説明

ゴムリボンの搬送装置および該搬送装置を用いた未加硫タイヤの製造方法

【課題】ゴムリボン12の搬送位置精度および作業能率を容易に向上させる。
【解決手段】回転軸Cが第1シャフト22の延在方向に延びる複数の第1ローラ24を第1シャフト22に支持させる一方、第1ローラ24と交互に位置し回転軸Dが第2支持体31の延在方向に延びる複数の第2ローラ37を第2支持体31に支持させたので、一面にゴムリボン12を保持しているライナー15の他面を第1、第2ローラ24、37の外周に交互に接触させるには、該ライナー15等を略螺旋状に走行させることで対応することができ、この結果、第1、第2ローラ24、37間におけるゴムリボン12等の変形量を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ライナーに保持されたゴムリボンを後方から前方に向かってフェスツーンを形成しながら搬送する搬送装置および該搬送装置を用いた未加硫タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴムリボンの搬送装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−246812号公報
【0004】
このものは、前後方向に延びる第1支持体と、該第1支持体に前後方向に等距離離れて回転可能に支持され、その回転軸が前後方向に直交する左右方向に延びている複数の第1ローラと、第1支持体の直下に設けられ、前後方向に延びるともに、第1支持体の昇降により該第1支持体が接近離隔する第2支持体と、該第2支持体に前記第1ローラと交互に位置しながら前後方向に等距離離れて回転可能に支持され、その回転軸が前記第1ローラと平行な複数の第2ローラとを備えたものである。
【0005】
そして、このものによって屈曲容易なライナーの一面に未加硫ゴムからなるゴムリボンを保持させた状態で、後方から前方に向かってフェスツーンを形成しながらゴムリボンを搬送する場合には、前記ゴムリボン、ライナーを第1、第2ローラの外周に交互に接触させながら後方から前方に向かってジグザグ状に走行させるようにしている。
【0006】
しかしながら、このものは第1、第2ローラの回転軸が共に左右方向に延びているため、そのままゴムリボン、ライナーを走行させると、これら2ローラにゴムリボンとライナーとの双方が交互に直接接触することになり、ゴムリボンに大きな変形を与えてしまう。このため、このものでは第1、第2ローラ間においてゴムリボン、ライナーを毎回 180度だけ捻り、これにより、第1、第2ローラの外周にライナーの他面を常に接触させて、ゴムリボンが第1または第2ローラに直接接触する事態を回避するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来のゴムリボンの搬送装置にあっては、前述のようにゴムリボンが第1または第2ローラに直接接触する事態を回避すべく、第1、第2ローラ間においてゴムリボン、ライナーを毎回 180度という大きな角度で捻る(変形する)ようにしているため、ゴムリボンがライナー上でずれたり、変形したり、場合によってはライナーから脱落し、この結果、ゴムリボンの搬送位置精度が低下したり、脱落からの復帰のために搬送作業が中断し、作業能率が低下してしまうという課題があった。
【0008】
この発明は、ゴムリボンの搬送位置精度および作業能率を容易に向上させることができるゴムリボンの搬送装置および該搬送装置を用いた未加硫タイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、第1に、屈曲容易なライナーの一面に未加硫ゴムからなるゴムリボンを保持させた状態で後方から前方に向かってフェスツーンを形成しながら搬送することができるゴムリボンの搬送装置であって、全体として前後方向に延びる第1支持体と、該第1支持体に前後方向に離れて支持され、その回転軸が第1支持体の延在方向に延びている複数の回転可能な第1ローラと、全体として前後方向に延びるともに、第1支持体に対して相対的に接近離隔可能な第2支持体と、該第2支持体に前記第1ローラと交互に位置しながら前後方向に離れて支持され、その回転軸が第2支持体の延在方向に延びている複数の回転可能な第2ローラとを備え、前記ゴムリボンを保持しているライナーの他面を第1、第2ローラの外周に交互に接触させながら後方から前方に向かって略螺旋状に走行させることでゴムリボンを搬送するようにしたゴムリボンの搬送装置により、達成することができる。
【0010】
第2に、押出し機から押出された未加硫ゴムからなるゴムリボンを屈曲容易なライナーの一面に保持させた後、前記請求項1に記載のゴムリボンの搬送装置を用いてライナーの他面を第1、第2ローラの外周に交互に接触させつつ後方から前方に向かってフェスツーンを形成しながら搬送する工程と、該搬送されたゴムリボンをライナーから分離した後、回転している被巻付け体の周囲に供給して幅方向にずらしながら複数回巻付けタイヤ構成部材を成形する工程と、前記タイヤ構成部材の成形の前または後に、回転している被巻付け体の周囲に他のタイヤ材料を供給して貼付け前記タイヤ構成部材と共に未加硫タイヤを製造する工程とを備えたゴムリボンの搬送装置を用いた未加硫タイヤの製造方法により、達成することができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明においては、第1支持体に回転軸が該第1支持体の延在方向に延びる複数の第1ローラを前後方向に離して支持させる一方、第1支持体に接近離隔可能な第2支持体に、前記第1ローラと交互に位置し回転軸が第2支持体の延在方向に延びる複数の第2ローラを前後方向に離して支持させるようにしているので、一面にゴムリボンを保持しているライナーの他面を第1、第2ローラの外周に交互に接触させるには、ライナー、ゴムリボンを略螺旋状に走行させることで対応することができ、この結果、第1ローラと第2ローラとの間におけるライナー、ゴムリボンの変形量を減少させることができ、これにより、ゴムリボンがずれたり、変形したり、脱落することが抑制され、ゴムリボンの搬送位置精度および作業能率を容易に向上させることができる。
【0012】
また、請求項2に記載のように構成すれば、第1ローラと第2ローラとの間におけるライナー、ゴムリボンの変形量をさらに減少させることができる。ここで、第2ローラの回転軸が直線Mに対して±10度を超えた角度で傾斜していると、ゴムリボンのゴム種、幅、厚さ、第1、第2ローラの直径等により、ゴムリボンの変形量がかなり大きくなって前述のずれ等が生じるおそれがあるが、請求項3に記載のような範囲内であると、このような事態を回避することができる。さらに、請求項4に記載のように構成すれば、第1ローラと第2ローラとの間におけるライナー、ゴムリボンの変形量を強力に減少させることができる。
【0013】
また、請求項5に記載のように構成すれば、第1ローラと第2ローラとの間におけるライナー、ゴムリボンの変形量をさらに強力に減少させることができ、さらに、請求項6に記載のように構成すれば、装置の構造が簡単となり、安価に製造することができる。また、請求項7に記載のように構成すれば、被巻付け体に対してゴムリボンを高能率かつ高精度で供給し巻付けることができるため、未加硫タイヤの品質が向上し、安定生産も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態1を示す概略正面図である。
【図2】送り搬送装置近傍の正面図である。
【図3】第1、第2ローラ近傍の一部破断平面図である。
【図4】第1、第2ローラ近傍の右側面図である。
【図5】被巻付け体近傍の斜視図である。
【図6】未加硫タイヤの子午線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11はスクリューを回転させることでゴム組成物に対し熱入れを行いながら該ゴム組成物を前端から押出すスクリュー式の押出し機であり、この押出し機11の前端には該押出し機11から供給されたゴム組成物を押出して細幅の未加硫ゴムからなるゴムリボン12を成形するギアポンプ式の押出し機13が直結されている。ここで、これら押出し機11、13は連続運転しており、この結果、押出し機13からはゴムリボン12が連続的に押出される。なお、前述の押出し機は、スクリュー式の押出し機のみ、あるいは、ギアポンプ式の押出し機のみから構成してもよい。
【0016】
そして、前述の押出し機13から押出されたゴムリボン12は無端で該ゴムリボン12より若干広幅である一定幅のライナー15に供給され、該ライナー15の一面に重ね合わされることで該ライナー15の一面に保持される。ここで、前記ライナー15は引張剛性が高い屈曲容易な、例えばポリエチレン等のプラスチックフィルム、あるいは、ポリエステル繊維の周囲をポリウレタン樹脂で被覆したものから構成され、この結果、ゴムリボン12はライナー15に弱い粘着力で保持されることになる。
【0017】
このように重ね合わされた状態のときのゴムリボン12、ライナー15は全体として、帯状体16を構成し、この帯状体16(ゴムリボン12)は後述する搬送装置によってフェスツーンを形成しながら後方から前方に向かって搬送される。なお、前記ライナー15は有端であってもよく、この場合には、巻出しリールから巻き出したライナーにゴムリボンを供給して保持させ、一方、ゴムリボンが剥離された後の単体であるライナーを巻取りリールに巻き取るようにすればよい。
【0018】
図1、2、3、4において、19は前記押出し機13より前方の床面上に固定された固定フレームであり、この固定フレーム19の上側部には搬送装置としての送り搬送装置20が設けられている。この送り搬送装置20は固定フレーム19の前後端に位置する2本の側柱21の上端にそれぞれ固定されたブラケット23を有し、これらのブラケット23には、全体として前後方向に延びる水平な第1支持体としての第1シャフト22の前後端がそれぞれ固定されている。ここで、前記第1シャフト22は直線状に延びる単一の円柱状シャフトから構成されている。
【0019】
この第1シャフト22の外側には複数の円筒状を呈する回転可能な第1ローラ24が嵌合されるとともに、これら第1シャフト22と第1ローラ24との間には第1軸受25がそれぞれ介装され、これにより、前記第1ローラ24はその回転軸Cが第1シャフト22の延在方向、ここでは前後方向に延びた状態で第1シャフト22に回転可能に支持される。そして、前記第1ローラ24は同一径であるとともに、前後方向に一定ピッチだけ、即ち等距離離れて配置されている。この実施形態では、前記第1支持体を、全ての第1ローラ24の回転軸C上において直線状に延びる単一の第1シャフト22から構成し、これら全ての第1ローラ24の回転軸Cを第1シャフト22の中心軸上に配置している。
【0020】
28は各側柱21に敷設された上下方向に延びるガイドレールであり、これらのガイドレール28は前記ブラケット23より若干下方から側柱21の下端部まで延びている。29は各ガイドレール28に摺動可能に支持されたスライダであり、これらのスライダ29には適当な重量の重錘30がそれぞれ固定されるとともに、前後方向に延びる連結ビーム27の両端が固定されている。31は両端が前記スライダ29に固定された第2支持体であり、この第2支持体31は全体的な延在方向が前記第1シャフト22と平行である、即ち、全体として前後方向に延びるとともに、前記第1シャフト22の直下に設けられている。
【0021】
そして、この第2支持体31はガイドレール28にガイドされながら平行移動、即ち、昇降することで、前記第1シャフト22に接近離隔することができる。なお、この発明においては、前記第2支持体を固定フレーム19に固定する一方、第1支持体を固定フレーム19に昇降可能に支持させることで、あるいは、第1、第2支持体の双方を固定フレーム19に昇降可能に支持させることで、第1支持体と第2支持体とを相対的に接近離隔可能としてもよい。さらに、この発明においては、第1支持体、第2ローラの直上に第2支持体、第2ローラを設置するようにしてもよい。
【0022】
前記第2支持体31は軸方向長が後述する第2ローラ37の幅(軸方向長さ)より若干長い複数本の短シャフト33と、隣接する短シャフト33間にそれぞれ配置された複数の連結プレート34とから構成されている。ここで、前記短シャフト33の中心線は前後方向に対して一定の角度で同一方向に傾斜し、一方、前記連結プレート34は短シャフト33の中心軸に対して直交する方向に延びるとともに、前方側の短シャフト33の後端および後方側の短シャフト33の前端が共に固定されている。このように短シャフト33、連結プレート34はジグザグ状に折れ曲がっているが、これら短シャフト33、連結プレート34からなる第2支持体31は全体的に見れば前後方向に延びている。
【0023】
これら短シャフト33の外側には複数(短シャフト33と同数)の円筒状を呈する回転可能な第2ローラ37がそれぞれ嵌合されるとともに、これら短シャフト33と第2ローラ37との間には第2軸受38がそれぞれ介装され、これにより、前記第2ローラ37はその回転軸Dが第2支持体31の延在方向に延びながら、ここでは短シャフト33の中心軸と同軸関係を保持しながら第2支持体31に回転可能に支持される。この結果、全ての第2ローラ37の回転軸Dは水平面内に位置するとともに、前後方向に対し同一方向に同一角度だけ傾斜することになる。
【0024】
ここで、前述した第1、第2ローラ24、37の回転軸C、Dが第1支持体(第1シャフト22)、第2支持体31の延在方向に延びているとは、前後方向に直交する方向側ではなく、むしろ、前後方向側に延びているという意味で、前後方向と平行な方向を含む。また、前記第2ローラ37は同一径であるとともに、前後方向に前記第1ローラ24間のピッチと同一ピッチだけ、即ち等距離だけ離れて配置されている。また、前記第2ローラ37と第1ローラ24とは平面視で軸方向に交互に位置するよう、即ち、隣接する2つの第1ローラ24間に1つの第2ローラ37が位置するよう配置される。前述した第1シャフト22、ブラケット23、第1ローラ24、連結ビーム27、スライダ29、第2支持体31、第2ローラ37は全体として、前記送り搬送装置20を構成する。
【0025】
41は押出し機13と送り搬送装置20との間に設置された送出し機構であり、この送出し機構41は帯状体16を上下から挟持する回転可能な一対のローラ42、43と、前記ローラ42を駆動回転することで、ローラ42、43に挟持された帯状体16を、前記押出し機13からのゴムリボン12の押出し速度と同一速度で後方から前方(送り搬送装置20)に向かって送出すサーボモータ44とから構成されている。そして、この送出し機構41から送出された帯状体16は複数のガイドローラを通じて最後端の第1ローラ24に供給されるが、このとき、ライナー15の他面が該第1ローラ24の上半周に接触することで、上方から下方に向かうよう方向転換される。
【0026】
その後、前記帯状体16は直線状に走行して最後端の第2ローラ37に供給されるが、このときにはライナー15の他面が該第2ローラ37の下半周に接触することで、下方から上方に向かうよう方向転換される。その後も帯状体16は同様に第1、第2ローラ24、37に交互に接触するが、このとき、常にライナー15の他面が第1、第2ローラ24、37の上、下半周に次々と接触するとともに、これら第1、第2ローラ24、37間において直線状に延びるため、帯状体16は後方から前方に向かって略螺旋状(上下に引き伸ばされた螺旋状)に走行し、ゴムリボン12を後方から前方に向かって搬送する。
【0027】
このように第1シャフト22に回転軸Cが該第1シャフト22の延在方向に延びる複数の第1ローラ24を前後方向に離して支持させる一方、第1シャフト22に接近離隔可能な第2支持体31に、前記第1ローラ24と交互に位置し回転軸Dが第2支持体31の延在方向に延びる複数の第2ローラ37を前後方向に離して支持させたので、一面にゴムリボン12を保持しているライナー15の他面を第1、第2ローラ24、37の外周に交互に接触させるためには、ライナー15、ゴムリボン12を略螺旋状に走行させることで対応することができる。
【0028】
これにより、第1ローラ24と第2ローラ37との間におけるライナー15、ゴムリボン12の変形量を減少させることができ、この結果、ゴムリボン12がライナー15上において幅方向にずれたり、変形したり、あるいは、ライナー15から脱落することが抑制され、ゴムリボン12の搬送位置精度および作業能率を容易に向上させることができる。また、前述のように第1支持体を直線状に延びる単一の第1シャフト22から構成することで、全ての第1ローラ24の回転軸Cを第1シャフト22の中心軸上に配置する一方、全ての第2ローラ37の回転軸Dを前後方向に対し同一方向に同一角度だけ傾斜させるようにすれば、装置の構造が簡単となり、安価に製造することができる
【0029】
なお、第1ローラの回転軸Cを前後方向に対して同一方向に同一角度だけ傾斜させる一方、全ての第2ローラの回転軸Dを円柱状シャフトの中心軸上に配置してもよい。このとき、第1ローラを支持する第1支持体は第2支持体31と同様の形状となるが、この場合であっても該第1支持体は全体として前後方向に延びることになる。また、このとき、前述した第1ローラの回転軸Cは隣接する第1ローラで逆方向に傾斜させてもよい。
【0030】
さらに、第1、第2ローラの回転軸C、Dの双方を前後方向に対して同一角度だけ傾斜させるようにしてもよい。また、前述した第1シャフト22に第1ローラ24を固定するとともに、該第1シャフト22の両端を軸受を介して固定フレーム19に回転可能に支持させることで、第1ローラ24を回転可能としたり、あるいは、前述した円柱状シャフトに第2ローラを固定するとともに、該円柱状シャフトの両端を軸受を介して固定フレーム19に回転可能に支持させることで、第2ローラを回転可能としてもよい。
【0031】
ここで、図3に示すように、任意の第1ローラ24aと、該第1ローラ24aに前方に隣接して配置された第1ローラ24bとの間に位置する第2ローラ37aの回転軸Dを、直線Lに対し水平面上で直交する直線Mとほぼ平行とするとともに、前記第2ローラ37aの回転軸D上における幅方向中央点Hを、前記2つの第1ローラ24a、24bの回転軸C上における幅方向中央点Gの間でこれらから等距離離れた点に位置させることが好ましい。その理由は、このようにすると、第1ローラ24と第2ローラ37の間におけるゴムリボン12、ライナー15の捻り等の変形量をさらに減少させることができるからである。
【0032】
ここで、前述の点Aとは、任意の第1ローラ24aにおけるライナー15の接触終了位置E上で該ライナー15の幅方向中央のことであり、また、点Bとは、前記任意の第1ローラ24aの前方に隣接して配置された第1ローラ24bにおけるライナー15の接触開始位置F上で該ライナー15の幅方向中央のことであり、さらに、直線Lとは前述した両方の点Aと点Bとを結ぶ直線のことである。
【0033】
そして、この実施形態では、前述のように第2ローラ37の回転軸Dを直線Mとほぼ平行としているが、このとき、第2ローラ37の回転軸Dを水平面内において直線Mに対し±10度だけ傾斜した角度範囲内に位置させることが好ましい。その理由は、第2ローラ37の回転軸Dが直線Mに対して±10度を超えた角度で傾斜していると、ゴムリボン12のゴム種、幅、厚さ、第1、第2ローラ24、37の直径等により、ゴムリボン12の変形量がかなり大きくなって前述のずれ等が生じるおそれがあるが、前記傾斜が前述の範囲内であると、このような事態を効果的に回避することができるからである。ここで、+は図3において時計回りの方向である。
【0034】
また、前記角度範囲の中でも、傾斜角度を 0度とした、即ち、第2ローラ37の回転軸Dを直線Mと平行とすることが、第1ローラ24と第2ローラ37との間におけるゴムリボン12、ライナー15の変形量を強力に減少させることができるので、好ましい。さらに、第2ローラ37の直径に関しては、該第2ローラ37の直径が前記点Aと点Bとの間の最短距離と同一であると、第1ローラ24と第2ローラ37との間におけるゴムリボン12、ライナー15の変形が最小となり、即ち、これらの捻れ角が前後方向と回転軸Dとの交差角まで減少し、これにより、ゴムリボン12、ライナー15の変形量をさらに強力に減少させることができる。
【0035】
図1、2、5において、46は駆動部であり、この駆動部46には送り搬送装置20の前方に配置された被巻付け体47が支持され、この被巻付け体47は駆動部46から駆動力を受けると、水平軸回りに回転することができる。ここで、前記被巻付け体47は、成形ドラムと、該成形ドラムに支持された複数種類のタイヤ構成部材とから構成されているが、この被巻付け体は円筒状の成形ドラム単体であってもよく、あるいは、トロイダル状に膨出変形後の成形ドラム単体や、この成形ドラムと、これに支持されたタイヤ構成部材によって構成されていてもよい。さらに、前記被巻付け体は外表面が未加硫タイヤの内表面と同一形状である組立分解可能な剛体コア単体、または、該剛体コアと、その周囲に貼付けられたタイヤ構成部材とから構成されていてもよく、特に制限はない。
【0036】
50は床面上に設置された前後方向に延びるベースであり、このベース50は固定フレーム19の直前から被巻付け体47の直下まで延びるとともに、その上面には前後方向に延びる一対のガイドレール51が敷設されている。52はベース50の直上に設置された水平な下プレートであり、この下プレート52は図示していないモータ、ねじ機構から駆動力を受けて前記ガイドレール51にガイドされながら前後方向に移動することができる。
【0037】
54は前記下プレート52の上面に敷設された一対の水平なガイドレールであり、これらのガイドレール54は前後方向と直交する左右方向に延びている。55は下プレート52の直上に設置された水平な上プレートであり、この上プレート55は図示していないモータ、ねじ機構から駆動力を受けて前記ガイドレール54にガイドされながら左右方向に移動することができる。
【0038】
前記上プレート55に垂直軸回りに旋回できるよう支持された支持フレーム57には複数のガイドローラ58が回転可能に支持され、これらのガイドローラ58には、送り搬送装置20から送出された後、複数のガイドローラを通じて方向転換された帯状体16が供給される。59は前記支持フレーム57に取り付けられた帯板状の剥離部材であり、この剥離部材59にはガイドローラ58を通過した後の帯状体16が供給されるが、この剥離部材59の前端に帯状体16が到達したとき、該帯状体16はヘアピン状の鋭角先端部によって折り返され、これにより、ゴムリボン12はライナー15から剥離されて保持から解放される。
【0039】
このようにしてライナー15から剥離されたゴムリボン12は、支持フレーム57に回転可能に支持された巻付けローラ62の外周の一部に接触した後、駆動部46から駆動力を受けて回転している被巻付け体47の周囲に供給されるが、このとき、被巻付け体47と巻付けローラ62とは逆方向に回転しているため、前記ゴムリボン12は巻付けローラ62により被巻付け体47に圧着されながらその外周に周方向に巻付けられる。
【0040】
このとき、駆動モータが作動して上プレート55がガイドレール54にガイドされながら左右方向に移動するため、ゴムリボン12は、巻付けローラ62によってライナー15、ゴムリボン12の幅方向にずらされながら被巻付け体47の周囲に複数回螺旋状に巻付けられ、被巻付け体47の周囲にゴムリボン12からなるタイヤ構成部材63、ここでは、トップトレッドTのベース層Tb(図6参照)が成形される。ここで、ゴムリボン12により成形されるタイヤ構成部材は、図6に示すようなトップトレッドTのキャップ層Tc、サイドトレッドS、クッションゴムJ、ゴムチェーファーN等であってもよい。
【0041】
一方、前記ライナー15は支持フレーム57に回転可能に支持された複数のガイドローラ65および駆動ローラ66に次々に接触しながら走行し、固定フレーム19の下側部に設けられた戻り搬送装置67に向かって供給される。ここで、前記駆動ローラ66にはサーボモータ68の出力軸が連結されており、この結果、このサーボモータ68から前記駆動ローラ66に駆動回転力が付与されると、該駆動ローラ66は回転してライナー15を前記被巻付け体47の巻付け位置における周速度と同一速度で走行させる。
【0042】
前述した駆動ローラ66、サーボモータ68は全体として、引取り機構69を構成する。また、前述した下、上プレート52、55、支持フレーム57、ガイドローラ58、剥離部材59、巻付けローラ62、ガイドローラ65、引取り機構69は全体として、被巻付け体47の周囲にゴムリボン12を幅方向にずらしながら複数回巻付ける綾振り手段70を構成する。
【0043】
ここで、被巻付け体47、引取り機構69の作動停止により被巻付け体47に対するゴムリボン12の巻付けが停止しているときには、送出し機構41により規定された帯状体16(ライナー15)の走行速度(送り搬送装置20への送込み速度)が、引取り機構69により規定されたライナー15の走行速度(零)より大であるため、送り搬送装置20に滞留している帯状体16の量が徐々に増加するが、このとき、連結ビーム27、スライダ29、重錘30、第2支持体31、第2ローラ37がガイドレール28にガイドされながら自重により下降して第1ローラ24と第2ローラ37との間の距離が増大する。
【0044】
一方、被巻付け体47、引取り機構69の作動時には、作業能率向上の要請から被巻付け体47にゴムリボン12が高速で巻付けられるため、送出し機構41により規定された帯状体16(ライナー15)の走行速度が、引取り機構69により規定されたライナー15の走行速度(引取り速度)より小となり、この結果、送り搬送装置20に滞留している帯状体16の量が減少するが、このとき、第2支持体31、第2ローラ37等が帯状体16の張力により引き上げられ第1ローラ24と第2ローラ37との間の距離が減少する。
【0045】
ここで、前述の戻り搬送装置67は前記送り搬送装置20とほぼ同様の構成であるが、固定フレーム19の下端部に設けられ前記第1ローラ24に対応する複数の第3ローラ72は図示していない前後方向に延びる第3支持体に回転可能に支持されている。一方、前記第3ローラ72より上方で第2ローラ37より下方に設けられ前記第2ローラ37に対応する複数の第4ローラ73は、全体として前後方向に延びる図示していない第4支持体に回転可能に支持されているが、その前後方向に対する傾斜方向が前記第2ローラ37と逆方向となっている。
【0046】
また、前記第4支持体には固定フレーム19に固定された上下方向に延びるロッドレスシリンダ75の移動ブロックが連結され、このロッドレスシリンダ75は前記第4支持体に下方から上方に向かう付勢力を付与することで、第4ローラ73を押し上げるとともに、第3、第4ローラ72、73間のライナー15に対し所定の張力を付与する。
【0047】
このように戻り搬送装置67を送り搬送装置20とほぼ同様の構成とすれば、第2、第4ローラ37、73の昇降動作を同期させることができて、これらが干渉する事態を考慮しなくてよく、しかも、同一構造の部品を使用することができるため、製作費を安価とすることができる。なお、前記戻り搬送装置67の第3、第4ローラ72、73は、フェスツーンを形成する部材がライナー15のみであるため、従来技術と同様にその回転軸が前後方向に対して直交する方向に延びていてもよく、この場合、ライナー15を第3ローラと第4ローラとの間で 180度捻る必要もない。
【0048】
そして、前記戻り搬送装置67にはガイドローラ65からライナー15が複数のガイドローラにより方向転換されながら供給されるが、このとき、該ライナー15はフェスツーンを形成しつつこれら第3、第4ローラ72、73の外周に交互に接触しながら前方から後方に向かって略螺旋状に走行する。その後、該ライナー15は複数のガイドローラにより方向転換され、押出し機13の直前まで走行する。
【0049】
ここで、前述のように被巻付け体47に対するゴムリボン12の巻付けが停止しているときには、押出し機11、13から連続的に押出されているゴムリボン12を保持するために、戻り搬送装置67からライナー15が次々と引き出され、これにより、第4ローラ73がロッドレスシリンダ75の付勢力に対抗して下降するとともに、戻り搬送装置67におけるライナー15の滞留量が減少する。一方、被巻付け体47に対するゴムリボン12の巻付け時には、ライナー15の戻り搬送装置67への送込み速度が戻り搬送装置67からの送出し速度より大となるため、第4ローラ73がロッドレスシリンダ75の付勢力により上昇するとともに、戻り搬送装置67におけるライナー15の滞留増が増大する。そして、前記第4ローラ73の昇降速度は、前述した第2ローラ37の昇降速度と同一速度である。
【0050】
前述した押出し機11、13、ライナー15、固定フレーム19、送り搬送装置20、送出し機構41、戻り搬送装置67、綾振り手段70は全体として、供給巻付け設備76を構成するが、このような供給巻付け設備は図示していないが被巻付け体47の前方にもう1台別に設置されており、この別の供給巻付け設備は被巻付け体47に対し別のゴム種のゴムリボンを供給して巻付けることにより、例えば、トップトレッドTのキャップ層Tcを成形する。ここで、前述した別の供給巻付け設備においては、被巻付け体47に近接する側が前方となり、離隔する側が後方となる。
【0051】
そして、前述した2台の供給巻付け設備のうち、一方の供給巻付け設備によりゴムリボン12が被巻付け体47に対して供給されているときには、該一方の供給巻付け設備の送り搬送装置20においては帯状体16の滞留量が減少するが、他方の供給巻付け設備の送り搬送装置20においては帯状体16の滞留量が増大する。そして、このような帯状体16の滞留量の増減は前記2台の供給巻付け設備において交互に繰り返し行われるため、両供給巻付け設備における押出し機11、13の連続運転が問題なく行われる。
【0052】
また、前述のように一方の供給巻付け設備によりゴムリボン12が被巻付け体47に対して供給されているとき、該一方の供給巻付け設備の戻り搬送装置67においてはライナー15の滞留量が増大するが、他方の供給巻付け設備の戻り搬送装置67においてはライナー15の滞留量が減少する。そして、このような戻り搬送装置67におけるライナー15の滞留量の増減も前述と同様に交互に繰り返し行われる。
【0053】
なお、前述のような供給巻付け設備は1台の被巻付け体47に対して3台以上設置してもよい。このように1台の被巻付け体47に対して複数台の供給巻付け設備を設置すれば、いずれか1台の供給巻付け設備の動作中に、他の供給巻付け設備において帯状体16(ゴムリボン12)の滞留量を増加させることで、押出し機11、13の動作を停止させることなく異種ゴムのゴムリボン12を同一の被巻付け体47に対し積層することが可能となる。
【0054】
次に、前記実施形態1の作用について説明する。
図6に示すような未加硫タイヤUを製造するには、例えば、図示していない円筒状をした別の成形ドラムの周囲に帯状ゴムシートを供給して巻付け、あるいは、細幅のゴムシートを周方向にずらしながら多数配置して円筒状のインナーライナーIを成形した後、該インナーライナーIの外側に多数本のカーカスコードが埋設されたシート状のプライを供給して巻付け、あるいは、少数本のカーカスコードが埋設された細幅のカーカス細片を周方向にずらしながら多数配置して円筒状のカーカス層Kを成形し、その後、前記カーカス層Kの軸方向両端部外側にフィラーR付きビードコアQをセットしてグリーンケースを成形する。
【0055】
次に、前記グリーンケースを被巻付け体47(成形ドラム)まで搬送してその外側にセットするとともに、前記ビードコアQを被巻付け体47(成形ドラム)のビードロック体により半径方向内側から保持する。次に、前記ビードロック体、ビードコアQを互いに接近させながら、グリーンケース内にエアを供給して半径方向外側に膨出、あるいは、被巻付け体47の軸方向中央部を成形ドラムにより半径方向外側に膨出し、ビードコアQ間のグリーンケースを断面略円弧状に変形させるとともに、ビードコアQより軸方向外側のカーカス層Kを、図示していないブラダ等によりビードコアQ回りに折り返す。
【0056】
次に、図示していない供給巻付け設備からゴムリボンを前記カーカス層Kの半径方向外側に供給して多数回巻付け、一対のクッションゴムJを成形する。その後、前記カーカス層K、クッションゴムJの半径方向外側に多数本のベルトコードが埋設されたシート状のプライを複数枚供給して巻付け、あるいは、少数本のベルトコードが埋設された細幅のベルト細片を周方向にずらしながら多数積層しながら配置してベルト層Pを成形する。
【0057】
このようにして成形ドラムと、複数種類のタイヤ構成部材、ここではインナーライナーI、カーカス層K、クッションゴムJ、ベルト層Pからなる被巻付け体47が構成されると、前述した供給巻付け設備76によって該被巻付け体47の周囲に、次のようにしてゴムリボン12を巻付けタイヤ構成部材63(トップトレッドTのベース層Tb)を成形する。
【0058】
即ち、まず、下プレート52を待機位置から前方に移動させて巻付けローラ62を被巻付け体47に接近させるとともに、上プレート55を左方に移動させて巻付けローラ62を巻付け開始位置まで移動させる。このような下、上プレート52、55の移動の直前においては送り搬送装置20の第1、第2ローラ24、37は、図1に示すように下降限近傍まで下降しており、この結果、送り搬送装置20には帯状体16がほぼ満量滞留している。そして、前述のように下プレート52が前方に移動すると、送り搬送装置20、戻り搬送装置67のフェスツーンから帯状体16、ライナー15がそれぞれ前述の移動量分だけ引き出されるため、第2ローラ37は若干の距離だけ上昇する一方、第4ローラ73は第2ローラ37と同一の若干距離だけ下降し、これら第2、第4ローラ37、73が互いに離隔する。
【0059】
このとき、押出し機13および送出し機構41は連続運転しているため、押出し機13から押出された未加硫ゴムからなるゴムリボン12はライナー15の一面に保持された後、送り搬送装置20に供給されている。次に、被巻付け体47を駆動部46により駆動回転させる一方、サーボモータ68により駆動ローラ66を駆動回転させて、帯状体16を送り搬送装置20から前記被巻付け体47の巻付け位置における周速と同一速度で引取る。
【0060】
このとき、送り搬送装置20においては、ライナー15はその他面が第1、第2ローラ24、37の外周に交互に接触しつつ後方から前方に向かってフェスツーンを形成しながら走行し、該ライナー15に保持されているゴムリボン12を後方から前方に向かって搬送する。その後、送り搬送装置20から引き出された帯状体16(ゴムリボン12を一面で保持しているライナー15)は剥離部材59の前端に到達したとき、該剥離部材59の鋭角先端部によってヘアピン状に折り返され、ゴムリボン12がライナー15から剥離される。
【0061】
このようにしてライナー15から剥離されたゴムリボン12は、回転している被巻付け体47に供給されて巻付けローラ62により該被巻付け体47の外周に圧着されながら周方向に巻付けられる。このとき、上プレート55が右方に移動するため、ゴムリボン12は巻付けローラ62によってライナー15、ゴムリボン12の幅方向にずらされながら該被巻付け体47の周囲に複数回螺旋状に巻付けられ、被巻付け体47の周囲にゴムリボン12からなるタイヤ構成部材63、ここでは、トップトレッドTのベース層Tbが成形される。
【0062】
このとき、押出し機13および送出し機構41の連続運転により帯状体16は送り搬送装置20に連続的に供給されているが、送出し機構41により規定された帯状体16の走行速度は、引取り機構69により規定されたライナー15の走行速度より小であるため、全体的に見ると送り搬送装置20から帯状体16が次々と引き出され、この結果、送り搬送装置20に滞留している帯状体16の量が減少するとともに、第2支持体31、第2ローラ37等が帯状体16の張力により引き上げられ第1ローラ24と第2ローラ37との間の距離が減少する。
【0063】
一方、ゴムリボン12から分離されたライナー15は戻り搬送装置67に供給されるが、このとき、前述と同様に送出し機構41により規定されたライナー15の走行速度は、引取り機構69により規定されたライナー15の走行速度より小であるため、全体的に見ると戻り搬送装置67にライナー15が次々と送込まれ、この結果、戻り搬送装置67に滞留しているライナー15の量が増加するとともに、第4ローラ73がロッドレスシリンダ75の付勢力により押し上げられて、第3ローラ72と第4ローラ73との間の距離が増加する。なお、このとき、戻り搬送装置67から送出されたライナー15は押出し機13の直前まで走行し、押出し機13から押出されたゴムリボン12を再び一面で受けて保持する。
【0064】
このとき、図示していない別の供給巻付け設備の送り搬送装置においては、巻付けが停止しているため、帯状体16の滞留量が増加し、一方、戻り搬送装置においてはライナー15の滞留量が減少している。そして、前述のようにしてベース層Tbの成形が終了すると、第2、第4ローラ37、73は図2に示すように、ほぼ上昇限まで上昇する。次に、下プレート52を後方に待機位置まで移動させて巻付けローラ62を被巻付け体47から離隔させるが、このとき、送り搬送装置20、戻り搬送装置67のフェスツーンに帯状体16、ライナー15が前述の移動量分だけ戻されるため、第2ローラ37は若干の距離だけ下降する一方、第4ローラ73は若干の距離だけ上昇し、これら第2、第4ローラ37、73が初期の状態まで互いに接近する。
【0065】
その後、前記送り搬送装置20には押出し機13および送出し機構41の連続運転により帯状体16が連続的に供給される一方、戻り搬送装置67からはライナー15が帯状体16と同一速度で連続的に引き出される。これにより、第2、第4ローラ37、73は同期して徐々に下降し、送り搬送装置20に滞留される帯状体16の量が増加する一方、戻り搬送装置67に滞留しているライナー15の量が減少する。前述のように供給巻付け設備76によるゴムリボン12の巻付けが停止すると、別の供給巻付け設備が作動して前述と同様にゴムリボン12が被巻付け体47に供給されて巻付けられ、トップトレッドTのキャップ層Tcが成形される。
【0066】
次に、回転している被巻付け体47に図示していない供給巻付け設備からゴム種の異なるゴムリボンが供給されてその周囲に巻付けられ、他のタイヤ構成部材、ここではサイドトレッドS、ゴムチェーファーNが成形される。このようにタイヤ構成部材63(ベース層Tb)の成形の前後に、回転している被巻付け体47に他のタイヤ材料(プライ、カーカス細片、ベルト細片、ゴム種の異なるゴムリボン等)が供給されて貼付けられ、前記タイヤ構成部材63(ベース層Tb)と共に未加硫タイヤUが製造される。
【0067】
なお、被巻付け体47に対する他のタイヤ材料の供給は、タイヤ構成部材63の成形の前のみに、あるいは、成形の後のみに行うこともある。そして、前述のように送り搬送装置20を有する供給巻付け設備76を用いれば、被巻付け体47に対しゴムリボン12を高能率かつ高精度で供給しながら巻付けることができ、これにより、未加硫タイヤUの品質が向上し、安定生産も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明は、ライナーに保持されたゴムリボンをフェスツーンを形成しながら搬送する産業分野に適用できる。
【符号の説明】
【0069】
12…ゴムリボン 13…押出し機
15…ライナー 20…搬送装置
22…第1支持体 24…第1ローラ
31…第2支持体 37…第2ローラ
47…被巻付け体 63…タイヤ構成部材
C…回転軸 D…回転軸
E…接触終了位置 F…接触開始位置
U…未加硫タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲容易なライナーの一面に未加硫ゴムからなるゴムリボンを保持させた状態で後方から前方に向かってフェスツーンを形成しながら搬送することができるゴムリボンの搬送装置であって、全体として前後方向に延びる第1支持体と、該第1支持体に前後方向に離れて支持され、その回転軸が第1支持体の延在方向に延びている複数の回転可能な第1ローラと、全体として前後方向に延びるともに、第1支持体に対して相対的に接近離隔可能な第2支持体と、該第2支持体に前記第1ローラと交互に位置しながら前後方向に離れて支持され、その回転軸が第2支持体の延在方向に延びている複数の回転可能な第2ローラとを備え、前記ゴムリボンを保持しているライナーの他面を第1、第2ローラの外周に交互に接触させながら後方から前方に向かって略螺旋状に走行させることでゴムリボンを搬送するようにしたことを特徴とするゴムリボンの搬送装置。
【請求項2】
任意の第1ローラにおけるライナーの接触終了位置上で該ライナーの幅方向中央を点Aとし、前記任意の第1ローラの前方に隣接して配置された第1ローラにおけるライナーの接触開始位置上で該ライナーの幅方向中央を点Bとし、両方の点Aと点Bとを結ぶ直線をLとしたとき、前記任意の第1ローラと隣接配置された第1ローラとの間に位置する第2ローラの回転軸を、前記直線Lに対し水平面上で直交する直線Mとほぼ平行とするとともに、前記第2ローラの回転軸上における幅方向中央点Hを前記2つの第1ローラの回転軸上における幅方向中央点Gの間でこれらから等距離離れた点に位置させた請求項1記載のゴムリボンの搬送装置。
【請求項3】
前記第2ローラの回転軸を直線Mに対し水平面内において±10度だけ傾斜した角度範囲内に位置させた請求項2記載のゴムリボンの搬送装置。
【請求項4】
前記第2ローラの回転軸を直線Mと平行とした請求項3記載のゴムリボンの搬送装置。
【請求項5】
前記第2ローラの直径を前記点Aと点Bとの間の最短距離と同一とした請求項2〜4のいずれかに記載のゴムリボンの搬送装置。
【請求項6】
前記第1支持体を、全ての第1ローラの回転軸上において直線状に延びる単一の第1シャフトから構成することで、これら全ての第1ローラの回転軸を第1シャフトの中心軸上に配置する一方、全ての第2ローラの回転軸を前後方向に対し同一方向に同一角度だけ傾斜させた請求項1〜5のいずれかに記載のゴムリボンの搬送装置。
【請求項7】
押出し機から押出された未加硫ゴムからなるゴムリボンを屈曲容易なライナーの一面に保持させた後、前記請求項1に記載のゴムリボンの搬送装置を用いてライナーの他面を第1、第2ローラの外周に交互に接触させつつ後方から前方に向かってフェスツーンを形成しながら搬送する工程と、該搬送されたゴムリボンをライナーから分離した後、回転している被巻付け体の周囲に供給して幅方向にずらしながら複数回巻付けタイヤ構成部材を成形する工程と、前記タイヤ構成部材の成形の前または後に、回転している被巻付け体の周囲に他のタイヤ材料を供給して貼付け前記タイヤ構成部材と共に未加硫タイヤを製造する工程とを備えたことを特徴とするゴムリボンの搬送装置を用いた未加硫タイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−253876(P2010−253876A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109066(P2009−109066)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】