説明

コンバイン

【課題】脱穀装置の一側に二番還元機構及び二番物処理部等をコンパクトに配置できるものでありながら、揺動選別盤の選別処理能力を向上できるようにしたコンバインを提供するものである。
【解決手段】二番還元機構60は、二番コンベヤ32の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元揚穀筒61と、二番還元揚穀筒61の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元搬送筒62とを有し、一番揚穀筒33より後方で、二番コンベヤ32から上向きに二番還元揚穀筒61を延長し、二番還元揚穀筒61の上端側から前向きに二番還元搬送筒62を延長し、二番還元搬送筒62の前端側に二番物処理部80を配置し、二番還元搬送筒62の二番還元搬送コンベヤ軸64aの軸芯線上に、二番物処理部80の二番物処理軸85を配置したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取前処理装置によって圃場の未刈り穀稈を刈取り、刈取った穀稈を脱穀装置によって脱穀するコンバインに係り、より詳しくは、脱穀装置から落下した脱粒物が揺動選別盤によって選別され、揺動選別盤を介して一番物(穀粒)が一番コンベヤによって取出され、揺動選別盤を介して二番物(穀粒と藁屑の混合物)が二番コンベヤによって取出されるように構成したコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインは、エンジンを搭載した走行機体と、前記走行機体を支持する左右の走行部としての走行クローラ等と、操縦ハンドル及び運転座席を有する運転部と、圃場の未刈り穀稈を刈取る刈取前処理装置と、刈取った穀稈を脱穀する脱穀装置とを備え、圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取って脱穀し、穀粒を収集するように構成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、従来のコンバインにおいては、揺動選別盤から二番コンベヤによって取出された二番物が、二番還元筒を介して揺動選別盤に戻されるように構成されている。また、二番還元筒の送り終端側に二番物処理部を配置し、二番物処理部によって二番物を処理してから、揺動選別盤に二番物を戻す構成(例えば、特許文献2参照)も公知である。
【特許文献1】実開昭62−193827号公報
【特許文献2】特許第2589965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、特許文献1又は特許文献2に示されるように、脱穀装置の側方に、揺動選別盤の下方の一番コンベヤから一番物を取出す一番揚穀筒が立設されている。また、揺動選別盤の後部の下方側で一番コンベヤより後方に配置された二番コンベヤの送り終端側に接続する二番還元筒は、一番揚穀筒が配置されている側の脱穀装置の側方で、一番揚穀筒の後方から前方上方に延びるように配置されている。その二番還元筒によって、揺動選別盤の前部の上面側に二番物を戻していた。その結果、一番揚穀筒と、二番還元筒とが、揺動選別盤の側方で交叉するように配置されるから、コンバイン(脱穀装置)の左右幅方向の寸法が制限されていると、揺動選別盤の左右方向の幅寸法が制限されて小さくなり、揺動選別盤の選別処理能力を向上できない等の問題がある。
【0005】
また、脱穀装置に供給された刈取り穀稈が、例えば下扱ぎ構造の扱胴によって脱粒された場合、穀粒等の多量の脱粒物が、揺動選別盤の左右幅方向のうち、左右幅方向の中央から扱胴の回転下手側の一側寄りに片寄って落下する。したがって、フィードチェンが設置された側と反対側になる脱穀装置の扱胴の回転下手側に二番還元筒及び二番物処理部を配置した場合、フィードチェン等に制限されることなく、揺動選別盤の一側に接近させて二番還元筒及び二番物処理部を配置できるが、揺動選別盤の上面のうち、扱胴の回転下手側の一側寄りに、多量の脱粒物及び二番物が片寄り、揺動選別盤の左右幅方向に脱粒物及び二番物が分散しがたくなるので、揺動選別盤における脱粒物及び二番物の選別処理能力が低下する等の問題がある。
【0006】
本発明の目的は、脱穀装置の一側に二番還元筒及び二番物処理部等をコンパクトに配置できるものでありながら、揺動選別盤の選別処理能力を向上できるようにしたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、刈取り穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置からの脱粒物を選別する揺動選別盤と、前記揺動選別盤によって選別された一番物を取出す一番コンベヤ及び一番揚穀筒と、前記揺動選別盤によって選別された二番物を取出す二番コンベヤ及び二番還元機構とを備え、前記二番還元機構の送り終端側に、二番物を処理する二番物処理部を有してなるコンバインにおいて、前記二番還元機構は、前記二番コンベヤの送り終端側に送り始端側を接続する二番還元揚穀筒と、前記二番還元揚穀筒の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元搬送筒とを有し、前記一番揚穀筒より後方で、前記二番コンベヤから上向きに前記二番還元揚穀筒を延長し、前記二番還元揚穀筒の上端側から前向きに前記二番還元搬送筒を延長し、前記二番還元搬送筒の前端側に前記二番物処理部を配置し、前記二番還元搬送筒の二番還元搬送コンベヤ軸の軸芯線上に、前記二番物処理部の二番物処理軸を配置したものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記二番物処理部に、二番物を取込む取込羽根と、二番物を処理する二番処理歯と、簡単に脱着できない受歯と、二番物を放出する放出羽根と、二番物を移送する放出オーガ体とを配置し、前記二番処理歯を配置した前記二番物処理軸の中間に前記放出オーガ体を被嵌し、前記放出オーガ体の送り始端側に前記取込羽根を配置し、前記放出オーガ体の送り終端側に前記放出羽根を配置したものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記二番物処理部に、二番物を取込む取込羽根と、二番物を放出する放出羽根と、二番物を移送する放出オーガ体とを配置し、前記二番物処理軸の中間に前記放出オーガ体を被嵌し、前記放出オーガ体の送り始端側に前記取込羽根を配置し、前記放出オーガ体の送り終端側に前記放出羽根を配置し、二番物処理部から揺動選別盤の上面側に二番物を戻すための放出口を、前記放出羽根に対向して形成したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、刈取り穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置からの脱粒物を選別する揺動選別盤と、前記揺動選別盤によって選別された一番物を取出す一番コンベヤ及び一番揚穀筒と、前記揺動選別盤によって選別された二番物を取出す二番コンベヤ及び二番還元機構とを備え、前記二番還元機構の送り終端側に、二番物を処理する二番物処理部を有してなるコンバインにおいて、前記二番還元機構は、前記二番コンベヤの送り終端側に送り始端側を接続する二番還元揚穀筒と、前記二番還元揚穀筒の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元搬送筒とを有し、前記一番揚穀筒より後方で、前記二番コンベヤから上向きに前記二番還元揚穀筒を延長し、前記二番還元揚穀筒の上端側から前向きに前記二番還元搬送筒を延長し、前記二番還元搬送筒の前端側に前記二番物処理部を配置し、前記二番還元搬送筒の二番還元搬送コンベヤ軸の軸芯線上に、前記二番物処理部の二番物処理軸を配置したものであるから、前記揺動選別盤よりも上方の前記脱穀装置の一側に前記二番還元機構及び前記二番物処理部等をコンパクトに配置できる。前記揺動選別盤の前後方向に前記二番物処理軸が延長されるから、前記二番物処理部から前記二番物処理軸の放射方向に二番物が排出され、前記揺動選別盤の上面に二番物を拡散させて落下させることができる。また、前記二番還元搬送筒の下方側に前記揺動選別盤の左右幅を拡張でき、前記揺動選別盤の選別処理能力を向上できるものである。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、前記二番物処理部に、二番物を取込む取込羽根と、二番物を処理する二番処理歯と、簡単に脱着できない受歯と、二番物を放出する放出羽根と、二番物を移送する放出オーガ体とを配置し、前記二番処理歯を配置した前記二番物処理軸の中間に前記放出オーガ体を被嵌し、前記放出オーガ体の送り始端側に前記取込羽根を配置し、前記放出オーガ体の送り終端側に前記放出羽根を配置したものであるから、前記取込羽根と前記放出オーガ体と前記放出羽根とによって二番物を連続して移送しながら、前記二番処理歯と前記受歯とによって二番物を連続して処理できる。したがって、前記揺動選別盤に移送する二番物が前記二番還元機構内に詰るのを防止しながら、前記揺動選別盤における二番物の再選別作業性を向上できるものである。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、前記二番物処理部に、二番物を取込む取込羽根と、二番物を放出する放出羽根と、二番物を移送する放出オーガ体とを配置し、前記二番物処理軸の中間に前記放出オーガ体を被嵌し、前記放出オーガ体の送り始端側に前記取込羽根を配置し、前記放出オーガ体の送り終端側に前記放出羽根を配置し、二番物処理部から揺動選別盤の上面側に二番物を戻すための放出口を、前記放出羽根に対向して形成したものであるから、前記取込羽根と前記放出オーガ体と前記放出羽根とによって二番物を連続して移送でき、前記揺動選別盤に移送する二番物が前記二番還元機構内に詰るのを防止でき、二番物の還元作業性を向上できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの右側面図、図3はコンバインの平面図、図4はコンバインの脱穀装置の左側面断面図、図5は脱穀装置の正面図、図6は脱穀装置の背面図、図7は脱穀装置の平面図、図8は脱穀装置の選別機構の左側断面図、図9は第1の実施形態を示す二番還元機構の左側断面図、図10は二番還元機構の背面断面図、図11は扱胴と揺動選別盤と二番還元機構との関係を示す正面断面図、図12は二番還元機構の一部の斜視図、図13は図9の変形構造を示す二番還元機構の左側断面図、図14は図11の変形構造を示す正面断面図である。図1乃至図3を参照しながら、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0014】
図1乃至図3に示されるように、本実施形態のコンバインは、左右一対の走行クローラ2(走行部)にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む6条刈り用の刈取前処理装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク7とが横並び状に搭載されている。脱穀装置5が走行機体1の前進方向に向かって左側に配置されている(図3参照)。また、穀粒タンク7が走行機体1の前進方向に向かって右側に配置されている。穀粒タンク7の下方(走行機体1の上面側)に籾受け台8が設けられ、穀粒タンク7の内部の穀粒が、穀粒タンク7の下面側の籾排出口9から籾受け台8上の籾袋(図示省略)に排出されるように構成されている。刈取前処理装置3の右側方で、穀粒タンク7の前側方には、運転部10が設けられている。
【0015】
運転部10には、オペレータが搭乗するステップ11と、運転座席12を配置している。運転座席12の前方のハンドルコラム13に、操縦用の左右のサイドクラッチレバー14,15が配置されている。運転座席12の左側方のレバーコラム16に、走行変速レバー17と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチ操作用の作業クラッチレバー18とが、配置されている。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン20が配置されている。
【0016】
図1及び図2に示されるように、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン20の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持することになる。
【0017】
図1乃至図3に示されるように、刈取前処理装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム221の下方には、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置222が設けられている。刈取フレーム221の前方には、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置223が配置されている。穀稈引起装置223とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置222によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置224が配置されている。なお、穀稈引起装置223の下部前方には、圃場の未刈り穀稈を分草する4条分の分草体225が突設されている。エンジン20にて走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取前処理装置3を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取ることになる。
【0018】
図1及び図2、図4乃至図7に示されるように、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴26と、扱胴26の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構としての揺動選別盤27と、揺動選別盤27に選別風を供給する唐箕ファン28と、扱胴26の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴29と、揺動選別盤27の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン30とを備えている。なお、扱胴26を回転させる扱胴軸26aは、フィードチェン6による穀稈の搬送方向(換言すると走行機体1の進行方向)に沿って延びている。刈取前処理装置3から穀稈搬送装置224によって搬送された穀稈の株元側はフィードチェン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この穀稈の穂先側が脱穀装置5の扱室26b内に搬入されて扱胴26にて脱穀されることになる。
【0019】
図4に示されるように、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン34が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン34に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ35にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出されることになる。
【0020】
図4に示されるように、揺動選別盤27の下方側には、揺動選別盤27にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ31及び一番樋31aと、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ32及び二番樋32aとが設けられている。本実施形態の両コンベヤ31,32は、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ31、二番コンベヤ32の順で、側面視において走行クローラ2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。
【0021】
図4、図5に示されるように、揺動選別盤27は、扱胴26の下方に張設された受網26cから漏下した脱穀物が、揺動選別盤27のフィードパン271及びチャフシーブ272によって搖動選別(比重選別)されるように構成している。揺動選別盤27のグレンシーブ273から落下した穀粒(一番物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン28からの選別風によって除去され、一番コンベヤ31に落下することになる。一番コンベヤ31のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる一番揚穀筒33が連通接続されている。一番コンベヤ31から取出された穀粒は、一番揚穀筒33に内設された一番揚穀コンベヤ33aによって穀粒タンク7に搬入され、穀粒タンク7に収集されることになる。
【0022】
図4、図8に示されるように、チャフシーブ272の送り下流側(後方側)にストローラック274が配置されている。揺動選別盤27は、搖動選別(比重選別)によって、チャフシーブ272又はストローラック274から枝梗付き穀粒等の二番物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)が二番コンベヤ32及び二番樋32aに落下するように構成している。二番コンベヤ32によって取出された二番物は、後述する二番還元揚穀筒61を介してフィードパン271の上面側に戻されて再選別されることになる。
【0023】
なお、チャフシーブ272及びストローラック274の上面側の比較的軽い藁屑は、排塵ファン30の前側の吸引口30aに吸込まれて、排塵ファン30の後側の排出口30bから機外に排出されることになる。また、チャフシーブ272の送り下流側(後方側)からストローラック274の上面側に移動した比較的重い藁屑は、揺動選別盤27の後端側の三番口36から機外に排出されることになる。
【0024】
図4、図8に示されるように、揺動選別盤27は、脱穀装置5を形成した脱穀機筐55に、揺動駆動軸56と、前側ガイドレール57及び後側ガイドレール58とを介して、前方斜め下方乃至後方斜め上方に移動可能に配置されている。エンジン20からの動力によって揺動駆動軸56を介して揺動選別盤27が作動し、揺動選別盤27が前方斜め下方乃至後方斜め上方に往復移動することになる。その結果、扱胴26の下方に張設された受網37から漏下した脱粒物が、フィードパン271及びチャフシーブ272によって搖動選別(比重選別)されるように構成している。
【0025】
図4、図8に示されるように、唐箕ファン28の唐箕ファンケース28aには、グレンシーブ273の下面側と一番コンベヤ31及び一番樋31aの上方とに向けて唐箕ファン28の選別風を供給する主選別風路41と、フィードパン271の下面側からチャフシーブ272の下面側に向けて唐箕ファン28の選別風を供給するプレ風路42とを形成している。上述の主選別風路41は、唐箕ファン28からの選別風が、グレンシーブ273の前方の下方から、グレンシーブ273の後方の上方に向けて移動するように形成されている。
【0026】
また、上述の主選別風路41は、唐箕ファン28からの選別風が、一番コンベヤ31及び一番樋31aの上方で前方から後方に向けて移動するように形成されている。即ち、グレンシーブ273から一番コンベヤ31及び一番樋31aに落下する穀粒及び塵が、唐箕ファン28からの選別風によって風選される。その結果、塵が除去された後の穀粒だけが、一番コンベヤ31及び一番樋31aに落下して、一番コンベヤ31によって穀粒タンク7に取出されるように構成している。
【0027】
上述したプレ風路42は、唐箕ファン28からの選別風が、チャフシーブ272の前方下方から後方上方に向けて移動するように形成されている。即ち、扱胴26から受網26cを介してフィードパン271の上面に落下した脱粒物が、フィードパン271の後端側からチャフシーブ272の前端側に落下するときに、唐箕ファン28からの選別風によって風選される。その結果、フィードパン271からチャフシーブ272の上面に移動した脱粒物のうち、チャフシーブ272の上面に近い脱粒物の下層側の藁屑(軽量物)が、選別風によって上層側に移動されて、チャフシーブ272から落下する藁屑量が低減することになる。また、チャフシーブ272の比重選別作用と、唐箕ファン28からの選別風の風選とによって、脱粒物の上層側の穀粒(重量物)が下層側に移動して、チャフシーブ272から早期に漏下することになる。チャフシーブ272の比重選別作用が、唐箕ファン28からの選別風によって助長されて、その選別処理能力(選別精度)が向上するように構成している。
【0028】
なお、主選別風路41と、プレ風路42とから供給された唐箕ファン28からの選別風は、上述した排塵ファン30の排塵吸引口30aに吸い込まれて排出口30bから排出されたり、三番口36から脱穀機筐55の後方に移動するから、扱胴26からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等が、脱穀機筐55の後部から圃場に向けて排出されることになる。
【0029】
図4乃至図7に示されるように、上述した処理胴29は、処理胴29を回転させる処理胴軸29aを介して、処理胴ケース45と処理受網46とによって形成された処理胴室29b内に配置されている。処理胴軸29aは、上述した扱胴軸26aと平行に(換言すると走行機体1の進行方向)延びている。脱穀機筐55の前面側に処理胴軸29aの前端側を延長して、扱胴軸26aの前端側と処理胴軸29aの前端側とに、伝動ベルト47を介してエンジン20の動力を伝えて、扱胴26と処理胴29とが常に連動して回動するように構成している。
【0030】
図6に示されるように、脱穀機筐55の右側に処理胴室29bを配置している。処理胴室29bの前端側には、扱室26bの後端側の右側に形成した脱粒排塵口47を介して、扱室26bの後端側を連通している(図7参照)。扱胴26の脱粒作用によって発生した扱室26bの脱粒排塵物(穀粒と藁屑との混合物)が、扱胴26の後端側の扱歯の排出作用によって、扱室26bの後端側から、脱粒排塵口47を介して、処理胴室29bの前端側に移動するように構成している。処理胴室29bに移動した脱粒排塵物は、処理胴29によって処理(再脱粒)されるように構成している。
【0031】
その結果、脱粒排塵物中の穀粒は、処理受網46から漏下し、下方のチャフシーブ272の上面側に落下して、一番コンベヤ31又は二番コンベヤ32によって取出されることになる。また、脱粒排塵物中の藁屑等の塵埃は、処理胴室29bの後端側の排塵口から下方のストローラック274の上面側に落下した後、三番口36から機外に排出されることになる。
【0032】
次に、図5乃至図12を参照しながら、二番還元機構60の構造について説明する。図9及び図10に示す如く、二番還元機構60は、二番コンベヤ32の送り終端側に連結する二番還元揚穀筒61と、二番還元揚穀筒61の送り終端側に連結する二番還元前方移送筒としての二番還元搬送筒62とを有している。二番還元揚穀筒61には二番還元揚穀コンベヤ63が内設されている。二番還元搬送筒62には二番還元搬送コンベヤ64が内設されている。二番コンベヤ32のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した送り終端部には、上下方向に延びる二番還元揚穀コンベヤ63の送り始端側(下端側)が連通接続されている。二番還元揚穀コンベヤ63の送り終端部(上端側)には、前後方向に延びる二番還元搬送コンベヤ64の送り始端側(後端側)が連通接続されている。
【0033】
図9及び図10に示されるように、脱穀機筐55における穀粒タンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)の外面には、下部受継ケース65が配置されている。下部受継ケース65の上向き開口側に、二番還元揚穀筒61の下端側が連結されている。脱穀機筐55の一側壁(右側壁)のうち下部側壁55aの外面に沿わせて二番還元揚穀筒61が略垂直に立設されている。二番コンベヤ32の二番コンベヤ軸32bの右側端側と、二番還元揚穀コンベヤ63の二番還元揚穀コンベヤ軸63aの下端側とが、軸受ベヤリング65a,65bを介して下部受継ケース65にそれぞれ回転可能に軸支されている。二番コンベヤ軸32bの右側端側に、ベベルギヤ機構66を介して、二番還元揚穀コンベヤ軸63aの下端側が連結されている。
【0034】
図9及び図10に示されるように、二番還元揚穀筒61の上端側に上部受継ケース67が配置されている。上部受継ケース67の横向き開口側に、二番還元搬送筒62の後端側が連結されている。脱穀機筐55の一側壁(右側壁)のうち上部側壁55bの外面に沿わせて二番還元搬送筒62が略水平に横設されている。一番揚穀筒33より後方で、二番コンベヤ32から上向きに二番還元揚穀筒61を延長し、一番揚穀筒33の中間に二番還元搬送筒62の中間を側面視において交叉させるように構成している。
【0035】
即ち、扱胴26及び処理胴29の軸芯線と平行に、前後方向に二番還元搬送筒62を延長している(図7参照)。換言すると、揺動選別盤27の一側の外側方に一番揚穀筒33と二番還元揚穀筒61とを上向きに延長し、二番還元揚穀筒61に対して揺動選別盤27の左右幅内に二番還元搬送筒62をオフセットさせて配置し、二番還元揚穀筒61の送り終端側に二番還元搬送筒62の送り始端側を連結するように構成している。
【0036】
図4、図6乃至図8に示されるように、扱胴軸26aと、処理胴軸29aと、二番還元搬送コンベヤ軸64aとが、走行機体1の前後方向に、側面視及び平面視で略平行に延長されている。平面視で、扱胴26と二番還元搬送筒62との間に処理胴29が配置されている(図7参照)。背面視で、揺動選別盤27の左右方向の幅内の上方に扱胴26及び処理胴29が配置されている(図6参照)。背面視で、揺動選別盤27の上面より上方で処理胴29の軸芯線より下方に二番還元搬送筒62が配置されている(図6参照)。
【0037】
図6及び図7、図10に示されるように、脱穀機筐55の一側壁(右側壁)の外側方に、二番還元搬送筒62を挟んで、一番揚穀筒33と二番還元揚穀筒61とが配置されている。一番揚穀筒33と二番還元揚穀筒61とを後面視でラップさせて配置している。一番揚穀筒33と二番還元揚穀筒61とは、二番還元搬送筒62に沿って前後方向に一列状に配列されるように構成している。脱穀機筐55の下部側壁55a(右側壁の下方側)は、上部側壁55b(右側壁の上方側)よりも穀粒タンク7寄りに配置されている(図10参照)。
【0038】
上記の記載及び図1、図4、図6乃至図11から明らかなように、刈取り穀稈を脱穀する脱穀装置5と、脱穀装置5からの脱粒物を選別する揺動選別盤27と、揺動選別盤27によって選別された一番物を取出す一番コンベヤ31及び一番揚穀筒33と、揺動選別盤27によって選別された二番物を取出す二番コンベヤ31及び二番還元機構60とを備え、脱穀装置5は、扱胴26及び扱室26bと、扱室26bから取出された排塵を処理する処理胴29及び処理室29bとを有してなるコンバインにおいて、二番還元機構60は、二番コンベヤ31の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元揚穀筒61と、二番還元揚穀筒61の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元搬送筒62とを有し、一番揚穀筒33より後方で、二番コンベヤ31から上向きに二番還元揚穀筒61を延長し、二番還元揚穀筒61の上端側から前向きに二番還元搬送筒62を延長し、揺動選別盤27と処理室29bとの間の脱穀機筐55に沿わせて二番還元搬送筒62を配置している。したがって、一番揚穀筒33より後方の二番還元揚穀筒61から、二番還元搬送筒62を介して、揺動選別盤27の前側の上面に二番物を戻して選別処理できる。揺動選別盤27と処理室29bとの間の脱穀機筐55を内向きに窪ませて、脱穀機筐55の外側に二番還元搬送筒62の設置スペースを簡単に確保でき、脱穀装置5の一側に二番還元機構60をコンパクトに配置できる。
【0039】
図6及び図10に示されるように、上部側壁55bは、処理受網46と揺動選別盤27の上面との間に配置する流穀ガイド体として形成されている。即ち、上部側壁55bの下端側は、内向きに折り曲げられて、二番還元搬送筒62の左側で、揺動選別盤27の上面に向けて延長されている。換言すると、脱穀機筐55の上部側壁55bは、揺動選別盤27と処理室49bの間で内向きに窪ませるように構成している。処理受網46から漏下した処理済みの穀粒(脱粒排塵物のうち処理胴29によって再脱粒された処理物)が、上部側壁55bの内面側の案内によって、揺動選別盤27の上面に向けて落下されることになる。
【0040】
上記の記載及び図4、図6、図7、図10から明らかなように、側面視で揺動選別盤27と処理室29bとの間に二番還元搬送筒62を配置し、平面視で二番還元揚穀筒61と脱穀機筐55との間に二番還元搬送筒62を配置し、処理胴29と平行に二番還元搬送筒62を延長している。したがって、揺動選別盤27と処理室29bとの間の脱穀機筐55を内向きに窪ませることによって、二番還元搬送筒62をコンパクトに配置できるものでありながら、処理室29bから漏下した穀粒を揺動選別盤27に落下させるガイド体として、脱穀機筐55の内面側を利用できる。
【0041】
なお、図10に示されるように、下部側壁55aの内側面に近接させて、揺動選別盤27の右側枠板27aを対峙させている。右側枠板27aの上端側に合成樹脂性の弾性シール材50の一端側を固着し、下部側壁55aの内側面に弾性シール材50の他端側を弾圧させている。下部側壁55aと右側枠板27aとの隙間を弾性シール材50によって閉塞して、揺動選別盤27の上面側の未選別物(脱粒物)が、下部側壁55aと右側枠板27aとの隙間に入り込むのを防止している。
【0042】
図9及び図10に示されるように、上部受継ケース67の外側面には、ベベルギヤ機構68を内設したギヤケース69と、チェン伝動機構70を内設したチェンケース71とが配置されている。二番還元揚穀コンベヤ軸63aの上端側に、ベベルギヤ機構68及びチェン伝動機構70を介して、二番還元搬送コンベヤ64の二番還元搬送コンベヤ軸64aを連結している。即ち、二番コンベヤ軸32bに、二番還元揚穀コンベヤ軸63aを介して、二番還元搬送コンベヤ軸64aが連結される。その結果、二番コンベヤ32と連動して、二番還元揚穀コンベヤ63と、二番還元搬送コンベヤ64とが作動することになる。
【0043】
したがって、チャフシーブ272又はストローラック274から二番コンベヤ32及び二番樋32aに漏下した二番物は、二番コンベヤ32から二番還元揚穀コンベヤ63に受継がれることになる。また、二番還元揚穀コンベヤ63に受継がれた二番物は、二番還元揚穀コンベヤ63の送り終端側の掻き出し羽根63bによって、二番還元揚穀コンベヤ63から二番還元搬送コンベヤ64に受継がれることになる。
【0044】
図5、図7、図9、図11に示されるように、一番還元筒33よりも前方に延長した二番還元搬送筒62の前端側には、揺動選別盤27に二番物を戻す二番放出体又は二番物処理部としての放出ケース80が配置されている。フィードパン271の上面の右側上方に放出ケース80が配置され、フィードパン271の上面の右側から左側方に向けて放出口80aが開口されている。即ち、脱穀機筐55のうち受網26cに対向した脱穀側壁55cの下端側と、放出ケース80の上面との間に、上面側ガイド板体97を固設している(図11参照)。上面側ガイド板体97によって、脱穀側壁55cと放出ケース80との間の隙間が閉塞されている。脱穀側壁55cの下方を介して、扱胴26の回転下手側(扱室26bの底部の右寄り)に配置された受網26cの下面側に向けて、放出口80aが開設されている。放出口80aからフィードパン271の上面側に向けて、放出ケース80内の二番物が放出されることになる。
【0045】
その結果、図6において反時計方向に回転する扱胴26の下側で脱粒された脱粒物が、フィードパン271の上面の左側から右側方に向けて飛散するのに対して、放出口80aから放出された二番物は、フィードパン271の上面の右側から左側方に向けて飛散するように構成されている。なお、放出口80aは、放出ケース80の前端側の左側面(後述する放出羽根88を設けた前端側)に形成されている。
【0046】
したがって、図5において時計方向に回転する扱胴26からの脱粒物の飛散方向(フィードチェン6側から穀粒タンク7側に向けて飛散)と、放出口80aからの二番物の飛散方向(穀粒タンク7側からフィードチェン6側に向けて飛散)とが、フィードパン271の左右幅の中央付近で交叉することになる。即ち、フィードパン271の左右幅の中央付近で前記脱粒物と二番物とが衝突して、フィードパン271の右側寄り(扱胴26の回転下手側)に前記脱粒物が堆積するのを防止できる。その結果、フィードパン271からチャフシーブ272に移動する前記脱粒物及び二番物が、チャフシーブ272の左右幅方向に拡散して、チャフシーブ272における選別作業性を向上できる。
【0047】
図5、図7、図9に示されるように、前後方向に延長した略円筒状の放出ケース80の後端側が二番還元搬送筒62の前端側に着脱可能に連結されている。即ち、二番還元搬送筒62の前端側に筒フランジ62aを熔接にて固着し、放出ケース80の後端側にケースフランジ80bを熔接にて固着し、筒フランジ62aにケースフランジ80bがボルト81及びナット82にて着脱可能に締結されている。なお、筒フランジ62aに軸受体83がボルト84にて着脱可能に締結され、二番還元搬送コンベヤ軸64aの前端側が軸受体83に回転可能に軸支されている。
【0048】
また、放出ケース80内には、前後方向に延長した二番物処理軸としての放出軸85を回転可能に配置している。二番還元搬送コンベヤ軸64aの前端側に放出軸85の後端側が着脱可能に連結され、二番還元搬送コンベヤ軸64aと放出軸85とが一体的に回転するように構成している。なお、放出ケース80の前面壁に放出軸85の前端側が回転可能に軸支されている。放出軸85上には、二番還元搬送筒62の前端側から放出ケース80の内部に二番還元搬送筒62内の二番物を取入れる複数枚(2枚)の取込羽根86と、放出ケース80内の二番物を撹拌する二又フォーク形状の複数本の二番処理歯87と、放出口80aからフィードパン271の上面に向けて放出ケース80内の二番物を飛散させる複数枚(2枚)の放出羽根88とを配置している。
【0049】
図7、図9、図12に示されるように、放出軸85に2条の放出オーガ体89を被嵌する。放出軸85の後端側に放出オーガ体89を介して2枚の取込羽根86を放射状に配置する。二番還元搬送コンベヤ64によって二番還元搬送筒62の前端側に搬送された二番物が、取込羽根86によって二番放出体としての放出ケース80内に取込まれることになる。放出軸85の中間に複数本の二番処理歯87を放射状に配置する。放出ケース80の内部に配置する受歯90は、2本一組の二番処理歯87の間を通過するように配置されている。
【0050】
即ち、放出ケース80内には、2枚の取込羽根86と、複数本の二番処理歯87と、放出ケース80の外側から簡単に脱着できない複数本の受歯90と、2枚の放出羽根88と、2条の放出オーガ体89とが配置されている。取込羽根86によって放出ケース80内に取入れられた二番物は、放出オーガ体89によって放出ケース80の後端側から前端側に送られながら、二番処理歯87と受歯90とによって処理(刺さり粒の脱粒又は藁屑の揉み解し等)されることになる。放出軸85の前端側に放出オーガ体89を介して2枚の放出羽根88を放射状に配置する。放出オーガ体89によって放出ケース80の前端側に送られた処理済みの二番物は、放出羽根88によって放出口80aから揺動選別盤27の上面に向けて排出されることになる(図11参照)。
【0051】
上記の記載及び図9、図11から明らかなように、二番還元搬送筒62の前端側で二番還元搬送コンベヤ64の軸芯線上に放出ケース80を配置し、処理胴29の前端側よりも前方の揺動選別盤27の上面に向けて放出ケース80の放出口80aを開口したものであるから、二番還元搬送筒62の延長方向に放出ケース80を延長して、放出ケース80の前後方向の幅寸法を長尺に形成できる。処理胴29の前方に形成されるスペースに放出ケース80をコンパクトに組付けることができ、処理胴29等によって、放出ケース80の形状又は放出口80aの開口方向が殆ど制限されない。したがって、揺動選別盤27における二番物の選別処理能力を簡単に向上できる。
【0052】
上記の構成により、刈取前処理装置3によって圃場の未刈り穀稈が刈取られ、刈取前処理装置3から供給された刈取り穀稈が脱穀装置5によって脱穀された場合、脱穀装置5から落下した脱粒物が、揺動選別盤27によって選別される。揺動選別盤27によって選別された一番物としての穀粒が、一番コンベヤ31によって穀粒タンク7に収集される。また、揺動選別盤27によって選別された二番物としての穀粒と藁屑の混合物が二番樋32aに落下した場合、その二番物は、二番コンベヤ32から二番還元揚穀コンベヤ63に受継がれ、二番還元揚穀コンベヤ63から二番還元搬送コンベヤ64に受継がれ、二番還元搬送コンベヤ64から放出ケース80内に搬送される。
【0053】
取込羽根86によって二番還元搬送筒62の前端側から放出ケース80の内部に取込まれた二番物は、二番処理歯87と受歯90とによって処理(刺さり粒の脱粒及び藁屑の分離等の処理)された後、放出羽根88によって放出口80aからフィードパン271の上面に排出され、揺動選別盤27によって再び選別される。したがって、二番物中の穀粒は、一番コンベヤ31から穀粒タンク7に搬入される。また、二番物中の藁屑は、チャフシーブ272の上面を経て、排塵ファン30又は三番口36から機外に排出される。
【0054】
また、二番コンベヤ32と、二番還元揚穀コンベヤ63と、二番還元搬送コンベヤ64とは、常に連動して回動するが、それぞれの回転数が異なる。二番コンベヤ32よりも二番還元揚穀コンベヤ63が高速で回転し、二番還元揚穀コンベヤ63よりも二番還元搬送コンベヤ64が高速で回転する。二番コンベヤ32の単位時間当たりの搬送量よりも二番還元揚穀コンベヤ63の単位時間当たりの搬送量を多くし、二番還元揚穀コンベヤ63の単位時間当たりの搬送量よりも二番還元搬送コンベヤ64の単位時間当たりの搬送量を多くし、二番還元揚穀コンベヤ63又は二番還元搬送コンベヤ64の搬送途中で二番物が詰るのを防止している。
【0055】
上記の記載から明らかなように、穀稈を刈取る刈取前処理装置3と、刈取前処理装置3から搬送された穀稈を扱胴26によって脱穀する脱穀装置5と、脱穀装置5からの脱粒物を選別する揺動選別機構としての揺動選別盤27と、揺動選別盤27を介して一番物を取出す一番コンベヤ31及び一番揚穀筒33と、揺動選別盤27を介して二番物を取出す二番コンベヤ32及び二番還元機構60とを備えてなるコンバインにおいて、二番還元機構60は、二番コンベヤ32に連結する二番還元揚穀筒61と、二番還元揚穀筒61に連結する二番還元搬送筒62とを有し、揺動選別盤27の一側の外側方に一番揚穀筒33と二番還元揚穀筒61とを上向きに延長し、二番還元揚穀筒61に対して揺動選別盤27の左右幅内に二番還元搬送筒62をオフセットさせて配置し、二番還元揚穀筒61の送り終端側に二番還元搬送筒62の送り始端側を連結するように構成している。したがって、脱穀装置5の一側方で一番揚穀筒33及び二番還元揚穀筒61を前後に一列状に配置できる。一番揚穀筒33及び二番還元揚穀筒61の設置によって、揺動選別盤27の左右方向の幅寸法が殆ど制限されないから、揺動選別盤の選別処理能力を簡単に向上できる。
【0056】
また、従来の揺動選別構造に比べ、扱胴26から穀粒等の脱粒物が片寄って落下する回転下手側の方向に、揺動選別盤27の左右方向の幅寸法を簡単に拡大できる。即ち、揺動選別盤27の左右幅方向の中央寄りに扱胴26から脱粒物を落下させることができるから、揺動選別盤27の揺動運動等によって、揺動選別盤27の左右幅方向に、扱胴26から片寄って落下する脱粒物を簡単に分散させることができる。扱胴26から片寄って落下する脱粒物の選別処理能力を向上できる。
【0057】
上記の記載から明らかなように、脱穀装置5は、扱胴26からの排塵を処理するための処理胴29を有する構造であって、扱胴26と二番還元搬送筒62との間に処理胴29を配置している。したがって、処理胴29の下方側に形成されるスペースを利用して、処理胴29に沿わせて二番還元搬送筒62を延長でき、脱穀装置5の一側方に二番還元搬送筒62をコンパクトに設置できる。また、二番還元搬送筒62の下方側に揺動選別盤27の設置スペースを簡単に確保でき、二番還元搬送筒62から揺動選別盤27の左右幅方向の中央寄りに二番物を簡単に還元でき、前記二番物の選別処理能力を向上できる。
【0058】
上記の記載から明らかなように、揺動選別機構は、扱胴26からの脱粒物を選別するための揺動選別盤27を有する構造であって、揺動選別盤27の左右方向の幅内の上方に扱胴26及び処理胴29を配置し、揺動選別盤27の上面より上方で処理胴29の軸芯線より下方に二番還元搬送筒62を配置している。したがって、処理胴29の下方側に形成されるスペースを利用して、処理胴29に沿わせて二番還元搬送筒62を延長でき、脱穀装置5の一側方に二番還元搬送筒62をコンパクトに設置できる。また、二番還元搬送筒62の下方側に揺動選別盤27の設置スペースを簡単に確保でき、二番還元搬送筒62から揺動選別盤27の左右幅方向の中央寄りに二番物を簡単に還元でき、前記二番物の選別処理能力を向上できる。
【0059】
次に、図13を参照しながら、図9に示した二番還元機構60の変形構造について説明する。図13に示す如く、図9に示す二番処理歯87と受歯90とを省略している。即ち、放出軸85上には、二番還元搬送筒62の前端側から放出ケース80の内部に二番還元搬送筒62内の二番物を取入れる2枚の取込羽根86と、2条の放出オーガ体89と、放出口80aからフィードパン271の上面に向けて放出ケース80内の二番物を飛散させる2枚の放出羽根88とを配置している。図9と同様に、放出軸85の後端側に放出オーガ体89を介して2枚の取込羽根86を放射状に配置する。二番還元搬送コンベヤ64によって二番還元搬送筒62の前端側に搬送された二番物が、取込羽根86によって二番放出体としての放出ケース80内に取込まれることになる。放出軸85の中間に2条の放出オーガ体89を被嵌する。取込羽根86によって放出ケース80内に取入れられた二番物は、放出オーガ体89によって放出ケース80の後端側から前端側に送られることになる。放出軸85の前端側に2枚の放出羽根88を放射状に配置する。放出オーガ体89によって放出ケース80の前端側に送られた二番物は、放出羽根88によって放出口80aから揺動選別盤27の上面に向けて排出されることになる。
【0060】
即ち、放出ケース80内には、2枚の取込羽根86と、2枚の放出羽根88と、2条の放出オーガ体89とが配置されている。したがって、二番処理歯87と受歯90とによって二番物が処理(刺さり粒の脱粒又は藁屑の揉み解し等)される図9の構造に比べ、二番処理歯87及び受歯90を省略した図13の構造を採用することによって、放出オーガ体89によって放出ケース80の前端側に送られる二番物の移送抵抗が低減する。換言すると、図9の構造に比べ、図13の構造のものは、放出オーガ体89によって放出ケース80の前端側に送られる二番物の移送時間が短縮される。その結果、放出ケース80内での二番物の滞留時間が短縮され、放出ケース80内で穀粒が脱ぷするのを防止できたり、二番還元機構60の搬送途中に二番物(藁屑が多い二番物)が詰るのを防止できることになる。
【0061】
次に、図14を参照しながら、図11に示した揺動選別盤27の変形構造について説明する。図14に示す如く、図11に示した揺動選別盤27の左右幅寸法に比べ、揺動選別盤27−2の左右幅寸法を小さく形成している。したがって、フィードチェン6と、扱胴26と、二番還元機構60とを配置した脱穀装置5の左右幅寸法が一定の場合、図11に示した揺動選別盤27では左右幅方向に設置場所を簡単に変更できないが、図14に示す揺動選別盤27−2は、扱胴26の脱粒能力等に応じて揺動選別盤27の設置場所を左右幅方向に簡単に変更できたり、脱穀装置5の各部を駆動するための伝動ベルト又はプーリ等の設置スペースを簡単に確保できることになる。
【0062】
上記の記載及び図1、図9、図10から明らかなように、刈取り穀稈を脱穀する脱穀装置5と、脱穀装置5からの脱粒物を選別する揺動選別盤27と、揺動選別盤27によって選別された一番物を取出す一番コンベヤ31及び一番揚穀筒33と、揺動選別盤27によって選別された二番物を取出す二番コンベヤ32及び二番還元機構60とを備え、二番還元機構60の送り終端側に、二番物を処理する二番物処理部としての放出ケース80を有してなるコンバインにおいて、二番還元機構60は、二番コンベヤ32の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元揚穀筒61と、二番還元揚穀筒61の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元搬送筒62とを有し、一番揚穀筒33より後方で、二番コンベヤ32から上向きに二番還元揚穀筒61を延長し、二番還元揚穀筒61の上端側から前向きに二番還元搬送筒62を延長し、二番還元搬送筒62の前端側に放出ケース80を配置し、二番還元搬送筒62の二番還元搬送コンベヤ軸64aの軸芯線上に、放出ケース80の二番物処理軸としての放出軸85を配置したものであるから、揺動選別盤27よりも上方の脱穀装置5の一側に二番還元機構60及び放出ケース80等をコンパクトに配置できる。揺動選別盤27の前後方向に放出軸85が延長されるから、放出ケース80から放出軸85の放射方向に二番物が排出され、揺動選別盤27の上面に二番物を拡散させて落下させることができる。また、二番還元搬送筒62の下方側に揺動選別盤27の左右幅を拡張でき、揺動選別盤27の選別処理能力を向上できる。
【0063】
上記の記載及び図9、図12から明らかなように、放出ケース80に、二番物を取込む取込羽根86と、二番物を処理する二番処理歯87と、簡単に脱着できない受歯90と、二番物を放出する放出羽根88と、二番物を移送する放出オーガ体89とを配置し、二番処理歯87を配置した放出軸85の中間に放出オーガ体89を被嵌し、放出オーガ体89の送り始端側に取込羽根86を配置し、放出オーガ体89の送り終端側に放出羽根88を配置したものであるから、取込羽根86と放出オーガ体89と放出羽根88とによって二番物を連続して移送しながら、二番処理歯87と受歯90とによって二番物を連続して処理できる。したがって、揺動選別盤27に移送する二番物が二番還元機構60内に詰るのを防止しながら、揺動選別盤27における二番物の再選別作業性を向上できる。
【0064】
上記の記載及び図9、図12、図13から明らかなように、放出ケース80に、二番物を取込む取込羽根86と、二番物を放出する放出羽根88と、二番物を移送する放出オーガ体89とを配置し、放出軸85の中間に放出オーガ体89を被嵌し、放出オーガ体89の送り始端側に取込羽根86を配置し、放出オーガ体89の送り終端側に放出羽根88を配置し、放出ケース80から揺動選別盤27の上面側に二番物を戻すための放出口80aを、放出羽根88に対向して形成したものであるから、取込羽根86と放出オーガ体89と放出羽根88とによって二番物を連続して移送でき、揺動選別盤27に移送する二番物が二番還元機構60内に詰るのを防止でき、二番物の還元作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態の4条刈り用のコンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの右側面図である。
【図3】コンバインの平面図である。
【図4】コンバインの脱穀装置の左側面断面図である。
【図5】脱穀装置の正面図である。
【図6】脱穀装置の背面図である。
【図7】脱穀装置の平面図である。
【図8】脱穀装置の選別機構の左側断面図である。
【図9】二番還元機構の左側断面図である。
【図10】二番還元機構の背面断面図である。
【図11】扱胴と揺動選別盤と二番還元機構との関係を示す正面断面図である。
【図12】二番還元機構の一部の斜視図である。
【図13】図9の二番還元機構の変形構造を示す左側断面図である。
【図14】図11の扱胴と揺動選別盤と二番還元機構との関係の変形構造を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0066】
5 脱穀装置
26 扱胴
26b 扱室
27 揺動選別盤
29 処理胴
29b 処理室
31 一番コンベヤ
32 二番コンベヤ
33 一番揚穀筒
55 脱穀機筐
60 二番還元機構
61 二番還元揚穀筒
62 二番還元搬送筒
64 二番還元搬送コンベヤ
64a 二番還元搬送コンベヤ軸
80 放出ケース(二番物処理部)
80a 放出口
85 放出軸(二番物処理軸)
86 取込羽根
87 二番処理歯
88 放出羽根
89 放出オーガ体
90 受歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取り穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置からの脱粒物を選別する揺動選別盤と、前記揺動選別盤によって選別された一番物を取出す一番コンベヤ及び一番揚穀筒と、前記揺動選別盤によって選別された二番物を取出す二番コンベヤ及び二番還元機構とを備え、前記二番還元機構の送り終端側に、二番物を処理する二番物処理部を有してなるコンバインにおいて、
前記二番還元機構は、前記二番コンベヤの送り終端側に送り始端側を接続する二番還元揚穀筒と、前記二番還元揚穀筒の送り終端側に送り始端側を接続する二番還元搬送筒とを有し、
前記一番揚穀筒より後方で、前記二番コンベヤから上向きに前記二番還元揚穀筒を延長し、前記二番還元揚穀筒の上端側から前向きに前記二番還元搬送筒を延長し、前記二番還元搬送筒の前端側に前記二番物処理部を配置し、
前記二番還元搬送筒の二番還元搬送コンベヤ軸の軸芯線上に、前記二番物処理部の二番物処理軸を配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記二番物処理部に、二番物を取込む取込羽根と、二番物を処理する二番処理歯と、簡単に脱着できない受歯と、二番物を放出する放出羽根と、二番物を移送する放出オーガ体とを配置し、前記二番処理歯を配置した前記二番物処理軸の中間に前記放出オーガ体を被嵌し、前記放出オーガ体の送り始端側に前記取込羽根を配置し、前記放出オーガ体の送り終端側に前記放出羽根を配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記二番物処理部に、二番物を取込む取込羽根と、二番物を放出する放出羽根と、二番物を移送する放出オーガ体とを配置し、前記二番物処理軸の中間に前記放出オーガ体を被嵌し、前記放出オーガ体の送り始端側に前記取込羽根を配置し、前記放出オーガ体の送り終端側に前記放出羽根を配置し、二番物処理部から揺動選別盤の上面側に二番物を戻すための放出口を、前記放出羽根に対向して形成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−65860(P2009−65860A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235604(P2007−235604)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】