説明

コンテンツ管理装置、そのプログラムおよびコンテンツ管理方法

【課題】フリーロケーションスペースの複数のフリーユースエリアのセキュリティレベルに応じてユーザが業務で使用するコンテンツを提供する。
【解決手段】コンテンツ管理装置100は、コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するコンテンツ記憶部140と、各フリーユースエリアFUAをセキュリティレベル別に記憶するエリア記憶部110と、フリーユースエリアFUAごとにユーザ携帯端末を識別する端末識別データを検出するユーザ検出部150と、検出結果を保持する現状保持部160と、端末識別データとともにコンテンツの要求を受け付けるアクセス受付部170と、検出結果からアクセス受付部170が受け付けた端末識別データに対応するフリーユースエリアFUAを抽出し、抽出されたフリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断する判断部130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ携帯端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理装置、コンテンツ管理方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、フリーアドレスオフィスなどと呼称されるフリーロケーションスペースが提案されている。このフリーアドレスオフィスでは、複数のフリーユースエリアとしてデスクや会議室などが設置されている。そして、フリーアドレスオフィスでは、その社員などのフリーアドレスユーザがフリーユースエリアを自由に利用する。
【0003】
例えば、フリーアドレスユーザが来社して所望のデスクに着席することで、その日は、そのデスクが、そのフリーアドレスユーザの座席となる。このようなフリーアドレスオフィスでは、フリーアドレスユーザの来社に対応してフリーアドレスオフィスを最大限に有効活用するようなことが可能となる。
【0004】
一方、フリーアドレスオフィスでは、上述のようにフリーアドレスユーザの座席が不定である。このため、フリーアドレスユーザの来社の有無、来社しているフリーアドレスユーザの座席位置、等を検出する必要がある。
【0005】
そこで、フリーアドレスオフィスの出入口にカードリーダを設置しておき、フリーアドレスユーザに個人ID(Identity)を登録したIC(Integrated Circuit)カードなどを所持させ、フリーアドレスユーザの入室および退室を検出してデータ管理することが実施されている。
【0006】
さらに、フリーアドレスオフィスの各所にRFID(Radio Frequency Identification)リーダを設置しておき、フリーアドレスユーザにRFIDカードを所持させ、フリーアドレスオフィスでのフリーアドレスユーザの位置をリアルタイムに検出してデータ管理することも実施されている。
【0007】
このようなリアルタイムの位置検出は、PHS(Personal Handy-phone System:登録商標)の基地局と構内端末、無線LAN(Local Area Network)の基地局とモバイルコンピュータ、赤外線を利用したID発行器とID検出器、などでも実施されている。
【0008】
なお、上述のような技術は、上述したフリーアドレスオフィスでのフリーアドレスユーザの位置検出の他、セキュリティエリアでも利用されている。現在、上述のような技術として各種の提案がある(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
【特許文献1】特開2007−142621号公報
【特許文献2】特開2006−023129号公報
【特許文献3】特開2006−309609号公報
【特許文献4】特開2004−138513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のフリーアドレスオフィスなどのフリーロケーションスペースでは、フリーアドレスユーザの位置が一定ではないため、例えば、他部署のユーザ同士が近隣のエリアに着席した場合、部外秘業務の作業を行うとセキュリティ上の問題がある。
【0010】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、フリーロケーションスペースの複数のフリーユースエリアのセキュリティレベルに応じてユーザが業務で使用するコンテンツを提供するコンテンツ管理装置、そのプログラムおよびデータ処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ携帯端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理装置であって、
コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するコンテンツ記憶手段と、
各フリーユースエリアをセキュリティレベル別に記憶するエリア記憶手段と、
フリーユースエリアごとにユーザ携帯端末を識別する端末識別データを検出する端末位置検出手段と、
端末位置検出手段が検出した検出結果を保持する現状保持手段と、
端末識別データとともにコンテンツの要求を受け付けるコンテンツ要求受付手段と、
検出結果からコンテンツ要求受付手段が受け付けた端末識別データに対応するフリーユースエリアを抽出し、抽出されたフリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断する判断手段と、
要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、コンテンツを要求するユーザ携帯端末が位置するフリーユースエリアのセキュリティレベルを満足するとき、ユーザ携帯端末に要求されたコンテンツへのアクセスを許可するアクセス許可手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ管理装置
が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ携帯端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理方法であって、
コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するステップと、
各フリーユースエリアをセキュリティレベル別に記憶するステップと、
フリーユースエリアごとにユーザ携帯端末を識別する端末識別データを検出するステップと、
端末識別データを検出するステップで検出した検出結果を保持するステップと、
端末識別データとともにコンテンツの要求を受け付けるステップと、
検出結果からコンテンツの要求を受け付けるステップで受け付けた端末識別データに対応するフリーユースエリアを抽出し、抽出されたフリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断するステップと、
要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、コンテンツを要求するユーザ携帯端末が位置するフリーユースエリアのセキュリティレベルを満足するとき、前記ユーザ携帯端末に要求された前記コンテンツへのアクセスを許可するステップと、
を含むことを特徴とするコンテンツ管理方法
が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ携帯端末の要求に応じてコンテンツを提供するためのコンテンツ管理プログラムであって、
コンピュータに、
コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するコンテンツ記憶手段と、
各フリーユースエリアをセキュリティレベル別に記憶するエリア記憶手段と、
フリーユースエリアごとにユーザ携帯端末を識別する端末識別データを検出する端末位置検出手段と、
端末位置検出手段が検出した検出結果を保持する現状保持手段と、
端末識別データとともにコンテンツの要求を受け付けるコンテンツ要求受付手段と、
検出結果からコンテンツ要求手段が受け付けた端末識別データに対応するフリーユースエリアを抽出し、抽出されたフリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断する判断手段と、
要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、コンテンツを要求するユーザ携帯端末が位置するフリーユースエリアのセキュリティレベルを満足するとき、ユーザ携帯端末に要求されたコンテンツへのアクセスを許可するアクセス許可手段と、
を実現させることを特徴とするコンテンツ管理プログラム
が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理装置であって、
コンテンツの表示情報をユーザ端末に出力する出力手段と、
コンテンツの表示情報を出力しているユーザ端末を個々に識別してユーザ端末の位置を検出するユーザ位置検出手段と、
フリーユースエリア内のゲストの位置を検出するゲスト位置検出手段と、
ユーザ位置検出手段が検出したユーザ端末の位置と、ゲスト位置検出手段が検出したゲストの位置との位置関係を検出する位置関係検出手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ管理装置
が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理方法であって、
コンテンツの表示情報をユーザ端末に出力するステップと、
コンテンツの表示情報を出力しているユーザ端末を個々に識別してユーザ端末の位置を検出するステップと、
フリーユースエリア内のゲストの位置を検出するステップと、
ユーザ端末の位置を検出するステップで検出したユーザ端末の位置と、ゲストの位置を検出するステップで検出したゲストの位置との位置関係を検出するステップと、
を含むことを特徴とするコンテンツ管理方法
が提供される。
【0016】
さらに、本発明によれば、フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ端末の要求に応じてコンテンツを提供するためのコンテンツ管理プログラムであって、
コンピュータに、
コンテンツの表示情報をユーザ端末に出力する出力手段と、
コンテンツの表示情報を出力している前記ユーザ端末を個々に識別してユーザ端末の位置を検出するユーザ位置検出手段と、
フリーユースエリア内のゲストの位置を検出するゲスト位置検出手段と、
ユーザ位置検出手段が検出したユーザ端末の位置と、ゲスト位置検出手段が検出したゲストの位置との位置関係を検出する位置関係検出手段と、
を実現させるコンテンツ管理プログラム
が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フリーアドレスオフィスにおいて機密業務の作業空間を制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0019】
本実施の形態のコンテンツ管理装置は、図3で示すように、フリーアドレスオフィスFAOに用意されているフリーユースエリアFUAで使用するユーザ携帯端末200の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理装置である。
【0020】
図1は、本実施の形態のコンテンツ管理装置100のブロック図である。コンテンツ管理装置100は、コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するコンテンツ記憶部140と、各フリーユースエリアFUAをセキュリティレベル別に記憶するエリア記憶部110と、フリーユースエリアFUAごとにユーザ携帯端末200を識別する端末識別データを検出するユーザ検出部150と、ユーザ検出部150が検出した検出結果を保持する現状保持部160と、端末識別データとともにコンテンツの要求を受け付けるアクセス受付部170と、検出結果からアクセス受付部170が受け付けた端末識別データに対応するフリーユースエリアFUAを抽出し、抽出されたフリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断する判断部130と、要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、コンテンツを要求するユーザ携帯端末200が位置するフリーユースエリアFUAのセキュリティレベルを満足するとき、ユーザ携帯端末200に要求されたコンテンツへのアクセスを許可するアクセス実行部180とを備える。
【0021】
要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、コンテンツを要求するユーザ携帯端末200が位置するフリーユースエリアFUAのセキュリティレベルを満足しないとき、アクセス実行部180は、コンテンツを要求するユーザ携帯端末200にコンテンツのアクセスが許可できないことを示すアクセス拒否情報を送出してもよい。
【0022】
コンテンツ管理装置100は、さらにユーザ記憶部120を備える。ユーザ記憶部120は、端末識別データをセキュリティレベル別に保持する。
【0023】
ユーザ携帯端末200のセキュリティレベルがコンテンツを要求するユーザ携帯端末200が位置するフリーユースエリアFUAのセキュリティレベルを満足しないとき、アクセス実行部180は、コンテンツを要求するユーザ携帯端末200にコンテンツのアクセスを許可できないことを示すアクセス拒否情報を送出してもよい。
【0024】
ユーザ携帯端末200にコンテンツへのアクセスを許可したとき、判断部130は、アクセス許可したコンテンツの識別データとコンテンツへのアクセスを許可したユーザ携帯端末200の携帯端末識別データとを対応づけて検出結果を更新してもよい。
【0025】
より具体的には、図3に示すように、フリーアドレスオフィスFAOは、前述のように複数のフリーユースエリアFUAにフリーアドレスユーザFAYが自由に位置するように設定されている。そのフリーアドレスユーザFAYは、例えば、フリーアドレスオフィスFAOに勤務する社員からなる。
【0026】
フリーユースエリアFUAは、例えば、フリーアドレスユーザFAYが自由に位置する座席や会議室からなる。フリーアドレスオフィスFAOに位置するフリーアドレスユーザFAYは、ユーザ携帯端末200を常時所持している。
【0027】
このユーザ携帯端末200は、少なくともフリーユースエリアFUAごとにユーザ検出デバイス300でフリーアドレスユーザFAYを個別に検出させることができる。
【0028】
フリーユースエリアFUAは、オフィスを所定の区画に分けたものであり、個々のフリーユースエリアFUAを識別するためのエリアIDがコンテンツ管理装置100に登録されている。
【0029】
図2は、本実施の形態のコンテンツ管理装置100を含むコンテンツ管理システム1000を示す図である。コンテンツ管理装置100は、通信ネットワークを介して、ユーザ携帯端末200と、ユーザ検出デバイス300と接続している。通信ネットワークは、たとえば、無線LAN、LAN、インターネットなどである。
【0030】
ユーザ携帯端末200は、PDA210、PHS端末220、モバイルコンピュータ230、等からなる。ユーザ携帯端末200には、フリーアドレスユーザFAYごとの端末IDや電話番号やメールアドレスなどが個々に設定または登録されている。
【0031】
また、ユーザ検出デバイス300は、上述のようなPHS端末220により少なくともフリーユースエリアFUAごとにフリーアドレスユーザFAYを個別に検出することができる各種デバイスからなる。
【0032】
このようなユーザ検出デバイス300は、PHS端末220と無線通信するPHS基地局320、PDA210やモバイルコンピュータ230と無線LAN(Local Area Network)でデータ通信するアクセスポイント330、等からなる。
【0033】
図3に示すように、例えば、PHS基地局320とアクセスポイント330とは、例えば、フリーユースエリアFUAごとに天井などに設置されている。
【0034】
このコンテンツ管理装置100は、上述の各種のユーザ検出デバイス300が接続されているフリーアドレスオフィスFAOのデータベースサーバなどからなる。このコンテンツ管理装置100は、実装されているコンピュータプログラムに対応して各種の処理動作を実行することにより、前述のような各部110〜が各種機能として実現されている。
【0035】
つづいて、具体的なコンテンツ管理装置100の各部110〜について説明する。
【0036】
エリア記憶部110は、複数のフリーユースエリアFUAを個々に識別するエリアIDをセキュリティレベル別に記憶する。
【0037】
ユーザ記憶部120は、複数のフリーアドレスユーザFAYを個々に識別するユーザIDをセキュリティレベル別に記憶する。また、ユーザ記憶部120は、ユーザIDと、ユーザが携帯するユーザ携帯端末の端末IDとが対応づけて記憶されている。ユーザIDは、たとえば、社員番号、メールアドレスである。また、端末IDは、たとえば、ユーザ携帯端末のシリアル番号、電話番号であり、任意に付された識別番号であってもよい。
【0038】
コンテンツ記憶部140は、複数のコンテンツを個々に識別するコンテンツIDをセキュリティレベル別に記憶する。コンテンツは、たとえば、文書ファイル、画像ファイル、音声データ等である。コンテンツIDは、ファイル名であってもよいし、ファイル形式を識別する拡張子でもよいし、ファイルの属性を表すメタデータであってもよい。
【0039】
セキュリティレベルとは、業務の機密性を示す指標である。たとえば、研究部門、開発部門、営業部門等の部署ごとにセキュリティレベルを決定してもよいし、役職ごとにセキュリティレベルを決定してもよい。
【0040】
ユーザ検出部150は、フリーアドレスユーザFAYが携帯するユーザ携帯端末200がフリーユースエリアFUAのどの位置にあるかを検出する。たとえば、フリーアドレスユーザFAYごとの端末IDをエリアIDと対応付けて検出する。また、ユーザIDをエリアIDと対応付けて検出してもよい。
【0041】
現状保持部160は、ユーザ検出部150が検出したユーザ検出結果を一時的に保持する。具体的には、ユーザ検出結果とは、端末IDと、エリアIDとを対応づけて一時的に保持したものである。
【0042】
また、現状保持部160は、ユーザ記憶部120を参照し、端末IDに対応するユーザIDおよびそのセキュリティレベルを抽出し、ユーザ検出結果と対応づけて保持する。一方、ユーザ検出部150がユーザIDをエリアIDと対応付けて検出した場合、現状保持部160は、ユーザ記憶部120を参照し、ユーザIDに対応するセキュリティレベルを抽出し、ユーザ検出結果と対応づけて保持してもよい。
【0043】
また、現状保持部160は、エリア記憶部110を参照し、検出したエリアIDのセキュリティレベルを読み取り、ユーザ検出結果と対応づけて保持する。図4は、現状保持部160のデータ構造の一例を示す図である。
【0044】
アクセス受付部170は、ユーザ携帯端末200から、コンテンツの要求を受け付ける。具体的には、コンテンツを要求する端末IDと、コンテンツを識別するコンテンツIDとを対応づけて受け付ける。コンテンツの要求は、ユーザ検出デバイス300を介して受け付けることができる。
【0045】
判断部130は、コンテンツ記憶部140を参照し、アクセス受付部170が受け付けたコンテンツIDに対応するセキュリティレベルを読み取る。また、現状保持部160に一時的に保持されたユーザ検出結果を参照し、アクセス受付部170が受け付けた端末IDに対応するフリーユースエリアFUAのセキュリティレベルを読み取る。読み取ったコンテンツのセキュリティレベルとフリーユースエリアFUAのセキュリティレベルとを比較し、フリーユースエリアFUAのセキュリティレベルがコンテンツのセキュリティレベルを満たすか否かを判断する。
【0046】
判断する方法としては、たとえば、以下の方法がある。セキュリティレベルは、1〜5に数値化されている。数字が大きくなるほど、機密性が高いとする。この場合において、セキュリティレベルを満たす、とは、比較するセキュリティレベルの数値が、基準となるセキュリティレベルの数値よりも大きいこという。あるコンテンツ(コンテンツAとする)のセキュリティレベルが3であり、フリーユースエリアFUA(オフィスAとする)のセキュリティレベルが5であるとすると、オフィスAのセキュリティレベルは、コンテンツAのセキュリティレベルを満足する。一方、フリーユースエリアFUA(オフィスBとする)のセキュリティレベルが2であるとすると、オフィスBのセキュリティレベルは、コンテンツAのセキュリティレベルを満たさない。
【0047】
判断部130は、フリーユースエリアFUAのセキュリティレベルが要求のあったコンテンツのセキュリティレベルを満たすと判断した場合、アクセス実行部180に対し、端末IDとともに要求のあったコンテンツへのアクセスを許可するアクセス許可信号を送出する。
【0048】
一方、判断部130は、フリーユースエリアFUAのセキュリティレベルが要求のあったコンテンツのセキュリティレベル満たさないと判断した場合、アクセス実行部180に対し、端末IDとともに、コンテンツのアクセスが許可できないことを示すアクセス拒否情報を送出する。
【0049】
アクセス実行部180は、判断部130から、アクセス許可信号を受けつけた場合、アクセス許可信号と併せて受け付けた端末IDに基づいて、ユーザ携帯端末200に、アクセス許可信号を送信する。アクセス許可信号を受信したユーザ携帯端末200は、コンテンツ管理装置100に格納された所定のコンテンツにアクセスすることが可能となる。
【0050】
また、アクセス実行部180は、判断部130から、アクセス拒否情報を受けつけた場合、アクセス拒否情報と併せて受け付けた端末IDに基づいて、ユーザ携帯端末200に、アクセス拒否情報を送信する。アクセス拒否情報を受信したユーザ携帯端末200は、たとえば、ディスプレイにアクセス拒否情報を表示する。また、音声でコンテンツへのアクセスが拒否されたことを発呼してもよい。ユーザ携帯端末200がコンテンツ管理装置100から受信した警告情報を出力することにより、ユーザは、ユーザ携帯端末200が位置するフリーユースエリアFUAが要求したコンテンツのセキュリティレベルを満たさないことを知ることができる。
【0051】
判断部130は、アクセス許可信号を送出すると、現状保持部160に保持されたユーザ検出結果を更新する。具体的には、ユーザ検出結果に含まれる端末ID及びユーザIDのいずれかと、アクセスを許可したコンテンツIDとを対応づけて保持させる。
【0052】
ユーザ携帯端末200は、コンテンツの使用が終了すると、アクセスを終了するアクセス終了信号を送信する。アクセス受付部170は、端末IDとともにアクセス終了信号を受け付け、判断部130に送出する。判断部130は、端末IDに基づいて、ユーザ検出結果に含まれる対応するコンテンツIDを消去する。
【0053】
また、ユーザ検出部150は、所定の間隔で、フリーアドレスユーザFAYが携帯するユーザ携帯端末がフリーユースエリアFUAのどの位置にあるかを検出し、判断部130は、検出結果に基づいてユーザ検出結果を更新する。
【0054】
判断部130は、現状保持部160に保持されたユーザ検出結果を参照して、エリアIDごとにデータを抽出する。抽出されたフリーユースエリアFUAにおいて、コンテンツを使用しているユーザ携帯端末が存在する場合、フリーユースエリアFUAに存在するユーザのセキュリティレベルが、使用中のコンテンツのセキュリティレベルを満たすか否かを判別する。
【0055】
具体的には、使用中のコンテンツのコンテンツIDに対応するセキュリティレベルが、ユーザIDに対応するセキュリティレベルを満たすか否かを判断する。
【0056】
抽出されたユーザIDが複数ある場合、少なくとも1つのユーザIDに対応するセキュリティレベルが使用中のコンテンツのセキュリティレベルを満たさないとき、判断部130は、コンテンツへのアクセスを一時的に遮断する遮断信号をユーザ携帯端末の端末IDと併せてアクセス実行部180に送出する。遮断信号は、ユーザ携帯端末200のディスプレイの表示を遮断するものであってもよい。
【0057】
また、判断部130は、遮断信号と併せて、フリーユースエリアFUAのセキュリティが低下していることを警告する警告情報を送出してもよい。
【0058】
アクセス実行部180は、判断部130から遮断信号および端末IDを受け付けると、端末IDで識別されるユーザ携帯端末200に対し、遮断信号を送信する。また、警告情報を受け付けた場合は、警告情報も併せて送信する。
【0059】
これにより、ユーザ携帯端末200のディスプレイにおいて、コンテンツの表示は一時的に遮断される。また、警告情報が送信された場合は、警告情報がユーザ携帯端末200のディスプレイに表示される。この警告情報は、作業しているフリーユースエリアFUAに実行中のコンテンツのセキュリティレベルを満たさないユーザが存在することを知らせるものである。これにより、ユーザは、一時的に作業を中断したり、セキュリティレベルを満たさないユーザに対し、移動を促したりして、使用中のコンテンツのセキュリティを確保することができる。
【0060】
本実施の形態のコンテンツ管理装置100は、前述のように実装されているコンピュータプログラムに対応して各種の処理動作を実行することにより、前述のような各部110〜が各種機能として実現されている。
【0061】
このようなコンピュータプログラムは、たとえば、コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するコンテンツ記憶手段と、各フリーユースエリアをセキュリティレベル別に記憶するエリア記憶手段と、フリーユースエリアごとにユーザ携帯端末を識別する端末識別データを検出する端末位置検出手段と、端末位置検出手段が検出した検出結果を保持する現状保持手段と、端末識別データとともにコンテンツの要求を受け付けるコンテンツ要求受付手段と、検出結果から前記コンテンツ要求手段が受け付けた端末識別データに対応するフリーユースエリアを抽出し、抽出された前記フリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断する判断手段と、要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、コンテンツを要求するユーザ携帯端末が位置するフリーユースエリアのセキュリティレベルを満足するとき、ユーザ携帯端末に前記要求されたコンテンツへのアクセスを許可するアクセス許可手段をコンテンツ管理装置100に実行させるように記述されている。
【0062】
上述のような構成において、本実施の形態のコンテンツ管理装置100によるコンテンツ管理方法の例を以下に説明する。まず、本実施の形態のコンテンツ管理システム1000は、前述のようにフリーアドレスオフィスFAOで利用される。
【0063】
このフリーアドレスオフィスFAOは、例えば、複数の在席が複数のフリーユースエリアFUAである会議室などとして区分されている。そして、社員であるフリーアドレスユーザFAYは、在席が固定されておらず、フリーユースエリアFUAを自由に利用する。
【0064】
このため、機密性の高いデータを扱うとき、近隣に着席するフリーアドレスユーザFAYに配慮する必要がある。たとえば、部外秘資料を用いて作業する場合、他部署のフリーアドレスユーザFAYが隣に着席していると、作業状況が隣席のフリーアドレスユーザFAYの視野に入ることとなり、セキュリティ上問題がある。しかし、本実施の形態のコンテンツ管理システム1000では、フリーユースエリアFUAおよびユーザ携帯端末200ごとにセキュリティレベルを管理する。
【0065】
上述のようなフリーアドレスユーザFAYの各々が、PDA210、PHS端末220、モバイルコンピュータ230、等のユーザ携帯端末200を所持している。
【0066】
このような状態で、フリーアドレスユーザFAYが所望のフリーユースエリアFUAに着席すると、そのフリーアドレスユーザFAYのPHS端末220やモバイルコンピュータ230が、そのフリーユースエリアFUAのPHS基地局320やアクセスポイント330にアクセスする。これにより、PHS基地局320やアクセスポイント330でユーザIDおよび端末識別データが検出される。
【0067】
ユーザ記憶部120において、ユーザIDと端末IDとが対応付けて記憶されている。したがって、ユーザ検出部150は、ユーザIDのみを検出することにより、端末IDを検出してもよい。また、端末IDを検出することにより、ユーザIDを検出してもよい。また、ユーザIDおよび端末IDをいずれも検出できる構成を採用してもよい。つまり、フリーユースエリアFUAごとにユーザIDおよび端末IDのいずれか一方を検出できればよい。ユーザが複数のユーザ携帯端末200を有する場合、ユーザ携帯端末別にセキュリティ管理することができる。
【0068】
このとき、図5に示すように、フリーユースエリアFUAのPHS基地局320やアクセスポイント330でフリーアドレスユーザFAYのPHS端末220やモバイルコンピュータ230を検出されるごとに(ステップS1)、その現状の関係を一時保持する(ステップS2)。具体的には、端末IDとユーザIDとフリーユースエリアFUAのエリアIDとを対応づけて保持する。コンテンツ管理装置100は、ユーザ携帯端末200から端末IDとともに、コンテンツの要求を受け付ける(ステップS3)と、一時保持された検出結果からコンテンツの要求のあったユーザ携帯端末200の端末IDに対応するエリアIDを読み取ることにより、ユーザ携帯端末が位置するフリーユースエリアFUAのセキュリティレベルを把握する。ユーザ記憶部120とエリア記憶部110とを参照して、端末IDに対応するセキュリティレベルが、端末が位置するフリーユースエリアFUAのセキュリティレベルを満足するかどうかを判断する(ステップS4)。セキュリティレベルを満足する場合(ステップS4のY)、コンテンツ管理装置100は、コンテンツの要求があったユーザ携帯端末200にアクセス許可信号を送信する(ステップS5)。セキュリティレベルを満足しない場合(ステップS4のN)、アクセス拒否情報を送信する(ステップS6)。アクセス拒否情報は、ユーザ携帯端末200が位置するフリーユースエリアFUAが要求のあったコンテンツのセキュリティレベルを満たさないため、コンテンツにアクセスできないことをユーザ携帯端末200のディスプレイに表示させるための情報である。
【0069】
ユーザ携帯端末200がアクセス許可信号を受け付けることにより、ユーザはコンテンツを利用して作業をすることができる。また、ユーザ携帯端末は、アクセス拒否情報を受け付けることにより、たとえば、ディスプレイにアクセス拒否情報を表示し、ユーザは自身の所在がコンテンツを利用するエリアとしてセキュリティ上不適当であることを知ることができる。
【0070】
また、図6で示すように、フリーユースエリアFUAのPHS基地局320やアクセスポイント330でフリーアドレスユーザFAYのPHS端末220やモバイルコンピュータ230を検出されるごとに(ステップS7のY)、その現状の関係が一時保持される(ステップS8)。また、ユーザにコンテンツへのアクセスを許可している場合(ステップS9のY)、ユーザIDと、アクセス許可中のコンテンツのセキュリティレベルとが対応づけて保持される(ステップS10)。コンテンツのアクセスを許可しているユーザが位置するフリーユースエリアと同じフリーユースエリアに位置するユーザIDを抽出し、抽出されたユーザのセキュリティレベルとアクセス許可中のコンテンツのセキュリティレベルとを比較する。抽出されたユーザIDのうち少なくとも一のユーザIDのセキュリティレベルが、アクセス中のコンテンツのセキュリティレベルを満足しない場合(ステップS11のY)、コンテンツにアクセス中のユーザ携帯端末に対して遮断信号を送信して(ステップ12)、携帯端末のディスプレイにコンテンツを表示させないようにする。さらに、警告情報を送信してもよい。
【0071】
以下にコンテンツ管理装置100の動作の具体例を図1および図4を用いて説明する。
【0072】
コンテンツ管理装置100は、オフィスAにユーザである特許太郎と特許花子が存在することを検出し、現状保持部160に検出結果を一時的に保持する。現状保持部160は、ユーザ記憶部120を参照し、特許太郎の携帯するユーザ携帯端末がcomputer1であることおよび特許花子の携帯するユーザ携帯端末がcomputer2であることを読み取り、検出結果に対応づけて保持する。
【0073】
特許太郎は、computer1を操作し、コンテンツ管理装置100にコンテンツAを要求する。アクセス受付部170はcomputer1からコンテンツAの要求があるという情報を受け付け、判断部130に送出する。判断部130は、現状保持部160からcomputer1の位置がオフィスAにあることを読みとり、エリア記憶部110からオフィスAを抽出してセキュリティレベルが4であることを読み取る。また、判断部130は、コンテンツ記憶部140からコンテンツAを抽出して、コンテンツAのセキュリティレベルが2であることを読み取る。セキュリティレベルは高いほど機密性が高いとすると、オフィスAのセキュリティレベルがコンテンツAのセキュリティレベルを満足している。したがって、判断部130はアクセス実行部180にコンテンツAへのアクセス許可信号の送信を指示する。また、判断部130は、現状保持部160を更新して、computer1がコンテンツAを動作中であるというデータを付加する。アクセス実行部180はcomputer1にアクセス許可信号を送信する。これにより、特許太郎はcomputer1を操作し、コンテンツAを利用することができる。
【0074】
特許花子は、computer2を操作し、コンテンツ管理装置100にコンテンツBを要求させる。アクセス受付部170はcomputer2からコンテンツBの要求があるという情報を受け付け、判断部130に送出する。判断部130は、現状保持部160からcomputer2の位置がオフィスAにあることを読みとり、エリア記憶部110からオフィスAを抽出してセキュリティレベルが4であることを読み取る。また、判断部130は、コンテンツ記憶部からコンテンツBを抽出して、コンテンツBのセキュリティレベルが5であることを読み取る。セキュリティレベルは高いほど機密性が高いとすると、オフィスAのセキュリティレベルがコンテンツBのセキュリティレベルを満足していない。したがって、判断部130はアクセス実行部180にアクセス拒否信号の送信を指示し、アクセス実行部180はcomputer2にアクセス拒否信号を送信する。これにより、特許花子はオフィスAでコンテンツBを扱うことができないことを知ることができる。
【0075】
つづけて、コンテンツ管理装置100は、オフィスAにユーザである特許次郎が存在することを検出し、現状保持部160はこの検出結果を上記の検出結果に付加する。
【0076】
判断部130は、現状保持部160が更新されるごとにフリーユースエリアごとに検出されるユーザIDのセキュリティレベルの充足度を判別する。特許次郎のユーザIDの検出により、現状保持部160に保持された検出結果が更新される。判断部130は、ユーザ記憶部120を参照し、特許次郎のセキュリティレベルが1であることを読み取り、オフィスAで特許太郎が使用するコンテンツAのセキュリティレベルを満たさないことを判断する。そこで、判断部130は、コンテンツ記憶部140にアクセス中のcomputer1に対し、コンテンツAの表示を遮断するための信号をアクセス実行部180に送信するよう指示する。また、判断部130は、アクセス実行部180に警告情報も併せて送信するよう指示する。
【0077】
上述のような処理動作が常時実行されることにより、フリーアドレスオフィスFAOで実行するコンテンツのセキュリティを確保することができる。
【0078】
コンテンツ管理装置100によれば、フリーユースエリアFUA、ユーザ携帯端末およびコンテンツをセキュリティレベル別に管理し、コンテンツを使用するユーザ携帯端末の位置がコンテンツのセキュリティレベルを満たすことを判断して、コンテンツのアクセスを許可することができる。これにより、フリーユースエリアFUAごとに使用するコンテンツのセキュリティを管理することができる。
【0079】
また、コンテンツ管理装置100によれば、ユーザが位置するフリーユースエリアのセキュリティレベルが要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足しないとき、アクセス拒否情報を送信することができる。このアクセス拒否情報は、フリーユースエリアが要求されたコンテンツのセキュリティを満たしていないことを示すものである。これにより、ユーザは自己が位置するフリーユースエリアが利用したいコンテンツのセキュリティレベルを満たしていないことを知ることができ、フリーユースエリアを移動したり、異なるコンテンツを要求したりして作業をつづけることができる。
【0080】
また、コンテンツ管理装置100は、ユーザ携帯端末をセキュリティレベル別に管理してもよい。こうすることにより、フリーユースエリアで使用できるユーザ携帯端末をセキュリティレベルに応じて管理することができる。ユーザ携帯端末のセキュリティレベルがフリーユースエリアのセキュリティレベルを満足しないとき、ユーザ携帯端末にコンテンツのアクセスが許可できないことを示すアクセス拒否情報を送信する。このアクセス情報は、ユーザ携帯端末がフリーユースエリアのセキュリティレベルを満たしていないことを示すものである。これにより、ユーザは、自身のユーザ携帯端末がフリーユースエリアのセキュリティレベルを満たしていないことを知ることができ、使用する端末を、セキュリティレベルを満足するユーザ携帯端末に変更して作業することができる。
【0081】
また、コンテンツ管理装置100によれば、フリーユースエリアFUA、ユーザおよびコンテンツをセキュリティレベル別に管理し、コンテンツを使用するユーザの所在がコンテンツのセキュリティレベルを満たすことを判断して、コンテンツをユーザ携帯端末のディスプレイに表示させることができる。これにより、フリーユースエリアFUAごとに使用するコンテンツのセキュリティを管理することができる。
【0082】
また、コンテンツ管理装置100によれば、コンテンツを送信するとき、コンテンツの送信先となるユーザ携帯端末200のユーザ情報に、送信するコンテンツのセキュリティレベルを対応づけて記憶することもできる。これにより、ユーザの周囲の状況がコンテンツのセキュリティレベルを満たすか否かをリアルタイムに把握することができる。
【0083】
たとえば、コンテンツの表示情報を送信しているフリーユースエリアにコンテンツのセキュリティレベルを満たさないユーザが検出されたとき、コンテンツの表示情報を送信しているユーザ携帯端末にコンテンツの表示を遮断する表示遮断信号を送信することができる。
【0084】
また、この場合において、フリーユースエリアのセキュリティが低下していることを警告する警告情報を送信し、ユーザ携帯端末に表示させることができる。
【0085】
以上のように、コンテンツ管理装置100によれば、場所や周囲の状況に応じてアクセス権を制御することができる。
【0086】
たとえば、機密性の高いコンテンツは特定の場所(機密エリア)でしかアクセスできないようにすることができる。
【0087】
また、セキュリティレベルを満たさない部外者がいるとコンテンツを表示できないようにすることができる。
【0088】
このように、機密業務の作業空間を制限することが可能になることにより、フリーアドレスオフィスのような人の出入りが多いオフィスでも安全を確保することができる。
【0089】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。
【0090】
上記形態では複数のユーザ携帯端末200が、PDA210とPHS端末220とモバイルコンピュータ230とからなり、ユーザ検出デバイス300が、PHS基地局320とアクセスポイント330とからなることを例示した。
【0091】
しかし、ユーザ携帯端末200として、モバイルコンピュータ230に接続される赤外線受信器、ユーザ検出デバイス300として、個体ごとの個別IDやフリーユースエリアFUAごとのエリアIDなどを赤外線受信器に赤外線送信する赤外線発信器、等を利用することもできる(図示せず)。
【0092】
このような赤外線発信器は、例えば、フリーユースエリアFUAの天井の蛍光灯に装着されており、その発光を電力に変換することにより、登録されている個別IDやエリアIDを赤外線送信する。
【0093】
すると、これを受信した赤外線受信器は、その個別IDやエリアIDをモバイルコンピュータ230からコンテンツ管理装置100に無線LANなどで送信させる。このため、やはりフリーアドレスユーザFAYの位置をコンテンツ管理装置100が認識することができる。
【0094】
また、上記形態ではコンテンツ管理装置100がフリーアドレスユーザFAYによるフリーユースエリアFUAの使用状態をリアルタイムに検出することのみ例示した。しかし、上述のようなコンテンツ管理装置100が、フリーアドレスユーザFAYの行動予定データのエリア管理データへの登録を受け付ける行動登録手段を、さらに有してもよい(図示せず)。
【0095】
同様に、フリーユースエリアFUAの使用予定データのエリア管理データへの登録を受け付ける使用登録手段を、さらに有してもよい。これらの場合、例えば、いわゆるスケジューラによりフリーアドレスユーザFAYやフリーユースエリアFUAの予定を登録しておき、その予定をユーザ一覧画像やエリア一覧画像に反映させる。ユーザ一覧画像は、上記携帯端末において、現状保持部160によって保持される検出結果のデータ構造をディスプレイに表示させるものである。
【0096】
すると、ユーザ一覧画像やエリア一覧画像を確認することにより、フリーアドレスユーザFAYによるフリーユースエリアFUAの利用内容も確認することができる。
【0097】
また、本実施の形態では、セキュリティレベルが複数段階ある場合を例示した。しかし、セキュリティレベルは、一つであってもよい。
【0098】
さらに、本実施の形態ではコンテンツ管理装置100の各部がコンピュータプログラムにより各種機能として論理的に実現されることを例示した。しかし、このような各部の各々を固有のハードウェアとして形成することもでき、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実現することもできる。
【0099】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【0100】
たとえば、図1で示す実施の形態にかかるコンテンツ管理装置100において、図7で示すような方法でコンテンツを管理してもよい。
【0101】
アクセス実行部180により、コンテンツの表示情報をユーザ携帯端末200に出力する(S101)。ユーザ検出部150により、コンテンツの表示情報を出力しているユーザ携帯端末200を個々に識別してユーザ携帯端末200の位置を検出する(S102)。また、ユーザ検出部150は、フリーユースエリアFUA内のゲストの位置を検出する(S103)。判断部130は、ユーザ検出部150が検出したユーザ携帯端末200の位置と、ゲストの位置との位置関係を検出する。具体的には、たとえば、判断部130は、ユーザ携帯端末200の位置と、ゲストの位置との間の距離を計算する(S104)。判断部130が算出したユーザ携帯端末200の位置とゲストの位置との間の距離が所定の間隔(設定距離)以下のとき(S105のY)、アクセス実行部180は、ユーザ携帯端末200に対し、コンテンツの表示情報の出力を遮断する(S106)。
【0102】
こうすることにより、フリーユースエリアにゲストが訪問した場合においても、コンテンツを利用した作業のセキュリティを確保することができる。
【0103】
また、コンテンツの表示情報を遮断するとき、ゲストが所定の距離に接近していることを警告する警告情報を出力してディスプレイに表示させてもよい。
【0104】
こうすることにより、作業中のユーザは、ゲストが接近していることを知ることができ、ゲストに対する注意を促して作業を再開することができる。
【0105】
ゲストがPHS端末を携帯することにより、PHS基地局を介してユーザ検出部150は、ゲストの位置を検出することができる。また、ゲストが赤外線タグを携帯することにより、赤外光に撮像感度を持つ広角カメラを介して、ゲストの位置が検出されてもよい。つまり、ユーザと区別して、ゲストの位置を検出可能な各種デバイスを用いてゲストが検出されればよい。また、ゲストは他のユーザであってもよい。
【0106】
図4の例において、ユーザ検出部150が、コンテンツが提供されている特許太郎のcomputer1の位置と特許次郎の位置とを検出したとき、現状保持部160を参照して特許太郎のセキュリティレベルと特許次郎のセキュリティレベルを比較してもよい。このとき、ユーザ検出部150が検出したcomputer1の位置と、特許次郎の位置との間の距離を計算し、computer1と特許次郎との間の距離が所定の間隔以下となった場合、アクセス実行部180は、computer1に対し、コンテンツの表示情報の出力を遮断してもよい。
【0107】
判断部130は、ユーザ携帯端末200の位置とゲストの位置との位置関係を検出する。また、ユーザ携帯端末200間の位置関係を検出してもよい。具体的には、判断部130は、ユーザ携帯端末200のディスプレイを中心として所定の範囲にゲストが入ったか否かを検出する。所定の範囲は、ディスプレイが目視できる距離に設定することができる。こうすることにより、ゲスト(又はユーザ)がユーザに向かって設定した距離にまで接近したとき、コンテンツの表示情報の出力が遮断され、携帯端末のディスプレイにコンテンツが一時的に表示されなくなる。
【0108】
したがって、フリーユースエリアを利用するユーザ間においても、業務のセキュリティを確保することができ、機密性の高い業務の遂行が可能となる。
【0109】
なお、コンテンツを提供する携帯端末は、携帯端末に限定されず、デスクトップコンピュータであってもよい。
【0110】
また、本実施の形態のコンテンツ管理装置100は、コンピュータプログラムにより、たとえば、コンテンツの表示情報をユーザ携帯端末に出力する出力手段と、コンテンツの表示情報を出力しているユーザ携帯端末を個々に識別してユーザ携帯端末の位置を検出するユーザ位置検出手段と、フリーユースエリア内のゲストの位置を検出するゲスト位置検出手段と、ユーザ位置検出手段が検出したユーザ携帯端末の位置と、ゲスト位置検出手段が検出したゲストの位置との間の距離を計算する位置関係検出手段と、を備え、位置関係検出手段が算出したユーザ携帯端末の位置とゲストの位置との間の距離が所定の間隔以下のとき、出力手段は、ユーザ携帯端末に対し、コンテンツの表示情報の出力を遮断することを実現されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】実施の形態にかかるコンテンツ管理装置100のブロック図である。
【図2】実施の形態にかかるコンテンツ管理装置100を含むコンテンツ管理システム1000を示す図である。
【図3】実施の形態にかかるフリーユースエリアを示す模式図である。
【図4】実施の形態にかかるデータ構造の一例を示す図である。
【図5】実施の形態にかかるコンテンツ管理方法を示すフローである。
【図6】実施の形態にかかるコンテンツ管理方法を示すフローである。
【図7】実施の形態にかかるコンテンツ管理方法の変形例を示すフローである。
【符号の説明】
【0112】
FAO フリーアドレスオフィス
FAY フリーアドレスユーザ
FUA フリーユースエリア
100 コンテンツ管理装置
110 エリア記憶部
120 ユーザ記憶部
130 判断部
140 コンテンツ記憶部
150 ユーザ検出部
160 現状保持部
170 アクセス受付部
180 アクセス実行部
200 ユーザ携帯端末
210 PDA
220 PHS端末
230 モバイルコンピュータ
300 ユーザ検出デバイス
320 基地局
330 アクセスポイント
1000 コンテンツ管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ携帯端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理装置であって、
前記コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するコンテンツ記憶手段と、
各フリーユースエリアをセキュリティレベル別に記憶するエリア記憶手段と、
前記フリーユースエリアごとに前記ユーザ携帯端末を識別する端末識別データを検出する端末位置検出手段と、
前記端末位置検出手段が検出した検出結果を保持する現状保持手段と、
前記端末識別データとともに前記コンテンツの要求を受け付けるコンテンツ要求受付手段と、
前記検出結果から前記コンテンツ要求受付手段が受け付けた前記端末識別データに対応するフリーユースエリアを抽出し、抽出された前記フリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断する判断手段と、
前記要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、前記コンテンツを要求する前記ユーザ携帯端末が位置する前記フリーユースエリアのセキュリティレベルを満足するとき、前記ユーザ携帯端末に前記要求されたコンテンツへのアクセスを許可するアクセス許可手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ管理装置。
【請求項2】
前記要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、前記コンテンツを要求する前記ユーザ携帯端末が位置する前記フリーユースエリアのセキュリティレベルを満足しないとき、前記アクセス許可手段は、前記コンテンツを要求する前記ユーザ携帯端末に前記コンテンツのアクセスが許可できないことを示すアクセス拒否情報を送出することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項3】
前記端末識別データをセキュリティレベル別に保持する端末記憶手段をさらに備え、
前記ユーザ携帯端末のセキュリティレベルが前記コンテンツを要求するユーザ携帯端末が位置するフリーユースエリアのセキュリティレベルを満足しないとき、前記アクセス許可手段は、前記コンテンツを要求する前記ユーザ携帯端末に前記コンテンツのアクセスを許可できないことを示す前記アクセス拒否情報を送信することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項4】
前記ユーザ携帯端末に前記コンテンツへのアクセスを許可したとき、前記判断手段は、アクセス許可した前記コンテンツの識別データと、前記コンテンツへのアクセスを許可した前記ユーザ携帯端末の前記携帯端末識別データとを対応づけて前記検出結果を更新することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のコンテンツ管理装置。
【請求項5】
フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ携帯端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理方法であって、
前記コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するステップと、
各フリーユースエリアをセキュリティレベル別に記憶するステップと、
前記フリーユースエリアごとに前記ユーザ携帯端末を識別する端末識別データを検出するステップと、
前記端末識別データを検出する前記ステップで検出した検出結果を保持するステップと、
前記端末識別データとともに前記コンテンツの要求を受け付けるステップと、
前記検出結果から前記コンテンツの要求を受け付ける前記ステップで受け付けた前記端末識別データに対応するフリーユースエリアを抽出し、抽出された前記フリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断するステップと、
前記要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、前記コンテンツを要求する前記ユーザ携帯端末が位置する前記フリーユースエリアのセキュリティレベルを満足するとき、前記ユーザ携帯端末に前記要求されたコンテンツへのアクセスを許可するステップと、
を含むことを特徴とするコンテンツ管理方法。
【請求項6】
フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ携帯端末の要求に応じて前記コンテンツを提供するためのコンテンツ管理プログラムであって、
コンピュータに、
前記コンテンツをセキュリティレベル別に記憶するコンテンツ記憶手段と、
各フリーユースエリアをセキュリティレベル別に記憶するエリア記憶手段と、
前記フリーユースエリアごとに前記ユーザ携帯端末を識別する端末識別データを検出する端末位置検出手段と、
前記端末位置検出手段が検出した検出結果を保持する現状保持手段と、
前記端末識別データとともに前記コンテンツの要求を受け付けるコンテンツ要求受付手段と、
前記検出結果から前記コンテンツ要求手段が受け付けた前記端末識別データに対応するフリーユースエリアを抽出し、抽出された前記フリーユースエリアのセキュリティレベルが、要求されたコンテンツのセキュリティレベルを満足するか否かを判断する判断手段と、
前記要求されたコンテンツのセキュリティレベルが、前記コンテンツを要求する前記ユーザ携帯端末が位置する前記フリーユースエリアのセキュリティレベルを満足するとき、前記ユーザ携帯端末に前記要求されたコンテンツへのアクセスを許可するアクセス許可手段と、
を実現させることを特徴とするコンテンツ管理プログラム。
【請求項7】
フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理装置であって、
前記コンテンツの表示情報をユーザ端末に出力する出力手段と、
前記コンテンツの表示情報を出力している前記ユーザ端末の位置を検出するユーザ位置検出手段と、
前記フリーユースエリア内のゲストの位置を検出するゲスト位置検出手段と、
前記ユーザ位置検出手段が検出したユーザ端末の位置と、前記ゲスト位置検出手段が検出したゲストの位置との位置関係を検出する位置関係検出手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ管理装置。
【請求項8】
前記位置関係検出手段は、前記ユーザ位置検出手段が検出したユーザ端末の位置と、前記ゲスト位置検出手段が検出したゲストの位置との間の距離を計算し、
前記位置関係検出手段が検出した前記ユーザ端末の位置と前記ゲストの位置との関係が所定の間隔以下のとき、前記出力手段は、前記ユーザ端末に対し、前記コンテンツの表示情報の出力を遮断することを特徴とする請求項7に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項9】
前記コンテンツの表示情報の出力を遮断するとき、ゲストが所定の距離に接近していることを警告する警告情報を出力することを特徴とする請求項8に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項10】
フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ端末の要求に応じてコンテンツを提供するコンテンツ管理方法であって、
前記コンテンツの表示情報をユーザ端末に出力するステップと、
前記コンテンツの表示情報を出力している前記ユーザ端末を個々に識別して前記ユーザ端末の位置を検出するステップと、
前記フリーユースエリア内のゲストの位置を検出するステップと、
前記ユーザ端末の位置を検出する前記ステップで検出したユーザ端末の位置と、前記ゲストの位置を検出する前記ステップで検出したゲストの位置との位置関係を検出するステップと、
を含むことを特徴とするコンテンツ管理方法。
【請求項11】
フリーロケーションスペースに用意されているフリーユースエリアで使用するユーザ端末の要求に応じてコンテンツを提供するためのコンテンツ管理プログラムであって、
コンピュータに、
前記コンテンツの表示情報をユーザ端末に出力する出力手段と、
前記コンテンツの表示情報を出力している前記ユーザ端末を個々に識別して前記ユーザ端末の位置を検出するユーザ位置検出手段と、
前記フリーユースエリア内のゲストの位置を検出するゲスト位置検出手段と、
前記ユーザ位置検出手段が検出したユーザ端末の位置と、前記ゲスト位置検出手段が検出したゲストの位置との位置関係を検出する位置関係検出手段と、
を実現させるコンテンツ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−86891(P2009−86891A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254208(P2007−254208)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】