説明

コンロ

【課題】 温度検出手段の不要な加熱を簡単な構成で防止する。
【解決手段】 内向き炎口バーナ4の下方には、空気供給路を、ブラケット23に形成された吹出口28,28・・に連通させて、各吹出口28から上方へ空気を吹き出し可能としたファン27が配されている。吹出口28は、感熱ユニット24を中心とした所定半径の円周上で複数個均等に設けられると共に、感熱ユニット24の上方に向けて僅かに傾斜して形成されている。また、各吹出口28は、上面から見て、各炎口20から中心へ向けて形成される火炎の間に位置するように配置されている。よって、内向き炎口バーナ4の火炎は、先端部分が二次空気を求めて左右の吹出口28の上方側へ拡がり、感熱ユニット24を囲むように形成されて、感熱ユニット24を不要に加熱しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内周面に複数の炎口を形成した環状の本体部を有する内向き炎口バーナを備え、その内向き炎口バーナによって調理容器を加熱するコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルコンロ等のコンロにおいては、調理容器の底から外側に火炎が溢れ出ることを防止するために、内周面に複数の炎口を形成した環状の本体部を有する内向き炎口バーナが用いられる場合がある(例えば特許文献1参照)。
一方、このようなコンロにあっては、天ぷら火災防止のため、鍋底温度を検出する温度検出手段を設けて、鍋底温度が設定温度に達すると、燃焼制御手段となるコントローラが内向き炎口バーナへの燃料ガスの供給を遮断する安全装置が設けられる。この温度検出手段としては、図4に示すように、サーミスタ等の感熱体を収容した筒状体41を内向き炎口バーナ40の中心に配置して調理容器Pの底面に当接可能としたものが知られている。
【0003】
しかし、この安全装置を内向き炎口バーナと併設すると、同図の上方に示すように、内向き炎口バーナ40の狭い燃焼空間で形成される火炎F(ハッチングを付した部分)によって、筒状体41が加熱されやすく、安全装置が誤作動を起こすおそれがある。そこで、特許文献2に示すように、感熱体を冷却する冷却ファンを別途設けると共に、筒状体を二重構造にして、外側の保護用外筒によって火炎を遮断し、感熱体の不要な温度上昇を防止しようとする試みや、特許文献3に示すように、同じく二重構造とした筒状体内へ冷却ファンによる冷却用空気を送り込むことで、筒状体を強制冷却して調理容器の温度を正確に検知しようとする試みがなされている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−90911号公報
【特許文献2】特開平9−101029号公報
【特許文献3】特開平9−101030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筒状体を二重構造にすると、感熱体に対して火炎からの遮断効果は得られるが、構成が複雑化してコストアップを招く。また、保護用外筒が加熱されることで、筒状体を支持するブラケット等の他の部材に伝熱しやすくなり、エネルギーロスに繋がる。かといって冷却ファンのみを用いて筒状体を冷却しようとすると、狭い燃焼空間で空気を求めて火炎が中央に伸びてしまい、感熱体の加熱防止が図れない。
【0006】
そこで、請求項1に記載の発明は、コストアップの少ない簡単な構成で、感熱体の加熱防止をエネルギーのロスなく確実に行えるコンロを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、内向き炎口バーナへの燃焼用の二次空気を、炎口から形成される火炎が温度検出手段を回避するように供給することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、燃焼用の二次空気の供給方向の制御を低コストで簡単に行うために、内向き炎口バーナへの燃焼用の二次空気は、ファンにより供給される構成としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の目的に加えて、温度検出手段を回避する火炎を簡単に形成するために、燃焼用の二次空気を、温度検出手段を所定距離だけ離れて囲むように下方から上方へ向けて供給する構成としたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3の目的に加えて、二次空気の供給を必要なタイミングで効果的に行うために、当該二次空気の供給を、内向き炎口バーナが所定の火力で燃焼している場合にのみ行う構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、火炎を温度検出手段から遠ざけて温度検出手段に触れないようにすることができるため、内向き炎口バーナによる温度検出手段の不要な加熱が防止される。よって、温度検出手段は鍋底温度を正確に検出でき、安全装置の信頼性を確保できる。特に、この効果は、火炎が二次空気を求めて二次空気供給側へ形成される性質を利用することで、二次空気の供給の方向を制御することのみによって得られるため、温度検出手段を二重構造にすることによるコストアップやエネルギーロスがなくなり、簡単且つ低コストで安全装置の誤作動が防止可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、ファンを用いることにより、二次空気の供給方向の制御を低コストで簡単に行うことができる。しかも、ファンにより強制的に二次空気を供給しているため、火炎の短炎化が図れ、温度検出手段に火炎が伸びていくことを防いで、不要な加熱をより効果的に防止できる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、温度検出手段を回避する火炎を簡単に形成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3の効果に加えて、必要なタイミングでのみファンが使用でき、コストの低減に繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用したコンロの一例であるテーブルコンロの説明図で、このテーブルコンロ1には、トッププレート2に形成された開口3内に、内向き炎口バーナ4が配置され、この内向き炎口バーナ4の上方でトッププレート2上に、中央を開口した五徳リング6と、その五徳リング6上へ放射状に立設される倒L字状の五徳爪7,7・・とからなる五徳5がセットされて、五徳爪7に調理容器Pが載置可能となっている。
内向き炎口バーナ4は、燃料ガスと一次空気とが供給されるバーナ本体8と、バーナ本体8上に載置されるバーナヘッド9とからなる。まず、バーナ本体8は、基端に設けたガスノズル10から噴出された燃料ガスと、一次空気吸入口11から吸入された一次空気とを混合する混合管部12と、バーナヘッド9の載置部となると共に環状の混合気室14を形成する本体部13とから形成されている。
【0010】
混合管部12及び本体部13は、プレス成形された上下の金属板を端部でカシメ結合して形成され、混合管部12の上端に固着されたフランジ部15を、本体部13の下面に形成された連通孔16の位置でカシメ結合することで、一体に連結されている。また、本体部13の内部には、リング状の平板に多数の分布孔18,18・・を周方向へ均等に穿設した分布板17が設けられている。
バーナヘッド9は、多数のスリット状の炎口20,20・・を穿設した帯状の金属板を円筒状に形成した炎口形成部19と、炎口形成部19の上端に溶接された接合部21によって結合されるリング状の重し部材22とからなり、重し部材22を本体部13上の所定位置に載置することで、炎口形成部19が本体部13と同心でその内壁を形成するように組み付けられる。
【0011】
一方、内向き炎口バーナ4の本体部13の下方には、ブラケット23を介して温度検出手段としての感熱ユニット24が支持されている。この感熱ユニット24は、上端を閉塞して上方へ突出付勢される筒状体25内の上端に、感熱体としてのサーミスタ26を収容したもので、五徳爪7への調理容器Pの載置状態で、筒状体25が調理容器Pの底部中央に当接するようになっている。
また、内向き炎口バーナ4の下方には、ファン27が配置されている。このファン27は、その空気供給路を、ブラケット23に形成された吹出口28,28・・に夫々接続させて、各吹出口28から上方へ空気を吹き出し可能としたもので、この吹出口28は、感熱ユニット24を中心とし感熱ユニット24から所定距離だけ離れた円周上で複数個均等に設けられると共に、感熱ユニット24の上方に向けて、すなわち内向き炎口バーナ4の中心に向けて僅かに傾斜して形成されている。さらに、各吹出口28は、上下方向で、バーナヘッド9側の各炎口20から炎口形成部19の中心方向へ引いた線上に位置しないように配されている。すなわち、上面から見て、各炎口20から中心へ向けて形成される火炎の間に各吹出口28が位置するようにしたものである。
【0012】
さらに、ガスノズル10の上流側には、図示しない点火ボタンの動作に連動してガス供給路の開閉を行う制御ユニット29が設けられ、この制御ユニット29に、ツマミ30のスライド操作によって、制御ユニット29内の図示しない調整弁を回転させて内向き炎口バーナ4へのガス流路の開度を変化させる周知の火力調節手段と、点火操作に連動して開弁し、内向き炎口バーナ4の燃焼後は、燃焼制御手段としてのコントローラ31からの通電によって開弁保持される図示しない安全弁とが設けられている。コントローラ31は、サーミスタ26からの温度検出信号を得て、サーミスタ26の温度が設定温度に達すると、制御ユニット29内の安全弁への通電を停止して内向き炎口バーナ4へのガス供給を遮断する周知の安全装置を構成している。また、コントローラ31は、ツマミ30による操作量を検出して、ファン27の回転制御も行うようになっている。
【0013】
以上の如く構成されたテーブルコンロ1においては、調理容器Pを五徳5の上に載置して、図示しない点火ボタンを押すと、ガスノズル10から燃料ガスが噴出され、バーナ本体8の混合管部12で混合気となって本体部13内に流入し、分布板17によって混合気室14内で均等に拡散した後、バーナヘッド9の各炎口20から中心側へ向けて噴出される。そして、図示しないイグナイタの動作によって点火され、各炎口20からバーナヘッド9の半径方向へ火炎を形成して調理容器Pを加熱する。内向き炎口バーナ9の燃焼により生じた高温の燃焼ガスは、上方へ移動して調理容器Pの底部に当接した後、底部に沿って放射状に拡がり、五徳リング6と調理容器Pとの間の隙間から排出される。この燃焼ガスの移動によっても調理容器Pは効果的に加熱される。なお、この燃焼ガスの移動によって発生するドラフト力により、トッププレート2及び五徳リング6と内向き炎口バーナ4との隙間から燃焼用二次空気が自然吸引される。
【0014】
そして、ツマミ30を操作して火力を調節すると、コントローラ31は、選択された火力が「中」以上であれば、ファン27を回転させて、空気を各吹出口28から斜め上方へ吹き出させる。すると、バーナヘッド9内の狭い燃焼空間でその半径方向で形成されていた火炎Fは、図2に示すように、先端部分が二次空気を求めて左右の吹出口28の吹き出し方向上方側へ左右に拡がり(ハッチングを付した部分が火炎F)、感熱ユニット24を囲む格好となる。すなわち、火炎Fを感熱ユニット24から遠ざけて、感熱ユニット24に触れないようにしたものである。よって、火炎Fが感熱ユニット24を回避するように形成され、火炎Fによって感熱ユニット24が直接加熱されることがなくなる。
【0015】
このように上記形態のテーブルコンロ1によれば、内向き炎口バーナ4への燃焼用の二次空気を、炎口20から形成される火炎Fが感熱ユニット24を回避するように供給することで、内向き炎口バーナ4による感熱ユニット24の不要な加熱が防止される。よって、感熱ユニット24は鍋底温度を正確に検出でき、安全装置の信頼性を確保できる。特に、この効果は、火炎が二次空気を求めて二次空気供給側へ形成される性質を利用することで、二次空気の供給の方向を制御することのみによって得られるため、感熱ユニットを二重構造にすることによるコストアップやエネルギーロスがなくなり、簡単且つ低コストで安全装置の誤作動が防止可能となる。
【0016】
特にここでは、二次空気の供給にファン27を用いているため、二次空気の供給方向の制御を低コストで簡単に行うことができる。しかも、ファン27により強制的に二次空気を供給しているため、火炎の短炎化が図れ、感熱ユニット24に火炎が伸びていくことを防いで、不要な加熱をより効果的に防止できる。
また、ファン27による二次空気を、感熱ユニット24を囲む下方位置から上方へ向けて供給するようにしているから、感熱ユニット24を回避する火炎を簡単に形成することができる。
さらに、ファン27による二次空気の供給を、感熱ユニット24が加熱される火力「中」以上の場合にのみ行うようにしているため、必要なタイミングでのみファン27が使用でき、コストの低減に繋がる。
【0017】
なお、二次空気の供給方向は、上述したものに限らず、例えば、上記形態のように内向き炎口バーナの下方から上方へ吹き出す構造は同じとして、吹出口を内向き炎口バーナの周方向へ所定角度傾斜させる構造としても良い。この場合、図3に示すように、バーナヘッド9a内の火炎Fは傾斜した二次空気の流れに引っ張られ、感熱ユニット24を中心として旋回し、感熱ユニット24からずれるように形成される。
【0018】
また、二次空気は、上記形態のように内向き炎口バーナ4の下方から上方へ吹き出す構造に限らず、例えば、バーナヘッドと五徳リングとの間でバーナヘッドの外周側から吹き出させることで、火炎を調理容器の外周寄りに形成させたり、同じ位置から周方向へ所定角度傾斜した旋回状に吹き出させて、火炎を中心の感熱ユニットからずれるように形成させたりする構造も可能である。また、調理容器と五徳リングとの間から吹き出させて、火炎を引っ張り上げることで感熱ユニットを回避させることも考えられる。勿論これらを組み合わせて感熱ユニットを回避させても良い。
一方、二次空気の供給は必ずしもファンを用いるものに限らず、二次空気の通路の位置や方向の設定のみで火炎が温度検出手段を回避するように二次空気を供給することも可能である。
【0019】
また、吹出口は、上記形態では丸孔を周方向に配置して感熱ユニットを囲むようにしているが、透孔を円弧状や長円状にして中央の感熱ユニットを囲むように複数配置し、二次空気を壁状に吹き出させることも可能である。
その他、感熱ユニットや内向き炎口バーナの具体的な構造も上記形態に限らず、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
調理台に載置して使用されるテーブルコンロに限らず、調理台に組み込んで使用されるビルトインコンロ等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】テーブルコンロの説明図である。
【図2】バーナヘッド内での火炎の形成状態を示す説明図である。
【図3】変更例におけるバーナヘッド内での火炎の形成状態を示す説明図である。
【図4】従来のバーナヘッド内での火炎の形成状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1‥テーブルコンロ、2‥トッププレート、4‥内向き炎口バーナ、5‥五徳、8‥バーナ本体、9‥バーナヘッド、13‥本体部、20‥炎口、24‥感熱ユニット、25‥筒状体、26‥サーミスタ、27‥ファン、28‥吹出口、29‥制御ユニット、30‥ツマミ、31‥コントローラ、P‥調理容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に複数の炎口を形成した環状の本体部を有する内向き炎口バーナと、その内向き炎口バーナの本体部の中心にあって鍋底温度を検出する温度検出手段と、その温度検出手段による検出温度を監視し、前記検出温度が設定温度に達した際には前記内向き炎口バーナへの燃料ガスの供給を遮断する燃焼制御手段とを備えたコンロであって、
前記内向き炎口バーナへの燃焼用の二次空気を、前記炎口から形成される火炎が前記温度検出手段を回避するように供給することを特徴とするコンロ。
【請求項2】
内向き炎口バーナへの燃焼用の二次空気は、ファンにより供給される請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
ファンによる二次空気を、温度検出手段を所定距離だけ離れて囲むように下方から上方へ向けて供給する請求項2に記載のコンロ。
【請求項4】
ファンによる二次空気の供給を、内向き炎口バーナが所定の火力で燃焼している場合にのみ行う請求項2又は3に記載のコンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−29703(P2006−29703A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210554(P2004−210554)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000112015)パロマ工業株式会社 (298)
【Fターム(参考)】