説明

コンデンサ装置

【課題】スタッドに巻き付けられた補強紙よりも集合板の端部が外側に突き出ているため容器内に無駄な空間ができ、容器内に封入する絶縁油等の絶縁媒体を多く必要になるのでコストが増大するといった問題があった。また、突き出し電極を保護するための保護部材が厚かった場合、スタッドの移動が保護部材に妨げられ、スタッドの他端を集合板の穴に通すことが困難になり、作業性が悪くなるといった問題もあった。
【解決手段】集合板の端部の突き出し部が無くなることによってコンデンサ装置全体を小型化できるので、容器内に封入する絶縁油等の絶縁媒体の量を減らし、コストの低減を図ることができる。また、集合板の端部を折り曲げ等による直角な固定部を設け、平鋼等の集合部材を固定部にボルト等で容易に固定することができるようになり作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状の誘電体と電極箔とからなるコンデンサ素子が複数並設されて容器内に絶縁媒体とともに封入されている電力用などに使用されるコンデンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン等の誘電体フィルムや紙などのフィルム状の誘電体と一対のアルミニウムなどの電極箔とが交互に重ね合わされて筒状に巻回された後に、扁平状に成形されてコンデンサ素子が構成される。そして、複数個のコンデンサ素子の両側を締付板ではさみ、スタッドで固定する構造となっている。(特許文献1、2)
【0003】
上記の構成に加え、コンデンサ素子に突き出し電極が設けられたコンデンサ装置について図3および図4を用いて説明する。図に示すコンデンサ素子1は、ポリプロピレン等の誘電体フィルムや紙などのフィルム状の誘電体と一対のアルミニウムなどの電極箔とが、各電極箔の側縁部が互いに誘電体の側縁部から突出するように交互に重ね合わされて筒状に巻回された後に扁平状に成形される。このコンデンサ素子1の側縁部では電極箔が露出しており、この露出した部分が折りたたまれて突き出し電極1aが構成される。
【0004】
図3および図4に示すように複数のコンデンサ素子1が並設され(図中では8個)、このコンデンサ素子1の集合体を挟み込むように保護部材5が配置される。この保護部材5は絶縁物で構成されており、保護部材5は後述する集合板2に対する絶縁破壊(沿面)を防ぐ目的で設けられている。そして、この保護部材5の両面から集合板2がコンデンサ素子1を挟み込むように配置される。集合板2には後述するスタッド6を取り付けるための穴が設けられている。
【0005】
集合板2に設けられた穴にスタッド6が通され、固定されることによって複数のコンデンサ素子1と集合板2および保護部材5は一体化される。このスタッド6には補強紙4が巻き付けられており、補強紙4はスタッド6とコンデンサ素子1との間で絶縁破壊を生じさせないために設けられている。スタッド6によって集合板2および保護部材5と一体化されたコンデンサ素子1は、タンクや缶などの容器(図示せず)に収納され、絶縁油や絶縁ガスといった絶縁媒体が充填された後、密閉されてコンデンサ装置が完成する。
【0006】
次に、スタッド6でコンデンサ素子1を一体化する手順について図5を用いて説明する。片側の集合板2に設けられた穴にスタッド6の一端が奥まで通される。スタッド6に巻き付けられた補強紙4で保護部材5を押さえるように矢印方向にスタッド6が移動させられ、他方の集合板2に設けられた穴にスタッド6の他端が通される。その後、スタッド6が動かないようにナット(図示せず)で固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−106886号公報
【特許文献2】特開2000−277375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スタッド6に巻き付けられた補強紙4よりも集合板2の端部が外側に突き出ているため容器内に無駄な空間ができ、容器内に封入する絶縁油等の絶縁媒体を多く必要になるのでコストが増大するといった問題があった。
また、保護部材5が厚かった場合、スタッド6の移動が保護部材5に妨げられ、スタッド6の他端を集合板2の穴に通すことが困難になり、作業性が悪くなるといった問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、誘電体と一対の電極箔とが各電極箔の側縁部が互いに誘電体の側縁部から突出するように交互に重ね合わされて筒状に巻回された後、扁平状に成形され、突出した前記電極箔が折りたたまれて突き出し電極が構成されたコンデンサ素子を、複数並設し、集合板で挟み、集合部材で固定した後、容器に収納し絶縁媒体を充填密閉したコンデンサ装置において、前記集合板の端部を折り曲げ等による直角な固定部を設け、前記集合部材を前記固定部に接続したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
集合板の端部の突き出し部が無くなることによってコンデンサ装置全体を小型化できるので、容器内に封入する絶縁油等の絶縁媒体の量を減らし、コストの低減を図ることができる。また、集合板の端部を折り曲げ等による直角な固定部を設けることによって集合部材をボルト等で容易に固定することができるようになり作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るコンデンサ装置の平面図である。
【図2】図2は本発明の実施形態に係るコンデンサ装置の斜視図である。
【図3】図3は従来のコンデンサ装置の平面図である。
【図4】図2は従来のコンデンサ装置の斜視図である。
【図5】図3は従来のコンデンサ装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図1および図2を用いて説明する。コンデンサ素子1は、ポリプロピレン等の誘電体フィルムや紙などのフィルム状の誘電体と一対のアルミニウムなどの電極箔とが、各電極箔の側縁部が互いに誘電体の側縁部から突出するように交互に重ね合わされて筒状に巻回された後に扁平状に成形される。そして、突出した電極箔が折りたたまれて突き出し電極1aが構成される。
【0013】
コンデンサ素子1が複数個並設され(図中では8個)、コンデンサ素子1の両端の平面側にコンデンサ素子1を挟み込むように保護部材5を配置した後に集合板2が設置される。
【0014】
集合板2には集合部材3で固定するための固定部2aが設けられている。集合板2を板材で製作することにより端部を折り曲げるだけで固定部2aを製作することができる。そして、集合部材3には平鋼等が用いられ、集合部材3を固定部2aにボルト等(図示せず)で固定してコンデンサ素子1の集合体が完成する。集合部材3には補強紙4が巻かれている。
【0015】
そして、コンデンサ素子1の集合体がタンクや缶などの容器(図示せず)に収納され、絶縁油等の絶縁媒体が充填された後、密閉されてコンデンサ装置が完成する。
【符号の説明】
【0016】
1 コンデンサ素子
1a 突き出し電極
2 集合板
2a 固定部
3 集合部材
4 補強紙
5 保護部材
6 スタッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体と一対の電極箔とが各電極箔の側縁部が互いに誘電体の側縁部から突出するように交互に重ね合わされて筒状に巻回された後、扁平状に成形され、突出した前記電極箔が折りたたまれて突き出し電極が構成されたコンデンサ素子を、複数並設し、集合板で挟み、集合部材で固定した後、容器に収納し絶縁媒体を充填密閉したコンデンサ装置において、前記集合板の端部に直角な固定部を設け、前記集合部材を前記固定部に接続したことを特徴とするコンデンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−233719(P2011−233719A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102852(P2010−102852)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】