コンテナ船
【課題】船首下部で水平板23を具備した球状船首2の上方に凹部24を設けることで、船首波を起こさせないようにし、バラストタンクを型幅を3等分に区画し、中央区画をバラストタンクとして使用しないことで横傾斜調整機能を向上可能とする。
【解決手段】船体1内には縦隔壁63、64により型幅を3等分し、中央に位置する区画は空間部10とし、左右区画はバラストタンク75として使用する。球状船首22の上方かつ船首下部における満載喫水線位置には、船尾方向に窪み船体1の型幅方向に延びる凹部24を設けている。球状船首22には水平板23を設けている。
【解決手段】船体1内には縦隔壁63、64により型幅を3等分し、中央に位置する区画は空間部10とし、左右区画はバラストタンク75として使用する。球状船首22の上方かつ船首下部における満載喫水線位置には、船尾方向に窪み船体1の型幅方向に延びる凹部24を設けている。球状船首22には水平板23を設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを上甲板上にのみ積載する単胴型のコンテナ船に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテナ船は、船首から船尾に亘り船体内を複数の隔壁により区画して複数の貨物格納用ホールドを設け、これら各貨物格納用ホールドに多数個のコンテナが密に積載格納されるようにすると共に、甲板には各貨物格納用ホールド毎に夫々ハッチ開口を設け、ハッチ開口を閉塞するハッチカバーを開閉可能に設け、ハッチカバーの上面上にも多数個のコンテナを密に複数段複数列積載するようにし、船体内の後部に設けた機関室の上方に於ける甲板上には居住室を、居住室の上方には操舵室を設け、操舵室の前部には前方を見渡すことが可能に透明ガラス窓を設け、操舵室、居住室及び機関室は互いに階段、昇降装置等により連絡され、船員が操舵室、居住室及び機関室へ容易に行き来可能にしている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
【0003】
従来のコンテナ船はハッチ開口を閉口したハッチカバー上にもコンテナを積載するため、積載したコンテナの横ずれが発生したり、ハッチカバー上に積載されたコンテナのラッシング作業のために作業員が作業用ステージに登る必要性があり高所での積載荷役作業に危険が伴い、且つ積載荷役作業時間も長くなっていた。又、ハッチカバーに負荷が掛かり過ぎるためハッチカバーの耐荷重性を高める為にハッチカバーが重量化し、軽量化が困難であるという問題点があった。
この問題点を解決するために、ハッチカバーの平面形状に対応する大きさの枠体上にコンテナの長手方向に対向してガイド金物を起立させた後に固定する固定装置を設け、ガイド金物の上方部には最上段に積み上げられたコンテナ下部の4隅を固定する緊締装置を設け、多段及び多列に積載するコンテナの横ずれを防止するようにしたコンテナ船が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
又、貨物格納用ホールドの開口部に直立柱を設け、直立柱の前後側面に夫々可動式セルガイドと固定式セルガイドを設け、可動式セルガイドと固定式セルガイド間にコンテナが案内されるようにして、ハッチカバー上へのコンテナ積載荷役作業の効率化及びコンテナのラッシング作業のための危険な高所作業を省略して積載作業の安全化を図り、また、カバー上に積載されたコンテナの総重量の一部が直立柱で負担されるようにすることで、ハッチカバーに負荷されるコンテナの荷重が軽減されるようにしハッチカバーの軽量化を可能にし、ひいては船体の長さが船体の長さ方向に設けられた多数の作業用ステージの長さの合計分の長さを短くすることを可能にしたコンテナ船が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
又、甲板下には隔壁により区画された貨物格納用ホールドを設け、この貨物格納用ホールド下方に於ける船舶の船底及び舷を外側壁と内側壁による二重壁に形成し、この二重壁を構成する外側壁と内側壁との間に海水を収容可能にして二重壁にバラストタンクの機能をもたせると共に、貨物格納用ホールド下方の内側壁に囲まれる内側には燃料タンクとしての機能をもたせ、座礁等により船底や舷に亀裂が生じ外側壁のみが破損してもバラストタンク内の海水を海に漏出させるようにし、燃料タンクは内側壁により保護され、燃料が海に漏れ出さないようにし、居住室は上甲板上の操舵室の下階に設けた構造の貨物船が存在する(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
ところで、上記従来のいずれのコンテナ船も船尾に設けた推進用プロペラがエンジンの出力軸と連結する構成であるため、エンジンを搭載した機関室は必然的に推進用プロペラ近傍に位置する船体後部に位置し、機関室の上方に居住室を、居住室上方には操舵室を階段やエレベータ等で連絡し、船員が各室を容易に行き来可能な構造にしている。船舶は、船橋からの見通し規則(Class NK Chapter 2 NavigationBridge Visibility 2.1.1)により、船首から船長の2倍の長さより手前又は前方500m手前を見通し可能であることが条件となっている。上記特許文献1〜5に記載のコンテナ船は、駆動システムの構造上の見地より、操舵室は船尾側に設けた機関室の上方に位置している。そのため、甲板上に積載するコンテナの大部分は、操舵室の前方から船首に亘り積載することとなる。操舵室の前方から船首に亘り積載するコンテナの積載高さは、前記見通し規則により定められた前方の視界を確保するために、操舵室の高さ以下でなければならず、しかも船首から船長の2倍の長さより手前又は前方500m手前を見通し可能にするため、船首側になるに従い階段状に低く積載する必要性があり、コンテナの積載高さに制限があり、コンテナ積載量が制限されるという問題点があった。操舵室からの見通しを良好にし、しかも積載高さを高くするためには、操舵室の高さを高くすることが考えられるが、コンテナ船には架橋下を通過するための高さ制限があるため、操舵室を高くするという手段は選択できない。
この問題点を解決する為に、船首から船尾に亘り船体内を複数の隔壁により区画して複数の貨物格納用ホールドを設け、甲板には各貨物格納用ホールドの各ハッチ開口を閉塞するハッチカバーを夫々設け、船体の船首側に発電機を具備した発電室を設け、該発電室の上部に操舵室を含む居住室を設け、船尾側には推進用プロペラを回転させる駆動モータを設け、船首側の発電機と船尾側の駆動モータを電気的に接続したコンテナ船が提案されている(例えば、特許文献6参照)。特許文献6に記載のコンテナ船は操舵室が船首側にあるので、最大積載量のコンテナを甲板上に積載しても前方の見通しに何ら影響は無く、安全航行が可能であるという長所がある。
【0006】
上記特許文献1〜6に記載の従来例のコンテナ船は船舶内部に隔壁で区画された複数の貨物格納用ホールドを設け、船体内の各貨物格納用ホールドにコンテナを夫々格納するために、各貨物格納用ホールドの上甲板にはハッチ開口が夫々開設されているため、船体の捩じり強度、縦強度及び局部強度等の船殻強度の確保が困難であった。又、航行の際にはハッチ開口をハッチカバーで閉塞するため各貨物格納用ホールドの通気性が悪く、各貨物格納用ホールドに通風装置を必要とした。又、上甲板上やハッチカバー上にもコンテナを積載し、積載可能なコンテナ量が少なかった。
【0007】
そこで、コンテナを船体内に格納するという従来のコンテナ船の技術常識を排除し、コンテナを上甲板上にのみ積載し船体内には積載しないコンテナ船が提案されている(例えば、特許文献7参照)。特許文献7に記載のコンテナ船は、船体の船尾側に機関室を設け、上甲板上に於ける機関室の上方には高さが操舵室よりやや低い図1中の符号3で示される部分居住室を設け、居住室の上にはコンテナを積載しないようにし、上甲板にはハッチ開口及びハッチカバーを設けず、甲板上の左右両舷にはコンテナポストとして機能する高さの水密トランクを設け、水密トランク上にもコンテナを積載可能にし、甲板下に於ける機関室の前方(船首側)には燃料タンクやバラストタンク等を設け、満載喫水線下の船体形状を痩せ形にして船体造波抵抗を低減して高速化を図り、更に、上甲板上の積載スペースが狭くなった分を補填する為にコンテナ積載段数を増加させてコンテナ積載量を増加させ、更に、船体の傾斜時に要求される復原性能を船体深さを小さくし、つまり船体高さを低くし、水密トランクを両舷側に設けることで改善している。
【0008】
しかしながら、特許文献7に記載のコンテナ船は上甲板上にのみコンテナを積載し、居住室も上甲板上に設け、居住室上にはコンテナを積載不可能な構成にしているため重心が上方に位置し、その結果生じる復原性能の低下を、傾斜時の船体深さを小さくすると共に、両舷に水密トランクを設けることで問題点を解決しようとしている。しかし、バラストタンクが船体の機関室前方の船体内全体に設けているため、実際は傾斜時の復原性能が悪い。又、船首形状が通常船首であるため造波抵抗が大きく、船首が造る波が船首から船尾に亘り船首正面を除く部分で高く、海水が甲板に打ち上がる場合もあり、甲板やコンテナが海水に濡れ易く、船首が造る波が船体の進行方向に沿って繰り返す正弦波形状であるため、船体が前後方向に揺動するという問題点があった。
近年、コンテナ船のような大型船舶は船首の水面下部分に球状部分を設けてを球状船首(バルバスバウ)にし、通常の船首が起こす波と球状部分が起こす波とが互いに打ち消し合って造波抵抗を少なくし、その結果、船舶の揺動を低減し、通常船首の船舶よりも速度を向上させている。図12は球状船首の原理を示す図である。図12中において、点線は球状部分が起こす波、実線が通常船首が起こす波を示す。船首水面下に球状部分を設けることで、通常船首が起こす波(実線)と球状部分が起こす波(点線)とが互いに打ち消し合い、船体のうち船首を除く船体長さ方向中途部分から船尾にかけては、球状船首でない船舶の航行の場合と比較して波が低くなり前後上下揺動は低減される。しかしながら、海水は球状部分の先端から上方へ押し上げるように移動し海面上に位置する船首正面方向に波は打ち上がり、この船首正面に打ち上げる波が、球状船首を具備する船舶を前後上下方向に揺動させる。この船舶の前後上下方向への揺動運動は、上甲板上にのみ積載する構造のコンテナ船に関しては、荷崩れ等を引き起こす一因ともなる。航行時における船体の前後上下揺動運動の一層の低減が、船舶業界に課された課題となっている。
【特許文献1】特開2000−128067号公報
【特許文献2】特開2001−328585号公報
【特許文献3】特開平11−180386号公報
【特許文献4】特開平9−2376号公報
【特許文献5】特開2002−316688号公報
【特許文献6】特開2002−220091号公報
【特許文献7】特開2007−50814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、航行中の船体の前後揺動を低減し、居住室上にもコンテナを積載可能にすると共に甲板上の積載コンテナ量の増量を可能とし、船体の横方向傾斜を効率よく調整可能なコンテナ船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明のうち請求項1に記載の発明は、コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り左右側方に突き出して設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り、左右側方に突き出して設け、前記船体の船首側から船尾側に亘り、縦隔壁と該縦隔壁と直交する横隔壁により複数の空間を設け、船底と横隔壁により囲まれた最下層空間のうち船体の縦中心線上に位置する空間以外の空間をバラストタンクとし、船体の左右両舷側に位置する対となるバラストタンクは、船体の縦中心線を中心として左右対称の同一形状を有して対向する位置に夫々設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り、左右側方に突き出して設け、前記船体の船首板と横隔壁により囲まれた最下層空間のうち、船尾側に於ける船体の縦中心線上に位置する空間以外の空間をバラストタンクとし、船体の船尾側に於ける左右両舷側に位置する対となるバラストタンクを、船体の縦中心線を中心として左右対称に対向する位置に夫々設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、上記左右両舷側に設けた対となるバラストタンクは、バラストタンク上端横断面の横幅が船体型幅の夫々1/3であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、上記水平板が、該水平板の上面を上面の延長線が船体の縦方向中心線と直交する平坦面に形成され、水平板の下面は水平板の肉厚を船体側から外側方にかけて漸次薄くなるような傾斜面に形成されてなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、上記船首が、該船首の下部に於ける満載喫水線位置には船尾方向に窪む凹部を設けたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、上記船体には居住室を操舵室の下方に設けることなく甲板下に設け、前記居住室の上方にコンテナを積載可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、甲板にハッチ開口を開設しないので、船体の捩じり強度、縦強度及び局部強度等の船殻構造強度が増すという効果がある。
本願発明は、重量のあるハッチカバーを具備しないため船体の軽量化を図ることが出来、又、船舶製造コストがハッチカバーの製造費用分を低減化できるという効果がある。
本願発明は、居住室上を含む甲板上にコンテナを積載する構造であるので、コンテナの荷積み及び荷下ろし作業性が向上するという効果がある。
本願発明は、船首の水面下に設けた球状船首の球状部分前端から船体の前部に亘り水平板を左右側方に突設しているので、航行の際に球状部分前端から発生し船首側板に沿って上方向へ進み船首正面に打ち上げようとする波を、水面下にて水平板下面により横方向へ案内し、球状部分で起きた波は海面上の船首正面に打ち上がらず、造波抵抗が極めて小となり、船体は前後方向或いは上下方向に揺動せず、航行中の船体の安定性が一層向上し、航行速度も速くなるという効果がある。
本願発明は、船首の下部に於ける満載喫水線位置には凹部を設けているため、航行の際に球状部分前端から発生し船首側板に沿って上方向へ進み船首正面に打ち上げようとする球状船首由来の波が、凹部の上壁面に当たり、凹部の上壁面で下方に跳ね返されるため、球状部分で起きた波は全く船首正面に打ち上がらず、造波抵抗はなく、船体は凹部を有しない球状船首と比較して揺動せず、一層スピードを出すことが出来るという効果がある。
本願発明は、船体型幅を縦隔壁で3等分に区画して型幅方向に3空間を形成し、船体縦中心線上に位置する空間はバラストタンクとして用いず、船体縦中心線を中心として対称となる左右両舷側に位置する空間を1対のバラストタンクとして使用することで、バラストタンクに必要な喫水機能を保持しつつ横傾斜調整機能を向上させ、且つ船体内の限られたスペースを有効活用可能であるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上甲板にハッチ開口及びハッチカバーを設けないことで船殻構造強度を高め、コンテナを居住室を含む甲板上に積載することでコンテナの積載及び積み下ろし作業の安全性及び作業性を向上させると共に積載コンテナ量を増量可能にし、球状船首に水平板を設けることで船舶航行の際に球状船首が造り出す上向きの波を横方向へ導き船首正面に打ち上げる波を低くし、船首下部に凹部を設けることで球状船首由来の波を凹部上壁面に跳ね返らせて下方に進ませ船首正面に打ち上げる波を無くし、造波抵抗を著しく小さくして航行の際に発生する前後上下方向への揺動運動を著しく低減させ船舶の安定した航行及び船舶の高速化を実現した。又、喫水調整や横傾斜調整のためのバラストタンクを船体縦中心線を中心として左右両舷側に左右対称に設け、船舶によっては船体縦中心線上に位置する空間はバラストタンクとして用いないことで、バラストタンクに必要な喫水機能を保持しつつ横傾斜調整機能の向上及び船体内部の有効活用が可能なスペースの確保を実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の実施例におけるコンテナ船にコンテナを積載した状態の概略的左側面図、図2はコンテナ船にコンテナを積載した状態の一部切欠平面図、図3は図1のA−A線に沿う概略断面図、図4は図1のC−C線に沿った各タンク及び水平板の配置状態を示す説明図である。
【0014】
図1〜図4において、船体1の内部には、船首側にハウスラスター室2を設け、船尾側に機関室3を設けている。船体1の内部であって上甲板4の下方に於けるバウスラスター室2の後方には、船体1の縦中心線と直交して縦隔壁51を設け、バウスラスター室2と縦隔壁51との間には船体1の縦中心線上に位置して縦隔壁61を配設し、縦隔壁61を中心として左右両舷側に1対のバラストタンク71、71が設けられている。縦隔壁51から機関室3に亘り、縦隔壁51、61と90度の角度を有して横隔壁8が配設され、横隔壁8により上甲板4と船底板9との間を上下に2分している。
【0015】
バラストタンク71、71の後方に於いて、横隔壁8と船底板9との間は、横隔壁8と90度の角度を有し、縦隔壁51と互いに平行な位置関係に離隔された縦隔壁52、53、54、55が配設されている。横隔壁8の下方に於いて、縦隔壁51と縦隔壁52との間には船体1の縦中心線上に縦隔壁62を配設し、縦隔壁62を中心として左右両舷側に1対のバラストタンク72、72を設けている。横隔壁8の下方に於いて縦隔壁52から縦隔壁55に亘り、船体1の長さ方向に沿って船体1の縦中心線と平行に配設され船体1の型幅(横幅)を3等分する位置に、縦隔壁63、64が縦隔壁53、54と直交して配設され、縦隔壁52、53、54と縦隔壁63、64により6個のバラストタンク73、73、73、74、74、74が設けられている。縦隔壁54、55と縦隔壁63、64により、船体1の型幅を3等分に区画された3空間のうち中央区画を除く左右両舷側に位置する空間をバラストタンク75、75となし、バラストタンク75、75との間の型幅方向中央に位置する空間部10はタンクとして使用しない。横隔壁8と上甲板4との間には、複数の縦隔壁11によって空間部12や清水タンク13或いは燃料タンク14が設けられている。尚、実施例1では、空間部10を船尾側に設けているが、本発明はこれに限定しない。船体1の長さ方向に縦隔壁53、54で区画され、さらに型幅方向に縦隔壁63、64で3等分された区画のうち、船体中央部区画74、74、74の中央に位置する区画74、或いは船首側区画73、73、73の中央に位置する区画73の何れかを空間部とし、左右両舷側に位置する各1/3区画をバラストタンクとして用いることも本願発明に包含される。
【0016】
機関室3にはエンジン等の主機関(図示せず)が設けられ、出力軸(図示せず)には推進用プロペラ15が取り付けられ、推進用プロペラ15の後方には舵装置16が設けられている。機関室3の上方であって、上甲板4上には居住室17が設けられ、居住室17の上方には操舵室18が設けられている。操舵室18、居住室17及び機関室3は、階段、エレベーター等により船員が容易に行き来可能に連絡している。
【0017】
上甲板4にはセルガイド19を船体1の長さ方向に所定間隔離隔して設けている。実施例1におけるセルガイド19は、断面10cm×15cm程度の同一長さの角柱よりなる支柱を船体1の型幅方向に一定間隔離隔して立設し、支柱の上端には角柱を架設して連結し、積載コンテナ20の下段後部を掛止する機能を有するものであるが、本願発明のセルガイドはこれに限定するものではなく、公知のセルガイドの何れを用いてもよい。
【0018】
図1、図5及び図6に示すように、船首海面21下には球状船首22を設けている。水平板23は、球状船首22の前端から船体1の前部に亘り、左右側方に突き出して設けている。図5に示すように、水平板23は、水平板上面が船体1の縦中心線と90度の角度を有して左右側方に延びる平坦面に形成され、水平板下面は船体1に取り付けられている基部側から左右外側方にかけて上傾する傾斜面に形成されている。
【0019】
球状船首22の上方であって船首の下部に於ける満載喫水線位置には、船尾方向に窪み船体1の型幅方向(横方向)に延びる凹部24を設けている。凹部24は、満載喫水線と平行な平坦な上壁面25と、上壁面25と平行な平坦面よりなる下壁面26と、満載喫水線と90度の角度を有する側壁27とよりなる。凹部24は、下方向から上方向へ進む波を跳ね返す為に上壁面25が満載喫水線と平行であれば足り、下壁面26や側壁27の形状は不問である。
【0020】
次に作用及び効果について説明する。
上記構成のコンテナ船は、上甲板4にコンテナ20を複数列複数段積載し、コンテナ20の後部をセルガイド19で係止ロックさせて航行するものである。
航行中の球状船首22から起こった波は、図6中に矢印で示すように上方へ移動しようとする。しかし、本願発明は球状船首22に水平板23を左右側方にフランジ状に突設しているので、図5及び図6中の波の移動を示す矢印の通り、船首波は水平板23の下面傾斜面に案内されて外側方向へ進み、船首波の高さは低くなる。つまり、球状船首22の球状部分で起こった波の高さが低くなる。船首正面に打ち上げる波は、凹部24の上壁面25に当たり下方向へ跳ね返されるため無くなる。又、図6に示すように、通常船首が起こす波と球状船首22が起こす波とが互いに打ち消し合い、船体1の船首以外の部分の波も極めて低減され、航行中の船体1の前後上下方向への揺動は極めて低減される。このように、球状船首22に水平板23を設け、球状船首22の上方位置であって船首下部の満載喫水線位置に凹部24を設けることで、球状船首から起こる波が凹部24の上壁面24に跳ね返されて海中にて下方に進み、船首正面に打ち上がらなくなり、航行の際の船首波を原因とする船体の揺れが殆ど無くなる。又、居住室17の上にもコンテナ20の積載が可能なため、コンテナ積載総重量が増加可能となる。船首波が無くなると共に、船体1の揺れが極めて少なくなるため上甲板4上への積載コンテナ量が増加しても安定した航行をするという効果がある。
船尾側に型幅を3等分に区画し、中央の区画をタンクとして使用せず、左右両舷側に位置するタンクをバラストタンク75、75となし、該バラストタンク75、75は船体1の縦中心線を中心として左右対称となるように対設したので、横傾斜調整機能が向上するという効果がある。型幅を3等分に区画した場合、船体1の縦中心線上に配置された型幅の1/3の幅を有する中央の区画は横傾斜調整機能を有さないという理由によるものである。
【実施例2】
【0021】
図7及び図8に示される実施例2について説明する。図1〜図6に示される実施例1と異なる点は船首に凹部を設けていない点であり、その他の構成は実施例1のコンテナ船と同じである。実施例2では、船首水面下には水平板23を具備した球状船首22を設けている。実施例2のコンテナ船であると、球状船首22から起こった波は水平板23の下面に案内されて横外側方向に進み、図8中で矢印で示すように船首のうち球状船首22の上方に、僅かに船首に球状船首から起きる波が打ち上がる。従来のコンテナ船に比較して揺動が軽減される。
【実施例3】
【0022】
図9〜図11に示される実施例3について説明する。説明を簡単にするために、図1〜図4と同様の作用をなす部分は同一符号を用いて説明する。
バウスラスター室2から機関室3にかけては、横隔壁8により上甲板4から船底板9との間を上下に2分している。横隔壁8と船底板9との間には、船体1の縦中心線上に配設された縦隔壁65と、船体1の型幅を3等分する縦隔壁66、67と、船体1の長さ方向に平行に離隔された縦隔壁56、57、58、59によりバラストタンク76、76、77、77、78、78が設けられている。バラストタンク77とバラストタンク78との間に介在する区画はタンクとして使用しない。船体1の型幅を3等分し、船体1の縦中心線上に配設される中央区画をタンクとして使用しないことで、一層横傾斜調整機能が向上する。
上甲板4と横隔壁8との間には居住室28と燃料タンク29を区画して設けている。上甲板4の上面であって船首側には操舵室18を設けている。操舵室18を船首側に設けることでコンテナ20により視界が妨げられず、コンテナ20の積載段数を増加することが出来る。又、球状船首22に水平板23を設けることで、航行中の船体1の前後上下揺動が低減されるので、コンテナ積載量の飛躍的な増量が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンテナ船にコンテナを積載した状態の概略的左側面図である。(実施例1)
【図2】コンテナ船にコンテナを積載した状態の一部切欠平面図である。(実施例1)
【図3】図1のA−A線に沿う概略断面図である。(実施例1)
【図4】図1のB−B線に沿った各タンク及び水平板の配置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図5】船体を正面から見た場合の船首波の進行状態を示す説明図である。(実施例1)
【図6】船体を側面から見た場合の船首波の進行状態を示す説明図である。(実施例1)
【図7】コンテナ船にコンテナを積載した状態の概略的左側面図である。(実施例2)
【図8】船体を側面から見た場合の船首波の進行状態を示す説明図である。(実施例2)
【図9】コンテナ船にコンテナを積載した状態の概略的左側面図である。(実施例3)
【図10】コンテナ船にコンテナを積載した状態の一部切欠平面図である。(実施例3)
【図11】図9のC−C線に沿った各タンク及び水平板の配置状態を示す説明図である。(実施例3)
【図12】球状船首の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 船体
4 上甲板
11、51、52、53、54、55、56、57、58、59、61、62、63、64、65、66、67 縦隔壁
71、72、73、74、75、76、77、78 バラストタンク
8 横隔壁
9 船底板
10、12 空間部
17、28 居住室
18 操舵室
20 コンテナ
21 海面
22 球状船首
23 水平板
24 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを上甲板上にのみ積載する単胴型のコンテナ船に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテナ船は、船首から船尾に亘り船体内を複数の隔壁により区画して複数の貨物格納用ホールドを設け、これら各貨物格納用ホールドに多数個のコンテナが密に積載格納されるようにすると共に、甲板には各貨物格納用ホールド毎に夫々ハッチ開口を設け、ハッチ開口を閉塞するハッチカバーを開閉可能に設け、ハッチカバーの上面上にも多数個のコンテナを密に複数段複数列積載するようにし、船体内の後部に設けた機関室の上方に於ける甲板上には居住室を、居住室の上方には操舵室を設け、操舵室の前部には前方を見渡すことが可能に透明ガラス窓を設け、操舵室、居住室及び機関室は互いに階段、昇降装置等により連絡され、船員が操舵室、居住室及び機関室へ容易に行き来可能にしている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
【0003】
従来のコンテナ船はハッチ開口を閉口したハッチカバー上にもコンテナを積載するため、積載したコンテナの横ずれが発生したり、ハッチカバー上に積載されたコンテナのラッシング作業のために作業員が作業用ステージに登る必要性があり高所での積載荷役作業に危険が伴い、且つ積載荷役作業時間も長くなっていた。又、ハッチカバーに負荷が掛かり過ぎるためハッチカバーの耐荷重性を高める為にハッチカバーが重量化し、軽量化が困難であるという問題点があった。
この問題点を解決するために、ハッチカバーの平面形状に対応する大きさの枠体上にコンテナの長手方向に対向してガイド金物を起立させた後に固定する固定装置を設け、ガイド金物の上方部には最上段に積み上げられたコンテナ下部の4隅を固定する緊締装置を設け、多段及び多列に積載するコンテナの横ずれを防止するようにしたコンテナ船が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
又、貨物格納用ホールドの開口部に直立柱を設け、直立柱の前後側面に夫々可動式セルガイドと固定式セルガイドを設け、可動式セルガイドと固定式セルガイド間にコンテナが案内されるようにして、ハッチカバー上へのコンテナ積載荷役作業の効率化及びコンテナのラッシング作業のための危険な高所作業を省略して積載作業の安全化を図り、また、カバー上に積載されたコンテナの総重量の一部が直立柱で負担されるようにすることで、ハッチカバーに負荷されるコンテナの荷重が軽減されるようにしハッチカバーの軽量化を可能にし、ひいては船体の長さが船体の長さ方向に設けられた多数の作業用ステージの長さの合計分の長さを短くすることを可能にしたコンテナ船が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
又、甲板下には隔壁により区画された貨物格納用ホールドを設け、この貨物格納用ホールド下方に於ける船舶の船底及び舷を外側壁と内側壁による二重壁に形成し、この二重壁を構成する外側壁と内側壁との間に海水を収容可能にして二重壁にバラストタンクの機能をもたせると共に、貨物格納用ホールド下方の内側壁に囲まれる内側には燃料タンクとしての機能をもたせ、座礁等により船底や舷に亀裂が生じ外側壁のみが破損してもバラストタンク内の海水を海に漏出させるようにし、燃料タンクは内側壁により保護され、燃料が海に漏れ出さないようにし、居住室は上甲板上の操舵室の下階に設けた構造の貨物船が存在する(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
ところで、上記従来のいずれのコンテナ船も船尾に設けた推進用プロペラがエンジンの出力軸と連結する構成であるため、エンジンを搭載した機関室は必然的に推進用プロペラ近傍に位置する船体後部に位置し、機関室の上方に居住室を、居住室上方には操舵室を階段やエレベータ等で連絡し、船員が各室を容易に行き来可能な構造にしている。船舶は、船橋からの見通し規則(Class NK Chapter 2 NavigationBridge Visibility 2.1.1)により、船首から船長の2倍の長さより手前又は前方500m手前を見通し可能であることが条件となっている。上記特許文献1〜5に記載のコンテナ船は、駆動システムの構造上の見地より、操舵室は船尾側に設けた機関室の上方に位置している。そのため、甲板上に積載するコンテナの大部分は、操舵室の前方から船首に亘り積載することとなる。操舵室の前方から船首に亘り積載するコンテナの積載高さは、前記見通し規則により定められた前方の視界を確保するために、操舵室の高さ以下でなければならず、しかも船首から船長の2倍の長さより手前又は前方500m手前を見通し可能にするため、船首側になるに従い階段状に低く積載する必要性があり、コンテナの積載高さに制限があり、コンテナ積載量が制限されるという問題点があった。操舵室からの見通しを良好にし、しかも積載高さを高くするためには、操舵室の高さを高くすることが考えられるが、コンテナ船には架橋下を通過するための高さ制限があるため、操舵室を高くするという手段は選択できない。
この問題点を解決する為に、船首から船尾に亘り船体内を複数の隔壁により区画して複数の貨物格納用ホールドを設け、甲板には各貨物格納用ホールドの各ハッチ開口を閉塞するハッチカバーを夫々設け、船体の船首側に発電機を具備した発電室を設け、該発電室の上部に操舵室を含む居住室を設け、船尾側には推進用プロペラを回転させる駆動モータを設け、船首側の発電機と船尾側の駆動モータを電気的に接続したコンテナ船が提案されている(例えば、特許文献6参照)。特許文献6に記載のコンテナ船は操舵室が船首側にあるので、最大積載量のコンテナを甲板上に積載しても前方の見通しに何ら影響は無く、安全航行が可能であるという長所がある。
【0006】
上記特許文献1〜6に記載の従来例のコンテナ船は船舶内部に隔壁で区画された複数の貨物格納用ホールドを設け、船体内の各貨物格納用ホールドにコンテナを夫々格納するために、各貨物格納用ホールドの上甲板にはハッチ開口が夫々開設されているため、船体の捩じり強度、縦強度及び局部強度等の船殻強度の確保が困難であった。又、航行の際にはハッチ開口をハッチカバーで閉塞するため各貨物格納用ホールドの通気性が悪く、各貨物格納用ホールドに通風装置を必要とした。又、上甲板上やハッチカバー上にもコンテナを積載し、積載可能なコンテナ量が少なかった。
【0007】
そこで、コンテナを船体内に格納するという従来のコンテナ船の技術常識を排除し、コンテナを上甲板上にのみ積載し船体内には積載しないコンテナ船が提案されている(例えば、特許文献7参照)。特許文献7に記載のコンテナ船は、船体の船尾側に機関室を設け、上甲板上に於ける機関室の上方には高さが操舵室よりやや低い図1中の符号3で示される部分居住室を設け、居住室の上にはコンテナを積載しないようにし、上甲板にはハッチ開口及びハッチカバーを設けず、甲板上の左右両舷にはコンテナポストとして機能する高さの水密トランクを設け、水密トランク上にもコンテナを積載可能にし、甲板下に於ける機関室の前方(船首側)には燃料タンクやバラストタンク等を設け、満載喫水線下の船体形状を痩せ形にして船体造波抵抗を低減して高速化を図り、更に、上甲板上の積載スペースが狭くなった分を補填する為にコンテナ積載段数を増加させてコンテナ積載量を増加させ、更に、船体の傾斜時に要求される復原性能を船体深さを小さくし、つまり船体高さを低くし、水密トランクを両舷側に設けることで改善している。
【0008】
しかしながら、特許文献7に記載のコンテナ船は上甲板上にのみコンテナを積載し、居住室も上甲板上に設け、居住室上にはコンテナを積載不可能な構成にしているため重心が上方に位置し、その結果生じる復原性能の低下を、傾斜時の船体深さを小さくすると共に、両舷に水密トランクを設けることで問題点を解決しようとしている。しかし、バラストタンクが船体の機関室前方の船体内全体に設けているため、実際は傾斜時の復原性能が悪い。又、船首形状が通常船首であるため造波抵抗が大きく、船首が造る波が船首から船尾に亘り船首正面を除く部分で高く、海水が甲板に打ち上がる場合もあり、甲板やコンテナが海水に濡れ易く、船首が造る波が船体の進行方向に沿って繰り返す正弦波形状であるため、船体が前後方向に揺動するという問題点があった。
近年、コンテナ船のような大型船舶は船首の水面下部分に球状部分を設けてを球状船首(バルバスバウ)にし、通常の船首が起こす波と球状部分が起こす波とが互いに打ち消し合って造波抵抗を少なくし、その結果、船舶の揺動を低減し、通常船首の船舶よりも速度を向上させている。図12は球状船首の原理を示す図である。図12中において、点線は球状部分が起こす波、実線が通常船首が起こす波を示す。船首水面下に球状部分を設けることで、通常船首が起こす波(実線)と球状部分が起こす波(点線)とが互いに打ち消し合い、船体のうち船首を除く船体長さ方向中途部分から船尾にかけては、球状船首でない船舶の航行の場合と比較して波が低くなり前後上下揺動は低減される。しかしながら、海水は球状部分の先端から上方へ押し上げるように移動し海面上に位置する船首正面方向に波は打ち上がり、この船首正面に打ち上げる波が、球状船首を具備する船舶を前後上下方向に揺動させる。この船舶の前後上下方向への揺動運動は、上甲板上にのみ積載する構造のコンテナ船に関しては、荷崩れ等を引き起こす一因ともなる。航行時における船体の前後上下揺動運動の一層の低減が、船舶業界に課された課題となっている。
【特許文献1】特開2000−128067号公報
【特許文献2】特開2001−328585号公報
【特許文献3】特開平11−180386号公報
【特許文献4】特開平9−2376号公報
【特許文献5】特開2002−316688号公報
【特許文献6】特開2002−220091号公報
【特許文献7】特開2007−50814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、航行中の船体の前後揺動を低減し、居住室上にもコンテナを積載可能にすると共に甲板上の積載コンテナ量の増量を可能とし、船体の横方向傾斜を効率よく調整可能なコンテナ船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明のうち請求項1に記載の発明は、コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り左右側方に突き出して設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り、左右側方に突き出して設け、前記船体の船首側から船尾側に亘り、縦隔壁と該縦隔壁と直交する横隔壁により複数の空間を設け、船底と横隔壁により囲まれた最下層空間のうち船体の縦中心線上に位置する空間以外の空間をバラストタンクとし、船体の左右両舷側に位置する対となるバラストタンクは、船体の縦中心線を中心として左右対称の同一形状を有して対向する位置に夫々設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り、左右側方に突き出して設け、前記船体の船首板と横隔壁により囲まれた最下層空間のうち、船尾側に於ける船体の縦中心線上に位置する空間以外の空間をバラストタンクとし、船体の船尾側に於ける左右両舷側に位置する対となるバラストタンクを、船体の縦中心線を中心として左右対称に対向する位置に夫々設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、上記左右両舷側に設けた対となるバラストタンクは、バラストタンク上端横断面の横幅が船体型幅の夫々1/3であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、上記水平板が、該水平板の上面を上面の延長線が船体の縦方向中心線と直交する平坦面に形成され、水平板の下面は水平板の肉厚を船体側から外側方にかけて漸次薄くなるような傾斜面に形成されてなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、上記船首が、該船首の下部に於ける満載喫水線位置には船尾方向に窪む凹部を設けたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、上記船体には居住室を操舵室の下方に設けることなく甲板下に設け、前記居住室の上方にコンテナを積載可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、甲板にハッチ開口を開設しないので、船体の捩じり強度、縦強度及び局部強度等の船殻構造強度が増すという効果がある。
本願発明は、重量のあるハッチカバーを具備しないため船体の軽量化を図ることが出来、又、船舶製造コストがハッチカバーの製造費用分を低減化できるという効果がある。
本願発明は、居住室上を含む甲板上にコンテナを積載する構造であるので、コンテナの荷積み及び荷下ろし作業性が向上するという効果がある。
本願発明は、船首の水面下に設けた球状船首の球状部分前端から船体の前部に亘り水平板を左右側方に突設しているので、航行の際に球状部分前端から発生し船首側板に沿って上方向へ進み船首正面に打ち上げようとする波を、水面下にて水平板下面により横方向へ案内し、球状部分で起きた波は海面上の船首正面に打ち上がらず、造波抵抗が極めて小となり、船体は前後方向或いは上下方向に揺動せず、航行中の船体の安定性が一層向上し、航行速度も速くなるという効果がある。
本願発明は、船首の下部に於ける満載喫水線位置には凹部を設けているため、航行の際に球状部分前端から発生し船首側板に沿って上方向へ進み船首正面に打ち上げようとする球状船首由来の波が、凹部の上壁面に当たり、凹部の上壁面で下方に跳ね返されるため、球状部分で起きた波は全く船首正面に打ち上がらず、造波抵抗はなく、船体は凹部を有しない球状船首と比較して揺動せず、一層スピードを出すことが出来るという効果がある。
本願発明は、船体型幅を縦隔壁で3等分に区画して型幅方向に3空間を形成し、船体縦中心線上に位置する空間はバラストタンクとして用いず、船体縦中心線を中心として対称となる左右両舷側に位置する空間を1対のバラストタンクとして使用することで、バラストタンクに必要な喫水機能を保持しつつ横傾斜調整機能を向上させ、且つ船体内の限られたスペースを有効活用可能であるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上甲板にハッチ開口及びハッチカバーを設けないことで船殻構造強度を高め、コンテナを居住室を含む甲板上に積載することでコンテナの積載及び積み下ろし作業の安全性及び作業性を向上させると共に積載コンテナ量を増量可能にし、球状船首に水平板を設けることで船舶航行の際に球状船首が造り出す上向きの波を横方向へ導き船首正面に打ち上げる波を低くし、船首下部に凹部を設けることで球状船首由来の波を凹部上壁面に跳ね返らせて下方に進ませ船首正面に打ち上げる波を無くし、造波抵抗を著しく小さくして航行の際に発生する前後上下方向への揺動運動を著しく低減させ船舶の安定した航行及び船舶の高速化を実現した。又、喫水調整や横傾斜調整のためのバラストタンクを船体縦中心線を中心として左右両舷側に左右対称に設け、船舶によっては船体縦中心線上に位置する空間はバラストタンクとして用いないことで、バラストタンクに必要な喫水機能を保持しつつ横傾斜調整機能の向上及び船体内部の有効活用が可能なスペースの確保を実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の実施例におけるコンテナ船にコンテナを積載した状態の概略的左側面図、図2はコンテナ船にコンテナを積載した状態の一部切欠平面図、図3は図1のA−A線に沿う概略断面図、図4は図1のC−C線に沿った各タンク及び水平板の配置状態を示す説明図である。
【0014】
図1〜図4において、船体1の内部には、船首側にハウスラスター室2を設け、船尾側に機関室3を設けている。船体1の内部であって上甲板4の下方に於けるバウスラスター室2の後方には、船体1の縦中心線と直交して縦隔壁51を設け、バウスラスター室2と縦隔壁51との間には船体1の縦中心線上に位置して縦隔壁61を配設し、縦隔壁61を中心として左右両舷側に1対のバラストタンク71、71が設けられている。縦隔壁51から機関室3に亘り、縦隔壁51、61と90度の角度を有して横隔壁8が配設され、横隔壁8により上甲板4と船底板9との間を上下に2分している。
【0015】
バラストタンク71、71の後方に於いて、横隔壁8と船底板9との間は、横隔壁8と90度の角度を有し、縦隔壁51と互いに平行な位置関係に離隔された縦隔壁52、53、54、55が配設されている。横隔壁8の下方に於いて、縦隔壁51と縦隔壁52との間には船体1の縦中心線上に縦隔壁62を配設し、縦隔壁62を中心として左右両舷側に1対のバラストタンク72、72を設けている。横隔壁8の下方に於いて縦隔壁52から縦隔壁55に亘り、船体1の長さ方向に沿って船体1の縦中心線と平行に配設され船体1の型幅(横幅)を3等分する位置に、縦隔壁63、64が縦隔壁53、54と直交して配設され、縦隔壁52、53、54と縦隔壁63、64により6個のバラストタンク73、73、73、74、74、74が設けられている。縦隔壁54、55と縦隔壁63、64により、船体1の型幅を3等分に区画された3空間のうち中央区画を除く左右両舷側に位置する空間をバラストタンク75、75となし、バラストタンク75、75との間の型幅方向中央に位置する空間部10はタンクとして使用しない。横隔壁8と上甲板4との間には、複数の縦隔壁11によって空間部12や清水タンク13或いは燃料タンク14が設けられている。尚、実施例1では、空間部10を船尾側に設けているが、本発明はこれに限定しない。船体1の長さ方向に縦隔壁53、54で区画され、さらに型幅方向に縦隔壁63、64で3等分された区画のうち、船体中央部区画74、74、74の中央に位置する区画74、或いは船首側区画73、73、73の中央に位置する区画73の何れかを空間部とし、左右両舷側に位置する各1/3区画をバラストタンクとして用いることも本願発明に包含される。
【0016】
機関室3にはエンジン等の主機関(図示せず)が設けられ、出力軸(図示せず)には推進用プロペラ15が取り付けられ、推進用プロペラ15の後方には舵装置16が設けられている。機関室3の上方であって、上甲板4上には居住室17が設けられ、居住室17の上方には操舵室18が設けられている。操舵室18、居住室17及び機関室3は、階段、エレベーター等により船員が容易に行き来可能に連絡している。
【0017】
上甲板4にはセルガイド19を船体1の長さ方向に所定間隔離隔して設けている。実施例1におけるセルガイド19は、断面10cm×15cm程度の同一長さの角柱よりなる支柱を船体1の型幅方向に一定間隔離隔して立設し、支柱の上端には角柱を架設して連結し、積載コンテナ20の下段後部を掛止する機能を有するものであるが、本願発明のセルガイドはこれに限定するものではなく、公知のセルガイドの何れを用いてもよい。
【0018】
図1、図5及び図6に示すように、船首海面21下には球状船首22を設けている。水平板23は、球状船首22の前端から船体1の前部に亘り、左右側方に突き出して設けている。図5に示すように、水平板23は、水平板上面が船体1の縦中心線と90度の角度を有して左右側方に延びる平坦面に形成され、水平板下面は船体1に取り付けられている基部側から左右外側方にかけて上傾する傾斜面に形成されている。
【0019】
球状船首22の上方であって船首の下部に於ける満載喫水線位置には、船尾方向に窪み船体1の型幅方向(横方向)に延びる凹部24を設けている。凹部24は、満載喫水線と平行な平坦な上壁面25と、上壁面25と平行な平坦面よりなる下壁面26と、満載喫水線と90度の角度を有する側壁27とよりなる。凹部24は、下方向から上方向へ進む波を跳ね返す為に上壁面25が満載喫水線と平行であれば足り、下壁面26や側壁27の形状は不問である。
【0020】
次に作用及び効果について説明する。
上記構成のコンテナ船は、上甲板4にコンテナ20を複数列複数段積載し、コンテナ20の後部をセルガイド19で係止ロックさせて航行するものである。
航行中の球状船首22から起こった波は、図6中に矢印で示すように上方へ移動しようとする。しかし、本願発明は球状船首22に水平板23を左右側方にフランジ状に突設しているので、図5及び図6中の波の移動を示す矢印の通り、船首波は水平板23の下面傾斜面に案内されて外側方向へ進み、船首波の高さは低くなる。つまり、球状船首22の球状部分で起こった波の高さが低くなる。船首正面に打ち上げる波は、凹部24の上壁面25に当たり下方向へ跳ね返されるため無くなる。又、図6に示すように、通常船首が起こす波と球状船首22が起こす波とが互いに打ち消し合い、船体1の船首以外の部分の波も極めて低減され、航行中の船体1の前後上下方向への揺動は極めて低減される。このように、球状船首22に水平板23を設け、球状船首22の上方位置であって船首下部の満載喫水線位置に凹部24を設けることで、球状船首から起こる波が凹部24の上壁面24に跳ね返されて海中にて下方に進み、船首正面に打ち上がらなくなり、航行の際の船首波を原因とする船体の揺れが殆ど無くなる。又、居住室17の上にもコンテナ20の積載が可能なため、コンテナ積載総重量が増加可能となる。船首波が無くなると共に、船体1の揺れが極めて少なくなるため上甲板4上への積載コンテナ量が増加しても安定した航行をするという効果がある。
船尾側に型幅を3等分に区画し、中央の区画をタンクとして使用せず、左右両舷側に位置するタンクをバラストタンク75、75となし、該バラストタンク75、75は船体1の縦中心線を中心として左右対称となるように対設したので、横傾斜調整機能が向上するという効果がある。型幅を3等分に区画した場合、船体1の縦中心線上に配置された型幅の1/3の幅を有する中央の区画は横傾斜調整機能を有さないという理由によるものである。
【実施例2】
【0021】
図7及び図8に示される実施例2について説明する。図1〜図6に示される実施例1と異なる点は船首に凹部を設けていない点であり、その他の構成は実施例1のコンテナ船と同じである。実施例2では、船首水面下には水平板23を具備した球状船首22を設けている。実施例2のコンテナ船であると、球状船首22から起こった波は水平板23の下面に案内されて横外側方向に進み、図8中で矢印で示すように船首のうち球状船首22の上方に、僅かに船首に球状船首から起きる波が打ち上がる。従来のコンテナ船に比較して揺動が軽減される。
【実施例3】
【0022】
図9〜図11に示される実施例3について説明する。説明を簡単にするために、図1〜図4と同様の作用をなす部分は同一符号を用いて説明する。
バウスラスター室2から機関室3にかけては、横隔壁8により上甲板4から船底板9との間を上下に2分している。横隔壁8と船底板9との間には、船体1の縦中心線上に配設された縦隔壁65と、船体1の型幅を3等分する縦隔壁66、67と、船体1の長さ方向に平行に離隔された縦隔壁56、57、58、59によりバラストタンク76、76、77、77、78、78が設けられている。バラストタンク77とバラストタンク78との間に介在する区画はタンクとして使用しない。船体1の型幅を3等分し、船体1の縦中心線上に配設される中央区画をタンクとして使用しないことで、一層横傾斜調整機能が向上する。
上甲板4と横隔壁8との間には居住室28と燃料タンク29を区画して設けている。上甲板4の上面であって船首側には操舵室18を設けている。操舵室18を船首側に設けることでコンテナ20により視界が妨げられず、コンテナ20の積載段数を増加することが出来る。又、球状船首22に水平板23を設けることで、航行中の船体1の前後上下揺動が低減されるので、コンテナ積載量の飛躍的な増量が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンテナ船にコンテナを積載した状態の概略的左側面図である。(実施例1)
【図2】コンテナ船にコンテナを積載した状態の一部切欠平面図である。(実施例1)
【図3】図1のA−A線に沿う概略断面図である。(実施例1)
【図4】図1のB−B線に沿った各タンク及び水平板の配置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図5】船体を正面から見た場合の船首波の進行状態を示す説明図である。(実施例1)
【図6】船体を側面から見た場合の船首波の進行状態を示す説明図である。(実施例1)
【図7】コンテナ船にコンテナを積載した状態の概略的左側面図である。(実施例2)
【図8】船体を側面から見た場合の船首波の進行状態を示す説明図である。(実施例2)
【図9】コンテナ船にコンテナを積載した状態の概略的左側面図である。(実施例3)
【図10】コンテナ船にコンテナを積載した状態の一部切欠平面図である。(実施例3)
【図11】図9のC−C線に沿った各タンク及び水平板の配置状態を示す説明図である。(実施例3)
【図12】球状船首の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 船体
4 上甲板
11、51、52、53、54、55、56、57、58、59、61、62、63、64、65、66、67 縦隔壁
71、72、73、74、75、76、77、78 バラストタンク
8 横隔壁
9 船底板
10、12 空間部
17、28 居住室
18 操舵室
20 コンテナ
21 海面
22 球状船首
23 水平板
24 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、
水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り左右側方に突き出して設けたことを特徴とするコンテナ船。
【請求項2】
コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、
水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り、左右側方に突き出して設け、
前記船体の船首側から船尾側に亘り、縦隔壁と該縦隔壁と直交する横隔壁により複数の空間を設け、
船底と横隔壁により囲まれた最下層空間のうち船体の縦中心線上に位置する空間以外の空間をバラストタンクとし、
船体の左右両舷側に位置する対となるバラストタンクは、船体の縦中心線を中心として左右対称の同一形状を有して対向する位置に夫々設けられていることを特徴とするコンテナ船。
【請求項3】
コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、
水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り、左右側方に突き出して設け、
前記船体の船首側から船尾側に亘り、縦隔壁と該縦隔壁と直交する横隔壁により複数の空間を設け、
船底と横隔壁により囲まれた最下層空間のうち、船尾側に於ける船体の縦中心線上に位置する空間以外の空間をバラストタンクとし、
船体の船尾側に於ける左右両舷側に位置する対となるバラストタンクを、船体の縦中心線を中心として左右対称に対向する位置に夫々設けられていることを特徴とするコンテナ船。
【請求項4】
上記左右両舷側に設けた対となるバラストタンクは、バラストタンク上端横断面の横幅が船体型幅の夫々1/3であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンテナ船。
【請求項5】
上記水平板が、該水平板の上面を上面の延長線が船体の縦方向中心線と直交する平坦面に形成され、水平板の下面は水平板の肉厚を船体側から外側方にかけて漸次薄くなるような傾斜面に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンテナ船。
【請求項6】
上記船首が、該船首の下部に於ける満載喫水線位置には船尾方向に窪む凹部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンテナ船。
【請求項7】
上記船体には居住室を操舵室の下方に設けることなく甲板下に設け、前記居住室の上方にコンテナを積載可能にしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコンテナ船。
【請求項1】
コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、
水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り左右側方に突き出して設けたことを特徴とするコンテナ船。
【請求項2】
コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、
水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り、左右側方に突き出して設け、
前記船体の船首側から船尾側に亘り、縦隔壁と該縦隔壁と直交する横隔壁により複数の空間を設け、
船底と横隔壁により囲まれた最下層空間のうち船体の縦中心線上に位置する空間以外の空間をバラストタンクとし、
船体の左右両舷側に位置する対となるバラストタンクは、船体の縦中心線を中心として左右対称の同一形状を有して対向する位置に夫々設けられていることを特徴とするコンテナ船。
【請求項3】
コンテナを船体内に格納せず上甲板上のみに積載するために、上甲板にハッチ開口及び該ハッチ開口を開閉するハッチカバーを設けず、船首水面下には球状船首を設け、
水平板を前記球状船首の前端から船体の前部に亘り、左右側方に突き出して設け、
前記船体の船首側から船尾側に亘り、縦隔壁と該縦隔壁と直交する横隔壁により複数の空間を設け、
船底と横隔壁により囲まれた最下層空間のうち、船尾側に於ける船体の縦中心線上に位置する空間以外の空間をバラストタンクとし、
船体の船尾側に於ける左右両舷側に位置する対となるバラストタンクを、船体の縦中心線を中心として左右対称に対向する位置に夫々設けられていることを特徴とするコンテナ船。
【請求項4】
上記左右両舷側に設けた対となるバラストタンクは、バラストタンク上端横断面の横幅が船体型幅の夫々1/3であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンテナ船。
【請求項5】
上記水平板が、該水平板の上面を上面の延長線が船体の縦方向中心線と直交する平坦面に形成され、水平板の下面は水平板の肉厚を船体側から外側方にかけて漸次薄くなるような傾斜面に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンテナ船。
【請求項6】
上記船首が、該船首の下部に於ける満載喫水線位置には船尾方向に窪む凹部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンテナ船。
【請求項7】
上記船体には居住室を操舵室の下方に設けることなく甲板下に設け、前記居住室の上方にコンテナを積載可能にしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコンテナ船。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−190717(P2009−190717A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68506(P2008−68506)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(508081798)井本商運株式会社 (5)
【出願人】(599160217)小池造船海運株式会社 (2)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(508081798)井本商運株式会社 (5)
【出願人】(599160217)小池造船海運株式会社 (2)
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