説明したように、前後のスプロケット12,14が対をなし、この対をなすスプロケットが2対、左右に配置されている。左右に配置されて前後に対をなしているスプロケット12,14間にはそれぞれチェーン15,15が掛けられている。したがって、左右に対をなすチェーン15,15は同期してスプロケット12,14間を直線移動し、かつ、スプロケット12,14の位置ではスプロケット12,14の円弧に沿い円弧を描きながら移動する。
【0026】
一対のチェーン15,15にはそれぞれ、チェーン15,15が重なる方向すなわち側面方向から見て同じ位置にピン18,18が取り付けられている。ピン18,18は、後で詳細に説明する爪20,20の下端部に連結され、それぞれのチェーン15と爪20がピン20を中心に相対回転可能に連結されている。
【0027】
図1に示すように、各爪20の外側面にはスライダ22が縦方向に向けて取り付けられている。各スライダ22は縦方向に固定された案内部材23に沿って自由に移動可能に嵌められていて、各スライダ22とともに各爪20も上下方向に移動可能となっている。図10にも示すように、各案内部材23にはまた、スライダ22とは反対側の面に第2スライダ24が水平方向に向けて取り付けられている。各スライダ24は、前記各フレーム80の外側壁の内面に水平方向に固定された第2案内部材25に沿って水平に自由に移動可能に嵌められている。各スライダ24が水平方向に移動するのに伴って各爪20も水平方向に移動することができる。
【0028】
このようにして、各爪20は上下方向にも水平方向にも移動可能であり、その移動軌跡は、それぞれのピン18,18の移動軌跡と同じになる。ピン18,18の移動軌跡は、前後のスプロケット12,14間に掛け渡されているチェーン15の掛け渡し形態と同じであるから、「水平移動→一方のスプロケットに沿って半円弧を描きながら移動→水平移動→他方のスプロケットに沿って半円弧を描きながら移動」、となる。各爪20の駆動源は一つのモータであり、このモータを正逆回転駆動すると、各ピン18,18がスプロケット12,14間の上側にあるときは各爪20が上昇した位置にあって水平方向前後に移動する。各ピン18,18がスプロケット12,14間の下側にあるときは各爪20が下降した位置にあって水平方向前後に移動する。各チェーン15,15とともにピン18,18がスプロケット12,14の円弧に沿って移動しているときは、各爪20もスプロケット12,14の円弧に沿って上下方向に移動する。ただし、各爪20は各スライダ22と各案内部材23によって常時垂直方向を向いた姿勢を保っている。
【0029】
各爪20は、上下方向に長く、上半部が二股に分かれたフォーク状に形成されている。各爪20は、上記のようにして上昇した位置にあるときは、フォーク状上半部が前記コンテナ載置台7、7の上面よりも上に突出し、前記コンテナ1の前後壁面の左右に形成されている第1の係合部3にそれぞれ係合することができる。各爪20が下降した位置にあるときは、各爪20全体がコンテナ載置台7、7の上面から下方に引っ込み、コンテナ1の第1の係合部3から離間するようになっている。なお、爪20の駆動機構は第1の荷移載装置10の左右両側に配置されているが、図10では片側の爪20の駆動機構のみを示している。
なお、各チェーン15,15は、これを適宜の紐状部材、例えば、ベルト、歯付ベルト、ロープ、ワイヤなどで代替してもよい。
【0030】
次に、前記第2の荷移載装置40の構成を詳細に説明する。図1、図2に示すように、第2の荷移載装置40は、下段フレーム41、中段フレーム42、上段フレーム43を備えている。下段フレーム41は前記各フレーム80と実質一体に設けられていて、前後端が開放し、左右両側に立ち上がった側壁44を有している。この両側壁44の内面側には第3案内部材45が水平方向前後に向けて固着され、第3案内部材45に沿って移動可能に第3スライダ46が嵌められている。
【0031】
中段フレーム42も前後端が開放し、左右両側に立ち上がった側壁48を備え、各側壁48の外側面には第4案内部材47が水平方向前後に向けて固着されている。各第4案内部材47は第3スライダ46に嵌められ、中段フレーム42とともに第3スライダ46に沿って水平方向前後に移動可能となっている。中段フレーム42の両側壁48の内面側には第5案内部材49が水平方向前後に向けて固着され、第5案内部材49には第4スライダ50が嵌められ、スライダ50は第5案内部材49に沿って水平方向前後に移動可能となっている。
【0032】
上段フレーム43は平板状の部材で、左右両側縁部から下方に垂下した側壁を有し、各側壁の外側面に第6案内部材51が水平方向前後に向けて固着されている。各案内部材51には上記第4スライダ50が嵌められ、上段フレーム43は第4スライダ50によって案内部材51とともにガイドされて、中段フレーム42に対し水平方向前後に移動可能になっている。上段フレーム43の前後両端の左右には、前記コンテナ1の第2の係合部5に係合することができる爪52が一体的に取り付けられている。
【0033】
下段フレーム41、中段フレーム42、上段フレーム43は、以上説明したように、案内部材とスライダの介在によって互いに前後方向に移動することができる。各案内部材は直線のレール状の部材で、各スライダは上記案内部材に沿ってなるべく抵抗なく移動できるものであればよい。また、下段フレーム41と中段フレーム42の間、中段フレーム42と上段フレーム43の間では、各フレームにそれぞれ固着された二つの案内部材が一つのスライダに嵌合して、各フレーム相互を相対移動可能に連結している。換言すれば、下段フレーム41と中段フレーム42の間、中段フレーム42と上段フレーム43の間には、一つのスライダとこのスライダの両側に嵌合する二つの案内部材が介在している。
【0034】
図7、図8は、上記各フレーム41、42、43間に介在するスライダ46、50の構成をより具体的に示す。第3スライダ46は、スライドユニット保持板53と、このスライドユニット保持板53の一面側に固着された2個一対のスライドユニット54と、スライドユニット保持板53の他面側に固着された2個一対のスライドユニット55を有してなる。
第4スライダ50は、スライドユニット保持板56と、このスライドユニット保持板56の一面側に固着された2個一対のスライドユニット57と、スライドユニット保持板56の他面側に固着された2個一対のスライドユニット58を有してなる。
【0035】
上記2個のスライドユニット54が前記第3案内部材45に嵌まり、上記2個のスライドユニット55が前記第4案内部材47に嵌まっている。また、上記2個のスライドユニット57が前記第5案内部材49に嵌まり、上記2個のスライドユニット58が前記第6案内部材51に嵌まっている。
この実施例では、スライドユニット54、55、57、58として、案内部材に沿って移動する上記スライドユニット内に複数個のボールベアリングを封入し、ボールベアリングが案内部材に接触しながらスライドユニット内を循環するようにした「直動案内」と称する部品を使用している。したがって、各スライドユニットは、その内部でボールベアリングが循環することにより、案内部材との間で円滑に相対移動することができるようになっている。また、本実施例で使用されているスライダは、上記のようなスライドユニット保持板とスライドユニットで構成されたものと同じに構成されているものとする。
【0036】
次に、上記のようにして互いに相対移動可能に支持されている下段、中段、上段の各フレーム41、42、43の3段伸縮駆動機構について説明する。図11乃至図13において、下段フレーム41の前後方向一端側の下方には第2移載装置駆動モータ60が取り付けられている。このモータ60の出力軸に固着されたスプロケット62と、その上方に回転可能に取り付けられたスプロケット63にチェーン62が掛けられている。また、下段フレーム41の前後方向中央部の下方にはスプロケット65が回転可能に取り付けられていて、このスプロケット65と上記スプロケット63にチェーン64が掛けられている。スプロケット65と一体にピニオン66が固着され、ピニオン66はピニオン67と噛み合い、ピニオン67は中段フレーム42の下面に前後方向に形成されているラック69と噛み合っている。したがって、モータ60の回転力は、上記スプロケット、チェーン、ピニオンを介してピニオン67に伝達され、ピニオン67の回転力がラック69に伝達されて、中段フレーム42が前後方向に移動するようになっている。
【0037】
中段フレーム42には、前後方向の一端部下面側にチェーン固定部材71が固定され、このチェーン固定部材71にはチェーン73の一端が固定されている。中段フレーム42の前後方向他端部上面側には左右方向の水平軸を中心として回転可能にスプロケット72が取り付けられている。上記チェーン73がスプロケット72を下側から上側に向かって掛けられて半円を描きながら折り返され、チェーン73の他端は上段フレーム43の一端部に固定されたチェーン固定部材74に固定されている。
【0038】
いま、前記モータ60が駆動され、スプロケット61、チェーン62、スプロケット63、チェーン64、スプロケット65を介してピニオン66が回転駆動され、この回転力がラック69に伝達されて中段フレーム42が図11において左に向かって移動したとする。図12、図13はこの中段フレーム42の左方への移動の様子を示している。中段フレーム42と上段フレーム43は、中段フレーム42に取り付けられたスプロケット72で折り返されたチェーン73で連結されているため、中段フレーム42が左方に移動すると、上段フレーム43はチェーン73に引っ張られて、中段フレーム42の移動量の2倍の移動量で左方に向かい移動する。これら中段フレーム42、上段フレーム43の移動は、前記案内部材とスライダの嵌まり合いによって構成されている直動案内により円滑に行われる。
【0039】
左方に移動した上段フレーム43と中段フレーム42を原位置に戻し、あるいは原位置から図11において右方に向かって移動させるためには、上記モータ60を逆転させ、中段フレーム42を右方に移動させる。ただし、上記チェーン73、スプロケット72は、上段フレーム43を左方に引っ張る場合に有効なものであって、上段フレーム43を右方に引っ張るには上記チェーン73、スプロケット72とは別のチェーンとスプロケットを設ける必要がある。図11ないし図13において符号71Aおよび74Aで示すチェーン固定部材、符号72Aで示すスプロケット、符号73Aで示すチェーンがそれである。上記チェーン73Aは、中段フレーム42がピニオン67とラック69によって右方に向かって移動させられるとき、上段フレーム43を右方に引っ張り、中段フレーム42の移動量の2倍の移動量で上段フレーム43を移動させる。
【0040】
各スライダ46、50は、下段、中段、上段の各フレーム41、42、43間に介在していて、各案内部材に沿って自由に移動可能になっている。しかし、移動可能な範囲で任意の位置をとり得るものとすれば、中段フレーム42および上段フレーム43から下段フレーム41に加わる重量のバランス配分が無秩序になり、第2の荷移載装置40が傾いて荷移載作業を円滑に行うことができなくなることがあり得る。そこで、スライダ46は、下段フレーム41と中段フレーム42が重なる範囲の中心位置に常時位置するように、また、スライダ50は中段フレーム42と上段フレーム43が重なる範囲の中心位置に常時位置するように、引っ張りコイルばねによって付勢されている。図6にコイルばねによる中段フレーム42と上段フレーム43の付勢の様子を示している。
【0041】
図6において、符号75A、75Bは、下段フレーム41と中段フレーム42の間に介在する第2スライダ46を付勢するための一対の引っ張りコイルばねを示している。符号76A、76Bは、中段フレーム42と上段フレーム43の間に介在する第4スライダ50を付勢するための一対の引っ張りコイルばねを示している。コイルばね75Aは中段フレーム42の左右両側に配置され、コイルばね75Bも中段フレーム42の左右両側に配置されている。コイルばね76Aは上段フレーム43の左右両側に配置され、コイルばね76Bも上段フレーム43の左右両側に配置されている。図6において、一対のコイルばね75Aは、それぞれ一端が下段フレーム41の前後方向一端部に固定されたばね掛け411に掛けられ、他端は前記スライドユニット保持板53の前後方向他端部に設けられているばね掛け532に掛けられている。一対のコイルばね75Bは、それぞれ一端が中段フレーム42の前後方向他端部に固定されたばね掛け412に掛けられ、一端は上記スライドユニット保持板53の前後方向一端部に設けられているばね掛け531に掛けられている。したがって、中段フレーム42は、コイルばね75Aとコイルばね75Bによって下段フレーム41に対し互いに逆向きに付勢されている。
【0042】
上段フレーム43の左右両側にあって中段フレーム42に対して上段フレーム43を付勢する2対の引っ張りコイルばね76A、76Bも、以下のように上記引っ張りコイルばね75A、75Bと同様に配置されている。図6において、一対のコイルばね76Aは、それぞれ一端が中段フレーム42の前後方向一端部に固定されたばね掛け421に掛けられ、他端は前記スライドユニット保持板56の前後方向他端部に設けられているばね掛け562に掛けられている。一対のコイルばね76Bは、それぞれ一端が上段フレーム43の前後方向他端部に固定されたばね掛け422に掛けられ、一端は上記スライドユニット保持板56の前後方向一端部に設けられているばね掛け561に掛けられている。したがって、上段フレーム43は、コイルばね76Aとコイルばね76Bによって中段フレーム42に対し互いに逆向きに付勢されている。
【0043】
引っ張りコイルばね75A、75Bは太さと長さが同じであり、引っ張りコイルばね76A、76Bも太さと長さが同じである。したがって、中段フレーム42に外力が加わらない状態では、図6(a)に示すように、コイルばね75A、75Bが、中段フレーム42をその前後方向中心位置が下段フレーム41の前後方向中心位置に合致するように付勢する。すなわち、コイルばね75A、75Bの付勢力がバランスして下段フレーム41に対し中段フレーム42が中立位置を取る。同様に、上段フレーム43に外力が加わらない状態では、コイルばね76A、76Bが、上段フレーム43を、その前後方向中心位置が中段フレーム42の前後方向中心位置に合致するように付勢する。すなわち、コイルばね76A、76Bの付勢力がバランスして中段フレーム42に対し上段フレーム43が中立位置を取る。
【0044】
中段フレーム42に外力が加わらない状態では、上段フレーム43にも外力が加わらない状態であり、荷移載動作をしない平常時は、中段フレーム42と上段フレーム43は下段フレーム41に対し図6(a)に示す中立位置を保持している。この中立位置では、中段フレーム42の左右両側において、下段フレーム41と中段フレーム42が重なる範囲の中央に第3スライダ46が位置し、また、上段フレーム43の左右両側において、中段フレーム42と上段フレーム43が重なる範囲の中央に第4スライダ50が位置する。したがって、後で説明する上段フレーム43上に前記コンテナ1が移載された状態では、第3スライダ46を構成する前後のスライドユニット54およびスライドユニット55にほぼ均等に荷重がかかり、第4スライダ50を構成する前後のスライドユニット57およびスライドユニット58にほぼ均等に荷重がかかる。
【0045】
図6(b)は、図11ないし図13について説明した3段伸縮駆動機構によって、中段、上段の各フレーム42、43が下段フレーム41に対し前後方向一方側に最大限伸張した状態を示している。図6(a)に示す位置を原位置とすると、この原位置から図6(b)に示す最大伸張位置までの下段フレーム41に対する中段フレーム42の移動量に対し、下段フレーム41に対する上段フレーム43の移動量は2倍になる。その間、下段フレーム41に対する中段フレーム42の重なり量および中段フレーム42に対する上段フレーム43の重なり量が連続的に減少する。
【0046】
この間、中段フレーム42は、その左右両側に配置されているコイルばね75Aの付勢力に抗して移動するため、コイルばね75Aを伸張させながらさらに付勢する。一方、コイルばね75Bは収縮し、その付勢力は弱まる。このような一対のコイルばね75A、75Bによる付勢力の配分によって、第3スライダ46は下段フレーム41と中段フレーム42が重なる範囲の中央に常時位置し、第3スライダ46を構成する前後のスライドユニット54およびスライドユニット55に常時ほぼ均等に荷重がかかる。
【0047】
同様に、上段フレーム43は、その左右両側に配置されているコイルばね76Aの付勢力に抗して移動するため、コイルばね76Aを伸張させながらさらに付勢する。一方、コイルばね76Bは収縮し、その付勢力は弱まる。このような一対のコイルばね76A、76Bによる付勢力の配分によって、第4スライダ50は中段フレーム42と上段フレーム43が重なる範囲の中央に常時位置し、第4スライダ50を構成する前後のスライドユニット57およびスライドユニット58に常時ほぼ均等に荷重がかかる。
【0048】
図6(b)は、中段と上段のフレーム42、43が前後方向一方側に移動する場合を示しているが、中段と上段のフレーム42、43が前後方向他方側に移動する場合も同様に動作する。ただし、コイルばね75A、75Bの伸張、収縮関係、コイルばね76A、76Bの伸張、収縮関係が逆になる。
【0049】
上段フレーム43の前後両端に設けられている爪52は、コンテナ1の第2係合部5に係合してコンテナ1を立体倉庫のコンテナ収納空間から引き出し、またコンテナ収納区間に押し込むためのものである。上記爪52をコンテナ1の係合部5に係合させるために、第2の荷移載装置40を上下動させるための機構を備えている。そこで次に、第2の荷移載装置40の上下移動機構について説明する。図9において、第2の荷移載装置40を構成する下段フレーム41の下方には、モータ81の回転力を伝達する歯車機構82が配置されていて、歯車機構82の出力軸にはスプロケット83が取り付けられている。スプロケット83の上方には別のスプロケット84が配置され、スプロケット83とスプロケット84にチェーン85が掛けられ、モータ81の回転駆動力がスプロケット84に伝達されるようになっている。スプロケット84と一体にピニオン86が設けられており、ピニオン86は下段フレーム41の底面から一体に垂下したラック87と噛み合っている。下段フレーム41の底面の左右両側から側壁88が一体に垂下していて、この両側壁88の各外側面にはスライダ89が上下方向に向けて固着されている。スライダ89は、上下方向に向けて固定された案内部材91に嵌まり、下段、中段、上段フレーム41、42、43を備えてなる上記第2の荷移載装置40とともに上下方向に移動可能となっている。
【0050】
モータ81を駆動して第2の荷移載装置40を上昇させると、上記爪52をコンテナ1の第2係合部5に係合させることができ、この状態で前記モータ60を回転駆動して第2の荷移載装置40を作動させることにより、コンテナ1を立体倉庫のコンテナ収納空間から引き出すことができ、またコンテナ収納区間に押し込むことができる。このコンテナ引き出し動作または押し込み動作が終了すると、上記モータ81が逆向きに回転駆動され、第2の荷移載装置40が下降して、コンテナ1の係合部5と爪52の係合が外れる。
【0051】
コンテナ入出庫装置は、例えば前記スタッカークレーン110(図19参照)によって立体倉庫100のコンテナ収納空間の前方を立て方向にも横方向にも自由に移動することができるように、コンテナ収納空間との間に適宜の間隔が保たれていなければならない。したがって、コンテナ入出庫装置が所定のコンテナ収納空間に正対しただけでは、コンテナ1の係合部3に爪52を係合させることはできず、コンテナ入出庫装置をコンテナ収納空間に接近させた状態でコンテナ入出庫装置を作動させる必要がある。図1について説明した前記第1案内部材90、第1スライダ9は、そのためのスライド機構を構成しており、図5はこのスライド機構の駆動機構を示している。図5において、前記一対のフレーム80の各外側壁801の外側面には第1案内部材90が固着され、これらの第1案内部材90は前記ベースフレーム6に固着されたスライダ9に嵌まっている。フレーム80の下方において、ベースフレーム6と実質一体にモータ93が取り付けられ、モータ93の出力軸に一体に設けられたピニオン94が、フレーム80の下面側に実質一体に固着されたラック95と噛み合っている。ラック95は比較的短く、前後方向(図5では左右方向)に向けて取り付けられている。モータ93が正逆回転駆動されることにより、ピニオン94とラック95を介してフレーム80が前後にスライドし、フレーム80に構築された第1の荷移載装置10および第1の荷移載装置40も前後にスライドするようになっている。
【0052】
次に、コンテナ入出庫装置の実施例の一連の動作について図15ないし図18を併せて参照しながら説明する。図15(a)は、スタッカークレーンが指令に従い動作して、第1の荷移載装置10と第2の荷移載装置40を備えたコンテナ入出庫装置を有する載置台が、所定のコンテナ収納空間に対する入出庫位置に移動した状態を示している。コンテナ1は、立体倉庫を構成する荷受部材97上に載せて収納される。前述のとおり、荷受部材97の上には、二つのコンテナ1を載置して手前側と奥側に収納することができる。荷受部材97の前端部は荷受部98となっている。図15(a)に示す状態では上記コンテナ収納空間の奥側にコンテナ1が収納されている。ここでは、上記コンテナ1を取り出す動作を想定する。まず、図15(b)に示すように、コンテナ入出庫装置を水平方向に僅かに移動させて荷受部材97の荷受部98に接近させる。このコンテナ入出庫装置の移動は、図5に示すスライド機構およびその駆動機構によって行われる。
【0053】
次に、図9に示す第2の荷移載装置40の上下移動機構を作動させ、図15(c)に示すように、第2の荷移載装置40を僅かに上昇させる。さらに、図11ないし図13に示す第2の荷移載装置40の駆動装置を作動させ、図15(d)に示すように、中段フレーム42および上段フレーム43を最大に伸張させる。この状態で、上段フレーム43に設けられている爪52が上記コンテナ1の前端側の第2係合部5の下方に位置するので、次に、第2の荷移載装置40の上下移動機構を作動させて、図15(e)に示すように第2の荷移載装置40をさらに上昇させる。この動作で、上記爪52は、コンテナ1の左右の第1係合部3の間をすり抜けるようにして第2の係合部5に係合する。
【0054】
次に、図13に示す第2の荷移載装置40の駆動装置を逆向きに作動させ、図16(a)に示すように、第2の荷移載装置40を構成する中段フレーム42および上段フレーム43を原位置まで収縮させる。この収縮動作で爪52によりコンテナ1がコンテナ入出庫装置側に向かって引き寄せられる。次に、図16(b)に示すように、第2の荷移載装置40を下降させて上記爪52と第2係合部5との係合を解除し、図4に示す駆動機構を起動させて第1の荷移載装置10を作動させる。ここでは、第1の荷移載装置10の爪20が図16(b)において左から右に向かって移動するように図4に示すモータ19を駆動する。この駆動により、爪20をチェーン15に連結するピン18(図4参照)がスプロケット12に沿い円弧を描きながら上昇するとき上記爪20が上昇してコンテナ1の係合部3に係合する。さらにモータ19が駆動されてチェーン15とともに爪20がスプロケット12、14間を移動することによりコンテナ1がコンテナ入出庫装置に引き込まれ、図1に示すコンテナ載置台7上に載る。爪20は左右にあってコンテナ1の左右の第1係合部3に係合し、かつ、同期して移動するため、第1の荷移載装置10によるコンテナ1の移載は、コンテナ1の姿勢が崩れることなくバランスよく行われる。
【0055】
図16(c)に示すように、コンテナ1がコンテナ載置台7の中心位置まで引き込まれると、上記爪20がスプロケット14の円弧に沿い円弧を描きながら下降し、爪20とコンテナ1の係合部3との係合が外れ、第1の荷移載装置10による移載動作が終わる。次に、図5に示すスライド機構およびその駆動機構を駆動し、コンテナ入出庫装置を、図16(d)に示すように、荷受部98から所定距離離間させる。コンテナ入出庫装置を荷受部98から所定距離離間させた状態でスタッカークレーンを作動させ、コンテナ入出庫装置を任意の位置に移動させることができる。
【0056】
次に、コンテナ入出庫装置に載せられているコンテナ1を所定の収納空間に収納する場合すなわち入庫動作について説明する。入庫動作は、収納空間からコンテナ1を出庫する場合の動作とほぼ同じである。まず、図17(a)に示すように、コンテナ1を載せたコンテナ入出庫装置を所定の収納空間に対応する位置まで移動させ、図17(b)に示すように、コンテナ入出庫装置を荷受部98に接近させる。次に、第1の荷移載装置10を起動させる。入庫の場合、出庫時とは逆向きに起動する。図17(c)に示すように、第1の荷移載装置10の左右一対の爪20が右側の端部から上昇してコンテナ1の一対の第1係合部3にそれぞれ係合し、引き続き第1の荷移載装置10が駆動されて爪20が右側から左に向かって移動する。この爪20の移動によって、コンテナ1が押されてコンテナ載置台7から荷受部98に移載され、さらに荷受部材97の上に押し込まれる。図17(d)は、第1の荷移載装置10によるコンテナ1押し込み限界位置にあり、爪20がスプロケット12の円弧に沿って下降し、コンテナ1の係合部3から外れた状態を示している。次に、図17(e)に示すように、第2の荷移載装置40によってコンテナ1を押し込むために第2の荷移載装置40を上昇させ、上段フレーム43の爪52をコンテナ1の第2係合部5に係合させる。
【0057】
上記のように爪52がコンテナ1の第2係合部5に係合した状態で、第2の荷移載装置40を作動させ、図18(a)に示すように、下段フレーム41に対し中段、上段フレーム42、43を伸張させる。この第2の荷移載装置40の作動によりコンテナ1が上記爪52によって収納空間の奥の方に向かって押される。図18に示す例では、コンテナ収納空間の奥側にコンテナ1を収納する例になっているが、奥側にすでにコンテナ1が収納されている場合は、手前側の収納空間に収納される。奥側にコンテナ1が収納されているか否かは予めわかっており、コンテナ1を奥側に収納するかまたは手前側に収納するかは、奥側にコンテナ1が収納されているか否かによって決まる。コンテナ1を奥側に収納する場合は、第2の荷移載装置40を最大ストローク作動させ、手前側に収納する場合はそれに応じた短いストローク作動させる。
【0058】
コンテナ1が収納空間の所定位置に収納されると第2の荷移載装置40を図18(b)に示すように下降させ、さらに、図18(d)に示すように原位置まで収縮させる。また、図18(d)に示すようにコンテナ入出庫装置を荷受部98から後退させ、スタッカークレーンおよびその載置台が任意の位置に移動可能な状態にする。
【0059】
図15ないし図18は、収納空間の奥側からコンテナを出庫し、また、奥側に入庫する場合を示しているが、収納空間の手前側からコンテナを出庫し、また、手前側に入庫する場合もほぼ同じであり、第2移載装置の駆動ストロークが短くなる点が異なる。また、図15ないし図18は、移載装置から左側の収納空間にコンテナ1を入出庫する場合を示しているが、右側の収納空間にコンテナを入出庫する場合もほぼ同様である。この場合、第1、第2移載装置10、40の駆動の向きが異なるのみである。図示のコンテナ1は図書を収納する場合を想定して描いているが、コンテナ1に収納する物品は任意である。
【0060】
図示の実施例では、第2の移載装置40が3段のフレーム構成になっていたが、フレームの段数は任意で、複数のフレームが多段階に伸縮する多段階フレームになっていればよい。その場合、コンテナ1の係合部に係合する爪は、最上段のフレームに設けられる。また、各フレーム相互間に直動案内が介在することになる。
【0061】
以上説明した実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
爪の平行移動方式である第1の移載装置10と多段伸縮式である第2の移載装置40とを組み合わせ、第1の移載装置10では立体倉庫のコンテナ収納空間におけるコンテナ1のスライド移動を、第2の移載装置40ではコンテナ収納空間とコンテナ入出庫装置との間のコンテナ1の移載動作を行わせるようにした。これにより、移載装置全体の移動ストロークを十分長く確保することができる。また、コンテナ1の移載ストロークを第1、第2の移載装置10,40に分担させることができるため、それぞれの移載装置の動作ストロークを短くして、移載装置全体としてコンパクト化を実現することができる。
第1の移載装置10は、コンテナ1の左右両側で爪20を同期させて移動させながらコンテナ1の左右両側を引っ張り、また押してコンテナ1を移動させるため、コンテナ1を、その姿勢を崩すことなく円滑に移載することができる。
【0062】
第2の移載装置40を構成する下段、中段、上段の各フレーム41、42、43相互間には、左右対称に案内部材とスライダからなる直動案内が配置されて互いに相対移動可能に連結されているため、相対移動が軽快かつ円滑に行われる。
また、下段、中段、上段の各フレーム41、42、43を相対移動させる上記各直動案内は、フレーム42、43の移動方向両側からコイルばねによって付勢され、下段フレーム41と中段フレーム42の重なり範囲の中央、中段フレーム42と上段フレーム43の重なり範囲の中央に常に位置するようになっているため、上記各フレームにかかる重量のアンバランスを軽減することができ、フレーム41に対するフレーム42、43の収縮時と伸張時のフレーム先端部の段差を少なくすることができる。
【0063】
第2の移載装置40を構成する複数段階のフレーム相互間に直動案内が介在し、複数段階のフレーム同士が上記直動案内により荷重支持点を変化させることなく相対移動可能に連結されているため、各フレームがスムーズに伸縮し、コンテナ入出庫装置としての性能を安定して発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係るコンテナ入出庫装置は、図書館における蔵書の自動出納装置、商品や部品をコンテナ単位で管理する保管倉庫におけるコンテナ入出庫装置などとして利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 コンテナ
3 係合部
7 コンテナ載置台
9 第1スライダ
10 第1の荷移載装置
11 駆動軸
20 爪
25 第2案内部材
40 第2の荷移載装置
41 下段フレーム
42 中段フレーム
43 上段フレーム
45 第3案内部材
46 第3スライダ
47 第4案内部材
49 第5案内部材
50 第4スライダ
51 第6案内部材
52 爪
53 スライドユニット保持板
54 スライドユニット
55 スライドユニット
56 スライドユニット保持板
57 スライドユニット
58 スライドユニット
90 第1案内部材
97 荷受部材
100 立体倉庫
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移載方向前後の壁面に、下方に開放した鉤型の第1の係合部およびこの第1の係合部よりも高い位置に第2の係合部を有しているコンテナを使用し、複数のコンテナを収納する収納空間を有し、上記収納空間との間でコンテナを移載することができるコンテナ移載装置を有してなるコンテナ入出庫装置において、
上記移載装置は、
対をなすスプロケット、このスプロケット間に掛け渡された紐状部材、この紐状部材に連結されることにより対をなす上記スプロケット間では水平方向に平行移動するとともに上記スプロケットの位置ではスプロケットの円弧に沿って上下動してコンテナの第1の係合部に係合することができる第1の爪、を有する第1の移載装置と、
複数のフレームが多段階に伸縮する多段階フレームを有するとともに上記コンテナの第2の係合部に係合することができる第2の爪を有していて、上記多段階フレーム相互間にスライダとこのスライダが嵌まる案内部材を有してなる直動案内が介在し、上記多段階フレーム同士が上記直動案内により荷重支持点を変化させることなく相対移動可能に連結されている第2の移載装置と、を備え、
上記第1の移載装置は、立体倉庫のコンテナ収納空間とクレーンのコンテナ載置台との間でのコンテナの移載装置であり、
上記第2の移載装置は、上記コンテナ収納空間におけるコンテナ収納位置と上記コンテナ載置台への受け渡し位置との間でのコンテナの移載装置である、コンテナ入出庫装置。
【請求項2】
第1の移載装置は、コンテナが左右に対をなして備えている第1の係合部に係合することができる左右一対の第1の爪と、この一対の第1の爪を移動させるために前後に対をなして左右に配置されたスプロケットと、前後において対をなす上記スプロケット間に架け渡された紐状部材を備えている請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項3】
多段フレームの最上段フレームは移動方向の端部に爪を有し、この爪は、コンテナが左右に備えている第1の係合部に対し左右方向中間でありかつ第1の係合部よりも上に形成されている第2の係合部に係合する請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項4】
それぞれの直動案内は、各段フレーム相互間の左右両側に配置されている請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項5】
それぞれの直動案内のスライダは、スライドユニット保持板と、このスライドユニット保持板に保持された複数のスライドユニットを有してなり、一つの案内部材に複数のスライドユニットが嵌まり合っている請求項1、3または4記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項6】
それぞれの直動案内のスライドユニット保持板は、その移動方向両端部にそれぞれ引っ張りコイルばねが連結され、これら引っ張りコイルばねによる付勢力がバランスする位置をとる請求項5記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項7】
コンテナを立体倉庫のコンテナ収納空間との間で移載するときコンテナ入出庫装置が組み込まれた載置台をコンテナ収納空間に接近させるスライド機構を備えている請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項8】
コンテナを立体倉庫のコンテナ収納空間との間で移載するとき上段フレームの爪をコンテナの第2の係合部に係合させるために第2の移載装置を上下に移動させる上下移動機構を備えている請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項1】
移載方向前後の壁面に、下方に開放した鉤型の第1の係合部およびこの第1の係合部よりも高い位置に第2の係合部を有しているコンテナを使用し、複数のコンテナを収納する収納空間を有し、上記収納空間との間でコンテナを移載することができるコンテナ移載装置を有してなるコンテナ入出庫装置において、
上記移載装置は、
対をなすスプロケット、このスプロケット間に掛け渡された紐状部材、この紐状部材に連結されることにより対をなす上記スプロケット間では水平方向に平行移動するとともに上記スプロケットの位置ではスプロケットの円弧に沿って上下動してコンテナの第1の係合部に係合することができる第1の爪、を有する第1の移載装置と、
複数のフレームが多段階に伸縮する多段階フレームを有するとともに上記コンテナの第2の係合部に係合することができる第2の爪を有していて、上記多段階フレーム相互間にスライダとこのスライダが嵌まる案内部材を有してなる直動案内が介在し、上記多段階フレーム同士が上記直動案内により荷重支持点を変化させることなく相対移動可能に連結されている第2の移載装置と、を備え、
上記第1の移載装置は、立体倉庫のコンテナ収納空間とクレーンのコンテナ載置台との間でのコンテナの移載装置であり、
上記第2の移載装置は、上記コンテナ収納空間におけるコンテナ収納位置と上記コンテナ載置台への受け渡し位置との間でのコンテナの移載装置である、コンテナ入出庫装置。
【請求項2】
第1の移載装置は、コンテナが左右に対をなして備えている第1の係合部に係合することができる左右一対の第1の爪と、この一対の第1の爪を移動させるために前後に対をなして左右に配置されたスプロケットと、前後において対をなす上記スプロケット間に架け渡された紐状部材を備えている請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項3】
多段フレームの最上段フレームは移動方向の端部に爪を有し、この爪は、コンテナが左右に備えている第1の係合部に対し左右方向中間でありかつ第1の係合部よりも上に形成されている第2の係合部に係合する請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項4】
それぞれの直動案内は、各段フレーム相互間の左右両側に配置されている請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項5】
それぞれの直動案内のスライダは、スライドユニット保持板と、このスライドユニット保持板に保持された複数のスライドユニットを有してなり、一つの案内部材に複数のスライドユニットが嵌まり合っている請求項1、3または4記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項6】
それぞれの直動案内のスライドユニット保持板は、その移動方向両端部にそれぞれ引っ張りコイルばねが連結され、これら引っ張りコイルばねによる付勢力がバランスする位置をとる請求項5記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項7】
コンテナを立体倉庫のコンテナ収納空間との間で移載するときコンテナ入出庫装置が組み込まれた載置台をコンテナ収納空間に接近させるスライド機構を備えている請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【請求項8】
コンテナを立体倉庫のコンテナ収納空間との間で移載するとき上段フレームの爪をコンテナの第2の係合部に係合させるために第2の移載装置を上下に移動させる上下移動機構を備えている請求項1記載のコンテナ入出庫装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−20796(P2011−20796A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167455(P2009−167455)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000163833)金剛株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000163833)金剛株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
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