説明

コンバイン

【課題】穀稈を刈取る刈取部及び刈り取った穀稈を脱穀する扱胴の作動状態に基づいて、刈取モードにあるのか、手扱モードにあるのか又は待機モードにあるのかを判定し、穀粒タンクへ搬送される穀粒量に応じて閾値を設定し、各モード及び設定した閾値に基づいて、送塵口等から排出される穀粒量を制御するコンバインを提供する。
【解決手段】刈取スイッチ82、脱穀スイッチ81、穀桿センサ9及び速度センサ43からの出力をコントローラ90へ入力して、刈取モード、手扱モード又は待機モードを判断する。また穀粒タンクへ穀粒を送出する投口に投口センサ23bを設け、排塵口及び排気通路に排出量センサ34を設け、コントローラ90は刈取モード時に投口センサ23bの出力に基づいて閾値を設定し、排出量センサ34にて検出された穀粒量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて排塵口及び排気通路から排出される穀粒量を低減させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀桿から脱穀された穀粒を、作業状態に応じて効率的に回収するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場での収穫作業を行う場合には、穀稈の刈取り及び脱穀並びに穀粒の回収を行うコンバインを使用することが多い。コンバインは、走行機体に設けてある刈取部によって穀桿を刈取り、刈取った穀桿を扱胴へ搬送している。該扱胴の下方には、複数のチャフフィンを有する揺動選別装置を設けてあり、該揺動選別装置の下方には唐箕を配置してある。走行機体の後部には排塵口を設けてあり、該排塵口には塵埃を吸引する排塵ファンを設けてある。前記扱胴にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃は前記揺動選別装置に落下し、揺動選別装置の揺動により、比重の大きい穀粒はチャフフィンの隙間から漏下し、穀粒タンクへ回収される。一方比重の小さな塵埃、例えばワラくずは揺動選別装置の後方へ送られる。また穀粒と共に漏下した細かな塵埃は、前記唐箕の起風作用により後方へ送られ、揺動選別装置の後方へ送られた塵埃と共に前記排塵ファンに吸引されて排塵口から排出される。また穀粒の一部も塵埃と共に前記排塵口から排出される。
【0003】
穀稈の刈取量が増加すると穀稈から分離する穀粒量が増加し、排塵口から排出される穀粒量も増加する。このため穀稈の刈取量が増加した場合には、穀粒タンクへの穀粒の回収量を増加させることが望ましい。そこで穀粒量を検出するグレン損失検出器を排塵口に配置し、該グレン損失検出器にて検出された穀粒量が増加した場合に、チャフシーブを開いて、穀粒タンクへの穀粒の回収量を増加させるコンバインが以前から提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のコンバインにあっては、チャフフィンに油圧シリンダを連結してあり、該油圧シリンダには圧油の給排を行う電磁弁を設けてある。該コンバインは、排塵口から排出されることが許容される穀粒量を示す閾値(以下許容閾値という)をユーザが任意に設定するようにしてあり、刈取部にて穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を扱胴へ搬送している場合(以下刈取部にて刈取った穀桿を脱穀部に搬送している状態を刈取モードという)に、グレン検出器の出力が示す値と設定された許容閾値とを比較し、排塵口から排出される穀粒量(以下ロス量という)が許容閾値を超過したときに、前記電磁弁を作動させて、ロス量が許容閾値を超えないように前記チャフフィンを開く。
また予め刈取ってある穀桿をユーザが扱胴へ送給している場合(以下予め刈取ってある穀稈を脱穀部へ搬送している状態を手扱モードという)、及び穀桿の扱胴への搬送・送給を行っていない場合(以下穀桿の脱穀部への搬送を行っていない状態を待機モードという。例えば穀桿のない畦畔付近にてコンバインを回行させている場合及びコンバインを停止して籾の排出を行っている場合)には、揺動選別装置にて選別される穀粒の量は、穀桿を刈取って扱胴へ搬送している場合に比して少ないので、チャフフィンを傾倒させた状態で固定し、チャフフィン同士の間隔を狭くして精選別を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−234714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコンバインは、待機モードにおいてチャフフィン同士の間隔を狭くしているが、前記刈取モードが終了した直後においては、多量の穀粒が扱胴に残留している。この場合、扱胴からチャフフィンへ漏下した穀粒の大部分が排塵口から排出される虞があり、各モードにおいて前記ロス量を適切に制御しているとは言えなかった。
また前記ロス量は穀粒タンクに回収される穀粒量の多少に応じて変動するため、前記許容閾値は穀粒タンクに回収される穀粒量に応じて設定されることが好ましい。しかし特許文献1に記載のコンバインは、前記許容閾値はユーザによって任意に選択されており、穀粒タンクに回収される穀粒量に応じて設定されているとは言えなかった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、前記刈取部及び脱穀部の作動状態に基づいて、刈取モードにあるのか、手扱モードにあるのか又は待機モードにあるのかを判定し、前記穀粒タンクへ搬送される穀粒量に応じて前記許容閾値を設定し、各モード及び設定した許容閾値に基づいて、前記ロス量を制御することができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンバインは、走行部と、該走行部の走行中に穀桿を刈取る刈取部と、該刈取部にて刈り取られた穀桿を脱穀する脱穀部と、該脱穀部にて脱穀された穀粒を貯留する貯留部と、前記脱穀部にて脱穀された穀粒を前記貯留部へ搬送する搬送手段と、該脱穀部にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部と、該選別部での選別精度を調整する調整機構とを備えるコンバインにおいて、前記調整機構の動作を補助するための動力を供給する補助機構と、前記搬送手段にて搬送される穀粒量を検出する搬送量検出手段と、該搬送量検出手段にて検出された穀粒量に基づいて閾値を算出する算出手段と、前記選別部から排出される穀粒量を検出する排出量検出手段と、該排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記算出手段にて算出された閾値以上であるか否かを判定する算出閾値判定手段と、該算出閾値判定手段における判定結果と前記刈取部及び脱穀部の作動状態とに基づいて前記補助機構の作動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、刈取部及び脱穀部の作動状態が前記各モードのいずれの状態にあるのかを判定し、刈取モードにあると判定した場合に、前記貯留部へ搬送される穀粒量に基づいて閾値を算出する。そして前記選別部から排出される穀粒量が算出された閾値以上である場合に前記補助機構を作動させて、ロス量の低減を図る。
【0010】
本発明に係るコンバインは、前記算出手段は、予め定められた閾値と穀粒量との関係を示す関数に、前記搬送量検出手段にて検出された穀粒量を適用して閾値を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、搬送量検出手段にて検出された穀粒量を前記関数に適用して、前記閾値を迅速に算出する。
【0012】
本発明に係るコンバインは、前記関数は複数設定してあり、複数の関数から一の関数を選択するための手段を備え、選択された関数に前記搬送量検出手段にて検出された穀粒量を適用することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、複数の関数から一の関数をユーザが選択し、選択された関数に搬送量検出手段にて検出された穀粒量を適用することによって、穀稈の生育状態及び品種等に応じたユーザの要求に適う前記閾値を算出することができる。
【0014】
本発明に係るコンバインは、前記走行部に駆動力を供給する駆動源と、該駆動源及び脱穀部の間に介在する脱穀クラッチと、前記駆動源及び刈取部の間に介在する刈取クラッチと、前記刈取部から前記脱穀部に搬送される穀桿を検出する手段とを備え、前記刈取部及び脱穀部の作動状態には、前記脱穀クラッチの継断、刈取クラッチの継断、刈取部から脱穀部に搬送される穀桿の有無及び走行部の速度が含まれることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、前記脱穀クラッチの継断、刈取クラッチの継断、刈取部から脱穀部に搬送される穀桿の有無及び走行部の速度によってモード分けを行い、各モードに応じた制御を前記補助機構に対して行う。
【0016】
本発明に係るコンバインは、前記制御手段は、前記脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されており、前記刈取クラッチが継合し、所定速度以上で走行部が走行している場合であって、前記判定手段にて、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記算出手段にて算出された閾値以上であると判定されたときに前記補助機構の作動を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されており、前記刈取クラッチが継合し、所定速度以上で走行部が走行している場合に、刈取部及び選別部の作動状態は刈取モードにあると判定し、刈取モードに応じた制御を前記補助機構に対して行い、ロス量の低減を図る。
【0018】
本発明に係るコンバインは、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、前記脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されており、前記刈取クラッチが切断されているか又は所定速度未満で走行部が走行している場合であって、前記判定手段にて、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記所定の閾値以上であると判定されたときに、前記補助機構の作動を制御する手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、前記脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されており、前記刈取クラッチが切断されているか又は所定速度未満で走行部が走行している場合に、前記刈取部及び脱穀部の作動状態は手扱モードにあると判定し、手扱モードに応じた制御を前記補助機構に対して行い、ロス量の低減を図る。
【0020】
本発明に係るコンバインは、前記脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されていない場合に、前記制御手段によって前記補助機構が作動したか否かを判定する作動判定手段と、該作動判定手段にて、前記制御手段によって前記補助機構が作動したと判定された場合に、所定時間を計測するタイマと、該タイマによる計時が終了するまで、前記制御手段によって前記補助機構が作動した状態に前記調整機構を維持する手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、前記脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されていない場合に、刈取部及び脱穀部の作動状態は待機モードにあると判定する。また前記制御手段によって補助機構が作動している場合には、直前まで刈取モードにて脱穀作業が行われていたと判定する。待機モードになる直前まで脱穀部の作動状態が刈取モードにあった場合には、脱穀部に多量の穀粒が残留している可能性が高いので、所定時間が経過するまで刈取モードで選別作業を行っている状態に前記調整機構を維持し、脱穀部に残留している穀粒を速やかに低減させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るコンバインにあっては、前記各モードのいずれの状態にあるのかを判定し、判定されたモードに応じて閾値を算出する。そして前記選別部から排出される穀粒量が算出した閾値以上である場合に、前記補助機構を作動させて、ロス量の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係るコンバインの外観斜視図である。
【図2】脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図3】穀桿センサの要部構成を示す模式図である。
【図4】エンジンの駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【図5】チャフシーブ及びシャッタの要部構成を示す略示側面図である。
【図6】キャビン内のダッシュボードパネルに設けてあるスイッチ群及びランプ群の略示正面図である。
【図7】脱穀作業を制御するコントローラ周りの構成を示すブロック図である。
【図8】閾値Pと投口から穀粒タンクへ送出される穀粒量(投口量D)との関係を示す関数f1〜関数f3及び閾値Qと投口量Dとの関係を示す関数hを示すグラフである。
【図9】モード判定制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】刈取モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】刈取モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】刈取モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】手扱モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】待機モード制御の処理手順を説明するフローチャートである。
【図15】割込制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】変形例1の脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
【図17】変形例2の脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
【図18】変形例3の表示部を略示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明を実施の形態に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの外観斜視図である。
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上側に脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取り穀稈と非刈取り穀稈とを区別する分草板3a、穀稈を刈取る刈刃3b、及び穀稈を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の左側には穀粒を収容する穀粒タンク4を設けてあり、前記脱穀装置2の右部には穀稈を搬送するフィードチェン5を設けてある。該フィードチェン5には穀稈を挟持する挟持部材6が対向している。前記フィードチェン5の始端部付近には縦搬送装置7を配設してある。また前記穀粒タンク4には、穀粒タンク4から穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aを取り付けてあり、穀粒タンク4の前側にはキャビン8を設けてある。
【0025】
走行クローラ1の駆動によって機体は走行する。機体の走行によって刈取部3に穀稈が取り込まれ、刈り取られる。刈り取られた穀稈は縦搬送装置7、フィードチェン5及び挟持部材6を介して脱穀装置2に搬送され、脱穀装置2内にて脱穀される。
【0026】
図2は脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
図2に示すように、脱穀装置2の前側上部に穀稈を脱穀するための扱室10が設けてある。該扱室10内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の扱胴11が軸架してあり、該扱胴11は軸回りに回動可能となっている。扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12を螺旋状に取り付けてある。前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働して稈を揉みほぐすクリンプ網15が配置してある。前記扱胴11は後述するエンジン40の駆動力によって回動し、穀稈を脱穀する。
【0027】
前記扱室10の上壁に四つの送塵弁10a、10a、10a、10aが前後方向に沿って並設してあり、該送塵弁は扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0028】
扱室10の後部には処理室13が連設してある。該処理室13内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の処理胴13bが軸架してあり、該処理胴13bは軸回りに回動可能となっている。処理胴13bには多数の扱歯13c、13c、・・・、13cを螺旋状に取り付けてある。前記処理胴13bの下側には扱歯13c、13c、・・・、13cと協働して稈を揉みほぐす処理網13dを配置してある。前記処理胴13bはエンジン40の駆動力によって回動し、扱室10から送出された稈及び穀粒から穀粒を分離する処理を行う。処理室13の後端部下側には排出口13eを開設してある。
【0029】
前記処理室13の上壁に四つの処理胴弁13a、13a、13a、13aが前後方向に沿って並設してあり、該処理胴弁13a、13a、13a、13aは処理室13の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0030】
前記クリンプ網15の下側には、穀粒及び稈の選別を行う揺動選別装置16を設けてある。該揺動選別装置16は、穀粒及び稈を均一化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及び稈の粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、稈に混入した穀粒を落下させるためのストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有している。また前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してある。該揺動アーム21は前後に揺動するように構成されている。この揺動アーム21の揺動によって揺動選別装置16は揺動し、稈及び穀粒の選別が行われる。
【0031】
揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及び稈の精選別を行うグレンシーブ20を更に備える。該グレンシーブ20の下方に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、穀粒を前記穀粒タンク4に送給する一番スクリュー23が設けてある。前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒は前記一番スクリュー23に向けて滑落する。一番スクリュー23は穀粒タンク4へ延設されており、滑落した穀粒は一番スクリュー23よって搬送され、一番スクリュー23の終端に設けてある投口23aから穀粒タンク4へ送出される。投口23aには、投口23aから穀粒タンク4へ送出される所定時間あたりの穀粒量(投口量)を検出する投口センサ23bが設けてある。投口センサ23bは圧電素子を備えている。投口センサ23bに穀粒が当接することによって圧電素子から前記投口量を示す電圧が出力される。
【0032】
前記一番穀粒板22の後部に、後部が前部よりも下に位置するように傾斜した傾斜板24が連設してある。該傾斜板24の後端部に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した二番穀粒板25が連設してある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に稈及び穀粒を搬送する二番スクリュー26が設けてある。
前記ストローラック19の透孔から傾斜板24又は二番穀粒板25に落下した落下物は前記二番スクリュー26に向けて滑落する。滑落した落下物は、二番スクリュー26によって前記扱胴11の左側に設けてある処理ロータ14に搬送され、処理ロータ14にて脱穀処理される。
【0033】
前記一番スクリュー23よりも前方であって、前記揺動選別盤17よりも下方に、後方に向けて送風する唐箕27が設けてある。該唐箕27と前記一番スクリュー23との間に二つの整流板28、28を配設してある。
【0034】
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。
【0035】
下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、稈を吸引排出する軸流ファン32を配設してある。該軸流ファン32の後方には排塵口33を設けてある。前記唐箕27の動作によって発生した気流は、前記整流板28、28によって整流された後に、前記揺動選別装置16を通過して、前記排塵口33及び排気通路37に至る。
【0036】
排塵口33及び排気通路37には、圧電素子を備える二つの排出量センサ34、34が配してある。排塵口33及び排気通路37から、穀粒が排出され、排出量センサ34、34に当接する。このとき圧電素子から電圧が出力され、出力された電圧に基づいて排塵口33及び排気通路37から排出される所定時間あたりの穀粒量(ロス量)が排出量センサ34、34にて検出される。検出されたロス量は後述するコントローラ90へ出力される。
なお排出量センサ34、34は圧電素子を有するセンサに限るものではなく、発光素子及び受光素子を有する光センサを排出量センサ34として使用し、発光素子及び受光素子の間を通過する所定時間あたりの穀粒量を検出しても良い。また発信器及び受信機を有する超音波センサを排出量センサ34として使用し、発信器及び受信機の間を通過する所定時間あたりの穀粒量を検出しても良い。
【0037】
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理室13の下方に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した流下樋35が設けてある。前記処理室13の排出口13eから排出された排出物は流下樋35を滑落して前記ストローラック19に落下する。
【0038】
前記フィードチェン5の近傍に、フィードチェン5に搬送される穀桿を検出する穀桿センサ9が設けてある。図3は穀桿センサ9の要部構成を示す模式図である。
穀桿センサ9はポテンショメータ部9aを備えており、該ポテンショメータ部9aには枢軸9bが設けてある。該枢軸9bには、フィードチェン5にて搬送される穀桿が接触する接触棒9cが、フィードチェン5に対して直角に連結してある。また前記枢軸9bには弦巻ばね9dが設けてある。
【0039】
前記刈取部3にて刈り取られた穀桿は、図示しない横搬送装置及び前記縦搬送装置7を経て前記フィードチェン5の始端部に送られる。前記フィードチェン5により、図3の矢印にて示す如く穀桿は搬送され、前記接触棒9cに接触し、図3の白抜矢符にて示す如く、前記接触棒9cは傾倒する。前記枢軸9bには図示しない摺動子が連結してあり、該摺動子は図示しない抵抗皮膜上を移動する。穀桿が前記接触棒9cに接触し、接触棒9cが傾倒して枢軸9bが回動した場合に、前記抵抗皮膜上を前記摺動子が移動し、ポテンショメータ部9aから穀桿が搬送されていることを示す信号がコントローラ90に出力される。一方穀桿が前記接触棒9cに接触していない場合には、前記弦巻ばね9dの復元力により前記接触棒9cは起立し、前記ポテンショメータ部9aから穀桿が搬送されていないことを示す信号がコントローラ90に出力される。
【0040】
前述した走行クローラ1の駆動、刈取部3の刈取動作、扱胴11の回動、処理胴13bの回動、揺動選別装置16の揺動及び唐箕27の起風動作はエンジン40の駆動力によって行われる。図4はエンジン40の駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【0041】
図4に示すように、エンジン40はHST(Hydro Static Transmission)41を介して走行ミッション42に連結してある。HST41は油圧ポンプ(図示せず)と、該油圧ポンプに供給される作動油の流量及び油圧ポンプの圧力を調整する機構(図示せず)と、該機構を制御する変速回路41aとを有している。変速回路41aはコントローラ90からの入力信号に基づいて、前記機構を制御し、走行クローラ1の変速を行うようにしてある。
【0042】
走行ミッション42は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)を有している。走行ミッション42には、ホール素子を有する速度センサ43を設けてある。該速度センサ43は前記ギヤの回転数を検出して、ギヤの回転数に対応する機体の車速を示す信号を出力するようにしてある。
【0043】
前記エンジン40は電磁式の脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13bに連結してあり、また偏心クランク45に連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してある。偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動する。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してあり、更に脱穀後の排桿を切断するカッタ46に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び電磁式の刈取クラッチ47を介して前記刈取部3に連結してある。
【0044】
走行ミッション42を介してエンジン40の駆動力が走行クローラ1に伝達され、機体が走行する。また刈取クラッチ47を介して刈取部3にエンジン40の駆動力が伝達し、刈取部3にて穀稈が刈取られる。
【0045】
脱穀クラッチ44を介して前記扱胴11にエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて穀稈は脱穀される。また脱穀クラッチ44を介して処理胴13bにエンジン40の駆動力が伝達し、処理胴13bにおいて、扱胴11にて脱穀された稈及び穀粒から穀粒が分離される。
【0046】
また前記揺動選別装置16には、脱穀クラッチ44及び偏心クランク45を介してエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11から漏下した稈及び穀粒並びに処理胴13bを収容する処理室13の排出口13eから排出された稈及び穀粒の選別が行われる。また脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27にエンジン40の駆動力が伝達し、揺動選別装置16にて選別された稈及び穀粒を唐箕27による起風作用によって排塵口33及び排気通路37から排出する。
【0047】
前記チャフシーブ18は前記唐箕27に設けてあるシャッタ57と協働して、穀粒の選別を行う。図5はチャフシーブ18及びシャッタ57の要部構成を示す略示側面図である。
【0048】
前記扱胴11の近傍に、扱胴11にて脱穀された排桿を前記カッタ46に向けて搬送する排ワラチェン50が設けてある。該排ワラチェン50に対向させて排ワラガイド棒51が設けてあり、該排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を、排ワラチェン50の移動と共に排桿が移動するようにしてある。
【0049】
図5に示す如く、前記排ワラガイド棒51の下側にL形の回動レバー52が設けてあり、該回動レバー52は前後方向に長い前後軸52aと、該前後軸52aの前端部から上方に突出した上下軸52bとを備えている。該上下軸52b及び前後軸52aとの角部分には枢軸52cが設けてある。
前記排ワラガイド棒51と前記前後軸52aの後端部とが連結棒53を介して連結してあり、該連結棒53の周囲にばね体54が配設してある。前記排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を移動する排桿が増加するに連れて、前記排ワラガイド棒51は押圧されて下側に移動し、前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして後方に回動する(図5実線矢印参照)。このとき前記ばね体54は圧縮される。一方排桿が減少するにつれて、圧縮されたばね体54の復元力により前記排ワラガイド棒51は上側に移動し、前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして前方に回動する(図5破線矢印参照)。
【0050】
次にチャフシーブ18の構成について説明する。前記チャフシーブ18は矩形に枠組された枠体を有している。該枠体を構成しており、前後方向に延びる左右の枠材の間に、左右方向に延びる多数のフィン18a、18a、・・・、18aを前後方向に沿って並設してある。該フィン18a、18a、・・・、18aの各上部は枠材に枢支してあり、各フィン18a、18a、・・・、18aの下部は前後方向に延びる一本の連結桿18bに枢支してある。該連結桿18bの前部に、矩形状の回動板18cの中途部が連結してあり、該回動板18cの一端部は前記連結桿18bの上方にて軸体18iを中心にして枢支してある。前記回動板18cの他端部には、チャフワイヤ18eの一端部が連結してあり、該チャフワイヤ18eの他端部は前記上下軸52bに連結してある。
また前記軸体18iには、フィン角(フィン18aと連結桿18bとのなす角度)rを検出するポテンショメータ型のフィンセンサ18jを設けてある。該フィンセンサ18jは、軸体18i周りにおける回動板18cの位置に基づいて、フィン角rを検出するようにしてある。フィンセンサ18jによって検出されたフィン角rは前記コントローラ90へ出力される。
【0051】
また前記軸体18iに、図示しない手動レバーに操作されるL形の手動板18hの一端部が連結してある。該手動板18hの他端部には、前記チャフワイヤ18eの中途部及び手動ワイヤ18gの一端部を連結してある。該手動ワイヤ18gの他端部は前記手動レバーに連結してある。
また前記回動板18cの一端部及び手動板18hの他端部に、ばね体18dを介装して前記手動板18hと前記回動板18cとを連結してある。また前記手動板18hの中途部には、ばね体18fの一端部が連結してあり、該ばね体18fの他端部は前記脱穀装置2の適所に固定してある。
【0052】
前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記チャフワイヤ18eは牽引され、前記回動板18cは反時計回りに回動し、前記連結桿18bは後方へ移動する。そして前記フィン18a、18a、・・・、18aは起立してフィン角rは大きくなり、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔は広くなる。このときばね体18fは圧縮される(図5実線矢印参照)。一方前記回動レバー52が前方に回動したときには、前記ばね体18fの復元力により、前記回動板18cは時計回りに回動し、前記連結桿18bは前方へ移動し、前記フィン18a、18a、・・・、18aは傾倒してフィン角rは小となり、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔は狭くなる(図5破線矢印参照)。
【0053】
また手動レバーの操作により、前記手動ワイヤ18gを牽引するか又は弛緩させて、前記手動板18h及び回動板18cを回動させ、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔を調整できるようにしてある。また前記手動レバーは、適当な位置で固定することができる構成にしてある。
【0054】
次に唐箕27の吸気口55付近の構成について説明する。前記唐箕27の一側に、唐箕27に吸い込まれる空気が通流する矩形の吸気口55が設けてある。該吸気口55の中央部に、吸気口55の一部を覆う前後方向に長い矩形の固定板56が設けてあり、該固定板56の上側部に沿って矩形板状のシャッタ57が隣接してある。該シャッタ57はその一端部を前記脱穀装置2に枢支してある。前記シャッタ57が上方に回動したときに、前記シャッタ57は前記固定板56から離間して前記吸気口55の開口面積が拡大し、前記シャッタ57が下方に回動したときに、前記シャッタ57は前記固定板56に接近して前記吸気口55の開口面積が縮小する。
【0055】
前記シャッタ57の前端部には引張ばね58の上端部が連結してあり、該引張ばね58の下端部は前記脱穀装置2の適所に係止してある。また前記シャッタ57の前端部から前方に軸体59が突出しており、該軸体59の突出端部にシャッタワイヤ60の一端部が連結してある。該シャッタワイヤ60の他端部は前記上下軸52bに連結してある。
【0056】
前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記シャッタワイヤ60は牽引され、前記シャッタ57は上方に回動して、前記吸気口55の開口面積が拡大し、引張ばね58は伸長する(図5実線矢印参照)。一方前記回動レバー52が前方に回動したときに、前記引張ばね58の復元力により、前記シャッタ57は下方に回動して、前記吸気口55の開口面積が縮小する(図5破線矢印参照)。
【0057】
前記回動レバー52の下方にサーボモータ70が配設してあり、該サーボモータ70には、サーボモータ70の回転軸を制動する図示しない電磁ブレーキが設けてある。前記サーボモータ70の回転開始と同時に電磁ブレーキが解除され、回転終了と同時に電磁ブレーキが作動する。また前記サーボモータ70の回転軸は、図示しない減速ギヤボックスを介して、電磁式のモータクラッチ71の一方に連結してある。該モータクラッチ71の他方は前記枢軸52cに連結してある。なお前記サーボモータ70は後述するモータ駆動回路91に接続してあり、前記モータクラッチ71は後述するモータクラッチ駆動回路92に接続してある。
【0058】
前記モータクラッチ71を継合し、前記サーボモータ70の回転により前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記排ワラガイド棒51は下側に移動し、前記ばね体54は圧縮される(図5実線矢印参照)。そして前記モータクラッチ71が切断されたときに、前記ばね体54の復元力により、前記排ワラガイド棒51は上側に移動し、前記回動レバー52は前方に回動する(図5破線矢印参照)。
【0059】
前記刈取部3にて刈り取られた穀稈は脱穀装置2にて脱穀され、穀稈から分離した穀粒は選別を受けて穀粒タンク4に収容される。穀粒の選別の調整は、前記キャビン8に配設されている穀粒の選別を調整するためのスイッチ群をユーザが操作することによって行われる。図6はキャビン8内のダッシュボードパネルに設けてあるスイッチ群及びランプ群の略示正面図である。
【0060】
図6に示す如く、脱穀スイッチ81、刈取スイッチ82、関数選択スイッチ83、ロスモニタランプ84及び自動制御ランプ85がダッシュボードパネルに並設してある。
【0061】
脱穀スイッチ81は正面側に突出した円柱形をなしている。脱穀スイッチ81は押圧によって押し下げられた状態で固定される。また押し下げられた状態で押圧されることによって、脱穀スイッチ81に内蔵してある弾性部材(図示せず)の弾性力により元の位置に復帰する。脱穀スイッチ81の出力は前記コントローラ90へ入力される。脱穀スイッチ81が押し下げられた場合にコントローラ90から前記脱穀クラッチ44へ継合信号が出力され、脱穀スイッチ81が復帰した場合にコントローラ90から前記脱穀クラッチ44へ切断信号が出力される。
【0062】
刈取スイッチ82は正面側に突出した円柱形をなしている。刈取スイッチ82は押圧によって押し下げられた状態で固定される。また押し下げられた状態で押圧されることによって、刈取スイッチ82に内蔵してある弾性部材(図示せず)の弾性力により元の位置に復帰する。刈取スイッチ82の出力は前記コントローラ90へ入力される。刈取スイッチ82が押し下げられた場合にコントローラ90から刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44へ継合信号が出力され、刈取スイッチ82が復帰した場合にコントローラ90から刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44へ切断信号が出力される。
【0063】
関数選択スイッチ83は、正面側に突出した軸回りに回動可能な円柱状をなしている。関数選択スイッチ83の正面には図6に示すように、三角形の目印を付してある。また関数選択スイッチ83の周囲には1〜3の数字を付してある。関数選択スイッチ83の内部には、図示しないポテンショメータが内蔵されている。該ポテンショメータの出力電圧は前記コントローラ90へ入力される。
刈取モードにおいて、前記目印を1〜3の数字のいずれかに合わせると、投口23aから穀粒タンク4へ送出される穀粒量と塵量との割合を示す閾値(閾値P)との関係を示す三つの関数f1〜f3(後述する図8参照)から一の関数が前記コントローラ90にて選択される。なお関数選択スイッチ83の周囲に付された1〜3の数字と関数f1〜f3とは対応している。
また手扱モードにおいて、前記目印を1〜3の数字のいずれかに合わせると、後述するEEPROM90dに記憶してある閾値J1 〜J3 が選択される。
【0064】
ロスモニタランプ84及び自動制御ランプ85は、コントローラ90からの出力信号に基づいて緑色及び赤色に点灯するようにしてあり、また点滅するようにしてある。
【0065】
図7は脱穀作業を制御するコントローラ周りの構成を示すブロック図である。
前記コントローラ90は内部バス90gにより相互に接続されたCPU90a、ROM90b、RAM90c、及びEEPROM90dを備えている。CPU90aはROM90bに記憶された制御プログラムをRAM90cに読み込み、該制御プログラムに従って、モータ70及びモータクラッチ71等の動作を制御する。なおCPU90aはタイマ900を備えている。
【0066】
コントローラ90は、出力インタフェース90fを介して、サーボモータ70に係るモータ駆動回路91へ駆動信号を出力し、モータクラッチ71に係るモータクラッチ駆動回路92へ継断信号を出力する。またコントローラ90は、出力インタフェース90fを介して、ロスモニタランプ84及び自動制御ランプ85へ、赤色での点灯若しくは点滅信号、緑色での点灯若しくは点滅信号、又は消灯信号を出力する。
またコントローラ90は、出力インタフェース90fを介して、HST41の変速回路41aに変速指令を出力し、刈取クラッチ47及び脱穀クラッチ44に継断信号を出力する。
【0067】
前記脱穀スイッチ81、刈取スイッチ82、関数選択スイッチ83、速度センサ43、穀桿センサ9、フィンセンサ18j及び投口センサ23bの各出力信号は、入力インタフェース90eを介して、コントローラ90へ入力されている。
【0068】
図8は閾値Pと投口23aから穀粒タンク4へ送出される穀粒量(投口量D)との関係を示す関数f1〜関数f3及び閾値Qと投口量Dとの関係を示す関数hを示すグラフである。
EEPROM90dには閾値Pと投口量Dとの関係を示す関数f1、f2、f3及び閾値Qと投口量Dとの関係を示す関数hが記憶してある。図8に示すように、任意の投口量Dに対する閾値Qは任意の投口量Dに対する閾値P以下になる。また関数f1〜関数f3において、投口量Dの増減に応じて前記閾値P及び閾値Qはそれぞれ増減する。なお図8においては、関数選択スイッチ83によって関数f1が選択された場合を示している。
【0069】
またEEPROM90dには、刈取部3での刈取りを正常に行うことができる最低速度Vm、閾値J1 〜J3 (以下特定しない限り単に閾値Jという)及びK(J>K)、並びに前記フィン18aが回動することができる最大の角度(許容最大角度rmax )を記録してある。
【0070】
RAM90cには排出量センサ34により検出されたロス量を示す値、及び刈取モードでの脱穀作業を直前まで行っていたか否かを判断するための変数Wが記憶される。
【0071】
前記コントローラ90は、脱穀スイッチ81、刈取スイッチ82、穀桿センサ9及び速度センサ43から入力された信号に基づいて、脱穀装置2及び刈取部3の作動状態が刈取モード、手扱モード又は待機モードのいずれにあるのかを判定するモード判定制御を行う。
【0072】
図9はモード判定制御の処理手順を示すフローチャートである。なおモード判定制御の開始時に、前記ロスモニタランプ84及び自動制御ランプ85は消灯しており、脱穀クラッチ44は切断されているとする。
まずコントローラ90は、前記脱穀スイッチ81から前記脱穀クラッチ44の継合を示す信号が入力されたか否か判断する(ステップS1)。前記脱穀スイッチ81から前記脱穀クラッチ44の切断を示す信号が入力されている場合は(ステップS1:NO)、コントローラ90はステップS1へ処理を戻す。前記脱穀スイッチ81から前記脱穀クラッチ44の継合を示す信号が入力されている場合は(ステップS1:YES)、RAM90cにアクセスし、変数Wに0を代入する(ステップS2)。次にコントローラ90は前記ロスモニタランプ84を緑色に点灯する信号を出力する(ステップS3)。そしてコントローラ90は前記穀桿センサ9から穀桿の存在を示す信号が入力されているか否か判断する(ステップS4)。前記穀桿センサ9から穀桿の不存在を示す信号が入力されている場合は(ステップS4:NO)、後述する待機モード制御を行う(ステップS11)。
【0073】
前記穀桿センサ9から穀桿の存在を示す信号が入力されている場合は(ステップS4:YES)、前記刈取スイッチ82から前記刈取クラッチ47の継合を示す信号が入力されているか否か判断する(ステップS5)。前記刈取スイッチ82から前記刈取クラッチ47の切断を示す信号が入力されている場合は(ステップS5:NO)、後述する手扱モード制御を行う(ステップS10)。前記刈取スイッチ82から前記刈取クラッチ47の継合を示す信号が入力されている場合は(ステップS5:YES)、ROM90bにアクセスして、最低速度Vmを参照する(ステップS6)。次にコントローラ90は、速度センサ43から速度Vを示す信号を取得する(ステップS7)。そして速度Vが最低速度Vm以上であるか否か判断する(ステップS8)。速度Vが最低速度Vm以上である場合は(ステップS8:YES)、後述する刈取モード制御を行う(ステップS9)。速度Vが最低速度Vm未満である場合は(ステップS8:NO)、後述する手扱モード制御を行う(ステップS10)。
【0074】
次に刈取モード制御について説明する。図10〜図12は刈取モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0075】
まずコントローラ90はモータクラッチ駆動回路92に切断信号を出力する(ステップS21)。このとき前記回動レバー52は排桿量に応じて回動する。次にコントローラ90は、関数選択スイッチ83の出力を取込み(ステップS22)、EEPROM90dにアクセスして関数f1〜f3及び関数hを参照する。次にコントローラ90は、投口センサ23aによって検出された投口量Dを取込む(ステップS23)。そして、コントローラ90は投口量Dを関数f1〜f3及び関数hに適用して(ステップS24)、閾値P及び閾値Qを設定する(ステップS25)。次にコントローラ90は排出量センサ34からの信号を取込み、所定時間あたりのロス量L1を取込む(ステップS26)。そしてコントローラ90はロス量L1が閾値P以上であるか否かを判定する(ステップS27)。ロス量L1が閾値P未満である場合は(ステップS27:NO)、コントローラ90はステップS3へ処理を戻す。
【0076】
ロス量L1が閾値P以上である場合は(ステップS27:YES)、前記フィンセンサ18jによって検出されたフィン角rを取込む(ステップS28)。次にコントローラ90はEEPROM90dにアクセスし、許容最大角度rmax を設定する(ステップS29)。そしてコントローラ90は取込んだフィン角rが許容最大角度rmax 以上であるか否かを判定する(ステップS30)。フィン角rが許容最大角度rmax 以上である場合は(ステップS30:YES)、後述するステップS49へ進む。フィン角rが許容最大角度rmax 未満である場合は(ステップS30:NO)、ロスモニタランプ84を赤色に点灯する信号を出力する(ステップS31)。なお前記ロスモニタランプ84を赤色に点灯することにより、速度を低下させて刈取量を低減することをユーザに促す。そしてコントローラ90はCPU90aのタイマ900による計時を開始する(ステップS32)。
【0077】
次にコントローラ90は排出量センサ34によって検出されたロス量L2を取込む(ステップS33)。そしてロス量L2が閾値P以上であるか否かを判定する(ステップS34)。ロス量L2が閾値P未満である場合は(ステップS34:NO)、コントローラ90はタイマ900による計時を終了する(ステップS35)。そしてRAM90cにアクセスし、変数Wに1を代入する(ステップS36)。そしてコントローラ90はステップS3へ処理を戻す。
【0078】
ロス量L2が閾値P以上である場合は(ステップS34:YES)、計時を開始してから経過した時間Tが所定時間Ts以上であるか否かを判定する(ステップS37)。時間Tが所定時間Ts未満である場合は(ステップS37:NO)、コントローラ90はステップS33へ処理を戻す。時間Tが所定時間Ts以上である場合は(ステップS37:YES)、計時を終了する(ステップS38)。
【0079】
次にコントローラ90は自動制御ランプ85を緑色に点灯する信号を出力する(ステップS39)。そしてモータクラッチ駆動回路92に継合信号を出力する(ステップS40)。次にモータ駆動回路91にサーボモータ70を所定数回転させる信号を出力する(ステップS41)。このとき前記回動レバー52は後方に回動する(図5実線矢印参照)。
【0080】
そしてコントローラ90は排出量センサ34によって検出されたロス量L3を取込む(ステップS42)。そして取込んだロス量L3が閾値Q未満であるか否かを判定する(ステップS43)。ロス量L3が閾値Q未満である場合は(ステップS43:YES)、RAM90cにアクセスし、変数Wに1を代入する(ステップS44)。次に自動制御ランプ85を消灯する信号を出力する(ステップS45)。そしてコントローラ90はステップS3へ処理を戻す。
【0081】
ロス量L3が閾値Q以上である場合は(ステップS43:NO)、前記フィンセンサ18jによって検出されたフィン角rを取込む(ステップS46)。次にコントローラ90はEEPROM90dにアクセスし、許容最大角度rmax を設定する(ステップS47)。そしてコントローラ90は取込んだフィン角rが許容最大角度rmax 以上であるか否かを判定する(ステップS48)。フィン角rが許容最大角度rmax 以上である場合は(ステップS48:YES)、コントローラ90はロスモニタランプ84を赤色点滅させる信号を出力する(ステップS49)。そしてコントローラ90は自動制御ランプ85を赤色点滅させる信号を出力する(ステップS50)。次にコントローラ90は変速回路41aへ走行クローラ1を所定速度減速させることを示す信号を出力する(ステップS51)。そしてコントローラ90は所定時間経過するまで待機する(ステップS52:NO)。該所定時間は走行クローラ1を所定速度減速させてから排出量センサ34によって検出されるロス量が低減するまでに要する時間に相当する。
【0082】
所定時間が経過した場合に(ステップS52:YES)、コントローラ90は排出量センサ34によって検出されたロス量L5を取込む(ステップS53)。そしてコントローラ90はロス量L5が閾値Q未満であるか否かを判定する(ステップS54)。ロス量L5が閾値Q未満である場合は(ステップS54:YES)、コントローラ90はステップS44へ処理を戻す。ロス量L5が閾値Q以上である場合は(ステップS54:NO)、コントローラ90はステップS51へ処理を戻す。
【0083】
フィン角rが許容最大角度rmax 未満である場合は(ステップS48:NO)、ロス量L3が閾値P以上であるか否かを判定する(ステップS55)。ロス量L3が閾値P以上である場合は(ステップS55:YES)、コントローラ90はステップS41へ処理を戻す。ロス量L3が閾値P未満である場合は(ステップS55:NO)、ロスモニタランプ84を緑色に点灯する信号を出力する(ステップS56)。そしてコントローラ90は、モータ駆動回路91にサーボモータ70を所定数回転させる信号を出力する(ステップS57)。このとき前記回動レバー52は後方に回動する(図5実線矢印参照)。
【0084】
次にコントローラ90は、排出量センサ34によって検出されたロス量L4を取込む(ステップS58)。そしてコントローラ90はロス量L4が閾値Q未満であるか否かを判定する(ステップS59)。ロス量L3が閾値Q未満である場合は(ステップS59:YES)、コントローラ90はステップS44へ処理を戻す。
【0085】
ロス量L4が閾値Q以上である場合は(ステップS59:NO)、前記フィンセンサ18jによって検出されたフィン角rを取込む(ステップS60)。次にコントローラ90はEEPROM90dにアクセスし、許容最大角度rmax を設定する(ステップS61)。そして取込んだフィン角rが許容最大角度rmax 以上であるか否かを判定する(ステップS62)。フィン角rが許容最大角度rmax 以上である場合は(ステップS62:YES)、コントローラ90はステップS49へ処理を戻す。フィン角rが許容最大角度rmax 未満である場合は(ステップS62:NO)、コントローラ90はステップS57へ処理を戻す。
【0086】
次に手扱モード制御について説明する。図13は手扱モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0087】
コントローラ90はモータクラッチ駆動回路92に切断信号を出力する(ステップS71)。このとき前記回動レバー52は排桿量に応じて回動する。次にコントローラ90は、関数選択スイッチ83の出力を取込み(ステップS72)、EEPROM90dにアクセスして閾値J1 〜J3 から一の閾値を選択する。そしてコントローラ90は選択された閾値J(J1 〜J3 )を設定する(ステップS73)。次にコントローラ90は排出量センサ34によって検出されたロス量L6を取込む(ステップS74)。そしてコントローラ90はロス量L6が閾値J以上であるか否か判断する(ステップS75)。ロス量L6が閾値J未満である場合は(ステップS75:NO)、コントローラ90はステップS4へ処理を戻す。
【0088】
ロス量L6が閾値J以上である場合は、ロスモニタランプ84を赤色に点灯する信号を出力する(ステップS76)。そして自動制御ランプ85を緑色に点灯する信号を出力する(ステップS77)。そしてモータクラッチ駆動回路92に継合信号を出力する(ステップS78)。次にモータ駆動回路91にサーボモータ70を所定数回転させる信号を出力する(ステップS79)。このとき前記回動レバー52は後方に回動する(図5実線矢印参照)。
【0089】
次にコントローラ90は、EEPROM90dにアクセスして閾値Kを設定する(ステップS80)。次にコントローラ90は排出量センサ34によって検出されたロス量L7を取込む(ステップS81)。そしてコントローラ90は取込んだロス量L7が閾値K以下であるか否か判断する(ステップS82)。ロス量L7が閾値Kを超過している場合は(ステップS82:NO)、コントローラ90はステップS79へ処理を戻す。
【0090】
ロス量L7が閾値K以下である場合は(ステップS82:YES)、RAM90cにアクセスし、変数Wに0を代入する(ステップS83)。そして自動制御ランプ85を消灯する信号を出力する(ステップS84)。そしてコントローラ90はステップS3へ処理を戻す。
【0091】
次に待機モード制御について説明する。図14は待機モード制御の処理手順を説明するフローチャートである。
【0092】
コントローラ90はRAM90cにアクセスし、変数Wに1が代入してあるか否か判断する(ステップS91)。変数Wに0が代入してある場合は(ステップS91:NO)、コントローラ90はステップS71へ処理を進める。
【0093】
変数Wに1が代入してある場合は(ステップS91:YES)、コントローラ90はタイマ900による計時を開始する(ステップS92)。そしてコントローラ90は経過した時間Tが所定時間Tu以上であるか否か判断する(ステップS93)。時間Tが所定時間Tu以上である場合は(ステップS93:YES)、コントローラ90はタイマ900による計時を終了する(ステップS94)。そしてコントローラ90はステップS71へ処理を進める。
【0094】
脱穀スイッチ81及び刈取スイッチ82からコントローラ90へ切断信号が入力されている場合に、モード判定制御、刈取モード制御、手扱モード制御、及び待機モード制御を強制的に終了する割込制御をコントローラ90は実行する。図15は割込制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0095】
コントローラ90は、刈取スイッチ82から切断信号が入力されているか否か判断する(ステップS101)。刈取スイッチ82から継合信号が入力されている場合には(ステップS101:NO)、コントローラ90は処理をステップS101へ戻す。刈取スイッチ82から切断信号が入力されている場合には(ステップS101:YES)、脱穀スイッチ81から切断信号が入力されているか否か判断する(ステップS102)。脱穀スイッチ81から脱穀クラッチ44の継合信号が入力されている場合には(ステップS102:NO)、コントローラ90は処理をステップS101へ戻す。脱穀スイッチ81から切断信号が入力されている場合には(ステップS102:YES)、コントローラ90はロスモニタランプ84を消灯する信号を出力する(ステップS103)。次にコントローラ90は自動制御ランプ85を消灯する信号を出力する(ステップS104)。そしてコントローラ90はモータクラッチ駆動回路92に切断信号を出力する(ステップS105)。
【0096】
実施の形態に係るコンバインは、刈取部3及び扱胴11の作動状態が前記各モードのいずれの状態にあるのかを判定し、刈取モードにあると判定した場合に、前記穀粒タンク4へ搬送される穀粒量に基づいて閾値Pを算出する。そして前記揺動選別装置16から排出される穀粒量が閾値P以上である場合に、前記サーボモータ70及びモータクラッチ71を作動させて、ロス量の低減を図る。
【0097】
また投口センサ23bにて検出された穀粒量を前記関数f1〜f3に適用して、閾値Pを迅速に算出する。
【0098】
また複数の関数f1〜f3から一の関数をユーザが選択し、選択された関数に投口センサ23bにて検出された穀粒量を適用することによって、穀稈の生育状態及び品種等に応じたユーザの要求に適う閾値Pを算出することができる。
【0099】
また前記脱穀クラッチ44の継断、刈取クラッチ47の継断、刈取部3から扱胴11に搬送される穀桿の有無及び走行クローラ1の速度によってモード分けを行い、各モードに応じた制御を前記サーボモータ70及びモータクラッチ71に対して行う。
【0100】
また脱穀クラッチ44が継合し、前記刈取部3から前記扱胴11に穀桿が搬送されており、前記刈取クラッチ47が継合し、所定速度以上で走行クローラ1が走行している場合に、刈取部3及び扱胴11の作動状態は刈取モードにあると判定し、刈取モードに応じた制御を前記サーボモータ70及びモータクラッチ71に対して行う。
【0101】
また前記脱穀クラッチ44が継合し、前記刈取部3から前記扱胴11に穀桿が搬送されており、前記刈取クラッチ47が切断されているか又は所定速度未満で走行クローラ1が走行している場合に、前記刈取部3及び扱胴11の作動状態は手扱モードにあると判定し、手扱モードに応じた制御を前記サーボモータ70及びモータクラッチ71に対して行う。
【0102】
また関数選択スイッチ83を操作することにより、手扱モードにおいて穀稈の生育状態及び品種等に応じてユーザが閾値J1 〜J3 から一の閾値を選択することができる。また関数選択スイッチ83は閾値P及び閾値J(J1 〜J3 )の選択において兼用されており、ダッシュボードパネル付近の構成を簡素化することができる。
【0103】
また前記脱穀クラッチ44が継合し、前記刈取部3から前記扱胴11に穀桿が搬送されていない場合に、刈取部3及び扱胴11の作動状態は待機モードにあると判定する。また前記変数Wの値が1である場合には、直前まで刈取モードにて脱穀作業が行われていたと判定する。変数Wの値が1である場合には、扱室10に多量の穀粒が残留している可能性が高いので、所定時間が経過するまで、サーボモータ70及びモータクラッチ71の作動を制御して、刈取モードで選別作業を行っている状態に前記チャフシーブ18の姿勢及びシャッタ57の位置を維持し、扱胴11に残留している穀粒を速やかに低減させる。
【0104】
また前記制御手段によってサーボモータ70及びモータクラッチ71が作動していないと判定された場合又は前記所定時間が経過した場合には、扱室10に残留している穀粒量は僅かであり、排出量センサ34により検出された穀粒量が前記閾値J以上である場合に、サーボモータ70及びモータクラッチ71を作動させて、待機モードでのロス量を低減させる。
【0105】
また前記サーボモータ70の駆動によって回動レバー52を回動させて、チャフシーブ18及びシャッタ57を作動させる。これにより、ロス量を低減させる。
【0106】
またサーボモータ70及びモータクラッチ71の作動を開始することを報知して、ロス量が増加していることをユーザに認識させることができる。
【0107】
またサーボモータ70及びモータクラッチ71の作動が不可能であることを報知することで、ユーザに対してロス量を低減させるための操作、例えば減速操作を行うことを促すことができる。またサーボモータ70及びモータクラッチ71の作動が不可能である場合に、走行クローラ1の速度を強制的に減速させて、脱穀装置2へ供給される穀稈の量を低減させ、ロス量を低減させることができる。
【0108】
またサーボモータ70及びモータクラッチ71の制御が開始されることを報知することで、穀粒の選別及びロス量の低減の調和を図るべく、サーボモータ70及びモータクラッチ71に対して制御が行われていることをユーザに認識させて、安心感を与えることができる。
【0109】
また揺動選別装置16から排塵口33及び排気通路37を介して排出されるロス量の増減を報知することで、ロス量に応じた操作を行うことをユーザに促すことができる。
【0110】
なお投口センサ23bに代えて、穀粒タンク4に貯留した穀粒量の総量を検出する重量センサを設け、該重量センサにて検出された穀粒量と閾値とを比較しても良いが、凹凸の大きな圃場をコンバインが走行し、コンバインの姿勢が急激に変化した場合に、穀粒タンク4内にて穀粒が偏在し、前記重量センサにて正確に穀粒量を検出することができない虞がある。実施の形態に係るコンバインにおいては、投口センサ23b及び排出量センサ34にて所定時間あたりの穀粒量を検出しているので、凹凸の大きな圃場をコンバインが走行し、コンバインの姿勢が急激に変化する場合であっても、コンバインの姿勢の変化の影響は投口センサ23b及び排出量センサ34にて検出される検出値へほとんど波及しない。
【0111】
以下実施の形態に係るコンバインの変形例について説明する。図16及び図17は、それぞれ変形例1及び変形例2の脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図、図18は変形例3の表示部を略示する正面図である。
【0112】
(変形例1)
図16に示すように、グレンシーブ20の横に排出量センサ34が配してある。該排出量センサ34はグレンシーブ20から横溢した所定時間あたりの穀粒量を検出する。前記コントローラ90は、該排出量センサ34にて検出された穀粒量に基づいて、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求めるようにしてある。例えば、グレンシーブ20から横溢する所定時間あたりの穀粒量と排塵口33及び排気通路37から排出される所定時間あたりの穀粒量との関係を示す関数に、排出量センサ34による検出値を適用して、排塵口33及び排気通路37から排出される所定時間あたりの穀粒量を求める。
【0113】
(変形例2)
図17に示すように、処理ロータ14の下方に排出量センサ34が配してある。処理ロータ14は図示しない排出口を備え、該排出口から穀粒が排出される。前記排出量センサ34は、処理ロータ14から排出された所定時間あたりの穀粒量を検出する。前記コントローラ90は、該排出量センサ34にて検出された穀粒量に基づいて、排塵口33及び排気通路37から排出される所定時間あたりの穀粒量を求めるようにしてある。例えば、処理ロータ14から排出される所定時間あたりの穀粒量と排塵口33及び排気通路37から排出される所定時間あたりの穀粒量との関係を示す関数に、排出量センサ34による検出値を適用して、排塵口33及び排気通路37から排出される所定時間あたりの穀粒量を求める。
【0114】
(変形例3)
前記キャビン8には、ユーザに必要な情報を報知するための表示部95が設けてある。図18に示すように、表示部95は表示パネル95aを備えている。表示パネル95aには必要に応じて情報が表示される。例えば自動制御ランプ85が赤色に点灯している場合に、図18に示すように「ロス制御を行っています」と表示し、ロスモニタランプ84及び自動制御ランプ85が赤色点滅している場合に、「穀稈が過剰供給されています」又は「減速します」と表示する。これによりロス量の増大をユーザに認識させることができる。またロス量を低減する操作を行うようユーザに促すことができる。
【0115】
なお実施の形態に係るコンバイン及びその変形例には、サーボモータ70が使用されているが、サーボモータ70に代えて、モータと位置検出器(例えばロータリエンコーダ、ポテンショメータ又はレゾルバ等)とを組み合わせたものを使用しても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0116】
1 走行クローラ(走行部)
2 脱穀装置
3 刈取部
4 穀粒タンク(貯留部)
10 扱室(脱穀部)
10a 送塵弁
11 扱胴(脱穀部)
13 処理室
13a 処理胴弁
13b 処理胴
13e 排出口
16 揺動選別装置(選別部)
18 チャフシーブ
18a シーブ板
18b 連結杆(調整手段)
18j フィンセンサ
20 グレンシーブ
23 一番スクリュー(搬送手段)
23a 投口
23b 投口センサ(搬送量検出手段)
27 唐箕(選別部)
33 排塵口
34 排出量センサ(排出量検出手段)
43 速度センサ(速度検出手段)
50 排ワラチェン
51 排ワラガイド棒(調整機構)
52 回動レバー
53 連結棒
54 ばね体
55 吸気口
56 固定板
57 シャッタ(調整機構)
60 シャッタワイヤ(調整機構)
70 サーボモータ(補助手段)
71 モータクラッチ(補助手段)
81 脱穀スイッチ
82 刈取スイッチ
83 関数選択スイッチ
84 ロスモニタランプ
85 自動制御ランプ
90 コントローラ
90a CPU
90b ROM
90c RAM
90d EEPROM
90e 入力インタフェース
90f 出力インタフェース
95 表示部
95a 表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部と、該走行部の走行中に穀桿を刈取る刈取部と、該刈取部にて刈り取られた穀桿を脱穀する脱穀部と、該脱穀部にて脱穀された穀粒を貯留する貯留部と、前記脱穀部にて脱穀された穀粒を前記貯留部へ搬送する搬送手段と、該脱穀部にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部と、該選別部での選別精度を調整する調整機構とを備えるコンバインにおいて、
前記調整機構の動作を補助するための動力を供給する補助機構と、
前記搬送手段にて搬送される穀粒量を検出する搬送量検出手段と、
該搬送量検出手段にて検出された穀粒量に基づいて閾値を算出する算出手段と、
前記選別部から排出される穀粒量を検出する排出量検出手段と、
該排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記算出手段にて算出された閾値以上であるか否かを判定する算出閾値判定手段と、
該算出閾値判定手段における判定結果と前記刈取部及び脱穀部の作動状態とに基づいて前記補助機構の作動を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記算出手段は、予め定められた閾値と穀粒量との関係を示す関数に、前記搬送量検出手段にて検出された穀粒量を適用して閾値を算出するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記関数は複数設定してあり、
複数の関数から一の関数を選択するための手段を備え、
選択された関数に前記搬送量検出手段にて検出された穀粒量を適用すること
を特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記走行部に駆動力を供給する駆動源と、
該駆動源及び脱穀部の間に介在する脱穀クラッチと、
前記駆動源及び刈取部の間に介在する刈取クラッチと、
前記刈取部から前記脱穀部に搬送される穀桿を検出する手段とを備え、
前記刈取部及び脱穀部の作動状態には、前記脱穀クラッチの継断、刈取クラッチの継断、刈取部から脱穀部に搬送される穀桿の有無及び走行部の速度が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のコンバイン。
【請求項5】
前記制御手段は、前記脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されており、前記刈取クラッチが継合し、所定速度以上で走行部が走行している場合であって、前記判定手段にて、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記算出手段にて算出された閾値以上であると判定されたときに前記補助機構の作動を制御するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されており、前記刈取クラッチが切断されているか又は所定速度未満で走行部が走行している場合であって、前記判定手段にて、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記所定の閾値以上であると判定されたときに、前記補助機構の作動を制御する手段と
を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記脱穀クラッチが継合し、前記刈取部から前記脱穀部に穀桿が搬送されていない場合に、前記制御手段によって前記補助機構が作動したか否かを判定する作動判定手段と、
該作動判定手段にて、前記制御手段によって前記補助機構が作動したと判定された場合に、所定時間を計測するタイマと、
該タイマによる計時が終了するまで、前記制御手段によって前記補助機構が作動した状態に前記調整機構を維持する手段と
を備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一つに記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−187642(P2010−187642A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38342(P2009−38342)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】