説明

コンホメーションが制約されたSmac模倣物およびその使用

本発明は、アポトーシスタンパク質の阻害剤の阻害剤として機能するSmacのコンホメーションが制約された模倣物に関する。本発明はまた、アポトーシス性細胞死を誘導するため、および細胞をアポトーシスのインデューサーに細胞を感作させるためのこれらの模倣物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は医科学の分野にある。特に、本発明は、アポトーシスタンパク質の阻害剤の阻害剤として機能するSmacのコンホメーションが制約された模倣物に関する。本発明はまた、アポトーシス性細胞死の誘導に対して細胞を感作させるためのこれらの模倣物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連分野
攻撃性の癌細胞表現型は、細胞内シグナル伝達経路の脱制御に導く種々の遺伝的かつ後成的な変化の結果である(Ponder, Nature 411:336 (2001) )。しかし、すべての癌細胞についての共通性は、それらがアポトーシスプログラムを実行することの失敗であり、正常なアポトーシス機構の欠陥に起因する適切なアポトーシスの欠如は癌の特質である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485 (2000))。化学療法剤、放射線治療、および免疫療法を含む、現在の癌治療の大部分は、癌細胞のアポトーシスを間接的に誘導することによって作用する。従って、正常なアポトーシス機構の欠陥に起因して癌細胞がアポトーシスプログラムを実行することの不可能性は、しばしば、化学療法、放射線治療、および免疫療法によって誘導されるアポトーシスに対する耐性の増加と関連する。アポトーシスの欠陥に起因する、現在の治療プロトコールに対する異なる起源のヒト癌の原発性または後天的な耐性は、現在の癌治療において主要な問題である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485(2000); Nicholson, Nature 407 : 810 (2000))。従って、癌患者の生存および生活の質を改善するための新規な分子標的特異的抗癌治療を設計することおよび開発することに向けた現在および将来の努力は、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を特異的に標的とするストラテジーを含むに違いない。この点に関して、癌細胞中でアポトーシスを直接的に阻害する際に中心的な役割を果たす決定的なネガティブレギュレーターを標的とすることは、新規な抗癌薬物設計のための非常に有望な治療ストラテジーを提示する。
【0003】
アポトーシスの中心的なネガティブレギュレーターの2つのクラスが同定されている。第1のクラスのレギュレーターは、2つの強力な抗アポトーシス性分子、Bcl-2タンパク質およびBcl-XLタンパク質によって例示されるように、Bcl-2ファミリーのタンパク質である(Adams et al., Science 281:1322 (1998); Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997); Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23 (1996))。癌細胞の感受性を回復し、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を克服するために、癌の中のBcl-2およびBcl-XLを標的とするための治療的ストラテジーが広範囲に概説されている(Adams et al.,Science 281:1322 (1998); Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997); Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23(1996))。現在、Bcl-2アンチセンス治療は、固形腫瘍および非固形腫瘍の治療のために、いくつかのフェーズIII臨床試験にある。いくつかの研究室が、Bcl-2およびBcl-XLの低分子阻害剤を設計することに興味を持っている。
【0004】
アポトーシスの中心的なネガティブレギュレーターの第2のクラスは、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)である(Deveraux et al., Genes Dev. 13:239 (1999); Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 3:401 (2002))。IAPタンパク質は、癌細胞中の化学療法剤、放射線、および免疫治療を含む広範な種々のアポトーシス刺激によって誘導されるアポトーシスを強力に抑制する。
【0005】
X連鎖IAP(XIAP)は、すべてのIAPメンバーの間でアポトーシスを抑制する際の最も強力な阻害剤である(Holcik et al., Apoptosis 6:253 (2001); LaCasse et al., Oncogene 17:3247 (1998); Takahashi et al., J. Biol. Chem. 273:7787 (1998); Deveraux et al., Nature 388:300 (1997); Sun et al., Nature 401:818 (1999); Deveraux et al., EMBO J. 18:5242 (1999); Asselin et al., Cancer Res. 61:1862 (2001))。XIAPは、デスレセプター媒介経路とミトコンドリア媒介経路の両方においてアポトーシスのネガティブ調節において鍵となる役割を果たす。XIAPは、カスパーゼファミリーの酵素の3つのファミリー、カスパーゼ-3、-7、および-9に直接的に結合し、かつこれらを強力に阻害することによって、強力な内因性アポトーシス阻害剤として機能する(Takahashi et al., J. Biol. Chem. 273:7787 (1998); Deveraux et al., Nature 388:300 (1997); Sun et al., Nature 401:818 (1999); Deveraux et al., EMBO J. 18:5242 (1999); Asselin et al., Cancer Res. 61:1862 (2001); Riedl et al., Cell 104:791 (2001); Chai et al., Cell 104:769 (2001); Huang et al., Cell 104:781 (2001))。XIAPは、C末端RINGフィンガーと同様にバキュロウイルス阻害剤の3つのアポトーシス反復(BIR)ドメインを含む。第3のBIRドメイン(BIR3)は、ミトコンドリア経路におけるイニシエーターカスパーゼであるカスパーゼ-9を選択的に標的とするのに対して、BIR1とBIR2の間のリンカー領域は、カスパーゼ-3とカスパーゼ-7の両方を阻害する(Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 3: 401 (2002))。XIAPは3つすべてのカスパーゼの活性化を妨害するが、カスパーゼ-9との相互作用がアポトーシスのその阻害のために最も重要であることが明らかである(Ekert et al., J. Cell Biol. 152:483 (2001); Srinivasula et al., Nature 410:112(2001))。XIAPは、複数のシグナル伝達経路が集中する点である下流のエフェクター相でアポトーシスをブロックするので、XIAPを標的とするストラテジーは、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を克服するためにとりわけ有効であることが判明する可能性がある(Fulda et al., Nature Med. 8:808 (2002); Arnt et al., J. Biol. Chem. 277:44236 (2002))。
【0006】
癌の各型におけるXIAPの正確な役割は完全に理解されていることとはほど遠いが、XIAPが多くの型の癌において広範に過剰発現されており、現在の種々の治療剤に対する癌細胞の耐性において重要な役割を果たすかもしれないことを示す証拠が出始めている(Holcik et al., Apoptosis 6:253 (2001); LaCasse et al., Oncogene 17:3247 (1998))。
【0007】
XIAPタンパク質は、NCI 60ヒト癌細胞株の多くにおいて発現されることが見い出され(Tamm et al., Clin. Cancer Res. 6:1796 (2000))。78例の以前に未治療の患者における腫瘍試料の分析は、より低いレベルのXIAPを有する患者が有意により長い生存を有することを示した(Tamm et al., Clin. Cancer Res. 6:1796 (2000))。XIAPは、ヒト悪性グリオーマにおいて発現されることが見い出された(Wagenknecht et al., Cell Death Differ. 6:370 (1999); Fulda et al., Nature Med. 8:808 (2002))。XIAPは、ヒト前立腺癌細胞において発現されることが見い出され、これは、ミトコンドリアの活性化の存在下で前立腺細胞のリガンド媒介性のアポトーシスを誘導する、Apo2リガンド/腫瘍壊死因子関連アポトーシスをブロックする(McEleny et al., Prostate 51:133 (2002); Ng et al.,Mol. Cancer Ther. 1:1051 (2002))。XIAPは、患者における非小細胞肺癌(NSCLC)中で過剰発現され、NSCLCの病原性に関連している(Hofmann et al., J.Cancer Res. Clin. Oncol. 128:554 (2002))。シスプラチンを用いる治療の際のXIAPの発現およびXIAPのダウンレギュレーションの欠如は、ヒト卵巣癌のシスプラチン耐性に関係してきた(Li et al., Endocrinology 142:370 (2001); Cheng et al.,Drug Resist. Update 5:131 (2002))。まとめると、これらのデータは、XIAPが現在の治療剤に対するいくつかのヒト癌の耐性において重要な役割を果たす可能性があることを示唆する。
【0008】
最近、Smac/DIABLO(カスパーゼの第2のミトコンドリア由来の活性化因子)は、アポトーシス刺激に応答して、ミトコンドリアから細胞質ゾルに放出されるタンパク質として同定された(Budihardjo et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 15:269 (1999); Du et al., Cell 102:33 (2000))。Smacは、成熟ポリペプチドへの成熟の間にタンパク質分解的に除去されるN末端ミトコンドリア標的化配列とともに合成される。Smacは、XIAPおよび他のIAPと直接的に相互作用すること、ならびにカスパーゼへのそれらの結合を破壊し、およびカスパーゼ活性化を容易にすることが示された。Smacは、XIAPの強力な内因性阻害剤である。
【0009】
Smacタンパク質およびペプチドとの複合体中のXIAPのBIR3ドメインの高解像度の実験的三次元(3D)構造が最近決定された(Sun et al., J. Biol. Chem. 275:36152 (2000); Wu et al., Nature 408:1008 (2000))(図1)。SmacのN末端ペプチド(Ala-Val-Pro-Ile、またはAVPI(SEQ ID NO:1))は、いくつかの水素結合相互作用およびファンデルワールス力を通して、XIAPのBIR3ドメイン上の表面溝を認識する。BIR3とカスパーゼ-9の間の相互作用もまた、BIR3ドメイン上の表面溝に対する、カスパーゼ-9の小さなサブユニットのアミノ末端上の4個の残基(Ala-Thr-Pro-Phe、またはATPF(SEQ ID NO:2))を含むことが示されてきた。最近のいくつかの研究は、Smacが、BIR3ドメインの表面上の同じ結合溝について、カスパーゼ-9と競合することによってカスパーゼ-9の触媒活性を促進することを、確信を持って実証してきた(Ekert et al., J. Cell Biol. 152 : 483 (2001); Srinivasula et al., Nature 410:112 (2001))。
【0010】
多くのタンパク質-タンパク質相互作用とは異なり、Smac-XIAP相互作用は、Smacタンパク質上のわずか4個のアミノ酸残基、およびXIAPのBIR3ドメイン上の十分に定義された表面溝によって媒介される。SmacペプチドAVPI(SEC ID NO:1)のXIAPに対するKd値(Kd=0.4μM)は、成熟Smacタンパク質(Kd=0.42μM)と本質的に同じである。十分に定義された相互作用部位は、XIAPへのSmacの結合を模倣する、非ペプチド性の、薬物様低分子の設計のために理想的である。
【0011】
細胞内送達を容易にするためにキャリアペプチドにつながれたSmacのN末端の最初の4つのアミノ酸残基(AVPI (SEC ID NO:1))からなる細胞透過性Smacペプチドは、最近、デスレセプターライゲーションまたは細胞傷害性薬物によって誘導されるアポトーシスに対して、インビトロで種々の腫瘍細胞を、およびインビボで悪性グリオーマ細胞を感作させることが示された(Fulda et al., Nature Med. 8:808 (2002))。重要なことに、このSmacペプチドは、頭蓋内悪性グリオーマ異種移植片モデル中のApo2L/TRAILの抗腫瘍活性をインビボで強力に増強した。樹立された腫瘍の完全な根絶およびマウスの生存は、SmacペプチドおよびApo2L/TRAILを用いる組み合わせ処理の際にのみ達成された。重要なことに、Smacペプチドが、正常な脳組織に対して検出可能な毒性を有さない。
【0012】
最近の第2の独立した研究はまた、異なるキャリアタンパク質につながれたSmacのN末端の最初の4〜8アミノ酸からなるペプチドが、MCF-7および他の乳癌細胞株中で、アポトーシスの誘導、ならびにパクリタキセル、エトポシド、SN-38、およびドキソルビシンを含む多様な化学療法剤の長期的な抗増殖性効果を増強することを示した(Arnt et al., J. Biol. Chem. 277:44236 (2002))。本発明は、XIAPおよびcIAP-1が、細胞中でこれらのペプチドの主要な分子標的であることを決定的に示した。
【0013】
第3の研究は、ポリアルギニンにつながれた最初の7個のN末端残基のSmacペプチドがアポトソーム活性を回復し、および非小細胞肺癌H460細胞中でアポトーシス耐性を逆転したことを示した(Yang et al., Cancer Res. 63:831 (2003))。XIAPは、H460細胞中で、アポトソーム活性の欠損およびカスパーゼ活性の抑制の原因であることが示された。化学療法と組み合わせて使用した場合、細胞透過性のSmacペプチドは、マウスに対してわずかな毒性を伴って、インビボで腫瘍増殖を消失させた。まとめると、これらの最近の独立した研究は、強力な、安定な、細胞透過性のSmac模倣物は、ヒト乳癌および他の型の癌の治療のために大きな治療的潜在能力を有する可能性があることを強力に示唆する。
【0014】
ペプチドベースの阻害剤は、化学療法剤に対する癌の応答におけるIAPの抗アポトーシス機能およびIAPの役割を評価するための有用なツールである。しかし、ペプチドベースの阻害剤は、一般的に、潜在的に有用な治療剤として固有の制限を有する。これらの制限には、乏しい細胞透過性および乏しいインビボ安定性が含まれる。確かに、Smacベースのペプチド阻害剤を使用するこれらの3つの公開された研究において、ペプチドは、それらを細胞透過性にするためのキャリアペプチドに融合されなくてはならなかった。
【0015】
ペプチドベースの阻害剤のこの固有の制限を克服するために、本発明は、Smacペプチドに基づく非ペプチド性模倣物の設計およびXIAP BIR3ドメインとの複合体であるSmacの高解像度三次元構造を含む。
【発明の開示】
【0016】
発明の要旨
遺伝子の損傷またはアポトーシスのインデューサー(例えば、抗癌剤および放射線)への曝露に応答して、癌細胞またはその支持細胞がアポトーシスを受けることができないことは、癌の発生および進行における主要な要因であると一般的に受け入れられている。癌細胞またはそれらの支持細胞(例えば、腫瘍血管系における新生血管細胞)におけるアポトーシス誘導は、今日、上市され、または実施されている有効な癌治療薬物または放射線治療の実質的にすべてについての、普遍的な作用のメカニズムであると考えられている。細胞がアポトーシスを受けることができない1つの理由は、IAPの発現および蓄積の増加である。
【0017】
本発明は、IAPの機能を阻害する治療的有効量の薬物(例えば、低分子)への、癌に罹患している動物の曝露が、癌細胞または支持細胞を徹底的に殺傷し、および/または集団としてのこのような細胞を、癌治療剤もしくは放射線治療の細胞死誘導活性に対してより感受性にすることを意図する。本発明は、IAP機能に依存する癌細胞におけるアポトーシスを誘導するための単一治療として投与された場合に、または癌治療剤もしくは放射線治療単独のみを用いて治療された動物中の細胞の対応する割合と比較して、アポトーシスプログラムを実行することに対して感受性である癌細胞もしくは支持細胞をより多くの割合にするために、他の細胞死誘導癌治療薬物もしくは放射線治療との一時的な関連性の中で投与された場合のいずれかの場合に、IAPの阻害剤が複数の型の癌の治療のために満たされていない必要性を満たすことを意図する。
【0018】
本発明の特定の態様において、本発明の化合物の治療的有効量および抗癌剤または放射線の治療単位を用いる、動物の組み合わせ治療は、化合物または抗癌薬物/放射線単独で治療したものと比較して、このような動物においてより大きな腫瘍応答および臨床的利点を生じる。言い換えれば、本発明の化合物はIAPを発現するすべての細胞のアポトーシス閾値を低くするので、抗癌薬物/放射線のアポトーシス誘導活性に応答してアポトーシスプログラムを首尾よく実行する細胞の割合が増加される。代替として、本発明の化合物は、抗癌剤/放射線単独の従来的な用量と同じ腫瘍応答/臨床的利点を生じるために、より少ない、およびそれゆえに、より毒性が少なくかつより許容性である用量の抗癌剤および/または放射線の投与を可能にするために使用することができる。すべての認可された抗癌薬物および放射線治療のための用量が公知であるので、本発明は、本発明の化合物とそれらの種々の組み合わせを意図する。また、本発明の化合物は、少なくとも部分的には、IAPを阻害することによって作用するので、治療的有効量の化合物への癌細胞および支持細胞の曝露は、抗癌治療または放射線治療に応答してアポトーシスプログラムを実行するための細胞の試みと一致するように、時間的に関連付けることができる。従って、ある態様において、特定の時間的関連性と一緒に本明細書の組成物を投与することは、とりわけ有効な治療的実務を提供する。
【0019】
本発明は、IAPタンパク質の活性を阻害するため、およびアポトーシスのインデューサーに対する細胞の感受性を増加させるために有用であるSmac模倣物に関する。1つの特定の態様において、Smac模倣物は、下記化学式1を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグである:

式中、
R1はC1-2アルキルまたはC1-2ハロアルキルであり;
R2は分枝もしくは非分枝アルキルもしくはシクロアルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールであり;
XはCONH、CH2O、CH2NH、CH2S、または(CH2)1-3であり;
Y1は(CH21-5であり、ここで1つまたは複数の炭素は、酸素、硫黄、および窒素から選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換することができ、およびCH2基における1つまたは複数の水素は、分枝もしくは非分枝アルキルもしくは環状アルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換することができ;
Y2は(CH21-5であり、ここで1つまたは複数の炭素は、酸素、硫黄、および窒素から選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換することができ、およびCH2基における1つまたは複数の水素は、分枝もしくは非分枝アルキルもしくは環状アルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換することができ;ならびに
ZはCONH、CH2O、NHCO、(CH2)1-4、(CH2)1-3CONH(CH2)0-3、(CH2)1-3S(CH2)0-3、(CH2)1-3NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHCO(CH2)0-3、(CH2)1-3NHSO2(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(O)NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(S)NH(CH2)0-3、または(CH2)1-3NR'(CH2)0-3であり、ここでR'は分枝もしくは非分枝アルキルもしくはシクロアルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールである。
【0020】
本発明は、化学式Iによって表される、IAPタンパク質の阻害剤である化合物に関する。本発明は、本発明の化合物が細胞中のアポトーシスを誘導するためである場合の使用に関する。本発明はまた、アポトーシスのインデューサーに対して細胞を感作させるための本発明の化合物の使用に関する。これらの化合物は、アポトーシス細胞死の誘導に応答性である障害、例えば、癌などの過剰増殖性(hyperproliferative)疾患を含む、アポトーシスの調節不全によって特徴付けられる障害の治療、改善、または予防のために有用である。特定の態様において、これらの化合物は、癌治療に対する耐性(例えば、化学耐性、放射線耐性、ホルモン耐性など)によって特徴付けられる癌を治療、改善、または予防するために使用することができる。他の態様において、これらの化合物は、IAPの過剰増殖によって特徴付けられる過剰増殖性疾患を治療するために使用することができる。
【0021】
本発明は、細胞中でアポトーシスを誘導するため、またはアポトーシスのインデューサーに対して細胞を感作させるために、治療的有効量で化学式Iに記載の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0022】
本発明はさらに、化学式Iの化合物および動物にこの化合物を投与するための説明書を含むキットを提供する。このキットは、任意に、他の治療剤、例えば、抗癌剤を含む。
【0023】
本発明はまた、化学式Iの化合物を作製するための方法を提供する。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明は、Smacの模倣物でありかつIAPの阻害剤として機能する、化学式Iによって表されるコンホメーションが制約される化合物に関する。IAPを阻害することによって、これらの化合物は、アポトーシスのインデューサーに対して細胞を感作させ、およびある場合において、これ自体がアポトーシスを誘導する。それゆえに、本発明は、細胞を化学式Iの化合物と、単独でまたはアポトーシスのインデューサーと組み合わせて、接触させる工程を含む、アポトーシスのインデューサーに細胞を感作させる方法、および細胞中でアポトーシスを誘導する方法に関する。本発明はさらに、化学式Iの化合物およびアポトーシスのインデューサーを動物に投与する工程を含む、アポトーシスの誘導に応答性である動物における障害を治療、改善、または予防する方法に関する。このような障害には、アポトーシスの調節不全によって特徴付けられるもの、およびIAPの過剰発現によって特徴付けられるものが含まれる。
【0025】
「IAPタンパク質」という語は、本明細書で使用されるように、アポトーシスタンパク質ファミリーの阻害剤の任意の既知のメンバーをいい、XIAP、cIAP-1、cIAP-2、およびML-IAPが含まれるがこれらに限定されない。
【0026】
「IAPの過剰発現」という語は、本明細書で使用されるように、IAPタンパク質をコードするmRNAのベースレベルを発現するかまたはIAPタンパク質のベースレベルを有する類似の対応する非病原性細胞と比較して、IAPタンパク質をコードするmRNAのレベルの上昇(例えば、異常なレベル)、および/または細胞中のIAPタンパク質のレベルの上昇をいう。IAPタンパク質をコードするmRNAのレベル、または細胞中のIAPタンパク質のレベルを検出するための方法には、IAPタンパク質抗体を使用するウェスタンブロッティング、免疫組織学的方法、および核酸増幅または直接的RNA検出の方法が含まれるがこれらに限定されない。細胞がIAPタンパク質を過剰発現することを決定するために、細胞中のIPAタンパク質の絶対レベル同程度に重要なものは、このような細胞内での他のプロ-アポトーシスシグナル伝達分子(例えば、プロ-アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質)に対するIAPタンパク質の相対的レベルでもある。これらの2つのバランスは、もしこれらのIAPタンパク質のレベルがなかったならば、プロ-アポトーシスシグナル伝達分子が、細胞がアポトーシスプログラムを実行しかつ死ぬことを引き起こすために十分であるようなものであるときには、これらの細胞は、それらの生存のためにIAPタンパク質に依存する。このような細胞において、阻害的有効量のIAPタンパク質阻害剤への曝露は、細胞がアポトーシスプログラムを実行しかつ死ぬことを引き起こすために十分である。従って、「IAPタンパク質の過剰発現」という語はまた、プロアポトーシスシグナルおよび抗アポトーシスシグナルの相対的レベルに起因して、IAPタンパク質の機能を阻害する化合物の阻害的有効量に応答してアポトーシスを受ける細胞をいう。
【0027】
「抗癌剤」および「抗癌薬物」という語は、本明細書で使用されるように、癌などの過剰増殖性疾患(例えば、哺乳動物において)の治療に使用される任意の治療剤(例えば、化学療法化合物および/または分子治療化合物)、放射線治療、または外科的介入をいう。
【0028】
「プロドラッグ」という語は、本明細書で使用されるように、標的生理学的系内でプロドラッグを活性薬物に放出、または転換(例えば、酵素的に、機械的に、電磁気学的に)するために生体内変換(例えば、自発的または酵素的のいずれかで)を必要とする親の「薬物」分子の薬理学的に不活性な誘導体をいう。プロドラッグは、安定性、毒性、特異性の欠如、または制限された生物学的利用能に関連する問題を克服するように設計される。例示的なプロドラッグは、それ自体活性な薬物分子および化学的マスキング基(例えば、薬物の活性を可逆的に抑制する基)を含む。いくつかの好ましいプロドラッグは、代謝的条件下で切断可能である基を有する化合物の変種または誘導体である。例示的なプロドラッグは、それらが生理学的な条件下で加溶媒分解を受け、または酵素的分解もしくは生化学的転換(例えば、リン酸化、水素化、脱水素化、グリコシル化)を受けるときに、インビボまたはインビトロで薬学的に活性になる。プロドラッグは、しばしば、哺乳動物生物において、溶解性、組織適合性、または遅延放出の利点を提供する。(例えば、Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9,21-24, Elsevier, Amsterdam (1985); and Silverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, CA (1992)を参照されたい)。一般的なプロドラッグには、適切なアルコール(例えば、低級アルコール)との親の化合物の反応によって調製されたエステルなどの酸誘導体、アミンと親の酸化合物の反応によって調製されたアミド、またはアシル化塩基誘導体(例えば、低級アルキルアミド)を形成するように反応された塩基が含まれる。
【0029】
「薬学的に許容される塩」という語は、本明細書で使用されるように、標的動物(例えば、哺乳動物)において生理学的に許容される本発明の化合物の任意の塩(例えば、酸または塩基との反応によって得られる)をいう。本発明の化合物の塩は、無機または有機の酸および塩基に由来してもよい。酸の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸など。シュウ酸などの他の酸は、それ自体において薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において利用されてもよい。
【0030】
塩基の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、および化学式NW4+の化合物、ここで、WはC1-4アルキルなどである。
【0031】
塩の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、硫化物、ヨウ化物、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、ウンデカン酸塩など。他の塩の例には、Na+、NH4+、およびNW4+(ここでWはC1-4アルキル基である)などの適切なアニオンと化合物を形成した本発明の化合物のアニオンなどが含まれる。治療的使用のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されるように意図される。しかし、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製において、用途を見い出す可能性がある。
【0032】
「治療的有効量」という語は、本発明で使用されるように、障害の1つまたは複数の徴候の改善を生じ、または障害の進行を予防し、または障害の逆行を引き起こすために十分である治療剤の量をいう。例えば、癌の治療に関して、治療的有効量は、腫瘍増殖の速度を減少し、腫瘍塊を減少し、転移の数を減少し、腫瘍の進行までの時間を増加させ、または生存時間を少なくとも5%、好ましくは10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも100%増加させる治療剤の量を好ましくいう。
【0033】
「感作させる」および「感作させること」は、本明細書で使用されるように、第1の薬剤(例えば、化学式Iの化合物)の投与を通して、動物または動物中の細胞を、第2の化合物の生物学的効果(例えば、細胞増殖、増殖、侵襲、血管形成、またはアポトーシスを含むがこれらに限定されない、細胞機能の局面の促進または遅延)に対して、より感受性に、またはより応答性にすることをいう。標的細胞に対する第1の薬剤の感作効果は、第1の薬剤の投与のあるなしで、第2の薬剤の投与に際して観察される、意図される生物学的効果(例えば、細胞増殖、増殖、侵襲、血管形成、またはアポトーシスを含むがこれらに限定されない、細胞機能の局面の促進または遅延)の違いとして測定することができる。感作された細胞の応答は、第1の薬剤の非存在下での応答よりも、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも350%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%増加することができる。
【0034】
「アポトーシスの調節不全」という語は、本明細書で使用されるように、細胞がアポトーシスを経由して細胞死を受ける能力(例えば、素因)の任意の異常性をいう。アポトーシスの調節不全は、例えば、自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、移植片対宿主病、筋無力症、またはシェーグレン症候群)、慢性炎症状態(例えば、乾癬、喘息、またはクローン病)、過剰増殖性状態(例えば、腫瘍、B細胞リンパ腫、またはT細胞リンパ腫)、ウイルス感染(例えば、ヘルペス、パピローマ、またはHIV)、ならびに変形性関節症およびアテローム性動脈硬化症などの他の状態を含む、種々の状態と関連するか、またはそれによって誘導される。調節不全がウイルス感染によって誘導され、またはそれと関連するときには、ウイルス感染は、調節不全が起こるかまたは観察される時点で、検出可能であってもよく、または検出可能でなくてもよいことに注意されるべきである。すなわち、ウイルス誘導性調節不全は、ウイルス感染の徴候の消失の後でさえ起こることが可能である。
【0035】
「過剰増殖性疾患」という語は、本明細書で使用されるように、動物において増殖している細胞の局在化集団は、正常な増殖の通常の制限によって支配されない任意の状態をいう。過剰増殖性障害の例には、腫瘍、新生物、リンパ腫などが含まれる。新生物は、侵襲または転移を受けない場合に良性、およびこれらのいずれかを受ける場合に悪性であるといわれる。「転移性」細胞は、細胞が隣接する身体の構造に侵襲およびそれを破壊することができることを意味する。過形成は、構造または機能において有意な変化を有さない組織または器官における細胞数の増加を含む細胞の型である。化生は、完全に分化した細胞の1つの型が別の型の分化した細胞の代わりに置換される制御された細胞増殖の型である。
【0036】
活性化されたリンパ細胞の病理学的増殖は、しばしば、自己免疫障害または慢性炎症状態を生じる。本明細書で使用されるように、「自己免疫障害」という語は、生物が、その生物自体の分子、細胞、または組織を認識する抗体または免疫細胞を産生する任意の状態をいう。自己免疫障害の非限定的な例には以下が含まれる:自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、バージャー病またはIgA腎症、セリアックスプルー、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋痛、移植片対宿主病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、白斑など。
【0037】
「新生物疾患」という語は、本明細書で使用されるように、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかである細胞の任意の異常な増殖をいう。
【0038】
「抗新生物剤」という語は、本明細書で使用されるように、標的とされた(例えば、悪性の)新生物の増殖、成長、または伝播を遅延させる任意の化合物をいう。
【0039】
「予防する」、「予防している」、および「予防」という語は、本明細書で使用されるように、動物中での病理学的な細胞(例えば、過剰増殖性細胞または新生物細胞)の発生の減少をいう。予防は、対象における病理学的細胞の完全な、例えば、全体的な非存在であってもよい。予防はまた、本発明を用いずに発生したものよりも、対象中での病理学的細胞の発生が少ないように部分的であってもよい。
【0040】
本発明のIAPの阻害剤は、下記化学式1を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグであり:

式中、
R1はC1-2アルキルまたはC1-2ハロアルキルであり;
R2は分枝もしくは非分枝アルキルもしくはシクロアルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールであり;
XはCONH、CH2O、CH2NH、CH2S、または(CH2)1-3であり;
Y1は(CH21-5であり、ここで1つまたは複数の炭素は、酸素、硫黄、および窒素から選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換することができ、およびCH2基における1つまたは複数の水素は、分枝もしくは非分枝アルキルもしくは環状アルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換することができ;
Y2は(CH21-5であり、ここで1つまたは複数の炭素は、酸素、硫黄、および窒素から選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換することができ、およびCH2基における1つまたは複数の水素は、分枝もしくは非分枝アルキルもしくは環状アルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換することができ;ならびに
ZはCONH、CH2O、NHCO、(CH2)1-4、(CH2)1-3CONH(CH2)0-3、(CH2)1-3S(CH2)0-3、(CH2)1-3NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHCO(CH2)0-3、(CH2)1-3NHSO2(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(O)NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(S)NH(CH2)0-3、または(CH2)1-3NR'(CH2)0-3であり、ここでR'は分枝もしくは非分枝アルキルもしくはシクロアルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールである。
【0041】
有用なアルキル基には、置換されたかまたは置換されていないC1-10アルキル基、とりわけメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、3-ペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、および3-へキシル基が含まれる。
【0042】
有用なアリール基には、C6-14アリール基、とりわけ、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、インデニル基、アズレニル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、およびフルオレニル基が含まれる。
【0043】
有用なヘテロアリール基には、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンテニル、2H-ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタルジニル、ナフチリジニル、キノザリニル、シノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、パーイミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、1,4-ジヒドロキノキサリン-2,3-ジオン、7-アミノイソクマリン、ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、1,2-ベンズオキサゾール-3-イル、ベンズイミダゾリル、2-オキシインドリル(oxindolyl)、および2-オキソベンズイミダゾリルが含まれる。ヘテロアリール基が環中に窒素原子を含む場合、このような窒素原子は、N-オキシド、例えば、ピリジルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシドなどの形態であってもよい。
【0044】
任意の置換基には以下が含まれる;1つもしくは複数のアルキル;ハロ;ハロアルキル;シクロアルキル;1つもしくは複数の低級アルキル、ハロ、ハロアルキルもしくはヘテロアリール基で任意に置換されたアリール;1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロアルキル基もしくはヘテロアリール基で任意に置換されたアリールオキシ;1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロアルキル基およびアリール基で任意に置換されたアラルキル、ヘテロアリール;1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロアルキル基およびアリール基で任意に置換されたヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ:アシルオキシ;1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロアルキル基およびアリール基で任意に置換されたアリールアシルオキシ;1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロ基、もしくはハロアルキル基で任意に置換されたジフェニルホスフィニルオキシ;1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロアルキル基およびアリール基で任意に置換されたヘテロシクロ;1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロアルキル基およびアリール基で任意に置換されたヘテロシクロアルコキシ;1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロアルキル基およびアリール基で任意に置換された部分的に不飽和のヘテロシクロアルキル;または1つもしくは複数の低級アルキル基、ハロアルキル基およびアリール基で任意に置換された部分的に不飽和のヘテロシクロアルキルオキシ。
【0045】
有用なシクロアルキル基は、C3-8シクロアルキルである。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが含まれる。
【0046】
飽和または部分的に飽和の有用な炭素環基は、上記に定義したようなシクロアルキル基、ならびにシクロペンチル、シクロヘプチル、およびシクロオクテニルなどのシクロアルケニル基である。
【0047】
有用なハロ基またはハロゲン基には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0048】
有用なアリールアルキル基には、上記で言及したC6-14アリール基のいずれかによって置換された上記で言及したC1-10アルキル基のいずれかが含まれる。特に有用なものには、ベンジル、フェネチルおよびナフチルメチルが含まれる。
【0049】
有用なハロアルキル基には、1つまたは複数のフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素の原子によって置換されたC1-10アルキル基、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基、1,1-ジフルオロメチル基、クロロメチル基、クロロフルオロメチル基およびトリクロロメチル基が含まれる。
【0050】
有用なアルコキシ基には、上記に言及したC1-10アルキル基の1つによって置換された酸素が含まれる。
【0051】
有用なアルキルチオ基には、上記に言及したC1-10アルキル基の1つによって置換された硫黄が含まれる。このようなアルキルチオ基のスルホキシドおよびスルホンもまた、含まれる。
【0052】
有用なアミド基には、カルボニルアミドならびにアミノ窒素に結合された任意のC1-6アシル(アルカノイル)、例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブタノイルアミド基、ペンタノイルアミド基、ヘキサノイルアミド基、ならびにアリール-置換C2-6置換アシル基が含まれる。
【0053】
有用なアシルオキシ基は、オキシ(-O-)基に結合された任意のC1-6アシル(アルカノイル)、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシなどである。
【0054】
有用なアリールアシルオキシ基には、上記で言及したアシルオキシ基のいずれか上で置換された上記に言及したアリール基のいずれか、例えば、2,6-ジクロロベンジルオキシ基、2,6-ジフルオロベンゾイルオキシ基および2,6-ジ-(トリフルオロメチル)-ベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0055】
有用なアミノ基には、--NH2、--NHR11、およびNR11R12が含まれ、ここでR11およびR12は、上記に定義したように、C1-10アルキル基またはシクロアルキル基である。
【0056】
飽和または部分的に飽和の有用な複素環基には、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピペリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル(piperizinyl)基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、テトロノイル基、およびテトラモイル基が含まれる。
【0057】
本発明の特定の化合物は、光学異性体を含む立体異性体として存在してもよい。本発明は、すべての立体異性体、ならびにこのような立体異性体のラセミ混合物、および当業者に周知の方法に従って分離されてもよい個々のエナンチオマーの両方を含む。
【0058】
1つの態様において、本発明の化合物は、化学式IIの立体化学を有し、ここで変数は上記のように定義される。

【0059】
本発明の特定の態様において、化学式Iの化合物は以下を含む:





【0060】
本発明の化合物は、当業者に公知の方法を使用して調製されてもよい。詳細には、化学式Iの化合物は、実施例における例示的な反応によって例証されるように、調製することができる。
【0061】
本発明の重要な局面は、化学式Iの化合物がアポトーシスを誘導し、およびまた、アポトーシス誘導シグナルに応答してアポトーシスの誘導を強化することである。それゆえに、これらの化合物が、アポトーシスのインデューサーに対して、このようなインデューサーに対して耐性である細胞を含む細胞を感作させることが意図される。本発明のIAP阻害剤は、アポトーシスの誘導によって、治療、改善、または予防することができる任意の障害においてアポトーシスを誘導するために使用することができる。従って、本発明は、IAPタンパク質を過剰発現するように特徴付けられる動物を標的とするための組成物および方法を提供する。いくつかの態様において、細胞(例えば、癌細胞)は、非病原性試料(例えば、非癌性細胞)と比較した場合に、IAPタンパク質の上昇した発現レベルを示す。他の態様において、細胞は、アポトーシスプログラムを実行すること、および化学式Iの化合物の阻害的有効量に応答して死滅することによって、IAPタンパク質の発現レベルの上昇を操作的に明らかにし、この応答は、細胞の生存のためのIAPタンパク質機能に対する、このような細胞における依存性に少なくとも部分的に依存して起こる。
【0062】
ある態様において、本発明の組成物および方法は、疾患を有する細胞、組織、器官、または動物(例えば、ヒトおよび獣医学的動物を含むがこれらに限定されない哺乳動物対象)における病理学的状態および/もしくは疾患状態を治療するために使用される。この点に関して、種々の疾患および病理は、本発明の方法および組成物を使用する治療および予防に対して受け入れ可能である。これらの疾患および状態の非限定的な例のリストには以下が含まれるがこれらに限定されない:乳癌(breast cancer)、前立腺癌(prostate cancer)、リンパ腫、皮膚癌、膵臓癌(pancreatic cancer)、結腸癌(colon cancer)、黒色腫、悪性黒色腫、卵巣癌(ovarian cancer)、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頚部癌(head-neck cancer)、グリオーマ、グリア芽腫、肝臓癌、膀胱癌(Bladder cancer)、非小細胞肺癌、頭頚部癌(head or neck carcinoma)、乳癌(breast carcinoma)、卵巣癌(ovarian carcinoma)、肺癌、小細胞肺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣癌、膀胱癌(bladder carcinoma)、膵臓癌(pancreatic carcinoma)、胃癌、結腸癌(colon carcinoma)、前立腺癌(prostatic carcinoma)、尿生殖器癌、甲状腺癌、食道癌、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、悪性膵臓膵島細胞腫、悪性カルチノイド癌、絨毛癌、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、子宮頚部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、毛様細胞白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症、および網膜芽細胞腫など、T細胞およびB細胞媒介性自己免疫疾患;炎症性疾患;感染症;過剰増殖性疾患;AIDS;変性性状態、血管疾患など。ある態様において、治療される癌は転移性である。他の態様において、治療される癌は抗癌剤に対して耐性である。
【0063】
ある態様において、本発明の組成物および方法を用いる治療のために適切である感染症には、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、プリオンなどによって引き起こされる感染症が含まれるがこれらに限定されない。
【0064】
本発明のある態様は、有効量の化学式Iの化合物および少なくとも1種のさらなる治療剤(化学療法用の抗新生物剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗炎症剤が含まれるがこれらに限定されない)ならびに/または治療技術(例えば、外科的介入および/または放射線治療)を投与するための方法を提供する。
【0065】
多数の適切な抗癌剤が、本発明の方法における使用のために意図される。確かに、本発明は、以下のような多数の抗癌剤の投与を意図するがこれらに限定されない:アポトーシスを誘導する薬剤;ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば、酵素および抗体);生物学的模倣物(例えば、ゴシポール(gossypol)またはBH3模倣物);BaxなどのBcl-2ファミリータンパク質と結合する(例えば、オリゴマー化または複合体化する)薬剤;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗剤;ホルモン;白金化合物;モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば、抗癌性薬物、毒素、ディフェンシンと結合体化した抗体)、毒素;放射線核種;生物反応修飾物質(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-α)およびインターロイキン(例えば、IL-2));養子免疫治療剤;造血成長因子;腫瘍細胞分化を誘導する薬剤(例えば、すべてのトランスレチノイン酸);遺伝子治療試薬(例えば、アンチセンス治療試薬およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管形成阻害剤;プロテオソーム阻害剤;NF-κB調節因子;抗CDK化合物;HDAC阻害剤など。開示された化合物との同時投与のために適切である化学療法化合物および抗癌治療の多数の他の例は当業者に公知である。
【0066】
好ましい態様において、抗癌剤は、アポトーシスを誘導または刺激する因子を含む。アポトーシスを誘導する因子には以下が含まれるがこれらに限定されない:放射線(例えば、X線、ガンマ線、UV);キナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(例えば、GLEEVEC);アンチセンス分子;抗体(例えば、HERCEPTIN、RITUXAN、ZEVALIN、およびAVASTIN);抗エストロゲン(例えば、ラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド(aminoglutethamide)、ケトコナゾール、および副腎皮質ステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えば、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398、および非ステロイド抗炎症薬物(NSAID));抗炎症性薬物(例えば、ブタゾリジン、DECADRON、DELTASONE、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール、DEXONE、HEXADROL、ヒドロキシクロロキン、METICORTEN、ORADEXON、ORASONE、オキシフェンブタゾン、PEDIPARED、フェニルブタゾン、PLAQUENIL、プレドニゾロン、プレドニゾン、PRELONE、およびTANDEARIL);ならびに他の化学療法剤(例えば、イリノテカン(CAMPTOSAR)、CPT-11、フルダラビン(FLUDARA)、デカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、MYLOTARG、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、TAXOTEREまたはTAXOL);細胞シグナル伝達分子;セラミドおよびサイトカイン;スタウロスポリンなど。
【0067】
なお他の態様において、本発明の組成物および方法は、化学式Iの化合物、ならびにアルキル化剤、代謝拮抗剤、および天然物(例えば、ハーブおよび他汚職物ならびに/または動物に由来する化合物)から選択される少なくとも1種の抗過剰増殖剤または抗新生物剤を提供する。
【0068】
本発明の組成物および方法における使用のために適切なアルキル化剤には以下が含まれるがこれらに限定されない;1)ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);3)アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン);4)ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));ならびに5)トリアゼン(例えば、デカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミド-アゾレカルボキサミド)。
【0069】
ある態様において、本発明の組成物および方法における使用のために適切な代謝拮抗剤には以下が含まれるがこれらに限定されない:1)葉酸アナログ(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン));2)ピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロキシウリジン(フルオロデ-オキシウリジン;FudR)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド));ならびに3)プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)、およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))。
【0070】
なおさらなる態様において、本発明の組成物および方法における使用のために適切な化学療法剤には以下が含まれるがこれらに限定されない:1)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン);2)エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ);5)生物反応修飾物質(例えば、インターフェロン-α);6)白金配位錯体(例えば、シスプラチン(シス-DDP)およびカルボプラチン);7)アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン);8)置換ウレア(例えば、ヒドロキシウレア);9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH));10)副腎皮質ホルモン抑制剤(例えば、ミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド);11)副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン);12)プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、および酢酸メガストロール);13)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14)抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);15)アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン);16)抗アンドロゲン(例えば、フルタミド);ならびに17)ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(例えば、ロイプロリド)。
【0071】
癌治療の状況において日常的に使用される任意の腫瘍分解剤は、本発明の組成物および方法において用途を見い出す。例えば、米国食品医薬品局は、米国において使用のために認可された腫瘍分解剤の処方を維持している。U.S.F.D.A.に対応する国際的な機関は同様の処方を維持している。表1は、米国において使用のために認可された例示的な抗新生物剤のリストを提供する。当業者は、米国で認可されたすべての化学療法剤に必要とされる「製品ラベル」が、例示的な薬剤についての認可された効能、投薬情報、毒性データなどを示すことを認識する。
【0072】
【表1】







【0073】
本発明との投与における使用のための好ましい従来的な抗癌剤には、アドリアマイシン、5-フルオロウラシル、エトポシド、カンプトテシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、シスプラチン、ドセタキセル、ゲムシタビン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、およびベバシズマブが含まれるがこれらに限定されない。これらの薬剤は、単独で、合わせた治療組成物中で、キット中で、または免疫治療剤と組み合わせて、などで調製および使用することができる。
【0074】
抗癌剤および他の治療剤のより詳細な説明のために、当業者は、the Physician's Desk ReferenceおよびGoodman and Gilman's 「Pharmaceutical Basis of Therapeutics」ninth edition, Eds. Hardman et al., 1996が含まれるがこれらに限定されない、任意の数の指導的マニュアルを参照する。
【0075】
本発明は、放射線治療とともに、化学式Iの化合物を投与するための方法を提供する。本発明は、動物に放射線の治療的線量を送達するために使用される型、量、または送達および投与の系によって制限されない。例えば、動物は、フォトン放射線治療、粒子ビーム放射線治療、他の型の放射線治療、およびこれらの組み合わせを受けてもよい。ある態様において、放射線は、線形加速装置を使用して動物に送達される。なお他の態様において、放射線はガンマナイフを使用して送達される。
【0076】
放射線の線源は動物に対して外部または内部であることができる。外部の放射線治療は最も一般的であり、例えば、線形加速装置を使用して、皮膚を通して腫瘍部位まで、高エネルギー放射線のビームを方向付けることを含む。放射線のビームが腫瘍部位に配置されながら、正常な健常組織の曝露を回避することはほぼ不可能である。しかし、外部の放射線は、患者によって通常よく許容される。内部の放射線治療は、ビーズ、ワイヤ、ペレット、カプセル、粒子などの放射線放出源を、腫瘍部位またはその近傍の身体の内部に移植する工程を含み、これは、癌細胞を特異的に標的とする送達系の使用を含む(例えば、癌細胞結合リガンドに結合した粒子を使用する)。このような移植は、治療後に取り出すか、または身体中で不活性のまま放置することができる。内部放射線治療の型には、近接照射療法、組織内照射、腔内照射、放射免疫療法などが含まれるがこれらに限定されない。
【0077】
動物は、任意に、放射線増感剤(例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミドゾール、2H-イソインドールジオン、[(2-ブロモエチル)-アミノ]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA-親和性低酸素選択性サイトトキシン、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4-ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジン-インターカレーター、5-チオトレトラゾール誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、ヒドロキシル化テキサフリン、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン、ニトロソウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、熱(温熱療法)など)、放射線防護剤(例えば、システアミン、アミノアルキルジヒドロゲンホスホロチオエート、アミホスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6など)を受けることができる。放射線増感剤は、腫瘍細胞の殺傷を増強する。放射線防護剤は、放射線の有害な効果から健常組織を保護する。
【0078】
放射線の線量が、受け入れがたいネガティブな副作用を伴うことなく患者によって許容される限り、任意の型の放射線を患者に投与することができる。適切な型の放射線治療には、例えば、電離(電磁)放射線治療(例えば、X線もしくはγ線)または粒子ビーム放射線治療(例えば、線形高エネルギー照射)が含まれるがこれらに限定されない。電離放射線は、電離、すなわち、電子の獲得または喪失(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,770,581号において定義される)を生成するために十分なエネルギーを有する粒子およびフォトンを含む放射線として定義される。放射線の効果は、臨床医によって少なくとも部分的に制御することができる。放射線の線量は、最大の標的細胞曝露および毒性の減少のために、好ましくは分割される。
【0079】
動物に投与される放射線の全体の線量は、好ましくは、約.01グレイ(Gy)から約100Gyである。より好ましくは、約10Gyから約65Gy(例えば、約15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、50Gy、55Gy、または60Gy)が治療の過程にわたって投与される。ある態様において、放射線の完全な線量を1日の過程にわたって投与するのに対して、全体の等量は、理想的には分割され、数日間の過程にわたって投与される。望ましくは、放射線治療は、少なくとも約3日間、例えば、少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52、または56日間(約1〜8週間)の過程にわたって投与される。従って、放射線の日々の線量は、およそ1〜5Gy(例えば、約1Gy、1.5Gy、1.8Gy、2Gy、2.5Gy、2.8Gy、3Gy、3.2Gy、3.5Gy、3.8Gy、4Gy、4.2Gy、または4.5Gy)、好ましくは1〜2Gy(例えば、1.5〜2Gy)を含む。放射線の日々の線量は、標的とされる細胞の破壊を誘導するために十分であるべきである。もし一定の期間にわたって引き延ばされた場合、放射線は、好ましくは、毎日は投与されず、それによって動物が休息し、かつ治療の効果が実現されることを可能にする。例えば、放射線は、望ましくは、各治療の週について、連続して5日間投与され、そして2日間投与されず、それによって週あたり2日間の休息を可能にする。しかし、放射線は、動物の応答性および任意の潜在的な副作用に依存して、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週、または7日すべて/週で投与することができる。放射線治療は、治療の期間における任意の時点で開始することができる。好ましくは、放射線は、1週目または2週目に開始され、かつ治療期間の残りの存続時間について投与される。例えば、放射線は、例えば、固形腫瘍を治療するために6週間を含む治療期間の1週目〜6週目または2週目〜6週目に投与される。代替として、放射線は、5週間を含む治療期間の1週目〜5週目または2週目〜5週目に投与される。しかし、これらの例示的な放射線治療投与スケジュールは、本発明を制限することを意図しない。
【0080】
抗微生物治療剤もまた、本発明における治療剤として使用されてもよい。微生物の機能を殺傷、阻害、またはさもなくば減弱することができる任意の薬剤が、このような活性を有することが意図される任意の薬剤と同様に使用されてもよい。抗微生物剤には、天然および合成の抗生物質、抗体、阻害タンパク質(例えば、ディフェンシン)、アンチセンス核酸、膜破壊剤などが単独でまたは組み合わせてて含まれるがこれらに限定されない。確かに、任意の型の抗生物質が使用されてもよく、これには、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤などが含まれるがこれらに限定されない。
【0081】
本発明のある態様において、化学式Iの化合物および1種または複数の治療剤または抗癌剤が以下の条件の1つまたは複数の下で動物に投与される:異なる周期性で、異なる期間で、異なる濃度で、異なる投与経路によってなど。ある態様において、本発明の化合物は、治療剤または抗癌剤の前に、例えば、治療剤または抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間、1、2、3、4、5、または6日間、1、2、3、または4週間前に投与される。ある態様において、本発明の化合物は、治療剤または抗癌剤の後に、例えば、治療剤または抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間、1、2、3、4、5、または6日間、1、2、3、または4週間後に投与される。ある態様において、本発明の化合物および治療剤または抗癌剤は、同時にしかし異なるスケジュールで投与され、例えば、本発明の化合物は毎日投与されるのに対して、治療剤または抗癌剤は、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回投与される。他の態様において、本発明の化合物は、1週間に1回投与されるのに対して、治療剤または抗癌剤は毎日、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回投与される。
【0082】
本発明の範囲内にある組成物は、本発明の化合物が、その意図される目的を達成するために有効である量で含まれるすべての組成物を含む。個々の必要性は変動するが、各成分の有効量の最適範囲の決定は当業者の範囲内にある。典型的には、この化合物は、経口にて、1日あたり、アポトーシスの誘導に応答性である障害のために治療される哺乳動物の体重の0.0025から50mg/kgの用量で、または薬学的に許容されるその塩の等価量で、哺乳動物、例えば、ヒトに投与されてもよい。好ましくは、約0.01から約10mg/kgが、このような障害を治療、改善、または予防するために経口投与される。筋肉内注射のためには、用量は経口用量の約半分である。例えば、適切な筋肉内用量は、約0.0025から約25mg/kg、および最も好ましくは、約0.01から約5mg/kgまでである。
【0083】
単位経口用量は、約0.01から50mgまで、好ましくは約0.1から約10mgの化合物を含んでもよい。単位用量は、約0.1から約10まで、便利には約0.25から50mgまでの本発明の化合物またはその溶媒和化合物を各々含む1つまたは複数の錠剤またはカプセルとして、毎日1回または複数回、投与されてもよい。
【0084】
局所製剤において、本発明の化合物は、1グラムのキャリアあたり約0.01から100mgの濃度で存在してもよい。好ましい態様において、この化合物は、約0.07〜1.0mg/ml、より好ましくは、約0.1〜0.5mg/ml、最も好ましくは、約0.4mg/mlの濃度で存在する。
【0085】
未処理の化学物質として本発明の化合物を投与することに加えて、本発明の化合物は、薬学的に使用することができる調製物中で化合物の加工を容易にする、賦形剤および補助剤を含む薬学的に許容されるキャリアを含む薬学的調製物の一部として投与されてもよい。好ましくは、この調製物、特に、経口的または局所的に投与することができ、ならびに好ましい投与の型、例えば、錠剤、糖衣錠、遅延放出ロゼンジおよびカプセル、マウスリンスおよびマウスウォッシュ、ゲル、液体懸濁物、ヘアリンス、ヘアジェル、シャンプーなどのために使用することができる調製物、ならびにまた、注射による、局所的な、または経口的な投与のための適切な溶液と同様に、直腸投与することができる調製物は、賦形剤とともに、活性化合物の約0.01から99パーセント、好ましくは約0.25から75パーセントを含む。
【0086】
本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物の有益な効果を経験するかもしれない任意の動物に投与されてもよい。このような動物の中で最も重要なものは哺乳動物、例えば、ヒトであるが、本発明は、そのように制限されることを意図していない。他の動物には、獣医学的な動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコなど)が含まれる。
【0087】
本発明の化合物およびその薬学的組成物は、それらの意図された目的を達成する任意の手段によって投与されてもよい。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、口腔、くも膜下腔内、頭蓋内、鼻内、または局所的経路によってであってもよい。代替として、または同時に、投与は、経口経路によってであってもよい。投与される用量は、レシピエントの年齢、健康、および体重、もしあれば、同時治療の種類、治療の頻度、および所望される効果の性質に依存する。
【0088】
本発明の薬学的調製物は、それ自体が公知である様式で、例えば、従来的な混合、造粒、糖衣錠製造、熔解、または凍結乾燥のプロセスによって製造される。従って、経口使用のための薬学的調製物は、所望されるかまたは必要である場合、錠剤または糖衣錠のコアを得るために、活性化合物を固形賦形剤と合わせること、得られる混合物を任意に粉砕すること、および適切な補助剤を加えた後で下流の混合物を加工することによって得ることができる。
【0089】
適切な賦形剤は、特に、サッカリド、例えば、ラクトースもしくはスクロース、マンニトールもしくはソルビトール、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウムなどの増量剤、ならびに例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、イネデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンを使用するデンプンペーストなどの結合剤である。所望される場合、上述のデンプンおよびまた、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどの分解剤が加えられてもよい。補助剤は、とりわけ、流動調節剤および滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸もしくはその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠コアは適切なコーティングを伴って提供され、これは、所望される場合、胃液に対して耐性である。この目的のために、濃縮サッカリド溶液が使用されてもよく、これは、任意に、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、および/または酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。胃液に対して耐性であるコーティングを製造するために、適切なセルロース調製物の溶液、例えば、アセチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレートが使用される。染料または色素が、例えば、同定のため、または活性化合物用量の組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加されてもよい。
【0090】
経口的に使用することができる他の薬学的調製物には、ゼラチン製の押し込み式カプセル、ならびにゼラチン製の軟らかいシールしたカプセル、およびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤が含まれる。押し込み式カプセルは、下流の形態の活性化合物を含むことができ、これは、ラクトースなどの増量剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および任意に、安定剤とともに混合されてもよい。ソフトカプセル中では、活性化合物は、好ましくは、適切な液体、例えば、脂肪油、または流動パラフィン中で溶解または懸濁される。さらに、安定剤が加えられてもよい。
【0091】
直腸で使用することができる可能な薬学的調製物には、例えば、坐剤基剤との1種または複数の活性化合物の組み合わせからなる坐剤が含まれる。適切な坐剤基剤は、例えば、天然または合成のトリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。さらに、基剤との活性化合物の組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することもまた可能である。可能な基剤材料には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素が含まれる。
【0092】
非経口投与のために適切な製剤には、水溶性型の活性化合物の水溶液、例えば、水溶性の塩およびアルカリ溶液が含まれる。さらに、適切には油性注射用懸濁液である活性化合物の懸濁液が投与されてもよい。適切な親油性溶媒または媒体には、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドまたはポリエチレングリコール-400が含まれる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質を含んでもよく、これには、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが含まれる。任意に、この懸濁液はまた、安定剤を含んでもよい。
【0093】
本発明の局所用組成物は、適切なキャリアの選択により、好ましくは、オイル、クリーム、ローション、軟膏などとして製剤化される。適切なキャリアには、植物油または鉱油、白色ワセリン(白色ソフトパラフィン)、分枝鎖脂肪またはオイル、動物脂肪および高分子量(C12より大きい)アルコールが含まれる。好ましいキャリアは、活性成分が可溶性であるものである。乳化剤、安定剤、湿潤剤、および抗酸化剤もまた、所望される場合、色または香りを付与する剤と同様に含まれてもよい。さらに、経皮浸透増強剤を、これらの局所用製剤中で利用することができる。このような増強剤の例は、米国特許第3,989,816号および同第4,444,762号において見い出すことができる。
【0094】
クリームは、鉱油、自己乳化蜜ろうおよび水の混合物から製剤化され、この混合物中で、アーモンド油などの少量の油中で溶解された活性成分が混合される。このようなクリームの典型的な例は、約40部の水、約20部の蜜ろう、約40部の鉱油、および約1部のアーモンド油を含むものである。
【0095】
軟膏は、アーモンド油などの植物油中の活性成分の溶液を、温めたソフトパラフィンとともに混合すること、およびこの混合物を冷却することによって製剤化してもよい。このような軟膏の典型的な例は、重量で約30%のアーモンド油および約70%の白色ソフトパラフィンを含むものである。
【0096】
ローションは、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの適切な高分子量アルコール中に活性成分を溶解することによって、便利に調製されてもよい。
【0097】
以下の実施例は例示であって、本発明の方法および化合物の限定ではない。臨床的治療において通常直面し、かつ当業者に明白である種々の条件およびパラメーターの他の適切な修飾および適用は、本発明の精神および範囲の中にある。
【0098】
実施例1
蛍光偏光アッセイの開発
蛍光偏光を使用する定量的インビトロ結合アッセイを開発した。XIAPへのSmacの結合は、SmacのN末端における数個のアミノ酸によって媒介される(図1)。2種の異なる蛍光プローブを合成した:天然の9マーSmacペプチド(AVPIAQKSEK (SEQ ID NO:3))および変異型5マーSmacペプチド(AbuRPFK、ここでAbu=2-アミノ酪酸である(SEQ ID NO:4))。各プローブを、蛍光タグとして6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(FAM)で標識した(それぞれ、S9Fと呼ばれるAVPIAQKSEK-FAMおよびSM5Fと呼ばれるAbuRPFK-FAM)。未標識9マーおよび5マーのSmacペプチド(S9およびSM5)を陽性対照として使用した。Hisタグを有するヒトXIAP-BIR3タンパク質(残基241〜356)は安定かつ可溶性であり、これを結合アッセイのために使用した。
【0099】
XIAP-BIR3に対する、蛍光標識したS9FおよびSM5Fの解離定数の値を、一定濃度(5nM)のペプチドを使用し、および増加濃度(0〜40μM)のタンパク質を用いて滴定して、予測したKdよりも有意に上であると決定した。図2は、飽和実験についての単一部位結合モデルに適合する非線形最小二乗フィットを示す。S9Fは、236mP±1.21mPの最大結合範囲で、0.24μMのKd値を有することが決定された。SM5Fプローブは、0.018μM(17.92nM)のKd値、および276mP±0.75mPの最大結合を有するより大きなダイナミックレンジを有した。このアッセイは、24時間の期間にわたって安定であり、Kd値および結合範囲は変化しないままであり、4%DMSOは影響を有さなかった。
【0100】
SM5Fは、天然のSmacペプチドS9Fよりもより高い結合親和性(約10倍高い)およびより大きなダイナミックレンジを有したので、この標識ペプチドを競合結合アッセイのために選択した。使用したアッセイ条件は以下の考慮:0.030μM XIAPはSM5FのKdよりも約2倍高い;および5nM SM5Fは、いくつかの阻害剤が特定のレベルの蛍光を有する場合に、蛍光バックグラウンドに打ち勝つための十分な蛍光強度を有する、に基づいて5nM SM5Fおよび0.030μM XIAP-BIR3タンパク質であった。これらの条件下では、トレーサーは約60%飽和され、アッセイを感受性にする。mP範囲(結合ペプチドのmP-遊離のペプチドのmP)は88±2.43mPであり、これは、mP変化の正確な検出のための大きな偏光シグナルである。アッセイの品位質のためのパラメーターであるZ'因子は0.88であり、これは、SM5Fプローブに基づく蛍光偏光アッセイが高スループットスクリーニングのために十分であるkとを確証する。
【0101】
このアッセイの特異性を、対応する未標識変異型Smac5マー(SM5)ペプチドおよび天然のSmac9マー(S9)ペプチドを用いる競合実験において検証した(図3)。両方の場合において、データは、未標識ペプチドが標識されたトレーサーの結合を抑止できたことを示した。S9について1.49±0.21μM(Ki=0.54±0.15μM)およびSM5について0.22±0.01μM(Ki=0.075±0.005μM)のIC50値が得られた。得られたIC50値は、タンパク質/ペプチド対のKd値よりも高い。なぜなら、シグナル対ノイズ比を最大にするために、競合FP結合アッセイにおけるタンパク質濃度は決定されたKd値よりも高いからである。しかし、これら2つの未標識ペプチドのIC50値の比率は、それらの対応する標識ペプチドのKd値の比率とよく相関している。未標識SM5およびS9ペプチドについてのIC50値の比率は6.7倍であるのに対して、標識されたSM5FとS9Fの間のKd値の比率は7.2倍である。この理由のために、設計されたSmac模倣物については、IC50値は、天然のSmacペプチド(S9)および変異型Smacペプチド(SM5)のIC50とともに、それらの結合親和性の適切な比較のために標識したSM5FおよびS9FのKd値と一緒の条件下で、報告される。さらに、FPベースの結合アッセイにおける阻害剤の結合親和性(Ki)を計算するための新たな計算式を開発し、高いIC50値の問題を克服した。直接結合実験によって決定された標識ペプチド(S9FおよびSM5F)の得られたKd値は、競合アッセイから得られ、および新たな式を用いて計算されたKi値と同様である。
【0102】
アッセイ条件をさらに評価するために、XIAP BIR3に対する異なる結合親和性を有する2つのさらなる公開されたSmacテトラペプチドを試験した(図3)(Kipp et al., Biochemistry 41:7344 (2002))。天然のSmacペプチドであるAVPI(SEQ ID NO:1)は、1.58±0.22μM(Ki=0.58±0.15μM)のIC50値を有した。これは、天然のSmac9マーS9と本質的に同じである。AVPI(SEQ ID NO:1)よりもはるかに弱い親和性を有することが報告された別のペプチド、AVPR(SEQ ID NO:5)は、これらのアッセイ条件下で、79.31±8.8μM(Ki=29.09±1.88μM)のIC50値を有すると決定した。これらの結合実験においてXIAPタンパク質について得られたペプチド親和性のオーダーは、公開された結果(AbuRPFK (SEQ ID NO:4)>AVPI (SEQ ID NO:1)=AVPIAQKSEK (SEQ ID NO:3)>AVPR (SEQ ID NO:5))とよく相関している。これらの結果は、FPベースの結合アッセイが、非常に異なる結合親和性を有するSmacペプチドの結合親和性の正確かつ定量的な決定のために適切であることを示唆する。
【0103】
実施例2
実験的3D構造に基づくSmacとXIZP BIR3の間の相互作用の分析
Smacタンパク質およびペプチドとの複合体中のXIAP BIR3ドメインの高解像度実験的3D構造(図1)は、強力なSmac模倣物の設計のための確固たる構造的基礎を提供した。1位のアラニン(A1')のアミン基は、Q319およびE314の側鎖、ならびにD309のバックボーンカルボニル基と4つの水素結合を形成する。アラニン中のメチル基は、小さいが十分に規定された疎水性ポケットに結合する。本発明者らの分析は、この疎水性ポケットが、メチルよりもわずかに大きな疎水性基収容し得ることを示した。アラニン残基のバックボーンカルボニルは、W323の側鎖と水素結合を形成するが、この水素結合は、その幾何学的なパラメーターに基づいて最適ではない。
【0104】
Smacにおけるバリン(V2')のアミノ基およびカルボニル基は、それぞれ、バックボーンカルボニル基およびT308のアミノ基への2つの最適な水素結合を形成する。その側鎖イソプロピル基は、XIAP BIR3中の残基とは密接な接触を有さないようであり、XIAP BIR3中のW323から約4〜5Å離れている。
【0105】
3位におけるプロリン残基(P3')は、Smacペプチドのコンホメーションを制御する際に重要な役割を果たし、XIAP BIR3中のW323の疎水性側鎖と密接な接触にある。そのバックボーンカルボニル基は溶媒の方を向いており、タンパク質との特異的相互作用を有さない。
【0106】
4位のイソロイシン残基(I4')の疎水性側鎖は、XIAP BIR3中の十分に規定された疎水性ポケットに結合する。I4'のアミノ基は、G306のバックボーンカルボニルと水素結合を形成し、このカルボニル基は、タンパク質との特異的相互作用を有さない。
【0107】
注目すべきことに、同様の相互作用が、最近決定された、カスパーゼ-9およびXIAP BIR3の高解像度X線構造において観察された。ここでは、カスパーゼ-9中の4残基ATPF(SEQ ID NO:2)が、XIAP BIR3との相互作用を媒介する。これらの原子的に詳述された、高解像度実験的構造は、Smac模倣物を設計するための具体的な構造的基礎を提供する。
【0108】
実施例3
コンホメーション的に制約された非ペプチド性Smac模倣物の設計
Smac AVPIペプチドの設計および修飾は、強力な単純なSmacペプチド模倣物に導いた。しかし、これらのSmac模倣物は、2〜3個の天然のアミノ酸および1〜2個の天然のペプチド結合を有する。これらの単純なSmac模倣物中でのペプチド特性をさらに減少させるために、コンホメーション的に制約された非ペプチドSmac模倣物を、3D複合体構造および単純なSmacペプチド模倣物から得られたデータに基づいて設計および合成した。
【0109】
XIAP BIR3との複合体であるSmacの実験的3D構造、およびイソロイシンがベンジルアミン(化合物1)で置換されているSmac AVPI(SEQ ID NO:1)についての本発明者らのモデル構造(図1および4)は、Smac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)中のバリンおよびプロリンの側鎖ならびに化合物1が結合溝の溶媒の方を向いていることを示した。それゆえに、タンパク質との立体構造的な衝突を引き起こすことなく、さらなる環系の形成を通して、これらの2つの残基は環化することが可能である。化合物1(表2)は、この設計ストラテジーを試験するための鋳型分子として使用した。新規に形成された環における炭素原子の数に依存して、異なるサイズの環系を構築することができる。初期の設計において、3つのサイズの環系、すなわち、[5,5]、[6,5]、および[7,5]二環式環系を設計した。なぜなら、それらが合成的に実行可能であるからである。
【0110】
【表2】

【0111】
注目すべきことに、この環化ストラテジーは、2つの天然のアミノ酸(バリンおよびプロリン)の、非アミノ酸、二環式、ラクタム環系への転換を可能にし、得られたSmac模倣物は非ペプチド化合物になる。
【0112】
各環系化合物について、炭素原子の架橋におけるキラル中心の生成に起因して、2つの立体異性体が存在する、それゆえに、各立体異性体を、各環系についてモデル化した。[5,5]二環式環系を有する化合物17および18(表2)については、XIAP BIR3へのAVPI(SEQ ID NO:1)結合コンホメーションおよび化合物1において、ペプチドバックボーンおよびプロリン環に対応する原子についての有意なコンホメーションの偏差が存在したことが見い出された。結果として、化合物17および18は、Smac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)および化合物1について観察されたような最適な水素結合および好ましい疎水性相互作用を形成することができない。従って、[5,5]二環式ラクタム環系を有する17および18は、XIAPに対して弱い結合を有するのみである可能性があることが予想された。これらの化合物の合成は追求しなかった。
【0113】
[6,5]二環式環系を有する化合物19(表2)は、X線構造およびモデル化構造中の化合物1/XIAP BIR3において、水素結合と疎水的相互作用の両方において、Smac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)/XIAP BIR3の相互作用を全く密接に模倣した。Smac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)/XIAP BIR3のX線複合体構造と比較した、化合物19のモデル化複合体構造を図5に示す。見ることができるように、X線構造中でSmac AVPI(SEQ ID NO:1)について見い出されるすべての重要な水素結合は、化合物19とXIAP BIR3の間で形成された。化合物19におけるフェニル環は疎水性ポケットに挿入され、これは、I4'疎水性側鎖および化合物1のフェニル環を密接に模倣する。Smac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)中のプロリン環は、W323の側鎖と密接な接触にあることが見い出された(図1)。しかし、化合物19中の5員環は外側に折れ曲がり、AVPI Smacペプチド(SEQ ID NO:1)中のプロリン環および化合物1と比較して、わずかな偏差を有する(図5)。全体として、本発明者らのモデリングの結果に基づいて、化合物19が、XIAP BIR3に対する理にかなった結合親和性を有する可能性があることが予測された。対照的に、立体異性体20(表2)は、XIAP BIR3と効果的に相互作用することができないことが見い出された。Smac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)中のバックボーン原子およびプロリン環に対応する原子のコンホメーションは、化合物20において密接に維持されており、この新規に形成された6員環は、XIAP中のW323残基との厳しいファンデルワールス衝突(応答)を有する。従って、化合物20は、XIAPに対して非常に弱い親和性のみを有する可能性があることが予測された。
【0114】
[7,5]二環式環系を有する化合物21(表2)については、化合物21は、水素結合と疎水性相互作用の両方において、AVPI(SEQ ID NO:1)および化合物1をさらにより密接に模倣することが見い出された(図6)。実際、新規に形成された7員環は、XIAP中のW323残基とのさらなる好ましい疎水性接触を有するらしい(図6)。対照的に、他の立体異性体化合物22(表2)は、モデル構造中で、XIAP BIR3と、水素結合および疎水性相互作用を維持することができないことが見い出された。
【0115】
実施例4
[6,5]および[7,5]二環式環系を有するSmac模倣物の合成
一般的方法:NMRスペクトルは300MHzのプロトン周波数で獲得した。1Hケミカルシフトは、内部標準として、Me4Si (0.00 ppm)、CHCl3 (7.26 ppm)またはCD2HOD (3.31 ppm) とともに報告する。13Cケミカルシフトは、内部標準として、CDCl3 (77.00 ppm) またはCD30D (49.00 ppm) とともに報告する。旋光度は室温で測定した。
【0116】
一般的手法A(メチルエステルの加水分解のため)
1,4-ジオキサン中の基質の十分に攪拌した溶液に、2N LiOH(2等量)を室温で加えた。すべての出発物質が消費された後、1N HClをPH=5まで加えた。生成物を抽出するためにジクロロメタンを使用し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィーに供し、生成物を得た。
【0117】
一般的手法B(アミドの調製のため)
2つの基質、EDCI(1.2等量)およびHOBt(1.2等量)の十分に攪拌した混合物に、ジイソプロピルエチルアミンを室温で加えた。この混合物を一晩攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィーに供し、生成物を得た。
【0118】
一般的手法C(Bocの脱保護化のため)
基質の十分に攪拌した溶液に、1,4-ジオキサン(4等量)中の4.0M HClの溶液を加えた。一晩攪拌した後、溶液を真空中で濃縮した。残渣を凍結乾燥して生成物を得た。
【0119】

一般式IIIの化合物を、一般的手法Aに従って加水分解して酸を得た。これらの酸を、一般的手法Bに従ってアミンを用いて濃縮し、一般式IVのアミドを得た。一般的手法Cに従うBoc保護基の除去、次に一般的手法Bに従う、対応する(L)-N-Boc-アミノ酸を用いる縮合は、一連のアミドを供給した。これらのアミドにおけるBoc保護基の除去は、一般式Vの化合物を与えた。
【0120】









【0121】
実施例5
[8,5]二環式環系を有するSmac模倣物の合成

化学式VIの化合物を、Harris et al., Org. Lett. 1847 (2003)に従って調製する。10% Pd-Cによって触媒される水素化を用いる、VI中の二重結合の還元は、化学式VIIの化合物を与える。VI中のエチルエステルの加水分解、次にアミンとの縮合は、化学式VIIIのアミドを与える。VIII中でのBoc保護基の除去、続いて対応するアミノ酸との縮合は、一連のアミドを生じた。これらのアミドにおけるBoc保護基の除去は、化学式IXの所望の化合物を提供する。化学式XIの化合物は、VIIから同じ手法に従って合成することができる。
【0122】
実施例6
[6,5]二環式環系を有するSmac模倣物の合成
[6,5]二環式環系を有する化合物19を実施例4に記載されるように合成した。モデリング予測を確証するために、化合物20もまた合成した。これらの2つの化合物をFPベースの結合アッセイにおいて試験し、結合データを表3に提供する。化合物19は10μM未満のKi値を有し、化合物20は200μMまでいかなる結合も示さないことが見い出された。この結合データは、モデリング結果と一致している。重要なことに、化合物19は、化合物1およびSmac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)よりも約15倍少ない強度であり、これは、化合物1およびSmac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)におけるプロリン環と比較して、XIAP中のW323と、化合物19中の5員環との間のより少ない相互作用に帰するかもしれない。
【0123】
単純なSmac模倣物を用いる研究は、A1'中のメチル基のエチル基との置き換えが化合物19についての結合を改善する可能性を示唆した。このようにして、化合物19中のメチル基がエチル基によって置換された、化合物31(表3)を合成した。単純なSmac模倣物を用いるデータはまた、化合物19中のベンジル基の、ジフェニルメチル基との置き換えが結合親和性をさらに改善する可能性を示唆した。このようにして、化合物32(表3)を合成した。これらの化合物を、FPベースのアッセイにおいて試験し、それらの結合データを表3に提供する。見られ得るように、化合物31は1.41μMのKi値を有し、これは化合物19よりも3倍より強力である(図7)。化合物32は0.35μMのKi値を有し、これは化合物31よりも4倍より強力であり、化合物19よりも12倍より強力である(図7)。重要なことに、化合物32は、天然のAVPI Smacペプチド(SEQ ID NO:1)および単純な模倣物化合物1と同程度に強力である。
【0124】
【表3】

【0125】
実施例7
[7,5]二環式環系を有するSmac模倣物の結合親和性
モデリングの結果は、[7,5]二環式環系を有する化合物21が、[6,5]二環式環系を有する化合物19よりも、より良好なXIAP BIR3への結合を有する可能性があることを示唆した。従って、化合物21を合成した。化合物19および20についての結合データに基づいて、立体異性体19のみが活性であり、従って、化合物22は合成しなかった。
【0126】
化合物21を、実施例4に詳述される方法を使用して合成した。化合物21は、0.15μMのKi値を有すると決定され、従って、[6,5]二環式環系を有する対応する化合物19よりも、30倍より強力である(表4)。実際、化合物21は、単純なSmac模倣物化合物1および天然のSmac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)よりも2倍より強力であり、これは、将来性のあるリード化合物であることを表し、そしてモデリング予測および設計されたストラテジーを確証する。
【0127】
【表4】

【0128】
化合物21の良好な結合親和性に励まされて、化合物21と同様の方法を使用して、化合物33および34を設計および合成した(表4)。化合物33は0.06μM(60nM)のKi値を有するのに対して、化合物34は0.02μM(20nM)のKi値を有する(図7)。従って、化合物34は、非常に強力な非ペプチド性のコンホメーションが制限されたSmac模倣物を表し、これは、天然のSmac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)よりも29倍強力な結合親和性を有する。
【0129】
いくつかの他の非ペプチド性のコンホメーションが制約されるSmac模倣物が、FPベースの結合アッセイにおいて設計、合成、および試験されてきた。結果を表5に示す。
【0130】
【表5】




【0131】
実施例8
XIAPへの化合物34の結合のNMR法による結論的な確証
化合物34(表4、表5におけるSH-102と同じ)が、Smacが結合する場所であるXIAP BIR3の結合溝に結合することを結論的に確証するために、核磁気共鳴(NMR)方法を使用する分析を実行した。His-タグに融合したヒトXIAP BIR3ドメイン(241〜356残基)を、15N塩化アンモニウムを含むM9培地中でBL21(DE3)細胞から発現させてタンパク質を15Nで均一に標識し、そして精製した。15N異核単一量子コヒーレンススペクトル法(Heteronuclear Single Quantum Coherence Spectroscopy)(HSQC)NMRスペクトルを、50mM Tris (pH 7.2)、50μM ZnCl2、1 mM DTT中の100μMの15Nタンパク質を、100μMの化合物34とともに、またはそれを伴わずに含む試料を用いて、30℃で記録した。化合物34のあるなしでの、ヒトXIAPのBIR3ドメインの15N HSQCスペクトルの重ね合わせは、タンパク質に結合した化合物34を示し、XIAP BIR3におけるいくつかの残基において化学シフトを誘導した(図8)。さらに、いくつかの新たなピークが、化合物34を用いるスペクトルにおいて見られ(図8)、これは、XIAP BIR3におけるフレキシブルループが、XIAP BIR3およびSmacの複合体構造中で観察されるように(Sun et al., J. Biol. Chem. 275:33777 (2000))、化合物との接触の際に構造化されることを示唆する。
【0132】
XIAP BIR3におけるどの残基が化合物34によって影響されるかを同定するために、13Cおよび15N二重標識XIAP BIR3を調製し、3D NMR三重共鳴実験を実行して、バックボーン原子共鳴の帰属を作製した。HNCA、HNCACB、HN(CO)CBCA、HNCO、TOCSY-HSQC、C(CO)NHおよび公開された結果(Sun et al., J. Biol. Chem. 275:33777 (2000))を使用して、2つのフレキシブルループ(276〜280残基および308〜314残基)以外は、バックボーンの帰属をほぼ完了した。XIAP BIR3のほぼ完全なバックボーン帰属に基づいて、残基G306、W323、K297、L292、およびK299が化合物34によって影響を受けることが見い出された(図8)。さらに、これらの残基はまた、NMR分析において、Smac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)によって影響を受けることが見い出された。Smac/XIAP BIR3の実験的複合体構造に基づいて、化合物34およびSmac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)によって影響を受けるXIAP BIR3におけるこれらの残基は、Smacペプチドと直接的な接触にある。同じ方法を使用して、化合物34およびSmac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)によって引き起こされるものと同様に、化合物32が、XIAP BIR3における同じセットの残基に誘導された化学シフトを引き起こしたともまた決定され、このことは、これらのSmac模倣物はまた、化合物34およびSmac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)と同じ結合溝に結合することを示す。まとめると、NMR実験の結果は、化合物32および34および他のSmac模倣物が、Smacが結合するXIAP BIR3中に結合溝に結合することを結論的に確証した。これらの実験はまたは、Samcペプチドおよび設計した模倣物がタンパク質をアンフォールドしないことを示した。
【0133】
実施例9
癌細胞および正常細胞中でのIAPファミリータンパク質の発現
設計されたSmac模倣物の活性および特異性を研究するために、XIAP、cIAP-1/2、サバイビンおよびSmacタンパク質のウェスタンブロットを、いくつかのヒト癌細胞株および正常細胞において実行した(図9)。
【0134】
結果は、ヒト前立腺癌PC-3細胞が高レベルのXIAPおよびcIAP-1/2ならびに低レベルのサバイビンを有し;ヒト乳癌MDA-MB-231細胞が高レベルのcIAP-1、中程度のXIAP、ならびに低レベルのcIAP-2およびサバイビンを有し;ならびにヒト前立腺癌DU-145細胞が高レベルのXIAPならびに中程度のcIAP-1/2およびサバイビンを有することを示す。
【0135】
正常ヒト繊維芽細胞WI-38細胞は低レベルのXIAP、cIAP-1/2およびサバイビンを有し;正常前立腺上皮細胞(PrEC)は、検出可能であるがPC-3細胞およびDU-145細胞よりもはるかに低いレベルのXIAP、中程度のレベルのcIAP-1ならびに非常に低いレベルのcIAP-2およびサバイビンを有し;そして正常ヒト乳房上皮細胞株MCF-10AおよびMCF-12Aは、検出可能であるがDU-145およびPC-3よりもはるかに低いレベルのXIAPを有し、検出可能であるがPC-3およびMDA-231よりもはるかに低いレベルのcIAP-1、ならびに非常に低いレベルのcIAP-2およびサバイビンを有する。
【0136】
Jurkat細胞は低いレベルのXIAPおよびcIAP-2、中程度のレベルのcIAP-1およびサバイビンを有する。予測されたように、XIAPタンパク質でトランスフェクトされたJurkat細胞は非常に高いレベルのXIAPを有するのに対して、他のIAPタンパク質は親の細胞株と比較して変化しない。Smacタンパク質のレベルは、本発明で試験した癌細胞および正常細胞の間では同じであるようである。
【0137】
実施例10
Smac模倣物は、前立腺癌PC-3細胞中でシスプラチン誘導性アポトーシスを増強する
キャリアペプチドに融合された短いSmacペプチドを使用する以前の研究は、細胞透過性のSmacペプチドが、グリオーマ、乳癌、および非小細胞肺癌中で、種々の化学療法剤によって誘導される癌細胞のアポトーシスを増加することが可能であったことを確信的に実証した(Fulda et al., Nature Med. 8:808 (2002); Arnt et al, J. Biol. Chem. 277:44236 (2002); Yang et al, Cancer Res. 63:831 (2003))。いくつかの特徴が、これらの研究の間で共通であった。これらの細胞透過性Smacペプチドは、それ自体によって、癌細胞中でアポトーシスを誘導する際にはほとんど効果を有さない。アポトーシス誘導における化学療法剤の活性を有意に強化するためには、極めて高濃度(50〜100μM)のペプチドが使用されなければならない。
【0138】
本発明の基本的な前提は、強力な非ペプチド性Smac模倣物が、細胞透過性Smacペプチドよりも、化学療法剤薬物によって誘導される癌細胞のアポトーシスを増加させるためにより有効であることである。先の例は、Smac AVPIペプチド(SEQ ID NO:1)よりも、少なくとも10倍良好な結合親和性を有する、全く強力な非ペプチド性Smac模倣物化合物33および34を開示する。アラニンの側鎖がエチル基で置換され、イソロイシンがジフェニルメチル基で置換されているペプチド模倣物であるSH-97を、この基本的な前提を試験するために使用した。重要なことに、SH-97は、2つの天然のアミノ酸(バリンおよびプロリン)ならびに1つの天然のペプチド結合をなお有する。対照化合物については、以前に公開された細胞透過性Smacペプチド(Smac8-C)(Arnt et al., J. Biol. Chem. 277: 44236 (2002))を陽性対照として使用し、キャリアペプチドを有さないSmacペプチド(AVPIAQKS)(SEQ ID NO:6)を陰性対照として使用し(Smac-8)、および別の陰性対照として不活性化合物(SH-93、表5)を使用した。実験は、高レベルのXIAPおよびcIAP-1/2タンパク質を発現するPC-3細胞、ならびに化学療法剤としてシスプラチン(CDDP)を使用した。CDDPはDNA損傷剤であり、PC-3細胞中でアポトーシスを有効に誘導することができ、また、前立腺癌のために臨床的に使用される化学療法剤薬物である。
【0139】
PC-3細胞を、CDDP、Smacペプチドおよび模倣物を用いて、単独でまたは組み合わせて42時間処理し、アポトーシスを、アネキシンV-FITC染色によって分析した。細胞透過性Smacペプチドを使用する以前の研究と一致して、50μMまでのSH-97は、未処理の癌細胞と比較した場合に、有意により多くのアポトーシスを誘導しなかったのに対して、25μMのCDDPは、対照細胞と比較して、癌細胞の12〜15%をアポトーシスを受けるように誘導した(図10A)。25μM CDDPおよび10μMまたは25μM SH-97の組み合わせは、それぞれ、対照細胞よりも、29.3%±1.9%および35.8%±0.4%のアポトーシスを誘導した(図10A)。細胞透過性のSmacペプチドが、高レベルのIAPタンパク質を有する種々の癌細胞中で化学療法剤薬物のアポトーシスを増加したという公開された結果と一致して、25μM CDDPおよび100μM Smac8-Cは、対照細胞よりも34%までアポトーシスを増加したのに対し、Smac8-Cは、それ自体で、有意な効果を有さなかった(図10B)。
【0140】
同様の実験を、SH-102(表5)を用いて実行した。6ウェルプレート中のPC-3細胞を、SH-102およびCDPPを用いて、単独でまたは組み合わせて、42時間処理した。細胞を収集し、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウムで染色した。個々の細胞のアネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウムの蛍光をフローサイトメトリーによって分析した。100μMまでのSH-102は、未処理癌細胞と比較して、有意に多くのアポトーシスを誘導しなかったのに対して、25μMおよび50μM CDDPは、それぞれ、対照細胞と比較して、癌細胞の約15%および25%がアポトーシスを受けるように誘導した(図11)。25μM CDDPおよび10μM SH-102の組み合わせは、対照細胞よりも、32%のアポトーシスを誘導した(図11)。上記に示されるように、25μM CDDPおよび100μM Smac8-Cの組み合わせは、対照細胞に対して約34%までアポトーシスを誘導したのに対し、Smac8-Cは、それ自体、有意な効果を有さなかった(図12)。
【0141】
同じ実験を、別の癌化学療法薬物であるタキソテレ(TAXOTERE)(ドセタキセル)を使用して実行した。6ウェルプレート中のPC-3細胞を、SH-102およびタキソテレを用いて、単独でまたは組み合わせて、42時間処理した。細胞を収集し、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウムで染色した。個々の細胞のアネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウムの蛍光をフローサイトメトリーによって分析した。100μMまでのSH-102は、未処理癌細胞と比較して、有意に多くのアポトーシスを誘導しなかったのに対して、10μMおよび20μMタキソテレは、それぞれ、対照細胞と比較して、癌細胞の約5%および8%がアポトーシスを受けるように誘導した(図13)。10μMタキソテレおよび10μM SH-102の組み合わせは、対照細胞よりも、約18%のアポトーシスを誘導した(図13)。
【0142】
同様の実験を、乳癌細胞株MDA-231を用いて実行した。6ウェルプレート中のMDA-231細胞を、SH-102およびCDPPを用いて、単独でまたは組み合わせて、42時間処理した。細胞を収集し、アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウムで染色した。個々の細胞のアネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウムの蛍光をフローサイトメトリーによって分析した。25μMおよび50μM CDDPは、それぞれ、対照細胞と比較して、MDA-231細胞の約25%および42%がアポトーシスを受けるように誘導した(図14)。25および50μM CDDPの、25μM SH-93との組み合わせは、対照細胞よりも有意な効果を有さなかった。25および50μM CDDPの、10μM SH-102との組み合わせは、それぞれ、対照細胞よりも、約35%および75%のアポトーシスを誘導した(図14)。10μM SH-102がCDDPに対して細胞を感作させる能力は、100μM pSmac8-C(図14)のそれとほぼ同程度強かった。
【0143】
まとめると、結果は、強力なSmac模倣物が、PC-3細胞およびMDA-231細胞においてアポトーシスを誘導する際にCDDPおよびタキソテレの活性を強化するために有効であることを示す。さらに、本発明のSmac模倣物は、以前の研究において使用されたキャリアペプチド(Smac8-C)に融合されたSmacペプチドよりも、より強力であるように見えるのに対して、キャリアペプチドまたは不活性Smac模倣物(SH-93)を有さないSmacペプチドは、PC-3細胞またはMDA-231細胞中でアポトーシスを誘導する際に、CDDPの活性を強化することができない。
【0144】
実施例11
SH-102はXIAPの保護効果を克服する
(多くの癌でそうであるように)上昇したレベルのXIAPを有する細胞に対してSmac模倣物が有する効果を調べるために、Jurkat T細胞を、ヒトXIAPを発現するベクターまたは対照ベクターで安定にトランスフェクトした。対照ベクターでトランスフェクトしたJurkat細胞(Jurkat-Vec)は、ウェスタンブロットによって分析されるように、非常に低いレベルのXIAPタンパク質を有するのに対して、ヒトXIAPをコードするベクターで安定にトランスフェクトされたJurkat細胞(Jurkat-XIAP)は、非常に高レベルのXIAPタンパク質を有する。
【0145】
これら2種の安定にトランスフェクトされた細胞株を、癌化学療法剤薬物エトポシドおよびSH-102を用いて、単独でおよび組み合わせて、15時間処理した。細胞を収集し、氷上で70%エタノール中で固定した。遠心分離後、細胞を50μg/mlヨウ化プロピジウムおよび0.1μg/ml RNase Aで染色し、フローサイトメトリーによって分析した。各試料は、スキャンされる少なくとも5000細胞を有した。CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を使用してデータを分析して、サブG1細胞(アポトーシス細胞)のパーセンテージを計算した。Jurkat-XIAP細胞は、10μMエトポシドに対して、Jurkat-Vec細胞(約50%アポトーシス細胞)よりもより耐性であった(約10%アポトーシス細胞)(図15)。エトポシドと組み合わせた10μM SH-102は、約15%アポトーシスを誘導し、これは、薬物誘導性アポトーシスに対するXIAPの保護効果が、Smac模倣物によって克服できることを示す(図15)。10μM SH-102は、少なくとも、50μM Smac8-C(図15)と同程度に有効であった。
【0146】
Bir1およびBir2ドメインが欠失しているヒトXIAPを発現する別の安定にトランスフェクトされたJurkat細胞株を樹立した(Jurkat-Bir3)。欠失を有するXIAPタンパク質の発現は、エトポシド誘導性アポトーシスから細胞を保護した。20μMエトポシドはJurkat-Bir3細胞中で約18%アポトーシスを誘導したのに対して、10または20μM SH-102とのエトポシドの組み合わせは、それぞれ、約25および30%のアポトーシスを引き起こし(図16)、このことは、SH-102が、薬物誘導性アポトーシスに対するXIAP-Bir3の保護効果を克服できることを示し、およびまた、Bir3ドメインがSH-102の細胞活性に関与することを示す。
【0147】
実施例12
SH-97は、クローン原性アッセイにおけるX線照射に対してPC-3細胞を感作させる
癌細胞中のXIAPおよび他のIAPタンパク質の過剰発現は、化学療法剤によって誘導されるアポトーシスのみならず、放射線によって誘導されるアポトーシスもまた阻害することが示されてきた(Holcik et al., Oncogene 19:4174 (2000))。それゆえに、SH-97などの強力かつ細胞透過性のSmac模倣物を用いるPC-3の処理は、癌細胞に対するIAPタンパク質の保護効果を直接的に克服することによって、X線照射に対してPC-3細胞を感作させることが予測される。
【0148】
この予測を試験するために、PC-3細胞を、6ウェルプレート中で、SH-97およびX線放射線で、単独でおよび組み合わせて、標準的なクローン原性アッセイを使用して処理した。細胞透過性Smacペプチド(Smac8-C)を再度、陽性対照として使用した。培養の10日後、プレートをクリスタルバイオレットで染色し、50個を超えるコロニーを、ColCountコロニーカウンターを用いて計数した。細胞生存曲線を、線形二次曲線フィッティングを用いてプロットした(図17)。アポトーシス実験と一致して、SH-97またはSmac8-Cは、それ自体、有意な効果を有さなかった。10および25μMのSH-97、または100μMのSmac8-Cを用いるPC-3細胞の処理は、放射線の活性を有意に増加した。見ることができるように、6Gy線量の放射線では、10および25μMのSH-97は、放射線単独と比較して、10倍より多くのコロニー形成の減少を生じた。8Gyの放射線において、10および25μMのSH-97は、放射線単独と比較して、40倍および50倍より多くのコロニー形成の減少を生じた。上記に言及したCDDPとのSH-97の組み合わせ実験から得られる結果と一致して、10μM SH-97もまた、6Gyと8Gyの両方の放射線量において、100μMの細胞透過性SmacペプチドSmac8-Cよりもより有効なように見える。従って、アポトーシス実験とコロニー形成実験の両方におけるSH-97に対する予備的な結果は、強力な細胞透過性ペプチド模倣物または非ペプチド性ペプチド模倣物が、細胞透過性Smacペプチドよりも、化学療法剤および放射線に対して高レベルのXIAPおよびIAPタンパク質を用いる癌細胞のアポトーシス耐性を克服するためにより有効であるという基本的な前提を支持するための証拠を提供する。
【0149】
実施例13
ヒト癌細胞におけるSH-102による細胞増殖の阻害
ヒト癌細胞中の細胞増殖の阻害における、Smac模倣物のそれ自体による効果を試験するために、SH-102を、3種の異なる乳癌細胞株に投与した。MDA-435細胞、MDA-468細胞、およびT47D細胞を、SH-102、Smac8、またはSmac8-Cの増加濃度を有する96ウェルプレート中に播種した。次いで、細胞を、37℃で、5%CO2とともに5日間インキュベートし、続いてWST-8を用いて細胞生存度の検出を行う。未処理細胞を100%増殖として使用した。SH-102細胞は、各々の細胞株の細胞増殖を、約30〜70μMの範囲のIC50で阻害した(図18A〜18C)。対照的に、細胞透過性Smacペプチド(Smac8-C)は、これらすべての細胞株中での細胞増殖を阻害する際に、SH-102よりも強力ではなかった(図18A〜18C)。キャリアペプチドを含まないSmacタンパク質配列に由来する天然のSmacペプチド(Smac8)は、3種すべての細胞において本質的に有効ではなかった(図18A〜18C)。これらのデータは、Smac模倣物が、ヒト癌細胞における細胞増殖を阻害可能であることを示す。
【0150】
ここで本発明を十分に説明してきたが、本発明の範囲またはその任意の態様に影響を与えることなく、広範かつ等価な範囲の条件、処方、および他のパラメーターの範囲内で本発明が実行可能であることが当業者によって理解される。本明細書で飲用されるすべての特許、特許出願および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に完全に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】XIAP BIR3とのSmacペプチドのモデル化複合体を示す。
【図2】FPベースのアッセイについての飽和結合曲線である。
【図3】FPベースのアッセイにおけるペプチドの結合を示す。
【図4】表2の化合物1とXIAP BIR3のモデル化複合体を示す。
【図5】表2の化合物19とXIAP BIR3のモデル化複合体を示す。
【図6】表2の化合物21とXIAP BIR3のモデル化複合体を示す。
【図7】FPベースのアッセイにおけるSmac模倣物の結合を示す。
【図8】表4の化合物34とXIAP BIR3のモデル化複合体を示す。
【図9】種々の細胞株中のXIAP、cIAP-1/2、サバイビン(survivin)、およびSmacのウェスタンブロット分析を示す。
【図10】図10Aおよび10Bは、シスプラチン(CDDP)およびSmac模倣物に応答した、PC-3細胞中でのアポトーシスの誘導を示す。
【図11】CDDPおよびSmac模倣物に応答した、PC-3細胞中でのアポトーシスの誘導を示す。
【図12】CDDPおよびSmac模倣物に応答した、PC-3細胞中でのアポトーシスの誘導を示す。
【図13】タキソテレ(TAXOTERE)およびSmac模倣物に応答した、PC-3細胞中でのアポトーシスの誘導を示す。
【図14】CDDPおよびSmac模倣物に応答した、MDA-231細胞中でのアポトーシスの誘導を示す。
【図15】エトポシドおよびSmac模倣物に応答した、XIAPを過剰発現するJurkat細胞中でのアポトーシスの誘導を示す。
【図16】エトポシドおよびSmac模倣物に応答した、XIAP-Bir3を過剰発現するJurkat細胞中でのアポトーシスの誘導を示す。
【図17】放射線およびSmac模倣物に応答した、コロニー増殖の阻害を示す。
【図18】図18A〜18Cは、Smac模倣物に応答した、乳癌細胞の増殖の阻害を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ:

式中、
R1はC1-2アルキルまたはC1-2ハロアルキルであり;
R2は分枝もしくは非分枝アルキルもしくはシクロアルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールであり;
XはCONH、CH2O、CH2NH、CH2S、または(CH2)1-3であり;
Y1は(CH21-5であり、ここで1つまたは複数の炭素は、酸素、硫黄、および窒素から選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換することができ、およびCH2基における1つまたは複数の水素は、分枝もしくは非分枝アルキルもしくは環状アルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換することができ;
Y2は(CH21-5であり、ここで1つまたは複数の炭素は、酸素、硫黄、および窒素から選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換することができ、およびCH2基における1つまたは複数の水素は、分枝もしくは非分枝アルキルもしくは環状アルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換することができ;ならびに
ZはCONH、CH2O、NHCO、(CH2)1-4、(CH2)1-3CONH(CH2)0-3、(CH2)1-3S(CH2)0-3、(CH2)1-3NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHCO(CH2)0-3、(CH2)1-3NHSO2(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(O)NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(S)NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NR'(CH2)0-3であり、ここでR'は分枝もしくは非分枝アルキルもしくはシクロアルキル、または置換されたかもしくは置換されていないアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールである。
【請求項2】
XがCONHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがCONHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XおよびZがCONHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が下記からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物:





【請求項6】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容されるキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項7】
XがCONHである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
ZがCONHである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
XおよびZがCONHである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
化合物が下記からなる群より選択される、請求項6に記載の薬学的組成物:





【請求項11】
細胞を請求項1の化合物と接触させる工程を含む、細胞中でアポトーシスを誘導する方法。
【請求項12】
XがCONHである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ZがCONHである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
XおよびZがCONHである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
化合物が下記からなる群より選択される、請求項11に記載の方法:





【請求項16】
細胞を請求項1の化合物と接触させる工程を含む、細胞をアポトーシスのインデューサーに対して感受性にする方法。
【請求項17】
細胞をアポトーシスのインデューサーに接触させる工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アポトーシスのインデューサーが化学療法剤である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アポトーシスのインデューサーが放射線である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
XがCONHである、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
ZがCONHである、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
XおよびZがCONHである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
化合物が下記からなる群より選択される、請求項16に記載の方法:





【請求項24】
請求項1に記載の化合物およびアポトーシスのインデューサーの治療的有効量を動物に投与する工程を含む、動物中でアポトーシスの誘導に応答性である障害を治療、改善、または予防する方法。
【請求項25】
アポトーシスのインデューサーが化学療法剤である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
アポトーシスのインデューサーが放射線である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
アポトーシスの誘導に応答性である障害が過剰増殖性(hyperproliferative)疾患である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物がアポトーシスのインデューサーの前に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
請求項1に記載の化合物がアポトーシスのインデューサーの後に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
請求項1に記載の化合物がアポトーシスのインデューサーと同時に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
XがCONHである、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
ZがCONHである、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
XおよびZがCONHである、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
化合物が下記からなる群より選択される、請求項24に記載の方法:





【請求項36】
請求項1に記載の化合物および該化合物を動物に投与するための説明書を含むキット。
【請求項37】
アポトーシスのインデューサーをさらに含む、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
アポトーシスのインデューサーが化学療法剤である、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
説明書が、過剰増殖性疾患を有する動物に化合物を投与するためのものである、請求項36に記載のキット。
【請求項40】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項39に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【公表番号】特表2007−522116(P2007−522116A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549661(P2006−549661)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/001406
【国際公開番号】WO2005/069894
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
【Fターム(参考)】