コンバイン
【課題】周囲が暗い状況であっても遠隔操作装置の操作手段を視認することができ、当該遠隔操作装置の操作がし易いコンバインを提供する。
【解決手段】各種ボタン(複数の操作手段)を有し、前記各種ボタンの操作に応じて、無線通信を用いて排出オーガ32の動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置80を具備するコンバイン1であって、遠隔操作装置80は、発光することによって前記各種ボタンを照らし出す内部LED84・84(発光手段)と、前記各種ボタンのうちのいずれかが操作されると、内部LED84・84を所定の発光頻度で発光させる制御部82と、を具備する。
【解決手段】各種ボタン(複数の操作手段)を有し、前記各種ボタンの操作に応じて、無線通信を用いて排出オーガ32の動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置80を具備するコンバイン1であって、遠隔操作装置80は、発光することによって前記各種ボタンを照らし出す内部LED84・84(発光手段)と、前記各種ボタンのうちのいずれかが操作されると、内部LED84・84を所定の発光頻度で発光させる制御部82と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関し、特にグレンタンク内の穀粒を排出する排出オーガを遠隔操作装置により無線通信を用いて操作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀選別後の穀粒をグレンタンク内に貯溜して、その貯溜した穀粒を昇降及び旋回可能な排出オーガにより搬送して、この排出オーガの先端から外部に排出可能としたコンバインは公知となっている。このようなコンバインには、排出オーガを遠隔操作装置(リモートコントローラ)により無線通信を用いて遠隔操作して昇降及び旋回させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなコンバインにおいては、遠隔操作装置を操作することで、作業者はコンバイン本体から離れた場所から排出オーガを任意に昇降又は旋回させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−185194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、夕暮れ時等の周囲が暗い状況においては遠隔操作装置を視認し難く、当該遠隔操作装置の操作が困難であるという点で不利であった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、周囲が暗い状況であっても遠隔操作装置の操作手段を視認することができ、当該遠隔操作装置の操作がし易いコンバインを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、複数の操作手段を有し、前記操作手段の操作に応じて、無線通信を用いて排出オーガの動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置を具備するコンバインであって、前記遠隔操作装置は、発光することによって前記複数の操作手段を照らし出す発光手段と、前記複数の操作手段のうちのいずれかが操作されると、前記発光手段を所定の発光頻度で発光させる制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、前記複数の操作手段の操作が終了して所定時間が経過すると、前記発光手段の発光を停止させるものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御部は、前記発光手段を発光させてから当該発光を停止させるまでの間に、当該発光手段の発光頻度を低下させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、いずれかの操作手段を操作すると発光手段が発光し、遠隔操作装置の操作手段が照らし出されるため、周囲が暗い状況(夕暮れ時等)であっても当該遠隔操作装置の操作手段を視認することができ、当該遠隔操作装置の操作がし易くなる。
【0013】
請求項2においては、発光手段の無駄な発光を防止し、消費電力を軽減することができる。
【0014】
請求項3においては、発光手段による消費電力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体的な構成を示した平面図。
【図3】本発明の一実施形態に係るコンバインの排出オーガにおける縦排出オーガと横排出オーガとの連結部分の構成を示した側面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るコンバインの排出オーガにおける横排出オーガの先端部の構成を示した側面断面図。
【図5】本発明の一実施形態に係るコンバインの制御構成を示したブロック図。
【図6】(a)本発明の一実施形態に係るコンバインの遠隔操作装置の構成を示した側面図。(b)同じく、正面図。
【図7】第一実施形態に係る内部LEDの発光の制御態様を示したフローチャート。
【図8】同じく、遠隔操作装置の操作と内部LEDの発光状態との関係を示したタイムチャート。
【図9】第二実施形態に係る内部LEDの発光の制御態様を示したフローチャート。
【図10】同じく、遠隔操作装置の操作と内部LEDの発光状態との関係を示したタイムチャート。
【図11】(a)本発明の他の実施形態に係るコンバインの遠隔操作装置の構成を示した側面図。(b)同じく、正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係るコンバイン1について、図1及び図2を用いて説明する。
なお、本実施形態に係るコンバイン1は6条刈のコンバインであるものとして図示及び説明するが、本発明はコンバインの刈取条数をこれに限るものではない。
また、以下において、図1における矢印Aの指す方向を機体前方向として、機体の前後方向を規定する。また、かかる前後方向と水平方向に直交する方向を機体の左右方向と規定する。
【0017】
コンバイン1は、図1及び図2に示すように、機体フレーム10に対して設けられた走行部2と、刈取部3と、脱穀部4と、選別部5と、穀粒貯溜部6と、排藁処理部7と、エンジン部8と、運転部9等とから構成される。
【0018】
走行部2は、機体フレーム10の下部に設けられる。走行部2には、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11等が設けられる。走行部2は、クローラ式走行装置11が駆動することにより機体を走行させるように構成される。
【0019】
刈取部3は、機体フレーム10の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部3は、分草装置12と、引起装置13と、切断装置14と、搬送装置15等とから構成される。刈取部3は、分草装置12により圃場の穀稈を分草し、引起装置13により分草後の穀稈を引き起こし、切断装置14により引き起こし後の穀稈の株元を切断し、搬送装置15により切断後の穀稈を脱穀部4側へ搬送するように構成される。
【0020】
脱穀部4は、機体フレーム10の左側前部であって、刈取部3の後方に設けられる。脱穀部4は、フィードチェン16と、図示せぬ扱胴等とから構成される。脱穀部4は、刈取部3から搬送される穀稈を受け継いで、フィードチェン16により排藁処理部7側へ搬送し、搬送中の穀稈を前記扱胴等により脱穀し、その脱穀処理物を選別部5へ落下させるように構成される。
【0021】
選別部5は、機体フレーム10の左側部であって、脱穀部4の下方に設けられる。選別部5は、脱穀部4から落下した脱穀処理物を揺動選別及び風選別により、穀粒と、穂付粒や未脱粒と、排藁と、塵埃等とに選別する。そして、選別部5は、選別した穀粒を穀粒貯溜部6へ搬送し、穂付粒及び未脱粒等の二番物は脱穀部4へ戻すように搬送し、排藁及び塵埃等は機体の外部へ排出するように構成される。
【0022】
穀粒貯溜部6は、機体フレーム10の右側後部であって、脱穀部4及び選別部5の右側方に設けられる。穀粒貯溜部6は、グレンタンク17と、穀粒排出装置30等とから構成される。穀粒貯溜部6は、選別部5から搬送される穀粒をグレンタンク17に貯溜するとともに、グレンタンク17に貯溜される穀粒を穀粒排出装置30により機体の外部へ排出するように構成される。
【0023】
排藁処理部7は、機体フレーム10の後部であって、脱穀部4の後方に設けられる。排藁処理部7は、図示せぬ排藁搬送装置及び排藁切断装置等から構成される。排藁処理部7は、脱穀部4から搬送される脱穀済みの穀稈を、前記排藁搬送装置で受け継いで排藁として外部へ排出し、又は前記排藁切断装置に搬送して切断した後に機体の外部へ排出するように構成される。
【0024】
エンジン部8は、機体フレーム10の右側部であって、穀粒貯溜部6の前方に設けられる。エンジン部8は、エンジン8a等を有して、エンジン8aの動力を駆動源とする各部の装置に適宜の伝達機構を介して当該エンジン8aの動力を伝達し、各部の装置を駆動させるように構成される。
【0025】
運転部9は、機体フレーム10の右側前部であって、刈取部3の搬送装置15の右側方に設けられる。運転部9は、キャビン18と、座席19と、ハンドル20と、操作ペダルや操作レバー等の操作具類と、操作パネル等とから構成される。運転部9は、キャビン18により座席19やハンドル20等が覆われるように構成される。
【0026】
このようにして、コンバイン1は、運転部9での操作具類の操作によって、エンジン部8のエンジン8aの動力を各部の装置に伝達して、走行部2にて機体を走行させながら、刈取部3で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部4で刈取部3からの穀稈を脱穀し、選別部5で脱穀部4からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部6で選別部5からの穀粒を貯溜すると同時に、排藁処理部7で脱穀部4からの排藁を機体の外部へ排出することができるように構成される。
【0027】
次に、穀粒貯溜部6のグレンタンク17及び穀粒排出装置30の構成について、図1から図4を用いてさらに詳細に説明する。
【0028】
グレンタンク17は、選別部5による選別後の穀粒を貯溜するものである。グレンタンク17は、図1及び図2に示すように、機体フレーム10上に設けられる。グレンタンク17は、脱穀部4及び選別部5の右側方であって、運転部9の後方に配置される。グレンタンク17は、その後部が穀粒排出装置30の一部(排出オーガ32の縦排出オーガ筒34)に回動可能に支持されて、グレンタンク17の前部が脱穀部4及び選別部5に対して近接又は離間する左右方向へ移動するように構成される。
【0029】
穀粒排出装置30は、グレンタンク17に貯溜される穀粒を機体の外部へ排出するものである。穀粒排出装置30は、図1及び図2に示すように、排出コンベア31と、排出オーガ32とを備える。
【0030】
排出コンベア31は、図2に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を前後方向としてグレンタンク17内の底部に配置される。排出コンベア31は、エンジン8aに伝動機構を介して接続される。そして、排出コンベア31は、エンジン8aの動力により回転して、グレンタンク17内の底部で穀粒を後部へ搬送するように構成される。エンジン8aから排出コンベア31までの動力伝達経路上には、ベルトテンションクラッチ等のオーガクラッチ33(図5参照)が配設される。オーガクラッチ33は、断接操作(「入」または「切」とする操作)されることにより、エンジン8aの動力(穀粒排出用の動力)が排出コンベア31へ伝達又は遮断されるように構成される。
【0031】
排出オーガ32は、図3及び図4に示すように、縦排出オーガと、横排出オーガと、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、穀粒排出筒体40と、筒体回動用アクチュエータ41とを備える。排出オーガ32は、使用時には、横排出オーガの横排出オーガ筒36がグレンタンク17や脱穀部4等の上方を移動可能に構成される。排出オーガ32(横排出オーガ筒36)は、図1及び図2に示すように、非作業時(不使用時)には脱穀部4の前上部付近に設けられたオーガレスト21に載置される。
【0032】
なお、オーガレスト21には、横排出オーガ筒36が載置されているか否かを検出するオーガレストセットセンサ57が配置される。そして、オーガレストセットセンサ57は後述する制御手段60と接続される。
なお、オーガレストセットセンサ57は、オーガ載置検出手段の一例であり、本実施形態におけるものに限定するものではない。例えば、後述する旋回角度検知センサ46及び昇降角度検知センサ54を用いてオーガレスト21に横排出オーガ筒36が載置されているか否かを検出する構成とすることも可能である。
【0033】
縦排出オーガは、機体上下方向に延在して、グレンタンク17からの穀粒を揚送するものである。縦排出オーガは、縦排出オーガ筒34と、縦排出コンベア38とを備える。
【0034】
縦排出オーガ筒34は、図1及び図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。縦排出オーガ筒34は、グレンタンク17の後方で長手方向を上下方向として垂直方向(縦方向)に立設される。縦排出オーガ筒34の下端部は、排出コンベア31の後端と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34の上端部は、横排出オーガ筒36の基端部と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34は、機体フレーム10に対してその軸心を中心として回動可能に構成される。
【0035】
縦排出コンベア38は、図3に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を上下方向(垂直方向)として縦排出オーガ筒34内に立設される。縦排出コンベア38は、排出コンベア31によりグレンタンク17内の底部で後部へ搬送された穀粒を、縦排出オーガ筒34内で上方へ搬送するものである。縦排出コンベア38の下端部は、排出コンベア31の後端部とベベルギヤ等を介して連動するように連結される。縦排出コンベア38には、エンジン8aの動力が、排出コンベア31を介して伝達される。
【0036】
横排出オーガは、その基端部で縦排出オーガの上部に昇降かつ旋回可能に支持されて、縦排出オーガからの穀粒を搬送し、その先端部から外部に排出するものである。横排出オーガは、横排出オーガ筒36と、横排出コンベア39とを備える。
【0037】
横排出オーガ筒36は、図1から図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。横排出オーガ筒36は、縦排出オーガ筒34の上端部から水平方向へ延設される。横排出オーガ筒36の基端部は、縦排出オーガ筒34の上端部に上下方向へ回動可能に支持される。図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部には、投出口体47が固設される。投出口体47は、四角筒からなり側面視で略L形に形成されている。投出口体47は、開口された一側が横排出オーガ筒36の先端部と連通するように接続され、且つ開口された他側が下方を臨むように配置される。横排出オーガ筒36の先端部から排出された穀粒は、投出口体47の前記開口された他側を通じて外部へ排出される。投出口体47には、穀粒排出筒体40が取り付けられる。
【0038】
横排出コンベア39は、図3及び図4に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を水平方向として横排出オーガ筒36内に横設される。横排出コンベア39は、縦排出コンベア38により縦排出オーガ筒34内の上端部に搬送された穀粒を、横排出オーガ筒36内で先端部へ搬送するものである。横排出コンベア39の基端部は、縦排出コンベア38の上端部とベベルギヤ等を介して連動するように連結される。横排出コンベア39には、エンジン8aの動力が、縦排出コンベア38を介して伝達される。
【0039】
旋回用アクチュエータ35は、図3に示すように、縦排出オーガ筒34を左右方向(水平方向)へ回動させる部材である。旋回用アクチュエータ35は、回転軸44を備える。回転軸44には、駆動ギヤ45が固設される。駆動ギヤ45には、縦排出オーガ筒34の上下中途部に外嵌するように固定された従動ギヤ43が噛合される。また、回転軸44には、旋回角度検知センサ46が取り付けられる。旋回角度検知センサ46は、回転式ポテンショメータ等が用いられて、縦排出オーガ筒34(排出オーガ32)の旋回角度を検出することができる。なお、旋回用アクチュエータ35は、オーガ用アクチュエータの一例であり、本実施形態においては電動モータが用いられているが、これに限定するものではない。また、旋回角度検知センサ46は、本実施形態におけるものに限定するものではない。
こうして、旋回用アクチュエータ35が駆動されると、回転軸44が軸心回り(左右方向)へ回動され、駆動ギヤ45及び従動ギヤ43を介して、縦排出オーガ筒34が軸心回りへ回動するように構成される。
【0040】
昇降用アクチュエータ37は、図3に示すように、横排出オーガ筒36を上下方向へ回動させる部材である。昇降用アクチュエータ37の両端部には、横排出オーガ筒36に突設されるブラケット48と、縦排出オーガ筒34に突設されるブラケット49とが、それぞれ回動自在に接続される。また、昇降用アクチュエータ37には、昇降角度検知センサ54が取り付けられる。昇降角度検知センサ54は、伸縮式ポテンショメータ等が用いられて、昇降用アクチュエータ37のストロークを検出して横排出オーガ筒36(排出オーガ32)の昇降角度を検出することができる。なお、昇降用アクチュエータ37は、オーガ用アクチュエータの一例であり、本実施形態においては油圧シリンダが用いられているが、これに限定するものではない。
こうして、昇降用アクチュエータ37が駆動されると(伸縮されると)、ブラケット48及びブラケット49を介して、横排出オーガ筒36が基端部を中心として上下方向へ回動するように構成される。
【0041】
穀粒排出筒体40は、図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部に設けられた中空筒状の部材である。穀粒排出筒体40は、基端側の開口部を通じて横排出オーガ筒36の投出口体47が挿入されて、当該投出口体47の後下部に回動可能に支持される。
穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を臨むように配置されている場合、投出口体47の穀粒排出口(前記開口された他側)は穀粒排出筒体40の内側壁により被覆されるので、投出口体47から外部へ穀粒を排出することはできない。
他方、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向より下方向を臨むように配置されている場合、投出口体47の穀粒排出口(前記開口された他側)と穀粒排出筒体40の内側壁との間に間隙が設けられて投出口体47から排出された穀粒は、穀粒排出筒体40の先端側の開口部を通じて穀粒排出筒体40(排出オーガ32)の外部へ排出されることとなる。また、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が臨む方向を水平方向より下方向の範囲で前後方向へ調整することにより、穀粒排出筒体40(排出オーガ32)から排出される穀粒の排出方向が調整可能となる。
なお、穀粒排出筒体40は、穀粒排出部の一例であり、本実施形態における形状等に限定するものではない。
【0042】
筒体回動用アクチュエータ41は、図4に示すように、穀粒排出筒体40を回動させる部材である。筒体回動用アクチュエータ41は、横排出オーガ筒36の先端側に取り付けられる。筒体回動用アクチュエータ41は、出力軸50を備える。出力軸50には、出力軸ギヤ51が固設されるとともに、回動角度検知センサ56が配置される。出力軸ギヤ51は、扇形の開閉ギヤ52の一端側に歯合される。開閉ギヤ52は、中央部で回動可能に軸支されて、他端側にロッド53の一端側が回動可能に連結される。ロッド53の他端側は、前下方向へ向けて延設されて、平板状の開閉リンク55の一端側に回動可能に連結される。開閉リンク55の他端側は、穀粒排出筒体40に固定されている。回動角度検知センサ56は、穀粒排出筒体40の回動角度を検出する。なお、本実施形態において、筒体回動用アクチュエータ41は、電動モータが用いられているが、これに限定するものではない。
こうして、筒体回動用アクチュエータ41が駆動されると、出力軸50が軸心回りへ回動され、出力軸ギヤ51を介して、開閉ギヤ52が回動する。そして、開閉ギヤ52が図4における反時計回りに回動すると、ロッド53及び開閉リンク55を介して、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向より下方向を臨む方向へ回動するように構成される。他方、開閉ギヤ52が時計回りに回動すると、ロッド53及び開閉リンク55を介して、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を臨む方向へ回動するように構成される。
【0043】
以上のような構成により、排出オーガ32は、旋回用アクチュエータ35により縦排出オーガ筒34を軸心周りに回動させることによって旋回し、昇降用アクチュエータ37により横排出オーガ筒36を上下方向へ回動させることによって昇降するように構成される。また、排出オーガ32は、筒体回動用アクチュエータ41により穀粒排出筒体40を回動させて、グレンタンク17内の穀粒を機体の外部の任意の場所へ排出可能に構成される。
また、オーガクラッチ33が「入」の場合、排出オーガ32は、エンジン8aの動力が排出コンベア31を介して縦排出コンベア38及び横排出コンベア39へ伝達されるので、縦排出コンベア38及び横排出コンベア39が駆動して、グレンタンク17内の穀粒が穀粒排出筒体40を通じて排出可能に構成される。他方、オーガクラッチ33が「切」の場合、排出オーガ32は、エンジン8aの動力が排出コンベア31へ伝達されず、縦排出コンベア38及び横排出コンベア39が駆動しないので穀粒が排出されないように構成される。
【0044】
また、排出オーガ32は、本機側操作装置70により有線通信を用いて、又は遠隔操作装置80により無線通信を用いて操作されるように構成される。詳細については後述するが、排出オーガ32は、本機側操作装置70又は遠隔操作装置80によって操作され、各アクチュエータ35・37・41がその操作に基づいてコンバイン1の任意箇所に設置された制御手段60により駆動制御されることによって、昇降又は旋回或いは穀粒排出筒体40が回動するようになっている。
【0045】
次に、制御手段60の構成について、図5を用いて説明する。
【0046】
制御手段60は、RAMやROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等により構成される。また、制御手段60は、受信部61と接続される。
受信部61は、遠隔操作装置80の送信部81から無線で送信された各種信号を受信する。前記記憶部は、各アクチュエータ35・37・41等の駆動制御に関する制御プログラム等を格納する。前記演算処理部は、受信部61から入力された各種信号や前記制御プログラムに基づいて演算処理を行い、各アクチュエータ35・37・41へ制御信号を出力するなどする。
【0047】
制御手段60は、本機側操作装置70が有する操作手段としての各種ボタンと、旋回角度検知センサ46と、昇降角度検知センサ54と、回動角度検知センサ56と接続されるとともに、遠隔操作装置80が有する操作手段としての各種ボタンと無線で接続される。
また、制御手段60は、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、オーガクラッチ33と、筒体回動用アクチュエータ41と接続される。
【0048】
制御手段60は、本機側操作装置70又は遠隔操作装置80の各種ボタンが押し操作されると、その操作に対応する操作信号を受信し、受信した操作信号に基づいて、前記制御プログラムと各角度検出センサ46・54・56からの検出信号とを利用しながら、旋回用アクチュエータ35と昇降用アクチュエータ37と筒体回動用アクチュエータ41を駆動制御して、排出オーガ32を昇降又は旋回させるとともに、穀粒排出筒体40を回動させる。
【0049】
次に、本機側操作装置70の構成について説明する。
【0050】
本機側操作装置70は、排出オーガ32を、有線通信を用いて操作するための装置である。本機側操作装置70は、運転部9に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持される。本機側操作装置70は、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンを備える。なお、本機側操作装置70と同等の機能を有する操作装置を、排出オーガ32の穀粒排出口近傍に設けることも可能である。
【0051】
次に、遠隔操作装置80の構成について、図5及び図6を用いて説明する。
【0052】
遠隔操作装置80は、無線通信を用いて遠隔指示を送信し、排出オーガ32を操作するためのものである。遠隔操作装置80は、運転部9や排出オーガ32の穀粒排出口近傍位置に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持され、作業者が携帯することができるように構成される。遠隔操作装置80は、擬似電源ボタン80aと、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンと、制御部82と、送信部81と、外部LED83と、内部LED84・84と、を備える。
【0053】
制御部82は、RAMやROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等を備える。制御部82は前記各種ボタンと接続され、各種ボタンが押し操作された場合、当該押し操作に対応する操作信号を、送信部81を介して制御手段60(さらに詳しくは、制御手段60に接続された受信部61)へと無線で送信する。
【0054】
外部LED83は、遠隔操作装置80の左上部に配置される。外部LED83は制御部82に接続される。制御部82は、所定の場合に外部LED83を点灯させることができる。
【0055】
内部LED84・84は、本発明に係る発光手段の実施の一形態であり、遠隔操作装置80の内部に配置される。内部LED84・84は制御部82に接続される。制御部82は、所定の場合に内部LED84・84を点灯(発光)させることができる。
【0056】
前記各種ボタンは、擬似電源ボタン80aと、オーガクラッチボタン80dと、オーガ上昇ボタン80eと、オーガ下降ボタン80fと、オーガ左旋回ボタン80gと、オーガ右旋回ボタン80hと、筒体前回動ボタン80iと、筒体後回動ボタン80jと、オートリターンボタン80kと、シフトボタン80mと、からなる。
【0057】
擬似電源ボタン80aは、遠隔操作装置80による排出オーガ32の操作を可能とするためのものである。
【0058】
ここで、擬似電源ボタン80aの機能について説明する。
【0059】
遠隔操作装置80は、単純な構成とするために常時電力が供給されている。すなわち、常時前記各種ボタンを操作することが可能であるため、作業者が遠隔操作装置80をポケットなどに入れた際に不意に前記各種ボタンを押して排出オーガ32が動いてしまう可能性がある。
【0060】
そこで、本実施形態に係る遠隔操作装置80においては、擬似電源ボタン80aを設けて、上述の如く不意に排出オーガ32が動いてしまうことを防止している。
【0061】
具体的には、通常、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することを禁止している。すなわち、前記各種ボタンが押し操作されても、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することはない。以下、この状態を単に「擬似電源OFF状態」と記す。
【0062】
擬似電源ボタン80aが操作(例えば、所定時間以上の長押し操作等)された場合、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信可能な状態とする。すなわち、この状態においては、前記各種ボタンが押し操作されると、制御部82は当該操作信号を送信部81を介して制御手段60に送信する。またこの場合、制御部82は、操作信号を送信可能な状態となったことを作業者に知らせるため、外部LED83を点灯(又は点滅)させる。以下、この状態を単に「擬似電源ON状態」と記す。
【0063】
さらに、前記各種ボタンのいずれもが所定時間以上押し操作されなかった場合、制御部82は再び送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することを禁止する。
【0064】
オーガクラッチボタン80dは、オーガクラッチ33を断接(入り切り)させるためのものである。オーガクラッチボタン80dが一度押し操作されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「入」にする。オーガクラッチボタン80dが再度押し操作されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「切」にする。その結果、排出オーガ32は、オーガクラッチ33が「入」にされているときだけ、穀粒を外部に排出する。
【0065】
オーガ上昇ボタン80e及びオーガ下降ボタン80fは、それぞれ排出オーガ32を上昇、下降させるためのものである。オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fが押し操作されている間、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fの押し操作が解除されると、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fが押し操作されているときは、その押し操作に対応して上昇又は下降し、押し操作されていないときは、昇降せずに停止する。
【0066】
オーガ左旋回ボタン80g及びオーガ右旋回ボタン80hは、それぞれ排出オーガ32を左旋回、右旋回させるためのものである。オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hが押し操作されている間、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hの押し操作が解除されると、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hが押し操作されているときは、その押し操作に対応して左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止する。
【0067】
筒体前回動ボタン80i及び筒体後回動ボタン80jは、それぞれ穀粒排出筒体40を前方向(横排出オーガ筒36の先端方向)へ回動、後方向(横排出オーガ筒36の基端方向)へ回動させるためのものである。筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jが押し操作されている間、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を受信した操作信号に基づいて駆動させる。筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jの押し操作が解除されると、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を停止させる。その結果、穀粒排出筒体40が、筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jが押し操作されているときは、その押し操作に対応して前方向又は後方向へ回動し、押し操作されていないときは、回動せずに停止する。
【0068】
オートリターンボタン80k及びシフトボタン80mは、排出オーガ32をオーガレスト21に載置させるように自動的に昇降又は旋回させるためのものである。より詳細には、オートリターンボタン80k及びシフトボタン80mは、排出オーガ32がオーガレスト21に載置されていない状態において、制御手段60により当該排出オーガ32を自動的に昇降又は旋回させて、オーガレスト21に載置させる、いわゆるオートリターン機能を作動させるためのものである。オートリターンボタン80k及びシフトボタン80mが同時に押し操作されると、制御手段60は旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を適宜駆動させる。
【0069】
前記各種ボタンは、透光性を有する部材で構成される。より詳細には、前記各種ボタンは、それぞれそのボタン全体又は一部(例えば、ボタンのうち文字や模様以外の部分)が光を透過する部材で構成される。
【0070】
次に、遠隔操作装置80における各種ボタン、外部LED83及び内部LED84・84の配置等について、図6を用いて説明する。
【0071】
遠隔操作装置80は、これを用いる作業者が片手で把持可能な大きさに構成されている。遠隔操作装置80において、各種ボタンは同一表面に並べられる。遠隔操作装置80を用いる作業者から見て、オーガ上昇ボタン80eとオーガ下降ボタン80fとは、それぞれ菱形の上下の頂点に位置するように配置される。オーガ左旋回ボタン80gとオーガ右旋回ボタン80hとは、それぞれオーガ上昇ボタン80e及びオーガ下降ボタン80fの近傍でその左又は右側方に配置され、前記菱形の左右の頂点に位置するように配置される。
また、筒体前回動ボタン80iと筒体後回動ボタン80jとは、それぞれオーガ下降ボタン80fの近傍でその左又は右側方に位置するとともに、筒体前回動ボタン80iがオーガ右旋回ボタン80hの下方に位置し、筒体後回動ボタン80jがオーガ左旋回ボタン80gの下方に位置するように配置される。
そして、オーガクラッチボタン80dは、筒体後回動ボタン80jの近傍でその下方に位置するように配置される。擬似電源ボタン80aは、オーガ右旋回ボタン80hの近傍でその上方に位置するように配置される。
【0072】
外部LED83は、オーガ上昇ボタン80eの左上方かつオーガ左旋回ボタン80gの上方に配置される。
【0073】
オートリターンボタン80kは、筒体前回動ボタン80iの近傍でその下方に位置するように配置される。
シフトボタン80mは、オーガクラッチボタン80dの近傍でその下方に位置するように配置される。
【0074】
内部LED84・84は、遠隔操作装置80の内部において、当該遠隔操作装置80の左右略中央に縦に並べて配置される。より詳細には、一方の内部LED84は、正面視(図6(b))においてオーガ上昇ボタン80eとオーガ下降ボタン80fの間に配置される。他方の内部LED84は、正面視(図6(b))においてオーガクラッチボタン80dとオートリターンボタン80kの間に配置される。
【0075】
このように配置された内部LED84・84が発光した場合、遠隔操作装置80の内部から前記各種ボタンに光が照射される。当該各種ボタンは透光性を有する部材で構成されているため、外部から遠隔操作装置80を見ると、当該各種ボタンが照らし出される(発光しているように見える)ことになる。したがって、この状態においては、作業者は、夕暮れ時等の周囲が暗い状況であっても当該遠隔操作装置80の各種ボタンを視認することができる。
【0076】
次に、図7及び図8を用いて、内部LED84・84を発光させる際の制御の第一実施形態について詳細に説明する。
【0077】
図7のステップS101において、制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作されたか否かを判定する。
制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作されたと判定した場合、ステップS102に移行する。
制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれも押し操作されていないと判定した場合、ステップS101の処理を再度行う。
【0078】
ステップS102において、制御部82は、内部LED84・84を100%の発光頻度で発光させる。
【0079】
ここで、「発光頻度」とは、一定時間(一周期)のうち内部LED84・84が発光している時間の割合を示す。例えば、内部LED84・84が常時発光している場合の発光頻度は100%であり、内部LED84・84が常時消灯している場合の発光頻度は0%であり、内部LED84・84が発光と消灯を交互に同じ時間ずつ繰り返している場合の発光頻度は50%である。
【0080】
すなわち、ステップS102において、制御部82は、内部LED84・84を常時発光させることになる(図8のAの時点)。
制御部82は、ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0081】
ステップS103において、制御部82は、前記各種ボタンの押し操作が終了してから(押し操作されなくなってから)所定時間t1(例えば、10秒)だけ経過したか否かを判定する。
制御部82は、所定時間t1だけ経過したと判定した場合、ステップS104に移行する。
制御部82は、所定時間t1だけ経過していないと判定した場合、ステップS103の処理を再度行う。
【0082】
ステップS104において、制御部82は、内部LED84・84の発光頻度を50%に低下させる。すなわち、制御部82は、内部LED84・84を点滅させ始める(図8のBの時点)。
制御部82は、ステップS104の処理を行った後、ステップS105に移行する。
【0083】
ステップS105において、制御部82は、内部LED84・84を点滅させ始めてから所定時間t2(例えば、3分)だけ経過したか否かを判定する。
制御部82は、所定時間t2だけ経過したと判定した場合、ステップS106に移行する。
制御部82は、所定時間t2だけ経過していないと判定した場合、ステップS105の処理を再度行う。
【0084】
ステップS106において、制御部82は、内部LED84・84の発光頻度を0%に低下させる。すなわち、制御部82は、内部LED84・84の発光を停止させる(図8のCの時点)。
【0085】
上述の如く、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作された場合に内部LED84・84を発光させることで(図7のステップS102)、前記各種ボタンを照らし出すことができる。
例えば、夕暮れ時等の周囲が暗く前記各種ボタンを視認し難い状況においては、作業者は手探りで遠隔操作装置80のいずれかのボタンを押し操作することで前記各種ボタンを照らし出す(発光させる)ことができる。これによって、前記各種ボタンを視認することができ、遠隔操作装置80の操作がし易くなる。
【0086】
また、上述の如く、制御部82は、前記各種ボタンの押し操作が終了してから所定時間t1だけ経過した場合は、しばらく当該各種ボタンの押し操作がなされることがないと判断し、内部LED84・84の発光頻度を100%から50%まで低下させる(図7のステップS104)。これによって、当該内部LED84・84の総発光時間を減少させることができ、内部LED84・84による消費電力を軽減することができる。
【0087】
また、上述の如く、制御部82は、内部LED84・84を点滅させ始めてから所定時間t2だけ経過した場合は、もう前記各種ボタンが押し操作されることはないと判断し、当該内部LED84・84の発光を停止させる(図7のステップS106)。これによって、当該内部LED84・84の無駄な発光を防止し、消費電力を軽減することができる。
【0088】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1は、各種ボタン(複数の操作手段)を有し、前記各種ボタンの操作に応じて、無線通信を用いて排出オーガ32の動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置80を具備するコンバイン1であって、遠隔操作装置80は、発光することによって前記各種ボタンを照らし出す内部LED84・84(発光手段)と、前記各種ボタンのうちのいずれかが操作されると、内部LED84・84を所定の発光頻度で発光させる制御部82と、を具備するものである。
このように構成することにより、いずれかの操作手段(ボタン)を操作すると内部LED84・84が発光し、遠隔操作装置80の各種ボタンが照らし出されるため、周囲が暗い状況(夕暮れ時等)であっても当該遠隔操作装置80の各種ボタンを視認することができ、当該遠隔操作装置80の操作がし易くなる。
【0089】
また、制御部82は、前記各種ボタンの操作が終了して所定時間(所定時間t1+所定時間t2)が経過すると、内部LED84・84の発光を停止させるものである。
このように構成することにより、内部LED84・84の無駄な発光を防止し、消費電力を軽減することができる。
【0090】
また、制御部82は、内部LED84・84を発光させてから当該発光を停止させるまでの間に、当該内部LED84・84の発光頻度を低下させるものである。
このように構成することにより、内部LED84・84による消費電力を軽減することができる。
【0091】
なお、内部LED84・84の配置は本実施形態に係るものに限らず、各種ボタンに光を照射することができる配置であれば良い。
また、内部LED84・84の個数は本実施形態に係るもの(2個)に限らず、1個でも3個以上でも良い。
【0092】
また、本実施形態においては、制御部82は、内部LED84・84の発光頻度を100%から50%に低下させた後で、当該内部LED84・84の発光を停止させるものとした。しかし、本発明はこれに限らず、制御部82は、内部LED84・84の発光頻度を低下させることなく、所定時間経過後に当該内部LED84・84の発光を停止させる構成とすることも可能である。
また、本実施形態においては、制御部82は、内部LED84・84を発光頻度100%又は50%で発光させるものとしたが、本発明はこれに限らず、発光頻度の値は任意に設定することができる。
【0093】
次に、図9及び図10を用いて、内部LED84・84を発光させる際の制御の第二実施形態について詳細に説明する。
【0094】
図9のステップS201において、制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作されたか否かを判定する。
制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作されたと判定した場合、ステップS202に移行する。
制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれも押し操作されていないと判定した場合、ステップS201の処理を再度行う。
【0095】
ステップS202において、制御部82は、送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信可能な状態であるか否か(すなわち、擬似電源ON状態であるか否か)を判定する。すなわち、ステップS201において前記各種ボタンが押し操作されたと判定する以前に擬似電源ボタン80aが操作されることにより、前記各種ボタンが押し操作された際に擬似電源ON状態になっているか否かを判定する。
制御部82は、擬似電源ON状態であると判定した場合、ステップS203に移行する。
制御部82は、擬似電源ON状態ではない(すなわち、擬似電源OFF状態である)と判定した場合、ステップS208に移行する。
【0096】
ステップS203からステップS207までの処理は、図7のステップS102からステップS106までの処理と同一であるため、説明を省略する。
【0097】
ステップS208において、制御部82は、内部LED84・84を100%の発光頻度で発光させる。すなわち、ステップS208において、制御部82は、内部LED84・84を常時発光させることになる(図10のAの時点)。
制御部82は、ステップS208の処理を行った後、ステップS209に移行する。
【0098】
ステップS209において、制御部82は、前記各種ボタンの押し操作が終了してから(押し操作されなくなってから)所定時間t3(例えば、10秒)だけ経過したか否かを判定する。
制御部82は、所定時間t3だけ経過したと判定した場合、ステップS207に移行する。
制御部82は、所定時間t3だけ経過していないと判定した場合、ステップS210に移行する。
【0099】
ステップS210において、制御部82は、擬似電源ON状態であるか否かを判定する。すなわち、ステップS209の処理を繰り返して所定時間t3をカウントしている間に擬似電源ボタン80aが操作されることにより、擬似電源ON状態となったか否かを判定する。
制御部82は、擬似電源ON状態であると判定した場合、ステップS204に移行する。
制御部82は、擬似電源ON状態ではない(すなわち、擬似電源OFF状態である)と判定した場合、ステップS209の処理を再度行う。
【0100】
上述の如く、制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作された場合(ステップS201)に擬似電源ON状態であれば(ステップS202)、第一実施形態に係る制御と同様の制御(ステップS203からステップS207まで)を行う。これによって、作業者は前記各種ボタンを視認することができ、遠隔操作装置80の操作がし易くなる。
【0101】
また、上述の如く、制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作された場合(ステップS201)に擬似電源OFF状態であれば(ステップS202)、所定時間t3だけ内部LED84・84を常時発光させた後(ステップS208及びステップS209)、当該発光を停止させる(ステップS207)(図10のBの時点)。このように、擬似電源OFF状態においては、作業者に遠隔操作装置80を操作する意思がない可能性が高いと考えられる。この場合、所定時間t3経過後すぐに内部LED84・84の発光を停止させることで、消費電力を軽減することができる。
【0102】
また、上述の如く、制御部82は、所定時間t3をカウントしている間(ステップS209)に擬似電源ON状態になった場合(ステップS210)、第一実施形態に係る制御と同様の制御(ステップS208及びステップS204からステップS207まで)を行う。このように、所定時間t3をカウントしている間に擬似電源ON状態になった場合は、作業者に遠隔操作装置80を操作する意思があると判断し、第一実施形態に係る制御と同様の制御を行う。
【0103】
なお、擬似電源ON状態において、ステップS201の前記各種ボタンの押し操作がなされると、排出オーガ32は当該押し操作に従って作動する。したがって、例えば夕暮れ時等の周囲が暗い状況において、内部LED84・84を発光させるために作業者が前記各種ボタンのいずれかを押し操作すると、当該内部LED84・84が発光すると同時に排出オーガ32が作動する。これを防止するために、制御部82は、内部LED84・84の発光が停止している状態で前記各種ボタンが押し操作された場合は、排出オーガ32を作動させないように制御することも可能である。
【0104】
なお、上記第一実施形態及び第二実施形態においては、本発明に係る発光手段の実施の一形態として内部LED84・84を用いるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、図11に示すように、外部LED83を本発明にかかる発光手段の実施の一形態として用いることも可能である。すなわち、この場合、擬似電源ON状態を作業者に知らせるための外部LED83を、発光手段として兼用する。
この場合、外部LED83を遠隔操作装置80の表面から突出するように設け、当該外部LED83が発光した場合、当該外部LED83からの光によって遠隔操作装置80に設けられた各種ボタンが照らし出されるように構成する。このように構成することによって、内部LED84・84を設ける必要がないため、コストの削減を図ることができる。
【0105】
また、外部LED83を設けることなく、第一実施形態及び第二実施形態において示した内部LED84・84を用いて擬似電源ON状態を作業者に知らせる構成とすることも可能である。すなわち、この場合、内部LED84・84によって擬似電源ON状態を作業者に知らせる手段と本発明に係る発光手段とを兼用する。このように構成することによって、外部LED83を設ける必要がないため、コストの削減を図ることができる。
【0106】
また、外部LED83とは別に、各種ボタンを照らし出すための発光手段を設ける構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 コンバイン
32 排出オーガ
80 遠隔操作装置
82 制御部
84 内部LED(発光手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関し、特にグレンタンク内の穀粒を排出する排出オーガを遠隔操作装置により無線通信を用いて操作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀選別後の穀粒をグレンタンク内に貯溜して、その貯溜した穀粒を昇降及び旋回可能な排出オーガにより搬送して、この排出オーガの先端から外部に排出可能としたコンバインは公知となっている。このようなコンバインには、排出オーガを遠隔操作装置(リモートコントローラ)により無線通信を用いて遠隔操作して昇降及び旋回させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなコンバインにおいては、遠隔操作装置を操作することで、作業者はコンバイン本体から離れた場所から排出オーガを任意に昇降又は旋回させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−185194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、夕暮れ時等の周囲が暗い状況においては遠隔操作装置を視認し難く、当該遠隔操作装置の操作が困難であるという点で不利であった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、周囲が暗い状況であっても遠隔操作装置の操作手段を視認することができ、当該遠隔操作装置の操作がし易いコンバインを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、複数の操作手段を有し、前記操作手段の操作に応じて、無線通信を用いて排出オーガの動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置を具備するコンバインであって、前記遠隔操作装置は、発光することによって前記複数の操作手段を照らし出す発光手段と、前記複数の操作手段のうちのいずれかが操作されると、前記発光手段を所定の発光頻度で発光させる制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、前記複数の操作手段の操作が終了して所定時間が経過すると、前記発光手段の発光を停止させるものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御部は、前記発光手段を発光させてから当該発光を停止させるまでの間に、当該発光手段の発光頻度を低下させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、いずれかの操作手段を操作すると発光手段が発光し、遠隔操作装置の操作手段が照らし出されるため、周囲が暗い状況(夕暮れ時等)であっても当該遠隔操作装置の操作手段を視認することができ、当該遠隔操作装置の操作がし易くなる。
【0013】
請求項2においては、発光手段の無駄な発光を防止し、消費電力を軽減することができる。
【0014】
請求項3においては、発光手段による消費電力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体的な構成を示した平面図。
【図3】本発明の一実施形態に係るコンバインの排出オーガにおける縦排出オーガと横排出オーガとの連結部分の構成を示した側面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るコンバインの排出オーガにおける横排出オーガの先端部の構成を示した側面断面図。
【図5】本発明の一実施形態に係るコンバインの制御構成を示したブロック図。
【図6】(a)本発明の一実施形態に係るコンバインの遠隔操作装置の構成を示した側面図。(b)同じく、正面図。
【図7】第一実施形態に係る内部LEDの発光の制御態様を示したフローチャート。
【図8】同じく、遠隔操作装置の操作と内部LEDの発光状態との関係を示したタイムチャート。
【図9】第二実施形態に係る内部LEDの発光の制御態様を示したフローチャート。
【図10】同じく、遠隔操作装置の操作と内部LEDの発光状態との関係を示したタイムチャート。
【図11】(a)本発明の他の実施形態に係るコンバインの遠隔操作装置の構成を示した側面図。(b)同じく、正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係るコンバイン1について、図1及び図2を用いて説明する。
なお、本実施形態に係るコンバイン1は6条刈のコンバインであるものとして図示及び説明するが、本発明はコンバインの刈取条数をこれに限るものではない。
また、以下において、図1における矢印Aの指す方向を機体前方向として、機体の前後方向を規定する。また、かかる前後方向と水平方向に直交する方向を機体の左右方向と規定する。
【0017】
コンバイン1は、図1及び図2に示すように、機体フレーム10に対して設けられた走行部2と、刈取部3と、脱穀部4と、選別部5と、穀粒貯溜部6と、排藁処理部7と、エンジン部8と、運転部9等とから構成される。
【0018】
走行部2は、機体フレーム10の下部に設けられる。走行部2には、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11等が設けられる。走行部2は、クローラ式走行装置11が駆動することにより機体を走行させるように構成される。
【0019】
刈取部3は、機体フレーム10の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部3は、分草装置12と、引起装置13と、切断装置14と、搬送装置15等とから構成される。刈取部3は、分草装置12により圃場の穀稈を分草し、引起装置13により分草後の穀稈を引き起こし、切断装置14により引き起こし後の穀稈の株元を切断し、搬送装置15により切断後の穀稈を脱穀部4側へ搬送するように構成される。
【0020】
脱穀部4は、機体フレーム10の左側前部であって、刈取部3の後方に設けられる。脱穀部4は、フィードチェン16と、図示せぬ扱胴等とから構成される。脱穀部4は、刈取部3から搬送される穀稈を受け継いで、フィードチェン16により排藁処理部7側へ搬送し、搬送中の穀稈を前記扱胴等により脱穀し、その脱穀処理物を選別部5へ落下させるように構成される。
【0021】
選別部5は、機体フレーム10の左側部であって、脱穀部4の下方に設けられる。選別部5は、脱穀部4から落下した脱穀処理物を揺動選別及び風選別により、穀粒と、穂付粒や未脱粒と、排藁と、塵埃等とに選別する。そして、選別部5は、選別した穀粒を穀粒貯溜部6へ搬送し、穂付粒及び未脱粒等の二番物は脱穀部4へ戻すように搬送し、排藁及び塵埃等は機体の外部へ排出するように構成される。
【0022】
穀粒貯溜部6は、機体フレーム10の右側後部であって、脱穀部4及び選別部5の右側方に設けられる。穀粒貯溜部6は、グレンタンク17と、穀粒排出装置30等とから構成される。穀粒貯溜部6は、選別部5から搬送される穀粒をグレンタンク17に貯溜するとともに、グレンタンク17に貯溜される穀粒を穀粒排出装置30により機体の外部へ排出するように構成される。
【0023】
排藁処理部7は、機体フレーム10の後部であって、脱穀部4の後方に設けられる。排藁処理部7は、図示せぬ排藁搬送装置及び排藁切断装置等から構成される。排藁処理部7は、脱穀部4から搬送される脱穀済みの穀稈を、前記排藁搬送装置で受け継いで排藁として外部へ排出し、又は前記排藁切断装置に搬送して切断した後に機体の外部へ排出するように構成される。
【0024】
エンジン部8は、機体フレーム10の右側部であって、穀粒貯溜部6の前方に設けられる。エンジン部8は、エンジン8a等を有して、エンジン8aの動力を駆動源とする各部の装置に適宜の伝達機構を介して当該エンジン8aの動力を伝達し、各部の装置を駆動させるように構成される。
【0025】
運転部9は、機体フレーム10の右側前部であって、刈取部3の搬送装置15の右側方に設けられる。運転部9は、キャビン18と、座席19と、ハンドル20と、操作ペダルや操作レバー等の操作具類と、操作パネル等とから構成される。運転部9は、キャビン18により座席19やハンドル20等が覆われるように構成される。
【0026】
このようにして、コンバイン1は、運転部9での操作具類の操作によって、エンジン部8のエンジン8aの動力を各部の装置に伝達して、走行部2にて機体を走行させながら、刈取部3で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部4で刈取部3からの穀稈を脱穀し、選別部5で脱穀部4からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部6で選別部5からの穀粒を貯溜すると同時に、排藁処理部7で脱穀部4からの排藁を機体の外部へ排出することができるように構成される。
【0027】
次に、穀粒貯溜部6のグレンタンク17及び穀粒排出装置30の構成について、図1から図4を用いてさらに詳細に説明する。
【0028】
グレンタンク17は、選別部5による選別後の穀粒を貯溜するものである。グレンタンク17は、図1及び図2に示すように、機体フレーム10上に設けられる。グレンタンク17は、脱穀部4及び選別部5の右側方であって、運転部9の後方に配置される。グレンタンク17は、その後部が穀粒排出装置30の一部(排出オーガ32の縦排出オーガ筒34)に回動可能に支持されて、グレンタンク17の前部が脱穀部4及び選別部5に対して近接又は離間する左右方向へ移動するように構成される。
【0029】
穀粒排出装置30は、グレンタンク17に貯溜される穀粒を機体の外部へ排出するものである。穀粒排出装置30は、図1及び図2に示すように、排出コンベア31と、排出オーガ32とを備える。
【0030】
排出コンベア31は、図2に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を前後方向としてグレンタンク17内の底部に配置される。排出コンベア31は、エンジン8aに伝動機構を介して接続される。そして、排出コンベア31は、エンジン8aの動力により回転して、グレンタンク17内の底部で穀粒を後部へ搬送するように構成される。エンジン8aから排出コンベア31までの動力伝達経路上には、ベルトテンションクラッチ等のオーガクラッチ33(図5参照)が配設される。オーガクラッチ33は、断接操作(「入」または「切」とする操作)されることにより、エンジン8aの動力(穀粒排出用の動力)が排出コンベア31へ伝達又は遮断されるように構成される。
【0031】
排出オーガ32は、図3及び図4に示すように、縦排出オーガと、横排出オーガと、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、穀粒排出筒体40と、筒体回動用アクチュエータ41とを備える。排出オーガ32は、使用時には、横排出オーガの横排出オーガ筒36がグレンタンク17や脱穀部4等の上方を移動可能に構成される。排出オーガ32(横排出オーガ筒36)は、図1及び図2に示すように、非作業時(不使用時)には脱穀部4の前上部付近に設けられたオーガレスト21に載置される。
【0032】
なお、オーガレスト21には、横排出オーガ筒36が載置されているか否かを検出するオーガレストセットセンサ57が配置される。そして、オーガレストセットセンサ57は後述する制御手段60と接続される。
なお、オーガレストセットセンサ57は、オーガ載置検出手段の一例であり、本実施形態におけるものに限定するものではない。例えば、後述する旋回角度検知センサ46及び昇降角度検知センサ54を用いてオーガレスト21に横排出オーガ筒36が載置されているか否かを検出する構成とすることも可能である。
【0033】
縦排出オーガは、機体上下方向に延在して、グレンタンク17からの穀粒を揚送するものである。縦排出オーガは、縦排出オーガ筒34と、縦排出コンベア38とを備える。
【0034】
縦排出オーガ筒34は、図1及び図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。縦排出オーガ筒34は、グレンタンク17の後方で長手方向を上下方向として垂直方向(縦方向)に立設される。縦排出オーガ筒34の下端部は、排出コンベア31の後端と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34の上端部は、横排出オーガ筒36の基端部と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34は、機体フレーム10に対してその軸心を中心として回動可能に構成される。
【0035】
縦排出コンベア38は、図3に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を上下方向(垂直方向)として縦排出オーガ筒34内に立設される。縦排出コンベア38は、排出コンベア31によりグレンタンク17内の底部で後部へ搬送された穀粒を、縦排出オーガ筒34内で上方へ搬送するものである。縦排出コンベア38の下端部は、排出コンベア31の後端部とベベルギヤ等を介して連動するように連結される。縦排出コンベア38には、エンジン8aの動力が、排出コンベア31を介して伝達される。
【0036】
横排出オーガは、その基端部で縦排出オーガの上部に昇降かつ旋回可能に支持されて、縦排出オーガからの穀粒を搬送し、その先端部から外部に排出するものである。横排出オーガは、横排出オーガ筒36と、横排出コンベア39とを備える。
【0037】
横排出オーガ筒36は、図1から図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。横排出オーガ筒36は、縦排出オーガ筒34の上端部から水平方向へ延設される。横排出オーガ筒36の基端部は、縦排出オーガ筒34の上端部に上下方向へ回動可能に支持される。図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部には、投出口体47が固設される。投出口体47は、四角筒からなり側面視で略L形に形成されている。投出口体47は、開口された一側が横排出オーガ筒36の先端部と連通するように接続され、且つ開口された他側が下方を臨むように配置される。横排出オーガ筒36の先端部から排出された穀粒は、投出口体47の前記開口された他側を通じて外部へ排出される。投出口体47には、穀粒排出筒体40が取り付けられる。
【0038】
横排出コンベア39は、図3及び図4に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を水平方向として横排出オーガ筒36内に横設される。横排出コンベア39は、縦排出コンベア38により縦排出オーガ筒34内の上端部に搬送された穀粒を、横排出オーガ筒36内で先端部へ搬送するものである。横排出コンベア39の基端部は、縦排出コンベア38の上端部とベベルギヤ等を介して連動するように連結される。横排出コンベア39には、エンジン8aの動力が、縦排出コンベア38を介して伝達される。
【0039】
旋回用アクチュエータ35は、図3に示すように、縦排出オーガ筒34を左右方向(水平方向)へ回動させる部材である。旋回用アクチュエータ35は、回転軸44を備える。回転軸44には、駆動ギヤ45が固設される。駆動ギヤ45には、縦排出オーガ筒34の上下中途部に外嵌するように固定された従動ギヤ43が噛合される。また、回転軸44には、旋回角度検知センサ46が取り付けられる。旋回角度検知センサ46は、回転式ポテンショメータ等が用いられて、縦排出オーガ筒34(排出オーガ32)の旋回角度を検出することができる。なお、旋回用アクチュエータ35は、オーガ用アクチュエータの一例であり、本実施形態においては電動モータが用いられているが、これに限定するものではない。また、旋回角度検知センサ46は、本実施形態におけるものに限定するものではない。
こうして、旋回用アクチュエータ35が駆動されると、回転軸44が軸心回り(左右方向)へ回動され、駆動ギヤ45及び従動ギヤ43を介して、縦排出オーガ筒34が軸心回りへ回動するように構成される。
【0040】
昇降用アクチュエータ37は、図3に示すように、横排出オーガ筒36を上下方向へ回動させる部材である。昇降用アクチュエータ37の両端部には、横排出オーガ筒36に突設されるブラケット48と、縦排出オーガ筒34に突設されるブラケット49とが、それぞれ回動自在に接続される。また、昇降用アクチュエータ37には、昇降角度検知センサ54が取り付けられる。昇降角度検知センサ54は、伸縮式ポテンショメータ等が用いられて、昇降用アクチュエータ37のストロークを検出して横排出オーガ筒36(排出オーガ32)の昇降角度を検出することができる。なお、昇降用アクチュエータ37は、オーガ用アクチュエータの一例であり、本実施形態においては油圧シリンダが用いられているが、これに限定するものではない。
こうして、昇降用アクチュエータ37が駆動されると(伸縮されると)、ブラケット48及びブラケット49を介して、横排出オーガ筒36が基端部を中心として上下方向へ回動するように構成される。
【0041】
穀粒排出筒体40は、図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部に設けられた中空筒状の部材である。穀粒排出筒体40は、基端側の開口部を通じて横排出オーガ筒36の投出口体47が挿入されて、当該投出口体47の後下部に回動可能に支持される。
穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を臨むように配置されている場合、投出口体47の穀粒排出口(前記開口された他側)は穀粒排出筒体40の内側壁により被覆されるので、投出口体47から外部へ穀粒を排出することはできない。
他方、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向より下方向を臨むように配置されている場合、投出口体47の穀粒排出口(前記開口された他側)と穀粒排出筒体40の内側壁との間に間隙が設けられて投出口体47から排出された穀粒は、穀粒排出筒体40の先端側の開口部を通じて穀粒排出筒体40(排出オーガ32)の外部へ排出されることとなる。また、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が臨む方向を水平方向より下方向の範囲で前後方向へ調整することにより、穀粒排出筒体40(排出オーガ32)から排出される穀粒の排出方向が調整可能となる。
なお、穀粒排出筒体40は、穀粒排出部の一例であり、本実施形態における形状等に限定するものではない。
【0042】
筒体回動用アクチュエータ41は、図4に示すように、穀粒排出筒体40を回動させる部材である。筒体回動用アクチュエータ41は、横排出オーガ筒36の先端側に取り付けられる。筒体回動用アクチュエータ41は、出力軸50を備える。出力軸50には、出力軸ギヤ51が固設されるとともに、回動角度検知センサ56が配置される。出力軸ギヤ51は、扇形の開閉ギヤ52の一端側に歯合される。開閉ギヤ52は、中央部で回動可能に軸支されて、他端側にロッド53の一端側が回動可能に連結される。ロッド53の他端側は、前下方向へ向けて延設されて、平板状の開閉リンク55の一端側に回動可能に連結される。開閉リンク55の他端側は、穀粒排出筒体40に固定されている。回動角度検知センサ56は、穀粒排出筒体40の回動角度を検出する。なお、本実施形態において、筒体回動用アクチュエータ41は、電動モータが用いられているが、これに限定するものではない。
こうして、筒体回動用アクチュエータ41が駆動されると、出力軸50が軸心回りへ回動され、出力軸ギヤ51を介して、開閉ギヤ52が回動する。そして、開閉ギヤ52が図4における反時計回りに回動すると、ロッド53及び開閉リンク55を介して、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向より下方向を臨む方向へ回動するように構成される。他方、開閉ギヤ52が時計回りに回動すると、ロッド53及び開閉リンク55を介して、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を臨む方向へ回動するように構成される。
【0043】
以上のような構成により、排出オーガ32は、旋回用アクチュエータ35により縦排出オーガ筒34を軸心周りに回動させることによって旋回し、昇降用アクチュエータ37により横排出オーガ筒36を上下方向へ回動させることによって昇降するように構成される。また、排出オーガ32は、筒体回動用アクチュエータ41により穀粒排出筒体40を回動させて、グレンタンク17内の穀粒を機体の外部の任意の場所へ排出可能に構成される。
また、オーガクラッチ33が「入」の場合、排出オーガ32は、エンジン8aの動力が排出コンベア31を介して縦排出コンベア38及び横排出コンベア39へ伝達されるので、縦排出コンベア38及び横排出コンベア39が駆動して、グレンタンク17内の穀粒が穀粒排出筒体40を通じて排出可能に構成される。他方、オーガクラッチ33が「切」の場合、排出オーガ32は、エンジン8aの動力が排出コンベア31へ伝達されず、縦排出コンベア38及び横排出コンベア39が駆動しないので穀粒が排出されないように構成される。
【0044】
また、排出オーガ32は、本機側操作装置70により有線通信を用いて、又は遠隔操作装置80により無線通信を用いて操作されるように構成される。詳細については後述するが、排出オーガ32は、本機側操作装置70又は遠隔操作装置80によって操作され、各アクチュエータ35・37・41がその操作に基づいてコンバイン1の任意箇所に設置された制御手段60により駆動制御されることによって、昇降又は旋回或いは穀粒排出筒体40が回動するようになっている。
【0045】
次に、制御手段60の構成について、図5を用いて説明する。
【0046】
制御手段60は、RAMやROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等により構成される。また、制御手段60は、受信部61と接続される。
受信部61は、遠隔操作装置80の送信部81から無線で送信された各種信号を受信する。前記記憶部は、各アクチュエータ35・37・41等の駆動制御に関する制御プログラム等を格納する。前記演算処理部は、受信部61から入力された各種信号や前記制御プログラムに基づいて演算処理を行い、各アクチュエータ35・37・41へ制御信号を出力するなどする。
【0047】
制御手段60は、本機側操作装置70が有する操作手段としての各種ボタンと、旋回角度検知センサ46と、昇降角度検知センサ54と、回動角度検知センサ56と接続されるとともに、遠隔操作装置80が有する操作手段としての各種ボタンと無線で接続される。
また、制御手段60は、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、オーガクラッチ33と、筒体回動用アクチュエータ41と接続される。
【0048】
制御手段60は、本機側操作装置70又は遠隔操作装置80の各種ボタンが押し操作されると、その操作に対応する操作信号を受信し、受信した操作信号に基づいて、前記制御プログラムと各角度検出センサ46・54・56からの検出信号とを利用しながら、旋回用アクチュエータ35と昇降用アクチュエータ37と筒体回動用アクチュエータ41を駆動制御して、排出オーガ32を昇降又は旋回させるとともに、穀粒排出筒体40を回動させる。
【0049】
次に、本機側操作装置70の構成について説明する。
【0050】
本機側操作装置70は、排出オーガ32を、有線通信を用いて操作するための装置である。本機側操作装置70は、運転部9に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持される。本機側操作装置70は、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンを備える。なお、本機側操作装置70と同等の機能を有する操作装置を、排出オーガ32の穀粒排出口近傍に設けることも可能である。
【0051】
次に、遠隔操作装置80の構成について、図5及び図6を用いて説明する。
【0052】
遠隔操作装置80は、無線通信を用いて遠隔指示を送信し、排出オーガ32を操作するためのものである。遠隔操作装置80は、運転部9や排出オーガ32の穀粒排出口近傍位置に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持され、作業者が携帯することができるように構成される。遠隔操作装置80は、擬似電源ボタン80aと、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンと、制御部82と、送信部81と、外部LED83と、内部LED84・84と、を備える。
【0053】
制御部82は、RAMやROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等を備える。制御部82は前記各種ボタンと接続され、各種ボタンが押し操作された場合、当該押し操作に対応する操作信号を、送信部81を介して制御手段60(さらに詳しくは、制御手段60に接続された受信部61)へと無線で送信する。
【0054】
外部LED83は、遠隔操作装置80の左上部に配置される。外部LED83は制御部82に接続される。制御部82は、所定の場合に外部LED83を点灯させることができる。
【0055】
内部LED84・84は、本発明に係る発光手段の実施の一形態であり、遠隔操作装置80の内部に配置される。内部LED84・84は制御部82に接続される。制御部82は、所定の場合に内部LED84・84を点灯(発光)させることができる。
【0056】
前記各種ボタンは、擬似電源ボタン80aと、オーガクラッチボタン80dと、オーガ上昇ボタン80eと、オーガ下降ボタン80fと、オーガ左旋回ボタン80gと、オーガ右旋回ボタン80hと、筒体前回動ボタン80iと、筒体後回動ボタン80jと、オートリターンボタン80kと、シフトボタン80mと、からなる。
【0057】
擬似電源ボタン80aは、遠隔操作装置80による排出オーガ32の操作を可能とするためのものである。
【0058】
ここで、擬似電源ボタン80aの機能について説明する。
【0059】
遠隔操作装置80は、単純な構成とするために常時電力が供給されている。すなわち、常時前記各種ボタンを操作することが可能であるため、作業者が遠隔操作装置80をポケットなどに入れた際に不意に前記各種ボタンを押して排出オーガ32が動いてしまう可能性がある。
【0060】
そこで、本実施形態に係る遠隔操作装置80においては、擬似電源ボタン80aを設けて、上述の如く不意に排出オーガ32が動いてしまうことを防止している。
【0061】
具体的には、通常、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することを禁止している。すなわち、前記各種ボタンが押し操作されても、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することはない。以下、この状態を単に「擬似電源OFF状態」と記す。
【0062】
擬似電源ボタン80aが操作(例えば、所定時間以上の長押し操作等)された場合、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信可能な状態とする。すなわち、この状態においては、前記各種ボタンが押し操作されると、制御部82は当該操作信号を送信部81を介して制御手段60に送信する。またこの場合、制御部82は、操作信号を送信可能な状態となったことを作業者に知らせるため、外部LED83を点灯(又は点滅)させる。以下、この状態を単に「擬似電源ON状態」と記す。
【0063】
さらに、前記各種ボタンのいずれもが所定時間以上押し操作されなかった場合、制御部82は再び送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することを禁止する。
【0064】
オーガクラッチボタン80dは、オーガクラッチ33を断接(入り切り)させるためのものである。オーガクラッチボタン80dが一度押し操作されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「入」にする。オーガクラッチボタン80dが再度押し操作されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「切」にする。その結果、排出オーガ32は、オーガクラッチ33が「入」にされているときだけ、穀粒を外部に排出する。
【0065】
オーガ上昇ボタン80e及びオーガ下降ボタン80fは、それぞれ排出オーガ32を上昇、下降させるためのものである。オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fが押し操作されている間、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fの押し操作が解除されると、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fが押し操作されているときは、その押し操作に対応して上昇又は下降し、押し操作されていないときは、昇降せずに停止する。
【0066】
オーガ左旋回ボタン80g及びオーガ右旋回ボタン80hは、それぞれ排出オーガ32を左旋回、右旋回させるためのものである。オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hが押し操作されている間、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hの押し操作が解除されると、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hが押し操作されているときは、その押し操作に対応して左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止する。
【0067】
筒体前回動ボタン80i及び筒体後回動ボタン80jは、それぞれ穀粒排出筒体40を前方向(横排出オーガ筒36の先端方向)へ回動、後方向(横排出オーガ筒36の基端方向)へ回動させるためのものである。筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jが押し操作されている間、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を受信した操作信号に基づいて駆動させる。筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jの押し操作が解除されると、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を停止させる。その結果、穀粒排出筒体40が、筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jが押し操作されているときは、その押し操作に対応して前方向又は後方向へ回動し、押し操作されていないときは、回動せずに停止する。
【0068】
オートリターンボタン80k及びシフトボタン80mは、排出オーガ32をオーガレスト21に載置させるように自動的に昇降又は旋回させるためのものである。より詳細には、オートリターンボタン80k及びシフトボタン80mは、排出オーガ32がオーガレスト21に載置されていない状態において、制御手段60により当該排出オーガ32を自動的に昇降又は旋回させて、オーガレスト21に載置させる、いわゆるオートリターン機能を作動させるためのものである。オートリターンボタン80k及びシフトボタン80mが同時に押し操作されると、制御手段60は旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を適宜駆動させる。
【0069】
前記各種ボタンは、透光性を有する部材で構成される。より詳細には、前記各種ボタンは、それぞれそのボタン全体又は一部(例えば、ボタンのうち文字や模様以外の部分)が光を透過する部材で構成される。
【0070】
次に、遠隔操作装置80における各種ボタン、外部LED83及び内部LED84・84の配置等について、図6を用いて説明する。
【0071】
遠隔操作装置80は、これを用いる作業者が片手で把持可能な大きさに構成されている。遠隔操作装置80において、各種ボタンは同一表面に並べられる。遠隔操作装置80を用いる作業者から見て、オーガ上昇ボタン80eとオーガ下降ボタン80fとは、それぞれ菱形の上下の頂点に位置するように配置される。オーガ左旋回ボタン80gとオーガ右旋回ボタン80hとは、それぞれオーガ上昇ボタン80e及びオーガ下降ボタン80fの近傍でその左又は右側方に配置され、前記菱形の左右の頂点に位置するように配置される。
また、筒体前回動ボタン80iと筒体後回動ボタン80jとは、それぞれオーガ下降ボタン80fの近傍でその左又は右側方に位置するとともに、筒体前回動ボタン80iがオーガ右旋回ボタン80hの下方に位置し、筒体後回動ボタン80jがオーガ左旋回ボタン80gの下方に位置するように配置される。
そして、オーガクラッチボタン80dは、筒体後回動ボタン80jの近傍でその下方に位置するように配置される。擬似電源ボタン80aは、オーガ右旋回ボタン80hの近傍でその上方に位置するように配置される。
【0072】
外部LED83は、オーガ上昇ボタン80eの左上方かつオーガ左旋回ボタン80gの上方に配置される。
【0073】
オートリターンボタン80kは、筒体前回動ボタン80iの近傍でその下方に位置するように配置される。
シフトボタン80mは、オーガクラッチボタン80dの近傍でその下方に位置するように配置される。
【0074】
内部LED84・84は、遠隔操作装置80の内部において、当該遠隔操作装置80の左右略中央に縦に並べて配置される。より詳細には、一方の内部LED84は、正面視(図6(b))においてオーガ上昇ボタン80eとオーガ下降ボタン80fの間に配置される。他方の内部LED84は、正面視(図6(b))においてオーガクラッチボタン80dとオートリターンボタン80kの間に配置される。
【0075】
このように配置された内部LED84・84が発光した場合、遠隔操作装置80の内部から前記各種ボタンに光が照射される。当該各種ボタンは透光性を有する部材で構成されているため、外部から遠隔操作装置80を見ると、当該各種ボタンが照らし出される(発光しているように見える)ことになる。したがって、この状態においては、作業者は、夕暮れ時等の周囲が暗い状況であっても当該遠隔操作装置80の各種ボタンを視認することができる。
【0076】
次に、図7及び図8を用いて、内部LED84・84を発光させる際の制御の第一実施形態について詳細に説明する。
【0077】
図7のステップS101において、制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作されたか否かを判定する。
制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作されたと判定した場合、ステップS102に移行する。
制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれも押し操作されていないと判定した場合、ステップS101の処理を再度行う。
【0078】
ステップS102において、制御部82は、内部LED84・84を100%の発光頻度で発光させる。
【0079】
ここで、「発光頻度」とは、一定時間(一周期)のうち内部LED84・84が発光している時間の割合を示す。例えば、内部LED84・84が常時発光している場合の発光頻度は100%であり、内部LED84・84が常時消灯している場合の発光頻度は0%であり、内部LED84・84が発光と消灯を交互に同じ時間ずつ繰り返している場合の発光頻度は50%である。
【0080】
すなわち、ステップS102において、制御部82は、内部LED84・84を常時発光させることになる(図8のAの時点)。
制御部82は、ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0081】
ステップS103において、制御部82は、前記各種ボタンの押し操作が終了してから(押し操作されなくなってから)所定時間t1(例えば、10秒)だけ経過したか否かを判定する。
制御部82は、所定時間t1だけ経過したと判定した場合、ステップS104に移行する。
制御部82は、所定時間t1だけ経過していないと判定した場合、ステップS103の処理を再度行う。
【0082】
ステップS104において、制御部82は、内部LED84・84の発光頻度を50%に低下させる。すなわち、制御部82は、内部LED84・84を点滅させ始める(図8のBの時点)。
制御部82は、ステップS104の処理を行った後、ステップS105に移行する。
【0083】
ステップS105において、制御部82は、内部LED84・84を点滅させ始めてから所定時間t2(例えば、3分)だけ経過したか否かを判定する。
制御部82は、所定時間t2だけ経過したと判定した場合、ステップS106に移行する。
制御部82は、所定時間t2だけ経過していないと判定した場合、ステップS105の処理を再度行う。
【0084】
ステップS106において、制御部82は、内部LED84・84の発光頻度を0%に低下させる。すなわち、制御部82は、内部LED84・84の発光を停止させる(図8のCの時点)。
【0085】
上述の如く、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作された場合に内部LED84・84を発光させることで(図7のステップS102)、前記各種ボタンを照らし出すことができる。
例えば、夕暮れ時等の周囲が暗く前記各種ボタンを視認し難い状況においては、作業者は手探りで遠隔操作装置80のいずれかのボタンを押し操作することで前記各種ボタンを照らし出す(発光させる)ことができる。これによって、前記各種ボタンを視認することができ、遠隔操作装置80の操作がし易くなる。
【0086】
また、上述の如く、制御部82は、前記各種ボタンの押し操作が終了してから所定時間t1だけ経過した場合は、しばらく当該各種ボタンの押し操作がなされることがないと判断し、内部LED84・84の発光頻度を100%から50%まで低下させる(図7のステップS104)。これによって、当該内部LED84・84の総発光時間を減少させることができ、内部LED84・84による消費電力を軽減することができる。
【0087】
また、上述の如く、制御部82は、内部LED84・84を点滅させ始めてから所定時間t2だけ経過した場合は、もう前記各種ボタンが押し操作されることはないと判断し、当該内部LED84・84の発光を停止させる(図7のステップS106)。これによって、当該内部LED84・84の無駄な発光を防止し、消費電力を軽減することができる。
【0088】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1は、各種ボタン(複数の操作手段)を有し、前記各種ボタンの操作に応じて、無線通信を用いて排出オーガ32の動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置80を具備するコンバイン1であって、遠隔操作装置80は、発光することによって前記各種ボタンを照らし出す内部LED84・84(発光手段)と、前記各種ボタンのうちのいずれかが操作されると、内部LED84・84を所定の発光頻度で発光させる制御部82と、を具備するものである。
このように構成することにより、いずれかの操作手段(ボタン)を操作すると内部LED84・84が発光し、遠隔操作装置80の各種ボタンが照らし出されるため、周囲が暗い状況(夕暮れ時等)であっても当該遠隔操作装置80の各種ボタンを視認することができ、当該遠隔操作装置80の操作がし易くなる。
【0089】
また、制御部82は、前記各種ボタンの操作が終了して所定時間(所定時間t1+所定時間t2)が経過すると、内部LED84・84の発光を停止させるものである。
このように構成することにより、内部LED84・84の無駄な発光を防止し、消費電力を軽減することができる。
【0090】
また、制御部82は、内部LED84・84を発光させてから当該発光を停止させるまでの間に、当該内部LED84・84の発光頻度を低下させるものである。
このように構成することにより、内部LED84・84による消費電力を軽減することができる。
【0091】
なお、内部LED84・84の配置は本実施形態に係るものに限らず、各種ボタンに光を照射することができる配置であれば良い。
また、内部LED84・84の個数は本実施形態に係るもの(2個)に限らず、1個でも3個以上でも良い。
【0092】
また、本実施形態においては、制御部82は、内部LED84・84の発光頻度を100%から50%に低下させた後で、当該内部LED84・84の発光を停止させるものとした。しかし、本発明はこれに限らず、制御部82は、内部LED84・84の発光頻度を低下させることなく、所定時間経過後に当該内部LED84・84の発光を停止させる構成とすることも可能である。
また、本実施形態においては、制御部82は、内部LED84・84を発光頻度100%又は50%で発光させるものとしたが、本発明はこれに限らず、発光頻度の値は任意に設定することができる。
【0093】
次に、図9及び図10を用いて、内部LED84・84を発光させる際の制御の第二実施形態について詳細に説明する。
【0094】
図9のステップS201において、制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作されたか否かを判定する。
制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作されたと判定した場合、ステップS202に移行する。
制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれも押し操作されていないと判定した場合、ステップS201の処理を再度行う。
【0095】
ステップS202において、制御部82は、送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信可能な状態であるか否か(すなわち、擬似電源ON状態であるか否か)を判定する。すなわち、ステップS201において前記各種ボタンが押し操作されたと判定する以前に擬似電源ボタン80aが操作されることにより、前記各種ボタンが押し操作された際に擬似電源ON状態になっているか否かを判定する。
制御部82は、擬似電源ON状態であると判定した場合、ステップS203に移行する。
制御部82は、擬似電源ON状態ではない(すなわち、擬似電源OFF状態である)と判定した場合、ステップS208に移行する。
【0096】
ステップS203からステップS207までの処理は、図7のステップS102からステップS106までの処理と同一であるため、説明を省略する。
【0097】
ステップS208において、制御部82は、内部LED84・84を100%の発光頻度で発光させる。すなわち、ステップS208において、制御部82は、内部LED84・84を常時発光させることになる(図10のAの時点)。
制御部82は、ステップS208の処理を行った後、ステップS209に移行する。
【0098】
ステップS209において、制御部82は、前記各種ボタンの押し操作が終了してから(押し操作されなくなってから)所定時間t3(例えば、10秒)だけ経過したか否かを判定する。
制御部82は、所定時間t3だけ経過したと判定した場合、ステップS207に移行する。
制御部82は、所定時間t3だけ経過していないと判定した場合、ステップS210に移行する。
【0099】
ステップS210において、制御部82は、擬似電源ON状態であるか否かを判定する。すなわち、ステップS209の処理を繰り返して所定時間t3をカウントしている間に擬似電源ボタン80aが操作されることにより、擬似電源ON状態となったか否かを判定する。
制御部82は、擬似電源ON状態であると判定した場合、ステップS204に移行する。
制御部82は、擬似電源ON状態ではない(すなわち、擬似電源OFF状態である)と判定した場合、ステップS209の処理を再度行う。
【0100】
上述の如く、制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作された場合(ステップS201)に擬似電源ON状態であれば(ステップS202)、第一実施形態に係る制御と同様の制御(ステップS203からステップS207まで)を行う。これによって、作業者は前記各種ボタンを視認することができ、遠隔操作装置80の操作がし易くなる。
【0101】
また、上述の如く、制御部82は、前記各種ボタンのうちのいずれかが押し操作された場合(ステップS201)に擬似電源OFF状態であれば(ステップS202)、所定時間t3だけ内部LED84・84を常時発光させた後(ステップS208及びステップS209)、当該発光を停止させる(ステップS207)(図10のBの時点)。このように、擬似電源OFF状態においては、作業者に遠隔操作装置80を操作する意思がない可能性が高いと考えられる。この場合、所定時間t3経過後すぐに内部LED84・84の発光を停止させることで、消費電力を軽減することができる。
【0102】
また、上述の如く、制御部82は、所定時間t3をカウントしている間(ステップS209)に擬似電源ON状態になった場合(ステップS210)、第一実施形態に係る制御と同様の制御(ステップS208及びステップS204からステップS207まで)を行う。このように、所定時間t3をカウントしている間に擬似電源ON状態になった場合は、作業者に遠隔操作装置80を操作する意思があると判断し、第一実施形態に係る制御と同様の制御を行う。
【0103】
なお、擬似電源ON状態において、ステップS201の前記各種ボタンの押し操作がなされると、排出オーガ32は当該押し操作に従って作動する。したがって、例えば夕暮れ時等の周囲が暗い状況において、内部LED84・84を発光させるために作業者が前記各種ボタンのいずれかを押し操作すると、当該内部LED84・84が発光すると同時に排出オーガ32が作動する。これを防止するために、制御部82は、内部LED84・84の発光が停止している状態で前記各種ボタンが押し操作された場合は、排出オーガ32を作動させないように制御することも可能である。
【0104】
なお、上記第一実施形態及び第二実施形態においては、本発明に係る発光手段の実施の一形態として内部LED84・84を用いるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、図11に示すように、外部LED83を本発明にかかる発光手段の実施の一形態として用いることも可能である。すなわち、この場合、擬似電源ON状態を作業者に知らせるための外部LED83を、発光手段として兼用する。
この場合、外部LED83を遠隔操作装置80の表面から突出するように設け、当該外部LED83が発光した場合、当該外部LED83からの光によって遠隔操作装置80に設けられた各種ボタンが照らし出されるように構成する。このように構成することによって、内部LED84・84を設ける必要がないため、コストの削減を図ることができる。
【0105】
また、外部LED83を設けることなく、第一実施形態及び第二実施形態において示した内部LED84・84を用いて擬似電源ON状態を作業者に知らせる構成とすることも可能である。すなわち、この場合、内部LED84・84によって擬似電源ON状態を作業者に知らせる手段と本発明に係る発光手段とを兼用する。このように構成することによって、外部LED83を設ける必要がないため、コストの削減を図ることができる。
【0106】
また、外部LED83とは別に、各種ボタンを照らし出すための発光手段を設ける構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 コンバイン
32 排出オーガ
80 遠隔操作装置
82 制御部
84 内部LED(発光手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作手段を有し、前記操作手段の操作に応じて、無線通信を用いて排出オーガの動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置を具備するコンバインであって、
前記遠隔操作装置は、
発光することによって前記複数の操作手段を照らし出す発光手段と、
前記複数の操作手段のうちのいずれかが操作されると、前記発光手段を所定の発光頻度で発光させる制御部と、
を具備するコンバイン。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の操作手段の操作が終了して所定時間が経過すると、前記発光手段の発光を停止させる、
請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記制御部は、
前記発光手段を発光させてから当該発光を停止させるまでの間に、当該発光手段の発光頻度を低下させる、
請求項2に記載のコンバイン。
【請求項1】
複数の操作手段を有し、前記操作手段の操作に応じて、無線通信を用いて排出オーガの動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置を具備するコンバインであって、
前記遠隔操作装置は、
発光することによって前記複数の操作手段を照らし出す発光手段と、
前記複数の操作手段のうちのいずれかが操作されると、前記発光手段を所定の発光頻度で発光させる制御部と、
を具備するコンバイン。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の操作手段の操作が終了して所定時間が経過すると、前記発光手段の発光を停止させる、
請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記制御部は、
前記発光手段を発光させてから当該発光を停止させるまでの間に、当該発光手段の発光頻度を低下させる、
請求項2に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−13337(P2013−13337A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146310(P2011−146310)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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