説明

コンバインの刈取昇降制御装置

【課題】刈取装置の点検や修理を行う際に、誤って刈取装置が下降してしまう不具合を少なくし、作業の安全性を高める。
【解決手段】走行車台(2)の前側に立毛穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)を昇降させる油圧シリンダ装置(7)を設け、該油圧シリンダ装置(7)への送油を電磁比例弁(8)で制御することにより刈取装置(4)の昇降速度を変更可能な構成とし、刈取ロック機構(9)によって該刈取装置(4)の下降を停止させる構成とし、該刈取ロック機構(9)のロック解除後に、最初の刈取下降操作時には下降出力を禁じ、主変速レバー(12)を停止位置へ操作するか又は該刈取装置(4)が上昇操作されたことを検出した後に、該刈取装置(4)の下降出力を許可する制御装置(13)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈取昇降制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインで立毛穀稈の収稈の収穫作業は、このコンバインの走行車台の前部に設けた刈取装置で穀稈は刈取りされ、刈取り穀稈は後方上部へ移送され、脱穀処理される。
前記刈取装置の刈取り高さは、特開昭59−118013号公報で示すように、該刈取装置の絶対対地高さを刈高設定器で調節設定した所望の刈高さ(H1)に維持するように、該刈取装置に設けた対地高さ検出センサの検出結果に基づいて、刈取部昇降装置を制御するような構成であり、該刈高さ(H1)よりも高く設定された第二設定高さ(H2)より、更に高位置から下降制御されたとき、該対地高さ検出センサが該第二設定高さ(H2)検出した時点から所定時間経過の間、もしくは所定距離前進の間は、下降作動を牽制阻止するよう構成してある刈高制御機構である。
【0003】
又、該刈取装置を点検、及び修理等の作業を行う時には、作業者は、該刈取装置の下部付近に位置して居る必要がある。この時には、危険の回避処理として、該刈取装置にロックが行われるように、刈取ロック装置が設けられているが、誤ってこの操作が解除された場合には、該刈取装置が下降(人為的ミス)しまう恐れがある。
【特許文献1】特開昭59−118013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記刈取装置を点検、及び修理等の作業を行う時には、作業者が該刈取装置の下部付近に位置して居る必要がある。この時には、危険の回避処理として、該刈取装置にロックが行われるように、刈取ロック装置が設けられているが、誤ってこの操作が解除された場合には、該刈取装置が下降(人為的ミス)してしまう恐れがあり、これを解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、走行車台(2)の前側に立毛穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)を昇降させる油圧シリンダ装置(7)を設け、該油圧シリンダ装置(7)への送油を電磁比例弁(8)で制御することにより刈取装置(4)の昇降速度を変更可能な構成とし、刈取ロック機構(9)によって該刈取装置(4)の下降を停止させる構成とし、該刈取ロック機構(9)のロック解除後に、最初の刈取下降操作時には下降出力を禁じ、主変速レバー(12)を停止位置へ操作するか又は該刈取装置(4)が上昇操作されたことを検出した後に、該刈取装置(4)の下降出力を許可する制御装置(13)を設けたことを特徴とするコンバインの刈取昇降制御装置としたものである。
【0006】
コンバインで圃場の立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインの走行車台(2)の前側に設けた刈取装置(4)で穀稈を刈取り、刈取り穀稈はこの刈取装置(4)で後方上部へ移送されて、脱穀処理される。
【発明の効果】
【0007】
上述のように、従来、刈取装置(4)をロック状態に操作するのは、該刈取装置(4)の点検や修理を行う場合であり、作業者が該刈取装置(4)の下近辺にいることが多く、このために、誤って刈取装置(4)が下降してしまう恐れがあったが、この発明によると、誤操作による危険を回避することができて安全性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2の下側に走行装置3を設け、該走行車台2の前方部に立毛穀稈を刈取り、後方上部へ移送する刈取装置4を設けると共に、該走行車台2の上側面の一方側には、該刈取装置4から刈取り穀稈を引継ぎ脱穀する脱穀装置5と、この脱穀装置5の右横側には、脱穀済み穀粒の供給を該脱穀装置5より受けて、一時貯留する穀粒貯留タンク6を載置して設けている。
【0009】
前記走行車台2の前方部に設けた刈取装置4を、上下移動制御する油圧シリンダ装置7を該走行車台2の上前側面に載置して設けると共に、該油圧シリンダ装置7への出力は、操作装置11に内装した電磁比例弁8で制御させる構成である。これにより、昇降速度を可変可能な機能を有して、かつ支持杆29aの上部に設けた刈取ロック機構9により、該刈取装置4の下降を停止させる構成である。この構成において、該刈取ロック機構9を解除後に、最初の刈取下降操作の時には、該刈取装置4の刈取下降出力は行わずに、該操作装置11に設けた主変速レバー12を「停止」位置への操作、又は該刈取装置4が上昇操作されたことを検出時以降に、該刈取装置4の刈取下降を出力制御する制御装置13を設けた、該コンバイン1の刈取昇降制御装置10とした構成である。
【0010】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図1で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3aを張設した走行装置3を配設し、走行車台2の上側面に脱穀装置5を載置している。該走行車台2の前方部の刈取装置4で立毛穀稈を刈取りして、後方上部に移送し、該脱穀装置5のフィードチェン5aと、挟持杆5bとで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済み穀粒は、該脱穀装置5の右横側へ配設した穀粒貯留タンク6内へ供給され、一時貯留される。
【0011】
前記走行車台2の前方部には、図1、及び図2で示すように、刈取装置4で立毛穀稈を刈取り後方上部へ移送して、該走行車台2の上側面に載置した脱穀装置5へ供給され、この脱穀装置5内を挟持移送中に脱穀処理されると共に、風選別された選別済み穀粒は、該脱穀装置5の右横側で、該走行車台2の上側面に載置した穀粒貯留タンク6内へ移送供給されて、一時貯留される構成である。
【0012】
前記刈取装置4を上下移動制御する油圧シリンダ装置7を、該走行車台2に装着して設けると共に、該油圧シリンダ装置7への出力を、操作装置11へ内装した、電磁比例弁8で制御させる構成であり、これにより、該刈取装置4の昇降速度を可変可能な機能を有して、かつ刈取ロック機構9により、該刈取装置4の下降を停止させる構成である。
【0013】
上記の構成において、前記刈取ロック機構9を解除後に、最初の刈取下降操作の時に、刈取下降出力は行わず、操作装置11に設けている、主変速レバー12を「停止」位置への操作、又は該刈取装置4が上昇操作されたことを検出時以降に、該刈取装置4の刈取下降を出力制御する該操作装置11内には、制御装置13を設けた構成である。
【0014】
前記刈取装置4を該刈取ロック機構9でロック状態に操作するのは、該刈取装置4を点検や修理を行う時であり、これらの作業の時は、作業者が該刈取装置4の下近辺にいることが多く、このために、この時には、危険回避処理の操作が行われるが、誤ってこの操作が解除された時には、該刈取装置4が下降(人為的ミス)してしまう恐れがあり、作業者が怪我することがあった。
【0015】
これにより、ロックを解除して即下降操作したときには、誤操作の恐れがあるが、この危険を回避することができて安全である。
前記刈取装置4の刈取昇降制御を、図2で示すブロック図と、図3で示すフローチャート図とにより説明する。
【0016】
入力側は、駆車ペダル(スイッチ)14aと、掻込ペダル(スイッチ)14bと、刈取自動停止(スイッチ)15aと、刈取ロック(スイッチ)15bと、刈脱モノレバー(スイッチ)14cとは、デジタル信号入力処理部16aへ入力される構成である。
【0017】
刈取昇降レバー(ポジションセンサ)12aと、主変速レバー(ポジションセンサ)12と、刈取高さセンサ(ポジションセンサ)12bとは、アナログ信号入力処理部16bへ入力される構成である。
【0018】
車速センサ(回転検出センサ)12cは、パルス入力検出手段部16cへ入力される構成である。
前記デジタル信号入力処理部16aから刈取昇降制御手段17bへ入力される。又、タイマーカウント手段17aと、該刈取昇降制御手段17bとは、互いに入力、及び出力される構成される。
【0019】
前記アナログ信号入力処理部16bと、前記デジタル信号入力処理部16aとは、刈取クラッチ駆動、及び停止手段17cへ入力される構成である。又、該刈取昇降制御手段17bと、該刈取クラッチ駆動、及び該停止手段17cとは、互いに入・出力される構成である。更に、該刈取昇降制御手段17bから油圧制御電流設定手段17dへ出力される構成である。
【0020】
前記刈取昇降制御手段17bにより、ブザー出力18aと、刈取上昇出力18bと、刈取下降出力18cとが行われる構成である。該油圧制御電流設定手段17dにより、該油圧バルブ電流出力18dを介し、該刈取上昇出力18b、及び該刈取下降出力18cが行われる構成である。
【0021】
前記刈取クラッチ駆動、及び停止手段17cにより、刈取クラッチ18eの入出力、及び該刈取クラッチ18eの切出力を行う構成である。又、刈取装置4を下降操作の時には、警報を出力する構成である。
【0022】
前記刈取装置4の昇降制御を、図3で示すフローチャート図で説明する。
前記刈取昇降制御は、刈取ロック「入」(ステップ100)。「NO」ならば、刈取ロック記憶され(110)。「YES」ならば刈取下降操作され(ステップ120)。この(ステップ120)で「NO」ならば、刈取下降操作記憶され(ステップ130)。この(ステップ130)で「NO」ならば、刈取上昇操作され(ステップ140)。この(ステップ140)で「NO」ならば、刈取高さがロック解除高さより大か検出され(ステップ150)、この(ステップ150)で「NO」ならば、駆動ペダル14aが「切」か検出され(ステップ160)、この(ステップ160)で「YES」ならば、主変速レバー12が停止位置か検出され(ステップ170)、この(ステップ170)で「NO」ならば車速検出され(ステップ180)、検出車速とロック解除速度とが比較され(ステップ190)、検出車速が大か検出され「YES」のときには、刈取ロック記憶が解除され(ステップ200)、return(ステップ240)される構成である。
【0023】
前記(ステップ100)でYESの時は、刈取ロック記憶セットされ(ステップ210)と、(ステップ120)でYESの時は、刈取下降記憶セットされ(ステップ220)、この(ステップ220)と、警報出力セットされ(ステップ230)、この(ステップ230)とは、return(ステップ240)へ入力される構成である。
【0024】
上記の構成により、ロックを解除して、即時下降操作した時には、誤操作の恐れがあるが、その危険を回避することができる。又、危険回避中であることを、運転作業者に報知することができて、誤操作を防止することができる。
【0025】
前記コンバイン1の該刈取装置4の刈取昇降制御において、該刈取装置4が所定以下の高さ位置であることを検出時には、該刈取装置4の下降出力を、図2、及び図3で示すように、操作装置11に内装して設けた、制御装置13の刈取昇降制御手段17bにより、下降出力を許可する構成である。
【0026】
これにより、前記コンバイン1の該刈取装置4の下降禁止を解除することができる。
前記コンバイン1の該刈取装置4の刈取昇降制御において、駆車ブレーキが駆車ペダル14aの操作により、駆車ブレーキが解除され、主変速レバー12が前進、又は後進に操作それ、車速が所定値以上に操作されている時には、該刈取装置4が下降するように、下降出力される構成である。
【0027】
これにより、前記刈取装置4の下降の禁止を解除することができる。
前記コンバイン1の該刈取装置4は、図2で示すブロック図、及び図4で示すフローチャート図で示す如く、上昇又は、下降可能な構成である。
【0028】
前記刈取装置4は、油圧制御電流設定手段17dの油圧シリンダ(図示せず)により、上昇、又は下降可能な構成とし、更に該油圧シリンダへの出力を電磁比例弁(図示せず)にて制御させることで、昇降速度を可変可能な機能を有するコンバイン1において、車速が所定値以上で、該刈取装置4の高さが所定値以下であると、所定値以上の高さまで上昇出力を行う構成である。
【0029】
前記刈取装置4の昇降制御を、図4で示すフローチャート図で説明する。
前記刈取昇降制御は、刈脱モノレバー「入」か(ステップ300)、「NO」ならば、主変速レバー12が停止位置か(ステップ310)、「NO」ならば、走行速度検出され、(ステップ320)、車速>高速値か(ステップ330)、「YES」ならば、刈取自動上昇済みか検出され(ステップ340)、「YES」ならば、刈取上昇操作され(ステップ350)、「NO」ならば、刈取下降操作され、(ステップ360)、「NO」ならば、「return」される(ステップ410)。
【0030】
前記刈脱モノレバー「入」か(ステップ300)で「YES」と、該主変速レバー12の停止位置か(ステップ310)で「YES」と、車速>高速値か(ステップ330)で「NO」と、刈取自動上昇済みか検出され、(ステップ340)で「NO」との時には、刈取高さ>高速走行高さか(ステップ370)で「YES」ならば、刈取自動上昇済記憶か(ステップ380)を経て、該刈取上昇操作(ステップ350)ヘ進む構成である。
【0031】
前記刈脱モノレバー入か(ステップ300)で「YES」と、主変速レバー停止位置か(ステップ310)の「YES」と、該刈取高さ>高速走行高さ(ステップ370)の「NO」と、該刈取上昇操作(350)の「YES」のときとは、刈取上昇出力電流値(標準)(ステップ390)へ入力され、該刈取上昇出力電流値(標準)(ステップ390)と、該刈取下降出力電流値(低速)(ステップ400)との両者は、「return」される(ステップ410)。
【0032】
これにより、危険回避のための構成、及び操作が簡単である。
前記走行車台2の前方部には、図1で示すように、立毛穀稈を分離するナローガイド25a、及び各分草体25bと、立毛穀稈を引起す引起装置26と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置27の各掻込装置27aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置28aと、刈取りされた穀稈を挟持移送して脱穀装置5のフィードチェン5aと、挟持杆5bとへ受渡しする該穀稈掻込移送装置27の根元・穂先移送装置27b・27c等からなる刈取装置4を設けている。該刈取装置4は、刈取昇降制御装置10の油圧駆動による油圧シリンダ装置7により、土壌面に対して昇降する。
【0033】
前記刈取装置4の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆29aの上端部に設ける支持パイプ杆29bを、走行車台2の上側面に設けた支持装置29cで回動自在に支持させている。油圧シリンダ装置7を作動させると支持杆29aと共に、該刈取装置4が上下回動する。
【0034】
前記刈取装置4の穀稈掻込移送装置27によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、脱穀装置5への穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ29dを設けている。
【0035】
前記穀粒貯留タンク6側の前部には、図1で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置11と、操縦用の座席11aとを設け、この操縦用の座席11aの下側にエンジン11bを載置している。
【0036】
前記操作装置11に、図5〜図7で示すように、設けたパワステレバー19aの倒し量に応じて、刈取装置4の上下移動を行うパワステレバー装置19と、該刈取装置4の高さ位置を、自動で調節する刈高制御を有し、該パワステレバー19aが中立時のみ、自動運転(刈高自動制御)を許可する構成のコンバイン1の方向制御において、手動操作による該パワステレバー19aの刈取上下移動の中立領域、又は方向修正の中立領域を自動運転の許可領域と比較して、広くして設けて構成である。
【0037】
前記パワステレバー19aの作用を、図6で示すフローチャート図で説明すると、「START」されると、「パワステ傾斜角」か検出され、(ステップ400)、「傾斜角は手動操作中立領域」か検出され(ステップ410)、「NO」ならば、「傾斜角に応じた手動出力」され(ストップ420)、「YES」ならば、「傾斜角は自動運転許可領域」か検出され(ステップ430)、「YES」ならば「自動運転」され(ステップ440)、「NO」ならば「自動停止」(ステップ450)される構成である。
【0038】
又、図7で示すブロック図で説明すると、パワステポジション(上下)20の操作が制御装置13へ入力され、該制御装置13により、刈高制御バルブ上21aと、刈高制御バルブ下21bとへ出力される構成である。
【0039】
これにより、圃場の周囲刈取り、及び刈り始め等で、一時的に刈り高制御を停止する場合には、前記パワステレバー19aを少し倒せば、一時的に自動運転が解除されるため、自動「入」「切」を設定するスイッチの「切」操作が不要となる。
【0040】
又、自動運転を再開した場合も、再起動時に、自動スイッチ「入」操作が不要になることにより、操作の煩わしさがなくなり、操作性の良好な自動制御となる。
前記パワステレバー19aの倒し量に応じて、図5で示すように、刈取装置4の上下移動を行うパワステレバー装置19と、刈り終わり時、該刈取装置4部の高さを、自動で上昇する装置を有し、該パワステレバー19aの中立時のみ、自動運転を許可するコンバインオートリフトにおいて、手動操作による該パワステレバー19aの刈取上下移動の中立領域を、自動運転の許可領域と比較して、広く構成して設けている。
【0041】
これにより、少量条等で、一時的にコンバインオートリフトを停止する場合、前記パワステレバー19aを少し倒せば、一時的に自動運転が解除されるため、自動「入」−「切」を設定するスイッチの「切」操作が不用となる。又、自動運転を再開した場合も、再起動時に、自動スイッチ「入」操作が不要となるため、操作の煩わしさがなくなり、操作性の良い自動制御とすることができる。
【0042】
前記コンバイン1の変速装置22には、図8で示すように、電気的に副変速を切換可能に構成した該コンバイン1の該変速装置22に副変速制御装置22aを設け、この副変速制御装置22aには、副変速センサ23の高速スイッチ23a、自動スイッチ23b、低速スイッチ23cと、刈取クラッチセンサ24との「ON」−「OFF」が入力される構成である。又、該副変速制御装置22aから副変速バルブ22bを経て出力される構成である。副変速設定が高速(走行位置)の時は、高速を選択し、副変速設定が低速(作業位置)の時は、作業速度を設定するよう構成し、副変速設定が自動変速を設定している時に、刈取装置4部、及び脱穀装置5部が運転中の時は、副変速を作業速度に変速し、該刈取装置4部、及び脱穀装置5部が停止中の時は、副変速を走行に切り換えるような構成である。
【0043】
図9で示すように、作用をフローチャート図で説明すると、「START」されると、「副変速設定」が検出され(ステップ510)、該(ステップ510)で自動が検出されると、(刈取クラッチ)の状態が検出される(ステップ520)。(該ステップ510)「該副変速設定」で「高速」が検出されると共に、(該ステップ520)で(該刈取クラッチ)が「切」状態で検出されると、「副変速バルブ」が「高速」設定され(ステップ530)、「START」へ戻る構成である。
【0044】
又、「該副変速設定」での検出(ステップ510)「低速」が検出されると共に、「該刈取クラッチ」が「入」状態が検出されると、「該副変速バルブ」が「低速」設定され(ステップ540)、「START」へ戻る構成である。
【0045】
これにより、路上走行、及び圃場内を移動等で副変速を高速(走行)位置とした場合、次回、副変速設定を作業速度に切り換えないで、そのまま副変速を高速設定のままで、刈取作業、及び手こぎ作業を開始すると、処理量が過大になり、搬送や該脱穀装置5部に詰り等の不具合の発生の要因となり、又、作業後の刈り跡が汚くなる等の不具合が併発したり、主変速レバー12を操作したときの速度変化量が大きいため、位置合わせが困難な問題があったが、これらを解決することができる。
【0046】
前記図8、及び図9で示す構成において、穀粒貯留タンク6内に貯留した穀粒を機外へ移送排出する。この穀粒貯留タンク6の後側には、伸縮自在な穀粒移送排出装置31を設けた構成である。
【0047】
前記穀粒移送排出装置31が張出状態の時には、副変速を作業速度に変速すると共に、収納状態の時には、該副変速を高速に切り換えるように構成している。
これにより、従来は、穀粒排出のための移動等で、副変速を高速(走行)位置とした場合、次回、副変速設定を作業速度に切り換えないで、そのまま副変速設定を高速設定のままで、該穀粒移送排出装置31の位置合わせ作業を開始すると、主変速レバー12を操作したときの速度変化量が大きい為、位置合わせが困難な問題があった。上述の発明により、該穀粒移送排出装置31の位置に連動して、車速の低速化が可能となり、操作性の向上と、安全性の向上とを図ることができる。
【0048】
前記図10、及び図11で示す構成で、湿田/乾田を設定できる湿田スイッチ24bを設け、副変速設定が、高速(走行位置)の時は高速を選択し、又、該副変速設定が、低速(作業位置)の時は、作業速度を設定するよう構成し、又、該副変速設定が自動変速を設定している時に、湿田選択された場合は、脱穀装置5部が停止中の時でも、副変速を自動で走行(高速)に切り換えることを停止するように構成している。
【0049】
前記コンバイン1の変速装置22には、図11で示すように、電気的に副変速を切換可能に構成した、該コンバイン1の該変速装置22に副変速制御装置22aを設け、この副変速制御装置22aには、副変速センサ23の高速スイッチ23a、自動スイッチ23b、低速スイッチ23cと、刈取クラッチセンサ24、脱穀クラッチセンサ24a、湿田スイッチ24bとの「ON」−「OFF」が入力される構成である。又、該副変速制御装置22aから副変速バルブ22bと、オーガポジションセンサ22cとへ出力される構成である。
【0050】
又、副変速設定が高速(走行位置)の時は、高速を選択し、副変速設定が低速(作業位置)の時は、作業速度を設定するように構成し、副変速設定が自動変速を設定している時に、湿田が選択された場合は、脱穀装置5が停止中の時でも、副変速を自動で走行に切り換えることを停止するような構成である。
【0051】
図11で示すように、作用をフローチャート図で説明すると、「START」されると、「副変速設定」が検出され(ステップ610)、(該ステップ610)で自動が検出されると、穀粒移送排出装置31の「位置」が検出され(ステップ620)、収納状態であると検出されると、刈取クラッチ4aの状態が検出され(ステップ630)、「切」状態が検出されると、脱穀クラッチ5cの状態が検出され(ステップ640)、「切」状態が検出されると、湿田スイッチ24bの状態が検出される(ステップ650)。
【0052】
前記(ステップ610)で「高速」が検出されると共に、(ステップ650)で「切」状態が検出されると、副変速バルブ22bが「高速」設定され(ステップ660)、(該ステップ660)が「START」へ帰る構成である。
【0053】
前記(ステップ610)で「低速」が検出され、(ステップ620)で「張出」状態が検出され、(ステップ630)で「入」状態が検出され、(ステップ640)で「入」状態が検出され、(ステップ650)で「入」状態が検出されると、該副変速バルブ22bが「低速」設定され(ステップ670)、(該ステップ670)が「START」へ帰る構成である。
【0054】
これにより、従来は、圃場内を移動するときは、副変速を自動で高速(走行)位置とした場合、走行抵抗が過大になることで、走行負荷になる場合があった。
又、湿田走行で求められる加減速に関する主変速の微妙な調整ができないことがあったが、本発明により、副変速を自動モードに設定した場合、自動で高速化することを牽制できるために、圃場内の移動が容易であり、操作性が向上する。
【0055】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用ミッションケース30内の伝動機構30aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ30bを設けている。
【0056】
前記穀粒貯留タンク6内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク6の後側には、図1で示すように、穀粒移送排出装置31を設け、この穀粒移送排出装置31は、縦移送螺旋31bを内装した排出支持筒31aを略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒31aの上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋31dを伸縮自在に内装した排出オーガ31cを伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】コンバインの左側全体側面図
【図2】コンバインのブロック図
【図3】コンバインのフローチャート図
【図4】コンバインの他の実施例のフローチャート図
【図5】コンバインのパワステレバーの作用領域図
【図6】コンバインの他の実施例のフローチャート図
【図7】コンバインの他の実施例のブロック図
【図8】コンバインの他の実施例のブロック図
【図9】コンバインの他の実施例のフローチャート図
【図10】コンバインの他の実施例のブロック図
【図11】コンバインの他の実施例のフローチャート図
【符号の説明】
【0058】
2 走行車台
4 刈取装置
7 油圧シリンダ装置
8 電磁比例弁
9 刈取ロック機構
12 主変速レバー
13 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車台(2)の前側に立毛穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)を昇降させる油圧シリンダ装置(7)を設け、該油圧シリンダ装置(7)への送油を電磁比例弁(8)で制御することにより刈取装置(4)の昇降速度を変更可能な構成とし、刈取ロック機構(9)によって該刈取装置(4)の下降を停止させる構成とし、該刈取ロック機構(9)のロック解除後に、最初の刈取下降操作時には下降出力を禁じ、主変速レバー(12)を停止位置へ操作するか又は該刈取装置(4)が上昇操作されたことを検出した後に、該刈取装置(4)の下降出力を許可する制御装置(13)を設けたことを特徴とするコンバインの刈取昇降制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−75125(P2010−75125A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249350(P2008−249350)
【出願日】平成20年9月27日(2008.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】