コンバイン
【課題】支柱自体の構造の大型化を回避しながら、エンジン振動等を受けても、影響を抑制できるコンバインを提供する。
【解決手段】機体の左右一方側にエンジンボンネット21を配置し、機体の左右他方側に脱穀装置3を配置する。エンジンボンネット21を、機体の左右中央側に配置した機体上下向き姿勢の支柱35に支持して、その支柱35の上下向き軸芯Xまわりに、エンジンボンネット21がエンジン28を覆った閉じ状態と、エンジンボンネット21が機体外方に移動してエンジン28を開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成する。脱穀装置3を、連結固定具Aを介して支柱35に連結固定してある。
【解決手段】機体の左右一方側にエンジンボンネット21を配置し、機体の左右他方側に脱穀装置3を配置する。エンジンボンネット21を、機体の左右中央側に配置した機体上下向き姿勢の支柱35に支持して、その支柱35の上下向き軸芯Xまわりに、エンジンボンネット21がエンジン28を覆った閉じ状態と、エンジンボンネット21が機体外方に移動してエンジン28を開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成する。脱穀装置3を、連結固定具Aを介して支柱35に連結固定してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンボンネットを、機体上下向き姿勢の支柱に支持して、その支柱の上下向き軸芯まわりに、前記エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態と、前記エンジンボンネットが機体外方に移動してエンジンを開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成してあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のコンバインは、エンジンボンネットを機体外方側に移動させて、エンジン上方を開放する開き状態に切り換えることができるので、エンジン回りの整備作業を容易迅速に行い得る特徴を有するものである。
上記したコンバインにおいて、エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態に設置されている場合に、エンジンボンネットは、機体上下向き姿勢の支柱に支持されている状態で設置されていた (特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−77178号公報(段落〔0018〕、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の場合には、エンジンボンネットは、機体上下向き姿勢の支柱に支持された状態で機体外方に移動してエンジンを開放した開き状態に切り換えられるので、支柱の荷重負担が大きなものになっていた。
また、エンジンボンネットがエンジンを覆う閉じ状態に設置されている場合にも、前記支柱にエンジンの振動等が作用するために、支柱に対して振動の影響を抑制するためにも、大型化した強度の高い支柱を設ける必要がある。
一方、支柱として強度の高い構造のものを設けるには、大型化する虞れがあり、脱穀装置や穀粒タンク等がエンジンボンネットに近接する状態で設けられているコンバイン自体の機器配置を考慮すると、大型化した支柱を配置するスペースの確保に苦慮する虞もあった。
【0005】
本発明の目的は、支柱自体の構造の大型化を回避しながら、エンジン振動等を受けても、影響を抑制できるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、機体の左右一方側にエンジンボンネットを配置し、機体の左右他方側に脱穀装置を配置し、前記エンジンボンネットを、機体の左右中央側に配置した機体上下向き姿勢の支柱に支持して、その支柱の上下向き軸芯まわりに、前記エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態と、前記エンジンボンネットが機体外方に移動してエンジンを開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成し、脱穀装置を、連結固定具を介して前記支柱に連結固定してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
機体の左右一方側にエンジンボンネットを配置し、機体の左右他方側に脱穀装置を配置してある点に着目して、エンジンボンネットと脱穀装置の中間位置に配置された支柱を脱穀装置に連結固定具を介して連結することとした。
これによって、機体に固定され大型機器である脱穀装置を支柱に連結することができるので、脱穀装置で支柱の強化を図ることができる。
【0008】
〔効果〕
したがって、支柱が受ける振動等を脱穀装置に負担させることが可能になり、支柱自体の構造の大型化を招来することなく、振動抑制効果を大きくすることができた。
【0009】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、穀粒を貯留する穀粒タンクを前記エンジンボンネットの後側に備え、前記穀粒タンクを前記脱穀装置からの穀粒を受け取る作用姿勢と機体外側に移動した非作用姿勢とに切換可能に構成し、前記穀粒タンクを作用姿勢において前記連結固定具に連係してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用〕
穀粒タンクを整備作業の便宜等を図って機体外側に移動可能に構成してあるが、機体内に戻し設置した作用姿勢での穀粒タンクの固定具も必要になる。穀粒タンクも大型機器であるので、作用姿勢で固定状態が堅固であることが望ましい。
そこで、支柱と脱穀装置とを連結する連結固定具に着目し、穀粒タンクを連結固定具に連結することとした。
【0011】
〔効果〕
このような構成によって、支柱が穀粒タンクとも連結されることとなり、支柱自体の強化に繋がるとともに、穀粒タンクが脱穀装置と連結されることとなり、穀粒タンクの作用姿勢で姿勢の安定化が図れる。しかも、穀粒タンクを固定する機構として連結固定具を兼用できる。
【0012】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記連結固定具が、前記支柱から延出された連結固定部材と、前記脱穀装置に取り付けてあるブラケットとで構成し、前記ブラケットに前記連結固定部材を挿通係合する係合孔を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0013】
〔作用効果〕
連結固定具を構成するに、互いに係合する構成のもので形成してあるので、連結固定部材をブラケットの係合孔に係合させるだけの組み付けを行うだけでよく、構造、組み付け作業等を簡単容易に行うことができる。
【0014】
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記ブラケットが、前記脱穀装置を吊り上げる際の吊り上げ具に兼用構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】
〔作用効果〕
連結固定具として脱穀装置側に採用されたブラケットに係合孔を形成しているので、その係合孔を吊り上げ具に兼用でき、機器構成の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、クローラ走行装置1を有した機体と、この機体の機体フレーム2の前部に連結された刈取り部10と、前記機体フレーム2の後部に機体横方向に並べて搭載された脱穀装置3と穀粒タンク4を備えている。
【0017】
このコンバインは、稲,麦などの穀粒を収穫するものである。すなわち、刈取り部10は、この刈取り部10の主フレーム(図示せず)が油圧シリンダ(図示せず)によって機体フレーム2に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部10の前端部に刈取り部横方向に並んで位置する分草具12が地面近くに位置した下降作業状態と、前記分草具12が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部10を下降作業状態にして機体を走行させると、刈取り部10は、前記各分草具12によって刈り取り対象の植立穀稈を分草具12の後方に位置する引起し経路13に導入し、各引起し経路13に導入された植立穀稈を引起し経路13の横側に位置する引起し装置14によって引起し処理するとともに引起し経路13の終端部に位置するバリカン型の刈取り装置15によって刈取り処理し、刈取り装置15からの刈取り穀稈を供給装置(図示せず)によって機体後方向きに搬送して脱穀装置3に供給する。脱穀装置3は、脱穀フィードチェーン(図示せず)によって刈取り穀稈の株元側を挟持して機体後方向きに搬送しながら刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給し、その穂先側を脱穀処理する。穀粒タンク4は、脱穀装置3から搬送された脱穀粒を回収して貯留する。この穀粒タンク4は、タンク内の底部に位置する排出スクリュー(図示せず)と、穀粒タンク4の後部に位置する縦スクリューコンベヤ6と、この縦スクリューコンベヤ6の上端部に連結した横スクリューコンベヤ7とによってタンク内の脱穀粒を排出する。横スクリューコンベヤ7は、縦スクリューコンベヤ6に対して旋回および起伏操作できる。
【0018】
機体は、クローラ走行装置1と機体フレーム2とを備える他、穀粒タンク4の前方近くに位置したエンジンボンネット21を有した原動部20と、エンジンボンネット21の上方に位置した運転座席9を有した運転部8とを備えている。運転部8は、エンジンボンネット21から立設されたドアー付きのキャビン5で覆われている。
【0019】
図2は、運転部8の平面視での構造を示している。図4は、運転部8の側面視での構造を示している。これらの図に示すように、運転部8は、運転座席9を備える他、運転座席9の前方に配置した運転部床フレーム18及び操縦塔19と、運転部床フレーム18の乗降口側とは反対側の端部に位置した横側壁23と、運転座席9の乗降口側とは反対側の横側方に配置した操作盤26とを備えている。横側壁23は、運転部内のエンジンボンネット21と操縦塔19との間の運転操縦室を刈取り部側の外部と仕切り、刈取り部10から運転操縦室内に塵埃が入り込むことを防止している。運転操縦室の上方を覆うキャビン5を設けてある。操縦塔19は、機体の操向操作と刈取り部10の昇降操作とを行う昇降操作レバー17と、エンジン28に関する稼動時間などの情報などを示す計器盤62とを備えている。前記操作盤26は、変速レバー40と、刈取・脱穀クラッチレバー63と、変速レバー40及び刈取・脱穀クラッチレバー63よりも機体前方側に配置したスイッチ盤64とを備えている。変速レバー40は、機体前後方向に揺動操作されることにより、静油圧式無段変速装置43を変速操作し、走行装置1の駆動、停止、変速操作を行う。詳細については後述する。刈取・脱穀クラッチレバー63は、機体前後方向に揺動操作されることにより、刈取・脱穀クラッチ(図示せず)を切換え操作し、脱穀装置3を駆動、停止操作する。スイッチ盤64は、前記横スクリューコンベヤ7を旋回、起伏操作するスイッチ(図示せず)と、横スクリューコンベヤ7の自動運転を入り状態と切り状態とに切換え操作するスイッチ(図示せず)と、横スクリューコンベヤ7が自動運転によって停止される排出位置を選択して設定する操作手段(図示せず)とを備えている。図10に示すように、前記スイッチ盤64は、運転座席9に着座した操縦者から見やすいよう機体前後方向視で運転座席側ほど低くなった傾斜状態になっている。
【0020】
図4及び図5に示すように、原動部20は、前記エンジンボンネット21を備える他、このエンジンボンネット21の機体横外側端部の内部に配置したエンジン冷却ラジエータ27と、前記エンジンボンネット21の内部の前記エンジン冷却ラジエータ27よりも機体の横方向での内側に配置したエンジン28と、エンジンボンネット21の後端側の上部に一体的に連設された吸気ケース29と、この吸気ケース29の内部に設けたエヤクリーナ30とを備えている。
【0021】
図3〜図5に示すように、エンジン28は、エンジン28の一端側に連結された冷却ファン31と、エンジン28の他端側に連結された出力プーリ32とを備え、冷却ファン31が機体横外側に位置し、出力プーリ32が機体横内側に位置した搭載姿勢で機体フレーム2に支持されている。
【0022】
図5及び図6に示すように、エンジンボンネット21は、エンジン28およびエンジン冷却ラジエータ27の上方を覆う前記天板22と、エンジン28およびエンジン冷却ラジエータ27の機体横外側方を覆う前記横側壁23とを備える他、エンジン28の前方を覆う前側壁板24を備えて構成してあり、これらは、いずれも、ネジaによって着脱自在に構成してある。
【0023】
図5及び図6に示すように、エンジンボンネット21は、エンジンボンネット前端側の機体横外側に位置する角部に設けた三角形状の面取り板部21aを備えている。この面取り板部21aは、エンジンボンネット21の乗降口に望む角部の外向き面を上端側ほど機体内側に位置した傾斜面に形成し、エンジンボンネット21を運転部8に対する乗り降りの障害になりにくくしている。
【0024】
図16,20に示すように、エンジンボンネット21の左後側の外部で機体の左右中央側に、機体フレーム2から立設された機体上下向き姿勢の機体側支柱35を配置するとともに、機体側支柱35の上端部に機体側支柱35に対して平行な状態で支持ブラケット34を上方に向けて突出配置し、この支持ブラケット34の下端部に取り付けた平板ブラケット34bを機体側支柱35の上端横側面に取付固定し、上方に向けて延出してある。これにより、エンジンボンネット21は、機体側支柱35が有する機体上下向きの運転部開放軸芯Xまわりで回動自在に支持される。前記運転部開放軸芯Xは、エンジン28よりも機体後方側で、かつ、エンジン28のクランク軸端で成る機体横方向での機体外側端よりも機体内方側に配置してある。
【0025】
つまり、エンジンボンネット21は、図2,3,16、20に示す如く、運転座席9の左側後方に立設された機体側支柱35の運転部開放軸芯X回りで機体横側方に向けて回動切換え自在になっている。図2は、エンジンボンネット21の閉じ状態で平面視状態を示し、図3は、エンジンボンネット21の開き状態での平面視状態を示す。これらの図に示すように、エンジンボンネット21は、運転部開放軸芯Xのまわりで回動操作されることにより、運転部開放軸芯Xよりも機体前方側に位置してエンジン28を覆った閉じ状態と、エンジン28よりも機体後方側に位置してエンジン28を開放した開き状態とに切り換わる。
【0026】
図16、20に示すように、支持ブラケット34の上端に板状ブラケット部34Aを機体側支柱35の上方に延出し、板状ブラケット部34Aに上軸受部材34aを取付固定している。上軸受部材34aは上下向き姿勢で取り付けてあり、下端部まで外径が略一定の径に形成してある。
一方、機体側支柱35の上端に下軸受部材35aが立設してあり、この下軸受部材35aは上下向き姿勢で取り付けてあり、上端部ほど外径が細くなるテーパ状に形成してある。
上下軸受部材34a、35aの間には、回転筒軸77が回転自在に嵌装してあり、この回転筒軸77は、エンジンボンネット21の後部の吸気ケース29に形成された上下向きの切り欠き部29aに固定されている。
【0027】
次に、エヤクリーナ30からエンジン28の吸気マニホールド71への連結構造について説明する。図16〜19に示すように、この連結構造は、吸気マニホールド71に連結された伸縮可能な金属(樹脂)製の伸縮パイプ部分73と、伸縮パイプ部分73に連結された下ベント部分74と、エヤクリーナ30に連結されるゴム製の上ベント部分75と、上下ベント部分74、75を連結する縦向き回転パイプ部分76とで構成される。
【0028】
伸縮パイプ部分73は、図18及び図19に示すように、テーパ繋ぎ部分を有する横向きベント部分73Aと、横向きベント部分73Aの円筒部分73aに内嵌固定されている外側パイプ部分73Bと、外側パイプ部分73Bにパイプ軸芯方向に相対移動可能に内嵌されている内側パイプ部分73Cとで構成してある。
内側パイプ部分73Cの外側パイプ部分73Bに面する外面にOリング82と樹脂製のシールリング材83とが嵌着し、外側パイプ部分73Bの内面にシールリング材83が嵌着してあり、シール機能の向上を図っている。
【0029】
縦向き回転パイプ部分76について説明する。図17に示すように、縦向き回転パイプ部分76は、上ベント部分75の下端膨出部75Aと、下ベント部分74の上端部74Aと、下端膨出部75Aと上端部74Aとの内周面に接触する状態で内嵌されている繋ぎ筒部78とで構成してある。下端膨出部75Aの内周面と繋ぎ筒部78の外周面との間には、円筒状のシール材79とOリング80とが嵌着してある。
【0030】
繋ぎ筒部78の上端部と上ベント部分75の下端部との重合部位に、リング式パイプ締め付け具81を取り付けてあり、繋ぎ筒部78の下端部と下ベント部分74の上端部との重合部位に、リング式パイプ締め付け具81を取り付けてある。
以上のような構成によって、上下ベント部分75、74が縦向き軸芯Y周りで相対回転自在である。
【0031】
このような構成を採るエヤクリーナ30からエンジン28の吸気マニホールド71への連結構造部分では、エンジンボンネット21の横開き回動に連動して、次のような作動が行われる。
つまり、エンジンボンネット21が機体内の所定位置から機体横外側方に回動する際に、かつ、機体横外側方から機体内の所定位置に戻る際には、図18及び図19に示すように、縦向き回転パイプ部分76において、上下ベント部分75,74が縦向き軸芯Y周りで相対回転する。そして、図19に示すように、同時に、伸縮パイプ部分73が伸縮作動する。伸縮パイプ部分73は、シールリング材83同士が当接することによって、伸長限度を構成している。
このように、伸縮パイプ部分73を設けて伸縮作動させるのは、エンジンボンネット21の回転軸芯である運転部開放軸芯Xと縦向き回転パイプ部分76の縦向き軸芯Yとが位置ズレしているからである。
【0032】
運転座席9に着座した運転者の足元部位を構成するフレームが配置してある。つまり、図5〜8に示すように、左前後向きフレーム69から右横側方に向けて支持フレーム87が左右向き姿勢で設けてある。この支持フレーム87は、前後向きフレーム69から一定長さのみ左右方向に沿って延出された短直部分87Aと、その短直部分87Aの延出端より右後方向きに長斜部分87Bを有して、所定位置に配置構成してある。
【0033】
図5〜8に示すように、支持フレーム87の上面には、板状の運転部床88が張設されている。板状の運転部床88は、支持フレーム87より前方に位置する前床板88Aと支持フレーム87より後方に位置する足置きフレームとしての後床板88Bとに分割構成されており、前床板88Aは支持フレーム87等に支持固定されている。
【0034】
前床板88Aの中間部分88aは台形状を呈しており、この中間部分88aは取り外すことができ、運転部8の下方の点検を容易に行えるようになっている。一方、後床板88Bは、支持フレーム87に左右二つの蝶番89を介して揺動開閉自在に取付けてあり、開き操作して立ち姿勢に保持することができる。
図5(a)(b)に示すように、後床板88Bの後端と左横側端とには、板状ブラケット88bが立設してあり、板状ブラケット88bに前記した横側板23と前側壁板24の下端部を取り付けるべく構成してある。
【0035】
図6〜8に示すように、支持フレーム87の下方にはこの支持フレーム87に沿った状態で受止支持する機体側受フレーム92を設けてある。この機体側受フレーム92には、取付ブラケット92Aが設けてあり、運転部床88に形成したブラケット91と取付ブラケット92Aとをボルト連結することができる。これによって、後記するように、機体横側方に揺動開放されるエンジンボンネット21等を含む運転操縦室を所定の運転作業位置に固定できる。
【0036】
運転部床88に形成したブラケット91は、後床板88Bを持上げることによって、視認できる。これによって、後床板88Bを持上げて、エンジンボンネット21等を含む運転操縦室を機体横側方に揺動開放する場合にしか、ボルト連結を解除できないこととなる。
【0037】
図5(a)(b)に示すように、横側壁23は、後床板88Bの左横側端に立ち上げた板状ブラケット88bにボルトaを介して着脱自在に取り付けてある。図5(a)(b)に示すように、前側壁板24及び面取り板部21aは、後床板88Bの後端に立ち上げた板状ブラケット88bにボルトaを介して着脱自在に取り付けてある。これによって、横側壁23と前側壁板24及び面取り板部21aとを、取り外すことが可能である。
横側壁23と前側壁板24及び面取り板部21aとは、後記するように、エンジンボンネット21を揺動開放する際に取り外され、後床板88Bは、図5(b)、図7に示すように、開き操作して立ち姿勢に保持される。エンジン28及びラジエータ27との干渉を回避するためである。
【0038】
次ぎに、走行用ブレーキ操作具41と横前壁板25との関係を説明する。図4〜6、7に示すように、横前壁板25は横側壁23の更に前方側に位置し、中間部分に縦長い抜き孔25aが形成され、走行用ブレーキ操作具41の回転操作軸42が、この縦長い抜き孔25aを貫通して運転部8内に突出する構成を採っている。つまり、この縦長い抜き孔25aによって、走行用ブレーキ操作具41の踏み込み操作を許容する構成を採っている。
【0039】
図1,2に示すように、運転部8は、前記操作盤26に設けた操作具としての変速レバー40と、前記運転部床88の前端側に設けた操作具としての走行用ブレーキ操作具41とを備えている。図7に示すように、変速レバー40は、前記機体フレーム2の前端部に支持されたミッションケース11に装備された静油圧式無段変速装置43を変速操作し、これによってクローラ走行装置1を駆動、停止、変速操作する。図11に示すように、走行用ブレーキ操作具41は、前記ミッションケース11に装備された操作対象装置としての摩擦式の走行用ブレーキ70を操作し、これによって走行装置1を制動操作する。
【0040】
変速レバー40による変速構造について説明する。図11に示すように、変速レバー40による変速構造においては、アシストモータ45による変速構造を採用しており、アシストモータ45を駆動制御する為に、変速レバー40への操作を検出する検出手段(図示せず)を設けている。検出手段としては、種々のものが使用できるが、変速レバー40の正逆方向への移動を検出する近接センサやリミットスイッチを採用する。
【0041】
アシストモータ45によって、変速レバー40を駆動する構成について説明する。図11及び12、14に示すように、アシストモータ45の出力軸45aに出力ギヤ46を装着し、出力ギヤ46と大小二つの中継ギヤ47を介して、駆動軸48Aに装着された駆動ギヤ48にアシストモータ45の動力を伝達可能に構成してある。駆動軸48Aは、操作盤26の下方に垂下された支持ブラケット26Dから延出されている支軸40aに遊転支承されており、駆動ギヤ48を動力伝達可能に装着している。変速レバー40のレバー基端部40Aは、この駆動軸48Aに遊転支承してある。
【0042】
図12に示すように、変速レバー40のレバー基端部40Aは、駆動軸48Aに遊転外嵌されており、二つの摩擦板49、49に挟まれて、受け止めディスク39によって駆動軸48Aに取り付けられている。受け止めディスク39とともに駆動軸48Aに押圧ディスク38を外嵌し、受け止めディスク39と押圧ディスク38との間に板バネ37を介在させて、ダブルナット38Aで変速レバー40を摩擦保持している。
変速レバー40のレバー基端部40Aの両側面に摩擦板49が密着装着されて、摩擦保持力によって、変速レバー40が駆動軸48Aと一体的に回動可能に、かつ、摩擦保持力に抗して駆動軸48Aに対して滑り作動可能に構成してある。このように、摩擦板49を使用した構成を摩擦保持機構33と称する。
【0043】
以上のような構成によって、アシストモータ45によって回転停止状態にある駆動ギヤ48に対して、摩擦保持機構33の摩擦保持力に抗して中立位置より変速レバー40を前後進の一方に操作すると、駆動ギヤ48に対して変速レバー40が僅かに回転し、変速レバー40の作動を検出手段が作動する。この検出作動を受けて、図示していない、制御手段によってアシストモータ45が駆動され、アシストモータ45の作動によって、駆動軸48Aが回転駆動されて、摩擦保持機構33によって駆動軸48Aに摩擦連係されている変速レバー40が駆動される。変速レバー40が一定程度回転すると、検出手段が変速レバー40から離れて、非検出状態に戻り、その時点で駆動ギヤ48の回転は停止する。
【0044】
次ぎに、変速レバー40によって、静油圧式無段変速装置43を操作する形態について説明する。図7、8、11、12、14に示すように、前記変速用の機械式連動機構50は、無段変速装置43の操作部43aに連結された第1ユニバーサルジョイント53Aを介して連結されている第1連動ロッド53と、第1連動ロッド53の中間位置に装備されている防振機構54と、第1連動ロッド53の上端部に固着されている下連結分離板55と、下連結分離板55と連結分離自在に左右に重ね合わせてボルト連結されている上連結分離板56と、上連結分離板56から上方に立ち上げ中間位置にジャバラ57Aで覆われた第2連動ロッド57と、第2連動ロッド57の上端に取り付けてあるユニバーサルジョイン57Cを介してその第2連動ロッド57を連結する駆動アーム40Bとで構成してある。駆動アーム40Bは、変速レバー40のレバー基端部40Aから延出されている。
【0045】
以上のような構成により、エンジンボンネット21を開き状態に開放操作するには、上下連結分離板55、56を連結しているボルト56Aを取り外すことによって、上連結分離板56、第2連動ロッド57は、変速レバー40及びエンジンボンネット21とともに開き側に移動する。下連結分離板55、第1連動ロッド53は、ミッションケース11とともに、機体フレーム2側に残ることとなる。
【0046】
開き状態に開放操作したエンジンボンネット21を閉じ状態に復帰させる際に、変速レバー40の中立操作位置を得やすくする中立操作位置決め機構Cについて説明する。図7〜10に示すように、機体側支柱35の上端から機体前方側に向けて横向き支持フレーム98を延出するとともに、横向き支持フレーム98の前端から横外側方に向けて連結フレーム100を延出し、その連結フレーム100から下向きに上下向き支持フレーム99を延出して、上下向き支持フレーム99の下端をミッションケース42に取付固定してある。
【0047】
図9、10に示すように、これら、機体側支柱35と、横向き支持フレーム98と、上下向き支持フレーム99と、連結フレーム100とで、エンジンボンネット21の開き姿勢においても機体側に支持される固定側のフレームを構成する。
一方、エンジンボンネット21と一体で開き姿勢に作動するのは、運転部8を構成する運転座席9他、運転座席9の前方に配置した運転部床フレーム18及び操縦塔19と、運転部床フレーム18の乗降口側とは反対側の端部に位置した横側壁23と、運転座席9の乗降口側とは反対側の横側方に配置した操作盤26、及び、その下方の操作空間を確保する操作室26Bとが該当する。
【0048】
図9及び図10に示すように、横向き支持フレーム98と上下向き支持フレーム99との連結部位に連結フレーム100を設け、連結フレーム100に中立操作位置決め機構Cを上下位置調節可能に取り付けてある。
中立操作位置決め機構Cは、略四角形のベース板101と、ベース板101から下方に延出される3つの脚部102と、ベース板101上に載置される前後一対の防振ゴム板103と、防振ゴム板103上に載置される誘導板104とで構成される。
【0049】
3つの脚部102は、左側で前後方向に配置された二つの脚部102と、右側で前後中間位置に配置された単一の脚部102とで構成されている。各脚部102は、連結フレーム100を貫通する状態で配置され、連結フレーム100ないに形成されたブラケット部100Aに横向きボルト105を介して取り付けてある。図示してはいないが、横向きボルト105を貫通する孔は上下に長い長孔102aになっており、長孔102aの範囲内でベース板101の上下位置を調節可能である。ここに、横向きボルト105と長孔102aとで、上下位置調節機構Fを構成する。
【0050】
ベース板101の上面には、前後一対の防振ゴム板103が配置されており、さらに、防振ゴム板103の上に誘導板104が載置され、ベース板101、防振ゴム板103、誘導板104が皿ネジ106によって取付固定されている。
誘導板104は、右側からもとの閉じ姿勢に戻ってくる操作室26Bの底板26Cを誘導板104の上面に誘導する誘導傾斜面104Aを左端部に形成してある。
ベース板101の左端にはアングル材107が立設されており、このアングル材107の縦向き部分に防振ゴム板107Aが装着してある。この防振ゴム板107Aで操作室26Bの支持側板26Aを受け止めて、エンジンボンネット21の左右方向での位置決めを行うことができる。
【0051】
以上のような構成によって、図7及び図9に示すように、エンジンボンネット21と一体で元の載置姿勢に戻る操作室26Bの底板26Cは、誘導傾斜面104Aに誘導されて誘導板104の上面に至る。上面に至った操作室26Bは誘導板104の上面を横移動して、操作室26Bを形成する支持側板26Aが防振ゴム板107Aに当接するまで移動する。
このように、操作室26Bが誘導板104上に持ち上げられて所定位置に載置されるので、操作盤26に取付られている変速レバー40を静油圧式無段変速装置43の中立操作位置に合致させた連係が容易に行い得る。
【0052】
走行用ブレーキ操作具41としての走行用ブレーキペダルの操作構造について説明する。
図7,8及び図11〜15に示すように、走行用ブレーキペダル41は、運転操縦部の横前壁板25の近傍に配置してあり、横前壁板25を貫通して操作盤26の下方空間内において、上下向き姿勢の第1連係リンク44Aの下端に片持ち状態で支持された操作軸42に取付固定してある。
【0053】
操作軸42における走行用ブレーキペダル41装着部位とは反対側端部には、ガイドローラ42Aが取り付けてあり、機体フレーム2に取付固定したガイド体22のガイド溝に沿って上下動可能に構成してある。
第1連係リンク44Aの上端位置には、水平姿勢の第2連係リンク44Bが配備してあり、第2連係リンク44Bは、操作盤26を支持する支持側板26Aに対向する状態で配置された取付ブラケット61に揺動自在に取付てある。
【0054】
図7,8及び図11〜15に示すように、第2連係リンク44Bの基端ボス部44bは取付ブラケット61に取付られた支持ピン61Aに遊転自在に支持されるとともに、第2連係リンク44Bの基端ボス部44bより第2連係リンク44Bと一体で揺動可能な第3連係リンク44Cが延出してある。第3連係リンク44Cの先端部に、走行ブレーキ70に連係されたリンク連係機構65と、走行用ブレーキペダル41を待機位置に付勢する付勢バネ68が接続されている。
【0055】
以上のように、第2連係リンク44Bと第3連係リンク44Cとが共通の基端ボス部44bを取付ブラケット61に支持ピン61Aを介して支持することによって、走行用ブレーキペダル41を吊り下げ支持している。この状態で走行用ブレーキペダル41を踏み込み操作すると、第1連係リンク44Aと第2連係リンク44Bとが相対回動しながら支持ピン61A周りで回動し、第3連係リンク44Cが第2連係リンク44Bと一体回動して、走行ブレーキ70を入り操作する。
【0056】
図11及び14に示すように、取付ブラケット61の支持ピン61Aの近傍にリミットスイッチ71が装着してあり、第3連係リンク44Cにアングル状のリミットドック44aを取り付けてある。これによって、走行用ブレーキペダル41を踏み込み操作して走行ブレーキ70が入り操作されると、第3連係リンク44Cの作動に連れてリミットドッグ44aでリミットスイッチ71が押圧操作されて、エンジンボンネット21の開き状態への切換が可能な信号が出力される。
【0057】
図11及び図13に示すように、取付ブラケット61におけるリミット取付位置とは別個の端部に手動操作用のブレーキ操作具72を設けてある。ブレーキ操作具72は、取付ブラケット61に支点72a回りで上下方向に天秤揺動自在に取り付けてあり、運転座席側に握り部72Aを延出し、揺動支点位置を挟んで反対側端に第2連係リンク44Bを押し付け作用する先端作用部72Bを形成している。
上記のような構成によって、握り部72Aを持ち上げ操作することによって、先端作用部72Bで第2連係リンク44Bを押し下げ操作して、ブレーキ入り状態を維持することができる。
なお、ブレーキ操作具72には、トーションバネ72bが巻回してあり、第2連係リンク44Bから離れる方向に付勢されている。また、ブレーキ操作具72をブレーキ入り状態に維持する機構については、図示していないが、ブレーキ操作具72を支持する支点位置に摩擦保持機構や引っ掛け係止機構などを設けることができる。
【0058】
走行用ブレーキ操作具41で変速レバー40を、静油圧式無段変速装置43の中立位置に戻す機構について説明する。図14及び図15に示すように、変速レバー40のレバー基端部40Aに取り付けてある駆動アーム40Bに、両端部が折り曲げ形成してある中立戻しアーム58を略平行な状態でボルトを介して取付固定する。中立戻しアーム58の両端部より相対揺動可能に一対の引き戻しアーム60を取付け、引き戻しアーム60を下方に向けて延出し、延出した下端同士をピン60Aで連係する。
【0059】
両引き戻しアーム60の下端同士を連係するピン60Aは、第2連係リンク44Bを貫通し、取付ブラケット61をも貫通している。ピン60Aが貫通する第2連係リンク44Bの孔は単なる円形孔であるが、取付ブラケット61に形成してある貫通孔61Aは円弧状に形成されている。
一方、引き戻しアーム60には、略全長に亘る長孔60aが形成してあり、ピン60Aがその長孔60a内を移動できるようになっている。
【0060】
以上のような構成によって、図13及び図15(b)に示すように、走行用ブレーキペダル41が下方の踏み込み位置に位置する場合には、両引き戻しアーム60が略V字状に
交差する状態にあり、ピン60Aも両引き戻しアーム60の長孔60aの下端に位置している。この状態では、変速レバー40の駆動アーム40Bの姿勢が、両引き戻しアーム60と三角形を形成し、かつ、その状態に規制される。
このような状態が変速レバー40の中立位置である。
【0061】
上記状態より、図15(a)に示すように、走行用ブレーキペダル41を上方に戻し操作すると、第1連係リンク44A、第2連係リンク44Bが上方に揺動し、第2連係リンク44Bが中立戻しアーム58に近接する。中立戻しアーム58に近接すると、両引き戻しアーム60が、中立戻しアーム58に対する揺動支点を中心に互いに交差するように揺動し、両引き戻しアーム60が変速レバー40の前進側への操作移動を許容する。
【0062】
機体側支柱35と脱穀装置3との連係構造について説明する。
図20〜23に示すように、機体側支柱35に平行に取付固定されている筒状の支持ブラケット34の上端に板状ブラケット部34Aを取付固定してある。この板状ブラケット部34Aの上面と、脱穀装置3の穀粒タンク4に向かう側面とを連結する連結固定具Aを配置してある。
【0063】
連結固定具Aは、機体側支柱35から延出された連結固定部材84と、脱穀装置3に取り付けてあるブラケット85とで構成し、ブラケット85に連結固定部材84の連結用ロッド84Aを挿通係合する係合孔85bを形成してある。連結固定部材84は、連結用ロッド84Aと連結用ロッド84Aの基端部を取付固定する取付ベース84Bとで構成し、取付ベース84Bを支持ブラケット34の板状ブラケット部34Aに載置固定している。
【0064】
一方、脱穀装置3の側面に取り付けるブラケット85について説明する。脱穀装置3の穀粒タンク4に向かう側面で上端部近くにブラケット85を取り付けてある。ブラケット85は、脱穀装置3の側面に設けてある枠フレーム3Aに取付固定される板状ベース85Aと、板状ベース85Aから直交する姿勢で穀粒タンク4に向けて延出してある板状部材85Bとで構成してある。
板状部材85Bには上下斜交いに丸孔状の係合孔85bが設けてある。このように、脱穀装置3の側面にブラケット85が取り付けてあるので、このブラケット85を脱穀装置3を吊り上げる際の吊り上げ具に兼用することができる。
【0065】
以上のような構成によって、連結用ロッド84Aを板状部材85Bの係合孔85bを貫通させることによって、機体側支柱35と脱穀装置3とを連結する。このことによって、機体外に移動開放作動することを可能に構成されているので、機体内での所定位置に取り付け固定された場合にも、振動の影響を受けやすいエンジンボンネット21や運転座席9の振動を抑制することができる。
【0066】
次に、穀粒タンク4を機体内の作用姿勢で固定する構造について説明する。図2及び図3に示すように、穀粒タンク4を脱穀装置3からの穀粒を受け取る作用姿勢と機体外側に移動した非作用姿勢とに切換えられる。穀粒タンク4は、後端に配置した縦スクリューコンベア6の縦向き軸芯Pを中心として、全体を機体外方に揺動させて非作用姿勢に切り換えられる。このように、穀粒タンク4を非作用姿勢に切り換えるのは、脱穀装置3と穀粒タンク4との間に配置される機器へのメインテナンス作業のためと、機体横側方に揺動して開き状態となるエンジンボンネット21との干渉を回避するためである。
【0067】
作用姿勢において、機体側支柱35に取り付けた連結固定具Aに連結する構成について説明する。図21及び図24に示すように、穀粒タンク4の機体側支柱35に向かう側面に、連結固定機構Bが設けてある。連結固定機構Bは、穀粒タンク4の側面に取り付けて固定される板状の受け部86と、板状の受け部86に揺動自在に取付られた板状の係止アーム93とで構成してある。
【0068】
連結固定機構Bを設置する部位には、穀粒タンク4の角部の一部を切欠いた開口部を形成してあり、その開口内に入り込みその凹入空間を形成しながら、開口を塞ぐカバー体95を装着してある。このカバー体95は、凹入空間を形成する為に、奥壁95Aと奥壁95Aの上下端と左側壁95Bの左端とに、穀粒タンク4の機体側支柱35に向かう側面に重ね合わせ状態で取付固定されるフランジ部95aを設けてある。
【0069】
板状の受け部86は、フランジ部95aの三箇所で止め付けられる矩形の装着部分86Aと、その装着部分86Aの先端側に形成してある受け止め部分86Bとを一体形成してある。受け止め部分86Bに、機体側支柱35から延出された連結固定部材84の連結用ロッド84Aを受け止める上向きに凹入する円弧状受止部86bを形成してある。
【0070】
一方、係止アーム93は、板状の受け部86に支点86a回りで揺動自在に枢支してあり、連結固定部材84の連結用ロッド84Aを下方から受け入れる下向き凹入部93Aを形成してある。係止アーム93の下向き凹入部93Aと板状の受け部86の受け止め部分86Bとで、連結用ロッド84Aを上下から挟み込み保持する構成を採っている。
係止アーム93と板状の受け部86とに亘って付勢バネ94が架渡してあり、連結用ロッド84Aを上下から挟み込み保持する方向に付勢する構成となっている。
【0071】
係止アーム93に対する操作構造について説明する。図21に示すように、係止アーム93が取り付けてある側面における下端部に、切換操作レバー96を揺動自在に支持する。切換操作レバー96と係止アーム93とを連係リンク97で連係してある。
【0072】
以上のような構成により、図24(a)に示すように、穀粒タンク4の作用姿勢においては、係止アーム93の下向き凹入部93Aと板状の受け部86の受け止め部分86Bとで、連結用ロッド84Aを上下から挟み込み保持するようになっている。
この状態より、穀粒タンク4を非作用姿勢側に移動させると、付勢バネ94の付勢力に抗して係止アーム93の取付点回りで揺動して、連結用ロッド84Aから離間する。離間した後に、付勢バネ94の付勢力に抗して切換操作レバー96を操作すると、係止アーム93を図24(b)に示す状態に切り換えることができ、連結用ロッド84Aとの係合が解除される。
【0073】
〔別実施形態〕
(1) 連結固定具としては、連結用ロッド84Aと係合孔85bとで構成するだけでなく、ネジで連結固定する場合や連結ピンを連結用ロッド84Aに差込み抜止固定する構造も含まれる。
(2) エンジンボンネット21と運転座席9とを一体で機体外方に移動させる形態を採ったが、エンジンボンネット21だけ移動させる構成を採ってもよく、また、キャビン5を備えていないコンバインにも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】コンバインのエンジンボンネット開き状態での平面図
【図4】運転部の側面図
【図5】エンジンボンネットを示す斜視図であり、(a)は横側壁、前側壁板、面取り板部を所定位置に取り付けた状態を示し、(b)は横側壁、前側壁板、面取り板部を取り外し、後床板を持ち上げた状態を示す
【図6】エンジンボンネットを横側方に開き操作した状態を示す平面図
【図7】エンジンボンネットを閉じ状態に設定した状態で、ブレーキ操作具と走行用ブレーキとの連動機構、変速レバー、変速レバーと静油圧式無段変速装置とを連係する機構を示す縦断正面図
【図8】エンジンボンネットが開き状態に切り換わる途中の状態を示す縦断正面図
【図9】操縦盤を支持する中立操作位置決め機構を示す縦断正面図
【図10】操縦盤を支持する中立操作位置決め機構を示す平面図
【図11】変速レバーと静油圧式無段変速装置との連係機構、走行用ブレーキとブレーキ操作具との連係機構を示す側面図
【図12】変速レバーと静油圧式無段変速装置との連係機構、走行用ブレーキとブレーキ操作具との連係機構の一部を示す拡大縦断正面図
【図13】走行用ブレーキペダルと人為的ブレーキ操作具とを示す正面図
【図14】走行用ブレーキペダルと走行用ブレーキとの連係機構を示す底面図
【図15】(a)前進変速状態と走行用ブレーキを切り状態に切り換えた状態での変速中立位置に戻す機構の切り換わり状態を示す側面図、(b)走行用ブレーキを入り状態に切り換え、走行変速状態を変速中立位置に戻した状態を示す側面図
【図16】支柱とエヤクリーナの設置状態を示す背面図
【図17】エヤクリーナとエンジンの吸気マニホールドを連係する機構を示す一部切り欠き背面図
【図18】エンジンボンネットが閉じ状態でのエヤクリーナとエンジンの吸気マニホールドを連係する機構を示す一部切り欠き平面図
【図19】エンジンボンネットが開き状態に切り換わった状態でのエヤクリーナとエンジンの吸気マニホールドを連係する機構を示す一部切り欠き平面図
【図20】支柱と脱穀装置とを連結する連結固定具を示す斜視図
【図21】支柱と穀粒タンクとを連結する連結固定機構を備えた穀粒タンクを示す正面図
【図22】支柱と脱穀装置、支柱と穀粒タンク、及び、連結固定機構とを連結する連結固定具を示す平面図
【図23】連結固定機構を示す分解斜視図
【図24】(a)連結固定機構の連結状態を示す正面図、(b)連結固定機構の連結解除状態を示す正面図
【符号の説明】
【0075】
3 脱穀装置
4 穀粒タンク
28 エンジン
35 支柱
85 ブラケット
85b 係合孔
A 連結固定具
B 連結固定機構
X 縦向き軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンボンネットを、機体上下向き姿勢の支柱に支持して、その支柱の上下向き軸芯まわりに、前記エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態と、前記エンジンボンネットが機体外方に移動してエンジンを開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成してあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のコンバインは、エンジンボンネットを機体外方側に移動させて、エンジン上方を開放する開き状態に切り換えることができるので、エンジン回りの整備作業を容易迅速に行い得る特徴を有するものである。
上記したコンバインにおいて、エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態に設置されている場合に、エンジンボンネットは、機体上下向き姿勢の支柱に支持されている状態で設置されていた (特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−77178号公報(段落〔0018〕、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の場合には、エンジンボンネットは、機体上下向き姿勢の支柱に支持された状態で機体外方に移動してエンジンを開放した開き状態に切り換えられるので、支柱の荷重負担が大きなものになっていた。
また、エンジンボンネットがエンジンを覆う閉じ状態に設置されている場合にも、前記支柱にエンジンの振動等が作用するために、支柱に対して振動の影響を抑制するためにも、大型化した強度の高い支柱を設ける必要がある。
一方、支柱として強度の高い構造のものを設けるには、大型化する虞れがあり、脱穀装置や穀粒タンク等がエンジンボンネットに近接する状態で設けられているコンバイン自体の機器配置を考慮すると、大型化した支柱を配置するスペースの確保に苦慮する虞もあった。
【0005】
本発明の目的は、支柱自体の構造の大型化を回避しながら、エンジン振動等を受けても、影響を抑制できるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、機体の左右一方側にエンジンボンネットを配置し、機体の左右他方側に脱穀装置を配置し、前記エンジンボンネットを、機体の左右中央側に配置した機体上下向き姿勢の支柱に支持して、その支柱の上下向き軸芯まわりに、前記エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態と、前記エンジンボンネットが機体外方に移動してエンジンを開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成し、脱穀装置を、連結固定具を介して前記支柱に連結固定してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
機体の左右一方側にエンジンボンネットを配置し、機体の左右他方側に脱穀装置を配置してある点に着目して、エンジンボンネットと脱穀装置の中間位置に配置された支柱を脱穀装置に連結固定具を介して連結することとした。
これによって、機体に固定され大型機器である脱穀装置を支柱に連結することができるので、脱穀装置で支柱の強化を図ることができる。
【0008】
〔効果〕
したがって、支柱が受ける振動等を脱穀装置に負担させることが可能になり、支柱自体の構造の大型化を招来することなく、振動抑制効果を大きくすることができた。
【0009】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、穀粒を貯留する穀粒タンクを前記エンジンボンネットの後側に備え、前記穀粒タンクを前記脱穀装置からの穀粒を受け取る作用姿勢と機体外側に移動した非作用姿勢とに切換可能に構成し、前記穀粒タンクを作用姿勢において前記連結固定具に連係してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用〕
穀粒タンクを整備作業の便宜等を図って機体外側に移動可能に構成してあるが、機体内に戻し設置した作用姿勢での穀粒タンクの固定具も必要になる。穀粒タンクも大型機器であるので、作用姿勢で固定状態が堅固であることが望ましい。
そこで、支柱と脱穀装置とを連結する連結固定具に着目し、穀粒タンクを連結固定具に連結することとした。
【0011】
〔効果〕
このような構成によって、支柱が穀粒タンクとも連結されることとなり、支柱自体の強化に繋がるとともに、穀粒タンクが脱穀装置と連結されることとなり、穀粒タンクの作用姿勢で姿勢の安定化が図れる。しかも、穀粒タンクを固定する機構として連結固定具を兼用できる。
【0012】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記連結固定具が、前記支柱から延出された連結固定部材と、前記脱穀装置に取り付けてあるブラケットとで構成し、前記ブラケットに前記連結固定部材を挿通係合する係合孔を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0013】
〔作用効果〕
連結固定具を構成するに、互いに係合する構成のもので形成してあるので、連結固定部材をブラケットの係合孔に係合させるだけの組み付けを行うだけでよく、構造、組み付け作業等を簡単容易に行うことができる。
【0014】
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記ブラケットが、前記脱穀装置を吊り上げる際の吊り上げ具に兼用構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】
〔作用効果〕
連結固定具として脱穀装置側に採用されたブラケットに係合孔を形成しているので、その係合孔を吊り上げ具に兼用でき、機器構成の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、クローラ走行装置1を有した機体と、この機体の機体フレーム2の前部に連結された刈取り部10と、前記機体フレーム2の後部に機体横方向に並べて搭載された脱穀装置3と穀粒タンク4を備えている。
【0017】
このコンバインは、稲,麦などの穀粒を収穫するものである。すなわち、刈取り部10は、この刈取り部10の主フレーム(図示せず)が油圧シリンダ(図示せず)によって機体フレーム2に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部10の前端部に刈取り部横方向に並んで位置する分草具12が地面近くに位置した下降作業状態と、前記分草具12が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部10を下降作業状態にして機体を走行させると、刈取り部10は、前記各分草具12によって刈り取り対象の植立穀稈を分草具12の後方に位置する引起し経路13に導入し、各引起し経路13に導入された植立穀稈を引起し経路13の横側に位置する引起し装置14によって引起し処理するとともに引起し経路13の終端部に位置するバリカン型の刈取り装置15によって刈取り処理し、刈取り装置15からの刈取り穀稈を供給装置(図示せず)によって機体後方向きに搬送して脱穀装置3に供給する。脱穀装置3は、脱穀フィードチェーン(図示せず)によって刈取り穀稈の株元側を挟持して機体後方向きに搬送しながら刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給し、その穂先側を脱穀処理する。穀粒タンク4は、脱穀装置3から搬送された脱穀粒を回収して貯留する。この穀粒タンク4は、タンク内の底部に位置する排出スクリュー(図示せず)と、穀粒タンク4の後部に位置する縦スクリューコンベヤ6と、この縦スクリューコンベヤ6の上端部に連結した横スクリューコンベヤ7とによってタンク内の脱穀粒を排出する。横スクリューコンベヤ7は、縦スクリューコンベヤ6に対して旋回および起伏操作できる。
【0018】
機体は、クローラ走行装置1と機体フレーム2とを備える他、穀粒タンク4の前方近くに位置したエンジンボンネット21を有した原動部20と、エンジンボンネット21の上方に位置した運転座席9を有した運転部8とを備えている。運転部8は、エンジンボンネット21から立設されたドアー付きのキャビン5で覆われている。
【0019】
図2は、運転部8の平面視での構造を示している。図4は、運転部8の側面視での構造を示している。これらの図に示すように、運転部8は、運転座席9を備える他、運転座席9の前方に配置した運転部床フレーム18及び操縦塔19と、運転部床フレーム18の乗降口側とは反対側の端部に位置した横側壁23と、運転座席9の乗降口側とは反対側の横側方に配置した操作盤26とを備えている。横側壁23は、運転部内のエンジンボンネット21と操縦塔19との間の運転操縦室を刈取り部側の外部と仕切り、刈取り部10から運転操縦室内に塵埃が入り込むことを防止している。運転操縦室の上方を覆うキャビン5を設けてある。操縦塔19は、機体の操向操作と刈取り部10の昇降操作とを行う昇降操作レバー17と、エンジン28に関する稼動時間などの情報などを示す計器盤62とを備えている。前記操作盤26は、変速レバー40と、刈取・脱穀クラッチレバー63と、変速レバー40及び刈取・脱穀クラッチレバー63よりも機体前方側に配置したスイッチ盤64とを備えている。変速レバー40は、機体前後方向に揺動操作されることにより、静油圧式無段変速装置43を変速操作し、走行装置1の駆動、停止、変速操作を行う。詳細については後述する。刈取・脱穀クラッチレバー63は、機体前後方向に揺動操作されることにより、刈取・脱穀クラッチ(図示せず)を切換え操作し、脱穀装置3を駆動、停止操作する。スイッチ盤64は、前記横スクリューコンベヤ7を旋回、起伏操作するスイッチ(図示せず)と、横スクリューコンベヤ7の自動運転を入り状態と切り状態とに切換え操作するスイッチ(図示せず)と、横スクリューコンベヤ7が自動運転によって停止される排出位置を選択して設定する操作手段(図示せず)とを備えている。図10に示すように、前記スイッチ盤64は、運転座席9に着座した操縦者から見やすいよう機体前後方向視で運転座席側ほど低くなった傾斜状態になっている。
【0020】
図4及び図5に示すように、原動部20は、前記エンジンボンネット21を備える他、このエンジンボンネット21の機体横外側端部の内部に配置したエンジン冷却ラジエータ27と、前記エンジンボンネット21の内部の前記エンジン冷却ラジエータ27よりも機体の横方向での内側に配置したエンジン28と、エンジンボンネット21の後端側の上部に一体的に連設された吸気ケース29と、この吸気ケース29の内部に設けたエヤクリーナ30とを備えている。
【0021】
図3〜図5に示すように、エンジン28は、エンジン28の一端側に連結された冷却ファン31と、エンジン28の他端側に連結された出力プーリ32とを備え、冷却ファン31が機体横外側に位置し、出力プーリ32が機体横内側に位置した搭載姿勢で機体フレーム2に支持されている。
【0022】
図5及び図6に示すように、エンジンボンネット21は、エンジン28およびエンジン冷却ラジエータ27の上方を覆う前記天板22と、エンジン28およびエンジン冷却ラジエータ27の機体横外側方を覆う前記横側壁23とを備える他、エンジン28の前方を覆う前側壁板24を備えて構成してあり、これらは、いずれも、ネジaによって着脱自在に構成してある。
【0023】
図5及び図6に示すように、エンジンボンネット21は、エンジンボンネット前端側の機体横外側に位置する角部に設けた三角形状の面取り板部21aを備えている。この面取り板部21aは、エンジンボンネット21の乗降口に望む角部の外向き面を上端側ほど機体内側に位置した傾斜面に形成し、エンジンボンネット21を運転部8に対する乗り降りの障害になりにくくしている。
【0024】
図16,20に示すように、エンジンボンネット21の左後側の外部で機体の左右中央側に、機体フレーム2から立設された機体上下向き姿勢の機体側支柱35を配置するとともに、機体側支柱35の上端部に機体側支柱35に対して平行な状態で支持ブラケット34を上方に向けて突出配置し、この支持ブラケット34の下端部に取り付けた平板ブラケット34bを機体側支柱35の上端横側面に取付固定し、上方に向けて延出してある。これにより、エンジンボンネット21は、機体側支柱35が有する機体上下向きの運転部開放軸芯Xまわりで回動自在に支持される。前記運転部開放軸芯Xは、エンジン28よりも機体後方側で、かつ、エンジン28のクランク軸端で成る機体横方向での機体外側端よりも機体内方側に配置してある。
【0025】
つまり、エンジンボンネット21は、図2,3,16、20に示す如く、運転座席9の左側後方に立設された機体側支柱35の運転部開放軸芯X回りで機体横側方に向けて回動切換え自在になっている。図2は、エンジンボンネット21の閉じ状態で平面視状態を示し、図3は、エンジンボンネット21の開き状態での平面視状態を示す。これらの図に示すように、エンジンボンネット21は、運転部開放軸芯Xのまわりで回動操作されることにより、運転部開放軸芯Xよりも機体前方側に位置してエンジン28を覆った閉じ状態と、エンジン28よりも機体後方側に位置してエンジン28を開放した開き状態とに切り換わる。
【0026】
図16、20に示すように、支持ブラケット34の上端に板状ブラケット部34Aを機体側支柱35の上方に延出し、板状ブラケット部34Aに上軸受部材34aを取付固定している。上軸受部材34aは上下向き姿勢で取り付けてあり、下端部まで外径が略一定の径に形成してある。
一方、機体側支柱35の上端に下軸受部材35aが立設してあり、この下軸受部材35aは上下向き姿勢で取り付けてあり、上端部ほど外径が細くなるテーパ状に形成してある。
上下軸受部材34a、35aの間には、回転筒軸77が回転自在に嵌装してあり、この回転筒軸77は、エンジンボンネット21の後部の吸気ケース29に形成された上下向きの切り欠き部29aに固定されている。
【0027】
次に、エヤクリーナ30からエンジン28の吸気マニホールド71への連結構造について説明する。図16〜19に示すように、この連結構造は、吸気マニホールド71に連結された伸縮可能な金属(樹脂)製の伸縮パイプ部分73と、伸縮パイプ部分73に連結された下ベント部分74と、エヤクリーナ30に連結されるゴム製の上ベント部分75と、上下ベント部分74、75を連結する縦向き回転パイプ部分76とで構成される。
【0028】
伸縮パイプ部分73は、図18及び図19に示すように、テーパ繋ぎ部分を有する横向きベント部分73Aと、横向きベント部分73Aの円筒部分73aに内嵌固定されている外側パイプ部分73Bと、外側パイプ部分73Bにパイプ軸芯方向に相対移動可能に内嵌されている内側パイプ部分73Cとで構成してある。
内側パイプ部分73Cの外側パイプ部分73Bに面する外面にOリング82と樹脂製のシールリング材83とが嵌着し、外側パイプ部分73Bの内面にシールリング材83が嵌着してあり、シール機能の向上を図っている。
【0029】
縦向き回転パイプ部分76について説明する。図17に示すように、縦向き回転パイプ部分76は、上ベント部分75の下端膨出部75Aと、下ベント部分74の上端部74Aと、下端膨出部75Aと上端部74Aとの内周面に接触する状態で内嵌されている繋ぎ筒部78とで構成してある。下端膨出部75Aの内周面と繋ぎ筒部78の外周面との間には、円筒状のシール材79とOリング80とが嵌着してある。
【0030】
繋ぎ筒部78の上端部と上ベント部分75の下端部との重合部位に、リング式パイプ締め付け具81を取り付けてあり、繋ぎ筒部78の下端部と下ベント部分74の上端部との重合部位に、リング式パイプ締め付け具81を取り付けてある。
以上のような構成によって、上下ベント部分75、74が縦向き軸芯Y周りで相対回転自在である。
【0031】
このような構成を採るエヤクリーナ30からエンジン28の吸気マニホールド71への連結構造部分では、エンジンボンネット21の横開き回動に連動して、次のような作動が行われる。
つまり、エンジンボンネット21が機体内の所定位置から機体横外側方に回動する際に、かつ、機体横外側方から機体内の所定位置に戻る際には、図18及び図19に示すように、縦向き回転パイプ部分76において、上下ベント部分75,74が縦向き軸芯Y周りで相対回転する。そして、図19に示すように、同時に、伸縮パイプ部分73が伸縮作動する。伸縮パイプ部分73は、シールリング材83同士が当接することによって、伸長限度を構成している。
このように、伸縮パイプ部分73を設けて伸縮作動させるのは、エンジンボンネット21の回転軸芯である運転部開放軸芯Xと縦向き回転パイプ部分76の縦向き軸芯Yとが位置ズレしているからである。
【0032】
運転座席9に着座した運転者の足元部位を構成するフレームが配置してある。つまり、図5〜8に示すように、左前後向きフレーム69から右横側方に向けて支持フレーム87が左右向き姿勢で設けてある。この支持フレーム87は、前後向きフレーム69から一定長さのみ左右方向に沿って延出された短直部分87Aと、その短直部分87Aの延出端より右後方向きに長斜部分87Bを有して、所定位置に配置構成してある。
【0033】
図5〜8に示すように、支持フレーム87の上面には、板状の運転部床88が張設されている。板状の運転部床88は、支持フレーム87より前方に位置する前床板88Aと支持フレーム87より後方に位置する足置きフレームとしての後床板88Bとに分割構成されており、前床板88Aは支持フレーム87等に支持固定されている。
【0034】
前床板88Aの中間部分88aは台形状を呈しており、この中間部分88aは取り外すことができ、運転部8の下方の点検を容易に行えるようになっている。一方、後床板88Bは、支持フレーム87に左右二つの蝶番89を介して揺動開閉自在に取付けてあり、開き操作して立ち姿勢に保持することができる。
図5(a)(b)に示すように、後床板88Bの後端と左横側端とには、板状ブラケット88bが立設してあり、板状ブラケット88bに前記した横側板23と前側壁板24の下端部を取り付けるべく構成してある。
【0035】
図6〜8に示すように、支持フレーム87の下方にはこの支持フレーム87に沿った状態で受止支持する機体側受フレーム92を設けてある。この機体側受フレーム92には、取付ブラケット92Aが設けてあり、運転部床88に形成したブラケット91と取付ブラケット92Aとをボルト連結することができる。これによって、後記するように、機体横側方に揺動開放されるエンジンボンネット21等を含む運転操縦室を所定の運転作業位置に固定できる。
【0036】
運転部床88に形成したブラケット91は、後床板88Bを持上げることによって、視認できる。これによって、後床板88Bを持上げて、エンジンボンネット21等を含む運転操縦室を機体横側方に揺動開放する場合にしか、ボルト連結を解除できないこととなる。
【0037】
図5(a)(b)に示すように、横側壁23は、後床板88Bの左横側端に立ち上げた板状ブラケット88bにボルトaを介して着脱自在に取り付けてある。図5(a)(b)に示すように、前側壁板24及び面取り板部21aは、後床板88Bの後端に立ち上げた板状ブラケット88bにボルトaを介して着脱自在に取り付けてある。これによって、横側壁23と前側壁板24及び面取り板部21aとを、取り外すことが可能である。
横側壁23と前側壁板24及び面取り板部21aとは、後記するように、エンジンボンネット21を揺動開放する際に取り外され、後床板88Bは、図5(b)、図7に示すように、開き操作して立ち姿勢に保持される。エンジン28及びラジエータ27との干渉を回避するためである。
【0038】
次ぎに、走行用ブレーキ操作具41と横前壁板25との関係を説明する。図4〜6、7に示すように、横前壁板25は横側壁23の更に前方側に位置し、中間部分に縦長い抜き孔25aが形成され、走行用ブレーキ操作具41の回転操作軸42が、この縦長い抜き孔25aを貫通して運転部8内に突出する構成を採っている。つまり、この縦長い抜き孔25aによって、走行用ブレーキ操作具41の踏み込み操作を許容する構成を採っている。
【0039】
図1,2に示すように、運転部8は、前記操作盤26に設けた操作具としての変速レバー40と、前記運転部床88の前端側に設けた操作具としての走行用ブレーキ操作具41とを備えている。図7に示すように、変速レバー40は、前記機体フレーム2の前端部に支持されたミッションケース11に装備された静油圧式無段変速装置43を変速操作し、これによってクローラ走行装置1を駆動、停止、変速操作する。図11に示すように、走行用ブレーキ操作具41は、前記ミッションケース11に装備された操作対象装置としての摩擦式の走行用ブレーキ70を操作し、これによって走行装置1を制動操作する。
【0040】
変速レバー40による変速構造について説明する。図11に示すように、変速レバー40による変速構造においては、アシストモータ45による変速構造を採用しており、アシストモータ45を駆動制御する為に、変速レバー40への操作を検出する検出手段(図示せず)を設けている。検出手段としては、種々のものが使用できるが、変速レバー40の正逆方向への移動を検出する近接センサやリミットスイッチを採用する。
【0041】
アシストモータ45によって、変速レバー40を駆動する構成について説明する。図11及び12、14に示すように、アシストモータ45の出力軸45aに出力ギヤ46を装着し、出力ギヤ46と大小二つの中継ギヤ47を介して、駆動軸48Aに装着された駆動ギヤ48にアシストモータ45の動力を伝達可能に構成してある。駆動軸48Aは、操作盤26の下方に垂下された支持ブラケット26Dから延出されている支軸40aに遊転支承されており、駆動ギヤ48を動力伝達可能に装着している。変速レバー40のレバー基端部40Aは、この駆動軸48Aに遊転支承してある。
【0042】
図12に示すように、変速レバー40のレバー基端部40Aは、駆動軸48Aに遊転外嵌されており、二つの摩擦板49、49に挟まれて、受け止めディスク39によって駆動軸48Aに取り付けられている。受け止めディスク39とともに駆動軸48Aに押圧ディスク38を外嵌し、受け止めディスク39と押圧ディスク38との間に板バネ37を介在させて、ダブルナット38Aで変速レバー40を摩擦保持している。
変速レバー40のレバー基端部40Aの両側面に摩擦板49が密着装着されて、摩擦保持力によって、変速レバー40が駆動軸48Aと一体的に回動可能に、かつ、摩擦保持力に抗して駆動軸48Aに対して滑り作動可能に構成してある。このように、摩擦板49を使用した構成を摩擦保持機構33と称する。
【0043】
以上のような構成によって、アシストモータ45によって回転停止状態にある駆動ギヤ48に対して、摩擦保持機構33の摩擦保持力に抗して中立位置より変速レバー40を前後進の一方に操作すると、駆動ギヤ48に対して変速レバー40が僅かに回転し、変速レバー40の作動を検出手段が作動する。この検出作動を受けて、図示していない、制御手段によってアシストモータ45が駆動され、アシストモータ45の作動によって、駆動軸48Aが回転駆動されて、摩擦保持機構33によって駆動軸48Aに摩擦連係されている変速レバー40が駆動される。変速レバー40が一定程度回転すると、検出手段が変速レバー40から離れて、非検出状態に戻り、その時点で駆動ギヤ48の回転は停止する。
【0044】
次ぎに、変速レバー40によって、静油圧式無段変速装置43を操作する形態について説明する。図7、8、11、12、14に示すように、前記変速用の機械式連動機構50は、無段変速装置43の操作部43aに連結された第1ユニバーサルジョイント53Aを介して連結されている第1連動ロッド53と、第1連動ロッド53の中間位置に装備されている防振機構54と、第1連動ロッド53の上端部に固着されている下連結分離板55と、下連結分離板55と連結分離自在に左右に重ね合わせてボルト連結されている上連結分離板56と、上連結分離板56から上方に立ち上げ中間位置にジャバラ57Aで覆われた第2連動ロッド57と、第2連動ロッド57の上端に取り付けてあるユニバーサルジョイン57Cを介してその第2連動ロッド57を連結する駆動アーム40Bとで構成してある。駆動アーム40Bは、変速レバー40のレバー基端部40Aから延出されている。
【0045】
以上のような構成により、エンジンボンネット21を開き状態に開放操作するには、上下連結分離板55、56を連結しているボルト56Aを取り外すことによって、上連結分離板56、第2連動ロッド57は、変速レバー40及びエンジンボンネット21とともに開き側に移動する。下連結分離板55、第1連動ロッド53は、ミッションケース11とともに、機体フレーム2側に残ることとなる。
【0046】
開き状態に開放操作したエンジンボンネット21を閉じ状態に復帰させる際に、変速レバー40の中立操作位置を得やすくする中立操作位置決め機構Cについて説明する。図7〜10に示すように、機体側支柱35の上端から機体前方側に向けて横向き支持フレーム98を延出するとともに、横向き支持フレーム98の前端から横外側方に向けて連結フレーム100を延出し、その連結フレーム100から下向きに上下向き支持フレーム99を延出して、上下向き支持フレーム99の下端をミッションケース42に取付固定してある。
【0047】
図9、10に示すように、これら、機体側支柱35と、横向き支持フレーム98と、上下向き支持フレーム99と、連結フレーム100とで、エンジンボンネット21の開き姿勢においても機体側に支持される固定側のフレームを構成する。
一方、エンジンボンネット21と一体で開き姿勢に作動するのは、運転部8を構成する運転座席9他、運転座席9の前方に配置した運転部床フレーム18及び操縦塔19と、運転部床フレーム18の乗降口側とは反対側の端部に位置した横側壁23と、運転座席9の乗降口側とは反対側の横側方に配置した操作盤26、及び、その下方の操作空間を確保する操作室26Bとが該当する。
【0048】
図9及び図10に示すように、横向き支持フレーム98と上下向き支持フレーム99との連結部位に連結フレーム100を設け、連結フレーム100に中立操作位置決め機構Cを上下位置調節可能に取り付けてある。
中立操作位置決め機構Cは、略四角形のベース板101と、ベース板101から下方に延出される3つの脚部102と、ベース板101上に載置される前後一対の防振ゴム板103と、防振ゴム板103上に載置される誘導板104とで構成される。
【0049】
3つの脚部102は、左側で前後方向に配置された二つの脚部102と、右側で前後中間位置に配置された単一の脚部102とで構成されている。各脚部102は、連結フレーム100を貫通する状態で配置され、連結フレーム100ないに形成されたブラケット部100Aに横向きボルト105を介して取り付けてある。図示してはいないが、横向きボルト105を貫通する孔は上下に長い長孔102aになっており、長孔102aの範囲内でベース板101の上下位置を調節可能である。ここに、横向きボルト105と長孔102aとで、上下位置調節機構Fを構成する。
【0050】
ベース板101の上面には、前後一対の防振ゴム板103が配置されており、さらに、防振ゴム板103の上に誘導板104が載置され、ベース板101、防振ゴム板103、誘導板104が皿ネジ106によって取付固定されている。
誘導板104は、右側からもとの閉じ姿勢に戻ってくる操作室26Bの底板26Cを誘導板104の上面に誘導する誘導傾斜面104Aを左端部に形成してある。
ベース板101の左端にはアングル材107が立設されており、このアングル材107の縦向き部分に防振ゴム板107Aが装着してある。この防振ゴム板107Aで操作室26Bの支持側板26Aを受け止めて、エンジンボンネット21の左右方向での位置決めを行うことができる。
【0051】
以上のような構成によって、図7及び図9に示すように、エンジンボンネット21と一体で元の載置姿勢に戻る操作室26Bの底板26Cは、誘導傾斜面104Aに誘導されて誘導板104の上面に至る。上面に至った操作室26Bは誘導板104の上面を横移動して、操作室26Bを形成する支持側板26Aが防振ゴム板107Aに当接するまで移動する。
このように、操作室26Bが誘導板104上に持ち上げられて所定位置に載置されるので、操作盤26に取付られている変速レバー40を静油圧式無段変速装置43の中立操作位置に合致させた連係が容易に行い得る。
【0052】
走行用ブレーキ操作具41としての走行用ブレーキペダルの操作構造について説明する。
図7,8及び図11〜15に示すように、走行用ブレーキペダル41は、運転操縦部の横前壁板25の近傍に配置してあり、横前壁板25を貫通して操作盤26の下方空間内において、上下向き姿勢の第1連係リンク44Aの下端に片持ち状態で支持された操作軸42に取付固定してある。
【0053】
操作軸42における走行用ブレーキペダル41装着部位とは反対側端部には、ガイドローラ42Aが取り付けてあり、機体フレーム2に取付固定したガイド体22のガイド溝に沿って上下動可能に構成してある。
第1連係リンク44Aの上端位置には、水平姿勢の第2連係リンク44Bが配備してあり、第2連係リンク44Bは、操作盤26を支持する支持側板26Aに対向する状態で配置された取付ブラケット61に揺動自在に取付てある。
【0054】
図7,8及び図11〜15に示すように、第2連係リンク44Bの基端ボス部44bは取付ブラケット61に取付られた支持ピン61Aに遊転自在に支持されるとともに、第2連係リンク44Bの基端ボス部44bより第2連係リンク44Bと一体で揺動可能な第3連係リンク44Cが延出してある。第3連係リンク44Cの先端部に、走行ブレーキ70に連係されたリンク連係機構65と、走行用ブレーキペダル41を待機位置に付勢する付勢バネ68が接続されている。
【0055】
以上のように、第2連係リンク44Bと第3連係リンク44Cとが共通の基端ボス部44bを取付ブラケット61に支持ピン61Aを介して支持することによって、走行用ブレーキペダル41を吊り下げ支持している。この状態で走行用ブレーキペダル41を踏み込み操作すると、第1連係リンク44Aと第2連係リンク44Bとが相対回動しながら支持ピン61A周りで回動し、第3連係リンク44Cが第2連係リンク44Bと一体回動して、走行ブレーキ70を入り操作する。
【0056】
図11及び14に示すように、取付ブラケット61の支持ピン61Aの近傍にリミットスイッチ71が装着してあり、第3連係リンク44Cにアングル状のリミットドック44aを取り付けてある。これによって、走行用ブレーキペダル41を踏み込み操作して走行ブレーキ70が入り操作されると、第3連係リンク44Cの作動に連れてリミットドッグ44aでリミットスイッチ71が押圧操作されて、エンジンボンネット21の開き状態への切換が可能な信号が出力される。
【0057】
図11及び図13に示すように、取付ブラケット61におけるリミット取付位置とは別個の端部に手動操作用のブレーキ操作具72を設けてある。ブレーキ操作具72は、取付ブラケット61に支点72a回りで上下方向に天秤揺動自在に取り付けてあり、運転座席側に握り部72Aを延出し、揺動支点位置を挟んで反対側端に第2連係リンク44Bを押し付け作用する先端作用部72Bを形成している。
上記のような構成によって、握り部72Aを持ち上げ操作することによって、先端作用部72Bで第2連係リンク44Bを押し下げ操作して、ブレーキ入り状態を維持することができる。
なお、ブレーキ操作具72には、トーションバネ72bが巻回してあり、第2連係リンク44Bから離れる方向に付勢されている。また、ブレーキ操作具72をブレーキ入り状態に維持する機構については、図示していないが、ブレーキ操作具72を支持する支点位置に摩擦保持機構や引っ掛け係止機構などを設けることができる。
【0058】
走行用ブレーキ操作具41で変速レバー40を、静油圧式無段変速装置43の中立位置に戻す機構について説明する。図14及び図15に示すように、変速レバー40のレバー基端部40Aに取り付けてある駆動アーム40Bに、両端部が折り曲げ形成してある中立戻しアーム58を略平行な状態でボルトを介して取付固定する。中立戻しアーム58の両端部より相対揺動可能に一対の引き戻しアーム60を取付け、引き戻しアーム60を下方に向けて延出し、延出した下端同士をピン60Aで連係する。
【0059】
両引き戻しアーム60の下端同士を連係するピン60Aは、第2連係リンク44Bを貫通し、取付ブラケット61をも貫通している。ピン60Aが貫通する第2連係リンク44Bの孔は単なる円形孔であるが、取付ブラケット61に形成してある貫通孔61Aは円弧状に形成されている。
一方、引き戻しアーム60には、略全長に亘る長孔60aが形成してあり、ピン60Aがその長孔60a内を移動できるようになっている。
【0060】
以上のような構成によって、図13及び図15(b)に示すように、走行用ブレーキペダル41が下方の踏み込み位置に位置する場合には、両引き戻しアーム60が略V字状に
交差する状態にあり、ピン60Aも両引き戻しアーム60の長孔60aの下端に位置している。この状態では、変速レバー40の駆動アーム40Bの姿勢が、両引き戻しアーム60と三角形を形成し、かつ、その状態に規制される。
このような状態が変速レバー40の中立位置である。
【0061】
上記状態より、図15(a)に示すように、走行用ブレーキペダル41を上方に戻し操作すると、第1連係リンク44A、第2連係リンク44Bが上方に揺動し、第2連係リンク44Bが中立戻しアーム58に近接する。中立戻しアーム58に近接すると、両引き戻しアーム60が、中立戻しアーム58に対する揺動支点を中心に互いに交差するように揺動し、両引き戻しアーム60が変速レバー40の前進側への操作移動を許容する。
【0062】
機体側支柱35と脱穀装置3との連係構造について説明する。
図20〜23に示すように、機体側支柱35に平行に取付固定されている筒状の支持ブラケット34の上端に板状ブラケット部34Aを取付固定してある。この板状ブラケット部34Aの上面と、脱穀装置3の穀粒タンク4に向かう側面とを連結する連結固定具Aを配置してある。
【0063】
連結固定具Aは、機体側支柱35から延出された連結固定部材84と、脱穀装置3に取り付けてあるブラケット85とで構成し、ブラケット85に連結固定部材84の連結用ロッド84Aを挿通係合する係合孔85bを形成してある。連結固定部材84は、連結用ロッド84Aと連結用ロッド84Aの基端部を取付固定する取付ベース84Bとで構成し、取付ベース84Bを支持ブラケット34の板状ブラケット部34Aに載置固定している。
【0064】
一方、脱穀装置3の側面に取り付けるブラケット85について説明する。脱穀装置3の穀粒タンク4に向かう側面で上端部近くにブラケット85を取り付けてある。ブラケット85は、脱穀装置3の側面に設けてある枠フレーム3Aに取付固定される板状ベース85Aと、板状ベース85Aから直交する姿勢で穀粒タンク4に向けて延出してある板状部材85Bとで構成してある。
板状部材85Bには上下斜交いに丸孔状の係合孔85bが設けてある。このように、脱穀装置3の側面にブラケット85が取り付けてあるので、このブラケット85を脱穀装置3を吊り上げる際の吊り上げ具に兼用することができる。
【0065】
以上のような構成によって、連結用ロッド84Aを板状部材85Bの係合孔85bを貫通させることによって、機体側支柱35と脱穀装置3とを連結する。このことによって、機体外に移動開放作動することを可能に構成されているので、機体内での所定位置に取り付け固定された場合にも、振動の影響を受けやすいエンジンボンネット21や運転座席9の振動を抑制することができる。
【0066】
次に、穀粒タンク4を機体内の作用姿勢で固定する構造について説明する。図2及び図3に示すように、穀粒タンク4を脱穀装置3からの穀粒を受け取る作用姿勢と機体外側に移動した非作用姿勢とに切換えられる。穀粒タンク4は、後端に配置した縦スクリューコンベア6の縦向き軸芯Pを中心として、全体を機体外方に揺動させて非作用姿勢に切り換えられる。このように、穀粒タンク4を非作用姿勢に切り換えるのは、脱穀装置3と穀粒タンク4との間に配置される機器へのメインテナンス作業のためと、機体横側方に揺動して開き状態となるエンジンボンネット21との干渉を回避するためである。
【0067】
作用姿勢において、機体側支柱35に取り付けた連結固定具Aに連結する構成について説明する。図21及び図24に示すように、穀粒タンク4の機体側支柱35に向かう側面に、連結固定機構Bが設けてある。連結固定機構Bは、穀粒タンク4の側面に取り付けて固定される板状の受け部86と、板状の受け部86に揺動自在に取付られた板状の係止アーム93とで構成してある。
【0068】
連結固定機構Bを設置する部位には、穀粒タンク4の角部の一部を切欠いた開口部を形成してあり、その開口内に入り込みその凹入空間を形成しながら、開口を塞ぐカバー体95を装着してある。このカバー体95は、凹入空間を形成する為に、奥壁95Aと奥壁95Aの上下端と左側壁95Bの左端とに、穀粒タンク4の機体側支柱35に向かう側面に重ね合わせ状態で取付固定されるフランジ部95aを設けてある。
【0069】
板状の受け部86は、フランジ部95aの三箇所で止め付けられる矩形の装着部分86Aと、その装着部分86Aの先端側に形成してある受け止め部分86Bとを一体形成してある。受け止め部分86Bに、機体側支柱35から延出された連結固定部材84の連結用ロッド84Aを受け止める上向きに凹入する円弧状受止部86bを形成してある。
【0070】
一方、係止アーム93は、板状の受け部86に支点86a回りで揺動自在に枢支してあり、連結固定部材84の連結用ロッド84Aを下方から受け入れる下向き凹入部93Aを形成してある。係止アーム93の下向き凹入部93Aと板状の受け部86の受け止め部分86Bとで、連結用ロッド84Aを上下から挟み込み保持する構成を採っている。
係止アーム93と板状の受け部86とに亘って付勢バネ94が架渡してあり、連結用ロッド84Aを上下から挟み込み保持する方向に付勢する構成となっている。
【0071】
係止アーム93に対する操作構造について説明する。図21に示すように、係止アーム93が取り付けてある側面における下端部に、切換操作レバー96を揺動自在に支持する。切換操作レバー96と係止アーム93とを連係リンク97で連係してある。
【0072】
以上のような構成により、図24(a)に示すように、穀粒タンク4の作用姿勢においては、係止アーム93の下向き凹入部93Aと板状の受け部86の受け止め部分86Bとで、連結用ロッド84Aを上下から挟み込み保持するようになっている。
この状態より、穀粒タンク4を非作用姿勢側に移動させると、付勢バネ94の付勢力に抗して係止アーム93の取付点回りで揺動して、連結用ロッド84Aから離間する。離間した後に、付勢バネ94の付勢力に抗して切換操作レバー96を操作すると、係止アーム93を図24(b)に示す状態に切り換えることができ、連結用ロッド84Aとの係合が解除される。
【0073】
〔別実施形態〕
(1) 連結固定具としては、連結用ロッド84Aと係合孔85bとで構成するだけでなく、ネジで連結固定する場合や連結ピンを連結用ロッド84Aに差込み抜止固定する構造も含まれる。
(2) エンジンボンネット21と運転座席9とを一体で機体外方に移動させる形態を採ったが、エンジンボンネット21だけ移動させる構成を採ってもよく、また、キャビン5を備えていないコンバインにも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】コンバインのエンジンボンネット開き状態での平面図
【図4】運転部の側面図
【図5】エンジンボンネットを示す斜視図であり、(a)は横側壁、前側壁板、面取り板部を所定位置に取り付けた状態を示し、(b)は横側壁、前側壁板、面取り板部を取り外し、後床板を持ち上げた状態を示す
【図6】エンジンボンネットを横側方に開き操作した状態を示す平面図
【図7】エンジンボンネットを閉じ状態に設定した状態で、ブレーキ操作具と走行用ブレーキとの連動機構、変速レバー、変速レバーと静油圧式無段変速装置とを連係する機構を示す縦断正面図
【図8】エンジンボンネットが開き状態に切り換わる途中の状態を示す縦断正面図
【図9】操縦盤を支持する中立操作位置決め機構を示す縦断正面図
【図10】操縦盤を支持する中立操作位置決め機構を示す平面図
【図11】変速レバーと静油圧式無段変速装置との連係機構、走行用ブレーキとブレーキ操作具との連係機構を示す側面図
【図12】変速レバーと静油圧式無段変速装置との連係機構、走行用ブレーキとブレーキ操作具との連係機構の一部を示す拡大縦断正面図
【図13】走行用ブレーキペダルと人為的ブレーキ操作具とを示す正面図
【図14】走行用ブレーキペダルと走行用ブレーキとの連係機構を示す底面図
【図15】(a)前進変速状態と走行用ブレーキを切り状態に切り換えた状態での変速中立位置に戻す機構の切り換わり状態を示す側面図、(b)走行用ブレーキを入り状態に切り換え、走行変速状態を変速中立位置に戻した状態を示す側面図
【図16】支柱とエヤクリーナの設置状態を示す背面図
【図17】エヤクリーナとエンジンの吸気マニホールドを連係する機構を示す一部切り欠き背面図
【図18】エンジンボンネットが閉じ状態でのエヤクリーナとエンジンの吸気マニホールドを連係する機構を示す一部切り欠き平面図
【図19】エンジンボンネットが開き状態に切り換わった状態でのエヤクリーナとエンジンの吸気マニホールドを連係する機構を示す一部切り欠き平面図
【図20】支柱と脱穀装置とを連結する連結固定具を示す斜視図
【図21】支柱と穀粒タンクとを連結する連結固定機構を備えた穀粒タンクを示す正面図
【図22】支柱と脱穀装置、支柱と穀粒タンク、及び、連結固定機構とを連結する連結固定具を示す平面図
【図23】連結固定機構を示す分解斜視図
【図24】(a)連結固定機構の連結状態を示す正面図、(b)連結固定機構の連結解除状態を示す正面図
【符号の説明】
【0075】
3 脱穀装置
4 穀粒タンク
28 エンジン
35 支柱
85 ブラケット
85b 係合孔
A 連結固定具
B 連結固定機構
X 縦向き軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の左右一方側にエンジンボンネットを配置し、機体の左右他方側に脱穀装置を配置し、前記エンジンボンネットを、機体の左右中央側に配置した機体上下向き姿勢の支柱に支持して、その支柱の上下向き軸芯まわりに、前記エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態と、前記エンジンボンネットが機体外方に移動してエンジンを開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成し、脱穀装置を、連結固定具を介して前記支柱に連結固定してあるコンバイン。
【請求項2】
穀粒を貯留する穀粒タンクを前記エンジンボンネットの後側に備え、前記穀粒タンクを前記脱穀装置からの穀粒を受け取る作用姿勢と機体外側に移動した非作用姿勢とに切換可能に構成し、前記穀粒タンクを作用姿勢において前記連結固定具に連係してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記連結固定具が、前記支柱から延出された連結固定部材と、前記脱穀装置に取り付けてあるブラケットとで構成し、前記ブラケットに前記連結固定部材を挿通係合する係合孔を形成してある請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記ブラケットが、前記脱穀装置を吊り上げる際の吊り上げ具に兼用構成してある請求項3記載のコンバイン。
【請求項1】
機体の左右一方側にエンジンボンネットを配置し、機体の左右他方側に脱穀装置を配置し、前記エンジンボンネットを、機体の左右中央側に配置した機体上下向き姿勢の支柱に支持して、その支柱の上下向き軸芯まわりに、前記エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態と、前記エンジンボンネットが機体外方に移動してエンジンを開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成し、脱穀装置を、連結固定具を介して前記支柱に連結固定してあるコンバイン。
【請求項2】
穀粒を貯留する穀粒タンクを前記エンジンボンネットの後側に備え、前記穀粒タンクを前記脱穀装置からの穀粒を受け取る作用姿勢と機体外側に移動した非作用姿勢とに切換可能に構成し、前記穀粒タンクを作用姿勢において前記連結固定具に連係してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記連結固定具が、前記支柱から延出された連結固定部材と、前記脱穀装置に取り付けてあるブラケットとで構成し、前記ブラケットに前記連結固定部材を挿通係合する係合孔を形成してある請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記ブラケットが、前記脱穀装置を吊り上げる際の吊り上げ具に兼用構成してある請求項3記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−75118(P2010−75118A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248911(P2008−248911)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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