説明

コンテナ装置及びその製造方法と給紙カセット装置の製造方法

【課題】 確実に誤装着を報知する形状を有したコンテナ装置を提供することである。
【解決手段】 画像形成装置に装着されてトナーを供給するコンテナ装置10は、トナーを貯蔵する下フレーム11と下フレーム11に蓋をする上フレーム12とからなり、下フレーム11に、凸形状の誤装着防止形状13を設け、誤装着防止形状13が破損すると下フレーム11の内部と外部とが連通する。これにより、トナーが漏れ出して誤装着を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを供給するコンテナ装置及びその製造方法と、用紙を供給する給紙カセット装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置には、トナーを供給するコンテナ装置や用紙を供給する給紙カセット装置が備わっている。これらコンテナ装置や給紙カセット装置は、機種や仕向地によって非互換とするためや前後左右の誤装着の防止のために形状が異なる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ダボと短手ガイド間の距離をプロセスカートリッジの左右について異にしておき、プロセスカートリッジの左右前後等を逆に挿入しても画像形成装置本体に入らない構成が開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、感光体ドラム、現像装置およびクリーニング装置を一体化してなる着脱自在な第1〜第4プロセスカートリッジと、脱着自在な転写搬送ベルト機構と、転写搬送ベルト機構の前面に設けた廃トナーボックスとを備え、廃トナーボックスと各プロセスカートリッジとの間に、転写搬送ベルト機構の離脱位置での各プロセスカートリッジの装着時に廃トナーボックスと各プロセスカートリッジとの互いの嵌め合いによって誤装着を防止する誤装着防止手段と、転写搬送ベルト機構の装着位置への変換時に廃トナーボックスと各プロセスカートリッジとの互いの嵌め合いによって誤装着を確認する誤装着確認手段とを設けた画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10−222041号公報
【特許文献2】特開2002−123051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非互換対策や誤装着防止のための形状が似ていたり小さかったりすると、非互換性の機種に誤って装着できてしまう場合もあり、その場合でもユーザは気づかず、装置の破損等に繋がることがある。また互換性のある機種に装着する場合でも前後左右を逆に装着してしまう可能性もある。一方、非互換対策や誤装着防止のためにある程度強度を有する凹凸形状を採用すると、製品仕様によって凹凸の形状を換えるための金型の入れ子の交換がオス型、メス型の両方に必要となる。そのため、入れ子の交換作業に時間が掛かり作業性が悪くなる。
【0006】
本発明は、誤装着防止の形状を容易に形成できるコンテナ装置や給紙カセット装置の製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、確実に誤装着を報知する形状を有したコンテナ装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、トナーを貯蔵する下フレームと該下フレームに蓋をする上フレームとからなり、画像形成装置に装着されてトナーを供給するコンテナ装置の製造方法において、前記下フレームの成形時に、メス型又はオス型の一方の金型の一部に設けられた凹部と他方の金型の前記凹部に対応する位置に設けられたピンとで、誤装着防止形状を形成することを特徴とする。
【0008】
上記の製造方法により、下フレームに誤装着防止形状が容易に形成される。
【0009】
また上記の製造方法において、前記凹部が入れ子に形成され、該入れ子を前記一方の金型に着脱可能とし、前記他方の金型から前記ピンが突出する長さを調節可能とすることが望ましい。
【0010】
これにより、入れ子の交換とピンの長さ調整だけで、誤装着防止形状の形状を変えることができる。
【0011】
また、前記誤装着防止形状が破損すると前記下フレームの内部と外部とが連通する構成とすることにより、破損時には破損部分からトナーが漏れ出す。
【0012】
また本発明は、画像形成装置に装着されて用紙を供給する給紙カセット装置の製造方法において、前記給紙カセット装置の成形時に、メス型又はオス型の一方の金型の一部に設けられた凹部と他方の金型の前記凹部に対応する位置に設けられたピンとで、誤装着防止形状を形成することを特徴とする。
【0013】
このように、給紙カセット装置にも誤装着防止形状を容易に形成することができる。
【0014】
また上記の製造方法において、前記凹部が入れ子に形成され、該入れ子を前記一方の金型に着脱可能とし、前記他方の金型から前記ピンが突出する長さを調節可能とすることが望ましい。
【0015】
これにより、入れ子の交換とピンの長さ調整だけで、誤装着防止形状の形状を変えることができる。
【0016】
また本発明は、トナーを貯蔵する下フレームと該下フレームに蓋をする上フレームとからなり、画像形成装置に装着されてトナーを供給するコンテナ装置において、前記下フレームに、誤装着防止形状を設け、該誤装着防止形状が破損すると前記下フレームの内部と外部とが連通することを特徴とする。
【0017】
この構成によると、破損時には破損部分からトナーが漏れ出す。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンテナ装置の下フレームや給紙カセット装置を成形する際、誤装着防止形状の成形にピンを用いているので容易に成形することができる。また、入れ子の交換とピンの長さ調整だけで、誤装着防止形状の形状を変えることができるので、金型作製費用の削減になるとともに、作業効率も向上する。
【0019】
また本発明によれば、非互換のコンテナ装置を強引に装着して誤装着防止形状が破損すると、トナーが漏れ出す。その結果、印刷した用紙が汚れるので、ユーザはトナー漏れに気付き、コンテナ装置の誤装着を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、コンテナ装置の斜視図である。コンテナ装置10は、画像形成装置に装着されてトナーを供給する装置であり、トナーを貯蔵する下フレーム11と、下フレーム11に蓋をする上フレーム12とから構成される。下フレーム11及び上フレーム12は樹脂製とすることができる。
【0021】
下フレーム11には凸形状の誤装着防止形状13が形成されている。この誤装着防止形状13は、コンテナ装置10が装着される画像形成装置側に形成された凹形状に嵌合する。この凹凸形状により、コンテナ装置11を装着する際に、前後左右に誤装着することを防止できる。また機種や仕向地によって非互換とするために凹凸形状を用いる場合は、凹凸の大きさや形状を変えることで容易に対応できる。
【0022】
図2は、下フレーム11の斜視図である。誤装着防止形状13の内部には凹部14が形成されている。例えば非互換のコンテナ装置10を気付かずに無理矢理画像形成装置に装着したような場合は、誤装着防止形状13が破損する。これにより、凹部14を介して下フレーム11の内部と外部とが連通する。そして下フレーム11に貯蔵されているトナーが漏れ出す。その結果、印刷した用紙が汚れるので、ユーザはトナー漏れに気付き、コンテナ装置10の誤装着を知ることになる。
【0023】
このように、誤装着防止形状13は破損することで誤装着を報知するので、誤装着防止形状13は誤装着時に折れ易い形状であればその形状には特に限定はなく、例えば、成形性や嵌合性を考慮して図1,2に示すような略直方体形状とすることができる。また、誤装着防止形状13はレバー等で誤装着を防止する手法と比べると省スペースで済むので、小型の画像形成装置にも対応できる。
【0024】
次に、下フレームの製造方法について説明する。樹脂製の下フレーム11は金型を用いて成形する。金型は、下フレーム11の外部形状を形成するメス型と、下フレーム11の内部形状を形成するオス型とからなる。
【0025】
図3は、誤装着防止形状13の成形時の断面図である。メス型20に着脱可能に嵌め込まれた入れ子21に、誤装着防止形状13の外部形状を成形するための凹部22が設けられている。一方、オス型23のメス型20の凹部21に対応する位置には誤装着防止形状13の凹部14を成形するためのピン24が突出して設けられている。これにより、成形時に凹部22とピン24との間に樹脂が流れ込み、下フレーム11と誤装着防止形状13とが一体成形される。
【0026】
なお、ピン24の頭頂部にはイモネジ25が当接しており、イモネジ25を調整することでピン24の突出長さが調整される。仕向地による仕様変更などのために誤装着防止形状13の形状のみ変更する場合には、メス型20の入れ子21を交換し、オス型23のピン24の突出長さを変更するだけでよい。このように簡単な作業で誤装着防止形状13の形状が異なる下フレーム11を生産することができる。
【0027】
また、凹部14はピン24で形成されるので、一般的な形状のピンを採用すればその断面は小判型、楕円形、円形などとなる。
【0028】
図4は、画像形成装置のイメージユニットとコンテナ装置10とを示す斜視図である。イメージユニット30は画像を形成する部分であり、ドラム、現像装置、帯電装置、クリーニング装置などから構成される。そしてイメージユニット30にトナーを供給するためコンテナ装置10が装着される。イメージユニット30の誤装着防止形状13に対応する部分には凹形状の嵌合部31が形成されており、適切なコンテナ装置10の装着時には誤装着防止形状13と嵌合部31とが嵌合する。
【0029】
図5は、イメージユニット30とコンテナ装置10とを装着した画像形成装置40を示す斜視図である。画像形成装置40としては、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、それらの複合機、またそれらにネットワーク機能をもたせた複合機などがある。
【0030】
なお、上記の実施形態では誤装着防止形状として凸形状の構成としたが、凹形状としても問題はなく、その場合、イメージユニット30側に形成される嵌合部は凸形状とすればよい。この場合、下フレーム11を成形する金型は、メス型にピンを設け、オス型に凹部を設けたものを用いればよい。
【0031】
なお、上記の実施形態ではコンテナ装置10を例に説明したが、給紙カセット装置にも同様に誤装着防止形状を設けることができ、誤装着防止形状は同様の製造方法で形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、機種や仕向地によって非互換とするためや前後左右の誤装着の防止のために形状を異ならせるコンテナ装置や給紙カセット装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のコンテナ装置の斜視図である。
【図2】本発明の下フレームの斜視図である。
【図3】本発明の誤装着防止形状の成形時の断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置のイメージユニットとコンテナ装置とを示す斜視図である。
【図5】本発明のイメージユニットとコンテナ装置とを装着した画像形成装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
10 コンテナ装置
11 下フレーム
12 上フレーム
13 誤装着防止形状
14 凹部
20 メス型
21 入れ子
23 オス型
24 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを貯蔵する下フレームと該下フレームに蓋をする上フレームとからなり、画像形成装置に装着されてトナーを供給するコンテナ装置の製造方法において、
前記下フレームの成形時に、メス型又はオス型の一方の金型の一部に設けられた凹部と他方の金型の前記凹部に対応する位置に設けられたピンとで、誤装着防止形状を形成することを特徴とするコンテナ装置の製造方法。
【請求項2】
前記凹部が入れ子に形成され、該入れ子を前記一方の金型に着脱可能とし、
前記他方の金型から前記ピンが突出する長さを調節可能とすることを特徴とする請求項1記載のコンテナ装置の製造方法。
【請求項3】
前記誤装着防止形状が破損すると前記下フレームの内部と外部とが連通することを特徴とする請求項1又は2記載のコンテナ装置の製造方法。
【請求項4】
画像形成装置に装着されて用紙を供給する給紙カセット装置の製造方法において、
前記給紙カセット装置の成形時に、メス型又はオス型の一方の金型の一部に設けられた凹部と他方の金型の前記凹部に対応する位置に設けられたピンとで、誤装着防止形状を形成することを特徴とする給紙カセット装置の製造方法。
【請求項5】
前記凹部が入れ子に形成され、該入れ子を前記一方の金型に着脱可能とし、
前記他方の金型から前記ピンが突出する長さを調節可能とすることを特徴とする請求項4記載の給紙カセット装置の製造方法。
【請求項6】
トナーを貯蔵する下フレームと該下フレームに蓋をする上フレームとからなり、画像形成装置に装着されてトナーを供給するコンテナ装置において、
前記下フレームに、誤装着防止形状を設け、該誤装着防止形状が破損すると前記下フレームの内部と外部とが連通することを特徴とするコンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−349783(P2006−349783A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173134(P2005−173134)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】