説明

コンバインの穀粒搬出装置

【課題】シャッタの開閉操作を自動化して操作性を改善するにあたり、シャッタが閉じられないままで穀粒がこぼれ落ちる不具合を回避でき、かつ汎用性も高める。
【解決手段】穀粒搬送部の搬送用スクリューの駆動を入り切りする搬出指令手段による駆動停止を指令する操作信号が入力されるに伴って、シャッタ駆動装置によるシャッタの開放姿勢は維持したままで、搬送用スクリューに対して駆動停止指令を出力し、かつ、旋回位置検出手段による搬送用筒体が基準格納位置に達したことの検出結果に基づいてシャッタ駆動装置に対してシャッタ閉塞姿勢側への作動指令を出力するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用筒体の内部に搬送用スクリューを内装した穀粒搬送部を備え、その穀粒搬送部の搬送終端側に備えた吐出口を開閉操作可能なシャッタを設けたコンバインの穀粒搬出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような穀粒搬送部の吐出口を開閉操作可能なシャッタを設けたコンバインの穀粒搬出装置において、前記シャッタを電動モータの駆動力で開閉操作するように構成したものとしては、下記[1]及び[2]に記載のものが知られている。
【0003】
[1]搬送用筒体の内部に搬送用スクリューを内装した穀粒搬送部の吐出口近くに平板状のシャッタを備え、このシャッタを電動モータの駆動力で開閉操作するように構成してあるコンバインの穀粒搬出装置において、吐出口を備えた穀粒搬送部の上限位置を検出するセンサを設け、格納位置にある穀粒搬送部を自動的に排出位置へ移動させる張出スイッチの操作に伴い、穀粒搬送部が上限位置に達するとシャッタを開き、逆に排出位置にある穀粒搬送部を自動的に格納位置へ移動させる収納スイッチの操作に伴い、穀粒搬送部が上限位置に達するとシャッタを閉じ操作するように構成したもの(特許文献1参照)。
【0004】
[2]搬送用筒体の内部に搬送用スクリューを内装した穀粒搬送部の吐出口近くに平板状のシャッタを設け、このシャッタを、電動モータの駆動力で正逆方向に回転駆動することにより、シャッタを正逆方向に回動させて吐出口からの穀粒の排出を行う状態と、吐出口からの穀粒の排出を制限する状態とに切り換え操作自在に構成するとともに、穀粒排出用クラッチを入り切り操作する排出クラッチレバーの操作に基づいて、穀粒の排出操作のときにシャッタを開き、排出停止操作のときにシャッタを閉じるように、シャッタの開閉作動と排出クラッチレバーの操作とを連係させたもの(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−4771号公報(段落〔0010〕、〔0011〕、〔0012〕、図1、図2、図4)
【特許文献2】特開2003−111511号公報(段落〔0008〕、〔0011〕、図2、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記[1]のように、吐出口におけるシャッタの開閉作動を、穀粒搬送部が上限位置に達するか否かによって行わせるようにした構造のものでは、シャッタの開閉作動を上限位置に達しない任意の位置では、穀粒搬送部の位置移動に連係させることができず、別途開閉操作を行えるようにするための手段が必要となる。
【0007】
上記[2]のように、穀粒排出用クラッチを入り切り操作する排出クラッチレバーの操作に基づいて、穀粒の排出操作のときにシャッタを開き、排出停止操作のときにシャッタを閉じるように、電動モータの駆動力によるシャッタの開閉作動と排出クラッチレバーの操作とを連係させた構造のものでは、排出クラッチレバーによるクラッチの入り切り操作を行うだけで、シャッタの開閉作動も同時的に行える便利さがある。
しかしながら、この構造のものでは、シャッタの開閉作動を行う電動モータ側のトラブルや何らかの障害でシャッタが所期通りに閉じられないことがあり、穀粒がこぼれ出すなどの不具合が生じる虞がある。
【0008】
本発明の目的は、シャッタの開閉操作を自動化して操作性を改善するにあたり、シャッタが閉じられないままでこぼれ落ちる不具合を回避でき、かつ汎用性も高めたコンバインの穀粒搬出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために講じた本発明の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
本発明は、搬送用筒体の内部に搬送用スクリューを内装した穀粒搬送部を備え、その穀粒搬送部の搬送終端側に備えた吐出口に、この吐出口を横断する方向の横軸心回りに揺動して、前記吐出口を開閉操作可能なシャッタを設けたコンバインの穀粒搬出装置であって、
前記シャッタを開閉用電動モータの駆動力で開閉作動するシャッタ駆動装置と、前記穀粒搬送部の搬送用スクリューの駆動を入り切りする搬出指令手段と、前記穀粒搬送部の搬送用筒体を上下軸心周りで旋回作動させる旋回駆動装置と、その旋回駆動装置に対して人為的に旋回作動指令を出力する旋回操作具と、前記搬送用筒体が前記上下軸芯周りで予め設定されている基準格納位置に達したか否かを検出する旋回位置検出手段とを備えるとともに、前記シャッタ駆動装置、及び前記搬送用スクリューの作動を制御する制御装置を備え、
前記制御装置では、前記搬出指令手段による駆動停止を指令する操作信号が入力されるに伴って、前記シャッタ駆動装置によるシャッタの開放姿勢は維持したままで、前記搬送用スクリューに対して駆動停止指令を出力し、かつ、前記旋回位置検出手段による前記搬送用筒体が基準格納位置に達したことの検出結果に基づいて前記シャッタ駆動装置に対してシャッタ閉塞姿勢側への作動指令を出力するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1で示した本発明の構成によると、シャッタ駆動装置のシャッタ閉塞姿勢側への作動指令は、搬送用筒体が基準格納位置に達したことの検出結果に基づいて行われるので、適切なタイミングでのシャッタ閉塞操作を行うための専用の操作手段を設けたり、その適切なタイミングを見計らってのシャッタ閉塞操作そのものが不要となる。
また、搬送用筒体が基準格納位置に達したことの検出結果に基づいてシャッタが閉じられることになるが、この基準格納位置では、搬送用スクリューの作動は停止されるので、シャッタが閉じられていても搬送対象の穀物が損傷することを避けられ、かつ穀粒のこぼれ落ちもシャッタの閉じによって回避することができる。
そして、旋回方向での基準格納位置から外れた範囲では、吐出口のシャッタは開放姿勢に維持された状態であり、その状態で搬送用スクリューに対して駆動、及び駆動停止指令を出力することができる。したがって、例えば、所定排出位置で運搬車などに穀粒を搬出していた搬送用スクリューの駆動を停止し、基準格納位置へ移動させる途中位置で、穀粒を袋詰めする際には、その途中位置で再び搬送用スクリューを駆動して袋内に穀粒を供給し、再び搬送用スクリューの駆動を停止して基準格納位置へ戻すなど、基準格納位置以外での穀粒の搬出を任意の位置で行うことができる。
【0011】
その結果、搬送用筒体が旋回方向でのどの位置にあるかを検出する旋回位置検出手段を、シャッタ駆動装置によるシャッタの閉塞タイミングを適切に設定した閉塞用操作手段として兼用することができ、シャッタの閉塞操作を行うための専用の操作手段も、その操作自体も不要となり、装置の簡素化や操作性の向上に有効である。
また、基準格納位置でシャッタが閉じられるときには搬送用スクリューの駆動も停止されているので、穀粒が潰されたり、多くの穀粒がこぼれ落ちる等の不具合を生じることも回避できる利点がある。
さらに、基準格納位置以外での穀粒の搬出を任意の位置で行うことができ、袋詰め作業に使い易くして、コンバインの穀粒搬出装置の汎用性を向上できる利点もある。
【0012】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項2に記載のように、穀粒搬送部は、上下軸芯周りで旋回作動する縦送り搬送部と水平方向軸芯周りで起伏揺動する横送り搬送部とから構成してあり、横送り搬送部が基準格納位置に達したことが検出されると、その基準格納位置における起伏揺動範囲の全範囲で前記シャッタ駆動装置に対するシャッタ閉塞姿勢側への作動指令が出力されるように構成してあることである。
【0013】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2にかかる本発明のコンバインの穀粒搬出装置では、上述のように、横送り搬送部が基準格納位置に達したことが検出されると、その基準格納位置における起伏揺動範囲の全範囲でシャッタ駆動装置に対するシャッタ閉塞姿勢側への作動指令が出力される。つまり、シャッタ駆動装置のシャッタ閉塞姿勢側への作動指令は、横送り搬送部の上下方向での起伏高さ位置には関係なく、旋回方向での基準格納位置との関係で出力されるものである。
【0014】
したがって、旋回方向で基準搬送位置にまで達した横送り搬送部を、その後に上限位置などの定められた高さ位置にまで移動させなければシャッタの閉塞操作を行えないという煩わしさがなく、操作性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】伸縮駆動機構を示す平面図
【図4】穀粒搬出装置の吐出口付近の縦断面図
【図5】穀粒搬出装置の吐出口付近の縦断面図
【図6】図4、図5におけるVI-VI線断面図
【図7】図4、図5におけるVII-VII線断面図
【図8】シャッタ駆動装置を示す後面図
【図9】制御装置を示すブロック図
【図10】制御装置におけるメインルーチンを示すフローチャート
【図11】穀粒搬出制御用のルーチンを示すフローチャート
【図12】穀粒搬出制御形態を説明する図表
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
【0017】
〔コンバインの全体構成〕
まず、本発明を適用したコンバインの全体構成について説明する。
図1には自脱形コンバインの全体側面が示されている。このコンバインは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置10を装備し、機体フレーム1の前方及び左前部には昇降揺動可能に連結した刈取前処理装置11が設けられている。
前記刈取前処理装置11で刈り取られた穀稈は機体フレーム1の左後部に設けられた脱穀装置12で脱穀処理され、脱穀された穀粒が穀粒タンク13に回収され、脱穀処理後の排ワラは後方の排ワラ処理装置14に受け渡されるように構成されている。
【0018】
前記機体フレーム1の右前部には、前記クローラ走行装置10、及び各種作業装置に対する動力源となるエンジン15を配設してある。そのエンジン15の上方側に位置する状態で運転座席16が配置され、その運転座席16の前方側、及び左側方に操縦搭17を備えた搭乗運転部18が配設されている。
前記穀粒タンク13には、その穀粒タンク13内に貯留された穀粒をタンク外へ送り出すための穀粒送出用スクリュー13aが底部に設けてあり、この穀粒送出用スクリュー13aから送り出される穀粒が後述する穀粒搬出装置2に引き継がれて、機外へ排出されるように構成されている。
【0019】
〔穀粒搬出装置の構成〕
穀粒搬出装置2は、穀粒タンク13側から供給される穀粒を受け取って上方側へ搬送する縦送り搬送部3と、その縦送り搬送部3の終端側に接続されて、縦送り搬送部3(穀粒搬送部に相当する。)から供給された穀粒を横送り搬送して、終端の吐出口45から外部へ排出する横送り搬送部4(穀粒搬送部に相当する。)とから構成されている。図1、図2は、穀粒搬出装置2の縦送り搬送部3が、その旋回作動範囲内の「基準格納位置」にあり、横送り搬送部4が機体上の受け台19に載置された格納状態を示している。
上記の「基準格納位置」は、横送り搬送部4の旋回方向で、受け台19の直上位置に相当する範囲であり、横送り搬送部4を起伏操作したときに、受け台19に載置状態で格納された状態と、その位置から上方側へ起立する方向での上限までの範囲を含んでいる。
【0020】
前記縦送り搬送部3は、内部に穀粒を揚上搬送するための通路を有した縦送り筒30(搬送用筒体に相当する。)と、その縦送り筒30内に装備された穀粒搬送用の縦送りスクリュー31(搬送用スクリューに相当する。)とを備えて構成され、前記横送り搬送部4は、内部に穀粒を横送り搬送するための通路を有した横送り筒40(搬送用筒体に相当する。)と、その横送り筒40内に装備された穀粒搬送用の横送りスクリュー41(搬送用スクリューに相当する。)とを備えて構成されている。
【0021】
前記縦送り筒30と横送り筒40とは、前記縦送り筒30の上端部に横向きに屈曲した接続用の筒部分32を設けるととともに、前記横送り筒40の基端側にも横向きに屈曲した接続用の筒部分42を設け、これらの横向きの接続用の筒部分32,42同士の対向端部を嵌合させて、相対回動自在に連結してある。
前記接続用の筒部分32,42の内部では、前記縦送りスクリュー31の回転動力を横送りスクリュー41に伝達するための周知の伝動機構(図示せず)が内装されていて、縦送り筒30内の穀粒を横送り筒40の内部に送り込むとともに、両スクリュー31,41が連動するように構成してある。
【0022】
縦送り筒30の上端側に連設される横送り筒40は、前記縦送り筒30の上端側と、前記横送り筒40の横側部に一体に取り付けてある支持体43との間にわたって設けた油圧シリンダ44(起伏揺動操作用のアクチュエータの一例)によって、前記縦送り筒30の上端側における水平方向の横軸心x周りで起伏揺動自在に構成されている。
【0023】
縦送り筒30の外周部には環状の従動ギヤ33が一体に形成してあり、機体フレーム1側の固定位置に支持された旋回用電動モータ20側の駆動ギヤ20aと噛合して駆動されることによって、前記縦送り筒30、及びその縦送り筒30の上端側に設けられた横送り筒40を縦送り筒30内の縦送りスクリュー31の回動中心である縦軸心y周りで旋回作動可能に構成してある。
この縦送り筒30の前記縦軸心y周りでの旋回作動位置は、前記従動ギヤ33の回転角度を検出する旋回用ポテンショメータ34(旋回位置検出手段の一例)によって検出されるように構成してある。
【0024】
上記穀粒搬出装置2に対しては、穀粒タンク13の底部に備えられた穀粒送出用スクリュー13aを介してエンジン15の動力が伝達されるように構成してある。
すなわち、穀粒送出用スクリュー13aの穀粒搬送方向での下流側の端部から、ベベルギヤなどの適宜伝動機構を介して縦送りスクリュー31に対して駆動力が伝達され、その駆動力が縦送りスクリュー31の搬送終端側である上端部から横送りスクリュー41にも伝達されて、穀粒タンク13内部の穀粒が横送り搬送部4の搬送終端側の吐出口45から吐出されるように構成してある。
【0025】
前記横送り搬送部4は、図1及び図2に示されているように、穀粒搬送方向での上流側に位置する始端側搬送部4Aと、穀粒搬送方向での下流側に位置する終端側搬送部4Bとで構成されている。
つまり、横送り筒40が、縦送り筒30側に連結された始端側搬送筒40aと、その始端側搬送筒40aに外嵌して筒軸線方向に相対移動自在に構成された終端側搬送筒40bとで構成され、横送りスクリュー41も、始端側が縦送り搬送部3側に連結された始端側スクリュー41aと、終端側が前記吐出口45を備える吐出口ケース45Aに連結された終端側スクリュー41bとで構成されている。
そして、上記の始端側搬送筒40aと始端側スクリュー41aとの組み合わせで前記始端側搬送部4Aが構成され、前記終端側搬送筒40bと終端側スクリュー41bとの組み合わせで終端側搬送部4Bが構成されている。
【0026】
上記の始端側搬送筒40aと終端側搬送筒40bとの間には、その始端側搬送筒40aと終端側搬送筒40bとを互いに相対摺動自在に連結する伸縮駆動機構21を備えている。
この伸縮駆動機構21は、図3に示すように、前記始端側搬送筒40aの始端側にガイドレール22を固定し、このガイドレール22の前記始端側搬送筒40aの始端側寄り箇所に動力源としての伸縮用電動モータ23を備えている。
そして、その伸縮用電動モータ23の出力軸側に取り付けた駆動スプロケット23aと、前記ガイドレール22の他端側に取り付けられた従動スプロケット23bとを伝動チェーン24で連結し、かつ、前記終端側搬送筒40bの始端側に取り付けた駒部材25を、前記伝動チェーン24の片側に取り付けて構成されている。
【0027】
このように構成したことにより、前記伸縮用電動モータ23の正逆転駆動により、伝動チェーン24を往復移動させると、伝動チェーン24の往復移動行程の片側のチェーン部分に固定され、他側のチェーン部分に対しては相対移動する駒部材25が、前記駆動スプロケット23aと従動スプロケット23bとの間で往復移動する。その結果、駒部材25を取り付けた終端側搬送筒40bが始端側搬送筒40aに対して相対移動し、横送り搬送部4が伸縮作動するように構成されている。
【0028】
このとき、終端側搬送筒40bの搬送終端側に終端側が支持されている前記終端側スクリュー41bは、終端側搬送筒40bの伸縮移動に伴って追随して移動するので、この終端側スクリュー41bも始端側スクリュー41aに対して相対移動する。
この相対移動のための構造については図示しないが、前記始端側スクリュー41aと終端側スクリュー41bとが互いに同一ピッチで、かつ軸心方向位置を少しずらした状態に設けてあって、収縮時には終端側スクリュー41bが始端側スクリュー41aのスクリューピッチの間に回転しながら入り込んだ状態となる周知の構造によって構成されている。
【0029】
前記終端側搬送筒40bの搬送終端側に設けられる吐出口45を構成する吐出口ケース45A内には、前記吐出口45を開閉するためのシャッタ46を設けてあるとともに、そのシャッタ46を枢支する支軸46aの横軸心p1周りに回動させて吐出口45を開閉操作するためのシャッタ駆動装置5、及び満杯検出器47、ならびに吐出口45の周辺を照らす照明器具48を設けてある。
前記シャッタ46を枢支する支軸46aは、シャッタ46の基端側の支持筒部分46bに内嵌され、かつ吐出口ケース45Aの左右両側の側壁間を貫通する状態で挿通してあり、両端側をβピン(図示せず)で止め付けてあり、そのβピンを抜くことで、支軸46aを吐出口ケース45Aから抜き出すことができるように構成されている。
このように支軸46aを吐出口ケース45Aから抜き出せば、板状のシャッタ46の全体を吐出口45側から抜き出すことができる。この状態では、吐出口45は常に開放された状態となる。
【0030】
前記満杯検出器47は、吐出口ケース45Aの下端縁よりも下方側へ突出する状態で、前記取付板7の下部に一体的に取り付けられている。この満杯検出器47は、吐出口45を籾袋(図示せず)の上部に差し込んだ状態で、穀粒を籾袋に対して直接に投入する場合に、投入された穀粒が籾袋の上縁近くに達した満杯状態であることを検出するためのものである。
図示はしないが、この満杯検出器47が満杯を検出すると、何らかの報知手段を作動させたり、穀粒の搬出を停止させるなど、適宜の機構との連係構造を採用することができる。
尚、図中に示す符号49は吐出口ケース45Aの周辺から下方へ垂設した飛散防止カバーで、屈曲変形自在な透明の軟質合成樹脂材により構成してある。
【0031】
〔シャッタ駆動装置〕
前記シャッタ駆動装置5は次のように構成されている。
図4〜図8に示すように、前記シャッタ駆動装置5は、動力源となる開閉用電動モータ50と、その開閉用電動モータ50の駆動力を前記シャッタ46に伝えてシャッタ46を開閉作動させる操作機構6と、これらの開閉用電動モータ50及び操作機構6を前記吐出口ケース45Aに装着するための取付板7とを備えて構成されている。
【0032】
前記操作機構6は、図8に示すように、開閉用電動モータ50からの出力によって駆動される回転カム60と、その回転カム60に対して、開閉用電動モータ50の回転動力を伝えるように、動力の伝達方向を変換する運動方向変換機構6Aとで構成されている。
すなわち、前記取付板7に対して前記開閉用電動モータ50の出力軸51は、その軸心線p2が取付板7の板面に沿うように平行に配置してあり、前記回転カム60の回転軸61は、その軸心線p3が前記取付板7の板面と交差するように直交させて配置してある。そして、前記運動方向変換機構6Aは、前記出力軸51の周面に形成したウォーム51aと、そのウォーム51aに噛合するように前記回転カム60の回転軸61と一体に形成したウォームホイール62とで構成されている。
【0033】
したがって、開閉用電動モータ50が一方向に回転駆動されると、その回転動力が出力軸51のウォーム51aを介してウォームホイール62に伝達され、これと一体回転する回転カム60が駆動され、その回転カム60の周縁に接触するシャッタ46が閉じ側、または開き側に操作される。前記シャッタ46は、図4及び図5に示すように、側面視で「へ」の字状に折り曲げられた形状に構成されている。そして、シャッタ46において「へ」の字の折り曲げ部分と横軸心p1との間の部分に回転カム60のカム面60aが摺接するように設けられている。つまり、図4に示すシャッタ46の開放姿勢で、シャッタ46の前記折り曲げ箇所よりも下方側は取付板7の板面とほぼ平行に位置し、前記折り曲げ箇所よりも上方側で前記横軸心p1に近い側のシャッタ46の裏面が、回転カム60の回転面に交差する姿勢となって、カムフォロワとしての機能を備えている。
【0034】
このシャッタ46の開閉動作と操作機構6との連動関係は、図4〜図7に記載されているとおりである。
つまり、図4に示す状態がシャッタ46を全開にした状態であり、この状態では、図6(a)及び図7(a)に示すように、回転カム60は最大半径部分のカム周縁が図中下方に位置して、シャッタ46の裏面(吐出口閉塞姿勢で下側となる面)から離れている。
【0035】
上記の図4、ならびに図6(a)及び図7(a)に示す状態から、回転カム60を図6中で時計回りに(図7中では反時計回りに)回転させ、図6(b)及び図7(b)に示すように、回転カム60の最大半径部分のカム周縁が図中上方に位置する状態に操作すると、図5に示すようにシャッタ46の裏面側に接触した回転カム60がシャッタ46を押し上げて吐出口45を閉塞する姿勢に操作される。
【0036】
この後、再びシャッタ46を開放姿勢に戻すには、前記開閉用電動モータ50をさらに同方向に回転させると、回転カム60の最大半径部分が図中上方に位置する状態を通り越して、再び図6(a)及び図7(a)に示すように、回転カム60の最大半径部分のカム周縁が図中下方に位置する状態に姿勢変更する。これに伴って、シャッタ46は自重で前記横軸心p1周りに回動して図4に示す吐出口開放姿勢に復帰する。
【0037】
前記回転カム60の姿勢変更状態は、その回転カム60の前記回転軸61の軸心線p3周りでの回転角度を検出する角度検出器52(開閉検出手段の一例)によって検出されるように構成してある。
この角度検出器52は、前記回転カム60のカム面60aのうち、前記シャッタ46に対して接触している箇所とは異なる箇所で前記カム面60aと接触する検知部53aを備えた接触検知操作体53と、その接触検知操作体53を操作軸54aの軸心p4周りで揺動自在に支持させたカム位置検出用ポテンショメータ54とで構成してある。
【0038】
このように構成したことにより、接触検知操作体53の検知部53aが、図6(a)及び図7(a)に示すように、図中下方に位置する状態の回転カム60の最大半径部分、もしくはそれに近い箇所のカム面60aに接触していると、回転カム60がシャッタ46を開放する開放姿勢角度位置にあることを検出する。
そして、接触検知操作体53の検知部53aが、図6(b)及び図7(b)に示すように、図中下方に位置する状態の回転カム60の最小半径部分、もしくはそれに近い箇所のカム面60aに接触していると、回転カム60がシャッタ46を閉塞する閉塞姿勢角度位置にあることを検出する。
【0039】
〔制御装置〕
上記シャッタ駆動装置5によるシャッタ46の開閉操作、及び穀粒搬出装置2の旋回、起伏、伸縮などの制御を行う制御装置100は、搭乗運転部18に設けた排出クラッチスイッチ27やアンローダ操作具28(旋回操作具の一例)の操作と関連して次のように構成されている。
【0040】
図1及び図2に示されるように、搭乗運転部18で運転座席16の後部側に、穀粒タンク13の底部側に配設されている穀粒送出用スクリュー13a、及びその伝動下手側に位置する穀粒搬出装置2の搬送用スクリューである横送りスクリュー41の駆動を入り切り操作するための搬出指令手段としての排出クラッチスイッチ27が設けられている。
また、前記運転座席16の後部側箇所には、穀粒搬出装置2の旋回作動、並びに上下起伏作動を行うためのアンローダ操作具28、及びその穀粒搬出装置2の横送り搬送部4を伸縮作動させるための伸縮操作ボタン29も配設されている。
【0041】
そして、図2及び図9に示すように、排出クラッチスイッチ27は、穀粒送出用スクリュー13aや横送りスクリュー41を駆動して穀粒排出を開始するための排出開始スイッチ27aと、穀粒送出用スクリュー13aや横送りスクリュー41の駆動を止めて穀粒の排出を停止するための排出停止スイッチ27bとから構成してあり、夫々のスイッチ27a,27bの操作信号が制御装置100に入力されるように構成してある。
【0042】
制御装置100では、前記排出クラッチスイッチ27から入力された操作信号に基づいて、エンジン15からの動力伝達系において前記穀粒送出用スクリュー13aよりも伝動上手側に設けてある穀粒排出用クラッチ26を入り切り操作するために、クラッチモータ26aに対して制御信号を出力するように構成されている。
つまり、前記穀粒排出用クラッチ26は、エンジン側からの動力を伝えるベルト伝動機構(図外)とベルト張り側にバネ付勢されたテンション輪体(図外)とを備えて、ベルトに対するテンション輪体の圧接度合いを変更することによりベルトテンション力を切り換えてクラッチの入り切り操作を行う周知の構造によって構成してある。
【0043】
穀粒排出用クラッチ26における前記テンション輪体の圧接度合いを変更するために前記クラッチモータ26aが用いられている。このクラッチモータ26aでは、前記テンション輪体を圧接する側へのバネ付勢力に抗してベルトを緩める側にテンション輪体を引き操作してクラッチを切る状態と、その引き操作を解除して前記バネ付勢力によるベルトの張り側へのテンション輪体の移動を許してクラッチを入り状態とするように切り換え操作自在に構成されている。
【0044】
アンローダ操作具28は十字方向に揺動操作自在に構成され、そのアンローダ操作具28が、右旋回、左旋回、上昇、下降の何れの側に操作されたかをアンローダスイッチ28aで検出して制御装置100に入力するように構成されている。
前記伸縮操作ボタン29による伸縮操作が、伸び側への操作であるか、縮み側への操作であるかが伸縮スイッチ29aで検出され、その検出結果が前記制御装置100に入力される。
穀粒搬出装置2における縦送り搬送部3が旋回方向でどの位置に操作されているかを検出する旋回用ポテンショメータ34による検出信号も前記制御装置100に入力されるように構成されている。
前記シャッタ駆動装置5におけるカム位置検出用ポテンショメータ54で検出された回転カム60の操作位置の検出信号も前記制御装置100に入力されるように構成されている。
【0045】
マイクロコンピュータで構成される上記制御装置100では、図10に示すように、メインルーチン内に、縦送り搬送部3を旋回操作する旋回用電動モータ20の作動を制御するための旋回制御手段101と、横送り搬送部4を起伏操作するための油圧シリンダ44の電磁バルブ44aの作動を制御するための起伏制御手段102と、横送り搬送部4を伸縮操作する伸縮駆動機構21の伸縮用電動モータ23の作動を制御する伸縮制御手段103と、吐出口45のシャッタ46の開閉操作を行うための開閉用電動モータ50の作動を制御する穀粒搬出制御手段104との、各サブルーチンがプログラムとして組み込まれている。
このメインルーチンは、キースイッチ(図外)の切り操作などの作業終了信号の検出によって終了する。
【0046】
前記旋回制御手段101は、アンローダ操作具28が「右旋回」、もしくは「左旋回」側に操作されると、その操作されている間だけ、旋回用電動モータ20に対して、アンローダ操作具28が操作された方向への旋回作動指令を出力する。そして、その旋回用電動モータ20で旋回作動した縦送り搬送部3の旋回位置を旋回用ポテンショメータ34が検出し、その検出結果が前記旋回制御手段101へフィードバックされ、縦送り搬送部3の現在の旋回位置として記憶される。
【0047】
前記起伏制御手段102は、前記アンローダ操作具28が、前記「右旋回」、もしくは「左旋回」とは異なる方向である、「上方向」、もしくは「下方向」に操作されたことの入力信号を受けると、起伏操作用の油圧シリンダ44が横送り搬送部4の搬送終端側を起伏作動させるように、起伏操作用の電磁バルブ44aに対して作動指令を出力するように構成されている。これによって、アンローダ操作具28による「上方向」、もしくは「下方向」への操作に基づいて油圧シリンダ44が伸縮作動するように電磁バルブ44aを操作して、横送り搬送部4の搬送終端側を、アンローダ操作具28が操作された方向へ昇降作動させるように構成してある。
【0048】
前記伸縮制御手段103は、伸縮操作ボタン29が、伸縮駆動機構21の伸縮用電動モータ23を、横送り搬送部4を伸長させる側に操作されたのか、収縮する側に操作されたのかを検出する伸縮スイッチ29aからの検出信号に基づいて、伸縮用電動モータ23の作動を制御するように構成されている。この制御によると、前記伸縮操作ボタン29が横送り搬送部4の伸長側に操作されると、操作されている間だけ伸縮用電動モータ23を伸長側へ駆動し、前記伸縮操作ボタン29が横送り搬送部4の収縮側に操作されると、操作されている間だけ伸縮用電動モータ23を収縮側へ駆動し、横送り搬送部4が伸縮作動限界まで操作されるとその伸縮作動を停止する。
【0049】
前記穀粒搬出制御手段104は、排出クラッチスイッチ27の操作信号と、旋回用ポテンショメータ34による縦送り搬送部3の検出位置の信号と、シャッタ駆動装置5のカム位置検出用ポテンショメータ54で検出された回転カム60の操作位置の検出信号とに基づいて、シャッタ46を開閉操作する開閉用電動モータ50と、穀粒排出用クラッチ26とに対して制御信号を出力するように構成されている。
この穀粒搬出制御手段104によるシャッタ46の開閉作動と穀粒排出用クラッチ26の制御作動は、次の通りである。
【0050】
〔穀粒搬出制御〕
そして、前記各サブルーチンのうち、穀粒搬出制御手段104によるシャッタ46の開閉作動と穀粒排出用クラッチ26の制御作動とを行う穀粒搬出制御は、図11に示すように実行される。
【0051】
すなわち、排出クラッチスイッチ27の排出開始スイッチ27a、もしくは排出停止スイッチ27bが操作されると、その検出信号が穀粒搬出制御手段104に入力される。
穀粒搬出制御手段104では、入力された信号が排出開始スイッチ27aの操作による排出開始指令(穀粒排出用クラッチ26に対するクラッチ入りの指令)であるか、もしくは排出停止スイッチ27bによる排出停止指令(穀粒排出用クラッチ26に対するクラッチ切りの指令)であるかを判断する(ステップ#1)。
【0052】
入力された信号が排出開始スイッチ27aの操作による排出開始指令であれば、次に非常用モードスイッチ35がOFFであるか否かを判断する(ステップ#2)。
この非常用モードスイッチ35は、シャッタ46の開放姿勢を検出するための角度検出器52からの検出信号が、何らかのトラブルで制御装置100に入力されなかった場合に、その角度検出器52からの検出信号を、穀粒排出用クラッチ26に対するクラッチ入り切りの指令の判断条件とはしないように制御モードを切り換えるためのものであり、この非常用モードスイッチ35がONであれば、前記排出開始スイッチ27aの操作の後に、直ちにクラッチモータ26aに穀粒排出用クラッチ26を入り作動させるように指令する信号が出力され(ステップ#2,ステップ#6)、このサブルーチンを終了して上位ルーチンへ戻る。
【0053】
前記非常用モードスイッチ35がOFFであれば、次に旋回用ポテンショメータ34の検出信号に基づいて、縦送り搬送部3の旋回方向における検出位置が、制御装置100のメモリに予め記憶されている「基準格納位置」に相当する位置であるか否かを検出する(ステップ#3)。
縦送り搬送部3の旋回方向における検出位置が、前記基準格納位置の範囲外であれば、シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50に対して、シャッタ46がシャッタ開放側へ駆動されるように駆動信号を出力する(ステップ#3,ステップ#4)。
縦送り搬送部3の旋回方向における検出位置が、前記基準格納位置の範囲内であれば、シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50に対して、シャッタ46がシャッタ閉じ側へ駆動されるように駆動信号を出力する(ステップ#3,ステップ#9)。
【0054】
シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50により、シャッタ46がシャッタ開放側へ駆動され、開放状態に至ったことが角度検出器52で検出されると、クラッチモータ26aに穀粒排出用クラッチ26を入り作動させるように指令する信号が出力され(ステップ#5,ステップ#6)、このサブルーチンを終了して上位ルーチンへ戻る。
【0055】
前記ステップ#1において、排出停止スイッチ27bによる排出停止指令(穀粒排出用クラッチ26に対するクラッチ切りの指令)であると判断された場合には、クラッチモータ26aに穀粒排出用クラッチ26を切り作動させるように指令する信号が出力される(ステップ#7)。
【0056】
その後、旋回用ポテンショメータ34の検出信号に基づいて、縦送り搬送部3の旋回方向における検出位置が、制御装置100のメモリに予め記憶されている「基準格納位置」に相当する位置であるか否かを検出し(ステップ#8)、基準格納位置の範囲内であれば、シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50に対して、シャッタ46がシャッタ閉じ側へ駆動されるように駆動信号を出力して上位ルーチンへ戻る(ステップ#9)。前記旋回方向における検出位置が基準格納位置の範囲外であれば、そのままサブルーチンを終了して上位ルーチンへ戻る。
【0057】
上記のような制御形態で穀粒搬出制御が行われることになる。つまり、図12に示すように、縦送り搬送部3の旋回方向における検出位置が、前記基準格納位置の範囲外であれば、排出クラッチスイッチ27の排出開始スイッチ27aが操作された直後には、角度検出器52によるシャッタ46の開放状態は検出されていないので、シャッタ46を駆動するシャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50に対して開放側への動作指令が出されるが、穀粒排出用クラッチ26は切り状態のままである。
そして、シャッタ46が開放されたことが角度検出器52で検出されると、その時点で穀粒排出用クラッチ26が入り状態となり、穀粒の排出が開始される。
この基準格納位置の範囲外で、排出クラッチスイッチ27の排出停止スイッチ27bが操作されると、シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50に対しては何らの動作指令も出力されず、シャッタ46は姿勢変更されないままで(シャッタ46の開放状態のままで)、穀粒排出用クラッチ26が切り操作される。この状態で次に排出クラッチスイッチ27の排出開始スイッチ27aが操作されると、穀粒排出用クラッチ26が入り状態となる。
【0058】
そして、縦送り搬送部3の旋回方向における検出位置が、前記基準格納位置の範囲内であれば、排出クラッチスイッチ27の排出開始スイッチ27aが操作された状態であるか、排出停止スイッチ27bが操作された状態であるかに拘わらず、穀粒排出用クラッチ26は切り状態にされ、シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50にはシャッタ46を閉塞するように指令が出力される。
【0059】
〔その他〕
上記のように、シャッタ46の開閉動作を、「開き側」は排出クラッチスイッチ27のクラッチ入り操作に連係させ、「閉じ側」は縦送り搬送部3の基準格納位置の検出信号に連係させているのは、次の理由による。
つまり、穀粒の排出時にはシャッタ46を開放しておく必要があることと、縦送り搬送部3を旋回作動させる際には、横送り搬送部4は吐出口45側を高くした上向き姿勢で旋回するので、その状態では穀粒が吐出口45から零れ出すおそれが少なく、また、旋回途中の別の箇所で再び穀粒排出を開始するような作業形態をとることが比較的多いためである。
そして、縦送り搬送部3が前記基準格納位置に達して、横送り搬送部4を受け台19上に格納しようとすれば、横送り搬送部4の終端側の吐出口45が次第に下降して、横送り搬送部4内の穀粒が零れ出す可能性が高くなるので、この基準格納位置が検出された時点で前記シャッタ46を閉じるように、開閉用電動モータ50に対して制御信号が出力される。
【0060】
前記非常用モードスイッチ35は、図示しないが、運転座席16の後部側におけるボンネット内部側に配設されており、他物との接触を避けられ、かつ、不用意に操作されることのない位置に設置されている。
【0061】
〔別実施形態の1〕
シャッタ駆動装置5の開閉検出手段としては、上述の実施形態で説明したように、回転カム60や回転カム60の操作位置を検出する角度検出器52を用いたものに限らず、シャッタ46と一体の支軸を電動モータで回転駆動してそのシャッタ46と一体の支軸の回転角度をポテンショメータで直接的に検出したり、前記回転カム60やシャッタ46自体の開閉位置をリミットスイッチで検出するなどの、種々の構造を採用することができる。
【0062】
〔別実施形態の2〕
取付板7に装備されたシャッタ駆動装置5は、上述の実施形態で示したように、吐出口45の開口箇所よりも穀粒搬送方向での上手側に配置されたものに限らず、例えば、逆に吐出口45の開口箇所よりも穀粒搬送方向での下手側(吐出口45が存在する箇所よりも縦送りスクリュー31の回動中心である縦軸心yから離れた機体前方側)に配置されたり、吐出口45の開口箇所の横側方であってもよい。この場合、前記シャッタ46の取付位置、及びその揺動方向も、シャッタ駆動装置5の回転カム60による開閉操作が有効に作用するように、その取付箇所に応じて変化させる必要がある。
つまり、吐出口45の籾吐出用の開口部分よりも穀粒搬送方向での下手側に配置されたものであれば、シャッタ46の揺動中心となる横軸心p1を、図4,5に示すような吐出口45の開口箇所よりも穀粒搬送方向での上手側にではなく、反対の下手側(図4,5中において照明器具48が設けられている側)の吐出口ケース45Aの周壁部分に設ける必要がある。
また、吐出口45の開口箇所の横側方にシャッタ46を取り付ける際にも、そのシャッタ46の揺動中心となる横軸心p1は、そのシャッタ46の取付位置で揺動可能であるように、横軸心p1の位置も吐出口ケース45Aの開口箇所の横側方に位置するように、横送りスクリュー41の軸心に沿う方向で設ければよい。
【0063】
〔別実施形態の3〕
上記実施形態では、シャッタ駆動装置5側の回転カム60に対して、シャッタ46の裏面側を直接に接触させることにより、シャッタ46自体がカムフォロワの役割を果たすように構成したものであるが、これに限らず、例えば、シャッタ46の裏面側に、シャッタ46とは別の接触案内用の板片やローラなどを付設して接触させるようにしてもよい。
【0064】
〔別実施形態の4〕
回転カム60の操作位置を検出する角度検出器52として、接触検知操作体53やカム位置検出用ポテンショメータ54を用いた構造のものでは、シャッタ駆動装置5による回転カム60の駆動方向を一方向にのみ駆動するように構成していたが、これに限らず、開閉用電動モータ50を正逆転可能な構造のもので構成し、回転カム60を所定角度範囲ないで往復回動させるように構成してもよい。
【0065】
〔別実施形態の5〕
上記実施形態では、伸縮駆動機構21として、ガイドレール22、伸縮用電動モータ23、駆動スプロケット23a、従動スプロケット23b、伝動チェーン24、及び駒部材25などを用いた例を示したが、これに限らず、例えば、始端側搬送筒40aと終端側搬送筒40bとのいずれか一方にラックギヤを固定し、他方にラックピニオンを設けて駆動する構造とするもの、あるいは、始端側搬送筒40aと終端側搬送筒40bとにわたって伸縮操作可能な油圧シリンダを架設するなど、適宜の構造を採用することが可能である。また、本発明は、このような伸縮構造を備えていない穀粒搬出装置2に適用することも勿論可能である。
【0066】
〔別実施形態の6〕
シャッタ46の取り外しに関しては、実施の形態で示したように、前記シャッタ46を枢支する支軸46aを抜き差しできる構造としたものに限らず、シャッタ駆動装置5を装着した取付板7を、吐出口ケース45Aに対して着脱できるようにして、シャッタ駆動装置5や操作機構6とともに取付板7ごとシャッタ46を取り外すようにしてもよい。
【0067】
〔別実施形態の7〕
穀粒搬出装置2の旋回作動範囲内における「基準格納位置」は、実施の形態で示したような、受け台19の直上位置に限られるものではなく、旋回方向でこれよりも広い範囲に設定しても差し支えない。例えば、図2に仮想線a,bで示すように、吐出口45が走行機体上に位置する角度範囲α、もしくは走行機体から大きくはみ出さない角度範囲など、適宜の範囲を設定することができる。
【0068】
〔別実施形態の8〕
穀粒搬出装置2の旋回作動範囲内における「基準格納位置」としては、縦送り搬送部3が前記基準格納位置に達して、横送り搬送部4を受け台19上に設けた検出スイッチ(図外)によって、横送り搬送部4が受け台19に格納された状態を検出した位置であってもよく、この検出スイッチの検出結果に基づいて、前記シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50に対して、シャッタ46がシャッタ閉じ側へ駆動されるように制御装置100から制御信号を出力するようにしてもよい。
【0069】
〔別実施形態の9〕
シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50に対して、シャッタ46をシャッタ閉じ側へ駆動するように制御装置100から制御信号を出力するには、図外の自動格納スイッチを押し操作した時点における縦送り搬送部3の旋回方向での位置を旋回用ポテンショメータ34で検出し、そのポテンショメータ34で検出された位置から横送り搬送部4が基準格納位置に到達するまで要する時間を算出し、前記自動格納スイッチが押されてから、前記横送り搬送部4が基準格納位置に到達するまでに要すると想定される時間後にシャッタ46を閉じ操作するように構成してもよい。
【0070】
〔別実施形態の10〕
シャッタ駆動装置5の開閉用電動モータ50に対して、シャッタ46をシャッタ閉じ側へ駆動するように制御装置100から制御信号を出力するには、排出停止スイッチ27bを操作した時点又は図外の自動格納スイッチを押し操作した時点から、予め設定された所定時間後にシャッタ46を閉じ操作するように構成してもよい。この所定時間とは、例えば、縦送り筒30の上端側に設けられた横送り筒40を縦送りスクリュー31の回動中心である縦軸心y周りで基準格納位置から最も遠ざけたから、その横送り筒40が基準格納位置にまで旋回作動するに要すると想定される程度の時間、もしくは、任意に定めた時間など、適宜に設定すればよい。また、その所定時間を、図示しないダイアル操作などで変更可能に構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、コンバインの穀粒搬出装置に関するものであり、そのコンバインとしては、自脱型に限らず、全稈投入型のものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
2 穀粒搬出装置
3 縦送り搬送部(穀粒搬送部)
4 横送り搬送部(穀粒搬送部)
5 シャッタ駆動装置
6 操作機構
26 穀粒排出用クラッチ
26a クラッチモータ
27 排出クラッチスイッチ(搬出指令手段)
28 アンローダ操作具(旋回操作具)
30 縦送り筒(搬送用筒体)
31 縦送りスクリュー(搬送用スクリュー)
34 旋回用ポテンショメータ(旋回位置検出手段)
35 非常用モードスイッチ
40 横送り筒(搬送用筒体)
41 横送りスクリュー(搬送用スクリュー)
45 吐出口
45A 吐出口ケース
46 シャッタ
50 開閉用電動モータ
51 出力軸
52 角度検出器(開閉検出手段)
100 制御装置
x 水平方向軸芯
y 上下方向軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用筒体の内部に搬送用スクリューを内装した穀粒搬送部を備え、その穀粒搬送部の搬送終端側に備えた吐出口に、この吐出口を横断する方向の横軸心回りに揺動して、前記吐出口を開閉操作可能なシャッタを設けたコンバインの穀粒搬出装置であって、
前記シャッタを開閉用電動モータの駆動力で開閉作動するシャッタ駆動装置と、前記穀粒搬送部の搬送用スクリューの駆動を入り切りする搬出指令手段と、前記穀粒搬送部の搬送用筒体を上下軸心周りで旋回作動させる旋回駆動装置と、その旋回駆動装置に対して人為的に旋回作動指令を出力する旋回操作具と、前記搬送用筒体が前記上下軸芯周りで予め設定されている基準格納位置に達したか否かを検出する旋回位置検出手段とを備えるとともに、前記シャッタ駆動装置、及び前記搬送用スクリューの作動を制御する制御装置を備え、
前記制御装置では、前記搬出指令手段による駆動停止を指令する操作信号が入力されるに伴って、前記シャッタ駆動装置によるシャッタの開放姿勢は維持したままで、前記搬送用スクリューに対して駆動停止指令を出力し、かつ、前記旋回位置検出手段による前記搬送用筒体が基準格納位置に達したことの検出結果に基づいて前記シャッタ駆動装置に対してシャッタ閉塞姿勢側への作動指令を出力するように構成してあることを特徴とするコンバインの穀粒搬出装置。
【請求項2】
穀粒搬送部は、上下軸芯周りで旋回作動する縦送り搬送部と水平方向軸芯周りで起伏揺動する横送り搬送部とから構成してあり、横送り搬送部が基準格納位置に達したことが検出されると、その基準格納位置における起伏揺動範囲の全範囲で前記シャッタ駆動装置に対するシャッタ閉塞姿勢側への作動指令が出力されるように構成してある請求項1記載のコンバインの穀粒搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−92062(P2011−92062A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248042(P2009−248042)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】