説明

コンテナ用冷凍装置

【課題】庫内への吹出空気の温度を適正な温度に制御する。
【解決手段】コンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(16)と再熱器(32)とを備え、コンテナ(C)の庫内から吸い込まれて蒸発器(25)において冷却除湿された空気を再熱器(32)において加熱する除湿動作が行われるものを対象としている。蒸発器(25)に吸い込まれる空気の温度を検知する吸込温度センサ(33)と、再熱器(32)で加熱された空気の温度を検知する吹出温度センサ(34)と、吹出温度センサ(34)の検知温度の値に基づいて除湿動作を制御する温度制御部(36)と、除湿動作において吸込温度センサ(33)の検知温度が吹出温度センサ(34)の検知温度よりも低くなった場合、吹出温度センサ(34)の検知温度の値を吸込温度センサ(33)の検知温度よりも低く補正する温度補正部(37)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用冷凍装置に関し、特に、除湿運転時の吹出温度制御に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海上輸送等に用いるコンテナ内を冷却するために、コンテナ用冷凍装置が用いられている。
【0003】
特許文献1に示されたコンテナ用冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、レシーバ、電子膨張弁および蒸発器が順次接続される冷媒回路を備えている。また、この冷媒回路には、蒸発器の風下側に位置する加熱用の熱交換器が設けられている。この熱交換器は、圧縮機の吐出ガス冷媒が流れるように構成されている。コンテナ用冷凍装置では、蒸発器において冷却して除湿された空気(吹出空気)を上記加熱用の熱交換器で加熱する除湿動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−63769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようなコンテナ用冷凍装置では、庫内幅方向に延びる吹出口から庫内へ吹出空気が吹き出される。そして、上記吹出口における一箇所に設けられた温度センサによって検知された吹出空気の検知温度に基づいて庫内の温度制御を行っている。
【0006】
しかしながら、上記除湿動作時に、蒸発器から吹き出される吹出空気を上記加熱用の熱交換器で加熱すると、庫内幅方向において吹出空気に温度ムラが生じてしまう。つまり、温度センサの検知温度が庫内温度に近くても、吹出空気の平均温度は低くなる場合がある。この場合、温度センサの検知温度に基づいて温度制御を行うと、平均すると温度センサの検知温度よりも低い温度の空気が吹き出され、その結果、積荷が低温障害を起こしてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、庫内への吹き出される空気の温度を適正な温度に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、圧縮機(21)と、凝縮器(23)と、膨張機構(76)と、蒸発器(25)とが順に接続された冷媒回路(16)と、該蒸発器(25)から流出した空気を加熱する加熱器(32)とを備え、コンテナ庫内から吸い込まれて上記蒸発器(25)において冷却除湿された空気を上記加熱器(32)において加熱する除湿動作が行われるコンテナ用冷凍装置であって、上記蒸発器(25)に吸い込まれる空気の温度を検知する吸込温度検知器(33)と、上記加熱器(32)で加熱された空気の温度を検知する吹出温度検知器(34)と、上記吹出温度検知器(34)の検知温度の値に基づいて上記除湿動作を制御する温度制御部(36)と、上記除湿動作において上記吸込温度検知器(33)の検知温度が上記吹出温度検知器(34)の検知温度よりも低くなった場合、上記吹出温度検知器(34)の検知温度の値を上記吸込温度検知器(33)の検知温度よりも低く補正する温度補正部(37)を備えている。
【0009】
上記第1の発明では、冷媒回路(16)において、圧縮機(21)から吐出した冷媒が凝縮器(23)で凝縮された後、膨張機構(76)で膨張し、蒸発器(25)で蒸発する。蒸発器(25)では冷媒とコンテナ(C)の庫内空気との間で熱交換され、該庫内空気が冷却される。吸込温度検知器(33)は、蒸発器(25)の吸込空気の温度を検知する。また、吹出温度検知器(34)は、加熱器(32)から吹き出された空気の温度を検知する。
【0010】
また、本発明に係るコンテナ用冷凍装置では、蒸発器(25)で冷却除湿された空気が、加熱器(32)で加熱される除湿動作が行われる。温度制御部(36)は、吹出温度検知器(34)の検知温度の値に基づいて除湿動作を制御している。温度補正部(37)は、除湿動作において、吸込温度検知器(33)の検知温度が吹出温度検知器(34)の検知温度よりも低くなると、吹出温度検知器(34)の検知温度の値を吸込温度検知器(33)の検知温度よりも低く補正する。こうすると、温度制御部(36)は、低く補正された検知温度の値に基づいて除湿動作を制御するため、冷却能力を抑えて制御を行う。このため、庫内幅方向において吹出空気の温度ムラが生じていても、該吹出温度が全体として上昇する。これにより、庫内の積荷への低温障害を確実に防止することができる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記温度補正部(37)は、上記吹出温度検知器(34)の検知温度を補正した後の除湿動作において、再び上記吸込温度検知器(33)の検知温度が上記吹出温度検知器(34)の検知温度よりも低くなった場合、上記吹出温度検知器(34)の検知温度の値を上記吸込温度検知器(33)の検知温度よりも低く補正するよう構成されている。
【0012】
上記第2の発明では、温度補正部(37)は、除湿動作において、吸込温度検知器(33)の検知温度が吹出温度検知器(34)の検知温度よりも低くなると、吹出温度検知器(34)の検知温度の値を吸込温度検知器(33)の検知温度よりも低く補正する。その後、さらに、吸込温度検知器(33)の検知温度が吹出温度検知器(34)の検知温度よりも低くなると、再び、吹出温度検知器(34)の検知温度の値を上記吸込温度検知器(33)の検知温度よりも低く補正する。このように、吹出温度の補正を繰り返すことで確実に低温障害を防止することができる。
【0013】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記温度補正部(37)は、上記除湿動作の前における上記吹出温度検知器(34)と上記吸込温度検知器(33)の検知温度差が大きくなるのに伴って上記吹出温度検知器(34)の検知温度の値の補正量を小さくする一方、上記検知温度差が小さくなるのに伴って該補正量を大きくするよう構成されている。
【0014】
上記第3の発明では、温度補正部(37)は、除湿動作前に吹出温度検知器(34)の検知温度と吸込温度検知器(33)の検知温度との差(検知温度差)が大きくなると、吹出温度検知器(34)の検知温度の値の補正量を小さくする。すなわち、吹出空気と吸込空気の検知温度差が大きいと、庫内空気の冷凍負荷が高いと推測されるため、庫内の冷却能力を確保する必要がある。このため、温度補正部(37)では、冷却能力を確保するために補正量を抑える。
【0015】
温度補正部(37)が補正量を抑えると、吹出温度検知器(34)の検知温度が高めに補正される。そして、温度制御部(36)は、高めに補正された検知温度の値に基づいて除湿動作を制御するため、冷却能力が大きくなる。このため、庫内の冷凍負荷が大きい状態において、冷却能力が不足することはない。
【0016】
一方、温度補正部(37)は、除湿動作前に吹出温度検知器(34)の検知温度と吸込温度検知器(33)の検知温度との差(検知温度差)が小さくなると、吹出温度検知器(34)の検知温度の値の補正量を大きくする。すなわち、吹出空気と吸込空気の検知温度差が小さいと、庫内空気の冷凍負荷が小さいと推測されるため、庫内の冷却能力を抑えるようにする。このため、温度補正部(37)では、冷却能力を抑えるべく、補正量を大きくする。
【0017】
温度補正部(37)が補正量を大きくすると、吹出温度検知器(34)の検知温度が低めに補正される。そして、温度制御部(36)は、低めに補正された検知温度の値に基づいて除湿動作を制御するため、冷却能力が抑えられる。このため、庫内の冷凍負荷が小さい状態において、庫内幅方向において吹出空気の温度ムラが生じていても、該吹出温度が全体として上昇する。これにより、庫内の積荷への低温障害を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
上記第1の発明によれば、吹出空気の検知温度と吸込空気の検知温度が逆転した場合に吹出空気の検知温度の値を低くなるように補正したため、除湿動作時の冷却能力を抑えることができる。このため、庫内へ吹き出される空気の温度を全体として上昇させることができる。これにより、庫内幅方向において吹出空気の温度ムラが生じていても、庫内の積荷への低温障害を確実に防止することができる。
【0019】
上記第2の発明によれば、一度補正した後に、再び吹出空気と吸込空気の検知温度が逆転した場合は再度、吹出空気の検知温度の値を低く補正したため、より確実に庫内の積荷への低温障害を防止することができる。
【0020】
ここで、冷却能力を所定以上抑制すると、圧縮機の圧力が下がって、除湿動作を停止するような場合が考えられる。
【0021】
ところが、本発明では、複数回補正をするため、一回の補正における補正量を抑えることができる。つまり、冷却能力の抑制を最低限に抑えることができるため、圧縮機(21)の急激な圧力低下などによって除湿動作を強制離脱するのを確実に防止することができる。
【0022】
上記第3の発明によれば、除湿動作前の吹出空気と吸込空気の検知温度差に応じて補正量を制御するようにしたため、庫内の冷凍負荷に応じて温度制御部(36)が制御を行うことができる。具体的には、除湿動作前の吸込空気と吹出空気の検知温度差が大きい場合、温度補正部(37)は補正量を抑えて冷却能力を確保することができる。一方、除湿動作前の吸込空気と吹出空気の検知温度差が小さい場合、温度補正部(37)は補正量を大きくして冷却能力を抑えることができる。こうすることで、庫内の冷凍負荷が大きい場合は、吹出温度検知器(34)の検知温度を高めに補正して冷却能力を高くすることができる一方、庫内の冷凍負荷が小さい場合は、吹出温度検知器(34)の検知温度を低めに補正して冷却能力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係るコンテナ用冷凍装置を庫外側から見た斜視図である。
【図2】実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【図3】実施形態に係るケーシングを庫内側から見たときの正面図である。
【図4】実施形態に係る冷媒回路を示す配管系統図である。
【図5】従来例に係る冷却動作時および除湿動作時の庫内幅方向における吹出温度を示すグラフである。
【図6】実施形態1に係る除湿動作時における吸込空気と吹出空気の温度の関係を示すグラフである。
【図7】実施形態2に係る除湿動作時における吸込空気と吹出空気の温度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
〈発明の実施形態1〉
図1〜図3に示すように、本実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(C)内の冷蔵又は冷凍を行うものである。コンテナ用冷凍装置(10)は、その側方の一端が開放された箱状のコンテナ(C)の開口端を塞ぐように配設される。また、コンテナ用冷凍装置(10)は、図4に示すように、冷媒回路(16)を備えている。すなわち、コンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(16)の冷凍サイクルを利用してコンテナ(C)の庫内の空気を冷却するように構成されている。尚、図示はしないが、コンテナ(C)の庫内には、冷却対象となる積荷が積まれている。
【0026】
−コンテナ用冷凍装置の構成−
図1及び図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、有底筒状に形成されたコンテナ(C)の開口端面を塞ぐように周縁部がコンテナ(C)に取り付けられるケーシング(11)を備えている。
【0027】
ケーシング(11)は、図2に示すように、庫外側に位置する庫外ケーシング(12)と、庫内側に位置する庫内ケーシング(13)とを備えている。庫外ケーシング(12)及び庫内ケーシング(13)は、金属製のアルミニウム合金によって構成されている。
【0028】
庫外ケーシング(12)は、コンテナ(C)の開口端面を塞ぐようにコンテナ(C)の開口部に取り付けられる。庫外ケーシング(12)は、下部が庫内側へ膨出するように形成されている。
【0029】
庫内ケーシング(13)は、庫外ケーシング(12)に沿うように形成されていて、庫外ケーシング(12)に対応して庫内側へ膨出している。庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)との間の空間には、断熱材(14)が設けられている。ケーシング(11)には、図1に示すように、その上側寄りの位置に開口する開口孔(27)が幅方向に並んで2つ配置されている。開口孔(27)には、メンテナンス時に開閉可能な開閉扉(28)が取り付けられている。また、ケーシング(11)の庫外収納空間(S1)内には、庫外ファン(24)と隣接する位置に電装品ボックス(29)が配設されている。
【0030】
このケーシング(11)の下部は、コンテナ(C)の庫内側に向かって膨出するように形成されていて、これにより、ケーシング(11)の下部の庫外には凹部(11a)が形成される。すなわち、ケーシング(11)の下部の庫外側には庫外収納空間(S1)が、ケーシング(11)の上部の庫内側には庫内収納空間(S2)が、それぞれ形成されている。
【0031】
ケーシング(11)の庫内側には、仕切板(48)が設けれている。仕切板(48)は、略矩形状の板部材に構成され、ケーシング(11)と対向するような姿勢で立設されている。この仕切板(48)によって、コンテナ(C)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。そして、仕切板(48)の上端とコンテナ(C)内の天井面との間には隙間が形成されている。この隙間がコンテナ(C)の庫内空気を庫内収納空間(S2)に取り込む吸込口(51)を構成している。また、仕切板(48)の下端とコンテナ(C)の底面との間には隙間が形成されている。この隙間がコンテナ用冷凍装置(10)で処理した空気(すなわち、庫内空気を冷却した空気)を庫内へ吹き出す吹出口(52)を構成している。
【0032】
上記庫外収納空間(S1)内には、圧縮機(21)、凝縮器(23)、庫外ファン(24)、庫外モータ(45)が設けられている。圧縮機(21)及び凝縮器(23)は、冷媒回路(16)に接続されている。庫外ファン(24)は、庫外モータ(45)によって回転し、庫外の空気を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(23)へ送るものである。凝縮器(23)では、この庫外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。
【0033】
上記庫内収納空間(S2)には、ケーシング(11)の庫内側の上部に再熱器(32)、蒸発器(25)、送風ユニット(30)および吸込温度センサ(33)が設けられ、ケーシング(11)の庫内側の下部に吹出温度センサ(34)が設けられている。具体的に、庫内収納空間(S2)において、吸込口(51)に近い最も上部に吸込温度センサ(33)が配置され、この吸込温度センサ(33)の直下に送風ユニット(30)が配置され、送風ユニット(30)の直下に蒸発器(25)が配置され、蒸発器(25)の直下に再熱器(32)が配置され、吹出口(52)に最も近い下部に吹出温度センサ(34)が配置されている。
【0034】
上記送風ユニット(30)は、コンテナ(C)の庫内空気を蒸発器(25)へ送るものである。送風ユニット(30)は、庫内収納空間(S2)の上部に設けられ、ケーシング(11)の幅方向に2台が並んで配置されている。各送風ユニット(30)は、ファンハウジング(31)と、庫内ファン(26)と、庫内モータ(46)とを備えている。庫内ファン(26)は、庫内モータ(46)によって回転駆動し、コンテナ(C)の庫内の空気を仕切板(48)の上側の吸込口(51)から誘引して蒸発器(25)へ送るものである。そして、この蒸発器(25)において冷媒との間で熱交換が行われた庫内空気は、庫内ファン(26)によって、仕切板(48)の下側の吹出口(52)から庫内側へ戻される。
【0035】
上記吸込温度センサ(33)は、コンテナ(C)の庫内から取り込まれる空気の温度を検知するセンサであって、本発明に係る吸込温度検知器を構成している。この吸込温度センサ(33)は、2台の送風ユニット(30,30)の間で且つ送風ユニット(30)の上部とほぼ水平となる高さに設けられている。この吸込温度センサ(33)は、コンテナ(C)の庫内から庫内収納空間(S2)へ送り込まれる空気(すなわち、コンテナ(C)の庫内の空気)の温度を検知している。
【0036】
上記蒸発器(25)は、庫内収納空間(S2)へ取り込まれたコンテナ(C)の庫内空気を冷媒と熱交換させて冷却するものである。特に除湿動作においては、蒸発器(25)は庫内空気を冷却し、空気中の水分を結露させて除湿(すなわち、冷却除湿)を行うように構成されている。蒸発器(25)は、冷媒回路(16)に接続されている。
【0037】
上記再熱器(32)は、蒸発器(25)において冷却除湿された空気を庫内の設定温度まで再び加熱するためのものであって、本発明に係る加熱器を構成している。この再熱器(32)は、除湿動作において蒸発器(25)から流出した空気(すなわち、冷却除湿された空気)を加熱するように構成されている。
【0038】
上記吹出温度センサ(34)は、庫内収納空間(S2)からコンテナ(C)の庫内へ吹き出される空気の温度を検知するセンサであって、本発明に係る吹出温度検知器を構成している。吹出温度センサ(34)は、庫内収納空間(S2)の下部の庫内ケーシング(13)の膨出した部分と仕切板(48)との間で且つ庫内の幅方向の略中央位置に設けられている。
【0039】
図3に示すように、ケーシング(11)の庫内側上部には、ケーシング(11)の幅方向に延びて蒸発器(25)を保持する蒸発器保持枠(15)が設けられている。蒸発器保持枠(15)の幅方向中央部分は、ケーシング(11)の庫内側の幅方向中央部に固定され且つ上下方向に伸びる枠支持部材(43)の上端部と接続されている。
【0040】
サイドステー(40)は、ケーシング(11)の幅方向両端側に立設し、庫内側に膨出したケーシング(11)下部に接続されている。蒸発器保持枠(15)は、その幅方向両端部がサイドステー(40)で支持されるとともに、幅方向中央部が枠支持部材(43)で支持されている。なお、枠支持部材(43)は、断面略コの字状に形成された柱状部材であり、ケーシング(11)下部の庫内側の幅方向中央部分に上下方向に延びるように設けられている。
【0041】
−冷媒回路の構成−
図4に示すように、冷媒回路(16)には、圧縮機(21)と、凝縮器(23)と、レシーバ(73)と、第1過冷却熱交換器(60)と、第2過冷却熱交換器(63)と、膨張弁(76)と、蒸発器(25)と、再熱器(32)とが冷媒管(17)によって接続されて構成されている。また、冷媒回路(16)は、コントローラ(35)によって冷蔵運転と、冷凍運転と、除湿運転とが切り換えて行われる。
【0042】
冷媒回路(16)は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路(16)において、圧縮機(21)の吐出側が流量調節弁(18)を介して凝縮器(23)の入口側に接続されている。また、流量調節弁(18)の吸入側の配管は、一部が分岐し、そこからさらに第1〜第3分岐管(66〜68)に分岐してそれぞれレヒート電磁弁(70)、ヒータ電磁弁(71)およびホットガス電磁弁(72)に接続されている。
【0043】
上記凝縮器(23)は、流入した吐出冷媒の熱を庫外の空気へ放熱させて冷媒を凝縮させるものである。凝縮器(23)は、円管である伝熱管を備えた、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。凝縮器(23)の近傍には、該凝縮器(23)へコンテナ(C)の庫外の空気を取り込むための庫外ファン(24)が設けられている。
【0044】
上記レシーバ(73)は、縦長で円筒状の密閉容器により構成されている。レシーバ(73)は、凝縮器(23)の冷媒の下流側に設けられ、凝縮器(23)から流入した冷媒が飽和液と飽和ガスとに分離され、飽和液が流出するよう構成されている。
【0045】
第1過冷却熱交換器(60)は、第1高圧側流路(61)と第1低圧側流路(62)とを備えている。第1過冷却熱交換器(60)は、第1高圧側流路(61)および第1低圧側流路(62)を流れる冷媒同士が熱交換して、第1高圧側流路(61)を流れる冷媒が過冷却されるように構成されている。
【0046】
第1過冷却熱交換器(60)を流出した冷媒は、その一部が分岐して第4分岐管(69)を流れる。第4分岐管(69)には、電磁弁(74)とキャピラリチューブ(75)が設けられており、第4分岐管(69)を流れる冷媒は、キャピラリチューブ(75)で減圧される。減圧された冷媒は、第2過冷却熱交換器(63)の第2低圧側流路(65)に流入する。
【0047】
第2過冷却熱交換器(63)は、第2高圧側流路(64)と第2低圧側流路(65)とを備えている。第2過冷却熱交換器(63)は、第2高圧側流路(64)および第2低圧側流路(65)を流れる冷媒同士が熱交換して、第2高圧側流路(64)を流れる冷媒が過冷却されるように構成されている。
【0048】
上記膨張弁(76)は、冷媒管(17)を流れる冷媒を膨張させて減圧させるものであって、本発明に係る膨張機構を構成している。膨張弁(76)の流出側は、第1〜第3分岐管(66〜68)の他端が接続されている。
【0049】
上記第1分岐管(66)は、その一端が圧縮機(21)の吐出側に接続される一方、その他端が膨張弁(76)の流出側に接続されている。第1分岐管(66)の途中には、ドレンパンヒータ(77)が設けられている。ドレンパンヒータ(77)は、蒸発器(25)で結露した水が溜められるドレンパンを加熱して該ドレンパンにおいて凍った水を溶かすものである。ドレンパンヒータ(77)には、圧縮機(21)の吐出冷媒(すなわち、ホットガス)が流入するよう構成されている。尚、第1分岐管(66)を流れる冷媒流量は、ヒータ電磁弁(71)の開度によって制御される。
【0050】
上記第2分岐管(67)は、その一端が圧縮機(21)の吐出側に接続される一方、その他端が膨張弁(76)の流出側に接続されている。第2分岐管(67)を流れる冷媒流量は、ホットガス電磁弁(72)の開度によって制御される。
【0051】
上記第3分岐管(68)は、その一端が圧縮機(21)の吐出側に接続される一方、その他端が膨張弁(76)の流出側に接続されている。第3分岐管(68)の途中には、再熱器(32)が設けられている。尚、第3分岐管(68)を流れる冷媒流量は、レヒート電磁弁(70)の開度によって調節されている。
【0052】
上記再熱器(32)は、除湿動作時において、流入した吐出冷媒と、蒸発器(25)で冷却除湿させた後の空気との間で熱交換させて該空気を加熱させるものである。再熱器(32)は、円管である伝熱管を備えた、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。再熱器(32)の伝熱管は、コンテナ(C)の庫内の幅方向に沿って延びている。再熱器(32)を流出した冷媒は、キャピラリチューブ(75)で減圧された後、膨張弁(76)の流出側に流入する。
【0053】
上記蒸発器(25)は、コンテナ(C)の庫内から取り込んだ空気の熱を膨張弁(76)から流出した冷媒に放熱させて該冷媒を蒸発させると共に、取り込んだ空気を冷却するものである。蒸発器(25)は、円管である伝熱管を備えた、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。蒸発器(25)の伝熱管は、コンテナ(C)の庫内の幅方向に沿って延びている。蒸発器(25)の近傍には、該蒸発器(25)へコンテナ(C)の庫内の空気を取り込むための庫内ファン(26)が設けられている。尚、冷媒回路(16)では、コンテナ(C)の庫内から取り込んだ空気を冷却する冷却動作と、コンテナ(C)の庫内から取り込んだ空気を冷却し、該空気中の水分を結露させて除湿(すなわち、冷却除湿)を行う除湿動作とが行われる。
【0054】
上記コントローラ(35)は、冷媒回路(16)の運転制御を行うものである。コントローラ(35)は、温度制御部(36)と温度補正部(37)とを備えている。
【0055】
上記温度制御部(36)は、吹出温度センサ(34)で検知した検知温度に基づき、該検知温度を庫内の設定温度に近づけるように冷媒回路(16)を制御するものであって、本発明に係る温度制御部を構成している。
【0056】
上記温度補正部(37)は、除湿動作時において、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を補正するものであって、本発明に係る温度補正器を構成している。具体的に、温度補正部(37)は、除湿運転時において、吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)が吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)よりも低くなった場合、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)よりも低くなるように補正する。そして、温度制御部(36)は、この補正された値に基づいて冷媒回路(16)を制御する。
【0057】
また、温度補正部(37)は、除湿動作前の吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)と吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)との差(検知温度差(ΔT))が大きくなるのに伴って、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値の補正量を小さくするよう構成されている。
【0058】
具体的には、本実施形態1では、温度補正部(37)では、予め設定された基準値0.5を吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)と吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)との差(ΔT)で除した値を補正量としている。つまり、補正量は、0.5/ΔTで表される。
【0059】
すなわち、吹出空気と吸込空気の検知温度差(ΔT)が大きいと、庫内空気の冷凍負荷が高いと推測されるため、庫内の冷却能力を確保する必要がある。このため、温度補正部(37)では、冷却能力を確保するために補正量を抑える。温度補正部(37)が補正量を抑えると、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)が高めに補正(但し、Tr以下)される。そして、温度制御部(36)は、高めに補正された検知温度の値を庫内の設定温度に近づけるように冷媒回路(16)を制御するため、冷却能力が大きくなる。このため、庫内の冷凍負荷が大きい状態において、冷却能力が不足することはない。
【0060】
一方、温度補正部(37)は、除湿動作前に吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)と吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)との差(検知温度差(ΔT))が小さくなると、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値の補正量を大きくする。すなわち、吹出空気と吸込空気の検知温度差(ΔT)が小さいと、庫内空気の冷凍負荷が小さいと推測されるため、庫内の冷却能力を抑えるようにする。このため、温度補正部(37)では、冷却能力を抑えるべく、補正量を大きくする。
【0061】
温度補正部(37)が補正量を大きくすると、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)が低めに補正(但し、Tr以下)される。そして、温度制御部(36)は、低めに補正された検知温度の値を庫内の設定温度に近づけるように冷媒回路(16)を制御するため、冷却能力が抑えられる。このため、庫内の冷凍負荷が小さい状態(例えば冷蔵運転など)において、庫内幅方向において吹出空気の温度ムラが生じていても、該吹出温度が全体として上昇する。これにより、庫内の積荷への低温障害を確実に防止することができる。
【0062】
−運転動作−
コンテナ用冷凍装置(10)の運転動作について、図4を参照しながら説明する。図4では、運転動作時の冷媒の流れを実線の矢印で示している。
【0063】
−冷却動作−
コンテナ用冷凍装置(10)は、圧縮機(21)、庫外ファン(24)、及び庫内ファン(26)を起動させることによって冷却運転が開始される。このとき、レヒート電磁弁(70)、ヒータ電磁弁(71)およびホットガス電磁弁(72)はすべて閉じられている。尚、この冷却動作には、冷凍運転と冷蔵運転とが含まれている。
【0064】
コンテナ用冷凍装置(10)の冷媒回路(16)では、圧縮機(21)の吐出冷媒が流量調節弁(18)を介して凝縮器(23)へ送られる。この凝縮器(23)では、内部を流通する冷媒が庫外ファン(24)によって送られる庫外空気と熱交換する。その結果、冷媒は庫外空気に放熱して凝縮する。
【0065】
凝縮器(23)で凝縮した冷媒は、レシーバ(73)において飽和液と飽和ガスとに分離され、飽和液が第1過冷却熱交換器(60)へ送られる。第1過冷却熱交換器(60)では、第1高圧側流路(61)および第1低圧側流路(62)を流れる冷媒同士が熱交換して、第1高圧側流路(61)を流れる冷媒が過冷却される。
【0066】
第1過冷却熱交換器(60)で過冷却された冷媒は、その一部が電磁弁(74)を介して第2過冷却熱交換器(63)に送られる一方、残りが第4分岐管(69)を流れて第2過冷却熱交換器(63)へ送られる。尚、第4分岐管(69)を流れる冷媒は、電磁弁(74)を通過した後、キャピラリチューブ(75)において減圧される。第2過冷却熱交換器(63)では、第2高圧側流路(64)および第2低圧側流路(65)を流れる冷媒同士が熱交換して、第2高圧側流路(64)を流れる冷媒が過冷却される。
【0067】
第2過冷却熱交換器(63)で過冷却された冷媒は、膨張弁(76)で減圧された後、蒸発器(25)へ送られる。この蒸発器(25)では、内部を流通する冷媒が庫内ファン(26)によって送られる庫内空気と熱交換する。その結果、冷媒は庫内空気から吸熱して蒸発し、庫内空気が冷却される。なお、庫内空気は、図2に示すように、吸込口(51)から庫内収納空間(S2)に流入して蒸発器(25)を通過する。そして、蒸発器(25)で冷却された後に停止中の再熱器(32)を通過して吹出口(52)から吹き出されて庫内へ戻っていく。蒸発器(25)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
【0068】
−除湿動作−
コンテナ用冷凍装置(10)は、圧縮機(21)、庫外ファン(24)、及び庫内ファン(26)を起動させることによって運転が開始される。このとき、レヒート電磁弁(70)が開かれる。
【0069】
除湿動作時における蒸発器(25)では、内部を流通する冷媒が庫内ファン(26)によって送られる庫内空気と熱交換する。その結果、冷媒は庫内空気から吸熱して蒸発し、庫内空気が冷却され、空気中の水分が結露する。このため、庫内空気が除湿される。
【0070】
上記コンテナ用冷凍装置(10)の冷媒回路(16)では、圧縮機(21)の吐出冷媒が流量調節弁(18)を介して凝縮器(23)へ送られる。このとき、圧縮機(21)の吐出冷媒の一部は、レヒート電磁弁(70)を介して第3分岐管(68)を流れて再熱器(32)へ流入する。再熱器(32)では、内部を流通する冷媒が蒸発器(25)で冷却除湿された空気と熱交換する。その結果、冷媒は庫内空気へ放熱して凝縮し、庫内空気が加熱される。
【0071】
ここで、再熱器(32)は、伝熱管の本数が少なく、入口側と出口側での冷媒温度差が大きいため、再熱器(32)を流出した空気は、図5に示すように、庫内の幅方向において温度ムラが生じ易くなる。そして、吹出温度センサ(34)は、庫内幅方向の略中央に設けられているため、吹出温度センサ(34)から離れた位置(図3における右側)では幅方向の中央に比べて吹出温度が低くなる。温度制御部(36)は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)(すなわち、幅方向中央の吹出温度)の値を庫内温度の設定値に近づけるように冷媒回路(16)を制御している。
【0072】
従来は、温度が高くなる庫内幅方向の中央における温度に基づいて庫内温度を制御するため、庫内幅方向の端部寄りにおいて積荷が冷却過多となり、低温障害を発生させてしまうという問題があった。
【0073】
なお、庫内空気は、図2に示すように、吸込口(51)から庫内収納空間(S2)に流入して蒸発器(25)を通過する。そして、蒸発器(25)で冷却された後に再熱器(32)を通過する。再熱器(32)で加熱された後に吹出口(52)から吹き出されて庫内へ戻っていく。
【0074】
次に、冷蔵運転後の除湿動作時における吸込空気と吹出空気の温度の関係について図6に基づいて説明する。まず、除湿動作前の冷蔵運転では、吸込温度は吸込温度センサ(33)で4.5℃と検知され、吹出温度は吹出温度センサ(34)で4℃と検知されている。したがって、吸込温度と吹出温度の温度差(ΔT)は0.5℃である。このため、温度補正部(37)は、0.5/ΔTより、補正量を1℃に設定する。尚、本実施形態1では、補正量は、2℃以下になるように制限されている。
【0075】
次に、除湿運転が開始された後、レヒート電磁弁(70)が開かれて再熱器(32)へ圧縮機(21)の吐出冷媒が流れると、吹出空気の温度ムラが発生する。つまり、幅方向中央の吹出温度が高くなる。そして、温度制御部(36)は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を4℃に保つように冷媒回路(16)の冷却能力を制御する。図3における右側では、吹出空気が低下する。このため、図6に破線で示すように、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)は4℃に保たれる一方、吹出温度の平均値は徐々に低下していく。このため、庫内空気の温度も低下し、吸込空気の温度が徐々に低下する。
【0076】
従来のコンテナ用冷凍装置では、図6に示すように、吹出温度センサの検知温度(Ts)の値を4℃に保つように冷媒回路を制御すると、吹出空気の平均値および吸込空気の温度が共に低下してゆく。そして、吹出温度センサの検知温度(Ts)の値を4℃に保つべく、庫外ファンを制御したり、圧縮機の能力を上昇させて、さらに冷却能力を高めるため、吹出空気の平均値および吸込空気の温度はさらに低下してゆく。
【0077】
しかしながら、本実施形態1では、吹出空気の温度と吸込空気の温度が逆転して吹出空気の温度のほうが高くなる(すなわち、吸込空気の検知温度(Tr)が4℃以下になる)と、温度補正部(37)は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)よりも小さくなるよう、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を3℃に補正(すなわち、補正量は1℃)する。こうすることで、温度制御部(36)は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を4℃に保つように冷媒回路(16)の冷却能力を制御するため、冷却能力を抑えて冷媒回路(16)を制御する。このため、吹出温度センサ(34)および吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)が徐々に高くなる。こうすることで、全体として吹出空気の温度が高くなるため、コンテナ(C)の庫内の積荷の低温障害を防止することができる。
【0078】
その後、例えば30分後などに吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)が吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)以上の温度となっていれば、温度補正部(37)は、上記補正量から0.5を引いた補正量とする。そして、温度制御部(36)は、新たな補正量に基づいて庫内温度の制御を行う。
【0079】
最後に、吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)が所定の条件(Tr≧Ts+1.5℃)を満たしたら、再熱器(32)をオフにする。尚、この1.5℃は、単なる例示であり、これに限られるものではない。
【0080】
−実施形態1の効果−
上記本実施形態1によれば、吹出空気の検知温度(Ts)と吸込空気の検知温度(Tr)が逆転した場合に吹出空気の検知温度(Ts)の値を低くなるように補正したため、除湿動作時の冷却能力を抑えることができる。このため、庫内へ吹き出される空気の温度を全体として上昇させることができる。これにより、庫内幅方向において吹出空気の温度ムラが生じていても、庫内の積荷への低温障害を確実に防止することができる。
【0081】
また、本実施形態1によれば、除湿動作前の吹出空気と吸込空気の温度差(ΔT)に応じて補正量を制御するようにしたため、庫内の冷凍負荷に応じて温度制御部(36)が制御を行うことができる。具体的には、除湿動作前の吸込空気と吹出空気の温度差(ΔT)が大きい場合、温度補正部(37)は補正量を抑えて冷却能力を確保することができる。一方、除湿動作前の吸込空気と吹出空気のΔTが小さい場合、温度補正部(37)は補正量を大きくして冷却能力を抑えることができる。こうすることで、庫内の冷凍負荷が大きい場合は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)を高めに補正して冷却能力を高くすることができる一方、庫内の冷凍負荷が小さい場合は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)を低めに補正して冷却能力を抑えることができる。
【0082】
〈発明の実施形態2〉
次に、本発明の実施形態2について図7に基づいて説明する。本実施形態2に係るコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1のものとは、除湿動作時の制御内容が異なっている。本実施形態2では、実施形態1と異なる部分のみ説明する。
【0083】
具体的には、本実施形態2に係る温度補正部(37)は、除湿動作において、吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)が吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)よりも低くなると、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を0.2℃低く補正する。尚、このとき、温度補正部(37)は、補正量を所定の条件(Ts−ΔTx)で設定している。また、本実施形態2では、ΔTxは可変数であり、例示として0.2で設定されている。
【0084】
その後、さらに、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)が上記吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)よりも高くなると、再び、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を0.2℃低く補正する。尚、このとき、温度補正部(37)は、補正量を所定の条件(Ts−N×ΔTx)で求めている。また、本実施形態2では、Nは例示として2で設定されている。また、N×ΔTxは、2℃以下としている。このように、吹出空気の検知温度(Ts)の値の補正を繰り返すことで確実に低温障害を防止することができる。尚、この動作の繰り返し回数は10回を限度としている。
【0085】
具体的には、吹出空気の温度と吸込空気の温度が逆転して吹出空気の温度のほうが高くなる(すなわち、吸込空気の検知温度(Tr)が4℃以下になる)と、温度補正部(37)は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を3.8℃に補正する。こうすることで、温度制御部(36)は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を3.8℃に保つように冷媒回路(16)の冷却能力を制御するため、冷却能力を抑えて冷媒回路(16)を制御する。このため、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)が徐々に高くなる。例えばその10分後に、再び、吹出空気の検知温度(Ts)と吸込空気の検知温度(Tr)が逆転して吹出空気の検知温度(Ts)が高くなると、温度補正部(37)は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値をさらに0.2℃低下させて3.6℃に補正する。こうすることで、温度制御部(36)は、吹出温度センサ(34)の検知温度(Ts)の値を3.6℃に保つように冷媒回路(16)の冷却能力を制御するため、冷却能力を抑えて冷媒回路(16)を制御する。このため、吹出温度センサ(34)および吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)が徐々に高くなる。こうすることで、全体として吹出空気の温度が高くなるため、コンテナ(C)の庫内の積荷の低温障害を防止することができる。
【0086】
最後に、吸込温度センサ(33)の検知温度(Tr)が所定の条件(Tr≧Ts+1.5℃)を満たしたら、再熱器(32)をオフにする。尚、この1.5℃は、単なる例示であり、これに限られるものではない。
【0087】
−実施形態2の効果−
上記本実施形態2によれば、一度補正した後に、再び吹出空気と吸込空気の検知温度が逆転した場合は再度、吹出空気の検知温度の値を低く補正したため、より確実に庫内の積荷への低温障害を防止することができる。ここで、冷却能力を所定以上抑制すると、圧縮機の圧力が下がって、除湿動作を強制離脱する場合が考えられる。ところが、実施形態2では、複数回補正をするため、一回の補正における補正量を抑えることができる。つまり、冷却能力の抑制を最低限に抑えることができるため、圧縮機(21)の急激な圧力低下などによって除湿動作を強制離脱するのを確実に防止することができる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
【0088】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態1又は2について、以下のような構成としてもよい。
【0089】
上記実施形態1又は2において、温度補正部(37)の補正量に制限を設けるようにしてもよい。例えば、補正量の制限を2℃以下にするような補正制限を行うようにしてもよい。
【0090】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上説明したように、本発明は、コンテナ用冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0092】
16 冷媒回路
21 圧縮機
23 膨張弁
25 蒸発器
32 再熱器
33 吸込温度センサ
34 吹出温度センサ
36 温度制御部
37 温度補正部
76 膨張弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(21)と、凝縮器(23)と、膨張機構(76)と、蒸発器(25)とが順に接続された冷媒回路(16)と、該蒸発器(25)から流出した空気を加熱する加熱器(32)とを備え、コンテナ庫内から吸い込まれて上記蒸発器(25)において冷却除湿された空気を上記加熱器(32)において加熱する除湿動作が行われるコンテナ用冷凍装置であって、
上記蒸発器(25)に吸い込まれる空気の温度を検知する吸込温度検知器(33)と、
上記加熱器(32)で加熱された空気の温度を検知する吹出温度検知器(34)と、
上記吹出温度検知器(34)の検知温度の値に基づいて上記除湿動作を制御する温度制御部(36)と、
上記除湿動作において上記吸込温度検知器(33)の検知温度が上記吹出温度検知器(34)の検知温度よりも低くなった場合、上記吹出温度検知器(34)の検知温度の値を上記吸込温度検知器(33)の検知温度よりも低く補正する温度補正部(37)を備えている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記温度補正部(37)は、上記吹出温度検知器(34)の検知温度を補正した後の除湿動作において、再び上記吸込温度検知器(33)の検知温度が上記吹出温度検知器(34)の検知温度よりも低くなった場合、上記吹出温度検知器(34)の検知温度の値を上記吸込温度検知器(33)の検知温度よりも低く補正するよう構成されている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記温度補正部(37)は、上記除湿動作の前における上記吹出温度検知器(34)と上記吸込温度検知器(33)の検知温度差が大きくなるのに伴って上記吹出温度検知器(34)の検知温度の値の補正量を小さくする一方、上記検知温度差が小さくなるのに伴って該補正量を大きくするよう構成されている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29295(P2013−29295A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167506(P2011−167506)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】