説明

コーナー金具兼用港湾等用車止め

【課題】港湾の岸壁には車止めとコーナー金具が設置されているが係船ロープ等の摩損を防ぎきれない。
【解決手段】円断面の金属鋼管にL字断面のブラケットを溶接等で鋼管両端に固定しこのブラケットの底面に窄孔された穴を岸壁等の設置面に植設されたアンカーボルトに通し、螺合しこれを連続的に設置し接合部にできる円形断面の金属鋼管の不連続部分を金属カバーで覆い、長さ方向に隙間なく連続的に設置することで、間隙をなくし係船ロープ等の引っかかり及び磨耗をなくし、加えてアンカーボルトを十分岸壁海側側面より陸側内側に配しながら、ブラケットにより円断面の鋼管を、岸壁の海側側面まで張り出すことにより、車止めとしての形状、強度を保ちつつ、係船ロープなどが岸壁角部に当たらないようにし、円形断面とあいまって擦れ等を防ぎ、コーナー金具を不要としたコーナー金具兼用車止め。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港湾の岸壁等に設置される転落防止のための車止めと、岸壁コーナー部保護のためのコーナー金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の港湾の岸壁等に使用されている転落防止のための車止めは、長方形もしくは正方形の断面で、岸壁コンクリートに植設されたアンカーボルトに直接あるいは接続用の金具を介してナット等で固定されている。
このアンカーボルトは、コンクリートの強度保持のためのかぶりと、配筋されている鉄筋を避けるため、岸壁海側側面より陸側内側に十分距離をとって植設されている。
【0003】
このため従来の車止めは、岸壁海側側面より陸側内側に十分距離をとって設置されざるを得ず、岸壁海側側面上端角部には係船ロープなどの磨耗防止のために金属もしくは樹脂製のコーナー金具が設置されていた。
【0004】
しかしながら、このコーナー金具は岸壁コンクリートの角部にアンカーボルトにより取り付けられているため、コンクリートの欠損等によりはがれやすくまた、継ぎ目等を平滑にすることが難しく、係船ロープ等が引っかかる或いは磨耗する原因となっていた。また、車止め自体の断面がほぼ長方形のため角部での磨耗もあり、加えて従来の車止めの多くは水等を排出する隙間を確保するためある程度間隔をあけて設置されているため、この間に係船ロープ等が入り使い手も悪く磨耗の原因ともなっていた。また車止めとコーナー金具の2種類の機材を使い設置施工を行うことは施工時間、費用ともに嵩み不経済である。
【0005】
このため角型断面の鋼管を継ぎ手フレームで保持し、連続的に設置できる車止めも開示されているが、岸壁海側側面より陸側内側に十分距離をとって植設しなければならないためコーナー金具を必要とし、また角型であるため前述の問題点の解決にはならない
【特許文献1】特許第3509588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、港湾岸壁の車止めが岸壁海側側面より陸側内側にしか設置できず、また間を空けて設置するため、係船ロープ等の擦れ防止のためコンクリート岸壁角部にコーナー金具が必要で、このコーナー金具でも磨耗等を完全には防ぎきれない点にある。 本発明は、円断面の金属鋼管にL字断面のブラケットを溶接等で鋼管両端に固定しこのブラケットの底面に窄孔された穴を岸壁等の設置面に植設されたアンカーボルトに通し、螺合しこれを連続的に設置し、加えてアンカーボルトを十分岸壁海側側面より陸側内側に配しながら、ブラケットにより円断面の鋼管を、岸壁の海側側面まで張り出すことにより、車止めとしての形状、強度を保ちつつ、係船ロープなどが岸壁角部に当たらないようにし、円形断面とあいまって擦れ等を防ぎ、コーナー金具を必要としないコーナー金具兼用車止めを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係るコーナー金具兼用車止めは、L断面のブラケットに掛け渡して固着する車止めの主要部分を、円形断面の金属鋼管とすることで、最小限の素材重量で車止めとしての強度を持たせつつ、係船ロープ等が摩損することが少ない車止めとすることができる。第2の発明に係るコーナー金具兼用車止めは、円形断面の金属鋼管を保持するL型断面のブラケットを円形断面の金属鋼管の両端に長さ方向でそれぞれ外向き、即ち底面部が外向きになるよう固着し、これを連続的に設置し、接合部にできる円形断面の金属鋼管の不連続部分を金属カバーで覆い、長さ方向に隙間なく連続的に設置することで、間隙をなくし係船ロープ等の引っかかり及び磨耗をなくすことができる。
【0008】
そして、第3の発明に係るコーナー金具兼用車止めは、円形断面の金属鋼管をL型断面のブラケットにより横方向岸壁海側に突き出し、アンカーボルトの位置を十分陸側の内側にして強度を持たせつつ、岸壁側面と円形断面の金属鋼管の海側側面を垂直線上にほぼそろえることで、係船ロープ等が、岸壁コンクリート角部と接触することがないようにして、角部に設けるべきコーナー金具を不要とできるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコーナー金具兼用車止めは、円断面の金属鋼管にL字断面のブラケットを溶接等で鋼管両端に固定しこのブラケットの底面に窄孔された穴を岸壁等の設置面に植設されたアンカーボルトに通し、螺合しこれを連続的に設置し接合部にできる円形断面の金属鋼管の不連続部分を金属カバーで覆い、長さ方向に隙間なく連続的に設置することで、間隙をなくし係船ロープ等の引っかかり及び磨耗をなくし、加えてアンカーボルトを十分岸壁海側側面より陸側内側に配しながら、ブラケットにより円断面の鋼管を、岸壁の海側側面まで張り出すことにより、車止めとしての形状、強度を保ちつつ、係船ロープなどが岸壁角部に当たらないようにし、円形断面とあいまって擦れ等を防ぎ、コーナー金具を不要としたコーナー金具兼用車止めである。また係船ロープ等が懸らない摩損しないという特徴は、漁港などにおいて魚網など摩損しやすいものの積み降ろし時に非常に好適である。不連続部分をカバーで覆うことによりできる空隙は、円形断面の鋼管内部と空間的に連続しており、この鋼管内部を配線・配管に利用し、カバーに灯火を取り付け岸壁位置を示す標識等としたり、用水配管をし、カバー部に蛇口を設置し水道供給をするなど、有効に使える空隙である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の1実施例の断面図であって、1は円形断面の金属鋼管であり、2のL型ブラケット側板と5のL型ブラケット底板で構成されたブラケットにより両端を保持され、岸壁側面の十分内側に植設されたアンカーボルト6にナット等で螺合される。このとき、円形断面の金属鋼管海側面は、ブラケットにより岸壁海側側面と垂直な位置まで張り出され、上部を通る係船ロープ等が岸壁角部と接触しないようにし、摩損を防ぐためのコーナー金具を不要としている。
【0011】
図2は本発明のコーナー金具兼用車止めを、連続して設置した場合の1実施例の断面図であって2と5により構成されるL型断面のブラケットが向かい合って6のアンカーボルトで7の岸壁コンクリートに螺合固着されている。これに3の金属カバーをかぶせ、4の取付金具で固着し、隙間なく連続的にコーナー金具兼用車止めを設置し、このカバー内に空隙を作り多様な用途に利用できる空間としている。図3はL型断面のブラケットと円形断面の金属鋼管との接合部の平面図であり、6のアンカーボルトで岸壁コンクリート面と固着している。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、構造を簡素化することにより、使用金属材料を削減し、コーナー金具を不要とすることでも製作費・材料費・設置費等が削減でき経済的である。また係船ロープ等が摩損することがない上、魚網などの揚げ降ろし時にも引っ掛かりがないので利便性・経済性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1はコーナー金具兼用車止めの実施方法を示した断面図である。(実施例1)
【図2】図2はコーナー金具兼用車止めの実施方法を示した断面図である。(実施例1)
【図3】図3はコーナー金具兼用車止めの実施方法を示した平面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0014】
1 円形断面の金属鋼管
2 L型断面のブラケット側板
3 金属カバー
4 取付金具
5 L型断面のブラケット底板
6 アンカーボルト
7 岸壁コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形断面の金属鋼管の両端にL型断面のブラケットを溶接等で固着し、必要な高さに円形断面の金属鋼管を掛け渡した構造で、L型断面のブラケット底部をアンカーボルト等で螺合し、これを岸壁上長手方向に連続的に設置するコーナー金具兼用港湾等用車止め。
【請求項2】
請求項1記載のコーナー金具兼用港湾等用車止めにおいて、L型断面のブラケットは円形断面の金属鋼管の両端に長さ方向でそれぞれ外向き、即ちL型断面のブラケットの底面部が外向きになるよう固着し、これを連続的に設置し、接合部にできる円形断面の金属鋼管の不連続部分を金属カバーで覆い、上面を連続的に接合しつつ接合部内部ごとに空隙を持つコーナー金具兼用港湾等用車止め。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載のコーナー金具兼用港湾等用車止めにおいて円形断面の金属鋼管をL型ブラケットにより横方向岸壁海側に突き出し、岸壁側面と円形断面の金属鋼管の海側側面を垂直線上にほぼそろえることを特徴としたコーナー金具兼用港湾等用車止め。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−248743(P2010−248743A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97566(P2009−97566)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(301009058)株式会社 キューヤマ (4)
【Fターム(参考)】