説明

コントローラと、これを用いた生体情報システム

【課題】ユーザが身体を動かしている際にも、安定して生体情報を検出可能なコントローラの実現。
【解決手段】本願のコントローラは、手で保持して利用されるコントローラ本体と、身体に保持して利用されると共に、コントローラ本体に接続された第1ストラップと、コントローラ本体または第1ストラップに配置された生体情報処理部と、第1ストラップに配置された第1生体情報検出部とを有し、第1生体情報検出部と生体情報処理部とは第1ストラップに配置された第1信号線を介して電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、家庭用ゲーム機に用いられる生体情報を検出可能なコントローラと、このようなコントローラを用いた家庭用ゲーム機本体(システム本体)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用ゲーム機で用いることを想定した生体情報を検出可能なコントローラは、図16に示すようなものが考えられていた。図16において、コントローラ101は、ユーザによって入力操作が行われる操作キー111、112、113a〜113d、114と、操作キーの操作番号を出力する操作信号発生手段122と、信号ラインや電源ライン等を含むケーブル102と、このコントローラ101をゲーム機本体(図示せず)に接続する為のコネクタ103とを有している。
【0003】
更に、コントローラ101は、ユーザの心身機能を計測する心身機能計測手段として、心拍数を測定する心拍測定計105、血圧を測定する血圧測定計106、発汗状態を測定する発汗センサ107、体脂肪率を測定する体脂肪率計108を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−78634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、昨今、コントローラにモーションセンサが搭載され、ユーザがコントローラを保持して身体を動かす事により、ゲーム機に自分の意志を入力するコントローラ形態が主流となってきている。このような形態のコントローラの場合、図16に示したコントローラ101では、ユーザがコントローラを保持して身体を動かす間に、心身機能計測手段(例えば、体脂肪率計108)の電極上に置かれていた手が容易に離れてしまい、生体情報を検出する事が不可能となってしまう。また、左利きと右利きの人でコントローラの持ち方が変化する為、手・指が接触するコントローラの表面部位は左利きと右利きの人で異なる事となる。そのため、コントローラの表面に多数の心身機能計測手段の電極を配置する必要が生じてしまう。
【0006】
そこで、本願のコントローラは、簡易な構造で安定して生体情報を検出することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本願のコントローラは、手で保持して利用されるコントローラ本体と、身体に保持して利用されると共に、コントローラ本体に接続された第1ストラップと、コントローラ本体または第1ストラップに配置された生体情報処理部と、第1ストラップに配置された第1生体情報検出部とを有し、第1生体情報検出部と生体情報処理部とは第1ストラップに配置された第1信号線を介して電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により、本願のコントローラは、ユーザの身体(例えば、手首や上腕等)に保持して利用される第1ストラップを有しており、ユーザが手でコントローラを保持して、コントローラを振り回すような動作をしたとしても、例えば第1ストラップがユーザの手首に固定されている為、第1ストラップに配置された第1生体情報検出部がユーザの身体(例えば、手首や上腕等)から容易に離れない。このため、ユーザが手でコントローラを保持して、コントローラを振り回すような動作をしたとしても、比較的に安定して生体情報を検出する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1におけるコントローラを示す図
【図2】実施の形態1におけるコントローラを示す図
【図3】実施の形態1におけるコントローラを示す図
【図4】実施の形態1におけるコントローラを示す図
【図5】実施の形態1におけるコントローラを示す図
【図6】実施の形態2におけるコントローラを示す図
【図7】実施の形態2におけるコントローラのブロック図
【図8】実施の形態2における生体情報検出回路図
【図9】実施の形態2における生体情報検出回路図
【図10】実施の形態2におけるコントローラを示す図
【図11】実施の形態2における生体情報検出回路図
【図12】実施の形態2におけるコントローラのブロック図
【図13】実施の形態2におけるコントローラを示す図
【図14】実施の形態3におけるコントローラを示す図
【図15】実施の形態4におけるコントローラを示す図
【図16】従来のコントローラを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る本発明のコントローラについて、図1(A)と図1(B)を用いて説明する。
【0011】
図1(A)に示すようにコントローラ1は、コントローラ本体2と、コントローラ本体2に接続された第1信号線5と、第1信号線5と接続された第1ストラップ3とを有している。また、第1ストラップ3には第1生体情報検出部4が配置され、第1生体情報検出部4が検出した生体情報は、第1信号線5を介して生体情報処理部6へ入力される。よって、第1生体情報検出部4と第1信号線5と生体情報処理部6とは電気的に接続されている。
【0012】
図1(B)を用いて、コントローラ1の使用状態について説明する。コントローラ1に第1信号線5を介して接続された第1ストラップ3は身体の一部に保持されて使用される。例えば、第1ストラップ3を首に巻き付けて保持してもよいし、胸部や腹部、足等に巻き付けて保持しても良い。また、図1(B)に示すように、コントローラ本体2を握る手の手首に保持して利用することもできる。以下、図1(B)に示す状態でコントローラ1を使用した場合を用いて説明する。
【0013】
人の身体に保持されて使用される第1ストラップ3には第1生体情報検出部4が配置されており、第1生体情報検出部4で生体情報が検出される。検出される生体情報としては、脈拍や心拍、体温、脈波、呼吸状態、発汗状態、血圧、血中飽和酸素濃度、筋電等の生体情報に関するものなら測定対象である。以下、便宜上、検出される生体情報が脈拍信号であるとして説明する。
【0014】
第1生体情報検出部4において計測された脈拍信号(脈波波形)は、第1信号線5を介して生体情報処理部6に入力される。生体情報処理部6は、入力される生体情報を分析し、脈拍数や体温などのバイタルデータを抽出する。本実施の形態においては、生体情報処理部6は、入力される脈拍信号(脈波波形)を分析し、脈拍数等のバイタルデータを導出する。尚、第1生体情報検出部4や生体情報処理部6は、第1信号線5等を介して、コントローラ本体2内の電源装置から電力が供給される構成としてもよい。また、第1生体情報検出部4は、生体情報処理部6からの命令(制御信号)を受けて、生体情報の検出動作を行う。
【0015】
生体情報処理部6において抽出されたバイタルデータは、コントローラ本体2に配置された無線部(図示せず)からゲーム機本体(システム本体、図示せず)へ無線伝送され、ゲーム機本体(システム本体、図示せず)はコントローラ1から得られたバイタルデータをゲーム内容に反映し、ゲームのエンターテイメント性を向上させるものである。
【0016】
本願のコントローラ1は、身体に密着して保持される第1ストラップ3に第1生体情報検出部4が配置されているため、ユーザが手でコントローラ1を保持して、コントローラ1を振り回すような動作をしたとしても、第1ストラップ3がユーザの手首に固定されている為、第1ストラップ3に配置された第1生体情報検出部4がユーザの手首から容易に離れない。このため、ユーザが手でコントローラ1を保持して、コントローラ1を振り回すような動作をしたとしても、比較的に安定して生体情報を検出する事が可能となる。また、利き手に関わらず、生体情報を検出することができるため、生体情報を検知する電極をコントローラ本体2の表面に多数に配置する必要はなくなり、右手でも、左手でもどちらの手で保持しても、生体情報は検出可能である。
【0017】
尚、図2(A)および図2(B)に示すように、生体情報処理部6はコントローラ本体2の内部に配置された基板20に実装されてもよい。これによりコントローラ1の製造が容易となり、安価なコントローラを実現する事が可能となる。
【0018】
また、図3(A)および図3(B)に示すように、生体情報処理部6は第1ストラップ3に配置されてもよい。これにより、第1生体情報検出部4において検出された生体信号が第1信号線5等を伝送中に減衰したり、ノイズが混入することを回避できる。
【0019】
尚、モーションセンサ(図示せず)がコントローラ本体2に配置された構成としてもよい。この場合、コントローラ本体2に配置されたモーションセンサ(図示せず)は、コントローラ1を保持するユーザがコントローラ本体2を空間的に動かした時の動作量を検出し、検知した動作量を無線部(図示せず)からゲーム機本体(システム本体、図示せず)へ無線伝送することにより、人の動きをゲームに反映させる。この場合、コントローラ本体2はユーザの手に握られた状態で空間的に振り回される事が予想され、ユーザの不注意によりユーザの手からコントローラ本体が遠くへ飛んでいく危険がある。しかし、本発明のコントローラ1は、第1信号線5を介してコントローラ本体2に接続された第1ストラップ3を有しており、第1ストラップ3はユーザの身体に固定されているため、コントローラ1を振り回して使用する中で、誤ってコントローラ本体2が手から離れてしまったとしても、コントローラ本体2が遠くへ飛んでいく事故を防止でき、安全である。
【0020】
さらに、図4に示すようにコントローラ本体2を保持する手と異なる手の手首に第1ストラップ3を固定している場合について説明する。
【0021】
図4においては、モーションセンサ(図示せず)が内蔵されたコントローラ本体2をユーザが空間的に手で移動させ、その移動の方向、量をモーションセンサで検知し、ゲーム機本体(システム本体、図示せず)に検知内容を送信することでゲーム機本体(システム本体、図示せず)を制御する様子を示している。この場合、コントローラ本体2を保持している手の手首も同時に激しく動く。一方、コントローラ本体2を握る手の手首とは異なる手首に第1ストラップ3を固定すると、コントローラ本体2を握る手と比較して、第1ストラップ3が固定された手の動きは緩やかである為、アーティファクトの発生頻度および強度を低く抑えることができる。
【0022】
さらに、コントローラ本体2に第1モーションセンサ7が配置され、第1ストラップ3に第2モーションセンサ8が配置された構成について図5を用いて説明する。
【0023】
図5において、第1ストラップ3は、コントローラ本体2を保持する手と異なる手の手首に固定されている。このため、第1モーションセンサ7と第2モーションセンサ8とをそれぞれの手又は手首に配置する事ができ、結果、両手の空間的な動作を同時に観測することができる。これにより、ユーザの動作の検出精度を向上させることができる。
【0024】
また、ユーザが動作を行うと、第1ストラップ3に配置された第1生体情報検出部4の検知する生体情報には体動アーティファクトが発生しやすいが、第2モーションセンサ8の検出結果から発生する体動アーティファクトを推定し、その結果を基に第1生体情報検出部4の検出を補正する事により体動アーティファクトによる影響を軽減することができる。
【0025】
尚、第1ストラップを保持する部位として、手首で説明を行ったが、胸、前腕、上腕、首、肩、脚など身体で保持できる箇所ならどこでもよい。
【0026】
尚、生体情報の計測方式としては周知のものが使用され、その方式に有利となるように、第1生体情報検出部4を第1ストラップ3の表面(第1ストラップ3を身体に固定する際、身体に密着される面)または裏面(第1ストラップ3を身体に固定する際、身体に密着されない面)のどちらに配置するかが選択されてもよい。
【0027】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係る本発明のコントローラについて、図6(A)と図6(B)を用いて説明する。図6(A)に示すコントローラ1は、実施の形態1に係る図1(A)に、更に、生体情報処理部6に電気的に接続された第2信号線11と、第2信号線11と接続された第2ストラップ10と、第2ストラップ10に配置されると共に第2信号線11と電気的に接続された第2生体情報検出部9とを備えた構成となっている。
【0028】
図6(B)に、図6(A)のコントローラ1を身体で保持して使用したときの一例を示す。また、図7には、コントローラ1のブロック図を示す。尚、本実施の形態2において、第1生体情報検出部4と第2生体情報検出部9は心電方式で心拍を検出しているとして説明する。
【0029】
図6(B)において、コントローラ本体2を握る手の手首には第1ストラップ3が固定されており、またコントローラ本体2を握っていない手の手首には第2ストラップ10が固定されている。心電方式により脈拍検出を行う第1生体情報検出部4および第2生体情報検出部9は導電体よりなる電極により構成されることが多く、不分極性の高い銀塩化銀などが用いられる。そして、これら電極は、身体と電気的に結合している。故に、第1生体情報検出部4および第2生体情報検出部9においては、身体を伝搬してきた心電位波形が検出される。第1生体情報検出部4および第2生体情報検出部9において検出された心電位波形は、それぞれ生体情報処理部6へ入力される。そして生体情報処理部6において、両手首間の電位差を差動増幅器21(あるいは計装アンプ)で検出する。両手首間の電位差を検出することで得られた信号はフィルタ22で濾波された後、AD変換器23においてデジタル情報に変換される。AD変換器23から出力されたデジタル情報はCPU24へ入力され、生体情報(例えば心拍数)が抽出された後、無線部25を介してゲーム機本体(システム本体、図示せず)へ無線送信される。尚、生体情報処理部6は水晶発振器26をクロック信号として動作するCPU24から制御信号を受信し、動作するものである(図7参照)。
【0030】
図8に差動増幅器21の回路例を示す。ボルテージ・フォロアにより、生体インピーダンスの影響を抑制し、後段の増幅器により2点間の電位差を差動増幅するものである。差動増幅器21の代わりに、図9に示す計装アンプを用いてもよい。図9に示す計装アンプは入力インピーダンスが1GΩ以上と生体インピーダンスに対して十分大きく、コモンモードノイズを除去する機能が大きいため、検出精度を向上することができる。
【0031】
実施の形態2に係るコントローラ1は、図6(B)に示す状態で心電位計測を行うため、得られる心電位は2点(両手首)の電位の差分をとることになり、コモンモードノイズが低減されることとなる。この結果、身体を伝搬し、第1生体情報検出部4または第2生体情報検出部9において検出されてしまう商用電源ノイズ等のコモンモードノイズを低減でき、検出される生体情報のSNRを向上させることができる。
【0032】
また、第1信号線5に重畳される商用電源ノイズ等のノイズ低減のために、第1ストラップ3上にグランド電極12を配置する構造について図10(A)に示す。図10(A)に示すコントローラ1は、図6(A)の第1ストラップ3にグランド電極12が配置されると共に、グランド電極12と生体情報処理部6のグランドとを電気的に接続するグランド線13とが付加された以外は、図6(A)のコントローラ1と同様の構成となっている。図10(B)を用いて、図10(A)のコントローラ1の使用状態を説明する。図10(B)において、第1ストラップ3はコントローラ本体2を握っている手の手首に装着され、第2ストラップ10はコントローラ本体2を握っていない方の手の手首に装着される。グランド電極12は導電性の金属板で形成されており、身体と電気的に結合している。グランド線13と生体情報処理部6に内蔵されている差動増幅器21のグランドとが電気的に接続されている為、第1信号線5に重畳される商用電源ノイズ等を低減する事ができる。尚、第1信号線5の長さとグランド線13の線路長をほぼ同一長とし、第1信号線5とグランド線13とを近接させて配置する構成としてもよい。これにより、第1信号線5とグランド線13とにそれぞれ重畳されるノイズをほぼ同一のものとすることができ、結果、差動増幅器21において第1信号線5に重畳されるノイズの低減効果を向上させられる。図10においては、第1ストラップ3にグランド電極12を配置したが、第2ストラップ10にグランド電極12を配置した構成としてもよい。第1信号線5と第2信号線11とを比較した場合、第2信号線11の線路長の方が長くなる為、商用電源ノイズ等が重畳し易い。このため、第2ストラップ10側にグランド電極12を設け、グランド線13を生体情報処理部6のグランドと電気的に接続する事で、差動増幅器21において、第2信号線11に重畳されたノイズを低減する事が可能となる。更に、第2信号線11とグランド線13の線路長をほぼ同一長とし、第2信号線11とグランド線13とを近接させて配置する構成としてもよい。これにより、第2信号線11とグランド線13とにそれぞれ重畳されるノイズをほぼ同一のものとすることができ、結果、差動増幅器21において第2信号線11に重畳されるノイズの低減効果を向上させられる。また、コントローラ本体2が大地と電気的に接続されていない場合、人体に電流が流れる危険もなく、簡易な構成で検出精度を向上させることができる。
【0033】
また、ノイズ低減のために、図10(A)に示すコントローラ1は、図6(A)の第1ストラップ3にグランド電極12が配置されると共に、グランド電極12と生体情報処理部6に内臓されたDRL(Degital Right Leg)回路の出力を電気的に接続するグランド線13とが付加された構成としてもよい(それ以外は、図6(A)のコントローラ1と同様の構成となる)。図11、及び、図12に回路図とブロック図を示し、説明する。第1生体情報検出部4、及び、第2生体情報検出部9における検出電位は、それぞれ第1信号線5、及び、第2信号線11を介して差動増幅器21に入力され 差動増幅器21においてそれらの電位差が検出される。心電位波形は1mV前後で検出されるのに対し、商用電源ノイズは周囲の環境にも依存するが、数Vの電位で検出される。さらに、第1生体情報検出部4と身体との接触インピーダンス、及び、第2生体情報検出部9と身体との接触インピーダンスは、共に、数百kΩであり、時間的にその値は、それぞれ独立して変動している。差動増幅器21の同相信号除去比は少なくとも80dB〜90dBは必要であり、測定環境によってはそれ以上の性能が求められる。差動増幅器21の同相信号除去が十分でない場合、商用電源ノイズが無視できず、SNRが劣化する。これを解決するために考えられたのがDRL回路であり、差動増幅器21の入力端子部において、2点間のコモンモード電圧を検出し、反転増幅器により逆相のコモンモード電圧を、グランド線13を介し、グランド電極12から人体に供給するものである。この電圧を人体に印加することにより、商用電源ノイズはキャンセルすることができ、差動増幅器21から出力されるコモンモードノイズを低減することができるのである。
【0034】
さらに、図13に示すように、第2ストラップ10に第2モーションセンサ8が配置されていてもよい。これにより、第2ストラップ10が固定されている方の手の動きを検知する事ができ、その情報を第2信号線11及び生体情報処理部6等を介してコントローラ本体2に配置された無線部(図示せず)からゲーム機本体(システム本体、図示せず)へ無線送信し、ゲーム機本体(システム本体、図示せず)を制御することができる。
【0035】
第2ストラップ10において、生体情報は生体情報検出部9から、また身体の動きは第2モーションセンサ8から、それぞれ同時に検出することができる。ここで、検出される生体情報には身体の動きによる体動アーティファクトが発生するが、第2モーションセンサ8を利用することで、体動アーティファクトによる影響を低減でき、高精度に生体情報を検出することができる。
【0036】
尚、心拍の検出において、第1生体情報検出部4と第2生体情報検出部9の固定部位は、胸、前腕、上腕、首、肩、脚など身体で保持できる箇所ならどこでもよく、右手首と左手首の組み合わせに限らず、右手首/左上腕、右手首/左脚、右肩/左前腕等の組み合わせでもよい。
【0037】
尚、図6〜13においては、コントローラ1の生体情報処理部6がコントローラ本体2の外部に配置された構成で説明したが、生体情報処理部6をコントローラ本体2の内部に配置した構成としても良い。これによりコントローラ1の構造を簡略化でき、製造効率を向上させることができる。
【0038】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3に係る本発明のコントローラについて、図14(A)、(B)、(C)を用いて説明する。実施の形態3に係るコントローラは、図1(A)に示すコントローラ1に、更に、固定バンド14(図14(A)参照)と、固定バンド14に配置された第2生体情報検出部9と、一端が第2生体情報検出部9に電気的に接続されると共に、他端が生体情報処理部6内の差動増幅器に電気的に接続された第2信号線11とを付加した構成を有している。
【0039】
図14(C)に示すように、コントローラ本体2を保持する手の手首とは異なる方の手首に第1ストラップ3は保持される。固定バンド14は、一定の幅を備え、柔軟性を有すると共に、図14(B)に図示するように、コントローラ本体2の手で保持する部位に巻きつけて固定される(図14(C)では、手で握っている部位から少しずれた場所に固定バンド14が配置されているが、図示して示し易いように、便宜上、そのように記載しているだけであり、理想的には、手のひらの触れる部位に巻き付けて固定される)。固定方法としては、例えば、マジックテープ(登録商標)等を利用することが考えられる。固定バンド14には柔軟性を有した第2生体情報検出部9が配置されているため、図14(C)のように固定バンド14を包みこむように手で握ると、手と第2生体情報検出部9とが近接し、結果、電気的に結合する。尚、この電気的な結合の度合いを大きくする為に、第2生体情報検出部9を固定バンド14のコントローラ本体2に面していない側に配置してもよい。また、生体情報として心電を検出する場合、固定バンドの材料を柔軟性を持った導電布で実現し、導電布自体を第2生体情報検出部9として利用してもよい。更に、第2生体情報検出部9の長さをコントローラ本体の外周より長くしておけば、コントローラ本体2に巻きつけて固定した時に、コントローラ本体2の外周全体に第2生体情報検出部9が配置された状態となり、ユーザがコントローラ本体2を振り回して使用する場合においても完全にユーザの手が生体情報検出部の電極から離れてしまうことを低減でき、測定精度を向上させることができる。
【0040】
実施の形態3に係るコントローラ1を図14(C)に示した方法で使用した場合、コントローラ本体2を握る手の電位と、コントローラ本体2を握っていない方の手の手首の電位を検出でき、それらの電位の電位差を生体情報処理部6の差動増幅器で導出することでユーザの心電位波形を精度良く検出する事が可能となる。
【0041】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4に係る本発明のコントローラについて、図15(A)、(B)を用いて説明する。実施の形態4に係るコントローラは、図1(A)のコントローラ1の第1ストラップ3に、更に、第2生体情報検出部9を配置し(図15(A)参照)、第2生体情報検出部9と生体情報処理部6内の差動増幅器とを第2信号線11を介して電気的に接続したものである。
【0042】
図15(A)において、第1ストラップ3は柔軟性のある一定の幅を備えた素材よりなり、第1生体情報検出部4は第1ストラップ3の一方面側に配置され、第2生体情報検出部9は第1ストラップ3の他方面側に配置されている。
【0043】
図15(B)を用いて、実施の形態4に係るコントローラ1の使用方法を示す。第1ストラップ3は、コントローラ本体2を握っている方の手の手首に装着される。そして、コントローラ本体2を握っていない方の手の指で、手首に巻かれている第1ストラップ3の表面側(身体に接していない側)に配置されている生体情報検出部(図15(B)においては、第2生体情報検出部9)に触れる。これにより、コントローラ本体2を握っている手の手首の電位とコントローラ本体2を握っていない方の手の指の電位とを検出でき、生体情報処理部6の差動増幅器において、それらの電位の電位差を算出できることから、ユーザの心電位波形を精度良く検出する事が可能となる。
【0044】
尚、コントローラ本体2を振り回すなど激しい身体の動きが伴うゲームをユーザが行う場合、第1生体情報検出部4及び第2生体情報検出部9と身体との近接状態が大きく変動し、例えば、心電位波形出力の基線レベルが変動したり、心拍波形が大きく変動する等が想定される。これを軽減する為、本実施の形態1から4に係るコントローラ1を用いた生体情報システムが、生体情報処理部6の得た生体情報をコントローラ1から受信するゲーム機本体(システム本体、図示せず)と、ゲーム機本体(システム本体、図示せず)と接続されたテレビ等の表示部(図示せず)とを備えており、ゲーム機本体(システム本体、図示せず)は、表示部(図示せず)を介してコントローラ本体2を保持しているユーザに所定動作の指示を出すシステム構成としてもよい。ゲーム機本体(システム本体、図示せず)がユーザに指示する所定動作内容は、ユーザの動作が緩慢となるよう促すものであり、具体的には、深呼吸をさせたり、安静行動を指示したり、数秒間静止行動をとらせたり、直立不動の姿勢をとらせるというものである。これにより、ユーザの動作状況が緩慢となり、生体情報を検出精度が高い状況(体動アーティファクトの発生が少ない状況)を作ることができる。ゲーム機本体(システム本体、図示せず)が、表示部(図示せず)を介してコントローラ本体2を保持しているユーザに所定動作の指示を出した後、第1生体情報検出部4及び第2生体情報検出部9が検出した生体情報を、ゲーム機本体(システム本体、図示せず)がコントローラ1から受信することにより、高い精度の生体情報を得る事ができる生体情報システムを実現できる。
【0045】
尚、ゲーム機本体(システム本体、図示せず)が、表示部(図示せず)を介してコントローラ本体2を保持しているユーザに指示する所定動作が、図15(B)に示す姿勢であってもよい。これにより、ユーザの姿勢が体動アーティファクトの発生しにくい図15(B)に示す姿勢となり、ユーザの激しい動作を抑制することができる。
【0046】
このように、生体情報の測定精度が低いゲーム中に、ゲーム機本体(システム本体、図示せず)側からユーザに指示を送ることで、生体情報の検出精度を向上させることができる。
【0047】
尚、本願におけるコントローラとは、システムの操作をするためのデバイスあるいは操作回りを司るモジュールの事である。
【0048】
また、本願の図面においては便宜上記載しなかったが、生体情報処理部6のグランドと、コントローラ本体2に内蔵されている基板に配置されたグランドとは電気的に接続されて、直流的に同電位となっている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明の生体情報を検出可能なコントローラは、ユーザが身体を動かしながら利用したとしても、比較的安定して生体情報を検出することができるため、コントローラから得られた生体情報を利用して、例えば、ゲーム機のソフトウェアの幅を拡張し、ゲーム等のエンターテイメント性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 コントローラ
2 コントローラ本体
3 第1ストラップ
4 第1生体情報検出部
5 第1信号線
6 生体情報処理部
7 第1モーションセンサ
8 第2モーションセンサ
9 第2生体情報検出部
10 第2ストラップ
11 第2信号線
12 グランド電極
13 グランド線
14 固定バンド
20 基板
21 差動増幅器
22 フィルタ
23 AD変換器
24 CPU
25 無線部
26 水晶発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で保持して利用されるコントローラ本体と、
身体に保持して利用されると共に、前記コントローラ本体に接続された第1ストラップと、
前記コントローラ本体または前記第1ストラップに配置された生体情報処理部と、
前記第1ストラップに配置された第1生体情報検出部とを有し、
前記第1生体情報検出部と前記生体情報処理部とは前記第1ストラップに配置された第1信号線を介して電気的に接続されたコントローラ。
【請求項2】
前記第1ストラップが保持される身体と異なる部位に保持して利用されると共に、前記コントローラ本体に接続された第2ストラップと、
前記第2ストラップに配置された第2生体情報検出部とを有し、
前記第2生体情報検出部と前記生体情報処理部とは前記第2ストラップに配置された第2信号線を介して電気的に接続された請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
手首に保持して利用される前記第1ストラップと、
前記第1ストラップが保持される手首と異なる方の手首に保持して利用される前記第2ストラップとを有する請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記コントローラ本体を保持する手の手首とは異なる方の手首に保持して利用される前記第1ストラップと、
一定の幅を備え、柔軟性を有すると共に、前記コントローラ本体の手で保持する部位に巻きつけて固定される固定バンドとを有し、
前記固定バンドには第2生体情報検出部が配置され、
前記第2生体情報検出部と前記生体情報処理部とは前記固定バンドに配置された第2信号線を介して電気的に接続された請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記第1ストラップには、更に、第2生体情報検出部が配置されており、
前記第1ストラップは柔軟性のある一定の幅を備えた素材よりなり、
前記第1生体情報検出部は前記第1ストラップの一方面側に配置され、
前記第2生体情報検出部は前記第1ストラップの他方面側に配置された請求項1に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記コントローラ本体に配置された第1モーションセンサを有する請求項1に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記第1ストラップに配置された第2モーションセンサを有する請求項1に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記第2ストラップに配置された第2モーションセンサを有する請求項2に記載のコントローラ。
【請求項9】
手で保持して利用されるコントローラ本体と、
身体に保持して利用されると共に、前記コントローラ本体に接続された第1ストラップと、
前記コントローラ本体または前記第1ストラップに配置された生体情報処理部と、
前記第1ストラップに配置された第1生体情報検出部とを有し、
前記第1生体情報検出部と前記生体情報処理部とは前記第1ストラップに配置された第1信号線を介して電気的に接続されたコントローラと、
前記生体情報処理部が得た生体情報を前記コントローラから受信するシステム本体と、
前記システム本体と接続された表示部とを備え、
前記システム本体は、前記表示部を介して前記コントローラを保持しているユーザに所定動作の指示を出した後、前記コントローラからの生体情報を受信する生体情報システム。
【請求項10】
前記第1ストラップには、更に、第2生体情報検出部が配置されており、
前記第1ストラップは柔軟性のある一定の幅を備えた素材よりなり、
前記第1生体情報検出部は前記第1ストラップの一方面側に配置され、
前記第2生体情報検出部は前記第1ストラップの他方面側に配置された請求項9に記載の生体情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−29845(P2012−29845A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171641(P2010−171641)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】