説明

コンテナ荷役車両の配線検査装置

【課題】コンテナ荷役車両の配線検査装置において、被積載コンテナを積載することなく、被積載コンテナとキャリア側制御盤との間での配線状態を検査することができるようにする。
【解決手段】コンテナ荷役車両の配線検査装置70に検査用制御盤71を設け、この検査用制御盤71をキャリア側制御盤に接続することにより、コンテナ側アクチュエータ及びこのコンテナ側アクチュエータを操作するコンテナ側コントローラを有するパッカーコンテナと、このパッカーコンテナを積載可能なキャリアに備えられてコンテナ側アクチュエータを制御可能なキャリア側制御盤との間での配線状態を検査可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを積載可能なコンテナ荷役車両の配線を検査する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、キャリア上に地上との間でコンテナを積み降し可能とする積み降し装置を有するコンテナ荷役車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなコンテナ荷役車両では、一般的に、コンテナ側のコントローラだけでなく、キャリア側にコントローラを有し、このキャリア側コントローラでコンテナ側アクチュエータを操作可能に構成されている。また、コンテナ荷役車両は、パッカーコンテナだけでなく複数種類のコンテナを積載することができるようになっている。
【特許文献1】特開2006−273448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、通常、コンテナ荷役車両のキャリアと、被積載コンテナとを同時に製造するが、時としてコンテナ荷役車両のみ製造する場合がある。このため、キャリアを出荷する前にキャリアと被積載コンテナとの間での信号のやりとりが正常に行えているかどうかを調べる必要がある。この場合、車体の製造工場に被積載コンテナを保管し、この被積載コンテナを車体に積載して検査しなければならない。
【0004】
実際には、搭載可能な被積載コンテナの種類は複数あり、全ての被積載コンテナを保管することは、スペースやコストの面で困難である。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被積載コンテナを積載することなく、被積載コンテナとキャリア側制御盤との間での配線状態を検査することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、コンテナ荷役車両の配線検査装置をキャリア側制御盤に接続して、キャリア側制御盤とコンテナとの間の配線状態を検査するようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明では、コンテナ側アクチュエータ及び該コンテナ側アクチュエータを操作するコンテナ側コントローラを有する被積載コンテナと、該被積載コンテナを積載可能であると共に、上記コンテナ側アクチュエータを制御可能なキャリア側制御盤を有するキャリアとの間での配線状態を検査するコンテナ荷役車両の配線検査装置を対象とする。
【0008】
そして、上記コンテナ荷役車両の配線検査装置は、
上記キャリア側制御盤に接続することにより、上記被積載コンテナと該キャリア側制御盤との間での配線状態を検査可能な検査用制御盤を備えている。
【0009】
上記の構成によると、コンテナ荷役車両の配線検査装置をキャリア側制御盤に接続して被積載コンテナとキャリア側制御盤との間での配線状態を擬似的に検査することにより、キャリアに被積載コンテナを載せることなく、キャリアの出荷時等の検査時に、キャリアと被積載コンテナとの間での信号のやりとりが正常に行えているかどうかを調べることができる。このため、キャリアの製造工場等に被積載コンテナを保管して置く必要はない。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記キャリア側制御盤からの信号の有無を表示可能な表示装置を備えている。
【0011】
上記の構成によると、被積載コンテナをキャリアに載せなくても、キャリア側制御盤からの信号の有無が表示装置上に表示されるので、キャリアと被積載コンテナとの間の配線状態を容易に確認することができる。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、
上記表示装置は、上記被積載コンテナの種類に対応した検査画面が表示可能に構成されている。
【0013】
上記の構成によると、表示装置の検査画面を被積載コンテナに合わせて切り替えることで、複数種類の被積載コンテナを載せ替えることなく、キャリアと複数の被積載コンテナとの間の配線状態を容易に確認することができる。
【0014】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、
上記キャリアに設けられて上記被積載コンテナに対して指令を出すキャリア側コントローラからの信号の有無を表示可能に構成されている。
【0015】
上記の構成によると、キャリア側コントローラを操作すると、キャリア側制御盤がその信号を受け、被積載コンテナに指示を出すが、その指示信号が表示装置上に表示されるので、被積載コンテナがなくても配線状態の検査が行える。
【0016】
第5の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記コンテナ側コントローラは、上記キャリア側制御盤に指示を送るように構成され、 上記表示装置は、タッチパネルであり、該タッチパネルには、コンテナ側コントローラに対応する操作ボタンが表示可能に構成されている。
【0017】
上記の構成によると、被積載コンテナのない状態でも、タッチパネルにコンテナ側コントローラに相当するボタンが表示されるので、このボタンを操作することにより、キャリア側制御盤に信号を送って再びキャリア側制御盤から信号が戻ってくることを画面上で確認することができる。
【0018】
第6の発明では、第2乃至第5のいずれか1つの発明において、
上記表示装置には、上記被積載コンテナのアクチュエータの駆動状況を示す画面を表示可能に構成されている。
【0019】
上記の構成によると、被積載コンテナが積載されていない状態でも、表示装置の画面上でアクチュエータの駆動状況を容易に確認することができる。
【0020】
第7の発明では、第2乃至第6のいずれか1つの発明において、
上記表示装置には、上記被積載コンテナに設けた方向指示器に対する上記キャリア側制御盤からの指示を表示可能に構成されている。
【0021】
上記の構成によると、被積載コンテナが積載されていない状態でも、キャリア側で左右のウインカー操作や後進操作をすると、表示装置の画面上で被積載コンテナの方向指示器の反応を確認することができるので、方向指示器に対する配線状態の検査を容易に行うことができる。
【0022】
第8の発明では、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、
上記キャリア側制御盤からの信号を受けて警報音を鳴らすブザーが設けられている。
【0023】
上記の構成によると、キャリア側から被積載コンテナに装備されたブザーに対して警報音が送られたことを被積載コンテナを載せることなく確認することができる。
【0024】
第9の発明では、第1乃至第8のいずれか1つの発明において、
上記被積載コンテナは、
パッカーコンテナであり、
後方開口部を有する塵芥収容箱と、
上記塵芥収容箱の後方開口部に連設された塵芥投入箱と、
上記塵芥投入箱に設けられ、上記塵芥投入箱に投入された塵芥を上記塵芥収容箱に積込む塵芥積込装置とを備え、
上記コンテナ側アクチュエータは、上記塵芥積込装置を駆動する油圧シリンダと、上記塵芥収容箱内の排出板を前後移動させる油圧シリンダとを含む。
【0025】
上記の構成によると、パッカーコンテナを載せることなく、キャリア側からのパッカーコンテナに装備された各油圧シリンダへの操作指示信号が正確に出されているかの確認をすることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明のコンテナ荷役車両の配線検査装置によれば、配線検査装置をキャリア側制御盤に接続することにより、被積載コンテナを積載することなく、被積載コンテナとキャリア側制御盤との間での配線状態を検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
−コンテナ荷役車両の構成−
図1はこの発明の実施形態に係るコンテナ荷役車両1を示し、このコンテナ荷役車両1は、車台2とキャブ3とを有し、これら車台2とキャブ3とでキャリア4を構成している。車台2に、被積載コンテナとしてのパッカーコンテナ5が搭載されている。このパッカーコンテナ5は、キャリア4に装備された荷役装置6によって積み降ろし可能に搭載されている。詳しくは図示しないが、キャリア4には、被積載コンテナとして他にバンコンテナ、給水用タンクコンテナ、多目的オープンコンテナ等が搭載可能となっている。
【0029】
図2にも示すように、上記荷役装置6は、後端が車台2後端に軸支された水平アーム6aと、この水平アーム6aの先端に軸支され、伸縮可能に設けられたL字状の荷役フレーム6cとからなる。荷役フレーム6cは、垂直アーム6bを備え、この垂直アーム6bの上端にパッカーコンテナ5前端上部の掛合部7に掛止するフック8が設けられている。上記水平アーム6aと車台2の前部とに荷役フレーム6cを車体後方へ回動させるための傾動シリンダ9が連結されている。図中、10はL字状の荷役フレーム6cを伸縮させるスライドシリンダである。これら傾動シリンダ9とスライドシリンダ10とでキャリア4側のアクチュエータを構成している。また、車台2の後端には、パッカーコンテナ5の主桁11をスライドさせるための案内ローラ12が支持されている。
【0030】
図8に示すように、キャリア4は、エンジン4aを備え、このエンジン4aから動力取出装置(PTO)4bによって動力を取り出し、油圧ポンプ4cを駆動するようになっている。この油圧ポンプ4cから吐出された高圧油は、入力配管4dを通ってキャリア側油圧切替部4eに到る。詳しくは図示しないが、このキャリア側油圧切替部4eには、複数の電磁切換弁が設けられ、これら電磁切換弁を切り替えることで油圧配管4fを介してキャリア4側のアクチュエータ(傾動シリンダ9及びスライドシリンダ10)が駆動されるようになっている。また、キャリア側油圧切替部4eからリターン配管4gを通ってリザーバ4hに作動油が戻るようになっている。また、キャリア側油圧切替部4eを通ってパッカーコンテナ5側へ作動油を行き来させるためのキャリア側接続配管4iが設けられている。キャリア側接続配管4iの先端には、キャリア側カプラ4jが接続されている。
【0031】
図3及び図4に示すように、パッカーコンテナ5は、後方開口部13aを有する塵芥収容箱13と、この塵芥収容箱13の後方開口部13aに連設された塵芥投入箱14とを備えている。この塵芥投入箱14には、塵芥投入箱14に投入された塵芥を塵芥収容箱13に積込む塵芥積込装置15が装備されている。図1及び図2に示すように、パッカーコンテナ5の後端下面には、キャスター5aが回転自在に支持され、前端下面には、載置用の脚部5bが設けられている。図1に仮想線で示すように、この塵芥投入箱14は、塵芥収容箱13と塵芥投入箱14との間に設けられた回動シリンダ29により、投入箱支持ピン5cを中心に回動自在に構成されている。
【0032】
図3に拡大して示すように、塵芥投入箱14の両側壁には案内溝部材18が補強枠を兼ねて前方上部より後方下部に向かって敷設されている。塵芥投入箱14内にはその横幅一杯に広がる摺動板20が収容されている。この摺動板20の両側縁の上下には、案内ローラ21が回転可能に設けられている。これらの案内ローラ21は、上記案内溝部材18の内壁に沿って摺動自在に嵌入されている。
【0033】
上記摺動板20の背面上部の左右端部に設けたボス部19には、摺動板支持軸22が挿通されている。この摺動板支持軸22が摺動板20の摺動距離に合致して塵芥投入箱14の側壁に形成された摺動用開口30を越えて塵芥投入箱14の内側より外側に突出するように配置されている。
【0034】
塵芥投入箱14の側壁から外側に突出した摺動板支持軸22と塵芥投入箱14の下部間には、塵芥投入箱14の外側で案内溝部材18の傾斜方向に沿って設けられた摺動シリンダ23が連結されている。摺動シリンダ23は、棒状のシリンダロッド23aと、塵芥投入箱14の側壁に取り付けられた円筒状のシリンダチューブ23bとを備えている。この摺動シリンダ23の伸縮作動によって摺動板20を案内溝部材18に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0035】
上記摺動板20の下端には、塵芥投入箱14の横幅一杯に広がる圧縮板25が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板25の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。上記圧縮板25の背面に突設した接続部25aと上記摺動板20の背面上部に設けられた摺動板支持軸22との間には、揺動シリンダ24が連結され、この揺動シリンダ24の伸縮作動によって上記圧縮板25を前後に揺動させるようにしている。
【0036】
このように構成された塵芥積込装置15は、図4に示すように、摺動シリンダ23、揺動シリンダ24がいずれも伸長して摺動板20が上昇終了位置にある状態で、投入口14aを通して塵芥80を塵芥投入箱14内に投入し、積込動作を開始する。まず、図5に示すように、揺動シリンダ24が縮退作動して圧縮板25が反転作動し、反転終了位置に達する(反転工程)。この後、図6に示すように、摺動シリンダ23が縮退作動して摺動板20が下降し、これに伴って圧縮板25が下降工程に移行する。次に、図7に示すように、圧縮板25が下降終了位置に達すると、揺動シリンダ24を伸長させて圧縮板25を前方に揺動させ圧縮工程に移行する。そして、圧縮板25が最前方位置まで揺動すると、摺動シリンダ23を伸長させて圧縮板25を上昇させることによって上昇工程に移行し、この圧縮板25が図4に示す上昇終了位置に達すると、一連の積込動作を終了する。これにより反転、下降、圧縮、上昇の各工程を1サイクルとした塵芥積込動作を繰り返して行うことができるようになっている。
【0037】
図4等に示すように、上記塵芥収容箱13内には排出板27が前後方向に摺動自在に配設されている。排出板27は、塵芥収容箱13の横幅及び上下高さと略同じ大きさに形成された板状体であり、排出シリンダ26の伸縮動作により塵芥収容箱13内を前後に摺動するようになされている。
【0038】
また、詳しくは図示しないが、パッカーコンテナ5には、塵芥投入箱14を塵芥収容箱13に固縛するためのロック機構を有し、このロック機構が備えるロックシリンダ31を伸縮させることで、ロック状態とロック解除状態とを切換可能に構成されている。
【0039】
図9に示すように、上記パッカーコンテナ5には、コンテナ側油圧回路40が設けられている。このコンテナ側油圧回路40に上記回動シリンダ29、上記摺動シリンダ23、揺動シリンダ24、排出シリンダ26及びロックシリンダ31が、コンテナ側アクチュエータとして接続されている。キャリア4の油圧ポンプ4cで高圧にされた高圧油は、キャリア側接続配管4iを介してパッカーコンテナ5に供給される。キャリア側接続配管4iのキャリア側カプラ4jをコンテナ側接続カプラ41に接続することで、作動油の行き来が可能となる。コンテナ側接続カプラ41からコンテナ側接続配管42を介してコンテナ側油圧切替部43に作動油が供給されるようになっている。この油圧切替部43は、図示しない複数の電磁弁を備え、キャリア側制御盤50又はコンテナ側制御盤45によって制御されるようになっている。つまり、キャリア側制御盤50又はコンテナ側制御盤45の信号を受けて電磁弁の開閉ポートを切り替えることにより、油圧ポンプ4cから吐出された作動油を油圧配管44を介して所望のシリンダ23,24,26,29,31に対して供給するものであり、これにより、各シリンダ23,24,26,29,31のシリンダロッドの伸縮動作の切り替えが制御され、又は運転が停止される。
【0040】
図1に示すように、キャブ3内には、パッカーコンテナ5に対して指令を出すキャリア側コントローラとしてのフロントパネル51が設けられている。このフロントパネル51からの指示は、キャリア側制御盤50に入力されるようになっている。キャリア側制御盤50は、この信号をコンテナ側制御盤45を介して又は直接コンテナ側油圧切替部43に入力信号を送信するようになっている。
【0041】
図10に示すように、フロントパネル51の右端側には、切換スイッチ52が設けられている。この切換スイッチ52は、上下2位置に操作することで、積込動作と排出動作とを切換可能となっている。上方に切り替えて積込動作とすることで、塵芥積込装置15による積込動作が可能となり、下方に切り替えて排出動作とすることで、排出シリンダ26の操作や、塵芥積込装置15による排出動作(かき出し動作)が可能となる。また、切換スイッチ52の左隣には、ホッパスイッチ53が設けられている。このホッパスイッチ53は、中立位置から上下2方向に操作可能に構成され、上方に操作して回動シリンダ29を伸長させて塵芥投入箱14を投入箱支持ピン5cを中心に回動させて後方開口部13aを開き、下方に操作して回動シリンダ29を縮小させて塵芥投入箱14で後方開口部13aを閉じるように構成されている。ホッパスイッチ53の左隣には、排出板スイッチ54が設けられている。この排出板スイッチ54は、中立位置から上下2方向に操作可能に構成され、上方に操作して排出シリンダ26を伸長させて排出板27を後方へ移動させ、下方に操作して排出シリンダ26を縮小させて排出板27を前方へ移動させるように構成されている。さらに、フロントパネル51の左端側には、かき出しスイッチ55が設けられている。このかき出しスイッチ55は、かき出し作動スイッチ55aとかき出し停止スイッチ55bとを備えている。かき出し作動スイッチ55aを押すと、塵芥投入箱14を傾動させた状態で塵芥積込装置15を作動させて塵芥投入箱14内に残っている塵芥80を外部にかき出し、かき出し停止スイッチ55bを押すことで塵芥積込装置15のかき出し作動を停止させるようにしている。また、フロントパネル51の上側には、パイロットランプ56,57,58も設けられている。具体的には、ロック開ランプ56、落下防止ランプ57及びメイン電源ランプ58が設けられている。さらに、図1に示すように、キャブ3には、キャブ内コントロールスイッチ59が設けられ、傾動シリンダ9及びスライドシリンダ10を伸縮させる起伏操作信号をキャリア側制御盤50に入力可能となっている。
【0042】
図1、図9及び図11に示すように、パッカーコンテナ5は、後端にコンテナ側アクチュエータを操作するコンテナ側コントローラとしてのリヤパネル60を備えている。リヤパネル60には、塵芥積込装置15の積込動作を開始させる積込ボタン61と、摺動板20を下降させる下降ボタン62と、摺動板20を上昇させる上昇ボタン63と、圧縮板25を反転動作させる反転ボタン64とが縦に並んで設けられている。反転ボタン64の下には、緊急停止ボタン65が設けられている。例えば、緊急停止ボタン65は、他のボタン61〜64が黒色なのと違って赤色として目立ちやすくしている。積込ボタン61の上には、警報を鳴らしてキャリア4側に知らせるための連絡ブザーボタン66が設けられている。リヤパネル60からの信号は、キャリア側制御盤50及びコンテナ側制御盤45に送られるように構成されている。
【0043】
−コンテナ荷役車両の配線検査装置の構成−
次いで、本実施形態の配線検査装置70の構成について説明する。この配線検査装置70は、キャリア側制御盤50に接続することにより、パッカーコンテナ5とキャリア側制御盤50との間での配線状態を検査可能な検査用制御盤71を内蔵している。
【0044】
また、配線検査装置70は、キャリア側制御盤50からの信号の有無を表示可能な表示装置としてのタッチパネル72を備えている。詳細は後述するが、このタッチパネル72は、パッカーコンテナ5の種類に対応した検査画面、フロントパネル51からの信号の有無、パッカーコンテナ5のアクチュエータの駆動状況、パッカーコンテナ5に設けた方向指示器に対するキャリア側制御盤50からの指示等を表示可能に構成されている。
【0045】
また、タッチパネル72の下方には、キャリア側制御盤50からの信号を受けて警報音を鳴らすブザー73が設けられている。
【0046】
ブザー73とタッチパネル72との間には、配線検査装置70の運転モードを切り替えるための運転モード切替スイッチ74が設けられている。また、運転モード切替スイッチ74の右側には、DC24V電源供給用スイッチ75が設けられている。タッチパネル72の上方には、配線検査装置70の電源ランプ76が設けられている。配線検査装置70の電源は、コンセント77を介して外部電源から得られるようになっている。なお、バッテリーを内蔵させて外部電源のないところでも使用可能としてもよい。
【0047】
さらに、配線検査装置70は、キャリア側制御盤50に接続するためのハーネス78を備えている。
【0048】
−作動−
次に、本実施形態にかかるコンテナ荷役車両の配線検査装置の作動について説明する。
【0049】
まず、検査対象のキャリア4のところに配線検査装置70を持ち込み、ハーネス78をキャリア側制御盤50に接続する。そして、配線検査装置70のコンセント77を外部電源につなぐと、配線検査装置70の電源ランプ76が点灯する。
【0050】
次いで、DC24V電源供給用スイッチ75をキャリア側にしてキャリア4に制御用の電源を供給する。すると、タッチパネル上に初期画面が現れる。例えば、運転モード切替スイッチ74を自動にしていると、図14の自動用確認画面100が現れる。
【0051】
ここで、自動用確認画面100について説明する。自動用確認画面の左上には、メニューボタン101が現れる。このメニューボタン101を押すと、画面が切り換わってコンテナパターンを選択するようになっている。本実施形態のように標準的なパッカーコンテナ5だけでなく、独立エンジン付パッカーコンテナ、モータ付パッカーコンテナなど例えば6種類のコンテナが選択できる。詳しくは説明しないが、各コンテナに対応した確認画面が表示されるこのように、タッチパネル72の検査画面をパッカーコンテナ5に合わせて切り替えることで、複数種類のパッカーコンテナ5を載せ替えることなく、キャリア4と複数のパッカーコンテナ5との間の配線状態を容易に確認することができる。
【0052】
メニューボタン101の右隣には、手動画面切替ボタン102が表示されている。この手動画面切替ボタン102を押すと、手動用確認画面に切り換わって、手動により、各項目の細かい確認が可能となる。一方、この自動用確認画面100では、プログラミングにより、全検査項目を自動で検査することも可能であり、キャリア4側のボタン操作は自動で検査を行い、コンテナ5側のボタン操作は、タッチパネル72でボタンを押して検査を行うようにしてもよい。自動モードのときに、配線状態に異常があるときにはブザー73を鳴らすようにしてもよい。
【0053】
メニューボタン101の下方には、フロントパネル確認ボタン103が表示されている。フロントパネル51の切換スイッチ52、ホッパスイッチ53、排出板スイッチ54、かき出しスイッチ55を操作したときに、それぞれの操作に対応する4つの作動確認ボタン103aが表示されている。作動確認ボタン103aの上方にパイロットランプ56,57,58に対応する3つのランプ確認ボタン103bが表示されている。パイロットランプ56,57,58が点灯するときには、各ランプ確認ボタン103bが点灯するようになっている。このように、フロントパネル51を操作すると、キャリア側制御盤50がその信号を受け、パッカーコンテナ5に指示を出し、この指示信号がタッチパネル72上に表示される。
【0054】
なお、フロントパネル確認ボタン103の右隣には、コンテナエンジンボタン104が表示可能となっている。パッカーコンテナ5が独立エンジンを内蔵している場合には、この部分のコンテナエンジンボタン104が表示される。
【0055】
自動用確認画面100の右側には、リヤパネルボタン105が表示される。このリヤパネルボタン105には、リヤパネル60の積込ボタン61、下降ボタン62、上昇ボタン63、反転ボタン64、緊急停止ボタン65及び連絡ブザーボタン66に対応する6つの操作ボタン105aがリヤパネル60と同じ順に表示されている。この操作ボタン105aは、タッチパネル72上で押圧可能なように大きめに表示されている。また、リヤパネルボタン105には、コンテナ側ホッパSWの開ボタン105b及び閉ボタン105c並びにコンテナロックボタン105d、インターロックボタン105eが表示されている。
【0056】
自動用確認画面100の左下には、動作表示106が表示されている。この動作表示106は、コンテナ5の側面を模式的に示し、各シリンダのある位置にシリンダの動作を示す矢印が表示されている。コンテナ側油圧切替部43の各バルブに信号を送る制御信号が送られると、その各シリンダに対応する部分が点灯や点滅により表示される。
【0057】
具体的には、フロントパネル51の各ボタン52〜55を押したとき、対応するシリンダの動きが矢印で表示される。リヤパネルボタン105でボタン105a〜105dをタッチした場合にも、キャリア側制御盤50にいったん信号が送られてコンテナ5側に戻ってきて、各シリンダの矢印が点灯する。インターロックボタン105eを押すことにより、キャリア4でコンテナ5に対する操作を行っても、コンテナ5はいずれの動作も行わなくなるが、そのこともインターロック表示が点灯することで確認される。なお、キャリア4のエンジン4aや油圧ポンプ4cが作動中にも、その表示が現れる。このように、パッカーコンテナ5のない状態でも、リヤパネルボタン105を操作することで、キャリア側制御盤50に信号を送って再びキャリア側制御盤50から信号が戻ってきて、その動作が動作表示106で表示される。
【0058】
動作表示106の右方には、方向指示器表示107が表示されている。この方向指示器表示107には、コンテナ5の背面の模式図が表示され、左右のウインカー表示107a、ブレーキランプ表示107b、バックランプ表示107cが表示される。このように、パッカーコンテナ5が積載されていない状態でも、キャリア4側のウインカーや後進操作をすると、タッチパネル72の画面上でパッカーコンテナ5の方向指示器の反応を確認することができる。さらに、キャリア4側で作業灯スイッチ(図示せず)が押されると、作業灯表示107dが点灯する。
【0059】
また、キャリア4側のブザーボタン(図示せず)が押され、パッカーコンテナ5に装備されたブザー(図示せず)に対して警報音が送られたことは、配線検査装置70のブザー73がなることで、確認できる。
【0060】
このように、パッカーコンテナ5をキャリア4に載せなくても、配線検査装置70をキャリア側制御盤50に接続することにより、パッカーコンテナ5とキャリア側制御盤50との間での配線状態を検査できるので、キャリア4にパッカーコンテナ5を載せることなく、キャリア4の出荷時等の検査時に、キャリア4とパッカーコンテナ5との間での信号のやりとりが正常に行えているかどうかを調べることができる。このため、キャリア4の製造工場等にパッカーコンテナ5を保管して置く必要はない。
【0061】
したがって、本実施形態にかかるコンテナ荷役車両の配線検査装置70によれば、配線検査装置70をキャリア側制御盤50に接続することにより、パッカーコンテナ5を積載することなく、パッカーコンテナ5とキャリア側制御盤50との間での配線状態を検査することができる。
【0062】
−実施形態の変形例−
上記パッカーコンテナ5には、独立エンジンが積まれていないが、独立エンジンと、この独立エンジンに駆動される油圧ポンプと、リザーバタンクとを備えたパッカーコンテナであってもよい。この場合には、例えば、フロントパネル51の右側に、独立エンジンを起動するボタンと、停止するボタンとを設け、自動用確認画面100に、コンテナエンジンボタン104を表示し、キャリア4側の信号がコンテナ5側に正確に送られたかどうかを確認できるようにすればよい。このことで、コンテナ5がなくても、独立エンジンの起動及び停止操作が可能かを確認することができる。
【0063】
また、上記塵芥積込装置15は、摺動板20と、圧縮板25と、これらを駆動するアクチュエータとで構成されているが、回転板と、押込板と、これらを駆動するアクチュエータとで構成する、いわゆる回転板方式の塵芥積込装置であってもよい。
【0064】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、独立エンジン付やモータ付などのコンテナを搭載可能なコンテナ荷役車両の配線状態をコンテナを載せることなく検査する検査装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】コンテナ荷役車両を示す側面図である。
【図2】パッカーコンテナを降ろす動作中のコンテナ荷役車両を示す側面図である。
【図3】塵芥投入箱の上部及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図4】反転工程にある塵芥積込装置を拡大して示す側面図である。
【図5】下降工程にある塵芥積込装置を拡大して示す側面図である。
【図6】圧縮工程にある塵芥積込装置を拡大して示す側面図である。
【図7】上昇工程にある塵芥積込装置を拡大して示す側面図である。
【図8】キャリア側の油圧回路図である。
【図9】コンテナ側の油圧回路図である。
【図10】フロントパネルを拡大して示す正面図である。
【図11】リヤパネルを拡大して示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係るコンテナ荷役車両の配線検査装置を示す正面図である。
【図13】配線検査装置の操作部分を拡大して示す正面図である。
【図14】自動用確認画面を拡大して示す正面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 コンテナ荷役車両
4 キャリア
5 パッカーコンテナ(被積載コンテナ)
13 塵芥収容箱
13a 後方開口部
14 塵芥投入箱
15 塵芥積込装置
23 摺動シリンダ(コンテナ側アクチュエータ)
24 揺動シリンダ(コンテナ側アクチュエータ)
26 排出シリンダ(コンテナ側アクチュエータ)
29 回動シリンダ(コンテナ側アクチュエータ)
31 ロックシリンダ(コンテナ側アクチュエータ)
50 キャリア側制御盤
51 フロントパネル(キャリア側コントローラ)
60 リヤパネル(コンテナ側コントローラ)
70 配線検査装置
71 検査用制御盤
72 タッチパネル(表示装置)
73 ブザー
105 リヤパネルボタン(操作ボタン)
106 動作表示
107 方向指示器表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ側アクチュエータ及び該コンテナ側アクチュエータを操作するコンテナ側コントローラを有する被積載コンテナと、
該被積載コンテナを積載可能であると共に、上記コンテナ側アクチュエータを制御可能なキャリア側制御盤を有するキャリアとの間での配線状態を検査するコンテナ荷役車両の配線検査装置であって、
上記キャリア側制御盤に接続することにより、上記被積載コンテナと該キャリア側制御盤との間での配線状態を検査可能な検査用制御盤を備えている
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナ荷役車両の配線検査装置において、
上記キャリア側制御盤からの信号の有無を表示可能な表示装置を備えている
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテナ荷役車両の配線検査装置において、
上記表示装置は、上記被積載コンテナの種類に対応した検査画面が表示可能に構成されている
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のコンテナ荷役車両の配線検査装置において、
上記表示装置には、上記キャリアに設けられて上記被積載コンテナに対して指令を出すキャリア側コントローラからの信号の有無を表示可能に構成されている
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載のコンテナ荷役車両の配線検査装置において、
上記コンテナ側コントローラは、上記キャリア側制御盤に指示を送るように構成され、 上記表示装置は、タッチパネルであり、該タッチパネルには、コンテナ側コントローラに対応する操作ボタンが表示可能に構成されている
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1つに記載のコンテナ荷役車両の配線検査装置において、
上記表示装置には、上記被積載コンテナのアクチュエータの駆動状況を示す画面を表示可能に構成されている
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか1つに記載のコンテナ荷役車両の配線検査装置において、
上記表示装置には、上記被積載コンテナに設けた方向指示器に対する上記キャリア側制御盤からの指示を表示可能に構成されている
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載のコンテナ荷役車両の配線検査装置において、
上記キャリア側制御盤からの信号を受けて警報音を鳴らすブザーが設けられている
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載のコンテナ荷役車両の配線検査装置において、
上記被積載コンテナは、
パッカーコンテナであり、
後方開口部を有する塵芥収容箱と、
上記塵芥収容箱の後方開口部に連設された塵芥投入箱と、
上記塵芥投入箱に設けられ、上記塵芥投入箱に投入された塵芥を上記塵芥収容箱に積込む塵芥積込装置とを備え、
上記コンテナ側アクチュエータは、上記塵芥積込装置を駆動する油圧シリンダと、上記塵芥収容箱内の排出板を前後移動させる油圧シリンダとを含む
ことを特徴とするコンテナ荷役車両の配線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−137967(P2010−137967A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316247(P2008−316247)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】