説明

コンバイン

【課題】排出オーガの旋回位置や旋回範囲をオーガ位置スイッチで検出するコンバインにおいて、オーガ位置スイッチの数よりも多い旋回位置や旋回範囲を判断可能にし、オーガ位置スイッチの数を抑える。
【解決手段】排出オーガ5の旋回位置や旋回範囲を検出しつつ、排出オーガ5の旋回動作を制御するコンバイン1において、排出オーガ5の旋回位置や旋回範囲を検出する複数のオーガ位置スイッチSW1〜SW3と、これらのオーガ位置スイッチSW1〜SW3から出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて排出オーガ5の旋回位置や旋回範囲を判断する制御部18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒タンクから穀粒を排出する排出オーガを備えると共に、該排出オーガを電動モータなどで旋回動作させるコンバインに関し、特に、排出オーガの旋回位置及び/又は旋回範囲を検出しつつ、排出オーガの旋回動作を制御するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒タンクから穀粒を排出する排出オーガを備えると共に、該排出オーガを電動モータなどで旋回動作させるコンバインが知られている。この種のコンバインは、通常、排出オーガの旋回位置や旋回範囲を検出しつつ、排出オーガの旋回動作を制御している。
例えば、特許文献1に記載されるコンバインは、排出オーガの旋回位置を検出するポテンショメータを備えており、該ポテンショメータの検出信号に基づいて、左リミット位置、収納位置、運転座席位置、右方向排出位置、後方向排出位置、右リミット位置などの旋回位置や、右旋回禁止範囲、左旋回禁止範囲、下降禁止範囲(本発明の規制範囲に相当)などの旋回範囲を判断している。
しかしながら、特許文献1のコンバインでは、価格が高いポテンショメータを用いて排出オーガの旋回位置や旋回範囲を検出しているため、コストアップを招来するという問題がある。
一方、価格が安いスイッチを用いて、排出オーガの旋回位置や旋回範囲を検出するコンバインも知られている。例えば、特許文献2に記載されるコンバインは、3つのオーガ位置スイッチを備え、これらのオーガ位置スイッチで排出オーガの旋回位置や旋回範囲を検出している。
【特許文献1】特開2005−65659号公報
【特許文献2】特開平5−184235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献2のコンバインでは、検出する旋回位置や旋回範囲毎にそれぞれオーガ位置スイッチを設けているので、検出する旋回位置や旋回範囲の数を増やす場合、オーガ位置スイッチの設置数も増やさなければならないという問題がある。例えば、特許文献1のコンバインにおいて、特許文献1に記載される下降禁止範囲を設定する場合、少なくとも、1つのオーガ位置スイッチを追加する必要があるため、オーガ位置スイッチの設置数が4つになり、ポテンショメータに対するコスト的な優位性が損なわれてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、排出オーガの旋回位置及び/又は旋回範囲を検出しつつ、排出オーガの旋回動作を制御するコンバインにおいて、排出オーガの旋回位置及び/又は旋回範囲を検出する複数のオーガ位置スイッチと、これらのオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて排出オーガの旋回位置及び/又は旋回範囲を判断するオーガ位置判断手段とを備えることを特徴とする。このようにすると、オーガ位置スイッチの数よりも多い旋回位置や旋回範囲を判断することが可能になる。例えば、オーガ位置スイッチの数が2つである場合、2つのオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンは、2=4通りであるため、最大で4つの旋回位置や旋回範囲を判断することができ、また、オーガ位置スイッチの数が3つである場合、3つのオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンは、2=8通りであるため、最大で8つの旋回位置や旋回範囲を判断することができる。
また、前記オーガ位置判断手段は、3つのオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて、少なくとも、排出オーガが格納される格納位置と、排出オーガの下降が規制される規制範囲と、排出オーガが機体右側方を向く右方向排出位置と、排出オーガが機体後方を向く後方向排出位置と、排出オーガが機体左側方を向く左方向排出位置とを判断することを特徴とする。このようにすると、オーガ位置スイッチが3つでありながら、排出オーガの主要な4つの旋回位置(格納位置、右方向排出位置、後方向排出位置及び左方向排出位置)を判断できるだけでなく、規制範囲も判断して排出オーガの下降規制を行うことができる。
また、格納位置と右方向排出位置との間を規制範囲、右方向排出位置と後方向排出位置との間を右後旋回範囲、後方向排出位置と左方向排出位置との間を左後旋回範囲としたとき、第一のオーガ位置スイッチは、格納位置でONとなり、規制範囲、右方向排出位置、右後旋回範囲、後方向排出位置、左後旋回範囲及び左方向排出位置ではOFFとなるように検出範囲が設定され、第二のオーガ位置スイッチは、右方向排出位置、右後旋回範囲、後方向排出位置及び左後旋回範囲でONとなり、格納位置、規制範囲及び左方向排出位置でOFFとなるように検出範囲が設定され、第三のオーガ位置スイッチは、後方向排出位置、左後旋回範囲及び左方向排出位置でONとなり、格納位置、規制範囲、右方向排出位置及び右後旋回範囲でOFFとなるように検出範囲が設定されることを特徴とする。このようにすると、第一〜第三のオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて、少なくとも、格納位置、規制範囲、右方向排出位置(右後旋回範囲)、後方向排出位置(左後旋回範囲)及び左方向排出位置を判断することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2と、刈取茎稈から穀粒を脱穀し、かつ、脱穀された穀粒を選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、穀粒タンク4に貯溜された穀粒を機外に排出する排出オーガ5と、脱穀済みの排稈を細かく切断するカッタ装置6と、クローラ式の走行部7と、各種の操作具が設けられる操作部8とを備えて構成されている。
【0006】
排出オーガ5は、穀粒タンク4の後方に立設されるオーガ縦パイプ9の上端部に、オーガ横パイプ10を起倒自在(昇降自在)に連結して構成されている。図3に示すように、オーガ縦パイプ9は、縦軸周りに回動自在であり、モータベース11に設けられるオーガ旋回モータ12の正逆駆動に応じて回動し、オーガ横パイプ10を一体的に旋回動作させる。また、オーガ縦パイプ9の上端部とオーガ横パイプ10の基端部との間には、オーガ昇降シリンダ13が介設されており、該オーガ昇降シリンダ13の伸縮動作に応じてオーガ横パイプ10が昇降される。
【0007】
図3に示すように、オーガ縦パイプ9の近傍には、排出オーガ5の旋回位置や旋回範囲を検出する3つのオーガ位置スイッチSW1〜SW3が配置されている。各オーガ位置スイッチSW1〜SW3の検出レバーは、オーガ縦パイプ9の外周面に一体的に設けられる3つの検出プレート14〜16とそれぞれ高さ位置が対応しており、オーガ縦パイプ9が回動すると、所定の回動範囲で各検出プレート14〜16が各検出レバーを押し上げることにより、各オーガ位置スイッチSW1〜SW3がONとなる。
【0008】
本実施形態では、オーガ縦パイプ9の近傍にオーガ位置スイッチSW1〜SW3を配置するにあたり、カッタ装置6を支持するカッタステー17を利用している。具体的には、上下方向に所定間隔を存して並ぶ3つのオーガ位置スイッチSW1〜SW3を、スイッチベース17aを介してカッタステー17で支持している。このようにすると、3つのオーガ位置スイッチSW1〜SW3を、機体の右側方から見て、オーガ縦パイプ9の裏側空間ではなく、手前側の広い空間に配置することができるので、メンテナンスが容易になるだけでなく、オーガ位置スイッチSW1〜SW3の配置の自由度を高めることができる。
【0009】
次に、各オーガ位置スイッチSW1〜SW3が検出する具体的な排出オーガ5の旋回位置や旋回範囲について、図4〜図6を参照して説明する。図4に示すように、本実施形態のコンバイン1では、4つの旋回位置と1つの旋回範囲を基準として排出オーガ5の旋回動作及び昇降動作を行う。第一の旋回位置は、排出オーガ5が格納される格納位置であり、この位置は、後述する規制範囲の一方の境界位置や、排出オーガ5の左旋回リミット位置も兼ねている。第二の旋回位置は、排出オーガ5が機体右側方を向く右90°位置(右方向排出位置)であり、この位置は、後述する規制範囲の他方の境界位置も兼ねている。第三の旋回位置は、排出オーガ5が機体後方を向く真後位置(後方向排出位置)である。第四の旋回位置は、排出オーガ5が機体左側方を向く左90°位置(左方向排出位置)であり、この位置は、排出オーガ5の右旋回リミット位置も兼ねている。また、1つの旋回範囲は、排出オーガ5の下降が規制される規制範囲である。この規制範囲は、平面視で操作部8を通過する旋回範囲が含まれており、排出オーガ5の下降動作や、下降した排出オーガ5の旋回動作を規制することにより、オペレータと排出オーガ5の接触を防止する。尚、以降の説明を容易にするために、右90°位置と真後位置との間の旋回範囲を右後旋回範囲、真後位置と左90°位置との間の旋回範囲を左後旋回範囲と称する。
【0010】
図5及び図6に示すように、第一のオーガ位置スイッチSW1は、格納位置でONとなり、規制範囲、右90°位置、右後旋回範囲、真後位置、左後旋回範囲及び左90°位置ではOFFとなるように検出範囲が設定されている。また、第二のオーガ位置スイッチSW2は、右90°位置、右後旋回範囲、真後位置及び左後旋回範囲でONとなり、格納位置、規制範囲及び左90°位置でOFFとなるように検出範囲が設定されている。また、第三のオーガ位置スイッチSW3は、真後位置、左後旋回範囲及び左90°位置でONとなり、格納位置、規制範囲、右90°位置及び右後旋回範囲でOFFとなるように検出範囲が設定されている。
【0011】
図6に示すように、本発明に係るコンバイン1では、各オーガ位置スイッチSW1〜SW3から出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて排出オーガの旋回位置や旋回範囲を判断するようになっており、このようにすると、オーガ位置スイッチSW1〜SW3の数よりも多い旋回位置や旋回範囲を判断することが可能になる。例えば、オーガ位置スイッチの数が2つである場合、2つのオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンは、2=4通りであるため、最大で4つの旋回位置や旋回範囲を判断することができ、また、オーガ位置スイッチの数が3つである場合、3つのオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンは、2=8通りであるため、最大で8つの旋回位置や旋回範囲を判断することが可能になる。
【0012】
本実施形態では、3つのオーガ位置スイッチSW1〜SW3から出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて、前述した格納位置、規制範囲、右90°位置(右後旋回範囲)、真後位置(左後旋回範囲)及び左90°位置を判断する。具体的には、オーガ位置スイッチSW1〜SW3のON/OFF信号の組み合せパターンが「ON−OFF−OFF」のときは、排出オーガ5が格納位置にあると判断し、「OFF−OFF−OFF」のときは、排出オーガ5が規制範囲にあると判断し、「OFF−ON−OFF」のときは、排出オーガ5が右90°位置(右後旋回範囲)にあると判断し、「OFF−ON−ON」のときは、排出オーガ5が真後位置(左後旋回範囲)にあると判断し、「OFF−OFF−ON」のときは、排出オーガ5が左90°位置にあると判断する。このようにすると、オーガ位置スイッチSW1〜SW3が3つでありながら、排出オーガ5の主要な4つの旋回位置(格納位置、右90°位置、真後位置及び左90°位置)を判断できるだけでなく、規制範囲も判断して排出オーガ5の下降規制を行うことができる。
【0013】
次に、上記のような排出オーガ5の旋回位置判断や旋回範囲判断を行う制御部(オーガ位置判断手段)18の入出力構成及び制御手順について、図7〜図14を参照して説明する。図7に示すように、制御部18は、マイコン(CPU、ROM、RAM、I/Oなどを含む)を用いて構成されており、キースイッチ19、オーガ手動レバー20(上昇スイッチ、下降スイッチ、左旋回スイッチ、右旋回スイッチ)、オーガ自動スイッチ21、オーガ上限スイッチ22及びオーガ位置スイッチSW1〜SW3から操作信号や検出信号を入力し、これらの入力信号に基づいて、オーガ昇降バルブ23(上昇、下降)、オーガ旋回モータ12(左旋回、右旋回)、オーガ自動ランプ24及び電子ブザー25に駆動信号を出力するようになっている。即ち、制御部18は、規制範囲やリミット位置を考慮しつつ、オーガ手動レバー20の操作に応じて排出オーガ5を旋回及び昇降動作させる「オーガ手動制御」、オーガ自動スイッチ21の操作に応じて、排出オーガ5を格納位置又は真後位置まで自動的に旋回動作させる「オーガ自動制御」(オーガ自動収納制御及びオーガ自動旋回制御を含む)、規制範囲やリミット位置を考慮することなく、オーガ手動レバー20の操作に応じて排出オーガ5を旋回及び昇降動作させる「オーガ規制解除制御」(規制解除モード)などを実行するようになっており、以下、制御部18が実行する制御の手順について、フローチャートを参照して説明する。
【0014】
図8に示すように、制御部18は、キースイッチ19により電源が投入されたら、まず、「初期設定」を実行した後(S101)、スイッチ安定化タイマをセットし(S102)、スイッチ安定化タイマが”0”になるまで(S104)、「スイッチ入力」を繰り返し実行する(S103)。次に、オーガ自動スイッチ21のONを判断し(S105)、該判断結果がYESの場合は、規制解除フラグに”1”をセットする(S106)。つまり、オーガ自動スイッチ21をON操作しながら電源を投入すると、規制解除モードに突入するようになっている。そして、規制解除判断後は、「スイッチ入力」、「排出オーガ制御」及び「出力」が繰り返し実行される(S107〜S109)。
【0015】
図9に示すように、「排出オーガ制御」では、まず、規制解除フラグのセット値が”1”であるか否かを判断し(S201)、該判断結果がYESの場合は、オーガ自動ランプ24を点滅しながら(S202)、「オーガ規制解除制御」を実行する(S203)。
一方、規制解除フラグのセット値が”1”でない場合は、オーガ手動レバー20の操作を判断し(S204)、該判断結果が有りの場合は、オーガ自動フラグをリセットして(S205)、「オーガ手動制御」を実行する(S206)。つまり、「オーガ自動制御」の実行中にオーガ手動レバー20を操作すると、「オーガ自動制御」が中止され、「オーガ手動制御」が実行される。
一方、オーガ手動レバー20の操作が無いと判断した場合は、オーガ自動フラグのセット値が”1”又は”2”であるか否かを判断し(S207)、該判断結果がNOである場合は、オーガ自動スイッチ21のOFFからONへの切換りを判断する(S208)。この判断結果がYESの場合は、電子ブザー25から単音を出音させた後(S209)、オーガ自動ランプ24を点灯させながら(S210)、「オーガ自動制御」を実行する(S211)。また、「オーガ自動制御」の実行中は、オーガ自動スイッチ21のONを判断し(S212)、この判断結果がYESになったら、オーガ自動フラグをリセットする(S213)。つまり、「オーガ自動制御」の実行中にオーガ自動スイッチ21を操作すると、「オーガ自動制御」を中止することができる。
【0016】
図10に示すように、「オーガ手動制御」では、まず、オーガ手動レバー20の上昇操作を判断する(S301)。この判断結果がYESの場合は、オーガ上限スイッチ22がONであるか否かを判断し(S302)、該判断結果がNOの場合は、オーガ上昇出力を行い(S303)、排出オーガ5を上昇動作させるが、判断結果がYESの場合は、オーガ上昇出力を行うことなく、電子ブザー25から断続音を出音させる(S304)。これにより、排出オーガ5が上限位置にあることをオペレータに報知することができる。
また、オーガ手動レバー20の下降操作を判断した場合は(S305)、オーガ位置スイッチSW1がONであるか否かを判断し(S306)、該判断結果がYESの場合は、オーガ下降出力を行い(S307)、排出オーガ5を下降動作させる。一方、判断結果がNOの場合は、さらに、オーガ位置スイッチSW2、SW3のいずれかがONであるか否かを判断する(S308)。この判断結果がYESの場合は、オーガ下降出力を行うが、判断結果がNOの場合は、排出オーガ5が規制範囲にあると判断し、電子ブザー25から断続音を出音させる(S309)。これにより、規制範囲においては、排出オーガ5の下降動作が規制されると共に、その旨がブザー断続音によってオペレータに報知される。
また、オーガ手動レバー20の左旋回を判断した場合は(S310)、オーガ位置スイッチSW1がONであるか否かを判断し(S311)、該判断結果がYESの場合は、排出オーガ5が格納位置(左旋回リミット位置)にあると判断し、電子ブザー25から断続音を出音させる(S312)。一方、オーガ位置スイッチSW1がOFFの場合は、オーガ上限スイッチ22がONであるか否かを判断すると共に(S313)、オーガ位置スイッチSW2、SW3のいずれかがONであるか否かを判断する(S314)。ここで、いずれかの判断結果がYESの場合は、オーガ左旋回出力を行い(S315)、排出オーガ5を左旋回動作させるが、いずれの判断結果もNOである場合は、規制範囲であると判断し、電子ブザー25から断続音を出音させる(S312)。
また、オーガ手動レバー20の右旋回を判断した場合は(S316)、オーガ位置スイッチSW2がOFFで、かつ、オーガ位置スイッチSW3がONであるか否かを判断し(S317)、該判断結果がYESの場合は、排出オーガ5が左90°位置(左旋回リミット位置)にあると判断し、電子ブザー25から断続音を出音させる(S318)。一方、この判断結果がNOの場合は、オーガ上限スイッチ22がONであるか否かを判断すると共に(S319)、オーガ位置スイッチSW2がONであるか否かを判断する(S320)。ここで、いずれかの判断結果がYESの場合は、オーガ右旋回出力を行い(S321)、排出オーガ5を右旋回動作させるが、いずれの判断結果もNOである場合は、規制範囲であると判断し、電子ブザー25から断続音を出音させる(S318)。
【0017】
図11に示すように、「オーガ自動制御」では、まず、オーガ位置スイッチSW1がONであるか否かを判断し(S401)、該判断結果がYESの場合は、オーガ自動フラグに”2”をセットし(S402)、「オーガ自動旋回制御」を実行する一方(S403)、判断結果がNOの場合は、オーガ自動フラグに”1”をセットし(S404)、「オーガ自動収納制御」を実行する(S405)。つまり、オーガ位置スイッチSW1がONのときは、排出オーガ5が格納位置にあるので、排出オーガ5を真後位置まで自動的に旋回動作させる「オーガ自動旋回制御」を行い、オーガ位置スイッチSW1がOFFのときは、排出オーガ5が排出位置にあるので、排出オーガ5を格納位置まで自動的に旋回動作させる「オーガ自動収納制御」を行うようになっている。
【0018】
図12に示すように、「オーガ自動収納制御」では、まず、上限スイッチ22がONであるか否かを判断し(S501)、該判断結果がNOの場合は、オーガ上昇出力を行い(S502)、排出オーガ5を上昇動作させる。一方、上限スイッチ22がONの場合は、オーガ位置スイッチSW1のONを判断し(S503)、該判断結果がNOの場合は、オーガ左旋回出力を行いつつ、下降タイマをセットする(S504)。そして、オーガ位置スイッチSW1がONになったら、下降タイマが”0”になるまで(S505)、オーガ下降出力を行い(S506)、排出オーガ5をオーガレスト26に収納させる。また、下降タイマが”0”になったら、オーガ自動フラグをリセットし(S507)、「オーガ自動収納制御」を終了させる。
【0019】
図13に示すように、「オーガ自動旋回制御」では、まず、上限スイッチ22がONであるか否かを判断し(S601)、該判断結果がNOの場合は、オーガ上昇出力を行い(S602)、排出オーガ5を上昇動作させる。一方、上限スイッチ22がONの場合は、オーガ位置スイッチSW3のONを判断し(S603)、該判断結果がNOの場合は、オーガ右旋回出力を行う(S604)。そして、オーガ位置スイッチSW3がONになったら、オーガ自動フラグをリセットし(S605)、「オーガ自動旋回制御」を終了させる。
【0020】
図14に示すように、「オーガ規制解除制御」では、まず、オーガ手動レバー20の上昇操作を判断し(S701)、該判断結果がYESの場合は、オーガ上昇出力を行いつつ、電子ブザー25から断続音を出音させる(S702)。
また、オーガ手動レバー20の下降操作を判断し(S703)、該判断結果がYESの場合は、オーガ下降出力を行いつつ、電子ブザー25から断続音を出音させる(S704)。
また、オーガ手動レバー20の左旋回操作を判断し(S705)、該判断結果がYESの場合は、オーガ左旋回出力を行いつつ、電子ブザー25から断続音を出音させる(S706)。
また、オーガ手動レバー20の右旋回操作を判断し(S707)、該判断結果がYESの場合は、オーガ右旋回出力を行いつつ、電子ブザー25から断続音を出音させる(S708)。
【0021】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、排出オーガ5の旋回位置や旋回範囲を検出しつつ、排出オーガ5の旋回動作を制御するコンバイン1において、排出オーガ5の旋回位置や旋回範囲を検出する複数のオーガ位置スイッチSW1〜SW3と、これらのオーガ位置スイッチSW1〜SW3から出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて排出オーガ5の旋回位置や旋回範囲を判断する制御部18とを備えるので、オーガ位置スイッチSW1〜SW3の数よりも多い旋回位置や旋回範囲を判断することが可能になる。
【0022】
また、制御部18は、3つのオーガ位置スイッチSW1〜SW3から出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて、排出オーガ5が格納される格納位置と、排出オーガ5の下降が規制される規制範囲と、排出オーガ5が機体右側方を向く右90°位置と、排出オーガ5が機体後方を向く真後位置と、排出オーガ5が機体左側方を向く左90°位置とを判断するので、オーガ位置スイッチSW1〜SW3が3つでありながら、排出オーガ5の主要な4つの旋回位置を判断できるだけでなく、規制範囲も判断して排出オーガ5の下降規制を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】オーガ位置スイッチの配置を示す要部正面図である。
【図4】排出オーガの旋回位置及び旋回範囲を示す説明図である。
【図5】オーガ位置スイッチと検出プレートの位置関係を示す説明図である。
【図6】オーガ位置スイッチのON/OFF信号の組み合せパターンを示す説明図である。
【図7】制御部の入出力構成を示すブロック図である。
【図8】制御部のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図9】排出オーガ制御のフローチャートである。
【図10】オーガ手動制御のフローチャートである。
【図11】オーガ自動制御のフローチャートである。
【図12】オーガ自動収納制御のフローチャートである。
【図13】オーガ自動旋回制御のフローチャートである。
【図14】オーガ規制解除制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1 コンバイン
4 穀粒タンク
5 排出オーガ
9 オーガ縦パイプ
10 オーガ横パイプ
12 オーガ旋回モータ
13 オーガ昇降シリンダ
14 検出プレート
18 制御部
20 オーガ手動レバー
21 オーガ自動スイッチ
SW1 オーガ位置スイッチ
SW2 オーガ位置スイッチ
SW3 オーガ位置スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出オーガの旋回位置及び/又は旋回範囲を検出しつつ、排出オーガの旋回動作を制御するコンバインにおいて、排出オーガの旋回位置及び/又は旋回範囲を検出する複数のオーガ位置スイッチと、これらのオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて排出オーガの旋回位置及び/又は旋回範囲を判断するオーガ位置判断手段とを備えることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記オーガ位置判断手段は、3つのオーガ位置スイッチから出力されるON/OFF信号の組み合せパターンに基づいて、少なくとも、排出オーガが格納される格納位置と、排出オーガの下降が規制される規制範囲と、排出オーガが機体右側方を向く右方向排出位置と、排出オーガが機体後方を向く後方向排出位置と、排出オーガが機体左側方を向く左方向排出位置とを判断することを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
格納位置と右方向排出位置との間を規制範囲、右方向排出位置と後方向排出位置との間を右後旋回範囲、後方向排出位置と左方向排出位置との間を左後旋回範囲としたとき、
第一のオーガ位置スイッチは、格納位置でONとなり、規制範囲、右方向排出位置、右後旋回範囲、後方向排出位置、左後旋回範囲及び左方向排出位置ではOFFとなるように検出範囲が設定され、
第二のオーガ位置スイッチは、右方向排出位置、右後旋回範囲、後方向排出位置及び左後旋回範囲でONとなり、格納位置、規制範囲及び左方向排出位置でOFFとなるように検出範囲が設定され、
第三のオーガ位置スイッチは、後方向排出位置、左後旋回範囲及び左方向排出位置でONとなり、格納位置、規制範囲、右方向排出位置及び右後旋回範囲でOFFとなるように検出範囲が設定されることを特徴とする請求項2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−330139(P2007−330139A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164887(P2006−164887)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】