コンバインの穀粒排出構造
【課題】穀粒排出口に穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因した不具合の発生を防止する。
【解決手段】穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、穀粒排出装置の穀粒排出口26を開閉するシャッタ28を備えたコンバインの穀粒排出構造において、シャッタ28の開閉を制御する制御手段40と、制御手段40にシャッタ28の閉状態への切り換えを指令する人為操作式の指令手段Aとを備え、制御手段40が、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知した後に指令手段Aからの指令を受けると、シャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してある。
【解決手段】穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、穀粒排出装置の穀粒排出口26を開閉するシャッタ28を備えたコンバインの穀粒排出構造において、シャッタ28の開閉を制御する制御手段40と、制御手段40にシャッタ28の閉状態への切り換えを指令する人為操作式の指令手段Aとを備え、制御手段40が、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知した後に指令手段Aからの指令を受けると、シャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインの穀粒排出構造としては、穀粒排出レバーの排出操作のときに開閉シャッタ(シャッタ)が開き、穀粒排出レバーの排出停止操作のときに開閉シャッタが閉じるように開閉シャッタを穀粒排出レバーに関連的に連結することが考えられていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−111511号公報(段落番号0011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態であっても、穀粒排出レバーの排出停止操作を行うとシャッタが閉状態に切り換わることから、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でのシャッタの閉状態への切り換えに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じ易くなっていた。
【0005】
本発明の目的は、穀粒排出口に穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因した不具合の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段では、
穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記シャッタの開閉を制御する制御手段と、前記制御手段に前記シャッタの閉状態への切り換えを指令する人為操作式の指令手段とを備え、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知した後に前記指令手段からの指令を受けると、前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0007】
この課題解決手段によると、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えに伴ってシャッタが閉状態に切り換わるのではなく、制御手段が穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知した後の指令手段の人為操作に基づく制御手段の制御作動でシャッタが閉状態に切り換わることから、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを行ってから指令手段を人為操作するまでの間で、例えば穀粒排出箇所に堆積した穀粒の均し作業などを行って穀粒排出口での穀粒の滞留を解消することができる。
【0008】
従って、穀粒排出口に穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を防止することができる。
【0009】
本発明の第2の課題解決手段では、上記第1の課題解決手段において、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合に前記指令手段からの指令を受けると、前記穀粒排出装置を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換え、その切り換え後に前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0010】
この課題解決手段によると、穀粒排出装置による穀粒の排出中に指令手段を人為操作すると、穀粒排出装置を排出停止状態に切り換えるための専用の操作を行わなくても、指令手段からの指令に基づく制御手段の制御作動で穀粒排出装置が排出停止状態に切り換わり、その後、シャッタが閉状態に切り換わる。これにより、穀粒排出装置による穀粒の排出中にシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を防止することができる。
【0011】
従って、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えとシャッタの閉状態への切り換えとを操作の簡便化を図りながら良好に行うことができる。
【0012】
本発明の第3の課題解決手段では、上記第1又は2の課題解決手段において、
前記穀粒排出口又は前記穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留を検出する穀粒センサを備え、
前記制御手段が、前記指令手段からの指令を受けると前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出している間は前記シャッタを開状態に維持し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなると前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0013】
この課題解決手段によると、制御手段は、指令手段からの指令に基づいて単にシャッタを閉状態に切り換えるのではなく、指令手段からの指令を受けても穀粒センサが穀粒の滞留を検出している間はシャッタを開状態に維持し、指令手段からの指令を受けた上で穀粒センサが穀粒の滞留を検出していない場合にシャッタを閉状態に切り換えることから、穀粒排出口又は穀粒排出口の近傍で穀粒が滞留している状態でのシャッタの閉状態への切り換えをより確実に防止することができる。
【0014】
そして、制御手段は、指令手段からの指令を受けた段階ではシャッタを開状態に維持していても、指令手段からの指令を受けた後に、穀粒排出箇所を変更するための穀粒排出口の移動操作、あるいは、穀粒排出口を所定の作業終了位置に戻すための穀粒排出口の移動操作、などが行われて、穀粒排出箇所で堆積する穀粒から穀粒排出口が離れると、穀粒排出口又は穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留が解消されて穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなることから、シャッタを閉状態に切り換える。
【0015】
従って、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞をより確実に防止することができる。又、穀粒排出箇所を変更する場合や穀粒排出口を所定の作業終了位置に戻す場合の穀粒排出口の移動操作などにおいて穀粒排出口から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0016】
本発明の第4の課題解決手段では、上記第1又は2の課題解決手段において、
時間の経過を計測する計時手段を備え、
前記制御手段が、前記指令手段からの指令を受けると、その指令を受けてから設定時間の経過後に前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0017】
この課題解決手段によると、制御手段は、指令手段からの指令を受けても設定時間の間はシャッタを開状態に維持することから、例えば穀粒排出装置の排出停止状態への切り換え直後に指令手段を人為操作しても、設定時間が経過するまでの間で、例えば穀粒排出箇所に堆積した穀粒の均し作業や穀粒排出口の移動操作などを行うようにすれば、シャッタが閉状態に切り換わるまでに穀粒排出口での穀粒の滞留を解消することが可能になり、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でのシャッタの閉状態への切り換えを防止することができる。
【0018】
又、例えば穀粒排出装置による穀粒の排出中に指令手段の人為操作を行うと、指令手段からの指令に基づく制御手段の制御作動で先ず穀粒排出装置が排出停止状態に切り換わり、指令手段の人為操作を行ってから設定時間の経過後にシャッタが閉状態に切り換わることから、穀粒排出装置の穀粒排出状態でシャッタが閉状態に切り換わることを確実に防止することができる。
【0019】
従って、穀粒排出口に穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を防止し易くすることができ、又、穀粒排出装置による穀粒の排出中にシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞をより確実に防止することができる。
【0020】
本発明の第5の課題解決手段では、上記第1の課題解決手段において、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合に前記指令手段からの指令を受けると、前記指令手段からの指令にかかわらず前記シャッタを開状態に維持するように構成してある。
【0021】
この課題解決手段によると、穀粒排出装置による穀粒の排出中に指令手段の誤操作でシャッタが閉状態に切り換わることを阻止することができる。
【0022】
従って、穀粒排出装置による穀粒の排出中にシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を確実に防止することができる。
【0023】
本発明の第6の課題解決手段では、上記第1〜5の課題解決手段のいずれか一つにおいて、
前記穀粒排出装置に昇降揺動可能かつ旋回可能に装備した搬出コンベヤの遊端部に前記穀粒排出口を形成し、かつ、前記搬出コンベヤの遊端部に前記指令手段を備えてある。
【0024】
この課題解決手段によると、穀粒排出口の近くで穀粒排出口から穀粒排出箇所への穀粒の排出状態や穀粒排出口での穀粒の滞留状態などを視認しながら指令手段を操作することができる。
【0025】
従って、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を確実に防止することができる。又、制御手段が、穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合の指令手段からの指令に基づいて、穀粒排出装置を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換え、その後、シャッタを閉状態に切り換えるように構成したものにおいては、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを適切なタイミングで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】自脱型コンバインの全体右側面図である。
【図2】自脱型コンバインの全体平面図である。
【図3】シャッタを開姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断右側面図である。
【図4】シャッタを閉姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断右側面図である。
【図5】シャッタを開姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図6】シャッタを閉姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図7】第1及び第2実施形態での制御構成を示すブロック図である。
【図8】搬出コンベヤ収納制御のフローチャートである。
【図9】第1実施形態での手動シャッタ閉じ制御のフローチャートである。
【図10】第2実施形態での手動シャッタ閉じ制御のフローチャートである。
【図11】第3実施形態での制御構成を示すブロック図である。
【図12】第3実施形態での第1手動シャッタ閉じ制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
【0028】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、この実施形態で例示する自脱型コンバインは、走行機体1の前部右側に搭乗運転部2を形成し、走行機体1の下部に左右一対のクローラ3を配備してある。走行機体2の前部には、機体の走行に伴って収穫対象の未刈り穀稈を刈り取って搬送する刈取搬送装置4を、走行機体1から機体前方に向けて延出した状態で昇降揺動可能に装備してある。走行機体2の後部左側には、刈取搬送装置4からの刈り取り後の穀稈に扱き処理を施し、扱き処理で得た処理物に選別処理を施す脱穀装置5を搭載してある。走行機体2の後部右側には、脱穀装置5での扱き処理及び選別処理で得た穀粒を貯留する穀粒タンク6を搭載してある。脱穀装置5の後端部には、脱穀処理後の穀稈である排ワラの機外への細断排出を可能にする排ワラ細断装置7を連結してある。穀粒タンク6には、穀粒タンク6に貯留した穀粒の機外への排出を可能にするスクリュ搬送式の穀粒排出装置8を装備してある。
【0030】
穀粒排出装置8は、穀粒タンク6に貯留した穀粒を穀粒タンク6の底部に前後向きに配備した搬送コンベヤ9により穀粒タンク6の底部後方に搬送し、搬送コンベヤ9が搬送した穀粒を搬送コンベヤ9の後端部に連結した揚送コンベヤ10により揚送し、揚送コンベヤ10が揚送した穀粒を揚送コンベヤ10の上端部に中継コンベヤ11を介して連結した搬出コンベヤ12により機外に搬出するように構成してある。
【0031】
搬送コンベヤ9は、前端部が穀粒タンク6から前方に延出し、かつ、後端部が穀粒タンク6から後方に延出する搬送スクリュ13、及び、搬送スクリュ13の後端部を覆うとともに揚送コンベヤ10との連通接続を可能にする下部ケース14、などを備えて構成してある。搬送スクリュ13の前端部には、走行機体1の前部右側に配備したエンジン15から穀粒排出装置8への伝動を断続する排出クラッチ16を接続してある。
【0032】
揚送コンベヤ10は、下端部を搬送スクリュ13の後端部にベベルギア式伝動機構17を介して連動連結する揚送スクリュ18、及び、下端部を下部ケース14の上端部に相対回転可能に内嵌した円筒状の揚送ケース19、などを備えて構成してある。
【0033】
中継コンベヤ11は、一端部を揚送スクリュ18の上端部にベベルギア式伝動機構20を介して連動連結する横向きの中継スクリュ(図示せず)、下端部を揚送ケース19の上端部に相対回転不能に連結したくの字円筒状の第1ケース21、及び、一端部を第1ケース21の上端部に中継スクリュを中心に相対回転可能に内嵌したくの字円筒状の第2ケース22、などを備えて構成してある。
【0034】
図1〜6に示すように、搬出コンベヤ12は、一端部を中継スクリュの他端部にベベルギア式伝動機構(図示せず)を介して連動連結する搬出スクリュ23、及び、一端部を第2ケース22の他端部に相対回転不能に連結した円筒状の搬出ケース24、などを備えて構成してある。搬出ケース24の他端部(遊端部)には、この他端部から下向きに延出する横断面形状が矩形の排出ケース25を連通接続してあり、この排出ケース25により下向きで矩形の穀粒排出口26を形成してある。排出ケース25の内部には、横向きの支軸27を支点にした上下揺動で穀粒排出口26を開閉するシャッタ28を装備してある。
【0035】
図1、図2及び図7に示すように、搬送コンベヤ9の下部ケース14には、揚送スクリュ18の回転中心を中心にして揚送ケース19を回転させることで、搬出コンベヤ12を揚送スクリュ18の回転中心を支点にして旋回させるウォーム減速機付きの電動モータからなる旋回モータ29、及び、揚送ケース19の回転角を搬出コンベヤ12の旋回位置として検出する多回転型のポテンショメータからなる旋回センサ30を装備してある。そして、旋回モータ29の作動で搬出コンベヤ12を旋回させることで、搬出コンベヤ12の穀粒排出口26を旋回方向に移動させることができ、穀粒排出口26の旋回方向での位置を変更することができる。
【0036】
又、揚送コンベヤ10と搬出コンベヤ12とにわたって、中継コンベヤ11の中継スクリュを支点にして搬出コンベヤ12を昇降揺動させる単動式の油圧シリンダからなる昇降シリンダ31を架設してある。そして、昇降シリンダ31の作動で搬出コンベヤ12を昇降揺動させることで、搬出コンベヤ12の穀粒排出口26を高さ方向に移動させることができ、穀粒排出口26の高さ位置を変更することができる。
【0037】
図3〜7に示すように、搬出コンベヤ12の他端部(遊端部)には、シャッタ28を横向きの支軸27を支点にして開閉揺動させるウォーム減速機付きの電動モータからなる開閉モータ32、シャッタ28の開閉を検出する単回転型のポテンショメータからなる開閉センサ33、及び、排出ケース25から下方に延設した軟質透明樹脂製の排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出することで穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出する感圧式の穀粒センサ35を装備してある。
【0038】
開閉モータ32は、その出力軸32Aと一体回転するカム36を回転させてシャッタ28に対するカム36の作用姿勢を変更することで、シャッタ28を下向きの開姿勢と横向きの閉姿勢とにわたって開閉揺動させるように構成してある。開閉センサ33は、カム36の回転に伴う検出アーム37の揺動変位でシャッタ28の開閉を検出するように構成してある。開閉モータ32及び開閉センサ33は、排出ケース25の内部に位置するように搬出ケース24の他端部(遊端部)から下向きに延出した支持部材38に支持させてある。
【0039】
穀粒センサ35は、排出ブーツ34の内部まで延出した支持部材38の下端部に装備してある。そして、例えばトラックの荷台に穀粒を排出する場合においては、穀粒排出装置8の穀粒排出口26から排出されて荷台に堆積する穀粒が荷台の上方に位置する排出ブーツ34に到達して排出ブーツ34の内部で堆積する状態(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留する状態)に至ると、その状態を排出ブーツ34の内部で堆積する穀粒の圧力から検出するように構成してある。又、例えば籾袋に穀粒を排出する場合においては、穀粒排出装置8の穀粒排出口26から排出されて籾袋に貯留される穀粒が籾袋の開口から差し入れた排出ブーツ34の内部で堆積する状態(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留する状態)に至ると、その状態を籾袋の満杯状態として排出ブーツ34の内部で堆積する穀粒の圧力から検出するように構成してある。
【0040】
図7に示すように、排出クラッチ16は、ウォーム減速機付きの電動モータからなるクラッチモータ39の作動でエンジン15から穀粒排出装置8に伝動する入り状態とエンジン15から穀粒排出装置8への伝動を遮断する切り状態とに切り換わるように構成してある。
【0041】
図7に示すように、この自脱型コンバインには、CPUやEEPROMなどを備えるマイクロコンピュータを利用して構成した制御手段としての電子制御ユニット(以下、ECUと略称する)40を搭載してある。ECU40には、時間の経過を計測する計時手段40Aを備えるとともに旋回センサ30、開閉センサ33、及び穀粒センサ35、などの検出情報を入力してある。
【0042】
搭乗運転部2には、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を上昇揺動させるための上昇指令をECU40に出力するモーメンタリ式の上昇スイッチ41、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を下降揺動させるための下降指令をECU40に出力するモーメンタリ式の下降スイッチ42、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を左旋回させるための左旋回指令をECU40に出力するモーメンタリ式の左旋回スイッチ43、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を右旋回させるための右旋回指令をECU40に出力するモーメンタリ式の右旋回スイッチ44、押圧操作に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態に切り換えるための穀粒排出指令をECU40に出力するモーメンタリ式の排出スイッチ45、押圧操作に基づいて穀粒排出装置8を排出停止状態に切り換えるための排出停止指令をECU40に出力するモーメンタリ式の停止スイッチ46、及び、押圧操作に基づいて搬出コンベヤ12を所定の収納位置に移動させるための収納指令をECU40に出力するモーメンタリ式の収納スイッチ47、などを装備してある。
【0043】
ECU40は、上昇スイッチ41及び下降スイッチ42からの指令に基づいて搬出コンベヤ12を昇降揺動させる搬出コンベヤ昇降制御を行う。
【0044】
搬出コンベヤ昇降制御では、ECU40は、上昇スイッチ41から上昇指令が出力されると、その上昇指令が出力されている間、昇降シリンダ31に対するオイルの流れを制御する電磁制御弁からなる昇降制御弁48を昇降シリンダ31にオイルを供給する供給状態に切り換えて昇降シリンダ31を伸長作動させる。これにより、搬出コンベヤ12が上昇揺動し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が上方に移動する。
その後、上昇スイッチ41からの上昇指令の出力が停止されると、昇降制御弁48を昇降シリンダ31に対するオイルの給排を停止する給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31を作動停止させる。これにより、搬出コンベヤ12が上昇揺動を停止し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が上方への移動を停止する。
又、下降スイッチ42から下降指令が出力されると、その下降指令が出力されている間、昇降制御弁48を昇降シリンダ31からオイルを排出する排出状態に切り換えて昇降シリンダ31を短縮作動させる。これにより、搬出コンベヤ12が下降揺動し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が下方に移動する。
その後、下降スイッチ42からの下降指令の出力が停止されると、昇降制御弁48を給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31を作動停止させる。これにより、搬出コンベヤ12が下降揺動を停止し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が下方への移動を停止する。
【0045】
つまり、上昇スイッチ41又は下降スイッチ42を操作することで、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を高さ方向に移動させることができ、穀粒排出口26の高さ位置を任意に変更することができる。そして、ECU40は、上昇スイッチ41からの上昇指令又は下降スイッチ42からの下降指令に基づいて穀粒排出口26の高さ方向での移動を検知する。
【0046】
ECU40は、左旋回スイッチ43及び右旋回スイッチ44からの指令に基づいて搬出コンベヤ12を旋回させる搬出コンベヤ旋回制御を行う。
【0047】
搬出コンベヤ旋回制御では、ECU40は、左旋回スイッチ43から左旋回指令が出力されると、その左旋回指令が出力されている間、揚送コンベヤ10の揚送ケース19が左回りに回転するように旋回モータ29を正転作動させる。これにより、搬出コンベヤ12が左回りに旋回し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が左回りに旋回移動する。
その後、左旋回スイッチ43からの左旋回指令の出力が停止されると旋回モータ29の正転作動を停止させる。これにより、搬出コンベヤ12が左回りの旋回を停止し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が左回りの旋回移動を停止する。
又、右旋回スイッチ44から右旋回指令が出力されると、その右旋回指令が出力されている間、揚送コンベヤ10の揚送ケース19が右回りに回転するように旋回モータ29を逆転作動させる。これにより、搬出コンベヤ12が右回りに旋回し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が右回りに旋回移動する。
その後、右旋回スイッチ44からの右旋回指令の出力が停止されると旋回モータ29の逆転作動を停止させる。これにより、搬出コンベヤ12が右回りの旋回を停止し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が右回りの旋回移動を停止する。
【0048】
つまり、左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44を操作することで、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を旋回方向に移動させることができ、穀粒排出口26の旋回方向での位置を任意に変更することができる。そして、ECU40は、左旋回スイッチ43からの左旋回指令又は右旋回スイッチ44からの右旋回指令に基づいて穀粒排出口26の旋回方向での移動を検知する。
【0049】
ECU40は、排出スイッチ45からの穀粒排出指令に基づいて穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換える穀粒排出制御を行う。
【0050】
穀粒排出制御では、ECU40は、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されると、旋回センサ30からの出力に基づいて、搬出コンベヤ12の旋回位置が予め設定した搬出コンベヤ12の収納旋回位置を含む所定の排出停止領域(例えば搬出コンベヤ12の収納旋回位置と搬出コンベヤ12が搭乗運転部2の上方を横切る状態になる領域とを含む機体の前部右側の領域)か否かを判別する。
排出停止領域であれば、排出スイッチ45からの穀粒排出指令にかかわらず、開閉モータ32及びクラッチモータ39を作動させずにシャッタ28を閉姿勢に維持するとともに排出クラッチ16を切り状態に維持する。これにより、穀粒排出装置8は排出停止状態を維持する。そして、搭乗運転部2に備えた警告灯や警報ブザーあるいは表示パネルなどからなる報知手段49を作動させて排出停止領域であることを報知する。
排出停止領域でなければ、開閉センサ33の出力に基づいてシャッタ28が開姿勢であるか否かを判別する。
シャッタ28が開姿勢であれば、クラッチモータ39を正転作動させて排出クラッチ16を切り状態から入り状態に切り換える。これにより、穀粒排出装置8が排出停止状態から穀粒排出状態に切り換わる。
シャッタ28が開姿勢でなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を閉姿勢から開姿勢に下降揺動させる。そして、このときの開閉モータ32の作動でシャッタ28の開姿勢への切り換えを開閉センサ33が検出すると、このときの開閉センサ33からの出力に基づいてクラッチモータ39を正転作動させて排出クラッチ16を切り状態から入り状態に切り換える。これにより、穀粒排出装置8が排出停止状態から穀粒排出状態に切り換わる。
【0051】
つまり、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を排出停止領域を除く任意の搬出位置に位置させた後、排出スイッチ45を操作することで穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換えることができる。そして、ECU40は、排出スイッチ45からの穀粒排出指令及び旋回センサ30の出力に基づいて穀粒排出装置8の排出停止状態から穀粒排出状態への切り換えを検知する。
【0052】
ECU40は、排出スイッチ45からの穀粒排出指令及び旋回センサ30の出力に基づいて穀粒排出装置8の排出停止状態から穀粒排出状態への切り換えを検知した後の穀粒排出状態において、停止スイッチ46から排出停止指令が出力される、あるいは、穀粒センサ35により穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留が検出されると、その出力又は検出に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換える排出停止制御を行う。
【0053】
排出停止制御では、ECU40は、穀粒排出状態において停止スイッチ46から排出停止指令が出力される、あるいは、穀粒センサ35により穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留が検出されると、クラッチモータ39を逆転作動させて排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換える。これにより、穀粒排出装置8が穀粒排出状態から排出停止状態に切り換わる。
【0054】
つまり、停止スイッチ46を操作することで穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えることができる。又、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を穀粒センサ35が検出すると、その検出に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に自動的に切り換えることができる。そして、ECU40は、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知する。
【0055】
ECU40は、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後に、収納スイッチ47から収納指令が出力されると、搬出コンベヤ12を所定の収納位置に移動させる搬出コンベヤ収納制御を行う。
【0056】
図7及び図8に示すように、搬出コンベヤ収納制御では、ECU40は、開閉センサ33の出力に基づいてシャッタ28が閉姿勢であるか否かを判別する〔#1〕。
シャッタ28が閉姿勢であれば、予め設定した上限位置への搬出コンベヤ12の到達を検出するリミットスイッチからなる上限センサ50の出力に基づいて搬出コンベヤ12が上限位置に到達しているか否かを判別する〔#2〕。
上限位置に到達していなければ、上限センサ50が搬出コンベヤ12の上限位置への到達を検出するまで昇降制御弁48を供給状態に切り換えて昇降シリンダ31を伸長作動させ、上限センサ50が搬出コンベヤ12の上限位置への到達を検出するのに伴って昇降制御弁48を給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31の作動を停止させる自動上昇制御を行う〔#3〕。これにより、搬出コンベヤ12は予め設定した上限位置まで自動上昇する。
【0057】
搬出コンベヤ12が上限位置に到達していると、旋回センサ30からの出力に基づいて搬出コンベヤ12が予め設定した収納旋回位置に到達しているか否かを判別する〔#4〕。
収納旋回位置に到達していなければ、旋回センサ30が搬出コンベヤ12の収納旋回位置への到達を検出するまで旋回モータ29を作動させ、旋回センサ30が搬出コンベヤ12の収納旋回位置への到達を検出するのに伴って旋回モータ29の作動を停止させる自動旋回制御を行う〔#5〕。これにより、搬出コンベヤ12は予め設定した収納旋回位置まで自動旋回する。
【0058】
搬出コンベヤ12が収納旋回位置に到達していると、搬出コンベヤ12を予め設定した収納位置で受け止めるように構成した受具51(図1及び図2参照)に備えたリミットスイッチからなる収納センサ52の出力に基づいて、搬出コンベヤ12が収納位置に到達しているか否かを判別する〔#6〕。
収納位置に到達していなければ、収納センサ52が搬出コンベヤ12の収納位置への到達を検出するまで昇降制御弁48を排出状態に切り換えて昇降シリンダ31を短縮作動させ、収納センサ52が搬出コンベヤ12の収納位置への到達を検出するのに伴って昇降制御弁48を給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31の作動を停止させる自動下降制御を行う〔#7〕。これにより、搬出コンベヤ12は予め設定した収納位置まで自動下降する。
【0059】
#1においてシャッタ28が開姿勢であれば、穀粒センサ35が排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留)を検出しなくなるのに伴って、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える自動シャッタ閉じ制御を行いながら〔#8〕、#2〜#7と同様の#9〜#14の制御作動を行う。
【0060】
つまり、収納スイッチ47からの収納指令に基づくECU40の制御作動で、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留している状態でシャッタ28が閉姿勢に切り換わることに起因して穀粒やシャッタ28が損傷するなどの不具合が生じる虞を防止しながら、又、搬出コンベヤ内の穀粒が穀粒排出口26から穀粒排出箇所以外の場所に零れ落ちる不具合の発生を防止しながら、搬出コンベヤ12を予め設定した収納位置まで自動で移動させることができる。
【0061】
図1、図2及び図7に示すように、搬出コンベヤ12における搬出ケース24の他端部(遊端部)には、押圧操作に基づいてシャッタ28を閉姿勢に切り換えるための閉指令をECU40に出力する人為操作式の指令手段Aとしてのモーメンタリ式の閉スイッチ53を装備してある。
【0062】
ECU40は、閉スイッチ53から閉指令が出力されると、その出力に基づいてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える手動シャッタ閉じ制御を行う。
【0063】
図7及び図9に示すように、手動シャッタ閉じ制御では、ECU40は、閉スイッチ53から閉指令が出力されると、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後か否か(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換え後か否か)を判別する〔#1〕。
穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後であれば、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に上昇揺動させる〔#2〕。
穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後でなければ、クラッチモータ39を逆転作動させて排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換えることで穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに計時手段40Aによる計時を開始し、予め設定した設定時間(例えば2秒)の経過後に開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に上昇揺動させる〔#3〜#5〕。
【0064】
つまり、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づく穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えに連動してシャッタ28が閉姿勢に切り換わるのではなく、穀粒排出口26の近くにいる作業者又は補助作業者の判断による閉スイッチ53の人為操作に基づいてシャッタ28が閉姿勢に切り換わることから、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留している状態でシャッタ28が閉姿勢に切り換わることに起因して穀粒やシャッタ28が損傷するなどの不具合が生じる虞をより確実に防止することができる。
【0065】
又、例えば穀粒排出装置8の穀粒排出口26から排出した穀粒を籾袋に貯留する袋取り作業などにおいては、穀粒排出口26の近くにいる作業者又は補助作業者の判断による閉スイッチ53の人為操作で穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えることができ、これにより、袋取り作業などにおける穀粒貯留量の調節を適切に行うことができる。
【0066】
そして、穀粒排出装置8を排出停止状態に切り換えてから設定時間の経過後にシャッタ28が開姿勢から閉姿勢に自動的に切り換わることで、例えば袋取り作業において、穀粒排出装置8を排出停止状態に切り換えてからの慣性で穀粒排出口26から籾袋に流出した穀粒が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で滞留しても、設定時間が経過するまでの間で貯留済みの籾袋を穀粒排出口26による穀粒排出箇所から移動させるようにすれば、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留している状態でのシャッタ28の閉姿勢への切り換えによる穀粒やシャッタ28の損傷などを防止することができ、又、貯留済みの籾袋を穀粒排出口26による穀粒排出箇所から移動させた後に穀粒排出口26から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0067】
〔第2実施形態〕
【0068】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第2実施形態を図面に基づいて説明する。尚、この第2実施形態は上記の第1実施形態と人為操作式の指令手段Aの配置と手動シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動が異なるだけであることから、人為操作式の指令手段Aの配置と手動シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動についてのみ説明し、他の説明は省略する。
【0069】
第2実施形態では、押圧操作に基づいてシャッタ28を閉姿勢に切り換えるための閉指令をECU40に出力する人為操作式の指令手段Aとしてのモーメンタリ式の閉スイッチ53を搭乗運転部2に装備してある。
【0070】
ECU40は、閉スイッチ53から閉指令が出力されると、その出力に基づいてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える手動シャッタ閉じ制御を行う。
【0071】
図7及び図10に示すように、手動シャッタ閉じ制御では、ECU40は、閉スイッチ53から閉指令が出力されると、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後か否か(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換え後か否か)を判別する〔#1〕。
穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後であれば、穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別する〔#2〕。
穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える〔#3〕。
穀粒が堆積していれば、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開姿勢で維持し、穀粒センサ35が穀粒の堆積を検出しなくなるのに伴って、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える〔#2〜#4〕。
【0072】
#1において穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後でなければ、クラッチモータ39を逆転作動させて排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換えることで穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換える〔#5〕。そして#2に移行する。
【0073】
つまり、閉スイッチ53の人為操作が行われても、穀粒センサ35が穀粒の滞留を検出している間はシャッタ28を開姿勢に維持することから、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留している状態でシャッタ28が閉姿勢に切り換わることに起因して穀粒やシャッタ28が損傷するなどの不具合が生じる虞を防止することができる。
【0074】
又、閉スイッチ53の人為操作を行った後に、上昇スイッチ41や各旋回スイッチ43,44による穀粒排出口26の移動操作などを行うことで、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留が解消されて穀粒センサ35が穀粒の滞留を検出しなくなると、シャッタ28が閉姿勢に切り換わることから、穀粒排出口26の移動操作などにおいて穀粒排出口26から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0075】
〔第3実施形態〕
【0076】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第3実施形態を図面に基づいて説明する。尚、この第3実施形態は上記の第1実施形態と人為操作式の指令手段Aの配置と手動シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動が異なるだけであることから、人為操作式の指令手段Aの配置と手動シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動についてのみ説明し、他の説明は省略する。
【0077】
図11に示すように、第3実施形態では、押圧操作に基づいてシャッタ28を閉姿勢に切り換えるための閉指令をECU40に出力する人為操作式の指令手段Aとしてのモーメンタリ式の第1閉スイッチ54を搭乗運転部2に装備してある。又、押圧操作に基づいてシャッタ28を閉姿勢に切り換えるための閉指令をECU40に出力する人為操作式の指令手段Aとしてのモーメンタリ式の第2閉スイッチ55を搬出コンベヤ12における搬出ケース24の他端部(遊端部)に装備してある。
【0078】
ECU40は、第1閉スイッチ54から閉指令が出力されると、その出力に基づいて第1手動シャッタ閉じ制御を行い、第2閉スイッチ55から閉指令が出力されると、その出力に基づいて第2手動シャッタ閉じ制御を行う。
【0079】
図11及び図12に示すように、第1手動シャッタ閉じ制御では、ECU40は、第1閉スイッチ54から閉指令が出力されると、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後か否か(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換え後か否か)を判別する〔#1〕。
穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後であれば、穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別する〔#2〕。
穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える〔#3〕。
穀粒が堆積していれば、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開姿勢で維持し、穀粒センサ35が穀粒の堆積を検出しなくなるのに伴って、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える〔#2〜#4〕。
【0080】
#1において穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後でなければ(穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合であれば)、第1閉スイッチ54からの閉指令を無視して、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開姿勢に維持する〔#5〕。
【0081】
第2手動シャッタ閉じ制御では、ECU40は、第2閉スイッチ55から閉指令が出力されると、前述した第1実施形態での手動シャッタ閉じ制御と同じ制御作動を行うように構成してある(図9参照)。
【0082】
つまり、穀粒排出装置8による穀粒の排出中に第1閉スイッチ54の誤操作でシャッタ28が閉姿勢に切り換わることを阻止しながら、搭乗運転部2での第1閉スイッチ54の操作に適したシャッタ28の閉姿勢への切り換えと、穀粒排出口26の近くでの第2閉スイッチ55の操作に適したシャッタ28の閉姿勢への切り換えとを良好に行うことができる。
【0083】
〔別実施形態〕
【0084】
〔1〕コンバインとしては、穀粒排出装置8を備えるものであれば、刈り取った穀稈の全体を脱穀装置5に投入するように構成した普通型(全稈投入型)コンバインであってもよい。
【0085】
〔2〕排出クラッチの作動状態を検出するクラッチセンサを備えて、制御手段40が、クラッチセンサの検出に基づいて穀粒排出装置8の作動状態(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えなど)を検知するように構成してもよい。
【0086】
〔3〕排出スイッチ45及び停止スイッチ46の代わりに、搭乗運転部2に排出クラッチレバーを備えるとともに、この排出クラッチレバーを排出クラッチ16に連係ワイヤなどで機械的に連係し、排出クラッチレバーの操作位置を検出するレバーセンサ、又は、排出クラッチの作動状態を検出するクラッチセンサ、などを備えて、制御手段40が、レバーセンサ又はクラッチセンサなどの検出に基づいて穀粒排出装置8の作動状態(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えなど)を検知するように構成してもよい。
【0087】
〔4〕穀粒排出装置8を、排出クラッチ16を介したエンジン15からの動力で駆動する構成に代えて、電動モータ又は油圧モータなどの穀粒排出装置駆動用のアクチュエータで穀粒排出装置8を駆動するように構成し、制御手段40が、排出スイッチ45からの穀粒排出指令及び停止スイッチ46からの排出停止指令に基づいて穀粒排出装置駆動用のアクチュエータの作動を制御するように構成してもよい。この構成では、制御手段40は停止スイッチ46からの排出停止指令に基づいて穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知することができる。
【0088】
〔5〕穀粒排出装置8の作動状態から穀粒排出装置8が作動状態であるか否かを直接的に検出する穀粒排出センサ、例えば、穀粒排出装置8の搬送スクリュ13又は揚送スクリュ18などの回転を検出する回転センサなどを備え、制御手段40が、穀粒排出センサ(回転センサなど)の出力に基づいて穀粒排出装置8の作動状態(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えなど)を検知するように構成してもよい。
【0089】
〔6〕第1実施形態の手動シャッタ閉じ制御及び第3実施形態の第2手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後に指令手段Aからの閉指令を受けた場合であっても、指令手段Aからの閉指令を受けてから予め設定した設定時間(例えば2秒)の経過後にシャッタ28の開状態から閉状態への切り換えを行うように構成してもよく、又、指令手段Aからの閉指令を受けてから、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している間はシャッタ28を開状態に維持し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出しなくなるとシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0090】
〔7〕第1実施形態の手動シャッタ閉じ制御及び第3実施形態の第2手動シャッタ閉じ制御において、指令手段Aから閉指令に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えてからシャッタ28の開状態から閉状態への切り換えを開始するまでの待機時間として設定する設定時間の長さは、穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えに要する時間などに応じて種々の変更が可能である。
【0091】
〔8〕第1実施形態の手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合に指令手段Aからの閉指令を受けると、穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに穀粒センサ35の出力を監視し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している間はシャッタ28を開状態に維持し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出しなくなるとシャッタ28を開状態から閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0092】
〔9〕第1及び第2実施形態の手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合に指令手段Aからの閉指令を受けると、指令手段Aからの閉指令を無視して、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開状態に維持するように構成してもよい。
【0093】
〔10〕第2実施形態の手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後に指令手段Aからの閉指令を受けると、開指令を受けてから予め設定した設定時間の経過後にシャッタ28を開状態から閉状態に切り換えるように構成してもよい。又、穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合に指令手段Aからの閉指令を受けると、指令手段Aからの閉指令に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えた後、予め設定した設定時間(例えば2秒)の経過後にシャッタ28を開状態から閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0094】
〔11〕第3実施形態の第1手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、前述した第2実施形態での手動シャッタ閉じ制御と同じ制御作動を行うように構成してもよく、又、上記〔別実施形態〕の〔10〕と同じ制御作動を行うように構成してもよい。
【0095】
〔12〕第3実施形態の第2手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合に指令手段Aからの閉指令を受けると、穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに計時手段40Aによる計時を開始し、予め設定した設定時間(例えば2秒)の経過後にシャッタ28を開姿勢から閉状態に切り換えるように構成してもよく、又、穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに穀粒センサ35の出力を監視し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している間はシャッタ28を開状態に維持し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出しなくなるとシャッタ28を開状態から閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0096】
〔13〕搬出コンベヤ収納制御においては、制御手段40が、搬出コンベヤ12の予め設定した上限位置への到達を検知するのに伴ってシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよく、又、搬出コンベヤ12の予め設定した収納旋回位置への到達を検知するのに伴ってシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよく、更に、搬出コンベヤ12の予め設定した収納位置への到達を検知するのに伴ってシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0097】
〔14〕指令手段Aとしては、搭乗運転部2と搬出コンベヤ12における搬出ケース24の他端部(遊端部)などとに装備位置を変更可能に構成したものであってもよく、又、持ち運び可能な携帯型に構成したものであってもよい。そして、指令手段Aの装備位置を変更可能に構成したものにおいては、指令手段Aの装備位置に応じて、指令手段Aからの指令に基づいて制御手段40が実行する手動シャッタ閉じ制御が例えば第3実施形態のように異なるように構成してもよい。
【0098】
〔15〕シャッタ28の構成は種々の変更が可能であり、例えば、シャッタ28をその摺動で穀粒排出口26を開閉するように構成してもよく、又、穀粒排出口26を部分的に開閉するように構成してもよい。
【0099】
〔16〕穀粒センサ35として光センサなどを採用するようにしてもよい。又、穀粒センサ35を排出ケース25の内部に装備するようにしてもよい。
【0100】
〔17〕穀粒排出装置8としては、バケットコンベヤ又はベルトコンベヤなどを使用して穀粒を機外に排出するように構成したものであってもよく、又、搬出コンベヤ12を伸縮可能に構成したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係るコンバインの穀粒排出構造は、穀粒排出装置を備えた自脱型コンバイン及び普通型コンバインに適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
6 穀粒タンク
8 穀粒排出装置
12 搬出コンベヤ
26 穀粒排出口
28 シャッタ
35 穀粒センサ
40 制御手段
40A 計時手段
A 指令手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインの穀粒排出構造としては、穀粒排出レバーの排出操作のときに開閉シャッタ(シャッタ)が開き、穀粒排出レバーの排出停止操作のときに開閉シャッタが閉じるように開閉シャッタを穀粒排出レバーに関連的に連結することが考えられていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−111511号公報(段落番号0011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態であっても、穀粒排出レバーの排出停止操作を行うとシャッタが閉状態に切り換わることから、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でのシャッタの閉状態への切り換えに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じ易くなっていた。
【0005】
本発明の目的は、穀粒排出口に穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因した不具合の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段では、
穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記シャッタの開閉を制御する制御手段と、前記制御手段に前記シャッタの閉状態への切り換えを指令する人為操作式の指令手段とを備え、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知した後に前記指令手段からの指令を受けると、前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0007】
この課題解決手段によると、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えに伴ってシャッタが閉状態に切り換わるのではなく、制御手段が穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知した後の指令手段の人為操作に基づく制御手段の制御作動でシャッタが閉状態に切り換わることから、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを行ってから指令手段を人為操作するまでの間で、例えば穀粒排出箇所に堆積した穀粒の均し作業などを行って穀粒排出口での穀粒の滞留を解消することができる。
【0008】
従って、穀粒排出口に穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を防止することができる。
【0009】
本発明の第2の課題解決手段では、上記第1の課題解決手段において、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合に前記指令手段からの指令を受けると、前記穀粒排出装置を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換え、その切り換え後に前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0010】
この課題解決手段によると、穀粒排出装置による穀粒の排出中に指令手段を人為操作すると、穀粒排出装置を排出停止状態に切り換えるための専用の操作を行わなくても、指令手段からの指令に基づく制御手段の制御作動で穀粒排出装置が排出停止状態に切り換わり、その後、シャッタが閉状態に切り換わる。これにより、穀粒排出装置による穀粒の排出中にシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を防止することができる。
【0011】
従って、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えとシャッタの閉状態への切り換えとを操作の簡便化を図りながら良好に行うことができる。
【0012】
本発明の第3の課題解決手段では、上記第1又は2の課題解決手段において、
前記穀粒排出口又は前記穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留を検出する穀粒センサを備え、
前記制御手段が、前記指令手段からの指令を受けると前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出している間は前記シャッタを開状態に維持し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなると前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0013】
この課題解決手段によると、制御手段は、指令手段からの指令に基づいて単にシャッタを閉状態に切り換えるのではなく、指令手段からの指令を受けても穀粒センサが穀粒の滞留を検出している間はシャッタを開状態に維持し、指令手段からの指令を受けた上で穀粒センサが穀粒の滞留を検出していない場合にシャッタを閉状態に切り換えることから、穀粒排出口又は穀粒排出口の近傍で穀粒が滞留している状態でのシャッタの閉状態への切り換えをより確実に防止することができる。
【0014】
そして、制御手段は、指令手段からの指令を受けた段階ではシャッタを開状態に維持していても、指令手段からの指令を受けた後に、穀粒排出箇所を変更するための穀粒排出口の移動操作、あるいは、穀粒排出口を所定の作業終了位置に戻すための穀粒排出口の移動操作、などが行われて、穀粒排出箇所で堆積する穀粒から穀粒排出口が離れると、穀粒排出口又は穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留が解消されて穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなることから、シャッタを閉状態に切り換える。
【0015】
従って、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞をより確実に防止することができる。又、穀粒排出箇所を変更する場合や穀粒排出口を所定の作業終了位置に戻す場合の穀粒排出口の移動操作などにおいて穀粒排出口から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0016】
本発明の第4の課題解決手段では、上記第1又は2の課題解決手段において、
時間の経過を計測する計時手段を備え、
前記制御手段が、前記指令手段からの指令を受けると、その指令を受けてから設定時間の経過後に前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0017】
この課題解決手段によると、制御手段は、指令手段からの指令を受けても設定時間の間はシャッタを開状態に維持することから、例えば穀粒排出装置の排出停止状態への切り換え直後に指令手段を人為操作しても、設定時間が経過するまでの間で、例えば穀粒排出箇所に堆積した穀粒の均し作業や穀粒排出口の移動操作などを行うようにすれば、シャッタが閉状態に切り換わるまでに穀粒排出口での穀粒の滞留を解消することが可能になり、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でのシャッタの閉状態への切り換えを防止することができる。
【0018】
又、例えば穀粒排出装置による穀粒の排出中に指令手段の人為操作を行うと、指令手段からの指令に基づく制御手段の制御作動で先ず穀粒排出装置が排出停止状態に切り換わり、指令手段の人為操作を行ってから設定時間の経過後にシャッタが閉状態に切り換わることから、穀粒排出装置の穀粒排出状態でシャッタが閉状態に切り換わることを確実に防止することができる。
【0019】
従って、穀粒排出口に穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を防止し易くすることができ、又、穀粒排出装置による穀粒の排出中にシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞をより確実に防止することができる。
【0020】
本発明の第5の課題解決手段では、上記第1の課題解決手段において、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合に前記指令手段からの指令を受けると、前記指令手段からの指令にかかわらず前記シャッタを開状態に維持するように構成してある。
【0021】
この課題解決手段によると、穀粒排出装置による穀粒の排出中に指令手段の誤操作でシャッタが閉状態に切り換わることを阻止することができる。
【0022】
従って、穀粒排出装置による穀粒の排出中にシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を確実に防止することができる。
【0023】
本発明の第6の課題解決手段では、上記第1〜5の課題解決手段のいずれか一つにおいて、
前記穀粒排出装置に昇降揺動可能かつ旋回可能に装備した搬出コンベヤの遊端部に前記穀粒排出口を形成し、かつ、前記搬出コンベヤの遊端部に前記指令手段を備えてある。
【0024】
この課題解決手段によると、穀粒排出口の近くで穀粒排出口から穀粒排出箇所への穀粒の排出状態や穀粒排出口での穀粒の滞留状態などを視認しながら指令手段を操作することができる。
【0025】
従って、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じる虞を確実に防止することができる。又、制御手段が、穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合の指令手段からの指令に基づいて、穀粒排出装置を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換え、その後、シャッタを閉状態に切り換えるように構成したものにおいては、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを適切なタイミングで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】自脱型コンバインの全体右側面図である。
【図2】自脱型コンバインの全体平面図である。
【図3】シャッタを開姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断右側面図である。
【図4】シャッタを閉姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断右側面図である。
【図5】シャッタを開姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図6】シャッタを閉姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図7】第1及び第2実施形態での制御構成を示すブロック図である。
【図8】搬出コンベヤ収納制御のフローチャートである。
【図9】第1実施形態での手動シャッタ閉じ制御のフローチャートである。
【図10】第2実施形態での手動シャッタ閉じ制御のフローチャートである。
【図11】第3実施形態での制御構成を示すブロック図である。
【図12】第3実施形態での第1手動シャッタ閉じ制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
【0028】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、この実施形態で例示する自脱型コンバインは、走行機体1の前部右側に搭乗運転部2を形成し、走行機体1の下部に左右一対のクローラ3を配備してある。走行機体2の前部には、機体の走行に伴って収穫対象の未刈り穀稈を刈り取って搬送する刈取搬送装置4を、走行機体1から機体前方に向けて延出した状態で昇降揺動可能に装備してある。走行機体2の後部左側には、刈取搬送装置4からの刈り取り後の穀稈に扱き処理を施し、扱き処理で得た処理物に選別処理を施す脱穀装置5を搭載してある。走行機体2の後部右側には、脱穀装置5での扱き処理及び選別処理で得た穀粒を貯留する穀粒タンク6を搭載してある。脱穀装置5の後端部には、脱穀処理後の穀稈である排ワラの機外への細断排出を可能にする排ワラ細断装置7を連結してある。穀粒タンク6には、穀粒タンク6に貯留した穀粒の機外への排出を可能にするスクリュ搬送式の穀粒排出装置8を装備してある。
【0030】
穀粒排出装置8は、穀粒タンク6に貯留した穀粒を穀粒タンク6の底部に前後向きに配備した搬送コンベヤ9により穀粒タンク6の底部後方に搬送し、搬送コンベヤ9が搬送した穀粒を搬送コンベヤ9の後端部に連結した揚送コンベヤ10により揚送し、揚送コンベヤ10が揚送した穀粒を揚送コンベヤ10の上端部に中継コンベヤ11を介して連結した搬出コンベヤ12により機外に搬出するように構成してある。
【0031】
搬送コンベヤ9は、前端部が穀粒タンク6から前方に延出し、かつ、後端部が穀粒タンク6から後方に延出する搬送スクリュ13、及び、搬送スクリュ13の後端部を覆うとともに揚送コンベヤ10との連通接続を可能にする下部ケース14、などを備えて構成してある。搬送スクリュ13の前端部には、走行機体1の前部右側に配備したエンジン15から穀粒排出装置8への伝動を断続する排出クラッチ16を接続してある。
【0032】
揚送コンベヤ10は、下端部を搬送スクリュ13の後端部にベベルギア式伝動機構17を介して連動連結する揚送スクリュ18、及び、下端部を下部ケース14の上端部に相対回転可能に内嵌した円筒状の揚送ケース19、などを備えて構成してある。
【0033】
中継コンベヤ11は、一端部を揚送スクリュ18の上端部にベベルギア式伝動機構20を介して連動連結する横向きの中継スクリュ(図示せず)、下端部を揚送ケース19の上端部に相対回転不能に連結したくの字円筒状の第1ケース21、及び、一端部を第1ケース21の上端部に中継スクリュを中心に相対回転可能に内嵌したくの字円筒状の第2ケース22、などを備えて構成してある。
【0034】
図1〜6に示すように、搬出コンベヤ12は、一端部を中継スクリュの他端部にベベルギア式伝動機構(図示せず)を介して連動連結する搬出スクリュ23、及び、一端部を第2ケース22の他端部に相対回転不能に連結した円筒状の搬出ケース24、などを備えて構成してある。搬出ケース24の他端部(遊端部)には、この他端部から下向きに延出する横断面形状が矩形の排出ケース25を連通接続してあり、この排出ケース25により下向きで矩形の穀粒排出口26を形成してある。排出ケース25の内部には、横向きの支軸27を支点にした上下揺動で穀粒排出口26を開閉するシャッタ28を装備してある。
【0035】
図1、図2及び図7に示すように、搬送コンベヤ9の下部ケース14には、揚送スクリュ18の回転中心を中心にして揚送ケース19を回転させることで、搬出コンベヤ12を揚送スクリュ18の回転中心を支点にして旋回させるウォーム減速機付きの電動モータからなる旋回モータ29、及び、揚送ケース19の回転角を搬出コンベヤ12の旋回位置として検出する多回転型のポテンショメータからなる旋回センサ30を装備してある。そして、旋回モータ29の作動で搬出コンベヤ12を旋回させることで、搬出コンベヤ12の穀粒排出口26を旋回方向に移動させることができ、穀粒排出口26の旋回方向での位置を変更することができる。
【0036】
又、揚送コンベヤ10と搬出コンベヤ12とにわたって、中継コンベヤ11の中継スクリュを支点にして搬出コンベヤ12を昇降揺動させる単動式の油圧シリンダからなる昇降シリンダ31を架設してある。そして、昇降シリンダ31の作動で搬出コンベヤ12を昇降揺動させることで、搬出コンベヤ12の穀粒排出口26を高さ方向に移動させることができ、穀粒排出口26の高さ位置を変更することができる。
【0037】
図3〜7に示すように、搬出コンベヤ12の他端部(遊端部)には、シャッタ28を横向きの支軸27を支点にして開閉揺動させるウォーム減速機付きの電動モータからなる開閉モータ32、シャッタ28の開閉を検出する単回転型のポテンショメータからなる開閉センサ33、及び、排出ケース25から下方に延設した軟質透明樹脂製の排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出することで穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出する感圧式の穀粒センサ35を装備してある。
【0038】
開閉モータ32は、その出力軸32Aと一体回転するカム36を回転させてシャッタ28に対するカム36の作用姿勢を変更することで、シャッタ28を下向きの開姿勢と横向きの閉姿勢とにわたって開閉揺動させるように構成してある。開閉センサ33は、カム36の回転に伴う検出アーム37の揺動変位でシャッタ28の開閉を検出するように構成してある。開閉モータ32及び開閉センサ33は、排出ケース25の内部に位置するように搬出ケース24の他端部(遊端部)から下向きに延出した支持部材38に支持させてある。
【0039】
穀粒センサ35は、排出ブーツ34の内部まで延出した支持部材38の下端部に装備してある。そして、例えばトラックの荷台に穀粒を排出する場合においては、穀粒排出装置8の穀粒排出口26から排出されて荷台に堆積する穀粒が荷台の上方に位置する排出ブーツ34に到達して排出ブーツ34の内部で堆積する状態(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留する状態)に至ると、その状態を排出ブーツ34の内部で堆積する穀粒の圧力から検出するように構成してある。又、例えば籾袋に穀粒を排出する場合においては、穀粒排出装置8の穀粒排出口26から排出されて籾袋に貯留される穀粒が籾袋の開口から差し入れた排出ブーツ34の内部で堆積する状態(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留する状態)に至ると、その状態を籾袋の満杯状態として排出ブーツ34の内部で堆積する穀粒の圧力から検出するように構成してある。
【0040】
図7に示すように、排出クラッチ16は、ウォーム減速機付きの電動モータからなるクラッチモータ39の作動でエンジン15から穀粒排出装置8に伝動する入り状態とエンジン15から穀粒排出装置8への伝動を遮断する切り状態とに切り換わるように構成してある。
【0041】
図7に示すように、この自脱型コンバインには、CPUやEEPROMなどを備えるマイクロコンピュータを利用して構成した制御手段としての電子制御ユニット(以下、ECUと略称する)40を搭載してある。ECU40には、時間の経過を計測する計時手段40Aを備えるとともに旋回センサ30、開閉センサ33、及び穀粒センサ35、などの検出情報を入力してある。
【0042】
搭乗運転部2には、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を上昇揺動させるための上昇指令をECU40に出力するモーメンタリ式の上昇スイッチ41、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を下降揺動させるための下降指令をECU40に出力するモーメンタリ式の下降スイッチ42、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を左旋回させるための左旋回指令をECU40に出力するモーメンタリ式の左旋回スイッチ43、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を右旋回させるための右旋回指令をECU40に出力するモーメンタリ式の右旋回スイッチ44、押圧操作に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態に切り換えるための穀粒排出指令をECU40に出力するモーメンタリ式の排出スイッチ45、押圧操作に基づいて穀粒排出装置8を排出停止状態に切り換えるための排出停止指令をECU40に出力するモーメンタリ式の停止スイッチ46、及び、押圧操作に基づいて搬出コンベヤ12を所定の収納位置に移動させるための収納指令をECU40に出力するモーメンタリ式の収納スイッチ47、などを装備してある。
【0043】
ECU40は、上昇スイッチ41及び下降スイッチ42からの指令に基づいて搬出コンベヤ12を昇降揺動させる搬出コンベヤ昇降制御を行う。
【0044】
搬出コンベヤ昇降制御では、ECU40は、上昇スイッチ41から上昇指令が出力されると、その上昇指令が出力されている間、昇降シリンダ31に対するオイルの流れを制御する電磁制御弁からなる昇降制御弁48を昇降シリンダ31にオイルを供給する供給状態に切り換えて昇降シリンダ31を伸長作動させる。これにより、搬出コンベヤ12が上昇揺動し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が上方に移動する。
その後、上昇スイッチ41からの上昇指令の出力が停止されると、昇降制御弁48を昇降シリンダ31に対するオイルの給排を停止する給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31を作動停止させる。これにより、搬出コンベヤ12が上昇揺動を停止し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が上方への移動を停止する。
又、下降スイッチ42から下降指令が出力されると、その下降指令が出力されている間、昇降制御弁48を昇降シリンダ31からオイルを排出する排出状態に切り換えて昇降シリンダ31を短縮作動させる。これにより、搬出コンベヤ12が下降揺動し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が下方に移動する。
その後、下降スイッチ42からの下降指令の出力が停止されると、昇降制御弁48を給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31を作動停止させる。これにより、搬出コンベヤ12が下降揺動を停止し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が下方への移動を停止する。
【0045】
つまり、上昇スイッチ41又は下降スイッチ42を操作することで、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を高さ方向に移動させることができ、穀粒排出口26の高さ位置を任意に変更することができる。そして、ECU40は、上昇スイッチ41からの上昇指令又は下降スイッチ42からの下降指令に基づいて穀粒排出口26の高さ方向での移動を検知する。
【0046】
ECU40は、左旋回スイッチ43及び右旋回スイッチ44からの指令に基づいて搬出コンベヤ12を旋回させる搬出コンベヤ旋回制御を行う。
【0047】
搬出コンベヤ旋回制御では、ECU40は、左旋回スイッチ43から左旋回指令が出力されると、その左旋回指令が出力されている間、揚送コンベヤ10の揚送ケース19が左回りに回転するように旋回モータ29を正転作動させる。これにより、搬出コンベヤ12が左回りに旋回し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が左回りに旋回移動する。
その後、左旋回スイッチ43からの左旋回指令の出力が停止されると旋回モータ29の正転作動を停止させる。これにより、搬出コンベヤ12が左回りの旋回を停止し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が左回りの旋回移動を停止する。
又、右旋回スイッチ44から右旋回指令が出力されると、その右旋回指令が出力されている間、揚送コンベヤ10の揚送ケース19が右回りに回転するように旋回モータ29を逆転作動させる。これにより、搬出コンベヤ12が右回りに旋回し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が右回りに旋回移動する。
その後、右旋回スイッチ44からの右旋回指令の出力が停止されると旋回モータ29の逆転作動を停止させる。これにより、搬出コンベヤ12が右回りの旋回を停止し、穀粒排出装置8の穀粒排出口26が右回りの旋回移動を停止する。
【0048】
つまり、左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44を操作することで、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を旋回方向に移動させることができ、穀粒排出口26の旋回方向での位置を任意に変更することができる。そして、ECU40は、左旋回スイッチ43からの左旋回指令又は右旋回スイッチ44からの右旋回指令に基づいて穀粒排出口26の旋回方向での移動を検知する。
【0049】
ECU40は、排出スイッチ45からの穀粒排出指令に基づいて穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換える穀粒排出制御を行う。
【0050】
穀粒排出制御では、ECU40は、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されると、旋回センサ30からの出力に基づいて、搬出コンベヤ12の旋回位置が予め設定した搬出コンベヤ12の収納旋回位置を含む所定の排出停止領域(例えば搬出コンベヤ12の収納旋回位置と搬出コンベヤ12が搭乗運転部2の上方を横切る状態になる領域とを含む機体の前部右側の領域)か否かを判別する。
排出停止領域であれば、排出スイッチ45からの穀粒排出指令にかかわらず、開閉モータ32及びクラッチモータ39を作動させずにシャッタ28を閉姿勢に維持するとともに排出クラッチ16を切り状態に維持する。これにより、穀粒排出装置8は排出停止状態を維持する。そして、搭乗運転部2に備えた警告灯や警報ブザーあるいは表示パネルなどからなる報知手段49を作動させて排出停止領域であることを報知する。
排出停止領域でなければ、開閉センサ33の出力に基づいてシャッタ28が開姿勢であるか否かを判別する。
シャッタ28が開姿勢であれば、クラッチモータ39を正転作動させて排出クラッチ16を切り状態から入り状態に切り換える。これにより、穀粒排出装置8が排出停止状態から穀粒排出状態に切り換わる。
シャッタ28が開姿勢でなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を閉姿勢から開姿勢に下降揺動させる。そして、このときの開閉モータ32の作動でシャッタ28の開姿勢への切り換えを開閉センサ33が検出すると、このときの開閉センサ33からの出力に基づいてクラッチモータ39を正転作動させて排出クラッチ16を切り状態から入り状態に切り換える。これにより、穀粒排出装置8が排出停止状態から穀粒排出状態に切り換わる。
【0051】
つまり、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を排出停止領域を除く任意の搬出位置に位置させた後、排出スイッチ45を操作することで穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換えることができる。そして、ECU40は、排出スイッチ45からの穀粒排出指令及び旋回センサ30の出力に基づいて穀粒排出装置8の排出停止状態から穀粒排出状態への切り換えを検知する。
【0052】
ECU40は、排出スイッチ45からの穀粒排出指令及び旋回センサ30の出力に基づいて穀粒排出装置8の排出停止状態から穀粒排出状態への切り換えを検知した後の穀粒排出状態において、停止スイッチ46から排出停止指令が出力される、あるいは、穀粒センサ35により穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留が検出されると、その出力又は検出に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換える排出停止制御を行う。
【0053】
排出停止制御では、ECU40は、穀粒排出状態において停止スイッチ46から排出停止指令が出力される、あるいは、穀粒センサ35により穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留が検出されると、クラッチモータ39を逆転作動させて排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換える。これにより、穀粒排出装置8が穀粒排出状態から排出停止状態に切り換わる。
【0054】
つまり、停止スイッチ46を操作することで穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えることができる。又、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を穀粒センサ35が検出すると、その検出に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に自動的に切り換えることができる。そして、ECU40は、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知する。
【0055】
ECU40は、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後に、収納スイッチ47から収納指令が出力されると、搬出コンベヤ12を所定の収納位置に移動させる搬出コンベヤ収納制御を行う。
【0056】
図7及び図8に示すように、搬出コンベヤ収納制御では、ECU40は、開閉センサ33の出力に基づいてシャッタ28が閉姿勢であるか否かを判別する〔#1〕。
シャッタ28が閉姿勢であれば、予め設定した上限位置への搬出コンベヤ12の到達を検出するリミットスイッチからなる上限センサ50の出力に基づいて搬出コンベヤ12が上限位置に到達しているか否かを判別する〔#2〕。
上限位置に到達していなければ、上限センサ50が搬出コンベヤ12の上限位置への到達を検出するまで昇降制御弁48を供給状態に切り換えて昇降シリンダ31を伸長作動させ、上限センサ50が搬出コンベヤ12の上限位置への到達を検出するのに伴って昇降制御弁48を給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31の作動を停止させる自動上昇制御を行う〔#3〕。これにより、搬出コンベヤ12は予め設定した上限位置まで自動上昇する。
【0057】
搬出コンベヤ12が上限位置に到達していると、旋回センサ30からの出力に基づいて搬出コンベヤ12が予め設定した収納旋回位置に到達しているか否かを判別する〔#4〕。
収納旋回位置に到達していなければ、旋回センサ30が搬出コンベヤ12の収納旋回位置への到達を検出するまで旋回モータ29を作動させ、旋回センサ30が搬出コンベヤ12の収納旋回位置への到達を検出するのに伴って旋回モータ29の作動を停止させる自動旋回制御を行う〔#5〕。これにより、搬出コンベヤ12は予め設定した収納旋回位置まで自動旋回する。
【0058】
搬出コンベヤ12が収納旋回位置に到達していると、搬出コンベヤ12を予め設定した収納位置で受け止めるように構成した受具51(図1及び図2参照)に備えたリミットスイッチからなる収納センサ52の出力に基づいて、搬出コンベヤ12が収納位置に到達しているか否かを判別する〔#6〕。
収納位置に到達していなければ、収納センサ52が搬出コンベヤ12の収納位置への到達を検出するまで昇降制御弁48を排出状態に切り換えて昇降シリンダ31を短縮作動させ、収納センサ52が搬出コンベヤ12の収納位置への到達を検出するのに伴って昇降制御弁48を給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31の作動を停止させる自動下降制御を行う〔#7〕。これにより、搬出コンベヤ12は予め設定した収納位置まで自動下降する。
【0059】
#1においてシャッタ28が開姿勢であれば、穀粒センサ35が排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留)を検出しなくなるのに伴って、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える自動シャッタ閉じ制御を行いながら〔#8〕、#2〜#7と同様の#9〜#14の制御作動を行う。
【0060】
つまり、収納スイッチ47からの収納指令に基づくECU40の制御作動で、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留している状態でシャッタ28が閉姿勢に切り換わることに起因して穀粒やシャッタ28が損傷するなどの不具合が生じる虞を防止しながら、又、搬出コンベヤ内の穀粒が穀粒排出口26から穀粒排出箇所以外の場所に零れ落ちる不具合の発生を防止しながら、搬出コンベヤ12を予め設定した収納位置まで自動で移動させることができる。
【0061】
図1、図2及び図7に示すように、搬出コンベヤ12における搬出ケース24の他端部(遊端部)には、押圧操作に基づいてシャッタ28を閉姿勢に切り換えるための閉指令をECU40に出力する人為操作式の指令手段Aとしてのモーメンタリ式の閉スイッチ53を装備してある。
【0062】
ECU40は、閉スイッチ53から閉指令が出力されると、その出力に基づいてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える手動シャッタ閉じ制御を行う。
【0063】
図7及び図9に示すように、手動シャッタ閉じ制御では、ECU40は、閉スイッチ53から閉指令が出力されると、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後か否か(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換え後か否か)を判別する〔#1〕。
穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後であれば、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に上昇揺動させる〔#2〕。
穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後でなければ、クラッチモータ39を逆転作動させて排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換えることで穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに計時手段40Aによる計時を開始し、予め設定した設定時間(例えば2秒)の経過後に開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に上昇揺動させる〔#3〜#5〕。
【0064】
つまり、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づく穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えに連動してシャッタ28が閉姿勢に切り換わるのではなく、穀粒排出口26の近くにいる作業者又は補助作業者の判断による閉スイッチ53の人為操作に基づいてシャッタ28が閉姿勢に切り換わることから、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留している状態でシャッタ28が閉姿勢に切り換わることに起因して穀粒やシャッタ28が損傷するなどの不具合が生じる虞をより確実に防止することができる。
【0065】
又、例えば穀粒排出装置8の穀粒排出口26から排出した穀粒を籾袋に貯留する袋取り作業などにおいては、穀粒排出口26の近くにいる作業者又は補助作業者の判断による閉スイッチ53の人為操作で穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えることができ、これにより、袋取り作業などにおける穀粒貯留量の調節を適切に行うことができる。
【0066】
そして、穀粒排出装置8を排出停止状態に切り換えてから設定時間の経過後にシャッタ28が開姿勢から閉姿勢に自動的に切り換わることで、例えば袋取り作業において、穀粒排出装置8を排出停止状態に切り換えてからの慣性で穀粒排出口26から籾袋に流出した穀粒が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で滞留しても、設定時間が経過するまでの間で貯留済みの籾袋を穀粒排出口26による穀粒排出箇所から移動させるようにすれば、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留している状態でのシャッタ28の閉姿勢への切り換えによる穀粒やシャッタ28の損傷などを防止することができ、又、貯留済みの籾袋を穀粒排出口26による穀粒排出箇所から移動させた後に穀粒排出口26から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0067】
〔第2実施形態〕
【0068】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第2実施形態を図面に基づいて説明する。尚、この第2実施形態は上記の第1実施形態と人為操作式の指令手段Aの配置と手動シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動が異なるだけであることから、人為操作式の指令手段Aの配置と手動シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動についてのみ説明し、他の説明は省略する。
【0069】
第2実施形態では、押圧操作に基づいてシャッタ28を閉姿勢に切り換えるための閉指令をECU40に出力する人為操作式の指令手段Aとしてのモーメンタリ式の閉スイッチ53を搭乗運転部2に装備してある。
【0070】
ECU40は、閉スイッチ53から閉指令が出力されると、その出力に基づいてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える手動シャッタ閉じ制御を行う。
【0071】
図7及び図10に示すように、手動シャッタ閉じ制御では、ECU40は、閉スイッチ53から閉指令が出力されると、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後か否か(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換え後か否か)を判別する〔#1〕。
穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後であれば、穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別する〔#2〕。
穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える〔#3〕。
穀粒が堆積していれば、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開姿勢で維持し、穀粒センサ35が穀粒の堆積を検出しなくなるのに伴って、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える〔#2〜#4〕。
【0072】
#1において穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後でなければ、クラッチモータ39を逆転作動させて排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換えることで穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換える〔#5〕。そして#2に移行する。
【0073】
つまり、閉スイッチ53の人為操作が行われても、穀粒センサ35が穀粒の滞留を検出している間はシャッタ28を開姿勢に維持することから、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留している状態でシャッタ28が閉姿勢に切り換わることに起因して穀粒やシャッタ28が損傷するなどの不具合が生じる虞を防止することができる。
【0074】
又、閉スイッチ53の人為操作を行った後に、上昇スイッチ41や各旋回スイッチ43,44による穀粒排出口26の移動操作などを行うことで、穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留が解消されて穀粒センサ35が穀粒の滞留を検出しなくなると、シャッタ28が閉姿勢に切り換わることから、穀粒排出口26の移動操作などにおいて穀粒排出口26から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0075】
〔第3実施形態〕
【0076】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第3実施形態を図面に基づいて説明する。尚、この第3実施形態は上記の第1実施形態と人為操作式の指令手段Aの配置と手動シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動が異なるだけであることから、人為操作式の指令手段Aの配置と手動シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動についてのみ説明し、他の説明は省略する。
【0077】
図11に示すように、第3実施形態では、押圧操作に基づいてシャッタ28を閉姿勢に切り換えるための閉指令をECU40に出力する人為操作式の指令手段Aとしてのモーメンタリ式の第1閉スイッチ54を搭乗運転部2に装備してある。又、押圧操作に基づいてシャッタ28を閉姿勢に切り換えるための閉指令をECU40に出力する人為操作式の指令手段Aとしてのモーメンタリ式の第2閉スイッチ55を搬出コンベヤ12における搬出ケース24の他端部(遊端部)に装備してある。
【0078】
ECU40は、第1閉スイッチ54から閉指令が出力されると、その出力に基づいて第1手動シャッタ閉じ制御を行い、第2閉スイッチ55から閉指令が出力されると、その出力に基づいて第2手動シャッタ閉じ制御を行う。
【0079】
図11及び図12に示すように、第1手動シャッタ閉じ制御では、ECU40は、第1閉スイッチ54から閉指令が出力されると、停止スイッチ46からの排出停止指令、あるいは、穀粒センサ35による穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留検出に基づいて穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後か否か(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換え後か否か)を判別する〔#1〕。
穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後であれば、穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別する〔#2〕。
穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える〔#3〕。
穀粒が堆積していれば、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開姿勢で維持し、穀粒センサ35が穀粒の堆積を検出しなくなるのに伴って、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換える〔#2〜#4〕。
【0080】
#1において穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後でなければ(穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合であれば)、第1閉スイッチ54からの閉指令を無視して、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開姿勢に維持する〔#5〕。
【0081】
第2手動シャッタ閉じ制御では、ECU40は、第2閉スイッチ55から閉指令が出力されると、前述した第1実施形態での手動シャッタ閉じ制御と同じ制御作動を行うように構成してある(図9参照)。
【0082】
つまり、穀粒排出装置8による穀粒の排出中に第1閉スイッチ54の誤操作でシャッタ28が閉姿勢に切り換わることを阻止しながら、搭乗運転部2での第1閉スイッチ54の操作に適したシャッタ28の閉姿勢への切り換えと、穀粒排出口26の近くでの第2閉スイッチ55の操作に適したシャッタ28の閉姿勢への切り換えとを良好に行うことができる。
【0083】
〔別実施形態〕
【0084】
〔1〕コンバインとしては、穀粒排出装置8を備えるものであれば、刈り取った穀稈の全体を脱穀装置5に投入するように構成した普通型(全稈投入型)コンバインであってもよい。
【0085】
〔2〕排出クラッチの作動状態を検出するクラッチセンサを備えて、制御手段40が、クラッチセンサの検出に基づいて穀粒排出装置8の作動状態(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えなど)を検知するように構成してもよい。
【0086】
〔3〕排出スイッチ45及び停止スイッチ46の代わりに、搭乗運転部2に排出クラッチレバーを備えるとともに、この排出クラッチレバーを排出クラッチ16に連係ワイヤなどで機械的に連係し、排出クラッチレバーの操作位置を検出するレバーセンサ、又は、排出クラッチの作動状態を検出するクラッチセンサ、などを備えて、制御手段40が、レバーセンサ又はクラッチセンサなどの検出に基づいて穀粒排出装置8の作動状態(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えなど)を検知するように構成してもよい。
【0087】
〔4〕穀粒排出装置8を、排出クラッチ16を介したエンジン15からの動力で駆動する構成に代えて、電動モータ又は油圧モータなどの穀粒排出装置駆動用のアクチュエータで穀粒排出装置8を駆動するように構成し、制御手段40が、排出スイッチ45からの穀粒排出指令及び停止スイッチ46からの排出停止指令に基づいて穀粒排出装置駆動用のアクチュエータの作動を制御するように構成してもよい。この構成では、制御手段40は停止スイッチ46からの排出停止指令に基づいて穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知することができる。
【0088】
〔5〕穀粒排出装置8の作動状態から穀粒排出装置8が作動状態であるか否かを直接的に検出する穀粒排出センサ、例えば、穀粒排出装置8の搬送スクリュ13又は揚送スクリュ18などの回転を検出する回転センサなどを備え、制御手段40が、穀粒排出センサ(回転センサなど)の出力に基づいて穀粒排出装置8の作動状態(穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えなど)を検知するように構成してもよい。
【0089】
〔6〕第1実施形態の手動シャッタ閉じ制御及び第3実施形態の第2手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知した後に指令手段Aからの閉指令を受けた場合であっても、指令手段Aからの閉指令を受けてから予め設定した設定時間(例えば2秒)の経過後にシャッタ28の開状態から閉状態への切り換えを行うように構成してもよく、又、指令手段Aからの閉指令を受けてから、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している間はシャッタ28を開状態に維持し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出しなくなるとシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0090】
〔7〕第1実施形態の手動シャッタ閉じ制御及び第3実施形態の第2手動シャッタ閉じ制御において、指令手段Aから閉指令に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えてからシャッタ28の開状態から閉状態への切り換えを開始するまでの待機時間として設定する設定時間の長さは、穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えに要する時間などに応じて種々の変更が可能である。
【0091】
〔8〕第1実施形態の手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合に指令手段Aからの閉指令を受けると、穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに穀粒センサ35の出力を監視し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している間はシャッタ28を開状態に維持し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出しなくなるとシャッタ28を開状態から閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0092】
〔9〕第1及び第2実施形態の手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合に指令手段Aからの閉指令を受けると、指令手段Aからの閉指令を無視して、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開状態に維持するように構成してもよい。
【0093】
〔10〕第2実施形態の手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した後に指令手段Aからの閉指令を受けると、開指令を受けてから予め設定した設定時間の経過後にシャッタ28を開状態から閉状態に切り換えるように構成してもよい。又、穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合に指令手段Aからの閉指令を受けると、指令手段Aからの閉指令に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えた後、予め設定した設定時間(例えば2秒)の経過後にシャッタ28を開状態から閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0094】
〔11〕第3実施形態の第1手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、前述した第2実施形態での手動シャッタ閉じ制御と同じ制御作動を行うように構成してもよく、又、上記〔別実施形態〕の〔10〕と同じ制御作動を行うように構成してもよい。
【0095】
〔12〕第3実施形態の第2手動シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が、穀粒排出装置8の穀粒排出状態を検知している場合に指令手段Aからの閉指令を受けると、穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに計時手段40Aによる計時を開始し、予め設定した設定時間(例えば2秒)の経過後にシャッタ28を開姿勢から閉状態に切り換えるように構成してもよく、又、穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに穀粒センサ35の出力を監視し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している間はシャッタ28を開状態に維持し、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出しなくなるとシャッタ28を開状態から閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0096】
〔13〕搬出コンベヤ収納制御においては、制御手段40が、搬出コンベヤ12の予め設定した上限位置への到達を検知するのに伴ってシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよく、又、搬出コンベヤ12の予め設定した収納旋回位置への到達を検知するのに伴ってシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよく、更に、搬出コンベヤ12の予め設定した収納位置への到達を検知するのに伴ってシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0097】
〔14〕指令手段Aとしては、搭乗運転部2と搬出コンベヤ12における搬出ケース24の他端部(遊端部)などとに装備位置を変更可能に構成したものであってもよく、又、持ち運び可能な携帯型に構成したものであってもよい。そして、指令手段Aの装備位置を変更可能に構成したものにおいては、指令手段Aの装備位置に応じて、指令手段Aからの指令に基づいて制御手段40が実行する手動シャッタ閉じ制御が例えば第3実施形態のように異なるように構成してもよい。
【0098】
〔15〕シャッタ28の構成は種々の変更が可能であり、例えば、シャッタ28をその摺動で穀粒排出口26を開閉するように構成してもよく、又、穀粒排出口26を部分的に開閉するように構成してもよい。
【0099】
〔16〕穀粒センサ35として光センサなどを採用するようにしてもよい。又、穀粒センサ35を排出ケース25の内部に装備するようにしてもよい。
【0100】
〔17〕穀粒排出装置8としては、バケットコンベヤ又はベルトコンベヤなどを使用して穀粒を機外に排出するように構成したものであってもよく、又、搬出コンベヤ12を伸縮可能に構成したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係るコンバインの穀粒排出構造は、穀粒排出装置を備えた自脱型コンバイン及び普通型コンバインに適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
6 穀粒タンク
8 穀粒排出装置
12 搬出コンベヤ
26 穀粒排出口
28 シャッタ
35 穀粒センサ
40 制御手段
40A 計時手段
A 指令手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記シャッタの開閉を制御する制御手段と、前記制御手段に前記シャッタの閉状態への切り換えを指令する人為操作式の指令手段とを備え、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知した後に前記指令手段からの指令を受けると、前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してあるコンバインの穀粒排出構造。
【請求項2】
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合に前記指令手段からの指令を受けると、前記穀粒排出装置を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換え、その切り換え後に前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある請求項1に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項3】
前記穀粒排出口又は前記穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留を検出する穀粒センサを備え、
前記制御手段が、前記指令手段からの指令を受けると前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出している間は前記シャッタを開状態に維持し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなると前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項4】
時間の経過を計測する計時手段を備え、
前記制御手段が、前記指令手段からの指令を受けると、その指令を受けてから設定時間の経過後に前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項5】
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合に前記指令手段からの指令を受けると、前記指令手段からの指令にかかわらず前記シャッタを開状態に維持するように構成してある請求項1に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項6】
前記穀粒排出装置に昇降揺動可能かつ旋回可能に装備した搬出コンベヤの遊端部に前記穀粒排出口を形成し、かつ、前記搬出コンベヤの遊端部に前記指令手段を備えてある請求項1〜5のいずれか一つに記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項1】
穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記シャッタの開閉を制御する制御手段と、前記制御手段に前記シャッタの閉状態への切り換えを指令する人為操作式の指令手段とを備え、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知した後に前記指令手段からの指令を受けると、前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してあるコンバインの穀粒排出構造。
【請求項2】
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合に前記指令手段からの指令を受けると、前記穀粒排出装置を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換え、その切り換え後に前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある請求項1に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項3】
前記穀粒排出口又は前記穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留を検出する穀粒センサを備え、
前記制御手段が、前記指令手段からの指令を受けると前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出している間は前記シャッタを開状態に維持し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなると前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項4】
時間の経過を計測する計時手段を備え、
前記制御手段が、前記指令手段からの指令を受けると、その指令を受けてから設定時間の経過後に前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項5】
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の穀粒排出状態を検知している場合に前記指令手段からの指令を受けると、前記指令手段からの指令にかかわらず前記シャッタを開状態に維持するように構成してある請求項1に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項6】
前記穀粒排出装置に昇降揺動可能かつ旋回可能に装備した搬出コンベヤの遊端部に前記穀粒排出口を形成し、かつ、前記搬出コンベヤの遊端部に前記指令手段を備えてある請求項1〜5のいずれか一つに記載のコンバインの穀粒排出構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−139123(P2012−139123A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292180(P2010−292180)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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