説明

コールセンタサーバ、帯域制御プログラム、及びコールセンタシステム

【課題】 複数拠点に端末が配置されたコールセンタシステムにおいて、拠点間の通信帯域を効率的に使用する。
【解決手段】 本発明は、対ユーザ端末とオペレータ端末とが各オペレータに割り当てられ、オペレータ端末及び対ユーザ端末は、中継ネットワークを介して相互に接続された複数の拠点に分散して配置されており、各拠点に帯域制御装置が配置されており、コールセンタサーバにより、オペレータ端末や対ユーザ端末の処理が管理、制御されるコールセンタシステムに関する。そして、コールセンタサーバは、拠点ごとに、オペレータがオペレータ端末を操作して当該コールセンタサーバにログオンしているログオン合計数を集計する手段と、少なくとも、それぞれの上記拠点のログオン合計数に基づいて、それぞれの帯域制御装置に対して、対ユーザ端末が授受する所定の通話信号に対して割り当てる通話信号帯域幅を調節する制御を行う手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コールセンタサーバ、帯域制御プログラム、及びコールセンタシステムに関し、例えば、複数拠点にオペレータ端末等が分散して配置されたコールセンタシステムに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、複数拠点にオペレータ端末等が分散して配置されたコールセンタシステムにおいて、IP電話サービスを利用する場合、拠点間のネットワーク帯域を制御する技術としては、特許文献1の記載技術がある。特許文献1では、各拠点に音声品質測定器を設置して、遅延やパケットロスなどの音声品質情報を測定し、音声品質の劣化を検出した場合には、帯域制御装置を用いて、通話中の呼に対するコーデックを変更したり、優先度の低い音声パケットの送出間隔を変更して、優先度の高い呼への影響を極力少なくすることで音声帯域を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2006−121166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の記載技術では、複数の分散拠点を有するコールセンタシステムにおいては、拠点間のネットワークの通信帯域を制御するために、各拠点間に音声品質測定器や帯域制御装置が必要であるため、構築コストが増大するという問題がある。
【0005】
また、複数の拠点を有するコールセンタシステムの音声帯域幅は、各拠点ごとに最大音声帯域幅(1通話に必要な音声帯域幅×オペレータ席数)を算出し、その最大音声帯域幅に固定したままの形で運用し続けている場合が多い。
【0006】
そのため、営業時間内のピーク時(混雑時)には、帯域を大幅に使用する一方で、営業時間外の夜間や休日などのオペレータが少ない時間帯は、帯域の大部分に空きが生じるといったように、帯域利用効率が悪く、拠点間のネットワークの費用が割高になってしまうという問題があった。
【0007】
さらに、各拠点でオペレータの増員やオペレータ端末を増設する際には、拠点間のネットワークにおいて必要となる音声帯域幅の最大値が増大するので、各拠点のネットワーク機器の設定を変更するために現地に作業員を派遣する手間がかかるという問題点があった。
【0008】
そのため、複数拠点に端末が配置されたコールセンタシステムにおいて、拠点間の通信帯域を効率的に使用することができるコールセンタサーバ、帯域制御プログラム、及びコールセンタシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、IP電話機及びIPテレビ電話機の少なくとも一方が該当する対ユーザ端末と、データ処理に供するオペレータ端末とが、各オペレータに割り当てられ、上記オペレータ端末及び上記対ユーザ端末は、中継ネットワークを介して相互に接続された複数の拠点に分散して配置されており、上記拠点のそれぞれには上記中継ネットワークとの間の通信帯域を制御する帯域制御装置が配置されているコールセンタシステムを構成する、上記オペレータ端末や上記対ユーザ端末の処理を管理、制御するコールセンタサーバにおいて、(1)拠点ごとに、オペレータがオペレータ端末を操作して当該コールセンタサーバにログオンしているログオン合計数を集計するログオン集計手段と、(2)少なくとも、それぞれの拠点のログオン合計数に基づいて、それぞれの帯域制御装置に対して、対ユーザ端末が授受する所定の通話信号に対して割り当てる通話信号帯域幅を調節する制御を行う帯域幅制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
第2の本発明の帯域制御プログラムは、(1)IP電話機及びIPテレビ電話機の少なくとも一方が該当する対ユーザ端末と、データ処理に供するオペレータ端末とが、各オペレータに割り当てられ、上記オペレータ端末及び上記対ユーザ端末は、中継ネットワークを介して相互に接続された複数の拠点に分散して配置されており、上記拠点のそれぞれには上記中継ネットワークとの間の通信帯域を制御する帯域制御装置が配置されているコールセンタシステムを構成する、上記オペレータ端末や上記対ユーザ端末の処理を管理、制御するコールセンタサーバに搭載されたコンピュータを、(1)拠点ごとに、オペレータがオペレータ端末を操作して当該コールセンタサーバにログオンしているログオン合計数を集計するログオン集計手段と、(2)少なくとも、それぞれの拠点のログオン合計数に基づいて、それぞれの帯域制御装置に対して、対ユーザ端末が授受する所定の通話信号に対して割り当てる通話信号帯域幅を調節する制御を行う帯域幅制御手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
第3の本発明は、IP電話機及びIPテレビ電話機の少なくとも一方が該当する対ユーザ端末と、データ処理に供するオペレータ端末とが、各オペレータに割り当てられ、上記オペレータ端末及び上記対ユーザ端末は、中継ネットワークを介して相互に接続された複数の拠点に分散して配置されており、上記拠点のそれぞれには上記中継ネットワークとの間の通信帯域を制御する帯域制御装置が配置されており、コールセンタサーバが、上記オペレータ端末や上記対ユーザ端末の処理を管理、制御するコールセンタシステムにおいて、上記コールセンタサーバとして第1の本発明のコールセンタサーバを適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数拠点に端末が配置されたコールセンタシステムにおいて、拠点間の通信帯域を効率的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るコールセンタシステムの全体構成について示したブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るコールセンタサーバ内部の機能的構成について示した説明図である。
【図3】第1の実施形態に係るコールセンタシステムにおいて、オペレータ(オペレータ端末)がログオンした場合の動作について示したシーケンス図である。
【図4】第1の実施形態に係るコールセンタシステムにおいて、オペレータ(オペレータ端末)がログオフした場合の動作について示したシーケンス図である。
【図5】第2の実施形態に係るログオン状態管理テーブルの内容例について示した説明図である。
【図6】第2の実施形態に係るコールセンタシステムにおいて、音声帯域幅を貸出す動作について示したシーケンス図である。
【図7】第2の実施形態に係るコールセンタシステムにおいて、音声帯域幅を貸出した後のログオン状態管理テーブルの内容例について示した説明図である。
【図8】第2の実施形態に係るコールセンタシステムにおいて、貸出された音声帯域幅を返却する動作について示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるコールセンタサーバ、帯域制御プログラム、及びコールセンタシステムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態のコールセンタシステム1の全体構成を示すブロック図である。なお、図1において、括弧内の符号は、後述する第2の実施形態でのみ用いる符号である。
【0016】
コールセンタシステム1では、4つの拠点A、B、C、Dに分散して装置が配置されており、拠点Aをセンター(本社)拠点としてコールセンタサーバ40を配置してコールセンタシステムに係る主要な機能を集約しており、拠点B、C、Dには、オペレータとオペレータが使用する装置(IP内線電話機20、オペレータ端末30)のみを配置している。
【0017】
図1に示すように拠点A〜Dには、それぞれルータ10A〜10Dが配置されており、ルータ10A〜10DはそれぞれネットワークN1に接続されている。すなわち、拠点A〜Dは、ネットワークN1により相互に接続されている。また、図1に示すように、各拠点内に配置された装置同士は、各拠点内のLANに接続されているものとする。
【0018】
また、ルータ10A〜10Dは、コールセンタサーバ40の制御に応じて、ネットワークN1との通信について帯域制御を行う。ルータ10A〜10Dにおける帯域制御の内容の詳細については後述する。ルータ10A〜10Dとしては、既存の帯域制御を行うことができるルータを適用することができる。なお、第1の実施形態においては、ルータ10A〜10D自体が帯域制御装置としても機能するものとして説明するが、別途帯域制御装置を設置するようにしても良い。
【0019】
また、図1に示すように拠点A〜Dには、それぞれ複数のIP内線電話機20及びオペレータ端末30が配置され、各オペレータに割り振られている。なお、IP内線電話機20及びオペレータ端末30は、既存のコールセンタシステムにおけるIP内線電話機及びオペレータ端末を適用することができる。なお、第1の実施形態においては、IP内線電話機20及びオペレータ端末30は、別個の装置であるものとするが、オペレータ端末30をソフトフォンとしても機能させ、一つの装置(IP内線電話機20及びオペレータ端末30を備える装置)として構築するようにしても良い。
【0020】
図1に示すように、拠点Aには、IP内線電話機20A(20A−1〜20A−20)及びオペレータ端末30A(30A−1〜30A−20)が配置されており、拠点Bには、IP内線電話機20B(20B−1〜20B−60)及びオペレータ端末30B(30B−1〜30B−60)が配置されており、拠点Cには、IP内線電話機20C(20C−1〜20C−50)及びオペレータ端末30C(30C−1〜30C−50)が配置されており、拠点Dには、IP内線電話機20D(20D−1〜20D−40)及びオペレータ端末30D(30D−1〜30D−40)が配置されている。
【0021】
それぞれのIP内線電話機20には、対応するオペレータ端末30があり、対応している装置同士は連動しており、オペレータ端末30上で起動しているアプリケーションを使用して、拠点Aにあるコールセンタサーバ40にログオンすることで、IP内線電話機20からの発信動作あるいは着信応答を行うことができる。図1においては、例えば、IP内線電話機20A−1〜20A−20は、それぞれオペレータ端末30A−1〜30A−20と対応しているものとする。
【0022】
次に、コールセンタサーバ40の構成について説明する。
【0023】
図2は、コールセンタサーバ40内部の機能的構成について示したブロック図である。なお、図2において、括弧内の符号は、後述する第2の実施形態でのみ用いる符号である。
【0024】
コールセンタサーバ40は、制御部41、メッセージング処理機能部42、呼処理機能部43、及びデータベース処理機能部44を有している。
【0025】
コールセンタサーバ40は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクなどのプログラムの実行構成、及び、他の通信装置と通信をするためのインターフェースを有する装置に、実施形態の帯域制御プログラム等をインストールすることにより構築するようにしてもよく、その場合でも機能的には上述の図2のように示すことができる。
【0026】
制御部41は、コールセンタサーバ40全体の動作を制御する機能を担っている。
【0027】
メッセージング処理機能部42は着信に対するIVR(自動音声応答処理)を行い、データベース処理機能部44から顧客情報を取り出す等の処理を行う。
【0028】
呼処理機能部43は、各拠点のオペレータ端末のログオン、ログオフを管理しており、着信を受けると、メッセージング処理機能部42やデータベース処理機能部44に接続し、取得した顧客情報、オペレータ情報に基づいて、ログオンしている適切なオペレータに着信を振り分ける。
【0029】
データベース処理機能部44は、顧客情報や全拠点のオペレータ情報、ログオン状態情報、過去の着信、発信、通話履歴等を拠点ごとに保存する。
【0030】
呼処理機能部43は、拠点ごとにオペレータ(オペレータ端末30)のログオン、ログオフ操作が発生する度に、データベース処理機能部44へ通知し、データベース処理機能部44は、オペレータのログオン情報を更新する。
【0031】
データベース処理機能部44は、それらの情報から現在の拠点ごと、及び全拠点合計のログオンオペレータ数のカウンタを備えており、オペレータ(オペレータ端末30)からのログオン、ログオフ要求があると、呼処理機能部43からの命令を通じて、逐一カウンタを更新する。
【0032】
また、データベース処理機能部44は、各拠点のログオンオペレータ数に応じて、各拠点のルータ10に対して音声帯域幅に係る制御(帯域制御に係る設定を変更する通知)を行う。
【0033】
なお、コールセンタサーバ40において、上述の帯域制御に係る構成以外の、IP内線電話機20及びオペレータ端末30を管理、制御する構成等については、既存のコールセンタサーバと同様のものを適用することができる。
【0034】
次に、各拠点に配置されたルータ10A、10B、10C、10Dの詳細について説明する。
【0035】
図1に示すように、拠点Aには、ルータ10Aにゲートウェイ50が接続されており、ゲートウェイ50は、公衆電話網N2に接続されている。ここでは、公衆電話網N2に接続されているのは拠点Aだけであるものとして説明する。
【0036】
また、拠点B、C、Dのオペレータ(IP内線電話機20)は、外線あるいは他拠点のオペレータと通話する際には、拠点Aのコールセンタサーバ40のメッセージング処理機能部42を経由して、信号を授受することになる。また、拠点B〜Dに配置されたIP内線電話機20が、公衆電話網N2を介して外線端末Xと接続するためには、ネットワークN1、ルータ10A、コールセンタサーバ40、及びゲートウェイ50を経由して接続する必要がある。なお、ここでは、説明を簡易にするために、拠点B、C、Dの間で相互に通信することは無いものとする。
【0037】
ルータ10においては、IP内線電話機20が送受信する音声信号に用いる帯域幅(以下、「音声帯域幅」という)が確保されており、この音声帯域幅は、その他の種類の信号(例えば、オペレータ端末30が拠点Aとの間で送受信する信号;以下、「非音声信号」という)には用いられない。非音声信号は、音声帯域幅以外の帯域を用いて送受信されることになる。なお、ルータ10において、音声帯域幅に係る設定については、コールセンタサーバ40(データベース処理機能部44)からの制御に応じた内容となる。
【0038】
ルータ10が送受信するパケットが音声信号であるか、非音声信号であるかを判定する方法としては、例えば、パケットのヘッダ情報を参照して、パケットの種類により判定するようにしても良いし、送信元及び又は送信先がIP内線電話機20であればそのパケットは音声信号と判定(例えばIPアドレスにより判定)するようにしても良く、判定方法は限定されないものである。
【0039】
以下の説明においては、拠点A、B、C、Dについて、当該拠点のログオンオペレータ数に比例した音声帯域幅を、それぞれTA、TB、TC、TDと呼ぶ。TA、TB、TC、TDは、例えば、当該拠点のログオンオペレータ数に、音声通信1チャネルあたりの通信帯域幅を乗じることにより算出するようにしても良い。
【0040】
そして、ルータ10B、10C、10Dにおいては、音声帯域幅は、TB、TC、TDに設定され、ルータ10Aにおいては、音声帯域幅は、拠点A以外の全拠点分の音声帯域幅を合計したTB+TC+TDに設定するものとして説明する。なお、ルータ10Aにおいては、音声帯域幅は、TA+TB+TC+TDとしても良い。
【0041】
コールセンタサーバ40から、ルータ10へ通知する内容としては、例えば、ログオンオペレータ数だけを通知し、ルータ10側で具体的な音声帯域幅を算出して設定するようにしても良いし、具体的な音声帯域幅をルータ10へ通知するようにしても良い。
【0042】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のコールセンタシステム1の動作を説明する。
【0043】
ここでは、拠点Bのオペレータ(IP内線電話機20B−1、及びオペレータ端末30B−1を使用するオペレータ)がログオフ状態からログオン完了するまでの動作を例に説明する。
【0044】
図3は、拠点Bのオペレータがオペレータ端末30B−1を操作し、ログオフ状態からログオン完了するまでの動作を説明したシーケンス図である。
【0045】
まず、拠点Bのオペレータが、オペレータ端末30B−1を操作し、コールセンタサーバ40へログオン要求が通知されたものとする(S101)。
【0046】
次に、コールセンタサーバ40の呼処理機能部43はログオン要求のあったオペレータのIDやオペレータ端末と連携しているIP内線電話端末のIPアドレス等をデータベース処理機能部44を参照し、検索する(S102)。
【0047】
次に、呼処理機能部43は拠点Bのオペレータ端末30B−1からのログオン要求であること、ログオン人数が1増加することを判別し、データベース機能部13の保持している拠点Bのログオンオペレータ数のカウンタを1増加させる(S103)。
【0048】
そして、呼処理機能部43はデータベース機能部13の保持している全拠点合計のログオンオペレータ数のカウンタについても1増加させる(S104)。
【0049】
次に、呼処理機能部43は、拠点Bのルータ10Bに対して、1席分(1通話分)の音声帯域幅を追加するよう拠点B音声帯域幅変更通知を送信する(S105)。
【0050】
次に、拠点Bのルータ10Bは、呼処理機能部43から受信した拠点B音声帯域変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を追加する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43に対して、拠点B音声帯域幅変更完了通知を送信する(S106)。
【0051】
次に、呼処理機能部43は、拠点Aのルータ10Aに対しても、拠点B向けに1席分(1通話分)の音声帯域幅を追加するよう拠点A音声帯域幅変更通知を送信する(S107)。
【0052】
拠点Aのルータ10Aは、呼処理機能部43から受信した拠点A音声帯域変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を追加する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43に対して、合計音声帯域幅変更完了通知となる拠点A音声帯域幅変更完了通知を送信する(S108)。
【0053】
次に、音声帯域が確保されたら、呼処理機能部43はステップS102で検索されたIP内線電話機20B−1にログオン要求メッセージを送信する(S109)。
【0054】
次に、ログオン要求メッセージを受信したIP内線電話機20B−1は、呼処理機能部43に対して、ログオン応答メッセージを送信する(S110)。
【0055】
ログオン応答メッセージを受信した呼処理機能部43は、IP内線電話機20B−1に対して、ログオン完了通知メッセージを送信する(S111)。
【0056】
次に、呼処理機能部43は、データベース処理機能部44が保持している該当IP内線電話機20B−1に係るログオン状態情報をログオフからログオンに変更する(S112)。
【0057】
以上により、IP内線電話機20B−1は呼処理機能部43へのログオンが完了し、拠点Bから外線あるいは他拠点への内線通話が可能にある。
【0058】
なお、拠点C、Dでログオンオペレータ数が増加する場合にも同様の処理が行われ、新たにログオンするオペレータ数分の音声帯域を追加する設定情報をそれぞれの拠点のルータ10に送信し、それぞれの拠点の音声帯域を確保する。また、拠点Aのログオンオペレータ数が増加する場合には、新たにログオンするオペレータ数分の音声帯域を追加する設定情報をそれぞれ、拠点Aのルータ10Aに送信し、拠点Aの音声帯域を確保するようにしても良い。
【0059】
次に、上述のステップS101〜S112の処理により、ログオンした拠点Bのオペレータ(オペレータ端末30B−1)がログオン状態からログオフ完了するまでの動作を説明する。
【0060】
図4は、拠点Bのオペレータがオペレータ端末30B−1を操作し、ログオン状態からログオフ完了するまでの動作を説明したシーケンス図である。
【0061】
まず、拠点Bのオペレータが、オペレータ端末30B−1からログオフ要求を行ったものとする(S201)。
【0062】
次に、コールセンタサーバ40の呼処理機能部43はログオフ要求のあったオペレータのIDやオペレータ端末と連携しているIP内線電話端末のIPアドレス等をデータベース処理機能部44を参照し、検索する(S202)。
【0063】
次に、呼処理機能部43は拠点Bのオペレータからのログオフ要求であること、ログオン人数が1減少することを判別し、データベース機能部13の保持している拠点Bのログオンオペレータ数のカウンタを1減少させる(S203)。
【0064】
次に、呼処理機能部43はデータベース機能部13の保持している全拠点合計のログオンオペレータ数のカウンタについても1減少させる(S204)。
【0065】
次に、呼処理機能部43は、拠点Bのルータ10Bに対して、1席分(1通話分)の音声帯域幅を解放するよう拠点B音声帯域幅変更通知を送信する(S205)。
【0066】
拠点Bのルータ10Bは、呼処理機能部43から受信した拠点B音声帯域幅変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を解放する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43に対して、拠点B音声帯域幅変更完了通知を送信する(S206)。
【0067】
次に、呼処理機能部43は、拠点Aのルータ10Aに対しても、拠点B向けに1席分(1通話分)の音声帯域幅を解放するよう拠点A音声帯域幅変更通知を送信する(S207)。
【0068】
拠点Aのルータ10Aは、呼処理機能部43から受信した拠点A音声帯域幅変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を解放する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43に対して、合計音声帯域幅変更完了通知となる拠点A音声帯域幅変更完了通知を送信する(S208)。
【0069】
音声帯域が解放されたら、呼処理機能部43はステップS202で検索されたIP内線電話機20B−1にログオフ要求メッセージを送信する(S209)。
【0070】
次に、ログオフ要求メッセージを受信したIP内線電話機20B−1は、呼処理機能部43に対して、ログオフ応答メッセージを送信する(S210)。
【0071】
次に、ログオフ応答メッセージを受信した呼処理機能部43は、IP内線電話機20B−1に対して、ログオフ完了通知メッセージを送信する(S211)。
【0072】
次に、呼処理機能部43は、データベース処理機能部44が保持している該当IP内線電話機20B−1のログオン状態情報をログオンからログオフに変更する(S212)。
【0073】
以上により、IP内線電話機20B−1は呼処理機能部43からのログオフが完了する。
【0074】
なお、拠点C、Dでログオンオペレータ数が減少する場合にも同様の処理が行われ、新たにログオフするオペレータ数分の音声帯域を解放する設定情報をそれぞれの拠点のルータ10に送信し音声帯域を解放する。
【0075】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0076】
コールセンタサーバ40では、ログオンオペレータ数の変化に応じて、各拠点間のルータ(帯域制御装置)に対して音声帯域幅を動的に変更することで、ログオン中のオペレータ端末にのみ音声帯域幅を確保し、ログオフ中のオペレータ端末数分の音声帯域幅を削減できるため、帯域を効率的に利用することができるという効果を奏する。
【0077】
また、オペレータの増員や端末の増設の必要が発生した場合にも、ルータ(帯域制御装置)に対する音声帯域幅の変更作業を行う必要がないので、現地に作業要員を派遣する手間が省け、保守に係るコストを低減することができるという効果を奏する。
【0078】
さらに、コールセンタサーバ40では、オペレータのログオン、ログオフ操作を起点として、ルータ(帯域制御装置)に対して音声帯域幅を変更する制御を行うので、音声品質測定器などの測定器は必要とせず、安価に、簡単な操作で、音声帯域を制御できるという効果を奏する。
【0079】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるコールセンタサーバ、帯域制御プログラム、及びコールセンタシステムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0080】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のコールセンタシステム1Aの全体構成も図1により表すことができる。
【0081】
コールセンタシステム1Aでは、第1の実施形態のコールセンタシステム1がコールセンタシステム1Aに置き換わっているだけであるので、その他の構成については詳しい説明を省略する。
【0082】
次に、コールセンタサーバ40Aについて説明する。
【0083】
第2の実施形態のコールセンタサーバ40Aも図2により表すことができる。
【0084】
コールセンタサーバ40Aは、第1の実施形態の呼処理機能部43、データベース処理機能部44が、呼処理機能部43A、データベース処理機能部44Aに置き換わっているだけであるので、その他の構成については詳しい説明を省略する。
【0085】
[データベース処理機能部に記憶される情報の内容]
データベース処理機能部44Aでは、各拠点のオペレータ端末30のオペレータの状態に係る情報を記憶し、各オペレータ端末30から与えられる情報に応じてその情報を更新する。
【0086】
図5は、データベース処理機能部44Aにおいて管理されるテーブル情報について示した説明図である。なお、以下において、図5に示すテーブル情報を、「ログオン状態管理テーブル」と呼ぶ。
【0087】
データベース処理機能部44Aのログオン状態管理テーブルには、図5に示すように、大きく分けて「拠点名」、「オペレータ情報」、「ログオン人数カウンタ」、「オペレータ状態」、「音声帯域貸借状態」、「オペレータ状態カウンタ」、「音声帯域貸借状態カウンタ」の情報が含まれている。
【0088】
「拠点名」は、当該オペレータ(オペレータ端末30)がログオンするオペレータ端末30が配置されている拠点を示す。
【0089】
「オペレータ情報」は、オペレータ(オペレータ端末30)ごとの情報を示しており、「オペレータID」、「オペレータ端末識別情報」、「IP内線電話機識別情報」、「内線番号」、「ログオン状態」の情報が含まれている。
【0090】
「オペレータID」は、当該オペレータ端末30を操作するオペレータの識別情報(例えば、ログオンID)を示している。「オペレータ端末識別情報」は、当該オペレータ端末30の識別情報(例えば、IPアドレス)を示している。「IP内線電話機識別情報」、「内線番号」は、それぞれ、当該オペレータ端末30に対応するIP内線電話機20の識別情報(例えば、IPアドレス)、内線番号を示している。
【0091】
「ログオン状態」は、当該オペレータ(オペレータ端末30)が、ログオン状態であるか否かを示し、ログオン状態である場合には「○」、ログオフ状態である場合には「×」が入力される。
【0092】
「ログオン人数カウンタ」は、各拠点においてログオン中のオペレータ(オペレータ端末30)の数(すなわち、ログオン状態においてログオン状態であることを示す数)が設定される。
【0093】
「オペレータ状態」は、当該オペレータ端末30にログオン中のオペレータの状態に係る情報を示しており、「待機中」、「応対中」、「後処理中」、「休憩中」の情報が含まれている。「オペレータ状態」では、当該オペレータ端末30についてログオン中である場合には、「待機中」、「応対中」、「後処理中」、「休憩中」のいずれかの項目に「●」が設定され、それ以外の項目については「−」が設定される。
【0094】
「応対中」は、当該オペレータ端末30を操作するオペレータが、例えば、他の電話端末(外線又は他拠点)と通話中であることを示す。
【0095】
「後処理中」は、例えば、当該オペレータ端末30を操作するオペレータが、電話応対した後、その電話応対に係る記録等の後処理を行っている状態であることを示す。
【0096】
「待機中」は、当該オペレータ端末30を操作するオペレータは、電話による応対が可能であるが待機中である状態(例えば、顧客からの着信待ち等)であることを示す。
【0097】
「休憩中」は、当該オペレータ端末30を操作するオペレータは、ログオン中ではあるが、休憩をしている状態であることを示す。コールセンタサーバ40Aにおいて、オペレータが休憩中であるか否かを把握する方法としては、例えば、オペレータに、オペレータ端末30に、休憩中であることを示す情報を入力させる等の操作に応じて把握するようにしても良い。
【0098】
ここでは、「オペレータ状態」の項目としては、図5に示す内容を示したが、項目の数や組み合わせは限定されないものである。例えば、「業務中」、「休憩中」の2項目だけを示す等の組み合わせを適用するようにしても良い。
【0099】
「音声帯域貸借状態」は、詳細については後述するが、「音声帯域貸出中」、「音声帯域借入中」の情報を有している。「音声帯域貸出中」、「音声帯域借入中」の詳細については後述するが、初期値は「−」であり、必要に応じていずれかに該当する場合には「●」が設定される。
【0100】
「オペレータ状態カウンタ」は、各拠点の「オペレータ状態」の集計結果を示すものであり、「オペレータ状態」と同様に「待機中」、「応対中」、「後処理中」、「休憩中」の情報を有している。例えば、拠点Aについて「オペレータ状態カウンタ」における「待機中」の項目は、拠点Aにおいて「オペレータ状態」が「待機中」となっているオペレータの合計数(1)となっている。
【0101】
「音声帯域貸借状態カウンタ」は、各拠点の「音声帯域貸借状態」の集計結果を示すものであり、「音声帯域貸借状態」と同様に「音声帯域貸出中」、「音声帯域借入中」の情報を有している。例えば、拠点Aについて「音声帯域貸借状態カウンタ」における「音声帯域貸出中」の項目は、拠点Aにおいて「音声帯域貸借状態」が「音声帯域貸出中」となっているオペレータの合計数(0)となっている。
【0102】
[データベース処理機能部及び呼処理機能部の処理]
次に、データベース処理機能部44A及び呼処理機能部43Aの処理について説明する。
【0103】
呼処理機能部43Aは、拠点Aのルータ10Aに設定する音声帯域幅(TB+TC+TD(Mbps))が許容限界(例えば、所定の閾値に到達した場合)の音声帯域幅であるにも拘わらず、新たにオペレータ端末30からのログオンが発生した場合に、上述のログオン状態管理テーブルを用いて、各拠点に確保されている音声帯域幅の調整を行い、新たなオペレータ端末30のログオンを受け入れる。
【0104】
例えば、拠点Bのオペレータ端末30B−21のオペレータ(オペレータIDがB21のオペレータ)が、新たにログオンしてきたときに、拠点Aのルータ10Aに設定する音声帯域幅が許容限界に達している場合を想定する。この場合、呼処理機能部43Aは、新たにログオンするオペレータ(オペレータ端末30B−21)に対して、音声帯域幅を貸出しする拠点をログオン状態管理テーブルから抽出する。
【0105】
例えば、データベース処理機能部44Aは、「休憩中」又は「待機中」のオペレータの多い拠点を抽出し、抽出した拠点内の任意のオペレータ(オペレータ端末30)について、ログオン状態管理テーブルの「音声帯域貸出中」の項目を「●」に変更する。これにより、当該オペレータ端末30に係る音声帯域幅は、新たにログオンするオペレータ(オペレータ端末30B−21)に対して貸出し中であることを示すことになる。
【0106】
また、呼処理機能部43Aは、新たにログオンするオペレータ(オペレータ端末30B−21)について、ログオン状態管理テーブルの「音声帯域借入中」の項目を「●」に変更する。これにより、新たにログオンするオペレータ(オペレータ端末30B−21)に係る音声帯域幅は、他のオペレータ端末30から借り入れ中であることを示すことになる。
【0107】
そして、呼処理機能部43Aは、上述のように他のオペレータ端末30の音声通信帯域幅を借用してログオンしたオペレータ端末30B−21が、ログオフする際には、その借用した音声通信帯域幅を返却する処理を行う。
【0108】
例えば、ログオン状態管理テーブルについて、各拠点の「オペレータ状態カウンタ」の情報を参照して、「休憩中」又は「待機中」のオペレータの少ない拠点を抽出し、抽出した拠点内で、音声通信帯域を貸出中の任意のオペレータ端末30を選択する。そして、データベース処理機能部44Aは、選択したオペレータ端末30について、ログオン状態管理テーブルの「音声帯域貸出中」の項目を「●」から「−」に変更する。これにより、「音声帯域貸出中」の項目を「−」に変更したオペレータ(オペレータ端末30)に係る音声帯域幅は、どのオペレータ端末30にも貸出していないことを示すことになる。また、ログオフするオペレータ(オペレータ端末30B−21)について、ログオン状態管理テーブルの「音声帯域借入中」の項目を「●」から「−」に変更する。これにより、ログオフするオペレータ(オペレータ端末30)に係る音声帯域幅は返却した(どこからも借り入れていない)ことを示すことになる。
【0109】
また、データベース処理機能部44Aは、呼処理機能部43Aによるログオン状態管理テーブルの内容更新に応じて、各拠点のルータ10に対して音声帯域幅に係る制御を行う。データベース処理機能部44Aによる各拠点のルータ10に対する制御内容については、後述する動作説明において詳述する。
【0110】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態のコールセンタシステム1Aの動作を説明する。
【0111】
[ログオン動作]
ここでは、まず拠点Bのオペレータ(IP内線電話機20B−1、及びオペレータ端末30B−1を使用するオペレータ)がログオフ状態からログオン完了するまでの動作を例に説明する。
【0112】
図6は、拠点Bのオペレータがオペレータ端末30B−21を操作し、ログオフ状態からログオン完了するまでの動作を説明したシーケンス図である。
【0113】
まず、拠点Bのオペレータが、オペレータ端末30B−21を操作し、コールセンタサーバ40A(呼処理機能部43A)へログオン要求が通知されたものとする(S301)。
【0114】
次に、コールセンタサーバ40Aの呼処理機能部43Aはログオン要求のあったオペレータのIDやオペレータ端末30と連携しているIP内線電話機20のIPアドレス等をデータベース処理機能部44Aを参照し、検索する(S302)。
【0115】
次に、呼処理機能部43Aでは、拠点Aのルータ10Aの音声帯域幅に余裕があるか否かが判定(現在のルータ10Aの音声帯域幅と所定の閾値との比較により判定)され(S303)、余裕があると判定された場合には、上述のステップS103〜S112と同様の処理がおこなわれ(S304)、余裕が無いと判定された場合には、後述するステップS305の処理から動作する。
【0116】
上述のステップS303において、拠点Aのルータ10Aの音声帯域幅に余裕がないと判定された場合には、呼処理機能部43Aでは、新たにログオンするオペレータ端末30B−21に対して音声帯域幅を貸出できる拠点が抽出され、さらに、その拠点から任意のオペレータ(オペレータ端末30)が、音声帯域を貸出す対象として選択される(S305)。ステップS305では、休憩中のオペレータが最も多い拠点が抽出されるものとすると、D拠点が抽出される。そして、ステップS305では、D拠点のうち、音声帯域を貸出す対象のオペレータ(オペレータ端末30)としては、休憩中のオペレータから任意のオペレータが選択され、オペレータIDがD1のオペレータ(オペレータ端末30D−1)が選択されたものとする。
【0117】
次に、呼処理機能部43Aは拠点Bのオペレータ端末30B−21からのログオン要求であること、ログオン人数が1増加することを判別し、データベース処理機能部44A(ログオン状態管理テーブル)について、拠点Bの「ログオンオペレータ数」のカウンタを1増加させる(S306)。
【0118】
そして、呼処理機能部43Aは、データベース処理機能部44A(ログオン状態管理テーブル)について、上述のステップS306の変更に応じて全拠点合計のログオンオペレータ数を更新する(S307)。
【0119】
次に、呼処理機能部43Aは、拠点Dのルータ10Dに対して、1席分(1通話分)の音声帯域幅を解放するよう拠点D音声帯域幅変更通知を送信する(S308)。
【0120】
拠点Dのルータ10Dは、呼処理機能部43Aから受信した拠点D音声帯域幅変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を解放する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43Aに対して、拠点D音声帯域幅変更完了通知を送信する(S309)。
【0121】
次に、呼処理機能部43Aは、拠点Aのルータ10Aに対して、拠点D向けの1席分(1通話分)の音声帯域幅を、拠点B向けの音声帯域幅として変更するよう拠点A音声帯域幅変更通知を送信する(S310)。
【0122】
拠点Aのルータ10Aは、呼処理機能部43Aから受信した拠点A音声帯域幅変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を拠点D向けから拠点B向けに変更する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43Aに対して、合計音声帯域幅変更完了通知となる拠点A音声帯域幅変更完了通知を送信する(S311)。
【0123】
次に、呼処理機能部43Aは、拠点Bのルータ10Bに対して、1席分(1通話分)の音声帯域幅を追加するよう拠点B音声帯域幅変更通知を送信する(S312)。
【0124】
拠点Bのルータ10Bは、呼処理機能部43Aから受信した拠点B音声帯域幅変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を追加する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43Aに対して、拠点B音声帯域幅変更完了通知を送信する(S313)。
【0125】
音声帯域が確保されたら、呼処理機能部43はステップS302で検索されたIP内線電話機20B−21にログオン要求メッセージを送信する(S314)。
【0126】
次に、ログオン要求メッセージを受信したIP内線電話機20B−21は、呼処理機能部43Aに対して、ログオン応答メッセージを送信する(S315)。
【0127】
次に、ログオン応答メッセージを受信した呼処理機能部43Aは、オペレータ端末30B−21に対して、ログオン完了通知メッセージを送信する(S316)。
【0128】
そして、呼処理機能部43Aにより、データベース処理機能部44Aのログオン状態管理テーブルにおいて、新たにログオンしたオペレータ(オペレータID:B21)及び、音声通信帯域を貸出したオペレータ(オペレータID:D1)に係る情報が更新される(S317)。
【0129】
ステップS317では、具体的には、オペレータIDが「B21」(オペレータ端末30B−21)の情報について、「ログオン状態」の項目を「○」に変更し、「オペレータ状態」の「待機中」の項目を「●」に変更し、「音声帯域貸借状態」の「音声帯域借入中」の項目を「●」に変更する。そして、拠点Bについて「オペレータ状態カウンタ」の「待機中」の項目について1増加させ、「音声帯域貸出状態カウンタ」の「音声帯域借入中」の項目についても1増加させる。
【0130】
また、オペレータIDが「D1」(オペレータ端末30D−1)に係る情報について、「音声帯域貸借状態」の「音声帯域貸出中」の項目を「●」に変更し、「オペレータ状態」の「休憩中」の項目を「−」に変更する。そして、拠点Dについて、「音声帯域貸出状態カウンタ」の「音声帯域貸出中」の項目について1増加させ、「オペレータ状態カウンタ」の「休憩中」の項目について1減少させる。さらに、上述の変更に応じて全拠点合計のログインオペレータ数も更新する。
【0131】
図7は、ステップS317の終了時点におけるログオン状態管理テーブルの内容について記載した説明図である。
【0132】
[ログオフ動作]
次に、拠点Bのオペレータがログオン状態からログオフ完了するまでの動作を例に説明する。
【0133】
図8は、拠点Bのオペレータがオペレータ端末30B−21を操作し、ログオン状態からログオフ完了するまでの動作を説明したシーケンス図である。
【0134】
以下では、ログオン状態管理テーブルの内容が、当初図7に示す状態であるものとして説明する。
【0135】
まず、拠点Bのオペレータが、オペレータ端末30B−21を操作し、コールセンタサーバ40A(呼処理機能部43A)へログオフ要求が通知されたものとする(S401)。
【0136】
次に、コールセンタサーバ40の呼処理機能部43Aはログオフ要求のあったオペレータのIDやオペレータ端末30と連携しているIP内線電話機20のIPアドレス等をデータベース処理機能部44Aを参照し、検索する(S402)。
【0137】
次に、呼処理機能部43Aでは、ログオフをするオペレータ(オペレータ端末30B−21)について、音声帯域幅が借入れ中であるか否かが判定され(S403)、借入れ中でないと判定された場合には、上述のステップS203〜S212と同様の処理がおこなわれ(S404)、借入れ中であると判定された場合には、後述するステップS405の処理から動作する。
【0138】
ステップS403では、具体的には、ログオン状態管理テーブルにおいて、「音声帯域貸借状態」の「音声帯域借入中」の項目が、「●」になっているか否かが確認される。
【0139】
上述のステップS403において、オペレータIDがB21のオペレータについて、音声帯域幅が借入れ中であると判定された場合には、呼処理機能部43Aでは、その借入れられている音声帯域幅の返却先の拠点が抽出され、さらに、その拠点から任意のオペレータ(オペレータ端末30)が、音声帯域を返却先として選択される(S405)。ステップS405では、原則として、休憩中のオペレータが最も少ない拠点が抽出されるものとするが、音声帯域を返却する対象のオペレータ(オペレータ端末30)は既に、他のオペレータに音声帯域幅を貸出し中のオペレータでなくてはならない。図7に示すように、この時点では、他のオペレータに音声帯域幅を貸出し中のオペレータは、オペレータIDがD1のオペレータ(オペレータ端末30D−1)しかいないため、これが選択される。
【0140】
次に、呼処理機能部43Aは拠点Bのオペレータ端末30B−21からのログオフ要求であること、ログオン人数が1減少することを判別し、データベース処理機能部44A(ログオン状態管理テーブル)について、拠点Bの「ログオンオペレータ数」のカウンタを1減少させる(S406)。
【0141】
そして、呼処理機能部43Aは、データベース処理機能部44A(ログオン状態管理テーブル)について、上述のステップS406の変更に応じて全拠点合計のログオンオペレータ数を更新する(S407)。
【0142】
次に、呼処理機能部43Aは、拠点Bのルータ10Bに対して、1席分(1通話分)の音声帯域幅を解放するよう拠点B音声帯域幅変更通知を送信する(S408)。
【0143】
拠点Bのルータ10Bは、呼処理機能部43Aから受信した拠点B音声帯域幅変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を解放する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43Aに対して、拠点B音声帯域幅変更完了通知を送信する(S409)。
【0144】
次に、呼処理機能部43Aは、拠点Aのルータ10Aに対して、拠点B向けの1席分(1通話分)の音声帯域幅を、拠点D向けの音声帯域幅として変更するように拠点A音声帯域幅変更通知を送信する(S410)。
【0145】
拠点Aのルータ10Aは、呼処理機能部43Aから受信した拠点A音声帯域幅変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を拠点B向けから拠点D向けに変更する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43Aに対して、合計音声帯域幅変更完了通知となる拠点A音声帯域幅変更完了通知を送信する(S411)。
次に、呼処理機能部43Aは、拠点Dのルータ10Dに対して、1席分(1通話分)の音声帯域幅を追加するよう拠点D音声帯域幅変更通知を送信する(S412)。
【0146】
拠点Dのルータ10Dは、呼処理機能部43Aから受信した拠点D音声帯域幅変更通知に基づいて、1席分(1通話分)の音声帯域幅を追加する音声帯域幅変更が完了すると、呼処理機能部43Aに対して、拠点D音声帯域幅変更完了通知を送信する(S413)。
【0147】
音声帯域幅の変更が終了したら、呼処理機能部43はステップS402で検索されたIP内線電話機20B−21にログオフ要求メッセージを送信する(S414)。
【0148】
ログオフ要求メッセージを受信したIP内線電話機20B−21は、呼処理機能部43Aに対して、ログオフ応答メッセージを送信する(S415)。
【0149】
ログオフ応答メッセージを受信した呼処理機能部43Aは、オペレータ端末30B−21に対して、ログオフ完了通知メッセージを送信する(S416)。
【0150】
そして、呼処理機能部43Aにより、データベース処理機能部44Aのログオン状態管理テーブルにおいて、ログオフしたオペレータ(オペレータID:B21)及び、音声通信帯域を返却したオペレータ(オペレータID:D1)に係る情報が更新される(S417)。
【0151】
ステップS417では、具体的には、オペレータIDが「B21」(オペレータ端末30B−21)の情報について、「ログオン状態」の項目を「×」に変更し、「オペレータ状態」の「待機中」の項目を「−」に変更し、「音声帯域貸借状態」の「音声帯域借入中」の項目を「−」に変更する。そして、拠点Bについて「オペレータ状態カウンタ」の「待機中」の項目について1減少させ、「音声帯域貸出状態カウンタ」の「音声帯域借入中」の項目についても1減少させる。
【0152】
また、オペレータIDが「D1」(オペレータ端末30D−1)に係る情報について、「音声帯域貸借状態」の「音声帯域貸出中」の項目を「−」に変更し、「オペレータ状態」を本来の状態に戻す(ここでは、「休憩中」の項目を「●」に変更するものとする)。そして、拠点Dについて、「音声帯域貸出状態カウンタ」の「音声帯域貸出中」の項目について1減少させ、「オペレータ状態カウンタ」の「休憩中」の項目について1増加させる。さらに、上述の変更に応じて全拠点合計のログオンオペレータ数も更新する。
【0153】
なお、ステップS417の終了時点におけるログオン状態管理テーブルの内容については、図5の状態に戻ることになる。
【0154】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、以下のような効果を奏することができる。
【0155】
コールセンタサーバ40Aでは、ログオンオペレータにおいて、ログオン状態管理テーブルにより、さらにログオン状態について、細分分けしたデータを保有し、その変化に応じて、各拠点間の音声帯域幅を動的に変更することで、ログオン中のオペレータ端末において通話すべきオペレータ端末に音声帯域幅を融通することができるため、第1の実施形態よりも通信帯域を効率的に利用することができるという効果を奏する。
【0156】
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0157】
(C−1)上記の各実施形態では、コールセンタシステムにおいて各オペレータにIP内線電話機が割り振られるものとして説明したが、IPテレビ電話機としても良い。その場合、各拠点のルータの帯域制御については、音声だけでなく映像に係る帯域も優先的に確保する必要がある。上記の各実施形態では、TA、TB、TC、TDは、当該拠点のログオンオペレータ数に、音声通信1チャネルあたりの通信帯域幅を乗じることにより算出すると説明した。IPテレビ電話機に置き換えられた場合には、TA、TB、TC、TDは、当該拠点のログオンオペレータ数に、テレビ電話通信(音声+映像)1チャネルあたりの通信帯域幅を乗じることにより算出するようにしても良い。
【0158】
(C−2)第2の実施形態において、ステップS305で、新たにログオンするオペレータ端末に対して音声帯域幅を貸出できる拠点として、休憩中(又は、待機中)のオペレータが最も多い拠点が抽出されるものとして説明したが、休憩中と待機中のオペレータの合計数が最も多い拠点を抽出するようにしても良い。
【0159】
このように、コールセンタサーバにおいて、新たにログオンするオペレータ端末に対して音声帯域幅を貸出できる拠点としては、すぐにIP内線電話機を用いて通話をしないと予想されるオペレータの数が多い拠点を選択することができれば、その抽出基準は限定されないものである。
【0160】
また、上述のステップS405において、借入れ中の音声帯域幅を返却する拠点として、休憩中(又は、待機中)のオペレータが最も少ない拠点が抽出されるものとして説明したが、これも休憩中と待機中のオペレータの合計数が最も少ない拠点を抽出するようにしても良い。
【0161】
このように、コールセンタサーバにおいて、借入れ中の音声帯域幅を返却する拠点としては、すぐにIP内線電話機を用いて通話をしないと予想されるオペレータの数が少ない拠点を抽出することができれば、その抽出基準は限定されないものである。
【符号の説明】
【0162】
1…コールセンタシステム、A、B、C、D…拠点、10A、10B、10C、10D…ルータ、20、20A−1〜20A−20、20B−1〜20B−60、20C−1〜20C−50、20D−1〜20D−40…IP内線電話機、30、30A−1〜30A−20、30B−1〜30B−60、30C−1〜30C−50、30D−1〜30D−40…オペレータ端末、40…コールセンタサーバ、41…制御部、42…メッセージング処理機能部、43…呼処理機能部、44…データベース処理機能部、50…ゲートウェイ、N1…ネットワーク、N2…公衆網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP電話機及びIPテレビ電話機の少なくとも一方が該当する対ユーザ端末と、データ処理に供するオペレータ端末とが、各オペレータに割り当てられ、上記オペレータ端末及び上記対ユーザ端末は、中継ネットワークを介して相互に接続された複数の拠点に分散して配置されており、上記拠点のそれぞれには上記中継ネットワークとの間の通信帯域を制御する帯域制御装置が配置されているコールセンタシステムを構成する、上記オペレータ端末や上記対ユーザ端末の処理を管理、制御するコールセンタサーバにおいて、
拠点ごとに、オペレータがオペレータ端末を操作して当該コールセンタサーバにログオンしているログオン合計数を集計するログオン集計手段と、
少なくとも、それぞれの拠点のログオン合計数に基づいて、それぞれの帯域制御装置に対して、対ユーザ端末が授受する所定の通話信号に対して割り当てる通話信号帯域幅を調節する制御を行う帯域幅制御手段と
を有することを特徴とするコールセンタサーバ。
【請求項2】
上記対ユーザ端末は、当該コールセンタサーバを介して、他の装置との通話信号の授受を行い、
上記帯域幅制御手段は、当該コールセンタサーバが配置されている第1の拠点の帯域制御装置に対しては、上記第1の拠点以外のそれぞれの拠点に対する通話帯域幅を、それぞれの拠点に係るログオン合計数に比例した帯域幅に設定するように制御し、上記第1の拠点以外の拠点の帯域制御装置のそれぞれに対して、上記第1の拠点に対する通話帯域幅を、上記第1の拠点帯域制御装置において設定されている、それぞれの拠点に対する通話帯域幅と同様の幅に設定するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のコールセンタサーバ。
【請求項3】
当該コールセンタサーバにログオンしているオペレータ端末を操作するオペレータの、それぞれの状態に係るオペレータ状態情報を保持するオペレータ状態情報保持手段と、
上記オペレータ状態情報保持手段が保持したオペレータ状態情報に基づいて、それぞれの拠点について、オペレータの状態ごとの数を集計するオペレータ状態集計手段とをさらに備え、
上記帯域幅制御手段は、第2の拠点に配置された第1のオペレータ端末から当該コールセンタサーバにログオンがあり、さらに、上記第1の拠点の帯域制御装置に設定された、その他の拠点に対する通話信号帯域幅の合計が閾値以上である場合、各拠点の所定の状態のオペレータ数に基づいて第3の拠点を選択し、上記第1の拠点の帯域制御装置に対して、上記第1のオペレータ端末の新たなログオンに伴って上記第2の拠点向けに新たに割り当てる通話帯域幅を、上記第3の拠点向けの通話帯域幅から振り分けて借入れるように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載のコールセンタサーバ。
【請求項4】
上記帯域幅制御手段は、上記第1のオペレータ端末の新たなログオンに伴って上記第2の拠点向けに新たに割り当てる通話帯域幅を、上記第3の拠点向けの通話帯域幅から振り分けて借入れを行った後、上記第1のオペレータ端末が、当該コールセンタサーバからログオフした場合には、他の拠点向けに上記第1の拠点の帯域制御装置に係る通話帯域幅を貸し出している拠点の中から、所定の状態のオペレータ数に基づいて第4の拠点を選択し、上記第1の拠点の帯域制御装置に対して、上記第2の拠点向けに借り入れた通話帯域幅を、上記第4の拠点向けの通話帯域幅に振り分けて返却するように制御する
ことを特徴とする請求項3に記載のコールセンタサーバ。
【請求項5】
IP電話機及びIPテレビ電話機の少なくとも一方が該当する対ユーザ端末と、データ処理に供するオペレータ端末とが、各オペレータに割り当てられ、上記オペレータ端末及び上記対ユーザ端末は、中継ネットワークを介して相互に接続された複数の拠点に分散して配置されており、上記拠点のそれぞれには上記中継ネットワークとの間の通信帯域を制御する帯域制御装置が配置されているコールセンタシステムを構成する、上記オペレータ端末や上記対ユーザ端末の処理を管理、制御するコールセンタサーバに搭載されたコンピュータを、
拠点ごとに、オペレータがオペレータ端末を操作して当該コールセンタサーバにログオンしているログオン合計数を集計するログオン集計手段と、
少なくとも、それぞれの拠点のログオン合計数に基づいて、それぞれの帯域制御装置に対して、対ユーザ端末が授受する所定の通話信号に対して割り当てる通話信号帯域幅を調節する制御を行う帯域幅制御手段と
して機能させることを特徴とする帯域制御プログラム。
【請求項6】
IP電話機及びIPテレビ電話機の少なくとも一方が該当する対ユーザ端末と、データ処理に供するオペレータ端末とが、各オペレータに割り当てられ、上記オペレータ端末及び上記対ユーザ端末は、中継ネットワークを介して相互に接続された複数の拠点に分散して配置されており、上記拠点のそれぞれには上記中継ネットワークとの間の通信帯域を制御する帯域制御装置が配置されており、コールセンタサーバが、上記オペレータ端末や上記対ユーザ端末の処理を管理、制御するコールセンタシステムにおいて、
上記コールセンタサーバとして請求項1〜4のいずれかに記載のコールセンタサーバを適用したこと
を特徴とするコールセンタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−109262(P2011−109262A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260200(P2009−260200)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】